実施形態1.
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、スキャナ機能を含む複合機(MFP;Multi Function Peripheral)としての画像処理装置を例として説明する。
図1は、本実施形態に係る画像処理装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像処理装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等と同様の構成を含む。
すなわち、本実施形態に係る画像処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス80を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60及び操作部70が接続されている。この他、画像処理装置1の場合、画像形成出力やスキャンを実行するエンジンが含まれる。
CPU10は演算手段であり、画像処理装置1全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納される。なお、HDDの他、SSD(Solid State Drive)等の半導体記憶装置を用いても良い。
I/F50は、バス80と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザが画像処理装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボード、マウス、各種のハードボタン、タッチパネル等、ユーザが画像処理装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10がそれらのプログラムに従って演算を行うことによりソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像処理装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
次に、本実施形態に係る画像処理装置1の機能について説明する。図2は、本実施形態に係る画像処理装置1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る画像処理装置1は、コントローラ100、ADF(Auto Documennt Feeder)2、スキャナユニット111、ディスプレイパネル113、給紙テーブル114、プリントエンジン115、排紙トレイ116、ネットワークI/F117を有する。
また、ADF2は、スキャナユニット111により読み取られるべき読取対象原稿を載置する読取原稿載置部である原稿トレイ201、原稿トレイ201の上方に設けられた排紙トレイ202a(排出原稿載置部)及び画像読取装置であるスキャナユニット111から直線状に搬送された原稿が排出される排紙トレイ202bを有する。このようなADF2の機械的構成及びこれらの構成の制御が本実施形態の特徴であり、その構成や制御の詳細は後述する。
また、コントローラ100は、主制御部101、エンジン制御部102、入出力制御部103、操作表示制御部104及び画像処理部105を有する。図2に示すように、本実施形態に係る画像処理装置1は、スキャナユニット111、プリントエンジン115を有する複合機として構成されている。なお、図2においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
ディスプレイパネル113は、画像処理装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像処理装置1を直接操作し若しくは画像処理装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。ネットワークI/F117は、画像処理装置1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)、USB、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi(Wireless Fidelity)等のインタフェースが用いられる。
コントローラ100は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM30やHDD40等の不揮発性記憶媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM20にロードされ、それらのプログラムに従ってCPU10が演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ100が構成される。コントローラ100は、画像処理装置1全体を制御する制御部として機能する。
主制御部101は、コントローラ100に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ100の各部に命令を与える。エンジン制御部102は、プリントエンジン115やスキャナユニット111等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。入出力制御部103は、ネットワークI/F117を介して画像処理装置1に接続された情報処理装置等から入力される信号や命令を主制御部101に入力する。また、主制御部101は、入出力制御部103を制御し、ネットワークI/F117を介して他の装置にアクセスする。
