本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
(実施の形態1)
本実施の形態では、熱源機制御装置は、熱源機から送出されるドレンを貯留しながら中和する中和槽の水位を検出する水位検出部と、熱源機の所定の燃焼運転の停止制御部と再開制御部とを備える。燃焼運転モードにおいて、停止制御部は、水位検出部によって所定の(予め定められた)水位以上が検出されたとき、燃焼運転を停止するように熱源機を制御する。また、再開制御部は、当該燃焼運転の停止から予め定められた時間内に、水位検出部によって予め定められた水位未満が検出されたとき、燃焼運転を再開するように熱源機を制御する。
これにより、所定の燃焼運転モードにおいて、コロイド状物質などによる中和槽内部のドレン通路が一時的に閉塞する(排水性能が低下する)場合には、燃焼運転は停止するが、その後、予め定められた時間内に、検出水位が予め定められた水位未満となれば、すなわち一時的閉塞が解消されると、燃焼運転を再開させることができる。したがって、ドレン通路が一時的に閉塞する場合には、上記のようなユーザによる安全運転の解除操作を必要とせずに燃焼運転を再開させることが可能である。
図1は、本発明の実施の形態1に係る給湯システム10の概略ブロック図である。給湯システム10は、筐体1aを有した給湯器を備える。給湯器は「熱源機」の一実施例である。
図1を参照して、給湯システム10の給湯器は、筐体1a内に、給湯機能を実現するための給湯回路2、ふろ追焚機能を実現するための追焚循環回路3、浴槽8の湯張り機能を実現するための注湯回路4、ドレン処理回路5、給湯器を制御するためのコントローラ100を備える。給湯器と浴槽8との間は、配管35a,35bによって接続される。以下では、追焚循環回路3での通流方向に合わせて、配管35aをふろ戻り配管35aとも称し、配管35bをふろ往き配管35bとも称する。なお、コントローラ100は、筐体1a内に配置されるとしたが、外部に配置されたリモートコントローラとして実現されてもよい。
このように給湯システム10は、ふろの追焚機能に加え、給湯機能およびふろ湯張り機能の各機能を併用する複合熱源機型に構成されたものである。さらに、給湯システム10の給湯器は、燃焼ガスの顕熱に加えて、燃焼排ガスからも潜熱を回収することによって高効率化を図るように構成された、すなわちバーナ30からの燃焼ガスと湯水との間で熱交換を行なう潜熱回収式の熱源機である。
給湯回路2は、燃焼装置に相当する缶体32を備える。缶体32は、燃焼部に相当するバーナ30と、送風用のファン31と、一次熱交換器21,22と、二次熱交換器23とを含む。バーナ30は、図示しない燃料供給系から流量調整弁を経由した燃料ガスの供給を受けて、燃焼作動するように構成される。
給湯回路2へは、給水圧により湯水が供給される。一次熱交換器22は、バーナ30の燃焼ガスの顕熱(燃焼熱)によって、入水を熱交換により加熱する。二次熱交換器23は、潜熱回収用熱交換器を構成する。このように、熱交換器として1缶2水路熱交換器が用いられる。1缶2水路熱交換器は、2つの熱交換器を備えて、2つの熱交換器が1つの燃焼部を共用して熱交換を実施する。なお、熱交換器は、1缶2水路熱交換器に限定されず、2つの熱交換器がそれぞれ燃焼部を有する2缶2水路熱交換器であってもよい。
給湯回路2では、水道などの給水圧によって供給される水は、まず二次熱交換器23によって予熱された後、一次熱交換器22において主加熱される。加熱された湯は、台所や浴室等の給湯栓190または注湯回路4などの所定の給湯箇所に送出される。
給湯回路2は、水道などの給水路に通じる入水管50と、給水路から入水管50を経由して流入した水の一部を分流するためのバイパス管60と、入水管50に介挿接続される分配弁80とを備える。さらに、入水管50には、入水温度を検出するための温度センサ110および流量センサ150が配置される。分配弁80の開度に応じて、給水量の一部が入水管50からバイパス管60へ分流される。
