JP6415610B2 - 記録方法および記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、記録方法および記録装置に関する。
インクジェット記録方式では、色材を含む液体組成物(インク)を紙等の記録媒体上に直接または間接的に付与することで画像を形成している。この時、記録媒体がインク中の液体成分を過剰に吸収することによるカールや、コックリングが生じることがある。
そこで、インク中の液体成分を速やかに除去するため、記録媒体を温風や赤外線等の手段を用いて乾燥する方法がある。また、転写体上で画像を形成し、その後転写体上の画像に含まれる液体成分を熱エネルギー等により乾燥した後、紙等の記録媒体に画像を転写する方法がある。
さらに、転写体上の画像に含まれる液体成分を除去する手段として、熱エネルギーを用いずに、ローラ状の多孔質体をインク画像と接触させてインク画像から液体成分を吸収して除去する方法が提案されている(特許文献1)。また、特許文献1には、インク中の溶媒不溶成分(色材等)を凝集させる機能を有する処理液を処理液付与部、例えば、付与ローラにて転写体上に付与し、その後インクを付与する構成も示されている。
さらに吸収体に吸収された液体を回収する機構を設けることが提案されている。特許文献2では、吸収体に吸収された液体を絞り出す絞り機構を設ける方法が提案されている。特許文献3では、液体吸収部材に吸収された液体を吸引回収する液体回収手段を設けることが提案されている。
特開2009−45851号公報 特開2001−179959号公報 特開2007−268975号公報
多孔質体を用いてインク画像から液体成分を吸収する場合、インク画像に含まれる色材や樹脂微粒子などの固形成分の一部が多孔質体の表面のみならず内部にまで取り込まれることがある。多孔質体内部に侵入した固形成分は多孔質体の孔部を塞いで目詰まりしてしまい、吸収部材としての多孔質体の性能が低下し、液体成分の除去手段としての機能を維持できなくなる。多孔質体の性能を回復させるには、目詰まりの原因となる固形成分を除去することが考えられる。特許文献3のような吸引回収する方法で多孔質体の内部にまで侵入した固形成分を除去しようとすれば、多孔質体の劣化は避けられない。特許文献3は、この問題を解決するために溶媒吸収ローラの表面と内部の表面エネルギーとに差を設け、色材等が多孔質体の孔内へ侵入することを阻止することが提案されている(第6実施形態)。具体的には多孔質体の表面の表面エネルギーγ1よりも内部の表面エネルギーγ2を小さくするというものである。しかし、この方法では多孔質体の液体吸収能(毛管力)が低下するためインク画像中の液体を速やかに吸収することが困難となり、高速印字に十分対応できない。高速印字に対応させようとする場合、インク画像中の液体を多孔質内部に押し込むように多孔質体のインク画像への接触圧を高める必要が生ずるが、その場合、色材等の固形成分が多孔質体の内部に侵入してしまう畏れが有る。
そこで、本発明は、このように液体吸収時に多孔質体内にインク固形分が侵入することを抑制し、多孔質体の性能の維持と耐久性の向上を両立させることを可能にしたインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一形態に係るインクジェット記録方法は、
(1)被記録体にインクを高粘度化するインク高粘度化成分を含む反応液を付与する工程と、
(2)前記反応液が付与された被記録体にインクを付与することで第一の画像を形成する工程と、
(3)前記第一の画像に多孔質体を有する液吸収部材を接触させて、前記多孔質体により前記第一の画像から液体を吸収する液吸収工程と、
(4)前記多孔質体の前記第一の画像と当接する第一の面にクリーニング部材を接触させ、当該第一の面をクリーニングする工程と、
(5)前記多孔質体に吸収された液体を回収する液体回収工程と、
を有する記録方法であって、
前記多孔質体が前記第一の画像に接触する際に、前記被記録体上及び前記多孔質体内に前記インク高粘度化成分と反応する前記インク中の第二の化学種よりも前記インク高粘度化成分の反応に寄与する第一の化学種が単位面積あたりのモル当量において多く含まれ、かつ前記液体回収工程において、液体が前記多孔質体の第一の面側に残存するように回収することを特徴とする。
本発明の一形態によれば、多孔質体の表面でインク固形分を留めおくことができ、多孔質体の内部に侵入する確率を減らすことができる。この結果、多孔質体に対して影響の少ないクリーニング方法で多孔質体表面のインク固形分を除去でき、多孔質体の液吸収性能の維持と耐久性の向上を両立させることが可能となる。
本発明の一実施形態における転写型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態における直接描画型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 図1、2に示すインクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。 図1に示す転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。 図2に示す直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。 クリーニング装置14の一例を示す模式図である。 本発明の液吸収メカニズムを説明するイメージ図である。 本発明外の液吸収メカニズムを説明するイメージ図である。 本発明のインクジェット記録方法のシーケンスのフロー図である。 実施例1におけるインクジェット記録方法のシーケンスのフロー図である。 実施例3におけるインクジェット記録方法のシーケンスのフロー図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明について詳細に説明する。
本発明一形態のインクジェット記録方法は、
(1)被記録体にインクを高粘度化するインク高粘度化成分を含む反応液を付与する工程と、
(2)前記反応液が付与された被記録体にインクを付与することで第一の画像を形成する工程と、
(3)前記第一の画像に多孔質体を有する液吸収部材を当接して、前記多孔質体に前記第一の画像から液体を吸収する液吸収工程と、
(4)前記多孔質体の前記第一の画像と当接する第一の面にクリーニング部材を接触させ、当該第一の面をクリーニングする工程と、
(5)前記多孔質体に吸収された液体を回収する液体回収工程と、
を有し、少なくとも工程(1)〜(4)のサイクルを繰り返し、前記工程(5)が前記(1)〜(4)のサイクルの繰り返し数以下の複数回行われるインクジェット記録方法であって、
前記多孔質体が前記第一の画像に当接する際に、前記被記録体上及び前記多孔質体内に前記インク高粘度化成分と反応する前記インク中の第二の化学種よりも前記インク高粘度化成分の反応に寄与する第一の化学種が単位面積あたりのモル当量において多く含まれ、かつ前記液体回収工程において、液体が前記多孔質体の第一の面側に残存するように回収することを特徴とする。
なお、第一の画像とは、後述する液吸収処理に供される前の液除去前インク像のことであり、第二の画像とは、液吸収処理を行って水性液体成分の含有量が低減された液除去後インク像のことである。
<反応液付与工程(1)>
反応液付与は、反応液を被記録体上に付与できるいかなる装置を用いてもよく、従来知られている各種装置を適宜用いる事ができる。具体的には、グラビアオフセットローラ、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。特に、後述するインク付与装置で付与可能な被記録体上の領域全てに反応液を均一に付与できる装置が好ましい。反応液をインクの付与前に付与することによって、インクジェット方式による画像記録時に、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングを抑制することができる。
<反応液>
反応液は、インクを高粘度化する成分(インク高粘度化成分)を含有する。インクの高粘度化とは、インクを構成している成分の一部である色材や樹脂等がインク高粘度化成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、これによってインク全体の粘度の上昇が認められることである。このインクの高粘度化には、インク粘度の上昇が認められる場合のみならず、色材などインクを構成する成分の一部が凝集する事により局所的に粘度の上昇を生じる場合をも含む。このインク高粘度化成分は被記録体上でのインク及び/又はインクを構成している成分の一部の流動性を低下せしめて、第一の画像形成時のブリーディングや、ビーディングを抑制する効果がある。本発明において、インクを高粘度化することを「インクを粘稠する」とも称する。このようなインク高粘度化成分として、多価の金属イオン、有機酸、カチオンポリマー、多孔質性微粒子などの公知のものを用いることができる。中でも、特に多価の金属イオン及び有機酸が好適である。また、複数の種類のインク高粘度化成分を含有させることも好適である。尚、反応液中のインク高粘度化成分の含有量は、反応液全質量に対して5質量%以上であることが好ましい。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+及びZn2+等の二価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+及びAl3+等の三価の金属イオンが挙げられる。
また有機酸としては、例えば、シュウ酸、ポリアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、レブリン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸等が挙げられる。
反応液は水や低揮発性の有機溶剤を適量含有することができる。この場合に用いる水はイオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また本実施形態での反応液に用いることのできる有機溶剤としては特に限定されず、公知の有機溶剤を用いることができる。
また、反応液は界面活性剤や粘度調整剤を加えてその表面張力や粘度を適宜調整して用いることができる。用いられる材料としてはインク高粘度化成分と共存できるものであれば特に制限は無い。具体的に用いられる界面活性剤としては、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(「アセチレノールE100」、川研ファインケミカル株式会社製商品名)、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(「メガファックF444」、DIC株式会社製商品名)等が挙げられる。
