JP6428825B2 - 検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、標的分子を検出する検出装置及び電子機器等に関する。
近年、低濃度の標的分子を検出する高感度分光技術の1つとして、表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)特に局在表面プラズモン共鳴(LSPR:Localized Surface Plasmon Resonance)を利用した表面増強ラマン散乱(SERS:Surface Enhanced Raman Scattering)分光が注目されている。SERSとは、ナノメートルスケールの凸凹構造に含まれる金属ナノ構造間に増強電場が形成され、その増強電場によりラマン散乱光が例えば102〜1014倍増強される現象である。レーザーなどの単一波長の励起光を標的分子に照射する。励起光の波長から標的分子の分子振動エネルギー分だけ僅かにずれた散乱波長(ラマン散乱光)を分光検出し指紋スペクトルを得る。その指紋スペクトルからごく微量の標的分子を同定することが可能となる。
強い増強を示すSERSセンサーの構造が各種提案されている。特許文献1には、金属ナノ構造を、誘電体層を介してミラー層の上に配列させている。この構造モデルは、非特許文献1ではGSP(Gap type Surface Plasmon)モデルとして報告されている。
GSPモデルのセンサーへ光を照射すると、金属ナノ構造において、入射された光とミラー層で反射された光とが位相干渉によって強めあい、プラズモン共鳴による強い電場増強をもたらす。ミラー層に金属ミラーを用い、金属ナノ構造の配列を入射波長以下の一定周期で配置した場合には、光を照射すると局在表面プラズモンLSPと伝搬表面プラズモンPSP(Propagating Surface Plasmon)とが励起され、両プラズモン間に結合が生じ、金属ナノ構造の表面には非常に強い電場が発現する。
GSPモデルのセンサーは、検出すべき標的分子に合った測定光の波長に合わせて共振器構造が設計されている。検出すべき標的分子が変更されると、測定光の波長を変更しなければならない。測定光の波長が変更されると、共振器構造もまた測定光の波長に合わせて変更されなければならない。特許文献2では、基板面内に厚みの異なる複数の誘電体層を設けた構造が提案されている。このように、複数の波長に対して光共振可能な共振器構造を一つの電場増強光デバイスに設けたので、一つの電場増強光デバイスで測定光の波長変更に対応できるようになった。
特表2007−538264号公報 特開2009−250951号公報
OPTICS LETTERS / Vol. 34, No. 3 / February 1, 2009
金属ナノ構造の表面に標的分子が吸着すると、金属ナノ構造の周囲の媒質が空気から標的分子に変わる。このように、たとえ同一の標的分子を検出する場合であっても、金属ナノ構造の周囲の媒質の屈折率が変化するため、プラズモン共鳴波長が設計値からシフトする。このシフト量は、金属ナノ構造に吸着される標的分子の種類だけでなく、吸着量にも依存して異なる。
特許文献2は、金属ナノ構造に吸着される標的分子の種類に応じたプラズモン共鳴波長に合う設計値通りの複数の共振器構造を備えるものに過ぎず、プラズモン共鳴波長が設計値からシフトした場合には対応不可能となる。
本発明の幾つかの態様は、金属ナノ構造への吸着によって金属ナノ構造の周囲の媒質の屈折率が変化して、プラズモン共鳴波長が設計値からシフトした場合でも、シフト量に合わせて共振器の光路長を変更できる検出装置及び電子機器を提供することにある。
(1)本発明の一態様は、
流体試料に含まれる標的分子を検出する検出装置であって、
センサー基板と、
前記センサー基板を移動させる移動機構と、
前記センサー基板に光を照射して、表面増強ラマン散乱を出現させる光源と、
表面増強ラマン散乱光を検出する光検出器と、を有し、
前記センサー基板は、
ミラー層と、
前記ミラー層上に設けられ、厚さが連続的に増加または減少する厚さ変化方向を有する誘電体層と、
前記誘電体層上に設けられた複数の金属ナノ構造と、を有し、
前記移動機構は、前記センサー基板を前記前記厚さ変化方向に沿って移動させる検出装置に関する。
本発明の一態様によれば、センサー基板が移動機構により誘電体層の厚さ変化方向に沿って移動されると、センサー基板上の誘電体の厚さが連続的に変化する。よって、移動機構により、センサー基板の誘電体の厚さを選択できる。しかも、誘電体の厚さは、移動機構の最小送りピッチに応じて微調整できる。一方、複数の金属ナノ構造を層とみなすことができることから、ミラー層と誘電体層と複数の金属ナノ構造の積層構造で形成される共振器は、その光路長が誘電体の厚さで決定される。金属ナノ構造へ標的分子が吸着することによって金属ナノ構造の周囲の媒質の屈折率が変化して、プラズモン共鳴波長が設計値からシフトしても、シフト後の表面プラズモン共鳴波長に合わせて、移動機構により誘電体の厚さを選択することができる。
(2)本発明の一態様では、前記誘電体層の表面は一定角度で傾斜させることができる。これにより、誘電体層の厚さ変化方向に沿って厚さが連続的に変化する。共振器の光路長を調整するための傾斜角度θ(°)は極小さな角度で良く、例えば1.0×10-5≦θ≦1×10-3とすることができる。
