JP6443407B2 - シート製造装置及びシート製造方法 - Google Patents
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Description
はフィルム状の成形体を得ることは古くから行われている。その典型例として、水を用い
た抄造(抄紙)によって紙を製造することが挙げられる。現在においても紙を製造する方
法の一つとして抄造法が広く用いられている。抄造法で製造される紙は、一般に、例えば
木材等に由来するセルロースの繊維が互いに絡み合い、水素結合などの結着力によって部
分的に結着されている構造を有する。
、脱水・乾燥等の必要が生じ、そのために費やすエネルギーや時間が非常に大きい。さら
に、使用した水は排水として適切に処理する必要がある。また抄造法に用いる装置は、水
、電力、排水設備等の大型のユーティリティーやインフラストラクチャーが必要となるこ
とが多く、小型化することは難しい。
乾式法と称する水をほとんど用いない方法が期待されており、例えば、特許文献1には、
乾式のプロセスで、原料となる紙を解繊、脱墨し、少量の水分を添加して紙を成形する紙
再生装置が開示されている。
がある。特許文献1に記載の技術では、紙の成型時に添加される水分は、紙を構成する繊
維間の結着力として、水酸基に由来する水素結合を誘起する働きがあるものと考えられる
。しかし、紙となった後の水素結合は、水が存在することにより結合力が低下する。その
ため、繊維間の結着力として水素結合を利用する紙では、高湿度環境に置かれたり、水に
濡れたりした場合に、機械的強度の不足や形状の変形が生じることがあった。そこで、複
数の繊維を樹脂を介して結着することが考えられる。しかし、樹脂により結着した場合で
も機械的強度が不足する場合があった。これは、シートを形成する際における繊維に含ま
れる水分量が少ないことが原因であった。そして、繊維に含まれる水分量が少なくなる原
因の一つは、比較的水分量が少ない紙を原料とした場合に、乾式で解繊する際に水分が失
われることであった。また、別の原因としては、原料となる紙に含まれる水分がもともと
少ないことであった。これは、製造装置の設置環境が低湿度であったり、原料となる紙が
置かれていた環境が低湿度であった場合に発生する。
好なシートを製造することのできるシート製造装置、及びシート製造方法を提供すること
にある。
様又は適用例として実現することができる。
解繊され水素結合し得る解繊物に、樹脂を含む粉末状の添加物を大気中で混合する混合部と、
前記解繊物と前記添加物とを混合した混合物を調湿する調湿部であって、調湿前の前記混合物100質量部に対して水分量が0.5質量部以上20質量部以下となるように調湿する調湿部と、
前記調湿部によって調湿された前記混合物を溶融させないで加圧する加圧部と、
前記加圧部によって加圧された前記混合物を加熱して結着させる加熱部と、を備える。
本発明に係るシート製造装置において、前記解繊物中の繊維は、平均全長が1μm以上10mm以下、平均径が1μm以上1000μm以下であり、
前記添加物の粒径は、1μm以上50μm以下であり、
前記混合部は、前記解繊物に対して前記添加物の割合が5質量%以上70質量%以下となるように混合してもよい。
製造されるシートは、例えば高湿度環境に置かれたり水に濡れたりしても、樹脂によって
解繊物間の結着が維持されるため、機械的強度が保たれるとともに形状の変化を生じにく
く耐水性が良好である。また、解繊物と添加物とを混合した混合物を調湿する調湿部を有
し、適度な湿度の繊維を用いてシートを作成するので、乾式法によっても機械的強度の良
好なシートを製造できる。
積する堆積部を有してもよく、前記調湿部は、前記堆積部により堆積された前記混合物を
調湿してもよい。
とができる。これにより、調湿部によって混合物に付与される水分が、混合物(堆積物)
全体に対してより供給しやすい。そのため製造されるシートの強度をさらに高めることが
できる。
部に対して水分量が5質量部以上12質量部以下となるように調湿してもよい。
り、使用する水分量を少ない状態で、製造されるシートの機械的強度を高くすることがで
きる。また、高湿度環境や、水分を多く含んだ原料を用いた場合でも、水分過多となるこ
とを抑制することができる。
よりも、前記混合物の調湿後の水分量が多くなるように調湿してもよい。
きる。
れる水分量は、前記被解繊物の水分量、環境の湿度、及び温度の少なくとも1つの条件に
従って変更されてもよい。
本発明に係るシート製造装置において、前記混合部は、気流により流動している前記解繊物に前記添加物を供給してもよい。
本発明に係るシート製造装置において、前記加熱部は、加熱材が内蔵された一対の加熱ローラーを複数組み備え、各組の前記一対の加熱ローラーの間で前記混合物を加圧しつつ、加熱してもよい。
解繊され水素結合し得る解繊物に、樹脂を含む粉末状の添加物を大気中で混合する混合工程と、
前記解繊物と前記添加物とを混合した混合物を調湿する工程であって、調湿前の前記混合物100質量部に対して水分量が0.5質量部以上20質量部以下となるように調湿する調湿工程と、
前記調湿工程によって調湿された前記混合物を溶融させないで加圧する加圧工程と、
前記加圧工程によって加圧された前記混合物を加熱して結着させる加熱工程と、を含む。
が付与されたシートを製造することができる。このようなシート製造方法によって製造さ
れるシートは、例えば高湿度環境に置かれたり水に濡れたりしても、樹脂によって解繊物
間の結着が維持されるため、機械的強度が保たれるとともに形状の変化を生じにくく耐水
性が良好である。また、解繊物と添加物とを混合する混合工程で得られた混合物に対して
調湿が行われ、適度な湿度の繊維を用いてシートを作成するので、乾式法によっても機械
的強度の良好なシートを製造できる。
明の例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく
、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で
説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
本実施形態に係るシート製造装置100は、解繊部20と、混合部30と、調湿部40
と、加熱部50と、を備える。図1は、本実施形態に係るシート製造装置100を概略的
に示す模式図である。以下、本実施形態のシート製造装置100について、解繊部20、
混合部30、調湿部40、及び加熱部50を中心として説明する。
解繊部20は、被解繊物を解繊処理する。解繊部20は、被解繊物を解繊処理すること
により、繊維状に解きほぐされた解繊物を生成する。また解繊部20は、被解繊物が古紙
等である場合には、被解繊物に付着した樹脂粒やインク、トナー、にじみ防止剤等の粒子
状の物質を、繊維から分離させる機能をも有する。
解きほぐすことをいう。解繊部20を通過したものを「解繊物」という。「解繊物」には
、解きほぐされた繊維の他に、繊維を解きほぐす際に繊維から分離した樹脂(複数の繊維
同士を結着させるための樹脂)粒や、インク、トナー、にじみ防止材等のインク粒を含ん
でいる場合もある。解きほぐされた解繊物の形状は、ひも(string)状や平ひも(
ribbon)状である。解きほぐされた解繊物は、他の解きほぐされた繊維と絡み合っ
ていない状態(独立した状態)で存在してもよいし、他の解きほぐされた解繊物と絡み合
って塊状となった状態(いわゆる「ダマ」を形成している状態)で存在してもよい。
繊物、解繊物、ウェブ等)の流れ(概念的な流れを含む)に対して、「上流」、「下流」
等の表現を用いる。また、「上流側(下流側)」という表現は、構成の位置を相対的に特
定する場合に用い、例えば、「AがBの上流側(下流側)にある」などという場合には、
Aの位置がBの位置に対して、シートの材料の流通方向に照らして上流(下流)にあるこ
とを指す。
0との間に他の構成が設けられてもよい。また、解繊部20よりも上流側にも他の構成が
設けられてもよい。
大気中(空気中)において乾式で解繊を行う。図示の例では、導入口21から導入された
被解繊物が、解繊部20によって解繊され、解繊物(繊維)となり、排出口22から排出
される解繊物が、管82、分級部63を介して混合部30(図示の例では管86)に供給
される態様となっている。
ある。乾式の範疇には、乾燥状態、及び不純物として存在する液体(水等)又は意図的に
添加される液体(水等)、水蒸気、ミスト等が存在する状態、が含まれる。また、乾式の
態様と、抄紙等で行われる湿式の態様とでは、装置全体あるいは製造される紙の量に対す
