JP6412572B2 - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

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Description

本発明は,電流遮断型の内燃機関用点火装置に関するものである。
電流遮断型の内燃機関用点火装置として、特許文献1や特許文献2に示されているように、機関のクランク軸に取り付けられたフライホイールの外周に永久磁石を取り付けて3極の磁石界磁を構成した磁石回転子と、磁石回転子の磁極に対向する1対の磁極部を有する鉄心に点火コイルを巻回して構成した固定子とからなる磁石発電機(フライホイールマグネト)を点火電源として用いる、バッテリレスの点火装置が広く採用されている。
この種の点火装置に用いる磁石発電機においては、点火コイルの一次コイルが点火電源用の発電コイルを兼ねていて、一方の極性を有する第1の半波と、他方の極性を有して第1の半波よりも波高値が高い第2の半波と、一方の極性を有して第1の半波と同等の波高値を有する第3の半波とが順次現れる波形を有する交流電圧が、クランク軸が1回転する間に1回だけ一次コイルに誘起する。一次コイルに誘起する第1ないし第3の半波の電圧のうち、最も波高値が高い主たる半波は第2の半波であり、この第2の半波の電圧が点火エネルギを得るために用いられる。
磁石発電機の固定子に設けられた点火コイルの一次コイルの両端には、IGBTやバイポーラトランジスタ等のオンオフ制御が可能な半導体スイッチ素子からなる電流制御用スイッチが並列に接続され、この電流制御用スイッチと磁石発電機とにより点火回路が構成される。また電流制御用スイッチを機関の点火時期にオン状態からオフ状態にするタイミングを制御することにより内燃機関の点火時期を制御する点火制御部が設けられ、この点火制御部と、上記点火回路とにより、電流遮断型の内燃機関用点火装置が構成される。
特許文献1に示された点火装置においては、電流制御用スイッチがNPNトランジスタからなっていて、点火コイルの一次コイルに第2の半波の電圧が誘起したときに、該トランジスタのコレクタの電位がエミッタに対して正電位になるようにして、該トランジスタのコレクタエミッタ間回路が点火コイルの一次コイルの両端に並列に接続されている。また、トランジスタのコレクタとベースとの間がバイアス用抵抗を通して接続され、点火コイルの一次コイルに誘起した第2の半波の電圧が所定のレベルに達して、トランジスタのコレクタ側からバイアス用抵抗を通してトランジスタに所定の大きさのベース電流が流れたときに(トランジスタをオン状態にするための駆動信号が与えられた時に)、トランジスタがオン状態にされる。
特許文献1に示された点火装置においてはまた、電流制御用スイッチを構成するトランジスタのベース・エミッタ間にサイリスタが接続され、内燃機関の点火時期にこのサイリスタがオン状態にされることにより、それまでオン状態にあったトランジスタがオフ状態にされる。トランジスタがオフ状態にされると、点火コイルの一次コイルからトランジスタのコレクタエミッタ間を通して流れていた一次電流が遮断されるため、点火コイルの一次コイルに、それまで流れていた一次電流を流し続けようとする向きの高い電圧が誘起し、この電圧が点火コイルの一次と二次の間の昇圧比により点火用の高電圧まで昇圧される。点火コイルの二次コイルに誘起した点火用の高電圧は、内燃機関の気筒に取り付けられた点火プラグに印加されるため、該点火プラグの放電ギャップに火花放電が生じて機関が点火される。
上記のように、電流遮断型の点火装置においては、点火コイルの一次コイルに対して並列に接続された電流制御用スイッチをオン状態からオフ状態にすることにより、点火コイルの二次コイルに点火用の高電圧を誘起させて点火動作を行わせるため、電流制御用スイッチをオン状態からオフ状態にするタイミングを制御する点火制御部を設けることにより、機関の点火時期を制御することができる。
特許文献1に示された点火装置においては、点火制御部を構成するためにマイクロコンピュータが設けられ、このマイクロコンピュータに電源電圧と機関の回転情報とを与えるために、点火コイルの一次側にトリガコイルが設けられている。トリガコイルは、一次コイルと同位相の電圧を誘起するように設けられていて、その誘起電圧は、電源回路と周期信号生成部とに入力されている。電源回路は、点火コイルの一次コイルに第1の半波の電圧及び第3の半波の電圧が誘起したときにトリガコイルに誘起する電圧を一定の直流電圧に変換して、該直流電圧をマイコンの電源端子と周期信号発生部とに与える。周期信号発生部は、点火コイルの一次コイルに誘起する電圧を波形整形することにより、一次コイルに誘起する第1の半波の電圧及び第2の半波の電圧のそれぞれの立上がりと立ち下がりとでレベル変化が生じる矩形波状の信号を周期信号として発生して、この周期信号をマイクロコンピュータの割込み信号入力端子に与える。マイクロコンピュータは、周期信号の発生周期(クランク軸が1回転するのに要する時間)から内燃機関の回転速度を検出して、検出した回転速度に対して機関の点火時期を演算し、演算した点火時期が検出されたときに、電流制御用スイッチを構成するトランジスタのベースエミッタ間に接続されたサイリスタをオン状態にして点火動作を行わせる。
特許文献2に示された点火装置においては、トリガコイルが省略されて、点火コイルの一次コイルに誘起する電圧が電源回路と周期信号生成部とに入力されている。電源回路は、点火コイルの一次コイルに誘起する第1の半波の電圧と第3の半波の電圧とを一定の直流電圧に変換してマイクロコンピュータに電源電圧を与える。また周期信号生成部は、一次コイルに誘起する電圧を波形整形してえた矩形波状の周期信号をマイクロコンピュータの割込み信号入力端子に与える。
特許文献2に示された点火装置においても、点火コイルの一次コイルにコレクタエミッタ間回路が並列に接続されたトランジスタにより電流制御用スイッチが構成され、該トランジスタのベースエミッタ間に該トランジスタをオフ状態にするためのサイリスタが接続されている。またトランジスタのコレクタとベースとの間がバイアス用抵抗を介して接続され、点火コイルの一次コイルに誘起する第2の半波の電圧が所定レベルに達したときに、トランジスタのコレクタ側からベースに所定のベース電流を流してトランジスタをオン状態にし、サイリスタをオン状態にしたときにトランジスタをオフ状態にして点火動作を行わせるようにしている。
特開2009−156203号公報 特開2010−180854号公報
特許文献1や特許文献2に示された従来の電流遮断型の内燃機関用点火装置においては、機関の始動時においても、始動完了後の通常運転時においても、点火コイルの一次コイルに誘起する電圧を波形整形して得た周期信号を用いて検出した機関の回転速度に対して機関の点火時期を演算して、演算された点火時期に電流制御用スイッチをオフ状態にすることにより点火動作を行わせるようにしていたため、機関の始動操作開始後、マイクロコンピュータが起動して機関の回転速度を検出し得る状態になるまで点火動作を行うことができなかった。
周期信号の発生周期から機関の回転速度を検出するためには、クランク軸が1回転する必要がある。そのため、従来の点火装置によった場合には、機関の始動操作を開始した後、クランク軸を1回転以上回転させた後でないと最初の点火を行わせることができず、機関の始動性が損なわれるという問題があった。
電流遮断型の点火装置においては、点火コイルの一次コイルに大きな電流を流すことができるようにしておく必要があるため、一次コイルの巻数を少なくしておくことが必要である。そのため、始動時のクランキング回転速度が低いと、一次コイルに誘起する第1ないし第3の半波の電圧のうち、マイクロコンピュータに電源電圧を与えるために用いる第1の半波の電圧及び第3の半波の電圧の波高値を、マイクロコンピュータの電源を確保するために必要なレベルまで到達させることが困難になり、マイクロコンピュータを動作状態に維持することが困難になる。従って、バッテリを搭載せずに、点火コイルの一次コイルに誘起する電圧でマイクロコンピュータを動作させて、該マイクロコンピュータにより点火時期を制御するようにした電流遮断型点火装置は、始動時のクランキング速度が低下した場合に、点火動作を行わせることができなくなって、機関の始動に失敗するという問題があった。
特に、リコイルスタータやキックスタータのような、人力により操作する始動装置を用いて機関を始動する場合には、機関の始動操作を開始した後、クランク軸が1回転以上回転する間、マイクロコンピュータを動作させるために必要な電圧値以上の電圧を、点火コイルの一次コイルから電源回路に与え続けることが難しいため、従来の点火装置によった場合には、機関の始動に失敗する確率が高くなるのを避けられなかった。
なお、マイクロコンピュータを用いた点火制御部の他に、点火コイルの一次コイルの両端の電圧から点火すべきタイミングを検出して、電流制御用スイッチをオフ状態にする回路を別途設けることも考えられるが、マイクロコンピュータの他にこのような回路を設ける構成をとった場合には、点火装置の構成が複雑になるため、好ましくない。
本発明の目的は、マイクロコンピュータの電源電圧が確立した後遅滞なく最初の点火動作を行わせることができるようにして、人力により操作される始動装置により機関を始動する場合でも、機関の始動を容易に行わせることができるようにした電流遮断型の内燃機関用点火装置を提供することにある。
本発明は、内燃機関に取り付けられた磁石発電機の固定子に一次コイル及び二次コイルが設けられて、負極性の第1の半波と正極性の第2の半波と負極性の第3の半波とが順次現れる波形を有する交流電圧を前記内燃機関のクランク軸が1回転する間に1回だけ一次コイルに誘起する点火コイル及び前記点火コイルの一次コイルに対して並列に接続されて前記第2の半波の電圧が誘起したときにオン状態にされる電流制御用スイッチを備えて、前記電流制御用スイッチがオン状態からオフ状態にされた時に前記点火コイルの二次コイルに点火用の高電圧を誘起させて点火動作を行う点火回路と、前記電流制御用スイッチのオンオフを制御して前記点火回路が点火動作を行うタイミング(点火時期)を制御する点火制御部とを備えた内燃機関用点火装置を対象とする。
本明細書には、前記の目的を達成するために、少なくとも以下に示す第1ないし第10の発明が開示される。
第1の発明
