本発明の接着シートは、活性エネルギー線硬化型熱可塑性樹脂を含有する接着剤層を備え、前記接着剤層の70℃における貯蔵弾性率(G’70)が、周波数1.0Hzで測定した場合に1.0×104Pa以下であることを特徴とするもののうち、透明基材の一部に加飾層が設けられた基材の固定に使用するものである。これにより、加飾層に起因した段差部分に追従可能なレベルの高い流動性を付与でき、その結果、加飾層の厚さに起因した透明基材の表面の段差部に追従可能で、かつ、透明基材のひずみを防止することができる。前記70℃における貯蔵弾性率(G’70)は、接着剤層の成分、活性エネルギー線硬化型熱可塑性樹脂の重量平均分子量等を調整することによって、前記範囲内に設定することができる。
前記接着剤層としては、その70℃における貯蔵弾性率(G’70)が周波数1Hzで測定した場合に1.0×103〜1.0×101の範囲であるものを使用することが好ましい。これにより、加飾層の厚さに起因した透明基材の表面の段差部に追従可能で、かつ、透明基材のひずみを防止することができる。
また、前記接着剤層としては、その20℃における貯蔵弾性率(G’20)が周波数1.0Hzで測定した場合に1.0×105Pa以上であるものを使用することが好ましく、1.0×105〜1.0×107Paの範囲であるものを使用することが、粘着シートを構成する粘着剤層のはみだしや、前記粘着シートの厚さの変化を抑制することができる。
なお、上記70℃における貯蔵弾性率(G’70)は、粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名:アレス2KSTD)を用いて、同試験機の測定部である平行円盤の間に試験片を挟み込み、温度20℃または70℃、及び、周波数1Hzでの貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定することで得られる。なお、上記測定で使用する試験片としては、前記接着剤層を厚さ1mmで直径8mmの大きさからなる円状に裁断したものを使用した。
本発明の接着シートは、フィルム基材の片面または両面に前記接着剤層を有するものであってもよく、前記フィルム基材を有さず前記接着剤層によって構成される、いわゆる基材レスの接着シートであってもよい。前記接着シートとしては、単一の接着剤層によって構成されるものを使用してもよく、また、同一または異なる2以上の粘着剤層が積層したものを使用することもできる。
[接着剤組成物]
本発明の接着シートの接着層を形成する接着剤組成物としては、活性エネルギー線硬化型熱可塑性樹脂(A)を含有するものを使用する。
前記活性エネルギー線硬化型熱可塑性樹脂(A)としては、活性エネルギー線を照射されることによって硬化可能な熱可塑性の樹脂を使用する。
前記活性エネルギー線硬化型熱可塑性樹脂(A)としては、具体的には活性エネルギー線硬化型熱可塑性ウレタン樹脂等を使用することができる。
前記活性エネルギー線硬化型熱可塑性ウレタン樹脂としては、例えばポリオールとポリイソシアネートとを反応させることによって得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、前記イソシアネート基と反応しうる官能基を有する(メタ)アクリル単量体とを反応させることによって得られるものを使用することができる。
より具体的には、前記活性エネルギー線硬化型熱可塑性ウレタン樹脂としては、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるウレタン樹脂が有するイソシアネート基のモル数に対して、好ましくは50モル%を超えて100モル%以下、より好ましくは60モル%〜100モル%、さらに好ましくは80モル%〜100モル%と、前記イソシアネート基と反応しうる官能基を有する(メタ)アクリル単量体とを反応させたものを使用することができる。かかる活性エネルギー線硬化型熱可塑性ウレタン樹脂を使用することによって、適度な柔軟性と、速硬化性、基材への塗布後の保型性、機械的強度、耐久性(特に耐加水分解性)、基材への密着性(特に金属に対する密着性)などの優れた性能を発現することができる。
前記活性エネルギー線硬化型熱可塑性ウレタン樹脂の製造に使用可能なポリオールとしては、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等を使用することができる。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば炭酸エステル及び/又はホスゲンと、後述する低分子ポリオールとを反応させて得られるものを使用することができる。
前記炭酸エステルとしては、例えばメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネート等を使用することができる。
また、前記炭酸エステルやホスゲンと反応しうる低分子ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ビフェノール等を使用することができる。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、脂肪族ポリカーボネートポリオールまたは脂環式ポリカーボネートポリオールを使用することが好ましい。
脂肪族ポリカーボネートポリオールとしては、前記接着シートを光学用途に使用可能なレベルの透明性を維持するうえで、ジアルキルカーボネートと、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオールとを反応させて得られるものを使用することが好ましい。
