本発明にかかる自動倉庫が利用される卵の選別包装施設を示す概略平面図である。
図1に示す自動倉庫を示す概略側面図である。
図2の自動倉庫における入庫作業で、第1の外側ラックへのトレイ群の入庫を説明するための模式図である。
図2の自動倉庫における入庫作業で、内側側ラックへのトレイ群の入庫を説明するための模式図である。
図2の自動倉庫における入庫作業で、第2の外側ラックへのトレイ群の入庫を説明するための模式図である。
図2の自動倉庫における出庫作業で、第1の外側ラックからトレイ群の出庫を説明するための模式図である。
図2の自動倉庫における出庫作業で、内側ラックからトレイ群の出庫を説明するための模式図である。
図2の自動倉庫における出庫作業で、第2の外側ラックからトレイ群の出庫を説明するための模式図である。
図2の自動倉庫における出庫作業で、入庫したトレイ群をそのまま出庫する作業を説明するための模式図である。
図2の自動倉庫における転置作業で、第1の外側ラックから第2の外側ラックへのトレイ群の転置を説明するための模式図である。
本発明の変形例にかかる自動倉庫を示す概略側面図である。
本発明の実施の形態に係る自動倉庫について、図面を参照して説明する。自動倉庫は、様々な物流システムに利用されるが、以下では、1つの実施例として、卵の選別包装施設GPで利用される自動倉庫1について説明する。
卵Eは、その流通において、生産農場である鶏舎にて鶏から産み落とされ、消費者の手元に届くまでに、重量、ヒビの有無、汚れの有無、内部異常の有無等の物理的性状により選別(Grading)され、その後、卵パックのような卵収容器Pに包装(Packing)されて出荷される。そのような選別作業及び包装作業は、GP(Grading & Packing)センターと称される卵の選別包装施設GPにおいて行われる。
図1に示すように、自動倉庫1は、そのような選別包装施設GPにて、選別工程と包装工程に介在して設けられ、両工程を分離することにより、選別包装工程を効率化している。すなわち、選別工程と包装工程とを分離することにより、各工程を別々に行うことができ、各工程の稼働時間を調整することにより選別包装施設GPの人員配置を最適化したり、自動倉庫1から出庫した卵Eを出荷することにより、包装工程において選別工程に依存することなく、急な注文、少量多品種の注文等にも臨機応変に対応することができる。自動倉庫1は、選別工程をシステム化した選別システム2と包装工程をシステム化した包装システム3とに接続されて運用される。
選別システム2は、主に重量を基準にして卵Eを選別する卵の選別装置20(以下、単に「選別装置20」という。)を含む。このような選別装置20として、特開2011−173714号公報に記載された卵の自動選別包装装置のような選別装置20がある。選別装置20は、図1に示すように、卵Eを複数列(例えば、6列)で搬送する複列搬送部22と、複列搬送部22に接続され、卵Eを単列で搬送する単列搬送部24と、単列搬送部24に接続され、単列搬送部24から卵Eを受けてトレイTに充填する複数のトレイライン26とを備える。
複列搬送部22は、複数列で卵Eを搬送しながら卵の重量を計量する。本実施の形態において、卵Eは、計量結果に基づいて、LLサイズ、Lサイズ、Mサイズ、MSサイズ、Sサイズ、SSサイズの6等階級に選別される。単列搬送部24は、計量された卵Eを単列でトレイライン26まで搬送する。トレイライン26は、卵の選別条件、すなわち等階級に応じて設けられている。
本実施の形態において、トレイライン26は、卵Eが搬送される上流から、LLサイズに対応した第1のトレイライン26LL、Lサイズに対応した第2のトレイライン26L、Mサイズに対応した第3のトレイライン26M、MSサイズに対応した第4のトレイライン26MS、Sサイズに対応した第5のトレイライン26S、SSサイズに対応した第6のトレイライン26SSとなっている。
したがって、例えば、LLサイズの卵Eは、単列搬送部24を搬送され、第1のトレイライン26LLにてトレイTに充填され、Mサイズの卵Eは、単列搬送部24を搬送され、第3のトレイライン26MにてトレイTに充填され、Sサイズの卵Eは、単列搬送部24を搬送され、第5のトレイライン26SにてトレイTに充填される。また、選別装置20は、上記以外のサイズの卵Eを規格外として集合させる規格外集合部(図示しない)を備えていてもよい。各トレイライン26と選別される卵の対応関係は、適宜、変更して設定できる。すなわち、例えば、SSサイズの卵Eが第1のトレイラインにてトレイTに充填されるように設定してもよい。
本実施の形態において、各トレイライン26では、1枚のトレイTに30個の卵Eが充填される。トレイライン26にて卵Eが充填されるトレイTは、アメリカントレイと称される一般的なトレイでもよいが、自動倉庫1での保管に適した特殊なトレイであってもよい。そのような特殊なトレイとして特開2008−127082号公報に記載の卵の収容容器のようなトレイがある。
選別システム2は、さらに、第1のトレイライン26LLから第4のトレイライン26MSに一対一の関係で接続された段積装置28を備える。各段積み装置28は、トレイライン26から卵Eが充填されたトレイTを受け、トレイTを段積してトレイ群TGを形成する。
本明細書において、段積とは、卵の充填されたトレイTを重ね、トレイ群TGを形成することをいう。このようなトレイ群TGを形成する段積装置として、特開平07−172581号公報に記載の段積み装置のような段積装置がある。トレイ群TGは、一般に、偶数段目と奇数段目のトレイTが相互に水平方向に90°回転した状態で段積される。段積装置は、自動倉庫1に接続されており、形成したトレイ群TGを自動倉庫1に向けて搬送する。
[自動倉庫]
