JP6413851B2 - 繊維強化プラスチック成形体用基材及び繊維強化プラスチック成形体 - Google Patents
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Description
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2]繊維強化プラスチック成形体用基材における平面方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値が0.18〜1.0である[1]に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[3]強化繊維は炭素繊維である[1]又は[2]に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[4]バインダー成分の含有量は、繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して0.1〜10質量%である[1]〜[3]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[5]強化繊維の繊維長は10mm以上である[1]〜[4]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[6]強化繊維と、バインダー成分を混合したスラリーを、湿式抄紙する工程を含み、湿式抄紙する工程は、傾斜型抄紙機を用いて抄紙する工程であり、傾斜型抄紙機のワイヤーは、ジェットワイヤー比が0.98以下となるように走行することを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法。
[7]傾斜型抄紙機のワイヤーは、ジェットワイヤー比が0.90以下となるように走行する[6]に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法。
[8]スラリーの分散媒の25℃における粘度は、0.8〜4.0mPaである[6]又は[7]に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法。
[9][6]〜[8]のいずれかに記載の製造方法で製造された繊維強化プラスチック成形体用基材。
[10][1]〜[5]及び[9]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材を用いて繊維強化プラスチック成形体を製造する方法であって、繊維強化プラスチック成形体用基材に樹脂を含浸し樹脂含有繊維強化プラスチック成形体用基材を得る工程、又は樹脂を積層し樹脂含有繊維強化プラスチック成形体用基材を得る工程と、樹脂含有繊維強化プラスチック成形体用基材を加圧する工程と、を含むことを特徴とする繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
[11][10]に記載の製造方法で製造された繊維強化プラスチック成形体。
本発明は、強化繊維とバインダー成分とを含む繊維強化プラスチック成形体用基材に関する。本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材においては、厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値は0.5〜1.0である。
なお、繊維強化プラスチック成形体用基材における厚み方向の繊維配向パラメータ(fp)は、たとえば繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法等を適切に選択することによって制御することが可能である。
樹脂包埋の方法としては、電子顕微鏡観察や光学顕微鏡観察で一般的に用いられる方法を採用することができる。具体的には、繊維強化プラスチック成形体用基材を幅5mm、長さ10mmに切断し、上述した包埋用エポキシ樹脂を少なくとも試験片の表面が全て覆われるまで滴下して含浸させ、硬化させる。また、包埋用エポキシ樹脂の滴下は、たとえばスポイト等を用いて行うことができる。
本発明では、エポキシ樹脂で包埋して、厚み方向の断面を切り出すことにより、切断時のせん断力で繊維の角度が変わってしまうことを防ぐことができる。また透過光で観察することにより、包埋樹脂と繊維の区別を明確にすることができるため、角度の測定が容易となる。
fp=2×Σ(cos2θi/n)−1 式(1)
ここで、θiは基準線に対する選び出した強化繊維の配向角度(i=1〜n)である。
基準線を設定する際には、まず仮基準線pを選択し、上記測定領域内に存在する視認し得る全ての繊維n本の角度を測定する。この場合、仮基準線pと各繊維の角度は、α(p)i(i=1〜n)で表される。
仮基準線pとした際の繊維配向パラメーター(fp(p))は、下記式を用いて算出することができる。
fp(p)=2×Σ(cos2α(p)i/n)−1
(i=1、2、3、・・・、n)
次に、仮基準線pを±1°ずつ、±90°となるまで回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))をとり、仮基準線p+zと仮基準線p-zと繊維n本の角度を算出する。この場合の角度は、α(p+z)iと、α(p-z)i(i=1〜n)で表される。
