JP6418441B2 - 塩素化銅フタロシアニン顔料および着色組成物 - Google Patents

塩素化銅フタロシアニン顔料および着色組成物 Download PDF

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Description

本発明は、印刷インキ、塗料、プラスチック、トナー、インクジェットを始めとした着色組成物等に広く使用されている塩素化銅フタロシアニン顔料に関するものである。
従来より、青色顔料として堅牢性に優れた青色有機顔料として、銅フタロシアニンを始めフタロシアニン構造を有するフタロシアニン化合物は、幅広く着色材として塗料、プラスチック、トナー、インクジェットを始めとして使用されている。しかし、無置換の銅フタロシアニンは、プラスチックのような成形物の着色材として使用した場合、プラスチック表面のブロンズ性(金属光沢)がひどく、特に意匠性の高い自動車内装用・家電用のピアノブラックのような漆黒性を求められる成形物には使用することができなかった。
ε型の結晶型をもつフタロシアニン構造の外郭ベンゼン環のα位に優先的にハロゲンが導入されたハロゲン置換フタロシアニンが提案されており、このハロゲン置換ε型フタロシアニン顔料は、従来のα型フタロシアニン顔料よりも赤味であり、また、諸耐性がε型フタロシアニンより優れたフタロシアニン顔料であることをまた、α位とβ位の両方の位置に置換基のない通常のフタロシアニンに対して、置換基としてハロゲンを0.5〜4個含有するフタロシアニン顔料は通常のフタロシアニンと同様に青色色相を持ち、耐光性、耐候性、耐熱性、耐溶剤性といった諸耐性が優れるため、塗料、プラスチックといった高い耐性を要求される用途でよく用いられている(引用文献1)。
また、同様にβ型の結晶型をもつフタロシアニン構造の外郭ベンゼン環のα位に優先的にハロゲンが導入されたハロゲン置換フタロシアニンが提案されており、従来のβ型より緑味のフタロシアニン顔料、また諸耐性が優れたβ型フタロシアニン顔料が達成された。本フタロシアニン顔料は、諸耐久性が要求される塗料、プラスチック等の用途に有用である。また従来より緑味のフタロシアニン組成物として印刷インキ、塗料、プラスチックを始め様々な用途に使用できる。特にプロセスインキのシアンとして用いると理想的なシアンの色相に近づくため、再現できる色域が大きく広がり、高演色インキとして使用されている(引用文献2)。
しかし、これらα位にハロゲンが優先的に置換されているε型およびβ型の結晶型のハロゲン化フアロシアニンは、プラスチックの着色材と使用した場合、金属光沢を持つブロンズ性が有り、ピアノブラックのような鏡面の漆黒性を求められる黒色には使用できなかった。
特開2010−189527号公報 特開2010−189528号公報
本発明は、プラスチックの着色材として使用した場合、ブロンズ性のない塩素化銅フタロシアニン顔料組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、種々のハロゲン含有フタロシアニンに関して鋭意検討を行った結果、特

定の位置に塩素置換された塩素化銅フタロシアニンがプラスチック用の着色材として使用した場合、顕著にブロンズ性が小さく漆黒性の優れた成形物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、下記一般式(1)の銅フタロシアニン骨格において、α位の塩素置換基数をm、β位の塩素置換基数をnとしたときに、
0.1<=m+n<=4、
0.2<=m/(m+n)<=0.33、
m<n
であることを特徴とする塩素化銅フタロシアニン顔料 。(ただし、塩素以外の置換基は置換しない。)
Figure 0006418441
また、塩素化銅フタロシアニン顔料が塩素化銅フタロシアニンのみまたは、塩素化銅フタロシアニンと無置換銅フタロシアニンの混合物からなる前記記載の塩素化銅フタロシアニン顔料。
また、前記記載の塩素化銅フタロシアニン顔料を含有することを特徴とした着色組成物。
また、前記記載の塩素化銅フタロシアニン顔料を含有することを特徴としたプラスチック用着色材。
さらに、前記記載のプラスチック用着色材を含有するプラスチック成形物を提供する。
本発明により、従来の銅フタロシアニンおよび塩素化銅フタロシアニン顔料をプラスチック用の着色材として使用することで、ブロンズ性のない漆黒性の高いプラスチック成形物を得ることができる。
プラスチック成形物のブロンズ性評価結果を示す図面である。
まず、ブロンズ性(金属光沢)とは、青色単独の場合にも発現し、漆黒性を与えるカーボンブラックと混色で使用する時は顕著である現象をいう。
本発明のフタロシアニン顔料は下記式(1)において、α位の塩素置換基数をm、β位の塩素置換基数をnとしたときに、
0.1<=m+n<=4、
0.2<=m/(m+n)<=0.33、
m<n
であることを特徴とする塩素化銅フタロシアニン顔料。(ただし、塩素以外の置換基は置換しない。)
Figure 0006418441
ここで、上記一般式(1)のα位の塩素置換基数をm、β位の塩素置換基数をnとしたときに、0.1<=m+n<=4は、最大で4であり、4を超えると塩素置換数が多すぎて黄味となり過ぎて、所望の色相を得ることができない。また、0.1未満であるとハロゲンが置換されていない銅フタロシアニン顔料と性質が同じになってしまう。m<nは、β位の塩素置換よりα位に置換する数が優位であることを表したものである。さらに、0.2<=m/(m+n)<=0.33は、比率で表すとm:nが1:4〜1:2の範囲でmの数がnより大きいことを表しているものである。