図1及び図2に示すように、自動倉庫1は、第1の外側ラックO1と、第1の外側ラックO1に間隔をおいて並立する第2の外側ラックO2と、第1及び第2の外側ラックO2の間に間隔をおいて並立する内側ラックIと、第1の外側ラックO1と内側ラックIとの間に配置された第1のスタッカークレーンC1と、第2の外側ラックO2と内側ラックIとの間に配置された第2のスタッカークレーンC2とを備える。
第1及び第2の外側ラックO1,O2並びに内側ラックIは、左右方向(図1のY方向)及び上下方向(図2のZ方向)に延びて壁状に造立され、奥行き方向(図1及び図2のX方向)に間隔をおいて並立している。各ラックO1,O2,Iは、左右方向及び上下方向に並ぶ複数の物品保管棚Hを備える。本実施の形態において、上下方向に5段、左右方向に9つの物品保管棚Hが示されているが、実際の自動倉庫では、さらに多数の物品保管棚が設けられている。
第1のスタッカークレーンC1は、第1の外側ラックO1と内側ラックIとの間をラックの延在方向、すなわち、左右方向及び上下方向に移動可能とされ、両ラックO1,Iの各物品保管棚Hに対してトレイ群TGを搬入又は搬出可能とされている。同様に、第2のスタッカークレーンC2は、第2の外側ラックO2と内側ラックIの間をラックの延在方向に移動可能とされ、両ラックO2,Iの物品保管棚Hに対してトレイ群TGを搬入又は搬出可能とされている。第1及び第2のスタッカークレーンC1,C2は内側ラックIの物品保管棚Hに対して物品を搬入又は搬出する際に、相互に干渉しないよう構成されている。そのようなスタッカークレーンとして、特開平8−192903に記載のラックとスタッカークレーンとがある。
各スタッカークレーンC1,C2は、左右方向に延びるレール12が設けられ(図1参照)、レール12を走行することで左右方向に移動可能とされている。また、上下方向に延びるマスト14が設けられ(図2参照)、マスト14に配設された昇降キャリッジにより、上下方向に移動可能とされている。スタッカークレーンC1,C2の移動は、適宜制御され、スタッカークレーンC1,C2は、左右方向及び上下方向に自在に移動できる。
選別システム2側のラック、すなわち第1の外側ラックO1は、少なくとも1つの物品保管棚Hを入庫ステーションInとされている。また、包装システム3側のラック、すなわち第2の外側ラックO2は、少なくとも1つの物品保管棚Hを出庫ステーションExとされている。入庫ステーションInとされた物品保管棚Hは、選別システム2のトレイライン26から送られるトレイ群TGを受け入れ、第1のスタッカークレーンC1がトレイ群TGを取り込める位置まで搬送する入庫搬送装置16を備える。出庫ステーションExとされた物品保管棚Hは、第2のスタッカークレーンC2が搬入したトレイ群TGを包装システム3に搬送する出庫搬送装置18を備える。
一部の物品保管棚を入庫ステーション又は出庫ステーションとした自動倉庫として、例えば、特開2005−330105号公報に記載の自動倉庫がある。入庫ステーション、出庫ステーションは、自動倉庫の設計に応じて、物品保管棚に選択的に設けることができる。
本実施の形態において、選別装置20の第1〜第4のトレイライン26LL〜26MSに対応して、第1〜第4の入庫ステーションIn1〜In4が第1の外側ラックO1に設けられている。また、後述する3つの包装ライン36に対応して、第1〜第3の出庫ステーションEx1〜Ex3が第2の外側ラックO2に設けられている。いずれの出庫ステーションExにいずれの等階級のトレイ群TGを出庫するかは、適宜変更できる。
各入庫ステーションInは、入庫搬送装置16を介して選別システム2の段積装置28に接続されており、段積装置28からトレイ群TGを受ける。各出庫ステーションExは、第2のスタッカークレーンC2により搬入されたトレイ群TGを受ける。各出庫ステーションExは、後述する包装システム3に出庫搬送装置18を介して接続されており、各出庫ステーションExに受けられたトレイ群TGは、出庫搬送装置18により包装システム3に搬送される。
入庫ステーションIn及び出庫ステーションExの位置、すなわち入庫ステーションIn及び出庫ステーションExとされる物品保管棚Hの位置は、選別包装施設又は自動倉庫の設計に応じて適宜変更される。また、入庫ステーションIn及び出庫ステーションExを物品保管棚Hと異なる位置、例えばラックの側部に設けることもできる。そのような自動倉庫1として、特開2000−302210号公報に記載の自動倉庫がある。
第1の外側ラックO1の物品保管棚Hにおいて、入庫ステーションIn以外の物品保管棚Hは、壁により外部から隔離され、搬送装置にも接続されていないため、選別システム2側から物品を入庫することはできない。同様に、第2の外側ラックO2において、出庫ステーションEx以外の物品保管棚Hは、壁により外部から隔離され、搬送装置にも接続されていないため、包装システム3側から物品を出庫することはできない。
内側ラックIは、上下方向及び左右方向に並ぶ物品保管棚Hを備える。各物品保管棚Hは、奥行き方向に貫通しており、双方向から物品を搬入又は搬出できる。したがって、第1のスタッカークレーンC1と第2のスタッカークレーンC2のいずれも、内側ラックIの各物品保管棚Hに対してトレイ群TGを搬入又は搬出できる。
自動倉庫1は、物品保管棚Hへの搬入、搬出に関するスタッカークレーンC1,C2の移動を制御し、また保管するトレイ群TGの数量、物品保管棚Hの位置に関する情報等を管理する制御部(図示しない)を備える。制御部は、従来よく知られる、演算処理機能、情報記憶機能等を備える制御コンピュータである。
[包装システム]
自動倉庫1に接続される包装システム3は、出庫搬送装置18に接続された包装ライン36と、複数の段バラシ装置32と各段バラシ装置32に対応して設けられた包装装置34とを備える。各段バラシ装置32は、包装ライン36を介して出庫ステーションExから出庫されたトレイ群TGを受け、トレイ群TGをトレイTに分離する。分離されたトレイTは、包装装置34に搬送される。このような段バラシ装置32として、特表2001−516686号公報に記載された山の持ち上げ装置のような段バラシ装置32がある。本実施の形態において、段ばらしとは、段積みされたトレイ群からトレイを一枚ずつ分離することをいう。本実施の形態において、自動倉庫1は第1〜第3の出庫ステーションEx1〜Ex3を備え、これに対応して、第1〜第3の段バラシ装置32が設けられている。
