本発明は、医療機器システムに関し、より詳細には、医療機器間のマルチプル通信モードを備えた医療機器システムに関する。いくつかの態様において、医療機器間で使用される通信信号は、患者に好ましくない影響を与える原因となり得る。例えば、通信信号は、心臓を捕捉する通信パルスである場合がある。いくつかの態様において、このことが起きた場合、通信は、第1通信モードから第2通信モードへと切換可能である。いくつかの態様において、第2通信モードは、患者に好ましくない影響の原因となる可能性を下げる。
いくつかの態様において、医療機器システムは、第1医療機器、及び前記第1医療機器と通信可能に接続された第2医療機器を含み、前記第1医療機器は、第1通信モードで前記第2医療機器と通信するように構成されているとともに、前記第1医療機器は、1以上の通信パルスが患者の心臓を捕捉していると判定した後は、第2通信モードで前記第2医療機器と通信するように構成されている。
代替的に又は追加的に、前記いずれかの態様において、前記第1通信モードでは、前記第1医療機器は、心イベントが検出された後、第1の時間間隔にのみ、前記第2医療機器と情報を通信するように構成されていてもよく、前記第2通信モードでは、前記第1医療機器は、心イベントが検出された後、前記第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔にのみ、前記第2医療機器と通信するように構成されていてもよい。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、検出された前記心イベントは、拍動を含み、前記第1の時間間隔は、検出された拍動の後に開始するとともに次の拍動の前で終了する。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、検出された前記心イベントは、拍動を含み、前記第2の時間間隔は、拍動が検出された後に開始するとともに次の拍動の前で終了する。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、検出された前記心イベントは、拍動を含み、前記第2の時間間隔は、検出された拍動のR波の後に開始するとともに当該拍動のT波の前で終了する。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、第2の時間間隔は、心イベントが検出された後において、予め設定された時間遅れを経過した後に開始する。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、検出された前記心イベントは、拍動を含み、前記第1の時間間隔は、検出された拍動の不応期の後に開始する。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、検出された前記心イベントは、拍動を含み、前記第2の時間間隔は、検出された拍動の不応期の後に開始する。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、検出された前記心イベントは、拍動を含み、前記第2の時間間隔は、検出された拍動の不応期の間にある。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、検出された前記心イベントは、拍動を含み、前記第2の時間間隔は、検出した拍動の後、約150ミリ秒の時間間隔を備えている。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、1以上の通信パルスが患者の心臓を捕捉したことを判定するために、前記第1医療機器は、心拍数を判定し、検出された拍動のタイミング及び判定された心拍数に基づいて、後続する拍動が発生する時間を判定し、第1通信モードで前記第2医療機器との間で情報を相互に通信し、後続する拍動が発生すると判定された時間と重なるイベント許容時間内にあるか否かを判定し、仮にあった場合には、伝導通信が心臓を捕捉しなかったものと判定し、仮になかった場合には、伝導通信が心臓を捕捉したと判定するように構成されている。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、1以上の通信パルスが患者の心臓を捕捉したことを判定するために、前記第1医療機器は、拍動を検出し、前記第1通信モードで前記第2医療機器と通信し、前記第1通信許容時間の後に予め設定された時間遅れが開始されるイベント許容時間内に後続する拍動があるか否かを判定し、仮にあった場合には、伝導通信が心臓を捕捉したものと判定し、仮になかった場合には、伝導通信が心臓を捕捉しなかったと判定するように構成されている。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、1以上の通信パルスが患者の心臓を捕捉したか否かを判定するために、前記第1医療機器は、捕捉閾値テストを実行するように構成されており、前記捕捉閾値テストは、捕捉閾値エネルギレベルにある1以上の通信パルスを送信するステップと、前記捕捉閾値エネルギレベルにある前記1以上の通信パルスが心臓を捕捉したか否かを判定するステップと、仮に捕捉していたならば、当該捕捉閾値エネルギレベルの少なくとも一部に基づいて、捕捉閾値を判定するステップと、仮に捕捉していないならば、当該捕捉閾値エネルギレベルを変更し、前記送信するステップに戻るステップと、を備えている。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、前記捕捉閾値エネルギレベルを変更するステップは、当該捕捉閾値エネルギレベルを増加するステップを備えている。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、前記捕捉閾値エネルギレベルを変更するステップは、当該捕捉閾値エネルギレベルを低減するステップを備えている。
別の態様において、医療機器システムにおける複数の医療機器相互での情報通信方法は、伝導通信を介して、複数の第1通信許容時間のそれぞれの間に第1医療機器と第2医療機器との間で情報を通信するステップと、1以上の第1通信許容時間中に、伝導通信が患者の心臓を捕捉したか否かを判定するステップと、仮に1以上の第1通信許容時間中に伝導通信が患者の心臓を捕捉したと判定した場合には、伝導通信を介して、複数の第2通信許容時間であって前記第1通信許容時間よりも短い前記第2通信許容時間のそれぞれの間に、第1医療機器と第2医療機器との間で情報を通信するステップと、を備えている。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、前記第1許容時間のそれぞれは、二つの連続する、患者の拍動の間にある。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、前記第2許容時間のそれぞれは、二つの連続する、患者の拍動の間にある。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、前記第2許容時間のそれぞれは、患者の拍動のR波とT波の間にある。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかは、患者の拍動を検出するステップをさらに備えていてもよく、複数の前記第1通信許容時間は、拍動検出の後、第1所定時間遅れの後に開始する。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、前記複数の第2許容時間のそれぞれは、検出された拍動の後、第2所定時間遅れの後に開始する。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、前記第1所定時間遅れは、患者の心臓の不応期を脱してから始まる前記複数の第1通信許容時間のそれぞれに起因する。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、前記第2所定時間遅れは、患者の心臓の不応期を脱してから始まる前記複数の第2通信許容時間のそれぞれに起因する。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、前記第2所定時間遅れは、患者の不応期中に始まる前記複数の第2許容時間に起因する。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、前記1以上の第1通信許容時間中に伝導通信が患者の心臓を捕捉したか否かを判定するステップは、心拍数を判定するステップと、拍動を検出するステップと、検出された拍動のタイミング及び判定された心拍数に基づいて後続する拍動が発生する時間を判定するステップと、検出された拍動及び後続する拍動が発生すると判定された時間との間に収まる第1通信許容時間中に、伝導通信を介して、前記第1医療機器と前記第2医療機器との間で情報を通信するステップと、後続する拍動が発生すると判定された時間と重なるイベント許容時間内に後続する拍動があったか否かを判定するステップと、仮にあった場合には、伝導通信が心臓を捕捉していないものと判定するステップと、仮になかった場合には、伝導通信が心臓を捕捉したと判定するステップと、を備えている。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、1以上の第1通信許容時間中に実行された通信が患者の心臓を捕捉したか否かを判定するステップは、拍動を検出するステップと、検出された拍動と後続する拍動との間に収まる第1通信許容時間中に、伝導通信を介して、前記第1医療機器と前記第2医療機器とが情報を通信するステップと、前記第1通信許容時間の後に開始される予め設定された時間遅れであるイベント許容時間内に後続する拍動が生じるか否かを判定するステップと、仮にあった場合には、伝導通信が心臓を捕捉したものと判定するステップと、仮になかった場合には、伝導通信が心臓を捕捉しなかったものと判定するステップと、を備えている。
さらに別の態様において、医療機器システムにおける複数の医療機器相互での情報通信方法であって、少なくともひとつの医療機器が患者に植え込まれる植込型医療機器である前記方法は、第1エネルギレベルを有する通信パルスを使用し、伝導通信を介して、前記第1医療機器と前記第2医療機器との間で情報を通信するステップと、前記通信パルス用捕捉閾値を特定するために捕捉閾値テストを実行するステップと、第1エネルギレベルから、第2エネルギレベルであって捕捉閾値テストで特定された捕捉閾値に基づく前記第2エネルギレベルに変更するステップと、前記第2エネルギレベルを有する通信パルスを使用し、前記伝導通信を介して、前記第1医療機器と前記第2医療機器との間で通信するステップと、を備えている。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、前記第1エネルギレベルは、第1パルス振幅と第1パルス幅とによって表わされるとともに、前記第2エネルギレベルは、第1パルス振幅と第2パルス幅とによって表わされ、前記第2パルス幅は、前記第1パルス幅と異なる。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、前記第1エネルギレベルは、第1パルス振幅と第1パルス幅とによって表わされるとともに、前記第2エネルギレベルは、第2パルス振幅と第1パルス幅とによって表わされ、前記第2パルス振幅は、前記第1パルス振幅と異なる。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、前記第1エネルギレベルは、第1パルス振幅と第1パルス幅とによって表わされるとともに、前記第2エネルギレベルは、第2パルス振幅と第2パルス幅とによって表わされ、前記第2パルス幅は、前記第1パルス幅と異なり、前記第2パルス振幅は、前記第1パルス振幅と異なる。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、捕捉閾値テストを実行するステップは、ある捕捉閾値エネルギレベルにある1又は2以上の通信パルスを送信するステップと、前記1又は2以上の通信パルスが心臓を捕捉するか否かを判定するステップと、捕捉すると判定した場合には、当該捕捉閾値エネルギレベルの少なくとも一部に基づいて、捕捉閾値を特定するステップと、捕捉しないと判定した場合には、捕捉閾値エネルギを変更し、前記通信パルスを送信するステップに戻るステップとを備えている。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、捕捉閾値エネルギレベルを変更するステップは、当該捕捉閾値エネルギレベルを増加するステップを備えている。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、前記捕捉閾値エネルギレベルを変更するステップは、当該捕捉閾値エネルギレベルを低減するステップを備えている。