画像処理部105は、主制御部101の制御に従い、印刷出力すべき画像情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成出力部であるプリントエンジン115が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。また、画像処理部105は、スキャナユニット111から入力される撮像データを処理し、画像データを生成する。この画像データとは、スキャナ動作の結果物として画像処理装置1に格納され若しくはネットワークI/F117を介して他の機器に送信される情報である。操作表示制御部104は、ディスプレイパネル113に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル113を介して入力された情報を主制御部101に通知する。
なお、スキャナ機能のみを有する画像処理装置の場合、図2に示す給紙テーブル114、プリントエンジン115及び排紙トレイ116が省略されると共に、エンジン制御部102の機能から、給紙テーブル114、プリントエンジン115及び排紙トレイ116を制御するための機能が省略される。
画像処理装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部103が、ネットワークI/F117を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部103は、受信した印刷ジョブを主制御部101に転送する。主制御部101は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部105を制御して印刷ジョブに含まれる文書情報若しくは画像情報に基づいて描画情報を生成する。画像処理部105によって描画情報が生成されると、エンジン制御部102は、生成された描画情報に基づき、給紙テーブル114から搬送される用紙に対して画像形成を実行する。プリントエンジン115の具体的態様としては、インクジェット方式による画像形成機構や電子写真方式による画像形成機構等を用いることが可能である。プリントエンジン115によって画像形成が施された文書は排紙トレイ116に排紙される。
画像処理装置1がスキャナ、すなわち画像読取装置として動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル113の操作若しくはネットワークI/F117を介して外部の機器から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部104若しくは入出力制御部103が主制御部101にスキャン実行信号を転送する。主制御部101は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部102を制御する。エンジン制御部102は、ADF2を駆動し、ADF2の原稿トレイ201にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット111に搬送する。また、エンジン制御部102は、スキャナユニット111を駆動し、原稿トレイ201から搬送される原稿を撮像する。また、原稿トレイ201に原稿がセットされておらず、スキャナユニット111に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット111は、エンジン制御部102の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。即ち、スキャナユニット111が撮像部として動作する。
撮像動作においては、スキャナユニット111に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいた撮像情報が生成される。エンジン制御部102は、スキャナユニット111が生成した撮像情報を画像処理部105に転送する。画像処理部105は、主制御部101の制御に従い、エンジン制御部102から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。画像処理部105が生成した画像情報はHDD40等の画像処理装置1に装着された記憶媒体に保存される。画像処理部105によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD40等に格納され若しくはネットワークI/F117を介して、入出力制御部103により外部の装置に送信される。
また、スキャナユニット111は、エンジン制御部102の制御に従い、撮像した原稿を排紙トレイ202a又は202bに搬送して排紙する。撮像された原稿が排紙トレイ202a又は202bのいずれかに搬送される態様の詳細は後述する。
また、画像処理装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部102がスキャナユニット111から受信した撮像情報若しくは画像処理部105が生成した画像情報に基づき、画像処理部105が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部102がプリントエンジン115を駆動する。