引用文献1および2においては、本発明とは逆でβ位にハロゲンが置換することが優位であることでβ型もしくはε型の結晶型であることに対して、本発明では、通常α型のX線回折パターンを表す。塩素の置換位置、数のバランスにより、結晶型が異なると共に、結晶性、色相、耐光性、耐候性が異なるものである。本発明のブロンズ性がない塩素化銅フタロシアニン顔料は、上記で表せるように、塩素の置換数と置換位置によって、はじめて効果が発揮されるものであり、引用文献1および2で得られるハロゲン化フタロシアニンとは全く異なるものである。
本発明の塩素化銅フタロシアニン顔料はαの位置とβの位置の両方に任意の原子または官能基が置換されていてもよい。ただし、αの位置に置換基が導入されると、結晶型、結晶性に影響があるため、この置換基はフタロシアニンの1分子に対して0.3個以下、好ましくは0.2個以下である必要がある。置換基の種類は、例えば、アルキル基、アリール基、ニトロ基、スルホン基、スルホアミド基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、チオ基、アシル基、シリルオキシ基、シリル基、およびそれらから誘導される置換基である。
α位のハロゲン置換基数m、β位のハロゲン置換基数nはフタロシアニンを硫酸セリウムで分解してフタルイミド類とした後に、得られたフタルイミド類を液体クロマトグラフィーで分析することで求められる。液体クロマトグラフィーの結果得られた、全フタルイミド類の合計モル濃度をa、3位または6位にハロゲンを有するフタルイミド類の合計モル濃度をb(3,6位両方にハロゲンを有するフタルイミド類の場合はそのフタルイミド類のモル濃度は実測の2倍として計算する)、4位または5位にハロゲンを有するフタルイミド類の合計モル濃度をc(4,5位両方にハロゲンを有するフタルイミド類の場合はそのフタルイミド類のモル濃度は実測の2倍として計算する)とした場合、m=4×b/a、n=4×c/aとして計算される。詳細の操作は実施例に記載する。
本発明により得られる塩素化銅フタロシアニンは、引用文献1,2のα位に優先的に塩素が置換された顔料とは全く異なり、β位に塩素が優先的に置換されることでブロンズ性が顕著に低減されることを見出したのである。この様に、フタロシアニン骨格外郭のベンゼン環による置換は、結晶性にも大きく影響する。本発明は全てフタロシアニンα型結晶を有する。
本発明の着色組成物とは、印刷インキ、塗料、プラスチック、水系カラー、捺染、トーニング剤、トナー、インクジェット用インキ、カラーフィルター用レジストインキ等の顔料分散体が代表的であるがこれに限定されるものではない。顔料の形態は本発明では制限されないが、粉体や、水を含有したプレスケーキ状のもの、樹脂との混合物など何らかの加工が為されていてもよい。印刷インキとはオフセットインキ、グラビアインキ、UVインキ、フレキソインキ等が主なものであるが、これらに限定されるものではない。
オフセットインキは、本発明のフタロシアニン顔料とオフセットインキ用ビヒクルを混合、分散することで製造できる。オフセットインキ用ビヒクルとは、例えば、ロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂、アルキッド樹脂またはこれら乾性油変成樹脂等の樹脂と、必要に応じて、アマニ油、桐油、大豆油等の植物油と、n−パラフィン、イソパラフィン、アロマテック、ナフテン、α−オレフィン等の溶剤から成るものであって、それらの混合割合は、ビヒクル成分の合計重量を基準(100重量%)として、樹脂:植物油:溶剤=10〜50重量%:0〜30重量%:20〜60重量%の範囲が好ましい。オフセットインキには、必要に応じて、インキ溶剤、ドライヤー、レベリング改良剤、増粘剤、顔料分散剤等の公知の添加剤を適宜配合することができる。
グラビアインキは、本発明のフタロシアニン顔料とグラビアインキ用ビヒクルを混合、分散することで製造できる。グラビアインキ用ビヒクルは、樹脂と溶剤から成るものであって、それらの混合割合は、ビヒクル成分の合計重量を基準(100重量%)として、樹脂:溶剤=5〜40重量%:60〜95重量%の範囲が好ましい。
樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、石灰化ロジン、ライムロジン、ロジンエステル、マレイン酸樹脂、ギルソナイト、ダンマル、セラック、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂、ニトロセルロース、環化ゴム、塩化ゴム、エチルセルロース、酢酸セルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、トルエン、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、イソプロピルアルコール、クロルベンゾール、エチルエーテル、メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル等が挙げられる。
グラビアインキには、必要に応じて、例えば硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、アルミナホワイト、クレー、シリカ、シリカホワイト、タルク、珪酸カルシウム、沈降性炭酸マグネシウム等の体質顔料の他、補助剤として、可塑剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料分散剤等の公知の添加剤を適宜配合することができる。