本実施形態では、液吸収部材のクリーニング性向上のために、液吸収部材が有する多孔質体が第一の画像から吸収する液体に反応液に含まれるインク高粘度化成分が含まれていることを特徴とする。この状態を実現させるために、反応液付与装置104によって付与される反応液量を、次に付与されるインクの最大インク量を高粘度化させるのに必要な量よりも多く付与する。画像から吸収する液体成分に反応液中の高粘度化成分が含まれていることにより、インク中の高粘度化に寄与する化学種とは未反応のインク高粘度化成分の化学種が、液吸収部材の多孔質体に含まれることになる。反応液中の高粘度化に寄与する化学種を第一の化学種、インク中の高粘度化に寄与する化学種を第二の化学種という。第一の化学種としては、上記したように多価金属イオンや、有機酸から発生するプロトンイオンもしくはヒドロニウムイオンなどのカチオン成分が挙げられる。インク中の第二の化学種としては、第一の化学種のカチオン成分と反応するアニオン成分が挙げられ、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、リン酸アニオンなどの各酸アニオンなどが挙げられる。
なお、反応液の付与量はインク付与装置で付与可能な被記録体上の領域全てに反応液を付与する際に、略均一な層が形成できる付与量であればよい。これによりインクドットの真円度の低下が抑制できる。また、過剰の反応液の付与は、インク固形分の凝集過程で必要以上に収縮し、画像品位が損なわれることがある。このような観点から、本実施形態における反応液の付与量は0.05g/m以上2g/m以下が好ましく、0.1g/m以上1.3g/m以下がより好ましい。
<インク付与工程(2)>
インクを付与するインク付与装置として、インクジェットヘッドを用いる。インクジェットヘッドとしては、例えば電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態、電気−機械変換体によってインクを吐出する形態、静電気を利用してインクを吐出する形態等が挙げられる。実施形態では、公知のインクジェットヘッドを用いることができる。中でも特に高速で高密度の印刷の観点からは電気−熱変換体を利用したものが好適に用いられる。描画は画像信号を受け、各位置に必要なインク量を付与する。
インク付与量は画像濃度(duty)やインク厚みで表現することができるが、実施形態では各インクドットの質量に付与個数を掛け、印字面積で割った平均値をインク付与量(g/m)とした。尚、画像領域における最大インク付与量とは、インク中の液体成分を除去する観点より、被記録体の情報として用いられる領域内において、少なくとも5mm以上の面積において付与されているインク付与量を示す。
実施形態のインクジェット記録装置は、被記録体上に各色のインクを付与するために、インクジェットヘッドを複数有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いてそれぞれの色画像を形成する場合、インクジェット記録装置は上記4種類のインクを被記録体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドを有する。
また、インク付与部材は、色材を含有しないインク(クリアインク)を吐出するインクジェットヘッドを含んでいてもよい。
<インク>
実施形態に適用されるインクの各成分について説明する。
(色材)
実施形態に適用されるインクに含有される色材として、顔料又は染料と顔料との混合物を用いることができる。色材として用いることができる顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イミダゾロン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系などの有機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
色材として用いることができる染料の種類は特に限定されない。染料の具体例としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、食用染料などを挙げることができ、アニオン性基を有する染料を用いることができる。染料骨格の具体例としては、アゾ骨格、トリフェニルメタン骨格、フタロシアニン骨格、アザフタロシアニン骨格、キサンテン骨格、アントラピリドン骨格などが挙げられる。
インク中の顔料の含有量は、インク全質量に対し0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
(分散剤)
顔料を分散させる分散剤としては、インクジェット用インクに用いられる公知の分散剤を使用することができる。中でも実施形態においては構造中に親水性部と疎水性部とを併せ持つ水溶性の分散剤を用いることが好ましい。特に、少なくとも親水性のモノマーと疎水性のモノマーとを含んで共重合させた樹脂からなる顔料分散剤が好ましく用いられる。ここで用いられる各モノマーについては特に制限はなく、公知のものが好適に用いられる。具体的には、疎水性モノマーとしては、スチレン及びその他のスチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。
該分散剤の酸価は50mgKOH/g以上550mgKOH/g以下であることが好ましい。また、該分散剤の重量平均分子量は1000以上50000以下であることが好ましい。尚、顔料と分散剤との質量比(顔料:分散剤)としては1:0.1〜1:3の範囲であることが好ましい。
また分散剤を用いず、顔料自体を表面改質して分散可能としたいわゆる自己分散顔料を用いることも好適である。
(樹脂微粒子)
実施形態で用いるインクは、色材を有しない各種微粒子を含有させて用いることができる。中でも樹脂微粒子は画像品位や定着性の向上に効果がある場合があり好適である。
実施形態で用いることのできる樹脂微粒子の材質としては、特に限定されず公知の樹脂を適宜用いることができる。具体的には、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ尿素、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸及びその塩、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル、ポリジエン等の単独重合物、または、これらの単独重合物を生成するためのモノマーを複数組み合わせて重合した共重合物が挙げられる。該樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上2,000,000以下の範囲が好適である。またインク中における樹脂微粒子の量は、インク全質量に対して1質量%以上50質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以上40質量%以下である。
さらに実施形態の態様においては、該樹脂微粒子が液中に分散した樹脂微粒子分散体として用いることが好ましい。分散の手法については特に限定はないが、解離性基を有するモノマーを単独重合もしくは複数種共重合させた樹脂を用いて分散させたいわゆる自己分散型樹脂微粒子分散体は好適である。ここで解離性基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、この解離性基を有するモノマーとしてはアクリル酸やメタクリル酸等が挙げられる。また、乳化剤により樹脂微粒子を分散させたいわゆる乳化分散型樹脂微粒子分散体も、同様に実施形態に好適に用いることができる。ここで言う乳化剤としては、低分子量、高分子量に関わらず公知の界面活性剤が好ましい。該界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤か、もしくは樹脂微粒子と同じ電荷を持つ界面活性剤が好ましい。
実施形態の態様に用いる樹脂微粒子分散体は、10nm以上1000nm以下の分散粒径を有することが好ましく、さらに100nm以上500nm以下の分散粒径を有することがより好ましい。
また実施形態の態様に用いる樹脂微粒子分散体を作製する際に、安定化のために各種添加剤を加えておくことも好ましい。該添加剤としては、例えば、n−ヘキサデカン、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、クロロベンゼン、ドデシルメルカプタン、青色染料(ブルーイング剤)、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
(界面活性剤)
実施形態に用いることのできるインクは界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、具体的には、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(アセチレノ−ルE100、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。インク中の界面活性剤の量は、インク全質量に対して0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
(水及び水溶性有機溶剤)
実施形態に用いるインクは溶剤として水及び/または水溶性有機溶剤を含むことができる。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、インク中の水の含有量は、インク全質量に対して30質量%以上97質量%以下であることが好ましく、インク全質量に対して50質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。
また用いる水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、公知の有機溶剤をいずれも用いることができる。具体的には、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、2−ピロリドン、エタノール、メタノール、等が挙げられる。もちろん、これらの中から選択した2種類以上のものを混合して用いることも出来る。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量は、インク全質量に対して3質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
(その他添加剤)
実施形態に用いることのできるインクは上記成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂及びその中和剤、粘度調整剤など種々の添加剤を含有してもよい。
<液吸収工程(3)>