給湯回路2は、さらに出湯管70を備える。熱交換器によって加熱された湯は、出湯管70に送出される。出湯管70は、合流点75においてバイパス管60と接続される。したがって、合流点75では、缶体32から出力された高温湯と、バイパス管60からの水が混合される。これにより、適温の湯が、給湯栓190または浴槽8に通じる注湯回路4に送出される。
出湯管70には、流量を制御するための水量調整弁90および混合後の湯水の温度を検出する温度センサ130が配置される。
また、給湯回路2は、さらに、水量調整弁90の下流側において水量センサ91および注湯電磁弁132を備える。注湯電磁弁132は、開閉制御されて、給湯回路2から、注湯回路4および追焚循環回路3へ、湯水の供給/停止を実施する。水量センサ91は、注湯電磁弁132を経由して、給湯回路2から注湯回路4に送出される湯水の量を検知する。注湯電磁弁132に関連して設けられた逆止弁によって、注湯回路4および追焚循環回路3に送出された湯水が、水量調整弁90側に逆流することが防止される。
追焚循環回路3は、追焚用の一次熱交換器21と、湯水を追焚循環回路3内に循環させるための循環ポンプ33とを備える。一次熱交換器21は、バーナ30の燃焼ガスの顕熱(燃焼熱)により通流された湯水を加熱する。なお、追焚循環回路3は、潜熱回収用熱交換器を構成する二次熱交換器をさらに備えてもよい。
追焚循環回路3には、ふろ戻り配管35aおよびふろ往き配管35bが接続される。ふろ戻り配管35aの上流端が、浴槽8に設置された循環アダプタ81の吸込側に接続される。また、ふろ往き配管35bの下流端は、循環アダプタ81の吐出側に接続される。
循環ポンプ33が運転されると、浴槽8からの湯水は、循環アダプタ81の吸込口から、ふろ戻り配管35a、一次熱交換器21、ならびにふろ往き配管35bを経由して、循環アダプタ81の吐出口へ至る経路を循環する。これにより、追焚循環回路3は、「循環回路」10Aの一実施例である。このように循環回路10Aを通過する浴槽水は、一次熱交換器21を通流することにより加熱されて、追焚機能が実現される。
ドレン処理回路5は、燃焼装置(より特定的には、二次熱交換器23)からのドレンを集水する集水パン51と、集水パン51から送出されるドレンを貯留しながら中和する中和槽52と、中和槽52から中和後のドレンを導出するためのドレン管路55とを備える。ドレン管路55は、中和槽52からのドレンを、ドレンの水頭圧を利用して給湯器の外部に自然排水するように構成される。
中和槽52は、集水パン51によって集水されたドレンに対し中和処理を施す。具体的には、中和槽52内にはドレンの通過するドレン通路(不図示)が設けられている。ドレン通路には中和剤(例えば、炭酸カルシウム等)が充填されている。したがって、中和槽52内ではドレンが貯留されながらドレン通路を通過することにより中和されて、中和後のドレンは中和槽52の下部に接続されたドレン管路55に排出される。
中和槽52の上部には水位検出のための水位センサ53が設けられる。水位センサ53は、中和槽52のドレン通路に何らかの詰まり状態が発生した場合に、ドレンの溢れを防止する目的で設けられる。水位センサ53は2本の電極を有する。中和槽52内においてドレンが上部にまで達するような予め定められた水位以上になると電極間は短絡(ショート)し、当該水位未満になると電極間は開放(オープン)に変化する。これにより、水位センサ53は、検出水位に応じて短絡または開放を示す信号(電圧信号)を出力する。なお、水位センサ53は電極を用いた構成としたが、電極を用いる構成に限定されない。
なお、図1では、中和槽52からのドレンは、給湯器の外部に自然排水したが、排出経路は、これに限定されない。
図2は本発明の実施の形態に係るコントローラ100の概略構成図である。コントローラ100は、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ部102、給湯システム10内の各種スイッチ、各種弁を開閉するための制御信号、各種のポンプを駆動するための制御信号を送出するとともに、各種センサ(水位センサ53、圧力センサ、温度センサ、流量センサなど)からの検出信号を入力するためのインターフェイス103、操作部104、給湯システム10の運転に関する情報を報知するための出力部105、および計時のためのタイマ106を含む。メモリ部102は、プログラムおよびデータを格納するための揮発性または不揮発性のメモリからなる。
