実施の形態
《構成》
以下、本発明に係る情報処理装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1、図2、図6及び図7に示すように、本実施の形態では情報処理装置が後述する第一機関及び第二機関とは異なる外部機関に設置されている態様を用いて説明するが、これに限られることはない。情報処理装置は第一機関内又は第二機関内に設置されてもよく、この場合には、第一機関又は第二機関が当該情報処理装置を所有及び/又は管理してもよい。本実施の形態の情報処理装置は、一つの装置から構成されてもよいし複数の装置から構成されてもよい。また、複数の装置から情報処理装置が構成される場合には、各装置が同じ部屋等の同じ空間に設けられる必要はなく、異なる部屋、異なる建物、異なる地域等に設けられてもよい。また、複数の装置から情報処理装置が構成される場合には、その一部を第一機関又は第二機関が所有及び/又は管理し、残りを外部機関が所有及び/又は管理してもよい。
本実施の形態では、第一機関として金融機関を例に挙げて主たる説明を行うが、これに限られることはない。一例として、第一機関は「商品」(「役務」(サービス)を含む。)を提供する機関であり、外部機関は本実施の形態で示される情報処理装置又は情報処理方法を用いたサービスを提供する機関であり、第二機関は第一機関及び第二機関以外の機関であってもよい。
図1に示すように、本実施の形態の情報処理装置は、人工知能機能を有し、所定の情報を生成する生成部11と、生成部11により生成された情報を出力する出力部30と、を有してもよい。生成部11は、複数の対象者に対する複数の対象者情報と、当該複数の対象者に対する過去の実績データを用いて、ある対象者が所定の商品を利用する可能性に関するニーズ情報又はある対象者に金銭を貸し付けた際のリスク情報を生成してもよい。生成部11は、複数のある対象者を選択し、当該複数のある対象者に対するニーズ情報又はリスク情報を生成してもよい。本実施の形態では、「商品」として主に「金融商品」を用いた態様を利用して説明するが、これに限られることはなく、「商品」には、不動産、自動車、オーディオ機器、美術品、健康用品、文房具等のあらゆる商品が含まれてもよい。これらの商品に関しても、当該商品を必要としている可能性に関するニーズ情報を生成することができ、また当該商品を提供した際における売掛金の回収リスク(信用リスク)だけではなく、商品提供先からクレームを出されるといったトラブル、商品提供先が***的勢力であるというコンプライアンス的なリスク等を含むリスク情報を生成することもできる。なお、本実施の形態における「商品」には、役務(サービス)を提供する態様も含まれている。すなわち、本実施の形態では、何らしかの役務(サービス)を提供する場合にも、当該役務の提供は「商品」として捉えられている。
生成部11は、第一対象者情報のみに基づき(第一対象者情報のみを用いて)、第一対象者及び/又は第二対象者に対するニーズ情報又はリスク情報を生成してもよい。また、生成部11は、第二対象者情報のみに基づき(第二対象者情報のみを用いて)、第一対象者及び/又は第二対象者に対するニーズ情報又はリスク情報を生成してもよい。また、生成部11は、第一対象者情報及び第二対象者情報の両方に基づいて(第一対象者情報及び第二対象者情報の両方を用いて)、第一対象者及び/又は第二対象者に対するニーズ情報又はリスク情報を生成してもよい。ニーズ情報又はリスク情報が生成される第一対象者及び/又は第二対象者は複数であってもよいし単数であってもよい。
生成部11は、対象者情報から生成される採用変数及び当該採用変数に対する係数を用いて、ある対象者が所定の商品を利用又は購入する可能性に関するニーズ情報及び/又はある対象者に金銭を貸し付けた際の貸倒リスクもしくは延滞リスクに関するリスク情報を生成してもよい。採用変数及び係数は、過去の実績データに基づき、生成部11によって決定されてもよい。この過去の実績データには、予め入力された過去の実績データや後述する検証部16による検証結果が含まれてもよい(より正確には、当該ある対象者に対してニーズ情報やリスク情報を生成する前に検証された検証結果が含まれてもよい。)。
