JP6425919B2 - マグネシウム合金ワイヤ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マグネシウム合金ワイヤ及びその製造方法に関する。
マグネシウム合金は、携帯電話やノート型パソコンの筐体あるいは自動車用部品、各種電気製品のボディーなどにも広く普及し始めている。
また、マグネシウム合金ワイヤについても利用可能性があるものと考えられる。
例えば、特許文献1には次のようなマグネシウム合金ワイヤが開示されている。質量%で、Al:3.0%、Zn:1.0%、Mn:0.15%を含み、残部がMgおよび不純物からなるマグネシウム合金(ASTM記号AZ−31合金相当材)の押出材(φ6.0mm)を用いて、穴ダイスによる引き抜き加工を行い、ワイヤを作製した。加工温度は、穴ダイス前に設置したヒータの加熱温度とした。加工温度への昇温速度は1〜10℃/sec、引き抜き加工の線速は2m/minである。また、引き抜き加工後の冷却は衝風冷却にて行った。引き抜き加工後のワイヤの線径は4.84〜5.85mmである。
また、特許文献2には次のようなマグネシウム合金ワイヤが開示されている。質量%で、Zn:5.5%、Zr:0.45%を含み、残部がMgおよび不可避的不純物からなるマグネシウム合金(ASTM記号ZK60合金相当材) の押出し材(φ6.0mm)を用いて高温圧接にて押出し材同士を接合して接合原料を得た。その後、接合原料に穴ダイスによる引き抜き加工を実施し、線条体を作製した。引き抜き加工後の冷却は衝風冷却にて、10℃/secにて行った。その線条体について引き抜き加工を行って得られた伸線材径は0.7〜2.1mmである。
特許文献1,2に記載された実施例のマグネシウム合金ワイヤの線径が細くても0.7mmであるのは、細線化するほど引き抜き加工時にワイヤが切れてしまい、引き抜き加工が難しくなるからである。
特許第3592310号(段落0057) 特許第3568942号(段落0029〜0030)
本発明の一態様は、線径が0.1mm未満に細線化したマグネシウム合金ワイヤまたはその製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明の一態様は、α−Mg相の平均結晶粒径を2μm以下とすることで高強度化したマグネシウム合金ワイヤまたはその製造方法を提供することを課題とする。
本発明の一態様は、α−Mg相を有するマグネシウム合金ワイヤにおいて、前記マグネシウム合金ワイヤの線径をd1とした場合に下記の(式1)を満たすことを特徴とするマグネシウム合金ワイヤである。
(式1)5μm≦d1<0.1mm
また、上記の本発明の一態様において、前記α−Mg相の平均結晶粒径をd2とした場合に下記の(式2)を満たすとよい。
(式2)d2≦3μm(好ましくはd2≦2μm)
本発明の一態様は、α−Mg相を有するマグネシウム合金ワイヤにおいて、前記α−Mg相の平均結晶粒径をd2とした場合に下記の(式5)を満たすことを特徴とするマグネシウム合金ワイヤである。
(式5)d2≦2μm
また、上記の本発明の一態様において、前記マグネシウム合金ワイヤは、Znをa原子%含有し、Yをb原子%含有し、aとbは下記の(式11)〜(式13)または(式14)〜(式16)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなるとよい。
(式11)0.25≦a<5.0
(式12)0.5<b<5.0
(式13)2/3a−5/6≦b
(式14)0.25≦a≦5.0
(式15)0.5≦b≦5.0
(式16)0.5a≦b
また、上記の本発明の一態様において、前記マグネシウム合金ワイヤは、Znをa原子%含有し、Dy、Ho及びErからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でb原子%含有し、aとbは下記の(式21)〜(式23)または(式24)〜(式26)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなるとよい。
(式21)0.1≦a≦5.0
(式22)0.1≦b≦5.0
(式23)0.5a−0.5≦b
(式24)0.1≦a≦3.0
(式25)0.1≦b≦5.0
(式26)2a−3≦b
また、上記の本発明の一態様において、前記マグネシウム合金ワイヤは、Znをa原子%含有し、Gd、Tb、Tm及びLuからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でb原子%含有し、aとbは下記の(式41)〜(式43)または(式44)〜(式46)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなるとよい。
(式41)0.1≦a≦5.0
(式42)0.25≦b≦5.0
(式43)0.5a−0.5≦b
(式44)0.1≦a≦3.0
(式45)0.25≦b≦5.0
(式46)2a−3≦b
また、上記の本発明の一態様において、前記マグネシウム合金ワイヤは、Cu、Ni及びCoの少なくとも1種の金属を合計でa原子%含有し、Y、Dy、Er、Ho、Gd、Tb及びTmからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でb原子%含有し、aとbは下記の(式61)〜(式63)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなるとよい。
(式61)0.2≦a≦10
(式62)0.2≦b≦10
(式63)2/3a−2/3<b
また、上記の本発明の一態様において、前記マグネシウム合金ワイヤは、Alをa原子%含有し、Gdをb原子%含有し、aとbが下記の(式91)および(式92)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなるとよい。
(式91)0.01≦a≦2.0
(式92)0.2≦b≦5.0
本発明の一態様は、マグネシウム合金母材ワイヤに複数回の引き抜き加工を施すことにより、α−Mg相を有するマグネシウム合金ワイヤを製造する方法であって、
前記複数回の引き抜き加工それぞれを施す際の前記マグネシウム合金母材ワイヤの温度が室温以上200℃以下で、引き抜き速度が0.5m/分以上100m/分以下であり、
前記マグネシウム合金ワイヤの線径をd1とした場合に下記の(式1)を満たすことを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法である。
(式1)5μm≦d1<0.1mm
また、上記の本発明の一態様において、前記マグネシウム合金ワイヤのα−Mg相の平均結晶粒径をd2とした場合に下記の(式2)を満たすとよい。
(式2)d2≦3μm(好ましくはd2≦2μm)
本発明の一態様は、マグネシウム合金母材ワイヤに複数回の引き抜き加工を施すことにより、α−Mg相を有するマグネシウム合金ワイヤを製造する方法であって、前記複数回の引き抜き加工それぞれを施す際の前記マグネシウム合金母材ワイヤの温度が室温以上200℃以下で、引き抜き速度が0.5m/分以上100m/分以下であり、前記α−Mg相の平均結晶粒径をd2とした場合に下記の(式5)を満たすことを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法である。
(式5)d2≦2μm
また、上記の本発明の一態様において、前記複数回の引き抜き加工それぞれの引き抜き加工後のマグネシウム合金母材ワイヤの線径が0.1mm以上0.2mm以下の範囲内である場合に、前記複数回の引き抜き加工後のマグネシウム合金母材ワイヤのα−Mg相の平均結晶粒径が、前記複数回の引き抜き加工前のマグネシウム合金母材ワイヤのα−Mg相の平均結晶粒径より1μm以上小さくなった時に、前記複数回の引き抜き加工後のマグネシウム合金母材ワイヤに熱処理を施して当該マグネシウム合金母材ワイヤのα−Mg相の平均結晶粒径を0.3μm以上大きくし、その後に前記マグネシウム合金母材ワイヤに単数回または複数回の引き抜き加工を施すことにより、前記d1の線径のマグネシウム合金ワイヤを製造するとよい。
また、上記の本発明の一態様において、前記それぞれの引き抜き加工後のマグネシウム合金母材ワイヤの線径が0.1mm以上0.2mm以下の範囲内である場合の当該マグネシウム合金母材ワイヤのα−Mg相の平均結晶粒径は、1.5μm以上5μm以下であるとよい。