実施形態では、第一の画像に多孔質体を有する液吸収部材と接触させることで吸収し、第一の画像中の液体量を減少させる。液吸収部材の第一の画像との接触面を第一面とし、第一面に多孔質体が配置される。このような多孔質体を有する液吸収部材は、被記録体の移動に連動して移動し、第一の画像と当接した後、所定の周期で別の第一の画像に再当接する循環して液吸収が可能な形状を有するものが好ましい。例えば、無端ベルト状やドラム状などの形状が挙げられる。
(多孔質体)
実施形態に係る液吸収部材の多孔質体は、第一面側の平均孔径が、第一面と対向する第二面側の平均孔径よりも小さい物を使用することが好ましい。多孔質体へのインク固形分付着を抑制するため、孔径は小さいことが好ましく、少なくとも画像と接触する側の第一面の多孔質体の平均孔径は、10μm以下であることが好ましく、さらには5μm以下であるとインクの濾過性がより高まる。さらには、平均孔径は0.2μm以下とすることもできる。該平均孔径の下限は特に限定されないが、例えば0.02μm以上とすることができる。なお、実施形態において平均孔径とは第一面または第二面の表面での平均直径のことを示し、公知の手段、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等で測定可能である。径を小さくしておくと濾過性を高くすることができる。使用するインクが反応液と反応した後に凝集した色材、あるいは高粘度化したインクが通り抜けないような径の大きさに設定し、多孔質体の第1の層より奥の層への色材付着を抑制するとよい。
また、均一に高い通気性とするために多孔質体の厚みを薄くすることが好ましい。通気性はJIS P8117で規定されるガーレ値で示すことができ、ガーレ値は10秒以下であることが好ましい。
但し、多孔質体を薄くすると、液体成分を吸収するために必要な容量を十分に確保しづらくなる場合があるため、多孔質体を多層構成とすることが可能である。
次に、多孔質体を多層構成とする場合の実施形態について説明する。ここでは第一の画像に接触する側の第一の層、第一の層の第一の画像との接触面と反対の面に積層される層を第二の層として説明する。さらに多層の構成についても順次第一の層からの積層順で表記する。なお、本明細書において、第一の層を「吸収層」、第二の層以降を「支持層」ということがある。
[第一の層]
実施形態において、第一の層の材料は特に限定されることはなく、水に対する接触角が90°未満の親水性材料と、接触角が90°以上の撥水性の材料のいずれも使用することができる。
親水性材料としては、セルロースやポリアクリルアミドなどの単一素材、またはこれらの複合材料などから好ましく選択される。また、下記の撥水性材料の表面を親水化処理して用いることもできる。親水化処理としては、スパッタエッチング法、放射線やHOイオン照射、エキシマ(紫外線)レーザー光照射などの方法が挙げられる。
親水性材料の場合、水に対する接触角が60°以下であることがより好ましい。親水性材料の場合、毛管力により液体、特に水を吸い上げる効果がある。
一方、色材付着を抑制するため、及び、クリーニング性を高くするため、第一の層の材料は、表面自由エネルギーの低い撥水性材料、特にフッ素樹脂であることが好ましい。フッ素樹脂としては、具体的に、ポリテトラフルオロエチレン(以下PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等が挙げられる。これらの樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができ、第一の層の中に複数の膜が積層された構成でもよい。撥水性材料の場合、毛管力により液体を吸い上げる効果が殆どなく、初めて画像と接触する際に液体の吸い上げに時間を要することがある。このため、第一の層中に第一の層との接触角が90°未満である液体をしみ込ませておくことが好ましい。第一の画像中の液体に対して、第一の層中にしみ込ませておく液体を予備浸透液ということがある。予備浸透液として反応液を用いることもできる。液吸収部材の第1の面から塗布することで第一の層中にしみ込ませておくことができる。予備浸透液は、第一の液体(水)に界面活性剤や第一の層との接触角の低い液体を混合して調製することが好ましい。
実施形態において、第一の層の膜厚は、50μm以下であることが好ましく、35μm以下であるとよりよく、30μm以下がさらに好ましい。例えば孔径は0.2μm以下であっても、該厚さが35μm以下であることにより、流抵抗の増加を抑制でき、画像流れを抑制できる。下記で説明する実施例において、膜厚は、直進式のマイクロメーターOMV_25(ミツトヨ製)で任意の10点の膜厚を測定し、その平均値を算出することで得た。
第一の層は、公知の薄膜多孔質膜の製造方法により製造することができる。例えば、押出成形などの方法で樹脂材料のシート状物を得た後、所定の厚みに延伸することで得ることができる。また、押出成形時の材料にパラフィン等の可塑剤を添加し、延伸時に加熱などにより可塑剤を除去することで多孔質膜として得ることができる。孔径は添加する可塑剤の添加量、延伸倍率などを適宜調整することで調節することができる。
[第二の層]
第二の層は通気性をもつ層であることが好ましい。このような層は樹脂繊維の不織布でもよいし、織布でもよい。第二の層の材料としては、特に限定されないが、第一の層側へ吸収した液体が逆流しないように、第一の層に対して第一の液体との接触角が同等かそれよりも低い材料であることが好ましい。具体的には、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリウレタン、ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート(PET)など)、ポリスルフォン(PSF)などの単一素材、またはこれらの複合材料などから好ましく選択される。また、第二の層は第一の層よりも孔径の大きな層であることが好ましい。
[第三の層]
多層構造の多孔質体は3層以上の構成であってもよく、限定されない。三層目(第三の層ともいう)以降の層としては剛性の観点から不織布が好ましい。材料としては第二の層と同様なものが用いられる。
[その他の材料]
液吸収部材には、上記の積層構造の多孔質体以外に、液吸収部材の側面を補強する補強部材を有してもよい。また、長尺のシート形状の多孔質体の長手方向端部を繋いでベルト状の部材とする際の接合部材を有してもよい。このような材料としては非孔質のテープ材などを用いることができ、画像と接触しない位置あるいは周期に配置すればよい。
[多孔質体の製造方法]
第一の層と第二の層を積層して多孔質体を形成する方法は、特には限定されることはない。重ね合わせるだけでもよいし、接着剤ラミネートまたは熱ラミネートなどの方法を用いて互いに接着してもよい。通気性の観点から、実施形態においては熱ラミネートが好ましい。また、例えば、加熱により、第一の層または第二の層の一部を溶融させて接着積層してもよい。また、ホットメルトパウダーのような融着材を第一の層と第二の層の間に介在させて加熱により互いに接着積層してもよい。第三の層以上を積層する場合は、一度に積層させてもよいし、順次積層させてもよく、積層順に関しては適宜選択される。
加熱工程では、加熱されたローラで多孔質体を挟み込んで加圧しながら、多孔質体を加熱するラミネート法が好ましい。
<液吸収部材のクリーニング工程(4)>
クリーニング工程(4)は、多孔質体が第一の画像と当接する第一の面にクリーニング部材を接触させて、第一の面上のインク固形分を第一の面から分離することで行う。ここでは、多孔質体の第一の面への影響が少ない方法が選択でき、特に、多孔質体の第一の面よりも表面エネルギーの大きいクリーニング部材を接触させて、クリーニング部材の表面にインク固形分を転位吸着させて分離することが好ましい。液吸収部材がベルト状やロール状など回転移動する場合、クリーニング部材は液吸収部材と連動して当接面が移動するロール形状やベルト形状であることが好ましい。
<液吸収部材の液回収工程(5)>
液回収工程(5)では、多孔質体に吸収された液体が多孔質体の第一の面側に残るように回収する。液回収はエアナイフ等による加圧気体による液体押し出しや、スポンジ等の吸収部材の押し当て、負圧印加による吸引、絞り等、公知の手段を何れも用いることが可能であるが、液吸収部材の劣化が少ない手段が好ましい。液回収は、多孔質体に吸収された液体が多孔質体の第一の面側に残すことができるのであれば、第一の面、第二の面のいずれから行ってもよい。中でも多孔質体の第二の面にエアナイフ等による加圧気体を吹きつけ、圧力により第二の面から押し出して回収する方法は、第一の面側に液体を残存させ易く、好ましい。その際吸収された液体が多孔質体の第一の面側に残るように、加圧気体の噴出圧を調整して回収する。また、多孔質体として第一の面表面での平均孔径が第二の面の表面での平均孔径より小さい多孔質体を使用すること、特に積層構造の多孔質体を使用することが好ましい。
なお、液回収工程(5)はクリーニング工程(4)と同時に行うこともできる。例えば、クリーニング部材として多孔質の部材を使用することで、液吸収部材の第一の面から液体成分の回収とクリーニングとを行うことができる。この場合も、多孔質体に吸収された液体が一部残る液回収を行えば、多孔質体の第一の面側に液体が残ることになる。
<メカニズムの説明>
実施形態では、液吸収部材の多孔質体が第一の画像に当接する際に、被記録体上及び多孔質体内にインク高粘度化成分と反応するインク中の第二の化学種よりもインク高粘度化成分の反応に寄与する第一の化学種が単位面積あたりのモル当量において多く含まれていることを特徴とする。上記状態を実現させるために、(i)第一の画像に液吸収部材を接触させて吸収された液体にインク高粘度化成分が含まれ、かつ(ii)多孔質体に吸収された液体を回収する液回収工程において、インク高粘度化成分を含む液体が多孔質体の第一の面側に残存するように回収することを特徴としている。
上述した2つの構成による効果を、発明者は以下のメカニズムによると推測している。
まず、被記録体上から吸収する液体にインク高粘度化成分が余剰に含まれる場合のイメージを図7(a)〜(d)、余剰のインク高粘度化成分が含まれない場合のイメージを図8(a)〜(c)に示す。
液体成分を液吸収する前の状態を、それぞれ図7(a)、図8(a)に示す。被記録体上に余剰のインク高粘度化成分が含まれない図8(a)の状態で液吸収を行うと、図8(b)に示すように第一の画像3に含まれるインク固形分(色材3aや樹脂微粒子3bなど)が多孔質体4の内部に吸収した液体5と共に侵入する場合がある。この場合、侵入したインク固形分が多孔質体4の孔を詰まらせてしまい、液吸収性能が劣化する。液吸収性能の劣化を抑制するには液吸収部材をクリーニングして、液吸収部材内部のインク固形分を除去する必要があるが、液吸収部材内部のインク固形分を取り除くには強力なクリーニング6Sが必要になり、液吸収部材の耐久性を劣化させてしまう(図8(c))。多孔質体の孔の目詰まりは、液吸収を繰り返す度に侵入するインク固形分によって徐々に進行し、サイクル数が増えるに従って液吸収性能の劣化として顕著となる。
