JP6418088B2 - ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、両親媒性ブロックポリマーの分子集合体を含むナノ粒子の製造方法に関する。
近年、ナノテクノロジーへの関心が高まっており、ナノサイズ物質特有の性質を活かした新規機能性材料が開発されている。例えば、特許文献1および特許文献2には、親水性ブロック鎖と疎水性ブロック鎖とを有する両親媒性ブロックポリマーが、水中で自己組織化し、粒子径が10nm〜500nm程度のミセルやベシクル等の分子集合体からなるナノ粒子を形成することが開示されている。これらの分子集合体は、蛍光剤等のシグナル剤、リガンド、薬剤等の付加化合物を、内包させることや、表面に保持することが可能である。
「EPR効果」として知られているように、血中に投与された粒子径数十〜数百nmのナノ粒子は癌疾部位に蓄積しやすいという性質を有している。両親媒性ブロックポリマーの分子集合体からなるナノ粒子は、EPR効果により疾患部位に蓄積しやすいため、癌疾部位を標的とした分子イメージングまたは薬剤搬送システム(DDS)用のナノキャリアとしての有効性が期待されている。
上記特許文献1および特許文献2では、両親媒性ブロックポリマーの溶液から分子集合体のナノ粒子を形成する方法として「フィルム法」および「インジェクション法」が記載されている。フィルム法では、まず、試験管やフラスコ等の容器中に、両親媒性ブロックポリマーを含む溶液を用意する。次に、溶液から溶媒を留去し、容器の内壁に両親媒性ブロックポリマーのフィルムを形成する。この容器に水または水溶液(水系液体)を加え、加温や超音波処理を行うことにより、両親媒性ブロックポリマーが自己組織化して、水系液体中に分子集合体が得られる。
インジェクション法では、両親媒性ブロックポリマー溶液を水系液体中に分散させることにより、ポリマーが自己組織化して、水系液体中に分子集合体が得られる。インジェクション法では、主に、両親媒性ブロックポリマー溶液と水系液体との接触界面近傍で、両親媒性ブロックポリマーの自己組織化が生じる。そのため、両親媒性ブロックポリマー溶液には、トリフルオロエタノール、エタノール、ヘキサフルオロイソプロバノール、ジメチルスルホキシド等、ポリマーを溶解可能であり、かつ水溶性の高い有機溶媒が用いられている。
特許文献3では、インジェクション法の応用例として、所定形状のマイクロフローセルを用い、両親媒性ブロックポリマー溶液の層流が2つの水系液体の層流で挟まれるように合流させることにより、両親媒性ブロックポリマーの分子集合体からなるナノ粒子を形成する方法が開示されている。この方法によれば、合流部における液−液界面の面積が増加するため、生産効率を高められることが、特許文献3に記載されている。
特開2008‐24816号公報 WO2009/148121号国際公開パンフレット 特開2014‐156555号公報
上記のように、両親媒性ブロックポリマーの分子集合体を含むナノ粒子の製造方法として、フィルム法やインジェクション法が提案されているが、従来提案されている方法は、量産性が十分とは言い難い。フィルム法では、1バッチあたりの生産量を増大させるために容器の容積を増加しても、フィルムが着膜する内壁面の表面積の増加は限定的であり、量産性の向上には限界がある。また、1バッチあたりの溶液の量を多くしたり、溶液濃度を高めると、容器内で有機溶媒を除去する際に、濃縮された溶液が容器の底部に溜り、溶液中にポリマーが析出しやすくなるため、ポリマーの自己組織化が阻害されたり、粒子径が不均一になる等の問題を生じる場合がある。
インジェクション法は、フィルム法に比べると、両親媒性ポリマーの粒子化効率においては優れている。しかし、粒子化の前に溶媒の除去が行われるフィルム化法と対比した場合、ポリマー溶液と水系液体とを接触させるインジェクション法では、ポリマー溶液に含まれる有機溶媒がナノ粒子内に取り込まれやすく、ナノ粒子形成後に、透析等により有機溶媒を除去する必要がある。特許文献3に記載されているようなフローセルを用いた連続生産方式も、同様の問題を含んでいる。
上記に鑑み、本発明は、親水性ブロック鎖と疎水性ブロック鎖とを有する両親媒性ポリマーの分子集合体を含み、残存溶媒量が少ないナノ粒子を、生産性高く提供することを目的とする。
上記課題に鑑み検討の結果、水系液体を有機溶媒の沸点以上の温度に保持した状態で、両親媒性ブロックポリマーの溶液と接触させることにより、有機溶媒を除去しながら粒子化を行うことが可能であることを見出し、本発明に至った。
本発明のナノ粒子の製造方法は、ポリマー溶液と、水系液体とを接触させるステップを有する。ポリマー溶液は、親水性ブロック鎖と疎水性ブロック鎖とを有する両親媒性ブロックポリマー、および有機溶媒を含む。