脂環式ポリカーボネートポリオールとしては、前記接着シートを光学用途に使用可能なレベルの透明性を維持し、かつ優れた初期凝集力を付与するうえで、例えばジアルキルカーボネートと、シクロヘキサンジメタノール及びその誘導体からなる群より選ばれる1種以上を含むポリオールとを反応させて得られるものを使用することが好ましい。
また、前記ポリオールに使用可能なポリエステルポリオールとしては、例えば低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるものや、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステルや、これらの共重合ポリエステル等を使用することができる。
前記低分子量のポリオールとしては、例えば概ね分子量が50〜300程度である、エチレングリコールやプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ポリオールや、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ポリオール等を使用することができる。
また、前記ポリエステルポリオールの製造に使用可能な前記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸、及びそれらの無水物またはエステル形成性誘導体等を使用することができる。
前記ポリエステルポリオールとしては、前記接着シートを光学用途に使用可能なレベルの透明性を維持するうえで、脂環式ポリエステルポリオール、ε−カプロラクトンを開環重合反応して得られる脂肪族ポリエステルポリオール、1,4−ブタンジオールとアジピン酸とをエステル化反応して得られる脂肪族ポリエステルポリオールを使用することが好ましく、1,4−ブタンジオールとアジピン酸とをエステル化反応して得られる脂肪族ポリエステルポリオールを使用することがより好ましい。
また、前記活性エネルギー線硬化型熱可塑性ウレタン樹脂の製造に使用可能なポリエーテルポリオールとしては、例えば活性水素原子を2個以上有する化合物の1種または2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものを使用することができる。
前記開始剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等を使用することができる。
前記アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等を使用することができる。
前記ポリエーテルポリオールとしては、脂肪族ポリエーテルポリオールや脂環式構造を有するポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、特にテトラヒドロフランを開環重合して得られるポリテトラメチレングリコール、テトラヒドロフランとアルキル置換テトラヒドロフランとを反応させて得られるポリテトラメチレングリコール誘導体、ネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランとを共重合させたポリテトラメチレングリコール誘導体等を使用することができる。なかでも、前記ポリエーテルポリオールとしては、前記接着シートを光学用途に使用可能なレベルの透明性を維持し、かつ、優れた柔軟性、耐久性(特に耐加水分解性)等を向上するうえで、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリテトラメチレングリコール誘導体(PTXG)を使用することが好ましい。
前記活性エネルギー線硬化型熱可塑性ウレタン樹脂の製造に使用可能な前記ポリオールとしては、500〜3000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましく、1000〜3000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが、保型性、塗布作業性、初期凝集力等に優れた活性エネルギー線硬化型熱可塑性ウレタン樹脂を得ることができる。
尚、前記数平均分子量(Mn)は、ポリスチレンを分子量標準とするゲルパーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC法)により下記条件にて測定した値である。
〔数平均分子量(Mn)の測定方法〕
本発明に記載の数平均分子量(Mn)の測定は、ポリスチレン換算によるゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)により、下記条件にて測定した値である。
樹脂試料溶液;0.4%テトラヒドロフラン(THF)溶液
測定装置型番;HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)
カラム ;TSKgel(東ソー株式会社製)
溶離液 ;テトラヒドロフラン(THF)
前記ポリオールとしては、前記ポリオール100質量部に対して、前記脂肪族ポリカーボネートポリオール、前記脂環式ポリカーボネートポリオール及び前記ポリエステルポリオールからなる群より選ばれる1種以上を合計20質量部以上を含有するものを使用することが好ましく、50質量部以上を含有するものを使用することが、段差追従性をより一層向上するうえでより好ましい。
また、前記ポリオールとしては、前記したもののほかに、その他のポリオールを使用することができる。
前記その他のポリオールとしては、例えばアクリルポリオール等が挙げられる。