回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))と強化繊維の繊維配向パラメーター(fp(p±z))は、下記式を用いて算出することができる。
fp(p±z)=2×Σ(cos2α(p±z)i/n)−1
(i=1、2、3、・・・、n)
このようにして、得られたfp(p)値及びfp(p±z)値のうち最大値が得られた場合に設定した仮基準線を基準線Pとすることができる。このように決定した基準線Pから算出される繊維配向パラメーターを、厚み方向における繊維配向パラメーター(fp)とすることができる。
図2(b)では、上記の方法で決定された基準線はPで表される点線であり、各強化繊維の配向は、各々QとRの点線で表されている。なお、図2(b)において、P'とした点線は基準線と平行な線であり、基準線Pと、各強化繊維の配向線(Q及びR)がなす角度をわかりやすく説明するための補助線である。図2(b)では、P'とQがなす角度(配向角度θ1)は0°であるため、P'とQは重なっている。また、P'とRがなす角度(配向角度θ2)はθ2として表されている。このようにして、θ1〜θnが測定される。
本発明では、スライドガラスで挟んだ試験片の一方の面について光学顕微鏡にて観察する。光学顕微鏡には、キーエンス社製、マイクロスコープを用い、モノフィラメントが視認できる倍率に拡大して反射光にて、または反射光と透過光を併用して繊維を観察する。本実施形態においては、たとえば上記倍率を300倍、600倍、および800倍から選択することができる。これにより、一方の面のうちの任意に選択される連続した2.0mm2の測定領域を観察し、この測定領域中に存在する視認し得る全ての繊維(繊維数はm本とする)の配向角度θiを測定する。配向角度θiは、基準線に対して時計回りの方向の角度を測定し、0°以上180°未満の角度とする。繊維配向パラメーター(fp、以下fp値ともいう)は、上記の方法で測定した配向角度θiから以下の式(2)を用いて算出することができる。
fp=2×Σ(cos2θi/m)−1 式(2)
ただし、i=1〜mである。
そして、反対面についても同様に測定し、一方の面と反対面の平均値を求めて、これを平面方向の繊維配向パラメーター(fp)とする。なお、一方の面の測定領域と反対面の測定領域は、たとえば平面視において重なる領域である。また、一方の面および反対面のいずれの観察においても、たとえば一方の面および反対面のそれぞれから深さ10μm以上の部分に焦点を合わせて観察することができる。
基準線を設定する際には、まず仮基準線pを選択し、上記測定領域内に存在する視認し得る全ての繊維m本の角度を測定する。この場合、仮基準線pと各繊維の角度は、α(p)i(i=1〜m)で表される。
仮基準線pとした際の繊維配向パラメーター(fp(p))は、下記式を用いて算出することができる。
fp(p)=2×Σ(cos2α(p)i/m)−1
(i=1、2、3、・・・、m)
次に、仮基準線pを±1°ずつ、±90°となるまで回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))をとり、仮基準線p+zと仮基準線p-zと繊維m本の角度を算出する。この場合の角度は、α(p+z)iと、α(p-z)i(i=1〜m)で表される。
回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))と強化繊維の繊維配向パラメーター(fp(p±z))は、下記式を用いて算出することができる。
fp(p±z)=2×Σ(cos2α(p±z)i/m)−1
(i=1、2、3、・・・、m)
このようにして、得られたfp(p)値及びfp(p±z)値のうち最大値が得られた場合に設定した仮基準線を基準線Pとすることができる。このように決定した基準線Pから算出される繊維配向パラメーターを、平面方向における繊維配向パラメーター(fp)とすることができる。
このように、繊維強化プラスチック成形体用基材において、強化繊維の厚み方向及び平面方向の配向が一定方向の場合、繊維強化プラスチック成形体においては特定方向の強度が高められる。このような繊維強化プラスチック成形体は、自動車や航空機等に用いられる一方向に機械的強度が要求される構造部品に好ましく用いられる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は強化繊維を含有する。強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維等を挙げることができる。これらの強化繊維は、1種のみを使用してもよく、複数種を使用してもよい。中でも、強化繊維としては、炭素繊維を用いることが好ましい。
強化繊維としては炭素繊維を用いることが好ましい。炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、石油・石炭ピッチ系、レーヨン系、リグニン系等の炭素繊維を用いることができる。これらの炭素繊維は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせ用いてもよい。また、これら炭素繊維の中でも、工業規模における生産性及び機械特性の観点から、ポリアクリロニトリル(PAN)系の炭素繊維を用いることが好ましい。
