JP6414358B1 - 塗工板紙の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】古紙パルプを使用しても、表層側に高品質の印刷を施すことが可能であり、かつ、箱等の紙器の製造に利用しやすい塗工板紙を得る。【解決手段】少なくとも、ワイヤーパート1、プレスパート2、ドライヤーパート3、コーターパート4を備え、ドライヤーパート3の途中にフイルム転写方式のサイズプレスを有する抄紙機を用い、少なくとも表層、中層、裏層を有する基紙の前記裏層の表面に、ポリアクリルアミド系紙力剤と、ポリアクリルアミド系紙力剤以外の他の紙力剤とを含有する処理液を、抄紙機のドライヤーパート3におけるサイズプレスで塗布、乾燥し、その後コーターパート4で、基紙の表層表面に顔料とバインダーを含む表面顔料塗工液を塗布する。【選択図】図1

Description

本発明は塗工板紙の製造方法に関する。さらに詳しくは、箱等の紙器の製造に好適に使用される塗工板紙に関する。
表層、中層、裏層を有する多層抄紙で構成される板紙は、一般に、紙器用(箱、ブリスターパック等)、紙製品用(見本帳台紙、アルバム等)、出版用(雑誌、本等)、商業印刷用(カタログ、パンフレット等)に使用されている。
板紙の製造には、近年地球環境保護の観点から木材資源の節約や紙のリサイクルが奨励され、使用ずみ古紙をパルプ原料として用いることが広く行われるようになってきている。
古紙パルプを配合すると、板紙の表面強度が不充分となり、脱落した繊維により印刷の一部が抜けてしまう、いわゆる白抜けの問題が生じる場合がある。
そこで特許文献1では、裏層側に、ポリビニルアルコールと澱粉と架橋剤を含む塗液を塗布し、裏層の強度を高め、白抜け等のトラブルを解消することが提案されている。
特開2011−236516号公報
ところが、近年、古紙配合率は極めて高くなってきており、さらに、オフィス用紙のシュレッダー処理物などの、紙として再利用する際には不向きな古紙の量も増え、白抜け等の問題が益々生じやすい傾向にある。
強度を確保することだけを考慮すれば、裏層側に塗布する塗液の塗工量を増やすことが考えられる。
しかし、特許文献1の方法でいたずらに裏層側の塗工量を増やすと、裏層側の塗工層の皮膜が強くなり、箱等の紙器に製造する際に必要な折り曲げ適性が損なわれてしまう。またポリビニルアルコールと架橋剤を併用する塗工液であるため、ゲル化が生じ、均一な塗工層を形成することが困難である。
上記事情に鑑みて、本発明は、古紙パルプを使用しても、表層側に高品質の印刷を施すことが可能であり、かつ、箱等の紙器の製造に利用しやすい塗工板紙を得ることを課題とする。
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]少なくとも、ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、コーターパートを備え、前記ドライヤーパートの途中にフイルム転写方式のサイズプレスを有する抄紙機を用い、
前記ワイヤーパートにおいて、少なくとも表層、中層、裏層を有する基紙を形成し、
前記ドライヤーパートにおけるフイルム転写方式のサイズプレスで、紙力剤として、ポリアクリルアミド系紙力剤と、ポリアクリルアミド系紙力剤以外の他の紙力剤とを含有する処理液を、前記基紙の裏層の表面に塗布し、
前記コーターパートで、前記基紙の表層表面に顔料とバインダーを含む表面顔料塗工液を塗布することを特徴とする塗工板紙の製造方法。
[2]前記処理液が、前記ポリアクリルアミド系紙力剤100質量部に対し、他の紙力剤を10〜600質量部含有する、[1]に記載の塗工板紙の製造方法。
[3]前記他の紙力剤が澱粉である、[1]または[2]に記載の塗工板紙の製造方法。
[4]前記処理液の25℃でのB型粘度が、100mPa・s以下である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の塗工板紙の製造方法。
[5]前記処理液の25℃でのB型粘度が、35mPa・s〜70mPa・sである、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の塗工板紙の製造方法。
[6]前記裏層の表面に塗布する処理液の塗工量が0.5〜4g/mである、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の塗工板紙の製造方法。
[7]前記裏層が、シュレッダー処理物由来のパルプ及び廃石膏ボード由来のパルプからなる群から選ばれる少なくとも一種のパルプを含有する、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の塗工板紙の製造方法。
[8]前記裏層を構成するパルプの2〜30質量%がシュレッダー処理物由来のパルプ及び廃石膏ボード由来のパルプからなる群から選ばれる少なくとも一種である、[7]に記載の塗工板紙の製造方法。
本発明の塗工板紙の製造方法によれば、古紙パルプを使用しても、表層側に高品質の印刷を施すことが可能であり、かつ、箱等の紙器の製造に利用しやすい塗工板紙を得ることができる。
本発明の塗工板紙の製造方法に用いる抄紙機の一例を示す全体構成図である。 本発明の塗工板紙の製造方法に用いる抄紙機のドライヤーパートの一例を示す構成図である。