(3)本発明の一態様では、前記誘電体層は、材料が異なる複数の誘電体が積層されてもよい。例えば、複数の誘電体の一層は、ミラー層と密着性の良い密着層とすることができる。複数の誘電体が積層構造全体としての厚さが厚さ変化方向に沿って連続的に変化していれば、例えば複数の誘電体の一層のみの厚さを変化させるものでも良い。
(4)本発明の一態様では、前記移動機構により前記センサー基板を前記厚さ変化方向に沿って移動させ、複数の位置において前記センサー基板に光を照射させ、前記光検出器にて検出される前記表面増強ラマン散乱光の結果に基づいて、前記センサー基板の補正位置を設定する制御部をさらに有することができる。制御部が、ラマン散乱光の信号レベルが最大となるセンサー基板の位置を補正位置として選択することで、プラズモン共鳴波長に合った共振器の光路長を選択することができる。この場合、本来の検出動作と同じ態様にて光検出器をそのまま用いて、補正位置の検出を行うことができる。
(5)本発明の一態様では、前記移動機構により前記センサー基板を前記厚さ変化方向に沿って移動させ、複数の位置において前記センサー基板に光を照射させ、前記センサー基板にて反射される反射光の結果に基づいて、前記センサー基板の補正位置を設定する制御部をさらに有することができる。制御部が、反射光の信号レベルが最小となるセンサー基板の位置を補正位置として選択することで、プラズモン共鳴波長に合った共振器の光路長を選択することができる。反射光の信号レベルは、共振器の光路長のミスマッチングに依存し、ラマン散乱光の信号レベルのように流体試料中での標的分子の微小な濃度変化に鋭敏ではない。ただし、反射光の多くは光源光の波長と同じレイリー散乱光であり、ラマンシフトされたラマン散乱光を検出する光検出器をそのまま用いて検出することはできない。
(6)本発明の一態様では、前記光検出器は、前記ラマン散乱光を受光する検出モードと、前記反射光を受光する補正モードとにおいて、光通過帯域が異なるように設定することができる。こうすると、(5)の場合でも反射光の多くを占めるレイリー散乱光を光検出器にて検出できる。補正モードが実施される光検出器では、例えば、光源光と同じ波長のレイリー光をカットするレイリーカットフィルターが光路から外され、分光器は光源光の波長帯域を受光する帯域(ラマンシフト=0cm-1)に設定されて反射光(レイリー散乱光)を受光する。
(7)本発明のさらに他の態様は、
(1)〜(6)のいずれかに記載の検出装置と、
前記検出装置からの検出情報に基づいて健康医療情報を演算する演算部と、
健康医療情報を記憶する記憶部と、
前記健康医療情報を表示する表示部と、を備えた電子機器に関する。この電子機器は、医療診断や飲食物の検査等に有益である。
検出装置のセンサー基板を概略的に示す断面図である。 図1のセンサー基板の共振器構造を説明する図である。 波長シフトを説明するための図である。 本発明の一実施形態に係るセンサー基板の断面図である。 図5(A)(B)はセンサー基板の誘電体を成膜するスパッタ装置を示す図である。 図6(A)(B)はセンサー基板の誘電体を成膜する蒸着装置を示す図である。 図4に示すセンサー基板のX方向位置をずらして測定される反射率を示す図である。 X方向に沿って厚さが連続的に異なるセンサー基板の補正位置を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る検出装置を示す図である。 検出装置のチューング制御系ブロック図である。 波長シフトに伴うSRES信号強度の位置依存性を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る検出装置を示す図である。 図13(A)〜図13(C)は電子機器を示す図である。 電子機器のブロック図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.第1実施形態
1.1.センサー基板の共振器
図1は、本実施形態に係る検出装置のセンサー基板を概略的に表した断面図である。図1に示すように、センサー基板の表面には誘電体層17があり、その上に複数の金属ナノ構造18が形成されている。
光源からの励起光(振動数ν)が、標的分子1を含む流体試料と接触されるセンサー基板に、例えばビーム径が1〜10μmで照射される。図1に示すように励起光(入射光)の多くは、レイリー散乱光として散乱され、レイリー散乱光の振動数ν又は波長は入射光に対して変化しない。励起光の一部は、ラマン散乱光として散乱され、ラマン散乱光の振動数(ν−ν’及びν+ν’)又は波長は、標的分子の振動数ν’(分子振動)が反映される。つまり、ラマン散乱光は、検査対象の標的分子1を反映した光である。励起光の一部は、標的分子を振動させてエネルギーを失うが、標的分子の振動エネルギーがラマン散乱光の振動エネルギー又は光エネルギーに付加されることもある。このような振動数のシフト(ν’)をラマンシフトと呼ぶ。
複数の金属ナノ構造18に励起光が入射された領域では、隣り合う金属ナノ構造18間の間隙に、増強電場2が形成される。特に、入射光の波長よりも小さな金属ナノ構造18に対して入射光を照射する場合、入射光の電場は、金属ナノ構造18の表面に存在する自由電子に作用し、共鳴を引き起こす。これにより、自由電子による電気双極子が金属ナノ構造18内に励起され、入射光の電場よりも強い増強電場2が形成される。これは、局在表面プラズモン共鳴(LSPR:Localized Surface Plasmon Resonance)とも呼ばれる。この現象は、入射光の波長よりも小さな例えば平面視で1〜500nmのサイズを有する金属ナノ構造18等の電気伝導体に特有の現象である。