本発明の一態様を適用することで、線径が0.1mm未満に細線化したマグネシウム合金ワイヤまたはその製造方法を提供することができる。
また、本発明の一態様を適用することで、α−Mg相の平均結晶粒径を2μm以下とすることで高強度化したマグネシウム合金ワイヤまたはその製造方法を提供することができる。
本発明の一態様に係るマグネシウム合金ワイヤの製造方法を説明するための断面図。 実施例によるマグネシウム合金母材ワイヤに複数回の引き抜き加工を施し、各引き抜き加工後のマグネシウム合金母材ワイヤの線径サイズ(mm)とα−Mg相の平均結晶粒径(μm)の関係を示すグラフである。 (A)は線径サイズ0.05mmのマグネシウム合金ワイヤをEBSD測定した際の粒径分布を示す組織写真、(B)は(A)に示す粒径分布を結晶粒径とその比率の関係で示す図である。
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
[実施の形態1]
<マグネシウム合金ワイヤ>
本発明の一態様は、線径が0.1mm未満に細線化したマグネシウム合金ワイヤである。詳細には、このマグネシウム合金ワイヤは、α−Mg相を有し、マグネシウム合金ワイヤの線径をd1とした場合に下記の(式1)を満たすものである。
(式1)5μm≦d1<0.1mm(好ましくは、20μm≦d1<0.1mm)
また、上記のマグネシウム合金ワイヤは、上記のα−Mg相の平均結晶粒径をd2とした場合に下記の(式2)を満たすとよい。
(式2)d2≦3μm(好ましくはd2≦2μm)
なお、本明細書においてマグネシウム合金ワイヤの線径とは、例えば図1に示すマグネシウム合金ワイヤ12の直径d1を意味し、マグネシウム合金ワイヤの断面形状が円形でない場合はマグネシウム合金ワイヤの断面の最大の外径を意味する。
また、本明細書においてα−Mg相の平均結晶粒径とは、Mgの合金線において線径(d1)に対する70%四方の拡大写真を撮り、その写真上に任意の3本の線を引き、この直線が横切る結晶粒子の個数(n)を測定し、(0.7×d1)/nで表される式の値を意味する。
上記のマグネシウム合金ワイヤは、以下の[1]〜[43]のいずれかの合金によって形成されているとよい。
[1]マグネシウム合金ワイヤは、Znをa原子%含有し、Yをb原子%含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなる合金であって、aとbは下記の(式11)〜(式13)または(式14)〜(式16)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなるとよい。
(式11)0.25≦a<5.0
(式12)0.5<b<5.0
(式13)2/3a−5/6≦b
(式14)0.25≦a≦5.0
(式15)0.5≦b≦5.0
(式16)0.5a≦b
[2]マグネシウム合金ワイヤは、Znをa原子%含有し、Yをb原子%含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなる合金であって、aとbは下記の(式11')、(式12)及び(式13)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなるとよい。
(式11')0.5≦a<5.0
(式12)0.5<b<5.0
(式13)2/3a−5/6≦b
[3]上記の[1]または[2]に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにYb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記の(式17)及び(式18)を満たすとよい。
(式17)0≦c≦3.0
(式18)0.1(0.2)≦b+c≦6.0
[4]上記の[1]または[2]に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにLa、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記の(式19)及び(式20)を満たすとよい。
(式19)0≦c<2.0
(式20)0.2≦b+c≦6.0
[5]上記の[1]または[2]に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにLa、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記の(式20)及び(式21)を満たすとよい。
(式20)0.2≦b+c≦6.0
(式21)c/b≦1.5
[6]上記の[1]または[2]に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにLa、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記の(式22)及び(式23)を満たすとよい。
(式22)0≦c≦3.0
(式23)0.1≦b+c≦6.0
[7]上記の[1]または[2]に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにYb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、La、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でd原子%含有し、c及びdは下記の(式14)〜(式16)を満たすとよい。
(式14)0≦c≦3.0
(式15)0≦d<2.0
(式16)0.2≦b+c+d≦6.0
[8]上記の[1]または[2]に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにYb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、La、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でd原子%含有し、c及びdは下記の(式16)及び(式17)を満たすとよい。
(式16)0.2≦b+c+d≦6.0
(式17)d/b≦1.5
[9]上記の[1]または[2]に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにYb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、La、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でd原子%含有し、c及びdは下記の(式18)〜(式20)を満たすとよい。
(式18)0≦c≦3.0
(式19)0≦d≦3.0
(式20)0.1≦b+c+d≦6.0
[10]上記の[1]乃至[9]のいずれか一に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにAl、Th、Ca、Si、Mn、Zr、Ti、Hf、Nb、Ag、Sr、Sc、B、C、Sn、Au、Ba、Ge、Bi、Ga、In、Ir、Li、Pd、Sb及びVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計で0原子%超2.5原子%以下含有するとよい。
[11]マグネシウム合金ワイヤは、Znをa原子%含有し、Dy、Ho及びErからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でb原子%含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなる合金であって、aとbは下記の(式21)〜(式23)または(式24)〜(式26)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなるとよい。
(式21)0.1≦a≦5.0
(式22)0.1≦b≦5.0
(式23)0.5a−0.5≦b
(式24)0.1≦a≦3.0
(式25)0.1≦b≦5.0
(式26)2a−3≦b
