JP6411909B2 - 砒素汚染土壌の無害化処理システム - Google Patents
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Description
本発明の実施形態に係る砒素汚染土壌の無害化処理システムは、例えば、泥水式シールド工事で発生する砒素汚染泥水を無害化処理するための装置であって、図1に示すように、処理工程の進行順に、粘土解砕装置10及び篩い分け装置20、pH調整装置30、鉄粉添加装置40、比重分離装置50、ドラム型磁性分離装置60、フィルター型電磁石分離装置70、脱水処理装置80を備えている。なお、本発明に係る無害化処理システムは、泥水式シールド工事だけではなく、適切な前処理を行うことにより、泥土圧式シールド工事や通常の掘削工事で発生する残土に対しても適用することができる。
粘土解泥工程には、粘土解砕装置10、篩い分け装置20、余剰泥水槽120が配置されている。篩い分け装置20における篩下分は余剰泥水槽120に貯留され、シールド掘削に必要な量の泥水が送泥水槽100に送出されてシールドマシン110に供給される。また、余剰泥水槽120に貯留された余剰分の泥水は、pH調整装置30の廃棄泥水受槽33に送出されてpH調整が行われる。
粘土解砕装置10は、砒素汚染土壌に含まれる粘土塊を解砕するための装置である。一般的なシールド工事では、シールドマシン110から排出された泥水を振動篩で2mmを超える砂と2mm以下の細粒分に篩い分けし、篩残留分を砂として残土処理することが多い。自然由来の砒素汚染地盤を掘削する場合には、掘削対象となる土質が土丹になる可能性が高く、その場合、篩残留分に土丹が固結した粘土塊が含まれる可能性が払拭できない。このため、本実施形態では、篩残留分を解砕するための粘土解砕装置10を備えている。粘土解砕装置10は、例えば、ローラーミル、鬼歯ローラ、ボールミル、高速溶解機(攪拌機)等を用いることができる。
篩い分け装置20は、砒素汚染土壌を篩い分けして、所定の粒径以下の細粒分を含む泥水を取り出すための装置である。所定の粒径とは、例えば、砂分を基準として2mmとする。すなわち、2mmを超える砂分は、砒素を含まないものとして分離し、0次処理土として処理する。一方、2mm以下の細粒分を含む泥水は、砒素を含有しているものとして、砒素を分離して無害化処理を行う。篩い分け装置20は、例えば、振動篩を用いることができる。
解泥槽90は、第1の振動篩である篩い分け装置20により篩い分けられた篩下分と、余剰泥水槽120から送出される余剰泥水の一部を貯留するための貯留槽であり、撹拌モータ91により駆動される撹拌翼92により泥水を撹拌して均一化するようになっている。なお、撹拌翼92の形状等は、篩下分の性状に応じて適宜設定することができる。また、図示しないが、解泥槽90には、泥水を送出するためのポンプを備えている。解泥槽90に貯留された余剰泥水は、第2の振動篩である篩い分け装置20に供給される。
余剰泥水槽120は、第1の振動篩及び第2の振動篩により篩い分けした篩下分からなる余剰泥水を貯留して、解泥槽90、送泥水槽100、pH調整装置30(廃棄泥水受槽33)に供給するための貯留槽である。余剰泥水槽120においても、撹拌モータ121により駆動される撹拌翼122により泥水を撹拌して均一化するようになっている。また、図示しないが、余剰泥水槽120には、泥水を送出するためのポンプを備えている。
送泥水槽100は、余剰泥水槽120から受け入れた泥水を貯留して、再度、シールドマシン110に供給するための貯留槽である。送泥水槽100においても、撹拌モータ101により駆動される撹拌翼102により泥水を撹拌して均一化するようになっている。また、図示しないが、送泥水槽100には、泥水を送出するためのポンプ及び泥水比重調整のための加水装置を備えている。