包装装置34は、段バラシ装置32に一対一の関係で接続され、段バラシ装置32により段バラシされたトレイTを受け、トレイTに充填されている卵Eを、卵収容器Pに移載し、卵の移載された卵収容器Pを封緘することにより、卵Eを包装する。包装された卵Eは、段ボール箱のような集成容器に詰められて、市場に出荷される。
本実施の形態において、第1及び第2の外側ラックO1,O2、並びに内側ラックIの3つのラックを備える自動倉庫1について説明したが、自動倉庫1は、奥行き方向に間隔をおいて並立するように壁状に形成され、複数の物品保管棚Hを備える少なくとも3つのラックを備えていればよい。従って、第1及び第2の外側ラック、並びに複数の内側ラックを備えていてもよい。
そのような自動倉庫1は、各ラックの間に配置され、各ラックの間を移動し、物品保管棚に物品を搬入し又は搬出させるスタッカークレーンを備え、内側に位置するラックの物品保管棚は、両側に配置されたスタッカークレーンのいずれからも物品を搬入又は搬出可能とされる。
これら自動倉庫では、ラックを奥行き方向に並列させて増設することで、各ラックを上下左右の平面的に拡張しなくとも、自動倉庫の収容容量を増加させることができる、また、各ラックを拡張させないので、自動倉庫の容量が増加してもスタッカークレーンの処理能力が低下しない。さらに、内側に位置するラックは両側にスタッカークレーンが配置されているため、物品保管棚への搬入又は搬出の作業が効率化される。
さらに、内側ラックの両側からスタッカークレーンが物品を搬入又は搬出することができるため、各ラックのいずれにも所望の物品を搬入又は搬出することができる。これにより、自動倉庫の運用効率が高まる。
本実施の形態にかかる自動倉庫1では、第1の外側ラックO1の複数の物品保管棚Hが物品を入庫する入庫ステーションInとされている。これにより、第1のスタッカークレーンC1は両側のラックO1,Iの物品保管棚Hに対して物品を搬入又は搬出する機能をもって、入庫ステーションInから物品を取り出すことができる。
また、本実施の形態にかかる自動倉庫1では、第2の外側ラックO2の物品保管棚Hの少なくとも1つが物品を出庫する出庫ステーションExとされている。これにより、第2のスタッカークレーンC2は両側のラックO2,Iの物品保管棚Hに対して物品を搬入する機能をもって、出庫ステーションExに物品を移動させることができる。
さらに、本実施の形態にかかる自動倉庫1では、第2の外側ラックO2の複数の物品保管棚Hが物品を出庫する複数の出庫ステーションExとされている。これにより、出庫作業に応じて入庫作業の物品の入庫順序、入庫位置を選択できるため、効率のよい出庫作業が可能となる。
[自動倉庫の動作方法]
次に、上述した自動倉庫1の動作方法について説明する。自動倉庫1の運用において、選別システム2によって物理的性状で等階級に選別された卵EがトレイTに充填され、そのトレイTを段積みされたトレイ群TGが自動倉庫1に入庫される。トレイ群TGは自動倉庫1の物品保管棚Hにて保管された後、出庫指示に応じて所望の等階級の卵Eを有するトレイ群TGが自動倉庫1から包装システム3に向けて出庫される。出庫されたトレイ群TGは、トレイTに分離され、トレイTに充填された卵Eが卵収容器Pに包装される。
自動倉庫1の動作方法について説明するための図3〜図10は、自動倉庫1を側面からみた模式図であり、矢印はトレイ群TGの移動の経路を示す。図3〜図10では、第1の外側ラックに符号O1、内側ラックに符号I、第2の外側ラックに符号O2が振られ、各ラックO1,I,O2が上下方向に5階層に分離され、下から符号a〜eが振られ、各階層において9個の物品保管棚を備え、左右方向の左側から符号1〜9が振られている。
したがって、これら符号により物品保管棚の位置が特定される。例えば、第1の外側ラックO1の下から2段目、左から3つ目の物品保管棚は、物品保管棚O1−b−3となる。また、本明細書において、「対応する位置」とは、上下左右の平面上の座標が同じことを意味し、例えば、物品保管棚O1−b−3、物品保管棚I−b−3、物品保管棚O2−b―3は各ラックO1,I,O2の「対応する位置」にある物品保管棚となる。
本実施の形態において、第1の外側ラックO1では、物品保管棚O1−a−4を第1の入庫ステーションIn1、物品保管棚O1−a−5を第2の入庫ステーションIn2、物品保管棚O1−a−6を第3の入庫ステーションIn3、物品保管棚O1−a−7を第4の入庫ステーションIn4とされている。また、第2の外側ラックO2では、物品保管棚O2−a−1を第1の出庫ステーションEx1、物品保管棚O2−a−4を第2の出庫ステーションEx2、物品保管棚O2−a−7を第3の出庫ステーションEx3として形成されている。なお、以下の説明において、例えば、LLサイズのトレイ群TGとは、LLサイズの卵Eが充填されたトレイTを段積みされたトレイ群TGを意味する。
まず、入庫作業、すなわち、トレイ群TGが、トレイライン26から、対応する入庫ステーションInに搬送され、所定の物品保管棚に搬入されるまでの工程について説明する。入庫作業では、入庫したトレイ群TGを第1の外側ラックO1に保管する場合、内側ラックIに保管する場合、第2の外側ラックO2に保管する場合がある。
先ず、LLサイズのトレイ群TGが第1の入庫ステーションO1−a−4を介して物品保管棚O1−e−5に収容される場合、すなわち第1の外側ラックO1に保管される場合について図3を参照して説明する。この場合、第1のスタッカークレーンC1が入庫動作を行う。したがって、第2のスタッカークレーンC2の動作については言及しない。