[12]マグネシウム合金ワイヤは、Znをa原子%含有し、Dy、Ho及びErからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でb原子%含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなる合金であって、aとbは下記の(式21')、(式22')及び(式23)または(式24')、(式25')及び(式26)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなるとよい。
(式21')0.2≦a≦5.0
(式22')0.2≦b≦5.0
(式23)0.5a−0.5≦b
(式24')0.2≦a≦3.0
(式25')0.2≦b≦5.0
(式26)2a−3≦b
[13]上記の[11]または[12]に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにYb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記の(式27)及び(式28)を満たすとよい。
(式27)0≦c≦3.0
(式28)0.1(0.2)≦b+c≦6.0
[14]上記の[11]または[12]に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにLa、Ce、Pr、Eu及びMmからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記の(式29)及び(式30)を満たすとよい。
(式29)0≦c≦3.0
(式30)0.1(0.2)≦b+c≦6.0
[15]上記の[11]または[12]に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにYb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、La、Ce、Pr、Eu及びMmからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でd原子%含有し、c及びdは下記の(式31)〜(式33)を満たすとよい。
(式31)0≦c≦3.0
(式32)0≦d≦3.0
(式33)0.1(0.2)≦b+c+d≦6.0
[16]上記の[11]乃至[15]のいずれか一に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにY及びGdの少なくとも一方を合計でy原子%含有し、yは下記の(式34)及び(式35)を満たすとよい。
(式34)0≦y≦4.9
(式35)0.1≦b+y≦5.0
[17]上記の[11]乃至[16]のいずれか一に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにAl、Th、Ca、Si、Mn、Zr、Ti、Hf、Nb、Ag、Sr、Sc、B、C、Sn、Au、Ba、Ge、Bi、Ga、In、Ir、Li、Pd、Sb及びVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計で0原子%超2.5原子%以下含有するとよい。
[18]上記の[11]乃至[17]のいずれか一に記載のマグネシウム合金ワイヤが有する長周期積層構造相の少なくとも一部が湾曲又は屈曲しているとよい。
[19]マグネシウム合金ワイヤは、Znをa原子%含有し、Gd、Tb、Tm及びLuからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でb原子%含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなる合金であって、aとbは下記の(式41)〜(式43)または(式44)〜(式46)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなるとよい。
(式41)0.1≦a≦5.0
(式42)0.25≦b≦5.0
(式43)0.5a−0.5≦b
(式44)0.1≦a≦3.0
(式45)0.25≦b≦5.0
(式46)2a−3≦b
[20]マグネシウム合金ワイヤは、Znをa原子%含有し、Gd、Tb、Tm及びLuからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でb原子%含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなる合金であって、aとbは下記の(式41')、(式42')及び(式43)または(式44')、(式45')及び(式46)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなるとよい。
(式41')0.2≦a≦5.0
(式42')0.5≦b≦5.0
(式43)0.5a−0.5≦b
(式44')0.2≦a≦3.0
(式45')0.5≦b≦5.0
(式46)2a−3≦b
[21]上記の[19]または[20]に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにYb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記の(式47)及び(式48)を満たすとよい。
(式47)0≦c≦3.0
(式48)0.25(0.5)≦b+c≦6.0
[22]上記の[19]または[20]に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにLa、Ce、Pr、Eu及びMmからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記(式49)及び(式50)を満たすとよい。
(式49)0≦c≦2.0
(式50)0.25(0.5)≦b+c≦6.0
[23]上記の[19]または[20]に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにYb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、La、Ce、Pr、Eu及びMmからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でd原子%含有し、c及びdは下記(式51)〜(式53)を満たすとよい。
(式51)0≦c≦3.0
(式52)0≦d≦2.0
(式53)0.25(0.5)≦b+c+d≦6.0
[24]上記の[19]乃至[23]のいずれか一に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにDy、Ho及びErからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計で0原子%超1.5原子%以下含有するとよい。
[25]上記の[19]乃至[23]のいずれか一に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにYを0原子%超1.0原子%以下含有するとよい。
[26]上記の[19]乃至[25]のいずれか一に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにGd、Tb、Tm及びLuからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計で3原子%未満含有するとよい。
[27]上記の[19]乃至[26]のいずれか一に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにAl、Th、Ca、Si、Mn、Zr、Ti、Hf、Nb、Ag、Sr、Sc、B及びCからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計で0原子%超2.5原子%以下含有するとよい。
[28]上記の[19]乃至[27]のいずれか一に記載のマグネシウム合金ワイヤが有する長周期積層構造相の少なくとも一部が湾曲又は屈曲しているとよい。