ポリマー溶液の有機溶媒の沸点は、水系液体の沸点よりも低い。また、有機溶媒は非水溶性であることが好ましい。ポリマー溶液と水系液体との接触時における水系液体の温度は、有機溶媒の沸点よりも高い。残存溶媒量を減少するためには、ポリマー溶液と水系液体とを接触後、水系液体を有機溶媒の沸点よりも高温に維持することが好ましい。
ポリマー溶液と水系液体との接触は、有機溶媒の沸点よりも高温の水系液体に、ポリマー溶液を添加することにより行われることが好ましい。特に、撹拌下の水系液体に、ポリマー溶液を添加することが好ましい。ポリマー溶液と水系液体との接触は、減圧下で行われてもよい。
本発明の方法によれば、水系液体を有機溶媒の沸点以上の温度に保持した状態で、両親媒性ブロックポリマーの溶液と接触させることにより、有機溶媒として非水溶性溶媒を用いた場合でも、粒子径の均一なナノ粒子が得られる。また、有機溶媒を除去しながら粒子化を行うことにより、ナノ粒子の残存溶媒量を低減可能であり、粒子化後の有機溶媒の除去工程を省略または短時間化できる。そのため、本発明によれば、ナノ粒子の生産効率を向上できる。
ナノ粒子の製造に用いられる製造装置の構成例を表す概念図である。
本発明は、両親媒性ブロックポリマーの分子集合体からなるナノ粒子の製造方法に関する。両親媒性ブロックポリマーは、親水性ブロック鎖と疎水性ブロック鎖とを有するブロックポリマーであり、水系液体(水または水溶液)との接触により、自己組織化して分子集合体のナノ粒子を形成する。ナノ粒子の粒子径は、例えば10nm〜200nm程度であり、用途に応じて粒子径が調整される。分子集合体の形状としては、ミセルやベシクル等が挙げられる。
両親媒性ブロックポリマーが水系液体と接触して、疎水性ブロック鎖がコアを形成すると、親水性ブロック鎖を外側に向けて、分子が自己組織化し、ミセルを形成する。ミセル形成時に、薬剤等を共存させることにより、ミセルの内部に当該物質を包理させたり、ミセルの表層部と当該物質とを相互作用させることができる。また、ミセル形成時に疎水性ポリマー等を共存させることにより、疎水コア部の体積や特性を変化させ、ミセルの粒子径や、薬剤や標識剤等の付加化合物の含有率等を制御できる。
両親媒性ブロックポリマーが疎水性ブロック鎖を内側に向けた膜状に集合し、この膜状体が球殻状に閉じた構造のベシクルが形成される場合もある。ベシクルは通常、内部の中空空間が水相で満たされており、この水相に、薬剤等を内包することができる。また、ベシクルの膜表面の親水性部分と薬剤等とを相互作用させることもできる。
本発明では、両親媒性ブロックポリマーおよび有機溶媒を含むポリマー溶液と、水系液体とを接触させることにより、両親媒性ポリマーの分子集合体が得られる。
[両親媒性ブロックポリマー]
本発明に用いられる両親媒性ブロックポリマーは、親水性ブロック鎖と疎水性ブロック鎖とを有する。親水性ブロック鎖のモノマー単位としては、アルキレンオキシドやサルコシン等が挙げられる。疎水性ブロック鎖のモノマー単位としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシイソ酪酸等のヒドロキシ酸や、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、チロシン、トリプトファン、グルタミン酸メチル、グルタミン酸ベンジル、アスパラギン酸メチル、アスパラギン酸エチル、アスパラギン酸ベンジル等の疎水性アミノ酸あるいはアミノ酸誘導体が挙げられる。
上記例示の両親媒性ブロックポリマーの中でも、親水性ブロック鎖がサルコシン単位を有し、疎水性ブロック鎖が乳酸単位を有するものが好ましく用いられる。特に、親水性ブロック鎖が2個以上のサルコシン単位を有し、疎水性ブロックが5個以上の乳酸単位を有する両親媒性ブロックポリマーは、粒子径が均一なナノ粒子を形成しやすく、癌疾部位等を標的とした分子イメージングや薬剤搬送用のナノキャリアとして適している。
以下では、両親媒性ブロックポリマーの例として、サルコシン単位を有する親水性ブロック鎖と、乳酸単位を有する疎水性ブロック鎖とを有する両親媒性ブロックポリマーについて説明する。
(親水性ブロック鎖)
親水性ブロック鎖は、サルコシン単位(N−メチルグリシン単位)を含む。サルコシンは、水溶性が高い。また、ポリサルコシンはN置換アミドを有することからシス−トランス異性化が可能であり、かつ、α炭素まわりの立体障害が少ないことから、高い柔軟性を有する。そのため、ポリサルコシン鎖を構成単位として用いることにより、高い親水性と柔軟性とを併せ持つ親水性ブロック鎖が形成される。