さらに別の態様において、医療機器システムは、第1医療機器と、前記第1医療機器と通信可能に接続された第2医療機器とを備え、前記第1医療機器は、第1通信モードで前記第2医療機器と情報を通信可能に構成されており、前記第1医療機器は、1以上の通信パルスが患者の心臓を捕捉した後は、第2通信モードで前記第2医療機器と情報を通信するように構成されている。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、前記第1通信モードでは、前記第1医療機器は、心イベントが検出された後、第1の時間間隔中にのみ前記第2医療機器と情報を通信するように構成されており、前記第2通信モードにおいて、前記第1医療機器は、心イベントが検出された後、第2の時間間隔中にのみ前記第2医療機器と情報を通信するように構成されており、前記第2の時間間隔は、前記第1の時間間隔よりも短い。
代替的に又は追加的に、いずれかの前記態様において、検出された前記心イベントは、拍動を含み、前記第1の時間間隔は、検出された拍動の後に開始し、後続する拍動が検出される前に終了する。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、検出された前記心イベントは、拍動を含み、前記第2の時間間隔は、検出された拍動の後に開始し、後続する拍動が検出される前に終了する。
代替的に又は追加的に、前記態様のいずれかにおいて、検出された前記心イベントは、拍動を含み、前記第2の時間間隔は、検出された拍動のR波の後に開始するとともに当該拍動のT波の前で終了する。
別の態様において、患者の心臓に電気的刺激を与えるための医療機器システムは、患者の心臓にペーシングパルスを送信するように構成された第1医療機器と、前記第1医療機器と通信可能に接続された第2医療機器とを備え、前記第2医療機器は、検出された心イベント後に、第1所定時間間隔中に通信信号を患者の組織に送信するように構成されているとともに、1以上の通信信号が患者の心臓を捕捉したと判定した後は、前記第2医療機器は、検出された心イベント後、第2所定時間間隔中に通信信号を患者の組織に送信するように構成されている。
代替的に又は追加的に、いずれかの前記態様において、患者の心臓を捕捉した1以上の送信された通信信号を判定するために、前記第2医療機器は、第1の検出された心イベント後、当該第1の検出された心イベント後から予め設定された時間量だけ患者の組織に1以上の通信信号を送信し、さらに1以上の通信信号を送信した後、検出許容時間内に第2の検出された心イベントが生じるか否かを判定するように構成されている。
代替的に又は追加的に、いずれかの前記態様において、前記第2医療機器は、前記第2の検出された心イベントが検出許容時間内にあったことを当該第2医療機器が判定した場合には、送信された通信信号が患者の心臓を捕捉したと判定する。
代替的に又は追加的に、いずれかの前記態様において、前記第1の検出された心イベントは、ペーシング心イベントである。
代替的に又は追加的に、いずれかの前記態様において、前記第1所定時間の間隔は、検出されたある心イベントと次に検出された心イベントとの間の時間を備えている。
代替的に又は追加的に、いずれかの前記態様において、前記第2所定時間の間隔は、検出された心イベントの後に開始する約150ミリ秒の時間を備えている。
さらに別の態様において、医療機器システムは、第1医療機器、及び前記第1医療機器と通信可能に接続される第2医療機器であって、前記第1医療機器は、1以上の通信パルスを用いて第1通信モードで前記第2医療機器と情報を通信可能に構成されており、さらに前記第1医療機器は、通信パルスが心臓を捕捉したか否かの判定に基づいて、第2通信モードで前記第2医療機器と情報を通信するように構成されている、前記第1医療機器と前記第2医療機器とを備えていてもよい。
代替的に又は追加的に、いずれかの前記態様において、前記第1医療機器は、通信パルスが心臓を捕捉した、との判定に基づいて、第2通信モードで前記第2医療機器と情報を通信するように構成されている。
代替的に又は追加的に、いずれかの前記態様において、前記第1医療機器は、通信パルスが心臓を捕捉しなかった、との判定に基づいて、第2通信モードで前記第2医療機器と情報を通信するように構成されている。
代替的に又は追加的に、いずれかの前記態様において、前記第1通信モードにおいて、前記第1医療機器は、心イベントが検出された後、第1の時間間隔中にのみ、前記第2医療機器と情報を通信するように構成されており、前記第2通信モードにおいて、前記第1医療機器は、心イベントが検出された後、前記第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔中にのみ、前記第2医療機器と情報を通信するように構成されている。
代替的に又は追加的に、いずれかの前記態様において、前記第1通信モードにおいて、前記第1医療機器は、心イベントが検出された後、第1の時間間隔中にのみ、前記第2医療機器と情報を通信するように構成されており、前記第2通信モードにおいて、前記第1医療機器は、心イベントが検出された後、前記第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔中にのみ前記第2医療機器と情報を通信するように構成されている。
上述した概要は、本発明のそれぞれの態様又は各実施態様を説明するように意図されていない。本発明のより完全な理解とともに、利点及び達成点が、添付の図面と相俟って、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することによって明らかとなり理解されよう。
本発明は、添付の図面とともに、以下の様々な図解の実施形態の詳細な説明を参照することによって、より完全に理解されよう。
本発明は、さまざまな変更形態及び代替形態への変更が可能ではあるが、その詳細は図面において例示としてのみ示され、以下に詳細する。しかしながら、その意図は、説明される特定の実施形態に限定するものではないことを理解されたい。そうではなく、その意図は、本発明の範囲に含まれるすべての変更形態、均等形態、及び代替形態を取り扱うことである。
以下の説明は、異なる図面の同等の部材には、同一の符号が付されている添付の図面とともに読むべきである。本明細書及び図面は、一定の縮尺であるとは限らず、図解的に各実施形態を表わすものであって、本発明を限定することを意図するものではない。
正常で健康的な心臓は、当該心臓全体にわたり、心臓自らが電気信号を生成することによって収縮を誘発する。これら内因性信号は、心臓の筋肉細胞又は組織を収縮する。この収縮は、心臓外及び心臓内に血液を加圧し、身体の残り部分全体にわたり、血液の循環を提供する。しかしながら、多くの患者は、心臓のこの収縮に悪影響のある心臓疾患で苦しんでいる。例えば、ある心臓は、内因性電気信号を生成又は伝導できなくなった疾患組織とともに発達する場合がある。いくつかの態様において、疾患心臓組織は電気信号を異なる拍数で伝導し、それによって心臓の収縮が同期せず不効率になる。別の事例において、心臓は、心拍数が危険になるような低い拍数で内因性信号を生成する場合がある。さらに別の事例において、心臓は、異常に高い拍数で電気信号を生成する場合がある。ある場合には、このような異常が細動状態にまで発展する可能性があり、そうなると患者の心臓の収縮はほぼ完全に脱同期して、心臓は血液をほとんどか、全く送り出さない。植込型医療機器は、心臓の異常又は不整脈の発生を判定し、患者がそのような心臓疾患を治癒し又は緩和する一助となる1以上の電気的刺激治療を送信するように構成可能である。
図1は、例示的なリードレス心臓ペースメーカ(LCP)の図であり、該ペースメーカは、患者に植え込み可能であって、しかも、例えば、電気的刺激治療(例えば、抗頻拍ペーシング(ATP)治療、心臓再同期治療(CRT)、徐脈治療、除細動パルス、など)といった、1つ以上の治療を適切に採用することにより、心臓不整脈を防止、統制、又は治癒するために作動可能である。図1からわかるように、LCP100は、当該LCP100内に、又は直接ハウジング120に、全ての要素を有するコンパクトな機器とすることができる。図1に図示されているように、LCP100は、通信モジュール102、パルス生成器モジュール104、電気的感知モジュール106、機械的感知モジュール108、プロセッシングモジュール110、バッテリ112、及び電極114を含んでいてもよい。
通信モジュール102は、LCP100の外側に配置されているセンサや他の医療機器などといった機器と通信するように構成されている。そのような機器は、患者の体外又は体内のいずれに配置してもよい。場所に関係なく、外部機器(すなわち、LCP100の外部であるが、必ずしも患者の身体の外部ではない)は、通信モジュール102を通じてLCP100と通信し、1つ以上の所望の機能を果たすことができる。例えば、LCP100は、通信モジュール102を通じて、感知した電気信号、指示、他のメッセージ、又はデータ、といった情報を外部医療機器に通信することができる。外部医療機器は、不整脈の発生を判定したり、電気的刺激治療を加えたり、受信したデータを保存したり、さらには別の機能といった、様々な機能の少なくともいずれかひとつを実行するために、通信されたデータ及びメッセージの少なくともいずれかひとつを使用可能である。LCP100は追加的に、通信モジュール102を通じて、データ及びメッセージの少なくともいずれかひとつを外部医療機器から受信可能であり、LCP100は、不整脈の発生を判定したり、電気的刺激治療を加えたり、受信したデータを保存したり、又は別の機能といった、様々な機能を実行するために、通信されたデータ及びメッセージの少なくともいずれかひとつを使用可能である。通信モジュール102は、外部機器と通信するために、1以上の方法を使用可能に構成されている。例えば、通信モジュール102は、高周波(RF)信号、誘導結合、光学信号、音響信号、伝導通信信号、又は通信に適した他の信号を通じて通信することができる。LCP100と他の機器との間の通信技術は、さらに他の図面を参照しながら説明する。
図1に示す実施形態において、パルス生成器モジュール104は、電極114と電気的に接続可能である。いくつかの実施形態において、LCP100は、追加的に電極114’を含んでいてもよい。そのような例では、パルス生成部104は、追加的に電極114’と電気的に接続可能である。パルス生成器モジュール104は、電気的刺激信号を生成するように構成されている。例えば、パルス生成器モジュール104は、LCP100内にあるバッテリ112に蓄電されたエネルギを使用することにより電気的刺激信号を生成し、電極114及び電極114‘の少なくともいずれかひとつを通じて当該電気的刺激信号を送信する。少なくともいくつかの実施形態において、LCP100のパルス生成器104は、いずれの電極114/114‘(及び他の電極の少なくともいずれかひとつ)を通じて当該パルス生成器104が電気的刺激治療を加えるか、を選択するために、1以上の電極114及び114‘の少なくともいずれかひとつを当該パルス生成器104と選択的に接続するスイッチ回路をさらに含んでいてもよい。パルス生成器モジュール104は、1以上の異なる数の刺激治療を加えるために、特定の特性、又は特定の順序で電気的刺激信号を生成することができる。例えば、パルス生成器モジュール104は、徐脈、頻脈、心臓同期、徐脈性不整脈、頻脈性不整脈、細動不整脈、心臓同期不整脈のための電気的刺激治療、及び他の適切な電気治療の少なくともいずれかひとつのための電気的刺激治療、又は他の適切な電気治療を供するために、電気的刺激信号を生成するように構成されていてもよい。そのような電気的刺激治療のより一般的な呼称は、抗頻拍ペーシング(ATP)治療、心臓再同期治療(CRT)、及び電気的除細動/除細動を含む。
いくつかの実施形態において、LCP100は、パルス生成器104を含んでいなくてもよい。例えば、LCP100は、診断専用機器であってもよい。そのような実施形態においては、LCP100は、電気的刺激治療を患者に提供することがない。そのような実施形態において、LCP100は、患者の心臓の電気的活動及び生理学的パラメータの少なくともいずれかひとつに関するデータを収集し、データや判定を1以上の他の医療機器に通信する。従って、そのような実施形態において、LCP100は、パルス生成器104を必要としない場合がある。