操作部104は、運転開始/停止切替え、運転モード切替え、温度・湯量などを指示するためにユーザが操作するスイッチなどを含む。出力部105は、運転に係る各種出力(温度、湯量など)および各種メッセージを表示するディスプレイ、スピーカ等の音声出力部を含む。ここでは、コントローラ100のCPU101、メモリ部102、インターフェイス103およびタイマ106は筐体1aに内蔵される。また、操作部104と出力部105は筐体1aの外部に配置されたリモートコントローラの形態をとる。
コントローラ100が実施する燃焼運転モードとして、給湯栓190を介して給湯するための給湯運転モード、浴槽8への給湯(湯張り)である注湯運転モード、追焚運転モード、および中和槽52のドレンを排出するドレン排出モードを含む。ドレン排出モードを除く他の運転モードは、ユーザによる操作部104の操作内容に従い実施される。
まず、給湯運転モードについて説明する。ユーザが操作部104の運転開始スイッチをオン操作した状態で給湯栓190が開かれると給湯運転が開始される。この給湯運転は公知の運転方法であるので、簡単に説明する。まず、給湯栓190が開かれると通流水量が流量センサ150によって検出される。検出流量が最低作動流量(MOQ)を超えるのに応じて、コントローラ100は、給湯運転を開始する。給湯運転が開始されると、燃焼動作が開始される。つまり、元ガス電磁弁(図示せず)が開放されて、バーナ30への燃料ガスの供給が開始され、燃焼ガスが点火プラグ(図示せず)によって点火されることで燃焼ガスに火炎を生じ熱量が発生する。これにより、燃焼動作が実施される。このとき、バーナ30に対して燃焼に必要な空気を供給するためにファン31が運転される。これにより、缶体32の熱交換器による湯水の加熱が実施される。なお、缶体32における燃焼動作および熱交換器による加熱の仕組みはよく知られたものであるから、ここでは説明を繰返さない。
ここで、燃焼部(バーナ30)による燃焼動作の開始と停止について説明する。コントローラ100(より特定的にはCPU101)は、バーナ30の燃焼動作を停止(禁止)する場合には、ガス弁(図示せず)を閉鎖し、点火プラグへの電流供給を停止し(点火不可)、およびファン31のファン用モータへの電流供給を停止(モータ停止)するように各部を制御する。
また、コントローラ100は、バーナ30に燃焼動作を開始(再開)させる場合には、ファン用モータへ電流を供給(モータ回転可)し、ガス弁を開き、点火プラグへ電流を流す(点火可)ように各部を制御する。
浴槽8への湯張りのための注湯運転モードでは、上述の給湯運転において注湯電磁弁132が開状態に制御される。
注湯運転時には、注湯電磁弁132から送出される湯水が、注湯回路4および追焚循環回路3を経由して、浴槽8に注湯される。注湯運転は、水位センサ38の出力に基づいて、浴槽8の水位が所定レベルになるまで継続される。
なお、注湯運転時には、循環ポンプ33が停止された状態で、注湯回路4からの湯水が、水位センサ38(浴槽8のための水位センサ)付近の合流点に供給される。このため、合流点からふろ戻り配管35aを逆流して循環アダプタ81の吸込口へ至る経路と、合流点から一次熱交換器21およびふろ往き配管35bを経由して循環アダプタ81の吐出口へ至る経路との両方から、浴槽8への注湯が行なわれる。
また、追焚運転モードは、浴槽8の湯水の温度を上昇(沸上げ)または保温するために実施される。追焚運転モードでは、循環ポンプ33が運転されることにより、浴槽8からの湯水が循環回路10Aを循環する。さらに、バーナ30は燃焼動作するように制御されて、循環回路10Aを通流する湯水は、温度上昇された後に浴槽8に再度供給される。