本明細書に開示された第1の発明においては、点火コイルの一次コイルを通して流れる一次電流を検出する一次電流検出部と、前記一次電流検出部により検出される一次電流の情報を用いて前記点火制御部を構成するために必要な処理を行うマイクロコンピュータと、前記点火コイルの一次コイルに誘起する第1の半波の電圧及び第3の半波の電圧を直流電圧に変換して、該直流電圧を前記マイクロコンピュータに電源電圧として与える電源回路とが設けられる。
また上記点火制御部は、一次コイルに第2の半波の電圧が誘起するまでの間に電流制御用スイッチに駆動信号を与えて該電流制御用スイッチをオンし得る状態にしておくスイッチ駆動手段と、一次電流検出部により検出される一次電流が閾値に達するタイミングを基準タイミングとして検出する基準タイミング検出手段と、内燃機関の始動時に一次電流検出部により検出される一次電流の波形から内燃機関の始動時の点火時期とし得るタイミングを始動時点火時期として求めて、該始動時点火時期を求めた時に直ちに電流制御用スイッチをオフ状態にして点火回路に点火動作を行わせる始動時点火制御手段と、内燃機関の始動が完了した後に基準タイミングが検出される周期から得られる前記内燃機関の回転速度情報に対して内燃機関の点火時期を演算して、演算した点火時期を検出した時に電流制御用スイッチをオフ状態にすることにより点火回路に点火動作を行わせる通常時点火制御手段とを備えている。
上記のように、一次コイルに第2の半波の電圧が誘起するまでの間に電流制御用スイッチに駆動信号を与えて該電流制御用スイッチをオンし得る状態にしておくスイッチ駆動手段を設けておくと、機関の始動時に点火コイルの一次コイルに第2の半波の電圧が誘起した時に大きな遅れを伴うことなく電流制御用スイッチをオン状態にして一次電流を流すことができる。また上記のように、内燃機関の始動時に一次電流検出部により検出される一次電流の波形から内燃機関の始動時の点火時期とし得るタイミングを始動時点火時期として求めて、該始動時点火時期を求めた時に直ちに電流制御用スイッチをオフ状態にして点火動作を行わせる始動時点火制御手段を設けておくと、機関の始動時に、クランク軸が1回転して機関の回転速度が検出されるのを待つことなく、マイクロコンピュータが起動した後、最初に一次コイルに第2の半波の(正極性の半波の)電圧が誘起した時に最初の点火を行わせることができる。従って、機関の始動操作を開始した後、機関の初爆を速やかに行わせて、機関を始動させることができ、人力により機関を始動する場合のように、機関のクランキングを十分な速度で行うことが難しい場合であっても、機関の始動を容易に行わせることができる。
電流遮断型の点火装置は、点火コイルの一次電流を遮断する際の電流値が大きければ大きいほど大きな点火エネルギを発生する。本発明においては、機関の始動時に点火エネルギの大きさと直接関わりを持つ一次電流の波形を監視することにより点火時期を定めるため、機関の始動時の最初の点火時期を、始動時の点火時期とし得るタイミングで、しかも十分な点火エネルギを得ることができるタイミングに定めて、機関の初爆を適確に行わせることができ、機関の始動を容易にすることができる。
また上記第1の発明においては、点火コイルの一次電流が閾値に達するタイミングを基準タイミングとして検出する基準タイミング検出手段を、マイクロコンピュータにより構成される点火制御部に設けて、この基準タイミング検出手段により基準タイミングが検出される周期から、機関の回転速度情報を得るので、機関のクランク角の情報を与えるクランク信号を発生する回路を別途設ける必要がない。従って、第1の発明によれば、点火コイルと電流制御用スイッチとにより構成される点火回路の他に、一次電流検出部と、点火制御部を構成するマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータに電源電圧を与える電源回路とを設けるだけで点火装置を構成することができ、点火装置の構成の簡素化を図ることができる。
第2の発明
本明細書に開示された第2の発明においては、点火コイルの一次コイルを通して流れる一次電流を検出する一次電流検出部と、一次コイルに誘起する電圧を用いて内燃機関のクランク角情報を含むクランク信号を生成するクランク信号生成部と、一次電流検出部により検出される一次電流の情報とクランク信号により与えられるクランク角情報とを用いて点火制御部を構成するために必要な処理を行うマイクロコンピュータと、点火コイルの一次コイルに誘起する第1の半波の電圧及び第3の半波の電圧を直流電圧に変換して、該直流電圧をマイクロコンピュータに電源電圧として与える電源回路とが設けられる。
第2の発明においては、上記点火制御部が、一次コイルに第2の半波の電圧が誘起するまでの間に電流制御用スイッチに駆動信号を与えて該電流制御用スイッチをオンし得る状態にしておくスイッチ駆動手段と、内燃機関の始動時に一次電流検出部により検出される一次電流の波形から内燃機関の始動時の点火時期とし得るタイミングを始動時点火時期として求めて、該始動時点火時期を求めた時に直ちに電流制御用スイッチをオフ状態にして点火動作を行わせる始動時点火制御手段と、内燃機関の始動が完了した後にクランク信号の発生間隔から得られる前記内燃機関の回転速度情報に対して内燃機関の点火時期を決定して、決定した点火時期を検出した時に電流制御用スイッチをオフ状態にすることにより点火回路に点火動作を行わせる通常時点火制御手段とを備える。
このように構成した場合も、第1の発明による場合と同様に、機関の始動操作を開始した後、機関の初爆を速やかに行わせて機関を始動させることができ、人力により機関を始動する場合であっても、機関の始動を容易に行わせることができる。また点火エネルギの大きさと直接関わりを持つ一次電流の波形を監視することにより機関の始動時の点火時期を定めるため、機関の始動時の最初の点火時期を、十分な点火エネルギが確実に得られる時期に定めて、機関の初爆を確実に行わせることができる。
第3の発明
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明に適用されるもので、本発明においては、一次コイルが誘起する第1の半波の電圧と第3の半波の電圧とを直流電圧に変換して、該直流電圧を前記マイクロコンピュータに電源電圧として与えるように前記電源回路が構成されている。
第4の発明
第4の発明は、第1の発明又は第2の発明に適用されるもので、本発明においては、点火コイルが、一次コイルに対して直列に接続されて該一次コイルに誘起する電圧と同位相の電圧を誘起する付加コイルを一次側に備えている。この場合、電源回路は、一次コイルに第1の半波の電圧が誘起したときに付加コイルに誘起する電圧及び一次コイルに第3の半波の電圧が誘起したときに付加コイルに誘起する電圧を直流電圧に変換するように構成される。
第5の発明
第5の発明は、第1の発明又は第2の発明に適用されるもので、本発明においては、一次電流検出部により検出された一次電流がピーク値に達するタイミングを前記始動時点火時期として求めるように始動時点火制御手段が構成される。
第6の発明
第6の発明も第1の発明又は第2の発明に適用されるもので、本発明においては、一次電流検出部により検出された一次電流がピーク値を過ぎた後設定されたレベルまで低下した時のタイミングを始動時点火時期として求めるように、始動時点火制御手段が構成される。
第7の発明
第7の発明は第1の発明又は第2の発明に適用されるもので、本発明においては、点火制御部が、内燃機関の始動操作を開始した後に行われた点火動作の回数が設定された回数に達するまでの間始動時点火制御手段により点火時期を制御し、内燃機関の始動操作を開始した後に行われた点火動作の回数が設定された回数に達した後は通常時点火制御手段により点火時期を制御するように構成される。
第8の発明
第8の発明は、第2の発明に適用されるもので、本発明においては、クランク信号生成部が、点火コイルの一次コイルに誘起する交流電圧を入力として、該交流電圧の波形の第1の半波が開始するタイミング又は該交流電圧の波形が第1の半波から第2の半波に移行するタイミングでクランク信号を発生するように構成される。
第9の発明
第9の発明も第2の発明に適用される。本発明においては、点火コイルが、一次コイルに対して直列に接続されて該一次コイルに誘起する電圧と同位相の電圧を誘起する付加コイルを一次側に備えている。この場合、クランク信号生成部は、付加コイルに誘起する電圧を入力として、一次コイルに誘起する交流電圧の波形の第1の半波が開始するタイミング又は一次コイルに誘起する交流電圧の波形が第1の半波から第2の半波に移行するタイミングでクランク信号を発生するように構成される。
第10の発明
第10の発明は、第1の発明又は第2の発明に適用されるもので、本発明においては、点火コイルの一次電流を遮断した際に点火コイルの二次コイルに誘起する電圧が過大になるのを防ぐために、電流制御用スイッチを遮断した際に点火コイルの一次コイルに誘起する電圧を設定されたレベル以下に制限する一次誘起電圧制限手段が設けられている。
本発明によれば、機関の始動時にマイクロコンピュータが起動した後、一次コイルに正極性の半波の電圧が最初に誘起した時に最初の点火を行わせることができる。従って、機関の始動操作を開始した後、クランク軸が1回転するのを待つことなく、機関の初爆を速やかに行わせて機関を始動させることができ、人力により機関を始動する場合のように、機関のクランキングを十分な速度で行うことが難しい場合であっても、機関の始動を容易に行わせることができる。
また本発明によれば、点火エネルギの大きさと直接関わりを持つ一次電流の波形から機関の始動時の点火時期を求めるため、機関を始動する際に、点火時期を十分な点火エネルギが得られる時期に定めて、機関の始動性能を向上させることができる。
特に請求項1に記載された発明によれば、マイクロコンピュータにより構成される点火制御部に、点火コイルの一次電流が閾値に達するタイミングを基準タイミングとして検出する基準タイミング検出手段を設けて、基準タイミングが検出される周期から機関の始動完了後の通常運転時の点火時期を演算するために必要な機関の回転速度情報を得るようにしたので、機関の回転速度情報を得るための信号を発生するハードウェア回路を省略して、点火装置の構成の簡素化を図ることができる。