いくつかの実施形態において、LCP100は、電気的感知モジュール106を備えていてもよく、さらに、いくつかの実施形態において、機械的感知モジュール108を備えていてもよい。電気的感知モジュール106は、心臓の電気的活動を感知するように構成されていてもよい。例えば、電気的感知モジュール106は、電極114/114‘と接続されていてもよく、さらに電気的感知モジュール106は、電極114/114’を通じて伝導された心臓の電気的な信号を受信できるように構成されていてもよい。例えば、心臓の電気信号は、LCP100が植え込まれたチャンバからの局所的情報を現すものであってもよい。例えば、仮にLCP100が心室に植え込まれている場合、電極114/114’を通じてLCP100によって感知された心臓の電気信号は、心室心臓電気信号を表わしているものとすることができる。機械的感知モジュール108は、加速度計、血圧センサ、心音センサ、血酸素センサ、及び患者の一つ以上の生理的パラメータを測るように構成される他のセンサの少なくともいずれかひとつと接続されていてもよい。電気的感知モジュール106及び機械的感知モジュール108の双方はさらに、プロセッシングモジュール110と接続され、感知した電気活動又は生理学的パラメータを表わす信号を当該プロセッシングモジュール110に提供してもよい。図1に関する説明では、分離した感知モジュールであるが、いくつかの事例においては、電気的感知モジュール106及び機械的感知モジュール108は、単一のモジュールに複合されていてもよい。
電極114/114’は、ハウジング120に固定可能であるが、LCP100を取り囲む組織及び血液の少なくともいずれかひとつに露出可能でもある。いくつかの実施形態において、電極114は、一般に、いずれかのLCP100の終端に配置可能であり、しかも、1以上のモジュール102、104、106、108、及び110と電気的に接続可能である。電極114/114’は、当該電極114/114’が直接ハウジング120に対して固定されないような短い接続ワイヤのみを通じてハウジング120と接続されていてもよい。LCP100が1以上の114’を含んでいるいくつかの実施形態において、当該電極114’は、一般にLCP100の側部に配置され、これら電極114’によって、当該LCP100が感知可能な心臓の電気的活動、電気的刺激の送信、及び外部医療機器との通信の少なくともいずれかひとつを実行することのできる電極の数を増加可能である。電極114/114‘は、人体内に植え込む際、安全な様々な金属や合金といった、生態調和性のある、1以上の電導体で形成可能である。いくつかの実施形態において、LCP100に接続された電極114/114‘は、当該電極114/114‘を近接する電極、ハウジング120、及び他の素材の少なくともいずれかひとつと電気的に絶縁する絶縁部を有していてもよい。
プロセッシングモジュール110は、LCP100の動作を制御するように構成可能である。例えば、プロセッシングモジュール110は、電気的感知モジュール106及び機械的感知モジュール108の少なくともいずれかひとつから、電気的信号を受信するように構成可能である。受信した信号に基づき、プロセッシングモジュール110は、例えば、不整脈の発生や、ある場合には、当該不整脈の種類を判定可能である。判定された不整脈に基づいて、プロセッシングモジュール110は、当該判定された(複数の)不整脈を治療するための1以上の治療による電気的刺激を生成するために、パルス生成器モジュール104を制御可能である。プロセッシングモジュール110は、通信モジュール102から情報をさらに受信可能である。いくつかの実施形態において、プロセッシングモジュール110は、不整脈が生じているか否かを判定するため及びいかなる種類の不整脈かを判定するため、或いはそれらの少なくともいずれかひとつの動作とともに、受信した情報に反応して特定の動作をとるための一助とするために、受信した情報を使用することが可能である。プロセッシングモジュール110は、情報を他の機器に送信するために、追加的に通信モジュール102を制御可能である。
いくつかの実施形態において、プロセッシングモジュール110は、超大規模集積回路(VLSI)チップ又は特定用途向け集積回路(ASIC)など、予めプログラミングされたチップを含む場合がある。そのような実施形態において、当該チップは、LCP100の動作を制御するために、制御ロジックとともに予めプログラムされていてもよい。予めプログラムされたチップを用いることにより、プロセッシングモジュール110は、基本的な機能を維持できつつ、他のプログラマブル回路よりも消費電力を少なくすることができ、それによりLCP100のバッテリ寿命を延ばす。他の実施形態において、プロセッシングモジュール110は、プログラマブルマイクロプロセッサを含んでいてもよい。そのようなプログラマブルマイクロプロセッサは、植え込み後もユーザがLCP100の制御ロジックを調整することを可能にし、それによって予めプログラミングされたASICを使用するときよりもLCP100の柔軟性を高めることが可能である。いくつかの実施形態において、プロセッシングモジュール110は、記憶回路をさらに含んでいてもよく、プロセッシングモジュール110は、当該記憶回路に情報を保存し、当該記憶回路から情報を読み取るようにしてもよい。他の実施形態において、LCP100は、別体の記憶回路(図示せず)を、当該LCP100が読み書き可能且つ当該LCP100から読み書き可能な態様で通信可能に含んでいてもよい。
バッテリ112は、LCP100に、その動作のための電源を提供することができる。いくつかの実施形態において、バッテリ112は、再充電不能なリチウムベースのバッテリであってもよい。他の実施形態において、再充電不能のバッテリは、公知の他の適切な材料から形成してもよい。LCP100は、植込型機器であるので、植え込み後は、LCP100へのアクセスは、制限される場合がある。従って、日、週、月、年、又は数十年、といった治療期間の間治療を与えるための十分な蓄電力を備えていることが好ましい。他の例において、バッテリ112は、再充電可能なリチウムベースのバッテリであってもよく、該バッテリ112は、LCP100の利用可能寿命を延ばす一助となる。さらに他の例において、バッテリ112は、他の電力源であってもよい。
LCP100を患者の体内に植え込むために、施術者(例えば、医師(physician)、臨床医(clinician)など)は、LCP100を患者の心臓の心臓組織に固定する場合がある。そのような固着を容易にするため、LCP100は、1以上のアンカー116を含んでいてもよい。アンカー116は、いずれかの数の固着具又はアンカー機構を備えていてもよい。例えば、アンカー116は1つ以上のピン、ステープル、ねじ山、ねじ、へリックス、及びそれらの等価物の少なくともいずれかひとつを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、図示していないが、アンカー116は、当該アンカー116の少なくとも一部の長手に沿って、その外面にねじ山を含むことができる。ねじ山は心臓組織とアンカーとの間に摩擦を与え、心臓組織内にアンカー116を取り付けるのに役立てることができる。他の実施形態において、アンカー116は、周囲の心臓組織との係合をしやすくするために、かえし、突棘、又は等価物といった、他の構造品を含んでいてもよい。
図2は、他の機器、医療機器(MD)200を表わしており、該医療機器200は、心臓不整脈や他の心臓疾患を感知し、処置するために図1のLCP100とは別に、又は同LCP100と接続して、用いることが可能である。図示の例において、MD200は、通信モジュール202と、パルス生成器モジュール204と、電気的感知モジュール206と、機械的感知モジュール208と、プロセッシングモジュール210と、バッテリ218とを含んでいてもよい。これらの各モジュールは、LCP100のモジュール102、104、106、108、及び110と同様であってもよい。加えて、バッテリ218は、LCP100のバッテリと同様であってもよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、MD200は、ハウジング220内でより大きな体積を占める場合がある。そのような実施形態において、MD200は、LCP100のプロセッシングモジュール110よりも複雑な処理を扱うことができる、より大きなバッテリ及びより大きなプロセッシングモジュール210の少なくともいずれかひとつを含んでいる場合がある。
MD200は、図1に示したような別のリードレス機器とすることができる一方、いくつかの実施形態において、MD200は、リード線212のような複数のリード線を含んでいてもよい。リード線212は、電極214とハウジング220内の1以上のモジュールとの間で電気信号を伝導する電線を含んでいてもよい。いくつかの事例において、リード線212は、MD200のハウジング220に対し、さらにはハウジング220から離れるように、接続されていてもよい。いくつかの事例において、リード線212は、患者の心臓の上に、内部に、又は近傍に、植え込まれる。リード線212は、当該リード線212の様々な位置、及びハウジング220からの様々な距離に配置された、1以上の電極214を含んでいてもよい。あるリード線212は、単一の電極214のみを含んでいてもよく、他のリード線212は、複数の電極214を含んでいてもよい。一般に、電極214は、リード線212が患者に植え込まれたときに、1以上の電極214が所望の機能を発揮するように、リード線212に位置決めされる。いくつかの事例において、1以上の電極214は、患者の心臓組織と接触する場合がある。いくつかの事例において、電極214は、心臓自らが発生する電気信号、例えば、内因性心臓電気活動を表わす信号をリード線212に伝導可能である。翻って、リード線212は、受信した電気信号を、MD200の1以上の他のモジュール202、204、206、及び208に伝導可能である。いくつかの事例において、MD200は、電気的刺激信号を生成可能であり、リード線212は、生成した電気的刺激信号を電極214に伝導可能である。いくつかの事例において、電極214は、次いで、患者の心臓組織に電気信号を伝導可能である。
医療感知モジュール208は、医療感知モジュール108と同様に、加速度センサ、血圧センサ、心音センサ、血酸素センサ、及び患者の一つ以上の生理的パラメータを測るように構成される他のセンサの少なくともいずれかひとつ、といった、心臓及び患者の少なくともいずれか一方から1以上の生理学的パラメータを測定するように構成された、1以上のセンサを含んでいてもよく、又は電気的に接続されていてもよい。少なくともこれらの事例における少なくともいくつかの実施形態において、1以上のセンサは、リード線212に配置されていてもよい。そのような実施形態では、機械的感知モジュール208は、リード線212と接続可能であり、当該センサから生成された信号を受信可能である。
必要というわけではないが、あるMD200の実施形態は、植込型医療機器であってもよい。そのような実施形態において、MD200のハウジング220は、例えば、患者の経胸壁領域に植え込み可能である。ハウジング220は、一般に人体内に植え込む際に安全であり、しかも、必要なときは、患者の身体の体液や組織と調和的にシール可能な、数々の公知の材質のいずれかを含む。
いくつかの事例において、MD200は、植込型心臓ペースメーカ(ICP)であってもよい。そのような実施形態において、MD200は、患者の心臓の上又は患者の心臓の中に植込まれている1本以上のリード線、例えばリード線212を有していてもよい。1本以上のリード線212は、患者の心臓の心臓組織及び血液の少なくともいずれかひとつ接触する1つ以上の電極214を含むことができる。MD200は、心臓が自ら発生する心臓電気信号を感知し、感知した信号の分析に基づいて、例えば、1つ以上の心臓不整脈を判断するように構成されていてもよい。MD200はさらに、CRT、ATP治療、徐脈治療、及び他の治療のタイプの少なくともいずれかひとつを、心臓内に植込まれたリード線212を通じて行うように構成することができる。いくつかの実施形態において、MD200は、追加的に除細動治療を提供するように構成されていてもよい。
いくつかの例において、MD200は、植込型除細動器(ICD)であってもよい。そのような実施形態において、MD200は、患者の心臓内に植え込まれた1以上のリード線を含んでいてもよい。MD200は、また、心臓電気信号を感知し、感知された信号に基づいて頻脈性不整脈の発生を判定するように構成されていてもよく、頻脈性不整脈の発生の判定に応答して除細動治療を提供するように構成されていてもよい。他の実施形態において、MD200は、皮下植込型除細動器(S−ICD)とすることができる。MD200がS−ICDの実施形態では、リード線212のうちの1本は、皮下に植込まれたリード線を含む。MD200がS−ICDで構成された少なくともいくつかの実施形態において、MD200は、皮下に植え込まれた単線のみを含んでいてもよいが、これは必須ではない。
いくつかの実施形態において、MD200は、植込型医療機器でなくてもよい。むしろ、MD200は、患者の外部機器であってもよく、電極214は、患者の身体に配置される皮膚電極であってもよい。そのような実施形態として、MD200は、外表面電気信号(例えば、心臓から発生した心臓電気信号又は患者の身体内に植え込まれた機器から発生し、身体を通じて皮膚に伝わる電気信号)を感知可能であってもよい。そのような実施形態において、MD200は、例えば除細動治療を含む様々なタイプの電気的刺激治療を施すように構成されていてもよい。
