JP6443369B2 - 真空バルブ - Google Patents

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Description

この発明は、真空遮断器に搭載される真空バルブに関する。
従来、真空遮断器に搭載される真空バルブの電極として、平板電極、スパイラル電極、縦磁界電極などが用いられている。
平板電極は、平板状の電極であり、構造が単純であるため製造しやすいという特徴がある。しかしながら、遮断の際にアークエネルギーがアークの発弧した位置に集中するので、局所的に電極表面の温度が上昇して金属蒸気の発生量が大きくなるため大電流に対する遮断性能が低い。このため、平板電極は、主に定格遮断電流の小さい真空バルブに適用される。
スパイラル電極は、円板状の電極を中央部から周辺部まで伸びたスパイラル溝で電極を複数に区画した構造である。この構造によって、遮断の際に中央部から電極周辺端部への電流路で形成される磁界の作用によりアークを回転駆動させることができる。平板電極に比べてアークの停滞がないため、局所的な電極表面の温度上昇を抑制することができる。このため、電極表面からの金属蒸気の発生を抑制して遮断性能を向上させることができる。
縦磁界電極は、電極の外側などにコイルを設けた構造である。このコイルに電流を流すことでアークと平行な軸方向磁界、いわゆる縦磁界を発生させる。この縦磁界によってアークが拡散されるのでアークの電流密度が低下し、スパイラル電極以上に電極表面の温度上昇を抑制することができる。スパイラル電極に比べて金属蒸気の発生を抑制することができるので、電極とアークシールドとの距離を短縮して真空バルブの径を小形化できるという長所がある。
縦磁界電極において、縦磁界によるアークへの拡散作用に加えてアークを移動させて遮断性能を向上させた真空バルブが開示されている(例えば、特許文献1参照)。この従来の真空バルブにおいては、縦磁界電極の電極表面に複数の突出部が電極を支持するリード棒の外径よりも周方向の外側に配置されている。この電極においては、遮断の際に複数の突出部に同時にアークが発生し、このアークの電流が複数の突出部からリード棒へ向かって径方向外側へ流れる。この径方向外側への電流路で形成される磁界の作用によりアークを移動させることができる。その結果、アークが拡散されることによるアークの電流密度の低下と、アークの移動による局所的な電極表面の温度上昇を抑制することができ、より遮断性能が向上するという効果が得られる。
特開平1−173531号公報(3−4頁、第2図)
従来の電極表面に複数の突出部を備えた電極では、多点発弧させアークエネルギーの分散を図ることで電極表面の温度上昇を抑制している。しかしながら、真空バルブを開極および閉極したときの衝撃が突出部にかかるため、長期的な使用で開閉動作を繰り返すと、突出部先端の高さや電極の平行度にずれが生じて、複数の突出部に接触荷重の不均衡が生じる。この結果、開極動作時に複数の突出部の離隔するタイミングにずれが生じる。すると、先に離隔する突出部は他の突出部より接圧が小さくなるため、接触抵抗が大きくなる。さらに、先に離隔した突出部に発生するアークのアーク電圧は、後に離隔する突出部の接触抵抗によって発生する電圧よりも大きい。このため、先に離隔した突出部に発生したアークは後に離隔する突出部に転流し、結局アークは最後に離隔する突出部に集約し、多点発弧とはならずに1個のみのアーク発生となるという問題があった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、複数の突出部を備えた電極で確実に多点発弧させてアークエネルギーの分散を図ることで高い遮断性能を確保できる真空バルブを得ることを目的とする。
この発明に係る真空バルブにおいては、真空容器と、この真空容器の内部に固定された固定電極と、この固定電極を支持する固定電極棒と、前記固定電極に対向して配置された可動電極と、この可動電極を支持する可動電極棒と、前記真空容器の内部に固定され、前記固定電極棒および前記可動電極棒の少なくとも一方を取り囲む磁性体とを備え、前記固定電極および前記可動電極の少なくとも一方の電極は、電極間の対向面に2以上の自然数であるn個の突出部を備えており、前記突出部を備えた電極を支持する前記固定電極棒または前記可電極棒は、その電極棒の軸方向に沿ってn個に分割された分割電極棒で構成されおり、前記磁性体は、前記分割電極棒で構成された電極棒を取り囲んでいるものである。
この発明は、