本発明の一実施形態の構成を示したブロック図である。 図1に示した実施形態で用いる磁石発電機の要部の構造の一例を、点火コイルの部分を断面して示した正面図である。 図1に示した実施形態のハードウェアの構成例を示した回路図である。 本発明の他の実施形態の構成を示したブロック図である。 図4に示した実施形態のハードウェアの構成例を示した回路図である。 本発明の更に他の実施形態の構成を示したブロック図である。 図6に示した実施形態のハードウェアの構成例を示した回路図である。 本発明の更に他の実施形態の構成を示したブロック図である。 図8に示した実施形態のハードウェアの構成例を示した回路図である。 図1に示した実施形態及び図4に示した実施形態の各部の電圧、電流波形を模式的に示したタイムチャートである。 図6に示した実施形態及び図8に示した実施形態の各部の電圧、電流波形を模式的に示したタイムチャートである。 本発明の各実施形態においてマイクロコンピュータが実行する処理のメインルーチンのアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。 図12に示したメインルーチンで行うメモリ初期化処理のアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。 各実施形態において機関の始動時に実行される始動A/D処理のアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。 図1の実施形態及び図4の実施形態において、基準タイミング検出手段が基準タイミングを検出する毎に実行される基準タイミング割込み処理のアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。 図1の実施形態及び図4の実施形態において、タイマXがセットされた時間を計測したときに実行される処理のアルゴリズムを示したフローチャートである。 各実施形態において点火タイマがセットされた時間の計測を完了した時に実行される処理のアルゴリズムを示したフローチャートである。 図6に示した実施形態及び図8に示した実施形態において、第1の半波の電圧の発生時にマイクロコンピュータの割込み入力端子にクランク信号が入力された時に実行される処理のアルゴリズムを示したフローチャートである。
以下図面を参照して、本発明の実施形態につき詳細に説明する。本発明は、2サイクル内燃機関を点火する点火装置にも、4サイクル内燃機関を点火する点火装置にも適用することができるが、以下に示す実施形態では、点火する内燃機関が4サイクル機関であるとする。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態の構成を示したブロック図で、同図において1は、図示しない内燃機関に取り付けられた磁石発電機である。磁石発電機1は、内燃機関のクランク軸に取り付けられた3極の磁石回転子と、磁石回転子の磁極に対向する磁極部を有する鉄心に点火コイルIGの一次コイルWp及び二次コイルWsを巻回して構成した固定子とを有するもので、図10(B)及び図11(B)に模式的に示したように、第1の半波の電圧V1 と、第2の半波の電圧V2と、第3の半波の電圧V3とが順次現れる波形を有する交流電圧を、内燃機関のクランク軸が1回転する間に1回だけ一次コイルWpに誘起する。
点火コイルの一次コイルWpに誘起する第1ないし第3の半波の電圧のうち、第1の半波の電圧V1及び第3の半波の電圧V3は、波高値が比較的低い負極性の電圧であり、第2の半波の電圧V2は、第1の半波の電圧及び第3の半波の電圧よりも波高値が高い正極性の電圧である。電流遮断型の点火装置では、波高値が高い第2の半波の電圧V2を、点火エネルギを得るために用いる。
図2を参照すると、磁石発電機1の構成例の要部が示されている。図2に示された磁石発電機1は、機関のクランク軸(図示せず。)に取り付けられた磁石回転子1aと、機関のケース(図示せず。)に対して固定された固定子1bとからなる。磁石回転子1aは、機関のクランク軸に取り付けられたカップ状のフライホイール101と、フライホイールの外周に形成された凹部102内に固定されてフライホイールの径方向に着磁された弧状の永久磁石103とからなっている。図示の磁石回転子においては、永久磁石103の外周側の磁極(図示の例ではN極)と、凹部102の両側に位置するフライホイールの外周面に導出された永久磁石の内周側の磁極(図示の例ではS極)とにより、フライホイールの周方向に並ぶ3つの磁極を有する(3極の)磁石界磁が構成されている。
固定子1bは、鋼板の積層体からなる棒状の主鉄心104と、主鉄心104の長手方向の一端及び他端にそれぞれ後端部が固定された一対のヨーク105及び106とを備えたコの字形鉄心107と、主鉄心104に巻回された点火コイルIGとを備えている。ヨーク105,106の先端には、円筒面状の磁極面を有する磁極部108及び109が形成され、これらの磁極部が磁石回転子の外周面にギャップを介して対向させられる。
点火コイルIGは、鉄心主部104に固定された一次ボビン110に巻回された一次コイルWpと、二次ボビン111に巻回された二次コイルWsとを備えており、二次コイルが巻かれた二次ボビン111が一次コイルWpの外周に嵌装されている。二次コイルWsの外側には、点火コイルの一次コイルWpを流れる電流を制御するために必要な素子をプリント基板112に実装して構成した点火ユニット113が配置され、点火ユニット113と一次コイルWpとの間が導体114を介して接続されている。点火コイルIG及び点火ユニット113は、樹脂製のケース115内に挿入され、ケース115内に熱硬化性の絶縁樹脂が注型されることにより、点火コイルIGと点火ユニット113とがモールドされている。点火コイルの二次コイルWsの非接地側端子から高圧コード116が導出され、二次コイルWsに誘起する点火用の高電圧が、機関の気筒に取り付けられた点火プラグに高圧コード116を通して供給される。
図示の例では、点火コイルIGと、点火ユニット113と、これらを収容するケース115とにより電流遮断型の内燃機関用点火装置IUが構成されている。点火装置IUは、鉄心107の磁極部108,109を、磁石回転子の磁極が形成された外周面に所定のギャップを介して対向させた状態で配置されて、点火コイルIGの鉄心107のヨーク105及び106にそれぞれ形成された取付孔h1及びh2を貫通させたボルトにより、鉄心107を機関のケース等に設けられた固定子取付部に締結することにより、内燃機関のケースに対して固定される。
内燃機関のクランク軸が回転して、図2に示した磁石発電機1の磁石回転子1aが回転すると、磁石回転子1aの界磁のSNSの3つの磁極が固定子の鉄心107の磁極部108及び109の位置を通過する際に、図10(A)及び図11(A)に示すように鉄心107を流れる磁束φが交番し、この磁束の変化により、点火コイルの一次コイルWpに、図10(B)及び図11(B)に示すように、第1の半波の電圧V1と第2の半波の電圧V2と第3の半波の電圧V3とが順に現れる波形の交流電圧が誘起する。磁束φの交番により二次コイルWsにも交流電圧が誘起するが、一次コイルWpに流れる一次電流を遮断する前に二次コイルWsに誘起する電圧は点火プラグで火花放電を生じさせる電圧に達しないため、この二次電圧により点火動作が行われることはない。
図1に示されているように、点火コイルIGの一次コイルWpに対して並列に電流制御用スイッチ2が接続され、点火コイルIGと電流制御用スイッチ2とにより点火回路3が構成されている。電流制御用スイッチ2は絶縁ゲート型トランジスタ(IGBT)、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ(MOSFET)等のオンオフ制御が自在な半導体スイッチからなっていて、点火コイルの一次コイルWpに正極性の第2の半波の電圧が誘起したときにオン状態にされる。
電流制御用スイッチ2がオン状態にされると、一次コイルWpから電流制御用スイッチ2を通して一次電流I1が流れる。電流制御用スイッチ2は、後記する点火制御部10により、内燃機関の点火時期にオフ状態にされる。電流制御用スイッチ2がオフ状態にされると、それまで流れていた一次電流I1を流し続けようとする極性の高い電圧が一次コイルWpに誘起する。この電圧は点火コイルの一次、二次間の昇圧比により昇圧されるため、点火コイルの二次コイルWsに20〜30[kV]の点火用の高電圧が誘起する。二次コイルWsに誘起した高電圧は、内燃機関の気筒に取り付られた点火プラグ4に印加されるため、点火プラグ4の放電ギャップで火花放電が生じ、機関が点火される。
本発明においては、点火制御部10を構成するためにマイクロコンピュータ(図1には図示せず。)が設けられる。マイクロコンピュータは、内燃機関の点火時期(電流制御用スイッチ2をオン状態からオフ状態にするタイミング)を制御するための処理を行うためのプログラムを実行する。マイクロコンピュータを動作させるためには、該マイクロコンピュータの電源端子に所定の電圧値(通常は5[V])を有する直流電圧Vccを与える必要がある。
本発明に係る内燃機関用点火装置においては、点火制御部10を構成するマイクロコンピュータを動作状態に維持するための直流電源を点火コイルの一次コイルWpに誘起する第1の半波の電圧V1と第3の半波の電圧V3とから得る。そのため、本実施形態では、一次コイルWpに誘起する第1の半波の電圧V1と第3の半波の電圧V3とを一定の(通常は5[V]の)直流電圧Vccに変換して、該直流電圧Vccをマイクロコンピュータの電源端子に与える電源回路5が設けられている。電源回路5は、例えば、一次コイルWpに誘起する負極性の第1の半波の電圧V1及び第3の半波の電圧V3で一定の電圧まで充電される第1のコンデンサと、この第1のコンデンサに蓄積された電荷を第2のコンデンサに移行させて該第2のコンデンサの両端に、第1のコンデンサの両端の電圧を反転させた極性の直流電圧を発生させるポンピング回路とにより構成できる。
本実施形態ではまた、電流制御用スイッチ2を通して流れる一次電流I1を検出して、検出した一次電流の情報をマイクロコンピュータのA/D入力端子に与える一次電流検出部6が設けられる。この一次電流検出部6は、例えば、一次電流I1が流れるように電流制御用スイッチ2及び一次コイルWpに対して直列に接続されて、一次電流I1が流れたときに該一次電流の電流値に比例した電圧降下を両端に生じる電流制限素子により構成することができる。一次電流検出部6を構成する電流制限素子としては、シャント抵抗器や、同じ向きの複数のダイオードを直列に接続して構成したダイオードアレイ等を用いることができる。またホール電流センサなどにより一次電流検出部6を構成することもできる。
マイクロコンピュータにより構成される点火制御部10は、スイッチ駆動手段11と、基準タイミング検出手段12と、始動時点火制御手段13と、通常時点火制御手段14とを備えている。以下これらの手段について説明する。
