以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る合わせガラス用中間膜(以下、「中間膜」と記載することがある)は、1層の構造又は2層以上の構造を有する合わせガラス用中間膜である。本発明に係る中間膜は、1層の構造を有してもよく、2層以上の構造を有していてもよい。また、本発明に係る中間膜が2層以上の構造を有する場合に、中間膜の厚み方向と直交する方向において、中間膜全体が2層以上の構造を有していなくてもよく、中間膜が部分的に1層の構造を有していてもよい。
本発明に係る中間膜は、ポリビニルアセタール樹脂と、可塑剤と、炭酸カルシウム又はシリカである無機粒子と、分散剤とを含む領域Rを有する。領域Rは、上記ポリビニルアセタール樹脂と上記可塑剤と上記無機粒子と上記分散剤とを含む領域全体を意味する。ポリビニルアセタール樹脂を含まない領域、可塑剤を含まない領域、無機粒子を含まない領域、及び分散剤を含まない領域は、上記領域Rに含まれない。
本発明に係る中間膜では、上記ポリビニルアセタール樹脂と上記可塑剤と上記無機粒子と上記分散剤とを含む上記領域Rにおいて、上記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して、上記分散剤の含有量が0.1質量部以上、7質量部以下である。
本発明では、上記領域Rが上記ポリビニルアセタール樹脂と上記可塑剤と上記無機粒子と上記分散剤とを含み、更に上記領域Rにおける分散剤の含有量が特定の上記の範囲内であるので、プライバシー保護性に優れた合わせガラスを得ることができる、さらに、上記分散剤の作用によって、無機粒子が良好に分散して、色むらが少ない合わせガラスを得ることができる。さらに、本発明では、遮音性に優れる合わせガラスを得ることができる。本発明では、ポリビニルアセタール樹脂と、可塑剤と、炭酸カルシウム粒子又はシリカ粒子である無機粒子と、分散剤とを用いているので、更に分散剤を特定の含有量で用いているので、これらを併用していなかったり、分散剤の含有量が特定の範囲を外れたりする場合と比べて、遮音性を高めることができる。ポリビニルアセタール樹脂と、可塑剤と、炭酸カルシウム粒子又はシリカ粒子である無機粒子と、分散剤とを併用し、しかも分散剤を特定の含有量で用いる構成と、遮音性を高める効果とに関連性があることが、本発明者らによって初めて見出された。
中間膜における透明性を制御することが容易であるので、本発明に係る中間膜は、第1の樹脂層と、第2の樹脂層とを備えることが好ましい。上記第1の樹脂層は、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含むことが好ましい。上記第2の樹脂層は、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤と炭酸カルシウム粒子又はシリカ粒子である無機粒子と、分散剤とを含むことが好ましい。上記第2の樹脂層中の上記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して、上記第2の樹脂層中の上記分散剤の含有量が0.1質量部以上、7質量部以下であることが好ましい。上記第1の樹脂層に含まれるポリビニルアセタール樹脂と上記第2の樹脂層に含まれるポリビニルアセタール樹脂とは同一であってもよく、異なっていてもよい。上記第1の樹脂層に含まれる可塑剤と上記第2の樹脂層に含まれる可塑剤とは同一であってもよく、異なっていてもよい。
本発明に係る中間膜では、JIS R3202(1996)に準拠した2枚のクリアガラスを用いて合わせガラスを作製した際に、平行光透過率が30%を超え、60%未満である部位(領域)が存在することが好ましい。平行光透過率が30%を超え、60%未満である部分において、上記ポリビニルアセタール樹脂と上記可塑剤と上記無機粒子と上記分散剤とを含む上記領域Rが位置していることが好ましい。
本発明に係る中間膜では、JIS R3202(1996)に準拠した2枚のクリアガラスを用いて合わせガラスを作製した際に、上記第2の樹脂層の厚みが、中間膜の厚み方向と直交する方向に連続的に減少している部位(領域)であるグラデーション部が存在することが好ましい。
本発明に係る中間膜では、上記第2の樹脂層の上記第1の表面側とは反対の第2の表面側に、上記第1の樹脂層が配置されており、上記第1の樹脂層中に、上記第2の樹脂層が埋め込まれていることが好ましい。この場合には、中間膜の表面における無機粒子の含有量が少なくなることから、中間膜の合わせガラス部材に対する接着性をより一層高めることができる。
なお、本発明に係る中間膜では、上記第2の樹脂層の第1の表面側に、上記第1の樹脂層が配置されており、上記第1の樹脂層の上記第2の樹脂層側とは反対の表面側に上記第2の樹脂層の樹脂層が配置されていてもよい。すなわち、上記第1の樹脂層の第1の表面側に、上記第2の樹脂層が配置されており、上記第1の樹脂層の上記第1の表面とは反対の第2の表面側に上記第2の樹脂層の樹脂層が配置されていてもよい。
本発明に係る中間膜では、上記平行光透過率が60%以上である透明部が存在することが好ましい。本発明に係る中間膜では、中間膜の厚み方向と直交する方向において一部の部位(領域)に、上記第2の樹脂層が配置されており、中間膜の厚み方向と直交する方向において一部の部位(領域)に、上記グラデーション部とは異なり、かつ上記第2の樹脂層が存在しない領域が存在することが好ましい。上記グラデーション部とは異なり、かつ上記第2の樹脂層が存在しない部位(領域)は、例えば、上記グラデーション部よりも上記平行光透過率が高い透明部であることが好ましい。
本発明に係る中間膜では、上記平行光透過率が30%以下である濃色部を有することが好ましい。本発明に係る中間膜では、中間膜の厚み方向と直交する方向において一部の部位(領域)に、上記第2の樹脂層が配置されており、中間膜の厚み方向と直交する方向において一部の部位(領域)に、上記グラデーション部とは異なり、かつ上記第2の樹脂層が存在する部位(領域)が存在していてもよい。上記グラデーション部とは異なりかつ上記第2の樹脂層が存在する部位(領域)では、上記第2の樹脂層の厚みは、ほぼ一定(略均一)であってもよい。上記グラデーション部とは異なりかつ上記第2の樹脂層が存在する部位(領域)は、例えば、上記グラデーション部よりも上記平行光透過率が低い濃色部であることが好ましい。
建築物等の用途に好適に使用可能になることから、中間膜において、グラデーション部と透明部とが存在することが好ましい。中間膜において、濃色部とグラデーション部とが存在していてもよい。建築物等の用途に好適に使用可能になり、かつ外観がより一層良好になることから、中間膜において、濃色部とグラデーション部と透明部とが存在することが特に好ましい。
上記透明性は、中間膜又は合わせガラスの平行光透過率の大小により評価することができる。
上記合わせガラスの平行光透過率は例えば、以下のようにして測定される。
JIS R3202(1996)に準拠した2枚のクリアガラスを用いて合わせガラスを作製する。2枚のクリアガラスの間に中間膜を挟み込む。上記平行光透過率は、JIS R3106(1998)に準拠して測定される。具体的には、分光光度計を用いて、透過した平行光のみ積分球へ受光するように、光源と積分球との光路上で光軸の法線に平行に、かつ積分球から13cm離れた地点に、上記合わせガラスを設置した状態で測定される。上記平行光透過率は、この状態で測定された分光透過率から算出された可視光線透過率を意味する。上記分光光度計としては、例えば、日立ハイテク社製「U−4100」等が挙げられる。
得られた合わせガラスの上記濃色部部位における平行光透過率が30%以下であることが好ましい。得られた合わせガラスの上記グラデーション部部位における平行光透過率が上記濃色部側から上記透明部側に向かって連続的に増加していることが好ましい。上記合わせガラスの上記透明部部位における平行光透過率が60%以上であることが好ましい。
上記濃色部と上記グラデーション部とが存在する場合に、上記合わせガラスの上記グラデーション部部位における平行光透過率が、上記濃色部側から上記グラデーション部の濃色部側とは反対の端部側に向かって連続的に増加していることが好ましい。上記グラデーション部と上記透明部とが存在する場合に、上記合わせガラスの上記グラデーション部部位における平行光透過率が、上記グラデーション部の上記透明部側とは反対の端部側から透明部側に向かって連続的に増加していることが好ましい。上記濃色部と上記グラデーション部と上記透明部とが存在する場合に、上記合わせガラスの上記グラデーション部部位における平行光透過率が、上記濃色部側から上記透明部側に向かって連続的に増加していることが好ましい。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1に、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を断面図で示す。
図1に示す中間膜1は、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜1は、合わせガラス用中間膜である。中間膜1は、濃色部11とグラデーション部12と透明部13とを備える。なお、上述のように中間膜1は濃色部11とグラデーション部12と透明部13とを備えるが、本発明に係る中間膜は、濃色部及び透明部を備えなくともよい。本発明に係る中間膜は、濃色部11とグラデーション部12と透明部13とを備えることが好ましい。中間膜1では、濃色部11とグラデーション部12と透明部13とは、この順で中間膜1の厚み方向と直交する方向に並んで配置されている。
中間膜1と後述する中間膜51、中間膜1A、中間膜1B、中間膜1C、中間膜1D、中間膜1E、中間膜1X及び中間膜1Yでは、上記第1の樹脂層中に上記第2の樹脂層が埋め込まれている。
中間膜1とJIS R3202(1996)に準拠した2枚のクリアガラスを用いて合わせガラス(以下、合わせガラスCと記載することがある)を作製する。具体的には、2枚のクリアガラスの間に、中間膜1を挟み込むことで、上記合わせガラスCを得る。この場合に、上記合わせガラスCの濃色部11部位における平行光透過率が30%以下であり、上記合わせガラスCのグラデーション部12部位における平行光透過率が濃色部11側から透明部13側に向かって連続的に増加しており、上記合わせガラスCの透明部13部位における平行光透過率が60%以上である。中間膜1では、破線X1が、上記平行光透過率が30%以下であるか否かの境界である。中間膜1では、破線X2が、上記平行光透過率が60%以上であるか否かの境界である。
中間膜1は、第1の樹脂層16と第2の樹脂層17とを有する。濃色部11とグラデーション部12と透明部13とはそれぞれ、第1の樹脂層16を有する。第1の樹脂層16は、ポリビニルアセタール樹脂及び可塑剤を含有する。濃色部11とグラデーション部12とはそれぞれ、第2の樹脂層17をさらに有する。第2の樹脂層17の両側の表面上に第1の樹脂層16が位置するように、第2の樹脂層17は、第1の樹脂層16中に埋め込まれている。第2の樹脂層17は、ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、無機粒子及び分散剤を含有する。第1の樹脂層16よりも、第2の樹脂層17の方が、透明性が低い。
中間膜1では、上記合わせガラスCのグラデーション部12部位における平行光透過率が、濃色部11側から透明部13側に向かって連続的に増加するように、グラデーション部12における第2の樹脂層17の厚みが、濃色部11側から透明部13側に向かって連続的に減少している。また、中間膜1では、上記合わせガラスCのグラデーション部12部位における平行光透過率が、濃色部11側から透明部13側に向かって連続的に増加するように、グラデーション部12における第1の樹脂層16の合計の厚みが、濃色部11側から透明部13側に向かって連続的に増加している。
なお、図11に示すように、濃色部11と同じ形状の濃色部61を有し、グラデーション部12と同じ形状のグラデーション部62を有し、透明部13と同じ形状の透明部63を有し、結果として中間膜1と同じ形状の中間膜51において、上記平行光透過率が60%以上である境界を示す破線X2が、第1の樹脂層66の合計の厚みが、濃色部61側から透明部63側に向かって連続的に増加している途中に位置してもよい。グラデーション部62と透明部63との境界は、上記平行光透過率が60%以上であるか否かにより判断される。
図2に、本発明の第2の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を断面図で示す。
図2に示す中間膜1Aは、濃色部11Aと、グラデーション部12Aと、透明部13Aとを備える。中間膜1Aでは、濃色部11Aと、グラデーション部12Aと、透明部13Aとが、この順で中間膜1Aの厚み方向と直交する方向に並んで配置されている。
中間膜1AとJIS R3202(1996)に準拠した2枚のクリアガラスを用いて合わせガラス(以下、合わせガラスCAと記載することがある)を作製する。具体的には、2枚のクリアガラスの間に、中間膜1Aを挟み込むことで、上記合わせガラスCAを得る。この場合に、上記合わせガラスCAの濃色部11A部位における平行光透過率が30%以下であり、上記合わせガラスCAのグラデーション部12A部位における平行光透過率が、濃色部11A側から透明部13A側に向かって連続的に増加しており、上記合わせガラスCAの透明部13A部位における平行光透過率が60%以上である。中間膜1Aでは、破線X1が、上記平行光透過率が30%以下であるか否かの境界である。中間膜1Aでは、破線X2が、上記平行光透過率が60%以上であるか否かの境界である。