[29]マグネシウム合金ワイヤは、Cu、Ni及びCoの少なくとも1種の金属を合計でa原子%含有し、Y、Dy、Er、Ho、Gd、Tb及びTmからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でb原子%含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなる合金であって、aとbは下記の(式61)〜(式63)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなることを特徴とするマグネシウム合金ワイヤ。
(式61)0.2≦a≦10
(式62)0.2≦b≦10
(式63)2/3a−2/3<b
[30]上記の[29]に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにZnをc原子%含有し、前記aとcは下記の(式64)を満たすとよい。
(式64)0.2<a+c≦15
[31]上記の[30]において、前記aとcはさらに下記の(式65)を満たすとよい。
(式65)c/a≦1/2
[32]上記の[29]乃至[31]のいずれか一に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Yb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でd原子%含有し、前記bとdは下記の(式66)を満たすとよい。
(式66)0.2<b+d≦15
[33]上記の[32]において、前記bとdはさらに下記の(式67)を満たすとよい。
(式67)d/b≦1/2
[34]上記の[29]乃至[33]のいずれか一に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにZr、Ti、Mn、Al、Ag、Sc、Sr、Ca、Si、Hf、Nb、B、C、Sn、Au、Ba、Ge、Bi、Ga、In、Ir、Li、Pd、Sb、V、Fe、Cr及びMoからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でe原子%含有し、eは下記の(式68)を満たすとよい。
(式68)0<e≦2.5
[35]上記の[34]において、前記eとaとbとdはさらに下記の(式69)を満たすとよい。
(式69)e/(a+b+c+d)≦1/2
[36]マグネシウム合金ワイヤは、Znをa原子%含有し、Y、Dy、HoおよびErの少なくとも一つの元素を合計でb原子%含有し、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、TbおよびYbからなる群から選択された少なくとも一つの元素を合計でc原子%含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなる合金であって、aとbとcは下記の(式71)〜(式74)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなるとよい。
(式71)0.2≦a≦5.0
(式72)0.2≦b≦5.0
(式73)2a−3≦b
(式74)0.05b≦c<0.75b
[37]上記の[36]に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにAlをd原子%含有し、下記の(式75)を満たすとよい。
(式75)0.05b≦d<0.75b
[38]上記の[36]または[37]に記載のマグネシウム合金ワイヤは、前記Y、Dy、HoおよびErの少なくとも二つの元素を合計でb原子%含有するとよい。
[39]マグネシウム合金ワイヤは、Znをa原子%含有し、GdおよびTbの少なくとも一つの元素を合計でb原子%含有し、Al、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Dy、Ho、Er、TmおよびYbからなる群から選択された少なくとも一つの元素を合計でc原子%含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなる合金であって、aとbとcは下記の(式81)〜(式84)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなるとよい。
(式81)0.2≦a≦5.0
(式82)0.2≦b≦5.0
(式83)2a−3≦b
(式84)0.05b≦c<0.75b
[40]マグネシウム合金ワイヤは、Alをa原子%含有し、Gdをb原子%含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなる合金であって、aとbが下記の(式91)および(式92)を満たし、長周期積層構造相または最密原子面積層欠陥を含む相を有する結晶組織を備えた合金からなるとよい。
(式91)0.01≦a≦2.0
(式92)0.2≦b≦5.0
なお、本明細書において最密原子面積層欠陥とは、最密原子面に沿って溶質原子である亜鉛と希土類元素が積層方向に連続した二原子層の濃化した層(溶質原子濃化二原子層)を含み、その溶質原子濃化二原子層が長距離にわたって積層方向に周期性を有さない場合をいう。
[41]マグネシウム合金ワイヤは、Znをa原子%含有し、Y、Dy、Ho、Er、Gd、Tb及びTmからなる群から選択される少なくとも1種類の元素を合計でb原子%含有し、Alをc原子%含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなる合金であって、aとbとcは下記の(式101)〜(式104)を満たし、長周期積層構造相または最密原子面積層欠陥を含む相を有する結晶組織を備えた合金からなるとよい。
(式101)0.2≦a≦5.0
(式102)0.2≦b≦5.0
(式103)2a−3≦b
(式104)0.05b≦c<0.75b
[42]上記の[41]に記載のマグネシウム合金ワイヤは、さらにLi、Sn、Di、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Mm、Yb、Th、Ca、Si、Mn、Zr、Ti、Hf、Nb、Ag、Sr、Sc、B、C、Ga及びGeからなる群から選択される少なくとも1種類の元素を合計でd原子%含有し、dは下記の(式105)を満たすとよい。
(式105)0≦d≦b/2
[43]マグネシウム合金ワイヤは、下記(A)〜(G)のいずれかの化学成分からなるとよい。
(A)質量% で、Al:0.1〜12.0%、Mn:0.1〜1.0%を含み、残部がMgおよび不純物
(B)質量% で、Al:0.1〜12.0%、Mn:0.1〜1.0%を含み、さらにZn:0.5〜2.0%、Si:0.3〜2.0%から選択される元素を1種以上含み、残部がMgおよび不純物
(C)質量%で、Zn:1.0〜10.0%、Zr:0.4〜2.0%を含み、残部がMgおよび不純物
(D)質量%で、Zn:1.0〜10.0%、Zr:0.4〜2.0%、Mn:0.5〜2.0%を含み、残部がMgおよび不純物
(E)質量%で、Zn:1.0〜10.0%、希土類元素:1.0〜3.0%を含み、残部がMgおよび不純物
(F)質量%で、Zr:0.4〜2.0%、希土類元素:1.0〜3.0%を含み、残部がMgおよび不純物
(G)質量%で、Zn:1.0〜10.0%、Mn:0.1〜1.0、Cu:0.5〜
2.0%を含み、残部がMgおよび不純物
上記の[1]〜[42]のマグネシウム合金ワイヤは、α−Mg相及び長周期積層構造相の結晶組織を有し、この長周期積層構造相の少なくとも一部は湾曲又は屈曲している。また、上記の[1]〜[42]のマグネシウム合金ワイヤは、長周期積層構造相を有することで高強度、高延性及び高靭性の機械的特性を備えることができる。
<マグネシウム合金ワイヤの製造方法>
本発明の一態様に係るマグネシウム合金ワイヤの製造方法について図1を参照しつつ説明する。
本発明の一態様は、マグネシウム合金母材ワイヤに複数回の引き抜き加工を施すことによりマグネシウム合金ワイヤを製造する方法である。なお、本明細書において「マグネシウム合金母材ワイヤ」及び「マグネシウム合金ワイヤ」は次のように定義する。マグネシウム合金ワイヤは、複数回の引き抜き加工が終了した後のワイヤを意味する。マグネシウム合金母材ワイヤは、複数回の引き抜き加工前のワイヤ及び複数回の引き抜き加工の途中のワイヤを意味する。つまり、マグネシウム合金母材ワイヤは、複数回の引き抜き加工が終了する前の全てのワイヤを意味する。例えば、図1に示す加工工程が、複数回の引き抜き加工が終了する最後の引き抜き加工である場合は、この最後の引き抜き加工前がマグネシウム合金母材ワイヤ11となり、引き抜き加工後がマグネシウム合金ワイヤ12となる。また、図1に示す加工工程が、複数回の引き抜き加工の途中の引き抜き加工である場合は、この途中の引き抜き加工前がマグネシウム合金母材ワイヤ11となり、引き抜き加工後もマグネシウム合金母材ワイヤ12となる。