前記活性エネルギー線硬化型熱可塑性ウレタン樹脂の製造に使用するポリオールとしては、より柔軟性に富み、且つ優れた機械的強度を発現するうえで、前記脂肪族ポリカーボネートポリオール、脂環式ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールからなる群より選ばれる1種以上を使用することが好ましく、前記脂肪族ポリカーボネートポリオール、脂環式ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオールからなる群より選ばれる1種以上を使用することが好ましい。
前記活性エネルギー線硬化型熱可塑性ウレタン樹脂の製造に使用可能なポリイソシアネートとしては、脂環式ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート等を使用することができ、脂環式ポリイソシアネートを使用することが好ましい。
前記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレート及び2,5−及び/又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等が挙げられ、これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。
前記脂環式ポリイソシアネートとしては、前記したなかでも、前記ポリオールや湿気(水)との良好な反応性を有すること、耐熱性や透明性(光線透過性)などの優れた特性を発現するうえで、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン(BICH)を使用することが好ましい。
前記活性エネルギー線硬化型熱可塑性ウレタン樹脂は、前記ポリオールとポリイソシアネートとを反応させることによってイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを製造する工程(1)、前記ウレタンプレポリマーと、前記イソシアネート基と反応しうる官能基を有する(メタ)アクリル単量体とを反応させる工程(2)とを経ることによって製造することができる。
前記工程(1)は、例えば反応容器に仕込んだ前記ポリオールを、常圧または減圧条件下で加熱することにより水分を除去し前記ポリイソシアネートを一括または分割して供給しそれらを反応させる工程である。
前記ウレタンプレポリマーの製造は、通常、無溶剤で行うが、有機溶剤中で行ってもよい。
前記有機溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、メチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどのエーテルエステル系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤などが挙げられ、これらを単独使用してもよく2種以上を併用してもよい。また、前記有機溶剤の使用量は、反応を阻害しない範囲であれば、特に限定しない。但し、反応に使用した有機溶剤は、反応途中又は反応終了後に減圧加熱、常圧乾燥等の適切な方法により、除去してもよい。
前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとの反応割合としては、前記ポリイソシアネートが有するイソシアネート基と前記ポリオールが有する水酸基との当量比(以下[NCO/OH当量比]という。)で、好ましくは1.1〜20.0の範囲であり、より好ましくは1.1〜13.0の範囲であり、更に好ましくは1.1〜5.0の範囲であり、特に好ましくは1.5〜3.0の範囲である。
前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとの反応条件(温度、時間等)は、安全、品質、コストなど諸条件を考慮して適宜設定すればよく、特に限定しないが、例えば反応温度は、好ましくは70〜120℃の範囲であり、反応時間は、好ましくは30分〜5時間の範囲である。
前記ウレタンプレポリマーの軟化温度は、好ましくは30〜120℃の範囲であり、より好ましくは40〜100℃の範囲である。尚、本発明でいう軟化温度とは、日本工業規格(以下、JISという。) K 2207に準拠して測定した値である。
また、前記ウレタンプレポリマーの軟化温度を適正な温度範囲に調製するための方法としては、例えば、(1)ウレタンプレポリマーの分子量による調整(ポリオールとポリイソシアネートとのモル比の調整、高分子量ポリオールの使用、高分子ポリマーの使用等)、(2)ポリエステルポリオールのエチレン鎖の結晶性による調整、(3)ポリオールやポリイソシアネートの分子構造による調整、(4)ウレタン結合による調整など種々の方法があり、適宜選択すればよく、特に限定しない。
前記ウレタンプレポリマーを製造する際には、必要に応じて、触媒として、例えば、三級アミン触媒や有機金属系触媒などを用いることができ、特に限定しない。
前記工程(2)は、前記ウレタンプレポリマーが有するイソシアネート基と、前記イソシアネート基と反応し得る官能基を有する(メタ)アクリル単量体とを反応させることによって、前記(メタ)アクリル単量体由来の(メタ)アクリロイル基を付与する工程である。
前記工程(2)は、前記ウレタンプレポリマーまたはその有機溶剤溶液と、前記(メタ)アクリル単量体)とを混合し反応させることによって行うことができる。
