JP6440428B2 - (メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法 Download PDF

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Description

本発明は、(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法に関する。
不飽和二重結合、スルホン酸(塩)基、およびエーテル結合を有するスルホン酸基含有エーテル化合物として、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム(以下、「HAPS」と称することがある)が良く知られている。
このようなスルホン酸基含有エーテル化合物と(メタ)アクリル酸(塩)とを含む単量体組成物を共重合して製造される共重合体は、スケール防止剤や腐食防止剤等に好適に使用されることが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
スルホン酸基含有エーテル化合物と(メタ)アクリル酸(塩)とを含む単量体組成物の共重合は、一般に、重合開始剤を用いた水溶液重合によって製造され、共重合体水溶液として得られる。この共重合体水溶液は、酸基を中和しないでそのままの状態で保存する場合には、水溶液の色調の変化は大きくない。ところが、この共重合体水溶液は、用途に応じて、pHが3〜7の範囲となるように酸基を中和して保存した場合、経時に伴い、水溶液の色調が、淡黄色から深緑色に大きく変色してしまうという大きな問題が生じる。
特開2002−3536号公報 特開2005−264190号公報
本発明の課題は、スルホン酸基含有エーテル化合物と(メタ)アクリル酸(塩)とを含む単量体組成物を重合して製造された(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法であって、経時に伴う色調の変化を抑制する保存方法を提供することにある。
本発明の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法は、
一般式(1)で表されるスルホン酸基含有エーテル化合物と(メタ)アクリル酸(塩)とを含む単量体組成物を重合して製造された(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法であって、
重合反応完結時から60日後のL表色系において、L値を88〜100の範囲内に調整し、a値を−7〜−2の範囲内に調整し、b値を4〜14の範囲内に調整する。
Figure 0006440428
(ただし、一般式(1)中、Rは、単結合、CH、CHCHのいずれかであり、Rは、H、CHのいずれかであり、X、Yのいずれか一方は水酸基であり、もう一方はスルホン酸(塩)基である。)
好ましい実施形態においては、上記(メタ)アクリル酸系重合体水溶液のpHが3〜7である。
好ましい実施形態においては、上記重合の際に、過硫酸塩/重亜硫酸塩/重金属イオンの組み合わせが用いられる。
本発明によれば、スルホン酸基含有エーテル化合物と(メタ)アクリル酸(塩)とを含む単量体組成物を重合して製造された(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法であって、経時に伴う色調の変化を抑制する保存方法を提供することができる。
本発明の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法は、スルホン酸基含有エーテル化合物と(メタ)アクリル酸(塩)とを含む単量体組成物を重合して製造された(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法である。なお、単量体組成物とは、スルホン酸基含有エーテル化合物と(メタ)アクリル酸(塩)とを含む、2種以上の単量体(重合性不飽和二重結合を有するモノマー)の混合物のことを意味する。
≪(メタ)アクリル酸系重合体水溶液≫
(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は、スルホン酸基含有エーテル化合物と(メタ)アクリル酸(塩)とを含む単量体組成物を重合して製造される。スルホン酸基含有エーテル化合物は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。(メタ)アクリル酸(塩)は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
<スルホン酸基含有エーテル化合物>
スルホン酸基含有エーテル化合物は、一般式(1)で表される。
Figure 0006440428
一般式(1)中、Rは、単結合、CH、CHCHのいずれかである。本発明の効果をより効果的に発現させ得る点で、Rは、好ましくはCHである。
一般式(1)中、Rは、H、CHのいずれかである。
一般式(1)中、X、Yのいずれか一方は水酸基であり、もう一方はスルホン酸(塩)基である。ここで、スルホン酸(塩)基とは、スルホン酸基および/またはスルホン酸塩基を意味する。本発明の効果をより効果的に発現させ得る点で、好ましくは、Xが水酸基であり、Yがスルホン酸(塩)基である。