中間膜1Aは、第1の樹脂層16Aと第2の樹脂層17Aとを有する。濃色部11A、グラデーション部12A及び透明部13Aはそれぞれ、第1の樹脂層16Aを有する。第1の樹脂層16Aは、ポリビニルアセタール樹脂及び可塑剤を含有する。濃色部11A及びグラデーション部12Aはそれぞれ、第2の樹脂層17Aをさらに有する。第2の樹脂層17Aの両側の表面上に第1の樹脂層16Aが位置するように、第2の樹脂層17Aは、第1の樹脂層16A中に埋め込まれている。第2の樹脂層17Aは、ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、無機粒子及び分散剤を含有する。第1の樹脂層16Aよりも、第2の樹脂層17Aの方が、透明性が低い。
中間膜1Aでは、上記合わせガラスCAのグラデーション部12A部位における平行光透過率が、濃色部11A側から透明部13A側に向かって連続的に増加するように、グラデーション部12Aにおける第2の樹脂層17Aの厚みが、濃色部11A側から透明部13A側に向かって連続的に減少している。また、中間膜1Aでは、上記合わせガラスCAのグラデーション部12A部位における平行光透過率が、濃色部11A側から透明部13A側に向かって連続的に増加するように、グラデーション部12Aにおける第1の樹脂層16Aの合計の厚みが、濃色部11A側から透明部13A側に向かって連続的に増加している。また、中間膜1Aでは、濃色部11Aにおける第2の樹脂層17Aの厚みが、濃色部11Aの外側の端部側から透明部13A側に向かって減少している。このように濃色部11Aにおける第2の樹脂層17Aの厚みが、濃色部11Aの外側の端部側から透明部13側に向かって変化している中間膜1Aも、本発明の態様の一つである。
なお、図2に示すように、濃色部11A及びグラデーション部12Aの両方における第2の樹脂層17Aの厚みが、濃色部11Aの外側の端部又は濃色部11A側から透明部13A側に向かって連続的に減少している場合、上記合わせガラスCAにおける平行光透過率が30%以下である領域を濃色部11Aとし、平行光透過率が30%を超える領域をグラデーション部12Aとする。
図3に、本発明の第3の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を断面図で示す。
図3に示す中間膜1Bは、濃色部11Bと、グラデーション部12Bと、透明部13Bとを備える。中間膜1Bでは、濃色部11Bと、グラデーション部12Bと、透明部13Bとが、この順で中間膜1Bの厚み方向と直交する方向に並んで配置されている。
中間膜1BとJIS R3202(1996)に準拠した2枚のクリアガラスを用いて合わせガラス(以下、合わせガラスCBと記載することがある)を作製する。具体的には、2枚のクリアガラスの間に、中間膜1Bを挟み込むことで、上記合わせガラスCBを得る。この場合に、上記合わせガラスCBの濃色部11B部位における平行光透過率が30%以下であり、上記合わせガラスCBのグラデーション部12B部位における平行光透過率が、濃色部11B側から透明部13B側に向かって連続的に増加しており、上記合わせガラスCBの透明部13B部位における平行光透過率が60%以上である。中間膜1Bでは、破線X1が、上記平行光透過率が30%以下であるか否かの境界である。中間膜1Bでは、破線X2が、上記平行光透過率が60%以上であるか否かの境界である。
中間膜1Bは、第1の樹脂層16Bと第2の樹脂層17Bとを有する。濃色部11B、グラデーション部12B及び透明部13Bはそれぞれ、第1の樹脂層16Bを有する。第1の樹脂層16Bは、ポリビニルアセタール樹脂及び可塑剤を含有する。濃色部11B、グラデーション部12B及び透明部13Bはそれぞれ、第2の樹脂層17Bをさらに有する。第2の樹脂層17Bの両側の表面上に第1の樹脂層16Bが位置するように、第2の樹脂層17Bは、第1の樹脂層16B中に埋め込まれている。第2の樹脂層17Bは、ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、無機粒子及び分散剤を含有する。第1の樹脂層16Bよりも、第2の樹脂層17Bの方が、透明性が低い。
中間膜1Bでは、上記合わせガラスCBのグラデーション部12B部位における平行光透過率が、濃色部11B側から透明部13B側に向かって連続的に増加するように、グラデーション部12Bにおける第2の樹脂層17Bの厚みが、濃色部11B側から透明部13B側に向かって連続的に減少している。また、中間膜1Bでは、上記合わせガラスCBのグラデーション部12B部位における平行光透過率が、濃色部11B側から透明部13B側に向かって連続的に増加するように、グラデーション部12Bにおける第1の樹脂層16Bの合計の厚みが、濃色部11B側から透明部13B側に向かって連続的に増加している。また、中間膜1Bでは、濃色部11Bにおける第2の樹脂層17Bの厚みが、濃色部11Bの外側の端部側から透明部13B側に向かって減少している。更に、中間膜1Bでは、透明部13Bにおける第2の樹脂層17の厚みが、濃色部11B側から透明部13Bの外側の端部側に向かって減少している。このように濃色部11B及び透明部13Bにおける第2の樹脂層17Bの厚みが、濃色部11Bの外側の端部又は濃色部11B側から透明部13B又は透明部13Bの外側の端部側に向かって変化している中間膜1Bも、本発明の態様の一つである。
なお、図3に示すように、濃色部11B、グラデーション部12B及び透明部13Bにおける第2の樹脂層17Bの厚みの全てが、濃色部11Bの外側の端部又は濃色部11B側から透明部13B又は透明部13Bの外側の端部側に向かって連続的に減少している場合、上記合わせガラスCBにおける平行光透過率が30%以下である領域を濃色部11Bとし、平行光透過率が30%を超え、かつ、60%未満である領域をグラデーション部12Bとし、平行光透過率が60%以上である領域を透明部13Bとする。
図4に、本発明の第4の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を断面図で示す。
図4に示す中間膜1Cは、濃色部11Ca及び濃色部11Cbと、グラデーション部12Ca及びグラデーション部12Cbと、透明部13Cとを備える。中間膜1Cでは、濃色部11Caと、グラデーション部12Caと、透明部13Cとが、この順で中間膜1Cの厚み方向と直交する方向に並んで配置されている。更に、中間膜1Cでは、濃色部11Cbと、グラデーション部12Cbと、透明部13Cとが、この順で中間膜1Cの厚み方向と直交する方向に並んで配置されている。このように、中間膜1Cの両端からそれぞれ、濃色部11Caとグラデーション部12Caと透明部13Cとが、中間膜1Cの厚み方向と直交する方向に並んで配置されており、かつ、濃色部11Cbとグラデーション部12Cbと透明部13Cとが、中間膜1Cの厚み方向と直交する方向に並んで配置されている中間膜1Cも、本発明の態様の一つである。
中間膜1CとJIS R3202(1996)に準拠した2枚のクリアガラスを用いて合わせガラス(以下、合わせガラスCCと記載することがある)を作製する。具体的には、2枚のクリアガラスの間に、中間膜1Cを挟み込むことで、上記合わせガラスCCを得る。この場合に、上記合わせガラスCCの濃色部11Ca部位及び濃色部11Cb部位における平行光透過率が30%以下であり、上記合わせガラスCCのグラデーション部12Ca部位及びグラデーション部12Cb部位における平行光透過率が、それぞれ濃色部11Ca又は濃色部11Cb側から透明部13C側に向かって連続的に増加しており、上記合わせガラスCCの透明部13C部位における平行光透過率が60%以上である。中間膜1Cでは、2つの破線X1がそれぞれ、上記平行光透過率が30%以下であるか否かの境界である。中間膜1Cでは、2つの破線X2がそれぞれ、上記平行光透過率が60%以上であるか否かの境界である。
中間膜1Cは、第1の樹脂層16Cと第2の樹脂層17Cとを有する。濃色部11Ca、濃色部11Cb、グラデーション部12Ca、グラデーション部12Cb及び透明部13Cはそれぞれ、第1の樹脂層16Cを有する。第1の樹脂層16Cは、ポリビニルアセタール樹脂及び可塑剤を含有する。濃色部11Ca、濃色部11Cb、グラデーション部12Ca及びグラデーション部12Cbはそれぞれ、第2の樹脂層17Cをさらに有する。第2の樹脂層17Cの両側の表面上に第1の樹脂層16Cが位置するように、第2の樹脂層17Cは、第1の樹脂層16C中に埋め込まれている。第2の樹脂層17Cは、ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、無機粒子及び分散剤を含有する。第1の樹脂層16Cよりも、第2の樹脂層17Cの方が、透明性が低い。濃色部11Ca側の第2の樹脂層17Cと、濃色部11Cb側の第2の樹脂層17Cとは同一であってもよく、異なっていてもよい。
中間膜1Cでは、上記合わせガラスCCのグラデーション部12Ca部位及びグラデーション部12Cb部位における平行光透過率が、それぞれ濃色部11Ca又は濃色部11Cb側から透明部13C側に向かって連続的に増加するように、グラデーション部12Ca及びグラデーション部12Cbにおける第2の樹脂層17Cの厚みが、それぞれ濃色部11Ca又は濃色部11Cb側から透明部13C側に向かって連続的に減少している。また、中間膜1Cでは、上記合わせガラスCCのグラデーション部12Ca部位及びグラデーション部12Cb部位における平行光透過率が、それぞれ濃色部11Ca又は濃色部11Cb側から透明部13C側に向かって連続的に増加するように、グラデーション部12Ca及びグラデーション部12Cbにおける第1の樹脂層16Cの合計の厚みが、それぞれ濃色部11Ca又は濃色部11Cb側から透明部13C側に向かって連続的に増加している。
図5に、本発明の第5の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を断面図で示す。
図5に示す中間膜1Dは、濃色部11Dと、グラデーション部12Da及びグラデーション部12Dbと、透明部13Daと、透明部13Dbとを備える。中間膜1Dでは、濃色部11Dと、グラデーション部12Daと、透明部13Daとが、この順で中間膜1Dの厚み方向と直交する方向に並んで配置されている。更に、中間膜1Dでは、濃色部11Dと、グラデーション部12Dbと、透明部13Dbとが、この順で中間膜1Dの厚み方向と直交する方向に並んで配置されている。このように、中間膜1Dの濃色部11Dから両端に向かって、濃色部11Dとグラデーション部12Daと透明部13Daとが、中間膜1Dの厚み方向と直交する方向に並んで配置されており、かつ、濃色部11Dとグラデーション部12Dbと透明部13Dbとが、中間膜1Dの厚み方向と直交する方向に並んで配置されている中間膜1Dも、本発明の態様の一つである。
中間膜1DとJIS R3202(1996)に準拠した2枚のクリアガラスを用いて合わせガラス(以下、合わせガラスCDと記載することがある)を作製する。具体的には、2枚のクリアガラスの間に、中間膜1Dを挟み込むことで、上記合わせガラスCDを得る。この場合に、上記合わせガラスCDの濃色部11D部位における平行光透過率が30%以下であり、上記合わせガラスCDのグラデーション部12Da部位及びグラデーション部12Db部位における平行光透過率が、それぞれ濃色部11D側から両端の透明部13Da及び透明部13Db側に向かって連続的に増加しており、上記合わせガラスCDの透明部13Da部位及び透明部13Db部位における平行光透過率が60%以上である。中間膜1Dでは、2つの破線X1がそれぞれ、上記平行光透過率が30%以下であるか否かの境界である。中間膜1Dでは、2つの破線X2がそれぞれ、上記平行光透過率が60%以上であるか否かの境界である。
中間膜1Dは、第1の樹脂層16Dと第2の樹脂層17Dとを有する。濃色部11D、グラデーション部12Da、グラデーション部12Db、透明部13Da及び透明部13Dbはそれぞれ、第1の樹脂層16Dを有する。第1の樹脂層16Dは、ポリビニルアセタール樹脂及び可塑剤を含有する。濃色部11D、グラデーション部12Da及びグラデーション部12Dbはそれぞれ、第2の樹脂層17Dをさらに有する。第2の樹脂層17Dの両側の表面上に第1の樹脂層16Dが位置するように、第2の樹脂層17Dは、第1の樹脂層16D中に埋め込まれている。第2の樹脂層17Dは、ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、無機粒子及び分散剤を含有する。第1の樹脂層16Dよりも、第2の樹脂層17Dの方が、透明性が低い。
中間膜1Dでは、上記合わせガラスCDのグラデーション部12Da部位及びグラデーション部12Db部位における平行光透過率が、それぞれ濃色部11D側から透明部13Da又は透明部13Db側に向かって連続的に増加するように、グラデーション部12Da及びグラデーション部12Dbにおける第2の樹脂層17Dの厚みが、それぞれ濃色部11D側から透明部13Da又は透明部13Db側に向かって連続的に減少している。また、中間膜1Dでは、上記合わせガラスCDのグラデーション部12Da部位及びグラデーション部12Db部位における平行光透過率が、それぞれ濃色部11D側から透明部13Da又は透明部13Db側に向かって連続的に増加するように、グラデーション部12Da及びグラデーション部12Dbにおける第1の樹脂層16Dの合計の厚みが、それぞれ濃色部11D側から透明部13Da又は透明部13Db側に向かって連続的に増加している。