る水の使用量が全く異なることに注意する。すなわち、乾式の態様において、系内に水が
存在する場合の水の量は、湿式に比較して桁違いに小さい。
部とを含み、回転部と固定部との間に隙間(ギャップ)が形成されたものを挙げることが
できる。解繊部20がこのように構成される場合には、回転部が回転した状態で被解繊物
がギャップに導入されることにより、解繊処理が行われる。また、この場合には、回転部
の回転数、形状、固定部の形状等は、製造されるシートの性質や全体の装置構成等の要請
に合わせて適宜に設計されることができる。また、この場合、回転部の回転速度(1分あ
たりの回転数(rpm))は、解繊処理のスループット、被解繊物の滞留時間、解繊の程
度、ギャップの大きさ、回転部、固定部、その他の各部材の形状や大きさ等の条件を考慮
して、適宜に設定することができる。
発生させる機能を有することがより好ましい。この場合、解繊部20は、自ら発生する気
流によって、導入口21から、被解繊物を気流と共に吸引し、解繊処理して、排出口22
へと搬送することができる。排出口22から排出された解繊物は、図1に示す例では、管
82に移送される。なお、気流発生機構を有していない解繊部20を用いる場合には、被
解繊物を導入口21に導く気流や、排出口22から解繊物を吸出す気流を発生する機構を
外付けで設けても差支えない。
本明細書において、被解繊物とは、シート製造装置100の原材料を含む物品のことを
指し、例えば、パルプシート、紙、古紙、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クリ
ーナー、フィルター、液体吸収材、吸音体、緩衝材、マット、段ボールなどの、繊維が絡
み合い又は結着されたものを指す。また、被解繊物には、レーヨン、リヨセル、キュプラ
、ビニロン、アクリル、ナイロン、アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリウレタン、ポリイミド、炭素、ガラス、金属からなる繊維等(有機繊維、無機
繊維、有機無機複合繊維)が含まれていてもよい。また、本実施形態のシート製造装置1
00において、後述する分級部63が備えられる場合には、被解繊物として特に古紙を有
効に利用することができる。
本実施形態のシート製造装置100において、製造されるシートの材料の一部として使
用される解繊物は、特に限定されず、シートを形成しうる限り広範な解繊物を用いること
ができる。解繊物は、上述の被解繊物を解繊処理して得られる繊維を含み、係る繊維とし
て、天然繊維(動物繊維、植物繊維)、化学繊維(有機繊維、無機繊維、有機無機複合繊
維)などが挙げられる。解繊物に含まれる繊維としては、更に詳しくは、セルロース、絹
、羊毛、綿、***、ケナフ、亜麻、ラミー、黄麻、マニラ麻、サイザル麻、針葉樹、広葉
樹等からなる繊維が挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、適宜混合して用いてもよ
いし、精製などを行った再生繊維として用いてもよい。解繊物は、製造されるシートの材
料となるが、これらの繊維の少なくとも1種を含んでいればよい。また、解繊物(繊維)
は、乾燥されていてもよいし、水、有機溶剤等の液体が含有又は含浸されていてもよい。
さらに解繊物(繊維)は、各種の表面処理が施されていてもよい。
その平均的な直径(断面が円でない場合には長手方向に垂直な方向の長さのうち、最大の
もの、又は、断面の面積と等しい面積を有する円を仮定したときの当該円の直径(円相当
径))が、平均で、1μm以上1000μm以下、好ましくは、2μm以上500μm以
下、より好ましくは3μm以上200μm以下である。
た1本の繊維として、その繊維の長手方向に沿った長さは(解きほぐされた解繊物(繊維
)の長手方向の長さ、以下、「繊維長」ともいう)は、例えば、1μm以上10mm以下
、好ましくは1μm以上8mm以下、より好ましくは1μm以上5mm以下、さらに好ま
しくは、2μm以上3mm以下、ことさら好ましくは3μm以上2mm以下である。繊維
の長さが短い場合は、添加物(複合体)と結着しにくいため、シートの強度が不足する場
合があるが、上記範囲であれば十分な強度のシートを得ることができる。繊維の長手方向
に沿った長さとは、独立した1本の繊維の両端を必要に応じて破断しないように引張り、
その状態でほぼ直線状の状態に置いたときの両端間の距離(繊維の長さ)であってもよい
。また、繊維の平均の長さは、長さ−長さ加重平均繊維長として、20μm以上3600
μm以下、好ましくは200μm以上2700μm以下、より好ましくは300μm以上
2300μm以下である。さらに、繊維の長さは、ばらつき(分布)を有してもよい。
体(例えば綿のような状態)のことを指す場合とがあり、また、解繊物というときには、
複数の繊維が含まれる材料のことを指し、繊維の集合という意味及びシートの原料となる
材料(粉体状又は綿状の物体)という意味を含むものとする。
本実施形態のシート製造装置100に備えられる混合部30は、解繊物と、樹脂を含む
添加物と、を大気中で混合する(混ぜ合せる)機能を有する。混合部30では、少なくと
も解繊物及び添加物が混ぜ合される。混合部30においては、解繊物及び添加物以外の成
分が混ぜ合されてもよい。本明細書において「解繊物と添加物とを混合する」とは、一定
容積の空間(系)内で、解繊物に含まれる繊維と繊維との間に添加物を位置させることを
意味する。
造及び機構等は特に限定されない。また、混合部30における混ぜ合せの処理の態様は、
回分処理(バッチ処理)であっても、逐次処理、連続処理のいずれであってもよい。また
、混合部30は、手動で動作されても自動で動作されてもよい。さらに、混合部30は、
少なくとも解繊物及び添加物を混ぜ合せるが、その他の成分を混ぜ合せることのできる態
様であってもよい。
することができる。機械的な混合としては、繊維(解繊物)及び添加物を、例えば、ヘン
シェルミキサー等に導入して撹拌する方法や、袋に繊維(解繊物)及び添加物を封入して
該袋を振とうする方法などが挙げられる。また、流体力学的な混ぜ合せの処理としては、
大気等の気流中に繊維(解繊物)及び添加物を導入して気流中で相互に拡散させる方法を
用いることができる。係る大気等の気流中に繊維(解繊物)及び添加物を導入する方法で
は、解繊物の繊維が気流によって流動(移送)されている管等に添加物を投入してもよい
し、添加物の粒子が気流によって流動(移送)されている管等に繊維(解繊物)を投入し
てもよい。なお、係る方法の場合には、管等の中の気流は、乱流であるほうが混ぜ合せの
効率がよくなることがあるためより好ましい。
よい。図1に示すように、混合部30として、解繊物の移送のために管86を採用する場
合には、大気等の気流により解繊物を流動させた状態で添加物を添加物供給部88によっ
て導入する方法を採ることができる。混合部30に管86を採用する場合における気流の
発生手段としては、図示せぬブロワーなどが挙げられ、上記の機能が得られる限り、適宜
の気流発生手段を使用することができる。
入は、弁の開閉操作や作業者の手で行うこともできるが、添加物供給部88としての図1
に示すようなスクリューフィーダーや図示せぬディスクフィーダーなどを用いて行うこと
ができる。これらのフィーダーを用いると、気流の流れ方向における添加物の含有量(添
加量)の変動を小さくすることができるためより好ましい。また、添加物を気流によって
移送して、当該気流に解繊物を導入する場合でも同様である。図示の例では、添加物は、
添加物供給部88から管86に設けられた供給口87を通じて管86に供給される。した
がって、図示の例では、混合部30は、管86の一部、添加物供給部88及び供給口87
によって構成されている。
混合における「乾式」とは、液体中ではなく大気中(空気中)で混合させる状態をいう。
混合部30において、混合の作用を阻害しない程度に液体を意図的に添加する場合には、
後の工程において、係る液体を加熱等により除去するためのエネルギーや時間が大きくな
りすぎない程度に添加することが好ましい。
されず、シート製造装置100の製造能力(スループット)に応じて適宜設計、調節する
ことができる。混合部30の処理能力の調節は、バッチ処理の態様であれば、その処理容
器の大きさや仕込み量などを変化させて行うことができ、また、混合部30として上述し
たような管86、添加物供給部88を採用する場合には、管86内の解繊物及び添加物を
移送するための気体の流量や、材料の導入量、移送量等を変化させることにより行うこと
