JP6418972B2 - 風向風速計及び風向風速計測方法 - Google Patents
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Description
一般的な風向風速計として、風杯型風速計、風車型風速計、超音波式風速計などが知られている。最近では、超音波やレーザーを用いたSODAR、LIDARにより、遠距離の計測も行われている.
また、空気流による圧力を検出することにより、風向風速を演算により求める風向風速計においては、圧力値が最大値となる方位を正確に特定する必要がある。
このため、特許文献1、2に記載された風向風速計においては、計測値の精度を高めるために、水平な円周に沿って多数の圧力センサを設置する必要があり、コストを要し、可搬性にも乏しい。
特許文献3に記載された風向風速計においては、1つの圧力センサを回転させることで、風向風速を演算により求めているが、微少角度毎に圧力を検出しないかぎり、正確な最大圧力を求めることができず、計測に時間を要する。
前記圧力計を周回駆動する駆動装置とからなり、前記圧力計測管の圧力検出孔が全方位を周回するよう前記駆動装置を駆動し、所定の方位角度毎に、前記圧力センサの計測値を記録する圧力計測結果記録手段と、前記圧力計測結果記録手段に記録された圧力センサの計測値のうち、方位、計測値が(α、P1)、(α+αr、P2)の2点と、下記の数式(1)、(2)に基づいて、前記圧力検出孔における最大圧力Pmax(U)と、この最大圧力Pmax(U)を示す際の方位αmaxを算出する算出手段と、前記算出手段により算出された最大圧力Pmax(U)及び方位、並びに、前記圧力検出孔周辺の大気圧、大気温及び湿度に基づいて、風向及び風速を演算する演算手段とを備えた。
P1=Pmax(U)・F(α)・・・・・・・(1)
P2=Pmax(U)・F(α+αr) ・・・・(2)
ただし、F(α)は、予め定められた風速に対し、前記圧力計測管の前記圧力検出孔が風に正対向する位置(α=0°)を含む、複数の周回角度(α)で取得した前記圧力センサの各計測値を、前記圧力検出孔が風に正対向する位置で得られる最大計測値で除算した規格値により予め特定した、周回角度(α)を変数とした規格値の関数である。
P1=Pmax(U)・F(α)・・・・・・・(1)
P2=Pmax(U)・F(α+αr) ・・・・(2)
ただし、F(α)は、予め定められた風速に対し、前記圧力計測管の前記圧力検出孔が風に正対向する位置(α=0°)を含む、複数の周回角度(α)で取得した前記圧力センサの各計測値を、前記圧力検出孔が風に正対向する位置で得られる最大計測値で除算した規格値により予め特定した、周回角度(α)を変数とした規格値の関数である。
例えば、風力発電機の建設にあたっては、風車設置箇所の風況計測やアセスメントとして、さらに、建設後においては、風車周りの流れ場をモニターする必要がある。
本発明による風向風速計の軽量性、コンパクト性を活かして、無人飛行機の一つであるマルチローター(「マルチコプター」、「ドローン」と称されることもある。)に搭載することで、任意の空間領域(地点及び高度)で風向、風速を観測することができる
図1に示すように、圧力計1は、円筒状の圧力計測管1a、圧力センサ1bにより構成され、主流Uに対して垂直に配置されている。圧力計測管1aの上端は閉じられ、側面に設けられた、圧力検出孔1cを開口部として圧力計測管1a周りの圧力を、圧力計測管1aの開放端にパイプなどで接続された圧力センサ1bにより計測する。
圧力計測管1aは、計測地点の支持装置2に垂直に取り付けられ、ステッピングモータやサーボモータ等、回転角度を制御可能なモーターを駆動装置として軸周りに回転させる。
ただし、マルチローターに設置する場合などは、マルチローター自身の姿勢制御や振動により支持装置の姿勢が変化することを抑制する観点から、支持装置2をマルチローターに設置したジンバル上に固定し、圧力計測管1aを水平面に対し垂直にすることが好ましい。
本実験では、圧力計測管1aの外径6mm、内径3mm、圧力検出孔1cの直径0.5mmに配管された圧力センサを用いた。
外径6mm、内径3mmの円筒状の圧力計測管1aは、高さが200mmで、両端は閉塞されている。上端から50mmのところに、直径0.5mmの圧力検出孔1cが形成されている。