[抄紙機]
図1は、本発明の塗工板紙の製造方法に用いる抄紙機の一例を示す全体構成図である。図1の抄紙機は、ワイヤーパート1と、ワイヤーパート1の下流側に接続されたプレスパート2と、プレスパート2の下流側に接続されたドライヤーパート3と、ドライヤーパート3の下流側に接続されたコーターパート4を備えている。また、ドライヤーパート3とコーターパート4の間や、コーターパート4の下流側には、カレンダーパート等を設けてもよい。
ワイヤーパート1としては、公知の多層抄き用抄紙機で使用されているワイヤーパートを適宜使用できる。例えば少なくとも3つ以上のワイヤーパート部を有するものである。
一般に製紙用として使用されているワイヤーパート部の型式としては、円網式、長網式、短網式、傾斜式、ツインワイヤー式等がある。
多層抄きにおいては、これらの方式を多段に組み合わせることができる。例を挙げるならば、長網抄合わせ、短網抄合わせ、短網円網コンビネーション、長網円網コンビネーション等がある。
中でも、短網抄き合わせを使用することが微細繊維を多く含む古紙パルプの歩留りが向上する点で好ましい。
抄紙速度は、特に限定するものではないが、1000m/分以下である。1000m/分を超える速度の場合、ワイヤーパートや以下のプレスパートでの脱水、搾水が強固に行われるため、微細繊維が脱落してしまい、歩留りが低下してしまうためである。好ましい抄紙速度は、70〜700m/分であるが、詳しくはサイズプレス18の説明において述べる。
プレスパート2としては、公知のプレス機を適宜使用できるが、シュープレスを含むことが好ましい。また、ロールプレスとシュープレスとを組み合わせることも好ましい。シュープレスを用いると、プレスパート2での搾水を充分に行えるため、ドライヤーパート3でサイズプレスをする際の水分量を制御しやすい。
ドライヤーパート3は、例えば図2に示すように、プレドライヤーパート16と、プレドライヤーパート16の下流側に接続されたサイズプレスパート18と、サイズプレスパート18の下流側に接続されたアフタードライヤーパート20とを備えている。
プレドライヤーパート16は、複数のシリンダードライヤー26を湿潤状態の基紙10に接触させて加温し、基紙10中の水分の一部を蒸発させる部分である。
アフタードライヤーパート20は、複数のシリンダードライヤー30をサイズプレスパート18で処理液を塗布後の基紙10に接触させて加温し、基紙10及び処理液を乾燥させる部分である。
アフタードライヤーパート20は、シリンダードライヤーの一部を非接触のドライヤー、例えば、赤外線乾燥機、熱風乾燥機やヤンキードライヤー等に代えてもよい。
サイズプレスパート18は、一対のロール28aを有するサイズプレス28を備えている。一対のロール28aの間に水分6〜20質量%程度の状態の基紙10を通過させつつ、基紙10の少なくとも裏層に処理液を塗布するようになっている。また、必要に応じて、基紙10の表層にも処理液を塗布するようになっている。
サイズプレス28は、ロール28aと紙の間に形成されるニップ部にサイズ液を供給し、ポンドと呼ばれる塗液溜りを作るいわゆるポンド方式と、ロール28aの表面に被膜(フイルム)を形成し、この被膜を紙に転写するフイルム転写方式とがある。
本発明におけるサイズプレスは、フイルム転写方式である。
ポンド方式の場合、塗液溜りを形成するため、ロール28a間にニップ圧がかかり、通紙する基紙の空隙を潰してしまうほか、基紙表面の白色度が低下してしまうおそれがある。白色度の低下は、おそらく中層等に用いた離解パルプ等中の着色成分などが、表層に移動してしまうためと考えられる。
フイルム転写方式のサイズプレスとしては、ロッドメタリング方式、ゲートロール方式、ブレードメタリング方式が挙げられる。フイルム転写方式のサイズプレスのなかでも、ロッドメタリング方式またはゲートロール方式が好ましい。
ロッドメタリング方式は、ロッドを介して、アプリケータロールであるロール28aに被膜を形成し、形成した被膜をロール28aから紙に転写する方式である。
ゲートロール方式のサイズプレスは、アプリケータロールであるロール28aの外側に、ロール28aと逆向きに回転するメタリングロールを接触させ、さらにその外側に、メタリングロールと逆向きに回転するファウンテンロールを接触させ、メタリングロールとファウンテンロールの間にポンドを作る。そして、メタリングロール表面に形成したサイズ液の被膜を、アプリケータロールであるロール28aに転写し、その後ロール28aから紙に転写するようになっている。
ブレードメタリング方式は、アプリケータロールであるロール28aに付着させた塗液をブレードでかき取ることによりロール28aに一定厚みの被膜を形成し、形成した被膜をロール28aから紙に転写する方式である。
一旦塗工液の被膜を形成後、基紙に転写させるフイルム転写方式のサイズプレスでは、抄紙速度が速い場合、塗工液を構成するバインダー成分が、被膜から基紙に充分に浸透しないうちに乾燥されてしまうことがある。したがって、抄紙速度は700m/分以下であることが好ましく、600m/分以下であることがより好ましく、500m/分以下であることがさらに好ましい。下限値は特に限定はしないが、生産性を考慮すると70m/分以上であることが好ましく、150m/分以上であることがより好ましく、300m/分以上であることがさらに好ましい。