図6に、本発明の第6の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を断面図で示す。
図6に示す中間膜1Eは、厚み方向に図1に示す中間膜1と、第3の樹脂層18とが積層されている。このように、第1の樹脂層及び第2の樹脂層以外の、他の樹脂層を含む中間膜1Eも、本発明の態様の一つである。
中間膜1EとJIS R3202(1996)に準拠した2枚のクリアガラスを用いて合わせガラス(以下、合わせガラスCEと記載することがある)を作製する。具体的には、2枚のクリアガラスの間に、中間膜1Eを挟み込むことで、上記合わせガラスCEを得る。この場合に、上記合わせガラスCEの濃色部11E部位における平行光透過率が30%以下であり、上記合わせガラスCEのグラデーション部12E部位における平行光透過率が濃色部11E側から透明部13E側に向かって連続的に増加しており、上記合わせガラスCEの透明部13E部位における平行光透過率が60%以上である。中間膜1Eでは、破線X1が、上記平行光透過率が30%以下であるか否かの境界である。中間膜1Eでは、破線X2が、上記平行光透過率が60%以上であるか否かの境界である。
中間膜1Eは、第1の樹脂層16と、第2の樹脂層17と、第3の樹脂層18とを有する。濃色部11Eとグラデーション部12Eと透明部13Eとはそれぞれ、第1の樹脂層16及び第3の樹脂層18を有する。第1の樹脂層16は、ポリビニルアセタール樹脂及び可塑剤を含有する。第3の樹脂層18は、熱可塑性樹脂及び可塑剤を含有することが好ましい。濃色部11Eとグラデーション部12Eとはそれぞれ、第2の樹脂層17をさらに有する。第2の樹脂層17は、中間膜1Eの厚み方向の両側の表面に第1の樹脂層16が位置するように、第1の樹脂層16中に埋め込まれている。第2の樹脂層17は、ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、無機粒子及び分散剤を含有する。第1の樹脂層16よりも、第2の樹脂層17の方が、透明性が低い。
中間膜1Eでは、上記合わせガラスCEのグラデーション部12E部位における平行光透過率が、濃色部11E側から透明部13E側に向かって連続的に増加するように、グラデーション部12Eにおける第2の樹脂層17の厚みが、濃色部11E側から透明部13E側に向かって連続的に減少している。また、中間膜1Eでは、上記合わせガラスCEのグラデーション部12E部位における平行光透過率が、濃色部11E側から透明部13E側に向かって連続的に増加するように、グラデーション部12Eにおける第1の樹脂層16の合計の厚みが、濃色部11E側から透明部13E側に向かって連続的に増加している。なお、第3の樹脂層18の厚みは、中間膜1Eの全領域でほぼ一定である。上記第3の樹脂層の厚みは、中間膜の厚み方向と直交する方向で変化していてもよい。
また、中間膜1の両面に上記第3の樹脂層が配置されていてもよい。また、後述する中間膜1X、中間膜1Y及び中間膜1Zなどの中間膜の片面又は両面に、上記第3の樹脂層を配置してもよい。また、中間膜1Eは、第1の樹脂層16、第2の樹脂層17及び第3の樹脂層18以外の、他の樹脂層を積層していてもよい。
図7に、本発明の第7の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を断面図で示す。
図7に示す中間膜1Fは、濃色部11Fと、グラデーション部12Fと、透明部13Fとを備える。中間膜1Fでは、濃色部11Fと、グラデーション部12Fと、透明部13Fとが、この順で中間膜1Fの厚み方向と直交する方向に並んで配置されている。
中間膜1FとJIS R3202(1996)に準拠した2枚のクリアガラスを用いて合わせガラス(以下、合わせガラスCFと記載することがある)を作製する。具体的には、2枚のクリアガラスの間に、中間膜1Fを挟み込むことで、上記合わせガラスCFを得る。この場合に、上記合わせガラスCFの濃色部11F部位における平行光透過率が30%以下であり、上記合わせガラスCFのグラデーション部12F部位における平行光透過率が、濃色部11F側から透明部13F側に向かって連続的に増加しており、上記合わせガラスCFの透明部13F部位における平行光透過率が60%以上である。中間膜1Fでは、破線X1が、上記平行光透過率が30%以下であるか否かの境界である。中間膜1Fでは、破線X2が、上記平行光透過率が60%以上であるか否かの境界である。
中間膜1Fは、第1の樹脂層16Fと第2の樹脂層17Fとを有する。濃色部11F、グラデーション部12F及び透明部13Fはそれぞれ、第1の樹脂層16Fを有する。第1の樹脂層16Fは、ポリビニルアセタール樹脂及び可塑剤を含有する。濃色部11F及びグラデーション部12Fはそれぞれ、第2の樹脂層17Fをさらに有する。第2の樹脂層17Fは、ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、無機粒子及び分散剤を含有する。第1の樹脂層16Fよりも、第2の樹脂層17Fの方が、透明性が低い。第2の樹脂層17Fの第1の表面側に第1の樹脂層16Fが配置されている。第2の樹脂層17Fの上記第1の表面側とは反対の第2の表面側に第1の樹脂層は配置されていない。このため、第2の樹脂層17Fは第1の樹脂層16Fに埋め込まれていない。第1の樹脂層16F及び第2の樹脂層17Fの双方が表面層である。このように、第2の樹脂層17Fの一方の表面側のみに第1の樹脂層16Fが配置されていたり、第2の樹脂層17Fが第1の樹脂層16Fに埋め込まれていなかったりする中間膜1Fも、本発明の態様の一つである。
中間膜1Fでは、上記合わせガラスCFのグラデーション部12F部位における平行光透過率が、濃色部11F側から透明部13F側に向かって連続的に増加するように、グラデーション部12Fにおける第2の樹脂層17Fの厚みが、濃色部11F側から透明部13F側に向かって連続的に減少している。また、中間膜1Fでは、上記合わせガラスCFのグラデーション部12F部位における平行光透過率が、濃色部11F側から透明部13F側に向かって連続的に増加するように、グラデーション部12Fにおける第1の樹脂層16Fの厚みが、濃色部11F側から透明部13F側に向かって連続的に増加している。また、中間膜1Fでは、濃色部11Fにおける第2の樹脂層17Fの厚みが、濃色部11Fの外側の端部側から透明部13F側に向かって減少している。
図8に、本発明の第8の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を断面図で示す。
図8に示す中間膜1Xは、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜1Xは、合わせガラス用中間膜である。中間膜1Xは、濃色部11Xと、グラデーション部12Xと、透明部13Xとを備える。中間膜1Xでは、濃色部11Xと、グラデーション部12Xと、透明部13Xとが、この順で中間膜1Xの厚み方向と直交する方向に並んで配置されている。中間膜1Xと後述する中間膜51X及び中間膜1Yでは、上記第2の樹脂層中に上記第1の樹脂層が埋め込まれている。
中間膜1XとJIS R3202(1996)に準拠した2枚のクリアガラスを用いて合わせガラス(以下、合わせガラスCXと記載することがある)を作製する。具体的には、2枚のクリアガラスの間に、中間膜1Xを挟み込むことで、上記合わせガラスCXを得る。この場合に、上記合わせガラスCXの濃色部11X部位における平行光透過率が30%以下であり、上記合わせガラスCXのグラデーション部12X部位における平行光透過率が、それぞれ濃色部11X側から透明部13X側に向かって連続的に増加しており、上記合わせガラスCXの透明部13X部位における平行光透過率が60%以上である。中間膜1Xでは、破線X1が、上記平行光透過率が30%以下であるか否かの境界である。中間膜1Xでは、破線X2が、上記平行光透過率が60%以上であるか否かの境界である。
中間膜1Xは、第1の樹脂層16Xと第2の樹脂層17Xとを有する。濃色部11X、グラデーション部12X及び透明部13Xはそれぞれ、第2の樹脂層17Xを有する。第2の樹脂層17Xは、ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤及び無機粒子を含有する。グラデーション部12X及び透明部13Xはそれぞれ、第1の樹脂層16Xをさらに有する。第1の樹脂層16Xの両側の表面上に第2の樹脂層17Xが位置するように、第1の樹脂層16Xは、第2の樹脂層17X中に埋め込まれている。第1の樹脂層16Xは、ポリビニルアセタール樹脂及び可塑剤を含有する。第1の樹脂層16Xよりも、第2の樹脂層17Xの方が、透明性が低い。
中間膜1Xでは、上記合わせガラスCXのグラデーション部12X部位における平行光透過率が、濃色部11X側から透明部13X側に向かって連続的に増加するように、グラデーション部12Xにおける第2の樹脂層17Xの合計の厚みが、濃色部11X側から透明部13X側に向かって連続的に減少している。また、中間膜1Xでは、上記合わせガラスCXのグラデーション部12X部位における平行光透過率が、濃色部11X側から透明部13X側に向かって連続的に増加するように、グラデーション部12Xにおける第1の樹脂層16Xの厚みが、濃色部11X側から透明部13X側に向かって連続的に増加している。このような中間膜1Xも、本発明の態様の一つである。
なお、図12に示すように、濃色部11Xと同じ形状の濃色部61Xを有し、グラデーション部12Xと同じ形状のグラデーション部62Xを有し、透明部13Xと同じ形状の透明部63Xを有し、結果として中間膜1Xと同じ形状の中間膜51Xにおいて、上記平行光透過率が30%以下である境界を示す破線X1が、第2の樹脂層67Xの合計の厚みが、濃色部61X側から透明部63X側に向かって連続的に減少している途中に位置してもよい。濃色部61Xとグラデーション部62Xとの境界は、上記平行光透過率が60%以上であるか否かにより判断される。
図9に、本発明の第9の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を断面図で示す。
図9に示す中間膜1Yは、濃色部11Yと、グラデーション部12Yと、透明部13Yとを備える。中間膜1Yでは、濃色部11Yと、グラデーション部12Yと、透明部13Yとが、この順で中間膜1Yの厚み方向と直交する方向に並んで配置されている。
中間膜1YとJIS R3202(1996)に準拠した2枚のクリアガラスを用いて合わせガラス(以下、合わせガラスCYと記載することがある)を作製する。具体的には、2枚のクリアガラスの間に、中間膜1Yを挟み込むことで、上記合わせガラスCYを得る。この場合に、上記合わせガラスCYの濃色部11Y部位における平行光透過率が30%以下であり、上記合わせガラスCYのグラデーション部12Y部位における平行光透過率が、濃色部11Y側から透明部13Y側に向かって連続的に増加しており、上記合わせガラスCYの透明部13Y部位における平行光透過率が60%以上である。中間膜1Yでは、破線X1が、上記平行光透過率が30%以下であるか否かの境界である。中間膜1Yでは、破線X2が、上記平行光透過率が60%以上であるか否かの境界である。
中間膜1Yは、第1の樹脂層16Yと第2の樹脂層17Yとを有する。濃色部11Y、グラデーション部12Y及び透明部13Yはそれぞれ、第2の樹脂層17Yを有する。第2の樹脂層17Yは、ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、無機粒子及び分散剤を含有する。グラデーション部12Y及び透明部13Yはそれぞれ、第1の樹脂層16Yをさらに有する。第1の樹脂層16Yの両側の表面上に第2の樹脂層17Yが位置するように、第1の樹脂層16Yは、第2の樹脂層17Y中に埋め込まれている。第1の樹脂層16Yは、ポリビニルアセタール樹脂及び可塑剤を含有する。第1の樹脂層16Yよりも、第2の樹脂層17Yの方が、透明性が低い。
中間膜1Yでは、上記合わせガラスCYのグラデーション部12Y部位における平行光透過率が、濃色部11Y側から透明部13Y側に向かって連続的に増加するように、グラデーション部12Yにおける第2の樹脂層17Yの合計の厚みが、濃色部11Y側から透明部13Y側に向かって連続的に減少している。また、中間膜1Yでは、上記合わせガラスCYのグラデーション部12Y部位における平行光透過率が、濃色部11Y側から透明部13Y側に向かって連続的に増加するように、グラデーション部12Yにおける第1の樹脂層16Yの厚みが、濃色部11Y側から透明部13Y側に向かって連続的に増加している。また、中間膜1Yでは、透明部13Yにおける第2の樹脂層17Yの合計の厚みが、濃色部11Y側から透明部13Yの外側の端部側に向かって減少している。このように濃色部11Yにおける第2の樹脂層17Yの合計の厚みが、濃色部11Y側から透明部13Yの外側の端部側に向かって変化している中間膜1Yも、本発明の態様の一つである。