LLサイズの卵Eは、選別装置20により選別されて、第1のトレイライン26LLにてトレイTに充填される。LLサイズの卵Eを充填されたトレイTは、段積装置により、例えば8段に段積されてLLサイズのトレイ群TGを形成する。トレイ群TGは、第1の入庫ステーションO1−a−4に搬送される(LL−I1)。
自動倉庫1では、第1のスタッカークレーンC1が、第1の入庫ステーションO1−a−4に対応する位置まで移動し、第1の入庫ステーションO1−a−4に搬送されたトレイ群TGを第1の入庫ステーションO1−a−4から搬出する(LL−I2)。トレイ群TGを所持した第1のスタッカークレーンC1は、物品保管棚O1−e−5に対応する位置まで移動し(LL−I3)、物品保管棚O1−e−5にトレイ群TGを搬入する(LL−I4)。これにより、第1の外側ラックO1にトレイ群TGが保管される。
次に、Lサイズのトレイ群TGが第2の入庫ステーションO1−a−5を介して物品保管棚I−d−3に収容される場合、すなわち内側ラックIに保管される場合について図4を参照して説明する。この場合、第1のスタッカークレーンC1が入庫動作を行う。したがって、第2のスタッカークレーンC2の動作については言及しない。
Lサイズの卵Eは、選別装置20により選別されて、第2のトレイライン26LにてトレイTに充填される。Lサイズの卵Eを充填されたトレイTは、段積装置28により、例えば、8段に段積されてトレイ群TGを形成する。トレイ群TGは、自動倉庫1の第2の入庫ステーションO1−a−5に搬送される(L−I1)。
自動倉庫1では、第1のスタッカークレーンC1が、第2の入庫ステーションO1−a−5に対応する位置まで移動し、第2の入庫ステーションO1−a−5に搬送されたトレイ群TGを第2の入庫ステーションO1−a−5から搬出する(L−I2)。トレイ群TGを所持した第1のスタッカークレーンC1は、物品保管棚I−d−3に対応する位置まで移動し(L−I3)、物品保管棚I−d−3にトレイ群TGを搬入する(L−I4)。
これにより、内側ラックIにトレイ群TGが保管される。
次に、Mサイズのトレイ群TGが第3の入庫ステーションO1−a−6を介して物品保管棚O2−e−7に収容される場合、すなわち第2の外側ラックO2に保管される場合について図5を参照して説明する。この場合、第1のスタッカークレーンC1と第2のスタッカークレーンC2は、共同して入庫動作を行い、トレイ群TGを所持した状態の両スタッカークレーンC1,C2の移動の有無によって、例えば、第1〜第3の入庫方法のいずれかにより入庫動作を行うことができる。
各入庫方法において、Mサイズの卵Eは、選別装置20により選別されて、第3のトレイライン26MにてトレイTに充填される。Mサイズの卵Eを充填されたトレイTは、段積装置28により、例えば8段に段積されてトレイ群TGを形成する。トレイ群TGは、自動倉庫1の第3の入庫ステーションO1−a−6に搬送される(M−I1)。
第1の入庫方法では、第1のスタッカークレーンC1が、第3の入庫ステーションO1−a−6に対応する位置まで移動し、第3の入庫ステーションO1−a−6に搬送されたトレイ群TGを搬出する(M−I2−1)。トレイ群TGを所持した第1のスタッカークレーンC1は、物品保管棚I−e−7に対応する位置まで移動し(M−I3−1)、物品保管棚I−e−7にトレイ群TGを搬入する(M−I4−1)。
次いで、第2のスタッカークレーンC2が、物品保管棚I−e−7に対応する位置まで移動し、物品保管棚I−e−7からトレイ群TGを搬出する(M−I5−1)。物品保管棚I−e−7は物品保管棚O2−e−7に対応する位置にあるため、第2のスタッカークレーンC2は、移動することなく物品保管棚O2−e−7にトレイ群TGを搬入する(M−I6−1)。したがって、この場合、トレイ群TGを所持した第1のスタッカークレーンC1は移動してトレイ群TGを物品保管棚I−e−7に搬入し、トレイ群TGを所持した第2のスタッカークレーンC2は移動することなくトレイ群TGを物品保管棚O2−e−7に搬入する。これにより、第2の外側ラックO2にトレイ群TGが保管される。
第2の入庫方法では、第1の入庫方法と同様に、第1のスタッカークレーンC1が、第3の入庫ステーションO1−a−6に対応する位置まで移動し、第3の入庫ステーションO1−a−6に搬送されたトレイ群TGを搬出する(M−I2−2)。トレイ群TGを所持した第1のスタッカークレーンC1は、移動することなく、第3の入庫ステーションO1−a−6に対応する位置にある物品保管棚I−a−6にトレイ群TGを搬入する(M−I3−2)。
次いで、第2のスタッカークレーンC2が、物品保管棚I−a−6に対応する位置まで移動し、物品保管棚I−a−6からトレイ群TGを搬出する(M−I4−2)。トレイ群TGを所持した第2のスタッカークレーンC2は、物品保管棚O2−e−7に対応する位置に移動し(M−I5−2)、物品保管棚O2−e−7にトレイ群TGを搬入する(M−I6−2)。したがって、この場合、第1のスタッカークレーンC1は移動することなくトレイ群TGを物品保管棚I−a−6に搬入し、第2のスタッカークレーンC2は移動してトレイ群TGを物品保管棚O2−e−7に搬入する。これにより、第2の外側ラックO2にトレイ群TGが保管される。
第3の入庫方法では、第1及び第2の入庫方法と同様に、第1のスタッカークレーンC1が、第3の入庫ステーションO1−a−6に対応する位置まで移動し、第3の入庫ステーションO1−a−6に搬送されたトレイ群TGを搬出する(M−I2−3)。トレイ群TGを所持した第1のスタッカークレーンC1は、物品保管棚I−c−6に対応する位置に移動し(M−I3−3)、物品保管棚I−c−6にトレイ群TGを搬入する(M−I4−3)。
