JP6442820B2 - 針状体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、針状体を製造するための転写加工成形する際に、複数回転写可能な耐久性を持った針状体複製版を用いた針状体の製造方法を提供することを目的とする。
人体に痛みを与えることなく簡便に送達物を投与することが出来る方法として、皮膚上から薬剤などの送達物を浸透させ体内に送達物を投与する経皮吸収法がある。これは、μmオーダーの微細な針状体を用いて皮膚を穿刺し、皮膚内に薬剤を投与する方法で、マイクロニードルと呼ばれている。(特許文献1参照)。
このときに用いる微細な針状体の形状は、皮膚を穿孔するための十分な細さと先端角、および皮下に薬液を浸透させるための十分な長さを有していることが好ましく、直径は数μmから数百μm(具体的には、例えば、1μm〜300μm程度)、長さは、具体的には数十μmから数百μm(具体的には、例えば、10μm〜1000μm程度)のものが望ましい。
また、針状体を構成する材料としては、仮に破損した針状体が体内に残留した場合でも、人体に悪影響を及ぼさない材料であることが望ましく、このような材料としてはポリ乳酸等の生体適合材料が提案されている(特許文献2参照)。
また、その針状体の製造方法として、切削加工を用いて原版を作成し、該原版から複製版を形成し、該複製版を用いた転写加工成形を行なうことが提案されている(特許文献3参照)。
針状体の転写加工成形には、樹脂などの熱可溶性材料を熱で溶融し圧縮した上で冷却硬化させる熱圧縮成形がある。複製版には原版からの転写の容易性からPDMSなどのシリコーンゴムが複製版として用いられていることが多い。
一方、ゴムは一般的に機械強度が弱く、無機材料に比べて伸びやすく、切れやすいため寿命が短い。それを克服する為に、各種の添加剤を加えてこの機械強度を変えている。例えば、Santawisukらの報告によれば、義歯用軟性リライイング材としてシリコーン樹脂をシリカ粒子を添加し機械特性を変えている(非特許文献1参照)。
特開2009-273872号公報 特開2009-201956号公報 特開2009-240410号公報 特開2009-61144号公報
W. Santawisuk et. al.、 "Dynamic viscoelastic properties of experimental silicone soft lining materials" Dental Materials Journal 29 (2010) 4:454-460
しかしながら、熱圧縮工程においては、樹脂によっては高融点のため高熱が複製版に加わることとなり、シリコーンゴムが劣化する。
そこで、本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、転写加工成形において、好適に、高熱で溶融し圧縮成形が出来る針状体の製造方法を提供することを目的とする。特に針状体複製版に耐久性を持たせ、繰返し使用できることにより安価に針状体を製造する方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために請求項1に係る発明は、支持基板と、前記支持基板の表面から突設された針状形状を有する針状部とを備えた針状体の製造方法であって、原版側基板と、前記原版側基板の表面から突設された前記針状部と同形状の原版側針状部とを備える針状体原版を作製する工程と、シリコーン樹脂モノマーに粒径が10nm〜100μmであるシリカを添加し撹拌した複製版材料を前記針状体原版の前記表面に充填し硬化させる工程と、前記硬化された複製版材料を前記針状体原版の表面から剥離することにより前記複製版材料からなり表面に前記針状部に対応する凹部が形成された針状体複製版を作製する工程と、前記針状体複製版の前記凹部を含む表面に針状体材料を配置する工程と、前記針状体材料を前記針状体複製版に対して加圧すると共に、前記針状体材料を加熱溶融して前記針状体複製版の前記凹部を含む表面に充填する工程と、前記針状体材料を冷却して前記針状体複製版から剥離することで前記針状体材料からなる前記針状体を得る工程と、を含むことを特徴とする。

本発明によれば、シリコーン樹脂モノマーにフィラーを添加した複製版材料を用いて針状体複製版を作製し、針状体材料を針状体複製版に対して加圧すると共に、針状体材料を加熱溶融して針状体複製版の前記凹部を含む表面に充填し、針状体材料を冷却して針状体複製版から剥離することで針状体材料からなる針状体を得るようにした。
したがって、高熱で溶融した針状体材料を針状体複製版を用いて圧縮成形を行なうことで針状体を得ることができ、特に針状体複製版に耐久性を持たせ、繰返し使用できることにより安価に針状体を製造する上で有利となる。