塗料は、本発明のフタロシアニン顔料と塗料用ビヒクルを混合、分散することで製造できる。塗料用ビヒクルは、樹脂と溶剤から成るものであって、それらの混合割合は、ビヒクル成分の合計重量を基準(100重量%)として、樹脂:溶剤=5〜45重量%:55〜95重量%の範囲が好ましい。
樹脂としては、例えば、ニトロセルロース、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、アクリル樹脂、アミノアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。溶剤としては、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、アルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系、エーテル・アルコール系、エーテル・エステル系の有機溶剤、水等が挙げられる。
塗料には本発明の効果を阻害しない範囲内で他の有機顔料、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、アルミナホワイト、クレー、シリカ、シリカホワイト、タルク、珪酸カルシウム、沈降性炭酸マグネシウム等の体質顔料の他、補助剤として硬化剤、硬化促進剤、難燃剤、沈降防止剤、たれ防止剤、造膜助剤、防腐剤、塗膜の付着性向上のためのシランカップリング剤、防黴剤、消泡剤、粘性調整剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、凍結防止剤、可塑剤、pH調整剤、抗菌剤、光安定剤、つや消し剤、酸化防止剤、顔料分散剤、顔料誘導体等の公知の添加剤を適宜配合することができる。
プラスチックは、本発明のフタロシアニン顔料とプラスチック用樹脂を混合、分散することで製造できる。プラスチック用樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、αオレフィンとアクリル酸またはマレイン酸との共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンとアクリル酸または無水マレイン酸との共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等のビニル樹脂、ホルマル樹脂やブチラール樹脂等のアセタール樹脂、ポリアクリロニトリルやメタクリル樹脂等のアクリル樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体等のスチロール樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等のポリエステル樹脂、6−ナイロン等のナイロン、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、セルロース樹脂等がある。
プラスチックには本発明の効果を阻害しない範囲内で他の有機顔料、無機顔料、ワックス、又その誘導体、重金属不活性剤、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または亜鉛の金属石けん、ハイドロタルサイト、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等からなる帯電防止剤、ハロゲン系、リン系または金属酸化物などの難燃剤、エチレンビスアルキルアマイド等の滑剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤、加工助剤、充填剤、顔料分散剤、顔料誘導体等、公知のポリマー用の各種添加剤を包含することができる。要求される品質、着色作業性を満足するために、あらかじめ顔料をこれらの成分と分散処理し、粉体状のドライカラー、顆粒状のビーズカラー、液状のペーストカラー等とした後に樹脂と混合してもよい。また顔料とプラスチック、その他の上記の添加剤から構成され、顔料を高濃度に含有する、いわゆるマスターバッチを製造し、マスターバッチを使用して樹脂を着色してもよい。
本発明の塩素化銅フタロシアニン顔料を着色材としてなるプラスチック成形物は、特に限定されないが、例えばプレス成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、溶着成形、押出成形、吹込成形、フィルム成形、中空成形、多層成形、及び溶融紡糸など、一般に知られているプラスチック成形方法が挙げられる。本発明では、 射出成形によりプラスチック成形物を得ている。
トナーは、本発明のフタロシアニン顔料とトナー用樹脂を混合、分散することで製造できる。トナー用の樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、塩化樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ロジンエステル、ロジン等がある。
プラスチックには本発明の効果を阻害しない範囲内で他の有機顔料、無機顔料、ワックス、又その誘導体、重金属不活性剤、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または亜鉛の金属石けん、ハイドロタルサイト、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等からなる帯電防止剤、ハロゲン系、リン系または金属酸化物などの難燃剤、エチレンビスアルキルアマイド等の滑剤、研磨剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤、加工助剤、充填剤、帯電制御剤、シリカ微粒子、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、離型剤、顔料分散剤、顔料誘導体等、公知のポリマー用の各種添加剤を包含または外添してもよい。