次いで、第2のスタッカークレーンC2が、物品保管棚I−c−6に対応する位置まで移動し、物品保管棚I−c−6からトレイ群TGを搬出する(M−I5−3)。トレイ群TGを所持した第2のスタッカークレーンC2は、物品保管棚C−d−5に対応する位置に移動し(M−I6−3)、物品保管棚O2−e−7にトレイ群TGを搬入する(M−I6−3)。したがって、この場合、第1のスタッカークレーンC1と第2のスタッカークレーンC2は共に移動し、トレイ群TGを物品保管棚O2−e−7に搬入する。これにより、第2の外側ラックO2にトレイ群TGが保管される。
第1の入庫方法では、第2のスタッカークレーンC2の負荷が小さいため、後述する出庫作業と並行して入庫作業を行う際に、入出庫作業を効率化できる。また、第2の入庫方法では、第1のスタッカークレーンC1の負荷が小さいため、入庫量が大きい際に入庫作業を効率化できる。さらに、第3の入庫方法では、入庫ステーション又は出庫ステーションに対応する位置にある物品保管棚に、すでに物品が保管されている際に、その物品保管棚を回避して入庫作業が可能になる。
次に、出庫作業、すなわち、自動倉庫1の物品保管棚Hに保管されたトレイ群TGが、物品保管棚Hから搬出されるまでの工程について説明する。出庫作業では、第1の外側ラックO1に保管されたトレイ群TGを出庫する場合、内側ラックIに保管されたトレイ群TGを出庫する場合、第2の外側ラックO2に保管されたトレイ群TGを出庫する場合がある。
まず、物品保管棚O1−e−5に保管されているLLサイズのトレイ群TGが第1の出庫ステーションO2−a−1に出庫される場合、すなわち第1の外側ラックO1に保管されたトレイ群TGが出庫される場合について図6を参照して説明する。この場合、第1のスタッカークレーンC1と第2のスタッカークレーンC2は、共同して出庫作業を行い、トレイ群TGを所持した状態の両スタッカークレーンC1,C2の移動の有無によって、例えば、第1〜第3の出庫方法のいずれかにより出庫作業を行うことができる。
第1の出庫方法では、第1のスタッカークレーンC1が物品保管棚O1−e−5に対応する位置に移動し、物品保管棚O1−e−5に保管されたトレイ群TGを搬出する(LL−E1−1)。トレイ群TGを所持した状態の第1のスタッカークレーンC1は、移動することなく、物品保管棚O1−e−5に対面する物品保管棚I−e−5にトレイ群TGを搬入する(LL−E2−1)。
次いで、第2のスタッカークレーンC2が物品保管棚I−e−5に対応する位置に移動し、トレイ群TGを搬出する(LL−E3−1)。トレイ群TGを所持した状態の第2のスタッカークレーンC2は、第1の出庫ステーションO2−a−1に対応する位置まで移動し(LL−E4−1)、出庫ステーションO2−a−1にトレイ群TGを搬入する(LL−E5−1)。このとき、トレイ群TGを所持した状態の第1のスタッカークレーンC1は移動することなくトレイ群TGを物品保管棚I−e−5に搬入し、トレイ群TGを所持した状態の第2のスタッカークレーンC2は移動してトレイ群TGを出庫ステーションO2−a−1に搬入する。これにより、第1の外側ラックO1からトレイ群TGが出庫される。
第2の出庫方法では、第1の出庫方法と同様に、第1のスタッカークレーンC1が物品保管棚O1−e−5に対応する位置に移動し、物品保管棚O1−e−5に保管されたトレイ群TGを搬出する(LL−E1−2)。トレイ群TGを所持した状態の第1のスタッカークレーンC1は、物品保管棚I−a−1に対応する位置に移動し(LL−E2−2)、物品保管棚I−a−1にトレイ群TGを搬入する(LL−E3−2)。
第2のスタッカークレーンC2が物品保管棚I−a−1に対応する位置に移動し、トレイ群TGを搬出する(LL−E4−2)。トレイ群TGを所持した状態の第2のスタッカークレーンC2は、第1の出庫ステーションO2−a−1に対応する位置にあるため、移動することなく第1の出庫ステーションO2−a−1にトレイ群TGを搬入する(LL−E5−2)。このとき、トレイ群TGを所持した状態の第1のスタッカークレーンC1は移動してトレイ群TGを物品保管棚I−a−1に搬入し、トレイ群TGを所持した状態の第2のスタッカークレーンC2は移動することなく、トレイ群TGを出庫ステーションO2−a−1に搬入する。これにより、第1の外側ラックO1からトレイ群TGが出庫される。
第3の出庫方法では、第1及び第2の出庫方法と同様に、第1のスタッカークレーンC1が物品保管棚O1−e−5に対応する位置に移動し、物品保管棚O1−e−5に保管されたトレイ群TGを搬出する(LL−E1−3)。トレイ群TGを所持した状態の第1のスタッカークレーンC1は、物品保管棚I−c−3に対応する位置に移動し(LL−E2−3)、物品保管棚I−c−3にトレイ群TGを搬入する(LL−E3−3)。
第2のスタッカークレーンC2が物品保管棚I−c−3に対応する位置に移動し、トレイ群TGを搬出する(LL−E4−3)。トレイ群TGを所持した状態の第2のスタッカークレーンC2は、第1の出庫ステーションO2−a−1に対応する位置に移動し(LL−E5−3)、第1の出庫ステーションにトレイ群TGを搬入する(LL−E6−3)。これにより、第1の外側ラックO1からトレイ群TGが出庫される。第1〜第3の出庫方法では、トレイ群TGを所持した第1及び第2のスタッカークレーンC1,C2は、共に移動してトレイ群TGを物品保管棚Hに搬入する。これにより、第1の外側ラックO1からトレイ群TGが出庫される。
次に、物品保管棚I−d−3に保管されているLサイズのトレイ群TGが第2の出庫ステーションO2−a−4に出庫される場合について図7を参照して説明する。この場合、第2のスタッカークレーンC2が稼働して出庫動作をする。したがって、第1のスタッカークレーンC1の動作については言及しない。
第2のスタッカークレーンC2が物品保管棚I−d−3に対応する位置に移動し、トレイ群TGを搬出する(L−E1)。トレイ群TGを所持した状態の第2のスタッカークレーンC2は、出庫ステーションO2−a−4に対応する位置まで移動し(L−E2)、出庫ステーションO2−a−4にトレイ群TGを搬入する(L−E3)。これにより、内側ラックIからトレイ群TGが出庫される。