実施の形態の針状体の製造方法に用いた針状体原版の説明図であり、(a)は原版の斜視図、(b)は(a)の平面図、(c)は(b)のI−I′線断面図である。 (a)〜(f)は実施の形態の針状体の製造方法の工程を示す説明図である。 実施の形態で作製された針状体複製版の耐久性の試験結果を示す図である。 実施の形態で作製された針状体複製版の加熱劣化試験を示す図である。 実施の形態で作製された針状体複製版のDT-TGA試験結果を示す図である。
以下、本発明の針状体の製造方法および針状体複製版について説明を行なう。
本発明の針状体の製造方法は、支持基板と、前記支持基板の表面から突設された針状形状を有する針状部とを備えた針状体の製造方法であって、原版側基板と、前記原版側基板の表面から突設された前記針状部と同形状の原版側針状部とを備える針状体原版を作製する工程と、シリコーン樹脂モノマーにフィラーを添加した複製版材料を前記針状体原版の前記表面に充填し硬化させる工程と、前記硬化された複製版材料を前記針状体原版の表面から剥離することにより前記複製版材料からなり表面に前記針状部に対応する凹部が形成された針状体複製版を作製する工程と、前記針状体複製版の前記凹部を含む表面に針状体材料を配置する工程と、前記針状体材料を前記針状体複製版に対して加圧すると共に、前記針状体材料を加熱溶融して前記針状体複製版の前記凹部を含む表面に充填する工程と、前記針状体材料を冷却して前記針状体複製版から剥離することで前記針状体材料からなる前記針状体を得る工程とを含むことを特徴とする。
一般に、熱圧縮成形時のシリコーン樹脂の劣化は、(1)成形品を針状体複製版から剥離する際の密着性による引裂き、摩擦による磨耗による機械特性の減少、(2)熱や酸化等などによる分子構造の破壊などが原因で生じる。
特に、寸法が小さく且つアスペクト比の高い構造を有する針状体を針状体複製版から剥離する場合においては、剥離時の極僅かな傾斜や軸ずれによって、成形品の針状体が容易に破損するため、高い精度で成形品表面と針状体複製版表面との平行を維持し、剥離に際して、成型体全体に対し均一な力を加えないと、成型体の凹部が特に破損しやすい。よって、且つ剥離方向の軸ずれに対して機械的に耐久性をもちかつ耐熱性がある転写版が必要となる。
本発明は、この針状体複製版に対し、耐熱性、機械特性の機能を加えた材料を用意することであり、高熱に対し、成型体全体に対し、剥離する方向へ均一な力を与えることが出来、特に、微細凹部を備えた針状体複製版を用いるとき効果は多大である。
また、本発明は、前記針状体複製版を構成する材料の線膨張係数は、前記針状体材料の線膨張係数よりも小さいことが好ましい。針状体複製版を構成する材料の線膨張係数が前記針状体材料の線膨張係数よりも小さいことにより、熱による硬化収縮の度合いが相対的に針状体材料の方が大きくなるため、針状体材料の収縮に伴う応力は大きくなり、界面の剥離に有利に働くためである。
一般的に樹脂材料よりなる針状体複製版は、金属材料よりなる針状体複製版と比べ、形状追従性に優れ、耐久性に劣る。本発明によれば、好適に剥離を行なえることから、剥離に際して針状体複製版の負荷を軽減することが出来、樹脂材料よりなる針状体複製版の劣化を抑制することが出来る。よって、本発明を樹脂材料よりなる針状体複製版に適用したときの効果は多大である。
また、針状体材料は、生体適合性を備えた材料により形成されることが好ましい。生体適合性を備えた材料を用いることにより、針状体を生体に適用するときに安全性を担保することが出来る。
生体適合性を備えた材料としては、例えば、ポリ乳酸、ポリカーボネートなどのポリマーが挙げられる。
また、製造される針状体において、針状部と、針状部を支持する支持基板とは、同一材料であってもよいし、それぞれ異なる材料を組み合わせて充填し形成しても良い。工程簡略化の観点からは、針状部と支持基板とを一体で成形することが好ましい。
図1(a)は、実施の形態の針状体の製造方法に用いる針状体原版の一例を示す斜視図、(b)は(a)の平面図、(c)は(b)のI−I′線断面図である。
図2(a)〜(f)は、実施の形態の針状体の製造方法を示した概略図である。本発明で用いる針状体複製版201は、針状体の凹部の形状を凹凸反転した凹部パターンを備える。また、図示されるように、針状体複製版201の表面と凹部202の内周面とは、一定の角度を成している。
図2(f)に示すように、針状体501は、支持基板502と、支持基板502の表面から突設された針状形状を有する針状部503とを備えている。
