JP6425274B2 - Ni基耐熱合金 - Google Patents

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Description

本発明は、Irが添加されたNi基耐熱合金に関する。詳しくは、ジェットエンジン、ガスタービン等の高温機関の構成部材や、摩擦攪拌接合のツール(工具)等の構成材料として好適な耐熱合金であった、従来技術に対して靭性や常温強度を改良した向上したNi基耐熱合金に関する。
近年、燃費向上や環境負荷低減のための熱効率の改善が各種熱機関に対して求められており、その構成材料の耐熱性向上の要求が一段と強くなっている。また、摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding:FSW)といった新規な接合方法の実用化に伴い、そのツールとして耐熱性に優れた合金開発も進んでいる。いわゆる耐熱合金としては、従来から、Ni基合金やCo基合金等が知られているが、上記のような背景のもと、それらに代わることのできる新規耐熱材料の開発が検討されており、多くの研究報告が発表されている。
ここで、本願出願人は、これまでのNi基合金等に代替し得る耐熱合金として、Ni−Ir−Al−W系合金を基本とするNi基耐熱合金を開発している(特許文献1)。このNi基耐熱合金は、Niに必須の添加元素としてIr、Al、及び、Wを添加した合金であって、Ir:5.0〜50.0質量%、Al:1.0〜8.0質量%、W:5.0〜25.0質量%、残部Niからなる組成を有する。
この本願出願人によるIr添加Ni基合金は、その強化機構としてL1構造を有する金属間化合物であるγ’相((Ni,Ir)(Al,W))の析出強化作用を利用するものである。γ’相は温度上昇に伴い強度も高くなる逆温度依存性を呈することから、優れた高温強度、高温クリープ特性を合金に付与することができる。
特許第5721189号明細書
上記した本願出願人のNi基耐熱合金は、高温下において優れた強度、耐摩耗性を発揮することが確認されている。そして、FSW用ツール等への具体的な適用の可否も検討されており、基本的に良好な結果が得られている。しかし、その一方でいくつかの改良要求も生じている。
改良点としてまず挙げられるのは、靭性の改善である。Ni基耐熱合金の強化因子であるγ’相は、硬度が高い反面、延性に乏しい金属間化合物である。かかるγ’相を豊富に含むNi基耐熱合金は、靭性に劣ることは否定できない。そのため、FSWツール等では使用中に破損(折損)することが懸念されている。もっとも、γ’相が合金の靭性に影響を及ぼしているとしても、高温強度確保のためにはγ’相の量を減少させることは好ましいものではない。この課題の難しいところは、γ’相の状態は従来通りとしつつ、他の方向から靭性改善を図らなければならないところにある。
また、もう一つの改良要求として、常温(室温)における強度向上が挙げられる。Ni基耐熱合金は高温での使用を前提として開発された材料であり、高温強度が第一に要求される。しかし、その用途によっては常温の段階から高強度が要求されることがある。
常温での強度も考慮される耐熱合金の用途として、摩擦攪拌接合(FSW)のツールが例として挙げられる。FSWは、被接合材間にツールを押圧し、ツールを高速回転させながら移動させ、ツールと被接合材との間で生じる摩擦熱と固相攪拌の作用により接合する方法である。FSWのツールは、接合時に相当高温となるので耐熱性が必須となるが、接合開始(ツールの駆動直後)の常温の段階から高い圧力で接合部材に接しているので、常温強度も考慮されるべきである。例えば、アルミニウム等の比較的軟らかい金属の接合では常温強度の重要性はさほど高くないが、ハイテン材等の鉄鋼材料のような硬い金属に対しては常温強度も重要となってくる。本願出願人によるNi基耐熱合金は、高温強度は十分であるが、このような用途に対しては、高温強度を多少低下させてでも常温強度を改善したものが好ましい。