圧力計測管1aの下端付近には、圧力取り出し部が設けられており、圧力計測管1a内部の圧力は、チューブ等により、差圧センサ型の圧力センサ1bに導入され、大気圧との差圧が電圧値として計測される。
なお、圧力計測管1aの内部に圧力検出孔1cの直径と同等の内径を有するパイプを設け、このパイプの端部を圧力計測管1aの側壁に開口させて、このパイプの他端をチューブ等を圧力センサ1bに接続するようにしてもよい。
図3に示すように、例えば、圧力計測管1aに3点の圧力検出孔1c1、1c2、1c3を設ける場合には、圧力計測管1aの内部に、3本のパイプ1d1、1d2、1d3を設け、一端を圧力計測管1aの側壁に開口させ、他端のそれぞれを差圧センサ型圧力センサ1b1、1b2、1b3に接続する。
このとき、圧力検出孔1c1、1c2、1c3は、同一回転面内に位置しないように圧力計測管1aの高さ方向の位置が互いに異なるように配置し、同一方位時におけるそれぞれの圧力計測値に基づいて平均値を算出する。
また複数で計測する利点を生かす意味で3点の圧力検出孔を有する場合は、回転面内のそれぞれの回転角位置は0°、120°、240°に配置すれば、最速で、圧力計測管1aを120°回転させるだけで、全方位の圧力計測値を得ることができる。
圧力計測管1a周りの流れ場に対しては、ストローハル数が一定となるレイノルズ数の範囲が5.0×102〜3.0×105程度であり、臨界レイノルズ数が4.0×105程度であることから、設計レイノルズ数は、1.0×103〜1.0×105程度になるように寸法を決めるべきである。
例えば風速10m/sの場合、空気の動粘性係数を1.5×10-5m2/s、円管外径6mmとすると、レイノルズ数は4.0×103となり、風速50m/sであってもレイノルズ数は2.0×104であり、妥当といえる。
ただし、レイノルズ数の考慮だけではなく、表面の粗さ、固有振動数、剛性に加え、回転させるモーターの重さによる負荷を考慮した軽量性などの観点から材料の選択も重要である。
図の縦軸は、圧力センサ1bの出力(電圧値)表示であるが、これは小孔1cにおける圧力pと流れ場の静圧psとの差圧;P=p−psを表している。
圧力分布の最大値Pmaxは、主流方向に向かう回転角が0°のときに現れ、その値は主流速度Uが大きくなるにつれ増大することが分かる。
上述のとおり、5m/s、10m/s、15m/s、25m/s・・・といった風速毎に、圧力センサ1bを配置した、円筒体の圧力計測管1aを、最大値が現れる回転角0°を中心に、少なくとも±60°の範囲で、例えば10°毎に、各回転角毎に圧力センサ1bにより圧力値を採取する。
例えば、最大値が現れる回転角0°±60°の範囲で、例えば10°毎にデータを採取した場合、風速毎に、13点の圧力値データP(−60°、−50°・・・0°・・・50°、60°)が得られる。
本実験では、このデータを用いて、F(α)のモデル関数を4次関数とした多項式近似を行い、最小二乗法を用いることで各係数を求め、高精度なF(α)を求めることができたが、低コスト化、軽量化、解析負荷の低減を優先する際には、2次関数など、より低次のモデル関数を用いてもよい。
P=Pmax(U)・F(α)
となる。
したがって、ある風速U、ある風向αに対して、任意の2点においては下記のように表せる。
P1=Pmax(U)・F(α) ・・・・・・・・・(1)
P2=Pmax(U)・F(α+αr)・・・・・・・(2)
ここでαrは、2点間の相対的位置を表し、既知であるとする。
P1・F(α+αr)−P2・F(α)=0・・・・(3)
となり、この方程式を解くことでαmaxが求まる。
αmaxが求まれば、−αmaxが風向となる。
また、このαmaxを、式(1)あるいは式(2)に代入することで、Pmaxを求めることができる。
これらの圧力計測値のうち、最大値を特定し、このときの方位αに対し、そのn個前、あるいはn個後の圧力計測値、すなわち、αr=±n・Δθ=±n10における圧力計測値を参照圧力計測値Prefとすることで、風洞実験で特定したF(α)に両データを代入し、最大圧力値を示す風向αを算出することが可能となる。