針状体501は、針状体複製版201を用いた転写成形法により製造される。具体的には、針状部503は、針状体複製版201の表面に形成される凹部パターンの形状を凹凸反転した形状に形成される。言い換えると、針状体複製版201の表面には、針状部503に対応する凹部202が形成されている。
転写成形によって得られる針状体501の針状部503は、用途によりその形状を自由に設計してよい。例えば、生理活性物質の経皮吸収を促進する目的や、経皮的に生体内の物質を生体外へ取り出す目的の場合、皮膚穿刺性能の観点からは、針状部503の先端が先鋭な錐形状であって、根元幅は数μmから数100μm、長さは数十μmから数百μm程度であっても良い。また、皮膚を介した物質の送達能力を補強するための流路などが針状部503や支持基板502に設けられても良い。また、針状部503の数や配置は、適宜自由に設計されてよい。例えば、針状部503をアレイ状に複数配置してもよい。
針状体複製版201の凹部202の形状は特に制限されるものではなく、適宜最適な形状に設計されて良い。例えば、凹部202の形状は、円錐台、四角錐台、六角錐台などの錐台形状に設計されても良い。針状体複製版201の凹部202の形状を錐台形状に設計した場合、転写成形によって得られる針状部503は、凹部202を凹凸反転した凸形状となる。
また、針状体複製版201の凹部202の深さは特に制限されるものではなく、適宜最適な深さに設計されて良いが、凹部202の深さが針状部503の高さに対して大きくなると、針状体501において針状部503の間の凹部の深さが針状部503の高さよりも大きくなり、針状体501を穿刺する際に十分な穿刺効果が得られなくなる場合がある。このため、針状体複製版201の凹部202の深さは針状部503の高さと同程度か、またはそれ以下に設計されることが好ましい場合がある。
針状体複製版201の表面と凹部202の内周面とがなす角θは、90度よりも大きく、且つ180度よりも小さい範囲であればよい。この場合、凹部202の内周面に傾斜部が設けられていることになる。針状体複製版201の表面と凹部202の内周面とがなす角θが90度以下の場合は、成形品である針状体501の収縮によって、針状体複製版201と針状体501の固着は、上記角θが90度である場合(凹部202の内周面に傾斜部が設けられていない場合)よりもむしろ強固なものとなる。また、針状体500の成形後の冷却工程において、針状体複製版201からの針状体501の剥離効果を高めるためには、上記角θが100度から150度の範囲であることが好ましい。
以下、本発明の針状体の製造方法の一実施形態として、具体的に、図2を用いて説明する。図2は本発明における針状体の製造方法の一例を示す概略断面工程図である。
本発明の針状体複製版を作製する方法については特に制限されず、適宜公知の微細加工技術を用いて作製しても良い。また、微細加工技術を用いて所望の針状体形状を有する原版を作製し、原版からの転写成形工程によって針状体複製版を作製しても良い。ここでは、微細加工技術を用いて所望の針状体形状を有する原版を作製し、原版からの転写成形工程によって針状体複製版を作製し、針状体複製版を用いた転写成形工程によって針状体を得る方法を例に説明する。
<原版作製工程>
まず、図1に示す原版材料を準備し、微細加工技術を用いて針状体原版101を作製する。
針状体原版101は、原版側基板103と、原版側基板103の表面から突設された針状部503と同形状の原版側針状部105とを備えるものである。
針状体原版101の作製方法については、特に制限は無い。針状体の作製方法は、公知の手法を用いて良く、機械加工もしくは半導体製造に用いられる微細加工を用いることができる。このとき、基材としては、材質は特に制限されず、加工適性や、材料の入手容易性などから材質を選択することが望ましい。例えば、SUSやアルミ、チタン等の金属材料、アルミナ、窒化アルミニウム、マシナブルセラミックスなどのセラミックス、また、シリコンやガラスなどの硬脆性材料、アクリルやポリアセタールなどの有機材料が挙げられる。作製する針状体の形状に応じて適宜公知の製造方法を用いて良い。例えば、微細加工技術によって所望するパターン形状を有する針状体原版101を作製しても良い。ここで、微細加工技術としては、例えば、リソグラフィ法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、サンドブラスト法、レーザー加工法、精密機械加工法などを用いても良い。原版材料101についての制限は特に無く、微細加工に用いる方法に適する材料を選択することができる。
以上より、得られた針状体デバイスは、以下に説明する複製のための針状体原版101として用いることができる。
<針状体複製版作製工程>