センサー基板に入射光を照射した時に表面増強ラマン散乱(SERS:Surface Enhanced Raman Scattering)が生ずる。つまり、増強電場2に標的分子1が入り込むと、その標的分子1によるラマン散乱光は増強電場2で増強されて、ラマン散乱光の信号強度は高くなる。このような表面増強ラマン散乱では、標的分子1が微量であっても、検出感度を高めることができる。
複数の金属ナノ構造18を層とみなすことができることから、図1に示す構造を積層膜構造としてみなすと図2のようになる。図2では、ミラー層14、誘電体層17と、みなしミラー層(半透明半反射層)18Aの積層構造により共振器が構成される(GSPモデル)。この共振器は、その光路長がギャップ部である誘電体18の厚さで決定される。例えば、入射波と、各界面(14−17間及び17−18A間)で生じた反射波の重ね合わせた定在波の腹が、図2にみなしミラー層18A中位置(図2中の破線)に存在するように、誘電体層18の膜厚を設定することで、プラズモン共鳴波長を設定できる。このとき、図2に示す構造のパラメータとプラズモン共鳴波長の関係として、近似的に次式(1)が与えられる。
Figure 0006428825
ここで、λはプラズモン共鳴波長、mは整数である。また、nparticle、dparticleは金属ナノ構造18の屈折率、膜厚であり、ngap、dgapは誘電体層17の屈折率、膜厚であり、φmirrorは誘電体層17とミラー層14界面で反射する際に生じる位相変化量[rad]である。ミラー層14が単層の金属膜の場合、φmirrorは次式(2)で与えられる。
Figure 0006428825
ここで 、nmirror、dmirrorはミラー層14,18Aの屈折率、消衰係数である。ミラー層14が誘電体ミラーの場合、ギャップ部の誘電体層17の屈折率が誘電体ミラー14の1層目より高い場合φmirror=0、低い場合φmirror=πとなる。また、ギャップ層の誘電体層17が複数層から成る場合、ギャップ層の各誘電体層において(1)式を満たすことが望ましい。この時、式(1)の右辺第2項(2ngap・dgap)はギャップ層を形成する各誘電体層の屈折率と膜厚との積の総和として計算される。
1.2.波長シフト
図1のミラー層14をAuフィルムとし、誘電体層17をSiO2層とし、金属ナノ構造18をAgナノ粒子としたとき、図2のGSP構造のセンサー基板における反射率特性を図3に示す。図3にて流体試料をセンサー基板に供給する曝露前では、センサー基板1に入射する光源光の波長である632nmにおいて、表面プラズモン共鳴による光吸収が見られている。この吸収は入射光と各界面で生じた反射光を重ねあわせた光電場によって励起された局在表面プラズモンに由来する。
ここで、センサー基板を気体(流体)に曝露し、金属ナノ構造18の周囲に物質が吸着すると、その際に生じた屈折率の変化によって波長シフトを生じる。下記の式(3)は金属ナノ構造18の分極率αに関する式である。
Figure 0006428825
式(3)に示すように、金属ナノ構造18の分極率αは、金属ナノ構造18の複素屈折率N(λ)(N(λ)=n(λ)+ik n;屈折率、k;消衰係数)と金属ナノ構造18の周囲の媒質の複素屈折率N0で表現される。式(3)にて分極率αが無限大となる共鳴の条件は、式(4)の通り式(3)の分母が0である。
Figure 0006428825
式(4)に示すように、金属ナノ構造18による局在プラズモン共鳴波長は金属ナノ構造18の周囲の媒質の複素屈折率N0の影響を受ける。金属ナノ構造18に何も吸着されていない状態では、金属ナノ構造18の周囲の媒質は空気(N0=1)である。標的分子1が金属ナノ構造18に吸着すると、その媒質の一部が空気から標的分子1(N0は1以外の値)に代わるので、媒質全体の屈折率N0が僅かに変化する。その媒質の屈折率N0の微小な変化が、局在プラズモン共鳴波長λのシフトという形になって現れる。
これにより電場増強2が生じる波長もシフトする。また、波長シフト量は金属ナノ構造18への吸着物質の屈折率nの大小や、その物質の吸着量の大小等によっても変化する。図3には、アデニン溶液を10nMと10μMとに量を変えて曝露して吸着させた後の反射率特性も示されている。アデニン分子の吸着によって、10nMでは5nmほど、10μMでは20nmほど赤色方向に波長シフト(レッドシフト)しているのがわかる。
1.3.光路長が連続的に可変なセンサー基板
図4に示す本実施形態のセンサー基板10は、図1のセンサー基板の誘電体層17に代えて誘電体層16を有する。誘電体層16は、X方向かうに従い厚さtが連続的に変化している。誘電体層16の厚みをセンサー基板10の面内で連続的に変化させた構造を有するので、基板10面内のX方向での位置によって様々な共鳴波長を有することができる。