ができる。なお、混合部30として、図示のような管86及び添加物供給部88を採用す
る場合においても、解繊物及び添加物を十分に混ぜ合せることができる。
。添加物が管86に供給された時点では、解繊物に含まれる複数の繊維は、解繊が不十分
である場合を除き、意図的には互いに結着されていない。添加物に含まれる樹脂は、後述
する加熱部50を通過する際に溶融又は軟化して、その後硬化することにより複数の繊維
を結着させることとなる。なお、加熱部50を通過する際には、調湿部40によって供給
された水分が除かれることにより、複数の繊維は水素結合によっても結着されることにな
る。
添加物供給部88から供給される添加物は、樹脂を含む。係る樹脂の種類としては、天
然樹脂、合成樹脂のいずれでもよく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよい。本
実施形態のシート製造装置100においては、樹脂は、常温で固体である方が好ましく、
加熱部50における熱によって繊維を結着することに鑑みれば熱可塑性樹脂がより好まし
い。
麟血、サンダラック、コロホニウムなどが挙げられ、これらを単独又は適宜混合したもの
が挙げられ、また、これらは適宜化学的に変性されていてもよい。
、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイ
ミド樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。
、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ナ
イロン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド
、ポリエーテルエーテルケトン、などが挙げられる。
てもよく、このような樹脂の系統としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン
−アクリル系共重合樹脂、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、
ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル
系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等が挙げられる。
、添加物の繊維長は、解繊物の繊維長以下であることが好ましい。具体的には、添加物の
繊維長は、3mm以下、より好ましくは2mm以下である。添加物の繊維長が3mmより
大きいと、解繊物と均一性よく混合することが困難となる場合がある。添加物が粉末状で
ある場合、添加物の粒径(直径)は、1μm以上50μm以下、より好ましくは2μm以
上20μm以下である。添加物の粒径が1μmより小さいと、解繊物中の繊維同士を結着
させる結着力が低下する場合がある。添加物の粒径が20μmより大きいと、解繊物と均
一性よく混合することが困難な場合があり、また解繊物への付着力が低下して解繊物から
離脱してしまい、製造されるシートにムラ等を生じる場合がある。
切に設定される。解繊物に対する添加物の割合は、例えば、5質量%以上70質量%以下
であり、混合部30において良好な混合物を得る観点、及び混合物をウェブ状に成形した
場合の重力による添加物の落下を受けにくくする観点からは、5質量%以上50質量%以
下が好ましい。図示の例では、供給された添加物は、混合部30を構成する管86内で解
繊物と混合される。
、凝集抑制剤、着色材、有機溶剤、界面活性剤、防黴剤・防腐剤、酸化防止剤・紫外線吸
収剤、酸素吸収剤等が挙げられる。以下、凝集抑制剤、着色材について詳述する。
添加物は、解繊物を結着させる樹脂の他、解繊物中の繊維同士の凝集や添加物中の樹脂
同士の凝集を抑制するための凝集抑制剤を含んでもよい。また、添加物に凝集抑制剤を含
ませる場合には、樹脂と凝集抑制剤とは一体化させることが好ましい。すなわち、添加物
に凝集抑制剤を含ませる場合には、添加物は、樹脂と凝集抑制剤とを一体に有する複合体
であることが好ましい。
された粒子をいう。他のものとは、凝集抑制剤や着色材などをいうが、主成分となる樹脂
と異なる形状、大きさ、材質、機能を有するものも含まれる。
凝集抑制剤を一体に有する複合体を、互いに凝集させにくくすることができる。凝集抑制
剤としては、各種使用しうるが、本実施形態のシート製造装置100では、混合部30に
おいて水を使用しない又はほとんど使用しないため、複合体の表面に配置される(コーテ
ィング(被覆)等でもよい。)種のものを使用することが好ましい。
面に配置することで、非常に優れた凝集抑制効果を得ることができる。なお、凝集とは、
同種又は異種の物体が、静電気力やファンデルワールス力によって物理的に接して存在す
る状態を指す。また、複数の物体の集合体(例えば粉体)において、凝集していない状態
という場合には、必ずしも当該集合体を構成する物体のすべてが離散して配置されること
を指すものではない。すなわち、凝集していない状態には、集合体を構成する物体の一部
が凝集している状態も含まれ、そのような凝集した物体の量が、集合体全体の10質量%
以下、好ましくは5質量%以下程度となっていても、この状態を、複数の物体の集合体に
おいて「凝集していない状態」に含めるものとする。さらに、粉体等を袋詰め等した場合
には、粉体の粒子同士は接触して存在する状態となるが、柔和な撹拌、気流による分散、
自由落下など、粒子を破壊しない程度の外力を加えることにより、粒子を離散した状態に
することができる場合は、凝集していない状態に含めるものとする。
鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、チ
タン酸バリウム、炭酸カルシウムを挙げることができる。なお、例示した凝集抑制剤の材
質の一部(例えば酸化チタンなど)は、着色材の材質と同じとなるが、凝集抑制剤の粒子
径は着色材の粒子径よりも小さい点で相違する。そのため、凝集抑制剤は、製造されるシ
ートの色調に対して大きく影響せず、着色材とは区別可能である。ただし、シートの色調
を調節する際には、凝集抑制剤の粒子径が小さくても、光の散乱等の若干の効果が生じる
場合があるため、そのような効果を考慮することがより好ましい。
は、0.001〜1μmであり、より好ましくは、0.008〜0.6μmである。凝集
抑制剤の粒子は、いわゆるナノパーティクルの範疇に入るものであり、粒子径が小さいこ
とから、一次粒子となっていることが一般的である。しかし、凝集抑制剤の粒子は、一次
粒子の複数が結合して高次の粒子となっていてもよい。凝集抑制剤の一次粒子の粒子径が
上記範囲内であれば、樹脂の表面に良好にコーティングを行うことができ、複合体の十分
な凝集抑制効果を付与することができる。樹脂粒子の表面に凝集抑制剤が配置された複合
体の粉体は、ある複合体と他の複合体の間に凝集抑制剤が存在することになり、互いの凝
集が抑制される。なお、樹脂と凝集抑制剤とを一体でなく別体とする場合には、ある樹脂
粒子と他の樹脂粒子の間に凝集抑制剤が常に存在するとは限らないため、樹脂粒子同士の
凝集抑制効果は一体とした場合に比較して小さくなると考えられる。
量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下が好ましい。このような含有量であれば、
上記効果を得ることができる。また、上記効果を高め及び/又は製造されるシートから凝
集抑制剤が脱落することを抑制する、などの観点からすると、含有量は樹脂100質量部
に対して、好ましくは0.2質量部以上4質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上
3質量部以下である。
合(面積比:本明細書ではこれを被覆率と称する場合がある。)は、20%以上100%
以下とすれば、十分な凝集抑制効果を得ることができる。被覆率は、FMミキサー等の装
置への仕込みによって調節することができる。さらに凝集抑制剤、樹脂の比表面積が既知
であれば、仕込み時の各成分の質量(重量)によって調節することもできる。また、被覆
率は、各種の電子顕微鏡により測定することもできる。なお、凝集抑制剤が、樹脂から脱
落しにくい態様で配置された複合体では、凝集抑制剤と樹脂とが一体であるということが
できる。
るため、混合部30において添加物(複合体)と解繊物とをさらに容易に混ぜ合せること
ができる。すなわち、添加物に樹脂との複合体として凝集抑制剤が配合されると、複合体
が速やかに空間に拡散し、凝集抑制剤が配合されない場合に比較して、より早く均一な解
