JP6426050B2 - 液晶シール剤及びそれを用いた液晶表示セル - Google Patents
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Description
(A)2種類以上のラジカル重合防止剤、(B)ラジカル重合開始剤及び(C)(メタ)アクリル化エポキシ化合物を含有する液晶滴下工法用液晶シール剤。
2)
(A)2種類以上のラジカル重合防止剤のうち1種類はフェノール性ヒドロキシ基を有する重合防止剤であり、もう一種類はフリーラジカルを有する重合防止剤である上記1)に記載の液晶滴下工法用シール剤。
3)
(B)ラジカル重合開始剤が(B−1)熱ラジカル重合開始剤である上記1)又は2)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
4)
(B−1)熱ラジカル重合開始剤が分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)及び窒素−窒素結合(−N=N−)を含まない上記3)に記載の液晶滴下工法用シール剤。
5)
更に(D)ウレタン(メタ)アクリレートを含有する上記1)乃至4)の何れか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
6)
更に(E)有機フィラーを含有する上記1)乃至5)の何れか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
7)
上記記成分(E)がゴム微粒子である上記6)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
8)
上記成分(E)がアクリルゴム、スチレンゴム、スチレンオレフィンゴム及びシリコーンゴムからなる群より選択される1又は2以上のゴム微粒子である上記7)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
9)
(B)ラジカル重合開始剤が(B−2)光ラジカル重合開始剤である上記1)、2)、5)乃至8)の何れか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
10)
更に(F)エポキシ基を有する硬化性化合物及び(G)熱硬化剤を含有する上記1)乃至9)の何れか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
11)
上記成分(G)が有機酸ヒドラジドである上記10)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
12)
更に(H)シランカップリング剤を含む上記1)乃至11)の何れか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
13)
更に(I)無機フィラーを含有する上記1)乃至12)の何れか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
14)
2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された上記1)乃至13)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後光及び/又は熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法。
15)
上記1)乃至13)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル。
このゲル化に対抗する為に、重合防止剤を添加し、ラジカル重合開始剤の反応を抑制し、保存安定性を高めることが知られている。しかし、ラジカル重合開始剤の反応を抑制することで液晶汚染を悪化させるという問題もあり、相反する課題として解決が困難とされていた。
本発明者らは鋭利検討の結果、重合防止剤の機能又は構造に着目し、2種類の重合防止剤を併用することで、十分な重合禁止能力を持ち、さらにラジカル重合開始剤の反応抑制に伴う液晶汚染も低減させる液晶シール剤が実現できることを発見するに至った。
なお(B)2種類以上のラジカル重合防止剤は、それぞれ異なった機能又は構造を有するものであることが好ましいが、特に、フェノール性ヒドロキシ基を有するラジカル重合防止剤とフリーラジカルを有するラジカル重合防止剤を併用する場合が好ましい。
ラジカル重合防止剤の含有量としては、上記2種類を併せて、本発明の液晶シール剤総量中、0.0001〜2質量%が好ましく、0.1〜1.5質量%が更に好ましく、0.3〜1質量%が特に好ましい。
なお、熱ラジカル重合開始剤としては、10時間半減期温度が60℃以下である場合が好ましく、50℃以下である場合が更に好ましい。反応性に良い熱ラジカル重合開始剤であっても、本願発明の構成であれば保存安定性を損なわず、優れた液晶シール剤となる。また、10時間半減期温度の好ましい下限は25℃程度である。
上記ベンゾピナコールは東京化成工業株式会社、和光純薬工業株式会社等から市販されている。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をエーテル化することは、周知の方法によって容易に合成可能である。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をシリルエーテル化することは、対応するベンゾピナコールと各種シリル化剤をピリジン等の塩基性触媒下で加熱させる方法により合成して得ることができる。シリル化剤としては、一般に知られているトリメチルシリル化剤であるトリメチルクロロシラン(TMCS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)やトリエチルシリル化剤としてトリエチルクロロシラン(TECS)、t−ブチルジメチルシリル化剤としてt−ブチルメチルシラン(TBMS)等が挙げられる。これらの試薬はシリコン誘導体メーカー等の市場から容易に入手することが出来る。シリル化剤の反応量としては対象化合物のヒドロキシ基1モルに対して1.0〜5.0倍モルが好ましい。さらに好ましくは1.5〜3.0倍モルである。1.0倍モルより少ないと反応効率が悪く、反応時間が長くなるため熱分解を促進してしまう。5.0倍モルより多いと回収の際に分離が悪くなったり、精製が困難になったりしてしまう。
