JP6436455B2 - 基板表面処理装置及び方法 - Google Patents

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Description

本願発明は、基板表面処理装置及び方法に関する。
近年、半導体基板の接合技術において、接合前に接合表面を清浄化又は活性化し、これらを接触させることで、比較的低温で良好な接合界面を得る技術が開発されている。
特に、半導体基板の大型化に伴い、大型の半導体基板の表面の清浄化又は活性化の表面をエネルギー粒子ビームで照射するために、基板の少なくとも一方向の幅より大きい長さの、いわゆる細長い(ライン状の)放射口を有するライン状ビーム照射源からエネルギー粒子ビームを放射し、このライン状のエネルギー粒子ビームで基板表面をスキャンすることで行う基板表面処理技術がある。(特許文献1)
このような表面処理技術により活性化された接合面は、活性化後に残留雰囲気に含まれる酸素や水などと接触すると、容易に酸化されるので、接合界面に残る酸化物は界面特性の悪化の原因となる。このため、接合面の酸素などへの露出量を最小限に抑えるために、活性化工程から接合工程までの短時間化や真空度の向上といった制限が課せられ、接合プロセスの柔軟性が損なわれていた。そこで、活性化後の接合面を水酸基で終端化する親水化処理を行い、この水酸基を介して接合面を接合する基板接合技術が開発された。これにより、活性化された表面の酸化を抑制しつつ、活性化後の基板の取り扱いに時間的柔軟性が上がった。さらには、水酸基は、加熱により比較的容易に接合界面から除去することができるので、ある程度の電気的特性又は機械的特性を有する接合界面を得ることができるようになった。(特許文献2)
さらにまた、ギ酸ガスなどの有機酸ガスを直接、電極の金属表面に照射して表面酸化物を還元する技術が知られている。
国際公開第2012/105473号 特開2011−119717号公報
しかし、表面活性化処理後に親水化処理を行う接合方法では、接合界面に取り込まれた水酸基や水分子などが、加熱によっても接合界面近傍から十分に除去されずに残留して、酸化物や水酸化物を形成して、十分な接合界面の電気伝導度又は機械的強度が得られない原因となっていた。
ギ酸ガスなどの有機酸ガスを用いて金属表面を還元する方法では、接合時の温度を摂氏280度以上という高い温度で行わなければならなかった。
そこで、本願発明が解決しようとする課題は、ライン状ガス照射源を用いて、効率的に、清浄かつ良好な電気的又は機械的特性を有する接合界面を形成する基板接合方法を提供することである。
上記の技術的課題を解決するために、本願発明に係る基板表面処理装置は、ガス放射口を有し、有機酸ガスを触媒を通すことにより生成した反応ガスをガス放射口から基板の表面に向かって放射して、基板の表面の酸化物を還元するガス照射源と、ガス照射源を、基板に対して相対的に移動させる移動手段と、を備えるようにしたものである。本願発明によれば、基板表面の酸化物を効率よく還元することのできる有機酸ガスの分解ガスを生成し、これをライン状(線状)の或は一方向に長い形態で放射して、基板表面の少なくとも一部を照射して還元処理をしつつ、ライン状の照射部を基板表面上でスキャンさせることができる。したがって、広い基板表面領域に対して、均一かつ効率的に還元処理を行うことができる。
本願発明に係る基板表面処理装置は、有機酸ガスを含む反応ガスをガス放射口から基板の表面に向かって放射して、前記基板の表面の酸化物を還元するガス照射源と、前記ガス照射源を、前記基板に対して相対的に移動させる移動手段と、を備えるようにしたものである。
本願発明に係る基板表面処理装置は、ガス照射源が、ライン上に設けられた、有機酸ガス導入用の複数のガス導入口を有するようにしてもよい。これにより、ライン状ガス照射源は、その内部により均一な有機酸ガスを導入することができ、その内部での触媒反応、そして触媒反応後に分解ガスを均一に、その外部へ放射することができる。例えば、触媒反応によりラジカル種が形成される場合には、比較的寿命の短いラジカル種を、処理対象となる基板表面まで、比較的均一に届けることが可能になる。
本願発明に係る基板表面処理装置は、ガス照射源が、ガス放射口と、ガス放射口に連結して有機酸ガスを供給するガス通路と、当該ガス通路内に配置された触媒と、を備えるようにしてもよい。さらに、ガス放射口を形成する部材は、触媒と同一材料により形成されていてもよい。これにより、分解ガス、例えば比較的寿命の短いラジカル種を、放射口でも生成するので、分解ガスをより均一により効率よく基板表面に届けることができる。
本願発明に係る基板表面処理装置は、基板を加熱する基板加熱機構を更に備えるようにしてもよい。これにより、基板表面の温度を上昇させ、また適切な温度に設定することで、基板表面の酸化物の還元過程を促進させ、或いは当該還元過程により表面に接合に適した微粒子を形成させることができる。適切に形成された微粒子を有する基板表面を接触して接合に用いることで、効率よく、良好な電気的又は機械的特性を有する接合界面を形成することができる。
本願発明に係る基板表面処理装置は、ガス照射源と基板とを含む空間を減圧する減圧手段を更に備えるようにしてもよい。これにより、出力ガスが、例えばラジカル種のような寿命の短いガスを含んでいても、その衝突確率を低くし、反応ガスが含む還元用の分解ガスを効率よく基板表面まで届けることができる。また、真空下で処理することで、基板表面への不純物の付着を回避又は抑制することができる。
本願発明に係る基板表面処理装置は、一対の基板を対向配置に保持する基板支持手段を更に備え、ガス照射源は、対向配置された一対の基板の間に配置された一対のガス照射源を備え、一対のガス照射源は、それぞれ、一対の基板の表面を反応ガスで照射するようにしてもよい。これにより、一対の基板をその後接合する場合に、反応ガス照射後に直ちに或は短時間内に、基板表面を接合することができる。還元処理後、短時間内に接合することにより、基板表面への不純物の付着を回避又は抑制することができる。
本願発明に係る基板表面処理装置は、一対の基板の表面同士を接触させる接合手段を更に備えるようにしてもよい。これにより、還元され、酸化物が実質的に消滅した基板表面同士を接合し、電気的又は機械的に優れた特性を有する接合界面を形成することができる。
本願発明に係る基板表面処理装置は、基板支持手段とガス照射源とが、開閉可能な真空弁を介して基板を搬送できるように連結された別個の真空チャンバ内にそれぞれ配置されるようにしてもよい。これにより、反応ガスとの還元処理を行う空間(例えば、反応ガス処理チャンバ)と、接合を行う空間(例えば、接合チャンバ)とを分けることができる。還元処理を接合チャンバ外、例えばロードロックチャンバ内で行うことで、反応ガスが接合チャンバ内壁等に付着し汚染原因となること、又これを腐食することを回避又は低減することができる。またさらには、還元反応により大量に発生する不純物ガスが、接合面に付着することによる接合界面の特性の低下を回避又は低減することができる。また、接合チャンバ内に載置される上下基板は、ロードロックチャンバから、1枚ずつ接合チャンバへ搬送される。この際、基板移載機構に反転機構が付加されていれば、ロードロックチャンバ内で片側のみから両基板に対して処理を行うことが可能になり、装置構成を簡略化できる。また、接合チャンバは、一対の基板を、接合面を対向するようにして保持し、かつ接触させる機構を有することが一般的である。したがって、接合チャンバ内で、対向して保持された一対の基板の接合面に対して反応ガスを放射するためには、ガス放射中にガス照射源の向きを変えることが必要である。そのため、ガス照射源の姿勢の変更や制御機構が必要となり、装置構成が複雑になりうる。これに対し、反応ガス処理チャンバと接合チャンバを別個に設けることにより、接合チャンバには、一対の基板を対向配置に保持し接触させる機構を有する一方で、反応ガス処理チャンバには、一対の基板の表面を同じ方向を向くように保持する機構を有して、この表面に対して一方向から反応ガスを放射するようにガス照射源を保持又は移動させる機構を有するようにして、各々のチャンバの構成を簡略化することができる。
本願発明に係る基板表面処理装置は、一対の基板の表面が、それぞれ金属領域と非金属領域とを有し、金属領域同士を接触させて金属接合界面を形成させ、非金属領域同士を接触させて非金属界面を形成させるようにしてもよい。
本願発明に係る基板表面処理装置は、非金属領域が本質的に酸化ケイ素(SiO)からなるようにしてもよい。
本願発明に係る基板表面処理装置は、非金属領域が本質的に樹脂からなるようにしてもよい。
本願発明に係る基板表面処理装置は、金属領域が銅を含む又は本質的に銅からなるようにしてもよい。
本願発明に係る基板表面処理装置は、ガス照射源が、ライン上にガス放射口を有するライン状ガス照射源であってもよい。
また、本願発明に係る基板表面処理装置は、運動エネルギーを有する粒子で前記基板表面を照射する粒子ビーム源と、反応ガスをガス放射口から基板の表面に向かって放射して、前記基板の表面の酸化物層を還元する還元手段と、を備えるようにしたものである。これにより、還元手段による還元処理よりも前に、運動エネルギーを有する粒子で前記基板表面を照射することで酸化物層の表層を除去することができ、効率的な還元処理が可能となる。また、
本願発明に係る基板表面処理装置は、前記反応ガスは、有機酸ガスを触媒を通すことにより生成するようにしてもよい。これにより、より均一かつ効率的に還元処理を行うことができる。
また、本願発明に係る基板表面処理装置は、基板の表面を酸化して酸化物層を形成する酸化手段と、有機酸ガスを触媒を通すことにより生成した反応ガスをガス放射口から基板の表面に向かって放射して、基板の表面の酸化物層を還元する還元手段と、を備えるようにしたものである。本願発明によれば、還元処理前に、基板表面に酸化物を形成し、この酸化物を還元することが可能になる。したがって、酸化物の性質、厚さ等を適切に調節することで、還元処理により、清浄な基板表面を形成することができる。
本願発明に係る基板表面処理装置は、酸化手段が、水ガスを含むガスに基板表面を暴露させる手段を有するようにしてもよい。ここで、水ガスは、H,OH,HOの少なくともいずれかを含む。これにより、銅(Cu)などで形成された金属領域の表面を酸化させ、還元処理により効率よく微粒子形成させることができ、かつ、非金属領域を接合するために還元処理前に、基板表面を水酸基(OH基)で終端化することができる。水酸基で終端化された基板表面は、清浄かつ比較的安定であるので、次の還元処理までの間を短時間にする必要性が緩和される。効率的かつ合理的な基板表面処理装置を構成することができる。なお、水酸基(OH基)を基板表面に生成、又は基板表面を水酸基(OH基)で終端化させるためには、水ガスを含むガスで処理する以外にも、酸素、窒素、アルゴン(Ar)などを用いた表面処理後に、チャンバ内に存在する水分子に曝してもよい。
本願発明に係る基板表面処理装置は、運動エネルギーを有する粒子で基板表面を照射する粒子ビーム源と、基板表面に対して水ガスを提供する水ガス供給機構とを有するようにしてもよい。これにより、還元処理前に、基板表面を清浄にしてかつ水で終端化することができる。不純物なく水で終端化された基板表面は、効率よく多くの水酸基が生成でき、良好な接合に寄与する。また、清浄かつ比較的安定であるので、次の還元処理までの間を短時間にする必要性が緩和される。効率的かつ合理的な基板表面処理装置を構成することができる。例えば、基板表面が銅からなる金属領域を有する場合に、この銅の表面を清浄にし、清浄状態を保ちつつ水で終端化して安定な状態にすることができる。
本願発明に係る基板表面処理装置は、基板を加熱する基板加熱手段を更に備えるようにしてもよい。これにより、基板表面の温度を上昇させ、また適切な温度に設定することで、基板表面の酸化物の還元過程を促進させることができる。
本願発明に係る基板表面処理装置は、酸化手段と還元手段と基板とを含む空間を減圧する減圧手段を更に備えるようにしてもよい。これにより、酸化処理と還元処理とを減圧下で行うことにより基板表面を清浄に保つことができる。さらに、出力ガスが、例えばラジカル種のような寿命の短いガスを含んでいても、その衝突確率を低くし、出力ガスが含む還元用の分解ガスを効率よく基板表面まで届けることができる。
本願発明に係る基板表面処理装置は、還元手段を、基板の表面に対して相対的に移動させる移動手段をさらに備えるようにしてもよい。これにより、表面積の大きい基板に対しても、基板表面に亘って均一な還元処理を行うことができ、このように還元処理された基板表面を接合することによって、良好な電気的又は機械的特性が均一な接合界面を形成することができる。