図3は、本発明の実施の形態に係るコントローラ100の機能構成図である。コントローラ100のCPU101は、水位センサ53の出力信号から中和槽52の水位を検出するための水位検出部1A、この検出水位に基づき給湯器の運転の停止を制御するための停止制御部2A、停止後の運転の再開を制御するための再開制御部3A、および操作部104からの出力に基づき給湯器に対するユーザ操作を受付けるための操作受付部4Aを含む。図3に示される各部は、予めメモリ部102に格納されるプログラムおよび回路の組合せからなる。CPU101は、メモリ部102からプログラムを読出し、読出されたプログラムを実行することにより処理を実現する。なお、停止制御部2Aは、上述した燃焼動作を停止させる機能を含んで構成されてよく、また再開制御部3Aは、上述した燃焼動作を再開させる機能を含んで構成されてよい。
図3の各部により実施される給湯器の運転制御に関する処理の具体例を、以降の各フローチャートを参照し説明する。各フローチャートは、予めプログラムとしてメモリ部102に格納される。CPU101は、プログラムをメモリ部102から読出し、読出されたプログラムを実行することにより処理が実現される。
図4を参照して、給湯器の燃焼運転モードのうち、燃焼動作の継続時間が長く、そのため比較的多くのドレンが生成される注湯運転モードに関する処理を説明する。ここで、注湯運転モードを対象とする理由を説明する。
中和槽52は通常、喫水面(水封面ともいう)531を有し、喫水面531と水位センサ53の電極までとの間において、容積CA(図1参照)の空間を有する。したがって、給湯栓190を介して台所などに給湯される給湯運転モードでは、燃焼動作の継続時間は短く、容積CAを超えてドレンが貯留される可能性は低い。これに対し、浴槽8への注湯運転のような比較的長時間にわたり燃焼動作が継続する場合において、ドレン通路が閉塞していれば、運転中に容積CAを超える量のドレンが貯留される可能性がある。したがって、本実施の形態では、燃焼運転モードのうち、比較的長時間にわたり燃焼動作が継続する注湯運転モードについて説明する。
図4は、本発明の実施の形態に係る注湯運転モードにおける処理フローチャートである。CPU101は、操作受付部4Aが、操作部104から湯張り運転開始を指示するユーザ操作を受付けると、図4の処理を開始する。
まず、CPU101は、注湯電磁弁132を閉→開に状態を切換える(ステップS1)。これにより、MOQが検出されて燃焼部(バーナ30)が燃焼動作を開始し、燃焼動作により加熱された湯水は、給湯回路2から、注湯電磁弁132を介して注湯回路4に供給開始される。また、制御のための一時変数Mに0がセットされる(ステップS3)。変数Mは、注湯運転時に、中和槽52の水位が予め定められた水位以上と判定(検出)された回数をカウントするための変数である。以降、変数Mを、回数Mとも称する。
注湯回路4からの湯水により注湯が実施される(ステップS5)。これにより、浴槽8内に湯水が供給される。
続いて、水位検出部1Aは、中和槽52の水位を検出する。具体的には、水位検出部1Aは、水位センサ53からの出力信号に基づき、電極が短絡したか否かを判定する(ステップS7)。電極は短絡していない(開放状態)と判定されると、すなわち中和槽52の水位が予め定められた水位未満であると判定されると(ステップS7でNO)、CPU101は、水量センサ91の出力から、浴槽8への注湯量を算出し、算出した注湯量が予め定められた既定量以上となったか否かを判定する(ステップS9)。既定量未満であると判定されると(ステップS9でNO)、処理はステップS5に戻り、注湯運転が継続する。なお、既定量は、操作部104のユーザ操作により可変に設定される値である。
一方、浴槽8への注湯量が既定量以上であると判定されると(ステップS9でYES)、CPU101は、注湯電磁弁132を開→閉状態に切換える(ステップS11)。これにより、MOQが検出されなくなり、燃焼動作は停止し、湯張りのための注湯運転は終了する。注湯運転終了後は、その旨が出力部105を介して湯張り終了の旨が報知される。