固定電極および可動電極の少なくとも一方の電極は、電極間の対向面にn個の突出部を備え、突出部を備えた電極を支持する電極棒は軸方向に沿ってn個に分割された分割電極棒で構成され、磁性体は、前記分割電極棒で構成された電極棒を取り囲んでいるので、確実に多点発弧させてアークエネルギーの分散を図ることができる。
この発明の実施の形態1を示す開閉装置の断面模式図である。 この発明の実施の形態1を示す真空バルブの断面模式図である。 この発明の実施の形態1における真空バルブの断面図である。 この発明の実施の形態1における可動電極の斜視図を示す。 この発明の実施の形態1における電極の上面図を示す。 この発明の実施の形態1における真空バルブの開極状態の模式図である。 この発明の実施の形態1における真空バルブの開極状態の回路図である。 この発明の実施の形態1における真空バルブの電流特性図である。 この発明の実施の形態1における電極の上面図および断面図を示す。 この発明の実施の形態2を示す真空バルブの断面模式図である。 この発明の実施の形態2における真空バルブの断面図である。 この発明の実施の形態2を示す真空バルブの断面模式図である。
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1における開閉装置の断面模式図である。図1に示すように、本実施の形態の開閉装置1は、遮断部2と開閉機構部3とで構成されている。開閉機構部3の駆動力発生部3aの駆動力は、ピン4を介して駆動レバー5に伝達される。駆動レバー5は、支持台7に固定された水平軸6を中心として回転可能である。駆動レバー5の端部には、連結部材8が取り付けられており、駆動レバー5の回転により連結部材8は上下方向に駆動される。この連結部材8の上下方向の駆動によって、連結部材8の上部に取り付けられた操作ロッド9を介して絶縁ロッド10が上下方向に駆動される。絶縁ロッド10の上部には、接続部材11を介して真空バルブ20の可動電極棒21が取り付けられている。真空バルブ20の可動電極棒21の先端部には、可動電極22が取り付けられている。真空バルブ20の固定電極棒23の先端部には、固定電極24が取り付けられており、この固定電極24と可動電極22とが接触および離隔することで、遮断部2において電流の投入および遮断が行われる。なお、後述するが、可動電極棒21および固定電極棒23は、それぞれ可動電極22および固定電極24との接続側で複数の分割電極棒に分割されている。
真空バルブ20の固定電極棒23は、引出端子13aを挟んで真空バルブの固定部14に固定されている。また、真空バルブ20の可動電極棒21には、フレッキシブル導体15の一端が接続されている。フレッキシブル導体15の他端は、端子支持部16に固定されている。フレッキシブル導体15は、端子支持部16で引出端子13bと電気的に接続されている。引出端子13aおよび引出端子13bは、それぞれ端子入出力部17a、17bにより絶縁フレーム18に固定されている。引出端子13aおよび引出端子13bは、絶縁フレーム18によって支持台7とは電気的に絶縁されている。
図1において、支持台7、開閉機構部3、駆動レバー5、連結部材8および操作ロッド9は電気的に接地されている。系統電流の流れる経路は、引出端子13a、固定電極棒23、固定電極24、可動電極22、可動電極棒21、フレッキシブル導体15および引出端子13bの経路である。電流投入状態では、固定電極24と可動電極22とが接触しており、上述した経路で電流が流れる。電流遮断時には、開閉機構部3の駆動力が駆動レバー5などを介して伝わり、可動電極22が、例えば1m/sという高速度で下に動くことで固定電極24と可動電極22とが離隔される。
開閉装置は、定格電圧や通電電流などに応じて必要な性能が規格によって定められている。ここで、開極ギャップ長を、開閉装置が「開状態」にあるときの固定電極24と可動電極22との間の距離とする。この開極ギャップ長は開閉装置に必要な耐電圧性能が確保される距離である。ここで、開閉装置に開極指令を出したときの開極動作時間を、固定電極24から可動電極22が離れた瞬間から、可動電極22が固定電極24から開極ギャップ長だけ離れた位置まで移動するのに要する時間と定義する。したがって、開極ギャップ長が10mmで、可動電極22の開極速度が一定値1m/sであると、開極動作時間は10msとなる。
図2は、本実施の形態に係わる真空バルブ20の断面模式図である。図2に示すように、本実施の形態の真空バルブ20は、絶縁筒28と絶縁筒28の各端部の開口を塞ぐ固定側端板29と可動側端板30とで真空容器が構成されており、内部が高真空状態になっている。