そこで本発明は、本願出願人による従来のNi基耐熱合金について、靭性の改善が図られ、常温強度にも優れた合金材料を提供する。
本発明者等は、上記した本願出願人によるNi基耐熱合金の靭性改善及び常温強度向上という課題に対して、適切な合金元素の添加によりアプローチを図ることとした。具体的には、面心立方格子構造(fcc)を有するNi基耐熱合金に、六方最密充填構造(hcp)を有する金属元素を合金化することで、格子歪を生じさせて機械的特性を変化させることとした。
もっとも、本願のNi基耐熱合金においては、γ’相の析出・分散によって高温強度や高温クリープ特性が確保されている。靭性改善や常温強度向上のために、新たな合金元素を添加することで高温域でのγ’相の析出状態に影響が生じることは避けなければならない。そこで、本発明者等は、靭性改善や常温強度向上の効果を有しつつ、γ’相の析出状態を変化させることのない添加元素及びその添加量について鋭意検討を行った。そして、hcp構造の金属元素として、Ru(ルテニウム)、Re(レニウム)を適当量添加する本発明に想到した。
即ち、本発明は、Ir:5.0質量%以上50.0質量%以下、Al:1.0質量%以上8.0質量%以下、W:5.0質量%以上25.0質量%以下、残部Niからなり、L1構造を有するγ’相がマトリックス中に存在するNi基耐熱合金において、Ru:0.8質量%以上5.0質量%以下、及び、Re:0.8質量%以上5.0質量%以下、の少なくともいずれかを含むことを特徴とするNi基耐熱合金である。
上記の通り、本発明に係る耐熱合金は、Irの他、Al、Wを添加元素とするNi基合金を基礎とするものである。このNi基合金は、Ir等の各添加元素の添加量を前記範囲とすることで、高温環境下で強化相として機能し得るγ’相を析出させている。そして、本発明では、更にRu、Reを添加して靭性等の改善を図る。以下、本発明について、各添加元素及びγ’相の構成について詳細に説明する。
必須の添加元素であるIrは、マトリクス(γ相)に固溶すると共にγ’相のNiに部分置換することで、γ相とγ’相に対してそれぞれ固相線温度、固溶温度を上昇させて耐熱性を向上させる添加元素である。γ’相を強化相とするNi合金自体は公知であるが、Irの添加はγ相とγ’相の双方を強化し、従来のNi基合金以上の高温特性を発揮させる。従って、Irは重要度の極めて高い添加元素である。このIrは、5.0質量%以上添加することで上記の効果を発揮する。但し、過剰添加すると、合金の固相線温度が高温になり過ぎ、また、合金の比重が過大となる。そのため、上限は50.0質量%とする。Irは、好ましくは、20質量%以上35質量%以下とする。
Alは、γ’相の構成元素であるので、γ’相の析出のために必要な成分である。1.0質量%未満のAlではγ’相が析出しないか、析出しても高温強度向上に寄与し得る状態はならない。一方で、Al濃度の増加に伴いγ’相の割合は増加するが、Alを過剰に添加すると、B2型の金属間化合物(NiAl、以下、B2相と称する場合がある。)の割合が増加して脆くなり合金の強度を低下させることとなることから、Al量の上限を8.0質量%としている。尚、Alは、合金の耐酸化性の向上にも寄与する。Alは、好ましくは、1.9質量%以上6.1質量%以下とする。
Wは、γ’相の固溶温度を上げて高温での安定性を確保するための添加元素である。また、合金のマトリックスを固溶強化する作用も有する。Wは、5.0質量%未満の添加ではγ’相の高温安定性向上が十分でない。一方、25.0質量%を超えると、Wを主成分とし比重の大きい相が生成する傾向があり、偏析が生じやすくなる。Wは、好ましくは、10.0質量%以上20.0質量%以下とする。