繊物と添加物との混合物を形成することができる。
混ぜ合せることができる理由としては、凝集抑制剤を複合体の表面に配置した場合、複合
体が静電気を帯びやすくなる傾向があることが挙げられ、その静電気により複合体の凝集
が抑制される。また、発明者らの検討によると、その静電気により繊維に付着した複合体
は、機械的な衝撃等が生じた場合においても、繊維から容易に脱離しなくなっている可能
性が高いことが分ってきた。これらの傾向から、複合体として添加物に凝集抑制剤が配合
された場合には、複合体が、一度繊維に付着すると、容易には脱離しなくなっていると考
えられ、繊維と複合体との混合以外の特段の手段を用いずとも、速やかに混合されるもの
と考えている。また、混合部30の作用によって、解繊物(繊維)と複合体とが混合され
、混合物となった後は繊維への複合体の付着は安定しており、複合体の脱離現象はみられ
ないことが分ってきている。
添加物は、解繊物の繊維を結着させる樹脂の他、着色材を含んでもよい。また、添加物
に着色材を含ませる場合には、樹脂と着色材とは一体化されることが好ましい。すなわち
、添加物は、樹脂と着色材とを一体に有する複合体であることが好ましい。また、複合体
が上述の凝集抑制剤を含む場合においても、樹脂と着色材と凝集抑制剤とを一体に有する
複合体とすることができる。すなわち、添加物は、樹脂と凝集抑制剤と着色材とを一体に
有する複合体を含んでもよい。
、及び/又は、製造されるシートにおいて、バラバラになり難い(脱落し難い)状態のこ
とをいう。すなわち、樹脂及び着色材を一体に有する複合体とは、樹脂によって着色材が
互いに接着されている状態、樹脂に着色材が構造的(機械的)に固定されている状態、樹
脂と着色材とが静電気力、ファンデルワールス力等により凝集している状態、及び樹脂と
着色材とが化学結合されている状態にあることを指す。また、複合体が樹脂及び着色材を
一体に有する状態とは、着色材が樹脂に内包されている状態でも着色材が樹脂に付着して
いる状態でもよく、その2つの状態が同時に存在する状態を含む。
に示している。樹脂及び着色材を一体に有した複合体の具体的な態様の一例としては、図
2(a)〜(c)に示すような、樹脂1の内部に単数又は複数の着色材2を分散して内包
した構造を有する複合体3や、図2(d)に示すように樹脂1の表面に単数又は複数の着
色材2が付着した複合体3が挙げられる。本実施形態のシート製造装置100では、複合
体として、このような複合体3の集合(粉体)を使用することができる。
れている。)が分散された構造を有する複合体3の一例を示している。このような複合体
3は、樹脂1をマトリックスとして、着色材2がドメインとして分散した、いわゆる海島
構造となっている。この例では、着色材2が樹脂1に囲まれた状態であるため、樹脂部分
(マトリックス)を通り抜けて着色材2が樹脂1の外へ離脱しにくい。そのため、シート
製造装置100内で各種の処理を受ける際やシートに成形された際に、着色材2が樹脂部
分から脱落しにくい状態となっている。この場合の複合体3内における着色材2の分散状
態は、着色材2が互いに接触していてもよいし着色材2間に樹脂1が存在してもよい。ま
た、図2(a)では着色材2が全体的に分散しているが、一方側に偏っていてもよい。例
えば、同図において、右側や左側だけに着色材2があってもよい。一方側に偏っているも
のとして、図2(b)のように樹脂1の中央部分に着色材2が配置されていてもよいし、
図2(c)のように樹脂1の表面に近い部分に着色材2が配置されてもよい。なお、樹脂
1は、中央付近の母粒子4とその周囲の殻5を有していてもよい。ここで、母粒子4と殻
5は、互いに同種の樹脂でもよいし、異なる種の樹脂であってもよい。
態様の複合体3である。この例では、着色材2が複合体3表面に露出しているが、樹脂1
との接着(化学的、物理的結合)又は樹脂1による機械的な固定によって、複合体3から
脱落しにくい状態となっており、このような複合体3も、樹脂1及び着色材2を一体に有
した複合体3として本実施形態のシート製造装置100に好適に使用することができる。
なおこの例では、着色材2が樹脂1の表面だけでなく内部に存在してもよい。
00内で各種の処理を受ける際やシートに成形された際に着色材が樹脂から脱落しにくい
態様であれば、これらの態様に限定されず、着色材が樹脂の粒子の表面に静電気力や、フ
ァンデルワールス力によって付着している状態であっても、着色材が樹脂粒子から脱落し
にくければよい。また、上記例示した複数の態様を互いに組み合わせた態様であっても、
着色材が複合体から脱落しにくい態様であればいずれも採用することができる。
しい配置は、図2(d)に示す態様と概念的に同様である。ただし、凝集抑制剤は、着色
材2よりも粒子径が小さいことに注意する。また、図2(a)〜(d)のいずれの態様で
着色材が一体化された場合であっても、凝集抑制剤を表面に配置したものを形成すること
ができる。
ものとする機能を有する。着色材としては、染料又は顔料を用いることができ、複合体に
おいて樹脂と一体とした場合に、より良好な隠ぺい力や発色性が得られる観点からは顔料
を用いることが好ましい。
される各種の色(白、青、赤、黄、シアン、マゼンダ、イエロー、黒、特色(パール、金
属光沢)等)の顔料を使用することができる。顔料は無機顔料でもよいし、有機顔料でも
よい。顔料としては、特開2012−87309号公報や特開2004−250559号
公報に記載された周知の顔料を用いることができる。また、亜鉛華、酸化チタン、アンチ
モン白、硫化亜鉛、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等の
白色顔料等を用いてもよい。これら顔料は、単独で用いてもよいし、適宜混合して用いて
もよい。なお、白色の顔料を使用する場合には、前記例示したもののうち、酸化チタンを
主成分とする粒子(顔料粒子)を含む粉体からなる顔料を使用することが、酸化チタンの
屈折率の高さから、少ない配合量で、製造されるシートにおける白色度を高めることが容
易な点でより好ましい。
、製造されるシートの強度、性質、用途等により適宜調節されることができる。一例とし
て、製造されるシートがコピー用紙等の事務用途であれば、解繊物に対する添加物の割合
は、5質量%以上70質量%以下であり、混合部30において良好な混合物を得る観点、
及び混合物をウェブ状に成形した場合の重力による添加物の落下を受けにくくする観点か
らは、5質量%以上50質量%以下が好ましい。
本実施形態のシート製造装置100に備えられる調湿部40は、上述の混合部30によ
り解繊物と添加物とが混ぜ合された混合物を調湿する機能を有する。ここで、調湿とは、
混合物に対して水及び/又は水蒸気を添加して、混合物と水との量比を調節することを指
す。また調湿における水の添加は、例えば調湿部40が噴霧等の態様を採る場合には、水
そのものを噴霧して添加する態様の他に、水を溶媒として含む水溶液を噴霧する態様や、
水を分散媒として含む分散液を噴霧する態様を含む。さらに調湿における水の添加は、水
蒸気(スチーム)により添加される態様を含む。
湿された混合物が加熱された際に、調湿部40によって付与された水の少なくとも一部を
蒸発させることにより、得られるシートSの繊維間の水素結合が効率的に誘起される。
等は特に限定されない。調湿部40の処理の態様は、回分処理(バッチ処理)であっても
、逐次処理、連続処理のいずれであってもよい。また、調湿部40は、手動で動作されて
も自動で動作されてもよい。調湿部40の具体的な構成としては、混合物に対してノズル
から水を噴霧する構成、スチーム(水蒸気)を吹付ける構成、超音波振動等により得られ
るミストを付与する構成、などを例示することができる。
熱部50よりも上流側に設けられる。混合部30と加熱部50との間に他の構成が設けら
れてもよい。そのような他の構成としては、混合された解繊物及び添加物の混合物をほぐ
すほぐし部70、混合物をウェブ状に成形する堆積部75、ウェブ状に堆積された混合物
に圧力を印可する加圧部60(いずれも後述する。)などが挙げられるがこれらに限定さ
れない。しかし、シート製造装置100がほぐし部70を備える場合には、水によってほ
ぐし部70によるほぐし作用が阻害される可能性があるため、調湿部40は、ほぐし部7
0よりも下流側に設けられることが好ましい。また、図示の例のように、シート製造装置
100が堆積部75を備える場合には、調湿部40は、混合物が堆積されたウェブWに対
して水分を付与するように、堆積部75の下流に配置されてもよい。このようにすれば、