また、液晶汚染性の観点から、分子内に(メタ)アクリル基を有するものを使用する事が好ましく、例えば2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートと1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2メチル−1−プロパン−1−オンとの反応生成物が好適に用いられる。この化合物は国際公開第2006/027982号記載の方法にて製造して得ることができる。
成分(C)(メタ)アクリル化エポキシ化合物としては、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸の周知の反応により得ることができるエポキシアクリレートが好適である。また、この場合、エポキシ基の全部を(メタ)アクリル化しても良いし、一部を(メタ)アクリル化しても良い。例えば、エポキシ化合物に所定の当量比の(メタ)アクリル酸と触媒(例えば、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、トリフェニルホスフィン、トリフェニルスチビン等)と、重合防止剤(例えば、メトキノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、フェノチアジン、ジブチルヒドロキシトルエン等)を添加して、例えば80〜110℃でエステル化反応を行うことにより得られる。原料となるエポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ化合物が好ましく、例えばビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールFノボラック型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族鎖状エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、ヒダントイン型エポキシ化合物、イソシアヌレート型エポキシ化合物、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ化合物、その他、二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物などが挙げられる。これらのうち液晶汚染性の観点から、より好ましいものはビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物である。また、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基との比率は限定されるものではなく、工程適合性及び液晶汚染性の観点から適切に選択される。
このウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタン結合を有する(メタ)アクリル樹脂であれば、特に限定されるものではないが、ポリエーテル変性ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル変性(メタ)アクリレート、ポリカーボネート変性(メタ)アクリレートなどが挙げられる。具体的にはポリエーテル変性ウレタン(メタ)アクリレートとしてはKAYARAD UX−4101、KAYARAD UX−2301、KAYARAD UX−2201(以上日本化薬株式会社製)、ポリエステル変性(メタ)アクリレートとしてはKAYARAD UX−3301、KAYARAD UX−3204(以上日本化薬株式会社製)、ポリカーボネート変性(メタ)アクリレートとしてはKAYARAD UXT−6100(日本化薬株式会社製)等が挙げられ、KAYARAD UX−4101、KAYARAD UX−3301、KAYARAD UX−3204、KAYARAD UXT−6100が好ましく、KAYARAD UXT−6100が更に好ましい。
これら有機フィラーは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また2種以上を用いてコアシェル構造としても良い。これらのうち、好ましくは、アクリル微粒子、シリコーン微粒子である。
上記アクリル微粒子を使用する場合、2種類のアクリルゴムからなるコアシェル構造のアクリルゴムである場合が好ましく、特に好ましくはコア層がn−ブチルアクリレートであり、シェル層がメチルメタクリレートであるものが好ましい。これはゼフィアックRTMF−351としてアイカ工業株式会社から販売されている。
また、上記シリコーン微粒子としては、オルガノポリシロキサン架橋物粉体、直鎖のジメチルポリシロキサン架橋物粉体等があげられる。また、複合シリコーンゴムとしては、上記シリコーンゴムの表面にシリコーン樹脂(例えば、ポリオルガノシルセスキオキサン樹脂)を被覆したものがあげられる。これらの微粒子のうち、特に好ましいのは、直鎖のジメチルポリシロキサン架橋粉末のシリコーンゴム又はシリコーン樹脂被覆直鎖ジメチルポリシロキサン架橋粉末の複合シリコーンゴム微粒子である。これらのものは、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、好ましくは、ゴム粉末の形状は、添加後の粘度の増粘が少ない球状が良い。本発明の液晶シール剤において、成分(D)を使用する場合には、液晶シール剤の総量中、通常5〜50質量%、好ましくは5〜40質量%である。
成分(H)としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤はKBMシリーズ、KBEシリーズ等として信越化学工業株式会社等によって販売されている為、市場から容易に入手可能である。本発明の液晶シール剤において、成分(H)を使用する場合には、液晶シール剤総量中、0.05〜3質量%が好適である。
上記硬化促進剤としては、有機酸やイミダゾール等を挙げることができる。