インクジェットインキは、本発明のフタロシアニン顔料とインクジェットインキ用ビヒクルを混合、分散することで製造できる。インクジェットインキ用ビヒクルは、樹脂と溶剤から成るものであって、それらの混合割合は、ビヒクル成分の合計重量を基準(100重量%)として、樹脂:溶剤=1〜10重量%:90〜99重量%の範囲が好ましい。樹脂としては、アクリル、スチレン−アクリル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、フッ素樹脂等の水に溶解する樹脂および水に分散性のエマルションないしコロイダルディスパージョン樹脂が挙げられる。これらの樹脂には、必要に応じアンモニア、アミン、無機アルカリ等の中和剤が加えられる。また、溶剤としては、例えば、水、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、置換ピロリドン等が挙げられる。また、インクジェットインキの乾燥性を速める目的で、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類も使用できる。さらに、インクジェットインキには、防腐剤、浸透剤、キレート剤や、顔料の分散安定性を向上させるためにアニオン、非イオン、カチオン、両性イオン活性剤、顔料分散剤を配合することができる。インクジェットインキは、カラーフィルターの製造に用いることもできる。
カラーフィルター用レジストインキは、本発明のフタロシアニン顔料と着色レジスト材用ビヒクルを混合、分散することで製造できる。カラーフィルターの製造に用いられる着色レジスト材用ビヒクルは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または活性エネルギー線硬化性樹脂と、モノマー及び/又はオリゴマー、溶剤とから成るものであり、それらの混合割合は、ビヒクル成分の合計重量を基準(100重量%)として、樹脂:モノマー及び/又はオリゴマー:溶剤=4〜15重量%:2〜8重量%:77〜94重量%の範囲が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等を介して、(メタ)アクリル化合物、桂皮酸等の光架橋性基を導入した樹脂等が挙げられる。
モノマー及びオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1, 6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
溶剤としては、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなどの脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、アルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系、エーテル・アルコール系、エーテル・エステル系の有機溶剤が挙げられる。着色レジスト材には、光重合開始剤、増感剤、顔料分散剤等を配合することができる。
次に、本発明のフタロシアニン顔料の代表的な製法を説明する。フタロシアニンの製造方法は、従来公知の方法から選択でき、特に限定されるものではない。一般的にハロゲン置換フタロシアニンは四つの製法で製造される。一つ目はワイラー法と呼ばれる方法でフタロシアニンを合成する際に原料のフタル酸類の一部にハロゲン化フタル酸類を用いる方法である。二つ目はニトリル法と呼ばれる方法でフタロシアニンを合成する際に原料であるフタロジニトリル類の一部にハロゲン化フタロジニトリルを用いる方法である。三つ目は原料の一部にハロゲン化金属などを共存させてニトリル法でフタロシアニンを合成する際にフタロシアニン環にハロゲンが導入される反応を利用する方法である。四つ目はフタロシアニンを直接塩素化する方法である。βの位置に優先してハロゲンを導入するという観点からは一、二の方法が望ましいが、本発明のフタロシアニン顔料は両製法に限定されるものではない。
ワイラー法は無水フタル酸またはその誘導体と、尿素またはその誘導体とを金属源、触媒の存在下に90℃〜300℃で反応させるフタロシアニンの合成法で、フタロシアニンの合成法として最も工業的に利用されているものである。合成の際には系内の温度制御や攪拌効率の向上等の目的のために溶剤を用いてもよい。また収率向上や純度向上等を目的として0.2〜0.7MPa程度の加圧条件で反応を行ってもよい。
ワイラー法での合成の際に使用するフタル酸類としては種々の文献で公知であるもの、例えば、無水フタル酸、フタル酸およびその塩、そのエステル、フタルイミド、フタルアミドなどがある。またこれらの化合物の芳香族環上にアルキル基、アリール基、ニトロ基、スルホン基、スルホアミド基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、チオ基、アシル基、シリルオキシ基、シリル基、またはそれらから誘導される置換基といった置換基を有するフタル酸類を含有していてもよい。これらのフタル酸類と、ハロゲン化されたフタル酸類を任意の割合で混合してワイラー法での合成を行うことで、任意の割合のハロゲン置換量を有するハロゲン置換フタロシアニンを合成できる。本発明のフタロシアニン顔料を製造するにあたっては、3−ハロゲン化フタル酸類や3,6−ジハロゲン化フタル酸類、または3位や6位に優先的にハロゲンが導入されたフタル酸類を原料の一部として用いるのが望ましい。