強化繊維は、一定の長さにカットされたチョップドストランドであることが好ましい。強化繊維をこのような形態とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材中における分散性を高めることができる。また強化繊維の断面形状は円形に限定されず、楕円形等、異形断面のものも使用できる。なお、強化繊維としては、複数の素材や形状を併用することもできる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、バインダー成分含む。バインダー成分の含有量は、繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.3〜10質量%であることがより好ましく、0.4〜9質量%であることがさらに好ましく、0.5〜8質量%であることが特に好ましい。バインダー成分の含有率を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材の強度を高めることができ、繰り返しの断裁工程を経ても層間剥離などを発生しない繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。このため、本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材はハンドリング性に優れている。また、バインダー成分の含有率を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材から成形される繊維強化プラスチック成形体の強度も高めることができる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を含むことを意味し、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を含むことを意味する。
共重合ポリエチレンテレフタレートは、融点が140℃以下のものが好ましく、120℃以下ものがより好ましい。また、特公平1−30926号公報に記載のような変性ポリエステル樹脂を使用してもよい。変性ポリエステル樹脂の具体例として、特に、ユニチカ社製商品名「メルティ4000」(繊維全てが共重合ポリエチレンテレフタレートである繊維)が好ましく挙げられる。また、芯鞘構造のバインダー繊維としては、ユニチカ社製商品名「メルティ4080」や、クラレ社製商品名「N−720」等が好適に使用できる。
繊維強化プラスチック成形体用基材は、実質的には熱可塑性繊維を含まない。ここで、実質的に熱可塑性樹脂を含まないとは、繊維強化プラスチック成形体用基材全体に対する熱可塑性繊維の含有量が0.1質量%以下であることをいう。なお、上記熱可塑性繊維は、たとえばポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアミド、ポリプロピレンである。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材の製造工程は、強化繊維と、バインダー成分を混合したスラリーを、湿式抄紙する工程を含む。この湿式抄紙する工程は、傾斜型抄紙機を用いて抄紙する工程であり、傾斜型抄紙機のワイヤーは、ジェットワイヤー比が0.98以下となるように走行する。本発明は、このような製造方法で製造された繊維強化プラスチック成形体用基材に関するものでもある。
本発明では、ジェットワイヤー比を上記範囲とし、「引き地合」で抄紙することにより、繊維強化プラスチック成形体用基材における厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)を所望の範囲内とすることができる。さらに、繊維強化プラスチック成形体用基材における平面方向の繊維配向パラメーター(fp)についても所望の範囲内とすることが可能となる。
なお、ここでいうスラリーとは、抄紙工程直前のスラリーをいい、インレット中のスラリーのことである。また、スラリーの分散媒の粘度を測定する際は、インレットのスラリーを500ml採取し、150メッシュの金属製のフルイで繊維をろ過して得られるろ液を用いて測定する。
また、上記のように、加熱乾燥工程を設けることにより、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを繊維強化プラスチック成形体用基材の表層領域に移行させることができる。さらに、バインダー成分を水掻き膜状に局在させることができる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、さらに樹脂を含有することによって繊維強化プラスチック成形体となる。繊維強化プラスチック成形体用基材から成形される繊維強化プラスチック成形体の製造工程は、繊維強化プラスチック成形体用基材に樹脂を含浸し樹脂含有繊維強化プラスチック成形体用基材を得る工程、又は樹脂を積層し樹脂含有繊維強化プラスチック成形体用基材を得る工程を含む。さらに、繊維強化プラスチック成形体の製造工程は、樹脂含有繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧する工程を含む。このように繊維強化プラスチック成形体は、上述した繊維強化プラスチック成形体用基材に樹脂を添加し、少なくとも加圧をすることにより成形される。
