JP6442820B2 - 針状体の製造方法 - Google Patents
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したがって、高熱で溶融した針状体材料を針状体複製版を用いて圧縮成形を行なうことで針状体を得ることができ、特に針状体複製版に耐久性を持たせ、繰返し使用できることにより安価に針状体を製造する上で有利となる。
特に、寸法が小さく且つアスペクト比の高い構造を有する針状体を針状体複製版から剥離する場合においては、剥離時の極僅かな傾斜や軸ずれによって、成形品の針状体が容易に破損するため、高い精度で成形品表面と針状体複製版表面との平行を維持し、剥離に際して、成型体全体に対し均一な力を加えないと、成型体の凹部が特に破損しやすい。よって、且つ剥離方向の軸ずれに対して機械的に耐久性をもちかつ耐熱性がある転写版が必要となる。
生体適合性を備えた材料としては、例えば、ポリ乳酸、ポリカーボネートなどのポリマーが挙げられる。
図2(a)〜(f)は、実施の形態の針状体の製造方法を示した概略図である。本発明で用いる針状体複製版201は、針状体の凹部の形状を凹凸反転した凹部パターンを備える。また、図示されるように、針状体複製版201の表面と凹部202の内周面とは、一定の角度を成している。
針状体501は、針状体複製版201を用いた転写成形法により製造される。具体的には、針状部503は、針状体複製版201の表面に形成される凹部パターンの形状を凹凸反転した形状に形成される。言い換えると、針状体複製版201の表面には、針状部503に対応する凹部202が形成されている。
本発明の針状体複製版を作製する方法については特に制限されず、適宜公知の微細加工技術を用いて作製しても良い。また、微細加工技術を用いて所望の針状体形状を有する原版を作製し、原版からの転写成形工程によって針状体複製版を作製しても良い。ここでは、微細加工技術を用いて所望の針状体形状を有する原版を作製し、原版からの転写成形工程によって針状体複製版を作製し、針状体複製版を用いた転写成形工程によって針状体を得る方法を例に説明する。
まず、図1に示す原版材料を準備し、微細加工技術を用いて針状体原版101を作製する。
針状体原版101は、原版側基板103と、原版側基板103の表面から突設された針状部503と同形状の原版側針状部105とを備えるものである。
針状体原版101の作製方法については、特に制限は無い。針状体の作製方法は、公知の手法を用いて良く、機械加工もしくは半導体製造に用いられる微細加工を用いることができる。このとき、基材としては、材質は特に制限されず、加工適性や、材料の入手容易性などから材質を選択することが望ましい。例えば、SUSやアルミ、チタン等の金属材料、アルミナ、窒化アルミニウム、マシナブルセラミックスなどのセラミックス、また、シリコンやガラスなどの硬脆性材料、アクリルやポリアセタールなどの有機材料が挙げられる。作製する針状体の形状に応じて適宜公知の製造方法を用いて良い。例えば、微細加工技術によって所望するパターン形状を有する針状体原版101を作製しても良い。ここで、微細加工技術としては、例えば、リソグラフィ法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、サンドブラスト法、レーザー加工法、精密機械加工法などを用いても良い。原版材料101についての制限は特に無く、微細加工に用いる方法に適する材料を選択することができる。
次に、図2に示す針状体原版から針状体複製版を製造する方法について説明する。図2(a)、(b)、(c)に示すように、針状体原版101に複製版材料300を充填する。このときシリコーン樹脂モノマー301にシリカフィラー302などの添加剤等を加えることによって複製版材料300を構成することで、その後の工程を良好に進めることが可能となる。
複製版材料300を硬化させた後、図2(d)に示すように、針状体原版101から剥離することで凹型に複製された針状体複製版201を作製することができる。すなわち、硬化された複製版材料300を針状体原版101の表面から剥離することにより複製版材料300からなり表面に針状部503に対応する凹部202が形成された針状体複製版201を作製する。
針状体複製版201を作製することで、同一の針状体複製版201から多量の針状体501を製造することが出来るため、生産コストを抑制し、生産性を高めることが可能となる。
フィラー302の粒径が10nm〜100μmの範囲内であると、製造のしやすさを確保しつつ、針状体複製版201の品質を確保する点で有利となる。
フィラー302の粒径が上記範囲を下回ると、フィラー302(粒子)の分散性が悪くなるため、シリコーン樹脂モノマー301に対してフィラー302が混ざりにくくなる点で不利となる。
フィラー302の粒径が上記範囲を上回ると、フィラー302の粒径が針状部503に対応する凹部202の寸法と同等もしくはそれ以上となるため、針状体複製版201の品質を確保する点で不利となる。