砒素除去工程には、pH調整装置30、鉄粉添加装置40、比重分離装置50、ドラム型磁性分離装置60、フィルター型電磁石分離装置70が配置されている。pH調整装置30でpH調整された余剰泥水は、鉄粉添加装置40で鉄粉が添加されて砒素が吸着され、比重分離装置50に送出される。本実施形態では、比重分離装置50の前段に、砒素が吸着した鉄粉を含む泥水を均一に供給する泥水供給装置(図示せず)が配置されている。さらに、比重分離装置50に供給する泥水は、泥水比重測定装置(図示せず)により比重が測定され、供給泥水量調整装置(図示せず)により、泥水の比重に応じて比重分離装置50に供給する泥水量が調整される。
pH調整装置30は、篩い分け装置20を通過した細粒分を含む泥水のpHを調整するための装置であり、廃棄泥水受槽33と、pH調整材及び抽出材を投入するための投入装置(図示せず)と、撹拌モータ31により駆動される撹拌翼32とを備えている。余剰泥水中に含まれる砒素は、水酸化鉄由来の砒素である可能性が高いため、pHをアルカリ性にすることで溶出が促進される。このため、余剰泥水をアルカリ性にした後、撹拌翼32により余剰泥水を撹拌してpHを調整する。砒素の溶出時間は、例えば1時間程度確保することが好ましい。
鉄粉添加装置40は、pHを調整した細粒分を含む泥水にpH調整剤を添加してpHを中和するとともに、鉄粉を添加して当該鉄粉に砒素を吸着させるための装置であり、砒素吸着槽41と、鉄粉を投入するための投入装置(図示せず)と、撹拌モータ42により駆動される撹拌翼43とを備えている。鉄粉によるヒ素の吸着は、pHが中性付近でその効果が最大となるため、泥水の中和を行いながら鉄粉を添加する。鉄粉の添加量は、例えば、乾土重量あたり3〜5%程度が適正である。
比重分離装置50は、図2に示すように、サイクロンを用いて、鉄粉を含まない泥水と、砒素が吸着した鉄粉を含む泥水とに比重分離するための装置である。本実施形態では、粒径が大きな鉄粉を利用しているため、重力沈降だけで泥水から鉄粉を容易に回収することが可能であることから、一次処理としてサイクロンを利用して、鉄粉を含まない泥水と、鉄粉が濃縮された泥水に比重分離するようになっている。これにより、鉄粉回収対象となる泥水量を、従来技術の2〜3割程度に減少させることが可能となる。
本実施形態では、図示しないが、比重分離装置50に供給する泥水の比重を測定する泥水比重測定装置と、測定した泥水の比重に応じて、比重分離装置50に供給する泥水量を調整する供給泥水量調整装置とを備えている。比重分離装置50に供給する泥水比重は、施工条件により1.00〜1.50程度の範囲で変動が生じる。サイクロン処理(比重分離装置50による比重分離処理)の工程において、比重1.25程度までの鉄粉を添加した泥水は、100G程度の遠心力を作用させることで篩上に残留する鉄粉はほぼ零となるが、泥水比重が1.25程度を超えると、篩上に残留する鉄粉量が増加してくる。
ドラム型磁性分離装置60は、永久磁石を利用して、砒素が吸着した鉄粉を含む泥水から鉄粉を回収するための装置である。すなわち、鉄粉が濃縮されたサイクロン処理物には、鉄粉の他にも砂等が含まれているため、さらにそこから鉄粉のみを回収する必要がある。このため、本実施形態では、永久磁石61を利用したドラム型磁性分離装置60により、鉄粉回収処理を行うようになっている。この際、ドラム磁選機の上部から鉄粉を含む泥水を供給する設備(例えば、流下樋66を含む装置(図3参照))を採用することにより、単位時間当たりの処理重量を大きくすることが可能となる。