本発明では、以上の添加元素に加えて更に、Ru及び/又はReを添加する。これらhcp構造の金属元素の添加により、fcc構造であるIr添加Ni基合金に格子歪を導入して材料特性を変化させる。Ru及びReを添加元素としたのは、これらにIr添加Ni基合金の靭性改善効果があるからであるが、Ir添加Ni基合金の特徴であるγ’相の状態を変化させ難い点で特に評価されたからである。
そして、Ru及びReの添加量としては、Ruについては、0.8質量%以上5.0質量%以下とする。また、Reについては、0.8質量%以上5.0質量%以下とする。いずれも下限値未満の添加では効果がない一方、上限値を超えて添加すると、合金の高温強度が低下する。好ましくは、Ruについては、1.0質量%以上4.0質量%以下、より好ましくは1.5質量%以上3.5質量%以下とする。また、Reについては、好ましくは1.0質量%以上4.0質量%以下、より好ましくは1.5質量%以上3.5質量%以下とする。Ru及びReは、少なくともいずれか一方を前記範囲で添加することで効果を発揮する。また、Ru及びReの両方を前記範囲で添加しても良い。双方を添加する場合、合計濃度を、1.5質量%以上3.5質量%以下とするのが好ましい。
そして、本発明では、合金の強化因子としてL1構造が有するγ’相が分散している。このγ’相の構成は、(Ni,Ir)(Al,W)である。γ’相による析出強化作用は、本願出願人による従来のIr添加Ni基合金と同様であり、γ’相は、強度について逆温度依存性を有するため高温安定性も良好である。
本発明におけるγ’相は、平均粒径0.01μm以上1μm以下の範囲内にあるものが好ましい。また、γ’相の析出量は合金全体に対して合計で20体積%以上85体積%以下であるものが好ましい。析出強化作用は、0.01μm以上の析出物で得られるが、1μmを超える粗大な析出物では却って低下する。このγ’相の平均粒径は、線分法等で測定することができる。また、γ’相による十分な析出強化作用を得るためには、20体積%以上の析出量が必要であるが、85体積%を超える過剰析出量では延性低下が懸念される。好適な粒径、析出量を得るためには、後述する製造方法において、所定温度域において段階的な時効処理を行うことが好ましい。
尚、本発明に係るNi基合金は、γ’相以外の他の相が析出していることを完全に排除するものではない。Al、W、Irを上記範囲で添加した場合、組成によってはγ’相のみではなく、B2相が析出することがある。また、D019構造のε’相も析出する可能性がある。本発明に係るIr添加Ni基合金は、これらのγ’相以外の析出物が存在しても高温強度は確保されている。もっとも、本発明に係るNi基合金は、B2相の析出が比較的抑制されている。
そして、本発明に係るNi基耐熱合金は、その高温特性の改善のために、追加的な添加元素を添加しても良い。この追加的な添加元素としては、Co、Cr、Ta、Nb、Ti、V、Mo、Bが挙げられる。
Coは、Ru及びReと同様、hcp構造を有する金属元素であるが、その作用は、γ’相のNiと部分置換してγ’相の構成元素となる。Coは、γ’相の割合を増加させて強度を上昇させるのに有効である。このような効果は5.0質量%以上のCo添加でみられるが、過剰添加はγ’相の固溶温度を低下させて高温特性が損なわれてしまう。そのため、20.0質量%をCo含有量の上限とすることが好ましい。
Crも、粒界強化に有効である。また、Crは合金にCが添加されている場合、炭化物を形成して粒界近傍に析出することによって粒界を強化する。Crの添加量は1.0質量%以上で添加効果がみられる。但し、過剰に添加すると合金の融点及びγ’相の固溶温度が下がり高温特性が損なわれてしまう。そのため、Crの添加量は25.0質量%以下とすることが好ましい。尚、Crは、合金表面に緻密な酸化皮膜を作り、耐酸化性を向上させるという作用も有する。