本願発明に係る基板表面処理装置は、一対の基板を対向配置に保持する基板支持手段と、対向配置に保持された一対の基板の表面同士を接触させる接合手段と、を更に備えるようにしてもよい。これにより、還元され、酸化物が実質的に消滅した基板表面同士を接合し、電気的又は機械的に優れた特性を有する接合界面を形成することができる。また、一対の基板をその後接合する場合に、出力ガス照射後に直ちに或は短時間内に、基板表面を接合することができる。
本願発明に係る基板表面処理装置は、一対の基板の表面が、それぞれ金属領域と非金属領域とを有し、金属領域同士を接触させて金属接合界面を形成させ、非金属領域同士を接触させて非金属界面を形成させるようにしてもよい。
本願発明に係る基板表面処理装置は、非金属領域が本質的に酸化ケイ素(SiO)からなるようにしてもよい。
本願発明に係る基板表面処理装置は、非金属領域が本質的に樹脂からなるようにしてもよい。
本願発明に係る基板表面処理装置は、金属領域が銅を含む又は本質的に銅からなるようにしてもよい。
また、本願発明に係る基板表面処理方法は、有機酸ガスを触媒を通して生成した反応ガスを基板の表面に向かって放射し、前記反応ガスを放射するガス照射源を、前記基板に対して相対移動させ、前記基板の表面の酸化物層を還元するようにしたものである。
また、本願発明に係る基板表面処理方法は、有機酸ガスを含む反応ガスを基板の表面に向かって放射し、前記反応ガスを放射するガス照射源を、前記基板に対して相対移動させ、前記基板の表面の酸化物を還元するようにしたものである。
本願発明に係る基板表面処理方法は、反応ガスの放射を、ライン状ガス照射源を用いて行い、反応ガスをライン上に列設された複数箇所のガス導入口からライン状ガス照射源内に導入することで行うようにしてもよい。
本願発明に係る基板表面処理方法は、反応ガスの放射を、ライン状ガス照射源を用いて行い、反応ガスをライン上に列設された複数箇所のガス放射口から基板の表面に向かって放射することで行うようにしてもよい。
本願発明に係る基板表面処理方法は、基板が反応ガスにより照射される間、基板を加熱することを更に備えるようにしてもよい。
本願発明に係る基板表面処理方法は、基板が反応ガスにより照射される間、反応ガスの放射経路と基板とを含む空間を減圧することを含むようにしてもよい。
本願発明に係る基板表面処理方法は、基板が、対向配置された一対の基板を備え、反応ガスを、放射方向にほぼ垂直面での断面形状をライン状にして、対向配置された一対の基板の表面に向かってそれぞれ放射し、反応ガスを、ライン方向に交差する方向に、前記基板に対して相対移動させるようにしてもよい。
また、本願発明に係る基板接合方法は、上記いずれかの基板表面処理方法により処理された一対の基板の表面同士を接触させることで行うようにしたものである。
本願発明に係る基板接合方法は、一対の基板の表面が、それぞれ金属領域と非金属領域とを有し、金属領域同士を接触させて金属接合界面を形成させ、非金属領域同士を接触させて非金属界面を形成させるようにしてもよい。
本願発明に係る基板接合方法は、非金属領域が本質的に酸化ケイ素(SiO)からなるようにしてもよい。
本願発明に係る基板接合方法は、非金属領域が本質的に樹脂からなるようにしてもよい。
本願発明に係る基板接合方法は、金属領域が銅を含む又は本質的に銅からなるようにしてもよい。
また、本願発明に係る基板表面処理方法は、運動エネルギーを有する粒子で基板の表面を照射することと、反応ガスを前記酸化された基板の表面に向かって放射して、前記基板の表面の酸化物層を還元することと、を含む。
本願発明に係る基板表面処理方法は、前記反応ガスは、有機酸ガスを触媒を通すことにより生成するようにしてもよい。これにより、より均一かつ効率的に還元処理を行うことができる。
また、本願発明に係る基板表面処理方法は、基板の表面を酸化して酸化物層を形成し、有機酸ガスを触媒を通すことにより生成した反応ガスを酸化された基板の表面に向かって放射して、基板の表面の酸化物層を還元するようにしたものである。
本願発明に係る基板表面処理方法は、基板の表面を酸化することが、基板の表面を、水酸基(OH基)を含むガスと接触させることを含むようにしてもよい。
本願発明に係る基板表面処理方法は、基板の表面の酸化することが、基板の表面を、水ガスと接触させる間に、基板の表面を加熱することを含むようにしてもよい。これにより、基板の表面に対して適切な酸化処理を行うことができる。例えば、基板の表面が銅(Cu)で形成されている場合、その後の還元処理に適切な酸化銅を形成することができる。
本願発明に係る基板表面処理方法は、基板の表面を酸化することが、運動エネルギーを有する粒子で基板の表面を照射し、その後、基板の表面に水ガスを提供することを含むようにしてもよい。
本願発明に係る基板表面処理方法は、基板の表面の酸化物層を還元することが、基板を加熱することを含むようにしてもよい。
本願発明に係る基板表面処理方法は、基板の表面の酸化物層を還元することが、反応ガスの放射経路と基板とを含む空間を減圧することを含むようにしてもよい。
本願発明に係る基板表面処理方法は、基板の表面の酸化物層を還元することが、反応ガスにより照射される基板の表面上の照射領域を、基板の表面上で移動させることで行うようにしてもよい。
また、本願発明に係る基板接合方法は、基板が、対向配置された一対の基板を備え、酸化物層が還元された一対の基板の表面を接触させるようにしてもよい。
本願発明に係る基板接合方法は、一対の基板の表面が、それぞれ金属領域と非金属領域とを有し、一対の基板の方面を接触させることが、金属領域同士を接触させて金属接合界面を形成させることを含むようにしてもよい。
本願発明に係る基板接合方法は、非金属領域が本質的に酸化ケイ素(SiO)からなるようにしてもよい。
本願発明に係る基板接合方法は、非金属領域が本質的に樹脂からなるようにしてもよい。
本願発明に係る基板接合方法は、金属領域が銅を含む、又は本質的に銅からなるようにしてもよい。
本願発明に係る基板接合方法は、非金属領域同士を接触させて非金属界面を形成させることを更に含むようにしてもよい。
本願発明に係る基板接合方法は、金属領域の表面が、非金属領域の表面より高いようにしてもよい。
本願発明に係る基板接合方法は、金属領域が、基板表面上に形成された金属バンプであるようにしてもよい。
本願発明に係る基板接合方法は、基板の表面の酸化物層を還元することが、非金属領域の表面に微粒子を実質的に形成させることなく、金属領域の表面に微粒子を形成させることを含むようにしてもよい。あるいは、本願発明に係る基板接合方法は、基板の表面の酸化物層を還元することが、選択的に、金属領域の表面に微粒子を形成させることを含むようにしてもよい。従来のペーストを使用する接合方法では、基板表面の全面に、接合用の金属微粒子含有ペーストを塗布しなければならなかった。本願発明によれば、金属領域表面の酸化物層を還元して金属微粒子を形成することで、金属微粒子を実質的に非金属領域表面に形成することを回避することができる。すなわち、これにより、実質的に金属領域のみに形成させることができる。したがって、非金属領域表面又は接合界面に不要な材料が残留することを回避又は抑制することができ、良好な接合界面を形成することができる。特に微細な電気的接続を必要とするデバイスでは電極表面にのみ微粒子を塗布することは至難の業であり実質不可能である。本発明により電極表面にのみ選択的に微粒子を形成することができる。特に電極が非金属部分より凸でなくとも微粒子を形成することが可能になる。さらに、非金属領域に対して高く形成された金属領域の表面同士を、金属微粒子を介して接合することで、接合圧力を低下させることができる。これにより、うねり等の変形がある基板同士を接合する場合などに、従来は高い接合圧力を掛けることが必要であったが、本願発明によれば、この接合圧力を低下させることができる。また、微粒子の形成高さを制御しておけば微粒子を介した金属部分の接合と同時に非金属部分の密着も同時に行うことが可能になる。
本願発明に係る基板接合方法は、一対の基板の表面を接触させることが、微粒子を介して金属領域表面を接触させることと、接触する金属領域表面に150MPa以下の圧力を掛けることとを含むようにしてもよい。従来は、金属領域表面に300MPa未満の接合圧力を掛けることが必要であったが、本願発明により、接合圧力が従来の半分以下で接合することができる。金属領域表面には金属微粒子が比較的疎に形成され、これらが比較的低加重下で密な微結晶群からなる接合界面を形成するのに役立っていると考えられている。これにより、基板表面のうねりや平行度のずれなどを許容して密着させることが可能となる。
本願発明に係る基板接合方法は、前記酸化物層を還元することにより、前記金属領域の表面に微粒子を主に含む層を形成し、該微粒子を主に含む層の表面の高さを、前記基板の表面より高く形成することを含む。
本願発明に係る基板接合方法は、前記一対の基板の表面を接触させることは、前記非金属領域同士を接触させることを含む。
また、本願発明に係る基板接合体は、金属領域と非金属領域とを表面に有する一対の基板の接合体において、金属領域間に形成された金属接合界面を有し、金属接合界面は、直径又は最大幅の平均が100nm以下の微結晶を含むものである。
本願発明に係る基板接合体は、非金属領域が本質的に酸化ケイ素(SiO)からなるものでもよい。
本願発明に係る基板接合体は、非金属領域が本質的に樹脂からなるものでもよい。
本願発明に係る基板接合体は、金属領域が銅を含む、又は本質的に銅からなるものでもよい。
本願発明に係る基板接合体は、非金属領域間に形成された非金属接合界面を更に有するものでもよい。
本願発明に係る基板接合体は、金属領域が、基板表面上に形成された金属バンプであってもよい。
本願発明に係る基板接合体は、非金属領域表面に金属微粒子又は微結晶を実質的に含まないものであってもよい。
本願発明によれば、広い基板表面領域に対して、均一かつ効率的に還元処理を行って、良好な接合を行うことができる。
接合対象となる基板の構造を説明する概略断面図である。 接合対象となる基板の構造を説明する概略断面図である。 本発明の基板表面処理及び基板接合方法を実施するための基板表面処理及び接合装置の一例を示す概略正面図である。 図2に示すガス照射源を含む要部の概略斜視図である。 ライン状ガス照射源の概略断面図である。 ライン状ガス照射源のガス放射口を示す概略平面図である。 本発明の表面処理及び接合方法の一例を示す概略正面図である。 本発明の表面処理及び接合方法の一例を説明する概略正面図である。 本発明の表面処理方法で形成された接合面の一例の走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の表面処理方法の一例を説明する概略正面図である。 本発明の接合方法の一例を説明する概略正面図である。 本発明の接合方法で形成された接合界面の一例の透過型電子顕微鏡写真である。 本発明の表面処理及び接合方法の一例を説明する概略正面図である。 本発明の表面処理方法の一例を説明する概略正面図である。 本発明の表面処理方法の一例を説明する概略正面図である。 本発明の表面処理及び接合方法の一例を説明する概略正面図である。 本発明の表面処理方法の一例を説明する概略正面図である。 本発明の基板表面処理及び基板接合方法を実施するための基板表面処理及び接合装置の一例を示す概略正面図である。 本発明の表面処理方法によって処理された銅表面の電子顕微鏡写真である。 本発明の表面処理方法によって処理された銅表面の解析結果を示す図である。
以下、添付の図面を参照して本願発明に係る実施形態を説明する。
<1 接合対象>
まず、本発明による方法を適用して接合をする接合対象について説明する。図1は、接合対象となる基板の構成の一例を示す概略断面図を示す。この例においては、基板1は、シリコン(Si)からなる母材2の表面上に、銅(Cu)からなる金属領域4と、主として酸化シリコン(SiO)からなる非金属領域5を有して構成されている。この接合対象である一対の基板1を、接合面3を対向させて、接合することになる。
なお、非金属領域5は、主として樹脂から構成されていてもよい。
また、非金属領域5は、酸化シリコン(SiO)及び樹脂以外の非金属材料を含んでいてもよい。さらにまた、基板1の接合面3は、金属領域4、非金属領域5以外の領域を含んでいてもよく、接触又は接合工程において他の基板1と接触しない部位又は領域を有していてもよい。
図1において、金属領域4は、非金属領域5の中に埋め込まれている形態に示されているが、これに限られない。たとえば、金属領域4は、基板1の厚さ方向に母材2を貫通する貫通電極(図示せず)として形成されてもよい。このような貫通電極は、例えば、まず母材2を含め基板1に貫通孔(図示せず)を形成し、当該貫通孔の壁面に酸化ケイ素などを堆積するなどして絶縁層(図示せず)を形成し、そして、絶縁層で覆われた貫通孔内に金属を堆積するなどして、形成することができる。
図1では、基板1の接合面3において、金属領域4の表面は、非金属領域5の表面とほぼ同じ高さを有しているが、これに限られない。