表面プラズモン共鳴による増強電場2を利用して物質を検出するSERSセンサー基板10においては、入射する光の波長、あるいは検出対象物のラマン散乱波長に表面プラズモン共鳴の波長を合わせる。これは、SERS増強度が入射波長における電場増強度の2乗と、散乱波長における電場増強度の2乗の積に比例すると言われていることによる。本実施形態では、光源光の波長が表面プラズモン共鳴波長となる誘電体層16の厚さtは、X方向の例えば中心位置に設定される。誘電体層16の厚さtは、X方向の中心位置からX方向に離れるに従い連続的に滑らかに変化する。図4では、中心位置からX方向にて両側に向かうに従い厚さtを一様に増加あるいは一様に減少させている。こうして、センサー基板10と検出装置の光軸とを相対的に移動させることで、上述した波長シフトに対応させて、共振器の光路長(誘電体層16の厚さt)を所定範囲の中から任意に選択できる。こうして、一様増加あるいは減少させたセンサー基板10では、波長シフト後の最適位置がどちらの方向か予測できるので、後述するチューニングが行い易いメリットがある。
図4に示すように、センサー基板10は、ガラス基板12上に例えばCrを3nmの厚さで形成した後、ミラー層14として例えばAuを250nmの厚さで例えばスパッタにより形成した。ミラー層14の上に密着層16Aとして誘電体であるアルミナAl23を5nmの厚さで例えばスパッタにより形成する。密着層16A上の主たるギャップ層としての誘電体層16Bに例えばSiO2を用いる。本実施形態では、誘電体層16は二層の誘電体層16A,16Bを積層して形成され、上層の誘電体層16Aの厚さをX方向に沿って連続的に変化させることで、X−Y平面に対して表面16Cが傾斜したくさび形状としている。なお、密着層16Aは省略しても良いし、密着層16A以外の他の誘電体層を積層しても良い。
くさび形状の誘電体層16Bの形成方法を図5(A)(B)と図6(A)(B)とに示す。スパッタの例を示す図5(A)では、ガラス基板12上にミラー層14及び密着層16Aが形成された加工途中の基板10’が回転ドラム3に支持される。回転ドラム3は多面体の各面に基板10’を装着して、回転軸3Aを中心に回転される。誘電体層16Bの材料にて形成されたターゲット4と基板10’との間に補正板5が配置される。補正板5は図5(B)に示すように例えば台形の窓5Aが開いている。窓5Aの幅WはX方向に沿って連続的に変化する。窓5Aの幅Wと成膜レートとの間には正の相関があるため、基板10’の面内にはX軸方向に厚みの一様増加分布ができる。
蒸着の場合は、図6(A)に示すように蒸着源6と基板10’との間に同様の補正板7を設置する。補正板7にも、図6(B)に示すように台形の窓7Aが開いている。窓7Aの幅WはX方向に沿って連続的に変化する。基板10’を回転ステージ8上に設置して回転させながら成膜することで、基板10’の面内にX軸方向に厚みの一様増加分布ができる。また、スパッタ、蒸着ともに、補正板5,7を使わずとも基板10’を傾斜させて成膜させてもよい。その場合、ターゲット4および蒸着源6に近い部位ほど薄膜の厚みは大きくなる。
その後、誘電体層16の上に、複数の金属粒子18が間隔を空けて設けられる金属ナノ構造を形成させる。金属ナノ構造は、フォトリソグラフィー技術を用いて形成してもよいし、単に金属を10nm程度蒸着させることで形成される島状構造としてもよい。また、図4ではSiO2から成る誘電体層16Bにのみ厚みに分布をもたせたが、誘電体層16A,16Bの双方に厚み分布をもたせてもよいし、下地の誘電体層16Aのみに厚さ分布を持たせてもよく、さらには、上部金属ナノ構造も含めて厚み分布をもたせてもよい。
このようにして作製したX方向に沿って厚さtが連続的に変化する誘電体層16を備えたセンサー基板10の反射率特性を図7に示す。図7中の反射率特性からフィッティングによって求めたSiO2の厚みは、図8に示すX方向位置1〜4にて、それぞれ230nm、240nm、250nm、260nmであった。位置1から4までの距離はX方向の距離は15mmである。このときの傾斜角度θはθ=tan-1(30nm/15mm)=1.15×10-4度である。傾斜角度θとしては、1.0×10-5≦θ≦1×10-3とすることができる。この数値範囲は、LSPR波長シフト範囲をあらゆる標的分子吸着に対応できる100nmとし、センサー基板10の扱いしやすい適正な有効エリアサイズ(例えば3mm〜30mm)から裏付けられる数値範囲である。
標的分子1を検出するための表面増強ラマン励起波長は例えば632nmを用いる。このとき、図7から632nmに対して最大の増強効果をもつ基板位置は、632nm付近で反射率が最小となる位置2周辺であることがわかる。しかし、アデニンを曝露すると、表面プラズモン共鳴波長は図3のようにレッドシフトしてしまい、特に濃度の高い場合は20nmほど波長シフトする。このため、位置2はシフト後の表面プラズモン共鳴波長から外れてしまう。そのため、高い増強度が得られず結果的に感度が低下してしまう。この場合、位置1(600nm付近で反射率が最小)側に測定場所をスライドさせることで、アデニン吸着後の表面プラズモン共鳴波長に対応する位置が必ず存在する。その場所にて測定することで最大の検出感度を得ることができる。
1.4.検出装置
図9は、本実施形態の検出装置20Aの具体的な構成例を示す。図9に示される検出装置20Aでは、図4に示すセンサー基板10の他、光源30、光学系40及び検出部50が示されている。