調湿部40によって混合物に付与される水分が、混合物(堆積物)全体に対して供給しや
すい。そのため製造されるシートの強度をさらに高めることができる。
ているが、加圧部60の下流に設けられてもよい。さらに、図示しないが、調湿部40は
、ほぐし部70から降下する混合物に対して水分を付与できる位置に設けられてもよい。
さらに、調湿部40は、ほぐし部70、堆積部75等と一体的に構成されてもよい。調湿
部40は、外部のユーティリティー配管に接続する配管、ポンプ、各種の入出力端子等を
含んで構成されることができる。
量部以下となるように調湿する。調湿部40により付与される水分量がこの範囲であれば
、製造されるシートにおいて繊維間の水素結合を誘起することができ、シートの機械的強
度を高め、装置による水やエネルギーの使用量を低減することができる。調湿部40によ
る調湿量は、混合物100質量部に対する水分量として、1質量部以上15質量部以下が
好ましく、3質量部以上14質量部以下がより好ましく、5質量部以上12質量部以下が
さらに好ましく、7質量部以上8質量部以下が特に好ましい。このような調湿量とすると
、製造されるシートSの機械的強度を良好とするとともに、水やエネルギーを効率よく使
用することができる。
樹脂の粉末とした場合であって、水を噴霧する構成の調湿部によって混合物に付与される
水分量が、混合物100質量部に対して、0質量部(調湿部による水の添加なし)とした
場合に比べて、5質量部以上12質量部以下とした場合には、形成されたシートSの引張
破断応力は、3倍以上となることが分っている。
ることができる。調湿量の調整は、シート製造装置に対する材料(被解繊物)の量、解繊
部20のスループット等のマスバランスを考慮して所定の値に調整することができる。ま
た、調湿量は、装置のマスバランス、被解繊物に含まれる水分量、装置の設置環境の湿度
などに応じて変化させて調整することができる。
定される水分量、湿度、温度等に関する情報に基づいて、付与する水分量を調節するよう
に構成してもよい。調湿前の混合物及び調湿後の混合物の水分量は、例えば、公知の光学
的、電磁的な原理に基づく装置を、シート製造装置100の内部又は外部の適宜の位置に
配置して測定することができる。また、湿度、温度は公知の適宜な湿度計、温度計を、シ
ート製造装置100の内部又は外部の適宜の位置に配置して測定することができる。そし
て、シート製造装置100は、これらの測定値に基づいてバルブや弁の開度を制御する図
示しない制御部を有してもよい。
ように調湿してもよい。原料の一部となる被解繊物に水分が含まれる場合には、被解繊物
が解繊部20を通過し、さらに解繊物が混合部30を通過する際に、含まれていた水分の
一部又は全部が蒸発して失われる場合がある。この場合に、調湿部40において、少なく
とも失われた水分よりも多くの水分を添加するようにしてもよい。このようにすれば、シ
ート製造装置100中で散逸した水分を十分に補うことができるため、製造されるシート
Sにおける水素結合をより確実に形成することができる。
適宜設計、調節することができる。なお、加熱部50を通過する際には、調湿部40によ
って供給された水分が加熱され蒸発して除かれる。そしてその際に、シートSにおける複
数の繊維が水素結合によって結着されることになる。
本実施形態のシート製造装置100は、加熱部50を備える。加熱部50は、上述の調
湿部40よりも下流側に設けられる。
混合物を加熱し、複数の繊維を互いに添加物を介して結着させ、かつ、繊維間に水素結合
が形成された状態を形成する。調湿された混合物は、例えば、ウェブ状に成形されたもの
であってもよい。また、加熱部50が、混合物を所定の形状に成形する機能を有してもよ
い。
が離れにくい状態や、繊維と繊維との間に添加物の樹脂が配置され、繊維と繊維とが添加
物を介して離れ難くなっている状態をいう。また、結着とは、接着を含む概念であって2
種以上の物体が接触して離れにくくなった状態を含む。また、繊維と繊維とが複合体を介
して結着した際に、繊維と繊維とが平行に又は交差してもよいし、1本の繊維に複数の繊
維が結着してもよい。また、「繊維が水素結合される」とは、複数の繊維が互いに水素結
合によって、部分的又は全面的に結合(結着)されることを指す。
温度(軟化点)又は融点(結晶性ポリマーの場合)付近以上の温度に加熱すると、樹脂が
軟化したり溶けたりし、その後、温度が低下した際に固化する。樹脂が軟化して繊維に絡
み合うように接触し、樹脂が固化することで繊維と添加物とを互いに結着することができ
る。また、固化する際に他の繊維が結着することで、繊維と繊維を結着する。添加物の樹
脂が、熱硬化性樹脂である場合には、軟化点以上の温度に加熱してもよいし、硬化温度(
硬化反応を生じる温度)以上に加熱しても繊維と樹脂とを結着することができる。なお、
樹脂の融点、軟化点、硬化温度等は、繊維の融点、分解温度、炭化温度よりも低いことが
好ましく、そのような関係となるように両者の種類を組み合わせて選択することが好まし
い。
これにより、繊維間に介在した水分子が減少する(除去される)ことによって、繊維同士
の水素結合を形成することができる。したがって、加熱部50は、水の沸点以上の温度に
設定されることが好ましいが、水素結合させることができれば、水の沸点以下の温度に加
熱するものであってもよい。
場合には、加熱部50は、混合物を所定の形状に成形する機能を有することになる。加え
られる圧力の大きさは、成形されるシートの種類により適宜調節されるが、50kPa以
上30MPa以下とすることができる。加えられる圧力が小さければ、空隙率の大きいシ
ートが得られ、大きければ空隙率の小さい(密度の高い)シートが得られることになる。
形機、ホットプレート、温風ブロワー、赤外線加熱器、フラッシュ定着器などが挙げられ
る。図1に示す本実施形態のシート製造装置100では、加熱部50は、加熱ローラー5
1によって構成されている。図示の例では、加熱部50は、加圧部60(後述)によって
加圧されたウェブWを加熱するものである。また、加熱部50は、ウェブWを加圧する機
能を担ってもよい。そして、ウェブWを加熱することにより、ウェブWに含まれる繊維同
士を添加物及び水素結合を介して結着させることができる。
ように構成されており、一対の加熱ローラー51を有している。一対の加熱ローラー51
は、それぞれの中心軸は平行である。また、加熱部50はローラー等によって構成できる
他、平板状のプレス部によっても構成することができる。この場合には、プレスをしてい
る間、搬送されるウェブを一時的にたるませておくようなバッファー部(図示せず)を必
要に応じて設ける。一方、加熱部50を加熱ローラー51として構成したことにより、加
熱部50を平板状のプレス部として構成した場合に比べてウェブWを連続的に搬送しなが
らシートSを成形することができる。
形態のシート製造装置100の加熱部50は、ウェブWの搬送方向において上流側に配置
された第1加熱部50aとその下流側に配置された第2加熱部50bとを備えており、第
1加熱部50a及び第2加熱部50bがそれぞれ一対の加熱ローラー51を備えている。
また、第1加熱部50aと第2加熱部50bとの間には、ウェブWの搬送を補助するガイ
ドGが配置されている。
成されている。加熱ローラー51の表面には、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフ
ルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等
のフッ素を含むチューブやPTFE等のフッ素コーティングの離型層53が設けられてい
る。なお、芯金42と離型層53との間にシリコンゴム、ウレタンゴムやコットン等によ
る弾性層を設けてもよい。当該弾性層を設けることにより、一対の加熱ローラー51を高
荷重で圧接する場合に、加熱ローラー51対が加熱ローラー51の軸方向において均一に
接触させることができる。
4が設けられている。加熱ローラー51及び加熱材54は図示しない温度検知部によって
各温度が取得され、取得された温度に基づいて加熱材54の駆動が制御される。これによ
り、加熱ローラー51の表面温度が所定の温度に維持することが可能となる。そして、加
熱ローラー51間にウェブWを通過させることにより、搬送されるウェブWに対して加熱
加圧することができる。なお、加熱手段として、ハロゲンヒーター等に限定されず、例え
ば、非接触ヒーターによる加熱手段や温風による加熱手段を用いてもよい。
0に加熱ローラー51を採用する場合には、加熱ローラー51の数や配置は限定されず、