なお、図9に示すように、透明部13Y及びグラデーション部12Yの両方における第2の樹脂層17Yの合計の厚みが、濃色部11Y側から透明部13Yの外側の端部側に向かって連続的に減少している場合、上記合わせガラスCYにおける平行光透過率が60%以上である領域を透明部13Yとし、平行光透過率が60%未満である領域をグラデーション部12Yとする。
図10に、本発明の第10の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を断面図で示す。
図10に示す中間膜1Zは、濃色部11Zと、グラデーション部12Zと、透明部13Zとを備える。中間膜1Zでは、濃色部11Zと、グラデーション部12Zと、透明部13Zとが、この順で中間膜1Zの厚み方向と直交する方向に並んで配置されている。
中間膜1ZとJIS R3202(1996)に準拠した2枚のクリアガラスを用いて合わせガラス(以下、合わせガラスCZと記載することがある)を作製する。具体的には、2枚のクリアガラスの間に、中間膜1Zを挟み込むことで、上記合わせガラスCZを得る。この場合に、上記合わせガラスCZの濃色部11Z部位における平行光透過率が30%以下であり、上記合わせガラスCZのグラデーション部12Z部位における平行光透過率が、濃色部11Z側から透明部13Z側に向かって連続的に増加しており、上記合わせガラスCZの透明部13Z部位における平行光透過率が60%以上である。中間膜1Zでは、破線X1が、上記平行光透過率が30%以下であるか否かの境界である。中間膜1Zでは、破線X2が、上記平行光透過率が60%以上であるか否かの境界である。
中間膜1Zは、第1の樹脂層16Zと第2の樹脂層17Zとを有する。濃色部11Z、グラデーション部12Z及び透明部13Zはそれぞれ、第2の樹脂層17Zを有する。第2の樹脂層17Zは、ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、無機粒子及び分散剤を含有する。グラデーション部12Z及び透明部13Zはそれぞれ、第1の樹脂層16Zを有する。第1の樹脂層16Zは、ポリビニルアセタール樹脂及び可塑剤を含有する。第1の樹脂層16Zよりも、第2の樹脂層17Zの方が、透明性が低い。第1の樹脂層16Zの第1の表面側に第2の樹脂層17Zが配置されている。第1の樹脂層16Zの上記第1の表面側とは反対の第2の表面側に第2の樹脂層17Zは配置されていない。このため、第1の樹脂層16Zは第2の樹脂層17Zに埋め込まれていない。第1の樹脂層16Z及び第2の樹脂層17Zの双方が表面層である。このように、第1の樹脂層16Zの一方の表面側のみに第2の樹脂層17Zが配置されていたり、第1の樹脂層16Zが第2の樹脂層17Zに埋め込まれていなかったりする中間膜1Zも、本発明の態様の一つである。
中間膜1Zでは、上記合わせガラスCZのグラデーション部12Z部位における平行光透過率が、濃色部11Z側から透明部13Z側に向かって連続的に増加するように、グラデーション部12Zにおける第2の樹脂層17Zの合計の厚みが、濃色部11Z側から透明部13Z側に向かって連続的に減少している。また、中間膜1Zでは、上記合わせガラスCZのグラデーション部12Z部位における平行光透過率が、濃色部11Z側から透明部13Z側に向かって連続的に増加するように、グラデーション部12Zにおける第1の樹脂層16Zの厚みが、濃色部11Z側から透明部13Z側に向かって連続的に増加している。また、中間膜1Zでは、透明部13Zにおける第2の樹脂層17Zの合計の厚みが、濃色部11Z側から透明部13Zの外側の端部側に向かって減少している。
上記のような中間膜1、中間膜51、中間膜1A、中間膜1B、中間膜1C、中間膜1D、中間膜1E、中間膜F、中間膜1X、中間膜51X、中間膜1Y、中間膜1Zを用いることで、優れたプライバシー保護性を有することに加え、色むらが抑えられたグラデーション模様を有する合わせガラスを得ることができる。中間膜1、中間膜51、中間膜1A、中間膜1B、中間膜1C、中間膜1D、中間膜1E、中間膜F、中間膜1X、中間膜51X、中間膜1Y、中間膜1Zを用いた合わせガラスにおいて、光を透過させるが、背後に位置する人又は物体は視認できない領域を有するようにすることができる。
また、図13に、本発明の第11の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を断面図で示す。
図13に示す中間膜31は、厚み方向に、第1の樹脂層32(第1の表面層)と、第2の樹脂層33(中間層)と、第1の樹脂層34(第2の表面層)とがこの順で積層されている。第2の樹脂層33の第1の表面上に、第1の樹脂層32が配置されている。第2の樹脂層33の第1の表面とは反対の第2の表面上に第1の樹脂層34が配置されている。第1の樹脂層32、第2の樹脂層33、及び第1の樹脂層34の厚みは、均一である。第1の樹脂層32、第2の樹脂層33、及び第1の樹脂層34の厚み方向の断面形状は矩形である。中間膜31では、グラデーション部が存在しない。本実施形態では、第2の樹脂層33が、ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、無機粒子及び分散剤を含有する。第1の樹脂層32及び第1の樹脂層34はそれぞれ、ポリビニルアセタール樹脂及び可塑剤を含有する。中間膜31では、全体が上記濃色部部位である。
上記のような中間膜31を用いることで、優れたプライバシー保護性を有する合わせガラスを得ることができる。中間膜31を用いた合わせガラスにおいて、光を透過させるが、背後に位置する人又は物体は視認できないようにすることができる。
上記合わせガラスの上記透明部部位における平行光透過率の最大値は、好ましくは70%以上、より好ましくは78%以上である。上記透明部部位における平行光透過率の最大値が上記下限以上であると、採光性により一層優れた合わせガラスが得られる。上記合わせガラスの上記濃色部部位における平行光透過率の最小値は好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下、最も好ましくは2%以下である。上記濃色部部位における平行光透過率の最小値が上記上限以下であると、プライバシー保護性により一層優れた合わせガラスが得られる。
上記合わせガラスの上記透明部部位における全光線透過率の最大値は、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上、最も好ましくは85%以上である。上記透明部部位における全光線透過率の最大値が上記下限以上であると、採光性により一層優れた合わせガラスが得られる。上記合わせガラスの上記濃色部部位における全光線透過率の最小値は、好ましくは5%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上、特に好ましくは75%以上である。上記濃色部部位における全光線透過率の最小値が上記下限以上であると、採光性により一層優れた合わせガラスが得られる。また、上記全光線透過率は、平行光透過率と拡散光透過率との合計である。
上記全光線透過率は、JIS R3106(1998)に準拠して測定される。具体的には、分光光度計を用いて、透過した光線をすべて積分球に受光するよう積分球の開口部に、得られた合わせガラスを平行にかつ密着させ、分光透過率を測定する。上記全光線透過率は、この状態で測定された分光透過率から算出された可視光線透過率を意味する。上記分光光度計としては、例えば、日立ハイテク社製「U−4100」等が挙げられる。
上記合わせガラスの上記濃色部部位において、平行光透過率の最小値が20%を超え、30%以下である場合には全光線透過率の最小値が75%以上であることが好ましく、平行光透過率の最小値が5%を超え、20%以下である場合には全光線透過率の最小値が65%以上であることが好ましく、平行光透過率の最小値が5%以下である場合には全光線透過率の最小値が50%以上であることが好ましい。上記合わせガラスの上記濃色部部位において、平行光透過率の最小値が30%以下かつ全光線透過率の最小値が75%以上であることが好ましく、平行光透過率の最小値が20%以下かつ全光線透過率の最小値が65%以上であることが好ましく、平行光透過率の最小値が5%以下かつ全光線透過率の最小値が40%以上であることが好ましい。上記合わせガラスの上記濃色部部位において、平行光透過率の最小値が0.5%以上である場合には全光線透過率の最小値が45%以上であることが好ましい。上記濃色部部位における平行光透過率の最小値と全光線透過率の最小値とが上述した関係を満足すると、合わせガラスにおいて、採光性を高く保ちつつ、プライバシー保護性をより一層高くすることができる。
上記中間膜の厚み(T)(図1〜13参照)の平均値は特に限定されない。実用面の観点からは、上記中間膜の厚み(T)の平均値は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.25mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。上記中間膜の厚み(T)の平均値が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性が高くなる。
上記第2の樹脂層の両側の表面上に第1の樹脂層が配置されている合わせガラス用中間膜(以下、第1の中間膜と記載することがある)に関しては、上記濃色部部位、上記グラデーション部部位及び上記透明部部位の全体において(図1〜6,11参照)、上記第1の樹脂層の合計の厚み(T1+T2)(図1〜6,11,13参照)の最大値及び最小値は特に限定されない。実用面の観点からは、上記濃色部部位、上記グラデーション部部位及び上記透明部部位の全体において(図1〜6,11の場合)、上記第1の樹脂層の合計の厚み(T1+T2)の最小値は、好ましくは、0.08mm以上、より好ましくは、0.12mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。上記濃色部部位、上記グラデーション部部位及び上記透明部部位の全体において、上記第1の樹脂層の合計の厚み(T1+T2)の最大値は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.25mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。上記第1の樹脂層の合計の厚み(T1+T2)の最小値及び最大値が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記第1の樹脂層の合計の厚み(T1+T2)の最小値及び最大値が上記上限以下であると、採光性により一層優れた合わせガラスが得られる。なお、上記濃色部部位及び上記グラデーション部部位では、上記第1の樹脂層の合計の厚み(T1+T2)の最小値及び最大値は、両側の2つの第1の樹脂層の合計の厚みを示す。図1,2,4,5,6,11に示す中間膜1、中間膜1A、中間膜1C、中間膜1D、中間膜1E、及び中間膜51では、上記透明部部位では、上記第1の樹脂層の合計の厚み(T1+T2)の最小値及び最大値は、透明部自体の厚みを示す。上記第1の樹脂層の合計の厚み(T1+T2)の最小値は一般に、濃色部にあるか、又はグラデーション部の濃色部側の端部にある。上記第1の樹脂層の合計の厚み(T1+T2)の最大値は一般に、透明部にあるか、又はグラデーション部の透明部側の端部にある。
なお、上記濃色部部位及び上記グラデーション部部位における上記第2の樹脂層の両側の表面上に位置する2つの第1の樹脂層について、一方の上記第1の樹脂層の厚み(T1)と、他方の上記第1の樹脂層の厚み(T2)とは同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記濃色部及び上記グラデーション部の全体における上記第2の樹脂層の厚み(T3)(図1〜6,11,13参照)の最大値は特に限定されない。上記濃色部及び上記グラデーション部の全体において(図1〜6,11の場合)、上記第2の樹脂層の厚み(T3)の最大値は好ましくは0.001mm以上、好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.3mm以下である。上記第2の樹脂層の厚みの最大値が上記下限以上であると、上記合わせガラスの濃色部部位における平行光透過率がより一層低くなり、プライバシー保護性により一層優れた合わせガラスが得られる。上記第2の樹脂層の厚みの最大値が上記上限以下であると、採光性により一層優れた合わせガラスが得られる。上記第2の樹脂層の厚み(T3)の最大値は一般に、濃色部にあるか、又はグラデーション部の濃色部側の端部にある。
上記濃色部における上記第1の樹脂層の合計の厚み(T1+T2)は、ほぼ一定であることが好ましい。上記濃色部における上記第1の樹脂層の合計の厚み(T1+T2)の最大値の上記濃色部における上記第1の樹脂層の合計の厚み(T1+T2)の最小値に対する比は、1以上、好ましくは5以下、より好ましくは2以下である。
本発明に係る中間膜が第3の樹脂層を備える場合、上記第3の樹脂層の厚み(T7)(図6参照)は特に限定されない。上記第3の樹脂層の厚み(T7)は、好ましくは0.03mm以上、より好ましくは0.05mm以上、好ましくは0.3mm以下、より好ましくは0.15mm以下である。上記第3の樹脂層の厚みが上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性及び遮音性がより一層高くなる。上記第3の樹脂層の厚みが上記上限以下であると、採光性により一層優れた合わせガラスが得られる。なお、上記第3の樹脂層が複数ある場合に、上記第3の樹脂層の厚み(T7)は、上記第3の樹脂層の合計の厚みを示す。