さらに、鉄粉の周りに粘土粒子が付着して、見かけ上の磁性が低下した鉄粉は、ドラム磁選機では回収できないことがある。したがって、図3に示すように、ドラム磁選機で分離された非磁性物を撹拌槽151に貯留し、ミキサー等からなる撹拌装置150で撹拌することにより、鉄粉に付着した粘土を引きはがすことが好ましい。撹拌装置150は、撹拌槽151と、撹拌モータ152により駆動される撹拌翼153とを備えている。
また、ドラム磁選機により磁性物側に分別されて排出される鉄粉濃縮物には、水分が多く含まれている場合がある。このため、図1及び図3に示すように、磁性物側に排出された鉄粉を貯留するための鉄粉受槽140内に越流堰141を設け、鉄粉を越流堰141の上流側に排出する。そして、鉄粉とともに磁性物側に排出された水分は、越流堰141を乗り越えて流下する構成とすることにより、磁性物側に排出された水分量が多くなった場合に、水分のみを排出することができる。上述したように、鉄粉受槽140及びこれに付帯する機器が余剰水排出装置として機能する。
フィルター型電磁石分離装置70は、ドラム型磁性分離装置60で回収しきれなかった鉄粉を含む泥水から鉄粉をさらに回収するための装置である。すなわち、フィルター型電磁石分離装置70により非磁性物(砒素が除去された粘土等)を分離して、ドラム型磁性分離装置60で回収しきれなかった微量の鉄粉をさらに回収する。本実施形態のフィルター型電磁石分離装置70は、図示しないが、鉄球等に磁界を作用させることで磁力を発生させて、鉄粉と非磁性物を分離し、鉄粉を回収する装置からなる。このように、フィルター型電磁石分離装置70により非磁性物を再度処理することにより、廃棄泥水中からほとんどすべての鉄粉を回収することができる。
本実施形態では、回収した鉄粉を再利用する。しかし、鉄粉の再利用の回数が増えてくると、砒素を吸着する能力が低下する。そこで、所定回数だけ再利用した鉄粉を酸、アルカリ、アスコルビン酸のいずれか、もしくはこれらを組合せて処理することにより、砒素吸着能力を復元することができる。
無害化処理の後段階には、脱水処理装置80が配置されている。脱水処理装置80は、廃棄泥水槽130に貯留された砒素が分離・除去された廃棄泥水を脱水処理することにより減容化する装置であり、例えばフィルタープレス等からなる。すなわち、鉄粉をすべて回収した泥水は、フィルタープレス等で脱水処理することにより、廃棄泥土量を減少させることができる。また、脱水処理装置80として、セメントを添加して脱水処理を行う真空加圧脱水機を利用することにより、自硬性のある脱水ケーキを生成して、将来的な砒素溶出のリスクをさらに低減することができる。また、脱水処理装置80から排出される濾水は、濁水処理装置(図示せず)により濁水処理して、得られた清水を再利用することができる。
以下、本発明に係る砒素汚染土壌の無害化処理システムが、従来考えられているシステムと比較して有利な効果を奏する点について説明する。鉄粉混合槽から磁気分離機に鉄粉混じりの排泥水をポンプアップし、浄化泥水を回収する装置構成では、700m3程度を超える廃棄泥水から鉄粉を回収することは困難である。なぜならば、鉄粉混合槽から磁気分離機に鉄粉混じりの排泥水をポンプアップし、浄化泥水を回収する方法では、700m3程度を超える廃棄泥水を2〜3時間以内に処理する必要があるため、230〜350m3/h程度の処理能力が必要となり、複数の設備(例えば、5〜8台)の処理装置が必要となる。
20 篩い分け装置
30 pH調整装置
31 撹拌モータ
32 撹拌翼
33 廃棄泥水受槽
40 鉄粉添加装置
41 砒素吸着槽
42 撹拌モータ
43 撹拌翼
50 比重分離装置(サイクロン)
60 ドラム型磁性分離装置
61 永久磁石
62 回転ドラム
