JP6447216B2 - 離型フィルムおよび成型品の製造方法 - Google Patents
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Description
前記熱可塑性樹脂材料は、熱可塑性樹脂と、有機樹脂粒子とを含んでおり、
前記有機樹脂粒子の平均粒径d50が、4μm以上20μm以下であり、
前記有機樹脂粒子について、JIS標準篩を用いて篩分により測定した粒度分布における、前記有機樹脂粒子全体に対する3μm未満の小粒子の割合が0.1%以下であり、
前記離型層全量に対し、前記有機樹脂粒子を0.5重量%以上10重量%以下含む、離型フィルムが提供される。
前記離型フィルムが配置された前記対象物に対し、加熱プレスを行う工程と、
を含み、
前記離型フィルムを配置する前記工程において、前記対象物の前記離型フィルムが配置される面が、熱硬化性樹脂を含む材料によって形成されている、成型品の製造方法が提供される。
本実施形態における離型フィルムは、少なくとも一方の面に、熱可塑性樹脂材料を含む離型層を有する離型フィルムであって、上記熱可塑性樹脂材料が、熱可塑性樹脂と、有機樹脂粒子とを含んでおり、上記有機樹脂粒子の平均粒径d50が、4μm以上20μm以下であり、離型層全量に対し、上記有機樹脂粒子を0.5重量%以上10重量%以下含む構成を採用するものである。こうすることで、離型性および追従性のバランスに優れ、かつボイドの発生を抑制しつつ耐屈曲性に優れた成型品の作製に使用可能な離型フィルムを実現することができる。
本実施形態における離型フィルムは、共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法、インフレーション法等公知の方法を用いて作製することができる。また、離型フィルムが多層構造の場合、離型層、クッション層の各層を、別々に製造してからラミネーター等により接合してもよいが、空冷式または水冷式共押出インフレーション法、共押出Tダイ法で成膜することが好ましい。なかでも、共押出Tダイ法で成膜する方法が各層の厚さ制御に優れる点で特に好ましい。また、離型層と、クッション層とをそのまま接合してもよいし、接着層を介して接合してもよい。
次に、本実施形態の成型品の製造方法について説明する。
本実施形態の成型品の製造方法は、上述した離型フィルムを使用するものである。そして、本実施形態の成型品の製造方法は、たとえば、フレキシブルプリント回路基板を作製する際に使用してもよい。この場合、離型フィルムは、フレキシブルフィルム上に形成された回路を保護するため、当該回路に対してカバーレイフィルムを加熱プレスして密着させる際に、カバーレイとプレス機との間に介在させて使用する。
具体的には、離型フィルムは、例えば、フレキシブルプリント配線基板の製造工程の一つであるカバーレイプレスラミネート工程において用いられる。より詳細には、離型フィルムは、回路露出フィルムへのカバーレイフィルム接着時にカバーレイフィルムを回路パターンの凹凸部に密着させるためにカバーレイフィルムを包むように配置され、回路露出フィルム及びカバーレイフィルムと共にプレス機により加熱加圧される。この時、クッション性の向上のために、紙、ゴム、フッ素樹脂シート、ガラスペーパー等、またはこれらを組合せたものを離型フィルムとプレス機の間に挿入した上で加熱加圧することもできる。
まず、熱硬化性樹脂を含む材料によって形成されている対象物の表面に対して、上記本実施形態に係る離型フィルムの離型層における離型面を配置する。そして、離型フィルムを配置した対象物に対し、金型内でプレス処理を行う。ここで、上述した熱硬化性樹脂は、半硬化状態であっても、硬化状態であってもよいが、半硬化状態であると、当該離型フィルムの作用効果が一層顕著なものとなる。特に、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む樹脂組成物である場合には、当該エポキシ樹脂が、硬化反応の中間の段階にあること、すなわち、Bステージ状態にあることが好ましい。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 少なくとも一方の面に、熱可塑性樹脂材料を含む離型層を有する離型フィルムであって、
前記熱可塑性樹脂材料は、熱可塑性樹脂と、有機樹脂粒子とを含んでおり、
前記有機樹脂粒子の平均粒径d50が、4μm以上20μm以下であり、
前記離型層全量に対し、前記有機樹脂粒子を0.5重量%以上10重量%以下含む、離型フィルム。
2. 当該離型フィルムにおいて前記離型層の離型面の表面粗さが、表面10点平均粗さRzで0.5μm以上5.0μm以下である、1.に記載の離型フィルム。
3. 当該離型フィルムの厚みが、50μm以上150μm以下である、1.または2.に記載の離型フィルム。
4. 前記有機樹脂粒子が架橋有機樹脂粒子である、1.乃至3.のいずれかに記載の離型フィルム。
5. 前記有機樹脂粒子が、ポリスチレン粒子、アクリル粒子、ポリイミド粒子、ポリエステル粒子、シリコーン粒子、ポリプロピレン粒子、ポリエチレン粒子、フッ素樹脂粒子、およびコアシェル粒子からなる群より選択される1種又は2種以上の粒子を含む、1.乃至4.のいずれかに記載の離型フィルム。