図1に示すように、情報処理装置は、様々な情報を記憶する装置記憶部20と、様々な制御を行う装置制御部10とを有してもよい。前述した生成部11、後述する算出部15及び検証部16はいずれも装置制御部10に含まれてもよい。装置記憶部20には、自動でニーズ情報及びリスク情報を生成するために予め入力されたデータに加えて、後述する検証部16による検証結果が記憶されてもよい。また、ある程度のデータが蓄積された場合には、ニーズ情報及びリスク情報を生成するために予め入力されたデータは削除されてもよい。また、一定期間(例えば2年)よりも古い検証結果を含むデータは削除されてもよい。このように一定期間内(例えば2年以内)のデータのみに基づいてニーズ情報及びリスク情報を生成する場合には、時代の流れに沿った正確性の高いニーズ情報及びリスク情報を生成して出力することができる。
上記人工知能機能の一例として、機械学習の手法を用いた分類器を用いることができる。この分類器によれば、ある過去期間(例えば2年)の対象者情報から、貸倒が生じる確率(リスクモデルの場合)、商品申込(ニーズモデルの場合)等の目標事象が生じる確率を対象者毎に出力することができる。この分類器では、過去の実績データから、目標事象が生じる確率が最も確からしくなるように、機械学習技術によって、利用する採用変数(要素)と、その係数(重み)が定められる。そして、定められた採用変数(要素)と、その係数(重み)を、対象者(=「ある対象者」)に関するデータに適用することで、当該対象者に関する商品毎のニーズ率、ニーズに関する絶対的な数値等を含むニーズ情報と、リスク率、リスクに関する絶対的な数値等を含むリスク情報とが生成される。
対象者に関して目標事象が生じる確率を出力するために、生成部11は、商品単位でニーズモデルとリスクモデルの「学習」を行う。ここで「学習」とは、データの中から見つけたい「特徴」、すなわち商品(例えば金融商品)を購入したといったニーズ事象やローンで延滞が発生したといったリスク事象を特定し、この「特徴」を最もよく分類できるような採用変数(要素)と、その係数(重み)を自動的な試行錯誤によって定めることを意味する。つまり、生成部11では、過去の実績データに基づく第一対象者情報及び/又は第二対象者情報が集約され、パラメータを変化させながら最も誤差が小さくなるよう繰り返し学習が行われ(ツリーモデルを採用するのであれば複数のツリーが作成され、過去の実績データとの誤差が小さくなるように繰り返し学習が行われ)、対象者に適用するニーズモデル及びリスクモデルが定められる。そして、定められた採用変数(要素)と、その係数(重み)を、対象者に関するデータに適用することで、当該対象者に関する商品毎のニーズ情報及びリスク情報が算出される。なお、これら採用変数(要素)及び係数(重み)は特徴量と表現されることもある。
変化させるパラメータとしては、例えば、繰返し学習の回数(例えばツリーモデルにおけるツリーの本数を意味する。)、繰り返し学習時の直前までに得られた特徴量を次の学習の際に用いる際の係数(重み)、学習時のデータの利用割合(利用されるデータの量を意味し、例えば100万件ある母数のうち10万件を利用するのか20万件を利用するのかというような割合を意味する。)、学習時の深さの水準(例えばツリーモデルにおけるツリーの分岐の数を意味する。)等を挙げることができる。一例ではあるが、繰返し学習の回数が多い場合にはツリーモデルにおけるツリーの本数が多くなり、他方、繰返し学習の回数が少ない場合にはツリーモデルにおけるツリーの本数が少なくなる。また、学習時の深さの水準が深い場合にはツリーモデルにおけるツリーの分岐が多くなり、学習時の深さの水準が浅い場合にはツリーモデルにおけるツリーの分岐が少なくなる。なお、前述したパラメータはあくまでも一例であり、これに限られることはなく、前述したパラメータを減らしたり、他の要素をパラメータとしたりすることもできる。また、本実施の形態では、ツリーモデルを一例として示したが、これに限られることはない。