真空バルブ20の内部では、固定側端板29を貫通した固定電極棒23は、分割されていない部位27の先端に固定側の分割電極棒26が設けられている。さらに、固定電極24の表面であって可動電極22と対向する面に複数の突出部36が設けられている。固定側の分割電極棒26の各々は、固定電極24の各突出部36の裏側で固定電極24に固着されている。なお、固定電極および可動電極は、それぞれ固定接点および可動接点という場合もある。
同様に、可動側端板30を貫通した可動電極棒21は、分割されていない部位27の先端に可動側の分割電極棒25が設けられている。さらに、可動電極22の表面であって固定電極24と対向する面に複数の突出部36が設けられている。可動側の分割電極棒25の各々は、可動電極22の各突出部36の裏側で可動電極22に固着されている。
なお、本実施の形態においては、可動電極22および固定電極24にそれぞれ設けられた突出部36は3個であり、可動側の分割電極棒25および固定側の分割電極棒26もそれぞれ3本である。なお、突出部の個数は2個から5個程度であり、目安として遮断電流を突出部の数で割った値が約10kAとなるようにその個数を設定することが好ましい。
可動電極棒の分割されていない部位27と可動側の分割電極棒25の接合部にベローズカバー32を設け、ベローズ31を介して可動側端板30と接合する。ベローズ31は伸縮可能であるので、図1の開閉機構部3の駆動により可動電極棒21が軸方向で移動するのを可能にしている。また、絶縁筒28の内面には、固定電極24、可動電極22、固定側の分割電極棒26および可動側の分割電極棒25を囲む円筒状のアークシールド33が設けられている。このアークシールド33は、電極間のアークで発生する金属蒸気が絶縁筒28の内面に付着して固定側端板29と可動側端板30との間の耐電圧性が低下するのを防ぐために設けられている。本実施の形態においては、このアークシールド33を鉄などの磁性体で構成している。
また、アークシールド33は、絶縁筒28に内接して固定されており、電位を持つ固定電極24や可動電極22などとは接触していないため浮遊電位となっている。
図3は、図2におけるA−A断面図である。図3に示すように、可動側の分割電極棒25は、3本で構成されており絶縁筒28の中心付近に各々が接触しないようにギャップを開けて配置されている。
図4は可動電極22の斜視図を示す。可動電極22の表面には3つの突出部36が設けられている。可動側の分割電極棒25も3つに分かれており、それぞれが円柱状となっている。突出部36は可動電極22の縁部周辺に設けられ、突出高さhをもつ。可動電極22の裏面で可動側の分割電極棒25が可動電極22を挟んで突出部と対向する位置に取り付けられているが、この取り付け位置を突出部36と直列の位置と表現する。固定電極24と固定側の分割電極棒26との接続も同様で、固定電極24の裏面で突出部36と直列する位置に固定側の分割電極棒26が接続されている。なお、図4において、可動側の分割電極棒25には図2と対応が付きやすいように図2と同じハッチングを付けている。
図2および図4に示したように、固定電極と可動電極とに設けた突出部が対向するように配置されているので、閉極状態においては固定側の分割電極棒26−固定電極の突出部36−可動電極22の突出部36−可動側の分割電極棒25とが直列して3つの通電経路が形成されている。
図5は固定電極24および可動電極22の上面図である。図5において、突出部36は紙面に対して手前側に突出しており、突出部36は灰色で示されている。図5(a)に示すように、突出部は電極の周辺部半径Rの扇形でありその外周部の長さをαとする。これは、この外周部の長さαと図3に示した突出高さhを調整して、固定電極24と可動電極22とが開極するときの最終離隔点が必ず突出部となるようにする。図5(b)では突出部の半径Rおよび外周部の長さαを図5(a)に示したRおよびαよりもそれぞれ大きくした例である。この例は、突出高さhが小さくても開極する時の最終離隔点が必ず突出部となるように突出部の面積を大きくしたものである。
突出部は円板状の接点材料から削り出しで形成することが可能である。すなわち、図5の白い部分を機械加工で削り、突出部36を残す。このため、突出高さhが小さい方が電極の加工の手間が省けるという効果がある。また、後述する遮断時のアークによるエネルギー注入による突出部36の温度上昇を抑制するという点でも、図5(b)の方が突出部36から電極本体に熱を拡散する効率が高いため有利である。
なお、図5(a)に示したように、本実施の形態においては、突出部の面積すなわち固定電極24と可動電極22との接触面積が小さいため、単位面積当たりの圧接力が大きくなるので、小さい接圧で接触抵抗が確保できるという利点がある。このため、遮断電流が小さい真空バルブでは、図5(a)の構造とすることで開閉機構を小形化できる。