6. 前記有機樹脂粒子について、JIS標準篩を用いて篩分により測定した粒度分布における、前記有機樹脂粒子全体に対する3μm未満の小粒子の割合が0.1%以下である、1.乃至5.のいずれかに記載の離型フィルム。
7. 前記有機樹脂粒子について、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定される累積頻度が90%となる粒子径d90が、3μm以上20μm以下である、1.乃至6.のいずれかに記載の離型フィルム。
8. 前記熱可塑性樹脂が、ポリ4−メチル1−ペンテン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂からなる群より選択される1種以上である、1.乃至7.のいずれかに記載の離型フィルム。
9. 前記離型層、クッション層、及び副離型層の順に積層した三層構造を有している、1.乃至8.のいずれかに記載の離型フィルム。
10. 当該離型フィルムにおける前記副離型層の離型面の表面粗さが、表面10点平均粗さRzで0.5μm以上5μm以下である、9.に記載の離型フィルム。
11. 半硬化状態の熱硬化性樹脂を含む材料によって形成された成型物の表面に、前記離型層の表面を重ねて用いられる、1.乃至10.のいずれかに記載の離型フィルム。
12. 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を含む11.に記載の離型フィルム。
13. 1.乃至12.のいずれかに記載の離型フィルムの離型層が対象物側になるように、前記対象物上に前記離型フィルムを配置する工程と、
前記離型フィルムが配置された前記対象物に対し、加熱プレスを行う工程と、
を含み、
前記離型フィルムを配置する前記工程において、前記対象物の前記離型フィルムが配置される面が、熱硬化性樹脂を含む材料によって形成されている、成型品の製造方法。
14. 当該成型品がフレキシブルプリント回路基板である、13.に記載の成型品の製造方法。
ポリメチルペンテン樹脂(TPX(登録商標))(三井化学社製、TPX DX820)とアクリルビーズ(積水化成品工業社製、SSX−110)からなる樹脂材料を用いて、押出Tダイ法にてTPXフィルムを製膜して離型層を得た。ここで、離型層の作製に使用したアクリルビーズの平均粒径d50は、10.2μmであり、かつ粒子径d90は、15μmであった。また、上記離型層の作製に使用した上記樹脂材料は、離型層全量に対する上記アクリルビーズの含有量が5重量%となるように上記TPXと配合したものを用いた。
上記離型層と、TPX、ポリプロピレン(サンアロマ―社製、PB270A)、変性ポリエチレン(エチレン−メチルメタクリレート共重合体(住友化学社製、WH102)からなるクッション層(配合比率:TPX:ポリプロピレン:エチレン−メチルメタクリレート共重合体:=50:30:20)およびTPXからなる副離型層をこの順で押出Tダイ法により積層し、3層からなる離型フィルムを製造した。
また、得られた離型フィルムの各層の厚さは、離型層、第2の離型層はいずれも30μm、クッション層は40μmであった。
離型層全量に対するアクリルビーズの含有量が2重量%となるようにポリメチルペンテン樹脂(TPX(登録商標))(三井化学社製、TPX DX820)と配合した樹脂材料を用いて離型層を作製した点、離型層の厚さを25μmとした点以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
平均粒径d50が19.7μmであり、かつ粒子径d90が27.8μmのアクリルビーズの含有量が離型層全量に対して1.5重量%となるようにポリメチルペンテン樹脂(TPX(登録商標))(三井化学社製、TPX DX820)と配合した樹脂材料を用いて離型層を作製した点、クッション層の厚さを60μmとした点以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
離型層全量に対するアクリルビーズの含有量が10重量%となるようにポリメチルペンテン樹脂(TPX(登録商標))(三井化学社製、TPX DX820)と配合した樹脂材料を用いて離型層を作製した点、クッション層の厚さを90μmとした点以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
平均粒径d50が2.8μmであり、かつ粒子径d90が5.1μmのアクリルビーズを用いた点以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
ポリメチルペンテン樹脂(TPX(登録商標))(三井化学社製、TPX DX820)からなる樹脂材料を用いて離型層を作製した点、Rz=10の金属ロールに圧着してエンボス形状を付与した以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