次に、図2に示す針状体原版から針状体複製版を製造する方法について説明する。図2(a)、(b)、(c)に示すように、針状体原版101に複製版材料300を充填する。このときシリコーン樹脂モノマー301にシリカフィラー302などの添加剤等を加えることによって複製版材料300を構成することで、その後の工程を良好に進めることが可能となる。
複製版材料300を硬化させた後、図2(d)に示すように、針状体原版101から剥離することで凹型に複製された針状体複製版201を作製することができる。すなわち、硬化された複製版材料300を針状体原版101の表面から剥離することにより複製版材料300からなり表面に針状部503に対応する凹部202が形成された針状体複製版201を作製する。
針状体複製版201を作製することで、同一の針状体複製版201から多量の針状体501を製造することが出来るため、生産コストを抑制し、生産性を高めることが可能となる。
一般的な、シリコーン樹脂301に添加するフィラー302としては、疎水性シリカとして例えば原子団−O−Si(CHを有する、アエロジル(Aerosil)R 812などが選ばれるが、それに限ることは無い。なお、フィラー302の粒径は10nm〜100μmの範囲内であることが好ましい。フィラー302の粒径とは、JIS R1639−1「ファインセラミックス−か粒特性の測定方法−第1部:か粒径分布」で測定される。
フィラー302の粒径が10nm〜100μmの範囲内であると、製造のしやすさを確保しつつ、針状体複製版201の品質を確保する点で有利となる。
フィラー302の粒径が上記範囲を下回ると、フィラー302(粒子)の分散性が悪くなるため、シリコーン樹脂モノマー301に対してフィラー302が混ざりにくくなる点で不利となる。
フィラー302の粒径が上記範囲を上回ると、フィラー302の粒径が針状部503に対応する凹部202の寸法と同等もしくはそれ以上となるため、針状体複製版201の品質を確保する点で不利となる。
ここで用いられる針状体原版101には針状体複製版201の離型性を向上させるために、転写前に表面形状の加工及び化学的な表面改質を施しても良い。具体的には、機械加工による研磨、穴あけ、溝加工や、エッチングプロセスを用いた表面加工および表面改質、もしくは離型剤の塗布等を好適に用いることが出来る。
複製版材料300は、特に制限されるものではないが、針状体原版101を良好に転写し得る形状追従性、後述する転写成型における転写性、耐久性および離型性を考慮した材質を選択することが出来る。
また、複製版材料300、および複製版材料300を充填する方法は特に制限されないが、複製版材料300(充填材料)の線膨張係数が、針状体材料510の線膨張計数よりも小さいことが好ましい。
<転写成形工程>
次に、針状体複製版201を用いた転写成型工程について説明する。図2(e)に示すように、針状体複製版201に成形材としての針状体材料510を充填する。
すなわち、針状体複製版201の凹部202を含む表面に針状体材料510を配置する工程と、針状体材料510を針状体複製版201に対して加圧すると共に、針状体材料510を加熱溶融して針状体複製版201の凹部202を含む表面に充填する工程とを行なう。本実施の形態では、針状体材料510の加圧、加熱溶融を熱プレス装置401を用いて行なう。
針状体材料510は特に制限されないが、穿刺部となる針状部503においては生体適合性材料であるポリ乳酸、ポリカーボネート、ポリグリコール酸等を用いることが好ましい。生体適合性材料を用いれば、針状部503が折れて体内に取り残された場合も、無害であるという効果を有する。針状体材料510、および転写成形方法は特に制限されず、適宜公知の成形材料と転写成形方法を用いることができるが、針状体材料510としては、生体適合性を備えた材料が好ましく、転写成形工程において溶融成形するため、熱可塑性の樹脂材料を好適に用いることができる。このときの針状体材料510の充填方法についての制限は無いが、生産性の観点から、インプリント法、ホットエンボス法、射出成形法、押し出し成形法およびキャスティング法などの公知の樹脂成形法を用いてもよい。また、ここでは針状体の製造方法として、ポリマー成形の例を示したが、本発明の針状体の製造方法はこれに限られるものではなく、適宜公知の加工技術を用いて作製されてもよい。
次に、針状体複製版201上に針状体材料510が充填された状態で、冷却を行う。冷却は少なくとも針状体材料510に対して実施されればよい。