スルホン酸基は、SOHで表される。スルホン酸塩基SOMで表される。Mは、金属原子、アンモニウム基(アンモニウム塩、すなわち、SONHを構成)、または有機アミノ基(有機アミン塩を構成)である。金属原子としては、ナトリウム原子やカリウム原子などのアルカリ金属、カルシウム原子などのアルカリ土類金属、鉄原子などの遷移金属などが挙げられる。有機アミン塩としては、メチルアミン塩、n−ブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジメチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、モルホリン塩、トリメチルアミン塩などの、1級〜4級のアミン塩が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果を十分に発現させるためには、Mは、ナトリウム原子、カリウム原子が好ましい。
一般式(1)で表されるスルホン酸基含有エーテル化合物は、本発明の効果をより効果的に発現させ得る点で、具体的には、好ましくは、3−(メタ)アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウムであり、より好ましくは、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウムである。ここで、「(メタ)アリル」とは、アリルおよび/またはメタリルを意味する。
<(メタ)アクリル酸(塩)>
(メタ)アクリル酸(塩)は、アクリル酸(塩)および/またはメタクリル酸(塩)を意味する。アクリル酸(塩)は、アクリル酸および/またはアクリル酸塩を意味し、メタクリル酸(塩)は、メタクリル酸および/またはメタクリル酸塩を意味する。
(メタ)アクリル酸(塩)の塩としては、−COOZ基のZで表される。Zは、金属原子、アンモニウム基(アンモニウム塩、すなわち、COONHを構成)、または有機アミノ基(有機アミン塩を構成)である。金属原子としては、ナトリウム原子やカリウム原子などのアルカリ金属、カルシウム原子などのアルカリ土類金属、鉄原子などの遷移金属などが挙げられる。有機アミン塩としては、メチルアミン塩、n−ブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジメチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、モルホリン塩、トリメチルアミン塩などの、1級〜4級のアミン塩が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果を十分に発現させるためには、Mは、ナトリウム原子、カリウム原子が好ましい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸(塩)以外の「酸(塩)」なる記載についても、(メタ)アクリル酸(塩)における「酸(塩)」と同様の意味である。また、単に「塩」なる記載についても、(メタ)アクリル酸(塩)における−COOZ基のZの説明がそのまま援用される。
<単量体組成物>
(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は、スルホン酸基含有エーテル化合物と(メタ)アクリル酸(塩)とを含む単量体組成物を重合して製造される。
単量体組成物中の、(メタ)アクリル酸(塩)とスルホン酸基含有エーテル化合物との含有比率は、質量比で、(メタ)アクリル酸(塩)/スルホン酸基含有エーテル化合物が、好ましくは99/1〜30/70であり、より好ましくは99/2〜40/60であり、さらに好ましくは95/5〜50/50であり、特に好ましくは90/10〜60/40である。(メタ)アクリル酸(塩)/スルホン酸基含有エーテル化合物の含有比率が、上記範囲内に収まることにより、スケール防止能や腐食防止能に優れる(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を得ることができる。
単量体組成物は、(メタ)アクリル酸(塩)とスルホン酸基含有エーテル化合物以外の、他の単量体を含んでいても良い。このような他の単量体は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
他の単量体としては、例えば、クロトン酸、α−ヒドロキシアクリル酸等の(メタ)アクリル酸以外のモノカルボン酸モノエチレン性不飽和単量体、およびそれらの塩;イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸、およびそれらの塩;3−(メタ)アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、2−メチル−1,3−ブタジエン−1−スルホン酸等の共役ジエンスルホン酸等のスルホン酸系単量体、およびそれらの塩;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアミド系単量体;3−(メタ)アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