図2(A)及び(B)に例示的に示すように、基板11,21の接合面13において、金属領域14は、非金属領域15の内部から非金属領域15の表面より高く、又は非金属領域15の表面から突出するように形成されてもよい。
一例として、図2(A)に示すように、基板11の接合面13が、非金属領域15とこの非金属領域15内に形成された金属領域14とを有して構成されていてもよい。たとえば、配線又は電極として銅で形成された金属領域14と、酸化物で形成された非金属領域15との両方を有して形成された基板11の表面13に対して化学機械研磨(CMP)することで、研磨速度の違いから、銅の金属領域14が非金属領域15に対して高くなる場合がある。金属領域14と非金属領域15の表面の高低差は、数nm(例えば5nm)であってもよい。
他の例として、図2(B)に示すように、金属領域14は、既に形成された非金属領域15の表面上に形成されてもよい。たとえば、金属領域14は、他の基板と接合して基板21との電気的接続を形成するための金属バンプであってもよい。この金属バンプの高さ、すなわち金属領域14と非金属領域15の表面の高低差は、数十μm(例えば20μm)であってもよい。
更に他の例として、後述(図13参照)のように、一対の基板1,1の接合により金属領域4,4間で所望の電気的接続が得られるのであれば、金属領域4は、非金属領域5の表面に対して低く形成されていてもよい。
本願において、基板は、その母材に板状又はフィルム状の半導体、ガラス、セラミックス、金属、有機材料、プラスチックなどの材料、又はこれらの複合材料が用いられて形成されていてもよく、円形、長方形等の種々の形状に形成されてもよい。
<2 第1実施形態>
<2−1 基板表面処理装置及び基板接合装置>
図3は、本発明の一実施形態に係る基板表面処理装置100の内部の概略構造を示す正面図である。なお、以下、各図においては、便宜上、XYZ直交座標系を用いて方向等を示している。
基板表面処理装置100は、真空チャンバ200と、接合対象である基板1,1を対向して支持し、両基板1,1の相対的な位置決めをする基板支持手段400と、基板の相対的位置関係を測定する位置測定手段500と、対向して支持された基板1,1の表面に対して表面処理を行う表面処理手段600と、を有して構成されている。
<2−1−1 真空チャンバ>
真空チャンバ200は、後述の基板支持手段400のステージ401,402と表面処理手段600とを収容する。また、真空チャンバ200は、雰囲気制御手段として、内部を真空引き又は減圧するための減圧手段(真空ポンプ201)を備える。当該真空ポンプ201は、排気管202と排気弁203とを介して真空チャンバ200内の気体を外部に排出するように構成されている。
真空ポンプ201の吸引動作に応じて真空チャンバ200内の圧力が低減(減圧)されることによって、真空チャンバ200内の雰囲気は真空又は低圧状態にされる。また、排気弁203は、その開閉動作と排気流量の調整動作とによって、真空チャンバ200内の真空度を制御、調整することができる。
真空ポンプ201は、真空チャンバ200内の気圧を1Pa(パスカル)以下にする能力を有する。真空ポンプ201は、以下で説明する表面処理手段600が作動する前のバックグラウンド圧力を、1×10−2Pa(パスカル)以下にする能力を有することが好ましい。
真空ポンプ201の作動により、反応ガス301と酸化物等との化学反応による生成物、あるいは後述の粒子ビームの照射により基板表面の表面層から除去された物質などを、雰囲気(真空チャンバ200)外へ除去することができる。すなわち、露出された新生表面へ再び付着し汚染するような、望ましくない物質を真空チャンバ200から効率よく排出することができる。
また、真空チャンバ200は、雰囲気制御手段として、非酸化ガス源(図示せず)を有してもよい。非酸化ガス源は、アルゴンや窒素などの不活性又は酸化性のないガス(非酸化ガス)を真空チャンバ200内部に導入する。真空ポンプ201と非酸化ガスの導入とにより、真空チャンバ200内部の酸素の濃度を低下させるとともに、不純物等を真空チャンバ200から、さらに効率よく排出することができる。
<2−1−2 基板支持手段>
図3に示す基板支持手段400は、基板1,1を支持するステージ401,402と、それぞれのステージを移動させるステージ移動機構403,404と、Z軸方向に基板同士を加圧する際の圧力を測定する圧力センサ408,411と、基板を加熱する基板加熱手段420とを有して構成されている。
基板1,1は、ステージ401,402の支持面に取り付けられる。ステージ401,402は、機械式チャック、静電チャックなどの保持機構を有し、これにより基板を支持面に固定して保持し、又は保持機構を開放することで基板を取り外すことができるように構成されている。
図3において下側の第1ステージ401は、スライド式の第1ステージ移動機構403を有して構成され、これにより、第1ステージ401は、真空チャンバ200に対して又は上側の第2ステージ402に対してX方向に並進移動することができる。
図3において上側の第2ステージ402は、アラインメントテーブルとも呼ばれるXY方向並進移動機構405を有し、これにより第2ステージ402は真空チャンバ200に対して又は下側の第1ステージ401に対して、XY方向に並進移動することができる。
第2ステージ402は、アラインメントテーブル405に連結されたZ方向昇降移動機構406を有し、これにより第2ステージ402は、上下方向又はZ方向に移動し、両ステージ401,402間のZ方向の間隔を変え又は調節することができるように構成されている。また、両ステージ401,402は、保持する基板1,1の対向する接合面同士を接触させ、又は接触後に加圧することができる。Z方向昇降移動機構406は、接合手段として機能する。
したがって、図3に示す基板表面処理装置100は、基板接合装置としても使用することができる。
Z方向昇降移動機構406には、そのZ軸に掛かる力を測定するZ軸圧力センサ408が配置され、これにより加圧下で接触している接合面に垂直方向に掛かる力を測定し、接合面に掛かる圧力を計算することができる。Z軸圧力センサ408には、例えばロードセルを用いてもよい。
アラインメントテーブル405と第2ステージ402との間には、3つのステージ圧力センサ411と、各ステージ圧力センサ411においてZ軸方向にピエゾアクチュエータ412とが設けられている。各ステージ圧力センサ411とピエゾアクチュエータ412の組は、第2ステージ402の基板支持面上の非同一線上の異なる3つの位置に配置されている。より詳細には、3つのステージ圧力センサ411と、3つのピエゾアクチュエータ412とにより構成される各組は、略円柱状の第2ステージ402の略円形上面内の外周部付近において略等間隔で配置されている。また、3つの圧力検出センサ411は、対応する各ピエゾアクチュエータ412の上端面とアライメントテーブル405の下面とを接続している。これにより、ステージ圧力センサ411により基板の接合面に掛かる力又は圧力の分布を測定することができる。そして、ピエゾアクチュエータ412を互いに独立にZ方向に伸縮させることで上記力又は圧力の分布を微細又は正確に調節し、或いは基板の接合面に掛かる力又は圧力を、接合面に亘って均一又は所定の分布にするように制御することができる。
第2ステージ402には、Z軸周り回転移動機構407が設けられ、第2ステージ402をZ軸周りに回転させることができる。回転移動機構407により、第2ステージ402を第1ステージ401に対してZ軸周りの回転位置θを制御して、両基板の回転方向の相対的位置を制御することができる。
なお、図3に示す実施例では、Z方向昇降移動機構406は、基板支持手段400に連結されて構成されているが、これに限られない。たとえば、真空チャンバ200内で基板同士を接触させ接合させるのではなく、表面処理を行った後に、真空チャンバ200以外のチャンバに移動して、基板同士を接触させ接合させる接合機構(図示せず)を配置してもよい。また、図3に示す実施例では、X,Y,Z,及びθ方向の各移動軸を第2ステージ側に配置されたが、これらは第1ステージ側に配置されてもよく、あるいはそれぞれの移動軸をいずれの側に構成しても、あるいは組合わせてもよい。
<2−1−3 位置測定手段>
図3に示す基板表面処理装置100は、基板1,1の相対的位置関係を測定するための位置測定手段500として、真空チャンバ200に設けられた窓503と、光源(図示せず)と、光源から発せられ両基板1,1のマークが設けられた部分(図示せず)を通過して上記窓503を通過して真空チャンバ200の外部に伝播する光と上記マークの影とを撮像する複数のカメラ501,502とを有して構成されている。
図3に示される位置測定手段500は、Z方向に伝播する光をXY面方向に屈折させるミラー504,505を有し、カメラ501,502はY方向に屈折した光を撮像するように配置されている。この構成により、Z軸方向の装置の大きさを小さくすることができる。
<2−1−4 基板のアラインメント手法>
本基板表面処理装置100は、上記位置測定手段500と、ステージの位置決めをする各移動機構と、これらに接続されたコンピュータ700とを用いて、水平方向(X及びY方向)並びにZ軸周りの回転方向(θ方向)について、基板1,1の各々の真空チャンバ200内の位置(絶対的位置)又は基板1,1間の相対的位置とを測定及び制御することができるように構成されている。
基板1,1には、測定用の光が通過する箇所が規定されており、ここにマーク(図示せず)が附されていて、通過光の一部を遮断又は屈折させる。カメラ501,502が通過光を受光すると、明視野像である撮影画像内でマークは暗く現れる。マークは、好ましくは、基板に複数個、例えば基板の対向する2つの角に設けられている。これにより、複数個のマークの位置から、基板1,1の絶対的位置を特定することができる。
<2−1−5 基板加熱手段>
図3のステージ401,402は、それぞれ基板加熱手段420として、ヒータ421,422を内蔵している。ヒータ421,422は、例えば電熱ヒータでジュール熱を発するように構成されている。ヒータ421,422は、ステージ401,402を介して熱を伝導させ、ステージ401,402に支持されている基板1,1を加熱する。ヒータ421,422が発する熱量を制御することで、基板1,1の温度や各基板の接合面の温度を調節し制御することができる。
<2−1−6 表面処理手段>
図3及び図4を参照して、表面処理手段について説明する。図4は、図3におけるライン状ガス照射源601,602周辺の要部の拡大斜視図である。
表面処理手段600は、図3及び図4に示すように、一対のライン状ガス照射源601,602を有して構成されている。各ライン状ガス照射源601,602内に、ガス管658からそれから枝分かれしたガス枝管659を通って、有機酸ガス300が導入される。有機酸ガス300の触媒661との触媒反応により生成された反応ガス301は、ライン上に規定された1つ又は複数のガス放射口664から放射される。これにより、反応ガス301は、放射方向に垂直面での断面形状がライン状になって、基板に向かって放射される。したがって、ライン状の反応ガス301は、任意の時点で、基板1,1表面上の帯状(ライン状)の領域Rを照射している。(上側基板1の照射領域Rは図示せず。)
図3及び図4に示すように、表面処理手段600は更に、移動手段として、ガス照射源移動機構603を有しており、これにより、ライン状ガス照射源601,602を基板1,1に対して平行に移動させ、又はライン状ガス照射源601,602のライン方向(X方向)周りに揺動させる。
図4に示すように、ライン状ガス照射源601,602は、そのライン方向又は長手方向が互いに平行かつX方向と平行となるように配置されている。
ライン状ガス照射源601,602は、ガス照射源移動機構603により、そのY方向の間隔を一定に保ちつつ、両者の長手方向にほぼ垂直方向であるY方向に並進移動するように構成されている。Y方向の間隔を一定に保つために、ライン状ガス照射源601,602を機械部材で連結してもよい。また、両ライン状ガス照射源601,602を同じ速度で移動させることで、Y方向の間隔を一定に保ってもよい。
Y方向に張られた複数のリニアガイド604,605,606が、ライン状ガス照射源601,602との長手方向の両端を支持しつつ、Y方向に所望の距離を並進移動させ又は所望の位置に位置決めさせることができる。
図4では、リニアガイド604は、ライン状ガス照射源601,602とのそれぞれの一端をY方向に移動可能に支持している。このリニアガイド604は、Y方向に延びるネジ604aと、ネジ604aの長手方向の回転により動くナット604bと、ネジ604aを回転させるサーボモータ604cとを有して構成されている。ナット604bは、ライン状ガス照射源601,602をX方向の各回転軸周りに回転可能に、かつXYZ方向に固定して支持している。このナット604bは、図4においては、ライン状ガス照射源601,602の間のY方向の間隔又は距離を一定に保つ機能も有している。