図9において、光源30からの光は、光学系40を構成するコリメーターレンズ410により平行光にされる。コリメーターレンズ410の下流に偏光制御素子を設け、直線偏光に変換しても良い。ただし、光源30として例えば面発光レーザーを採用し、直線偏光を有する光を発光可能であれば、偏光制御素子を省略することができる。
コリメーターレンズ410により平行光された光は、ハーフミラー(ダイクロイックミラー)420によりセンサー基板10の方向に導かれ、対物レンズ430で集光され、センサー基板10に入射される。センサー基板10には、図4に示す共振器構造が形成される。
センサー基板10は、流体試料の流路60に臨んで配置される。流路60は、吸引口61に接続された吸引流路62と、排出口63に接続された排出流路64とを有する。吸引口61には除塵フィルター65が設けられ、排出口63にはファンまたはポンプ66が設けられる。
センサー基板10は、X方向に移動可能なXステージを備えた移動機構70により、X方向に移動可能とされる。移動機構70は、光学系40の光軸に対してセンサー基板10をX方向に移動させることで、図8に示す例えば位置0〜4を光軸に合わせることができる。それにより、図4に示すX方向に沿って厚さtが異なる誘電体層16のX方向位置を選択肢し、共振器の光路長を可変とする。
センサー基板10からは、図1に示すようにレイリー散乱光及び表面増強ラマン散乱によるラマン散乱光が放射される。センサー基板10からのレイリー散乱光及びラマン散乱光は、対物レンズ430を通過し、ハーフミラー420によって光検出器50の方向に導かれる。
センサー基板10からのレイリー散乱光及びラマン散乱光は、集光レンズ440で集光されて、光検出器50に入力される。光検出器50では先ず、光フィルター510に到達する。光フィルター510(例えばレイリーカットフィルターとしてのノッチフィルター)によりレイリー散乱光がカットされてラマン散乱光が取り出される。このラマン散乱光は、さらに分光器520を介して受光素子530にて受光される。分光器520は、例えばファブリペロー共振を利用したエタロン等で形成されて通過波長帯域を可変とすることができる。分光器520を通過する光の波長は、検出される標的分子のラマン散乱光の波長に制御(選択)することができる。受光素子530によって、標的分子1に特有のラマンスペクトルが得られ、得られたラマンスペクトルと予め保持するデータと照合することで、標的分子1の信号強度を検出することができる。
1.5.波長シフトに対する補正位置のチューニング
図10は、波長シフトに対する補正位置をチューニングする制御系ブロック図である。図10に示すように、検出装置20Aの制御を司る制御部80は、CPU81、ROM82及びRAM83等を有する。CPU80のバスラインには、光源30、光検出器50、ファン66及び移動機構70が接続されている。移動機構70は、Xステージ71と、それを駆動する駆動部72とを有し、駆動部72がバスラインに接続されている。
制御部80は、ラマン散乱光を受光する検出モードと、波長シフトに対する補正位置のチューニング補正モードとの制御を司る。以下、補正モードについて説明する。制御部80は、補正モードでは、移動機構70によりセンサー基板10をX方向に沿って移動させ、図8に示す複数の位置0〜4を含む各々にて設定されるセンサー基板10に光源30より光を照射させ、光検出器50にてそれぞれ検出されるラマン散乱光に基づいて、センサー基板10の補正位置を決定することができる。
以下、標的分子1を例えばピリジンとし、標的分子ガスをセンサー基板10に曝露した後、制御部80がSERS信号強度から自動に補正位置を求めるチューニング方法について、図11を参照して説明する。図4に示すセンサー基板10の誘電体層16の厚みが増す(共鳴波長がレッドシフトする)方向を右、減る(共鳴波長がブルーシフトする)方向を左と定義する。
図11に示す位置Kを初期位置とする。ファン66を駆動して標的分子1をセンサー基板10に曝露させた後、光源30によりセンサー基板10に光照射して、光検出器50を介して位置KでのSERS信号を制御部70が取得する。光源30の励起波長は632nmで強度は1mW、露光時間は1secで実施した結果、SERS信号強度は220カウントであった。次に、位置Kでの感度が最大であるか否かを判断するために、誘電体層16の厚みが連続的に変化するX方向にXステージ71を一ステップずつ送ってSERS信号強度をスキャンする。
まず、誘電体層16が厚い方向である右方向にある初期位置KからLmmだけ離れたK+1の位置に移動させ、SERS測定を行う。Lの値は3mmなど数mm程度の値が望ましい。K+1位置では140カウントのSERS信号強度が得られた。制御部80でのアルゴリズムとして、位置KのSERS信号強度IKと位置K+1での強度IK+1の差(IK+1−IK)を演算し、符号が+だとさらに位置K+1からLmmだけ右方向へ、符号が±0だと位置Kと位置K+1の中間位置へ、符号が−だと位置Kから逆に左方向へLmmだけ移動させる。
次の新たな移動場所(位置K+2,K−1など)で再度SERS測定を行い、信号強度をもとに演算を行い、制御部80は例えば以下の手法によりセンサー基板10の補正位置を判断する。
I.IK<IK+1のとき:位置Kから右へ移動した位置K+2にてSERS測定
(i)IK+1>IK+2のとき:位置K+1が最適位置
(ii)IK+1=IK+2のとき:位置K+1,K+2の中間位置が最適位置