上記のマグネシウム合金母材ワイヤは、上記の[1]〜[43]のいずれかの合金によって形成されているとよい。
図1に示すように、線径が例えば0.1mm超3mm以下のマグネシウム合金母材ワイヤ11を、ダイス13を用いて矢印の方向に0.5m/分以上100m/分以下の引き抜き速度(例えば7m/分の引き抜き速度)で引き抜き加工を施すことによりマグネシウム合金ワイヤ(複数回の引き抜き加工の途中の場合はマグネシウム合金母材ワイヤ)12を形成する。その引き抜き加工を施す直前のマグネシウム合金母材ワイヤ11の温度(即ちダイス13の直前のマグネシウム合金母材ワイヤ11の温度)は室温以上200℃以下とする。
なお、本明細書において室温とは、0℃以上50℃以下を意味する。また、本明細書においてマグネシウム合金母材ワイヤの線径とは、例えば図1に示すマグネシウム合金母材ワイヤ11の直径d3を意味し、マグネシウム合金母材ワイヤの断面形状が円形でない場合はマグネシウム合金母材ワイヤの断面の最大の外径を意味する。
室温のマグネシウム合金母材ワイヤ11に1回目の引き抜き加工を施すと、ダイス13を通過する際にダイス13とマグネシウム合金母材ワイヤ11との摩擦による熱が引き抜き後のマグネシウム合金母材ワイヤ12に加えられるため、マグネシウム合金母材ワイヤ12の温度は上昇する。2回目の引き抜き加工を施す際に、マグネシウム合金母材ワイヤ11の温度を室温に戻し、室温のマグネシウム合金母材ワイヤ11に引き抜き加工を施す。マグネシウム合金ワイヤ12の線径d1が下記の(式1)または(式1')を満たすまで、このような引き抜き加工を複数回繰り返す。下記の(式1)または(式1')を満たすマグネシウム合金ワイヤ12はα−Mg相を有する。また、下記の(式1)または(式1')を満たすマグネシウム合金ワイヤ12のα−Mg相の平均結晶粒径をd2とした場合に下記の(式2)を満たすとよい。
(式1)5μm≦d1<0.1mm
(式1')20μm≦d1<0.1mm
(式2)d2≦3μm(好ましくはd2≦2μm)
d2を上記の(式2)の範囲とする理由は、この範囲にないと、マグネシウム合金ワイヤの一部で引っ張り強さが、ダイスからの引き抜き抵抗力を下回り、ダイスを通過した後、断線が頻発するためである。
上記の複数回の引き抜き加工それぞれを施す際に、ダイス13に潤滑油としてノンシリコン系の油を供給するとよく、例えば食用油を供給するとよい。これにより、ダイス13とマグネシウム合金母材ワイヤ11との摩擦熱を低減することができ、引き抜き加工時にワイヤが切れるのを抑制することができる。
また、上記の複数回の引き抜き加工それぞれを施す際に用いているダイスの温度は200℃以下にするとよい。
マグネシウム合金母材ワイヤに複数回の引き抜き加工を施していくうちにマグネシウム合金母材ワイヤ11の線径が徐々に小さくなっていく。その中で、複数回の引き抜き加工それぞれの引き抜き加工後のマグネシウム合金母材ワイヤ11の線径が0.1mm以上0.2mm以下の範囲内である場合に注目する。その場合の複数回の引き抜き加工後のマグネシウム合金母材ワイヤのα−Mg相の平均結晶粒径が、複数回の引き抜き加工前のマグネシウム合金母材ワイヤのα−Mg相の平均結晶粒径より1μm以上小さくなった時に複数回の引き抜き加工後のマグネシウム合金母材ワイヤに熱処理を施して当該マグネシウム合金母材ワイヤのα−Mg相の平均結晶粒径を0.3μm以上大きくする。その後にマグネシウム合金母材ワイヤ11に単数回または複数回の引き抜き加工を施すことにより、0.1mm未満の線径d1のマグネシウム合金ワイヤ12を製造する。なお、上記のマグネシウム合金母材ワイヤ11の線径が0.1mm以上0.2mm以下の範囲内である場合の当該マグネシウム合金母材ワイヤのα−Mg相の平均結晶粒径は、1.5μm以上5μm以下であるとよい。
上記の熱処理の温度は、この熱処理の直前の引き抜き加工の直後のマグネシウム合金母材ワイヤの温度より50℃高い温度以上500℃以下であるとよく、熱処理の時間は10秒以上12時間であるとよい。また、この熱処理を施した後のマグネシウム合金母材ワイヤは5%以上の伸びを有するとよい。
具体例である図2を用いて詳細に説明する。
図2において、横軸はマグネシウム合金母材ワイヤの線径(mm)を示し、縦軸はマグネシウム合金母材ワイヤのα−Mg相の平均結晶粒径を示す。
図2に示すように、第1の熱処理(An)を施した後の平均結晶粒径3.5μmのマグネシウム合金母材ワイヤ(線径:0.156mm)に4回の引き抜き加工を施す。この4回の引き抜き加工後のマグネシウム合金母材ワイヤ(線径:0.116mm)の平均結晶粒径(2.0μm)が、この4回の引き抜き加工前のマグネシウム合金母材ワイヤ(線径:0.156mm)の平均結晶粒径(3.5μm)より1μm以上小さくなった時に、この4回の引き抜き加工後のマグネシウム合金母材ワイヤ(線径:0.116mm、粒径2.0μm)に第2の熱処理(An)を施して当該マグネシウム合金母材ワイヤ(線径:0.116mm)の平均結晶粒径(2.6μm)を0.3μm以上大きくする。その後にマグネシウム合金母材ワイヤ(線径:0.116mm、粒径2.6μm)に5回の引き抜き加工を施すことにより、0.079mmの線径のマグネシウム合金ワイヤ12を製造した。なお、上記の4回の引き抜き加工それぞれの引き抜き加工後のマグネシウム合金母材ワイヤ11の線径が0.116mm以上0.145mm以下の範囲内であり、この範囲内である場合の当該マグネシウム合金母材ワイヤの平均結晶粒径は、2μm以上3μm以下であった。
上記の第1及び第2の熱処理の温度は、300℃であり、熱処理の時間は30分であった。この300℃の温度は、第2の熱処理の直前の引き抜き加工の直後のマグネシウム合金母材ワイヤ(線径:0.116mm、粒径:2.0μm)の温度より275℃高い温度であり、第2の熱処理を施した後のマグネシウム合金母材ワイヤは7.5%の伸びを有していた。
上記の複数回の引き抜き加工それぞれを施す際の断面減少率RAは、下記(式3)を満たすとよく、好ましくは下記(式3')を満たすとよく、例えば14%である。
(式3)3%≦RA≦15%
(式3')5%≦RA≦12%
なお、本明細書において断面減少率とは、引き抜き加工前の線径をd3とし、引き抜き加工後の線径をd1とすると、(1−d1/d3)×100の値をいう。
RAを上記の(式3)、(式3')の範囲とする理由は、15%超では引き抜き抵抗力が引き抜き後のマグネシウム合金母材ワイヤの引っ張り強さを上回り、断線が多発する為である。一方3%未満の引き抜きを繰り返すと表面近傍の結晶粒子が小径化され全体的に結晶粒子が不均一になり、その結果、マグネシウム合金母材ワイヤの引っ張り強さが上がらず、細線の引き抜きが出来ない為である。
また、上記の複数回の引き抜き加工それぞれを施した直後のマグネシウム合金ワイヤ11の温度Teは下記(式4)を満たすとよい。
(式4)室温≦Te≦350℃
温度Teを上記の(式4)の範囲とする理由は、室温以下では油の潤滑性に問題が生じ、350℃以上ではマグネシウム合金ワイヤの引っ張り強さが低下して断線が頻発するためである。
上記の複数回の引き抜き加工それぞれを施す際に、ダイス13を冷却してもとよい。また、ダイス13を室温以下の温度にしてもよい。冷却方法は、ダイス全体を油の槽にいれ、その油は循環式で、循環元タンクを冷媒で冷やすことによりダイス全体を冷却する方法である。
上記のようにダイス13を冷却することで、引き抜き加工を施した際に発生する加工熱をマグネシウム合金ワイヤから除去することができる。特にマグネシウム合金母材ワイヤ11の線径が細くなるほどダイス13の冷却によるマグネシウム合金母材ワイヤ11の抜熱効果が高くなることが期待できる。例えば、線径が0.1mm未満に細線化したマグネシウム合金ワイヤが切れることを抑制する効果も期待できる。
上記の複数回の引き抜き加工それぞれを施す際に下記(式6)を満たすようにするとよい。