図3及び図4は、本実施形態に係るADF2の機械的構成及び原稿の搬送経路を例示する断面図である。図3は、原稿が排紙トレイ202aに搬送される場合の搬送路を例示する図であり、図4は、原稿が排紙トレイ202bに搬送される場合の搬送路を例示する図である。
図3に示すように、本実施形態に係るADF2においては、エンジン制御部102の制御に従って、以下のように原稿が搬送される。まず、原稿トレイ201にセットされた原稿束(1枚であってもよい)の上部の原稿は、ピックアップローラ203によりピックアップされ分離給紙ローラ204a、204bに給紙される。
ピックアップローラ203により給紙された原稿は、分離給紙ローラ204a、204bにより、最上位の1枚の原稿が分離されて搬送ローラ205a、205bに向かって搬送される。分離給紙ローラ204a、204bにより搬送された原稿は、搬送ローラ205a、205bにより、図3において太線で示す直線状の搬送路上をさらに搬送される。この搬送過程において、撮像素子121等を含むスキャナユニット111により原稿が撮像される。
スキャナユニット111により撮像された原稿は、さらに排紙ローラ206a、206b、207a、207bにより、図3において太線矢印で示すように湾曲した搬送路によりUターンして排紙トレイ202aに排紙される。このような搬送路を「湾曲搬送路」とし、例えば、それほど厚みのない原稿や湾曲可能な用紙等の原稿の搬送路として用いられる。
切替爪208、切替爪の支軸209及び突き当て部210は、図3に示した湾曲搬送路と図4に示す排紙トレイ202bへの搬送路とを切り替える切替部である。切替爪208は、支軸209に対して時計回りの方向に自重もしくはバネ等の弾性材によって付勢している。図3に示すように、排紙トレイ202aが閉じた状態である場合、切替爪208の先端が搬送ローラ206b側の図示しない突き当て部で突き当たることにより切替爪208の位置が定まり、湾曲搬送路が開通する。
一方、図4に示すように、排紙トレイ202bを閉じた状態から開いた状態に回動させると、連動して突き当て部210が切替爪208の図4に示した位置に突き当たり、切替爪208が支軸209に対して反時計まわりの方向に回動する。回動後、切替爪208の先端は搬送ローラ206a側のニップ近傍の位置に定まり、図4に示した搬送路が開通する。
このように、排紙トレイ202bを回動することによって切替爪208を連動して搖動させて湾曲搬送路とストレート搬送路とを切り替えることができるので、切替爪208の切り替え動作にソレノイドやモータ等の駆動源を用いる必要がなく、装置の複雑化や大型化、装置の電力消費を抑えることが可能になる。しかしながら、このような切替構成は一例であり、ソレノイドやモータ等の駆動源を用いた場合であっても、湾曲搬送路とストレート搬送路とを切り替える構成を有する原稿搬送装置であれば本実施形態の対象となる。
図4に示した搬送路においては、原稿は、図3を示して説明した各部により同様に搬送されてスキャナユニット111に撮像される。撮像された原稿は、図4において太線矢印で示すように、搬送ローラ206a、206bにより湾曲することなくそのまま直線状に搬送され、排紙トレイ202bに排紙される。このような搬送路を「ストレート搬送路」とし、例えば、厚みのあるカタログ等の原稿やカード等の湾曲不能な原稿の搬送路として用いられる。
このように、本実施形態に係るADF2においては、図3及び図4に示したように、スキャナユニット111により撮像された原稿が搬送される搬送路が湾曲搬送路とストレート搬送路とに分岐している。このような構成上、本実施形態に係るADF2の排紙トレイ202aは原稿トレイ201の上方に設けられている。
ここで、本実施形態に係るADF2の構成との比較のため一般的に多く用いられているADFの構成を説明する。図5は、一般的なADFの斜視図を例示する図である。図5に示すように、一般的なADFにおいては、ユーザが原稿をセットしやすいよう原稿トレイが排紙トレイよりも上方に設けられている。原稿トレイにセットされた原稿は、スキャナユニット111に搬送されて撮像された後、湾曲した搬送路によりUターンして原稿トレイの下方に設けられている排紙トレイに排紙される。
このように、本実施形態に係るADF2における原稿トレイ201及び排紙トレイ202aの位置関係が、図5に示した一般的なADFの原稿トレイ及び排紙トレイの位置関係と逆になっている。そのため、本実施形態に係るADF2に原稿をセットするユーザが、排紙トレイ202aを原稿トレイ201と間違えて、排紙トレイ202aに原稿を誤セットしてしまうことが懸念される。
本実施形態に係る要旨は、排紙トレイ202への原稿の誤セットを抑制することにある。以下、本実施形態に係る構成として、本実施形態に係るADF2の機械的構成及びこれらの構成部の制御処理を説明する。
図6は、本実施形態に係るADF2の機械的構成を例示する断面図である。図6に示すように、ADF2には、図3及び図4に示した構成に加えて、排紙トレイカバー221、原稿トレイフィラー222、原稿センサ223、カバー位置センサ224、排紙トレイフィラー225及び排紙原稿センサ226を含む。なお、図6以降の図においては、図3及び図4に示した構成と同様の構成の符号を適宜省略する。