ドライヤーパート3とコーターパート4の間にカレンダーパート(プレカレンダー)を設ける場合、被膜が形成された後の基紙10をロール間に通過させ、締め付ける。これにより、基紙を平滑化することができる。ひいては、後段のコーターパート4で形成される表面顔料塗工層が平滑となり、均質な塗工層を得ることができる。
ドライヤーパート3とコーターパート4の間に設けるカレンダーパートでは、金属ロールと金属ロールで基紙を挟む方式、金属ロールと樹脂ロールで基紙を挟む方式のいずれのカレンダー装置を用いてもよい。
コーターパート4としては、抄紙機に付属する公知の塗工装置を用いることができ、例えばブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、スロットダイコーター、グラビアコーター、チャンプレックスコーター、ブラシコーター、スライドビードコーター、ツーロールあるいはメータリングブレード方式のサイズプレスコーター、ビルブレードコーター、ショートドウェルコーター、ゲートロールコーター、キャレンダーによるニップコーター等が適宜用いられる。
中でも、ロッドメタリングコーターやカーテンコーターは塗工量が一定となるため、塗工ムラなどを抑制した塗工層を得ることができるので好ましい。なお、塗布された塗工層は、公知の乾燥装置で乾燥され、表面顔料塗工層が形成される。コーターパート4は複数有していてもよい。この場合、表面顔料塗工層を複数回に分けて塗布することができる。
コーターパート4の後に、必要に応じてカレンダーパートを設けてもよい。コーターパート4の後にカレンダーパートを設けることにより、表面顔料塗工層が平滑化処理される。
コーターパート4の後のカレンダーパートには、公知のカレンダー装置が適宜使用でき、例えば、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトニップカレンダー、熱カレンダー、シューカレンダー等が挙げられる。これらを組み合わせて使用しても構わない。中でも、金属ロールと弾性ロールを備えたソフトニップカレンダーは、紙厚を維持しつつ、塗工層を平滑化処理することができるいので好ましい。なお、コーターパート4の後のカレンダーパートは、オンマシンでもオフマシンでも構わない。
[製造方法]
本発明は、上記抄紙機を用い、ワイヤーパート1において、少なくとも表層、中層、裏層を有する基紙を形成し、プレスパート2で水分を搾水し、ドライヤーパート3で乾燥するとともに、ドライヤーパート3におけるフイルム転写方式のサイズプレスで、ポリアクリルアミド系紙力剤を含み、他の紙力剤を併用した処理液を、基紙の少なくとも裏層の表面に塗布し、コーターパート4で、基紙の表層表面に顔料とバインダーを含む表面顔料塗工液を塗布する塗工板紙の製造方法である。
図1、2の抄紙機を用いる場合、まず、ワイヤーパート1で得られた湿潤状態の基紙10を、ドライヤーパート3に導入し、プレドライヤーパート16である程度水分を除去した後、サイズプレス28によって裏層の表面に処理液を塗布し、その後アフタードライヤーパート20で乾燥する。そして、その後、必要に応じて、カレンダーパートで処理する。その後、さらに、コーターパート4で、表層の表面に顔料塗工液を塗布する。
「基紙」
本発明における基紙は、少なくとも表層、中層、裏層が積層された多層抄紙である。表層とは、多層抄きの基紙において、最も表側に配置される層であり、裏層は最も裏側(表層と反対側)に配置される層であり、中層とは、表層と裏層との間に配置される層である。表層と中層の間には、表下層を設けてもよい。裏層と中層の間には、裏下層を設けてもよい。各層は一層で形成しても複数の層で形成しても構わないが、低質の古紙パルプの使用量を増やすためには、中層を複数層で形成することが好ましい。
本発明における基紙は、パルプを主成分とし、基紙を構成する全パルプ成分中70%以上が古紙パルプであることが好ましい。全パルプ成分に占める古紙パルプの割合は、75〜100質量%であることがより好ましく、80〜95質量%であることがさらに好ましい。
本発明において古紙パルプとは、古紙を再生して得られるパルプである。
古紙としては、例えば、上白・罫白など、一度使用されているが印刷部分の少ない紙、カード・模造・色上・ケント・白アートなどの印刷物や色づけされ一度は使用された紙類、印刷用塗工紙、飲料用パック、オフィス用紙等使用済みの上質系古紙、さらに切符類・中質反古・ケントマニラ等の事業系中質古紙、新聞・雑誌・雑紙等の一般中質古紙、切茶・無地茶・雑袋・段ボール等の茶系古紙等が挙げられる。機密性を有するオフィス用紙や切符等の古紙はシュレッダー処理物であってもよい。
古紙パルプは、古紙を離解処理した離解パルプ、離解処理及び脱墨処理を行った未晒脱墨パルプ、脱墨処理後、漂白処理を行った晒脱墨パルプ等を、適宜使用できる。
古紙パルプではない、いわゆるバージンパルプとしては、例えば、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプ、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、グランドパルプ(GP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、ストーングランドパルプ(SGP)等の機械パルプが挙げられる。