図3は、医療機器システム及び複合医療機器の通信を許容する通信パスウェイの一例を図示する。図示の実施形態において、医療機器システム300は、LCP302及び304、外部医療機器306、並びに他のセンサ/機器310を含んでいてもよい。外部機器306は、LCP100やMD200について説明した、いずれかの機器であってもよい。他のセンサ/機器310もまた、LCP100やMD200について説明した、いずれかの機器であってもよい。他の実施形態において、他のセンサ/機器310は、加速度計又は血圧計センサといったセンサを含んでいてもよい。さらに別の実施形態において、他のセンサ/機器310は、当該システム300の1以上の機器をプログラムするために使用可能な外部プログラマ機器を含んでいてもよい。
システム300の様々な機器は、通信パスウェイ308を通じて通信可能である。例えば、LCP302及びLCP304の少なくともいずれか一方は、内因性心臓電気信号を感知可能であり、その信号を、通信パスウェイ308を通じて1以上の機器302/304、306、310に通信可能である。ある実施形態において、1以上の機器302/304は、そのような信号を受信し、受信した信号に基づいて、不整脈の発生を判定可能である。いくつかの事例において、単一の機器又は複数の機器302/304は、当該システム300の1以上の他の機器306及び310に判定結果を通信可能である。加えて、前記システム300の1以上の機器302/304、306、及び310は、適切な電気的刺激を送信する、といった対処を、通信された不整脈の判定結果に基づいてとることが可能である。通信パスウェイ308は、それがRF信号、誘導結合、光学信号、音響信号、伝導された通信信号、又は通信に適した他の信号を用いて通信可能であるように配慮されている。加えて、少なくともいくつかの実施形態において、機器通信パスウェイ308は、マルチプルエネルギタイプを含んでいてもよい。例えば、他のセンサ/機器310は、第1エネルギタイプを用いて外部機器306と通信可能ではあるが、LCP302/304とは、第2エネルギタイプを用いて通信可能である。さらに、いくつかの実施形態において、機器間の通信は、制限可能である。例えば、上述したように、いくつかの実施形態において、LCP302/304は、当該LCP302/304が他のセンサ/機器310に信号を送信した場合であって、他のセンサ/機器310が外部機器306に対し受信した信号を受け渡したときに、当該他のセンサ/機器310を通じてのみ、外部機器306と通信するようにしてもよい。
いくつかの事例において、通信パスウェイ308は、伝導通信パスウェイである。従って、システム300の各機器は、そのような伝導通信用部品を有する。例えば、システム300の各機器は、送信機器の1以上の電極を通じて、伝導通信信号(例えば、パルス)を患者の身体に送信するように構成可能であるとともに、受信機器の1以上の電極を通じて、伝導通信信号(例えばパルス)を受信可能である。患者の身体は、システム300内にある送信機器の1以上の電極から受信機器の1以上の電極に伝導通信信号(例えば、パルス)を送信可能である。そのような実施形態においては、送信された伝導通信信号(例えば、パルス)をペーシング又は他の治療に係る信号と違えることが可能である。例えば、システム300の各機器は、閾値以下である、或るパルス振幅/パルス幅の電気通信パルスを心臓に対して送信することが可能である。すなわち、通信パルスは、それが患者の組織に送信された場合、心臓の捕捉原因にはならない振幅とパルス幅の組合せを持つことが可能である。いくつかの事例において、送信される伝導通信パルスの振幅/パルス幅は、心臓の捕捉閾値以上であってもよいが、仮に所望されるときは、心臓の不応期に送信可能であり、しかも、ペーシングパルスに取込又は調整可能であり、或いは、心臓の不応期に送信するか、又は取込若しくは調整可能である。
送信される伝導通信パルスは、通信情報に符号化するために好ましい仕方で調整される。いくつかの事例において、通信パルスは、調整されたパルス幅であってもよく、又は調整された振幅であってもよい。代替的に又は追加的に、パルス間の時間は、所望の情報を符号化するために調整されていてもよい。いくつかの事例において、伝導通信パルスは、電圧パルス、電流パルス、二相電圧パルス、二相電流パルス、又は、所望に応じて他の適切な電気パルスとすることが可能である。
図4及び図5は、ここで所望される技術による動作を構成し得る、図解された医療機器システムを示す。図4において、心臓410の左心室内に固定されたLCP402が示されているとともに、1以上の電極408a−408cを有するリード線412に接続されているパルス生成器406が示されている。いくつかの事例において、パルス生成器406は、皮下植込型除細動器(S−ICD)の一部であってもよく、1以上の電極408a−408cは、心臓の皮下近傍に位置決めされてもよい。いくつかの例において、LCP402は、皮下植込型徐細動器(S−ICD)と通信可能である。
図5において、心臓510の左心室内に固定されたLCP502が示されているとともに、1以上の電極504a−504cを有するリード線512に接続されているパルス生成器506が示されている。いくつかの例において、パルス生成部506は、植込型心臓ペースメーカ(ICP)及び植込型徐細動器(ICD)の少なくともいずれかひとつの一部であってもよく、1以上の電極504a−504cは、心臓510に位置決めされていてもよい。いくつかの例において、LCP502は、前記植込型心臓ペースメーカ(ICP)及び前記植込型徐細動器(ICD)の少なくともいずれかひとつと通信可能である。
医療機器400及び500はまた、外部サポート機器420、520といった外部サポート機器を含んでいてもよい。外部サポート機器420や外部サポート機器520は、機器の特定、機器のプログラミング、並びに実時間データ及び保存時間データのいずれか一方の送信、といった諸機能の少なくともいずれかひとつを実行するために使用可能である。一例として、外部サポート機器420とパルス生成器406との間の通信は、無線通信モードで実行され、パルス生成器406とLCP402との間の通信は、伝導モードで実行される。いくつかの実施形態において、LCP402と外部サポート機器420との間の通信は、パルス生成器406を通じて通信情報を送信することにより達成される。しかしながら、他の実施形態において、LCP402と外部サポート機器420との間は、直接であってもよい。
序ながら、図4及び図5は、本発明に係る技術によって作動するように構成可能な医療機器システムの二つだけの実施形態である。他の実施形態に係る医療機器システムは、追加的に又は異なる機器及び構成の少なくともいずれかひとつを含んでいてもよい。例えば、本発明に係る技術によって作動するのに適した他の医療機器システムは、心臓に植え込まれた追加的なLCPを含んでいてもよい。他の実施形態に係る医療機器システムは、パルス生成器406又は506といったパルス生成器を有さないが、除細動治療を提供可能な少なくともひとつのLCPを含む、複数のLCPを含んでいてもよい。さらに別の実施形態において、医療機器、リード線、及び電極の少なくともいずれかひとつの構成又は配置は、図4及び図5に示したものと相違していてもよい。従って、図4及び図5に示されたものと異なる数々の他の医療機器システムが、本発明に係る技術によって作動可能であることが認識されるべきである。よって、図4及び図5に示した実施形態は、いかなる場合も限定的に見るべきではない。
本発明のいくつかの技術例によれば、異なる通信モードで動作される場合、心イベントに従って第1医療機器は、異なる時間間隔で第2医療機器と通信可能である。例えば、LCP402が心臓に植え込まれ、例えば感知した生理的信号、判定された不整脈の発生、機器の診断情報等といった情報をパルス生成器406と通信可能である。いくつかの実施形態において、LCP402は、第1通信モードにおいては、第1の時間間隔中に通信するように構成可能であり、第2通信モードにおいては、第2の時間間隔中に通信するように構成可能である。いくつかの実施形態において、LCP402は、感知した患者の生理的パラメータに基づいて通信モードを切換可能である。LCP402が心臓組織を刺激するエネルギを用いて通信する、ある実施形態において、LCP402は、第1モードで作動を開始可能である。当該第1通信モードの間、患者の組織に送信した通信パルスが患者の心臓を捕捉した、と判定した後は、LCP402は、第2通信モードに切換可能である。当該第2通信モードの間、患者の組織に送信した通信パルスが患者の心臓を捕捉しなかった、と判定した後は、LCP402は、第1通信モードに切換可能である。以下に説明された技術は、医療機器を作動可能な通信モードの数々の実施形態を表わしている。これらの技術はまた、ある機器が、通信パルスが患者の心臓を捕捉しているか否かを判定するために採用可能なプロトコルの数々の例を表わしている。下記技術は、LCP402及びパルス生成器406が伝導通信パルスを用いて通信する場合における、LCP402及びパルス生成器406の少なくともいずれかひとつを用いて説明される。しかしながら、下記説明の技術は、患者の心臓の捕捉原因となり得る、あらゆるタイプのエネルギの通信パルスを用いる、あらゆる医療機器又は医療機器システムに適用可能であることが理解されるべきである。従って、以下の説明は、LCP402及びパルス生成器406の少なくともいずれかひとつ、といった医療機器のみに限定される技術であるとか、伝導通信パルスを用いて通信する場合のみに限定される技術である、と解釈すべきではない。
いくつかの実施形態において、LCP402は、伝導通信パルスを用いて通信するように構成可能である。より詳細には、伝導通信パルスは、それが患者の組織に送信された場合、心臓の捕捉原因とはならないような閾値以下の伝導通信パルスとすることが可能である。そのような実施形態として、LCP402は、LCP402、パルス生成器406、及び他の医療機器の少なくともいずれかひとつによって現に実施されている、いかなる電気的刺激治療と干渉することなく通信可能である。従って、LCP402は、植え込み時、といった初期において、心臓の捕捉原因とはならない振幅とパルス幅の組合せを有する伝導通信パルスを用いて通信するように構成可能である。例えば、LCP402は、患者人口の多数において、捕捉原因とはならない振幅とパルス幅とを併せ持つ伝導通信パルスを送信するために事前にプログラムされていてもよい。他の実施形態において、LCP402が植え込まれた、又は植え込まれようとしている患者の心臓の捕捉原因とはならないように、予め判定されていた振幅とパルス幅の組合せを有する伝導通信パルスを送信するためにプログラムされていてもよい。さらに別の実施形態において、LCP402は、心臓の捕捉原因とはならない伝導通信パルス用に、1以上の振幅及びパルス幅の少なくともいずれかひとつの組合せを判定するように構成されていてもよい。いくつかの事例において、LCP402は、安全マージンを用いて、心臓の捕捉原因とはならない伝導通信パルス用に、1以上の振幅及びパルス幅の少なくともいずれかひとつの組合せを判定してもよい。そのような実施形態において、LCP402は、伝導通信パルスの振幅及びパルス幅の少なくともいずれかひとつが当該閾値よりも増加した場合には、心臓の捕捉原因が発生するおそれがあり、伝導通信パルスの振幅及びパルス幅の少なくともいずれかひとつが当該閾値よりも低減した場合には、心臓の捕捉原因が発生することがないような閾値に沿う振幅及びパルス幅の組合せとともにプログラムされていてもよく、又は該組合せを判定してもよい。LCP402は、さらに、安全マージン量だけ振幅及びパルス幅の少なくともいずれかひとつが、判定された閾値よりも小さい伝導通信パルスの送信を判定可能である。
上述のように、LCP402は、患者の心臓の捕捉原因とはならない振幅及びパルス幅を組み合わせた伝導通信パルスを送信するように構成可能である。LCPを有するシステムの一部となり得る各機器もまた、同様に構成可能である。いくつかの実施形態において、他の医療機器は、振幅及びパルス幅の少なくともいずれかひとつがLCP402と異なる伝導通信パルスを送信するように構成されていてもよい、なぜならば、患者内の機器の特定の位置は、潜在的に異なる形状及び間隔の電極の少なくともいずれかひとつと同様に、他の医療機器によって送信された伝導通信パルスの振幅及びパルス幅の少なくともいずれかひとつを、患者の心臓の捕捉する程度に影響しかねないからである。以下に説明する技術は、送信された伝導通信パルスが患者の心臓を捕捉したと判定した後、通信モードを切り換えるための様々な技術を詳細にする。この技術はまた、伝導通信パルスが患者の心臓を捕捉するか否かを判定するために、さらにはLCP402又は他の機器が伝導通信パルスを送信可能なときを規定する様々な通信モードを判定するために、LCP402又は他の機器が使用可能な異なるプロトコルについて説明する。