、3−アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、3−アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン等の(メタ)アリルオキシプロパン系化合物、および、それらの化合物1モルに対してエチレンオキサイドを1モル〜200モル付加させた化合物(3−アリルオキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパン等);(メタ)アリルアルコール、及び、(メタ)アリルアルコール1モルに対してエチレンオキサイドを1モル〜100モル付加させた化合物等のアリルエーテル系単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;イソプレノール、および、イソプレノール1モルに対してエチレンオキサイドを1モル〜100モル付加させた化合物等のイソプレン系単量体;等が挙げられる。
単量体組成物中の他の単量体の含有割合は、質量割合で、好ましくは0質量%〜20質量%であり、より好ましくは0質量%〜15質量%であり、さらに好ましくは0質量%〜10質量%であり、特に好ましくは0質量%〜5質量%である。単量体組成物中の他の単量体の含有割合が上記範囲内に収まることにより、スケール防止能や腐食防止能により優れる(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を得ることができる。
<(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の製造>
本発明において用いる(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は、好ましくは、過硫酸塩/重亜硫酸塩/重金属イオンの組み合わせを用いた重合反応によって製造し得る。
重合反応の際の反応液(重合反応液)に用いられる溶媒は、好ましくは水性の溶媒であり、より好ましくは水である。単量体組成物の溶媒への溶解性を向上させるために、重合に悪影響を及ぼさない範囲で有機溶媒を適宜加えても良い。加えられる有機溶媒としては、メタノール、エタノールなどの低級アルコール;ジメチルホルムアルデヒドなどのアミド類;ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類;などが挙げられる。
重合反応液中には、好ましくは、1種類以上の過硫酸塩および1種類以上の重亜硫酸塩を含む。
過硫酸塩および重亜硫酸塩の添加比率は、質量比で、好ましくは、過硫酸塩1に対して、重亜硫酸塩が0.5〜10である。質量比で、過硫酸塩1に対して重亜硫酸塩が0.5未満であると、重亜硫酸塩による効果が十分ではなくなるおそれがあり、また、得られる(メタ)アクリル酸系重合体の重量平均分子量が高くなりすぎるおそれがある。質量比で、過硫酸塩1に対して重亜硫酸塩が10を超えると、重亜硫酸塩による効果が添加比率に伴うほど得られないおそれがある。ただし、過硫酸塩および重亜硫酸塩の配合量が、この範囲に限定されるわけではなく、具体的な過硫酸塩および重亜硫酸塩の配合量は、使用用途や使用環境に応じて決定され得る。例えば、(メタ)アクリル酸系共重合体が洗剤ビルダーとして用いられる場合には、重合平均分子量が高すぎると、性能が低下するおそれがある。したがって、重量平均分子量が必要以上に増大しないように留意して、配合量を決定すれば良い。
過硫酸塩および重亜硫酸塩の添加量は、使用される単量体組成物1モルに対する過硫酸塩および重亜硫酸塩の配合量として、好ましくは0.1g〜20gであり、より好ましくは0.5g〜15gである。
過硫酸塩としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムが挙げられる。
重亜硫酸塩としては、例えば、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸アンモニウムが挙げられる。
なお、過硫酸塩、重亜硫酸塩以外に、必要であれば、亜硫酸塩やピロ亜硫酸塩などを用いても良い。
重合反応液中には、好ましくは、1種類以上の重金属イオンが含まれる。重金属とは、比重が4g/cm以上の金属を意味する。具体的な重金属としては、例えば、鉄、コバルト、マンガン、クロム、モリブデン、タングステン、銅、銀、金、鉛、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどが挙げられる。重合反応液は、好ましくは、これらのイオンを含む。重合反応液は、より好ましくは、鉄イオンを含む。重金属イオンのイオン価については特に限定されない。例えば、重金属として鉄が用いられる場合には、重合反応中に溶解している鉄イオンは、Fe2+であっても、Fe3+であって良いし、これらが組み合わされたものでも良い。
重金属イオンは、重金属化合物を溶解してなる溶液を用いて添加され得る。その際に用いられる重金属化合物は、重合反応液中に含有されることを所望する重金属イオンに応じて決定される。溶媒として水が用いられる場合には、水溶性の重金属塩が好ましい。水溶性の重金属塩としては、例えば、モール塩(Fe(NH(SO・6HO)、硫酸第一鉄・7水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化マンガンなどが挙げられる。