親水性ブロック鎖は、2個以上のサルコシン単位を含むことが好ましい。サルコシン単位が2個以上であれば、隣接して存在するブロックポリマーの親水性ブロック同士が凝集しやすく、自己凝集性が高められるため、ミセルやベシクル等の分子集合体が形成されやすくなる。親水性ブロック鎖中のサルコシン単位の数の上限は特に制限されないが、分子集合体の構造を安定化させる観点からは300個以下が好ましい。親水性ブロックにおけるサルコシン単位の数は、10〜200個がより好ましく、20〜100個がさらに好ましい。
親水性ブロック鎖は、全てのサルコシン単位が連続していてもよく、上記のポリサルコシンの特性を損なわない限りにおいてサルコシン単位が非連続であってもよい。親水性ブロック鎖がサルコシン以外のモノマー単位を有する場合、サルコシン以外のモノマー単位は特に限定されないが、例えば親水性アミノ酸あるいはアミノ酸誘導体が挙げられる。アミノ酸は、α−アミノ酸、β−アミノ酸、γ−アミノ酸を含み、好ましくは、α−アミノ酸である。親水性のα−アミノ酸としては、セリン、スレオニン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。また、親水性ブロックは、糖鎖やポリエーテル等を有していてもよい。親水性ブロックは、末端(疎水性ブロックとのリンカー部と反対側の末端)に、水酸基等の親水性基を有することが好ましい。
親水性ブロック鎖は、直鎖状でもよく、分枝構造を有していてもよい。親水性ブロック鎖が分枝構造を有する場合、各分枝鎖に2個以上のサルコシン単位が含まれることが好ましい。
(疎水性ブロック鎖)
疎水性ブロックは、乳酸単位を含む。ポリ乳酸は、優れた生体適合性および安定性を有する。また、ポリ乳酸は、優れた生分解性を有することから、代謝が早く、生体内においてがん組織以外への集積性が低い。そのため、ポリ乳酸を構成ブロックとした両親媒性ポリマーから得られる分子集合体は、生体、特に人体への応用において有用である。また、ポリ乳酸は、低沸点溶媒への溶解性が高いため、分子集合体のナノ粒子を製造するためのポリマー溶液に、ハロゲン化炭化水素等の低沸点の有機溶媒を使用可能である。
疎水性ブロック鎖は、5個以上の乳酸単位を含むことが好ましい。乳酸単位が5個以上であれば、疎水コアが形成されやすく、自己凝集性が高められるため、ミセルやベシクル等の分子集合体が形成されやすくなる。疎水性ブロック鎖中の乳酸単位の数の上限は特に制限されないが、分子集合体の構造を安定化させる観点からは300個以下が好ましい。疎水性ブロックにおける乳酸単位の数は、10〜200個がより好ましく、20〜100個がさらに好ましい。
疎水性ブロック鎖を構成する乳酸単位は、L‐乳酸でもD‐乳酸でもよい。また、L‐乳酸とD‐乳酸が混在していてもよい。疎水性ブロック鎖は、全ての乳酸単位が連続していてもよく、乳酸単位が非連続であってもよい。疎水性ブロック鎖に含まれる乳酸以外のモノマー単位は特に限定されないが、例えば、グリコール酸、ヒドロキシイソ酪酸等のヒドロキシ酸や、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、チロシン、トリプトファン、グルタミン酸メチルエステル、グルタミン酸ベンジルエステル、アスパラギン酸メチルエステル、アスパラギン酸エチルエステル、アスパラギン酸ベンジルエステル等の疎水性アミノ酸あるいはアミノ酸誘導体が挙げられる。
疎水性ブロック鎖は、直鎖状でもよく、分枝構造を有していてもよい。疎水性ブロック鎖が分枝していない方が、分子集合体形成時に、コンパクトな疎水コアが形成されやすく、親水性ブロック鎖の稠密度が増大する傾向がある。そのため、粒子径が小さく、構造安定性の高いコア/シェル型分子集合体を形成するためには、疎水性ブロック鎖は直鎖状であることが好ましい。
(両親媒性ブロックポリマーの構造および合成方法)
両親媒性ポリマーは、親水性ブロック鎖と疎水性ブロック鎖とを結合させたものである。親水性ブロック鎖と疎水性ブロック鎖とは、リンカーを介して結合していてもよい。リンカーとしては、疎水性ブロック鎖の構成単位である乳酸モノマー(乳酸やラクチド)またはポリ乳酸鎖と結合可能な官能基(例えば、水酸基、アミノ基等)と、親水性ブロックの構成単位であるサルコシンモノマー(例えばサルコシンやN−カルボキシサルコシン無水物)またはポリサルコシンと結合可能な官能基(例えばアミノ基)とを有するものが好ましく用いられる。リンカーを適宜に選択することにより、親水性ブロック鎖や疎水性ブロック鎖の分枝構造を制御することができる。
両親媒性ブロックポリマーの合成法は、特に限定されず、公知のペプチド合成法、ポリエステル合成法、デプシペプチド合成法等を用いることができる。詳細には、WO2009/148121号(上記特許文献2)等を参照して、両親媒性ブロックポリマーを合成することができる。