対象者には、第一機関(例えば金融機関)によって対象者情報が取得される第一対象者が含まれてもよい。このような第一対象者に関する第一対象者情報は、当該第一対象者の属性情報、当該第一対象者に関する審査情報及び当該第一対象者の第一機関における取引情報のいずれか1つ以上を含んでもよい。
対象者には、第二機関によって対象者情報が取得される第二対象者が含まれてもよい。第二機関には、信用調査会社、会計士事務所、税理士事務所、会計士団体、税理士団体、企業間電子商取引プラットフォームサービス提供会社、スーパー、コンビニエンスストア、百貨店、電気会社、ガス会社、水道会社、携帯電話会社等の機関が含まれてもよい。
第二対象者情報には、例えば信用調査会社によって取得される企業信用情報や個人信用情報が含まれてもよい。また、第二対象者情報には、例えば会計士事務所、税理士事務所、会計士団体、税理士団体等によって取得される企業会計情報(財務諸表等)や個人の会計情報(家計簿情報等)が含まれてもよい。なお、会計情報は、会計ソフトによって取得されてもよいし、税務相談によって取得されてもよい。
企業信用情報には、財務情報や倒産情報が含まれてもよい。財務情報には財務諸表や決算期データを含む企業会計情報が含まれ、財務諸表には仕訳情報、総勘定元帳情報、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書を含まれてもよい。倒産情報には、例えば財務諸表や決算期データ、金融機関からの借り入れ状況等に関して、どのような経緯を辿った結果、倒産に至ったかというような経緯情報が含まれ、生成部11の人工知能機能の学習に利用されてもよい。企業ではなく個人に関するもので言えば、第二対象者情報には、家計簿情報が含まれてもよい。家計簿情報は、例えばスマートフォンを含む携帯電話のアプリとして提供され、当該アプリを用いて登録された家計簿情報が利用されてもよい。
企業信用情報には、商流情報が含まれてもよい。商流情報には、資本関係の情報や当該企業の顧客に関する情報が含まれてもよい。一例として、このような商流情報は、関連会社に信用できる企業が存在していれば貸し倒れリスク等が低いものとして判断することができるし、グループ会社が上位顧客となっている場合には継続した売り上げを見込めるものとしてニーズ情報又はリスク情報の一要素として利用することができる。
なお、本実施の形態において「一要素として利用する」とは、例えば、採用変数として当該要素を採用するとともに、当該採用変数に対する重みを重くすることを意味している。
第二対象者情報には企業の規模を示す情報や地域毎(都道府県内における地域を含む。)の売り上げを示す地域情報、客層毎の売り上げを示す客層情報が含まれてもよい。企業の地域情報が出力される場合には、特に法人への営業においては有益である。つまり、法人への営業は実際に営業担当者が赴くことが多く、当該法人が存在する地域によって営業担当者の人員を費やすことができるか等が問題となることもあるためである。
第二対象者情報には、例えば企業間電子商取引プラットフォームサービス提供会社によって取得されるB to Bプラットフォーム情報(企業間プラットフォーム情報)等の企業間電子商取引情報、例えば取引明細の売買先、対象物やサービス、金額、取引日付や支払日等が含まれてもよい。
第二対象者情報には、例えばスーパー、コンビニエンスストア、百貨店等の小売店によって取得されるPOS情報、電子マネー情報、カード情報等の商品の購入に関連した商品購入情報が含まれてもよい。
第二対象者情報には、例えば電気会社、ガス会社、水道会社、携帯電話会社によって取得される公共料金の支払情報、携帯電話の支払情報等のサービスの提供を受けたことに伴う支払情報が含まれてもよい。