また、樹脂を積層し樹脂含有繊維強化プラスチック成形体用基材を得る工程では、樹脂フィルムを積層又は挟持し、加熱加圧することが好ましい。なお、当該工程における樹脂フィルムの厚み等の諸条件は、繊維強化プラスチック成形体の用途や物性、厚み等に基づいて適宜調整することが可能である。
本発明は上述した方法で成形される繊維強化プラスチック成形体に関するものでもある。本発明の繊維強化プラスチック成形体は、強化繊維と、バインダー成分と、樹脂成分を含む。また繊維強化プラスチック成形体における厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値は0.5〜1.0である。
このように、本発明の繊維強化プラスチック成形体では、強化繊維の厚み方向及び平面方向の配向が一定方向であるため、繊維強化プラスチック成形体の全体の強度と特定方向の強度が高められている。このため、本発明の繊維強化プラスチック成形体は、自動車や航空機等に用いられる一方向に機械的強度が要求される構造部品に好ましく用いられる。
繊維強化プラスチック成形体の用途としては、例えば、「OA機器、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、タブレットPC、デジタルビデオカメラなどの携帯電子機器、エアコンその他家電製品などの筐体、及び筐体に貼り付けるリブ等の補強材、「支柱、パネル、補強材」などの土木、建材用部品、「各種フレーム、各種車輪用軸受、各種ビーム、ドア、トランクリッド、サイドパネル、アッパーバックパネル、フロントボディー、アンダーボディー、各種ピラー、各種フレーム、各種ビーム、各種サポート、などの外板またはボディー部品及びその補強材」、「インストルメントパネル、シートフレームなどの内装部品」、または「ガソリンタンク、各種配管、各種バルブなどの燃料系、排気系、または吸気系部品」、「エンジン冷却水ジョイント、エアコン用サーモスタットベース、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング」、などの自動車、二輪車用部品、「ウィングレット、スポイラー」などの航空機用部品、「鉄道車両用の座席用部材、外板パネル、外板パネルに貼り付ける補強材、天井パネル、エアコン等の噴出し口」などの鉄道車両用部品、「樹脂(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂)からなる成形体の補強材、樹脂と強化繊維からなる成形体の補強材、植物由来のシート(クラフト紙、段ボール、耐油紙、絶縁紙、導電紙、剥離紙、含浸紙、グラシン紙、セルロースナノファイバーシートなど)の補強材」などの部材等に好適に使用される。さらに、本発明の繊維強化プラスチック成形体は薄くても難燃性に優れるため、電気絶縁性の高いガラス繊維を強化繊維として用いることで、電気絶縁用基板としても好適に用いることができる。
このように、本発明の繊維強化プラスチック成形体は、強度が高く、また優れた難燃性を有するため安全性が高いので、電気、電子機器用の筐体、自動車用の構造部品、航空機用の部品、土木、建材用のパネル、その他多種多様な用途に好ましく用いられる。
<強化繊維スラリーの製造>
繊維長12mmの炭素繊維(台湾プラスチック社製、CS815)をスラリー濃度が0.5質量%となるように水中に投入し、分散剤としてエマノーン(登録商標)3199V(花王株式会社製)を、炭素繊維100質量部に対して1質量部となるよう添加した。なお、エマノーン3199Vは、あらかじめ0.5%濃度の水溶液となるように水に溶解して添加した。その後、古紙離解用パルパーを用いて30秒間攪拌して初期分散を行った後、スラリー濃度が0.15質量%となるように水で希釈した。得られたスラリーを炭素繊維スラリーとした。
原料スラリーを傾斜ワイヤーマシンに連続して供給し、抄紙することで繊維強化プラスチック成形体用基材を作製した。
抄紙工程では、原料スラリーはインレット内に送液され、循環白水によってインレット濃度を0.03質量%に希釈した。この際、インレット内に高分子ポリアクリルアミド系増粘剤(MTアクアポリマー株式会社製、スミフロック)の水溶液を適宜添加し、スラリーの分散媒の粘度を表1に示す値となるように調整した。なお、スラリーの分散媒の粘度は、インレットのスラリーを500ml採取し、150メッシュの金属製のフルイで繊維をろ過して得られるろ液を用いて測定した。また、スラリー分散媒の粘度は、液温25℃における粘度であり、JIS Z 8803「液体の粘度測定方法」に規定された測定方法により測定した。
次いで、上記スラリーを傾斜ワイヤーマシンに連続して供給した。この際、白水循環流量、及び抄速を調整して、ジェットワイヤー比を表1に示すとおりとなるように調整した。なお、抄紙の際は傾斜ワイヤーマシンのワイヤーに備えられた4個の脱水ボックスの吸引力を個々に調整し、4個がほぼ同量の脱水量となるように調整した。このようにして、繊維強化プラスチック成形体用基材を作製した。
スラリー分散媒の粘度及びジェットワイヤー比を表1の通りとした以外は実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材を得た。