(iii)IK+1<IK+2のとき:位置K+2よりもさらに右側にLだけ移動した位置K+3で再度SERS測定。In+1≦Inを満たすまで繰り返す。そのときの位置nが最適位置(IK<IK+1<IK+2…In≧In+1)。RK-1=RK-2のとき:K−1,K−2の中間位置が最適位置。RK-1<RK-2のとき:位置K−1が最適位置となる。
II.IK=IK+1のとき :位置 K,K+1の中間位置が最適位置
III.IK>IK+1のとき:位置Kから左へ移動した位置K−1にてSERS測定
(i)IK<IK-1<IK-2のとき:In≧In-1を満たすまで繰り返す。そのときの位置nが最適位置(IK<IK-1<IK-2…In≧In-1))。IK-1=IK-2のとき:K−1,K−2の中間位置が最適位置。IK-1>IK-2のとき:位置K−1が最適位置となる。
(ii)IK=IK-1のとき:位置K,K−1の中間位置が最適位置
(iii)IK>IK-1のとき:位置Kが最適位置。
なお図11に示す例では、上記アルゴリズムIII.(i)の実行により補正位置K−3と決定できる。なぜなら、IK<IK-1<IK-2<IK-3の判断の後であって、In=IK-3、In-1=IK-4のとき、In≧In-1が初めて成立するからである。
2.第2実施形態
本発明の第2実施形態は、第1実施形態がSERS信号強度に基づいて補正位置をチューニングしたのに対して、反射光強度に基づいて補正位置をチューニングする点が異なる。第1実施形態と同様に図4のセンサー基板10と移動機構70を有する検出装置20Bは、図12に示すように光検出器50のノッチフィルター510を光路外に設定可能である点が、第1実施形態と異なる。なお、分光器520は上述の通り通過波長帯域を調整できるが、ノッチフィルター510と共に光路外に設定してもよい。
つまり、光検出器50は、ラマン散乱光を受光する検出モードと、反射光を受光する補正モードとで、光通過帯域が異なるように設定する。こうすると、反射光の多くを占めるレイリー散乱光を光検出器50にて検出できる。補正モードが実施される時の光検出器50は、光源光と同じ波長のレイリー光をカットするレイリーカットフィルター520が図12に示すように光路から外され、分光器520は光源光の波長帯域を受光する帯域(ラマンシフト=0nm-1)に設定されて反射光(レイリー散乱光)を受光する。反射光の信号レベルは、共振器の光路長のミスマッチングに依存し、ラマン散乱光の信号レベルのように流体試料中での標的分子の微小な濃度変化に鋭敏ではない。その点で、第2実施形態は第1実施形態よりも優れている。
第2実施形態の制御部8が補正モードで実施するアルゴリズムは第1実施形態と同様であるが、SRES信号強度が大きいほど補正位置に近いとの判断基準は、反射光強度が低いほど補正位置に近いとの判断基準に変更される。具体的には、反射強度Rに基づいて以下の通り補正モードが実行される。
I.RK>RK+1のとき:位置K+1から右へ移動した位置K+2にてSERS測定
(i)RK+1<RK+2のとき:位置K+1が最適位置
(ii)RK+1=RK+2のとき:位置K+1,K+2の中間位置が最適位置
(iii)RK+1>RK+2のとき:位置K+2よりもさらに右側にLだけ移動した位置K+3で再度SERS測定。Rn+1≧Rnを満たすまで繰り返す。そのときの位置nが最適位置(RK>RK+1>RK+2…Rn≦Rn+1)。
II.RK=RK+1のとき :位置 K,K+1の中間位置が最適位置
III.RK<RK+1のとき:位置Kから左へ移動した位置K−1にてSERS測定
(i)RK>RK-1>RK-2のとき:Rn≦Rn-1を満たすまで繰り返す。そのときの位置nが最適位置(RK>RK-1>RK-2…Rn≦Rn-1)。RK-1=RK-2のとき:K−1,K−2の中間位置が最適位置。RK-1<RK-2のとき:位置K−1が最適位置となる。
(ii)RK=RK-1のとき:位置K,K−1の中間位置が最適位置
(iii)RK<RK-1のとき:位置Kが最適位置。
3.電子機器
電子機器100として、生体ガスに含まれるアセトン濃度を検出し、検出したアセトン濃度と相関がある体脂肪の燃焼量を検出する物質検出装置を例に挙げて説明する。物質検出装置100は、図13(A)〜図13(C)に示すように、検出試料採取部110と検出部130と表示部230とが、ケース120と風防ガラス121によって構成される空間内に格納されている。検出試料採取部110は、人の皮膚に接触する側(ケース120の裏面側)に配置され、検出部130はケース120の内部に、表示部230は被験者が視認可能な位置(ケース120の表面側)に配置されている。
検出試料採取部110は、人の皮膚と密着する透過膜としての第1透過膜111と、第1透過膜111とは空間113を有して配置される第2透過膜112とを有している。人の皮膚に密着する第1透過膜111は、汗などの水分が検出部130内に直接入らないように、水に対して撥水性を有し、且つ皮膚から発生する生体ガス(なお、生体ガスを皮膚ガスと表すことがある)を透過することが可能な膜によって形成されている。第1透過膜111は、生体ガスを検出部130内に取込む際に、後述するセンサー部131に生体ガスに含まれる水分等が付着することを防止するために設けられている。