スイッチ駆動手段11
スイッチ駆動手段11は、一次コイルWpに正極性の第2の半波の電圧V2が誘起するまでの間に電流制御用スイッチに駆動信号を与えて該電流制御用スイッチをオンし得る状態にしておく手段である。マイクロコンピュータは、機関の始動操作が開始され、電源回路5がマイクロコンピュータを起動させるために必要な電圧を発生した時に、メモリやタイマなどの各部のリセットをした後(パワーオンリセットをした後)、先ず電流制御用スイッチ2の制御端子に駆動信号を与えることにより、一次コイルWpから電流制御用スイッチ2に第2の半波の電圧が印加されれば該電流制御用スイッチが直ちにオン状態になるようにしておく。マイクロコンピュータがパワーオンリセットした後、電流制御用スイッチ2に駆動信号を与える処理を行う過程により、スイッチ駆動手段11が構成される。
基準タイミング検出手段12
基準タイミング検出手段12は、内燃機関の回転速度の検出を行うタイミングや、機関の点火時期の計測を開始するタイミングとして用いる基準タイミングを検出する手段である。基準タイミング検出手段12は、図10(D)に示すように、一次電流検出部6により検出される一次電流I1が閾値Ith に達するタイミングtcを基準タイミングとして検出する。マイクロコンピュータは、一次電流検出部6からA/D入力端子に与えられる一次電流の情報を微小時間間隔で読み取って、読み取った一次電流情報を閾値と比較し、読み取った一次電流情報が閾値以上になるタイミングを基準タイミングとして検出する。一次電流I1の波形は、機関のクランク角(クランク軸の回転角度位置)と一定の相間関係を持って変化するため、上記基準タイミングtcは、機関のクランク角位置が一定の位置(基準クランク角位置)に一致した時のタイミングとなる。
始動時点火制御手段13
始動時点火制御手段13は、内燃機関の始動時に一次電流検出部6により検出される一次電流の波形から内燃機関の始動時の点火時期とし得るタイミングを始動時点火時期として求めて、始動時点火時期を求めた時に直ちに電流制御用スイッチ2をオフ状態にする処理(電流制御用スイッチ2に与えられている駆動信号を除去する処理)を行って、点火回路に点火動作を行わせる手段である。内燃機関の始動時の点火時期が、機関のピストンが上死点に達するタイミングに対して進み過ぎていると、機関が点火された時にピストンが上死点を越えることができずに押し戻されるため、機関の始動に失敗するだけでなく、始動装置を操作している運転者が衝撃を受けることになるため、好ましくない。機関が点火された時にピストンが上死点を越えることができずに押し戻される現象はケッチン又はキックバックと呼ばれる。
機関の始動時にキックバックが生じないようにするため、内燃機関の始動時の点火時期とし得るタイミングは、機関のクランク軸が上死点に達する時のタイミングに対して進み過ぎていない位置で、かつ機関を点火させるためのエネルギを得るために十分な遮断電流値(電流制御用スイッチ2をオフ状態にして一次電流を遮断する際の一次電流の値)が得られるタイミングである。一次電流I1の波形は機関のクランク角と一定の相間関係を持って変化するため、一次電流の波形に基づいて始動時の点火時期を定めると、機関の始動に、始動時の点火位置として適したクランク角位置で点火を行わせることができる。
例えば、内燃機関のクランク軸の回転角度位置が、機関のピストンが上死点に達する位置(上死点位置)又は該上死点位置よりも僅かに進角した位置に達した時に一次電流I1がピークに達するように、磁石発電機の固定子1bが配置されているとする。この場合、機関の始動時の点火位置とし得るクランク角位置は、例えば、一次電流I1がピークに達する位置か、又は一次電流I1がピークを過ぎた後、機関を点火するために必要なエネルギを得るために許容される電流遮断値の最小値を下回らないように設定された設定レベルまで低下した時のクランク角位置である。
上記の場合、始動時点火制御手段13は、一次電流検出部6により検出される一次電流がピーク値に達するタイミングを始動時点火時期として求めるように構成するか、又は一次電流検出部6により検出される一次電流がピーク値を過ぎた後設定されたレベルまで低下した時のタイミングを始動時点火時期として求めるように構成される。
通常時点火制御手段14
通常時点火制御手段14は、内燃機関の始動が完了した後に、基準タイミング検出手段12により基準タイミングが検出される周期から得られる内燃機関の回転速度情報に対して内燃機関の点火時期を演算して、演算した点火時期を検出した時に電流制御用スイッチをオフ状態にすることにより点火回路3に点火動作を行わせる手段である。
図1に示した例では、通常時点火制御手段14が、回転速度演算手段14Aと、通常時点火時期演算手段14Bと、通常時点火時期検出手段14Cと、スイッチオフ手段14Dとにより構成されている。
ここで、回転速度演算手段14Aは、基準タイミング検出手段12が基準タイミング(一次電流が閾値に達するタイミング)を検出する毎に、前回基準タイミングが検出された時刻から今回基準タイミングが検出された時刻までの時間(クランク軸が1回転するのに要した時間)から機関の回転速度を演算する手段である。
また通常時点火時期演算手段14Bは、回転速度演算手段14Aが演算した回転速度における機関の点火時期を演算する手段である。この通常時点火時期演算手段は、回転速度演算手段14Aにより演算された回転速度に対して、回転速度と点火時期との関係を与える点火時期演算用テーブル(マップ)を検索して、検索した値に補間演算を施すことにより、演算された回転速度における機関の点火時期を演算する。通常時点火時期演算手段14Bは、基準タイミングで回転速度が演算される毎に演算された回転速度に対して点火時期を演算して、演算した点火時期をマイクロコンピュータのRAMに記憶させる。
通常時点火時期検出手段14Cは、基準タイミングが検出された時に、前回検出された基準タイミングで演算されてRAMに記憶されている点火時期を検出するために、マイクロコンピュータ内の点火タイマに計測させる時間を点火時期計測時間として演算し、演算した点火時期計測時間を直ちに点火タイマにセットして、その計測を開始させる。通常時点火時期検出手段14Cは、点火タイマがセットされた点火時期計測時間の計測を完了した時のタイミングを点火時期として、該点火時期を検出した時にスイッチオフ手段14Dにスイッチオフ指令を与える。スイッチオフ手段14Dは、通常時点火時期検出手段14Cからスイッチオフ指令が与えられたタイミングで電流制御用スイッチ2をオフ状態にする処理(電流制御用スイッチ2に与えられている駆動信号を除去する処理)を行って電流制御用スイッチ2をオフ状態にする。
図3を参照すると、図1に示した内燃機関用点火装置のハードウェアの構成例が示されている。同図に示した例では、点火コイルの一次コイルWpの非接地側端子にコレクタが接続されたIGBT(絶縁ゲート型トランジスタ)T1により電流制御用スイッチ2が構成されている。
またIGBT T1のエミッタと一次コイルWpの接地側端子との間にシャント抵抗器Rsが接続され、このシャント抵抗器により一次電流検出部6が構成されている。シャント抵抗器Rsは一次コイルWpと電流制御用スイッチ2とに対して直列に接続されているため、点火コイルの一次コイルから電流制御用スイッチ2を通して一次電流I1が流れると、シャント抵抗器Rsの両端に一次電流I1に比例した電圧降下が生じる。この抵抗器Rsの両端の電圧が一次電流検出信号として用いられる。一次コイルWpの接地側端子は、二次コイルWsの接地側端子と共に接地されている。
また電源回路5は、一次コイルWpの接地側端子にアノードが接続されたダイオードD1と、ダイオードD1のカソードに一端が接続された第1のコンデンサC1と、このコンデンサの他端にアノードが接続され、一次コイルWpの非接地側端子にカソードが接続されたダイオードD2と、コンデンサC1とダイオードD1との接続点にアノードが接続されたダイオードD3と、ダイオードD3のカソードと接地間に接続された第2のコンデンサC2と、第2のコンデンサC2の両端にアノードを接地側に向けて接続されたツェナーダイオードZDと、ダイオードD1と第2のコンデンサC1との直列回路に対して並列に接続された抵抗R1とにより構成されている。ダイオードD1ないしD3と、第1及び第2のコンデンサC1及びC2と、抵抗R1とにより、一旦第1のコンデンサC1に蓄積した電荷を第2のコンデンサに移行させて第2のコンデンサC2を充電することにより、第2のコンデンサC2の両端に第1のコンデンサC1の両端の電圧と逆極性の電圧を得るポンプ回路が構成されている。
図示の電源回路5においては、一次コイルWpに負極性の第1の半波の電圧V1及び第3の半波の電圧V3が誘起したときに、第1のコンデンサC1がダイオードD1及びD2を通して図示の極性に充電される。第1のコンデンサC1に蓄積された電荷がダイオードD3と抵抗R1とを通して第2のコンデンサC2に移行するため、第2のコンデンサC2が図示の極性に充電される。第2のコンデンサC2の両端の電圧はツェナーダイオードZDのツェナー電圧により制限される。ツェナーダイオードZDとしては、マイクロコンピュータの電源電圧(5[V])に等しいツェナー電圧を有するものが用いられている。
図3において、MCUは点火制御部10を構成するマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータMCUは、CPUの他、ROMやRAM等のメモリや、タイマなどを備えて、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能実現手段を構成する。マイクロコンピュータMCUは、電源回路5から電源電圧Vccが与えられる電源端子と、電流制御用スイッチに駆動信号を与える出力ポートAと、アナログ信号が入力されるA/D入力ポートとを備えており、一次電流検出部6の抵抗器Rsの両端に得られる一次電流検出信号がA/D入力ポートに入力されている。
次に図10を参照して、図1に示した内燃機関用点火装置の動作を説明する。図10(A)は、点火コイルの鉄心を流れる磁束φの変化を示しており、同図(B)は一次コイルWpに誘起する電圧VLを示している。また図10(C)は電源回路5からマイクロコンピュータに与えられる電源電圧Vccを示し、同図(D)は一次電流I1を示している。更に図10(E)はマイクロコンピュータ内の点火タイマの計時動作を示し、同図(F)及び(G)はそれぞれ、IGBT T1をオン状態にするタイミング定めるタイマの計時動作及びマイコンの出力ポートAからIGBTのゲートに与えられる電圧を示している。