図1に示したように、真空バルブ20は可動電極棒21の軸方向の移動に追従して可動電極22が固定電極24側に移動することで電流の投入(閉極)および遮断(開極)が行われる。遮断の際には、固定電極24と可動電極22とが離れ、固定電極24の突出部36と、可動電極22の突出部36との間にアークが点弧する。アークが発生した状態において、固定側の分割電極棒26−固定電極の突出部36−アーク34−可動電極22の突出部36−可動側の分割電極棒25が直列し、3つの通電経路を形成する。この時、アークによって加熱された電極接触面から金属蒸気が発生するが、真空バルブ20は、アークシールド33を備えているので、金属蒸気が絶縁筒28の内面に付着して、沿面耐電圧が低下するのを防止している。
図6は、本実施の形態の真空バルブにおいて、遮断のために固定電極24と可動電極22とが開極し始めた瞬間の模式図である。突出部36の高さや電極22、24の平行度にずれが生じた結果、開極動作時に3つの突出部36の離隔するタイミングにずれが生じる。図6では、3本の分割電極棒をそれぞれA、B、Cで示しており、その内の一つであるAに対応する突出部が最初に離隔してアーク34が点弧した状態を示す。
図7は、図6に示した真空バルブの開極開始の状態を等価回路で示した回路図である。図7において、上述の3つの通電経路をそれぞれの分割電極棒のA、B、Cに対応させて電流路A、電流路B、電流路Cで示している。それぞれの電流路において、分割電極棒とアークシールド間に形成されたインダクタンスをLとして示している。それぞれの分割電極棒とアークシールドとの距離は同じとして各電流路のインダクタンスの大きさは等しい(L)とする。真空バルブ20にはAC電源が接続されており、閉極状態では電流Iが流れているとする。図6に示すように電流路Aにアークが発生し、電流Iは分割電極棒により分流され、電流路Aには電流Iが流れているとする。このとき、電流路Aにアーク電圧Uが発生したとする。アークの発生していない電流路Bおよび電流路Cを流れる電流を合計してIB+Cとすると、次の(1)式が成り立つ。
I=I+IB+C (1)
電流路A、BおよびCの両端の電圧は等しいので、次の(2)式が成り立つ。
+L・dI/dt=L/2・dIB+C/dt (2)
ここで、電流路Aに対応する突出部が最初に離隔してアークが点孤した瞬間を時間t=0とする。
(1)式と(2)式とからIB+Cを消去すると、(3)式が成り立つ。
dI/dt=1/3・dI/dt−2/(3L)・U (3)
AC電源の電流Iは60Hzの交流電流とし、ピーク電流値をIとすると、
I=I・sin(ωt+α) (4)
となる。ここで、ωは角速度60×2π(rad)であり、αを開極位相(rad)とする。
(3)式と(4)式とからIの時間特性を求めると、次の(5)式が得られる。
=1/3・I・sin(ωt+α)−2/(3L)・U・t (5)
図8は、Iの時間変化を(5)式から算出して示したものである。ここで、I=40kA(実効値)、U=20Vとしている。図8には、合わせてIB+Cの時間変化も示している。図8において、Iは実線、IB+Cは破線で示している。図8の時間軸の0における開極位相αは、開閉装置の遮断時の最も厳しい条件として、電流ピーク時(I・sin(ωt+α)=±I、すなわちα=π/2、3π/2)としている。また、図8において、図8(a)はL=0.1μH、図8(b)はL=0.5μH、図8(c)はL=1μHとした場合である。
電流路Aに対応する突出部が離隔した直後は、アークプラズマによって対向する突出部間のギャップがアークで架橋された状態にある。しかし、電流Iが上述のように0.1msで減衰すると、アークプラズマの発生が継続しないため、離隔直後のアークプラズマは拡散してしまいアークが維持されない。開極距離が大きくなってもアークが維持されるためには、突出部間のギャップが0.5mmとなった時点において、ピーク電流値の1/10以上の電流が流れている必要がある。これは、電流路Aに対応する突出部間のギャップが0.5mm以上になると、電流路BおよびCに対応する突出部間も離隔してアークが発生するため、電流路A、B、Cの全てにアーク電圧Uが生じる。この結果、LとUとによる3つの電流路が並列する回路となるため、以後は電流路A、B、Cの全てに電流が流れ、アークが維持される。
なお、これ以降アーク電流がピーク電流値から1/10の電流に減衰するまでの時間をアーク電流の減衰時間と呼ぶ。可動電極22の開極速度が1m/sとすると、突出部間のギャップが0.5mmとなるのは、電流路Aで固定電極と可動電極とが離隔してから0.5ms後であり、この間アークが発生している必要がある。