上記第2の樹脂層の片側の表面上のみに第1の樹脂層が配置されており、グラデーション部における第2の樹脂層の厚みが、濃色部側から透明部側に向かって連続的に減少している合わせガラス用中間膜(以下、第2の中間膜と記載することがある)に関しては、上記第1の樹脂層の厚み(T8)(図7参照)の最大値及び最小値は特に限定されない。実用面の観点からは、上記濃色部部位、上記グラデーション部部位及び上記透明部部位の全体において、上記第1の樹脂層の厚み(T8)の最小値は、好ましくは、0.08mm以上、より好ましくは、0.12mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。上記濃色部部位、上記グラデーション部部位及び上記透明部部位の全体において、上記第1の樹脂層の厚み(T8)の最大値は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.25mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。上記第1の樹脂層の厚み(T8)の最小値及び最大値が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記第1の樹脂層の厚み(T8)の最小値及び最大値が上記上限以下であると、採光性により一層優れた合わせガラスが得られる。上記第1の樹脂層の厚み(T8)の最小値は一般に、濃色部にあるか、又はグラデーション部の濃色部側の端部にある。上記第1の樹脂層の厚み(T8)の最大値は一般に、透明部にあるか、又はグラデーション部の透明部側の端部にある。
上記濃色部及び上記グラデーション部の全体における上記第2の樹脂層の厚み(T9)(図7参照)の最大値は特に限定されない。上記濃色部及び上記グラデーション部の全体における上記第2の樹脂層の厚み(T9)の最大値は好ましくは0.001mm以上、好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.3mm以下である。上記第2の樹脂層の厚みの最大値が上記下限以上であると、上記合わせガラスの濃色部部位における平行光透過率がより一層低くなり、プライバシー保護性により一層優れた合わせガラスが得られる。上記第2の樹脂層の厚みの最大値が上記上限以下であると、採光性により一層優れた合わせガラスが得られる。上記第2の樹脂層の厚み(T9)の最大値は一般に、濃色部にあるか、又はグラデーション部の濃色部側の端部にある。
上記濃色部における上記第1の樹脂層の厚み(T8)は、ほぼ一定であることが好ましい。上記濃色部における上記第1の樹脂層の厚み(T8)の最大値の上記濃色部における上記第1の樹脂層の厚み(T8)の最小値に対する比は、1以上、好ましくは5以下、より好ましくは2以下である。
上記第1の樹脂層の両側の表面上に第2の樹脂層が配置されている合わせガラス用中間膜(以下、第3の中間膜と記載することがある)に関しては、上記濃色部部位、上記グラデーション部部位及び上記透明部部位の全体において、上記第2の樹脂層の合計の厚み(T4+T5)(図8,9,12参照)の最大値及び最小値は特に限定されない。実用面の観点からは、上記濃色部部位、上記グラデーション部部位及び上記透明部部位の全体において、上記第2の樹脂層の合計の厚み(T4+T5)の最小値は、好ましくは、0.05mm以上、より好ましくは、0.1mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。上記濃色部部位、上記グラデーション部部位及び上記透明部部位の全体において、上記第2の樹脂層の合計の厚み(T4+T5)の最大値は、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.45mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。上記第2の樹脂層の合計の厚み(T4+T5)の最小値及び最大値が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記第2の樹脂層の合計の厚み(T4+T5)の最小値及び最大値が上記上限以下であると、採光性により一層優れた合わせガラスが得られる。なお、上記透明部部位及び上記グラデーション部部位では、上記第2の樹脂層の合計の厚み(T4+T5)の最小値及び最大値は、両側の2つの第2の樹脂層の合計の厚みを示す。図8,9,12に示す中間膜1X,1Y及び51Xでは、上記濃色部部位では、上記第2の樹脂層の合計の厚み(T4+T5)の最小値及び最大値は、濃色部部位自体の厚みを示す。上記第2の樹脂層の合計の厚み(T4+T5)の最大値は一般に、濃色部にあるか、又はグラデーション部の濃色部側の端部にある。上記第2の樹脂層の合計の厚み(T4+T5)の最小値は一般に、透明部にあるか、又はグラデーション部の透明部側の端部にある。
なお、上記透明部部位及び上記グラデーション部部位における上記第1の樹脂層の両側の表面上に位置する2つの第2の樹脂層について、一方の上記第2の樹脂層の厚み(T4)と、他方の上記第2の樹脂層の厚み(T5)とは同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記透明部及び上記グラデーション部の全体における上記第1の樹脂層の厚み(T6)(図8,9,12参照)の最大値は特に限定されない。上記透明部及び上記グラデーション部の全体における上記第1の樹脂層の厚み(T6)の最大値は好ましくは0.2mm以上、より好ましくは0.4mm以上、好ましくは0.75mm以下、より好ましくは0.58mm以下である。上記第1の樹脂層の厚みの最大値が上記下限以上であると、上記合わせガラスの透明部部位における平行光透過率がより一層高くなり、採光性により一層優れた合わせガラスが得られる。上記第1の樹脂層の厚みの最大値が上記上限以下であると、プライバシー保護性により一層優れた合わせガラスが得られる。上記第1の樹脂層の厚み(T6)の最大値は一般に、透明部にあるか、又はグラデーション部の透明部側の端部にある。
上記透明部における上記第1の樹脂層の厚み(T6)は、ほぼ一定であることが好ましい。上記透明部における上記第1の樹脂層の厚み(T6)の最大値の上記透明部における上記第1の樹脂層の厚み(T6)の最小値に対する比は、1以上、好ましくは5以下、より好ましくは2以下である。
上記第1の樹脂層の片側の表面上のみに第2の樹脂層が配置されており、グラデーション部における第1の樹脂層の厚みが、濃色部側から透明部側に向かって連続的に増加している合わせガラス用中間膜(以下、第4の合わせガラス用中間膜と記載することがある)に関しては、上記濃色部部位、上記グラデーション部部位及び上記透明部部位の全体において、上記第2の樹脂層の厚み(T10)(図10参照)の最大値及び最小値は特に限定されない。実用面の観点からは、上記濃色部部位、上記グラデーション部部位及び上記透明部部位の全体において、上記第2の樹脂層の厚み(T10)の最小値は、好ましくは、0.08mm以上、より好ましくは、0.12mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。上記濃色部部位、上記グラデーション部部位及び上記透明部部位の全体において、上記第2の樹脂層の厚み(T10)の最大値は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.25mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。上記第2の樹脂層の厚み(T10)の最小値及び最大値が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記第2の樹脂層の厚み(T10)の最小値及び最大値が上記上限以下であると、採光性により一層優れた合わせガラスが得られる。上記第2の樹脂層の厚み(T10)の最大値は一般に、濃色部にあるか、又はグラデーション部の濃色部側の端部にある。上記第2の樹脂層の厚み(T10)の最小値は一般に、透明部にあるか、又はグラデーション部の透明部側の端部にある。
上記透明部及び上記グラデーション部の全体における上記第1の樹脂層の厚み(T11)(図10参照)の最大値は特に限定されない。上記透明部及び上記グラデーション部の全体における上記第1の樹脂層の厚み(T11)の最大値は好ましくは0.001mm以上、好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.3mm以下である。上記第1の樹脂層の厚みの最大値が上記下限以上であると、上記合わせガラスの透明部部位における平行光透過率がより一層高くなり、採光性により一層優れた合わせガラスが得られる。上記第1の樹脂層の厚みの最大値が上記上限以下であると、プライバシー保護性により一層優れた合わせガラスが得られる。上記第1の樹脂層の厚み(T11)の最大値は一般に、透明部にあるか、又はグラデーション部の透明部側の端部にある。
上記透明部における上記第1の樹脂層の厚み(T11)は、ほぼ一定であることが好ましい。上記透明部における上記第1の樹脂層の厚み(T11)の最大値の上記透明部における上記第1の樹脂層の厚み(T11)の最小値に対する比は、1以上、好ましくは5以下、より好ましくは2以下である。
なお、上記中間膜及び各層の厚みは、以下のようにして測定される。
鋭利なレザー刃で、上記濃色部と上記グラデーション部と上記透明部との積層方向における上記濃色部と上記グラデーション部と上記透明部との断面(図1〜13に示す断面)が露出するように、上記中間膜を切断する。その後、上記中間膜の露出した断面をデジタルマイクロスコープ(OLYMPUS社製「DSX500」)で観察して、マイクロゲージにより上記中間膜及び各層の厚みを測定する。
上記濃色部の長さ(L1)(図1〜13参照)は、好ましくは25mm以上、より好ましくは100mm以上、更に好ましくは200mm以上、特に好ましくは300mm以上、好ましくは2000mm以下、より好ましくは1500mm以下、更に好ましくは1000mm以下、特に好ましくは700mm以下、最も好ましくは500mm以下である。なお、濃色部が複数ある場合には、上記濃色部の長さ(L1)は、1つの濃色部当たりの長さを示す。
上記グラデーション部の長さ(L2)(図1〜12参照)は、好ましくは10mm以上、好ましくは1500mm以下、より好ましくは1000mm以下、更に好ましくは、500mm以下、最も好ましくは300mm以下である。なお、グラデーション部が複数ある場合には、上記グラデーション部の長さ(L2)は、1つのグラデーション部当たりの長さを示す。
上記透明部の長さ(L3)(図1〜12参照)は特に限定されず、中間膜及び合わせガラスの用途等に応じて適宜調整される。なお、透明部が複数ある場合には、上記透明部の長さ(L3)は、1つの透明部当たりの長さを示す。
上記濃色部、上記グラデーション部及び上記透明部の長さ(L1,L2,L3)は、上記濃色部と上記グラデーション部と上記透明部とが並べられた方向における長さを意味する。
以下、上記第1の樹脂層及び上記第2の樹脂層に用いられる各成分の詳細を説明する。
(ポリビニルアセタール樹脂)
上記領域Rは、ポリビニルアセタール樹脂を含む。上記第1の樹脂層と上記第2の樹脂層とはそれぞれ、ポリビニルアセタール樹脂を含む。上記第3の樹脂層は熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、ポリビニルアセタール樹脂を含むことが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との併用により、合わせガラス部材に対する中間膜の接着力がより一層高くなる。
上記領域R中のポリビニルアセタール樹脂、上記第1の樹脂層中のポリビニルアセタール樹脂、上記第2の樹脂層中のポリビニルアセタール樹脂及び上記第3の樹脂層中の熱可塑性樹脂は特に限定されない。上記熱可塑性樹脂及び上記ポリビニルアセタール樹脂として、従来公知の熱可塑性樹脂及びポリビニルアセタール樹脂を用いることができる。上記熱可塑性樹脂及び上記ポリビニルアセタール樹脂はそれぞれ1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記第1の樹脂層中のポリビニルアセタール樹脂と、上記第2の樹脂層中のポリビニルアセタール樹脂と、上記第3の樹脂層中の熱可塑性樹脂とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。これら以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に80〜99.8モル%の範囲内である。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、好ましくは5000以下、より好ましくは3500以下、更に好ましくは3000以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が上記上限以下であると、中間膜の成形が容易になる。