次に、物品保管棚O2−e−7に保管されているMサイズのトレイ群TGを第3の出庫ステーションO2−a−7に出庫する場合について図8を参照して説明する。この場合、第1のスタッカークレーンC2が稼働して出庫動作をする。したがって、第1のスタッカークレーンC1の動作については言及しない。
第2のスタッカークレーンC2が物品保管棚O2−e−7に対応する位置に移動し、トレイ群TGを搬出する(M−E1)。トレイ群TGを所持した状態の第2のスタッカークレーンC2は、第3の出庫ステーションO2−a−7に対応する位置まで移動し(M−E2)、第3の出庫ステーションO2−a−7にトレイ群TGを搬入する(M−E3)。これにより、第2の外側ラックO2からトレイ群TGが出庫される。
出庫ステーションに搬入されたトレイ群TGは、段バラシ装置32に搬送され、トレイTごとに段ばらしされ、各トレイTは包装装置34に搬送され、トレイTに充填された卵Eは、包装装置34により卵パックPに包装されて、出荷される。
上記では、入庫作業と出庫作業を別々に説明したが、入庫作業と出庫作業とが同時に行われてもよい。その際は、第1及び第2のスタッカークレーンC1,C2が適宜制御される。ただし、第1のスタッカークレーンC1が入庫動作のみを行い、第2のスタッカークレーンC2が出庫動作のみを行うようにすれば、第1のスタッカークレーンC1と第2のスタッカークレーンC2とを共同して動作させる必要がなく、入庫作業と出庫作業を独立して行える。
次に、入庫されたトレイ群TGを、そのまま出庫する作業について図9を参照して説明する。この場合、第4の入庫ステーションO1−a−7に入庫されたMSサイズのトレイ群TGを第3の出庫ステーションO2−a−7に出庫する場合について説明する。第4の入庫ステーションO1−a−7と第3の出庫ステーションO2−a−7は対応する位置にあり、第1のスタッカークレーンC1と第2のスタッカークレーンC2は、共同して稼働する。
MSサイズの卵Eは、選別装置20により選別されて、第4のトレイライン26MSにてトレイTに充填される。MSサイズの卵Eを充填されたトレイTは、段積装置28により、例えば、8段に段積されてトレイ群TGを形成する。トレイ群TGは、自動倉庫1の第4の入庫ステーションO1−a−7に搬送される(MS−IE1)。
第1のスタッカークレーンC1が第4の入庫ステーションO1−a−7に対応する位置に移動し、物品保管棚O1−a−7からトレイ群TGを搬出する(MS−IE2)。トレイ群TGを所持した状態の第1のスタッカークレーンC1は、移動することなく、物品保管棚I−a−7にMSサイズのトレイ群TGを搬入する(MS−IE3)。
次いで、第2のスタッカークレーンC2が物品保管棚I−a−7に対応する位置に移動し、物品保管棚I−a−7からトレイ群TGを搬出する(MS−IE4)。トレイ群TGを所持した状態の第2のスタッカークレーンC2は、移動することなく、第3の出庫ステーションO2−a−7にトレイ群TGを搬入する(MS−IE5)。これにより、これにより、第1の外側ラックO1からトレイ群TGが出庫される。このとき、トレイ群TGを所持した第1及び第2のスタッカークレーンC1,C2は、共に移動することなくトレイ群TGを物品保管棚I−a−7に搬入する。
出庫ステーションに搬入されたトレイ群TGは、段バラシ装置32に搬送され、トレイTごとに段ばらしされ、各トレイTは包装装置34に搬送され、トレイTに充填された卵Eは、包装装置34により卵パックPに包装されて、出荷される。
次に、自動倉庫1内部でトレイ群TGの位置を変更する転置作業について説明する。転置作業は、入庫作業又は出庫作業と同時に行われてもよいし、別に行われてもよい。以下では、第1の外側ラックO1から第2の外側ラックO2にトレイ群TGを転置する場合について説明するが、異なるラック間又は、同一ラック間で物品保管棚の位置を変えるように転置してもよい。
第1の外側ラックO1から、第2の外側ラックO2へトレイ群TGが転置される場合、特に物品保管棚O1−e−5に保管されているLLサイズのトレイ群TGが物品保管棚O2−b−1に転置される場合について図10を参照して説明する。この場合、第1のスタッカークレーンC1と第2のスタッカークレーンC2は、共同して入庫作業を行い、トレイ群TGを所持した状態の両スタッカークレーンの移動の有無によって、例えば、第1〜第3の転置方法のいずれかにより転置作業を行うことができる。
第1の転置方法では、第1のスタッカークレーンC1が、物品保管棚O1−e−5に対応する位置まで移動し、物品保管棚O1−e−5からトレイ群TGを搬出する(LL−T1−1)。トレイ群TGを所持した第1のスタッカークレーンC1は、移動することなく、物品保管棚I−e−5にトレイ群TGを搬入する(LL−T2−1)。
第2のスタッカークレーンC2が物品保管棚I−e−5に対応する位置に移動し、トレイ群TGを搬出する(LL−T3−1)。トレイ群TGを所持した状態の第2のスタッカークレーンC2は、物品保管棚O2−b−1に対応する位置まで移動し(LL−T4−1)、物品保管棚O2−b−1にトレイ群TGを搬入する(LL−T5−1)。これにより、第1の外側ラックO1から第2の外側ラックO2にトレイ群TGが転置される。
第2の転置方法では、第1のスタッカークレーンC1が、第1の転置方法と同様に、物品保管棚O1−e−5に対応する位置まで移動し、トレイ群TGを物品保管棚O1−e−5から搬出する(LL−T1−2)。トレイ群TGを所持した第1のスタッカークレーンC1は、物品保管棚I−b−2に対応する位置まで移動し(LL−T2−2)、物品保管棚I−a−2にトレイ群TGを搬入する(LL−T3−2)。