ワイラー法でのフタロシアニン類の合成に使用する尿素またはその誘導体としては尿素、アンモニア、ビウレット、トリウレットなどがある。その使用量は無水フタル酸またはその誘導体1モルに対し1モル〜10モル程度である。金属源は金属粉、塩化物、臭化物、沃化物、硫酸塩、硫化物、酢酸塩、酸化物、水酸化物、炭酸塩、リン酸塩などが使用できる。金属の価数は反応に影響を与えるが、一般にフタロシアニン合成には使用できる。金属源の使用量はフタル酸またはその誘導体に対しモル比で0.15から0.40の範囲で用いるのが好ましい。触媒としてはワイラー法で公知なものすべてを用いることができる。例えばモリブデン酸アンモニウム、酸化アンモニウム、リンモリブデン酸などのモリブデン酸化合物、四塩化チタン、チタン酸エステルなどのチタン化合物、酸化アンチモン、酸化ヒ素、ホウ酸などがある。使用量に関しては特に限定はないが、フタル酸またはその誘導体に対し重量比で0.0001から0.3の範囲で用いるのが好ましい。また反応性状の向上や反応性の向上、製品の純度や鮮明性向上等を目的としてオルトリン酸、メタリン酸、ポリリン酸、ポリメタリン酸、硫酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素及びこれらの金属塩やアンモニウム塩をフタル酸またはその誘導体に対しモル比で0.05モル〜1モルの割合で添加してもよい。
使用できる溶剤としてはワイラー法の合成溶剤として公知のものすべてを用いることができる。例えば、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、テトラリン等の芳香族炭化水素、アルキルシクロヘキサン、デカリン、アルキルデカリン等の脂環式炭化水素、デカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素、ニトロベンゼン、o−ニトロトルエン等のニトロ化合物、トリクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン、ヘキサクロロブタジエン等のハロゲン化炭化水素、スルホラン、ジメチルスルホラン、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物、キノリン等の複素環化合物等が使用可能である。これらの有機溶媒は、2種以上の混合物であってもかまわない。
反応完了後、溶剤の濾過や溶剤留去等の反応溶剤との分離処置を行った後、水や有機溶剤での洗浄を行うのが好ましい。洗浄の際に酸やアルカリを用いてもよい。更に精製が必要ならば公知の精製技術である昇華、アシッドペースト、アシッドスラリー、再沈殿、再結晶、抽出等の操作によって不純物を除去してもよい。
ニトリル法はフタロニトリル類、ジイミノイソインドリン類と金属塩を触媒となる塩基の存在下、60℃〜300℃で反応させるフタロシアニンの合成法である。合成の際には系内の温度制御や攪拌効率の向上等の目的のため溶剤を用いてもよい。また収率向上や純度向上等を目的として0.2〜0.7MPa程度の加圧条件で反応を行ってもよい。
ニトリル法での合成の際に使用するフタロニトリル類やジイミノイソインドリン類としては、これらのフタロニトリルやジイミノイソインドリンの芳香族環上にアルキル基、アリール基、ニトロ基、スルホン基、スルホアミド基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、チオ基、アシル基、シリルオキシ基、シリル基、またはそれらから誘導される置換基といった置換基を有していてもよいし、金属塩の状態でもかまわない。上記のフタロニトリル類やジイミノイソインドリン類と、ハロゲン化されたフタロニトリル類やジイミノイソインドリン類を任意の割合で混合してニトリル法での合成を行うことで、任意の割合のハロゲン置換量を有するハロゲン置換フタロシアニンを合成できる。本発明のフタロシアニン顔料を製造するにあたっては、3−ハロゲン化フタロニトリル類もしくは3−ハロゲン化ジイミノイソインドリン類や3,6−ジハロゲン化フタロニトリル類、3,6−ジハロゲン化ジイミノイソインドリン類、または3位や6位に優先的にハロゲンが導入されたフタロニトリル類やジイミノイソインドリン類を原料の一部として用いるのが望ましい。
ニトリル法で使用できる金属源は、塩化物、臭化物、沃化物、硫酸塩、硫化物、酢酸塩、酸化物、水酸化物、炭酸塩、リン酸塩などが使用できる。金属の価数は反応に影響を与えるが、一般にフタロシアニン合成には使用できる。金属源の使用量はフタロニトリル類やジイミノイソインドリン類に対し、モル比で0.15から0.40の範囲で用いるのが好ましい。
触媒となる塩基としては特に制限はないが、アンモニア、モルホリン、ピペリジン等の環状アミン、ピリジン、ピコリン、キノリン等の芳香環に窒素が導入されたアミン類、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン( DBN)、1、8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等のアミジン部位を持つアミン類、又は、炭素数1から12のアルコキシド、およびこれらの混合物が好適である。塩基の量としてはフタロニトリル類及びジイミノイソインドリン類に対して0.001モルから2モルの範囲で用いるのが好適である。塩基を溶剤として用いる場合には更に多くてもかまわない。