図6は、第1通信モードの場合に、患者の組織に対し伝導通信パルスをある医療機器が送信したときの心周期における正常な心周期と時間のタイミング図の一例を示す。詳細には、図6は、数々の異なるインターバルを含むECG波形600を示す。心臓の二つの拍動が表わされ、第1の拍動は、P波602、QRS複合体604、及びT波606で表わされ、第2の拍動は、P波608及びQRS複合体610で表わされている。心拍動間の時間を表わす心臓インターバルは、QRS複合体604とQRS複合体610の間で隔たる心臓インターバル612で表わされる。通信インターバル614は、LCP402といった医療機器が、第1通信モードにおいて、作動時に、例えば伝導通信パルスの患者組織への送信、といった通信をするように構成されている時間間隔を示している。この開示に関する部分は、第1通信許容時間として、通信インターバル614を参照可能である。通信インターバル614は、一般に、しばしば、QRS複合体とP波とを除いた、心臓インターバル612の一部にわたるものとして表わされる。そのような実施形態として、通信インターバル614は、検出されたR波から予め設定された時間量の後、開始してもよい。予め設定された時間量のいくつかの実施形態は、検出されたR波から、50、100、200、500ミリ秒、1000ミリ秒、又は他の適切な時間量である。少なくともひとつの実施形態において、通信インターバル614は、心臓の不応期の後に開始してもよい。しかしながら、別の実施形態において、通信インターバル614は、心臓インターバル612の他の部分にわたるものであってもよい。例えば、通信インターバル614は、心臓インターバル612全体にわたるものであってもよい。
図6はまた、受攻期616を表わす。受攻期616は、送信された伝導パルスが頻脈性不整脈エピソード(tachyarrhythmic episode)の原因となる可能性が高いときの心周期の期間と一致する、心臓インターバル612の一部である。受攻期616は、一般に尖(apex)の直前及び尖(apex)の直後のT波の部分を含むT波の一部と一致する。
初期設定をした上で、LCP402及び他の医療機器の少なくともいずれかひとつは、患者の心臓を捕捉する結果を来たさない通信インターバル614の間に伝導通信パルスを送信するように構成されていてもよい。例えば、通信パルスのパルス振幅及びパルス幅の少なくともいずれかひとつは、患者の心臓を捕捉する結果とならないように設定可能である。しかしながら、生理学的な又は他の変化により、ある場合には、1以上の医療機器によって送信された伝導通信パルスが心臓の捕捉の原因になりかねない場合がある。そのような環境は、送信された伝導通信パルスが実行中の電気的刺激治療や心臓の内因性リズムと干渉し出したときに、患者にとって危険なものとなる。従って、この実施形態では、LCP402及び他の医療機器の少なくともいずれかひとつは、第1通信モードにおいて送信された伝導通信パルスが患者の心臓を捕捉するか否かを判定し、仮に捕捉する場合には、いくつかの環境において患者により安全な第2通信モードに切り換えるように構成可能である。図7−図11は、送信された伝導通信パルスが患者の心臓を捕捉しているか否かを判定するための様々な技術を示す。
図7は、送信された伝導通信パルスが患者の心臓を捕捉しているか否かを判定するための第1の技術例を示す。図7は、例示的な拍動701及び703を有するECG波形700の一例を示している。第1拍動、すなわち拍動701は、P波702、QRS複合体704、及びT波706によって表わされ、第2拍動、すなわち拍動703は、P波708、QRS複合体710、及びT波712によって表わされる。図7に示された拍動701及び703に先立ち、LCP402は、拍動間の内因性心臓インターバルを判定してもよい。例えば、LCP402は、二つ(又はそれ以上)の先行する連続した内因性拍動間の経過時間をモニタすることにより、内因性心臓インターバルを判定してもよい。いくつかの事例において、LCPは、R波を検出することにより、ECG波形の最大負派生波(maximum negative derivatives)を検出することにより、心音を検出することにより、心臓のインピーダンス変化を検出することにより、若しくは心運動(cardiac motion)を検出することにより、又は他の検出スキーマを用いることにより、拍動を特定してもよい。他の実施形態において、内因性心臓インターバルは、例えば、の最後の10拍、8拍、5拍、又は3拍といった、先行して連続する拍動間の経過時間の平均を含んでいてもよい。
内因性心臓インターバルを判定した後、LCP402は、拍動701といった第1拍動を特定でき、さらに、拍動701から、次の拍動がいつ起きるか、という内因性心臓インターバルを用いることにより判定可能である。図7において、推定インターバル716の終了時は、拍動701後の次の拍動の推定タイミングを表わしており、当該推定インターバル716の長さは、判定された心臓インターバルに基づいている。図7は、R波、並びに感知されたQRS複合体704及び710に基づくとともに、推定インターバル716や待機インターバル720といった、様々なインターバルを測定するためにR波のピークを用いることにより拍動を特定しているLCP402を示す。しかしながら、既述の通り、LCP402は、あらゆる拍動検出スキーマによって拍動を特定可能であり、インターバル測定用に特定された拍動のあらゆる特定の特性を使用可能である。
次の拍動の推定タイミングがひとたび判定された後、LCP402は、当該待機インターバル720によって特定された、予め設定された長さの時間量だけ当該拍動701から待機し、次いで、患者の組織に伝導通信パルス714を送信してもよい。いくつかの実施形態に係る待機インターバル720の時間は、250ミリ秒、300ミリ秒、350ミリ秒、400ミリ秒、及び450ミリ秒、又は他のあらゆる適切な時間長であってもよい。しかしながら、少なくともいくつかの実施形態において、待機インターバル720は、推定インターバル716に、少なくとも部分的に基づいて判定されていてもよい。例えば、待機インターバル720は、推定インターバル716の所定割合であってもよく、或いは、待機インターバル720は、非線形関数であって推定インターバル716が当該関数の一パラメータであるものに基づいて判定されてもよい。別の実施形態において、待機インターバル720は、拍動701の受攻期に基づいていてもよい。例えば、LCP402は、T波706の開始時及び終了時の少なくともいずれかひとつを特定すること、といった拍動701の受攻期発生時に判定してもよい。別の実施形態において、ではあるが、LCP402は、後続する拍動の受攻期のタイミングを判定し、判定されたタイミングを拍動701に適用することにより、拍動701の受攻期を判定するための予測方法を用いてもよい。その上で、LCP402は、拍動701の受攻期が終了した後の待機インターバル720が、10、25、若しくは50ミリ秒の長さ又は他のあらゆる適切な時間長である、と判定してもよい。加えて、ある実施形態では、LCP402は、仮に次の拍動が発生すると推定される前の待機インターバル720が100ミリ秒(又は別の判定された時間量)未満の場合には、伝導通信パルスを送信しないように構成されていてもよい。
伝導通信パルス714は、LCP402が通信セッション中に送信するために、現にプログラムされた振幅とパルス幅とを有していてもよい。図7では、二相性の伝導通信パルスとして示されているが、他の実施形態における伝導通信パルス714は、一相性であってもよく、或いは、あらゆる特定の形態を含んでいてもよい。伝導通信パルス714を送信した後、LCP402は、当該LCP402が心臓電気活動や他に送信された電気期活動を感知しない、ブレーキング期間722で表わされたブレーキング期間をとってもよい。しかしながら、他の例において、LCP402は、ブレーキング期間を含んでいなくてもよい。
ひとたびLCP402が次の拍動を感知すると、LCP402は、拍動701と、図7の例では拍動703で表わされる次の拍動702との間の実際の時間差を特定可能である。拍動701と拍動703との間の時間差は、インターバル718で表わされている。仮に拍動703が、或いはより詳細には、図7の例における拍動703のQRS複合体のR波が、推定インターバル716の終了後に発生した場合、LCP402は、伝導通信パルス714が心臓を捕捉しなかった、と判定可能である。そのような実施形態においては、推定インターバル716は、インターバル718と量的に等しくなる。反対に、仮に拍動703が推定インターバル716の終了前に現れた場合、LCP402は、伝導通信パルス714が心臓を捕捉した、と判定可能である。いくつかの実施形態において、LCP402は、伝導通信パルス714が心臓を捕捉するか否かを判定する目的のため、図7の例において許容時間724によって表わされる、推定インターバル716終了時前後の許容時間を採用可能である。許容時間724は、推定インターバル716の終了前後に10、25、40、若しくは50ミリ秒、又は他のあらゆる適切な時間量を含んでいてもよい。他の実施形態において、許容時間724は、その長さが推定インターバル716の割合であってもよい。例えば、許容時間724は、推定インターバル716の5パーセント、10パーセント、15パーセント、20パーセント、又は他のあらゆる適切な割合であってもよい。LCP402は、仮に当該LCP402が図7に示したように、拍動703が許容時間724内に収まると判定した場合、伝導通信パルス714が心臓の捕捉原因にはならなかった、と判断可能である。拍動703が、許容時間724よりも前に発生するなど、許容時間724内に収まらなかった、とLCP402が判断した場合、当該LCP402は、伝導通信パルスが心臓の捕捉原因になる、と判断可能である。
図8は、伝導通信パルが心臓の捕捉原因になる場合における、図7に示した技術例を示す。図8は、例示的な拍動801、803、及び805を含むECG波形800を示す。拍動801は、P波802、QRS複合体804、及びT波806で表わされる。拍動803は、P波808、QRS複合体810、及びT波812で表わされる。拍動805は、P波832、及びQRS複合体838で表わされる。図8はまた、待機インターバル820、推定インターバル816、ブレーキング期間822、許容時間824、及び伝導通信パルス814を表わす。図8に示す実施形態において、伝導通信パルス814のすぐ後に発生した拍動によって803によってわかるように、伝導通信パルス814は、心臓を捕捉する。図8に示す実施形態において、拍動803は、ブレーキング期間822の間に発生しているので、LCP402は、拍動803を感知しない。その代わり、LCP402は、後続の拍動805を感知する。拍動805は、推定インターバル816の終了後に生じるので、LCP402は、伝導通信パルスが心臓を捕捉した、と判定する。他の実施形態において、LCP402は、許容時間824を採用可能である。拍動805は、許容時間824内に発生しないので、LCP402は、伝導通信パルス814が心臓の捕捉原因になった、と判定する。
伝導通信パルス714/814が心臓を捕捉するか否かを判定する特定のプロトコルに拘わらず、LCP402は、当該LCP402が伝導通信パルスは心臓を捕捉した、と判定したときは、1以上の動作をとることが可能である。一例として、LCP402は、第2通信モードに切換可能である。第2通信モードをとる場合にLCP402が実行可能な種々の例示的な第2通信モードは、図13及び図14に関して以下に説明される。前記伝導通信パルスが心臓を捕捉するか否かを判定するために、上述した技術のいずれかを実行中のLCP402は、当該LCP402が第1通信モードの場合に伝導通信パルスを送信するように構成されているときにのみ、伝導通信パルスを送信するいずれかのステップを実行可能である点に留意すべきである。加えて、上述したいずれかの技術の前、後、及び間の少なくともいずれかひとつのタイミングで、LCP402は、他の機器と情報通信をするために伝導通信パルスを送信する、といった通常の通信機能を実行可能であることが理解されるべきである。