これに対して、図7(a)では、被記録体1上にインク高粘度化成分2が余剰に含まれているために、多孔質体4と第一の画像3とが接触することで、多孔質体4の当接面にインク高粘度化成分の被膜2Aが形成され(図7(b))、第一の画像3内に含まれるインク固形分が、多孔質体4の表面でインク高粘度化成分とさらに反応して高粘度化し、図7(c)に示すように多孔質体4の内部に侵入することなく、多孔質体4の表面で一部留めることが可能になると推測している。このとき、多孔質体4の表面において、多孔質体4側に残存していた化学種と被記録体1側から多孔質体4側へ移動する化学種とを母集団としてインク高粘度化成分のモル当量上の余剰が成り立てば、上述したインク固形分を多孔質体4の表面に留める効果が発揮されると考えられる。多孔質体4側へ移動せずに被記録体1側に留まり続けるものに対してまで余剰なインク高粘度化成分が多孔質体4の表面になくともよいと想定される。
これによって、クリーニングは多孔質体4の表面で留まっている高粘度化したインク固形分のみを取り除けばよくなり、吸着剥離などの液吸収部材の多孔質体に負担の少ないクリーニング6mを選択することができる(図7(d))。ただし、被記録体上ではインクが付与され画像が形成される画像領域と、インクが付与されず反応液のみが付与された非画像領域とが形成される。このため、画像領域と非画像領域とではインク高粘度化成分の余剰量が異なり、画像領域では十分なインク高粘度化成分を多孔質体で吸収できない場合がある。そのため、初回の液吸収工程ではインク固形分が多孔質体内部に浸透することがある。反応液を多く付与すれば、画像領域での余剰分も十分確保できるが、その分吸収すべき液量が増加し、十分に液吸収できずに目的とするカールやコックリングの抑制ができなくなる。また、反応液の付与量が多くなりすぎることで、液吸収時に画像が押し流される「画像流れ」が生じて画像品位が低下することがある。反応液中のインク高粘度化成分の濃度も必要以上に高くすれば、反応液の粘度が高くなり、均一な反応液付与が困難となる。このように反応液の付与量は制限されるため、画像領域でインク固形分を多孔質体の表面に留めおくことができない場合がある。
図9は、実施形態に係るインクジェット記録方法の主要シーケンスを説明するフローである。上記で説明したように、記録を開始すると、反応液付与(S1)、インク付与(S2)、液吸収(S3)、クリーニング(S4)の各工程を行い、この段階で液吸収部材から液回収の要否を判定する。液回収が必要と判断された場合には液回収(S5)の工程を実施し、S1に戻る(サイクルC2)。通常、液吸収部材はS1〜S4の工程の1サイクルで吸収される液体量よりも大きな液容量を有しており、必ずしも1サイクル毎に次の液回収(S5)の工程を行う必要はない。したがって、所定の液容量に達するまでS1〜S4工程を繰り返すサイクルC1を実施することができる。なお、記録を終了するときはS5の後C2のサイクルに戻らずに終了する。また、図10に示すように、液回収の要否を判定せずに、図9のシーケンスと同様のS1〜S5の工程を1サイクルとして行ってもよい。このようにサイクルC1、C2を繰り返すことで、多孔質体中には吸収したインク高粘度化成分を含む液体が含まれることとなり、また、インク高粘度化成分の移動により濃度差の減少が起こる。S5工程では、液体が多孔質体の第一の面側に残るように液体を回収する。液回収毎に多孔質体内部のインク高粘度化成分を含む液体を全て回収してしまうと、サイクルC2毎にインク高粘度化成分の濃度差減少がリセットされてしまい、上記したように画像領域で付着物を多孔質体の表面に留めおくことができずに、多孔質体の内部にインク固形分が浸透する確率が高くなり、液吸収性能や耐久性を満足できなくなる。実施形態におけるメカニズムの要点は、多孔質体内部へのインク固形分の浸透する確率を減らすことで、長期に亘り多孔質体の目詰まりを抑制すると共に、クリーニングを容易にすることにある。
反応液付与(S1)では、付与される反応液中のインク高粘度化に寄与するプロトンイオン(H)もしくはヒドロニウムイオン(H)などの第一の化学種のモル当量を、インクが最大量付与された時のインク中のカルボン酸イオン(−COO)等の第二の化学種のモル当量の2倍以上とすることが好ましい。それにより、反応液中のインク高粘度化成分は、付与される最大インク量に対しても高粘度化させるために必要な量よりも十分に多い量が付与されることになり、初回から多孔質体内部へのインク固形分の浸透する確率が減る。2回目以降は被記録体上及び多孔質体内に含まれる第一の化学種のモル当量もより多くなり、インク固形分を多孔質体の表面に留めおく効果が高くなり、クリーニング性能がより向上する。第一の化学種と第二の化学種とのモル当量比(第一の化学種のモル当量/第二の化学種のモル当量)の上限は特に制限されず、インク付与後に液吸収部材で吸収可能な液量を満たす反応液の付与量内において、略均一に付与できる濃度の反応液を調製できる範囲であればよい。
このように、(i)画像に液吸収部材が接触する工程において多孔質体に吸収された液体にインク高粘度化成分が含まれ、かつ(ii)前記液回収工程において、液体が液吸収部材の多孔質体の第一の面側に残存するように回収する、という2つの条件を満たした場合のみ、液吸収部材が有する多孔質体の性能維持と高耐久性を両立することが可能となる。
また、上記サイクルの開始前、例えば、装置立ち上げ時において、初期から高粘度化成分が十分に液吸収部材の多孔質体に存在するようにするため、図11に示すように液吸収部材への反応液の充填シーケンスPS1、PS2を実施することで、多孔質体内部にインク高粘度化成分を充填し、実施形態による効果を初期時から高めることが可能になる。このシーケンスでは、PS2の反応液吸収の後は図10で示したサイクルと同じフローとなる。
このシーケンスは、まずPS1において転写体等の被記録体上に、インク高粘度化成分を含む反応液が付与される。次にPS2において、通常の印字シーケンスではインク付与(S2)によって被記録体上にインクが付与されるが、本シーケンスにおいてはインク付与を実施せず、液吸収部材に反応液のみが吸収される。これによって、装置立ち上げ時に液吸収部材にインク高粘度化成分を略均一に充填することが可能となり、装置立ち上げの印字試行回数1回目から、良好なインク高粘度化成分の被膜2Aが形成されることになり、インク固形分を多孔質体の表面に留めおくという効果が発現可能となる。
また、実施形態の上記充填シーケンスは、装置立ち上げ時のみに適用されるものではなく、液吸収部材に反応液が充填されていない状態で印字動作を行う状況においては、印字動作直前に実施されることが望ましい。例えば、液吸収部材の交換後、直前の印字から長時間印字が実施されなかったとき、等の上記サイクルの前に充填シーケンスを実施することが考えられる。
なお、PS1工程及びPS2工程は、反応液を液吸収部材の多孔質体の第一の面から充填できればよく、直接液吸収部材に反応液を塗布してもよい。その後は、図9または図10と同じシーケンスとなる。
次に上述した実施形態のインクジェット記録方法を実施可能なインクジェット記録装置の具体的な実施形態例について説明する。
実施形態のインクジェット記録装置としては、被記録体としての転写体上に第一の画像を形成し、液吸収部材による液体吸収後の第二の画像を記録媒体へ転写するインクジェット記録装置と、被記録体としての記録媒体上に第一の画像を形成するインクジェット記録装置とが挙げられる。なお、前者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に転写型インクジェット記録装置と称し、後者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に直接描画型インクジェット記録装置と称する。
以下にそれぞれのインクジェット記録装置について説明する。
(転写型インクジェット記録装置)
転写型インクジェット記録装置において、被記録体は、第一の画像と、前記第一の画像から第一の液体を吸収した第二の画像を一時的に保持する転写体である。また、転写型インクジェット記録装置は、前記第二の画像を、画像を形成すべき記録媒体上に転写する転写部材を備えた転写ユニットを含む。
図1は、本実施形態の転写型インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す模式図である。
実施形態の転写型インクジェット記録装置100は、図1に示すように、支持部材102によって支持された転写体101と、転写体101上に反応液を付与する反応液付与装置103と、反応液が付与された転写体101上にインクを付与し、転写体上で第一の画像を形成するインク付与装置104と、転写体上の第一の画像から液体成分を吸収する液吸収装置105、液体成分を除去した転写体上の第二の画像を紙などの記録媒体108上に転写する転写用の押圧部材106を有する。また、転写型インクジェット記録装置100は、必要に応じて転写した後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有していてもよい。
支持部材102は、回転軸102aを中心として図1の矢印Aの方向に回転する。この支持部材102の回転により、転写体101が移動される。移動された転写体101上に、反応液付与装置103による反応液、および、インク付与装置104によるインクの付与が順次行われ、転写体101上に第一の画像が形成される。転写体101上に形成された第一の画像は、転写体101の移動により、液吸収装置105が有する液吸収部材105aと接触する位置まで移動される。
液吸収装置105の液吸収部材105aは、転写体101の回転に同期して移動する。転写体101上に形成された第一の画像はこの移動する液吸収部材105aと接触した状態を経る。この間に液吸収部材105aは画像から液体成分を除去する。
なお、画像は液吸収部材105aと接触した状態を経ることで液体成分が除かれる。このとき画像と液吸収部材105aとは所定の押圧力をもって接触した状態とされることが本装置構成では液吸収部材105aを効果的に機能させる観点で特に好ましい構成である。
液体成分の除去を異なる視点で説明すれば、転写体上に形成された第一の画像を構成するインクを濃縮するとも表現することができる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
そして、液体成分が除去された第二の画像は、転写体101の移動により、記録媒体と接触する転写部に移動され、記録媒体搬送装置107によって転写部に搬送された記録媒体108に接触することによって、記録媒体108上に画像を形成する。記録媒体108上に転写された転写後インク像は第二の画像の反転画像であり、以降の説明では、上述した第一の画像(液除去前インク像)、第二の画像(液除去後インク像)と区別してこの転写後インク像を第三の画像ということがある。