その際、前記ウレタンプレポリマーのイソシアネート基総数の50モル%を超えて100モル%以下、好ましくは60〜100モル%、より好ましくは80〜100モル%のイソシアネート基を、前記(メタ)アクリル単量体と反応させることが、高温下でも優れた接着強さを保持できるため好ましい。
前記(メタ)アクリル単量体としては、イソシアネート基と反応しうる官能基として、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等、好ましくは水酸基、アミノ基を有するものが挙げられ、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物、グリシドールジ(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等を単独または2種以上併用して使用することができる
なかでも、前記(メタ)アクリル単量体としては、例えば赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線、太陽光等の活性エネルギー線照射による速硬化性に優れ、機械的強度をより一層向上できることから、2−ヒドロキシエチルアクリレートを使用することが好ましい。
尚、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、メタクリルとアクリル一方または両方を指す。
前記(メタ)アクリル単量体の使用量は、前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して、5.0〜20.0質量部の範囲で使用することが好ましく、5.0〜15.0質量部の範囲で使用することがより好ましい。
前記ウレタンプレポリマーと前記(メタ)アクリル単量体とを反応させる際には、必要に応じて、ウレタン化触媒を使用することができる。前記ウレタン化触媒は、前記ウレタン化反応の任意の段階で、適宜加えることができる。
前記ウレタン化反応は、イソシアネート基含有量(%)が実質的に一定になるまで行なうことが好ましい。
前記ウレタン化触媒としては、特に限定せず、従来公知のものが使用可能であり、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリンなどの含窒素化合物、あるいは酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸第一錫などの有機金属塩、あるいはジブチル錫ジラウレートなどの有機金属化合物が挙げられる。
前記ウレタン化触媒の使用量は、反応時の安全性、中間体あるいは製品の安定性、品質などに悪影響を与えなければ、特に限定しない。
前記工程(1)及び(2)によって得られた活性エネルギー線硬化型熱可塑性ウレタン樹脂等の活性エネルギー線硬化型熱可塑性樹脂(A)は、前記活性エネルギー線が照射されることによって(メタ)アクリロイル基のラジカル重合が進行し硬化する。前記活性エネルギー線硬化型熱可塑性樹脂(A)がイソシアネート基を有する場合には、前記ラジカル重合とは別に、水(湿気)による湿気硬化反応する場合がある。
前記活性エネルギー線硬化型熱可塑性樹脂(A)を含有する接着剤組成物としては、ラジカル重合開始剤を含有するものを使用することができる。
前記ラジカル重合開始剤としては、公知のものが使用でき、例えば、光重合開始剤、過酸化物などが挙げられ、生産性などの観点から、光重合開始剤が好ましい。
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン等のアルキルフェノン光重合開始剤、カンファーキノン光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド光重合開始剤、チタノセン光重合開始剤等の従来公知のものを使用でき、特に制限しない。光重合開始剤の市販品(以下、商標記載)としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノンや、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(例えば、チバスペシャリティケミカルズ社製のダロキュア1173)、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン(例えば、チバスペシャリティケミカルズ社製のイルガキュア184)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(例えば、チバスペシャリティケミカルズ社製のイルガキュア2959)、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン(例えば、チバスペシャリティケミカルズ社製のイルガキュア907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;メチルベンゾイルホルメート(例えば、ストウファー社製のバイキュア55)、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン、クオンタキュアー(インターナショナル・バイオ−シンセティクス社製)、カイアキュアーMBP(日本化薬株式会社製)、エサキュアーBO(フラテリ・ランベルティ社製)、トリゴナル14(アクゾ社製)、イルガキュアー(チバ・ガイギー社製)、ダロキュアー(同社製)、スピードキュアー(同社製)、ダロキュアー1173とFi−4との混合物(イーストマン社製)等が挙げられる。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。これらの中でも、紫外線などの活性エネルギー線照射による優れた硬化性の付与が可能なイルガキュア184、イルガキュア651などの光重合開始剤が好ましい。