L=0.1μHでは図8(a)のように、電流路Aの電流Iは0.1ms後にピーク値の1/10まで減衰している。この時間の間にIB+Cが立ち上がっている。これは、電流路Aを流れていた電流が0.1ms後には電流路BやCに転流していることを示す。したがって、電流路Aのアークは長時間維持されず、最後に離隔する突出部にアークが移動することを示している。
L=0.5μHでは図8(b)のように、電流路Aの電流Iはアーク電流の減衰時間0.5ms、すなわち、アークが発生してから0.5ms後にピーク電流値の1/10まで減衰している。電流路Aの電流Iが維持される時間がアーク維持のために必要な時間0.5msと同等のため、3つの突出部にアークが並列して発生することになる。
L=1μHでは図8(c)のように、電流路Aの電流Iは約1.0msの間ピーク値の1/10以上維持され、約0.6msの間電流10kA(Iのピーク値の約20%)以上が電流路Aを流れていることを示している。この間IB+C電流が徐々に増加するが、電流路Bおよび電流路Cに対応する突出部が離隔してアーク電圧Uが発生するため、電流路Aの電流Iが維持され確実に3点でアークが点弧することになる。
図8(c)に示すように電流路Aの電流Iは約1.5ms維持されこの間IB+C電流が徐々に増加する状態であれば、さらに確実に3つの突出部でアークが点孤しているので、アークによる電極へのエネルギー注入を3箇所に分散させることができる。その結果、アークが1箇所集中したときのような局所的な電極表面の温度上昇を抑制し、遮断性能を向上させることができる。
本実施の形態における開閉装置において、アークが維持されるために必要な減衰時間は0.5msで、開極ギャップ長までの開極動作時間は10msである。したがって、アーク電流の減衰時間が開極動作時間の1/20以上であれば、アークが多点で点孤してアークによる電極へのエネルギー注入を複数の箇所に分散させることができる。
なお、本実施の形態の真空バルブにおいては、3個の突出部を固定電極および可動電極の両方の設けた例を示したが、どちらか一方の電極のみに突出部を設けてもよい。同様に、3本の分割電極棒を固定電極および可動電極の両方に設けた例を示したが、どちらか一方の突出部を設けた電極側に設けてもよい。
以上説明したように、本実施の形態の真空バルブにおいては、固定電極および可動電極の少なくとも一方の電極に電極間の対向面にn個の突出部を設け、突出部を備えた電極を支持する電極棒を軸方向に沿ってn個に分割された分割電極棒で構成し、この分割電極棒で構成された電極棒を取り囲む磁性体を配置しているので、確実に多点発弧させてアークエネルギーの分散を図ることができる。
また、分割電極棒と磁性体との間に発生するインダクタンスの値と電極間に発生するアークのアーク電圧と電極間に印加される交流電力の時間特性とで算出されるアーク電流の減衰時間を開極動作時間の1/20以上となるように設定しているので、アークが多点で点孤してアークによる電極へのエネルギー注入を複数の箇所に分散させることができる。
さらには、分割電極棒で構成された電極棒を取り囲む磁性体としてアークシールドを用いているので、新たな部材を追加する必要もない。
なお、本実施の形態において、固定電極および可動電極の突出部は図5に示したように電極の周辺部に扇形の形状で形成したが、別の形状であってもよい。図9は、本実施の形態における別の形状をもつ電極の上面図および断面図を示す。図9(a)は上面図であり、灰色に塗った突出部36が上側(手前側)に位置している。図9(b)はB−B断面図である。この別の形状をもつ電極の突出部は図9(a)に示すように帯状であり、図9(b)に示すように電極22、24と滑らかな段差で接続されている。鋭角的な突起部がないため電極表面の電界緩和が向上するので、定格電圧の高い真空バルブに適している。また、図5に示した突出部に比べて、突出部を形成するための電極の削り量が減るため、電極の材料に無駄が少なく加工しやすいという長所をもつ。突出部36の周辺長さα3を長くすることで、固定電極24と可動電極22が開極する時の最終離間点が必ず突出部となるように調整することもできる。さらには、遮断時のアークによるエネルギー注入によって発生する突出部の熱を電極本体へ拡散する効率も高くなる。
また、本実施の形態において、アークシールド33は絶縁筒28に内接している。これは、電極棒に交流電流が流れることで、磁性体で形成されたアークシールドにうず電流が流れて発生する熱を、絶縁筒に拡散させることで温度上昇を抑制するためである。
実施の形態2.