針状体材料510に熱可塑性の樹脂を用い、転写成形工程において針状体材料510を溶融して転写を実施する場合は、転写成形後に針状体材料510と針状体複製版201を一括して室温まで冷却しても良い。針状体材料510として熱可塑性の樹脂を、針状体複製版201として金属版を用いた場合、両者の線膨張係数の差から針状体材料510の収縮量が針状体複製版201よりも大きくなり、図2に示されるように、針状体複製版201の凹部202の内周面の傾斜部に沿って、針状体材料510が上方へ移動して、針状体複製版201と針状体材料510の界面が分離される。続いて、図2(f)に示す通り、針状体材料510を針状体複製版201から完全に剥離して、本発明による針状体501を得る。この時、冷却によって成形材料501が針状体複製版201から離型しているため、針状体材料510を針状体複製版201から容易に取り外すことが可能であり、剥離に伴う針状体501の破損を低減できる。
また、針状体複製版201上から針状体材料510を分離する工程における剥離性を向上させる場合は、転写成形工程を実施する前に、予め針状体複製版201の表面上に離型効果を増すための離型層を堆積してもよい。離型層としては、例えば広く知られているフッ素系の樹脂を用いることが出来る。離型層の形成方法としては、CVD法、スピンコート法、ディップコート法等の薄膜形成手法を好適に用いることができる。
以上より、本発明の針状体ならびに針状体の製造を実施することが出来る。なお、本発明の針状体ならびに針状体の製造方法は上記実施の形態に限定されず、各工程において類推することのできる他の公知の方法をも含むものとする。
以下、本発明の実施例について、具体的に一例を挙げながら説明を行う。当然のことながら、本発明の針状体の製造方法は下記実施例に限定されず、各工程において公知の資料から類推できる他の製造方法をも含むものとする。
<実施例1>
まず、厚さ700μmの単結晶シリコンウェハを準備した。 ダイヤモンド刃を有する切削加工装置を用い、シリコン基板上に5列5行以上のアレイ状に並んだ25個以上の針状体を作製した。このとき得られた針状体は四角錐であり、先端角が20°、高さが約500μm、底面の一辺の幅が200μmとなった。
得られた原版に、フッ素系の離型剤を塗布し、離型処理を行った。
次に、図2に示すように、東レダウコーニング社製のポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane:PDMS)を準備した。アナターゼ型の二酸化チタン(和光純薬社製)を15重量%添加した。プラスチック製撹拌棒で1分以上攪拌した後、減圧機にて0.08M Bar以下で15分以上静置後、脱泡した。
調整した当該PDMS溶液を当該原版に垂らし、転写基材であるシリコン基板を乗せ、100℃10分間加熱し、PDMS溶液を硬化した。その後、針状体原版101を完全に除去することにより転写させた針状体複製版201から剥離を行なった。
以上より、PDMSから成る針状体複製版201が得られた。
次に、図2に示すように、針状体材料510であるポリ乳酸を針状体複製版201上に配置し、200度で加熱し当該材料を溶融し、金属の熱プレス機で溶融したポリ乳酸を圧縮した。
その後、熱圧縮中に針状体複製版201と針状体材料510を室温まで急速に冷却して針状体複製版201から針状体材料510の離型を促進した。
このとき、ポリ乳酸からなる針状体材料510は針状体複製版201から容易に剥離され、ピンセットで針状体材料510であるポリ乳酸の端部を摘んで針状体複製版201から剥離することが出来た。
以上より、針状体501を製造することが出来た。得られた針状体501は、図1に示す針状体針状体原版101と同様の形状を有し、逆円錐台形状の凹部底面の中央に概円錐形の針状部503を、0.2mm間隔で、5列5行以上の格子状に計25本以上配列して具備した。また、得られた針状体501を光学顕微鏡および走査電子顕微鏡によって観察したところ、全ての微細な針状部503に破損は認められなかった。
<実施例2>
まず、厚さ700μmの単結晶シリコンウェハを準備した。 ダイヤモンド刃を有する切削加工装置を用い、シリコン基板上に1本の針状体を作製した。
次に、図2に示すように、東レダウコーニング社製のポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane:PDMS)を準備した。また、ダウコーニング社製のシリカフィラー302入りPDMS(商品名MDX4-4210)(トリメチル化シリカ、15−40%(v/W))を所定の量を添加し、プラスチック製撹拌棒で1分以上攪拌した後、減圧機にて0.08M Bar以下で15分以上静置し脱泡し調整した。