前記過酸化物としては、例えばケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、クメンハイドロパーオキサイド、パーオキシエステル等の従来公知の過酸化物を使用できる。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。これらの中でも、80〜120℃の高温条件下での硬化では、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートが好ましく、特にパーオキシジカーボネートが好ましい。前記パーオキシジカーボネートとしては、例えば、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、市販品では、パーロイルTCP(日本油脂株式会社製)などが挙げられる。これらの中でも、紫外線などの活性エネルギー線照射による優れた硬化性の付与が可能なパーロイルTCPが好ましい。
前記ラジカル重合開始剤の配合量は、前記活性エネルギー線硬化型熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.5〜5.0質量部の範囲であり、より好ましくは1.0〜3.0質量部の範囲である。
また、前記接着剤組成物は、必要に応じて公知の多官能(メタ)アクリレート化合物を配合することもできる。
前記多官能(メタ)アクリレート化合物は、分子内に有する二重結合により架橋構造の形成に寄与できるので、前記ホットメルトウレタン樹脂組成物の硬化速度と硬化後の架橋密度を一層向上させ、その結果、得られるフィルムやシートにより良好な耐久性を付与できる。
尚、本発明でいう「多官能」とは、重合性二重結合を分子中に2個以上有することを意味し、好ましくは2〜4個有することである。
前記多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、あるいはソルビトール等の糖アルコールの(メタ)アクリレートエステル類などが挙げられ、これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。
前記多官能(メタ)アクリレート化合物の配合量は、前記活性エネルギー線硬化型熱可塑性樹脂(A)の100質量部に対して、好ましくは5質量部〜30質量部の範囲であり、より好ましくは5質量部〜10質量部の範囲である。前記範囲の多官能(メタ)アクリレート化合物を使用することによって、段差追従性に優れ、歪みを防止でき、かつ高温下においても優れた接着強さを維持できるため好ましい。
前記多官能(メタ)アクリレート化合物としては、後述する活性エネルギー線照射、特に紫外線照射により、優れた硬化性と生産性を得ることができることから、例えば、ポリエチレングリコール骨格の両末端にアクリレート基を有するジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ならびに、これらのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物などが好ましい。
前記接着剤組成物としては、上記活性エネルギー線硬化型熱可塑性樹脂(A)の他に、必要に応じて添加剤を含有するものを使用することができる。
前記添加剤としては、シランカップリング剤、リン酸系添加剤、アクリレート系添加剤、粘着付与剤等を使用することができる。特にガラスとの反応性に富むシランカップリング剤を使用することが、ガラス等からなる被着体に対する接着性に優れた接着シートを得ることができるため好ましく、上記活性エネルギー線硬化型熱可塑性樹脂(A)と反応しうる活性エネルギー線硬化型シランカップリング剤を使用することがより好ましい。
前記接着剤組成物は、前記シランカップリング剤、リン酸系添加剤、アクリレート系添加剤、粘着付与剤等を、前記活性エネルギー線硬化型熱可塑性樹脂(A)の全量に対して合計0.05質量%〜5質量%の範囲で含有するものを使用することが、被着体に対する優れた密着性と、優れた透明性とを両立できるため好ましい。
前記接着剤組成物としては、上記以外に、必要に応じて、光安定剤、老化防止剤、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤、充填材、着色剤、界面活性剤等の添加剤を含有するものを使用することができる。
[接着シート]
本発明の接着シートは、例えばフィルム基材の片面または両面に前記接着剤組成物を塗布、必要に応じて乾燥し接着剤層を形成することによって製造することができる。また、本発明の接着シートは、例えば離型シートの表面に前記接着剤組成物を塗布、必要に応じて乾燥することで接着剤層を形成し、前記接着剤層の表面にフィルム基材を貼付することによって製造することができる。
また、本発明の接着シートは、例えば離型シートの表面に前記接着剤組成物を塗布、必要に応じて乾燥することで接着剤層を形成し、前記離型シートを除去することによって製造することができる。
前記接着シートとして、同一または異なる組成からなる2以上の接着剤層が積層されたものを製造する場合、例えばフィルム基材の片面または両面に前記接着剤組成物1を塗布、必要に応じて乾燥することで接着剤層1を形成し、前記接着剤層1の表面に他の接着剤組成物2を塗布、必要に応じて乾燥し接着剤層2を形成することによって製造することができる。
また、本発明の接着シートは、例えば離型シートの表面に前記接着剤組成物1を塗布、必要に応じて乾燥することで接着剤層1を形成し、前記接着剤層1の表面に他の接着剤組成物2を塗布、必要に応じて乾燥し接着剤層2を形成することによって製造することができる。