基紙を構成するパルプは、全体として70%以上が古紙パルプであることが好ましいが、古紙パルプの配合割合は、各層ごとに各層の役割に応じて適宜調整することができる。また、各層に用いる古紙パルプの種類も、各層ごとに、各層の役割に応じて適宜選択することができる。
いずれの層においても、2種以上の古紙パルプを混合して使用してもよい。また、バージンパルプを使用する場合は、2種以上のバージンパルプを混合して使用してもよい。
以下、各層における通常のパルプ組成等について説明するが、本発明は、下記の通常のパルプ組成等に限定されるものではない。
表層には、通常白色度の高いパルプが使用される。例えば、上記のバージンパルプを使用することができる。また、古紙パルプとしては、上白・カード、特白・中白・白マニラ、模造・色上等の白色度の高い古紙を、離解、除塵処理後、そのまま、または必要に応じて、脱墨、漂白、インク分散、洗浄、等の各工程を経た後、使用できる。
表層の坪量は、15〜90g/mとすることが好ましく、25〜70g/mとすることがより好ましい。基紙を構成する各層の坪量は、JIS P8124に準拠して測定することができる。
表層の坪量が好ましい下限値以上であれば、中層の黒っぽさを充分に隠蔽することができる。また、表層の坪量が好ましい上限値以下であれば、充分な紙層強度を得ることができる。
表下層を設ける場合は、表下層を構成するパルプは、中層のパルプよりも、白色度が高く、表層のパルプよりも白色度が低いパルプを使用する。表下層には、上記表層に使用されるパルプを使用してもよいが、通常は、表層と比較して低級な古紙、即ち中質繊維を多く含んだ古紙が使用される。例えば、新聞、雑誌、色上、ボール等の脱墨古紙が使用されるのが一般的である。
表下層の坪量は、15〜90g/mとすることが好ましく、25〜75g/mとすることがより好ましい。
表下層の坪量が好ましい下限値以上であれば、表層と共に、中層の黒っぽさを充分に隠蔽することができる。また、表下層の坪量が好ましい上限値以下であれば、充分な紙層強度を得ることができる。
中層は通常複数の層から構成されるが、一層であってもよい。中層が複数の層から構成される場合、各層を構成するパルプは、総て同じであってもよいし、異なっていてもよい。
中層は、少なくとも表層と裏層の間に挟まれる層であるため、通常は、基紙を構成する層の内、最も低級なパルプが使用されるのが一般的である。例えば、新聞、雑誌、切符、中質反古、茶模造、段ボール、台紙、地券、ボール、等の離解パルプが挙げられる。
中層の合計坪量は、塗工板紙の用途により必要とされる厚みに応じて、適宜調整されるが、一層当たりの坪量は、15〜90g/mとすることが好ましく、25〜75g/mとすることがより好ましい。
裏下層を設ける場合は、裏下層を構成するパルプは、中層のパルプよりも、白色度が高く、裏層のパルプよりも白色度が低いパルプを使用する。裏下層には、上記表層や表下層に使用されるパルプを使用してもよいが、通常は、表層と比較して低級な古紙、即ち中質繊維を多く含んだ古紙が使用される。例えば、新聞、雑誌、色上、ボール等の未晒脱墨古紙パルプが使用されるのが一般的である。
裏下層の坪量は、15〜90g/mとすることが好ましく、25〜70g/mとすることがより好ましい。
裏下層の坪量が好ましい下限値以上であれば、裏層と共に、中層の着色異物を充分に隠蔽することができる。また、裏下層の坪量が好ましい上限値以下であれば、充分な紙層強度を得ることができる。
裏層には、表層程の白色度は求められないが、人の目に触れるため、通常、中層よりも白色度の高いパルプが使用される。オフィス古紙のシュレッダー処理物由来のパルプ、または廃石膏ボード由来のパルプを含ませてもよい。これらのパルプは、脱墨、漂白処理を行わなくても白色度が比較的高いので、裏層に配合することが好ましい。
オフィス古紙のシュレッダー処理物由来のパルプや、廃石膏ボード由来のパルプは、白色度を高めることができるが、繊維が微細になりやすく、脱離しやすい傾向がある。また、その形状上、離解処理の際に水に馴染み難いため、多量に配合しにくい。そのため、これらのパルプは、裏層の全パルプ成分に対して、3〜40質量%で使用することが好ましく、3〜30質量%で使用することがより好ましい。
裏層の坪量は、15〜90g/mとすることが好ましく、25〜70g/mとすることがより好ましい。中層の坪量は、塗工板紙の用途により必要とされる厚みに応じて、適宜調整される。
裏層の坪量が好ましい下限値以上であれば、中層の着色異物を充分に隠蔽することができる。また、裏層の坪量が好ましい上限値以下であれば、充分な紙層強度を得ることができる。
本発明の製造方法においては、表層の坪量を表下層の坪量よりも小さく、且つ、表下層の坪量を中層の坪量よりも小さくすることが好ましい。より好ましくは、表下層の坪量が、多層抄きされた中層の一層当たりの坪量と同等か、それ以下である。表層、および表下層の坪量を減らし、中層の坪量を増やすことで、離解古紙の基紙全体としての配合量を高めることができる。
上記、表層から裏層に至る各層に使用されるパルプスラリー組成物には、必要に応じて、適宜、内添紙力増強剤、耐水化剤、撥水剤、発泡性マイクロカプセル、サイズ剤、染料、歩留向上剤、填料、pH調整剤、スライムコントロール剤、増粘剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、防腐剤、殺鼠剤、防虫剤、保湿剤、鮮度保持剤、脱酸素剤、マイクロカプセル、発泡剤、界面活性剤、電磁シールド材、帯電防止剤、防錆剤、芳香剤、消臭剤等を選択し配合することができる。これらは複数種併用することもできる。