調整した当該PDMS溶液を当該針状体原版101に垂らし、転写させる基材であるシリコン基板を乗せ、100℃10分間加熱し、PDMS溶液を硬化した。その後、針状体原版101を完全に除去することにより転写させた針状体複製版201から剥離を行なった。以上より、PDMSから成る針状体複製版201が得られた。
針状体材料510として融点が250℃と高い材料であるポリカーボネートを用いて、この成形操作を繰返し行い、針状体複製版201の外観および針状体501の成形性を目視で針状体複製版201と成型品の外観が変化するまでの耐久性試験をおこなった。次に、図2に示すように、ポリカーボネートを針状体複製版201上に配置し、280℃で加熱し当該材料を溶融し、金属の熱プレス機401で溶融したポリカーボネートを圧縮した。
その後、熱圧縮中に針状体複製版201とポリカーボネートを室温まで急速に冷却して針状体複製版201からのポリカーボネートの離型を促進した。このとき、ポリカーボネートは針状体複製版201から容易に剥離され、ピンセットで針状体材料510であるポリカーボネートの端部を摘んで針状体複製版201から容易に剥離することが出来た。同様の工程を繰返して針状体複製版201の劣化を目視で確認したところ、成形回数35回以上で針状体複製版201に亀裂が見られた。一方50%のPDMSを含有した針状体複製版201では80回で大きな亀裂が見られた。またPDMSが 100%の針状体複製版201では120回以上の成形回数で針状体先端部(針状部503)に相当する部分に小さな亀裂が見られた。これらのことから、フィラー含有量添加による針状体複製版201の耐久性の向上が確認された。
さらに図3に示すように、シリカ東レダウコーニング社製のPDMSを準備した含有量の添加濃度の大きさに依存して、引張強さと圧縮強さが減少し、破壊強さは上昇傾向が得られた。このことから、PDMS濃度が高くなるにつれ、引張強さと圧縮強さが増すが破壊強さは減る傾向が得られた。したがって、複製版材料におけるフィラーの添加は、熱圧縮成形時に加わる応力を考慮した機械特性の向上が期待できた。
最後に、図4に示すようにシリカフィラー302含有シリコーン樹脂性の転写針状体複製版201の温度プロファイルを観測した。種々のフィラー含有量含有濃度のシリコーン樹脂に対し、熱分析計を用いて重量減少の経過を計測した。その結果、フィラー含有量の濃度依存的に重量減少が小さくなり、熱分解が抑えられた。フィラー含有濃度の上昇に依存して加熱による重量減少が小さくなった。
図5に示すように示差熱-熱重量同時測定では、PDMS濃度を小さくしフィラー濃度を高くすると熱による重量減少が抑えられることが確認された。以上のことにより針状体の熱圧縮成形における針状体複製版201の熱耐性に有用であることが確認された。
本発明の針状体の製造方法は、医療のみならず、微細な針状体を必要とする様々な分野に利用可能であり、例えば、MEMSデバイス、光学部材、創薬、化粧品、美容用途などに用いる微細な針状体の製造方法としても有用である。
101…針状体原版
103…原版側基板
105…原版側針状部
201…針状体複製版
202…凹部
300…複製版材料
301…シリコーン樹脂モノマー/シリコーン樹脂
302…シリカフィラー
401…熱プレス装置
501…針状体
502…支持基板
503…針状部
510…針状体材料

Claims (2)

  1. 支持基板と、前記支持基板の表面から突設された針状形状を有する針状部とを備えた針状体の製造方法であって、
    原版側基板と、前記原版側基板の表面から突設された前記針状部と同形状の原版側針状部とを備える針状体原版を作製する工程と、
    シリコーン樹脂モノマーに粒径が10nm〜100μmであるシリカを添加し撹拌した複製版材料を前記針状体原版の前記表面に充填し硬化させる工程と、
    前記硬化された複製版材料を前記針状体原版の表面から剥離することにより前記複製版材料からなり表面に前記針状部に対応する凹部が形成された針状体複製版を作製する工程と、
    前記針状体複製版の前記凹部を含む表面に針状体材料を配置する工程と、
    前記針状体材料を前記針状体複製版に対して加圧すると共に、前記針状体材料を加熱溶融して前記針状体複製版の前記凹部を含む表面に充填する工程と、
    前記針状体材料を冷却して前記針状体複製版から剥離することで前記針状体材料からなる前記針状体を得る工程と、
    を含むことを特徴とする針状体の製造方法。
  2. 前記複製版材料の線膨張係数は、前記針状体材料の線膨張係数よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の針状体の製造方法。
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