内燃機関の始動操作を行うと、機関のクランク軸が回転するため、点火コイルの鉄心を流れる磁束φに図10(A)に示すような変化が生じ、この磁束変化により、一次コイルWpに、負極性の第1の半波の電圧V1と正極性の第2の半波の電圧V2と負極性の第3の半波の電圧V3とが順に現れる波形を有する交流電圧VL(図10B)が誘起する。図10においては、交流電圧VLの第1の半波の電圧V1が発生する時刻及び零になる時刻(第2の半波の電圧が発生する時刻)をそれぞれt1及びt2とし、第3の半波の電圧が発生する時刻(第2の半波の電圧が零になる時刻)及び第3の半波の電圧が零になる時刻をそれぞれt3及びt4としている。
交流電圧VLの第1の半波の電圧V1及び第3の半波の電圧V3が電源回路5に入力されるため、電源回路5がマイクロコンピュータMCUに電源電圧Vcc(図10C)を与える。電源電圧Vccは、第1の半波の電圧が発生している間にピーク値(5V)に達した後一定の割合で低下していくが、第3の半波の電圧V3が発生すると再び上昇し、第3の半波の電圧がピークを過ぎた後、次の第1の半波の電圧V1が発生するまでの間一定の割合で低下していく。機関が始動した後、第1の半波の電圧V1及び第3の半波の電圧V2の波高値が高くなり、交流電圧VLが発生する間隔が短くなっていくと、電源電圧VccはツェナーダイオードZDのツェナー電圧に等しい値(5V)に保たれるようになる。
機関の始動操作を行った後、時刻taで電源電圧Vccがマイクロコンピュータを動作させるために必要な電圧の最小値Vthに達すると、マイクロコンピュータMCUが起動してパワーオンリセットする。マイクロコンピュータの電源電圧Vccの定格値が5[V]である場合、マイクロコンピュータを動作させるために必要な電圧の最小値Vthは2.3[V]程度である。電源電圧Vccが最小値Vth以上の値を保っている間マイクロコンピュータが動作状態に維持される。
なお図10に示した例では、電源回路5が出力する電源電圧Vccがピークに達するタイミングと一次コイルWpに誘起する電圧の第1の半波の電圧及び第3の半波の電圧がピークに達するタイミングとが一致しているが、図3に示すように電源回路5をポンプ回路により構成した場合、機関の始動時に電源電圧Vccがピーク値に達するタイミングは一次電圧VLの第1の半波の電圧及び第3の半波の電圧がピークに達するタイミングよりも若干遅れる。
図10に示した例では、時刻taでマイクロコンピュータMCUが起動し、メモリの初期化などのリセット動作を行った後に、図10(G)に示すように、マイクロコンピュータが出力ポートAからIGBT T1のゲート・エミッタ間に駆動信号を印加する。この駆動信号の電圧値は、マイクロコンピュータの電源電圧Vccの電圧値とほぼ同じである。これにより、IGBT T1がオンし得る状態(コレクタ・エミッタ間に閾値以上の順方向電圧が印加されれば直ちにオンする状態)になる。従って、交流電圧VLの第2の半波の電圧V2が時刻t2で立ち上がった後、時刻tbで閾値に達すると、IGBT T1がオン状態になって、点火コイルに一次電流I1が流れ始める。
次いで、マイクロコンピュータMCUは、一次電流検出部6からA/D端子に入力される一次電流検出信号から、一次電流I1が閾値Ithに達する時刻tcを基準タイミングとして検出する。マイクロコンピュータが基準タイミングtcを検出する過程により、基準タイミング検出手段12が構成される。
マイクロコンピュータはまた、一次電流検出部6により検出される一次電流の波形から内燃機関の始動時の点火時期とし得るタイミングを始動時点火時期として求めて、該始動時点火時期を求めた時に直ちに電流制御用スイッチ(本実施形態ではIGBT)2をオフ状態にして点火回路に点火動作を行わせる。
図10に示した例では、一次電流検出部6からA/D端子に入力される一次電流検出信号を微小時間毎にサンプリングして、新たにサンプリングした一次電流値を直前にサンプリングした一次電流値と比較することにより、一次電流I1が最大値を示すタイミングtdを始動時点火時期として求め、この始動時点火時期tdで、図10(G)に示すように、ポートAからIGBT T1のゲートに与えていた駆動信号を零にする。これにより、始動時点火時期tdでIGBT T1をオフ状態にし、それまで点火コイルに流れていた一次電流I1を遮断して点火動作を行わせる。
上記のようにして始動時点火時期を求めて、求めた始動時点火時期でIGBTをオフ状態にして点火動作を行う過程により、始動時点火制御手段13が構成される。始動時点火時期制御手段13が機関の圧縮行程の終期において点火動作を行わせたときに機関の初爆が行われて機関が始動する。
マイクロコンピュータはまた、時刻tcを基準タイミングとして検出した時に、次にIGBTに駆動信号を与えるタイミングを決めるための計時動作を行うタイマX(オンタイミング決定用タイマ)に所定の時間をセットして、図10(F)に示すようにその時間の計測を開始させる。時刻teでタイマXが計時動作を完了した時にマイクロコンピュータのポートAからIGBTのゲートに駆動信号を与えてIGBTをオンし得る状態にする。
タイマXに計測させる時間は、一次コイルWpが第3の半波の電圧を誘起した後に、該タイマが計時動作を完了するように設定しておく。機関の始動操作を開始した後、機関の回転速度が検出されるまでの間は、タイマXに計測させる時間を、始動時のクランク軸の回転速度の予測値に基づいて設定した一定の時間に設定しておく。機関の回転速度が検出されるようになった後は、機関の回転速度に基づいて演算した時間をタイマXに計測させるようにする。
始動操作開始後、マイクロコンピュータが起動したときにIGBTに駆動信号を与える過程及びタイマXが計時動作を完了した時にマイクロコンピュータのポートAからIGBTのゲートに駆動信号を与える過程により、スイッチ駆動手段11が構成される。
上記のように、機関の始動が完了するまでの間は、一次電流検出部6により検出される一次電流の波形から内燃機関の始動時の点火時期とし得るタイミングを始動時点火時期として求めて、該始動時点火時期で点火動作を行わせる。内燃機関の始動時の点火時期が機関のピストンが上死点に達するタイミングに対して進み過ぎていると、ピストンが上死点を越えることができずにキックバックが生じるおそれが生じる。キックバックが生じるのを防ぐため、一次コイルに誘起する交流電圧の第2の半波の電圧がピークに達するタイミングがピストンが上死点に達するタイミングに対して進み過ぎないように、機関に磁石発電機を取り付けておく。
内燃機関の始動が完了した後は、通常時点火制御手段14により点火時期を制御する。通常時点火制御手段は、基準タイミングtcが検出される毎に、回転速度演算手段14Aにより、基準タイミングtcが検出される周期(クランク軸が1回転するのに要した時間)から内燃機関の回転速度を演算し、通常時点火時期演算手段14Bにより、演算した回転速度に対して内燃機関の通常時点火時期を演算して、演算した点火時期をメモリに記憶させておく。また基準タイミングtcが検出された時に、通常時点火時期検出手段14Cが、前回の基準タイミングで演算されて記憶されている通常時点火時期を読み出して、読み出した通常時点火時期を検出するために点火タイマに計測させる時間(点火時期計測時間)を演算し、演算した点火時期計測時間を点火タイマにセットしてその計測を開始させる。通常時点火時期検出手段14Cは、点火タイマが計時動作を完了した時に(通常時点火時期を検出した時に)スイッチオフ手段14Dにスイッチオフ指令を与えて、IGBTへの駆動信号の供給を停止させる。これによりIGBTをオフ状態にして点火動作を行わせる。
内燃機関の始動が完了したことの検出は、例えば、内燃機関の始動操作を開始した後に機関の正規の点火時期(クランク軸が2回転する間に1回行われる圧縮行程の終期における点火時期)で行った点火動作の回数が設定された回数(少なくとも1回以上)に達したことから行うことができる。点火制御部10は、内燃機関の始動操作を開始した後、正規の点火時期での点火が設定回数行われるまでの間始動時点火制御手段13により点火時期を制御し、内燃機関の始動操作を開始した後に正規の点火時期に行われた点火の回数が設定された回数に達した後は通常時点火制御手段14により点火時期を制御するように構成することができる。本実施形態では、説明を簡単にするため、機関の始動操作を開始した後正規の点火時期で1回点火が行われた時に機関の始動が完了するものとする。
4サイクル内燃機関は、クランク軸が2回転する間に1回行われる圧縮行程の終期(ピストンが上死点を過ぎた直後の一定の区間も含む)に行わせた点火動作が機関を回転させるために有効に働くが、本実施形態では、クランク軸が1回転する毎に点火動作を行わせている。従って、排気行程の終期においても点火動作が行われるが、排気行程で行わせた点火動作は機関の動作に影響を与えない。
本実施形態において、点火制御部10を構成するためにマイクロコンピュータに実行させるプログラムのアルゴリズムを示したフローチャートを図12ないし図17に示した。図12は、マイクロコンピュータが実行するメインルーチンのアルゴリズムの一例を示したものである。このアルゴリズムによる場合には、先ずステップS101でマイクロコンピュータをパワーオンリセットし、ステップS102で図13に示すメモリ初期化処理を行う。
図13に示したメモリ初期化処理では、ステップS201で経過時間を計測する計時用タイマをスタートさせ、ステップS202でマイクロコンピュータ内の計時用タイマ以外の各タイマのカウント値及びフラグをリセットする。次いでステップS203で必要なメモリの初期化を行った後、ステップS204で電流制御用スイッチを構成するIGBT T1のゲート・エミッタ間に駆動信号を与えて電流制御用スイッチをオンし得る状態にし、ステップS205でメインルーチンに復帰する。
メモリ初期化処理を終了して図12のメインルーチンに復帰すると、ステップS103でマイクロコンピュータに設けられているウォッチドッグタイマをクリアし、ステップS104で機関の始動が終了したか否か(始動終了フラグがセットされているか否か)を判定する。ステップS104で機関の始動が終了していない(始動終了フラグがセットされていない)と判定されたときには、ステップS105に進んで図14に示す始動A/D処理を行う。