図7は、本実施形態に係るADF2の斜視図である。図6及び図7に示すように、排紙トレイカバー221は、排紙トレイ202aの原稿載置側に設けられた板状の部材であり、エンジン制御部102の制御に従って、上下に可動する。エンジン制御部102は、原稿センサ223、カバー位置センサ224及び排紙原稿センサ226からの信号に応じて排紙トレイカバー221を制御する。
図8は、エンジン制御部102による排紙トレイカバー221の可動を制御する処理を例示するフローチャートである。以下、図8を参照してエンジン制御部102の処理を説明するとともに、図6に示した各構成部の機能を説明する。なお、原稿トレイ201及び排紙トレイ202aのいずれにも原稿が載置されていない場合を初期状態とする。初期状態においては排紙トレイカバー221が図6に示した位置にあり、原稿を排紙する排紙口に原稿がセットされることを防ぐ状態になっている。すなわち、排紙トレイカバー221は、排紙トレイ202aに読取対象原稿を載置することを抑制する載置抑制部として機能する。
図8に示したフローチャートの開始時においては、ADF2が初期状態であるとする。図8に示すように、エンジン制御部102は、原稿センサ223からオン信号を受信するまで(S801/YES)待機する(S801/NO)。
原稿センサ223から送信されるオン信号は、原稿トレイ201に原稿がセットされたことを意味する。以下、原稿トレイ201に原稿がセットされた場合の態様を説明する。図9は、本実施形態に係るADF2の排紙トレイ202aが取り外された状態の斜視図である。図6及び図9に示すように、原稿トレイフィラー222は、原稿トレイ201にセットされた原稿が押し当てられる位置に配置される。
図10は、ADF2の原稿トレイ201に原稿がセットされた態様を例示する断面図である。図10に示すように、原稿トレイフィラー222は、原稿トレイ201に原稿がセットされることにより原稿に押されて回動し、フォトインタラプタである原稿センサ223を遮蔽する。原稿センサ223は、原稿トレイフィラー222により遮蔽されると、エンジン制御部102に対してオン信号を送信する。
エンジン制御部102は、原稿センサ223からオン信号を受信すると(S801/YES)、排紙トレイカバー221が下降するよう制御する(S802)。排紙トレイカバー221が下降するよう制御したエンジン制御部102は、カバー位置センサ224からオン信号を受信するまで(S803/YES)、制御を維持する(S803/NO)。
カバー位置センサ224から送信されるオン信号は、排紙トレイカバー221が図10に示すように排紙トレイ202aの上面とほぼ接触する位置まで下降したことを意味する。図10に示すように、排紙トレイカバー221が排紙トレイ202aの上面とほぼ接触する位置まで下降すると、排紙トレイカバー221の下面の先端側に設けられた排紙トレイフィラー225により、フォトインタラプタであるカバー位置センサ224を遮蔽する。カバー位置センサ224は、排紙トレイフィラー225により遮蔽されると、エンジン制御部102に対してオン信号を送信する。
エンジン制御部102は、カバー位置センサ224からオン信号を受信すると(S803/YES)、排紙トレイカバー221の下降を停止するよう制御する(S804)。これにより、排紙トレイカバー221は、図10に示した位置で停止することになる。
図11は、ADF2の原稿トレイ201にセットされた原稿の搬送態様を例示する断面図である。図11に示すように、原稿トレイ201にセットされた原稿束は1枚ずつスキャナユニット111に搬送されて撮像され、湾曲搬送路を通過して排紙トレイ202aに排紙される。このような処理が繰り返されて、原稿トレイ201にセットされた原稿が減っていく。
このような原稿の搬送処理が行われている間、エンジン制御部102は、原稿センサ223からオフ信号を受信するまで(S805/YES)待機する(S805/NO)。原稿センサ223から送信されるオフ信号は、原稿トレイ201に原稿がセットされていないことを意味する。
図12は、原稿トレイ201にセットされたすべての原稿が排紙トレイ202aに搬送された態様を例示する断面図である。図12に示すように、排紙トレイ202にセットされた原稿がなくなると、原稿トレイフィラー222が押されなくなることにより、元の位置に戻り、原稿センサ223が遮蔽されなくなる。原稿センサ223は、原稿トレイフィラー222により遮蔽されなくなると、エンジン制御部102に対してオフ信号を送信する。
エンジン制御部102は、原稿センサ223からオフ信号を受信すると(S805/YES)、排紙原稿センサ226からオフ信号を受信するまで(S806/YES)待機する(S806/NO)。排紙原稿センサ226は、図4に示すように排紙トレイカバー221に設けられている反射型センサである。排紙トレイ202aに原稿が積載されていると、排紙原稿センサ226は原稿を検知してエンジン制御部102に対してオン信号を送信する。
図13は、ADF2の排紙トレイ202aに排紙された原稿が回収された態様を例示する断面図である。図13に示すように、排紙トレイ202aから原稿が回収されると、排紙原稿センサ226は、原稿を検知しなくなりエンジン制御部102に対してオフ信号を送信する。
エンジン制御部102は、排紙原稿センサ226からオフ信号を受信すると(S806/YES)、排紙トレイカバー221が予め定められた位置まで上昇するよう制御する(S807)。このように、原稿トレイ201及び排紙トレイ202aに原稿が積載されていない状態になると、排紙トレイカバー221は、再度図6に示した位置に戻る。