使用できる溶剤としてはニトリル法の合成溶剤として公知のものすべてを用いることができる。例えば、メタノール、エチレングリコールを始めとしたアルコール類、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、テトラリン等の芳香族炭化水素、アルキルシクロヘキサン、デカリン、アルキルデカリン等の脂環式炭化水素、デカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素、ニトロベンゼン、o−ニトロトルエン等のニトロ化合物、トリクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン、ヘキサクロロブタジエン等のハロゲン化炭化水素、スルホラン、ジメチルスルホラン、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物、キノリン等の複素環化合物等、DMF,NMP,1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが使用可能である。これらの有機溶媒は、2種以上の混合物であってもかまわない。
反応は必要な場合は不活性ガス雰囲気化で行ってもよいし、必要ならばモリブデン酸アンモニウムや尿素等のワイラー法での使用が公知であるものを添加してもよい。
反応完了後、溶剤の濾過や溶剤留去等の反応溶剤との分離処置を行った後、水や有機溶剤での洗浄を行うのが好ましい。洗浄の際に酸やアルカリを用いてもよい。更に精製が必要ならば公知の精製技術である昇華、アシッドペースト、アシッドスラリー、再沈殿、再結晶、抽出等の操作によって不純物を除去してもよい。
上記の四つの方法に代表される製法で合成されたハロゲン化フタロシアニン粗製顔料は合成された状態そのままで使用してもよいが、一般に所望の結晶型への転移や粒子サイズの制御、易分散性の付与等といった目的のために顔料化の操作を行うことが望ましい。本発明のβ型のフタロシアニン顔料を製造するためには公知の顔料化法すべてを用いることができるが、一般にフタロシアニンをβ型結晶に顔料化するための顔料化法である、ソルベント法、ソルベントミリング法、ソルベントソルトミリング法等が使用できる。転移のために必要であればβ型の結晶型を有するフタロシアニンを種結晶として添加してもよいし、下記一般式(2) で示される置換基を少なくとも1つ有する、無金属または金属フタロシアニン誘導体を添加してもよい。それらの顔料化処理の前処理としてさらにアシッドペースト、ドライミリング等の操作を追加して行うことも望ましいし、複数の顔料化法を併用してもよい。また、ハロゲン化フタロシアニン粗製顔料の段階でβ型であった場合にはそのまま使用することもできる。あるいはβ型以外の結晶型を有するハロゲン化フタロシアニンを顔料として用い、ワニス中で60℃から200℃で加熱混合してβ型へ転移させることにより、β型のフタロシアニン顔料を含有する着色組成物としてもよい。
一般式(2) − X − Y
( 式中、X は直接結合、または水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる2〜50個の原子で構成される化学的に合理的な組み合わせからなる2 価の結合基を表す。Y はニトロ基またはハロゲン原子で置換されていてもよいフタルイミドメチル基、−NR1R2、−SO3・M/m または−COO・M/mを表し、R1とR2はそれぞれ独立に水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、またはR1とR2とで一体となって更なる窒素、酸素または硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を表し、M は水素イオン、1〜3価の金属イオンまたは少なくとも1つがアルキル基で置換されているアンモニウムイオンを表し、m はM の価数を表す。)
一般式(2) で示される置換基の具体例として、フタルイミドメチル基、4−ニトロフタルイミドメチル基、4−クロロフタルイミドメチル基、テトラクロロフタルイミドメチル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジブチルアミノメチル基、ピペリジノメチル基、ジメチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジエチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジブチルアミノプロピルアミノスルホニル基、モルホリノエチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノプロピルアミノカルボニル基、4−(ジエチルアミノプロピルアミノカルボニル) フェニルアミノカルボニル基、ジメチルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジエチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジブチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、スルホン酸基、ナトリウムスルホナト基、カルシウムスルホナト基、アルミニウムスルホナト基、ドデシルアンモニオスルホナト基、オクタデシルアンモニオスルホナト基、トリメチルオクタデシルアンモニオスルホナト基、ジメチルジデシルアンモニオスルホナト基、カルボン酸基、2−アルミニウムカルボキシラ−5−ニトロベンズアミドメチル基、などがある。