リニアガイド605及び606は、Z方向にずれて平行に配置されていて、それぞれ、ライン状ガス照射源601,602の他端をY方向に移動可能に支持している。さらに、リニアガイド605,606は、回転式リニアガイドであり、それぞれの長手軸方向の軸周りに回転可能であり、当該回転を、ライン状ガス照射源601,602のライン方向(X方向)の回転軸609,610周りの回転運動に変換して伝達する機構を有している。
上記の構成により、回転式リニアガイド605,606をX方向軸周りに回転又は揺動させ、この回転角によって、ライン状ガス照射源601,602のY方向軸周りの揺動を制御又は設定することができる。
また、回転式リニアガイド605,606は、それぞれ個別にライン状ガス照射源601,602に連結され、ライン状ガス照射源601,602のY方向軸周りの回転角を独立に制御又は設定することができるように構成されている。
ライン状ガス照射源601,602は、回転軸609周りで基板1,1表面に対して所定の角度を保ったまま、反応ガス301を放射しつつ、基板1,1表面上をY方向に並進移動することができる。ある時刻において、ライン状ガス照射源601,602は、基板1,1上のX方向に伸びた帯状の照射領域R(上側基板の照射領域は図示せず)を反応ガス301で照射しており、Y方向の並進移動にともない、照射領域Rは基板1,1の表面上をスキャンする。
なお、図3,図4等ではライン方向(X方向)とラインガス照射源601,602の基板1,1に対する相対的移動方向(Y方向)とは、互いに垂直に示されているが、これに限られない。このライン方向と相対的移動方向とは、交差していればよく、あるいは非平行であればよい。ライン方向と相対的移動方向とがなす角度は、プロセスに応じて、設定されてよく、その角度は、プロセスに応じて、スキャン中一定に設定されても、可変としてもよい。
<2−1−7 ライン状ガス照射源>
次に、図5を参照して、ライン状ガス照射源601(602も同様)の構造及び動作について説明する。図5は、図4に示すライン状ガス照射源601(602)のライン方向を含む面(XZ面)での断面を示す概略正面図である。
図5に示すライン状ガス照射源601は、外観がライン方向(長手方向)に延びた直方体形状に形成され、その内部が空間部とされたガス照射源本体650を備えている。ライン状ガス照射源601は、先端壁651、後端壁652及び側壁653,654(図5においてXZ面方向に平行に紙面前後に位置する壁)と、これら各壁により形成される空間部のX方向両端を閉塞する端壁655,656とを備えている。後端壁652には、複数のガス導入口657がライン上に等間隔に形成されており、このガス導入口657には、ガス枝管659が気密状態に嵌着されている。ライン状ガス照射源601の内部空間はガス通路660を構成し、このガス通路660には、ガス管658及びガス枝管659をと覆って、キャリアガスに混合された有機酸ガス300が導入されるようになっている。
ガス通路660内には、触媒661として白金(Pt)からなる多数の薄膜小片が配置されるとともに、触媒661を所望の温度に加熱する触媒ヒータ662が配置されている。キャリアガスと混合された有機酸ガス300は、所望の温度にある触媒661に接触することによって、比較的高い還元作用を有する反応ガス301に分解又は変換される。
あるいは、ガス通路660内に触媒661を設けず、反応ガス301として、有機酸ガス300が直接放射される構成とすることもできる。
なお、触媒661は白金(Pt)以外でも、使用される有機酸ガスを分解して処理対象の金属表面の酸化物を還元する作用を有する反応ガスを生成する触媒機能を有する触媒であれば、これを使用することができる。
有機酸ガスの分解のメカニズムや反応ガス301の性質等について、科学的な知見は定まっていないが、限定されない一つの考え方として、以下の反応が考えられている。例えば、有機酸であるギ酸(HCOOH)が、摂氏200度程度に加熱された白金(Pt)触媒661に接触することで、水素ラジカルと、ギ酸基とに分解されると考えられている。後述のように、触媒661を用いないでギ酸ガスをそのまま銅の酸化物と接触させてもよいが、この酸化物を還元するためには金属領域の温度を摂氏250度以上で加熱するこことが必要である。しかし、本発明の発明者らは、上記白金(Pt)の触媒661を用いた反応ガスを用いることで、金属領域の温度が摂氏250度未満であっても、例えば摂氏150度以下であっても、十分な還元作用を奏しめることが可能であることを発見した。
図5に示すライン状ガス照射源601の先端部651には、複数のガス放射口664がライン上に等間隔に形成されている。ガス通路内50で生成された反応ガス301は、このガス放射口664を通って、ガス照射源40から基板1,1に向かって放射される。
なお、図5に示すように、ガス放射口664は、先端壁651に設けられたガス放射部665を貫通するように設けられている。ガス放射部665は、触媒661と同一の触媒材料から形成されている。さらに、当該ガス放射部665は、加熱ヒータ(図示せず)を有し、これにより、ガス放射口664を所望の温度に加熱することができる。これにより、ガス通路660を通過しても未反応の有機酸ガス300に対しても、ガス放射口664で触媒反応を起こさせることで反応の効率が上がり、また、形成される反応ガス301を均一に放射することもできる。水素ラジカルはラジカル状態を維持できる時間が短いが、ガス放射口664等を触媒材料で形成することで、反応ガス301の生成位置から、還元処理される接合面(金属領域4の表面)までの距離を小さくすることができるので、時間あたりにより多くの水素ラジカルを接合面と接触させることができる。
上記触媒材料を有するガス放射部665及びガス放射口664は、ガス放射部665を触媒からなるハニカム構造で形成して構成されてもよい。この場合、当該ハニカム構造は、そのガス流量方向又はセルの長手方向を放射方向として、ガス放射口664を各セルの流量方向の外側の端部として、構成される。これにより、放射されるガスの指向性を高めることができる。また、このハニカム構造を触媒材料から形成し、又は少なくともその放射されるガスと接触するセル内の表面を触媒材料で形成することにより、触媒反応を生じさせる表面積を増やすとともに、ライン状ガス照射源601から放射される直前まで、触媒反応を起こさせることを可能にするので、生成され放射される反応ガス301の量を増加させることができる。
ガス放射口664は、種々の形態に形成されうる。
例えば、図4に示すライン状ガス照射源601は、そのライン方向に細長く開口された1つのガス放射口664を有して構成されている。また、図5に示すライン状ガス照射源601は、複数のガス放射口664を有して構成されている。
ガス放射口664は、ライン状ガス照射源601のライン上に規定されていれば、又はライン状ガス照射源601から、反応ガス301を、ガス放射方向に垂直面で断面形状をライン状にして放射することができれば、種々の形状及び形態に形成されてもよい。図6は、ガス放射口664の形状を例示的に示すものである。
図6Aに示すガス放射口664aは、図4に示すものと同様に、ライン方向に細長く開口された1つのガス放射口664aを有して構成されたものである。
図6Bに示すガス放射口664bは、比較的短いライン状ガス放射口664bを複数個、ライン上に又はライン方向に列置して構成したものである。
ガス放射口664は、複数個のガス放射口664cを配置して構成される場合では、各ガス放射口664cは、細長く形成される必要はない。例えば、図6Cに示すように、ガス放射口664は、ガス放射口664cを丸い孔として形成し、これらのガス放射口664cをライン上またはライン方向に列置して構成されてもよい。
また、図6Dに示すように、ガス放射口664は、1列に配置されずに、複数列のガス放射口664dを、ライン方向に並置して構成されてもよい。図6Dでは、3列に配置されているが、これに限られず、2列又は4列以上でもよい。なお、各ガス放射口664dの形状は、図6Aから図6Cの形状又はその他の形状でもよい。
さらにまた、図6Eに示すように、ガス放射口664は、複数のガス放射口664eを配置してガス放射口664全体を構成しつつも、各ガス放射口664eがさらに微細ガス放射口664fを有するように構成されてもよい。これにより、各ガス放射口664の部位を、ライン状ガス照射源601,602の先端壁651と異なる物質で構成し、例えば図5に示すように触媒661と同一の触媒で形成することが容易にできる。また、反応ガス301との接触により侵食された場合に、適宜先端壁651から、当該部位を外し交換することが容易にできる。
上述のとおり、ライン状ガス粒子源601,602を用いることで、比較的大きなサイズの基板表面に対して均一にガス照射を行うことが可能になる。しかしながら、処理対象である基板表面のサイズに対して、ライン状ガス粒子源のライン方向(長手方向)の長さが規定される。したがって、単一のライン状ガス粒子源を用いて異なるサイズの基板に対して粒子ビーム照射を行う場合、使用するライン状ガス粒子源のライン方向の長さは、対象となる基板の中で最大のサイズの基板サイズに合わせて設定される。
しかし、このライン状ガス粒子源601,602を用いて、比較的に小さい基板に対して反応ガス照射を行うと、当該基板以外の部材に照射部分が発生する。反応ガスが基板以外の部分に衝突すると、必ずしも望ましくない部材から反応生成物が飛散し、処理雰囲気中に混合する。この望ましくない反応生成物は、処理対象である基板表面の汚染原因となり、プロセスの質を低下させうる。また、目的とする処理に必要な量以上の反応ガスを生成することは、不経済でもある。そこで、図6Bから図6Eに示すように、ライン方向に複数個のライン放射口664が設けられている場合には、ガス照射時のライン方向の基板のサイズに応じた箇所及び数のライン放射口664のみから反応ガス301を放射し、その他のライン放射口664からは反応ガス301を放射しないように、ライン状ガス粒子源601,602を構成することが好ましい。
<2−2 表面処理方法及び接合方法>
次に、図7及び図8を参照して、図3及び図4に示す基板接合装置100を用いた、図3に示す基板の表面処理及び接合方法について説明する。図7は、表面処理及び接合工程を説明するための装置構成の概略正面図であり、図8は、各工程でのプロセスの仮想的物理現象を説明する概略正面図である。図7では、説明に必要なライン状ガス照射源601,602と基板1,1のみを表しており、その他の構成は示されていないが、図3と同様である。
図8Aに示すように金属領域4では、金属領域4の表面にその金属(銅)の酸化物(酸化銅)からなる層(酸化物層6)が存在しているのが通常である。この酸化物層6は、通常、金属領域4を基板上に形成した後に大気中の酸素や水分子などとの接触により形成されるものである。
この酸化物層6は、例えば、金属領域4の表面に水蒸気が接触する状態で加熱をすることにより形成してもよい(以下、熱処理と称する)。一般的に、金属領域である銅の表面において、酸化物層は、再外層に形成されたCuOを主に含む層と、その下に形成されたCuOを主に含む層とから構成されると考えられる。熱処理により、酸化物層の厚さは増加するが、CuOを主に含む層の厚さが増加することが主な要因であると考えられている。このような現象は、上記の熱処理で特に顕著である。CuOを主に含む層の厚さが、熱処理によって増加することにより、後述する金属微粒子7が好ましく形成される。
→削除しました。
ライン状ガス照射源601,602を作動する前に、真空ポンプ201により真空チャンバ200の雰囲気を10−2Paに減圧する。真空排気により、真空チャンバ200内の不純物又は汚染物を除去し、清浄な雰囲気を形成することができる。
この真空状態をバックグラウンド雰囲気とした後に、ライン状ガス照射源601,602を作動させて、反応ガスを基板1,1に放射することを開始する。真空ポンプによる真空排気は、次に行う還元処理から接合工程に亘って、継続させることが好ましい。これにより、真空チャンバ200内の雰囲気、すなわち少なくともライン状ガス照射源601,602から基板1,1の間の反応ガス301の放射経路が減圧下に置かれる。したがって、良好な接合界面が形成されるまで、基板周囲又はライン状ガス照射源601,602周囲の雰囲気を清浄に保ち、不純物等の基板表面や接合界面への付着、侵入を低減することができる。
なお、本実施形態では、以下、真空状態でライン状ガス照射源601,602の作動を開始しているが、バックグラウンド雰囲気は上記圧力より低い10−5Paまでの真空でもよく、また大気圧と同じ圧力でもよく、大気圧より高い圧力でもよい。