上記作用を達成できる範囲で任意に構成することができる。また、各加熱部50の加熱ロ
ーラー51の構成(離型層・弾性層・芯金の厚みや材質、ローラーの外径)や加熱ローラ
ー51を圧接する荷重は、各加熱部50によって異なっていてもよい。
溶融し、解繊物中の繊維と絡みやすくなるとともに繊維間が結着され、かつ、水素結合に
よっても繊維間が結合される。調湿された解繊物及び添加物の混合物は、加熱部50を経
ることによりシートSとなる。
いに樹脂を介して結着し、かつ、水素結合により結着している構造をいう。
ェブ状、又は凹凸を有する形状であってもよい。また本明細書におけるシートは、紙と不
織布に分類できる。紙は、例えば、パルプや古紙を原料としシート状に成形した態様など
を含み、筆記や印刷を目的とした記録紙や、壁紙、包装紙、色紙、画用紙、ケント紙など
を含む。不織布は、紙より厚いものや低強度のものであり、一般的な不織布、繊維ボード
、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クリーナー、フィルター、液体吸収材、吸音
体、緩衝材、マットなどを含む。
本実施形態のシート製造装置100によれば、樹脂及び水素結合によって解繊物の繊維
間の結着力が付与されたシートSを製造することができる。すなわち、樹脂により解繊物
の繊維間を結着し、かつ、水素結合によって解繊物の繊維間を結着することができる。ま
た、本実施形態のシート製造装置100では、解繊物と添加物とを混合した混合物を得た
後に調湿が行われる。そのため、混合物を得る前に水分を添加する場合と比較して、シー
トS中で添加物を繊維の間により良好に分散させることができる。したがって、このよう
なシート製造装置100によれば、乾式法によって、耐水性が良好でかつ機械的強度の高
いシートSを製造することができる。
に置かれたり水に濡れたりして、解繊物間の水素結合の結合力が低下したとしても、樹脂
によって解繊物間の結着が維持されるため、機械的強度が保たれるとともに形状の変化を
生じにくく耐水性が良好である。
合物を調湿する調湿部40を有するので、乾燥した被解繊物を用いた場合や、低湿度環境
に設置された場合であっても、シートSを構成する繊維間の結着力としての水素結合を十
分に誘起することができる。
本実施形態のシート製造装置100は、上述の解繊部、混合部、調湿部、加熱部の他に
、粗砕部、分級部、加圧部、選別部、ほぐし部、堆積部、切断部等の各種の構成を有する
ことができる。また、解繊部、混合部、加熱部、粗砕部、分級部、加圧部、選別部、ほぐ
し部、堆積部、切断部等の構成は、必要に応じて複数設けられてもよい。
本実施形態のシート製造装置100は、加圧部60を有してもよい。図1に示すシート
製造装置100では、混合部30、調湿部40の下流側であって、加熱部50の上流側に
加圧部60が配置されている。加圧部60は、後述するほぐし部70、堆積部75を経て
、シート状に形成され、調湿されたウェブWを加熱せずに加圧するものである。従って、
加圧部60は、ヒーター等の加熱手段を有していない。すなわち、加圧部60は、いわゆ
るカレンダー処理を行う構成である。
隔(距離)が縮められ、ウェブWの密度を高める。加圧部60は、図1、3に示すように
、ローラーによりウェブWを挟み込んで加圧するように構成されており、一対の加圧ロー
ラー61を有している。一対の加圧ローラー61は、それぞれの中心軸は平行である。な
お、本実施形態のシート製造装置100の加圧部60は、ウェブWの搬送方向において上
流側に配置された第1加圧部60aとその下流側に配置された第2加圧部60bとを備え
、第1加圧部60a及び第2加圧部60bがそれぞれ一対の加圧ローラー61を備えてい
る。また、第1加圧部60aと第2加圧部60bとの間には、ウェブWの搬送を補助する
ガイドGが配置されている。
)の芯金62で構成されている。なお、加圧ローラー61の表面には無電解ニッケルメッ
キや四三酸化鉄被膜等の防錆処理、若しくはPFA(テトラフルオロエチレン・パーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の
フッ素を含むチューブやPTFE等のフッ素コーティングの離型層を形成してもよい。ま
た、芯金62と上記表層との間にシリコンゴム、ウレタンゴムやコットン等による弾性層
を設けてもよい。当該弾性層を設けることにより高荷重で圧接する加圧ローラー61対が
加圧ローラー61の軸方向において均一に接触させることができる。
た、加圧部60では、加熱されず加圧のみ行われるので、混合物中の水分はほとんど除去
されない。
60b)と加熱部50(第1加熱部50a,第2加熱部50b)とが備えられている。な
お、この例では加熱部50は、ウェブWに対して加圧を行うが、加圧部60の加圧力は、
加熱部50による加圧力より大きくなるように設定されることが好ましい。例えば、加圧
部60の加圧力は、500〜3000kgf、加熱部50の加圧力は、30〜200kg
fに設定することが好ましい。このように、加熱部50よりも加圧部60の加圧力の方を
大きくすることにより、加圧部60によってウェブWに含まれる繊維間の距離を十分短く
でき、その状態で加熱加圧することにより薄くて高密度で高強度のシートを形成すること
ができる。
51の径より加圧ローラー61の径の方が大きくなるように設定されている。換言すれば
、ウェブWの搬送方向において、上流側に配置された加圧ローラー61の径が、下流側に
配置された加熱ローラー51の径よりも大きくなっている。加圧ローラー61は径が大き
いので、未だ圧縮されていない状態のウェブWを噛み込ませて効率よく搬送することが可
能となる。一方、加圧ローラー61を通過したウェブWは圧縮された状態にあり、搬送し
やすいため、加圧ローラー61よりも下流側に配置された加熱ローラー51の径は小さく
てよい。これにより、装置構成を小型化することができる。なお、加熱ローラー51及び
加圧ローラー61の径は、製造されるウェブWの厚みや性質等に応じて適宜設定される。
0を採用し、加圧部60に加圧ローラー61を採用する場合には、加圧ローラー61の数
や配置は限定されず、上記作用を達成できる範囲で任意に構成することができる。
てウェブWが接触可能な部材は、ウェブWを下方から支えることが可能なウェブ受け部材
としてのガイドGのみである。従って、加圧ローラー61と加熱ローラー51との距離を
短くすることができる。また、加圧されたウェブWが速やかに加熱加圧されるため、ウェ
ブWのスプリングバックが抑制され高強度のシートを形成することができる。
成で備える場合は、薄くて高密度で高強度のシートに向いている。例えば、不織布よりも
紙に向いている。一方、加熱部50として平板状のプレス部を用いる場合は、比較的厚い
シートに向いている。これは、加熱ローラーを用いるよりも平板状のプレス部の方がウェ
ブWに対する接触時間を長く取れるので、厚みが大きくてウェブ全体に熱を伝わらせるの
に時間がかかるようなシートに向いている。なお、平板状のプレス部の上流側に加圧部6
0はなくてもよい。この場合は、加圧部60により高密度に圧縮しないので、比較的低密
度のシートに向いている。平板状のプレス部を用いるのは、紙よりも不織布の方が向いて
いる。なお、不織布の場合、シートとして形成されるときの繊維が低湿度であると、平板
状のプレス部で加熱加圧した後に厚さが大きくなることがある。このような場合でも調湿
後に平板状のプレス部で加熱加圧することで、加熱加圧後に厚さが変わってしまうことを
抑制できる。
図1に示すシート製造装置100では、混合部30の上流側であって、解繊部20の下
流側に分級部63が配置されている。分級部63は、解繊物から、樹脂粒、インク粒を分
離して除去する。これにより解繊物中の繊維の占める割合を高めることができる。分級部
63としては、気流式分級機を用いることが好ましい。気流式分級機は、旋回気流を発生
させ、遠心力と分級されるもののサイズと密度によって分離するものであり、気流の速度
および遠心力の調整によって、分級点を調整することができる。具体的には、分級部63
としては、サイクロン、エルボージェット、エディクラシファイヤーなどを用いる。特に
サイクロンは、構造が簡便であるため、分級部63として好適に用いることができる。以
下では、分級部63として、サイクロンを用いた場合について説明する。
方に位置し円筒部65と連続している逆円錐部66と、逆円錐部66の下部中央に設けら
れている下部排出口67と、円筒部65上部中央に設けられている上部排出口68と、を
有している。
m以上300mm以下程度の円筒部65で円周運動に変わる。これにより、導入された解