「処理液」
処理液は、紙力剤として、ポリアクリルアミド系紙力剤と、ポリアクリルアミド系紙力剤以外の他の紙力剤とを含む。
ポリアクリルアミド系紙力剤としては、特に限定されず、アニオン性、両性(あるいはカチオン性)のいずれも使用することができる。例えば、アニオン性としては、ポリアクリルアミドのアミド基を部分加水分解したもの、アクリルアミドと(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボキシ基含有ビニルモノマーとの共重合体等が挙げられる。
ポリアクリルアミド系紙力剤以外の他の紙力剤としては、例えば、澱粉、植物ガムなどの天然系紙力剤、ポリビニルアルコール樹脂、スチレンブタジエンラテックス、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラニン樹脂、ポリアミド樹脂、ケトン樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミドエポキシ系樹脂、グリセロールポリグリシジルエーテル樹脂、ポリエチレンイミン樹脂等の合成系紙力剤など例示できる。これらを単独で又は混合して使用することができる。
これらの中でも、澱粉類、ポリビニルアルコール樹脂、スチレンブタジエンラテックス、が好ましく、澱粉類が特に好ましい。澱粉類としては、酸化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉などのエステル化澱粉、酵素変性澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉等を挙げることができ、これらを単独で又は混合して使用することができる。中でも酸化澱粉を用いることが好ましい。
異なる紙力剤を併用すると、それぞれの紙力剤の紙層内部への浸透性の違いから、紙層の表面から内部まで紙力剤が行き渡り、微細繊維を固定することができると考えられる。
処理液は、ポリアクリルアミド系紙力剤100質量部に対して、他の紙力剤を10〜600質量部含有することが好ましく、15〜400質量部含有することがより好ましい。 ポリアクリルアミド系紙力剤100質量部に対するその他の紙力剤の含有量が上記範囲であれば、裏層側の強度を確保して、白抜けを抑制しやすい。
前記処理液は、25℃でのB型粘度が100mPa・s以下であることが好ましい。100mPa・s以下であると、処理液は紙層中へ浸透し易く、内部の微細繊維を固定することができる。さらに、35mPa・s〜70mPa・sであると、ポリアクリルアミド系紙力剤が、より良く紙層中に浸透するため好ましい。
処理液は、フイルム転写方式のサイズプレスで塗布されるが、プレドライヤーパートで乾燥されて直ぐ、基紙に塗布されるため、塗布する瞬間の液温は特定できないが、25℃でのB型粘度が上記範囲であれば、紙層中への浸透がし易くなる。サイズプイレスへの供給する処理液の液温は、ハンドリング性や乾燥効率の観点から、10〜40℃が好ましく、15〜35℃がより好ましい。
処理液は、本発明の効果を損なわない範囲で、紙力剤以外の成分を含んでいてもよい。
紙力剤以外の成分としては、顔料、分散剤、水酸化ナトリウム、アンモニア水等のpH調整剤、消泡剤、蛍光染料、離型剤、耐水化剤、流動性改良剤、保水剤、スライムコントロール剤、防腐剤、染料、着色顔料等が挙げられる。これらは、必要に応じて単独でも2種以上混合して使用してもよい。例えば、顔料等を配合し、処理液のB型粘度を下げることもできる。
処理液の裏層表面への塗工量は、0.5〜4g/mであることが好ましく、0.7〜4g/mであることが好ましく、1〜3g/mであることがさらに好ましい。なお、本明細書において塗工量は、乾燥塗工量を意味する。
処理液の裏層表面への塗工量が好ましい下限値以上であれば、裏層側の充分な強度を得やすい。処理液の裏層表面への塗工量が好ましい上限値以下であれば、箱成形時の折り曲げ適性を確保しやすい。
サイズプレス28によって裏層の表面に処理液を塗布する際、表層の表面に対しては何も塗布しなくてもよいし、何らかの処理液を塗布してもよい。塗布する場合の処理液についても特に限定はなく、例えば、水を塗布してもよいし、裏層に塗布する処理液と同じ処理液を塗布してもよい。
「表面顔料塗工液」
本発明の製造方法では、コーターパート4で、表層側に表面顔料塗工液を塗布する。表面顔料塗工液は、表層に直接塗布してもよいし、表層に塗布した処理液による塗膜を介して塗布してもよい。表面顔料塗工液は、1回のみ塗布してもよいし、複数回塗布してもよい。特に下塗り層用の表面顔料塗工液と上塗り層用の表面顔料塗工液を塗布し、下塗り層と上塗り層を順次形成することが好ましい。
表面顔料塗工液を塗布することにより、表層側の印刷適性を高めたり、白色度を高めたりすることができる。
表面顔料塗工液は、顔料とバインダーを含む。