なお、転写体上には反応液が付与されてからインクが付与されて画像が形成されるため、非画像領域には反応液がインクと反応することなく残っている。本装置では液吸収部材105aは画像からのみならず、未反応の反応液とも接触し、反応液の液体成分も併せて除去している。
したがって、以上では、画像から液体成分を除去すると表現し説明しているが、画像のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、少なくとも転写体上の画像から液体成分を除去していればよいという意味合いで用いている。例えば、第一の画像とともに第一の画像の外側領域に付与された反応液中の液体成分を除去することも可能である。
なお、液体成分は、一定の形を持たず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。
例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。
また、上述したクリアインクが第一の画像に含まれている場合においても、液吸収処理によるインクの濃縮を行うことができる。例えば、転写体101上に付与された色材を含有するカラーインクの上にクリアインクが付与されると、第一の画像の表面には全面的にクリアインクが存在しているか、若しくは、第一の画像の表面の一箇所あるいは複数箇所にクリアインクが部分的に存在し、他はカラーインクとなっている。第1の画像の表面に全面的にクリアインクが存在している場合には、多孔質体が第一の画像の表面のクリアインクの液体成分を吸収し、クリアインクの液体成分が移動する。それに伴ってカラーインク中の液体成分が多孔質体側へ移動することで、カラーインク中の水性液体成分が吸収される。一方、第一の画像の表面にクリアインクの領域とカラーインクの領域が存在している箇所では、カラーインク及びクリアインクのそれぞれの液体成分が多孔質体側へ移動することで水性液体成分が吸収される。なお、このクリアインクには、転写体101から記録媒体への画像の転写性を向上させるための成分を多く含ませておいてもよい。例えばカラーインクよりも加熱により記録媒体への粘着性が高くなる成分の含有率を高くしておくことが挙げられる。
本実施形態の転写型インクジェット記録装置の各構成について図1を参照して以下に説明する。
<転写体>
転写体101は、画像形成面を含む表面層を有する。表面層の部材としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
また転写体は、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層の部材としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。上記ゴム材料の成形時に、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し多孔質としたものが好ましい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがある。本実施形態ではいずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
さらに転写体は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の部材としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料が好ましく用いられる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンのコポリマー、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で好ましい。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)の間に、これらを固定・保持するために各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、装置に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を設けてもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
転写体の大きさは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、特に制限されず、具体的にはシート形状、ローラ形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。
<支持部材>
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体の支持方法として、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。または、転写体に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて転写体を支持部材102上に支持してもよい。
支持部材102は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いるのも好ましい。
<反応液付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101に反応液を付与する反応液付与装置103を有する。図1の反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。
<インク付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、反応液を付与された転写体101にインクを付与するインク付与装置104を有する。反応液とインクとが混合されることで第一の画像が形成され、次の液吸収装置105にて第一の画像から液体成分が吸収される。
<液吸収装置>
本実施形態において、液吸収装置105は、液吸収部材105a、および、液吸収部材105aを転写体101上の第一の画像に押し当てる押圧部材105bを有する。なお、液吸収部材105aおよび押圧部材105bの形状については特に制限がない。例えば、図1に示すように、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aがベルト形状であって、円柱形状の押圧部材105bでベルト形状の液吸収部材105aを転写体101に押し当てる構成であってもよい。また、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aが円柱形状の押圧部材105bの周面上に形成された円筒形状であって、円柱形状の押圧部材105bで円筒形状の液吸収部材105aを転写体に押し当てる構成であってもよい。
本実施形態において、インクジェット記録装置内でのスペース等を考慮すると、液吸収部材105aはベルト形状であることが好ましい。
また、このようなベルト形状の液吸収部材105aを有する液吸収装置105は、液吸収部材105aを張架する張架部材を有していてもよい。図1において、105c、105d、105eは張架部材としての張架ローラである。図1において、押圧部材105bも張架ローラと同様に回転するローラ部材としているが、これに限定されるものではない。
液吸収装置105では、多孔質体を有する液吸収部材105aを押圧部材105bによって第一の画像に接触させることで、第一の画像に含まれる液体成分を液吸収部材105aに吸収させ、第一の画像から液体成分を減少させた第二の画像とする。第一の画像中の液体成分を減少させる方法として、液吸収部材を接触する本方式に加え、その他従来用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を組み合わせてもよい。また、液体成分を減少させた第二の画像にこれらの方法を適用してさらに液体成分を減少させてもよい。
以下、液吸収装置105における、各種条件と構成について詳細に述べる。
(前処理)
本実施形態において、多孔質体を有する液吸収部材105aを第一の画像に接触させる前に、液吸収部材に処理液を付与する前処理手段(図1および2では不図示)によって前処理を施すことが好ましい。本実施形態に用いる処理液は、水及び水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、エタノールやイソプロピルアルコール等の公知の有機溶剤をいずれも用いる事ができる。本実施形態に用いる液吸収部材の前処理において、付与方法は特に限定されないが、浸漬や液滴滴下が好ましい。この前処理として図11に示すPS1,PS2を実施して反応液を前処理液としてもよい。
(加圧条件)
転写体上の第一の画像に対して接触する液吸収部材の圧力が2.9N/cm(0.3kgf/cm)以上であれば、第一の画像中の液体をより短時間に固液分離でき、第一の画像中から液体成分を除去できるため好ましい。尚、本明細書における液吸収部材の圧力とは、被記録体と液吸収部材との間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器(新田株式会社製 I−SCAN)にて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。
(作用時間)
第一の画像に液吸収部材105aを接触させる作用時間は、第一の画像中の色材が液吸収部材へ付着することをより抑制するために、50ms以内であることが好ましい。尚、本明細書における作用時間とは、上述した面圧測定における、被記録体の移動方向における圧力感知幅を、被記録体の移動速度で割って算出される。以降、この作用時間を液吸収ニップ時間と称す。
このようにして、転写体101上には、第一の画像から液体成分が吸収され、液体成分の減少した第二の画像が形成される。第二の画像は次に転写部において記録媒体108上に転写される。転写時の装置構成及び条件について説明する。
<転写用の押圧部材>
本実施形態では、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108上に転写体101上の第二の画像を、押圧部材106により記録媒体108に接触させることで転写する手段を有する。転写体101上の第一の画像に含まれる液体成分を除去した後に、記録媒体108へ転写することにより、カールや、コックリング等を抑制した記録画像を得ることが可能となる。
押圧部材106は記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。押圧部材106の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いてもよい。