ただし、図6から分かるように、最大値付近(−10°〜10°)は、角度毎の変化量が少なく、誤差が大きくなる可能性があるので、少なくとも1点は、この範囲からはずれた角度となるよう、αr=±20°とするなど、αとαrを選定することが好ましい。
なお、ΔθをF(α)を求めるときと同様10°としたが、10°〜30°など、計測精度を勘案して種々選択することができる。
U=C・(2Pmax/ρ)1/2・・・・・・・・(4)
なお、Cは速度係数であり、前述の風洞実験の際に、関数F(α)と同時に、予め求めておくことができる。
また、ρを空気密度で、Tを気温、Psを流れ場の静圧(大気圧)としたとき、次の関係にある。
ρ=[1.293/(1+0.00367T)]・Ps/1013
密度ρは、計測点における気圧、気温、湿度により決定されるため、圧力計測時にはこれらのデータを同時に取得する必要がある。
本実験では、圧力計測管1aの周辺に、大気圧センサ(絶対圧力センサ)、気温センサ、湿度センサを組み込んだが、圧力計測地点が固定されている場合には、その周辺の気象観測情報を用いてもよい。
このように、関数F(α)と速度係数Cは、事前に行う風洞実験により、予め求めておけばよく、計測時の取得データとしては、(1)少なくとも2点における圧力計測管の圧力と回転角、(2)気圧、気温、湿度、そして、(3)方位、位置座標となる。
なお、圧力センサ1bに応答遅れがある場合でも、風向、風速を計測する際、圧力計測管1aを風洞実験によりF(α)を求めるときと同速度で回転させているため、この応答遅れは相殺される。
もちろん、いずれの場合も例えば10°毎など、圧力計測管1aを間欠的に回転させ、応答遅れ分だけ、圧力計測値のサンプリングを遅らせてもよい。
図7は、本実施例の全体構成を示している。
圧力計1は、円筒体の圧力計測管1a、圧力センサ1bにより構成され、この実施例では圧力計測管1aは円筒体で、上面は閉塞され、下面は開放されており、側面に圧力検出孔1cが形成されている。本実施例では、図2に示されるものを用いており、円筒体の内径を6mm、圧力検出孔1cの直径を0.5mmに設定している。また、圧力計測管1aの下方には、圧力計測管1aの外方の大気圧と、圧力検出孔1cを通過した空気流による圧力計測管1aの内部圧力との差圧を電圧値で出力する圧力センサ1bが取り付けられている。
なお、乱れ度を計測するなど、高い応答性を要求される場合には、この小孔1cに圧力センサ1bを直付けし、比較的低い応答性で十分な場合は、図2のように、圧力計測管1aの開放端からチューブなどを介して圧力センサ1bに導く。
本実施例の場合、1本の円筒体型圧力計測管1aを用いているため、回転盤2aを例えば、10°ずつ、360°周回させる。
なお、2本の圧力計測管を直線上に配列し、180°異なる位置で同時に圧力を検出する場合は、回転盤2aを180°、120°毎に3本の圧力計測管を配列する場合は120°回転させ、それぞれ10°毎に圧力センサ1bの圧力計測値をサンプリングするようにすればよい。
例えば、圧力計測管1aを1回転/秒で回転駆動し、10°毎に圧力センサ1bの計測値を記録する場合には、36Hzのサンプリング周波数が必要となる。
なお、圧力計測管1aを周回に伴う周速は、外径6mmの円柱を1回転/秒の場合、風速に対し、きわめて低い速度で、周速の影響を無視することができる。
なお、このような計測結果記録を、何回か連続して繰り返し、後述する風向・風速を演算する際、これらの平均値を用いるようにしてもよい。
両データを式(2)、(3)に代入することで、最大圧力計測値Pmaxを示す風向αmaxが算出され、このαmaxにより、最大圧力計測値Pmaxを算出することができる。
こうして、最大圧力計測値Pmaxが特定されれば、前述の式(4)により、風速を換算することが可能となる。算出された風速データは、出力装置4を介して、ディスプレイに表示されるとともに、計測日時とともに記録され、風向風速計測結果としてプリンタなどに出力できるようにする。
1a:圧力計測管
1b:圧力センサ
1c:圧力検出孔(小孔)
2:支持装置
2a;回転盤
2b:支持台
3:演算制御装置
3a:計測結果記録メモリ
4:出力装置
Claims (9)
- 空気流による圧力を検出することにより、風向及び風速を演算により求める風向風速計であって、