63 邪魔板
64 エアーノズル
65 スクレーパー
66 流下樋
70 フィルター型電磁石分離装置
80 脱水処理装置
90 解泥槽
91 撹拌モータ
92 撹拌翼
100 送泥水槽
101 撹拌モータ
102 撹拌翼
110 シールドマシン
120 余剰泥水槽
121 撹拌モータ
122 撹拌翼
130 廃棄泥水槽
131 撹拌モータ
132 撹拌翼
140 鉄粉受槽
141 越流堰
150 撹拌装置
151 撹拌槽
152 撹拌モータ
153 撹拌翼
Claims (4)
- 砒素汚染土壌を無害化処理するための装置であって、
前記砒素汚染土壌に含まれる粘土塊を解砕する粘土解砕装置と、
前記砒素汚染土壌を篩い分けして、所定の粒径以下の細粒分を含む泥水を取り出す篩い分け装置と、
前記篩い分け装置を通過した前記細粒分を含む泥水のpHをアルカリ性に調整するpH調整装置と、
前記pHを調整した前記細粒分を含む泥水のpHを中和しながら鉄粉を添加して、当該鉄粉に砒素を吸着させる鉄粉添加装置と、
サイクロンを用いて、鉄粉を含まない泥水と、砒素が吸着した鉄粉を含む泥水とに比重分離する比重分離装置と、
永久磁石を利用して、前記砒素が吸着した鉄粉を含む泥水から鉄粉を回収するドラム型磁性分離装置と、
前記ドラム型磁性分離装置で回収しきれなかった鉄粉を含む泥水から鉄粉をさらに回収するフィルター型電磁石分離装置と、
前記鉄粉を分離後の泥水を脱水処理する脱水処理装置と、
を備えるとともに、
前記ドラム型磁性分離装置と前記フィルター型電磁石分離装置との間に、前記ドラム型磁性分離装置で回収しきれなかった鉄粉を含む泥水を撹拌して前記鉄粉に付着した粘土を引きはがす撹拌装置を配置したことを特徴とする砒素汚染土壌の無害化処理システム。 - 砒素汚染土壌を無害化処理するための装置であって、
前記砒素汚染土壌に含まれる粘土塊を解砕する粘土解砕装置と、
前記砒素汚染土壌を篩い分けして、所定の粒径以下の細粒分を含む泥水を取り出す篩い分け装置と、
前記篩い分け装置を通過した前記細粒分を含む泥水のpHをアルカリ性に調整するpH調整装置と、
前記pHを調整した前記細粒分を含む泥水のpHを中和しながら鉄粉を添加して、当該鉄粉に砒素を吸着させる鉄粉添加装置と、
サイクロンを用いて、鉄粉を含まない泥水と、砒素が吸着した鉄粉を含む泥水とに比重分離する比重分離装置と、
永久磁石を利用して、前記砒素が吸着した鉄粉を含む泥水から鉄粉を回収するドラム型磁性分離装置と、
前記ドラム型磁性分離装置で回収しきれなかった鉄粉を含む泥水から鉄粉をさらに回収するフィルター型電磁石分離装置と、
前記鉄粉を分離後の泥水を脱水処理する脱水処理装置と、
を備えるとともに、
前記比重分離装置に供給する泥水の比重を測定する泥水比重測定装置と、
前記測定した泥水の比重に応じて、前記比重分離装置に供給する泥水量を調整する供給泥水量調整装置と、
を備えたことを特徴とする砒素汚染土壌の無害化処理システム。 - 前記比重分離装置の前段に、前記砒素が吸着した鉄粉を含む泥水を均一に供給する泥水供給装置を配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の砒素汚染土壌の無害化処理システム。
- 前記ドラム型磁性分離装置が、前記砒素が吸着した鉄粉を含む泥水から、鉄粉と余剰水を含む鉄粉濃縮物を回収するものであり、当該鉄粉と当該余剰水とを分離して、当該余剰水のみを排出する余剰水排出装置を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の砒素汚染土壌の無害化処理システム。
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