第2透過膜112は、第1透過膜111と同様な機能を有しており、第1透過膜111との二重構造にすることにより、第1透過膜111の上記機能をさらに強化するために設けられている。従って、透過膜を二重構造にすることは必要条件ではなく、物質検出装置100の身体への装着部位の発汗量等に応じて選択することができる。
第1透過膜111と第2透過膜112とは、ケース20の人体側に取付けられ、装着ベルト220によって第1透過膜111が皮膚に密着するように取り付けられる。なお、図13(A)〜図13(C)に示す物質検出装置100は、手首部に装着する場合の構成を例示している。
検出部130の構成について説明する。図13(A)(B)に示すように、検出部130は、センサー室114と検出室115とに分けられている。センサー室114は、腕から放散された生体ガスが収容される空間であって、内部にセンサー部131が配置されている。センサー部131は、ラマン散乱光を増強する光学デバイス110を含む。光学デバイス110は、図9に示すように移動機構70により移動されるセンサー基板10を含む。
検出室115には、光源200と、光源200から照射される光をセンサー部131に集光する第1レンズ群と、センサーチップ132から散乱される増強されたラマン散乱光(増強ラマン散乱光という)を集光する第2レンズ群と、を備えている。
第1レンズ群は、光源200から射出される光を平行光に変換するレンズ142と、この平行光をセンサー部131に向かって反射するハーフミラー143と、ハーフミラー143で反射された光をセンサー部131に集光するレンズ141とから構成されている。第2レンズ群は、レンズ141及びハーフミラー143を介してセンサー部131で増強されたラマン光を集光するレンズ144と、集光されたラマン光を平行光に変換するレンズ145とから構成されている。
さらに、検出室115には、集光された散乱光からレイリー散乱光を除去する光学フィルター150と、増強ラマン散乱光をスペクトルに分光する分光器160と、分光されたスペクトルを電気信号に変換する受光素子(光検出器)170と、分光されたスペクトルを生体ガスから検出した物質に特有の指紋スペクトルの情報として電気信号に変換する信号処理制御回路部180と、電力供給部190と、を備えている。指紋スペクトルは信号処理制御回路部180に予め内蔵されている。
電力供給部190としては、1次電池、2次電池などが利用できる。1次電池の場合には、規定の電圧以下になったことを、CPU181がROMに格納されている情報と得られた1次電池の電圧情報とを比較して規定以下であれば、表示部230に電池交換の指示を表示する2次電池の場合には、規定の電圧以下になったことを、CPU181がROMに格納されている情報と得られた2次電池の電圧情報を比較して規定以下であれば、表示部230に充電指示を表示する。被験者は、その表示を見て、接続部(図示せず)に充電器を接続して規定の電圧になるまで、充電をすることで繰返し使用することができる。
また、本実施形態の物質検出装置100は、センサー室114内に採取した生体ガスを外部に排出する採取試料排出手段210を有している。採取試料排出手段210は、一方の端部がセンサー室114に連通し、他方の端部が排出口211aに連通する弾性を有する排出チューブ212と、複数の回転ローラー213と、を有している。採取試料排出手段210は、回転ローラー213でセンサー室114側から排出口211a側に向かって排出チューブ212を押圧していくことでセンサー室114内の気体を外部へ排出することができるいわゆるチューブポンプである。
チューブポンプは、手動で回転させる構造であってもモーターで駆動する構造であってもよい。なお、採取試料排出手段としてはチューブポンプ以外の気体排出手段を適宜選択して用いることが可能である。また、生体ガスをセンサー室114から排出する排出口は、生体ガスを素早く排出させるために複数個所に設ける構造にすればなお好ましい。また、生体ガスをセンサー室114から排出する排出口は、生体ガスを素早く排出させるために複数個所に設ける構造にすればなお好ましい。
次に、図13(C)を参照して、表示部230の表示内容について説明する。表示部230は、液晶表示素子などの電気光学表示素子を用いている。主たる表示内容としては図13(C)に示すように、現在時刻、測定開始からの経過時間、脂肪燃焼量として1分当たりの燃焼量や積算値、これらの変化を表すグラフ表示などが上げられる。また、脂肪燃焼量の測定の後、センサー室114内の気体を排除する必要があり(つまり、センサーチップ132のリフレッシュ)、そのことを操作者に知らしめる表示も含まれる。例えば、「リフレッシュ」が表示されている場合には、採取試料排出操作を実行する。
次に、制御系を含めた物質検出装置100の構成と作用について図14を参照して説明する。図14は、本実施形態に係る物質検出装置100の主要構成を示すブロック図である。物質検出装置100は、制御系の全体を制御する信号処理制御回路部180を有し、信号処理制御回路部180は、CPU(Central Processing Unit)181と、RAM(Random Access Memory)182と、ROM(Read Only Memory)183と、を含む。