繊物には、遠心力がかかって、解繊物のうちの繊維と、解繊物のうちの樹脂粒やインク粒
などの微細な粉体と、に分離することができる。繊維が多い成分は、下部排出口67から
排出され、管86を通って混合部30に導入される。一方微細な粉体は、上部排出口68
から管84を通って分級部63の外部に排出される。図示の例では管84は、受け部69
に接続されており、微細な粉体は受け部69に回収される。このように、樹脂粒やインク
粒などの微細な粉体は、分級部63によって外部に排出されるため、後述する添加物供給
部88によって樹脂が供給されても、解繊物に対して樹脂が過剰になることを防ぐことが
できる。
はない。例えば繊維のうち比較的小さいものや密度の低いものは微粉とともに外部に排出
される場合がある。また微粉のうち比較的密度の高いものや繊維に絡まってしまったもの
は繊維とともに下流側へ排出される場合もある。
体が含まれていないため、シート製造装置100には分級部63が無くてもよい。逆に、
原料が古紙である場合には、製造されるシートの色調を良好なものとするために、シート
製造装置100は、分級部63を含んで構成することが好ましい。また、紙の方が不織布
よりも白色度が良好なことが求められる場合が多いため、紙の製造の際には分級部63を
有したほうがよく、不織布を製造する際には分級部63は無くてもよい場合がある。
シート製造装置100は粗砕部10を含んでもよい。図1に示すシート製造装置100
では、解繊部20の上流側に粗砕部10が配置されている。粗砕部10は、パルプシート
や投入されたシート(例えばA4サイズの古紙)などの原料を、空気中で裁断して被解繊
物にする。被解繊物の形状や大きさは、特に限定されないが、例えば、数cm角の被解繊
物である。図示の例では、粗砕部10は、粗砕刃11を有し、粗砕刃11によって、投入
された原料を裁断することができる。粗砕部10には、原料を連続的に投入するための自
動投入部(図示せず)が設けられていてもよい。
10によって裁断された被解繊物は、ホッパー15で受けてから管81を介して、解繊部
20へ搬送される。管81は、解繊部20の導入口21と連通している。
シート製造装置100は、ほぐし部70を有してもよい。図1に示すシート製造装置1
00では、混合部30の下流にほぐし部70及び堆積部75が配置されている。ほぐし部
70は、管86(混合部30)を通過した混合物を導入口71から導入し、空気中で分散
させながら降らせることができる。またこの例では、シート製造装置100は、堆積部7
5を有しており、堆積部75にて、ほぐし部70から降ってきた混合物を空気中で堆積し
てウェブWの形状に成形する態様となっている。
物供給部88から供給される添加物の樹脂が繊維状である場合、絡み合った樹脂をほぐす
。また、ほぐし部70は、後述する堆積部75に、混合物を均一に堆積させる作用を有す
る。つまり、「ほぐす」という言葉は、絡み合ったものをバラバラにする作用や均一に堆
積させる作用を含むものである。なお、ほぐし部70は、絡み合ったものが無ければ均一
に堆積させる効果を奏する。
によって回転することができる回転式の篩である。ここでほぐし部70の「篩」は、特定
の対象物を選別する機能を有していなくてもよい。すなわち、ほぐし部70として用いら
れる「篩」とは、網(フィルター、スクリーン)を備えたもの、という意味であり、ほぐ
し部70は、ほぐし部70に導入された解繊物および添加物の全てを降らしてもよい。
シート製造装置100は、堆積部75を有してもよい。ほぐし部70を通過した解繊物
および添加物は、堆積部75に堆積される。図1に示すように、堆積部75は、メッシュ
ベルト76、張架ローラー77、サクション機構78を有する。堆積部75は、図示せぬ
テンションローラー等を含んで構成されてもよい。
成するものである(ほぐし部70と合わせてウェブ形成工程に相当)。堆積部75は、ほ
ぐし部70によって空気中に均一に分散された混合物を、メッシュベルト76上に堆積す
る機構を有している。なお、ほぐし部70から降下する混合物を調湿するように調湿部4
0を構成してもよい。
7)によって張架されるメッシュが形成されているエンドレスのメッシュベルト76が配
されている。そして、張架ローラー77のうちの少なくとも1つが自転することで、この
メッシュベルト76が一方向に移動するようになっている。
気流を発生させる吸引部としてのサクション機構78が設けられている。サクション機構
78によって、ほぐし部70によって空気中に分散された混合物をメッシュベルト76上
に吸引することができる。これにより、空気中に分散させた混合物を吸引することができ
、ほぐし部70からの排出速度を大きくすることができる。その結果、シート製造装置1
00の生産性を高くすることができる。また、サクション機構78によって、混合物の落
下経路にダウンフローを形成することができ、落下中に解繊物や添加物が絡み合うことを
防ぐことができる。
とにより、混合物を均一に堆積させた長尺状のウェブWを形成することができる。ここで
「均一に堆積」とは、堆積された堆積物が略同じ厚み、略同じ密度で堆積されている状態
を言う。ただし、堆積物全てがシートとして製造される訳ではないため、シートになる部
分が均一であればよい。「不均一に堆積」は均一に堆積していない状態をいう。
混合物が堆積でき、気流を通過させることができれば、どのようなものでもあってもよい
。メッシュベルト76の穴径(直径)は、例えば、60μm以上250μm以下である。
メッシュベルト76の穴径が60μmより小さいと、サクション機構78によって安定し
た気流を形成することが困難な場合がある。メッシュベルトの穴径が250μmより大き
いと、メッシュの間に例えば混合物の繊維が入り込んで、製造されるシートの表面の凹凸
が大きくなる場合がある。またサクション機構78はメッシュベルト76の下に所望のサ
イズの窓を開けた密閉箱を形成し、窓以外から空気を吸引し箱内を外気より負圧にするこ
とで構成できる。
気を多く含み柔らかくふくらんだ状態のウェブWが形成される。次いで、図1に示すよう
に、メッシュベルト76上に形成されたウェブWは、メッシュベルト76の回転移動によ
り搬送される。そして、メッシュベルト76上に形成されたウェブWは、この例では、調
湿部40、加圧部60、加熱部50へと搬送される。
図示は省略するが、本実施形態のシート製造装置100は、選別部を有してもよい。選
別部は、解繊部20において解繊処理された解繊物を、繊維の長さによって選別すること
ができる。なお、上述の分級部63では、微細な樹脂粉等が取除かれると述べたが、選別
部はそのような機能を有してもよい。したがって、選別部は、解繊部20の下流で、ほぐ
し部70よりも上流に設けられる。また、選別部を設ける際には調湿部40よりも上流に
設けられる。
ター、スクリーン)を有し、網を通過可能な大きさのものと、通過できない大きさのもの
とを選別する。選別部は、上述のほぐし部70と同様に構成することができるが、ほぐし
部70のように導入された材料の全てを通過させるのではなく、一部の成分を除去する機
能を有する。選別部の例としては、モーターによって回転することができる回転式の篩で
ある。選別部の網は、金網、切れ目が入った金属板を引き延ばしたエキスパンドメタル、
金属板にプレス機等で穴を形成したパンチングメタルを用いることができる。
さい繊維又は粒子と、網の目開きの大きさより大きい繊維や未解繊片やダマとを分けるこ
とができる。そして、選別された物質は、製造されるシートに応じて選択して用いること
がでる。また、選別部によって取除かれた物質は、解繊部20に戻してもよい。
き、上記例示した構成を含めて目的に応じて複数の構成を適宜有することができる。各構
成の数や順序は特に限定されず、目的に応じて適宜に設計することができる。
本実施形態のシート製造装置100では、加熱部50よりも下流側には、ウェブW(加
熱部50を経たウェブWはシートSとなっている。)の搬送方向と交差する方向にシート
を切断する切断部90としての第1切断部90a及び第2切断部90bが配置されている
。切断部90は、必要に応じて設けられることができる。第1切断部90aは、カッター
を備え、連続状のシートSを所定の長さに設定された切断位置に従って枚葉状に裁断する
。また、第1切断部90aよりシートSの搬送方向の下流側には、シートSの搬送方向に
沿ってシートSを切断する第2切断部90bが配置されている。第2切断部90bは、カ
ッターを備え、シートSの搬送方向における所定の切断位置に従って裁断(切断)する。
これにより、所望するサイズのシートSが形成される。そして、切断されたシートSはス