ここで、排紙トレイカバー221を上下に可動させるためにエンジン制御部102の制御に従って駆動する駆動部について説明する。図14は、ADF2を上面から見た図である。図14に示すように、排紙トレイカバー221の回転軸の先にはプーリ231が設けられている。プーリ231及び駆動モータ232により駆動する駆動プーリ233にタイミングベルト234がかけられている。
図15は、図14に示したAの方向から見たプーリ231、駆動モータ232、駆動プーリ233及びタイミングベルト234の構成を示す図である。駆動モータ232により駆動プーリ233が正回転(時計回り)することで、タイミングベルト234を介してプーリ231が時計回りに回転する。プーリ231が時計回りに回転することにより、排紙トレイカバー221が上昇する。
一方、駆動モータ232により駆動プーリ233が逆回転(反時計回り)することで、タイミングベルト234を介してプーリ231が反時計回りに回転する。プーリ231が反時計回りに回転することにより、排紙トレイカバー221が下降する。
すなわち、本実施形態においては、エンジン制御部102は、原稿センサ223からオン信号を受信すると、駆動プーリ233が逆回転するよう駆動モータ232を制御する。また、エンジン制御部102は、原稿センサ223及び排紙原稿センサ226からオフ信号を受信すると、駆動プーリ233が正回転するよう駆動モータ232を制御する。
以上説明したように、本実施形態に係るADF2においては、原稿トレイ201及び排紙トレイ202aの両方に原稿が載置されていない場合、排紙トレイカバー221が上がった状態、すなわち、排紙トレイ202aに読取対象原稿を載置不能な位置となる。これにより、ユーザが排紙トレイ202aを原稿トレイ201と間違えて、排紙トレイ202aに原稿を誤セットすることを防止することができる。
また、本実施形態に係るADF2においては、原稿トレイ201に原稿がセットされた場合、排紙トレイカバー221が下降し、排紙トレイ202aに排紙された原稿が回収可能な状態になる。すなわち、排紙トレイカバー221は、排紙トレイ202aに読取対象原稿を載置可能な位置に移動する。原稿トレイ201に原稿がセットされたことから、ユーザは原稿トレイ201の位置を正しく認識しているので、排紙トレイカバー221が下降して排紙トレイ202aに読取対象原稿をセット可能な位置に移動しても、排紙トレイ202aに原稿を誤セットする可能性は低い。
また、本実施形態に係るADF2においては、排紙トレイ202aに原稿が載置されている場合、原稿トレイ201に原稿がセットされていない状態であっても、排紙トレイカバー221が下がった状態である。この場合、原稿をセットしようとしたユーザが排紙トレイ202aに載置されている他のユーザの原稿に、自身の原稿を混在させてセットする可能性は低く、ユーザは原稿が載置されているトレイが排紙トレイ202aであると認識するので、排紙トレイ202aに原稿を誤セットする可能性は低い。
以上のことから、本実施形態によれば、排紙トレイが原稿トレイの上方に設けられた構成において、排紙トレイに原稿を誤セットすることを防止することができる。
なお、図8に示したフローチャートにおいて、エンジン制御部102が排紙トレイカバー221を下降制御している(S802)間に、原稿トレイ201にセットされた原稿をユーザが回収する場合の処理は含まれていない。しかしながら、このような場合であっても、エンジン制御部102は、原稿センサ223からオフ信号を受信すると、排紙トレイカバー221の下降制御の途中で上昇制御に切り替えて、排紙トレイカバー221を図6に示した位置に戻すことにより対応することができる。その他、エンジン制御部102は、原稿センサ223からオフ信号を受信すると、排紙トレイカバー221をカバー位置センサ224からオン信号を受信するまで下降制御し、すぐに上昇制御に切り替えて排紙トレイカバー221を図6に示した位置に戻すようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、排紙トレイカバー221の先端が排紙トレイ202aの上面に対して傾斜している場合を例として説明した。これにより、排紙ローラ207a、207bから排紙された原稿をすくいあげやすくなるが、この構成は必須ではなく、排紙トレイ202aの上面に対して直角であってもよい。また、図16に示すように、排紙トレイカバー221が下降して接する排紙トレイ202aの面のうち排紙トレイカバー221が下降して接する部分を他の部分よりも低くなるよう段差を設けてもよい。このような構成により、排紙された原稿をよりすくいあげやすくすることができる。
また、上記実施形態においては、排紙トレイカバー221が板状である場合を例として説明した。しかしながら、これは一例であり、排紙トレイカバー221は柵状や格子状等であってもよく、排紙トレイカバー221が上昇制御されることで排紙トレイ202aに原稿がセットされることを抑制する構成であればよい。また、排紙トレイカバー221が不透明な板状である場合、排紙トレイカバー221が図6に示した位置にあるときは、外部から排紙口が見えなくなるので、ユーザが排紙トレイ202aを原稿トレイ201と誤認識することをより防止することができる。しかしながら、この構成は必須ではなく、排紙トレイカバー221は透明であってもよい。
実施形態2.