また、真空チャンバ200内の雰囲気に、アルゴンや窒素などの不活性なガスを導入してもよい。これらによって、不純物等の基板表面や接合界面への付着、侵入を低減することができる。
つぎに、ヒータ421,422を用いて、基板1,1、すなわちその金属領域4を加熱する。金属領域4が銅である場合には、本願発明を用いることで、金属領域4の温度を、従来より低い、摂氏250度以下として還元処理を行うことができる。還元処理中の温度は、より好ましくは摂氏220度以下、より好ましくは摂氏200度以下、さらには摂氏150度以下としてもよい。
上記温度に維持された金属領域4に対して、ライン状ガス照射源601,602から反応ガス301を放射する(図8A)。
反応ガス301は、金属領域4表面の酸化物層6と接触して(図8A)、当該酸化物層6を還元する。この還元作用により、酸化物層6内の酸素を金属から分解して、その結果、酸化物層6が消滅し、清浄な金属表面が形成される。この際、酸化物層6中にあった金属が、金属領域4の表面に凝集して、あるいは析出して、金属微粒子7となって出現すると考えられている(図8B)。
この金属微粒子7の大きさ、すなわち直径又は最大寸法は、数十nmから数百nmの範囲である。ギ酸をPt触媒により生成した反応ガスで銅の金属領域の表面を照射した後の、接合面の一例の走査型電子顕微鏡写真を図9に示す。
今日の科学的知見では仮説になるが、有機酸としてギ酸(HCOOH)、処理対象の金属として銅を例にとり説明すると、ギ酸ガスは、触媒反応により水素ラジカルとギ酸基とに分解され、これらを含む反応ガス301が、その還元作用により、銅酸化物を効率よく分解して酸素を除去し、清浄な金属表面を形成すると考えられている。
金属微粒子7の形成は、次のような理由によるものと考えられる。例えば、Pt触媒を作用させたギ酸から生成した反応ガスを利用して銅の表面に形成された酸化物層を還元する場合、ギ酸はPt触媒によって分解され、水素ラジカルが発生する。銅の表面において、酸化物層は、再外層に形成されたCuOを主に含む層と、その下に形成されたCuOを主に含む層とから構成されるが、水素ラジカルによってCuOが減少する。そして、ギ酸基がCuOと反応して、銅のギ酸塩を形成する。この銅のギ酸塩が分解することにより、銅の微粒子が凝集(あるいは析出)する。なお、ギ酸がPt触媒によって分解されない場合には、水素ラジカルが発生せず、このような酸化物層における反応は進行しにくいと考えられる。これは、水素ラジカルによるCuOの除去が効率的に行われないためであると考えられる。この結果、金属微粒子が十分に形成されず、好ましい接合が得られなくなる。
これらのことから、ギ酸により還元される金属微粒子を効率よく形成するためには、CuOの表層にあるCuO膜を除去することが効果的である。Pt触媒により発生した水素ラジカルが、ギ酸基による還元反応に先立ち、このCuO膜を除去することにより、ギ酸による効率的な金属微粒子の形成が可能となる。
次に、ギ酸にPt触媒を作用させることで、金属領域である銅の表面に金属微粒子が効率的に形成される実験例を示す。図19(A)は、Pt触媒を作用させないギ酸ガスによって表面処理をした銅の表面の形態を示す電子顕微鏡による観察例である。一方、図19(B)は、Pt触媒を作用させたギ酸ガスから得た反応ガスによって表面処理をした銅の表面の形態を示す観察例である。図19(B)では、銅の金属微粒子が均一に形成されていることがわかる。このような表面形態を有する金属領域は、良好に接合させることができる。しかしながら、図19(A)では、このような金属微粒子は観察されていない。
これは、Pt触媒により分解したギ酸から発生した水素ラジカルが、ギ酸基による還元反応に先立ち、CuO膜を除去し、ギ酸による効率的な金属微粒子の形成が可能となったためであると考えられる。
また、水素ラジカルの作用によって、銅の酸化物層の表層部に存在するCuOが除去されることは、次の実験結果からもわかる。図20は、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)解析による、銅の表面状態の測定結果である。図20(A)は、表面処理を行う前の銅表面の解析結果である。図20(B)は、Pt触媒を作用させたギ酸ガスから得た反応ガスによって表面処理を行った銅表面の解析結果である。この結果を見ると、反応ガスによる表面処理を行った図20(B)では、CuOが減少していることがわかる。
上述のとおり、還元後の金属領域4表面に形成される金属の微粒子7の寸法や密度等の特性は、触媒反応に加え、金属領域表面に対する反応ガスの暴露量や金属領域表面の温度等の諸条件を制御することにより、制御できる。例えば、銅の表面にギ酸の触媒による反応ガス301を照射した場合、銅の温度が摂氏200度であると、数十nm程度の大きさの金属微粒子を形成することができる。したがって、これらの微粒子を有する金属領域表面同士を接触させ、接合時の加熱加圧条件をさらに制御することで、良好な接合界面を形成することができる。一般に、基板温度が低いほど、金属微粒子7の大きさは小さくなり、以下説明の接合工程における加熱温度を低くすることができると考えられる。
有機酸を用いた還元反応は金属領域表面に対して生じるので、図10A,図10B又は図13Aに示すように、金属微粒子7を金属領域表面4,14,34のみに形成して、非金属領域5,15,35表面上には形成しないようにすることができる。すなわち、金属微粒子7は非金属領域5,15,35表面上に実質的に形成されない。換言すれば、金属微粒子7を選択的に金属領域表面4,14,34に形成することができる。従来は金属微粒子を有するペーストなどを基板表面の全面に塗布していた。したがって、金属領域間の導電性を確立するために必要な金属微粒子を、不要な非金属領域表面にも塗布していた。これにより、余分な金属微粒子が消費されるとともに、金属微粒子が不要な箇所に存在する接合界面が形成されていた。しかし、本願発明によれば、金属微粒子は、本来必要である金属領域表面のみに形成されるので、効率よく形成することができる。
また、金属領域4,14,34表面が非金属領域5,15,35表面がより高く形成される場合には、接触接合時に、金属領域表面の金属微粒子に優先的に圧力が掛かるため(図11A)、金属領域表面の金属微粒子の変形が促進され密な微結晶を形成し、より良好な接合界面を形成することができる(図11B)。
次に、図7Aに示すように、ライン状ガス照射源601,602は、基板1,1の間の空間にその側壁653,654が平行に配置され、基板間方向上記の化学反応を基にした所望の条件で作動される。ここで、反応ガス301を放射するライン状ガス照射源601,602を、ライン状ガス照射源移動機構603の駆動により基板1,1と平行方向に移動させる。
したがって、移動中の各時点では、反応ガス301により、各基板1,1表面が照射領域Rにおいて照射されていることになる。一定の条件で反応ガス301の放射を続けるライン状ガス照射源601,602を、ライン状ガス照射源移動機構603を用いて、基板1,1に対する距離及び速度を一定に、平行移動させ、照射領域Rを基板1,1表面でスキャンさせる。その結果、基板1,1が大面積基板であっても、その全面について均等に還元処理を行うことができる。
また、接合する他方の基板1の金属領域4に対しても、同様の還元処理を行う。すなわち、両基板1,1の金属領域4に対する還元処理を、ほぼ同時に行う。
上記スキャンは、還元反応の諸条件に応じて、金属領域4表面に存在した酸化物層6が完全に或いは所定のレベル以下になるまで、繰り返して行う。
還元処理が完了した時点では、酸化物層6が消滅し、金属領域4表面には金属微粒子7が形成されている(図8B)。
還元処理が完了した後に、ライン状ガス照射源移動機構603を駆動させて、ライン状ビーム照射源601,602をY方向に移動させて、基板1,1の間の空間から退避させる(図7B)。
その後、必要に応じて、Z方向昇降移動機構406を用いて基板1,1同士を近づけた状態で、位置測定手段500、位置決め手段403,404,407などを用いて、金属領域4同士又は非金属領域5同士が所望の精度で接合されるように、基板1,1の相対的な位置合わせを行う。
これに続き、Z方向昇降移動機構406を用いて、基板1,1同士を更に近づけ、金属微粒子7を表面に有する金属領域4同士を接触させ、必要に応じて押圧する(図7C、図8C、図8D)。
その後、Z方向昇降移動機構406の駆動により、上下ステージ401,402を近接させることで、基板1,1を接触に至らしめ、必要であれば、加圧する(図7C)。
このように、金属領域4を接触させ、更に必要に応じて加圧することにより、金属微粒子7を挟んで金属領域4が接合された構造を得ることができる(図8D)。この状態では、加圧しても、微粒子間にある隙間は十分には消滅せず、所望の接合界面の電気的特性(電気伝導度、電気抵抗など)あるいは機械的特性(引張接合強度、せん断接合強度など)を得ることは困難であると考えられる。
そこで、図7Cに示す接触状態で更に加熱することにより、金属原子の拡散を促進させて、金属微粒子7を焼結させることができる。この焼結現象により、金属微粒子7間の隙間は埋り、微結晶からなる多結晶体となる(図8E)。このようにして得られた金属領域4,4の接合界面は、十分な電気的特性と機械的特性とを有する。
接合工程における加熱温度は、金属領域が銅で、有機酸がギ酸である場合には、摂氏150度以上、摂氏250度以下であることが好ましい。触媒を用いずに、ギ酸ガスを直接金属領域表面に適用して接合をするためには、接合工程での加熱が摂氏250度以上、多くの場合、摂氏280度程度で行われなかった。これに比して、本願発明に係る基板表面処理を用いることで、接合温度を低くすることができる。
なお、この接合状態での加熱の際に、Z方向昇降移動機構406を駆動させて、基板1,1を押圧してもよい。これにより、金属微粒子7の隙間をより効率的に埋めることができる。
本発明に係る接合方法により得られた基板接合体10は、金属領域4,4の接合界面に微結晶8を有するものである(図8E)。当該微結晶は、後述のように、直径又は最大寸法が100nm以下であり、数十nm以下であっても良く、50nmであることが好ましい。その一例の接合界面の透過型電子顕微鏡写真を図12に示す。図12に示す接合界面は、ギ酸をPt触媒により生成した反応ガスで銅の金属領域の表面を照射して形成した接合面を、摂氏200度で5分程度、15から60MPaの圧力化で接触させることで形成されたものである。図12の2つの破線で示される内側には、微粒子が密になった多結晶が形成することで接合界面が形成されていることが分かる。このように、接合面の金属領域4,4の表面に多少凹凸があっても、微結晶8を介して密な接合界面を形成していることがわかる。
なお、上記実施形態又は実施例においては、金属領域4の表面と非金属領域3の表面とはほぼ同じ高さである場合(図1)には、金属領域4の表面に掛ける必要な圧力を150MPa未満に設定しても、金属領域間で十分な接合界面を形成することができることが分かった。従来は、金属領域表面に300MPa未満の接合圧力を掛けることが必要であったが、本願発明により、接合圧力が従来の半分以下で接合することができる。これにより、基板表面のうねりや平行度のずれなどを、接触後に矯正することが可能になり、接合精度すなわち基板間の相対位置決め精度を向上することができる。
上記実施形態又は実施例においては、金属領域4の表面と非金属領域3の表面とはほぼ同じ高さである場合(図1)と、金属領域4の表面が非金属領域3,13の表面より高い場合(図2)とについて説明したが、これに限られない。一対の基板1,1の接合により金属領域4,4間で所望の電気的接続が得られるのであれば、金属領域4は、非金属領域5の表面に対して低く形成されていてもよい。
たとえば、図13に示すように、金属領域34の表面が非金属領域34の表面より低くなっている基板31も存在する。このような基板31は、例えば、加熱などにより室温より高い温度において接合面33に対して化学機械研磨(CMP)がなされ、基板31が室温に戻された場合に形成されうる。すなわち、室温より高い研磨温度において両者はほぼ同じ高さに研磨された後、室温に冷却されるうちに、非金属領域35に対して熱膨張係数が比較的大きい金属領域34がより縮むことで、金属領域34の表面が非金属領域35の表面に対して窪む、あるいは凹形状になることがある。あるいは、ほぼ同じ高さであっても、上述酸化及び還元処理により金属微粒子が生成されることで、その分金属領域34の表面が非金属領域35の表面に対して窪む、あるいは凹形状になることがある(図13A)。
このような場合でも、生成された金属微粒子7が、非金属領域35の表面より高く突出していれば(図13A)、他の基板31との接触の際に、金属微粒子7,7同士が接触することができる(図13B)。必要に応じて加圧することで、金属微粒子7,7へ係る圧力は大きいために、金属微粒子7,7は効率よく変形して、必要に応じて加熱することで、最終的には、対向する金属領域34,34間で密な多結晶体又は微結晶8が形成される(図13C)。