Taは、γ’相を安定化させ、また、固溶強化によりγ相の高温強度の向上に有効な元素である。また、合金にCが添加されている場合に炭化物を形成・析出することができることから粒界強化に有効な添加元素である。Taは、1.0質量%以上を添加することで前記作用を発揮する。また、過剰添加は有害相の生成や融点降下の原因となるので10.0質量%を上限とするのが好ましい。
Nb、V、Moも、γ’相の安定化及びマトリックスを固溶強化して高温強度を向上するのに有効な添加元素である。Nb、V、Moは、1.0質量%以上5.0質量%以下を添加するのが好ましい。
更に、Tiもγ’相の安定化及びマトリックスを固溶強化して高温強度を向上するのに有効な添加元素であり、Tiもhcp構造を有する金属元素であるが、Tiは炭化物を形成し粒界に析出する効果がより顕著に現れるため、Ru及びReとは作用が相違して格子歪の導入効果はない。Tiは、1.0質量%以上5.0質量%以下を添加するのが好ましい。
Bは、結晶粒界に偏析して粒界を強化する合金成分であり、高温強度・延性の向上に寄与する。Bの添加効果は0.001質量%以上で顕著になるが、過剰添加は加工性にとって好ましくないので上限を0.1質量%とする。好ましいBの添加量は、0.005質量%以上0.02質量%以下とする。
また、上記元素とは別に、強度向上に有効な添加元素として、Cが挙げられる。Cは、合金中の金属元素と共に炭化物を形成して析出することで高温強度を向上させる。このような効果は0.001質量%以上のC添加でみられるが、過剰添加は加工性や靭性を悪化させるので、0.5質量%をC含有量の上限とする。好ましいC含有量は、0.01質量%以上0.2質量%以下とする。尚、本発明におけるC含有量は、炭化物を形成するCの量と、炭化物を形成しないCの量とを含む、合金中に存在するCの総量である。
上記の追加的な添加元素である、Co、Cr、Ta、Nb、Ti、V、Mo、B、Cを添加したNi基耐熱合金は、それらの添加のない合金に対して、材料組織に差異はない。強化相であるγ’相の結晶構造も同じL1構造であり、その好適な粒径や析出量も同様の範囲にある。但し、Co、Cr、Ta、Nb、Ti、V、Moは、γ’相の構成元素としても作用するので、これらを含む合金におけるγ’相は、(Ni,X)(Al,W,Z)の構成を有する(XはIr、Coであり、ZはTa、Cr、Nb、Ti、V、Moである。)。また、γ’相以外の金属間化合物の析出も許容され、B2型の金属間化合物((Ni,X)(Al,W,Z):X、Zの意義は上記と同様)が析出している場合もある。γ’相以外の析出相があっても、各構成元素が好適範囲内にありγ’相が析出していれば高温強度に問題はない。
本発明に係るNi基耐熱合金の製造においては、一般的な溶解鋳造法の適用が可能である。そして、鋳造後の合金インゴットについて、時効熱処理を行うことでγ’相を析出させることができる。この時効熱処理は、700〜1300℃の温度域に加熱する。好ましくは、750〜1200℃の温度域とする。また、このときの加熱時間は、30分〜72時間とするのが好ましい。尚、この熱処理は、例えば1100℃で4時間加熱し、更に900℃で24時間加熱するといったように、複数回行ってもよい。
また、上記の時効熱処理に先立って、均質化のための熱処理を行うのが好ましい。この均質化熱処理は、合金インゴットを1100〜1800℃の温度域に加熱する。好ましくは、1200〜1600℃の範囲で加熱する。このときの加熱時間は、30分〜72時間とするのが好ましい。
本発明は、従来のNi基耐熱合金に対して、高温における靭性が改善されている。また、高温における強度の低下を抑制しつつ、常温での強度が向上している。靭性や常温強度の向上は、FSW用ツール等のような、常温域から高温域まで高い負荷がかかる部材について、使用中の破損回避に有効な対応となる。
以下、本発明の好適な実施例を説明する。