LCP402は、いくつかの実施形態において、当該伝導通信パルスが心臓を捕捉したか否かを判定するために上述した技術例を定期的に実行するように構成されていてもよい。例えば、LCP402は、上述した技術を、1日に1回、1週間に1回、1ヶ月に1回、又は他のあらゆる適切な時間間隔ごとに実行可能である。いくつかの実施形態において、当該伝導通信パルスが心臓を捕捉しているか否かをLCP402が判定する前に、当該LCP402は、上述した数々のテストを実行してもよい。そのような実施形態において、LCP402は、仮に心臓捕捉について複数のテスト結果の大多数が心臓を捕捉する、と、あるLCP402が判断した場合、又は仮に複数のテストのある閾値数が心臓を捕捉した、とLCP402が判断した場合に、当該伝導通信パルスが心臓を捕捉している、とのみ判定可能である。いくつかの実施形態において、LCP402は、追加的に、又は代替的に、別の機器から1以上の捕捉テストを実行するように指令を受けた後に上述した技術を実行するように構成されていてもよい。例えば、別の機器は、LCP402が1以上の捕捉テストを実行するように定期的に要請するものであってもよく、1以上のパラメータに基づいて要請するものであってもよい。いくつかの例において、他の機器は、患者が訪れる医院又は病院といった、プログラミングセッションと関連付けて使用される機器プログラマであってもよい。別の実施形態において、他の機器は、LCPやSICDといった、別の植込型医療機器であってもよい。
図9は、伝導通信パルスが心臓を捕捉しているか否かを判定する別の技術例を示す。図9は、例示的な拍動901及び903を含むECG波形900の例を示す。LCP402は、拍動901のような最初の拍動を特定することにより、作動を開始可能である。いくつかの実施形態において、特定された最初の拍動901は、内因性拍動である。しかしながら、図9に示したような他の実施形態において、特定された最初の拍動は、ペーシング拍動であってもよい。例えば、LCP402、又は他の医療機器は、ペーシングパルス902を心臓に送信し、心臓を収縮させて生成する拍動901であってもよい。
拍動901を特定した後、LCP402は、待機インターバル920で特定される、当該拍動901から予め設定された時間量、待機し、次いで患者の組織に伝導通信パルス904を送信してもよい。伝導通信パルス904は、通信セッションの間、当該LCP402が送信用に現にプログラムされている振幅及びパルス幅を有していてもよい。図9では、二相性の伝導通信パルスとして示されているが、他の実施形態における伝導通信パルス904は、あらゆる適切な形態を含んでいてもよい。待機インターバル920の時間のいくつかの例は、250ミリ秒、300ミリ秒、350ミリ秒、400ミリ秒、及び450ミリ秒、あるいは他のあらゆる適切な時間長であってもよい。別の実施形態において、待機インターバル920は、少なくとも部分的に心拍数に基づいて判定されていてもよい。例えば、LCP402は、心拍数、例えば、図7に関して記載したような内因性の心臓インターバルを判定してもよく、或いは、別の医療機器が拍動を判定し、その拍動をLCP402に通信するようにしてもよい。そのような実施形態において、待機インターバル920は、心拍数の関数とされてもよい。例えば、待機インターバル920は、判定された心拍数の所定の割合であってもよく、又は判定された心拍数を含む関数に基づいて判定されてもよい。
さらに別の実施形態において、LCP402は、拍動901が発生するときの受攻期を判定してもよい。拍動901の受攻期を判定するため、LCPは、拍動901のT波の開始時及び終了時を特定可能である。他の実施形態ではあるが、LCP402は、先行する拍動の受攻期のタイミングを判定し、判定されたタイミングを拍動901に適用することにより、拍動901の受攻期を判定する予測方法を使用してもよい。LCP402は、次いで、拍動901の受攻期の周期の後、判定されるべき待機インターバル920を、10ミリ秒長、25ミリ秒長、若しくは50ミリ秒長、又は他のあらゆる適切な時間量としてもよい。他の実施形態において、拍動901から測定することに代えて、LCP402は、ペーシングパルス902から予め設定された時間量だけ待機するようにしてもよい。
伝導通信パルス904を送信した後、LCP402は、当該伝導通信パルスを送信した後の予め設定された時間間隔内に拍動が生じたか否かを判定してもよい。図9において、この時間間隔は、感知インターバル922によって表わされる。いくつかの実施形態において、感知インターバル922は、25ミリ秒長、40ミリ秒長、若しくは50ミリ秒長、又は他の適切な時間長であってもよい。図9のいくつかの実施形態において、LCP402は、感知インターバル922内では拍動が起きないことと判定可能であり、従って、伝導通信パルスは、心臓を捕捉しないものと判定可能である。
いくつかの実施形態において、LCP402は、図7及び図8の技術例におけるように、追加的に拍動901後の次の拍動の推定タイミングを判定するように構成されていてもよい。例えば、LCP402は、推定インターバル916を判定するように構成されていてもよい。少なくともひとつの実施形態において、図7及び図8に図示された技術例と同様に、ビート901に先立ち、内因性心臓インターバルを判定してもよい。LCP402、又は他の機器に、心臓にペーシングパルスを送信することを含む電気的刺激治療プログラムが実装されているいくつかの実施形態において、LCP402は、連続するペーシングパルス間にあるペーシングインターバルとともに、ペーシングインターバルを判定してもよい。LCP402は、判定された内因性心臓インターバルと判定されたペーシングインターバルとのいずれをも推定インターバル916として使用可能である。LCP402は、次いで、拍動901から測定したときの予測インターバル916の終了時を、当該拍動901の次の拍動のタイミングであると判定可能である。LCP402が拍動901後の次の拍動の推定タイミングを判定する、いずれの実施形態の場合についても、当該LCP402は、仮に待機インターバル920が、次の拍動が発生すると推定される100ミリ秒(又は他の予め設定された時間間隔)未満前に終了する場合、伝導通信パルスを送信しないように構成されていてもよい。
図10は、心臓の捕捉原因となる伝導通信パルスを除いた、図9に関して記載された技術例を表わす。詳細には、図10は、LCP402又は他の機器によって送信されたペーシングパルス1002を示す。このペーシングパルス1002は、ECG波形1000の拍動1001を来たす心臓の捕捉の原因となる。図9に関して記載したように、LCPは、ここで、伝導通信パルス1004が送信される前に、待機インターバル1020によって表わされる、拍動1001から予め設定された時間量、待機する。通信パルス1004の送信後、LCP402は、感知インターバル1022の間、拍動を感知可能である。図10の実施形態では、LCP402は、感知インターバル1022の間拍動1003を感知する。従って、LCP402は、当該伝導通信パルスが心臓の捕捉原因となったものと判定可能である。図9に関して説明したように、LCP402は、仮に待機インターバル1020が、図10内に推定インターバル1016の終了時によって表わされている、次の拍動が発生すると推定される100ミリ秒(又は他の予め設定された時間間隔)未満前に終了する場合、伝導通信パルスを送信しないように構成されていてもよい。
図10の実施形態において、LCP402が感知インターバル1022中に拍動1003を検出しているので、当該LCP402は、伝導通信パルス1004が心臓の捕捉原因になったと判定可能である。従って、LCP402は、当該判定に基づき、1以上の動作をとることが可能である。例えば、LCP402は、第2通信モードに切換可能である。第2通信モードをとる場合にLCP402が実行可能な第2通信モードの種々の例は、当該LCP402が第2通信モードにあるときにLCP402に実行される、図13及び図14に関して以下に記載されている。前記伝導通信パルスが心臓を捕捉するか否かを判定するために、上述した技術のいずれかを実行中のLCP402は、当該LCP402が第1通信モードの場合に伝導通信パルスを送信するように構成されているときにのみ、伝導通信パルスを送信するいずれかのステップを実行可能である点に留意すべきである。加えて、上述したいずれかの技術の前、後、及び間の少なくともいずれかひとつのタイミングで、LCP402は、他の機器と情報通信をするために伝導通信パルスを送信する、といった通常の通信機能を実行可能であることが理解されるべきである。
LCP402は、いくつかの実施形態において、当該伝導通信パルスが心臓を捕捉したか否かを判定するために上述した技術例を定期的に実行するように構成されていてもよい。例えば、LCP402は、上述した技術を、1分に1回、1時間に1回、1日に1回、1週間に1回、1ヶ月に1回、又は他のあらゆる適切な時間間隔ごとに実行可能である。いくつかの実施形態において、当該伝導通信パルスが心臓を捕捉しているか否かをLCP402が判定する前に、当該LCP402は、上述した複数のテストを実行してもよい。そのような実施形態において、LCP402は、仮に心臓捕捉について複数のテスト結果の大多数が心臓を捕捉する、と、あるLCP402が判断した場合、又は仮に複数のテストのある閾値数が心臓を捕捉した、とLCP402が判断した場合に、当該伝導通信パルスが心臓を捕捉している、とのみ判定可能である。いくつかの実施形態において、LCP402は、追加的に、又は代替的に、別の機器から1以上の捕捉テストを実行するように指令を受けた後に上述した技術を実行するように構成されていてもよい。例えば、別の機器は、LCP402が1以上の捕捉テストを実行するように定期的に要請するものであってもよく、1以上のパラメータに基づいて要請するものであってもよい。いくつかの例において、他の機器は、患者が訪れる医院又は病院といった、プログラミングセッションと関連付けて使用される機器プログラマであってもよい。別の一実施形態において、他の機器は、LCPやSICDといった、別の植込型医療機器であってもよい。
通信パルスを介在して心臓組織を刺激するために必要とされるエネルギには、短期的な変動が存在する場合がある。例えば、必要とされるエネルギは、患者の姿勢や呼吸周期に伴って変動する場合がある。より良好に、通信パルスが心臓の刺激の原因とならないようにするために、図6−図10において記載された捕捉テストの間に用いられるエネルギは、通信時に使用されるものよりも高い場合がある。例えば、図6−図10において記載された捕捉テストの間に用いられる単一のエネルギ、又は複数のエネルギは、25パーセント、50パーセント、100パーセント、又は他のあらゆる適切なパーセンテージ分だけ通常の通信時に使用される通信パルスのエネルギよりも大きい場合がある。このように、単一の捕捉テスト又は複数の捕捉テストに使用される通信パルスと、通常の通信時に使用される通信パルスとの間にマージンが導入される。例えば、マージンがない場合、仮に心臓組織の刺激を捕捉テストには現れない場合であっても、仮に、通常の通信時に使用される通信パルスが捕捉テスト時に使用される通信パルスと同じエネルギを有しているときは、心臓組織を刺激するために必要とされるエネルギが変動する際に、通常の通信時に使用される通信パルスが心臓組織を刺激することがある。従って、単一の捕捉テスト又は複数の捕捉テスト用に使用される通信パルスと、通常通信用に使用される通信パルスとの間にエネルギマージンを導入することは、心臓組織を刺激するために必要とされる通信パルスのエネルギレベルに変動があるときであっても、通信パルスによる心臓組織の刺激を検出することの捕捉テストなしに通常通信に使用される当該通信パルスが心臓組織を刺激することはない、ということを確実にする一助となる。
通信パルスのエネルギレベルは、通信パルスの形態に基づいていてもよい。例えば、ある電圧−時間グラフにおいて、通信下エリアは、通信パルスのエネルギの一基準とするとされる場合がある。そのような実施形態において、電圧振幅、パルス幅、又はそれら双方が変動することは、通信のトータルエネルギに影響することになる。従って、単一の捕捉テスト時又は複数の捕捉テスト時に使用される通信パルスは、より高いエネルギレベルに到達するために、通常通信時に使用される通信パルスのものよりも大きい電圧振幅、パルス幅、又はそれら双方を有する場合がある。
図11は、LCP402が心臓の捕捉原因となる複数の伝導通信パルスのパラメータの組合せを特定するために、マルチプル伝導通信パルスを送信可能な技術例を示す。例えば、心臓の捕捉原因となる通信パルスパラメータの組合せを判定することは、専ら伝導通信パルスが捕捉の原因となるか否かを判定することよりもむしろ、LCP402にしばしば有益なものとなり得る。図11の実施形態において、LCP402は、図9及び図10に関して上述した技術によって、伝導通信パルスが患者の心臓を捕捉するか否かを判定可能である。しかしながら、図11の実施形態においては、LCP402は、さらに送信された伝導通信パルスのパラメータの組合せを変更するように構成されている。例えば、LCP402は、送信された単一の伝導通信パルス又は複数のパルスの振幅及びパルス幅の少なくともいずれかひとつを、通信接触の間に使用される伝導通信パルスの振幅及びパルス幅の少なくともいずれかひとつと違えるように改変可能である。