本発明の発明者らは、本発明に係る基板表面処理装置を用いることで、銅である金属領域を有する大面積基板に対して、触媒を用いてギ酸から生成した反応ガスを適用することで、接合工程での温度が摂氏150度と低い温度であっても、清浄で優れた界面特性を有する接合界面を形成することができることを発見した。
接合工程での基板温度が摂氏250度又はそれ以下でも、十分な接合界面を得ることができることは明らかである。また、接合温度は、摂氏220度又はそれ以下に設定されてもよい。さらに、接合温度は、摂氏200度又はそれ以下に設定されれば、上述のとおり、大面積基板接合における、接合界面特性の向上、表面処理及び接合工程の効率化、さらに、接合温度の低温化を推し進めることができる。
上記実施形態の説明及び後述の実施形態、実施例では、接合する両基板の表面に対して還元処理を行っているが、これに限られない。たとえば、接合する基板の片方のみに還元処理を行い、その金属表面に金属微粒子を形成させてもよい。一方の基板のみに金属微粒子が形成され、他方の基板に金属微粒子が形成されていない場合でも、接合工程での加熱を適切に行うことにより金属原子を拡散、凝集させ、焼結等により金属微粒子を成長させて、緊密な接合界面を形成することができる。
<変形例1>
図7においては、一対のライン状ガス照射源601,602が、その側壁653,654が平行に配置されていたが、ライン状ガス照射源601,602の配置態様は、これに限られない。
一例として、図14に示すように、ライン状ガス照射源601,602は、その反応ガス301の放射方向が進行方向(矢印)に対して対象となるように配置されてもよい。これにより、進行方向に対する基板1,1上の反応ガス301の照射角が等しくなり、両基板1,1間で照射条件が同じになる。
<変形例2>
図3、図4、図7及び図14においては、2つのライン状ガス照射源601,602は、それぞれが各基板1,1に対して反応ガス301を放射するように配置されたが、これに限られない。
図15に示すように、1つのライン状ガス照射源601を、基板1,1に対して順次、反応ガス301を放射するように配置してもよい。図15においては、ライン状ガス照射源601は、ライン方向(X方向)の回転軸609周りに回転可能に配置されている。このライン状ガス照射源601を用いて、まず、ライン状ガス照射源601を上側基板1に対して平行移動させつつ、反応ガス301の放射スキャンを行い(図15A)、上側基板1の終端まできたら、ライン状ガス照射源601を回転軸609周りに回転させ(図15B)、次に、ライン状ガス照射源601を下側基板1に対して平行移動させつつ、反応ガス301の放射スキャンを行う(図15C)。
この配置により、使用するライン状ガス照射源601の数を減らすことで、その移動機構603等の機構を簡略化し、装置100全体の省スペース化につながる。さらには、1対の基板が対向して配置されていない場合や、平行に配置されていない場合にも、移動機構603の調整により両基板に対して、適切な条件で還元処理を行うことが可能になる。
<変形例3>
図8、図13等の例では、金属領域(4,34)の表面に金属微粒子7を析出させてから金属領域(4,34)同士を接合する手法を説明している。一方、接合と金属微粒子の析出とを同時に行うようにしてもよい。
先述のように、Pt触媒によって分解されたギ酸の還元作用によって、銅の表面において、銅のギ酸塩が形成される。この状態で金属領域の表面を接触させ、さらに金属領域の接合時に冷却段階を経ることにより、金属領域が接触した状態で金属微粒子の析出が起こる。金属領域の表面は完全な平面ではなく、表面同士を接触させた場合に空隙が生じると考えられるが、この空隙に銅の微粒子が析出すると考えられる。このような作用により、金属領域動詞が接合される。
<変形例4>
基板(1,11,21,31)同士の接合面の形態として、金属領域(4,14,34)表面と非金属領域(5,15,35)表面がほぼ同じ高さ形成される場合には、金属領域(4,14,34)表面同士を接触させて金属接合界面を形成させ、さらに、非金属領域(5,15,35)表面同士を接触させて非金属接合界面を形成させるようにしてもよい。この形態の概念図を図16に示す。
このような形態の接合面を有することにより、基板同士の接合がより強固なものとなる。なお、第1から第3実施形態に係る方法では、更に工程を追加せずとも、金属領域表面及び非金属領域表面の各接合面を形成させることができる。
<変形例5>
また、基板同士の接合面の形態として、次の形態も考えられる。先述のように、金属領域の表面に形成される酸化物層を還元することにより、金属領域の表面に金属微粒子を主に含む層を形成することができる。この金属微粒子を主に含む層の表面の高さを、基板の表面よりわずかに高く形成するようにしてもよい。このような構成とすることにより、金属微粒子が加圧、焼結されることに伴い、収縮するため、金属領域の全面が確実に接合され、より確実に電極の接合ができる。
<3 第2実施形態>
図17は、本発明の第2実施形態に係る基板表面処理装置の構成の一例を示す概略正面図である。まず、図17を参照して、第2実施形態の係る基板表面処理装置の構成について説明する。
<3−1 表面処理装置の構成及び作動>
第2実施形態に係る基板表面処理装置100は、表面処理手段600としてライン状ガス照射源601の他に、酸化手段800として、表面活性化手段である粒子ビーム源801と水ガス供給機構802とを有して構成されている。したがって、図17においては、ライン状ガス照射源601、酸化手段800としての粒子ビーム源801と水ガス供給機構802、表面処理対象としての基板1,1、及び真空チャンバ200を示しており、その他の構成については図3と同様である。
<3−1−1 粒子ビーム源>
図17に示す粒子ビーム源801は、ライン状にエネルギー粒子(加速により運動エネルギーを与えられたイオン又は中性ガス)を放射する、ライン状粒子ビーム源801であり、図3におけるライン状ガス照射源602の位置に、配置されている。すなわち、粒子ビーム源801は、ライン状に開口するビーム放射口(図示せず)を図17のX方向に有し、このビーム放射口から放出される粒子ビームは、放射方向に垂直方向の断面形状がライン状となる。また、粒子ビーム源801は、ライン状ガス照射源移動機構603の駆動により、ライン状ガス照射源601と共に、Y方向に並進移動する。
ライン式粒子ビーム源601が放射する粒子ビーム302は、イオン、中性原子又はラジカル種を含んでも、若しくはこれらの混合粒子を含んでもよい。すなわち、粒子ビーム源601は、イオンビーム源であっても中性原子ビーム源であってもよい。中性原子を放出するためには、例えばイオンを所定の運動エネルギーを与えて加速させた後に、電子雲などを通過させることで中性化するような構成を使用してもよい。このような加速されたイオンの中性化は、与えられた所定の運動エネルギーをほぼ失うことなく行われうる。所定の運動エネルギーを有する粒子を放射する粒子ビーム源601として、冷陰極型、熱陰極型、PIG(Penning Ionization Gauge)型、ECR(Electron Cyclotron Resonance)型の粒子ビーム源、あるいはクラスターイオン源などが採用されうる。
粒子ビーム源801を使用して1eVから2keVの運動エネルギーを有する粒子(エネルギー粒子)を放射する場合には、真空ポンプ201は、真空チャンバ200内の1×10−5Pa(パスカル)以下にする能力を有することが好ましい。これにより、粒子ビーム源600による表面処理中の雰囲気に存在する不純物の量を低減させ、表面処理後に、新生表面の不要な酸化や新生表面への不純物の付着などを防ぐことができる。さらに、粒子ビーム源801は、比較的高い加速電圧を印加することができるので、比較的高い真空度では、高い運動エネルギーを粒子に付与することができる。したがって、効率良く表面層の除去及び新生表面のアモルファス化を行い、表面を活性化することができると考えられる。また、表面に形成された酸化物層、例えば銅の表面に形成された酸化物層のCuOを効率的に除去することができる。そのため、その後の工程のギ酸処理により、効率的な金属微粒子の形成が可能となる。
<3−1−2 水ガス供給機構>
水ガス供給機構802は、水ガス発生源803と、当該水ガス発生源803から水ガス303を真空チャンバ200の側壁に設けられた貫通孔をつなぐ水ガス管804と、水ガス管804上に設けられ水ガス303の導入を制御する水ガス弁805とを有して構成されている。水ガス発生源803は、液体の水を貯える水槽(図示せず)を不活性ガス又は窒素ガスなどのキャリアガスをバブリングさせることで、当該キャリアガスと気体の水とを含む水ガス303を発生させる。
水ガス供給機構802は、上記構成により、水ガス発生源803で発生された水ガス303を、水ガス管804から真空チャンバ200内に導入し、水ガス弁805と、必要であれば真空ポンプ201の作動とも組み合わせて、真空チャンバ200内の湿度を所望の値となるように制御できるように構成されている。
上記エネルギー粒子源801を用いて新生表面が露出し活性化され基板表面に水分子が接触することで、当該基板表面は水酸基(OH基)で終端化され、水酸基層が形成される。さらに水ガスの暴露量を上げることで、水酸基層の上に水分子の層が形成される。これにより、基板表面は親水化される。したがって、良好な水酸基層を基板表面に形成するためにも、親水化処理前に、エネルギー粒子源801を用いて清浄で活性化された新生表面を準備することは有用である。すなわち、エネルギー粒子源(表面活性化手段)801と水ガス供給機構802とは、併せて機能することで、酸化手段800を構成する。
また、エネルギー粒子源801を用いた後に、水ガス供給機構802による処理を行うことで、CuOを主に含む層の厚さを増加させることができるという利点もある。エネルギー粒子源(表面活性化手段)801と水ガス供給機構802とが併せて機能することで、再外層に形成されたCuOを主に含む層が効率的にCuOに変換されることで、その下のCuOを主に含む層と併せて、CuO層の厚さが増加すると考えられる。また、水ガス供給に加熱処理を併用することで、CuO層の厚さがより効率的に増加する。
なお、本願では、水ガスとは、H,OH,HOの少なくともいずれかを含むガスのことをいう。また、H,OH,HOの少なくともいずれかを含む水ガスは、分子でもラジカルやイオンであってもよい。
またなお、本願では、水酸基層の形成も、広い意味での表面の酸化であることから、「酸化」の概念に含める。
<3−2 表面処理方法>
次に、図17を用いて、本実施形態に係る表面処理方法について説明する。
本実施形態に係る表面処理方法は、第1実施形態に係る表面処理装置を用いた表面処理方法に加え、この前に基板表面を酸化する工程を更に有する。この酸化工程は、上記エネルギー粒子源801を用いた表面活性化工程(図17A)と、当該表面活性化工程後に行う親水化処理工程(図17B)とからなる。本実施形態では、これらの一連の酸化工程後に、第1実施形態に係る表面処理を行う(図17C)。
<3−2−1 表面活性化工程>
図17Aに示すように、表面活性化工程は、ライン状エネルギー粒子源801がエネルギー粒子302を基板表面に放射している状態で、ライン状エネルギー粒子源801を矢印方向(Y方向)に平行に移動させることで行う。
中性原子ビーム源としては、高速原子ビーム源(FAB、Fast Atom Beam)を用いることができる。高速原子ビーム源(FAB)は、典型的には、ガスのプラズマを発生させ、このプラズマに電界をかけて、プラズマから電離した粒子の陽イオンを摘出し電子雲の中を通過させて中性化する構成を有している。この場合、例えば、希ガスとしてアルゴン(Ar)の場合、高速原子ビーム源(FAB)への供給電力を、1.5kV(キロボルト)、15mA(ミリアンペア)に設定してもよく、あるいは0.1から500W(ワット)の間の値に設定してもよい。たとえば、高速原子ビーム源(FAB)を100W(ワット)から200W(ワット)で稼動してアルゴン(Ar)の高速原子ビームを2分ほど照射すると、接合面の上記酸化物、汚染物等(表面層)は除去され、新生表面を露出させることができる。
また、例えば銅の表面に形成された酸化物層のCuOを効率的に除去することができるため、高速原子ビーム源(FAB)を作用させた後に、ギ酸による還元処理を行うことで、より効率的に金属微粒子を形成することができる。
イオンビーム源は、例えば110V、3Aで稼動して、アルゴン(Ar)を加速させて放射し、このビームで600秒ほど接合面を照射するように使用されてもよい。また、他の条件として、加速電圧1.5から2.5kV,電流350から400mAを採用してもよく、更に他の条件として、加速電圧1.0から2.0kV,電流300から500mAを採用してもよい。