(式6)Te−Ti≦10℃
ただし、Tiは、引き抜き加工を施す直前のマグネシウム合金母材ワイヤの温度であり、Teは、当該引き抜き加工を施した直後のマグネシウム合金母材ワイヤ(またはマグネシウム合金ワイヤ)の温度である。
上記の(式6)を満たすことで、引き抜き後のマグネシウム合金母材ワイヤが切れることを抑制することができる。
また、上記の複数回の引き抜き加工それぞれを施す際の引き抜き速度を30m/分以上としてもよい。特に、引き抜き速度を30m/分以上としても、上記の(式6)を満たすことで、引き抜き後のマグネシウム合金母材ワイヤが切れることを抑制することができる。
上記の複数回の引き抜き加工の中で、線径が0.6mm以下のマグネシウム合金母材ワイヤ11に引き抜き加工を施す際に用いるダイス13の材質をダイヤモンドとするとよい。ここでいうダイヤモンドの材質のダイスとは、ダイスにおいて引き抜き部分が天然ダイヤモンドまたは、ダイヤモンド粉末を焼結した焼結ダイヤを使用したダイスをいう。
つまり、線径が0.6mm以下のマグネシウム合金母材ワイヤ11にはダイヤモンドダイスによって引き抜き加工を施すことにより、引き抜き後のマグネシウム合金ワイヤ12が切れることを抑制できる。
なお、上記の複数回の引き抜き加工の中で、線径が0.6mm超のマグネシウム合金母材ワイヤ11に引き抜き加工を施す際に用いるダイス13の材質は、種々の材質でよく、例えばWCでもよい。
また、上記の複数回の引き抜き加工それぞれの引き抜き方向は、1つの方向を有していてもよいが、2つの方向を有することが好ましい。特に、線径が0.3mm以下のマグネシウム合金母材ワイヤ11に複数回の引き抜き加工を施す場合に、引き抜き方向が2つの方向を有することが好ましい。
引き抜き方向とは、図1に示す矢印の方向を意味する。引き抜き方向が2つの方向を有するとは、1つの方向が図1に示す矢印の方向である場合、もう1つの方向はマグネシウム合金母材ワイヤ11の向きを180°回転させて逆向きに配置した引き抜き方向を意味する。
このように2つの方向で引き抜き加工を施すことにより、結晶方位が一方向に向きやすく、集合組織になった方がマグネシウム合金母材ワイヤが切れにくくなることが期待できる。
上記の複数回の引き抜き加工それぞれを施した後にマグネシウム合金ワイヤ12に熱処理を施すとよく、その際の熱処理の温度は、当該引き抜き加工を施した直後のマグネシウム合金ワイヤ12の温度より50℃高い温度以上500℃以下であるとよく、熱処理の時間は10秒以上12時間であるとよい。
例えば、引き抜き加工を施した後ごとに熱処理を施してもよいし、引き抜き加工を施した後ごとではなく、引き抜き加工を施した後に熱処理を行うときと行わないときがあってもよい。また、例えば、熱処理温度を300℃とし、熱処理時間を30分とすると、大気雰囲気で熱処理を施しても、マグネシウム合金ワイヤ12の表面に酸化膜が形成されるのを低減することができる。
また、上記の複数回の引き抜き加工を施した後にマグネシウム合金ワイヤ12に熱処理を施すとよい。つまり、複数回の引き抜き加工の中の最後の引き抜き加工を施した後にマグネシウム合金ワイヤ12に熱処理を施すとよい。その際の熱処理の温度は、最後の引き抜き加工を施した直後のマグネシウム合金ワイヤ12の温度より50℃高い温度以上500℃以下であるとよく、熱処理の時間は10秒以上12時間であるとよい。このような熱処理を施した後のマグネシウム合金ワイヤ12の伸びを5%以上とすることができる。
[実施の形態2]
<マグネシウム合金ワイヤ>
本発明の一態様は、α−Mg相を有するマグネシウム合金ワイヤにおいて、α−Mg相の平均結晶粒径をd2とした場合に下記の(式5)を満たすものである。なお、マグネシウム合金ワイヤの線径は0.1mm以上であってもよい。
(式5)d2≦2μm(好ましくは、d2≦1.5μm)
上記のマグネシウム合金ワイヤは、前述した実施の形態1の[1]〜[43]のいずれかの合金によって形成されているとよい。
本実施の形態によれば、α−Mg相の平均結晶粒径を2μm以下とすることでマグネシウム合金ワイヤを高強度化することができる。
また、本実施の形態では、α−Mg相の平均結晶粒径を2μm以下と小さくすることで双晶が抑制され、このマグネシウム合金ワイヤの圧縮耐力をx1とし、引張耐力をx2とした場合に下記の(式7)を満たすことができる。
(式7)x1/x2>0.7
<マグネシウム合金ワイヤの製造方法>
本発明の一態様に係るマグネシウム合金ワイヤの製造方法は、α−Mg相の平均結晶粒径の小さいマグネシウム合金母材ワイヤを準備し、その後の複数回の引き抜き加工を施す工程以降は実施の形態1と同様である。この製造方法により、α−Mg相の平均結晶粒径を2μm以下としたマグネシウム合金ワイヤを製造することができる。
α−Mg相の平均結晶粒径の小さいマグネシウム合金母材ワイヤは、例えばECAE(equal-channel-angular-extrusion)加工法、または急冷凝固粉末冶金(RS−P/M)法で得ることができる。
ECAE加工法は、試料に均一なひずみを導入するためにパス毎に試料長手方向を90°ずつ回転させる方法である。具体的には、断面形状がL字状の成形孔を形成した成形用ダイの前記成形孔に、成形用材料であるマグネシウム合金鋳造物を強制的に進入させて、特にL状成形孔の90°に曲げられた部分で前記マグネシウム合金鋳造物に応力を加えて成形体を得る方法である。ECAEのパス回数は複数回が好ましい。ECAEの加工時の温度は例えば250℃以上500℃以下が好ましい。
RS−P/M法で作製された粉末(またはRS−P/M法で作製された薄片、薄帯または細線)を固化成形することでマグネシウム合金母材ワイヤを作製することができる。固化成形の方法としては、粉末を溝ロールによって圧延する方法、粉末を銅製の缶に充填し、それを真空封入することでビレットを作製し、それを押出成形する方法等がある。
図2は、実施例によるマグネシウム合金母材ワイヤに複数回の引き抜き加工を施し、各引き抜き加工後のマグネシウム合金母材ワイヤの線径サイズ(mm)とα−Mg相の平均結晶粒径(μm)の関係を示すグラフである。なお、図2に示す線径サイズと平均結晶粒径の数値は表1に示す通りである。
本実施例は以下の条件で複数回の引き抜き加工を施したものである。
<条件>
マグネシウム合金母材ワイヤの材質:ASTM記号AZ31合金
マグネシウム合金母材ワイヤの温度:室温
引き抜き速度:10.8m/min
熱処理(An)の温度:300℃
熱処理時間:30分
熱処理(0.211An)後のマグネシウム合金母材ワイヤの伸び:5%
熱処理(0.156An)後のマグネシウム合金母材ワイヤの伸び:7.5%
熱処理(0.116An)後のマグネシウム合金母材ワイヤの伸び:10%
熱処理(0.079An)後のマグネシウム合金母材ワイヤの伸び:8%
熱処理(0.068An)後のマグネシウム合金母材ワイヤの伸び:7.3%
熱処理(0.059An)後のマグネシウム合金母材ワイヤの伸び:7.6%
ダイスの材質:ダイヤモンド
ダイスの温度:室温
ダイスの潤滑剤:食用油
引き抜き方向:2つの方向
図2に示すように、引き抜き加工を繰り返すことでマグネシウム合金母材ワイヤの平均結晶粒径は徐々に小さくなる。また、熱処理を施すことで平均結晶粒径は大きくなる。また、線径が0.1mm未満のマグネシウム合金母材ワイヤの平均結晶粒径は2μm以下となった。
図3(A)は、表1に示す線径サイズ0.05mmのマグネシウム合金ワイヤを倍率5000倍、ステップサイズ0.1μmでEBSD(Electron Backscatter Diffraction)測定した際の粒径分布を示す組織写真である。図3(B)は、図3(A)に示す粒径分布を結晶粒径とその比率の関係で示す図である。
なお、本実施例では、材質がASTM記号AZ31合金のマグネシウム合金母材ワイヤに対して引き抜き加工を行ったが、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えたマグネシウム合金母材ワイヤであっても条件等を適宜調整することでほぼ同様の方法で引き抜き加工を行うことが可能である。
11…マグネシウム合金母材ワイヤ
12…マグネシウム合金ワイヤまたはマグネシウム合金母材ワイヤ
13…ダイス
d1…マグネシウム合金ワイヤの線径
d3…マグネシウム合金母材ワイヤの線径