本発明の接着シートの製造に使用可能な前記フィルム基材としては、透明フィルム基材を使用することができる。前記透明フィルム基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッソ樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリル樹脂フィルム等を使用することができる。なかでも、前記透明フィルム基材としては、透明性、平滑性に優れたポリエチレンテレフタレートを使用することが好ましい。
前記フィルム基材としては、前記接着剤層との密着性をより一層向上させることを目的として、サンドブラスト法や溶剤処理法等による表面凹凸化処理、または、コロナ放電処理法、クロム酸処理法、火炎処理法、熱風処理法、オゾン・紫外線照射処理法等による表面酸化処理等が施されたものを使用することができる。
前記方法で得られた本発明の接着シートとしては、10μm〜100μmの厚さのものを使用することが好ましく、15μm〜75μmの厚さのものを使用することがより好ましく、15μm〜50μmの厚さのものを使用することがさらに好ましい。前記厚さの接着シートは、加飾層の厚さに起因した透明基材の表面の段差部に追従可能で、かつ、電子機器等の製造にした場合に、前記電子機器の薄型化を両立することができる。また、前記厚さの接着シートを使用することによって、貼付された透明基材の良好な表面硬度を維持することができる。
本発明の接着シートとしては、前記画像表示装置等の製造に好適に使用する場合には、波長380nm〜780nmの光の透過率が85%以上、ヘイズが2.0以下であるものを使用することが好ましく、波長380nm〜780nmの光の透過率が90%以上、ヘイズが1.5以下であるものを使用することが、ディスプレイを画像表示部の透明性を維持するうえで好ましい。
また、本発明の接着シートとしては、前記画像表示装置等の製造に好適に使用する場合には、温度60℃、相対湿度90%RHの環境下に500時間放置した後の、波長380nm〜780nmの光の透過率が85%以上、ヘイズが2.0以下であるものを使用することが好ましく、波長380nm〜780nmの光の透過率が90%以上、ヘイズが1.5以下であるものを使用することが、ディスプレイを画像表示部の透明性を維持するうえで好ましい。
本発明の接着シートは、透明基材の一部に加飾層が設けられた基材の固定に使用することができる。
前記透明基材の一部に加飾層が設けられた基材としては、例えば意匠性や遮光性等を付与することを目的とした加飾層を備えた画像表示パネル等が挙げられる。
前記透明基材としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッソ樹脂、ナイロン、アクリル樹脂、二酸化ケイ素等を用いて得られる基材を使用することができる。なかでも、前記透明基材としては、耐久性、透明性に優れるポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂、二酸化ケイ素を用いて得られる基材を使用することが好ましい。
上記透明基材としては、38μm〜1000μmの厚さのものを使用することが好ましく、50μm〜700μmの厚さのものを使用することがより好ましく、100μm〜500μmの厚さのものを使用することが、画像表示装置をはじめとする貼付物の薄型化を図るうえでさらに好ましい。
上記透明基材としては、その表面の傷や打痕等の外観欠点を防ぐことを目的として、その片面または両面にハードコート層を有する、いわゆるハードコートフィルムを使用することが好ましい。
前記ハードコートフィルムとしては、それを構成するハードコート層の表面の鉛筆硬度がH以上、好ましくは2H以上であるものを使用することができる。なお、前記ハードコート層の鉛筆硬度は、前記ハードコートフィルムの表面をJIS K 5600−5−4(1999)に準拠して測定した値を指す。
また、前記透明基材としては、透明導電膜が挙げられる。透明導電膜としては、フィルムまたはシートの少なくとも片面の表層に導電層を有するものを使用することができ、前記フィルムまたはシートの表層に導電物質が蒸着やコーティングにより設けられたものが挙げられる。なかでも、前記透明導電膜としては、導電物質が蒸着により形成された導電層を有する透明導電膜を使用することが好ましい。
前記導電物質としては、例えば酸化インジウムスズ、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化ガリウム、酸化チタン等を使用することができ、透明性、導電性に優れる酸化インジウムスズを使用することが好ましい。
前記透明基材の一部には、加飾層が設けられている。前記加飾層は、一般的な印刷法により印刷することによって設けることができる。前記印刷法としては、例えば、シルク印刷法、スクリーン印刷法、熱転写印刷法、グラビア印刷法等が挙げられる。
上記加飾層は、透明基材に各種の意匠性を付与するものであれば特に制限されず、例えば、画像表示パネルとして使用する際の画像表示部の周囲に視認される文字や図形、あるいは、画像表示部に額縁状に設けられる黒色の縁取り状の加飾層などが挙げられる。
上記加飾層の厚さは、2μm〜50μmの範囲であることが好ましく、2μm〜30μmの範囲であることがより好ましく、2μm〜20μmの範囲であることが、加飾層の色抜けや印刷不良を抑制し、好適な意匠性を付与しやすく、前記画像表示装置等の貼付物の薄型化を図ることができる。