第2のスタッカークレーンC2は、物品保管棚I−b−2に対応する位置まで移動し、物品保管棚I−aー−2からトレイ群TGを搬出する(LL−T4−2)。トレイ群TGを所持した第2のスタッカークレーンC2は、移動することなく、物品保管棚I−b−2にトレイ群TGを搬入する(LL−T5−2)。
第3の転置方法では、第1及び第2の転置方法と同様に、第1のスタッカークレーンC1が、物品保管棚O1−e−5に対応する位置まで移動し、トレイ群TGを物品保管棚O1−e−5から搬出する(LL−T1−3)。トレイ群TGを所持した第1のスタッカークレーンC1は、物品保管棚I−c−3に対応する位置まで移動し(LL−T2−3)、物品保管棚I−c−3にトレイ群TGを搬入する(LL−T3−3)。
第2のスタッカークレーンC2は、物品保管棚I−c−3に対応する位置まで移動し、物品保管棚I−c−3からトレイ群TGを搬出する(LL−T4−3)。トレイ群TGを所持した第2のスタッカークレーンC2は、物品保管棚O2−b−1に対応する位置まで移動し(LL−T5−3)、物品保管棚O2−b−1にトレイ群TGを搬入する。これにより、トレイ群TGは、第1の外側ラックO1から第2の外側ラックO2に転置される。このとき、トレイ群TGを所持した第1及び第2のスタッカークレーンC1,C2は、共に移動して物品保管棚にトレイ群TGを搬入する。
第1の外側ラックO1から第2の外側ラックO2に転置する場合について説明したが、第1の外側ラックO1から内側ラックIに転置してもよい。この場合、第1のスタッカークレーンC1のみが稼働して、第2のスタッカークレーンC2の稼働と関係なく、転置作業ができる。トレイ群TGを内側ラックI又は第2の外側ラックO2に転置しておくことにより出庫作業時に第2のスタッカークレーンC2のみを移動させて出庫作業ができるため、出庫作業が円滑になる。
入出庫作業がない場合にスタッカークレーンは稼働していないため、例えば、入出庫作業、すなわち選別包装作業のない夜間にスタッカークレーンに転置作業を行えば、翌日の入庫作業又は出庫作業を円滑におこなうことができる。また、出庫ステーションから出庫される等階級が事前にわかっている場合に、出庫ステーションの近傍の物品保管棚に優先的に当該等階級のトレイ群TGを転置してもよい。これにより、出庫ステーションの近傍からトレイ群TGを出庫できるため、出庫作業が円滑になる。
また、転置作業は、入庫作業又は出庫作業と同時に行われてもよい。例えば、出庫作業が行われ、入庫作業が行われないとき、第1のスタッカークレーンC1に余裕ができる。このとき、出庫作業に備えて、第1の外側ラックO1の物品保管棚Hから内側ラックIの物品保管棚Hにトレイ群TGを移動させてもよい。
なお、自動倉庫の別の実施例として、図11に示すようなものも考えられる。以下、上述した実施形態と同一またはこれに対応する部分には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図11に示す自動倉庫1は、入庫側のラック(外側ラックO1)をなくしたものであり、入庫ステーションが物品保管棚以外の場所に設けられている。この自動倉庫1は、左右方向及び上下方向に延びて壁状に造立し、複数の物品保管棚Hを備えた内側ラックIと、この内側ラックIの両側に配置され、物品保管棚Hに物品を搬入し又は物品保管棚Hから物品を搬出させる第1のスタッカークレーンC1及び第2のスタッカークレーンC2と、第2のスタッカークレーンC2を挟んで内側ラックIと奥行き方向に並立し、左右方向及び上下方向に延びて壁状に造立し、複数の物品保管棚Hを備えた外側ラックO2とを備えたものである。この自動倉庫1の内側ラックIは、上述した実施形態のものと同様に、両側に配置された第1及び第2のスタッカークレーンC1,C2のいずれからも物品を搬入または搬出可能とされている。
また、図示しないが、さらに別の例として、出庫側のラック(外側ラックO2)をなくして、出庫ステーションが物品保管棚以外の場所に設けられている自動倉庫が考えられる。この自動倉庫は、入庫ステーションが設けられる入庫側のラック(外側ラックO1)と、第1のスタッカークレーンと、内側ラックと、第2のスタッカークレーンとが並んで設けられたものである。
以上のように、外側ラックO1,O2の有無により少なくとも3パターンの配置が考えられる。すなわち、内側ラックIの両側のスタッカークレーンC1,C2と両側の外側ラックO1,O2(パターン1)、内側ラックIの両側のスタッカークレーンC1,C2と出庫側の外側ラックO2(パターン2)、内側ラックIの両側のスタッカークレーンC1,C2と入庫側の外側ラックO1(パターン3)である。
パターン1〜3まで共通した効果を、以下詳述する。
まず、上述したように、物品保管棚の数を増やすことで、大量の卵を一時的に貯留するバッファとしての役割を担いつつも、各スタッカークレーンC1,C2の移動範囲の拡大を抑えながら入出庫時のスループットを向上させることができる。
特に、ラックI,O1,O2に保管される物品として卵を想定した場合には、(1)自動倉庫への入庫時点で、どこに出荷されるか、また、出庫の順番(タイミング)などが決まっていない、(2)生鮮食品であるため自動倉庫への入庫から出庫までの期間が比較的短い、という他の工業製品とは異なる特徴がある。これを考慮すれば、上述したような自動倉庫は、内側ラックIが両側のスタッカークレーンC1,C2からトレイ群にアクセスできるので、出庫順が決まっていない複数の等階級で分類された卵を迅速に出庫ステーション側に運ぶことが可能となる。すなわち、卵特有の状況に対応しながら出荷の効率化を図ることができる。