第1実施形態:本実施形態では、本発明に係るNi基耐熱合金の基本組成である、Ni−Ir−Al−W合金について、Ru、Re添加の効果を確認した。2.0質量%のRu、3.0質量%のReを添加した合金を製造した。具体的には、Ni−Ir−Al−W合金(Ir:25.0質量%、Al:4.38質量%、W:14.33質量%、残部Ni)と、この合金に2.0質量%のRu、3.0質量%のReを添加したNi基耐熱合金を製造し、その機械的性質を評価した。また、Ni−Ir−Al−W合金にCo等の添加元素を添加したNi基耐熱合金の製造及び評価も行っている。
Ni基耐熱合金の製造は、溶解鋳造工程において不活性ガス雰囲気中でアーク溶解により各種組成の合金溶湯を溶製して、鋳型に鋳込み大気中で冷却・凝固させた。この溶解鋳造工程により製造した合金インゴットについて、均質化の熱処理を1300℃4時間の条件で行い、所定時間加熱後空冷した。その後、温度800℃、保持時間24時間の条件で時効熱処理を行い、所定時間加熱後徐冷した直径7mmのインゴットから試験片を作製した。こうして得られた各種組成の試験片について、以下の評価・検討を行った。
[γ’相固溶温度の測定]
各試験片について、走査示差熱量測定(DSC)を行い、γ’相固溶温度(ソルバス温度)を測定した。測定条件は、測定温度範囲を〜1600℃として昇温速度10℃/minとした。そして、γ’相の分解・固溶によって発現する吸熱ピーク位置からγ’相固溶温度を測定した。
[硬度及び圧縮強度の測定]
各試験片について、ビッカース試験(荷重500gf、加圧時間15秒)を行い硬度測定した。また、各試験片について圧縮試験を行って応力−ひずみ線図を作成し、これを基にして0.2%耐力を求めて圧縮強度を評価した。これらの硬度・強度測定は、常温(室温:25℃)と高温(900℃)で行った。
[靭性評価]
各試験片について高温曲げ試験を行い、合金の靭性(延性)を評価した。この試験では、900℃の高温雰囲気中で荷重を変化させつつ曲げ試験を行って荷重−変位線図を作成し、材料破断時の変位量を測定した。
本実施形態について、製造した合金の組成と各種評価結果を表1に示す。
Figure 0006425274
表1に基づき本実施形態におけるNi基耐熱合金の特性を検討する。本発明に係るNi基耐熱合金の基本組成となるNi−Ir−Al−W合金である従来例(C1)と対比すると、Ni基耐熱合金に対してRu、Reを添加した合金は、900℃の曲げ試験における変位量が増大し、高温域における靭性が大きく改善していることが確認できる(No.A1、No.B1)。また、これらの合金は常温での圧縮強度を10%以上向上させている。よって、Co等の添加元素のない基本組成のNi−Ir−Al−W合金において、Ru、Reの添加により、高温域における靭性改善と常温強度向上を図ることができることが確認できた。
もっとも、基本組成のNi−Ir−Al−W合金の場合、この合金は元々硬度が低いため、Ru、Reを添加すると高温での硬度が低くなる。特に、Re添加のNo.B1の合金でその傾向が見られる。そこで、添加元素(Co、Cr、Ta、C等)を添加し、合金の強度特性を底上げした上で、Ru、Reを添加することが高温での強度がより改善されたNi基耐熱合金を得ることができる(No.A2〜No.A4、No.B2〜No.B4)。尚、これらの添加元素の添加があっても、γ’相の析出が発現可能であり、その高温安定性(固溶温度)も問題ないことが確認できた。
第2実施形態:第1実施形態の結果を参照し、Ru添加量を2.0質量%、Re添加量を3.0質量%に固定する一方、ベースとなるNi基合金のIrの濃度を5.0質量%〜35質量%の範囲で変更して合金を作成した。合金の製造工程は、基本的に第1実施形態と同様であり、溶解鋳造後の合金インゴットを均質化処理し、その後、時効熱処理してγ’相を析出させた。但し、Ir濃度に応じて、均質化処理の温度を1200℃〜1400℃に、時効熱処理の温度を700℃〜900℃で調整した。そして、試験片の加工後、第1実施形態と同様の評価試験を行った。この結果を表2に示す。