重金属イオンの含有割合は、重合反応完結時における重合反応液の全質量に対して、好ましくは0.1ppm〜10ppmである。重合反応完結時とは、重合反応液中において重合反応が実質的に完了し、所望する重合体が得られた時点を意味する。例えば、重合反応液中において重合された重合体がアルカリ成分で中和される場合には、中和した後の重合反応液の全質量を基準に、重金属イオンの含有量を算出する。2種以上の重金属イオンが含まれる場合には、重金属イオンの総量が上述の範囲であればよい。
重金属イオンの含有量が0.1ppm未満であると、重金属イオンによる効果が十分に発現しないおそれがある。一方、重金属イオンの含有量が10ppmを超えると、洗剤ビルダーとして用いられた際の汚れや、スケール防止剤として用いられた際のスケールが、増加するおそれがある。
重合方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。好ましい実施形態の一つは、重金属イオンが予め配合された水溶液中に、単量体組成物、過硫酸塩および重亜硫酸塩を滴下する方法である。
各成分の滴下時間としては、任意の適切な時間を採用し得る。各成分の滴下速度としては、任意の適切な速度を採用し得る。
重合温度は、好ましくは25〜99℃、より好ましくは50〜95℃、さらに好ましくは、70℃以上90℃未満である。重合温度が25℃未満の場合には、得られる重合体の重量平均分子量が上昇しすぎるおそれや、不純物の生成量が増加するおそれがある。また、重合時間が長くなるため、重合体の生産性が低下するおそれがある。一方、重合温度が99℃を超える場合には、重亜硫酸塩が分解して亜硫酸ガスが多量に発生するおそれがある。液相中に溶解した亜硫酸ガスは、不純物の原因物質となり得るため、亜硫酸ガスが多量に発生すると、得られる重合体中の不純物量が増加するおそれがある。また、気相中の亜硫酸ガスの回収コストが増加するおそれがある。なお、重合温度とは、重合反応液の温度をいう。重合温度の測定方法や制御手段については、任意の適切な方法や装置を用い得る。
重合時の圧力は、任意の適切な圧力を採用し得る。例えば、常圧下、減圧下、加圧下の何れの圧力下であっても良い。
低分子量の重合体を得るためには、重合反応は酸性条件下(好ましくは、pHが3未満)で行われることが好ましい。具体的には、中和度は、好ましくは40mol%未満であり、より好ましくは20mol%未満であり、さらに好ましくは10mol%未満である。重合反応中の中和度が高いと不純物が多量に生成するおそれがある。重合反応中の中和度の下限値は特に制限されないが、重合反応中の中和度が低すぎると、亜硫酸ガスの発生量が増加する恐れがある。これらのバランスを考えると、重合反応中の中和度は5mol%程度に保つとよい。
酸性条件下で重合反応を行うことにより、高濃度かつ一段で重合を行うことができる。そのため、従来の製造方法では場合によっては必要であった濃縮工程を省略することができる。それゆえ、(メタ)アクリル酸系重合体の生産性が大幅に向上し、製造コストの上昇も抑制することが可能となる。
酸性条件下で重合を行う場合、得られる(メタ)アクリル酸系重合体の中和度は、重合が終了した後に、アルカリ成分を添加することによって中性領域(好ましくはpHが3〜7、より好ましくはpHが4〜6)に制御される。アルカリ成分としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン類;等が挙げられる。アルカリ成分は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
以上の反応によって、(メタ)アクリル酸系重合体が、好ましくは、水溶液の形態で製造され得る。すなわち、好ましくは、(メタ)アクリル酸系重合体水溶液が製造される。このようにして得られる(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は、例えば、スケール防止能(スケール抑制能)に優れた重合体を得ることができ、具体的には、例えば、水処理剤、洗剤用ビルダー、洗剤組成物、分散剤、洗浄剤等の用途に特に好適なものとなる。
(メタ)アクリル酸系重合体の質量平均分子量は、好ましくは1000〜1000000であり、より好ましくは2000〜100000であり、特に好ましくは3000〜50000である。質量平均分子量がこの範囲内であれば、(メタ)アクリル酸系重合体は、分散能、キレート能、および耐ゲル性といった各種性能を最も効果的に発揮することができる。
≪(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法≫