Claims (27)

  1. α−Mg相を有するマグネシウム合金ワイヤにおいて、
    前記マグネシウム合金ワイヤの線径をd1とした場合に下記の(式1)を満たし、
    前記α−Mg相の平均結晶粒径をd2とした場合に下記の(式2)を満たすことを特徴とするマグネシウム合金ワイヤ。
    (式1)5μm≦d1<0.1mm
    (式2)d2≦3μm
  2. 請求項1において、
    前記マグネシウム合金ワイヤは、Znをa原子%含有し、Yをb原子%含有し、aとbは下記の(式11)〜(式13)または(式14)〜(式16)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなることを特徴とするマグネシウム合金ワイヤ。
    (式11)0.25≦a<5.0
    (式12)0.5<b<5.0
    (式13)2/3a−5/6≦b
    (式14)0.25≦a≦5.0
    (式15)0.5≦b≦5.0
    (式16)0.5a≦b
  3. 請求項1において、
    前記マグネシウム合金ワイヤは、Znをa原子%含有し、Dy、Ho及びErからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でb原子%含有し、aとbは下記の(式21)〜(式23)または(式24)〜(式26)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなることを特徴とするマグネシウム合金ワイヤ。
    (式21)0.1≦a≦5.0
    (式22)0.1≦b≦5.0
    (式23)0.5a−0.5≦b
    (式24)0.1≦a≦3.0
    (式25)0.1≦b≦5.0
    (式26)2a−3≦b
  4. 請求項1において、
    前記マグネシウム合金ワイヤは、Znをa原子%含有し、Gd、Tb、Tm及びLuからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でb原子%含有し、aとbは下記の(式41)〜(式43)または(式44)〜(式46)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなることを特徴とするマグネシウム合金ワイヤ。
    (式41)0.1≦a≦5.0
    (式42)0.25≦b≦5.0
    (式43)0.5a−0.5≦b
    (式44)0.1≦a≦3.0
    (式45)0.25≦b≦5.0
    (式46)2a−3≦b
  5. 請求項1において、
    前記マグネシウム合金ワイヤは、Cu、Ni及びCoの少なくとも1種の金属を合計でa原子%含有し、Y、Dy、Er、Ho、Gd、Tb及びTmからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でb原子%含有し、aとbは下記の(式61)〜(式63)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなることを特徴とするマグネシウム合金ワイヤ。
    (式61)0.2≦a≦10
    (式62)0.2≦b≦10
    (式63)2/3a−2/3<b
  6. 請求項1において、
    前記マグネシウム合金ワイヤは、Alをa原子%含有し、Gdをb原子%含有し、aとbが下記の(式91)および(式92)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなることを特徴とするマグネシウム合金ワイヤ。
    (式91)0.01≦a≦2.0
    (式92)0.2≦b≦5.0
  7. 請求項1において、
    前記マグネシウム合金ワイヤは、下記(A)〜(G)のいずれかの化学成分からなることを特徴とするマグネシウム合金ワイヤ。
    (A)質量% で、Al:0.1〜12.0%、Mn:0.1〜1.0%を含み、残部がMgおよび不純物
    (B)質量% で、Al:0.1〜12.0%、Mn:0.1〜1.0%を含み、さらにZn:0.5〜2.0%、Si:0.3〜2.0%から選択される元素を1種以上含み、残部がMgおよび不純物
    (C)質量%で、Zn:1.0〜10.0%、Zr:0.4〜2.0%を含み、残部がMgおよび不純物
    (D)質量%で、Zn:1.0〜10.0%、Zr:0.4〜2.0%、Mn:0.5〜2.0%を含み、残部がMgおよび不純物
    (E)質量%で、Zn:1.0〜10.0%、希土類元素:1.0〜3.0%を含み、残部がMgおよび不純物
    (F)質量%で、Zr:0.4〜2.0%、希土類元素:1.0〜3.0%を含み、残部がMgおよび不純物
    (G)質量%で、Zn:1.0〜10.0%、Mn:0.1〜1.0、Cu:0.5〜
    2.0%を含み、残部がMgおよび不純物
  8. マグネシウム合金母材ワイヤに複数回の引き抜き加工を施すことにより、α−Mg相を有するマグネシウム合金ワイヤを製造する方法であって、
    前記複数回の引き抜き加工それぞれを施す際の前記マグネシウム合金母材ワイヤの温度が室温以上200℃以下で、引き抜き速度が0.5m/分以上100m/分以下であり、
    前記マグネシウム合金ワイヤの線径をd1とした場合に下記の(式1)を満たし、
    前記マグネシウム合金ワイヤのα−Mg相の平均結晶粒径をd2とした場合に下記の(式2)を満たし、
    前記複数回の引き抜き加工それぞれの引き抜き加工後のマグネシウム合金母材ワイヤの線径が0.1mm以上0.2mm以下の範囲内である場合に、前記複数回の引き抜き加工後のマグネシウム合金母材ワイヤのα−Mg相の平均結晶粒径が、前記複数回の引き抜き加工前のマグネシウム合金母材ワイヤのα−Mg相の平均結晶粒径より1μm以上小さくなった時に、前記複数回の引き抜き加工後のマグネシウム合金母材ワイヤに熱処理を施して当該マグネシウム合金母材ワイヤのα−Mg相の平均結晶粒径を0.3μm以上大きくし、
    その後に前記マグネシウム合金母材ワイヤに単数回または複数回の引き抜き加工を施すことにより、前記d1の線径のマグネシウム合金ワイヤを製造することを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法。
    (式1)5μm≦d1<0.1mm
    (式2)d2≦3μm
  9. 請求項において、
    前記それぞれの引き抜き加工後のマグネシウム合金母材ワイヤの線径が0.1mm以上0.2mm以下の範囲内である場合の当該マグネシウム合金母材ワイヤのα−Mg相の平均結晶粒径は、1.5μm以上5μm以下であることを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法。
  10. 請求項またはにおいて、
    前記熱処理の温度は、前記熱処理の直前の引き抜き加工の直後の前記マグネシウム合金母材ワイヤの温度より50℃高い温度以上500℃以下であり、
    前記熱処理の時間は10秒以上12時間であることを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法。
  11. 請求項10において、
    前記熱処理を施した後のマグネシウム合金母材ワイヤは5%以上の伸びを有することを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法。
  12. 請求項乃至11のいずれか一項において、
    前記複数回の引き抜き加工それぞれを施す際の断面減少率RAは下記(式3)を満たすことを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法。
    (式3)3%≦RA≦15%
    である
  13. 請求項乃至12のいずれか一項において、
    前記複数回の引き抜き加工それぞれは、引き抜き加工を施す直前のマグネシウム合金母材ワイヤの温度をTiとし、当該引き抜き加工を施した直後のマグネシウム合金母材ワイヤの温度をTeとした場合、下記(式6)を満たすことを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法。