Figure 0006425274
表2より、Ru、Reを添加したNi基耐熱合金について、Irの添加量を広範囲に設定しても、γ’相は安定しており、これらの合金が好適な高温強度と靭性を有することが確認できた。
第3実施形態:ここでは、第2実施形態において、常温及び高温の双方で硬度及び圧縮強度に優れ、靭性も良好であったNo.A7、No.B7におけるNi−Ir−Al−W系合金(Ir添加量25質量%)に着目した。本実施形態では、この合金系でRu、Reの添加量を変化させてNi基耐熱合金を製造して、その特性について評価した。合金の製造工程と評価方法は、基本的に第1実施形態と同様である。この評価結果を表3に示す。
Figure 0006425274
表3から、Ni−Ir−Al−W系合金において、適正なRu、Reの添加によって、添加のない従来例の合金(No.C2)に対して、常温での硬度及び圧縮強度の少なくともいずれかが向上している。そして、高温曲げ試験における変位量も増加しており、高温域における靭性が大きく改善していることが確認できる。Ru、Reは、いずれか一方の添加でも、双方添加でも効果がある。一方、Ru、Reの添加量が少なすぎる場合、これら添加元素の効果は発現せず、靭性(曲げ変位量)の改善が見られない(No.X2、No.Y2)。また、Ru、Reの添加量が過剰であると、高温強度が著しく低下する(No.X1、No.Y1)。従って、その添加量を制御してこそ、Ru、Reの効果が発揮されることが確認できる。尚、本実施形態では、Ru、Reと同様にhcp構造の金属元素であるMgを添加した合金を製造したが、Mgを添加したことによってγ’相が析出しなくなった。従って、hcp構造を有する金属であれば良いというものではなく、適切な金属種の選択も必要である。
本発明は、高温強度を安定的に発揮することができるNi基耐熱合金である。本発明は、ガスタービン、飛行機用エンジン、化学プラント、ターボチャージャーロータ等の自動車用エンジン、高温炉等の部材に好適である。また、特に有用な用途として、摩擦攪拌接合(FSW)のツールが挙げられている。本発明に係るNi基耐熱合金は、高温強度と共に靭性が改善されており、FSWツールとして使用中の破損・折損が生じ難くなっている。また、常温強度も改善されており、硬度の高い鉄鋼材料、チタン合金、ニッケル基合金、ジルコニウム基合金などの金属材料のFSWにも対応できる。

Claims (3)

  1. Ir:5.0質量%以上50.0質量%以下、Al:1.0質量%以上8.0質量%以下、W:5.0質量%以上25.0質量%以下、残部Niからなり、L1構造を有するγ’相がマトリックス中に存在するNi基耐熱合金において、
    Ru:0.8質量%以上5.0質量%以下、及び、Re:0.8質量%以上5.0質量%以下、の少なくともいずれかを含み(但し、RuとReの双方を添加する場合には、合計濃度を1.5質量%以上3.5質量%以下とする)、
    前記γ’相の粒径が0.01μm以上1μm以下であり、γ’相の析出量が合金全体に対して合計で20体積%以上85体積%以下であることを特徴とするNi基耐熱合金。
  2. 下記から選択される1種又は2種以上の添加元素を含む請求項1記載のNi基耐熱合金。
    B:0.001質量%以上0.1質量%以下
    Co:5.0質量%以上20.0質量%以下
    Cr:1.0質量%以上25.0質量%以下
    Ta:1.0質量%以上10.0質量%以下
  3. 更に、0.001質量%以上0.5質量%以下のCを含む請求項1又は請求項2記載のNi基耐熱合金。
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