前述したセンサー室114の内部には、センサーチップと、センサーチップの有無検出とコードを読み取るためのセンサー検出器(図示せず)を備えており、センサー検出回路を経由してその情報がCPU181に送られる。その情報が入力された状態は、検出開始可能な状態であるため、CPU181から表示部230へ操作可能であることを入力し、表示部230で表示する。
操作部122から検出開始の信号をCPU181が受けると、光源駆動回路184から光源作動の信号を出力して、光源200を作動させる。光源200には、温度センサーや光量センサーが内蔵されており、光源200が安定状態であることを確認できる。光源200が安定した時に生体ガスをセンサー室114内に採取する。なお、生体ガス採取には、図示しない吸引ポンプを用いてもよい。
光源200は、CPU181からの信号により光源駆動回路184により駆動され、光を射出する。この光は、レンズ142、ハーフミラー143、レンズ141を経由してセンサーチップ132に照射される。増強電場によって増強されたラマン散乱光(SERS:表面増強ラマン散乱)がレンズ141、ハーフミラー143、レンズ144、レンズ145、光学フィルター150、分光器160を経由して受光素子170へ入ってくる。分光器160は、分光器駆動回路185で制御される。また、受光素子170は受光回路186によって制御される。
光学フィルター150ではレイリー光を遮断し、SERS光だけが分光器160へ入る。分光器160として、ファブリペロー共振を利用した波長可変エタロンを採用する場合には、透過する光の帯域(λ1〜λ2)と半値幅とが設定されており、λ1から始まって半値幅ずつ順次透過する波長を変化させて、λ2まで繰返し受光素子170でその半値幅の光信号の強度を電気信号へ変換する。そうすることで、検出されたSERS光のスペクトルが得られる。
こうして得られた被検出物質(ここではアセトン)のSERS光のスペクトルは、信号処理制御回路部180のROM183に格納されている指紋スペクトルと照合して、標的物質を特定し、アセトンの濃度を検出する。そして、演算部としても機能する信号処理制御回路部180はアセトン濃度から脂肪燃焼量(健康医療情報)を算出し、記憶部であるRAM182に記憶する。この算出結果を被験者に知らせるため、CPU181から表示部230へ結果情報が表示される。結果情報の一例を図13(C)に示す。
測定時間を計測する時計機能は、周知の時計機能回路187によって、予めセットした時刻から現在時刻と、脂肪燃焼開始の信号を受けて、脂肪燃焼測定開始時刻と終了時刻を表示する。また、1分間当たりの脂肪燃焼量、脂肪燃焼測定開始からの積算量などを表示するための時計機能を有している。
本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、センサー基板10、検出装置20A,20Bまたは電子機器100等の構成及び動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
本発明は医療や健康診断、食品の検査に用いられるセンシング装置へ広く応用することが可能である。抗原抗体反応における抗原の吸着の有無などのように、物質の吸着の有無を検出するアフィニティー・センサーなどとしても用いることができる。アフィニティー・センサーは、センサーチップに白色光源を入射し、図3のような波長スペクトルを分光器で測定し、吸着による表面プラズモン共鳴波長のシフト量を検出することで、検出物質のセンサーチップへの吸着を高感度に検出する。これには白色光源、分光器等が必要となり、装置が大型化しがちである。本実施例に係る検出装置では、例えば反射率が最小となる時の光路長をチューニングすることで、付着物によるプラズモン共鳴波長シフトを高感度で検出することができる。本発明は表面増強ラマン分光のほか、表面増強赤外吸収分光センサー等にも適用できる。
1 標的分子、2 増強電場、10 センサー基板、16 誘電体層、18 金属ナノ構造、20A,20B 検出装置、30 光源、40光学系、50 光検出器、70 移動機構、80 制御部、180 演算部、182 記憶部、230 表示部、510 レイリーカットフィルター、520 分光器、X 厚さ変化方向

Claims (3)

  1. 第一方向に沿って誘電体層の厚さが異なり、照射光を照射すると表面増強ラマン散乱光が出現するセンサー基板と、
    前記表面増強ラマン散乱光を検出する光検出器と、
    前記照射光を射出する光源と、
    前記照射光を前記センサー基板へ導き、且つ前記表面増強ラマン散乱光を光検出器へ導くハーフミラーと、
    前記センサー基板を前記第一方向に沿って移動させる移動機構と、
    前記センサー基板の複数の位置において前記照射光を照射させ、前記表面増強ラマン散乱光の信号レベルが最大となる位置を補正位置として選択する制御部と、を備える検出装置。
  2. 請求項1において、
    前記照射光を第1の平行光にする第1のレンズと、
    前記ハーフミラーで導かれた光を前記センサー基板に集光し、且つ前記表面増強ラマン散乱光を第2の平行光とする第2のレンズと、
    前記第2の平行光を前記光検出器に集光する第3のレンズと、をさらに備える検出装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記ハーフミラーをダイクロイックミラーとする、検出装置。
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