分子集合体の形状および大きさの制御をより容易とするためには、疎水性ブロック鎖におけるポリ乳酸の鎖長を調整することが好ましい。ポリ乳酸の鎖長の制御を容易とするためには、両親媒性ブロックポリマーの合成の際に、一端にリンカーが導入されたポリ乳酸を先に合成した後、ポリサルコシンを導入することが好ましい。重合反応における開始剤とモノマーとの仕込み比、反応時間、温度等の条件を調整することにより、ポリサルコシン鎖およびポリ乳酸鎖の鎖長を調整できる。親水性ブロック鎖および疎水性ブロック鎖の鎖長(両親媒性ブロックポリマーの分子量)は、例えばH‐NMRによって確認できる。
[ポリマー溶液]
本発明においては、両親媒性ブロックポリマーを含むポリマー溶液と、水系液体とを接触させることにより、分子集合体のナノ粒子が形成される。ポリマー溶液は、有機溶媒中に両親媒性ブロックポリマーを含む。
(有機溶媒)
ポリマー溶液は、上記の両親媒性ブロックポリマーを有機溶媒中に溶解させることにより調製できる。有機溶媒としては、両親媒性ブロックポリマーを溶解可能であり、かつ水系液体よりも低沸点のものが用いられる。水系液体の沸点は100℃前後であるため、有機溶媒の沸点は100℃未満が好ましい。有機溶媒の沸点は、より好ましくは90℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。
有機溶媒の具体例としては、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等の鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、1,2‐ジオキソラン、1,3‐ジオキソラン等の環状エーテル;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、等が挙げられる。これらの溶媒の2種類以上の混合溶媒を用いてもよい。サルコシン単位を含む親水性ブロック鎖と乳酸単位を含む疎水性ブロック鎖とを有する両親媒性ブロックポリマーのナノ粒子を形成する場合、上記有機溶媒の中でも、ポリマーの溶解性の観点から、ハロゲン化炭化水素、およびアルコール類が好ましく用いられる。
水系液体とポリマー溶液とを接触させた後、有機溶媒を選択的に留去してナノ粒子の残存溶媒量を減少させるためには、ポリマー溶液に用いられる有機溶媒が水と混和しない、すなわち有機溶媒が非水溶性であることが好ましい。そのため、上記有機溶媒の中でも、ポリマー溶液に用いられる有機溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素が好ましく、中でも、クロロホルムおよびジクロロメタンが好ましい。
(ポリマー溶液中の付加成分)
ポリマー溶液は、上記両親媒性ブロックポリマーおよび有機溶媒以外の物質を含有していてもよい。例えば、溶液中に疎水性ポリマーを含有させることにより、分子集合体形成時の疎水コアの形成促進や、ナノ粒子の粒子径を調整することができる。また、溶液中に、薬剤等の付加化合物を含めることにより、これらを分子集合体中に取り込むこともできる。
疎水性ポリマーの構成単位数は特に限定されないが、疎水コアの形成促進や、分子集合体のサイズを制御するためには、5個以上の乳酸単位を有する疎水性ポリマーが好ましく用いられる。疎水性ポリマーの乳酸単位は、より好ましくは10個以上である。疎水性ポリマーによるサイズ制御と分子集合体の構造安定性を両立させる観点から、疎水性ポリマーの乳酸単位の数は、15〜300個が好ましく、20〜200個がより好ましく、30〜100個がさらに好ましい。
疎水性ポリマーは乳酸単位以外の他の構成単位を有していてもよい。乳酸以外の構成単位としては、ヒドロキシ酸、疎水性アミノ酸あるいはアミノ酸誘導体等、疎水性ブロックの構成単位として先に例示したものが好ましく用いられる。
ポリマー溶液中には、シグナル剤、リガンド、薬剤等の付加化合物を含めることもできる。また、上記疎水性ポリマーに、シグナル基、リガンド、薬剤等を結合させて用いてもよい。シグナル剤はシグナル基を含む化合物であり、シグナル基の検出によりイメージングを可能にする。シグナル基としては、蛍光基、放射性元素含有基、磁性基等が挙げられる。リガンドとしては、ナノ粒子を生体に投与した際の目的部位への特異的結合(ターゲティング)のためのリガンドや、シグナル剤等を配位させるためのリガンド等が挙げられる。ターゲティングを目的とするリガンドとしては、抗体、アルギニン‐グリシン‐アスパラギン酸(RGD)等の接着因子等が挙げられる。目的部位へ搬送すべき薬剤やシグナル剤等を配位させるためのリガンドとしては、遷移金属を配位できるトリカルボン酸等が挙げられる。薬剤としては、抗がん剤、抗菌剤、抗ウィルス剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、ステロイド剤、ホルモン剤、血管新生阻害剤等の目的部位(対象疾患等)へ搬送すべき薬剤が挙げられる。抗がん剤の具体例としては、カンプトテシン、エキサテカン(カンプトテシン誘導体)、ゲムシタビン、ドキソルビシン、イリノテカン、SN−38(イリノテカン活性代謝物)、5−FU、シスプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル等が挙げられる。これら薬剤は、複数種を組み合わせで用いてもよい。