以下、本発明の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態においては、第1の実施形態における図6に示した構成とは異なる構成により排紙トレイ202aに原稿を誤セットすることを防止する。図17及び図18は、第2の実施形態に係るADF2の機械的構成を例示する断面図である。図17は、第2の実施形態に係るADF2の断面図であり、図18は、第2の実施形態に係るADF2の斜視図である。
図17及び図18に示すように、ADF2には、図3及び図4に示した構成に加えて、原稿押さえ部251が設けられている。図17に示すように、原稿押え部251は、支点部251a及び回動部251bから構成される。図17に示すように、支点部251aは、排紙トレイ202aの排紙口の上側に設けられている。また、回動部251bは、自重もしくは支点部251aに加圧部材を設けることにより、排紙トレイ202aの上面に接するように設けられている。すなわち、原稿押さえ部251は、排紙トレイ202aの原稿載置面から排紙トレイ202aの排出口を塞ぐように設けられて、排紙トレイ202aに原稿を載置することを抑制する載置抑制部として機能する。
図18に示すように、このような原稿押さえ部251が、少なくとも1つ以上設けられている。なお、上記実施形態においては、4つの原稿押さえ部251が等間隔に配置されている場合を例として説明している。しかしながら、これは一例であり、原稿押さえ部251の数や配置はこれに限定されるものではなく、任意の数や間隔で配置可能である。また、原稿押さえ部251の搬送方向と直交する方向の幅も図18に示した長さに限定されるものではなく、任意の幅にすることができる。
図19は、ADF2の排紙トレイ202aに原稿が排紙されている態様を例示する断面図である。排紙トレイ202aに排紙される原稿の搬送方向の先端が原稿押さえ部251に突き当たると、搬送ローラ207a、207bによる搬送力及び原稿のコシ(ハリ)により、原稿押さえ部251が排紙トレイ202aの上面から離れる方向に回動する。
これにより、原稿は排紙トレイ202a又はすでに排紙されている原稿面と原稿押さえ部251との間を通り、原稿の搬送方向の後端が排紙ローラ207a、207bを抜けるまで搬送される。そして、原稿は、原稿押さえ部251の自重により押圧される形で排紙トレイ202aに載置される。
以上説明したように、第2の実施形態においては、原稿押さえ部251をユーザが持ち上げたりしないと原稿がセットできない状態であることから、ユーザは排紙トレイ202aを原稿トレイ201と間違える可能性が低くなる。そのため、排紙トレイが原稿トレイの上方に設けられた構成において、排紙トレイに原稿を誤セットすることを防止することができる。
また、原稿搬送装置においては、排紙ローラにより排紙された原稿が、排紙された勢いにより排紙トレイの下流側へ流されて排紙トレイから落下する場合がある。このような問題を解決するために、排紙トレイの大きさを大きくすることが考えられるが、排紙トレイが原稿トレイの上方に設けられた原稿搬送装置においては、排紙トレイの大きさを大きくすると、排紙トレイが邪魔になり下方にある原稿トレイに原稿がセットしづらくなる。
第2の実施形態に係る構成により、排紙された原稿は、原稿押さえ部251により押さえられた状態で排紙トレイ202aに載置されるので、排紙トレイ202aを大きくすることなく、排紙トレイ202aからの落下を防止することが可能になる。
なお、上記実施形態においては、原稿押さえ部251の回動部251bの形状が直方体である場合を例として説明した。しかしながら、これは一例であり、原稿と原稿押さえ部251との擦れ音を軽減させるために回動部251bの端部の角を丸くしたり、原稿を押さえる接点箇所の面積を大きくするために回動部251bの排紙トレイ202bと接する端部をくの字に曲げたりする等、回動部251の形状は、直方体以外であってもよい。また、押さえたことによる原稿の破損を防止するために回動部251bの排紙トレイ202bと接する端部をゴム等の弾性体で構成してもよい。
次に、第2の実施形態の変形例を説明する。図20は、第2の実施形態の変形例1の構成を例示する断面図である。図20に示すように、第2の実施形態の変形例1においては、排紙トレイ202aに設けられた溝部332に回動部251bの端部が入り込むように構成される。
図17及び図18に示した構成では、排紙トレイ202aと原稿押さえ部251と間のわずかな隙間から原稿が差し込まれる可能性がある。変形例1で示した構成により、このような隙間がなくなるので、排紙トレイ202aに原稿が誤セットされることをより防止することができる。
図21は、第2の実施形態の変形例2の構成を例示する斜視図である。図21に示すように、第2の実施形態の変形例2においては、原稿押さえ部251は排紙口全体を覆うような形状である。このような構成により、図17及び図18に示した構成による効果に加えて、排紙口が外部から見えなくなることにより、ユーザが排紙トレイ202aを原稿トレイ201と間違えることをより防止することが可能になる。
なお、第1の実施形態及び第2の実施形態においては、湾曲搬送路及びストレート搬送路の両方に対応する原稿搬送装置を具体例として説明した。しかしながら、本実施形態は、ストレート搬送路に対応しているか否かに関わらず、排紙トレイが原稿トレイの上方に設けられた構成の原稿搬送装置であれば同様に適用可能である。