図11に示したように、各伝導通信パルス1104及び1106は、ある振幅とあるパルス幅を有する。伝導通信パルス1104は、パルス幅1110及び振幅1120を有する。伝導通信パルス1106は、パルス幅1112及び振幅1122を有する。図11の実施形態において、LCP402は、感知インターバル1114によって表わされる、伝導通信パルス1104送信後の感知インターバルを実行するように構成されていてもよい。仮にLCP402が感知インターバル1114の間に拍動を感知した場合、当該LCP402は、当該伝導通信パルス1104のパルス幅1110及び振幅1120の組合せが心臓の捕捉原因となった、と判定可能である。しかしながら、仮にLCP402が感知インターバル1114の間に拍動を感知しなかった場合、当該LCP402は、別の伝導通信パルス、つまり伝導通信パルス1106を、感知インターバル1114の終了時か、感知インターバル1114後の予め設定された時間間隔か、或いは他のあらゆる適切な時間のいずれのタイミングで送信する。図11に示したように、伝導通信パルス1106の振幅1122は、振幅1120と同じであってもよいが、パルス幅1112は、パルス幅1110よりも大きく設定される。LCP402は、さらに、感知インターバル1118といった、他の感知インターバルの間に伝導通信パルスが送信された後の拍動を感知する。
LCP402は、送信した伝導通信パルスが心臓を捕捉したことを示すことになる感知インターバル中の拍動を感知するまで、上述したプロセス、すなわち、送信した伝導通信パルスのパルス幅を増加することを繰り返してもよい。これは、例えば、心臓に送信されたときに心臓の捕捉原因となる通信パルスのパルス振幅とパルス幅の特定の組合せた、心臓の第1捕捉閾値とすることが可能である。LCP402は、心臓の捕捉原因となった伝導通信パルスのパラメータをメモリに保存可能であり、又はストーレジ用の他の機器に当該パラメータを通信可能である。
いくつかの実施形態において、LCP402は、仮に、次の拍動(内因性か、又はペース拍動か)が発生すると予想される場合に、次の伝導通信パルスが100ミリ秒(又は他の予め設定された時間間隔)以内に送信されることになると判定したときには、次の伝導通信パルスの送信を控えるように構成されていてもよい。図11に示したように、LCP402は、次の拍動が推定インターバル1116の終了時に発生することが予測されると判定可能である。LCP402は、図7−図10に関して開示した他の推定インターバルと同様の仕方で、推定インターバルを判定可能である。従って、仮にLCP402が、次の伝導通信パルスの送信が100ミリ秒(又は他の予め設定された時間間隔)以内になるであろうと判定したときには、次の伝導通信パルスの送信を控え、次の検出された拍動の後まで、待機することが可能である。加えて、別の実施形態では、パルス幅の増加に関して記載されたものであるが、LCP402は、最初に比較的大きなパルス幅で伝導通信パルスを送信し、後続して送信する伝導通信パルスのパルス幅を低減するように構成されていてもよい。そのような実施形態において、LCP402は、捕捉がないことを検出するために、感知インターバルの間に拍動がないことを感知してもよい。
もちろん、他の実施形態において、LCP402は、当該伝導通信パルスのパラメータを異なる仕方で調整するように構成してもよい。例えば、パルス幅を調整する代わりに、LCP402は、伝導通信パルスの振幅を調整するように構成されていてもよい。さらに別の実施形態において、LCP402は、パルス幅と振幅の双方を同時に調整するように構成されていてもよい。加えて、他の実施形態では、LCP402は、心臓の捕捉が生じかねないパルス振幅とパルス幅の通信パルスを伝導するように構成されていてもよい。そのような実施形態では、LCPは、心臓の捕捉原因とはならないようなパルス幅とパルス振幅の組合せになるまで、(個別でも、同時でも)当該パルス振幅及びパルス幅の少なくともいずれかひとつを低減可能である。一般に、通信パルスのパルス振幅とパルス幅パラメータを変更することは、通信パルスのエネルギレベルを変更することになる。従って、エネルギレベルを変更することは、患者の心臓に送信されるエネルギを変更することである。このことは、通信パルスの総エネルギレベルが、特定のパルス振幅や特定のパルス幅といった他の要因に比べ、通信パルスが心臓を捕捉するか否かを判定する上で大きな要因である、といって差し支えない。
少なくともいくつかの実施形態において、LCP402は、いずれかの開示された実施形態によれば、心臓の捕捉原因となる伝導通信パルス用にパラメータの複合的な組合せを判定し、それによって、心臓の複合的な捕捉閾値を判定することが可能である。パラメータの複合的な組合せを使用することにより、LCP402は、さらに、例えば1以上の回帰技術を用いるなど、心臓の捕捉結果となるパラメータの組合せを表わす曲線又は関数を判定してもよい。図12は、電圧とマイクロ秒単位のパルス振幅−パルス幅のグラフであり、既述したような曲線又は関数を読み取ることのできる図解例である。ここで、曲線1202は、心臓の捕捉を来した伝導通信パルスのパラメータの組合せを表わしており、例えば、曲線1202は、ある捕捉閾値曲線である。曲線1202は、加えて、仮に患者の組織に送信された場合、当該患者の心臓を捕捉する結果となる伝導通信パルスのパラメータの組合せと、当該患者の心臓を捕捉する結果にはならないものとの間にある分岐線を表わしている。例えば、曲線1202上、並びに曲線1202の上側及び右側にある、パルス振幅とパルス幅のいかなる組合せも、捕捉を来たすことになる。曲線1202よりも下側、及び曲線1202の左側にある、パルス振幅とパルス幅のいかなる組合せも、捕捉を来たすことにはならない。この領域は、セーフゾーン1210と規定される。
いくつかの実施形態において、LCP402は、安全マージンによって曲線1202に対し、シフトした曲線を判定可能である。このシフトした曲線は、曲線1208によって表わされる。そのような実施形態において、セーフゾーン1210は、シフトした曲線1208の下及び左側に入るパルス振幅及びパルス幅組合せとすることが可能である。LCP402が曲線1202からシフトする量は、セーフティマージン1206によって表わされる。セーフティマージン1206は、仮に曲線1202が時間又は他の要素の関数として変化した場合、当該曲線1202が曲線1208の下側及び左側に流れることがないような、又は流れにくいような量を表わしてもよい。LCP402は、(第1通信モードによって通信しているときのような)通常通信時では、曲線1208以上にあるパラメータの組合せや、曲線1208の右側にあるようなパラメータの組合せを有する伝導通信パルスを送信しないように構成されていてもよい。
上述した、1以上の送信された伝導通信パルスが患者の心臓を捕捉したか否かを判定するためにLCP402が用いる方法に拘わらず、一旦、1以上の送信した伝導通信パルスが患者の心臓を捕捉したとLCP402が判定した場合、当該LCP402は、1以上の動作をとってもよい。いくつかの実施形態において、LCP402がとり得る第1の動作は、送信された伝導通信パルスのパラメータの値を、患者の心臓の捕捉原因とはならない値の組合せに、当該LCP402が変更可能かどうかを判定することである。いくつかの実施形態において、LCP402は、例えば、図11のいずれかの開示された技術によって、心臓の捕捉原因になると予測されないパラメータの組合せを判定可能である。そのような実施形態において、LCP402は、追加的に伝導通信パルスのパラメータの組合せの最小値を保存していてもよい。パラメータの組合せのそのような最小値は、当該パルスが通信用に十分他の機器によって、依然、検出可能な伝導通信パルスの振幅及びパルス幅の最小値の少なくともいずれかひとつを表わすものであってもよい。これらの実施形態において、LCP402は、心臓の捕捉原因とはならないパラメータの組合せの値をパラメータの組合せ用に保存された最小値と比較してもよい。仮に心臓の捕捉原因とはならない値の組合せがある場合において、パラメータの組合せとして保存された最小値以上であるときは、LCP402は、伝導通信パルスの振幅及びパルス幅の値の少なくともいずれかひとつを、心臓の捕捉原因にはならず、しかも前記パラメータの最小値以上となる値に調整してもよい。そのような実施形態では、LCP402は、作動を継続する。
パラメータの組合せとして保存された最小値以上であって、心臓の捕捉原因とはならない値の組合せが予測されない場合のいくつかの実施形態において、LCP402は、「セーフ」通信モード又は「セーフティ」通信モードと呼称される第2通信モードに切換可能である。加えて、少なくともいくつかの実施形態において、(例えば、図7−図11に関して詳述したいずれかのプロトコルを実行した後に)心臓を捕捉している1以上の送信された伝導通信モードを検出したことを受けて、LCP402は、振幅及びパルス幅、或いは振幅又はパルス幅の代替的な値を判定する試みを省略可能であり、その代わりに第2通信モードに直ちに切換可能である。
図13は、第2通信モードの第1例で作動している場合に、ある医療機器が患者の組織に伝導通信パルス(例えば、バースト)を送信したときの心周期おける、正常な心周期と時間のタイミング例の図を示している。具体的には、図13は、数々の異なるインターバルを含む波形1300を示している。第1R波1302と第2R波1304で、二つの心臓拍動例が表わされている。拍動間の時間を表わす心臓インターバルは、R波1302とR波1304との間にわたる心臓インターバル1312によって表わされている。第1拍動の受攻期は、受攻期1313によって表わされる。図13に示されている第2通信モードの第1例によれば、LCP402は、1以上のいずれかの拍動検出技術を用いることにより、拍動を特定するように構成されている。LCP402は、図13の第1拍動におけるR波1302のように、特定した拍動が顕在してから予め設定された時間量間隔だけ待機するように、追加的に構成されていてもよい。前記予め設定された時間量は、一般に受攻期1313を含むのに十分長く設定してもよい。図13の実施形態において、予め設定された時間量は、待機インターバル1318によって表わされる。待機インターバル1318の値の例は、250、300、350、若しくは400ミリ秒、又は他のあらゆる適切な時間値である。
追加的に又は代替的に、いくつかの実施形態において、待機インターバル1318は、患者の心拍数の関数であってもよい。例えば、LCP402は、過去の連続する拍動に基づいて心拍数を判定可能である。そのような実施形態では、待機インターバル1318は、判定された拍動期間の所定の割合であってもよく、又は判定された心拍数を含む関数に基づいて判定されてもよい。他のさらなる実施形態において、LCP402は、特定された拍動が生じる受攻期がいつであるか、に基づいて待機インターバルを判定してもよい。受攻期がいつであるかを判定するために、LCP402は、T波706の開始時及び終了時を特定してもよい。他の実施形態ではあるが、LCP402は、先行する拍動の受攻期のタイミングを判定し、判定されたタイミングに第1拍動を適用することにより、当該第1拍動の受攻期1313を判定する、予測方法を使用可能である。LCP402は、次いで、第1拍動の前記受攻期の終了後に、待機インターバル136で表わされる、10ミリ秒長、25ミリ秒長、50ミリ秒長、又はあらゆる他の適切な時間長の待機インターバルを判定可能である。
待機インターバル1316によって表わされる時間量だけ待機した後、LCP402は、通信インターバル1314によって表わされるインターバル期間中に通信(例えば、通信パルスバースト)を許容する。通信インターバル1314は、図6に関して説明した第1通信インターバル614と異なり、第2通信インターバルとしてもよい。いくつかの実施形態において、通信インターバル1314は、50ミリ秒、100ミリ秒、若しくは150ミリ秒、又はあらゆる他の適切な時間長といった、予め設定された時間長で終了してもよい。通信インターバル1314は、一般に、通信インターバル614よりも短いものとされ、さらには、仮に送信された伝導通信パルスのいずれかが、正に当該通信インターバルの間に心臓を捕捉したとしても、ただ一度だけ心臓が捕捉される程度に、より一層、十分に短いものとされていてもよい。この通信モードの例は、当該LCP402が受攻期の経過後であって、通信バーストごとに応答が惹起するためだけに十分長い時間のみ送信可能であることから、より安全であると考えられている。従って、通信バーストが心臓を定期的に捕捉しても、二段脈リズム(bigeminy rhythm)ではあるが、本モードは、より安全な結果をもたらすことになる。
待機インターバル1318があることで、通信インターバル1314は、いくつかの例において、心拍数を判定する関数とすることが可能である。追加的に、又は代替的に、いくつかの例において、LCP402は、(例えば、他の実施形態で説明したような推定インターバルを判定することにより、)いつ次の拍動が発生すると予想されるか、というタイミングを判定してもよい。いくつかの実施形態において、LCP402は、次の拍動が生じると予想されるタイミングの少なくとも100ミリ秒(又は他の予め設定された時間)前に、消失するのを確保する、追加的な一助とすることが可能である。