圧力検出孔を介して風による空気流を導入する圧力計測管と、該導入された空気流の圧力を検出する圧力センサとからなる圧力計と、
前記圧力計を周回駆動する駆動装置と、
前記駆動装置により前記圧力検出孔が全方位を周回するよう駆動して、方位角の所定角度αr毎に、前記圧力センサの計測値を記録する圧力計測結果記録手段と、
前記圧力計測結果記録手段に記録された圧力センサの計測値のうち2点の方位角θ1、θ2のそれぞれに対応する計測値P1、P2と、下記の数式(1)、(2)に基づいて、前記風による最大圧力Pmax(U)およびPmax(U)を示す方位角αmaxを算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された最大圧力Pmax(U)及び方位角αmaxに基づいて、前記風の風速及び風向を求める演算手段と、を備える、前記風向風速計;
P1=Pmax(U)・F(θ1) ・・・・・・・(1)
P2=Pmax(U)・F(θ2) ・・・・・・・(2)
ただし、F(θ)は、予め定められた風速に対し、前記圧力検出孔が風に正対向する位置を含む複数の周回角度θで取得した前記圧力センサの各計測値を、前記圧力検出孔が風に正対向する位置で得られる最大計測値で除算した規格化関数であり、θの関数である。 - 前記計測値P1およびP2は、前記圧力計測結果記録手段に記録された圧力センサの計測値のうちの最大値を示す方位角の−αrおよび+αrの方位角の記録された計測値である、請求項1記載の風向風速計。
- 前記所定角度αrは10度〜30度の範囲から選択される、請求項1または2記載の風向風速計。
- 前記算出手段は、計測値P1およびP2に加えさらに他の方位角における前記計測値に基づいて前記風による最大圧力Pmax(U)およびPmax(U)を示す方位角αmaxを算出する、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の風向風速計。
- 前記圧力計および前記駆動装置を支持する支持装置をさらに備え、該支持装置の高さが調整可能である、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の風向風速計。
- 前記圧力計および前記駆動装置はマルチローターに載置され、
前記マルチローターは前記圧力計および前記駆動装置を支持するジンバルを有し、
前記マルチローターの位置情報および高度情報を前記圧力計測結果記録手段にさらに記録する、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の風向風速計。 - 大気圧センサ、温度センサまたは湿度センサをさらに備える請求項1〜6のいずれか一項に記載の風向風速計。
- 空気流による圧力を検出することにより、風向及び風速を演算により求める風向風速計測方法であって、
圧力検出孔を全方位にわたり周回させ、方位角の所定角度αr毎に、該圧力検出孔を介して風による空気流を導入し、該導入された空気流の圧力を圧力センサによって検出し、その計測値を記録する工程と、
前記圧力計測結果記録手段に記録された圧力センサの計測値のうち2点の方位角θ1、θ2のそれぞれに対応する計測値P1、P2と、下記の数式(1)、(2)に基づいて、前記風による最大圧力Pmax(U)およびPmax(U)を示す方位角αmaxを算出する工程と、
前記算出手段により算出された最大圧力Pmax(U)および方位角αmaxに基づいて、前記風の風速および風向を求める工程と、を含み、
前記記録する工程の前に、予め定められた風速に対し、前記圧力検出孔が風に正対向する位置を含む複数の周回角度θで前記圧力センサの計測値を取得し、該圧力検出孔が風に正対向する位置で得られる最大計測値で除算した規格化関数F(θ)を求める工程をさらに含む、前記風向風速計測方法;
P1=Pmax(U)・F(θ1) ・・・・・・・(1)
P2=Pmax(U)・F(θ2) ・・・・・・・(2)
ただし、F(θ)はθの関数である。 - 前記計測値P1およびP2は、前記圧力計測結果記録手段に記録された圧力センサの計測値のうちの最大値を示す方位角の−αrおよび+αrの方位角の記録された計測値である、請求項8記載の風向風速計測方法。
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