転写体101上の第二の画像を記録媒体108に接触させる時間については特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにするために、5ms以上100ms以下であることが好ましい。尚、本実施形態における接触させる時間とは、記録媒体108と転写体101間が接触している時間を示しており、面圧分布測定器(新田株式会社製 I−SCAN)にて面圧測定を行い、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割り、値を算出したものである。
また、転写体101上の第二の画像を記録媒体108に接触させる際の圧力についても特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにする。このために、圧力が9.8N/cm(1kg/cm)以上294.2N/cm(30kg/cm)以下であることが好ましい。尚、本実施形態における圧力とは、記録媒体108と転写体101間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器にて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。
転写体101上の第二の画像を記録媒体108に接触させる温度についても特に制限はないが、インクに含まれる樹脂成分のガラス転移点以上又は軟化点以上であることが好ましい。また、加熱には転写体101上の第二の画像、転写体101及び記録媒体108を加熱する加熱手段を備える態様が好ましい。
押圧部材106の形状については特に制限されないが、例えばローラ形状のものが挙げられる。
<記録媒体および記録媒体搬送装置>
本実施形態において、記録媒体108は特に限定されず、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物、あるいは所定の寸法に裁断された枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルムなどが挙げられる。
また、図1において、記録媒体108を搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されているが、記録媒体を搬送できればよく、特にこの構成に限定されるものではない。
<制御システム>
本実施形態における転写型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図3は図1に示す転写型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。
図3において、301は外部プリントサーバー等の記録データ生成部、302は操作パネル等の操作制御部、303は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部、304は記録媒体を搬送するための記録媒体搬送制御部、305は印刷するためのインクジェットデバイスである。
図4は図1の転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
401はプリンタ全体を制御するCPU、402は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、403はプログラムを実行するためのRAMである。404はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵した特定用途向けの集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)である。405は液吸収部材搬送モータ406を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。407は転写体駆動モータ408を駆動するための転写体駆動制御部であり、同様にASIC404からシリアルIFを介してコマンド制御される。409はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
<クリーニング装置>
本実施形態では図1に示すように液吸収部材のクリーニング装置14を有する。クリーニング装置14では、部材14aが液吸収部材105aの第一の面に接触することにより、液吸収部材の第一の面に付着した色材や樹脂粒子等のインク固形分を除去する。クリーニング装置14はクリーニング部材14aと、さらに必要に応じて図6に示すようなクリーニングブレード14bとを含んで構成される。クリーニング部材14aは、液吸収部材105aに接触し、第一の面上に付着したインク固形分を除去する性能を有していれば、樹脂、金属、ゴム等どのような材料を用いてもかまわない。また、図1にはローラ状の形状をしめしたが、ウェブ状、ベルト状などの構成でも構わない。また、図1では、張架ローラ105cに対向してクリーニング部材14aを配置しているが、張架ローラ間の任意の位置にクリーニング部材14aを有するクリーニング装置14を配置することができる。
<液回収装置>
本実施形態においては、図1に示すように、液体回収装置として液回収モジュール15を用いる。液回収モジュール15は、液回収チャンバ12内に設けられたエアナイフ11などの加圧気体噴出部材により、液吸収部材105aの第二の面(内側)から加圧空気を吹き付けることにより、液吸収部105a内部に浸透した液体成分を押し出し、多孔質体の第二の面から離間した液滴13(b)として吹き飛ばす。吹き飛ばされた液滴13(b)は液回収チャンバ12底部に回収液13(a)として貯留される。液回収モジュール15に対向する液吸収部材105aの第一の面(表面)側には、図1に示すようなバックアップローラ16を配置して、加圧気体を当てることにより液吸収部材105aが外側に膨れることを抑えると共に、吹き飛ばされた液滴13(b)の液吸収部105aへの再付着を防止することができる。エアナイフ11は液回収チャンバ12内部に設けられており、不図示の加圧空気供給チューブにより、加圧空気が供給されている。エアナイフ11には、空気を吹き出すためのスリットが設けられており、ここから吹き出す空気が液吸収部材105(a)の第二の面に吹き付けられ、液吸収部材105(a)から押し出された液体が液滴13(b)となって排出、飛翔する。飛翔した液滴13(b)は、液回収チャンバ12内部におさまり、その底部に回収液13(a)として貯留される。貯留された回収液13(a)は、適宜ドレンチューブ(不図示)などを通じて外部に排出される。第二の面から押し出された液体は、図示するように液滴として飛散させて回収させる構成をとってもよいし、スポンジ等の吸収部材で一旦吸収させて更にこれを絞ることで回収する構成を取ってもよい。回収された液体が液吸収部材105aに再付着することなく液回収チャンバ12の底部にたまるようにするため、本実施形態では、エアナイフ11は液吸収部材105aの下から当てる構成をとっている。また、良好な液回収量を得るため、液吸収部材105aに対するエアナイフ11の当て方としては、加圧気体が液吸収部材105aの搬送方向に対して順方向よりもカウンター方向に当て、エアナイフ11の気体噴出部と液吸収部材105aとの最近接距離は5mm以下に近づける、といった構成としている。また本発明では、特に、小孔径の第一の層と大孔径の第二の層とを有する積層構造の多孔質体を液吸収部材105aの構成とすることにより、第一の層のメニスカス力によりエアナイフ11による液回収後も液体が吸収層内に残存しやすいため、好ましい。液体が第一の層に残存することにより、繰り返し液吸収部材105aを用いた際に、画像に接触される多孔質体の表面にはすでにインク高粘度化成分を含む液体成分が保持されていることになる。
(直接描画型のインクジェット記録装置)
本発明における別の実施形態として、直接描画型インクジェット記録装置が挙げられる。直接描画型インクジェット記録装置において、被記録体は画像を形成すべき記録媒体である。
図2は、本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置200の概略構成の一例を示す模式図である。直接描画型インクジェット記録装置は、前述した転写型インクジェット記録装置と比較し、転写体101、支持部材102、転写体クリーニング部材109を有さず、記録媒体208上で画像を形成する点以外は、転写型インクジェット記録装置と同様の手段を有する。
したがって、記録媒体208に反応液を付与する反応液付与装置203、記録媒体208にインクを付与するインク付与装置204、および、記録媒体208上の第一の画像に接触する液吸収部材205aにより、第一の画像に含まれる液体成分を吸収する液吸収装置205は、転写型インクジェット記録装置と同様の構成を有しており、説明を省略する。
なお、本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、液吸収装置205は液吸収部材205a、および、液吸収部材205aを記録媒体208上の第一の画像に押し当てる押圧部材205bを有する。また、液吸収部材205aおよび押圧部材205bの形状については特に制限がなく、転写型インクジェット記録装置で使用可能な液吸収部材および押圧部材と同様の形状のものを用いることができる。また、液吸収装置205は、液吸収部材を張架する張架部材を有していてもよい。図2において、205c、205d、205e、205f、205gは張架部材としての張架ローラである。張架ローラ205cは、液吸収部材205aの第一の面と接触していることから、これをクリーニング部材14aとして兼用してもよい。張架ローラの数は図2の5個に限定されるものではなく、装置設計に応じて必要数を配置すればよい。また、インク付与装置204によって記録媒体208にインクを付与する印字部、および、液吸収部材205aを記録媒体上の第一の画像に接触し、液体成分を除去する液体成分除去部には、記録媒体を下から支える不図示の記録媒体支持部材を有していてもよい。また、本実施形態の液回収装置15は、図1に示すバックアップローラ16を有する構成に代えて、支持部材17を配置した例を示している。
<記録媒体搬送装置>
本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、記録媒体搬送装置207は特に限定されず、公知の直接描画型インクジェット記録装置における搬送手段を用いることができる。例として、図2に示すように、記録媒体繰り出しローラ207a、記録媒体巻き取りローラ207b、記録媒体搬送ローラ207c、207d、207e、207fを有する記録媒体搬送装置が挙げられる。
<制御システム>