本発明の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法は、一般式(1)で表されるスルホン酸基含有エーテル化合物と(メタ)アクリル酸(塩)とを含む単量体組成物を重合して製造された(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法であって、重合反応完結時から60日後のL表色系において、L値を88〜100の範囲内に調整し、a値を−7〜−2の範囲内に調整し、b値を4〜14の範囲内に調整する。重合反応完結時から60日後のL表色系において、L値、a値、b値を上記範囲内に調整することにより、(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の経時に伴う色調の変化を抑制することができる。特に、pHが3〜7の範囲となるように酸基を中和して保存した場合、経時に伴い、(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の色調が、淡黄色から深緑色に大きく変色することを抑制することができる。
「重合反応完結時」とは、前述したように、重合反応液中において重合反応が実質的に完了し、所望する重合体が得られた時点を意味する。
重合反応完結時から60日後のL表色系における、L値の調整範囲は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは89〜100であり、より好ましくは90〜100であり、さらに好ましくは90.5〜100であり、特に好ましくは91〜100である。
重合反応完結時から60日後のL表色系における、a値の調整範囲は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは−6.5〜−3であり、より好ましくは−6〜−3であり、さらに好ましくは−5.8〜−3であり、特に好ましくは−5.5〜−3である。
重合反応完結時から60日後のL表色系における、b値の調整範囲は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは4.5〜13.5であり、より好ましくは5〜13であり、さらに好ましくは5.5〜12.5であり、特に好ましくは6〜12である。
本発明の効果を発現させるためには、重合反応完結時から60日後のL表色系における、L値、a値、b値を上記範囲内に調整することが必要であるが、(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の深緑色への変色を十分に抑制させるためには、特に、L値およびa値の調整をできるだけ厳密に調整することが好ましい。すなわち、赤〜緑への色調を示すa値を適切なできるだけ好ましい範囲に調整したうえで、変色への影響の大きい白〜黒への色調を示すL値を適切なできるだけ好ましい範囲に調整することが好ましい。
本発明の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法においては、好ましくは、(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を入れた保存容器の気相部分を不活性ガスで置換する。この場合、気相部分が不活性ガスで置換されてパージされれば良く、液相部分(アクリル酸系重合体水溶液)が不活性ガスでバブリングされることは必ずしも要求されない。すなわち、液相部分(アクリル酸系重合体水溶液)が不活性ガスでバブリングしなくても、気相部分が不活性ガスで置換されてパージされれば、本発明の効果が十分に発現し得る。なお、不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴンなどが挙げられる。
保存容器としては、ガスバリヤー性の高い容器が好ましい。このような保存容器としては、密閉性の高い樹脂容器(例えば、高密度ポリエチレン容器など)、ガラス容器、金属容器などが挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、特に明記しない限り、実施例における部及び%は質量基準である。
<重合体の重量平均分子量の測定方法>
重合体の重量平均分子量の測定は、下記条件にて行った。
装置:東ソー製高速GPC装置(HLC−8320GPC)
検出器:RI
カラム:昭和電工社製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ、GF−710−HQ、GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5ml/min
検量線:創和科学株式会社製 POLYACRYLIC ACID STANDARD
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム/アセトニトリル=3/1(質量比)。
<L表色系におけるL値、a値、b値の測定>
実施例・比較例で得られたサンプルについて、下記の条件にて色差測定を行い、L表色系におけるL値、a値、b値を求めた。
測定装置:分光色差計「SE6000」(日本電色工業株式会社製)
測定モード:透過率
測定波長:380nm−780nm(10nm間隔出力)
光源:ハロゲンランプ(12V、50W)
測定セルサイズ:55mm×40mm×25mm
〔製造例1〕
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたSUS316製のセパラブルフラスコに、純水:183.4gと、モール塩:0.0346g(総仕込み量に対する鉄(II)の質量(ここで、総仕込み量とは、重合完結後の中和工程を含む、全ての投入物重量をいう。以下同様とする。)に換算すると3ppm)を仕込み、攪拌下、85℃に昇温した(初期仕込み)。