上記疎水性ポリマーに、シグナル剤、リガンド、薬剤等を結合させる場合、1個のポリマーに結合するシグナル剤、リガンド、薬剤等の数は1個でもよく、2個以上でもよい。ここで、疎水性ポリマーとシグナル基、リガンド、薬剤等との「結合」とは、具体的には共有結合をさし、疎水性ポリマーの特定箇所に直接的に結合している形態と、スペーサ基等を介して間接的に結合している形態の両者を含む。疎水性ポリマーとシグナル剤、リガンド、薬剤等との結合に用いられるスペーサ基は、特に限定されない。スペーサの例としては、アルキル基;カルボキシルメチルセルロース、アミロース等の多糖;ポリアルキレンオキシド鎖、ポリエチレングリコール鎖、ポリビニルアルコール鎖等の水溶性高分子等が挙げられる。
なお、シグナル剤、リガンド、薬剤等は、上記疎水性ポリマー以外のポリマー等に結合させて、ナノ粒子中に含有させることもできる。例えば、上記両親媒性ブロックポリマーの疎水性ブロック鎖、親水性ブロック鎖、リンカー等に、シグナル剤、リガンド、薬剤等の付加化合物を結合させてもよい。また、シグナル剤、リガンド、薬剤等は、ポリマーに共有結合させる以外に、分子集合体に内包させたり、分子集合体表層部との分子間相互作用により、分子集合体に取りこむことができる。
ポリマー溶液の固形分(両親媒性ブロックポリマー、疎水性ポリマー、シグナル剤、リガンド、薬剤等)の濃度は、特に限定されない。溶媒の除去効率を高める観点からは、溶液の固形分濃度は高いことが好ましい。一方、溶液の濃度が過度に高い場合は、ポリマー溶液と水系液体とを接触させた際に、ポリマー析出等の不具合を生じる場合がある。これらを勘案して、有機溶媒の種類等に応じて固形分濃度を設定すればよい。ポリマー溶液の固形分濃度は、例えば、0.1〜20重量%程度である。
[水系液体]
水系液体は、水または水溶液である。水溶液としては、注射用蒸留水、生理食塩水、緩衝液等、生化学的、薬学的に許容し得る水溶液が好ましく用いられる。水系液体に、シグナル剤、リガンド、薬剤等の付加化合物を含めることにより、これらの付加化合物を、分子集合体内または分子集合体の表面に含むナノ粒子を得ることもできる。
[ナノ粒子の作製]
両親媒性ブロックポリマーを含むポリマー溶液と水系液体と接触させることにより、両親媒性ポリマーが自己組織化して、分子集合体のナノ粒子が形成される。この際、水系液体の温度を、ポリマー溶液の有機溶媒の沸点よりも高温とすることにより、混合系から有機溶媒を留去しながら粒子化が行われる。
ポリマー溶液と水系液体とを接触させる際の水系液体の温度は、ポリマー溶液の有機溶媒の沸点よりも高温であればよい。有機溶媒の除去効率を高める観点から、水系液体の温度は、有機溶媒の沸点+3℃以上が好ましく、有機溶媒の沸点+5℃以上がより好ましい。水系液体の温度の上限は特に限定されない。水系液体の蒸発を防止し、有機溶媒を選択的に除去する観点から、水系液体の温度は、100℃未満が好ましく、90℃以下がより好ましい。また、ポリマー溶液と水系液体との接触時の有機溶媒の急激な蒸発によるポリマー塊の析出を抑制する観点から、ポリマー溶液と水系液体との接触時の水系液体の温度は、有機溶媒の沸点+30℃以下が好ましく、有機溶媒の沸点+25℃以下がより好ましい。
従来のインジェクション法では、ポリマー溶液に水溶性の有機溶媒を用いるのが一般的であり、非水溶性の有機溶媒を用いた場合は、水相と有機相とが分離し、両親媒性ブロックポリマーの自己組織化によるナノ粒子の形成が困難であった(後述の比較例参照)。これに対して、本発明においては、水系液体の温度を有機溶媒の沸点よりも高温とすることにより、水系液体とポリマー溶液との接触時および接触後に、有機溶媒が留去される。そのため、非水溶性有機溶媒を用いた場合でも、有機相と水相とが完全に分離することなく、両親媒性ブロックポリマーの自己組織化を促進して、分子集合体を含むナノ粒子を形成できる。