図10は、実施の形態2に係わる真空バルブ20の断面模式図である。図10に示すように、本実施の形態の真空バルブ20は、図2で示した実施の形態1の真空バルブの構造と同様であるが、実施の形態1と異なる点が二つある。一つは、分割電極棒25、26を囲む磁性体として実施の形態1では磁性体で構成されたアークシールドが配置されていたが、本実施の形態においては、アークシールド33は磁性体ではない金属、例えばステンレス鋼や銅で形成されている点である。もう一つは、分割電極棒25、26を囲む磁性体として分割電極棒25,26を軸方向に覆う円筒状の電極棒カバー37が設けられている点である。なお、電極棒カバー37は、可動電極22および固定電極24と電気的に接続されている。
図11は、図10におけるC−C断面図である。図11に示すように、可動側の分割電極棒25は、3本で構成されており絶縁筒28の中心にギャップを開けて配置されている。電極棒カバー37は、分割電極棒25の外周を取り囲んでいる。
このように構成された真空バルブは、実施の形態1と同様に、固定電極および可動電極の少なくとも一方の電極に電極間の対向面にn個の突出部を設け、突出部を備えた電極を支持する電極棒を軸方向に沿ってn個に分割された分割電極棒で構成し、この前記分割電極棒で構成された電極棒を取り囲む磁性体を配置しているので、確実に多点発弧させてアークエネルギーの分散を図ることができる。
また、分割電極棒と電極棒カバーとの間の距離が分割電極棒とアークシールドとの間の距離より短くなるので、磁性体を同じ厚さでかつ長さとした場合、実施の形態1よりもインダクタンスLを大きくすることができるという効果がある。
なお、電極棒カバーはアークシールドに比べると、遮断の際に電極間のアークで発生する金属蒸気の付着量が少ない。このため、電極棒カバーでは、高温の金属蒸気による変形や損傷が起こらないので、分割電極棒と電極棒カバーとの間のインダクタンスの値の変動が小さい。また、磁性体としての電極棒カバーを可動電極または固定電極と同電位としているので、たとえ金属蒸気の付着が起こったとしても分割電極棒と電極棒カバーとの間のインダクタンスの値の変動は小さい。さらには、可動電極側の分割電極棒と電極棒カバーとは同時に動くので、電流の投入および遮断動作による分割電極棒と電極棒カバーとの間のインダクタンスの値の変動はない。これらのことにより、分割電極棒と電極棒カバーとの間のインダクタンスの値の変動が少なく、安定したアークの転流抑制効果が得られる。
実施の形態3.