ステップS7に戻る。一方、短絡したと判定されると(ステップS7でYES)、すなわち中和槽52の水位が予め定められた水位以上であると判定されると、CPU101は、変数Mを1インクリメントする(ステップS13)。その後、CPU101は、変数Mの値と、閾値N(予め定められた回数を示す値N)について、(M<N)の条件が成立するか否かを判定する(ステップS15)。当該条件は成立しないと判定されると(ステップS15でNO)、すなわち予め定められた水位を超えた回数が閾値Nを超えたと判定されると、CPU101は、出力部105を介してエラーを報知(出力)する(ステップS27)。この場合、ステップS27では、“燃焼運転停止”などのメッセージが報知されて、CPU101は安全動作を実施する。ここでは、安全動作とは、バーナ30による燃焼動作を禁止する動作を示す。安全動作は、後述する解除操作が検出されと解除される。解除後は、MOQの検出に応じたバーナ30による燃焼動作が実施される。
ユーザは、当該出力部105の報知内容を確認し、安全動作の解除操作を実施する。ここでは、解除操作は、例えば、操作部104の運転開始スイッチのON/OFF操作を含む。CPU101は、操作受付部4Aにより受付られた操作内容が解除操作を示すと判定すると、ステップS1に戻り、ステップS1の処理を実施する。これにより、バーナ30による燃焼動作は再開し、既定量を湯張りするための注湯運転が最初から開始する。
なお、上述の閾値Nは可変であってよい。例えば、閾値Nは、上述の注湯運転時間の長さに応じて変更されてもよい。つまり、浴槽8への単位時間当たりの湯水の供給量が一定であれば、上述の既定量に従い注湯運転時間の長さは変化する。したがって、閾値Nは、既定量が変化した場合には、併せて変更されるようにしてもよい。
ステップS15において、条件(M<N)が成立すると判定されると(ステップS15でYES)、すなわち中和槽52の水位が予め定められた水位を超えた回数Mが閾値N未満であると判定されると、停止制御部2Aは注湯運転を中断(停止)する(ステップS17)。具体的には、停止制御部2Aは、注湯電磁弁132を開→閉状態に切換える。これにより、MOQは検出されなくなり、バーナ30の燃焼動作は停止し、結果、湯張りのための注湯運転は中断する。
続いて、エラー報知カウント(タイマ)がカウントアップしたか否かが判定される(ステップS18)。エラー報知カウントによって、ステップS17で注湯電磁弁132を開→閉状態に切換えられてからの経過時間が計測されており、1分経過していないと判定される間(ステップS18でNO)は、後述するステップS23(電極が短絡→開放に変化したか否かの判定)が繰返し実施される。この1分が経っても開放に変化したと判定されない場合には(ステップS23でNO、ステップS18でYES)、後述するステップS19に移る。一方、この1分内(1分経過前)に、開放に変化したと判定された場合には(ステップS18でNO、ステップS23でYES)、エラー報知カウントの値がリセットされて(ステップS24)、再開制御部3Aは、注湯電磁弁132を閉→開状態に切換える(ステップS25)。これにより、MOQが検出されて、バーナ30の燃焼動作は再開し、結果、中断していた湯張りのための注湯運転が再開する(ステップS5)。
上述の1分が経っても開放に変化したと判定されない場合には(ステップS23でNO、ステップS18でYES)、CPU101は、給湯栓190が使用されるか否かを判定する(ステップS19)。例えば、台所などで給湯栓190が開操作されたか否かを判定する。CPU101は、注湯運転中断時にMOQが検出されるか否かに基づき、給湯栓190が使用されているか否かを判定する。これにより、例えば、台所などで給湯栓190が開操作されたか否かが判定される。
給湯栓190が使用されていると判定されると(ステップS19でYES)、処理はステップS27に移り、上述と同様にエラー報知が実施される。この場合も、ユーザが、上述した安全動作の解除操作を実施したときは、CPU101は、バーナ30の燃焼動作を開始させて、給湯栓190からの給湯を実施する。