第二対象者情報には、SNSにおける記載内容やマーケット(株価、為替等)との関連情報(マーケット関連情報)が含まれてもよい。第二対象者情報にマーケット関連情報が含まれる場合には、第二対象者が投資をする際におけるマーケットの情報が含まれてもよく、例えば「A」という対象者は株価が下がったときに投資を行うという情報、逆に「B」という対象者は株価が上がったときに投資を行うという情報が含まれてもよい。また、例えば「C」という対象者は円高になったときに投資を行うという情報、逆に「D」という対象者は円安になったときに投資を行うという情報が含まれてもよい。これらの情報を利用する場合には、対象者が投資を行いそうなタイミングでニーズが高まったものとして、ニーズの格付けを挙げるようにしてもよい。第二対象者情報にSNSにおける記載内容が含まれる場合の一例としては、例えば「E」という対象者は金銭が不足していることを意味する内容をSNSに記載したときに金銭の借り入れを行っているというような情報が第二対象者情報に含まれている場合を挙げることができる。
第一対象者と第二対象者は重複する部分があってもよいし、その全てが重複してもよい。つまり、第一機関によって対象者情報が取得される第一対象者と、第二機関によって対象者情報が取得される第二対象者とが一部又は全部で重複してもよい。但し、このように対象者が重複する場合であっても、第一対象者情報と第二対象者情報の内容は異なるものであってもよい。すなわち、第一機関によって取得される第一対象情報の内容と、第二機関によって取得される第二対象者情報の内容とは異なるものであってもよい。また、例えば情報が一元化されている場合等には、第一対象情報の内容と第二対象者情報の内容とが同じ内容となっていてもよい。
第一対象情報及び第二対象者情報は、属性情報、審査情報、取引情報、その他の情報等を含んでよい。
用いられる属性情報(図3参照)としては、例えば、個人であれば、氏名、性別、生年月日、年齢、住所等を挙げることができ、法人であれば、企業名、商号、設立年月日、営業年数、所在地等を挙げることができる。第一対象者情報及び第二対象者情報の各々が属性情報を含んでもよい。
属性情報は、同一の対象者をまとめて管理するための名寄せ情報を含んでもよい。第一情報が金融機関である場合に関していえば、一つの金融機関に複数の口座を持つことがあり得る。この名寄せ情報を用いることで、複数の口座の名義人を一人の対象者として名寄せし、管理したり後工程の処理で用いたりすることができる。なお、名寄せ情報としては、店番号、CIF番号(Customer Information File番号)、個人名寄せ番号、法人番号等を挙げることができる。また、属性情報には、対象者への最適なアプローチ方法が含まれてもよい。つまり、当該対象者に対してのアプローチにどのような手段、例えばダイレクトメール、テレマーケティング、スマホ、インターネットバンキング等のいずれの方法が有益であるかが含まれていてもよい。
また、属性情報は、対象者の家族に関する情報といった同じ世帯に属する人物の情報を含んでもよい。ここでいう家族には、対象者がローン等の各種申請書に記載した本人以外の人物、同一住所である本人以外の人物、同一電話番号である本人以外の人物等を挙げることができる。同じ世帯に属する人物の情報をまとめることを世帯名寄せということができる。この世帯名寄せによれば、一つの金融機関に複数の口座をある世帯が持つ場合に、当該口座に関する情報を一世帯のものとして名寄せし、その結果を用いてニーズモデルやリスクモデルを作成することができる。
用いられる審査情報(図3参照)は、対象者の借入申し込みに関する情報及び対象者の信用情報のいずれか1つ以上を含んでもよい。より具体的には、審査情報としては、例えば、職業、勤務先、勤務先区分、年収等を挙げることができる。審査情報としては、その他として、融資審査の申込年月、諾否結果等の「融資・ローン申込関連情報」、ブラック情報、債務者区分、債務者格付といった「内部信用情報」、外部から取得する格付情報等の信用情報を含む「外部信用情報」等を挙げることができる。第一対象者情報及び第二対象者情報の各々が属性情報を含んでもよい。