上記顔料化法の中でも、粒径制御の観点からソルベントソルトミリング法が最も好適である。ソルベントソルトミリング法はフタロシアニン組成物と、水溶性無機塩、水溶性有機溶剤を混練機の中で混練することにより、結晶転移と顔料化を行う手法である。本発明に用いられる水溶性無機塩は特に限定されないが、例えば、食塩(塩化ナトリウム)、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、塩化亜鉛、塩化カルシウムまたはこれらの混合物等を挙げることができる。水溶性無機塩の量は、少なすぎると微細化や、結晶転移を伴う場合はβ型への結晶転移が進み難く、多すぎると顔料の処理量が少なくなるため、生産性が低下して工業的には不利となる。このため、フタロシアニン組成物に対し、水溶性無機塩が2重量倍〜20重量倍の範囲が好ましく、5重量倍〜14重量倍がより好ましい。水溶性無機塩の量は、目的とする顔料粒度に応じても選択できる。
水溶性有機溶剤は、フタロシアニン組成物と水溶性無機塩とが均一な固まりとなるように加えるもので、水と自由に混和するもの、または自由に混ざらないが工業的に水洗により除去できる溶解度を持つものである。フタロシアニン組成物の粒子成長や結晶転移を促進するものであれば特に限定されないが、混練時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール、アニリン、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレンゴリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。また必要に応じて2種類以上の溶剤を混合して使用してもよい。
混練組成物中の水溶性有機溶剤の量は、少なすぎると混練組成物が硬くなり過ぎて混練機を安定運転し難く、多すぎると混練組成物が軟らかくなり過ぎてフタロシアニン組成物の結晶転移や微細化のレベルが低下する。このため、フタロシアニン組成物に対し、水溶性有機溶剤が0.5重量倍〜5重量倍の範囲が好ましく、水溶性無機塩の量と混練組成物の硬さに応じて選択できる。温度は50℃から220℃が好ましいが、80℃から180℃が特に好ましい。
また転移のために必要であればβ型の結晶型を有するフタロシアニン組成物を種結晶として添加してもよいし、上記一般式(2)で示される置換基を少なくとも1つ有する、無金属または金属フタロシアニン誘導体を添加してもよい。
また本発明のフタロシアニン顔料は、顔料化の際の結晶成長阻害、結晶安定性付与、凝集防止、顔料を着色剤として使用する際の易分散性付与、結晶安定性付与、凝集防止、着色力向上等の諸目的のため、ロジン、金属ロジン、ロジンエステル等のロジン誘導体、樹脂、活性剤、上記一般式(2)で示される顔料誘導体等を顔料化中、もしくは顔料化工程後に顔料と混合してもよい。
[ブロンズ性評価方法]
黒色と混合系は表面色の赤味(茶褐色)の変化でブロンズ性の評価が良くわかるため、測色計で測定したLab値のa値を採用した。そして、ブロンズ性には観察表面で入射光に対して観察角度を変化させた場合、観察角度によって赤味(茶褐色)の度合いで強弱が異なるため、変角分光光度計(X−Lite社製、MA98)で測色した。
[高速液体クロマトグラフィー測定方法]
以下高速液体クロマトグラフィー測定方法における「部」は、「重量部」を表す。低塩素化フタロシアニン0.15部、98%硫酸10部に5℃以下で溶解させた。その溶液に硫酸セリウム1部を加え、青色が消えたことを確認後、冷水500部に取り出した。その分解液を濾過、中性になるまで洗浄し、乾燥させてフタロイミド体を得た。このフタルイミド体をエタノールで再結晶し、エタノールで洗浄後乾燥させた。この精製したフタルイミド体をメタノールで定容し高速液体クロマトグラフィー(日本分光社製、MD−2010Plus)で測定した。メタノール/水 90/10の溶離液で展開し、標準液はそれぞれの試薬をメタノールで定容し、メタノール/水 90/10の溶離液で展開したプロファイルを使用した。
定量はピーク面積によりフタルイミド、3−クロロフタルイミド、4−クロロフタルイミドとして行った。
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は、「重量部」を表す。
4−クロロフタロシアニンの合成)
4−クロロ無水フタル酸37.31部、無水フタル酸88.86部、塩化第一銅20.00部、モリブテン酸アンモニウム0.45部、尿素154部、ハイゾール P(日本石油社製 アルキルベンゼン)4000部を1L圧力釜に仕込み、0.35Pa、4時間反応させた。その後、真空脱溶剤、1%塩酸温水、1%水酸化ナトリウム温水で洗浄し、乾燥重量115部の4−クロロフタロシアニンを得た。
得られた4−クロロフタロシアニンを高速液体クロマトグラフィーで分析し、フタルイミド体からのm、nの換算値を計算したところ、mは、nは0.99であり、m/(m+n)は1であった。
3−クロロフタロシアニンの合成)
3−クロロ無水フタル酸37.31部、無水フタル酸88.86部、塩化第一銅20.00部、モリブテン酸アンモニウム0.45部、尿素154部、ハイゾール P(日本石油社製 アルキルベンゼン)4000部を1L圧力釜に仕込み、0.35Pa、4時間反応させた。その後、真空脱溶剤、1%塩酸温水、1%水酸化ナトリウム温水で洗浄し、乾燥重量115部の3−クロロフタロシアニンを得た。

得られた3−クロロフタロシアニンを高速液体クロマトグラフィーで分析し、フタルイミド体からのm、nの換算値を計算したところ、mは0.99、nは0.01であり、m/(m+n)は0.01であった。