次いで、攪拌下、85℃で一定状態の重合反応系中に、80質量%アクリル酸水溶液(以下、80%AAと称す):540.0g、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム:300.5g、15質量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下15%NaPSと称す):152.9g、35質量%重亜硫酸ナトリウム水溶液(以下、35%SBSと称す):17.4g、をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAを180分間、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウムを120分間、35%SBSを175分間,15%NaPSを210分間とした。また、滴下開始時間に関しては、各滴下液はすべて同時に滴下を開始した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を85℃に保持して熟成し、重合を完結せしめた。
その後、48%水酸化ナトリウム水溶液:449.6gを添加した。
このようにして、pHが5.7、固形分濃度が45質量%の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液(1)を得た。水溶液(1)中の(メタ)アクリル酸系重合体の重量平均分子量36000であった。
〔実施例1〕
250mlの高密度ポリエチレン容器(ニッコー・ハンセン(株))に、製造例1で製造直後の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液(1)を、水溶液(1)中の(メタ)アクリル酸系重合体の質量が100gとなるように秤量して投入し、気相部を流量1L/minの窒素で十分に置換し、重合反応完結時から数えて60日間室温で保存した。
結果を表1に示した。
〔比較例1〕
250mlの高密度ポリエチレン容器(ニッコー・ハンセン(株))に、製造例1で製造直後の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液(1)を、水溶液(1)中の(メタ)アクリル酸系重合体の質量が100gとなるように秤量して投入し、気相部を窒素置換せずに、重合反応完結時から数えて60日間室温で保存した。
結果を表1に示した。
Figure 0006440428
本発明によれば、スルホン酸基含有エーテル化合物と(メタ)アクリル酸(塩)とを含む単量体組成物を重合して製造された(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法であって、経時に伴う色調の変化を抑制する保存方法を提供することができ、例えば、スケール防止剤、腐食防止剤、水処理剤、洗剤用ビルダー、洗剤組成物、分散剤、洗浄剤等の用途に特に好適なものとなる。

Claims (5)

  1. 一般式(1)で表されるスルホン酸基含有エーテル化合物と(メタ)アクリル酸(塩)とを含む単量体組成物を重合して製造された(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法であって、
    該(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を入れた保存容器の気相部分を不活性ガスで置換して、
    重合反応完結時から60日後のL表色系において、L値を88〜100の範囲内に調整し、a値を−7〜−2の範囲内に調整し、b値を4〜14の範囲内に調整する、
    (メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法。
    Figure 0006440428
    (ただし、一般式(1)中、Rは、単結合、CH、CHCHのいずれかであり、Rは、H、CHのいずれかであり、X、Yのいずれか一方は水酸基であり、もう一方はスルホン酸(塩)基である。)
  2. 前記(メタ)アクリル酸系重合体水溶液のpHが3〜7である、請求項1に記載の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法。
  3. 前記重合の際に、過硫酸塩/重亜硫酸塩/重金属イオンの組み合わせが用いられる、請求項1または2に記載の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法。
  4. 前記保存容器が、樹脂容器、ガラス容器、または金属容器である、請求項1から3までのいずれかに記載の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法。
  5. 前記重合の反応液が1種類以上の重金属イオンを含む、請求項1から4までのいずれかに記載の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法。
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