また、複製版材料300、および複製版材料300を充填する方法は特に制限されないが、複製版材料300(充填材料)の線膨張係数が、針状体材料510の線膨張計数よりも小さいことが好ましい。
次に、針状体複製版201を用いた転写成型工程について説明する。図2(e)に示すように、針状体複製版201に成形材としての針状体材料510を充填する。
すなわち、針状体複製版201の凹部202を含む表面に針状体材料510を配置する工程と、針状体材料510を針状体複製版201に対して加圧すると共に、針状体材料510を加熱溶融して針状体複製版201の凹部202を含む表面に充填する工程とを行なう。本実施の形態では、針状体材料510の加圧、加熱溶融を熱プレス装置401を用いて行なう。
針状体材料510は特に制限されないが、穿刺部となる針状部503においては生体適合性材料であるポリ乳酸、ポリカーボネート、ポリグリコール酸等を用いることが好ましい。生体適合性材料を用いれば、針状部503が折れて体内に取り残された場合も、無害であるという効果を有する。針状体材料510、および転写成形方法は特に制限されず、適宜公知の成形材料と転写成形方法を用いることができるが、針状体材料510としては、生体適合性を備えた材料が好ましく、転写成形工程において溶融成形するため、熱可塑性の樹脂材料を好適に用いることができる。このときの針状体材料510の充填方法についての制限は無いが、生産性の観点から、インプリント法、ホットエンボス法、射出成形法、押し出し成形法およびキャスティング法などの公知の樹脂成形法を用いてもよい。また、ここでは針状体の製造方法として、ポリマー成形の例を示したが、本発明の針状体の製造方法はこれに限られるものではなく、適宜公知の加工技術を用いて作製されてもよい。
針状体材料510に熱可塑性の樹脂を用い、転写成形工程において針状体材料510を溶融して転写を実施する場合は、転写成形後に針状体材料510と針状体複製版201を一括して室温まで冷却しても良い。針状体材料510として熱可塑性の樹脂を、針状体複製版201として金属版を用いた場合、両者の線膨張係数の差から針状体材料510の収縮量が針状体複製版201よりも大きくなり、図2に示されるように、針状体複製版201の凹部202の内周面の傾斜部に沿って、針状体材料510が上方へ移動して、針状体複製版201と針状体材料510の界面が分離される。続いて、図2(f)に示す通り、針状体材料510を針状体複製版201から完全に剥離して、本発明による針状体501を得る。この時、冷却によって成形材料501が針状体複製版201から離型しているため、針状体材料510を針状体複製版201から容易に取り外すことが可能であり、剥離に伴う針状体501の破損を低減できる。
まず、厚さ700μmの単結晶シリコンウェハを準備した。 ダイヤモンド刃を有する切削加工装置を用い、シリコン基板上に5列5行以上のアレイ状に並んだ25個以上の針状体を作製した。このとき得られた針状体は四角錐であり、先端角が20°、高さが約500μm、底面の一辺の幅が200μmとなった。
このとき、ポリ乳酸からなる針状体材料510は針状体複製版201から容易に剥離され、ピンセットで針状体材料510であるポリ乳酸の端部を摘んで針状体複製版201から剥離することが出来た。
まず、厚さ700μmの単結晶シリコンウェハを準備した。 ダイヤモンド刃を有する切削加工装置を用い、シリコン基板上に1本の針状体を作製した。
103…原版側基板
105…原版側針状部
201…針状体複製版
202…凹部
300…複製版材料
301…シリコーン樹脂モノマー/シリコーン樹脂
302…シリカフィラー
401…熱プレス装置
501…針状体
502…支持基板
503…針状部
510…針状体材料
Claims (2)
- 支持基板と、前記支持基板の表面から突設された針状形状を有する針状部とを備えた針状体の製造方法であって、
原版側基板と、前記原版側基板の表面から突設された前記針状部と同形状の原版側針状部とを備える針状体原版を作製する工程と、
シリコーン樹脂モノマーに粒径が10nm〜100μmであるシリカを添加し撹拌した複製版材料を前記針状体原版の前記表面に充填し硬化させる工程と、
前記硬化された複製版材料を前記針状体原版の表面から剥離することにより前記複製版材料からなり表面に前記針状部に対応する凹部が形成された針状体複製版を作製する工程と、
前記針状体複製版の前記凹部を含む表面に針状体材料を配置する工程と、
前記針状体材料を前記針状体複製版に対して加圧すると共に、前記針状体材料を加熱溶融して前記針状体複製版の前記凹部を含む表面に充填する工程と、
前記針状体材料を冷却して前記針状体複製版から剥離することで前記針状体材料からなる前記針状体を得る工程と、
を含むことを特徴とする針状体の製造方法。 - 前記複製版材料の線膨張係数は、前記針状体材料の線膨張係数よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の針状体の製造方法。
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