本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図2に示す直接描画型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図は、図1に示す転写型インクジェット記録装置と同様に、図3に示す通りである。
図5は図2の直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。転写体駆動制御部407及び転写体駆動モータ408を有さない以外は図4における転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図と同等である。すなわち、501はプリンタ全体を制御するCPU、502は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、503はプログラムを実行するためのRAMである。504はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵したASICである。505は液吸収部材搬送モータ506を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC504からシリアルIFを介して、コマンド制御される。509はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
直接描画型インクジェット記録装置において、図11に示すシーケンスを行う場合、PS1で反応液を付与する記録媒体208として、吸液性の低いシートなどを用いてもよい。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明について更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
本実施例では図1に示す転写型インクジェット記録装置100を用いた。
本実施例における記録媒体上への画像形成は、前述のように、支持部材102に支持された転写体101上に、図10に示すシーケンスにより反応液付与から開始される。このとき付与される反応液は前述したようにインク高粘度化成分を含んでいる。
本実施例では、厚さ0.5mmのPETシートにシリコーンゴム(信越化学工業株式会社製KE12)を0.3mmの厚さにコーティングしたシートを転写体101の弾性層として用いた。さらにグリシドキシプロピルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランとをモル比1:1で混合し、加熱還流により得られる縮合物と光カチオン重合開始剤(ADEKA製SP150)の混合物を作製した。弾性層表面の水の接触角を10度以下となるように大気圧プラズマ処理を行い、前記混合物を弾性層上に付与し、UV照射(高圧水銀ランプ、積算露光量5000mJ/cm)、熱硬化(150℃2時間)により成膜し、弾性層上に厚さ0.5μmの表面層を形成した転写体101を作製した。
本構成においては、なお説明の簡略のため図示を省略しているが、転写体101と支持部材102の間に転写体101を保持するために両面テープを用いた。
また、本構成においては、転写体101の表面は図示しない加熱手段により60℃としている。また、以下の実施例、比較例においては反応液の付与量は反応液付与部材103b、103cを変更することで付与量を変更した。
本実施例における反応液付与装置103により付与される反応液は、以下組成のものを用い、付与量は0.3g/mとした。
・グルタル酸 21.0部
・グリセリン 5.0部
・水酸化カリウム 0.9部
・界面活性剤(製品名:メガファックF444、DIC(株)製) 5.0部
・イオン交換水 残部
本実施例において反応液が0.3g/m付与されたとき、インク高粘度化成分として作用する反応液内のプロトンイオンのモル量は約0.9mmol/mであった。前述のように反応液を付与された転写体101には、次にインク付与装置104によってインクが付与される。本実施例におけるインクは以下のように調製した。
<顔料分散体の調製>
カーボンブラック(製品名:モナク1100、キャボット製)10部、樹脂水溶液(スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体、酸価150、重量平均分子量(Mw)8,000、樹脂の含有量が20.0質量%の水溶液を水酸化カリウム水溶液で中和したもの)15部、純水75部を混合し、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを200部充填し、水冷しつつ、5時間分散処理を行った。この分散液を遠心分離して、粗大粒子を除去した後、顔料の含有量が10.0質量%のブラック顔料分散体を得た。
<樹脂粒子分散体の調製>
エチルメタクリレート20部、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)3部、n−ヘキサデカン2部を混合し、0.5時間攪拌した。この混合物を、スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(酸価:130mgKOH/g、重量平均分子量(Mw):7,000)の8%水溶液75部に滴下して、0.5時間攪拌した。次に超音波照射機で超音波を3時間照射した。続いて、窒素雰囲気下で80℃、4時間重合反応を行い、室温冷却後にろ過して、樹脂の含有量が25.0質量%である樹脂粒子分散体を調製した。
<インクの調製>
上記で得られた樹脂粒子分散体、及び、顔料分散体を下記各成分と混合した。尚、イオン交換水の残部は、インクを構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・顔料分散体(色材の含有量は10.0質量%) 40.0質量%
・樹脂粒子分散体 20.0質量%
・グリセリン 7.0質量%
・ポリエチレングリコール(数平均分子量(Mn):1,000) 3.0質量%
・界面活性剤 0.5質量%
(アセチレノールE100、川研ファインケミカル(株)製)
・イオン交換水 残部
これを十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧ろ過を行い、ブラックインクを調製した。
インク付与装置104は電気−熱変換素子を用いオンデマンド方式にてインク吐出を行うタイプのインクジェットヘッドを使用し、反応液が付与された感光体101上に調製インクを最大付与量26g/mで付与し、第一の画像を形成した。このとき、反応液中のインク高粘度化成分として作用するプロトンイオンと反応するインク中のカルボン酸イオンのモル量は0.6mmol/mであった。
本実施例において、画像形成のために付与される反応液中のインク高粘度化に寄与するプロトンイオンのモル量は、インクが最大量付与された時の反応液のプロトンイオンと反応してインク高粘度化に寄与するインク中のカルボン酸イオンのモル量の約1.5倍であった。プロトンイオンとカルボン酸イオンは共に1価であるので、モル当量比(H/COO)も約1.5である。
次に、転写体101上にインク付与装置104により形成された第一の画像に対し、液吸収部材105aを当接することで第一の画像中の余分な液体を液吸収部材105aに吸収する。
液吸収部材105aは液吸収部材搬送ローラ105c、105d、105eによって、転写体101の移動速度と等速になるよう調節されている。同様に、記録媒体108も、転写体101の移動速度と等速となるように、記録媒体108は記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって搬送される。
本実施例1における液吸収部材105aは、平均孔径3μm、厚さ100μmの多孔質PTFEを多孔質体として有するベルトを用いた。
このような構成で、転写体101上に形成された第一の画像に対し、液吸収部材105aを当接し、第一の画像中の液体を吸収した。転写体101と液吸収部材105aとの間のニップ圧は、平均圧力が9.8N/cm(1kg/cm)となるよう押圧部材105bに圧力が印加されている。その後、液体成分の減少した第二の画像を記録媒体108に転写する。本実施例においては、記録媒体108としてオーロラコート紙(日本製紙株式会社製・坪量104g/m)を用いた。
一方、液体を吸収した液吸収部材105aは、液吸収部材搬送ローラ105cに対向するクリーニングローラ14aにより、第一の画像との当接面(第一の面)に付着する色材等の付着物をクリーニング除去する。クリーニングローラ14aは、ゴム硬度40°のEPDMゴムを用いて、9.8N/cm(1kg/cm)で液吸収部材105aに接触させた。また、クリーニング装置14は、図6に示すようにクリーニングローラ14aに付着した付着物をクリーニングブレード14bで掻き取るようにした。
その後、液回収チャンバ12内に設けられたエアナイフ11により、液吸収部材105aの第一の面に対向する第二の面からエアナイフ11で加圧空気を吹き付けることにより、液吸収部材105a内部に浸透した液体成分を液滴13(b)として吹き飛ばし、液回収チャンバ12内に回収液13(a)として回収する。この時、一部の液体成分が液吸収部材105aの多孔質体内に残るようにエア圧力を制御して回収を行った。
上記条件にて、反応液付与、インク付与、液吸収、クリーニング、液回収のサイクルを、繰り返し動作を行った。ベルト状の液吸収部材105aが1回転することを1回とカウントした。
(実施例2)
実施例1の液吸収部材105aの多孔質体を2層構成の多孔質体とした以外は実施例1と同様にサイクルを繰り返し行った。多孔質体は、第一の層が平均孔径0.2μm、厚さ25μmのPTFEであり、第二の層が平均孔径15μm、厚さ100μmの不織布の二層で構成されており、第一の層を液吸収部材105aの表面(第一の面)として、転写体上の第一の画像に接触させた。
(実施例3)
実施例1において、印字シーケンスとして図11にて示したPS1,PS2の反応液充填シーケンスを最初に行うシーケンスに、変更した。
(実施例4)
実施例1に対し、反応液の付与量を0.5g/mに変更した。この際の反応液内のプロトンイオンのモル量は約1.4mmol/mであり、インクが最大量付与された時のインク中のインク高粘度化に寄与するカルボン酸イオンのモル量に対し、約2.4倍であった。
(実施例5)
実施例2に対し、反応液の付与量を0.5g/mに変更した。この際の反応液内のプロトンイオンのモル量は約1.4mmol/mであり、インクが最大量付与された時のインク中のインク高粘度化に寄与するカルボン酸イオンのモル量に対し、約2.4倍であった。
(比較例1)
実施例1に対し、反応液の付与量を0.15g/mに変更した。この際の反応液内のプロトンイオンのモル量は約0.4mmol/mであり、インクが最大量付与された時のインク中のインク高粘度化に寄与するカルボン酸イオンのモル量に対し、約0.7倍であった。
(比較例2)
比較例1に対し、クリーニング手段として、アルカリ性洗剤で超音波洗浄する手段を用いた。