始動A/D処理では、ステップS301で、一次電流検出部6からマイクロコンピュータのA/D入力ポートに入力されている一次電流の検出値がピーク値を超えたか否かを判定し、一次電流の検出値がピーク値を超えていない場合には、ピーク値を超えるのを待つ。ステップS301で一次電流の検出値がピーク値を超えたと判定された時にステップS302に進んでIGBT T1のゲートに与えていた駆動信号を零にしてIGBTをオフ状態にし、ステップS303で始動終了フラグをセットする。始動終了フラグをセットした後、ステップS304でメインルーチンに復帰する。
始動A/D処理からメインルーチンに復帰した後、ステップS103でウォッチドックタイマをクリアし、ステップS104で始動終了フラグがセットされているか否かを判定する。このとき、始動終了フラグがセットされていると判定されるので、ステップS106に進んで演算開始フラグがセットされているか否かを判定する。その結果、演算開始フラグがセットされていないと判定された場合にはステップS103に戻る。ステップS106で演算開始フラグがセットされていると判定された場合には、ステップS107に進んで、点火時期の演算に用いる点火時期演算テーブルを選択する。点火時期演算テーブルは、機関の回転速度と点火時期との関係を与えるテーブルで、機関の種々の特性を与える複数のテーブルが実験的に作成されてROMに記憶されている。ステップS108で別途検出されている機関の回転速度に対して点火時期演算テーブルを検索して、検出されている回転速度に近い回転速度における点火時期をテーブルから読み出し、読み出した点火時期に補間演算を施すことにより、機関の点火時期を演算する。
ステップS108で点火時期を演算した後、ステップS109で、点火タイマにセットするタイマセット値(点火時期計測時間)を演算してステップS103に戻る。点火タイマにセットする点火時期計測時間は、基準タイミングが検出されてから点火動作を行うまでの間に点火タイマに計測させる時間である。
マイクロコンピュータはまた、一次電流検出部6から与えられる一次電流I1の検出値が閾値Ithに達したか否かを随時判定して、一次電流が閾値に達するタイミングを基準タイミングとして検出する基準タイミング検出手段を備えていて、この検出手段により基準タイミングが検出される毎に実行中の処理に割込みをかけて、図15に示す基準タイミング割込処理を実行する。この処理では、ステップS401で計時用タイマの計測値を読み取り、今回読み込んだタイマの計測値と前回の基準タイミング検出時に読み込んだタイマの計測との差を演算することにより、基準タイミングが検出される周期を示す時間(前回基準タイミングが検出されてから今回基準タイミングが検出されるまでの時間)を周期時間として計測し、時間計測用タイマを再スタートさせる。また周期時間(クランク軸が1回転するのに要した時間)から機関の回転速度を演算する。
次いでステップS402でIGBT T1を次回オン状態にするタイミングを求めるための時間を計測するタイマXにタイマセット値をセットする。このタイマセット値は、一次コイルWpに誘起する交流電圧の第3の半波V3が消滅した後にタイマXが計時動作を完了するような値に設定しておく。
次いでステップS403で点火タイマとして用いるマイクロコンピュータ内のタイマに点火時期計測時間をセットした後、ステップS404で演算開始フラグをセットし、ステップS405で、基準タイミング割込処理に移行する割込をかけた際に実行中であった処理に復帰する。
マイクロコンピュータはまた、タイマXがセットされた時間の計測を完了した時に図16に示すタイマX割込処理を実行する。このタイマX割込処理では、ステップS501でIGBT T1に駆動信号を与えて該IGBTをオンし得る状態にし、次の基準タイミング割込を行うのを許可した後、ステップS502でタイマX割込処理に移行する際に実行していた処理に復帰する。
マイクロコンピュータはまた、点火タイマがセットされた点火時期計測時間の計測を完了した時に(回転速度に対して演算された点火時期を検出した時に)図17に示す点火タイマ割込処理を実行する。この割込処理では、ステップS601でIGBT T1に与えていた駆動信号を除去してIGBTをオフ状態にすることにより点火動作を行わせた後、ステップS602で、この割込処理に移行する際に実行していた処理に復帰する。
図12ないし図17に示したアルゴリズムにより点火制御部10を構成する場合、図13のメモリ初期化処理のステップS204及び図16のタイマX割込処理によりスイッチ駆動手段11が構成される。また図14に示した始動A/D処理により始動時点火制御手段13が構成され、図15に示した基準タイミング割込処理及び図17に示した点火タイマ割込処理により通常時点火制御手段14が構成される。
通常時点火制御手段14の内、回転速度演算手段14Aは、図15の割込処理のステップS401により構成され、通常時点火時期演算手段14Bは、図12のメインルーチンのステップS107及びS108により構成される。また通常時点火時期検出手段14Cは、図15の割込処理のステップS403により構成され、スイッチオフ手段14Dは、図17の点火タイマ割込処理により構成される。
上記の実施形態のように、一次コイルWpに第2の半波の電圧V2が誘起するまでの間に電流制御用スイッチ2に駆動信号を与えて該電流制御用スイッチをオンし得る状態にしておくスイッチ駆動手段11を設けておくと、機関の始動時に点火コイルの一次コイルに第2の半波の電圧V2が誘起した時に大きな遅れを伴うことなく電流制御用スイッチ2をオン状態にして一次電流を流すことができるため、一次電流が流れる時間を長くすることができ、一次コイルWpが第2の半波の電圧を発生している期間のうち、一次電流を遮断することにより点火動作を行わせることができる期間が占める割合を大きくすることができ、機関の点火時期の可変範囲を広くとることができる。
また上記の実施形態のように、内燃機関の始動時に一次電流検出部6により検出される一次電流の波形から内燃機関の始動時の点火時期とし得るタイミングを始動時点火時期として求めて、始動時点火時期を求めた時に直ちに電流制御用スイッチ2をオフ状態にして点火動作を行わせる始動時点火制御手段13を設けておくと、機関の始動時に、クランク軸が1回転して機関の回転速度が検出されるのを待つことなく、マイクロコンピュータが起動した後、最初に一次コイルWpに第2の半波の電圧V2が誘起した時に最初の点火を行わせることができる。従って、機関の始動操作を開始した後、機関の初爆を速やかに行わせて、機関を確実に始動させることができ、人力により機関を始動する場合のように、機関のクランキングを十分な速度で行うことが難しい場合であっても、機関の始動を容易に行わせることができる。
また上記の実施形態においては、機関の始動時に、始動時点火制御手段13が、点火エネルギの大きさと直接関わりを持つ一次電流の波形を監視することにより点火時期を定めるため、機関の始動時の最初の点火時期を、始動時の点火時期とし得るタイミングで、しかも十分な点火エネルギを得ることができるタイミングに定めて、機関の初爆を適確に行わせることができる。
また上記の実施形態では、点火コイルの一次電流が閾値に達するタイミングを基準タイミングとして検出する基準タイミング検出手段12を、マイクロコンピュータにより構成される点火制御部に設けて、この基準タイミング検出手段により基準タイミングが検出される周期から、機関の回転速度情報を得るようにするので、機関のクランク角の情報を与える信号を発生する回路を別途設ける必要がない。従って、点火コイルIGと電流制御用スイッチ2とにより構成される点火回路3の他に、一次電流検出部6と、点火制御部を構成するマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータに電源電圧を与える電源回路5とを設けるだけで点火装置を構成することができ、電流遮断型点火装置の構成を著しく簡単にすることができる。
[第2の実施形態]
図4は、本発明の第2の実施形態の構成を示している。本実施形態では、点火コイルIGが、一次コイルWpに対して直列に接続されて該一次コイルに誘起する電圧と同位相の電圧を誘起する付加コイルWaを一次側に備えており、付加コイルWaに誘起する電圧が電源回路5に入力されている。電源回路5は、一次コイルWpに第1の半波の電圧V1が誘起したときに付加コイルWaに誘起する電圧及び一次コイルWpに第3の半波の電圧V3が誘起したときに付加コイルWaに誘起する電圧を直流電圧に変換するように構成されている。
本実施形態では、図5に示したように、一次コイルWpと付加コイルWaとの接続点が磁石発電機の固定子の鉄心に接地され、付加コイルWaの非接地側の端子が、電源回路5の非接地側の入力端子に接続されている。図5に示された電源回路5は、付加コイルWaの非接地側端子にアノードが接続されたダイオードD1と、ダイオードD1のカソードと接地間に接続されたコンデンサC2と、コンデンサC2の両端に、アノードを接地側に向けて接続されたツェナーダイオードZdとにより構成され、コンデンサC2の両端の電圧が電源電圧VccとしてマイクロコンピュータMCUの電源端子に印加されている。第2の実施形態に係る点火装置のその他の構成は、図1及び図2に示した第1の実施形態に係る点火装置の構成と同様であり、マイクロコンピュータMCUが実行するプログラムのアルゴリズムは、図12ないし図18に示したものと同様である。
本実施形態のように、点火コイルの一次側に、一次コイルWpと直列に接続されて、一次コイルWpに誘起する電圧と同位相の電圧を誘起する付加コイルWaを設けて、一次コイルWpに第1の半波の電圧及び第3の半波の電圧が誘起したときに付加コイルWaに誘起する電圧を直流電圧に変換するように電源回路5を構成すると、電源回路5に電圧を反転する回路を設ける必要がないため、電源回路の構成を簡単にすることができ、電源回路5及び点火制御部10を構成する電子部品を実装するプリント基板の小形化を図ることができる。
[第3の実施形態]