このような特殊な事情を有する卵を取り扱う自動倉庫は、卵の選別工程と包装工程との間に配置されると、非常に効果的に機能する。すなわち、この自動倉庫は、卵を選別して仮容器(トレイ)に収容する選別工程の下流側に接続されるとともに、卵を仮容器から出荷容器(パック)に移して卵を包装する包装工程の上流側に接続されるものである。言い換えれば、この自動倉庫は、上流側で等階級別に分類された卵を等階級ごとのトレイ群として入庫する入庫ステーションと、入庫後保管されたトレイ群を出庫要求に応じて出庫する出庫ステーションとを備えている。このようなものであれば、実際に発注者から発注要求があった時点で仮容器から出荷容器に移し替えるので、無駄な在庫を発生させることなく、多種多様な発注者からの要求に応えることができる。
また、従来のものに比べて、卵の選別包装システムの稼働状況に応じてスタッカークレーンの稼働の自由度を向上させることができる。詳述すれば、卵の選別包装システムがフル稼働している状態、すなわち、自動倉庫への入庫が断続的に行われ、かつ、出庫要求が断続的に行われている状態では、第1のスタッカークレーンC1は、トレイ群を入庫ステーションから内側ラックIに転置する作業を集中的に行い、第2のスタッカークレーンC2は、トレイ群を内側ラックIから出庫ステーションに転置する作業を集中的に行う。一方、自動倉庫への入庫作業のない状態では、第1のスタッカークレーンC1は、トレイ群を内側ラックIの一の棚から他の棚へと転置する作業や、トレイ群を内側ラックIから外側ラックO1に転置する作業を行い得る。同様に、自動倉庫からの出庫作業のない状態では、第2のスタッカークレーンC2は、トレイ群を内側ラックIの一の棚から他の棚へと転置する作業や、トレイ群を内側ラックIから外側ラックO2に転置する作業を行い得る。このように、一のスタッカークレーンの作業と他のスタッカークレーンの作業とを並行して行うことができる。
上述したような、「トレイ群を内側ラックIから外側ラックO1/O2に転置する作業」は、例えば、内側ラックIの物品保管棚が埋まってしまう、という事態の発生防止に有効である。上述した内側ラックIは、第1のスタッカークレーンC1にとっては複数の出庫ステーションが形成されたものと捉えることができ、第2のスタッカークレーンC2にとっては複数の入庫ステーションが形成されたものと捉えることができる。そして、内側ラックIが、本来の保管の役割のみならず、物品の通過経路としての役割をも果たすので、この内側ラックIの物品保管棚のうち一定数以上の物品保管棚に物品が収容されないように制御されるのが好ましい。すなわち、第1及び第2のスタッカークレーンC1,C2のうち少なくとも一方が、トレイ群が収容されていない内側ラックIの物品保管棚の数が所定数以下になると当該内側ラックIの物品保管棚に収容されたトレイ群を優先的に外側ラックO1,O2の物品保管棚に転置することが考えられる。このようなものであれば、内側ラックIの物品保管棚がトレイ群で埋まってしまい、トレイ群の円滑な入出庫が妨げられてしまうという事態を防止できる。ここで、「物品保管棚の数が所定数以下」とは、例えば所定数を2とすると、空いている物品保管棚の数が0〜2個となり、それ以外の物品保管棚はトレイ群で埋まっている状態を意味し、所定数を0とすると、空いている物品保管棚が存在せず、全ての物品保管棚がトレイ群で埋まっている状態を意味する。「所定数」は、任意の整数値を設定可能なものであり、入出庫する物品の種類によって固定の値としてもよいし、様々な要因に応じて可変の値にしてもよい。
なお、上述した作業は、第1及び第2のスタッカークレーンC1,C2のうち少なくとも一方が、入庫作業または出庫作業のないときに行うのが好ましい。そうすれば、スタッカークレーンC1,C2を効果的に稼働させることができるとともに、様々な出庫要求に素早く応じることが可能となる。
特に、卵重などにより選別され等階級ごとに集められているトレイ群は、等階級によって出庫要求の頻度に違いがでる。そのため、出庫要求の比較的少ない等階級のトレイ群が内側ラックIに長時間とどまっていると、出庫要求の比較的多い等階級のトレイ群の入出庫作業に支障を与える可能性がある。しかして、パターン1や3のように、外側ラックO1が入庫ステーション側に配置されているものであれば、入庫側の外側ラックO1に出庫要求の比較的少ない等階級の卵群を載置するなどの自由度が高まり、入出庫作業の円滑化に寄与する。なお、このような出庫要求の比較的少ない等階級のトレイ群を、出庫側の外側ラックO2に配置するようにしてもよい。
また、上流側に卵の選別工程が接続される自動倉庫においては、卵の大きさごとに異なるラインでトレイ群が入庫ステーションへと搬送されるので、入庫ステーションは複数設けられることとなる。そのため、パターン1や3のように、入庫側の外側ラックO1の複数の物品保管棚を利用して複数の入庫ステーションを設定するのが好ましい。
さらに、入庫側のラック(外側ラックO1)を備えたパターン1や3のような自動倉庫1において、第1のスタッカークレーンC1が、予め設定された条件に当てはまる物品を入庫ステーションから内側ラックIに転置させずに、入庫側のラックO1の物品収容棚に転置することも考えられる。例えば、予め設定された条件を「出庫予定がない」とすると、当該トレイ群を内側ラックIに移動しないことで、出庫予定があるトレイ群を優先的に内側ラックIへと移動させることができ、入出庫作業を円滑に行うことができる。
本実施の形態において、トレイ群を搬入される物品保管棚は空の状態で説明したが、物品保管棚の空き状態は、自動倉庫の制御装置にて適宜記憶されている。また、スタッカークレーンは、移動してトレイ群を搬出するように稼働したが、トレイ群が搬入されるのを待ってトレイ群を搬出するように稼働してもよい。また、1群のトレイ群TGを1の物品保管棚Hに保管するが、複数のトレイ群TGを1つの物品保管棚Hに保管するようにしてもよい。
本実施の形態において、選別された卵Eを保管する自動倉庫について説明したが、選別される前の卵、すなわち原卵Eを保管する自動倉庫に利用してもよい。また、卵の流通に関する自動倉庫に限らず、他の物流システムに関する自動倉庫に利用してもよい。
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。