ポリマー溶液と水系液体との接触方法は特に限定されず、水系液体とポリマー溶液とを同時に容器内に注入する方法、水系液体にポリマー溶液を添加する方法、ポリマー溶液に水系液体を添加する方法等が挙げられる。ポリマー塊の析出を抑制し、均一な粒子径を有するナノ粒子を得る観点からは、ポリマー溶液の単位容積に対する、水系液体とポリマー溶液との接触面積が大きいことが好ましい。そのため、ポリマー溶液の有機溶媒の沸点よりも高温の水系液体に、ポリマー溶液を添加する方法が好ましい。
ポリマー溶液の単位容積に対する、水系液体とポリマー溶液との接触面積を大きくするために、ポリマー溶液を線状または液滴状として、水系液体内に添加することが好ましい。線状のポリマー溶液を水系液体に添加する方法としては、例えばシャワーノズルからポリマー溶液を吐出して水系液体内へ添加する方法が挙げられる。液滴状のポリマー溶液を水系液体に添加する方法としては、滴下が挙げられる。複数の吐出孔から、ポリマー溶液を滴下してもよい。また、ポリマー溶液の粘度が十分に小さい場合は、ポリマー溶液をミスト状として、水系液体に添加してもよい。
ポリマー溶液を線状または液滴状として水系液体に添加する場合、ポリマー溶液と水系液体との接触には、一定の時間を要する。水系液体へのポリマー溶液の添加時間は、特に限定されず、ポリマー溶液の濃度、溶媒の種類、水系液体の温度等を考慮して、水系液体中へのポリマー塊の析出が生じないように調整することが好ましい。ポリマー溶液の添加開始から添加終了までに所定時間を要する場合は、水系液体へのポリマー溶液の添加が終了するまでの間、水系液体の温度を有機溶媒の沸点よりも高温に維持することが好ましい。
ナノ粒子の残存溶媒量を低減するためには、ポリマー溶液の添加終了後も、水系液体の温度を有機溶媒の沸点より高温に維持して、有機溶媒を留去することが好ましい。なお、水系液体の温度は、有機溶媒の沸点よりも高温であれば、一定温度でなくともよい。例えば、有機溶媒の除去時間を短縮するために、水系液体へのポリマー溶液の添加終了後に、水系液体の温度を上昇させてもよい。ポリマー溶液の添加終了後の加熱温度や加熱時間を調整することにより、ナノ粒子の残存溶媒量を低減できる。このように、本発明の方法によれば、ナノ粒子の形成後に、固液分離や透析等を行わなくとも、系の温度を有機溶媒の沸点よりも高温に維持するのみで、残存溶媒量を低減できるため、ナノ粒子の生産性を向上できる。なお、水系液体へのポリマー溶液添加終了後に、これらの混合系を別の容器に移動させて、溶媒の除去が行われてもよい。
水系液体へポリマー溶液を添加する場合、水系液体を撹拌しながら、ポリマー溶液の添加が行ってもよい。撹拌下の水系液体にポリマー溶液を添加することにより、局所的なポリマー濃度の上昇によるポリマー塊の発生を抑制し、ナノ粒子の粒子径を均一化できる。
ポリマー溶液と水系液体との接触は、減圧下で行われてもよい。減圧により、水系液体とポリマー溶液との混合系からの有機溶媒の留去を促進し、有機溶媒の除去効率を高めることができる。また、減圧下では、より低温での処理が可能となるため、ポリマーおよび付加化合物の熱履歴を軽減できる。有機溶媒の除去効率向上の観点から、ポリマー溶液の添加終了後も減圧状態を維持することが好ましい。また、ポリマー溶液の添加終了後に減圧を行ってもよい。なお、ポリマー溶液と水系液体との接触が減圧下で行われる場合、有機溶媒の沸点とは、当該減圧状態における沸点を指し、常圧における沸点よりも低温である。
図1は、ナノ粒子の製造に用いられる製造装置の構成例を表す概念図である。溶液タンク11内に充填されたポリマー溶液1は、ポンプ55により、配管51を介して、配管先端の吐出口53から、造粒槽21内へと送液される。造粒槽21は、温度制御可能に構成されており、造粒槽21内には、予め有機溶媒の沸点以上に加熱された水系液体2が装填されている。水系液体とポリマー溶液とが接触することにより、造粒槽内でナノ粒子が形成される。なお、造粒槽は、水系液体を撹拌混合するために、撹拌翼等の適宜の拡販手段(不図示)を備えていてもよい。また、造粒槽21内の超音波処理等により、ナノ粒子の形成を促進してもよい。
図1に示す形態では、造粒槽21に排気管57が接続されている。造粒槽を減圧状態とするために、排気管57は、真空ポンプ等の適宜の排気手段(不図示)に接続されていてもよい。排気管と排気手段との間には、冷却器30等の溶媒濃縮手段が設けられていてもよい。溶媒濃縮手段を設け、造粒槽21から蒸発した有機溶媒を濃縮し、回収器41内に回収することにより、環境中への溶媒の拡散を抑止できる。回収器41内に回収された有機溶媒4は、ポリマー溶液の調製等に再利用してもよい。
[後処理]
水系液体中に回収された分子集合体のナノ粒子は、適宜の後処理に供してもよい。後処理としては、フィルタ処理や凍結乾燥等が挙げられる。また、クロマトグラフィー等による精製処理が行われてもよい。