スラリー分散媒の粘度及びジェットワイヤー比を表1の通りとした以外は実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材を得た。
スラリー分散媒の粘度及びジェットワイヤー比を表1の通りとした以外は実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材を得た。
スラリー分散媒の粘度、ジェットワイヤー比及び炭素繊維の繊維長を表1の通りとした以外は実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材を得た。
炭素繊維をガラス繊維に変更し、スラリー分散媒の粘度を表1の通りとした以外は実施例5と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材を得た。
スラリー分散媒の粘度及びジェットワイヤー比を表1の通りとした以外は実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材を得た。
スラリー分散媒の粘度及びジェットワイヤー比を表1の通りとした以外は実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材を得た。
スラリー分散媒の粘度及びジェットワイヤー比を表1の通りとした以外は実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材を得た。
スラリー分散媒の粘度及びジェットワイヤー比を表1の通りとした以外は実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材を得た。
実施例・比較例で得られた繊維強化プラスチック成形体用基材を幅5mm、長さ10mmに切断し、紫外線硬化タイプの包埋用エポキシ樹脂(日本電子株式会社製、アロニックス LCA D−800)を、試験片の表面全面を覆うようにスポイトを用いて滴下して含浸させ、紫外線を照射して硬化させた。
そして、日本分光株式会社製、スライスマスター HS−1を用いて、硬化物から幅0.4mm、長さ10mmの断面観察用試験片を切り出した。なお、切断方向は、図2(b)におけるB−B'方向とした。
得られた試験片の厚み方向の断面を、キーエンス社製、マイクロスコープで、300倍に拡大して透過光にて繊維を観察した。ここでは、上記断面のうちの連続した1.5mm2の測定領域を観察した。また、試験片の観察面およびその反対面のそれぞれから深さ10μm以上の部分に焦点を合わせて観察を行った。そして、上記測定領域中に存在する、観察像において視認し得る全ての繊維(繊維数はn本とする)について、後述する方法で設定した基準線に対する角度θi(i=1〜n)を測定した。配向角度θiは、基準線に対して時計回りの方向の角度を測定し、0°以上180°未満の角度とした。そして、設定された基準線に対する繊維の角度θiから、以下の式(1)を用いて厚み方向の繊維配向パラメーターを算出した。
fp=2×Σ(cos2θi/n)−1 式(1)
仮基準線pとした際の繊維配向パラメーター(fp(p))は、下記式を用いて算出した。
fp(p)=2×Σ(cos2α(p)i/n)−1
(i=1、2、3、・・・、n)
次に、仮基準線pを±1°ずつ、±90°となるまで回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))をとり、仮基準線p+zと仮基準線p-zと繊維n本の角度を算出した。この場合の角度は、α(p+z)iと、α(p-z)i(i=1〜n)で表した。
回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))と強化繊維の繊維配向パラメーター(fp(p±z))は、下記式を用いて算出した。
fp(p±z)=2×Σ(cos2α(p±z)i/n)−1
(i=1、2、3、・・・、n)
このようにして、得られたfp(p)値及びfp(p±z)値のうち最大値が得られた場合に設定した仮基準線を基準線とした。
実施例・比較例で得られた繊維強化プラスチック成形体用基材を幅3cm×長さ3cmとなるように切り出し、この試験片をスライドガラスで挟み、当該試験片の一方の面を光学顕微鏡にて観察した。光学顕微鏡には、キーエンス社製、マイクロスコープを用い、300倍に拡大して反射光にて繊維を観察した。ここでは、上記一方の面のうちの連続した2.0mm2の測定領域を観察した。そして、この測定領域中に存在する、観察像において視認し得る全ての繊維(繊維数はm本とする)について、後述する方法で設定した基準線に対する角度θi(i=1〜m)を測定した。配向角度θiは、基準線に対して時計回りの方向の角度を測定し、0°以上180°未満の角度とした。そして、設定された基準線に対する繊維の角度θiから、以下の式(2)を用いて厚み方向の繊維配向パラメーターを算出した。
fp=2×Σ(cos2θi/m)−1 式(2)
そして、反対面についても同様に測定し、一方の面と反対面の平均値を求めて、これを平面方向の繊維配向パラメーター(fp)とした。なお、一方の面の測定領域と反対面の測定領域は、平面視において重なる領域とした。また、一方の面および反対面のいずれの観察においても、一方の面および反対面のそれぞれから深さ10μm以上の部分に焦点を合わせて観察を行った。