顔料としては、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、サチンホワイト、タルク等の一般塗被紙製造分野で使用されている公知公用の顔料の1種以上が本発明の効果を損なわない上記規定範囲内で、適宜使用できる。特に、カオリン、炭酸カルシウムは優れた印刷適性をもたらすので好ましい。
バインダーとしては、水系接着剤が好ましい。水系接着剤としては、酸化澱粉、リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、デキストリン、酵素変性澱粉、水溶性澱粉等の澱粉類;スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン−メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの共重合体ラテックス等のアクリル系共重合体ラテックス等のラテックス類;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白等の蛋白類、各種ポリビニルアルコール、各種ポリアクリルアミド、メラミン樹脂等の合成樹脂系接着剤;カルボキシメチルセルロース等の各種セルロース誘導体、等が挙げられ、これら接着剤から1種あるいは2種以上を選択して使用できる。
中でも、バイブロン粘弾性により測定したガラス転移温度が−50〜30℃のラテックスを配合すると、塗工面の柔軟性が増し、耐折れ割れ性が向上するため好ましい。
ラテックスのガラス転移温度は、−50〜0℃であることがより好ましい。
また、上記ラテックスと共に澱粉を配合することが好ましい。ラテックスと澱粉を併用すると、裏層内部の微細繊維の固定と、裏層の表面の表面強度のバランスがとれるので好ましい。
ラテックスと澱粉の質量比は、100:0〜5:50であることが好ましい。
表面顔料塗工液は、顔料100質量部に対して、バインダーを2〜50質量部含有することが好ましく、5〜25質量部含有することがより好ましい。
バインダーの割合が好ましい下限値以上であれば、表面顔料塗工層の塗工層の強度が得ることができる。また、バインダーの割合が好ましい上限値以下であれば、インキ乾燥性が優れるとともに製函適性も優れることになる。
また、必要に応じて、適宜、分散剤、水酸化ナトリウム、アンモニア水等のpH調整剤、消泡剤、蛍光染料、離型剤、耐水化剤、流動性改良剤、スライムコントロール剤、防腐剤、染料、着色顔料等の1種以上を含有させてもよい。
表面顔料塗工液の塗工量は、5〜50g/mであることが好ましく、8〜40g/mであることが好ましく、15〜35g/mであることがさらに好ましい。
表面顔料塗工層を複数回、例えば二回に分けて塗布する場合、一回目(下塗り層)と二回目(上塗り層)の塗工液は同じでもよく、異なっていてもよい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、%は特に断りのない限り質量%である。また、媒体以外の原料の「部」は特に断りのない限り分散媒体を含まない質量部である。また、実施例5と実施例6は参考例である。
[実施例1]
「表面顔料塗工液の調製」
顔料として、カオリン(商品名「ウルトラホワイト90」、エンゲルハード社製)の60部、軽質炭酸カルシウム(商品名「ブリリアント15」、白石工業社製)の30部、二酸化チタン(商品名「クロノスKA−15」、チタン工業社製)の10部、バインダーとして、尿素リン酸エステル化澱粉(商品名「ニールガムA−85」、アベベ社製」の1部、カルボキシル化スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(商品名「B−1525」、旭化成社製)の17部を水に分散させ、固形分濃度が64%の、表面顔料塗工液を調製した。
「処理液の調製」
紙力剤として、ポリアクリルアミド系紙力剤(商品名「ポリマセット512」、荒川化学製)25部と酸化澱粉(商品名「エースA」、王子コーンスターチ製)75部を含む固形分濃度10%の水系処理液1を調製した。
「塗工板紙の製造」
抄紙機のワイヤーパートで、表層用パルプを米坪55g/m、表下層用パルプを米坪55g/m、中層用パルプを米坪165g/m、裏層用パルプを米坪55g/mでそれぞれ抄造し、抄合せし、プレスパートで搾水処理をし、米坪330g/mの湿潤状態の基紙を得た。
表層用パルプとしては、上物古紙(印刷、製本業者から回収されたもの)を脱墨したパルプ80%、広葉樹晒クラフトパルプ20%の割合で混合し、白色度85%であるパルプを用いた。
表下層用パルプとしては、白色度70%の脱墨雑誌古紙を用いた。
中層用パルプとしては、白色度40%の雑誌古紙を用いた。
裏層用パルプとしては、新聞古紙50%、雑誌古紙35%、オフィス古紙のシュレッダー処理物由来のパルプ15%の割合で配合した、白色度51%のパルプを用いた。
その後、ドライヤーパートのプレドライヤーパートである程度乾燥させた後、ロッドメタリング方式のサイズプレスを用い、裏層と表層の両表面に、上記水系処理液1を片面あたり塗工量が2g/mになるように塗布した。
その後、アフタードライヤーパートで乾燥処理をし、カレンダーパートで平滑化処理を行った。
次いで、上記表面顔料塗工液をロッドブレードコーターで塗工量が15g/mとなるように塗布し、ドライヤーで乾燥させ、カレンダー処理を施して、実施例1の塗工板紙を得た。サイズプレスに供給する際の水系処理液1は、液温が25℃であり、B型粘度が38mPa・sであった。また、抄紙速度は480m/分であった。