図6を参照すると、本発明の第3の実施形態の構成が示されている。またこの実施形態の各部の電圧、電流の波形を図11に示した。本実施形態においては、図1及び図4に示した実施形態で設けられていた基準タイミング検出手段12が省略され、代わりに、点火コイルIGの一次コイルWpに誘起する電圧を波形整形して内燃機関のクランク角情報を含むクランク信号を生成するクランク信号生成部7が設けられている。クランク信号生成部が発生するクランク信号は、一次コイルに誘起する交流電圧VLの第1の半波の電圧V1が発生するタイミング、第1の半波の電圧V1が零になるタイミング(第2の半波の電圧が発生するタイミング)、第3の半波の電圧V3が発生するタイミング(第2の半波の電圧V2が零になるタイミング)及び第3の半波の電圧V3が零になるタイミングでそれぞれ識別し得るレベル変化を示す矩形波状の信号であり、各レベル変化を示すタイミングがクランク軸の特定のクランク角位置に対応している信号である。従って、クランク信号からクランク軸の回転角度位置の情報を得ることができ、クランク信号の特定のレベル変化が検出される周期(例えば,第1の半波の電圧V1が発生するタイミングで生じるレベル変化が検出される周期)から、機関の回転速度情報を得ることができる。
この場合、マイクロコンピュータMCUは、一次電流検出部6により検出される一次電流の情報と、クランク信号発生部7が発生するクランク信号により与えられるクランク角情報とを用いて点火制御部10を構成するために必要な処理を行う。
本実施形態に係る点火装置のハードウェアの構成は図7に示す通りである。図7に示した点火装置において、電流制御用スイッチ2、一次電流検出部6、電源回路5及びマイクロコンピュータMCUの構成は図3に示された電源回路5の構成と同一である。
図7に示されたクラック信号発生部7は、エミッタが接地され、コレクタがマイクロコンピュータの割込み入力端子INTに接続されたNPNトランジスタTrと、電源回路5のコンデンサC2の非接地側端子(電源回路5のプラス側出力端子)とトランジスタTrのコレクタとの間に接続された抵抗R5と、電源回路5のコンデンサC2の非接地側端子とトランジスタTrのベースとの間に接続された抵抗R6と、トランジスタTrのベースと接地間に、アノードを接地側に向けて接続されたダイオードD5と、カソードが点火コイルの一次コイルWpの非接地側の端部に接続されたダイオードD6と、トランジスタTrのベースに一端が接続され、他端がダイオードD6のアノードに接続された抵抗R7と、抵抗R7の両端に接続されたコンデンサC7とにより構成されている。抵抗R7及びコンデンサC7により微分回路が構成されている。
図7のクランク信号発生部7においては、機関の始動操作を開始した後、点火コイルの一次コイルに第1の半波の電圧が誘起して、電源回路5の出力電圧が確立したときに、電源回路5から抵抗R6を通してトランジスタTrに所定のベース電流が与えられ、また電源回路5から抵抗R5を通してトランジスタTrにコレクタ電圧が与えられるため、トランジスタTrがオン状態になる。電源回路の出力電圧が確立した後は、一次コイルに電圧が誘起していないときにもトランジスタTrがオン状態に保たれる。また点火コイルIGの一次コイルWpが負極性の第1の半波の電圧V1及び第3の半波の電圧V3を発生しているときには、一次コイルWp→ダイオードD5→抵抗R7及びコンデンサC7からなる微分回路→ダイオードD6→一次コイルW1の経路で電流が流れてダイオードD5の両端に順方向電圧降下が生じ、これによりトランジスタTrのベースエミッタ間電圧が低下するため、トランジスタTrがオフ状態に保たれる。
従って図7に示したクランク信号発生部7からマイクロコンピュータの割込み端子INTに入力されるクランク信号は、図11(D)に示すような波形を呈し、機関の始動時には、電源回路の出力電圧が閾値に達するタイミングt1′及び第3の半波の電圧V3が発生するタイミングt3で低レベルから高レベルに立ち上がり、第1の半波の電圧V1が零になるタイミング(第2の半波の電圧が発生するタイミング)t2及び第3の半波の電圧V3が零になるタイミングt4で高レベルから低レベルに立ち下がる矩形波状の信号となる。また電源回路の出力電圧が閾値以上に保たれている状態では、第1の半波の電圧V1が発生するタイミングt1及び第3の半波の電圧V3が発生するタイミングt3で低レベルから高レベルに立ち上がり、第1の半波の電圧V1が零になるタイミングt2及び第3の半波の電圧V3が零になるタイミングt4で高レベルから低レベルに立ち下がる矩形波状の信号となる。
上記のような波形のクランク信号を発生させる場合、第1の半波の電圧V1が発生するタイミングt1(機関の始動時には電源回路の出力電圧が閾値に達するタイミングt1′)で生じる低レベルから高レベルへの立上がり、及び第1の半波の電圧V1が零になって第2の半波の電圧V2が発生するタイミングt2で生じる高レベルから低レベルへの立ち下がりをマイクロコンピュータに認識させることにより、タイミングt1及びt2に対応する機関のクランク角位置情報をマイクロコンピュータに与えることができ、タイミングt1で生じるクランク信号のレベル変化が検出される周期(クランク軸が1回転するのに要した時間)から機関の回転速度を求めることができる。同様に、タイミングt2で生じるクランク信号のレベル変化が検出される周期からも機関の回転速度を求めることができる。
なお第3の半波の電圧V3が発生するタイミング(第2の半波の電圧V2が零になるタイミング)t3及び第3の半波の電圧V3が零になるタイミングt4でもクランク信号にレベル変化が生じるが、点火コイルの一次電流を遮断して点火動作を行わせた場合、タイミングt3及びt4付近では、一次コイルの両端の電圧波形が大きく乱れ、それに伴ってクランク信号の波形も乱れるため、タイミングt3及びt4でのクランク信号のレベル変化から機関の回転情報を正確に得ることは困難である。
本実施形態において、マイクロコンピュータMCUに実行させるプログラムのメインルーチンは図12に示したものと同様であり、メモリ初期化処理は図13に示したものと同様である。また始動A/D処理は、図14に示したものと同様であり、点火タイマ割込み処理は図17に示したものと同様である。本実施形態においては、第1の実施形態でマイクロコンピュータに実行させた図15の基準タイミング割込み処理に代えて、図18に示すINT入力時割込処理を実行させる。IGBT T1をオンし得る状態にする処理は、図18の処理で行うため、図16に示したタイマ割込み処理は実行させない。
図18に示したINT入力時割込処理は、図11(D)に示すタイミングt1(機関の始動時には電源回路の出力電圧が閾値に達するタイミングt1′)で、クランク信号発生部7からマイクロコンピュータMCUのINT端子に低レベルから高レベルへのレベル変化が与えられた時に実行される。この処理では、ステップS401′で計時用タイマの計測値を読み取り、今回読み取った計測値と前回(クランク軸の1回転前に)行ったINT入力時割込み処理のステップS01′で読み取った計測値との差を周期時間として検出する。この周期時間から機関の回転速度を演算して計時用タイマを再スタートさせる。
次いでステップS402′でマイクロコンピュータのポートAからIGBT T1のゲートに駆動信号を与えてIGBT T1をオンし得る状態にし、次回のINT入力時割込み処理を許可する。次にステップS403′で点火タイマに点火時期計測値をセットし、ステップS404′で演算開始フラグをセットした後、ステップS405′で、INT入力時割込処理へ移行する際に実行していた処理に復帰する。
本実施形態では、図18に示したINT入力時割込み処理により、始動時点火制御手段13と、通常時点火制御手段14とが構成される。本実施形態のその他の構成は図1に示した第1の実施形態と同様であり、基準タイミングの検出周期から機関回転速度を検出する代わりにクランク信号の発生間隔から機関の回転速度を演算する点、及び第1の半波が発生するタイミングt1で生じるクランク信号のレベル変化をマイクロコンピュータが認識した際に点火時期の計測を開始させる点を除き、第1の実施形態と同様の動作を行う。
上記の説明では、マイクロコンピュータがタイミングt1でのクランク信号のレベル変化を認識した時にINT入力時割込み処理を実行するとしたが,マイクロコンピュータがタイミングt2でのクランク信号のレベル変化を認識した時にINT入力時割込み処理を実行するように構成することもできる。即ち、タイミングt2でIGBTをオンし得る状態にする処理と、機関の回転速度の演算とを行うと共に、点火時期の計測を開始するように構成することもできる。
[第4の実施形態]
図8に第4の実施形態の全体的な構成を示し,図9に同実施形態で用いるハードウェアの構成を示した。本実施形態では、第2の実施形態と同様に、点火コイルIGが、一次コイルWpに対して直列に接続されて該一次コイルに誘起する電圧と同位相の電圧を誘起する付加コイルWaを一次側に備えており、電源回路5は、一次コイルWpに第1の半波の電圧V1が誘起したときに付加コイルWaに誘起する電圧及び一次コイルWpに第3の半波の電圧V3が誘起したときに付加コイルWaに誘起する電圧を直流電圧に変換するように構成されている。
図9に示された電源回路5は、第2の実施形態で用いた電源回路5(図5参照)と同様に構成されている。また図9に示されたクランク信号発生部7は、エミッタが接地され、コレクタがマイクロコンピュータの割込み入力端子INTに接続されたNPNトランジスタTrと、電源回路5のコンデンサC2の非接地側端子(電源回路5のプラス側出力端子)とトランジスタTrのコレクタとの間に接続された抵抗R5と、トランジスタTrのベースエミッタ間に接続された抵抗R8と、アノードが付加コイルWaの非接地側端子に接続されたダイオードD6と、ダイオードD6のカソードとトランジスタTrのベースとの間に接続された、抵抗R7とコンデンサC7との並列回路からなる微分回路とからなっている。
図9に示されたクランク信号発生部7においては、一次コイルWpに第1の半波の電圧が誘起したとき及び一次コイルWpに第3の半波の電圧V3が誘起したときに、付加コイルWaからダイオードD6と、抵抗R7及びコンデンサC7からなる微分回路とを通してトランジスタTrにベース電流が流れるため、トランジスタTrがオン状態になる。また一次コイルWpに電圧が誘起していないとき及び一次コイルWpに第2の半波の電圧V2が誘起した時には、トランジスタTrがオフ状態になる。
従って、図9に示したクランク信号発生部7からマイクロコンピュータの割込み端子INTに入力されるクランク信号は、一次コイルに誘起する交流電圧VLの第1の半波の電圧V1が発生するタイミングt1(機関の始動時には電源回路5の出力電圧が閾値に達するタイミングt1′)及び第3の半波の電圧V3が発生するタイミング(第2の半波の電圧V2が零になるタイミング)t3で高レベルから低レベルに立ち下がり、第1の半波の電圧V1が零になるタイミング(第2の半波の電圧が発生するタイミング)t2及び第3の半波の電圧V3が零になるタイミングt4で低レベルから高レベルに立ち上がる矩形波状の信号となる。このクランク信号の波形は、図11(D)に示されたクランク信号の波形を反転させた波形となる。