仮基準線pとした際の繊維配向パラメーター(fp(p))は、下記式を用いて算出した。
fp(p)=2×Σ(cos2α(p)i/m)−1
(i=1、2、3、・・・、m)
次に、仮基準線pを±1°ずつ、±90°となるまで回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))をとり、仮基準線p+zと仮基準線p-zと繊維m本の角度を算出した。この場合の角度は、α(p+z)iと、α(p-z)i(i=1〜m)で表した。
回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))と強化繊維の繊維配向パラメーター(fp(p±z))は、下記式を用いて算出した。
fp(p±z)=2×Σ(cos2α(p±z)i/m)−1
(i=1、2、3、・・・、m)
このようにして、得られたfp(p)値及びfp(p±z)値のうち最大値が得られた場合に設定した仮基準線を基準線とした。
実施例及び比較例で得られた曲げ強度測定用繊維強化プラスチック成形体用基材を、幅10cm×長さ10cmとなるように切り出し、合計重量が10gとなるように、抄造方向を揃えて積層した。この積層物に、硬化剤を添加し混練りしたエポキシ樹脂(有限会社、ブレニー技研製GM−6800)を15gスポイトで滴下し、温度60℃の熱プレス機に挿入し、圧力8MPaで2時間成形し、繊維強化プラスチック成形体を得た。
得られた繊維強化プラスチック成形体を、JIS K 7074 「炭素繊維強化 プラスチックの曲げ試験方法」に従って、繊維の配向方向(マシンディレクション、以下MDとする)及び繊維の配向と直角方向(クロスディレクション、以下CDとする)について測定し、MD方向とCD方向の強度及び強度比測定した。
なお、曲げ強度の相乗平均値は以下の式で算出した。
曲げ強度の相乗平均値=√(FMD×FCD)
ここで、FMDはMD方向の曲げ強度を表し、FCDはCD方向の曲げ強度を表す。
20 強化繊維
30 バインダー成分
40 包埋用エポキシ樹脂
50 断面観察用試験片
P 基準線
P' 基準線と平行な線(補助線)
Q 基準線に対する強化繊維の角度を表す線
R 基準線に対する強化繊維の角度を表す線
Claims (9)
- 強化繊維とバインダー成分とを含む繊維強化プラスチック成形体用基材であって、
前記繊維強化プラスチック成形体用基材における厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)が0.5〜1.0であり、
前記繊維強化プラスチック成形体用基材における平面方向の繊維配向パラメーター(fp)が0.3〜1.0であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用基材。 - 前記強化繊維は炭素繊維である請求項1に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
- 前記バインダー成分の含有量は、前記繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して0.1〜10質量%である請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
- 前記強化繊維の繊維長は10mm以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
- 強化繊維と、バインダー成分を混合したスラリーを、湿式抄紙する工程を含み、
前記傾斜型抄紙機のワイヤーは、ジェットワイヤー比が0.98以下となるように走行することを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法であって、
前記繊維強化プラスチック成形体用基材における厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)が0.5〜1.0であり、
前記繊維強化プラスチック成形体用基材における平面方向の繊維配向パラメーター(fp)が0.3〜1.0である繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法。 - 前記傾斜型抄紙機のワイヤーは、ジェットワイヤー比が0.90以下となるように走行する請求項5に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法。
- 前記スラリーの分散媒の25℃における粘度は、0.8〜4.0mPaである請求項5又は6に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材を用いて繊維強化プラスチック成形体を製造する方法であって、
前記繊維強化プラスチック成形体用基材に樹脂を含浸し樹脂含有繊維強化プラスチック成形体用基材を得る工程、又は樹脂を積層し樹脂含有繊維強化プラスチック成形体用基材を得る工程と、
記樹脂含有繊維強化プラスチック成形体用基材を加圧する工程と、を含むことを特徴とする繊維強化プラスチック成形体の製造方法。 - 請求項8に記載の製造方法で製造された繊維強化プラスチック成形体。
Priority Applications (1)
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