[実施例2]
紙力剤として、ポリアクリルアミド系紙力剤(商品名「ポリマセット512」、荒川化学製)50部と酸化澱粉(商品名「エースA」、王子コーンスターチ製)50部を含む固形分濃度10%の水系処理液2を調製した。
水系処理液1に代えて、上記水系処理液2を使用した以外は実施例1と同様にして実施例2の塗工板紙を得た。サイズプレスに供給する際の水系処理液2は、液温が25℃であり、B型粘度が41mPa・sであった。
[実施例3]
紙力剤として、ポリアクリルアミド系紙力剤(商品名「ポリマセット512」、荒川化学製)75部と酸化澱粉(商品名「エースA」、王子コーンスターチ製)25部を含む固形分濃度10%の水系処理液3を調製した。
水系処理液1に代えて、上記水系処理液3を使用した以外は実施例1と同様にして実施例3の塗工板紙を得た。サイズプレスに供給する際の水系処理液3は、液温が25℃であり、B型粘度が49mPa・sであった。
[実施例4]
紙力剤として、ポリアクリルアミド系紙力剤(商品名「ポリマセット512」、荒川化学製)85部と酸化澱粉(商品名「エースA」、王子コーンスターチ製)15部を含む固形分濃度10%の水系処理液4を調製した。
水系処理液1に代えて、上記水系処理液4を使用した以外は実施例1と同様にして実施例4の塗工板紙を得た。サイズプレスに供給する際の水系処理液4は、液温が25℃であり、B型粘度が64mPa・sであった。
[実施例5]
紙力剤として、ポリアクリルアミド系紙力剤(商品名「ポリマセット512」、荒川化学製)95部と酸化澱粉(商品名「エースA」、王子コーンスターチ製)5部を含む固形分濃度10%の水系処理液5を調製した。
水系処理液1に代えて、上記水系処理液5を使用した以外は実施例1と同様にして実施例5の塗工板紙を得た。サイズプレスに供給する際の水系処理液5は、液温が25℃であり、B型粘度が71mPa・sであった。
[実施例6]
紙力剤として、ポリアクリルアミド系紙力剤(商品名「ポリマセット512」、荒川化学製)5部と酸化澱粉(商品名「エースA」、王子コーンスターチ製)95部を含む固形分濃度10%の水系処理液6を調製した。
水系処理液1に代えて、上記水系処理液6を使用した以外は実施例1と同様にして実施例6の塗工板紙を得た。サイズプレスに供給する際の水系処理液6は、液温が25℃であり、B型粘度が36mPa・sであった。
[比較例1]
紙力剤として酸化澱粉(商品名「エースA」、王子コーンスターチ製)100部を含み他の紙力剤を含まない固形分濃度10%の水系比較処理液1を調製した。
水系処理液1に代えて、上記水系比較処理液1を使用した以外は実施例1と同様にして比較例1の塗工板紙を得た。サイズプレスに供給する際の水系比較処理液1は、液温が25℃であり、B型粘度が32mPa・sであった。
[比較例2]
紙力剤としてポリアクリルアミド系紙力剤(商品名「ポリマセット512」、荒川化学製)100部を含み他の紙力剤を含まない固形分濃度10%の水系比較処理液2を調製した。
水系処理液1に代えて、上記水系比較処理液2を使用した以外は実施例1と同様にして比較例2の塗工板紙を得た。サイズプレスに供給する際の水系比較処理液2は、液温が25℃であり、B型粘度が94mPa・sであった。
[比較例3]
ロッドメタリング方式のサイズプレスに代えて、ポンド方式のサイズプレスである二本ロールサイズプレスとした以外は実施例1と同様にして比較例3の塗工板紙を得た。
[比較例4]
実施例1と同様にして、米坪330g/mの湿潤状態の基紙を得た。
その後、ドライヤーパートのプレドライヤーパート及びアフタードライヤーパートで乾燥処理をし、カレンダーパートで平滑化処理を行った。なお、ドライヤーパートにおけるサイズプレスでの塗布は行わなかった。
次いで、基紙の表層表面に上記表面顔料塗工液をロッドブレードコーターで塗工量が15g/mとなるように塗布し、ドライヤーで乾燥させ、次に基紙の裏層表面に水系処理液1を塗工量が2g/mになるようにロッドブレードコーターで裏面に塗布、乾燥させ、カレンダー処理を施して、比較例4の塗工板紙を得た。ロッドブレードコーターに供給する際の水系比較処理液1は、液温が25℃であり、B型粘度が38mPa・sであった。
[実施例7]
処理液1を裏層の表面にのみ塗布し、表層の表面に塗布しなかった以外は、実施例1と同様にして実施例7の塗工板紙を得た。
[実施例8]
紙力剤として、ポリアクリルアミド系紙力剤(商品名「ST5000」、星光PMC製)25部と酸化澱粉(商品名「エースA」、王子コーンスターチ製)75部を含む固形分濃度10%の水系処理液7を調製した。
水系処理液1に代えて、上記水系処理液7を使用した以外は実施例7と同様にして実施例8の塗工板紙を得た。サイズプレスに供給する際の水系処理液7は、液温が25℃であり、B型粘度が65mPa・sであった。
[実施例9]
紙力剤として、ポリアクリルアミド系紙力剤(商品名「ST5018」、星光PMC製)25部と酸化澱粉(商品名「エースA」、王子コーンスターチ製)75部を含む固形分濃度10%の水系処理液8を調製した。
水系処理液1に代えて、上記水系処理液8を使用した以外は実施例7と同様にして実施例9の塗工板紙を得た。サイズプレスに供給する際の水系処理液8は、液温が25℃であり、B型粘度が103mPa・sであった。
[実施例10]