前記透明基材の一部に加飾層が設けられた基材であるハードコートフィルムや、透明導電膜が形成されたタッチパネル部材等の画像表示パネルは、各種画像表示モジュールの表面に、本発明の接着シートを用いて貼付することができる。
前記画像表示モジュールとしては、液晶ディスプレイモジュール、有機ELモジュール等を使用することができる。
前記透明基材の一部に加飾層が設けられた基材は、前記接着シートを用いて任意の部材に固定することができる。
前記接着方法としては、例えば前記基材と任意の部材とを、前記接着シートを介して積層し、活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。その際、前記基材等が透明である場合には、前記基材の表面等から活性エネルギー線を照射することができる。
活性エネルギー線としては、紫外線を用いることが好ましい。前記紫外線は、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。また、必要に応じて熱をエネルギー源として併用し、活性エネルギー線を照射した後、加熱してもよい。
活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ(フュージョンランプ)、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、太陽光、LED等が挙げられる。また、活性エネルギー線を閃光的に照射することのできるキセノン−フラッシュランプは、前記基材への熱の影響を最小限に抑えることができるため好ましい。
上記活性エネルギー線の照射装置としては、前記したもののほかに、殺菌灯、カーボンアーク、キセノンランプ、メタルハライドランプ、走査型、カーテン型電子線加速器等を使用することができる。
本発明の接着シートは、前記活性エネルギー線を照射することによって重合し硬化する。前記接着シートが硬化し形成した硬化物(硬化後の接着剤層)としては、20℃における貯蔵弾性率(E’20)と70℃における貯蔵弾性率(E’70)が、周波数1.0Hzで測定した場合にそれぞれ1.0×106Pa以上であることが、透明基材の一部に加飾層が設けられた基材の表面硬度の低下を抑制するうえで好ましい。
なお、前記接着シートが硬化し形成した硬化物(硬化後の接着剤層)の動的粘弾性は、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、商品名:RSA−II)を用いて測定した値である。なお、前記測定には、前記接着シートが硬化し形成した厚さ100μmの硬化物(硬化後の接着剤層)を作製し、それをダンベルカッターを用いJIS K 7127の試験片タイプ5の形状に打ち抜いたものを使用した。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、透明基材の一部に加飾層が設けられた基材であるハードコートフィルムや透明導電膜等と、前記画像表示モジュールとを、前記接着シートを介して接着したものである。前記接着方法としては、前記したとおり前記基材と接着シートと画像表示モジュールとを積層し、活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。
本発明の画像表示装置のJIS K 5600−5−4(1999)に準拠して測定される表面硬度はF〜9Hが好ましい。上記範囲内の表面硬度であることで、画像表示装置の傷や打痕などの外観欠点を防ぎやすい。
本発明の画像表示装置の好適な構成例としては、図1に示したように、本発明の接着シート1を用いて、ポリエチレンテレフタレート基材2の片面に額縁状に加飾層3が設けられ、もう一方にはハードコート層4を有するハードコートフィルムと、導電層がパターン化されたタッチセンサーパネル6とを固定する態様を挙げることができる。
以下に実施例および比較例により本発明をより具体的に説明する。
<接着剤組成物a>
反応容器に、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びジアルキルカーボネートを反応させて得られる数平均分子量2000の脂肪族ポリカーボネートポリオール80質量部と、1,4−シクロヘキサンジメタノール及び琥珀酸を反応させて得られる数平均分子量1000のポリエステルポリオールとを加え、減圧条件下にて100℃に加熱することにより、水分率が0.05質量%になるまで脱水した。
次に、前記脂肪族ポリカーボネートポリオール及び前記ポリエステルポリオールの混合物を70℃まで冷却し、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート26質量部と混合し、100℃まで昇温し、イソシアネート基含有量が一定となるまで3時間反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た。上記ウレタンプレポリマーの100℃における溶融粘度は2600mPa・sであり、イソシアネート基含有量(NCO%)は3.89質量%であった。
前記ウレタンプレポリマー100質量部を100℃で加熱溶融させたものと、2−ヒドロキシエチルアクリレート11.4質量部とオクチル酸第一錫0.01質量部とを混合し、100℃でNCO%が一定となるまで反応させることによって、活性エネルギー線硬化型熱可塑性樹脂(A−1)を得た。なお、前記2−ヒドロキシエチルアクリレートは、前記ウレタンプレポリマーが有するイソシアネート基の総数がすべて前記2−ヒドロキシエチルアクリレートの水酸基と理論上反応する量を使用した。
前記方法で得た活性エネルギー線硬化型熱可塑性樹脂(A−1)のイソシアネート基含有量(NCO%)は0質量%であった。