平均粒径d50が28.5μmであり、かつ粒子径d90が40.2μmのアクリルビーズを用いた離型層を作製した点以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
・有機樹脂粒子の粒度分布:有機樹脂粒子40gを、1mgまで秤量したものを試料とした。ロータップ型篩振動機(丸菱科学機械製作所製、型式−SS−100A)に備え付けた目開き3μmのJIS標準篩を用い、これらの篩を20分間に亘って振動(ハンマー打数:120回/分)させながら試料を篩に通して分級した。次いで、3μmの篩を通過した微粉の質量を測定し、分級前の全試料質量に対する質量比を求めた。
離型フィルムの離型面の表面について、JIS B0601 (1994年)に準じ、「株式会社東京精密製 ハンディサーフ E−35B」を用いて、中央n=3について測定した。
○:剥離可能
×:剥離が重くフィルムもしくはカバーレイが破断する
離型フィルムの離型面に有沢製作所社製のカバーレイ(CMタイプ)のポリイミド面を貼り合わせ、195℃×2分×6MPaで熱プレスを行った後離型フィルムを剥離し、カバーレイの表面について、JPCA規格の「7.5.7.2項しわ」に準じて測定した。
○:シワ発生率 2.0%未満
×:シワ発生率 2.0%以上
○:接着剤のしみだし形状がフラット(平坦)である。
×:接着剤のしみだし形状に凹凸がある。
Claims (13)
- 少なくとも一方の面に、熱可塑性樹脂材料を含む離型層を有する離型フィルムであって、
前記熱可塑性樹脂材料は、熱可塑性樹脂と、有機樹脂粒子とを含んでおり、
前記有機樹脂粒子の平均粒径d50が、4μm以上20μm以下であり、
前記有機樹脂粒子について、JIS標準篩を用いて篩分により測定した粒度分布における、前記有機樹脂粒子全体に対する3μm未満の小粒子の割合が0.1%以下であり、
前記離型層全量に対し、前記有機樹脂粒子を0.5重量%以上10重量%以下含む、離型フィルム。 - 当該離型フィルムにおいて前記離型層の離型面の表面粗さが、表面10点平均粗さRzで0.5μm以上5.0μm以下である、請求項1に記載の離型フィルム。
- 当該離型フィルムの厚みが、50μm以上150μm以下である、請求項1または2に記載の離型フィルム。
- 前記有機樹脂粒子が架橋有機樹脂粒子である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の離型フィルム。
- 前記有機樹脂粒子が、ポリスチレン粒子、アクリル粒子、ポリイミド粒子、ポリエステル粒子、シリコーン粒子、ポリプロピレン粒子、ポリエチレン粒子、フッ素樹脂粒子、およびコアシェル粒子からなる群より選択される1種又は2種以上の粒子を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の離型フィルム。
- 前記有機樹脂粒子について、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定される累積頻度が90%となる粒子径d90が、3μm以上20μm以下である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の離型フィルム。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリ4−メチル1−ペンテン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂からなる群より選択される1種以上である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の離型フィルム。
- 前記離型層、クッション層、及び副離型層の順に積層した三層構造を有している、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の離型フィルム。
- 当該離型フィルムにおける前記副離型層の離型面の表面粗さが、表面10点平均粗さRzで0.5μm以上5μm以下である、請求項8に記載の離型フィルム。
- 半硬化状態の熱硬化性樹脂を含む材料によって形成された成型物の表面に、前記離型層の表面を重ねて用いられる、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の離型フィルム。
- 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を含む請求項10に記載の離型フィルム。
- 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の離型フィルムの離型層が対象物側になるように、前記対象物上に前記離型フィルムを配置する工程と、
前記離型フィルムが配置された前記対象物に対し、加熱プレスを行う工程と、
を含み、
前記離型フィルムを配置する前記工程において、前記対象物の前記離型フィルムが配置される面が、熱硬化性樹脂を含む材料によって形成されている、成型品の製造方法。 - 当該成型品がフレキシブルプリント回路基板である、請求項12に記載の成型品の製造方法。
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