有機酸としては、有機カルボン酸や有機リン酸等が挙げられるが、有機カルボン酸である場合が好ましい。具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、フランジカルボン酸等の芳香族カルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、チオジプロピオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリス(2−カルボキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。
また、イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2 ,4−ジアミノ−6(2 ’−エチル−4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4− ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1 ’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
本発明の液晶シール剤において、硬化促進剤を使用する場合には、液晶シール剤の総量中、通常0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である。
まず成分(A)及び成分(C)及び必要に応じて成分(D)、成分(F)を混合攪拌した後、90℃に加熱する。そこへ必要に応じて光ラジカル重合開始剤(成分(B−2))を加熱溶解させた後、室温まで冷却し、熱ラジカル重合開始剤(B−1)を添加し、必要に応じてシランカップリング剤(成分(H))、無機フィラー(成分(I))、熱硬化剤(成分(G))、有機フィラー(成分(E))等を添加し、攪拌した後、3本ロールミルにて分散させ、金属メッシュにて濾過をすることにより本発明の液晶シール剤を製造することができる。
[ビスフェノールFエポキシ樹脂のエポキシアクリレートの合成]
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、YDF−8170C、エポキシ当量160g/eq)68.9gをトルエン66.7gに溶解し、これに重合防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン1500ppmを加え、60℃まで昇温した。その後、アクリル酸31.1gを加え更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド1500ppmを添加して、98℃で約30時間攪拌した。得られた反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、ビスフェノールFエポキシのエポキシアクリレートを得た。
[レゾルシンジグリシジルエーテルのエポキシアクリレートの合成]
レゾルシンジグリシジルエーテル181.2g(ナガセケムテックス株式会社製)をトルエン266.8gに溶解し、これに重合防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.8gを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の100%当量のアクリル酸117.5gを加え更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.6gを添加して、98℃で約30時間攪拌し、反応液を得た。この反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とするレゾルシンジグリシジルエーテルのエポキシアクリレート293gを得た。
[1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンの合成]
市販ベンゾピナコール(東京化成製)100部(0.28モル)をジメチルホルムアルデヒド350部に溶解させた。これに塩基触媒としてピリジン32部(0.4モル)、シリル化剤としてBSTFA(信越化学工業製)150部(0.58モル)を加え70℃まで昇温し、2時間攪拌した。得られた反応液を冷却し、攪拌しながら、水200部を入れ、生成物を沈殿させると共に未反応シリル化剤を失活させた。沈殿した生成物をろ別分離した後十分に水洗した。次いで得られた生成物をアセトンに溶解し、水を加えて再結晶させ、精製した。目的の1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンを105.6部(収率88.3%)得た。
HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で分析した結果、純度は99.0%(面積百分率)であった。
[実施例1〜5、比較例1〜10]
下記表1に示す割合で各成分(成分(A)、成分(C)及び必要に応じて成分(D)、成分(F)を混合攪拌した後、90℃に加熱した。そこへ、必要に応じて光ラジカル重合開始剤(成分(B−2))を加熱溶解させた後、室温まで冷却し、熱ラジカル重合開始剤(B−1)を添加し、必要に応じてシランカップリング剤(成分(H))、無機フィラー(成分(I))、熱硬化剤(成分(G))、有機フィラー(成分(E))、(メタ)アクリル酸モノマー等を添加し、攪拌した後、3本ロールミルにて分散させ、金属メッシュ(635メッシュ)で濾過し、液晶滴下工法用シール剤実施例1〜5を調製した。また、同様にして、下記表2に示す割合で比較例1〜10を調製した。
調整した各液晶滴下工法用シール剤15gに5μmのスペーサー(PF−50S:日本電気硝子株式会社製)0.15gを混ぜた後、自転500rpm、公転1500rpmで10分間減圧度−0.1MPaにて真空撹拌脱泡した。真空撹拌脱泡装置としては真空撹拌脱泡ミキサーVMX−360:株式会社EME製を用いた。それを23℃雰囲気下に置きゲル化する時間を測定し、以下基準によって評価した。結果を表1(実施例)及び表2(比較例)に示す。
○:72時間以上ゲル化しない
△:24時間以上72時間未満でゲル化した
×:24時間未満でゲル化した
透明電極付き基板に配向膜液(PIA−5540−05A;チッソ株式会社製)を塗布、焼成し、ラビング処理を施した。この基板に得られた液晶シール剤を貼り合せ後の線幅が1mmとなるようにメインシールおよびダミーシールをディスペンスし、次いで液晶(JC−5015LA;チッソ株式会社製)の微小滴をシールパターンの枠内に滴下した。更にもう一枚のラビング処理済み基板に面内スペーサ(ナトコスペーサKSEB−525F;ナトコ株式会社製;貼り合せ後のギャップ幅5μm)を散布、熱固着し、貼り合せ装置を用いて真空中で先の液晶滴下済み基板と貼り合せた。大気開放してギャップ形成した後、シールパターン枠内のみマスクをしてUV照射機により3000mJ/cm2の紫外線を照射後、オーブンに投入して120℃1時間熱硬化させ評価用液晶テストセルを作成した。