上記アルデヒドは特に限定されない。上記アルデヒドとして、一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、及びベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド又はn−バレルアルデヒドが好ましく、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドがより好ましく、n−ブチルアルデヒドが更に好ましい。上記アルデヒドの炭素数は3又は4であることが好ましく、4であることがより好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上、更に好ましくは18モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の接着力がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠して又はASTM D1396−92に準拠して、測定することにより求めることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度(アセチル基量)は、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.3モル%以上、更に好ましくは0.5モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。
上記アセチル化度は、主鎖の全エチレン基量から、アセタール基が結合しているエチレン基量と、水酸基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセタール基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して又はASTM D1396−92に準拠して測定できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは63モル%以上、好ましくは85モル%以下、より好ましくは75モル%以下、更に好ましくは70モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
上記アセタール化度は、アセタール基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。
上記アセタール化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法又はASTM D1396−92に準拠した方法により算出され得る。
なお、上記水酸基の含有率(水酸基量)、アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記水酸基の含有率(水酸基量)、アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。
(可塑剤)
上記領域Rは、可塑剤を含む。上記第1の樹脂層と上記第2の樹脂層とはそれぞれ、可塑剤を含む。上記第3の樹脂層は、可塑剤を含むことが好ましい。上記領域R中の可塑剤、上記第1の樹脂層中の可塑剤、上記第2の樹脂層中の可塑剤及び上記第3の樹脂層中の可塑剤は特に限定されない。上記可塑剤として、従来公知の可塑剤を用いることができる。上記可塑剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記第1の樹脂層中の可塑剤と、上記第2の樹脂層中の可塑剤と、上記第3の樹脂層中の可塑剤とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記可塑剤としては、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などの有機リン酸可塑剤等が挙げられる。なかでも、有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
上記一塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、n−ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
上記多塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
上記有機エステル可塑剤としては、特に限定されず、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリエート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。
上記有機リン酸可塑剤としては、特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
上記可塑剤は、下記式(1)で表されるジエステル可塑剤であることが好ましい。
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数5〜10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn−プロピレン基を表し、pは3〜10の整数を表す。上記式(1)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数6〜10の有機基であることが好ましい。
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)又はトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)を含むことが好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートを含むことがより好ましい。
上記可塑剤の含有量は特に限定されない。上記中間膜中の上記ポリビニルアセタール樹脂の全体100質量部に対して、上記中間膜中の上記可塑剤の全体の含有量は、好ましくは25質量部以上、より好ましくは30質量部以上、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下である。
上記領域R中の上記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して、上記領域R中の上記可塑剤の含有量は、好ましくは25質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは35質量部以上、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。上記可塑剤の含有量が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記可塑剤の含有量が上記上限以下であると、中間膜の透明性がより一層高くなる。
上記領域R中の上記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して、上記領域R中の上記可塑剤の含有量は35質量部以上、80質量部以下であることが特に好ましい。この場合には、合わせガラスの色むらをより一層効果的に抑え、合わせガラスの遮音性をより一層効果的に高めることができる。
上記第1の樹脂層中の上記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して、上記第1の樹脂層中の上記可塑剤の含有量は、好ましくは25質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは35質量部以上、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。
上記第2の樹脂層中の上記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して、上記第2の樹脂層中の上記可塑剤の含有量は、好ましくは25質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは35質量部以上、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。上記可塑剤の含有量が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記可塑剤の含有量が上記上限以下であると、中間膜の透明性がより一層高くなる。
上記第3の樹脂層中の上記熱可塑性樹脂100質量部及び上記ポリビニルアセタール樹脂に対して、上記第3の樹脂層中の上記可塑剤の各含有量は、好ましくは40質量部以上、より好ましくは45質量部以上、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下である。上記可塑剤の含有量が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性及び遮音性がより一層高くなる。上記可塑剤の含有量が上記上限以下であると、中間膜の透明性がより一層高くなる。
(無機粒子)
上記領域Rは、無機粒子を含む。上記第2の樹脂層は無機粒子を含む。上記無機粒子は炭酸カルシウム粒子又はシリカ粒子である。上記無機粒子として、炭酸カルシウム粒子を用いてもよく、シリカ粒子を用いてもよく、炭酸カルシウム粒子とシリカ粒子とを用いてもよい。無機粒子の使用により、光が透過した際に、外観むらが抑えられ、外観意匠性により一層優れた合わせガラスが得られる。上記無機粒子は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記無機粒子の平均粒子径は好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは10μm以下である。上記平均粒子径は、体積平均粒子径を示す。上記平均粒子径は、光散乱測定装置を用いて、Arレーザーを光源として動的光散乱法により測定できる。上記光散乱測定装置としては、例えば、大塚電子社製「DLS−6000AL」等が挙げられる。
上記合わせガラスの上記濃色部部位における平行光透過率が30%以下であり、上記合わせガラスの上記グラデーション部部位における平行光透過率が上記濃色部側から上記透明部側に向かって連続的に増加するように、上記無機粒子の含有量は適宜調整されることが好ましい。
上記領域R中の上記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して、上記領域R中の上記無機粒子の含有量は、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは15質量部以上、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記無機粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、適度に着色した中間膜が得られ、上記合わせガラスの上記平行光透過率の値を好適な範囲に容易に制御できる。また、光が透過した際に、外観むらがより一層生じ難く、かつ外観意匠性により一層優れた合わせガラスが得られる。
上記領域R中の上記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して、上記領域R中の上記無機粒子の含有量は5質量部以上、40質量部以下であることが特に好ましい。この場合には、合わせガラスの色むらをより一層効果的に抑え、合わせガラスの遮音性をより一層効果的に高めることができる。
上記第2の樹脂層中の上記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して、上記第2の樹脂層中の上記無機粒子の含有量は、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは15質量部以上、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記無機粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、適度に着色した中間膜が得られ、上記合わせガラスの上記平行光透過率の値を好適な範囲に容易に制御できる。また、光が透過した際に、外観むらがより一層生じ難く、かつ外観意匠性により一層優れた合わせガラスが得られる。
上記第2の樹脂層の全体100質量%中、上記無機粒子の含有量は好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、特に好ましくは3質量%以上、好ましくは25質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。上記無機粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、適度に着色した中間膜が得られ、上記合わせガラスの上記平行光透過率の値を好適な範囲に容易に制御できる。また、光が透過した際に、外観むらがより一層生じ難く、かつ外観意匠性により一層優れた合わせガラスが得られる。