その他のビーム照射条件として、真空チャンバ200内のバックグラウンド圧力を10−6Paの状態から、ガスとしてArを100sccmの流量で流し真空チャンバ200内の圧力を10−3Pa以下として、粒子ビーム源600を2kV、20mAで作動し、粒子ビーム源600の基板1,1に対するスキャン速度を10mm/sとすることもできる。
上述の各ビーム照射条件は、例示を目的とするものであり、これに限定されない。各装置構成、ビーム照射条件、基板等の処理対象の物性等に応じて適宜変更することができる。
たとえば、本願発明において、粒子ビーム源から放射される粒子は、中性原子又はイオンでもよく、さらには、ラジカル種でもよく、またさらには、これらが混合した粒子群でもよい。
粒子ビームには、アルゴン(Ar)以外の不活性ガスを用いてもよい。あるいは、窒素を用いてもよい。あるいはまた、酸素や水を用いてもよい。
各粒子ビーム源の稼動条件、又は放射される粒子の運動エネルギーに応じて、表面層の除去速度は変化しえる。そこで、必要な表面処理時間を調節する必要がある。たとえば、オージェ電子分光法(AES、Auger Electron Spectroscopy)やX線光電子分光法(XPS、X−ray Photo Electron Spectroscopy)などの表面分析法を用いて、表面層に含まれる酸素や炭素の存在が確認できなくなる時間又はそれより長い時間を、表面処理の処理時間として採用してもよい。
表面処理において基板表面をアモルファス化するためには、粒子の照射時間を、表面層を除去し新生表面を露出させるために必要な時間より、長く設定してもよい。長くする時間は、10秒から15分、あるいは、表面層を除去し新生表面を露出させるために必要な時間の5%以上に設定してもよい。表面処理において基板表面をアモルファス化するための時間は、基板表面を形成する材料の種類、性質、及び所定の運動エネルギーを有する粒子の照射条件によって適宜設定してもよい。
表面処理において基板表面をアモルファス化するためには、照射される粒子の運動エネルギーは、表面層を除去し新生表面を露出させるために必要な運動エネルギーより、10%以上高く設定されてもよい。表面活性化処理において基板表面をアモルファス化するための粒子の運動エネルギーは、基板表面を形成する材料の種類、性質、及び粒子の照射条件によって適宜設定してもよい。
ここで、「アモルファス化した表面」又は「結晶構造が乱れた表面」とは、具体的に表面分析手法を用いた測定により存在が確認されたアモルファス層又は結晶構造が乱れた層を含むとともに、粒子の照射時間を比較的長く設定した場合、又は粒子の運動エネルギーを比較的高く設定した場合に想定される結晶表面の状態を表現する概念的な用語であって、具体的に表面分析手法を用いた測定によりアモルファス層又は結晶構造が乱れた表面の存在が確認されていない表面をも含むものである。また、「アモルファス化する」又は「結晶構造を乱す」とは、上記アモルファス化した表面又は結晶構造が乱された表面を形成するための動作を概念的に表現したものである。これらの表面は、比較的高い表面エネルギーを有しており、常温又は非加熱若しくは低サーマルバジェット下での固相接合にも有用である。
<3−2−2 親水化処理工程>
図17Bに示すように、親水化工程は、表面活性化された基板1,1の接合面に水ガス303を供給することにより行われる。当該水の供給は、上記表面活性化された接合面の周りの雰囲気に、水(HO)を導入することで行うことができる。水は、気体状で(ガス状で、又は水蒸気として)導入されても、液体状(霧状)で導入されてもよい。さらに、水の付着の他の態様として、ラジカルやイオン化されたOHなどを付着させてもよい。しかし、水の導入方法はこれらに限定されない。
表面活性化された接合面の周りの雰囲気の湿度を制御することで、親水化処理の工程を制御することができる。当該湿度は、相対湿度として計算しても、絶対湿度として計算してもよく、又は他の定義を採用してもよい。
気体状の水は、たとえば液体の水の中に窒素(N2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、酸素(O)などのキャリアガスを通過させること(バブリング)で、気体状の水がキャリアガスに混合されて、表面活性化された接合面を有する基板が配置された空間又はチャンバ内に導入されることが好ましい。
水の導入は、両基板の接合面の少なくとも一方又は両方の周りの雰囲気における相対湿度を10%から90%となるように制御することが好ましい。
たとえば、窒素(N2)又は酸素(O)をキャリアガスとして気体状の水を導入する場合、上記チャンバ内の全圧を9.0x10Pa(パスカル)、すなわち0.89atm(アトム)とし、チャンバ内での気体状の水の量を、容積絶対湿度で8.6g/m(グラム/立方メートル)又は18.5g/m(グラム/立方メートル)、23℃(摂氏23度)の相対湿度でそれぞれ43%又は91%となるように制御することができる。また例えば、銅(Cu)を、容積絶対湿度で、5g/m(グラム/立方メートル)から20g/m(グラム/立方メートル)の気体状の水を含む雰囲気に曝すと、2nm(ナノメートル)から14nm(ナノメートル)程度の酸化銅の層が形成されると想定される。
また、チャンバ内の酸素(O)の雰囲気中濃度を10%としてもよい。
親水化処理は、表面活性化処理された接合面を大気に曝すことなく、当該接合面に水を供給することが好ましい。これにより、接合面の望ましくない酸化や、接合面への不純物などの付着などを防ぐとともに、親水化処理をより容易に制御することができ、効率よく表面活性化処理の後に親水化処理を続けて実行することができる。
また、親水化処理を行うために、所定の湿度を有するチャンバ外の大気を導入してもよい。大気をチャンバ内に導入する際には、望ましくない不純物の接合面への付着を防ぐために、当該大気が所定のフィルタを通過するように構成することが好ましい。所定の湿度を有するチャンバ外の大気を導入して親水化処理を行うことで、接合面の親水化処理を行う装置構成を簡略化することができる。
また、水(HO)の分子やクラスターなどを加速して、接合面に向けて放射してもよい。水(HO)の加速に、上記表面活性化処理に用いる粒子ビーム源などを使用してもよい。この場合、上記バブリングなどで生成したキャリアガスと水(HO)との混合ガスを、上記粒子ビーム源に導入することにより、水の粒子ビームを発生させ、親水化処理すべき接合面に向けて照射することができる。また、親水化処理は、接合面の近傍の雰囲気中で、水分子をプラズマ化して、これを接合面に接触させることで行ってもよい。
親水化処理を行う間、部分的又は全体に亘って、基板の表面を加熱してもよい。これにより、基板の表面に対して適切な酸化処理を行うことができる。
例えば、基板の表面が銅(Cu)で形成されている場合、水ガスを含んだ環境下で250℃、1時間加熱することで微粒子形成に適切な酸化物層を形成できた。この酸化物層は、例えば、厚さが数nmから数十μmであってよく、一種類の酸化銅を含んでいてもよく、複数の酸化銅、例えばCuO及びCuOを含んでいてもよい。
また、先述の表面活性化工程の後に、親水化処理工程を経ることで、酸化物層の再外層に形成されたCuOを主に含む層が効率的にCuOに変換され、その下のCuOを主に含む層と併せて、CuO層の厚さが増加すると考えられる。これにより、CuOに起因する金属微粒子が好ましく形成される。
<3−2−3 還元工程>
図17Cに示すように、上記酸化工程としての表面活性化工程(図17A)と親水化工程(図17B)の後に、第1実施形態で説明した還元処理工程(図17C)を行う。還元工程後に、両基板1,1の接合を行う。この接合工程は、第1実施形態と同様である。
本実施形態に係る酸化工程を行うことで、還元処理の対象となる酸化物層の特性を均一にし、あるいは制御することができ、還元工程に適した酸化物層を形成することができる。これにより、接合後に接合界面における酸素、不純物等の残存量を最小限に抑え、より優れた電気的又は機械的特性を有する接合界面を形成することができる。
<その他>
なお、本実施形態の説明には、図3の構成と同様に、ライン状の、ガス照射源601とエネルギー粒子源801を用いたが、これに限られず、ライン状でないガス照射源601とエネルギー粒子源801を用いてもよい。例えば、ほぼ四角や丸型の一つのガス放射口又はエネルギー粒子の放射口を用いてもよく、複数のガス放射口等を用いる場合に、これらをライン上に配置しなくてもよい。
<3−3 酸化手段の変形例>
上記説明では、酸化手段として、粒子ビーム源801と水ガス供給機構802とを採用したが、これに限られない。還元工程及びその後の接合工程、さらには接合により得られる接合界面の特性に適していれば、適宜他の酸化手段を採用することができる。
上記酸化膜の形成方法として、金属領域表面に対して、酸素又は酸素を含む物質(例えば、水や水酸基を有する物質)のプラズマを放射し、又は酸素又は酸素を含むガスのエネルギー粒子を放射することを行ってもよい。このような熱及び/又は運動エネルギーを有する粒子で金属領域表面を照射することにより、自然酸化膜や汚染物質を除去することができ、除去により現れた金属の新生表面上に酸素等の粒子の衝突により酸化膜を均一に形成させることができる。また別の酸化膜の形成方法として、熱酸化処理を行ってもよい。酸化膜形成の方法として上記の方法を適用することで、形成される酸化膜の性質、量、均一性などをより適切に制御することができる。しかし、後で行われる還元工程及び接合工程により、最終的に所望の接合界面を得られるのであれば、その他の酸化性質の形成方法を用いてもよい。
上述のような粒子の照射には、ライン状にエネルギー粒子を放射するライン状粒子ビーム源を用いることができる(図示せず)。
例えば、図7において、ライン状粒子ビーム源が、その長手方向(ライン方向)をX方向とし、各ライン状ガス照射源601,602に平行に配置されてもよい。これにより、2組のライン状ガス照射源601(又は602)とライン状粒子ビーム源(図示せず)とが、上側及び下側基板1,1の各々に対して、それぞれ反応ガス301とエネルギー粒子とを放射することができる。
また例えば、図17において、もう一つ或いは複数のライン状粒子ビーム源が、ライン状ガス照射源601とライン状粒子ビーム源801に平行に配置されてもよい。この場合、2つのライン状粒子ビーム源は、例えば、その一方を表面活性化のために不活性ガスを放射するために用い、他方を酸素等を放射するために用いることができる。その他、この複数のライン状粒子ビーム源は、目的に応じたガス又は粒子ビームの放射を行うことができる。これにより、複数の表面処理を、1回のスキャンで連続的に、すなわち効率的に行うことができる。
また、図17では、1組のライン状ガス照射手段601とライン状粒子ビーム源801が基板に対して移動される構成が示されているが、これに限られない。例えば、2組のライン状ガス照射手段601とライン状粒子ビーム源801(又は複数のライン状粒子ビーム源)を設けて、各組が対応する基板1に対して処理を行うように構成してもよい。これにより、効率的に接合される両基板1,1に対して同時に表面処理を行うことができる。
<4 第3実施形態>
第1実施形態及び第2実施形態並びにそれらの変形例では、ガス照射手段601と基板支持手段400との両方が同一の真空チャンバ200に設けられているが、これに限られない。
図3の装置構成では、基板支持手段400と表面処理手段600とは両方とも真空チャンバ200に設けられ、基板支持手段400による一対の基板1,1の保持、移動及び接合と、表面処理手段600による反応ガス301による基板1,1の照射とが同じ真空チャンバ200内で行われる。これにより、反応ガスが接合チャンバ内壁等に付着し汚染原因となり、又これを腐食する場合がある。またさらには、還元反応により大量に発生する不純物ガスが接合面に付着することにより、形成される接合界面の特性が低下しうる。また、真空チャンバ200内で、対向して保持された一対の基板1,1の接合面に対して反応ガスを放射するためには、ガス放射中にガス照射源の向きを変えることが必要である。そのため、ガス照射源601,602の姿勢の変更や制御機構が、離間された基板1,1の間の空間に必要となり、装置構成が複雑になりうる。
この点を改良するために、図18に示すように、第1真空チャンバ200とは別個に、真空ポンプにより排気可能な第2真空チャンバ250を設け、この第2真空チャンバ250内に表面処理手段としてのガス照射源601を配置するようにしてもよい。これにより、反応ガスとの還元処理を行う空間(例えば、反応ガス処理チャンバ)と、接合を行う空間(例えば、接合チャンバ)とを分けることができる。還元処理を接合チャンバ外、例えばロードロックチャンバ内で行うことで、反応ガスが接合チャンバ内壁等に付着し汚染原因となること、又これを腐食することを回避又は低減することができる。またさらには、還元反応により大量に発生する不純物ガスが、接合面に付着することによる接合界面の特性の低下を回避又は低減することができる。また、反応ガス照射による接合チャンバの汚染又は腐食を回避又は低減することができる。さらには、還元反応により大量に発生する不純物ガスが、基板1,1の接合面に付着する量を低下させることにより、接合界面の特性の低下を回避又は低減することができる。