後処理として有機溶媒の除去が行われてもよい。なお、従来のインジェクション法によりナノ粒子の形成を行った場合、透析等による有機溶媒の除去が必須であるが、本発明の方法では、ナノ粒子の形成時に有機溶媒が留去され、ナノ粒子の形成後に系の温度を維持するのみで残存溶媒量を低減できる。そのため、本発明によれば、ナノ粒子形成後の有機溶媒の除去を、省略あるいは簡略化でき、ナノ粒子の生産効率が高められる。
[分子集合体の特性および用途]
本発明の方法により得られるナノ粒子は、従来法により得られるナノ粒子と同様の特性を有する。ナノ粒子の粒子径は、例えば10〜200nmである。生体内への分子イメージングやDDS等に用いられる分子集合体は、粒子径が15nm〜150nmであることが好ましく、20nm〜100nmであることがより好ましい。ここで「粒子径」とは、粒子分布で最も出現頻度の高い粒子径、すなわち中心粒子径をいう。分子集合体の粒子径は、動的光散乱(Dynamic Light Scattering:DLS)法により測定できる。前述のように、分子集合体の粒子径は、両親媒性ブロックポリマーの鎖長や、疎水性ポリマーの有無およびその含有量等により調整できる。
ナノ粒子は、粒度分布が単峰性を有することが好ましい。粒度分布が単峰性であるか否かは、ヒストグラムの目視により判断できる。また、単峰性の指標として、粒子径の多分散性指数(Polydispersity Index; PdI)を用いてもよい。分子集合体の粒子径のPdIは、0.3以下が好ましく、0.2以下がより好ましい。前述のように、本発明においては、水系液体の温度を有機溶媒の沸点以上とすることにより、粒度分布の小さいナノ粒子が得られる。また、ポリマー溶液を線状や液滴状として水系液体に添加して、ポリマー溶液の単位容積に対する、水系液体とポリマー溶液との接触面積を大きくすることにより、ナノ粒子の粒度分布が小さくなる傾向がある。
上記粒子径および粒度分布を有するナノ粒子は、EPR (enhanced permeability and retention) 効果により、血管病変部位(例えば、悪性腫瘍部位、炎症部位、動脈硬化部位、血管新生部位など)への特異的集積性を有している。ナノ粒子の投与ターゲットとしては、肝臓がん、すい臓がん、肺がん、子宮頸がん、乳がん、大腸がん等の癌疾が挙げられる。また、ナノ粒子は、物質送達キャリアとして、化粧品、食品等に用いることもできる。ナノ粒子の体内への投与方法としては、血中投与、経口投与、経皮投与、経粘膜投与等が挙げられる。投与対象は、ヒトまたは非ヒト動物であり得る。非ヒト動物としては、ヒト以外の哺乳類、より具体的には、霊長類、齧歯類(マウス、ラットなど)、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ等が挙げられる。
以下、本発明の方法による分子集合体の作製例と、従来法による作製例との対比により、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
[両親媒性ブロックポリマーの合成例]
WO2009/148121号に記載の方法を参照して、サルコシン無水物およびアミノ化ポリL−乳酸をモノマー成分として、グリコール酸、O−(ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を用いて、サルコシン単位78個からなる親水性ブロックとL−乳酸単位30個からなる疎水性ブロックとを有する直鎖状の両親媒性ブロックポリマー(PSar78−PLLA30)を合成した。
[実施例1]
上記合成例で得られたブロックポリマーをジクロロメタンに溶解して、20mg/mLのポリマー溶液を得た。バイアル中で50〜60℃に加熱した蒸留水2mLを撹拌しながら、ポリマー溶液1mLを、少量ずつ滴下した(滴下時間10分)。滴下終了後、5分間バイアル中の蒸留水の温度を50〜60℃に保持し、ジクロロメタンを揮発させた。その後、室温まで放冷して、ナノ粒子の分散液(10mg/mL)を得た。
[実施例2]
蒸留水へのポリマー溶液の滴下量を5mL、滴下時間を50分に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ナノ粒子の分散液(50mg/mL)を得た。
[比較例1]
バイアル中の蒸留水を加熱せず、室温(25℃)で蒸留水2mLを撹拌しながら、ポリマー溶液5mLを少量ずつ滴下した(滴下時間50分)。ポリマー溶液の滴下終了後、50分間撹拌を継続し、さらに1時間静置したところ、有機層(下層)と水層(上層)の2層に分離していた。
[実施例3]
上記合成例で得られたブロックポリマーをクロロホルムに溶解して、20mg/mLのポリマー溶液を得た。このポリマー溶液を用い、バイアル中の蒸留水の加熱温度を70〜80℃に変更したこと以外は、上記実施例2と同様の操作を行い、ナノ粒子の分散液(50mg/mL)を得た。