(比較例3)
実施例1に対し、エアナイフの圧力調整により、液回収毎にほぼ完全に液吸収部材105aに液体が残らない状態とした。
上述した実施例1〜5、比較例1〜3の条件において、以下の評価手法により評価した。評価結果を表1に示す。下記の各評価項目の評価基準のAA〜Bを許容レベルとし、Cを許容できないレベルとした。
<液吸収性能>
液吸収性能は転写後の記録媒体108のカールを目視で確認し、評価した。
AA:10000回繰り返し評価した場合においても、液吸収性能の劣化が見られなかった。
A:1000回繰り返し評価した場合においても、液吸収性能の劣化が見られなかった。
B:1000回繰り返し評価した場合において、わずかに液吸収性能の劣化が見られたが、実用上問題のないレベルであった。
C:1000回繰り返し評価した場合に、大きく液吸収性能の劣化が見られ、実用上の問題が発生した。
<液吸収部材の耐久性>
液吸収部材の耐久性は、耐久後の液吸収部材の表面の状態を目視で確認して評価した。
B:1000回繰り返し評価した場合において、損傷はあっても極めて小さく実用上問題となるレベルではない。
C:1000回繰り返し評価した場合において、目視レベルである程度の傷が見られる場合があった。
Figure 0006415610
1 被記録媒体
2 反応液(インク高粘度化成分)
3 第一の画像
3a 色材
3b 樹脂微粒子
4 多孔質体
41 第一の層
42 第二の層
5 液体
6m、6s クリーニング
11 エアナイフ
12 液回収チャンバ
13(a) 回収液
13(b) 液滴
14 クリーニング装置
14a クリーニング部材
15 液回収装置
16 バックアップローラ
17 支持部材
100 転写型インクジェット記録装置
101 転写体
102 支持部材
102a 支持部材の回転軸
103 反応液付与装置
103a 反応液収容部
103b、c 反応液付与部材
104 インク付与装置
105 液吸収装置
105a 液吸収部材
105b 押圧部材
105c、d、e 張架ローラ
106 押圧部材
107 記録媒体搬送装置
107a 記録媒体繰り出しローラ
107b 記録媒体巻き取りローラ
108 記録媒体
109 転写体クリーニング部材

Claims (15)

  1. (1)被記録体にインクを高粘度化するインク高粘度化成分を含む反応液を付与する工程と、
    (2)前記反応液が付与された被記録体へインクを吐出して前記被記録体にインクを付与することで第一の画像を形成する工程と、
    (3)液吸収部材が有する多孔質体の第一の面側を前記第一の画像に接触させて、前記多孔質体により前記第一の画像から液体を吸収する液吸収工程と、
    (4)前記第一の面にクリーニング部材を接触させ、当該第一の面をクリーニングする工程と、
    (5)前記多孔質体に吸収された液体を回収する液体回収工程と、
    を有するインクジェット記録方法であって、
    前記工程(3)とは別に、(6)前記反応液を、前記多孔質体の前記第一の面側に充填する工程を含み、
    前記多孔質体が前記第一の画像に接触する際に、前記被記録体上及び前記多孔質体内に前記インク高粘度化成分と反応する前記インク中の第二の化学種よりも前記インク高粘度化成分の反応に寄与する第一の化学種が単位面積あたりのモル当量において多く含まれ、かつ前記工程(5)において、液体が前記多孔質体の前記第一の面側に残存するように回収することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記工程(6)は、前記工程(1)から前記工程(4)までを少なくとも含むサイクルの開始前に、前記反応液を被記録体上に付与し、前記多孔質体を前記反応液のみと接触させる工程であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記液吸収部材は交換可能であり、前記工程(6)は、前記液吸収部材の交換後の最初の前記サイクルの前に実施されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記工程(1)は、前記工程(2)で付与される最大インク量を高粘度化させるのに必要な量よりも多く反応液を付与することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記工程(2)で付与される最大インク量における前記第二の化学種のモル当量に対し、前記工程(1)で付与される反応液中の前記第一の化学種のモル当量が2倍以上であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記多孔質体は、表面となる前記第一の面と、裏面となる第二の面を有する層状構造を有し、前記多孔質体の前記第一の面の表面の平均孔径が、前記第二の面の表面の平均孔径に対して小さく、かつ前記工程(5)では、前記多孔質体の前記第二の面に対して加圧気体をあてることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記多孔質体が第一の平均孔径を有する第一の層と、前記第一の平均孔径よりも大きな第二の平均孔径を有する第二の層の積層構造であり、前記第一の層が前記第一の面側、前記第二の層が前記第二の面側に配置される請求項6に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記工程(5)は、前記工程(1)〜(4)のサイクル毎に行われる請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記被記録体は、前記第一の画像と、前記第一の画像から前記液体を吸収した第二の画像を一時的に保持する転写体であって、前記第二の画像を記録媒体上に転写して第三の画像を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記被記録体が、画像を形成すべき記録媒体である請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  11. 被記録体にインクを高粘度化するインク高粘度化成分を含む反応液を付与する反応液付与手段と、
    前記反応液が付与された被記録体へインクを吐出して前記被記録体にインクを付与することで第一の画像を形成する形成手段と、
    液吸収部材が有する多孔質体の第一の面側を前記第一の画像に接触させて、前記多孔質体により前記第一の画像から液体を吸収する液吸収手段と、
    前記第一の面にクリーニング部材を接触させ、当該第一の面をクリーニングするクリーニング手段と、
    前記多孔質体に吸収された液体を回収する液体回収手段と、
    を有するインクジェット記録装置であって、
    前記インクと混合されていない前記反応液を、前記多孔質体の前記第一の面側に充填する充填手段と、
    前記多孔質体が前記第一の画像に接触する際に、前記被記録体上及び前記多孔質体内に前記インク高粘度化成分と反応する前記インク中の第二の化学種よりも前記インク高粘度化成分の反応に寄与する第一の化学種が単位面積あたりのモル当量において多く含まれるように制御する手段とをさらに有し、
    前記液体回収手段は、液体が前記多孔質体の第一の面側に残存するように回収する手段であることを特徴とするインクジェット記録装置。
  12. 前記充填手段は、前記反応液付与手段により前記反応液を前記被記録体上に付与し、前記多孔質体を前記反応液のみと接触するように制御する手段であることを特徴とする請求項11に記載のインクジェット記録装置。
  13. 前記液吸収手段は、前記液吸収部材が交換可能であり、前記充填手段は、前記液吸収部材の交換後の前記第一の画像と接触する前に前記多孔質体を前記反応液のみと接触させる手段であることを特徴とする請求項11に記載のインクジェット記録装置。
  14. 転写体と、
    該転写体にインクを高粘度化するインク高粘度化成分を含む反応液を付与する反応液付与手段と、
    前記反応液が付与された前記転写体にインクを吐出することで画像を形成する形成手段と、
    液吸収部材が有する多孔質体の第一の面と前記転写体上の前記画像とを接触させて、前記多孔質体により前記画像から液体を吸収することで前記画像を構成するインクを濃縮する液吸収手段と、
    前記濃縮されたインクで構成された画像を記録媒体へ転写する転写手段と、
    前記多孔質体の前記第一の面とクリーニング部材とを接触させ、当該第一の面をクリーニングするクリーニング手段と、
    液体が前記多孔質体の前記第一の面側に残存するように前記多孔質体に吸収された液体を回収する液体回収手段と、
    を備えるインクジェット記録装置における記録方法であって、
    前記記録媒体へ転写される前記転写体上のインク像と前記多孔質体の第一の面とを接触させる前に、予め前記インクを高粘度化するインク高粘度化成分を含む前記反応液を前記多孔質体の前記第一の面に付与し、かつ前記多孔質体が前記第一の画像に接触する際に、前記転写体上及び前記多孔質体内に前記インク高粘度化成分と反応する前記インク中の第二の化学種よりも前記インク高粘度化成分の反応に寄与する第一の化学種が単位面積あたりのモル当量において多く含まれることを特徴とする記録方法。
  15. 転写体と、
    該転写体にインクを高粘度化するインク高粘度化成分を含む反応液を付与する反応液付与手段と、
    前記反応液が付与された転写体にインクを吐出して画像を形成する形成手段と、
    液吸収部材が有する多孔質体の第一の面と前記転写体上の前記画像とを接触させて、前記多孔質体により前記画像から液体を吸収することで前記画像を構成するインクを濃縮する液吸収手段と、
    前記濃縮されたインクで構成される画像を記録媒体へ転写する転写手段と、
    前記多孔質体の前記第一の面とクリーニング部材とを接触させ、当該第一の面をクリーニングするクリーニング手段と、
    液体が前記多孔質体の前記第一の面側に残存するように前記多孔質体に吸収された液体を回収する液体回収手段と、
    を備えるインクジェット記録装置であって、
    前記記録媒体へ転写される前記転写体上のインク像と前記多孔質体の第一の面とを接触させる前に、予め前記インクを高粘度化するインク高粘度化成分を含む前記反応液を前記多孔質体の前記第一の面に付与し、かつ前記多孔質体が前記第一の画像に接触する際に、前記転写体上及び前記多孔質体内に前記インク高粘度化成分と反応する前記インク中の第二の化学種よりも前記インク高粘度化成分の反応に寄与する第一の化学種が単位面積あたりのモル当量において多く含まれるようにするための手段さらに備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
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