タッカー95等に積載される。
を冷却する冷却部を設けてもよい。冷却部は、例えば冷却ローラー等によって構成するこ
とができる。冷却部を設けることにより、樹脂の冷却を迅速に行うことができ、シートS
の構造を早期に固定することができる。これにより、例えば装置のスループットの向上や
小型化に寄与することができる。
本実施形態のシート製造方法は、上述のシート製造装置100を用い、被解繊物を大気
中で解繊する解繊工程と、解繊された解繊物に樹脂を含む添加物を大気中で混合する混合
工程と、解繊物と添加物とを混合した混合物を調湿する調湿工程と、調湿した前記混合物
を加熱する加熱工程と、を含む。被解繊物、解繊物、繊維、樹脂、添加物、調湿、加熱等
は、上述のシート製造装置の項で述べたと同様であるため、詳細な説明を省略する。
気中で切断する工程、解繊された解繊物から不純物(トナーや紙力増強剤)や解繊によっ
て短くなった繊維(短繊維)を空気中で分級する分級工程、解繊物から長い繊維(長繊維
)や十分に解繊されなかった未解繊片を空気中で選別する選別工程、混合材を空気中で分
散させながら降らせる分散(ほぐし)工程、降ってきた混合材を空気中で堆積してウェブ
の形状に成形するシート成形工程、ウェブに圧力を印可する加圧工程、及び形成されたシ
ートを裁断する裁断工程からなる群より選択される少なくとも1つの工程を適宜の順序で
さらに含んでもよい。これらの工程の詳細は上述のシート製造装置の項で述べたと同様で
あるため、詳細な説明を省略する。
たシートSを製造することができる。このようなシート製造方法によって製造されるシー
トSは、例えば高湿度環境に置かれたり水に濡れたりして、解繊物間の水素結合の結合力
が低下したとしても、樹脂によって解繊物間の結着が維持されるため、機械的強度が保た
れるとともに形状の変化を生じにくく耐水性が良好である。さらに、このようなシート製
造方法によれば、解繊物と添加物とを混合した混合物を調湿する調湿工程を有するので、
乾燥した被解繊物を用いた場合や、低湿度環境に設置された場合であっても、シートSを
構成する繊維間の結着力としての水素結合を誘起することができる。これにより乾式法に
よって、耐水性が良好で、かつ、機械的強度の高いシートSを製造することができる。さ
らに、このようなシート製造方法では、解繊物と添加物とを混合する混合工程で得られた
混合物に対して調湿が行われるので、混合物を得る前に水分を添加する場合と比べて、シ
ートS中で添加物を繊維の間により良好に分散させることができる。そのため製造される
シートSの強度をさらに高めることができる。
本明細書において、「均一」との文言は、均一な分散や混合という場合には、2種以上
又は2相以上の成分を定義できる物体において、1つの成分の他の成分に対する相対的な
存在位置が、系全体において一様、又は系の各部分において互いに同一若しくは実質的に
等しいことを指す。また、着色の均一性や色調の均一性は、シートを平面視したときに色
の濃淡がなく、一様な濃度であることを指す。しかし、一様と言っても、全ての樹脂の距
離が同じではないし、濃度も完全に同じ濃度ではない場合を含むものとする。
ことを意味する言葉を用いている。これらは、等しいことが望ましいが、完全に等しくす
ることは難しいため、誤差やばらつきなどの累積で値が等しくならずにずれるのも含むも
のとする。
(湿式)であれば、水の作用によって添加物の凝集が抑制されるため、均一性の良好な混
合物を得ることや良好なシートを得ることは、比較的容易であった。しかし、現在のとこ
ろ再生紙を製造するにあたっては、古紙から再生紙まで一貫して乾式で製造する技術は必
ずしも十分には確立されていない。発明者の検討によれば、その理由の一つとして、繊維
と紙力増強剤(例えば樹脂粒子)とを混合する工程を乾式とすることの困難性にあること
が分ってきている。すなわち、乾式で単に何らの工夫なく、繊維と樹脂の粉体とを混合す
ると、繊維と樹脂の粉体とが十分に混ざり合わず、その状態でシート状に成形(堆積)し
て紙を得た場合、その紙面内における樹脂の分散が不均一となって機械的強度の不十分な
紙となることが分ってきている。また、乾式においては繊維と樹脂粒子とが混合された際
に、ファンデルワールス力等の凝集力によって樹脂粒子の凝集が生じやすく、不均一な分
散となりやすいことが分ってきている。
繊維を結着したと記載した。水分を添加しているので、水素結合も行われているが、繊維
にある程度の湿度を与えることで、添加物による繊維の結着がより強固になるとも考えら
れる。いずれにしても、繊維と添加物を混合した混合物を調湿することで、原料の状態や
装置の環境によらず、乾式であっても高強度のシートを作成することができる。
る。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(機能、方法及び
結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施
形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施
形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができ
る構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含
む。例えば、上記実施形態ではウェブWを単層としたが、複層としてもよいし、別に作成
された不織布や紙を積層してもよい。
、15…ホッパー、20…解繊部、21…導入口、22…排出口、30…混合部、40…
調湿部、50…加熱部、50a…第1加熱部、50b…第2加熱部、51…加熱ローラー
、52…芯金、53…離型層、54…加熱材、60…加圧部、60a…第1加圧部、60
b…第2加圧部、61…加圧ローラー、62…芯金、63…分級部、64…導入口、65
…円筒部、66…逆円錐部、67…下部排出口、68…上部排出口、69…受け部、70
…ほぐし部、71…導入口、75…堆積部、76…メッシュベルト、77…張架ローラー
、78…サクション機構、81,82,84,86…管、87…供給口、88…添加物供
給部、90…切断部、90a…第1切断部、90b…第2切断部、95…スタッカー、1
00…シート製造装置、G…ガイド、W…ウェブ、S…シート
Claims (6)
- 被解繊物を大気中で解繊する解繊部と、
解繊され水素結合し得る解繊物に、樹脂を含む粉末状の添加物を大気中で混合する混合部と、
前記解繊物と前記添加物とを混合した混合物を調湿する調湿部であって、調湿前の前記混合物100質量部に対して水分量が0.5質量部以上20質量部以下となるように調湿する調湿部と、
前記調湿部によって調湿された前記混合物を溶融させないで加圧する加圧部と、
前記加圧部によって加圧された前記混合物を加熱して結着させる加熱部と、を備える、シート製造装置。 - 前記解繊物中の繊維は、平均全長が1μm以上10mm以下、平均径が1μm以上1000μm以下であり、
前記添加物の粒径は、1μm以上50μm以下であり、
前記混合部は、前記解繊物に対して前記添加物の割合が5質量%以上70質量%以下となるように混合する、請求項1に記載のシート製造装置。 - 前記調湿部は、調湿前の前記混合物100質量部に対して水分量が5質量部以上12質量部以下となるように調湿する、請求項1又は請求項2に記載のシート製造装置。
- 前記混合部は、気流により流動している前記解繊物に前記添加物を供給する、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のシート製造装置。
- 前記加熱部は、加熱材が内蔵された一対の加熱ローラーを複数組み備え、各組の前記一対の加熱ローラーの間で前記混合物を加圧しつつ、加熱する、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のシート製造装置。
- 被解繊物を大気中で解繊する解繊工程と、
解繊され水素結合し得る解繊物に、樹脂を含む粉末状の添加物を大気中で混合する混合工程と、
前記解繊物と前記添加物とを混合した混合物を調湿する工程であって、調湿前の前記混合物100質量部に対して水分量が0.5質量部以上20質量部以下となるように調湿する調湿工程と、
前記調湿工程によって調湿された前記混合物を溶融させないで加圧する加圧工程と、
前記加圧工程によって加圧された前記混合物を加熱して結着させる加熱工程と、を含む、シート製造方法。
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