    (式6)Te−Ti≦10℃
  14. 請求項乃至13のいずれか一項において、
    前記複数回の引き抜き加工それぞれを施す際の引き抜き速度が30m/分以上であることを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法。
  15. 請求項乃至14のいずれか一項において、
    前記引き抜き加工を施す際に用いられるダイスの材質は、当該引き抜き加工を施す前のマグネシウム合金母材ワイヤの線径が0.6mm以下の場合、ダイヤモンドであることを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法。
  16. 請求項乃至15のいずれか一項において、
    前記複数回の引き抜き加工それぞれを施す際に用いているダイスの温度を200℃以下にすることを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法。
  17. 請求項乃至16のいずれか一項において、
    前記複数回の引き抜き加工それぞれの引き抜き方向は2つの方向を有することを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法。
  18. 請求項乃至17のいずれか一項において、
    前記複数回の引き抜き加工それぞれを施した後に前記マグネシウム合金ワイヤに熱処理を施すマグネシウム合金ワイヤの製造方法であって、
    前記熱処理の温度は、当該引き抜き加工を施した直後の前記マグネシウム合金ワイヤの温度より50℃高い温度以上500℃以下であり、
    前記熱処理の時間は10秒以上12時間であることを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法。
  19. 請求項乃至17のいずれか一項において、
    前記複数回の引き抜き加工を施した後に前記マグネシウム合金ワイヤに熱処理を施すマグネシウム合金ワイヤの製造方法であって、
    前記熱処理の温度は、当該引き抜き加工を施した直後の前記マグネシウム合金ワイヤの温度より50℃高い温度以上500℃以下であり、
    前記熱処理の時間は10秒以上12時間であり、
    前記熱処理を施した後のマグネシウム合金ワイヤは5%以上の伸びを有することを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法。
  20. 請求項乃至19のいずれか一項において、
    前記複数回の引き抜き加工それぞれを施す際に用いられるダイスに食用油を供給することを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法。
  21. 請求項乃至20のいずれか一項において、
    前記マグネシウム合金母材ワイヤの線径は0.1mm超3mm以下であることを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法。
  22. 請求項乃至21のいずれか一項において、
    前記マグネシウム合金母材ワイヤは、Znをa原子%含有し、Yをb原子%含有し、aとbは下記の(式11)〜(式13)または(式14)〜(式16)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなることを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法。
    (式11)0.25≦a<5.0
    (式12)0.5<b<5.0
    (式13)2/3a−5/6≦b
    (式14)0.25≦a≦5.0
    (式15)0.5≦b≦5.0
    (式16)0.5a≦b
  23. 請求項乃至21のいずれか一項において、
    前記マグネシウム合金母材ワイヤは、Znをa原子%含有し、Dy、Ho及びErからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でb原子%含有し、aとbは下記の(式21)〜(式23)または(式24)〜(式26)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなることを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法。
    (式21)0.1≦a≦5.0
    (式22)0.1≦b≦5.0
    (式23)0.5a−0.5≦b
    (式24)0.1≦a≦3.0
    (式25)0.1≦b≦5.0
    (式26)2a−3≦b
  24. 請求項乃至21のいずれか一項において、
    前記マグネシウム合金母材ワイヤは、Znをa原子%含有し、Gd、Tb、Tm及びLuからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でb原子%含有し、aとbは下記の(式41)〜(式43)または(式44)〜(式46)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなることを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法。
    (式41)0.1≦a≦5.0
    (式42)0.25≦b≦5.0
    (式43)0.5a−0.5≦b
    (式44)0.1≦a≦3.0
    (式45)0.25≦b≦5.0
    (式46)2a−3≦b
  25. 請求項乃至21のいずれか一項において、
    前記マグネシウム合金母材ワイヤは、Cu、Ni及びCoの少なくとも1種の金属を合計でa原子%含有し、Y、Dy、Er、Ho、Gd、Tb及びTmからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でb原子%含有し、aとbは下記の(式61)〜(式63)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなることを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法。
    (式61)0.2≦a≦10
    (式62)0.2≦b≦10
    (式63)2/3a−2/3<b
  26. 請求項乃至21のいずれか一項において、
    前記マグネシウム合金母材ワイヤは、Alをa原子%含有し、Gdをb原子%含有し、aとbが下記の(式91)および(式92)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなることを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法。
    (式91)0.01≦a≦2.0
    (式92)0.2≦b≦5.0
  27. 請求項乃至21のいずれか一項において、
    前記マグネシウム合金母材ワイヤは、下記(A)〜(G)のいずれかの化学成分からなることを特徴とするマグネシウム合金ワイヤの製造方法。
    (A)質量% で、Al:0.1〜12.0%、Mn:0.1〜1.0%を含み、残部がMgおよび不純物
    (B)質量% で、Al:0.1〜12.0%、Mn:0.1〜1.0%を含み、さらにZn:0.5〜2.0%、Si:0.3〜2.0%から選択される元素を1種以上含み、残部がMgおよび不純物
    (C)質量%で、Zn:1.0〜10.0%、Zr:0.4〜2.0%を含み、残部がMgおよび不純物
    (D)質量%で、Zn:1.0〜10.0%、Zr:0.4〜2.0%、Mn:0.5〜2.0%を含み、残部がMgおよび不純物
    (E)質量%で、Zn:1.0〜10.0%、希土類元素:1.0〜3.0%を含み、残部がMgおよび不純物
    (F)質量%で、Zr:0.4〜2.0%、希土類元素:1.0〜3.0%を含み、残部がMgおよび不純物
    (G)質量%で、Zn:1.0〜10.0%、Mn:0.1〜1.0、Cu:0.5〜
    2.0%を含み、残部がMgおよび不純物
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