上記第1の中間膜及び上記第2の中間膜に関しては、上記第2の樹脂層の最も厚い部位における無機粒子の面密度は、好ましくは3g/m2以上、より好ましくは15g/m2以上、好ましくは70g/m2以下、より好ましくは25g/m2以下である。上記第1の中間膜及び上記第2の中間膜に関しては、上記第2の樹脂層の最も厚い部位における無機粒子の面密度の測定方法としては、以下に示す方法が挙げられる。
第2の樹脂層の最も厚い部位が得られる試料の中心に位置するように中間膜を厚み方向に切断して、平面形状が長方形である試料を得る。得られる試料において、短辺の長さは1cm、厚さは中間膜の厚さ、長辺の長さは試料の質量が1gとなる長さとする。得られる試料の長手方向は、第2の樹脂層の最も厚い部位と、該第2の樹脂層の最も厚い部位に最も近く位置する透明部部位とを結ぶ方向と直交する方向とする。但し、第2の樹脂層の最も厚い部位が第2の樹脂層の端部又は端部近傍にあることで、第2の樹脂層の最も厚い部位が得られる試料の長手方向の中心に位置するように試料を得ることができない場合には、試料の長手方向の一端を第2の樹脂層の端部に揃えて、試料を得る。第2の樹脂層の最も厚い部位が第2の樹脂層の端部又は端部近傍にあることで、第2の樹脂層の最も厚い部位が得られる試料の短手方向の中心に位置するように試料を得ることができない場合には、試料の短手方向の一端を第2の樹脂層の端部に揃えて、試料を得る。
上記第3の中間膜に関しては、上記第2の樹脂層の合計の厚みが最も厚い部位における無機粒子の面密度は、好ましくは2g/m2以上、より好ましくは4g/m2以上、好ましくは23g/m2以下、より好ましくは9g/m2以下である。上記第3の中間膜に関しては、上記第2の樹脂層の合計の厚みが最も厚い部位における無機粒子の面密度の測定方法としては、以下に示す方法が挙げられる。
第2の樹脂層の合計の厚みが最も厚い部位が得られる試料の中心に位置するように中間膜を厚み方向に切断して、平面形状が長方形である試料を得る。得られる試料において、短辺の長さは1cm、厚さは中間膜の厚さ、長辺の長さは試料の質量が1gとなる長さとする。得られる試料の長手方向は、第2の樹脂層の合計の厚みが最も厚い部位と、該第2の樹脂層の合計の厚みが最も厚い部位に最も近く位置する透明部部位とを結ぶ方向と直交する方向とする。但し、第2の樹脂層の合計の厚みが最も厚い部位が第2の樹脂層の端部又は端部近傍にあることで、第2の樹脂層の合計の厚みが最も厚い部位が得られる試料の長手方向の中心に位置するように試料を得ることができない場合には、試料の長手方向の一端を第2の樹脂層の端部に揃えて、試料を得る。第2の樹脂層の合計の厚みが最も厚い部位が第2の樹脂層の端部又は端部近傍にあることで、第2の樹脂層の合計の厚みが最も厚い部位が得られる試料の短手方向の中心に位置するように試料を得ることができない場合には、試料の短手方向の一端を第2の樹脂層の端部に揃えて、試料を得る。
上記第3の中間膜に関しては、上記第2の樹脂層の合計の厚みが最も薄い部位における無機粒子の面密度は、好ましくは0.5g/m2以上、より好ましくは1.5g/m2以上、好ましくは2.5g/m2以下、より好ましくは2.0g/m2以下である。上記第3の中間膜に関しては、上記第2の樹脂層の合計の厚みが最も薄い部位における無機粒子の面密度の測定方法としては、以下に示す方法が挙げられる。
第2の樹脂層の合計の厚みが最も薄い部位が得られる試料の中心に位置するように中間膜を厚み方向に切断して、平面形状が長方形である試料を得る。得られる試料において、短辺の長さは1cm、厚さは中間膜の厚さ、長辺の長さは試料の質量が1gとなる長さとする。得られる試料の長手方向は、第2の樹脂層の合計の厚みが最も薄い部位と、該第2の樹脂層の合計の厚みが最も薄い部位に最も近く位置する濃色部部位とを結ぶ方向と直交する方向とする。但し、第2の樹脂層の合計の厚みが最も薄い部位が第2の樹脂層の端部又は端部近傍にあることで、第2の樹脂層の合計の厚みが最も薄い部位が得られる試料の長手方向の中心に位置するように試料を得ることができない場合には、試料の長手方向の一端を第2の樹脂層の端部に揃えて、試料を得る。第2の樹脂層の合計の厚みが最も薄い部位が第2の樹脂層の端部又は端部近傍にあることで、第2の樹脂層の合計の厚みが最も厚い部位が得られる試料の短手方向の中心に位置するように試料を得ることができない場合には、試料の短手方向の一端を第2の樹脂層の端部に揃えて、試料を得る。
得られた試料1gに硝酸質量70%水溶液18mLを添加し、マイクロ波試料前処理装置(マイルストーンゼネラル社製「ETHOS One」)を用いて、200℃で30分保持し、加熱分解させた後、25℃条件下で比抵抗18.2MΩcmの超純水を用いて定容し試験液を得る。次に、高周波誘導結合プラズマ発光分析装置(島津製作所社製「ICPE−9000」)により、試験液中の無機粒子を構成する金属元素又は珪素の定量分析を行い、得られた金属元素又は珪素の含有量から、無機粒子の面密度を算出する。
上記第1の樹脂層は、無機粒子を含有しないことが好ましい。但し、上記合わせガラスCの平行光透過率の関係を満足すれば、上記第1の樹脂層は無機粒子を含有していてもよい。上記第1の樹脂層100質量%中の無機粒子の含有量は上記第2の樹脂層100質量%中の無機粒子の含有量よりも少ないことが好ましい。上記第1の樹脂層100質量%中の無機粒子の含有量は好ましくは3質量%未満、より好ましくは2質量%未満、更に好ましくは0.5質量%未満、特に好ましくは0.3質量%未満である。上記第1の樹脂層100質量%中の無機粒子の含有量が少ないほど、中間膜の表面側における無機粒子の存在量が少なくなるため、中間膜と合わせガラス部材とがより一層強固に接着する。
(分散剤)
上記領域Rは、分散剤を含む。上記第2の樹脂層は分散剤を含む。上記分散剤は特に限定されず、例えば、ポリウレタン系分散剤、リン酸エステル系分散剤、カルボン酸系分散剤、アミン系分散剤及びリシノール酸エステル系分散剤等が挙げられる。なかでも、合わせガラスの色むらをより一層効果的に抑え、遮音性がより一層向上することから、リン酸エステル系分散剤、カルボン酸系分散剤又はアミン系分散剤であることが好ましい。上記分散剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
リン酸エステル系分散剤及びカルボン酸系分散剤は、例えば、アニオン性の分散剤である。アミン分散剤は、例えば、カチオン性の分散剤である。
上記ポリウレタン系分散剤としては、特に限定されないが、塩基性ポリウレタン、ポリウレタン−アクリル、ポリウレタン−ポリ尿素、ポリエステル−ポリウレタン、ポリエーテル−ポリウレタン及びシリコーンポリウレタン等が存在する。上記リン酸エステル系分散剤としては、特に限定されないが、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルリン酸エステル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル・モノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル・モノエタノールアミン塩、ポリエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル、アルキルリン酸エステルナトリウム、アルキルリン酸エステルモノエタノールアミン塩であることが好ましい。
上記カルボン酸系分散剤としては、ポリカルボン酸であることが好ましい。上記ポリカルボン酸の重量平均分子量は好ましくは500以上、より好ましくは1000以上、更に好ましくは2000以上、好ましくは1500000以下、より好ましくは1250000以下、更に好ましくは1000000以下である。上記ポリカルボン酸としては特に限定されず、例えば、主鎖骨格にカルボキシル基を有するポリマーにポリオキシアルキレンをグラフトしたポリカルボン酸重合体等が挙げられる。上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
上記ポリカルボン酸の市販品としては、例えば、日油社製のマリアリムシリーズ(AFB−0561、AKM−0531、AFB−1521、AEM−3511、AAB−0851、AWS−0851、AKM−1511−60等)等が挙げられる。
上記アミン系分散剤としては、テトラデシルアミン酢酸塩、ラウリルアミン、オレイルアミン、ジステアリルアミン、ジメチルラウリルアミン等が挙げられる。
上記リシノール酸エステル系分散剤としては、グリセリンリシノール酸モノエステル、ポリグリセリンリシノール酸モノエステル、アセチルリシノール酸エステル等が挙げられる。
合わせガラスの色むらを効果的に抑え、合わせガラスの遮音性を効果的に高める観点から、上記領域R中の上記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して、上記領域R中の上記分散剤の含有量は、0.1質量部以上、7質量部以下である。
上記領域R中の上記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して、上記領域R中の上記分散剤の含有量は、好ましくは0.16質量部以上、好ましくは5質量部以下である。上記分散剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、光が透過した際に、外観むらがより一層生じ難く、かつ遮音性により一層優れた合わせガラスが得られる。
合わせガラスの色むらを効果的に抑え、合わせガラスの遮音性を効果的に高める観点から、上記第2の樹脂層中の上記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して、上記第2の樹脂層中の上記分散剤の含有量は、好ましくは0.16質量部以上、好ましくは5質量部以下である。上記分散剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、光が透過した際に、外観むらがより一層生じ難く、かつ遮音性により一層優れた合わせガラスが得られる。
上記領域R中の上記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対する上記領域R中の上記分散剤の含有量Aの、上記領域R中の上記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対する上記領域R中の上記無機粒子の含有量Bに対する比(含有量A/含有量B)は好ましくは0.01(1質量部/100質量部)以上、より好ましくは0.15(15質量部/100質量部)以上、好ましくは0.4(40質量部/100質量部)以下、より好ましくは0.3(30質量部/100質量部)以下である。上記第2の樹脂層中の上記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対する上記第2の樹脂層中の上記分散剤の含有量Aの、上記第2の樹脂層中の上記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対する上記第2の樹脂層中の上記無機粒子の含有量Bに対する比(含有量A/含有量B)は好ましくは0.01(1質量部/100質量部)以上、より好ましくは0.15(15質量部/100質量部)以上、好ましくは0.4(40質量部/100質量部)以下、より好ましくは0.3(30質量部/100質量部)以下である。上記比(含有量A/含有量B)が上記下限以上及び上記上限以下であると、合わせガラスの色むらをより一層効果的に抑え、合わせガラスの遮音性をより一層効果的に高めることができる。
(他の成分)
上記中間膜、上記領域R、上記第1の樹脂層及び上記第2の樹脂層はそれぞれ、必要に応じて、遮熱粒子、遮光剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、接着力調整剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、耐湿剤、熱線反射剤及び熱線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記遮熱粒子とは、赤外線を吸収可能である粒子を意味する。上記遮熱粒子の具体例としては、アルミニウムドープ酸化錫粒子、インジウムドープ酸化錫粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子(ATO粒子)、ガリウムドープ酸化亜鉛粒子(GZO粒子)、インジウムドープ酸化亜鉛粒子(IZO粒子)、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子(AZO粒子)、ニオブドープ酸化チタン粒子、酸化タングステン粒子、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)、錫ドープ酸化亜鉛粒子及び珪素ドープ酸化亜鉛粒子等の金属酸化物粒子、並びに六ホウ化ランタン(LaB6)粒子等が挙げられる。また、上記遮熱粒子として、アンチモン酸亜鉛、6ホウ化セリウム、金粉、銀粉、白金粉及びアルミニウム粉等を用いてもよい。
上記遮光剤としては、カーボンブラック及び赤色酸化鉄等が挙げられる。