次に、前記活性エネルギー線硬化型熱可塑性樹脂(A−1)100質量部と、イルガキュア 184(チバスペシャリティ株式会社製)2.0質量部とを混合攪拌し、酢酸エチルを供給し不揮発分を57質量%に調整することにより接着剤組成物aを得た。
<比較接着剤組成物b>
攪拌機、寒流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、メトキシエチルアクリレート75質量部、n−ブチルアクリレート24質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート1質量部と重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.4部とを酢酸エチル100質量部に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合して重量平均分子量35万のアクリル共重合体(1)を得、酢酸エチルを供給し不揮発分を30質量%に調整することにより接着剤組成物bを得た。
(実施例1)
上記接着剤組成物a100質量部を、シリコーン化合物で片面を剥離処理した厚さ75μmのポリエステルフィルム(以下#75剥離フィルム)上に乾燥後の厚さが25μmになるように塗工し、85℃で4分間乾燥することによって、前記#75剥離フィルムの表面に接着シートを形成した。次に、前記接着シートの片面に、シリコーン化合物で片面を剥離処理した厚さ38μmのポリエステルフィルム(以下#38剥離フィルム)を貼り合わせた。
(実施例2)
乾燥後の厚さを50μmにする以外は、実施例1と同様にして、接着シートを得た。
(比較例1)
上記接着剤組成物b100質量部を、#75剥離フィルムの表面に乾燥後の厚さが25μmになるように塗工し、85℃で4分間乾燥することによって、前記#75剥離フィルムの表面に接着シートを形成した。次に、前記接着シートの片面に、前記#38剥離フィルムを貼り合せた。
(比較例2)
乾燥後の厚さを50μmにする以外は、比較例1と同様にして、粘着シートを得た。
(加飾層に対する追従性)
実施例及び比較例で得られた接着シートの#38剥離フィルムを剥がして、額縁部に厚さ10μmの加飾層からなる段差部を有するポリエステルフィルム(厚さ125μm)と貼り合せた。
次に、#75剥離フィルムを剥がし、その表面にガラスを貼り合せた。
前記貼り合せたものを、5気圧及び50℃の環境下に20分間放置した後、無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用いて紫外線を1000mJ/cm2照射した。
前記照射後、前記段差部と接着シートとの界面を、ガラス側から目視で確認し、下記基準で評価した。
また、実施例及び比較例で得られた接着シートの#38剥離フィルムを剥がして、額縁部に厚さ20μmの加飾層からなる段差部を有するポリエステルフィルム(厚さ125μm)と貼り合せた。
次に、もう一方の#75剥離フィルムを剥がし、その表面にガラスを貼り合せた。
前記貼り合せたものを、5気圧及び50℃の環境下に20分間放置した後、無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用いて紫外線を1000mJ/cm2照射した。
前記照射後、前記段差部と接着シートとの界面を、ガラス側から目視で確認し、下記基準で評価した。
○:前記段差部と接着シートとの界面に歪み及び気泡がなかった。
△:前記段差部と接着シートとの界面に歪みがなかったものの、気泡があった。
▲:前記段差部と接着シートとの界面に歪みがあったものの、気泡がなかった。
×:前記段差部と接着シートとの界面に歪み及び気泡があった。
(透明性)
実施例及び比較例で得られた接着シートの#38剥離フィルムを剥がして、ポリエステルフィルム(厚さ100μm)に貼り合わせた後、#75剥離フィルムを剥がし、ガラスと貼り合せた。
前記貼り合せたものを、5気圧及び50℃の環境下に20分間放置した後、無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用いて紫外線を1000mJ/cm2照射した。
前記照射後、(株)村上色彩技術研究所製「HR−100型」を使用し、その全光線透過率およびヘイズ(%)を測定し、以下の基準にしたがって透明性を評価した。
○:全光線透過率85%以上、ヘイズ2%以下であった。
△:全光線透過率85%以上、ヘイズ2%超えであった。
×:全光線透過率85%未満、ヘイズ2%超えであった。
前記接着シートを構成する接着剤層の各温度における貯蔵弾性率は、粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名:アレス2KSTD)を用いて、同試験機の測定部である平行円盤の間に試験片を挟み込み、温度20℃または70℃、及び、周波数1Hzでの貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定し求めた。上記測定で使用する試験片としては、前記接着シートを厚さ1mmで直径8mmの大きさからなる円状に裁断したものを使用した。
表1のとおり、実施例1〜2の接着シートは、活性エネルギー線照射前の70℃における貯蔵弾性率(G'70)が1.0×104Paより低いため、接着剤層の厚みが薄くても加飾層の段差に対して良好な追従性を有するものであった。比較例1〜2の接着シートは、活性エネルギー線照射前の70℃における貯蔵弾性率(G'70)が1.0×104Paより高いため、加飾層における透明基材の歪みと気泡の残存が確認された。