[参考例1]
参考例1では、WO2009/148121号に記載のフィルム法により、両親媒性ブロックポリマーの粒子化を行った。
上記合成例で得られたブロックポリマーをクロロホルムに溶解して、10mg/mLのポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をガラス製の試験管に入れ、エバポレーターを用いて溶媒を減圧留去することにより、試験管の壁面にポリマーフィルムを形成させた。さらに、室温で終夜真空乾燥を行った後、試験管内に蒸留水2mLを加えて、温度85℃で20分間加熱処理を行い、室温まで放冷して、ナノ粒子の分散液(10mg/mL)を得た。
[評価]
上記各実施例および参考例で得られたナノ粒子の分散液を、1mg/mLとなるように蒸留水で希釈し、Malvern社製 Zetasizer Nano Sを用いて、動的光散乱(DLS)法により、ナノ粒子の粒子径および多分散性指数(Polydispersity Index; PdI)を測定した。なお、比較例1については、分離した水相(上層)を蒸留水で50倍に希釈して、同様の測定を行ったが、明確に粒子と判断できる成分は検出されなかった。各実施例および参考例の粒子径の測定結果を表1に示す。
Figure 0006418088
表1に示すように、水系液体を有機溶媒の沸点よりも高温に加熱しながらポリマー溶液の添加を行った実施例1〜3では、フィルム法により粒子化を行った参考例と同等の粒子径および粒度分布を有するナノ粒子が形成されていた。

Claims (12)

  1. 両親媒性ブロックポリマーの分子集合体を含むナノ粒子を製造する方法であって、
    両親媒性ブロックポリマーおよび有機溶媒を含むポリマー溶液と、水系液体とを接触させるステップを有し、
    前記両親媒性ブロックポリマーは、親水性ブロック鎖と疎水性ブロック鎖とを有し、
    前記有機溶媒の沸点は前記水系液体の沸点よりも低く、
    前記ポリマー溶液と前記水系液体との接触時において、前記水系液体の温度が前記有機溶媒の沸点よりも高いことを特徴とする、ナノ粒子の製造方法。
  2. 撹拌下の前記水系液体に、前記ポリマー溶液が添加されることにより、前記ポリマー溶液と前記水系液体とを接触させることを特徴とする、請求項1に記載のナノ粒子の製造方法。
  3. 前記ポリマー溶液と前記水系液体との接触が、減圧下で行われる、請求項1または2に記載のナノ粒子の製造方法。
  4. 前記ポリマー溶液と前記水系液体とを接触後、前記水系液体が、前記有機溶媒の沸点よりも高温に維持されることにより、前記有機溶媒の除去が行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のナノ粒子の製造方法。
  5. 前記有機溶媒が非水溶性である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のナノ粒子の製造方法。
  6. 前記両親媒性ブロックポリマーは、前記親水性ブロック鎖がサルコシン単位を有し、前記疎水性ブロック鎖が乳酸単位を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のナノ粒子の製造方法。
  7. 前記親水性ブロックに含まれるサルコシン単位の数が2〜300である、請求項6に記載のナノ粒子の製造方法。
  8. 前記疎水性ブロックに含まれる乳酸単位の数が5〜400である、請求項6または7に記載のナノ粒子の製造方法。
  9. 前記ポリマー溶液は、疎水性ポリマーをさらに含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のナノ粒子の製造方法。
  10. 前記水系液体および前記ポリマー溶液の少なくともいずれか一方が、シグナル剤、リガンドおよび薬剤からなる群から選択される1以上の付加化合物を含有し、
    前記ナノ粒子が、前記両親媒性ブロックポリマーと前記付加化合物とを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のナノ粒子の製造方法。
    子の製造方法。
  11. ナノ粒子の粒子径が10〜200nmである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のナノ粒子の製造方法。
  12. ナノ粒子の粒子径の多分散性指数が0.3以下である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のナノ粒子の製造方法。
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