図14は、第2通信モードの第2例で作動している場合に、ある医療機器が患者の組織に伝導通信パルス(例えば、通信バースト)を送信したときの心周期おける、正常な心周期と時間の別のタイミング例の図を示している。具体的には、図14は、数々の異なるインターバルを含む波形1400を示している。第1R波1402と第2R波1404で、二つの心臓拍動例が表わされている。第1拍動の受攻期は、受攻期1413によって表わされる。図14に示されている第2通信モードの実施形態によれば、LCP402は、1以上のいずれかの拍動検出技術を用いることにより、拍動を特定するように構成されている。LCP402は、第2通信許容時間又は時間間隔の別の例である通信インターバル1414の間だけ、追加的に通信可能である。通信インターバル1414は、一般に、R波1402の検出直後に開始し、予め設定された時間量の間に終了する。通信インターバル1414の値のいくつかの例は、50ミリ秒、100ミリ秒、及び150ミリ秒、又は他の適切な時間長である。しかしながら、他の実施形態において、通信インターバル1414は、R波1402後の5ミリ秒、10ミリ秒、15ミリ秒、若しくは20ミリ秒、又は他の適切な時間長といった、予め設定された時間量を始めてもよい。少なくともいくつかの実施形態において、通信インターバル1414は、当該通信インターバル1414が受攻期1413の開始前で終了する一助となる時間長であってもよい。他の実施形態において、通信インターバル1414は、時間量の変数である。例えば、通信インターバル1414は、予め設定された時間量の間に代えて、受攻期1413の開始時前までにわたるものであってもよい。そのような実施形態において、LCP402は、閾値を超えて感知された心臓電気活動の振幅の立ち上がりを検出することによって受攻期1413の開始時を判定してもよい。振幅におけるこの立ち上がりは、T波の開始時に一致し、受攻期1413のタイミングに関連するものとしてもよい。他の実施形態において、LCP402は、先行する拍動の受攻期のタイミングを判定し、判定されたタイミングを拍動701に適用することにより、いつ受攻期1413が生じるかを判定する予測方法を用いてもよい。例えば、仮に、過去3拍動した間の受攻期は、R波後、平均200ミリ秒で開始した、とLCP402が判定した場合、当該LCP402は、R波によって特定された拍動の受攻期が当該R波1402の後、200ミリ秒で開始し得る、と推定可能である。従って、LCP402は、しばしば十分なセーフティマージンとともに、通信インターバル1414の適切な時間長を判定可能である。
第2通信モードのさらなる第3例において、LCP402は、他の動作モードからVOOモードに切換可能である。このVOOモードにおいて、LCP402は、(仮に主担当聞きが心臓にペーシングパルスを送信していない場合、)心臓のペーシング機能を引き継ぐことが可能であり、通常のリズムで心臓にペーシング可能である。この第2通信モードの例において、LCP402は、定期的に送信されたペーシングパルスから、待機インターバル及び通信インターバルの少なくともいずれかひとつを計測する。例えば、R波から、又は受攻期の終了時からインターバルを待機する代わりに、LCP402は、送信されたペーシングパルスから待機期間を測定することが可能である。追加的にいくつかの実施形態において、LCP402は、通信インターバルがペーシングパルスから所定の時間量開始することを判定する。このモードは、LCP402が、心臓自らが発生する心臓電気活動の形態的特性を判定することに依拠する必要がなくなり、しかも、通常のインターバルで送信されたペーシングパルスには、様々なインターバルを付与することができるので、当該LCP402が待機インターバル及び通信インターバルの少なくともいずれかひとつをより容易に判定可能にする。
上述された技術は、第1通信モードで通信し、通信パルスによって心臓組織の捕捉を検出し、その後第2通信モードに変遷する、という観点から説明した。一般に、第1通信モードで通信する場合には、通信は、第1通信許容時間中に送信可能であるとともに、第2通信モードでは、通信は、第2通信許容時間中に送信可能であり、当該第2通信許容時間は、第1通信許容時間よりも短いものである。しかしながら、本発明の技術はまた、逆も配慮している。例えば、第2通信モードで通信している機器は、1以上の捕捉テストの間に通信パルスが心臓を捕捉していないと判定した後は、第1通信モードに変遷するようにしてもよい。このように、1以上の機器は、捕捉テストが、通信パルスによって心臓組織の捕捉がされていることを示しているか、又はされていないことを示しているかに基づいて、二つの通信モード間の一方に変遷可能である。加えて、ここに記載したように、いずれのモードが第1、第2通信モードとして記載されているかについては、ある機器が現在、いずれのモードで作動しているかに関連すると考えられる、と理解すべきである。例えば、第1通信モードは、常に、ある機器が現在作動している通信モードであり得るし、第2通信モードは、その機器が、通信パルスが心臓を捕捉するか否かを判定したことに基づいて、当該機器が変遷可能な通信モードであり得る。例えば、ある機器が、第2通信モードの通信許容時間よりも短い第1通信許容時間の第1通信モードで作動している場合においては、当該機器は、通信パルスが心臓を捕捉しない、と判定した後は、第2通信モードに変遷可能である。代替的に、ある機器が、第2通信モードの通信許容時間よりも長い第1通信許容時間の第1通信モードで作動している場合(図6−図10のような実施形態の場合)においては、当該機器は、通信パルスが心臓を捕捉した、と判定した後は、第2通信モードに変遷可能である。
ここに開示した技術の記載は、いかなる仕方においても、限定的に観るべきではない。記載された実施形態に係る機器や技術についてのバリエーションは、本発明の範囲内にある。例えば、複数の技術のインターバルは、一般にQRS複合体のR波から測定されると記載されてきたが、他の実施形態では、各インターバルは、感知された電気的活動の他の特性から測定されてもよい。例えば、ペーシング拍動を含む、いくつかの実施形態においては、待機、通信、及び他のインターバルの少なくともいずれかひとつは、送信されたペーシングパルスのタイミングに基づいて、いずれも判定可能である。別の実施形態において、前記インターバルは、互いに相手方に基づいて判定されてもよい。一例として、待機インターバルは、R波のような、検出された電気活動の内因性特性のタイミングに基づいて判定されてもよい。その上で、通信インターバル、又は感知インターバルは、当該待機インターバルに基づいて判定可能である。さらに別の実施形態において、異なるインターバルは、異なる特性に基づいて判定されていてもよい。例えば、待機インターバルがR波に基づいて判定される一方、通信インターバルが受攻期の終了時に基づいて判定されてもよい。これらは、ただいくつかの例に過ぎない。ここに開示された技術は、あらゆるインターバルが、感知された電気的活動に係る全てのタイミング又は他のインターバルに基づいて判定される全ての実施形態を含んでいる、と理解されるべきである。
加えて、ここに開示された技術は、伝導通信パルスを送信し、電気活動を感知し、さらにインターバル、パラメータ、及び他の特性を判定する、単一の機器について記載されているが、他の実施形態では、そのような諸動作が複数の機器に分配されていてもよい。例えば、他の実施形態において、LCP402は、特定の時間、又は特定の期間の経過後にのみ、伝導通信パルス(場合によってはペーシングパルス)を送信するように構成されていてもよい。別の機器は、電気活動を感知し、パラメータ値、インターバルの長さ、及び他の特性の少なくともいずれかひとつを判定し、そのような情報をLCP402に通信する役割を果たすものとされていてもよい。ひとつの図解的な例として、別の機器は、LCP402によって送信された伝導通信パルスが心臓を捕捉しているか否かを判定するものであってもよい。その上で、他の機器は、図7−図11に関して説明された1以上の方法を実行するために、LCP402にコマンドを送信するようにしてもよい。当該1以上の方法の中で、前記他の機器は、インターバルの値、振幅、及びパルス幅並びに他の値の少なくともいずれかひとつを判定し、各値をLCP402に送信してもよい。前記他の機器は、追加的に、いずれかの感知インターバルの間、又は推定インターバルの終了時付近の次の拍動の間に心臓電気活動を感知してもよい。その上でLCP402は、単純に指示された振幅及びパルス幅パラメータの伝導通信パルスを、指示されたタイミング又は指示されたインターバルの終了時に送信してもよい。代替的に、LCP402に種々の値を通信することに代えて、(場合によっては特定の振幅及びパルス幅の少なくともいずれかひとつの)伝導通信パルスを適切なタイミングで患者の組織に送信するように、種々のインターバルに追従している他の機器が、単純にLCP402に通信を送信してもよい。このように、ここに開示されている技術は、1以上の機器間のタスク配分に依拠しないようにしてもよい。そのため、開示された技術は、特定のタスクを多種機器間で割り当てる技術の全ての具体例を含んでいると解釈されるべきである。
図15は、図1−2といった、植込型医療機器によって実現可能な、又は図4−5といった、医療機器システムによって実現可能な、図解の方法のフローダイアグラムである。図15の方法は、LCP100及びMD200に関して説明されているが、図15に図示された方法は、いかなる適切な医療機器又は医療機器システムを用いて実行可能である。
図15の方法によれば、MD200といった、第1医療機器は、仮にMD200がICP、ICD、S−ICDのようなものの場合には、患者内に植え込まれ、仮にMD20が外部医療機器といった場合には、当該MD200は、患者の傍に配置される。MD200は、LCP100のように、第2医療機器を有する医療機器システムの一部であってもよい。そのような医療機器システムにおいて、MD200及びLCP100は、ステップ1502に示すように、主たる第1通信許容時間のそれぞれの間に、伝導通信を介して、機器相互で通信可能である。MD200とLCP100の少なくともいずれか一方は、ステップ1504に示したように、1以上の第1通信許容時間中に、伝導通信が患者の心臓を捕捉したか否かを判定する。仮に、MD200とLCP100のいずれかが、1以上の第1通信許容時間中に、伝導通信が患者の心臓を捕捉した、と判定した場合、MD200及びLCP100は、前記第1主通信許容時間よりもそれぞれが短い、複数の第2通信許容時間中に、伝導通信を介して各機器相互と通信する。
図16は、図1−2といった植込型医療機器によって実現可能な、又は図4−5といった医療機器システムによって実現可能な、図解の方法のフローダイアグラムである。図16の方法は、LCP100及びMD200に関して説明されているが、図15に図示された方法は、いかなる適切な医療機器又は医療機器システムを用いて実行可能である。
図16に示された方法では、MD200といった、第1医療機器は、仮にMD200がICP、ICD、S−ICDのようなものの場合には、患者内に植え込まれ、仮にMD20が外部医療機器といった場合には、当該MD200は、患者の傍に配置される。MD200は、LCP100のように、第2医療機器を有する医療機器システムの一部であってもよい。そのような医療機器システムにおいて、MD200及びLCP100は、ステップ1602に示すように、第1エネルギレベルを有する通信パルスを用いて、伝導通信を介して、機器相互間で情報を通信可能である。その上でMD200とLCP100の少なくともいずれか一方は、ステップ1604に示したように、1以上の第1通信許容時間中に、伝導通信が患者の心臓を捕捉したか否かを判定する。次いでMD200とLCP100は、ステップ1606に示したように、捕捉閾値テストで特定した捕捉閾値に基づいて通信パルスのエネルギレベルを、第1エネルギレベルから第2エネルギレベルに変更可能である。次いでMD200とLCP100は、ステップ1608に示したように、第2エネルギレベルを有する通信パルスを用いて、伝導通信を介して、機器相互間で通信可能である。
当業者は、本発明は本明細書で説明され、想定される特定の実施形態以外の多様な形態で実現できることを認識するであろう。例えば、本明細書で説明されるように、様々な実施例は様々な機能を実行するものとして記述されている1つ以上のモジュールを含む。しかしながら、他の実施形態は、記述された機能を、本明細書に記述されたものよりも多くのモジュールで分担する追加モジュールを含んでいてもよい。さらに、他の実施形態は、記述された機能をより少ないモジュールに統合されていてもよい。従って、添付の請求項に記述されるように、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、形態及び明細の逸脱を行うことができる。