(実施例1)
(1)4−クロロフタロシアニン6.67部、3−クロロフタロシアニン3.33部、銅フタロシアニン10部を95%硫酸(和光純薬製、試薬特級)180部に溶解させ、樹脂製アスピレータで吸引しながら温湯と混合させて硫酸スラリーを得た。この硫酸スラリーを70℃、1時間熟成させて濾過、その後中性になるまで水洗を繰り返した。その後、キシレンを乳化剤でエマルジョン化した溶液を顔料スラリーに加え、キシレン留去後、濾過、水洗、乾燥した。乾燥物を微粉砕し、フタロシアニン顔料組成物1を得た。得られたフタロシアニン顔料組成物1を高速液体クロマトグラフィーで分析し、フタルイミド体からのm、nの換算値を計算したところ、mは0.32、nは0.66であり、m/(m+n)は0.33であった。
(2)得られたフタロシアニン顔料組成物1 1.25部、カーボンブラック(三菱化学社製 #44)1.25部、ステアリン酸マグネシウム(堺化学社製)1.25部、ポリプロピレン樹脂500部(日本ポリプロ社製ノバテックBC3)を良く混合させて、220℃で射出成型し、プラスチック成形物1を得た。
(実施例2)
(1)4−クロロフタロシアニン8部、3−クロロフタロシアニン2部、銅フタロシアニン10部を95%硫酸(和光純薬製、試薬特級)180部に溶解させ、樹脂製アスピレータで吸引しながら温湯と混合させて硫酸スラリーを得た。この硫酸スラリーを70℃、1時間熟成させて濾過、その後中性になるまで水洗を繰り返した。その後、キシレンエマルジョンで顔料を処理し、キシレン留去後、濾過、水洗、乾燥した。乾燥物を粉砕し、フタロシアニン顔料組成物2を得た。得られたフタロシアニン顔料組成物を高速液体クロマトグラフィーで分析し、フタルイミド体からのm、nの換算値を計算したところ、mは0.21、nは0.79であり、m/(m+n)は0.21であった。
(2)得られたフタロシアニン組成物2 1.25部、カーボンブラック1.25部、ステアリン酸マグネシウム1.25部、ポリプロピレン樹脂500部を良く混合させて、220℃で射出成型し、プラスチック成形物2を得た。
[比較例1]
(1)4−クロロフタロシアニン5部、3−クロロフタロシアニン5部、銅フタロシアニン10部を95%硫酸(和光純薬製、試薬特級)180部に溶解させ、樹脂製アスピレータで吸引しながら温湯と混合させて硫酸スラリーを得た。この硫酸スラリーを70℃、1時間熟成させて濾過、その後中性になるまで水洗を繰り返した。その後、キシレンエマルジョンで顔料を処理し、キシレン留去後、濾過、水洗、乾燥した。乾燥物を粉砕し、フタロシアニン顔料組成物3を得た。得られたフタロシアニン顔料組成物を高速液体クロマトグラフィーで分析し、フタルイミド体からのm、nの換算値を計算したところ、mは0.48、nは0.50であり、m/(m+n)は0.49であった。
(2)得られたフタロシアニン組成物3 1.25部、カーボンブラック1.25部、ステアリン酸マグネシウム1.25部、ポリプロピレン樹脂500部を良く混合させて、220℃で射出成型し、プラスチック成形物3を得た。
[比較例2]
(1)モノクロロフタロシアニン(山陽色素製F−1102、4−クロロフタロシアニン85%、3−クロロフタロシアニン15%含有)10部、銅フタロシアニン10部を95%硫酸180部に溶解させ、樹脂製アスピレータで吸引しながら温湯と混合させて硫酸スラリーを得た。この硫酸スラリーを70℃、1時間熟成させて濾過、その後中性になるまで水洗を繰り返した。その後、キシレンエマルジョンで顔料を処理し、キシレン留去後、濾過、水洗、乾燥した。乾燥物を粉砕し、フタロシアニン顔料組成物を得た。得られたフタロシアニン組成物を高速液体クロマトグラフィーで分析し、フタルイミド体からのm、nの換算値を計算したところ、mは0.15、nは0.84であり、m/(m+n)は0.15であった。
(2)得られたフタロシアニン組成物1.25部、カーボンブラック1.25部、ステアリン酸マグネシウム1.25部、ポリプロピレン樹脂500部を良く混合させて、220℃で射出成型し、プラスチック成形物4を得た。
実施例1〜2、比較例1〜2で作成したプラスチック成形物を変角分光光度計(x−Lite社製 MA98)でLab値測定したところ、45度の入射光に対する−15度、15度、25度、45度、75度、110度のa値が低い順位は、実施例2>実施例1>比較例2>比較例1であった。赤味が低減し、ブロンズ消失に繋がったと判断する。
Figure 0006418441

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)のにおいて、α位の塩素置換基数をm、β位の塩素置換基数をnとしたときに、
    0.1<=m+n<=1
    0.2<=m/(m+n)<=0.33、
    m<n
    であることを特徴とする塩素化銅フタロシアニン顔料。(ただし、塩素置換以外の置換基は置換しない。)
    Figure 0006418441
    (1)
  2. 前記塩素化銅フタロシアニン顔料が塩素化銅フタロシアニンのみまたは、塩素化銅フタロシアニンと無置換銅フタロシアニンの混合物からなる請求項1記載の塩素化銅フタロシアニン顔料。
  3. 請求項1、2いずれか記載の塩素化銅フタロシアニン顔料を含有することを特徴とした着色組成物。
  4. 請求項1、2いずれか記載の塩素化銅フタロシアニン顔料を含有することを特徴としたプラスチック用着色材。
  5. 請求項4記載のプラスチック用着色材を含有するプラスチック成形物。
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