一方、給湯栓190の使用がないと判定されると(ステップS19でNO)、CPU101は、タイマ106の出力に基づき、中和槽52の水位が予め定められた水位以上であると継続して検出される時間が、予め定められた時間のA分以上であるか否かを判定する(ステップS21)。経過時間がA分以上であると判定されると(ステップS21でYES)、処理はステップS27に移り、エラーが報知される。
したがって、燃焼動作が停止しているにもかかわらず、継続して予め定められた水位が検出される場合には、上述したドレン通路の一時的な閉塞ではないことから、エラー報知がされて、安全動作が実施される。なお、エラー報知カウントの計時時間は、A分より短ければよく、上述の1分に限定されず、可変に設定することができる。
一方、継続時間がA分未満であると判定されると(ステップS21でNO)、水位検出部1Aは、中和槽52の水位が予め定められた水位未満となったかを検出する。具体的には、水位検出部1Aは、水位センサ53からの出力信号に基づき、電極が短絡→開放に変化したか否かを判定する(ステップS23)。開放に変化したことが判定されない場合には(ステップS23でNO)、処理はステップS17に戻り、以降の注湯運転中断の処理が繰返される。
一方、A分以内に、電極が短絡→開放に変化したと判定されると、すなわち、中和槽52の水位が低下し、予め定められた水位未満に変化したことが判定されると(ステップS23でYES)、エラー報知カウントがリセットされて(ステップS24)、再開制御部3Aは、注湯運転を再開するように各部を制御する(ステップS25)。つまり、上述したドレン通路の一時的な閉塞であったので水頭圧などにより閉塞が解消した場合などには、再開制御部3Aは、注湯電磁弁132を閉→開状態に変更する。これにより、MOQが検出されて、燃焼動作が再開し浴槽8への注湯が再開される(ステップS5)。
なお、ステップS23における電極の短絡→開放の変化の判定を確定するために、電極開放確定タイマを利用してもよい。つまり、CPU101は、電極開放確定タイマによって計時され所定時間継続してステップS23でYESと判定された場合に、次のステップS24に移るようにしてもよい。
このように、図4は、中和槽52の水位が予め定められた水位を超えたと判定されたとき(ステップS7でYES)であっても、その後、1分内に予め定められた水位未満に変化した場合には(ステップS18でNO、S23でYES)、エラー報知(ステップS27)の実施が禁止されるような制御構造を有する。当該制御構造により、例えば、中和槽52のドレン水面の波立ちに起因して予め定められた水位を一時的に超える場合には、エラー報知と安全動作が実施(ステップS27)されるのを回避することができる。これにより、解除操作が要求されて、ユーザが不便に感じるのを防止することができる。
また、図4の処理では、注湯運転中において、(1)水位検出部1Aにより予め定められた水位以上が検出された場合に給湯栓190が使用された場合、または(2)予め定められ水位以上が予め定められた時間(A分)継続して検出された場合、または(3)1回の注湯運転中において、短絡と開放(予め定められた水位以上検出と予め定められた水位未満検出)が閾値Nの回数だけ繰り返された場合には、エラー報知と安全動作(ステップS27)が実施される。
したがって、水位検出部1Aにより予め定められた水位以上が検出されれば、一律に、エラー報知と安全動作を実施する場合に比べて、解除操作が要求される事態の発生を抑制できて、ユーザが不便に感じるのを防止することができる。
ここで、図4の処理による効果を説明する。中和槽52は、燃焼装置(缶体32)側への排気口(図示せず)を通して外部と連通しており、当該排気口から外部の空気中の埃、または菌類などが内部に入込む可能性がある。侵入した埃または繁殖した菌類により、一時的に中和槽52内のドレン通路は部分閉塞または完全閉塞されて、中和槽52からのドレン排水量が減少する。