◎:液晶の配向乱れがシールから0.2mm未満である。
○:液晶の配向乱れがシールから0.2mm以上0.4mm未満である。
△:液晶の配向乱れがシールから0.4mm以上0.6mm未満である。
×:液晶の配向乱れがシールから0.6mm以上1.0mm未満である。
10mlバイアル瓶の底に各シール剤を100mg程度塗布した後、液晶(MLC−6866−100:メルク株式会社製)をその10倍量加えた。120℃60分加熱後、30分室温にて冷却した。それぞれの上澄みをデカンテーションにて分け取り、測定サンプル液晶を調整した。測定サンプル液晶は、デジタル超高抵抗計(R8340:株式会社アドバンテスト製)にて印加電圧10V240秒後の値を比抵抗値とし、シール剤なしのもの(ブランク液晶)の値と比較した。比較にあたり、以下式から低下指数を割出し、判定を行った。
低下指数=−Log(y/x) (式1)
x:ブランク液晶の比抵抗値
y:サンプル液晶の比抵抗値
○:1.5未満
△:1.5以上2.0未満
×:2.0以上
得られたシール剤1gにスペーサーとして5μmのグラスファイバー(PF−50S:日本電気硝子株式会社製)0.01gを添加して混合攪拌を行う。このシール剤を10mm×25mmのガラス基板上にスクリーン印刷にて線幅が0.8mm、長さが10mmになるように一辺から5mmの部分に塗布し、そのシール剤上に10mm×20mmのガラス片を5mm一方がずれるように一辺を揃えるように貼り合わせ、クリップで両末端を挟んだ後、3000mJ/cm2のUV照射により光硬化させ、120℃オーブンに1時間投入してさらに熱硬化させた。そのガラス片の5mmずれた部分をボンドテスター(SS−30WD:西進商事株式会社製)にて下から上へ剥がすようにピール接着強度を測定した。その結果を表1(実施例)及び表2(比較例)に示す。
(接着強度テストの評価)
◎:強度が2.5kg以上
○:強度が2.0kg以上2.5kg未満
△:強度が1.5kg以上2.0kg未満
×:強度が1.5kg未満
上述の評価用液晶セルを温度60℃湿度90%雰囲気の恒温恒湿試験機(株式会社いすゞ製作所製HPAV−8−20)に48時間投入した後、室温に30分放置し冷却した。シール近傍の液晶配向乱れを偏光顕微鏡にて観察し、シール近傍の液晶配向について以下に示す基準に従って評価を行った。結果を表1(実施例)及び表2(比較例)に示す。
◎:液晶の配向乱れがシールから0.2mm未満である。
○:液晶の配向乱れがシールから0.2mm以上0.4mm未満である。
△:液晶の配向乱れがシールから0.4mm以上0.6mm未満である。
×:液晶の配向乱れがシールから0.6mm以上1.0mm未満である。
このことから本願発明は液晶汚染性、接着強度、耐湿試験後の液晶汚染性に優れた液晶シール剤で、またこれを用いた製造された液晶表示セルの信頼性も優れたものであると言える。
Claims (14)
- (A)2種類以上のラジカル重合防止剤、(B)ラジカル重合開始剤及び(C)(メタ)アクリル化エポキシ化合物を含有し、(A)2種類以上のラジカル重合防止剤として、ハイドロキノンと、フリーラジカルを有する重合防止剤を必須成分とする液晶滴下工法用液晶シール剤。
- (B)ラジカル重合開始剤が(B−1)熱ラジカル重合開始剤である請求項1に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- (B−1)熱ラジカル重合開始剤が分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)及び窒素−窒素結合(−N=N−)を含まない請求項2に記載の液晶滴下工法用シール剤。
- 更に(D)ウレタン(メタ)アクリレートを含有する請求項1乃至3の何れか一項に記載
の液晶滴下工法用液晶シール剤。 - 更に(E)有機フィラーを含有する請求項1乃至4の何れか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記成分(E)がゴム微粒子である請求項5に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記成分(E)がアクリルゴム、スチレンゴム、スチレンオレフィンゴム及びシリコーンゴムからなる群より選択される1又は2以上のゴム微粒子である請求項6に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- (B)ラジカル重合開始剤が(B−2)光ラジカル重合開始剤である請求項1、4乃至7の何れか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更に(F)エポキシ基を有する硬化性化合物及び(G)熱硬化剤を含有する請求項1乃至8の何れか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記成分(G)が有機酸ヒドラジドである請求項9に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更に(H)シランカップリング剤を含む請求項1乃至10の何れか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更に(I)無機フィラーを含有する請求項1乃至11の何れか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された請求項1乃至12のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後光及び/又は熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法。
- 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル。
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