本実施形態による場合には、タイミングt1(又はt1′)で生じるクランク信号の高レベルから低レベルへのレベル変化又はタイミングt2で生じるクランク信号の低レベルから高レベルへのレベル変化をマイクロコンピュータに認識させて、図18に示すINT入力時割込み処理を行わせることにより、始動時点火制御手段及び通常時点火制御手段14を構成することができる。
なお図10及び図11においては、一次コイルに鎖交する磁束φ、一次コイルに誘起する電圧VL及び一次電流I1の波形を、三角波形で近似して模式的に図示しているが、一次コイルに鎖交する磁束φ、一次コイルに誘起する電圧VL及び一次電流I1の実際の波形は正弦波に近い波形を呈する。
上記の各実施形態では、一次電流検出部により検出された一次電流がピーク値に達するタイミングを始動時点火時期として求めるように始動時点火制御手段を構成するとしたが、一次電流検出部により検出された一次電流がピーク値を過ぎた後設定されたレベルまで低下した時のタイミングを始動時点火時期として求めるように始動時点火制御手段を構成することもできる。
電流遮断型の内燃機関点火装置においては、点火コイルの一次電流を遮断したときに一次コイルに過大な電圧が誘起すると、点火コイルの二次コイルに誘起する高電圧が高くなりすぎて、点火コイルの二次側の絶縁が破壊するおそれがある。このような事態が生じるのを防ぐため、電流制御用スイッチ2を遮断した際に一次コイルに誘起する電圧を設定されたレベル以下に制限する一次誘起電圧制限手段を設けておくことが好ましい。
この一次誘起電圧制限手段は、例えば、IGBTのコレクタとゲートとの間にカソードをIGBTのコレクタ側に向けたツェナーダイオードを接続して、IGBTをオフ状態にした時に一次コイルWpに誘起する電圧が設定レベル以下に下がるまで、IGBTをオン状態に保つ回路を構成することにより実現してもよく、電流制御用スイッチ2を構成する半導体スイッチとして、アクティブクランプ特性を有するもの(両端の電圧を一定値以下に制限する機能を有するIGBTや、バイポーラトランジスタ等)を用いることにより実現してもよい。
1 磁石発電機
2 電流制御用スイッチ
3 点火回路
4 点火プラグ
5 電源回路
6 一次電流検出部
7 クランク信号発生部
10 点火制御部
11 スイッチ駆動手段
12 基準タイミング検出手段
13 始動時点火制御手段
14 通常時点火制御手段
14A 回転速度演算手段
14B 通常時点火時期演算手段
14C 通常時点火時期検出手段
14D スイッチオフ手段

Claims (10)

  1. 内燃機関に取り付けられた磁石発電機の固定子に一次コイル及び二次コイルが設けられて、負極性の第1の半波と正極性の第2の半波と負極性の第3の半波とが順次現れる波形を有する交流電圧を前記内燃機関のクランク軸が1回転する間に1回だけ一次コイルに誘起する点火コイル及び前記点火コイルの一次コイルに対して並列に接続されて前記第2の半波の電圧が誘起したときにオン状態にされる電流制御用スイッチを備えて、前記電流制御用スイッチがオン状態からオフ状態にされた時に前記点火コイルの二次コイルに点火用の高電圧を誘起させて点火動作を行う点火回路と、前記電流制御用スイッチのオンオフを制御して前記点火回路が点火動作を行うタイミング(点火時期)を制御する点火制御部とを備えた内燃機関用点火装置であって、
    前記点火コイルの一次コイルを通して流れる一次電流を検出する一次電流検出部と、前記一次電流検出部により検出される一次電流の情報を用いて前記点火制御部を構成するために必要な処理を行うマイクロコンピュータと、前記磁石発電機が出力する交流電圧を直流電圧に変換して、該直流電圧を前記マイクロコンピュータに電源電圧として与える電源回路とを具備し、
    前記点火制御部は、前記一次コイルに前記第2の半波の電圧が誘起するまでの間に前記電流制御用スイッチに駆動信号を与えて該電流制御用スイッチをオンし得る状態にしておくスイッチ駆動手段と、前記一次電流検出部により検出される一次電流が閾値に達するタイミングを基準タイミングとして検出する基準タイミング検出手段と、前記内燃機関の始動時に前記一次電流検出部により検出される一次電流の波形から前記内燃機関の始動時の点火時期とし得るタイミングを始動時点火時期として求めて、該始動時点火時期を求めた時に直ちに前記電流制御用スイッチをオフ状態にして前記点火回路に点火動作を行わせる始動時点火制御手段と、前記内燃機関の始動が完了した後に前記基
    準タイミングが検出される周期から得られる前記内燃機関の回転速度情報に対して前記内燃機関の点火時期を演算して、演算した点火時期を検出した時に前記電流制御用スイッチをオフ状態にすることにより前記点火回路に点火動作を行わせる通常時点火制御手段とを備えていることを特徴とする内燃機関用点火装置。
  2. 内燃機関に取り付けられた磁石発電機の固定子に一次コイル及び二次コイルが設けられて、負極性の第1の半波と正極性の第2の半波と負極性の第3の半波とが順次現れる波形を有する交流電圧を前記内燃機関のクランク軸が1回転する間に1回だけ一次コイルに誘起する点火コイル及び前記点火コイルの一次コイルに対して並列に接続されて前記第2の半波の電圧が誘起したときにオン状態にされる電流制御用スイッチを備えて、前記電流制御用スイッチがオン状態からオフ状態にされた時に前記点火コイルの二次コイルに点火用の高電圧を誘起させて点火動作を行う点火回路と、前記電流制御用スイッチのオンオフを制御して前記点火回路が点火動作を行うタイミング(点火時期)を制御する点火制御部とを備えた内燃機関用点火装置であって、
    前記点火コイルの一次コイルを通して流れる一次電流を検出する一次電流検出部と、前記一次コイルに誘起する電圧を用いて前記内燃機関のクランク角情報を含むクランク信号を生成するクランク信号生成部と、前記一次電流検出部により検出される一次電流の情報と前記クランク信号により与えられるクランク角情報とを用いて前記点火制御部を構成するために必要な処理を行うマイクロコンピュータと、前記磁石発電機が出力する交流電圧を直流電圧に変換して、該直流電圧を前記マイクロコンピュータに電源電圧として与える電源回路とを具備し、
    前記点火制御部は、前記一次コイルに前記第2の半波の電圧が誘起するまでの間に前記電流制御用スイッチに駆動信号を与えて該電流制御用スイッチをオンし得る状態にしておくスイッチ駆動手段と、前記内燃機関の始動時に前記一次電流検出部により検出される一次電流の波形から前記内燃機関の始動時の点火時期とし得るタイミングを始動時点火時期として求めて、該始動時点火時期を求めた時に直ちに前記電流制御用スイッチをオフ状態にして前記点火回路に点火動作を行わせる始動時点火制御手段と、前記内燃機関の始動が完了した後に前記クランク信号の発生間隔から得られる前記内燃機関の回転速度情報に対して前記内燃機関の点火時期を演算して、演算した点火時期を検出した時に前記電流制御用スイッチをオフ状態にすることにより前記点火回路に点火動作を行わせる通常時点火制御手段とを備えていることを特徴とする内燃機関用点火装置。
  3. 前記電源回路は、前記一次コイルが誘起する第1の半波の電圧と第3の半波の電圧とを直流電圧に変換して、該直流電圧を前記マイクロコンピュータに電源電圧として与えるように構成されている請求項1又は2に記載の内燃機関用点火装置。
  4. 前記点火コイルは、前記一次コイルに対して直列に接続されて該一次コイルに誘起する電圧と同位相の電圧を誘起する付加コイルを一次側に備え、
    前記電源回路は、前記一次コイルに第1の半波の電圧が誘起したときに前記付加コイルに誘起する電圧及び前記一次コイルに第3の半波の電圧が誘起したときに前記付加コイルに誘起する電圧を前記直流電圧に変換するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関用点火装置。
  5. 前記始動時点火制御手段は、前記一次電流検出部により検出された一次電流がピーク値に達するタイミングを前記始動時点火時期として求めるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関用点火装置。
  6. 前記始動時点火制御手段は、前記一次電流検出部により検出された一次電流がピーク値を過ぎた後設定されたレベルまで低下した時のタイミングを前記始動時点火時期として求めるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関用点火装置。
  7. 前記点火制御部は、前記内燃機関の始動操作を開始した後に行われた点火動作の回数が設定された回数に達するまでの間前記始動時点火制御手段により点火時期を制御し、前記内燃機関の始動操作を開始した後に行われた点火動作の回数が設定された回数に達した後は前記通常時点火制御手段により点火時期を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関用点火装置。
  8. 前記クランク信号生成部は、前記点火コイルの一次コイルに誘起する交流電圧を入力として、該交流電圧の波形の第1の半波が開始するタイミング又は前記交流電圧の波形が第1の半波から第2の半波に移行するタイミングで前記クランク信号を発生するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関用点火装置。
  9. 前記点火コイルは、前記一次コイルに対して直列に接続されて該一次コイルに誘起する電圧と同位相の電圧を誘起する付加コイルを一次側に備え、
    前記クランク信号生成部は、前記付加コイルに誘起する電圧を入力として、前記一次コイルに誘起する交流電圧の波形の第1の半波が開始するタイミング又は前記一次コイルに誘起する交流電圧の波形が第1の半波から第2の半波に移行するタイミングで前記クランク信号を発生するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関用点火装置。
  10. 前記電流制御用スイッチを遮断した際に前記一次コイルに誘起する電圧を設定されたレベル以下に制限する一次誘起電圧制限手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関用点火装置。
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