この閉塞状態で“ドレン発生量>ドレン排水量”となる状態(燃焼動作)が継続すると、中和槽52内の水位センサ53の電極部は浸水し、安全動作が実施される。このような閉塞状態は、上述したように水頭圧などにより解消され得る一時的なものであって、解消後は、支障なく給湯器の運転が可能であるにも関わらず、従来は、安全動作が実施されるとメーカへ修理依頼し修理費用が発生するという事例が度々発生していた。
これに対し、図4の処理では、注湯運転中に水位センサ53の電極の短絡状態(水位が予め定められた水位以上である)を検出すると、停止制御部2Aは、一旦、注湯運転を停止(中断)する。短絡状態が検出されてから予め定められた時間(A分)以内に、電極が短絡→開放に状態変化(水位が予め定められた水位未満に変化)したことが検出されると、すなわちドレン通路の一時的な閉塞であった場合には、再開制御部3Aは注湯運転を再開させることができる。したがって、安全動作が実施されて熱源機の使用が頻繁に中断されてしまい、その都度、解除操作が要求されるという事態を回避することができる。
また、注湯電磁弁132が閉状態に切換えられるとMOQが検出されず、燃焼動作は中断し、ドレンは発生しなくなり、その結果、検出水位が低下する可能性がある。検出水位が低下した場合には、エラー報知を実施する必要はない。したがって、図4のように、水位センサ53により予め定められた水位以上であると検出されたときは(ステップS7でYES)、その後、エラー報知が実施される(ステップS27)までの所要時間よりも注湯電磁弁132が閉状態に切換えられる(ステップS17)までの所要時間の方を短くするように各部を制御することで、エラー報知を抑制して、上述の解除操作が要求されるという事態を回避することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態2では、給湯器により加熱後の湯水を温水暖房器に使用する場合を説明する。実施の形態1では、燃焼動作の継続時間が長く、そのため比較的多くのドレンが生成される燃焼運転モードとして、注湯運転モードを説明したが、暖房運転モードであっても同様に適用することができる。実施の形態2の給湯システム10の給湯装置は、図1の燃焼装置(缶体32)の熱交換器と、図示しない温水暖房器との間で湯水を循環させるための循環ポンプ(図示せず)とを備える。
給湯器は燃焼運転モードに暖房運転モードを含む。暖房運転モードにおいて、給湯器の燃焼部(バーナ30)により加熱された湯水は、温水暖房器(図示しない)に供給されて暖房に供される。
図5は、本発明の実施形態2に係る暖房運転時の処理フローチャートである。図5と図4の処理とを比較して異なる点は、図4のステップS1、S5、S9、S11、S17およびS25の処理が、ステップS1a、S5a、S9a、S11a、S17aおよびS25aのそれぞれに変更された点にある。図5の他の処理は、図4に説明した処理と同様であり、その詳細は繰返さない。
ここでは、図5の処理のうち、主に、図4と異なる処理について主に説明する。
操作受付部4Aは、操作部14から暖房運転開始を指示する操作を受付けると、CPU101は図5の処理を開始する。
まず、MOQが検出されるとバーナ30による燃焼動作を開始し、循環ポンプをOFF→ONに切換える(ステップS1a)。これにより、循環ポンプが回転を開始し、熱交換器からの加熱後の湯水を温水暖房器に対し供給するための湯水の循環が開始される。その後、変数Mに0がセットされる(ステップS3)。
CPU101は、暖房運転中の動作を実施する(ステップS5a)。
その後、中和槽52の水位センサ53の出力から短絡したか否かが判定される(ステップS7)。短絡していないと判定されると(ステップS7でNO)、すなわち水位検出部1Aにより、中和槽52の水位が予め定められた水位未満であると判定されると、CPU101は、暖房運転を終了するか否かを判定する(ステップS9a)。運転終了と判定されない間は(ステップS9aでNO)、処理はステップS5aに戻り、暖房運転が継続する。
一方、暖房運転の終了と判定されると(ステップS9aでYES)、CPU101は、燃焼動作の停止(中断)および循環ポンプの回転停止(中断)を実施する(ステップS11a)。これにより、暖房運転は終了する。