図12は、実施の形態3に係わる真空バルブ20の断面模式図である。図12に示すように、本実施の形態の真空バルブ20は、図2で示した実施の形態1の真空バルブの構造と同様であるが、実施の形態1と異なる点が二つある。一つは、実施の形態1ではアークシールドの断面形状は直線状となっているが、本実施の形態ではアークシールド33の両端に直径が小さい部位39が設けられている点である。なお、アークシールド33は、実施の形態1と同様、磁性体で構成されている。もう一つは、実施の形態1は固定側の分割電極棒と可動側の分割電極棒とはが直線的な円柱状となっているが、本実施の形態では固定側の分割電極棒26と可動側の分割電極棒25とに屈曲部38が設けられている点である。屈曲部38によって固定電極24または可動電極22に近い側の分極電極棒同士の間隔が、電極棒の分割されていない部位27に近い側の分極電極棒同士の間隔よりも広くなっている。屈曲部38が設けられていることで電極棒の分割されていない部位27よりも固定電極24および可動電極22の直径を大きくすることができる。
このように構成された真空バルブにおいては、実施の形態1と同様に、固定電極および可動電極の少なくとも一方の電極に電極間の対向面にn個の突出部を設け、突出部を備えた電極を支持する電極棒を軸方向に沿ってn個に分割された分割電極棒で構成し、この前記分割電極棒で構成された電極棒を取り囲む磁性体を配置しているので、確実に多点発弧させてアークエネルギーの分散を図ることができる。
また、固定電極24および可動電極22の直径を大きくすることで、突出部36の一つ当りの表面積が大きくなり突出部の熱容量が増大する。その結果、電極表面からの金属蒸気の発生を抑制することができるので、遮断性能が向上するという効果がある。
さらに、アークシールド33の両端に直径が小さい部位39を設けることで、遮断の際に固定電極24および可動電極22から発生する金属蒸気を捕捉する機能が向上する。これにより、絶縁筒28の内面に金属蒸気が付着して絶縁筒28の沿面耐電圧が低下するのを抑制する効果が向上する。
1 開閉装置、 2 遮断部、 3 開閉機構部、 4 ピン、 5 駆動レバー
6 水平軸、 7 支持台、 8 連結部材、 9 操作ロッド
10 絶縁ロッド、 11 接続部材、 14 固定部、 15 フレッキシブル導体
16 端子支持部、 18 絶縁フレーム
20 真空バルブ、 21 可動電極棒、 22 可動電極、 23 固定電極棒
24 固定電極、 25、26 分割電極棒、 28 絶縁筒
29 固定側端板、 30 可動側端板、 31 ベローズ、 32 ベローズカバー
33 アークシールド、34 アーク、 36 突出部、 38 屈曲部

Claims (6)

  1. 真空容器と、
    この真空容器の内部に固定された固定電極と、
    この固定電極を支持する固定電極棒と、
    前記固定電極に対向して配置された可動電極と、
    この可動電極を支持する可動電極棒と、
    前記真空容器の内部に固定され、前記固定電極棒および前記可動電極棒の少なくとも一方
    を取り囲む磁性体と
    を備えた真空バルブであって、
    前記固定電極および前記可動電極の少なくとも一方の電極は、電極間の対向面に2以上の自然数であるn個の突出部を備えており、
    前記突出部を備えた電極を支持する前記固定電極棒または前記可動電極棒は、その電極棒
    の軸方向に沿って前記n個に分割された分割電極棒で構成されおり、
    前記磁性体は、前記分割電極棒で構成された電極棒を取り囲んでおり、
    前記分割電極棒と前記磁性体との間に発生するインダクタンスの値は、
    当該インダクタンスの値と電極間に発生するアークのアーク電圧と電極間に印加される交
    流電力の時間特性とで算出されるアーク電流の減衰時間が開極動作時間の1/20以上と
    なるように設定される
    ことを特徴とする真空バルブ。
  2. 真空容器と、
    この真空容器の内部に固定された固定電極と、
    この固定電極を支持する固定電極棒と、
    前記固定電極に対向して配置された可動電極と、
    この可動電極を支持する可動電極棒と、
    前記真空容器の内部に固定され、前記固定電極棒および前記可動電極棒の少なくとも一方
    を取り囲む磁性体と
    を備えた真空バルブであって、
    前記固定電極および前記可動電極の少なくとも一方の電極は、電極間の対向面に2以上の自然数であるn個の突出部を備えており、
    前記突出部を備えた電極を支持する前記固定電極棒または前記可動電極棒は、その電極棒
    の軸方向に沿って前記n個に分割された分割電極棒で構成されおり、
    前記磁性体は、前記分割電極棒で構成された電極棒を取り囲む電極棒カバーである
    ことを特徴とする真空バルブ。
  3. 前記分割電極棒と前記磁性体との間に発生するインダクタンスの値は、0.1μHより大きい
    ことを特徴とする請求項1に記載の真空バルブ。
  4. 前記n個の前記電極棒と前記n個の前記突出部とは、前記突出部を備えた電極を挟んでそれぞれ
    対向配置されている
    ことを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の真空バルブ。
  5. 前記磁性体は、前記固定電極および前記可動電極の外周部並びに前記分割電極棒を取り囲
    むアークシールドである
    ことを特徴とする請求項1に記載の真空バルブ。
  6. 前記分割電極棒は、前記固定電極および前記可動電極に近い側で前記分極電極棒同士の間
    隔が拡大するように屈曲部が設けられており、
    前記アークシールドの両端に直径が小さい部位が設けられている
    ことを特徴とする請求項5に記載の真空バルブ。
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