上記着色剤としては、顔料及び染料等が挙げられる。上記着色剤は、顔料であることが好ましい。上記顔料としては、黒色顔料カーボンブラックと、赤色顔料(C.I.Pigment red)と、青色顔料(C.I.Pigment blue)と、黄色顔料(C.I.Pigment yellow)とが混合された暗赤褐色の混合顔料等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、マロン酸エステル化合物、シュウ酸アニリド化合物、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物、ベンゾエート化合物及びヒンダードアミン化合物等が挙げられる。なかでも、ベンゾトリアゾール化合物が好ましい。
上記酸化防止剤としては、t−ブチルヒドロキシトルエン、及びテトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。
上記接着力調整剤としては、有機酸及び無機酸のアルカリ金属塩、有機酸及び無機酸のアルカリ土類金属塩、シランカップリング剤並びに変性シリコーンオイル等が挙げられる。
(合わせガラス用中間膜の他の詳細)
本発明に係る中間膜を得るために、上記無機粒子を上記可塑剤と上記分散剤に分散させた分散液を用いることが好ましい。この分散液を得た後に、分散液を上記ポリビニルアセタール樹脂に添加することで、上記領域Rが形成されていることが好ましい。このようにして中間膜を作製することで、合わせガラスの色むらをより一層効果的に抑え、合わせガラスの遮音性をより一層効果的に高めることができる。
本発明に係る中間膜の製造方法は特に限定されない。上記中間膜の製造方法として、従来公知の方法を採用可能である。上記中間膜の製造方法としては、上述した各成分を混練し、中間膜を成形する製造方法等が挙げられる。連続的な生産に適しているため、押出成形する製造方法が好ましい。なかでも、上記第1の中間膜を製造する場合、上記第2の樹脂層に含有される各成分(第2の樹脂層を形成するための第2の樹脂組成物)を主押出機に、上記第1の樹脂層を形成するための各成分(第1の樹脂層を形成するための第1の樹脂組成物)を副押出機に供給し、主押出機と副押出機との先端に多層用フィードブロックを取り付けて共押出する方法が好ましい。また、上記第2の中間膜を製造する場合、上記第1の樹脂層に含有される各成分(第1の樹脂層を形成するための第1の樹脂組成物)を主押出機に、上記第2の樹脂層を形成するための各成分(第2の樹脂層を形成するための第2の樹脂組成物)を副押出機に供給し、主押出機と副押出機との先端に多層用フィードブロックを取り付けて共押出する方法が好ましい。上記多層用フィードブロックを用いた製造方法によって、中間膜の作製時に起こり得る色すじの発生がより一層抑えられる。
また、上記中間膜を得る際に、無機粒子を必要に応じて分散剤等と共に、可塑剤に分散させた分散液を用意し、該分散液を他の成分(好ましくは熱可塑性樹脂)と混練し、中間膜を成形することが好ましい。このような分散液を用いることで、中間膜中での無機粒子の分散性が良好になり、無機粒子の添加効果が中間膜中でより一層均一に発現する。
上記混練の方法は特に限定されない。この方法として、例えば、押出機、プラストグラフ、ニーダー、バンバリーミキサー又はカレンダーロール等を用いる方法が挙げられる。なかでも、連続的な生産に適しているため、押出機を用いる方法が好適であり、二軸押出機を用いる方法がより好適である。
(合わせガラス)
図14に、図1に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を断面図で示す。
図14に示す合わせガラス21は、第1の合わせガラス部材22と、第2の合わせガラス部材23と、第1の合わせガラス部材22と第2の合わせガラス部材23との間に配置された中間膜1とを備える。中間膜1は、第1の合わせガラス部材22と第2の合わせガラス部材23との間に挟み込まれている。中間膜1の第1の表面(一方の表面)に、第1の合わせガラス部材22が積層されている。中間膜1の第1の表面とは反対の第2の表面(他方の表面)に、第2の合わせガラス部材23が積層されている。
図15に、図13に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を断面図で示す。
図15に示す合わせガラス41は、第1の合わせガラス部材22と、第2の合わせガラス部材23と、第1の合わせガラス部材22と第2の合わせガラス部材23との間に配置された中間膜31とを備える。中間膜31は、第1の合わせガラス部材22と第2の合わせガラス部材23との間に挟み込まれている。中間膜31の第1の表面(一方の表面)に、第1の合わせガラス部材22が積層されている。中間膜31の第1の表面とは反対の第2の表面(他方の表面)に、第2の合わせガラス部材23が積層されている。第1の樹脂層32の外側の表面に、第1の合わせガラス部材22が積層されている。第1の樹脂層34の外側の表面に、第2の合わせガラス部材23が積層されている。
上記第1,第2の合わせガラス部材としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。上記合わせガラスには、2枚のガラス板の間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス及びクリアガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
上記合わせガラス部材の厚みは、特に限定されないが、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、合わせガラス部材がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。合わせガラス部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、好ましくは0.03mm以上、好ましくは0.5mm以下である。
上記合わせガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、上記第1,第2の合わせガラス部材の間に、中間膜を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバッグに入れて減圧吸引したりして、第1,第2の合わせガラス部材と中間膜との間に残留する空気を脱気する。その後、約70〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120〜150℃及び1〜1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラスを得ることができる。
上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。上記中間膜は、建築用又は車両用の中間膜であることが好ましい。上記合わせガラスは、建築用又は車両用の合わせガラスであることが好ましい。
以下、実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
以下の材料を用意した。
ポリビニルアセタール樹脂A(PVB−A):
ポリビニルアルコール(平均重合度1700)をn−ブチルアルデヒドでアセタール化することにより得られたポリビニルブチラールA(アセチル化度1モル%、ブチラール化度69モル%、水酸基の含有率30モル%)
ポリビニルアセタール樹脂B(PVB−B):
ポリビニルアルコール(平均重合度2400)をn−ブチルアルデヒドでアセタール化することにより得られたポリビニルブチラールA(アセチル化度12モル%、ブチラール化度66モル%、水酸基の含有率22モル%)
なお、上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率、アセチル化度及びブチラール化度(アセタール化度)はASTM D1396−92に準拠した方法により測定した。なお、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」により測定した場合も、ASTM D1396−92に準拠した方法と同様の数値を示した。
可塑剤:
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)
無機粒子:
炭酸カルシウム粒子(無機粒子、体積平均粒子径4.0μm)
分散剤:
リン酸エステル系分散剤(第一工業製薬社製「プライサーフ A208B」)
カルボン酸系分散剤(日油社製「マリアリム AAB−0851」)
アミン系分散剤(日油社製「ナイミーンS202」)
(実施例1)
(第1の樹脂層A(第1の表面層)及び第1の樹脂層C(第2の表面層)を形成するための第1の樹脂組成物の作製)
上記ポリビニルアセタール樹脂A100質量部に対して、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(可塑剤、3GO)40質量部を添加し、ミキシングロールで充分に混練し、第1の樹脂組成物を得た。
(第2の樹脂層B(中間層)を形成するための第2の樹脂組成物の作製)
炭酸カルシウム粒子を事前に、リン酸エステル系分散剤(第一工業製薬社製「プライサーフ A208B」)とトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(可塑剤、3GO)に分散させて、分散液を調整した。
上記ポリビニルアセタール樹脂B100質量部に対して、上記分散液を用いて炭酸カルシウム粒子15.2質量部と、リン酸エステル系分散剤0.16質量部、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(可塑剤、3GO)60質量部を添加し、ミキシングロールで充分に混練し、第2の樹脂組成物を得た。
(合わせガラス用中間膜の作製)
主押出機に上記第2の樹脂組成物を供給した。また、副押出機に上記第1の樹脂組成物を供給した。主押出機と副押出機との先端に多層用フィードブロックを取り付けて共押出することにより、第1の樹脂層A(第1の表面層)/第2の樹脂層B(中間層)/第1の樹脂層C(第2の表面層)の積層構造を有する多層中間膜を得た。得られた中間膜の各層の厚みを下記の表1に示した。第1の樹脂層A、第2の樹脂層B、第1の樹脂層Cの厚み方向における断面形状は矩形であった。
なお、中間膜の各層の厚みは、鋭利なレザー刃で、断面が露出するように、上記中間膜を切断した後、上記中間膜の露出した断面をデジタルマイクロスコープ(OLYMPUS社製「DSX500」)で観察して、マイクロゲージにより上記中間膜の各層の厚みを測定した。
(合わせガラスの作製)
JIS R3202(1996)に準拠した2枚のクリアガラス(縦100cm×横30cm×厚み2.5mm)を用意した。得られた上記中間膜を、その両端から2枚のクリアガラスで挟み込み、積層体を得た。この積層体をゴムバッグ内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブン内に移し、更に90℃で30分間保持して真空プレスし、積層体を予備圧着した。オートクレーブ中で135℃及び圧力1.2MPaの条件で、仮圧着された積層体を20分間圧着し、合わせガラスを得た。
(実施例2〜5及び比較例1〜5)
中間膜の作製時に、可塑剤、炭酸カルシウム粒子及び分散剤の含有量を下記の表1に示すように設定したこと、分散剤の種類を下記の表1に示すように設定したこと、並びに得られる中間膜の各層の厚みを下記の表1に示すように設定したこと以外は、実施例1と同様にして、中間膜及び合わせガラスを作製した。
(評価)
(1)平行光透過率(Tv)
JIS R3106(1998)に準拠して、平行光透過率(Tv)を測定した。分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、透過した平行光のみ積分球へ受光するように、光源と積分球との光路上で光軸の法線に平行に、かつ積分球から13cm離れた地点に、得られた合わせガラスを設置した。この状態で分光透過率を測定した。得られた上記分光透過率をから算出した可視光線透過率を、平行光透過率とした。
(2)全光線透過率(TvD)
JIS R3106(1998)に準拠して、全光線透過率(TvD)を測定した。分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、透過した光線をすべて積分球に受光するよう積分球の開口部に、得られた合わせガラスを平行にかつ密着させ、分光透過率を測定した。得られた上記分光透過率から算出した可視光線透過率を、全光線透過率とした。
(3)遮音性:損失係数(Loss factor評価)
得られた合わせガラス用中間膜(損失係数測定用)を2枚の透明なフロートガラス(305mm×30mm×2.0mm)で挟み込み、真空ラミネーターにて120℃下、30分保持しつつ、真空プレスを行い、合わせガラスを作製した。得られた合わせガラスを20℃の環境下にて2週間保管した。20℃の環境下にて2週間保管した合わせガラスについて、測定装置「SA−01」(リオン社製)を用いて、JIS G 0602に準拠して20℃の条件で中央加振法により損失係数を測定した。得られた損失係数の共振周波数の1次モード(100Hz近傍)の損失係数を評価指標とした。なお、損失係数は、一般的に振動減衰効果を表す指標に用いられる数値であり、数値が高いほど振動を減衰する効果が高く、遮音性が高い。
詳細及び結果を下記の表1に示す。
なお、無機粒子として炭酸カルシウム粒子を用いた具体的な実施例を示したが、炭酸カルシウム粒子をシリカ粒子に変更した場合でも、実施例1〜5及び比較例1〜5と同様の評価結果の傾向が見られた。