ステップS7の処理に戻る。水位検出部1Aは、中和槽52の水位が予め定められた水位以上であると判定すると(ステップS7でYES)、CPU101は変数Mを1インクリメントする(ステップ13)。その後、CPU101は、条件(M<N)が成立するか否かを判定する(ステップS15)。条件は成立しないと判定されると(ステップS15でNO)、すなわち当該暖房運転中に中和槽52の水位が予め定められた水位を超える回数Mが閾値N以上となったと判定されたときは(ステップS15でNO)、CPU101はエラーを報知する(ステップS27)。
一方、条件(M<N)が成立すると判定されると(ステップS15でYES)、すなわち当該暖房運転開始から中和槽52の水位が予め定められた水位を超えた回数Mが、閾値N未満であると判定されたときは(ステップS15でYES)、停止制御部2Aは暖房運転を中断する(ステップS17a)。具体的には、燃焼部(バーナ30)による燃焼動作を停止し、また、循環ポンプを停止する。その後、エラー報知カウントによる1分間の計時が開始される(ステップS18)。
その後、ステップS19で給湯栓190の使用の有無が検出され、ステップS21において、検出水位が予め定められた水位を超える時間がA分以上継続するか否かが判定される。これら2つの条件のうちの少なくとも一方が成立すると(ステップS19でYES、またはステップS21でYES)、CPU101はエラーを報知する(ステップS27)。
一方、給湯栓190が使用されず(ステップS19でNO)、または継続時間がA分未満であれば(ステップS21でNO)、水位検出部1Aは、中和槽52の水位が予め定められた水位以上であるか否か、すなわち電極が開放されているか否かを判定する(ステップS23)。電極が開放されていないと判定されると(ステップS23でNO)、すなわち中和槽52の水位が予め定められた水位以上であると判定されると、処理は、ステップS17aに戻る。このように、中和槽52の検出水位が予め定められた水位以上である場合には暖房運転の中断が継続する。
一方、電極が開放されたと判定されると(ステップS23でYES)、すなわち中和槽52の水位が低下し、予め定められた水位未満に変化したと判定されると、エラー報知カウントがリセットされて(ステップS24)、再開制御部3Aは、中断されていた暖房運転を再開する(ステップS25a)。すなわち、循環ポンプの回転および燃焼動作を再開する。これにより、暖房運転が再開されて、処理はステップS5aに戻る。
図5の暖房運転においても、図4の注湯運転と同様に、安全動作が実施されて熱源機の使用が頻繁に中断されてしまい解除操作が要求されるという事態を回避できて、ユーザが不便に感じるのを防止することができる。
上述した各実施の形態では、燃焼運転中に、水位検出部1Aによる検出水位に基づき燃焼動作を一時的に停止する運転モードとして、注湯運転モード(図4参照)および暖房運転モード(図5参照)を説明した。これら運転モードでは、途中で燃焼動作を停止したとしても、短時間(例えば、A分)の停止であれば、給湯栓190による給湯中に燃焼動作が中断する場合に比較して、実用上支障はなく、またユーザの利便性も損なわれないからである。
なお、実施の形態による制御が実施される燃焼運転モードは、注湯運転モードおよび暖房運転モードに限定されない。たとえば、加熱装置(缶体32)の熱交換器による加熱後の湯水を、融雪のために用いる融雪運転の場合であっても、図5または図4と同様の処理を実施することができる。
また、停止制御部2Aにより燃焼運転を停止した回数、および再開制御部3Aにより燃焼運転を再開した回数の少なくとも1つと、停止または再開を実施した時間(タイマ106の計時時間)とを関連付けた情報を、メモリ部102の不揮発性の書換え可能な領域に記憶するとしてもよい。メンテナンス時には、メモリ部102から、当該情報を読出し例えば、出力部105に表示させてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。