また、接合チャンバ内に載置される上下基板は、ロードロックチャンバから、一枚ずつ搬送される。この際、基板移載機構に反転機構が付加されていれば、ロードロックチャンバ内で片側のみから両基板に対して処理を行うことが可能になり、装置構成を簡略化できる。図18では、第1真空チャンバ200と第2真空チャンバ250とで、基板接合装置100の真空チャンバシステムを構成している。図18に示す第1真空チャンバ200と第2真空チャンバ250とは、開閉可能な真空弁230を介して連結されている。基板搬送機構270を用いて、真空弁230が開状態のときに基板1を一つずつ、一の真空チャンバから他の真空チャンバに搬送し、それぞれのチャンバで接合や反応ガス照射などを行っているときには真空弁を閉状態に保持することができる。また、反応ガス照射により接合チャンバ内が汚染又は腐食される場合がある。
これにより、例えば、第2真空チャンバ内では、一対の基板1,1の接合面を同じ方向、例えば上方向に向けて基板1,1を保持し、この基板1,1の表面に対して一方向から、例えば下方向に反応ガスを放射するようにガス照射源(表面処理手段)601を配置することができる。したがって、ガス照射源(表面処理手段)601の姿勢を変更等する機構は不要となり、第2の真空チャンバでのガス照射源(表面処理手段)601周りの装置構成は簡略化される。さらには、第1真空チャンバ200の構成も簡略化される。
第2真空チャンバ250内には、第2ステージ261とこれを支持しかつ上下方向に移動させる、第2ステージ移動機構260が配置されている。第2ステージ移動機構260は、第2ステージ261と、これを支える第2ステージ支柱262と、これらを第2真空チャンバ250内で上下方向に移動させる第2ステージ駆動機構263とを有して構成されている。
図18に示す基板搬送機構270は、基板を支持又は保持する基板支持体271と、基板支持体271を端部で固定する基板支持軸272と、基板支持体271をY方向に移動させるための基板水平移動機構273と、基板支持体271をY方向周りの回転方向に移動させるための基板回転機構274とを有して構成されている。
基板水平移動機構273により、基板支持軸272をY方向に水平移動させることで、基板支持軸272の端部に固定された基板支持体271を水平移動させることができる。基板水平移動機構273により、基板支持体271は、真空弁230が開状態であるときに+Y方向に第1真空チャンバ200内まで移動し、例えば下側ステージ421に支持されている基板1を所定の高さ(Z方向の位置)で受け取り、受取り後下側ステージ421は降下する。基板1を受け取った基板支持体271は、基板水平移動機構273により、−Y方向に移動し第2真空チャンバ250内に戻り、第2ステージ261上の位置に停止する。ここで、第2ステージ261は、第2ステージ駆動機構263により上方向に移動して、基板支持体271から基板1を受け取り、基板支持体271は、更に−Y方向に移動し又は退避する。
第1真空チャンバ200内の上側ステージ402に支持された基板1を第2真空チャンバ250内の第2ステージ261に搬送する場合には、基板支持体271は、基板1をその接合面又は処理面を下側に向けて保持した状態で、第2真空チャンバ250内にまで移動し、第2ステージ上を通過して、退避領域で停止する。この退避領域で、基板支持体271は、基板回転機構274によりほぼ180度回転して、基板1の接合面を上側に向ける。第2真空チャンバ250は、この退避領域で高さ方向(Z方向)に、水平状態での基板1のX方向の寸法より大きく構成され、基板1の接合面がX方向を向いているとき(図18で第2の真空チャンバ250内に描かれている点線の丸印を参照)でも、基板1が第2チャンバ250の内壁や第2チャンバ250内の部品又は機構と接触又は干渉しないように構成されている。
基板支持体271は、上側(+Z方向)に接合面が向けられた基板1を、基板水平移動機構273により+Y方向に移動させ、第2ステージ261上で停止させる。そして、第2ステージ261が上昇し基板1を受け取り、基板支持体271は、−Y方向に移動し又は退避する。
反応ガス301の照射による表面処理を行っている間、もしくはさらにその前後において、真空弁230は閉状態に維持される。ガス照射源601は、ガス照射源移動機構603(図示せず。第2真空チャンバ250内のY方向の一点鎖線を参照。)によって基板1上をスキャンしつつ、第2ステージ261に支持された基板1の接合面に対して反応ガス301を照射する。これにより、反応ガス301を基板1の接合面全表面に対して均一に照射することができる。
第2ステージ261には、第2ヒータ264が内蔵されている。第2ヒータ264を用いて、第2ステージ261に支持された基板1を、例えば反応ガス301の照射中に加熱し、又は適切な温度に維持して、反応ガス301と基板1の表面との反応を促進し又は適切に制御することができる。
反応ガス301処理の終了後、第2真空チャンバ250内の雰囲気は、十分に真空排気される。その後、真空弁230が開けられ、基板1は、第1真空チャンバ200内に搬送され、ステージ401又は402に受け渡される。基板1が上側ステージ402に受け渡される場合には、基板支持体271は、第2ステージ261から基板1を受け取ったあと、−Y方向に移動し、退避領域でY軸周りに180度回転し、基板1をその接合面を下向きに保持した状態で第1真空チャンバ200まで搬送し、上側ステージ402に基板1を受け渡す。
図18では、表面活性化手段である粒子ビーム源801は、第1真空チャンバ200内に設置され、図18の一点鎖線方向に移動可能であるとともに、X軸周りに回転可能に構成されている。これにより、対向配置された一対の基板1,1の両方の接合面に対して、表面活性化処理を行うことができる。粒子ビーム源801は、基板1が基板搬送機構270により第1真空チャンバ200内に搬送され、又はステージ401,402と受け渡しされる間は、ステージ401,402の間の空間の外側、例えば+Y方向に移動し又は退避する。これにより、粒子ビーム源801が基板1又は基板支持体271と干渉することが回避される。
図18では、粒子ビーム源801は、第1真空チャンバ200内に配置されているが、これに限定されない。
たとえば、粒子ビーム源801は、ガス照射源601とともに第2真空チャンバ250内に設置されてもよい。これにより、第1真空チャンバ200内の基板支持手段400の構成を簡略化又はコンパクトにすることができる。
さらにまた、第1真空チャンバ200と第2真空チャンバ250のいずれかと又は双方と真空弁(図示せず)を介して接続された第3真空チャンバ(図示せず)を設け、当該第3真空チャンバ内に粒子ビーム源801を設けてもよい。これにより、第1真空チャンバ200内の基板支持手段400の構成を簡略化又はコンパクトにすることができ、さらに、第2真空チャンバ250内で反応ガス301による表面処理により形成された不純物が粒子ビーム源801やそれに関連する機構に付着することを低減することができる。
さらにまた、酸化手段800、水ガス供給機構802、親水化処理をするための機構も、第1真空チャンバ200、第2真空チャンバ、その他の真空チャンバに適宜設けられてもよい。
以上、本願発明の幾つかの実施形態及び変形例について説明したが、これらの実施形態及び変形例は、本願発明を例示的に説明するものである。特許請求の範囲は、本願発明の技術的思想から逸脱することのない範囲で、実施の形態に対する多数の変形形態等を包括するものである。したがって、本明細書に開示された実施形態等は、例示のために示されたものであり、本願発明の範囲を限定するものと考えるべきではない。また、各実施形態等で説明した態様は、これらの実施形態等形間で矛盾がない限り、他の実施形態等に適用することができる。
1 基板
4 金属領域
5 非金属領域
6 酸化物層
7 金属微粒子
8 微結晶(多結晶)
10 基板接合体
100 基板表面処理装置(基板接合装置)
200 真空チャンバ
201 真空ポンプ(減圧手段)
300 有機酸ガス
301 反応ガス
400 基板支持手段
401,402 ステージ
403 第1ステージ移動機構
404 第2ステージ移動機構
405 XY方向並進移動機構(アラインメントテーブル)
406 Z方向昇降移動機構(接合手段)
407 Z軸周り回転移動機構
420 基板加熱手段
500 位置測定手段
600 表面処理手段
601,602 ライン状ガス照射源
603 ライン状ガス照射源移動機構(移動手段)
657 ガス導入口
661 触媒
664 ガス放射口
700 コンピュータ
800 酸化手段
801 粒子ビーム源
802 水ガス供給機構

Claims (14)

  1. 有機酸ガスを含む反応ガスをガス放射口から基板の表面に向かって放射して、前記基板の表面の酸化物を還元するガス照射源と、
    前記ガス照射源を、前記基板に対して相対的に移動させる移動手段と、
    を備え、
    前記ガス照射源は、
    前記ガス放射口と、
    前記ガス放射口に連結して前記有機酸ガスを供給するガス通路と、
    当該ガス通路内に配置された触媒と、を有する、
    基板表面処理装置。
  2. 前記ガス照射源は、ライン上に設けられた、前記有機酸ガス導入用の複数のガス導入口を有する、
    請求項1に記載の基板表面処理装置。
  3. 前記基板を加熱する基板加熱機構を更に備える、
    請求項1または2に記載の基板表面処理装置。
  4. 前記ガス照射源と前記基板とを含む空間を減圧する減圧手段を更に備える、
    請求項1からのいずれか一項に記載の基板表面処理装置。
  5. 一対の基板を対向配置に保持する基板支持手段を備え、
    前記ガス照射源は、1つ存在し、前記対向配置された一対の基板の間において、前記一対の基板の対向方向に直交する回転軸周りに回転可能に配置され、前記回転軸周りに回転されることにより前記一対の基板のうちの一方の表面へ前記反応ガスを照射する第1状態と、前記一対の基板のうちの他方の表面へ前記反応ガスを照射する第2状態と、をとりうる、
    請求項1からのいずれか一項に記載の基板表面処理装置。
  6. 有機酸ガスを含む反応ガスをガス放射口から基板の表面に向かって放射して、前記基板の表面の酸化物を還元するガス照射源と、
    前記ガス照射源を、前記基板に対して相対的に移動させる移動手段と、
    一対の基板を対向配置に保持する基板支持手段と、を備え、
    前記ガス照射源は、前記対向配置された一対の基板の間に配置された一対のガス照射源を備え、
    前記一対のガス照射源は、それぞれ、前記一対の基板の表面を前記反応ガスで照射する、
    基板表面処理装置。
  7. 前記一対のガス照射源は、前記一対のガス照射源それぞれの前記反応ガスの放射方向が前記基板に対する前記一対のガス照射源の移動方向に対して対称となるように配置されている、
    請求項に記載の基板表面処理装置。
  8. 前記一対の基板の表面同士を接触させる接合手段を更に備える、
    請求項からのいずれか一項に記載の基板表面処理装置。
  9. 前記基板支持手段と前記ガス照射源とは、開閉可能な真空弁を介して前記基板を搬送できるように連結された別個の真空チャンバ内にそれぞれ配置された、
    請求項5から8のいずれか一項に記載の基板表面処理装置。
  10. 前記一対の基板の表面は、それぞれ金属領域と非金属領域とを有し、
    前記金属領域同士を接触させて金属接合界面を形成させ、前記非金属領域同士を接触させて非金属界面を形成させる、
    請求項に記載の基板表面処理装置。
  11. 前記非金属領域は本質的に酸化ケイ素(SiO)からなる、
    請求項10に記載の基板表面処理装置。
  12. 前記非金属領域は本質的に樹脂からなる、
    請求項10に記載の基板表面処理装置。
  13. 前記金属領域は銅を含む、
    請求項10から12のいずれか一項に記載の基板表面処理装置。
  14. 有機酸ガスを含む反応ガスを、放射方向に垂直な面での断面形状がライン状になるようにして、対向配置された一対の基板の表面に向かって放射し、
    前記反応ガスを放射するガス照射源を、ライン方向に交差する方向に、前記基板に対して相対移動させ、前記基板の表面の酸化物層を還元する、
    基板表面処理方法。
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