処理液1の塗工量を片面あたり3.5g/mとした以外は、実施例7と同様にして実施例10の塗工板紙を得た。
[実施例11]
処理液1の塗工量を片面あたり5.0g/mとした以外は、実施例7と同様にして実施例11の塗工板紙を得た。
[実施例12]
処理液1の塗工量を片面あたり0.5g/mとした以外は、実施例7と同様にして実施例12の塗工板紙を得た。
[実施例13]
裏層用パルプとして、新聞古紙50%、雑誌古紙50%を配合した、白色度48%のパルプを用いた以外は、実施例7と同様にして実施例13の塗工板紙を得た。
[評価方法]
各実施例、比較例の塗工板紙について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
「耐白抜け性」
得られた塗工板紙をカッターで断裁し、平版サンプルを得た。枚葉オフセット印刷機を使用して、上記の平判サンプルを連続1050枚印刷し、1000枚目から1050枚目までの印刷サンプルのベタ印刷部における白抜け部分の発生量を以下の基準で評価した。
◎:白抜けがない。
○:僅かに白抜けが認められるが、実用上問題ない。
△:白抜けがあり、用途によっては問題が生じる。
×:白抜けが、非常に目立ち、実用上問題ある。
「裏面の表面強度」
得られた塗工板紙の裏面に、RI印刷テスター(明製作所社製)で赤インキ(商品名:PrintInk〔紙試験、SD50、紅B、T=13〕/TOKA Shikiso ChemicalIndustry Co. LTD社製)を印刷し、その印刷強度を目視判定した。
◎:ピックの発生がなく、極めて良好である。
○:ピックの発生が殆どなく、良好である。
△:ピックが若干発生した。
×:ピックが著しく発生した。
「裏層側塗工面のムラ」
得られた塗工板紙の裏面を、ブラックライト照射下で紙面の蛍光ムラを目視にて評価した。
◎:均一で塗工ムラがない。
○:僅かに塗工ムラが認められるが、実用上問題ない。
△:塗工ムラがあり、用途によっては問題が生じる。
×:塗工ムラが、非常に目立ち、実用上問題ある。
「表層側塗工面の面質」
得られた塗工板紙の表層側の塗工面の面質を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:平滑性が優れ、光沢感があり、白色度も優れる。
○:平滑性、光沢感、白色度のうち、一つ又は二つがやや劣るが実用上問題ないレベルである。
△:平滑性、光沢感、白色度のうち、一つが劣り、実用上問題がある。
×:表面が荒れており、実用上問題ある。
「箱成型適性」
得られた塗工板紙をトムソンで打ち抜き加工を施した後、製函・成型の際の曲げ性を総合的に評価した。
◎:良好に製函・成型できる。
○:若干曲げ性に劣るが、製函・成型でき実用上問題ない。
△:曲げ性に劣り、製函・成型の条件によっては問題が発生する。
×:曲げ性が劣り、実用上問題ある。
Figure 0006414358
表1に示すように、実施例の塗工板紙は、いずれも、白抜けが抑制されており、表層側の印刷適性に優れ、かつ、箱等の紙器の製造適性を備えていた。
これに対して、処理液がポリアクリルアミド系紙力剤と他の紙力剤の一方しか含まない処理液を用いた比較例1、2は、いずれも耐白抜け性に劣っていた。
また、澱粉に代えて、ポリビニルアルコールを用いた比較例5では、耐白抜け性は得られたものの、箱成型適性が優れなかった。
また、ポンド方式のサイズプレスを用いた比較例3は、裏面の表面強度、表層側塗工面の面質、及び箱成形適性に劣っていた。
また、サイズプレスを行わず、コーターパートで表面顔料塗工液を塗布後に処理液を裏層側に塗布した比較例4は、表層側塗工面の面質に劣っていた。
1…ワイヤーパート、2…プレスパート、3…ドライヤーパート、
4…コーターパート、16…プレドライヤーパート、18…サイジングパート、
20…アフタードライヤーパート、40…カレンダーパート

Claims (4)

  1. 少なくとも、ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、コーターパートを備え、前記ドライヤーパートの途中にフイルム転写方式のサイズプレスを有する抄紙機を用い、
    前記ワイヤーパートにおいて、少なくとも表層、中層、裏層を有する基紙を形成し、
    前記ドライヤーパートにおけるフイルム転写方式のサイズプレスで、ポリアクリルアミド系紙力剤と、前記ポリアクリルアミド系紙力剤100質量部に対して10〜400質量部の澱粉とを含有する処理液を、前記基紙の裏層の表面に塗布し、
    前記コーターパートで、前記基紙の表層表面に顔料とバインダーを含む表面顔料塗工液を塗布することを特徴とする塗工板紙の製造方法。
  2. 前記処理液が、前記ポリアクリルアミド系紙力剤100質量部に対し、前記澱粉15〜400質量部含有する、請求項1に記載の塗工板紙の製造方法。
  3. 前記処理液の25℃でのB型粘度が、100mPa・s以下である、請求項1または2に記載の塗工板紙の製造方法。
  4. 前記サイズプレスにおいて、前記処理液を、前記基紙の裏層の表面にのみ塗布する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗工板紙の製造方法。
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