用いられる取引情報(図3参照)は、預金取引情報、貸金取引情報、契約情報、提供するサービスの利用情報及び決済情報のいずれか1つ以上を含んでもよい。より具体的には、金融機関における取引情報としては、例えば、入金、出金、振込、延滞等に関する情報を挙げることができる。金融機関における取引情報には、流動固定別預金残高、入出金明細、入出金摘要欄等の「預金取引情報」、貸金残高、当貸極度額、与信枠、貸金の延滞状況等の「貸金取引情報」、ローン保有有無、カードローン契約有無、ネットバンキングといったサービス利用有無等の「契約情報」・「利用情報」、公振引落不能有無、公振引落金額等の「決済情報」等が含まれてもよい。上述した入出金明細には、入金頻度、入金金額、出金頻度、出金額、振込先、振込金等に関する情報を挙げることができる。第一対象者情報及び第二対象者情報の各々が取引情報を含んでもよい。
また、取引情報には、商品を提供した際の当該対象者の対応(態度)を示す情報(例えばCRMシステムの情報)が含まれてもよい。このような対象者の対応を示す情報は、例えば接客した担当者によって登録されてもよい。担当者は、顧客先を訪問する者であってもよいし、窓口で顧客対応をする者であってもよいし、コールセンターで顧客対応をする者であってもよい。また、対象者の対応を示す情報は、インターネット上のアンケート等から取得されてもよい。また、取引情報には、インターネットでのログイン履歴や視聴・検索履歴情報等のログ情報が含まれてもよい。
用いられるその他の情報(図3参照)としては、ダイレクトメールや電話によるコンタクトを希望するか否か等に関する情報(提案可否情報)を挙げることができる。コンタクトを希望しないということになっている場合には、最初からニーズ情報の作成を行わないか、ニーズ情報を作成するものの商品提供の提案を当該対象者へ行わないようにしてもよい。
対象者は個人であってもよいし法人であってもよい。対象者に関する属性情報等の情報は、店頭、インターネット、電子メール、ダイレクトメール、電話等から取得されたりしてもよいし、金融機関における第一対象情報であればATM等から取得されてもよい。対象者が法人である場合には、上記の他に、訪問して属性情報等の情報が取得されることもある。なお、このようにして取得された属性情報等に対して、当該対象者の審査情報や取引情報等が第一機関制御部60や第二機関制御部160で関連付けられて第一機関記憶部61及び/又は第二機関記憶部161に記憶される。図1に示すように、本実施の形態では、金融機関に第一機関制御部60及び第一機関記憶部61が設けられている態様を用いて説明しているが、これに限られることはなく、第一機関制御部60及び/又は第一機関記憶部61は外部機関に設けられてもよい。同様に、図6に示すように、本実施の形態では、第二機関に第二機関制御部160及び第二機関記憶部161が設けられている態様を用いて説明しているが、これに限られることはなく、第二機関制御部160及び/又は第二機関記憶部161は外部機関に設けられてもよい。
また、第一機関記憶部61及び第一機関制御部60の機能を複数のシステムが担ってもよく、金融機関に第一機関制御部60及び第一機関記憶部61が設けられているという前提では、後述するMCIF、審査システム、稟議システム、基幹系システム、CRMシステム及びEBMシステムのいずれか1つ以上が第一機関記憶部61及び第一機関制御部60の機能を担ってもよい。同様に、第二機関記憶部161及び第二機関制御部160の機能を複数のシステムが担ってもよく、1つ以上のシステムが第二機関記憶部161及び第二機関制御部160の機能を担ってもよい。
また、第一機関及び第二機関の各々には、出力部30から出力された情報が表示される第一機関表示部62(図1参照)及び第二機関表示部162(図6参照)が設けられてもよいし、情報処理装置が装置表示部19(図1及び図6参照)を有してもよい。
金融機関における情報の流れを例にとって説明すると、図2に示すように、対象者から取得された対象者情報に基づき当該対象者に対する金融機関内での審査が行われ、記帳勘定されて、取引情報等として第一機関記憶部61に記憶されることになる。「対象者情報」は、金融機関を利用する顧客データベースであるMCIF(Marketing Customer Information File)、審査システム、稟議システム、基幹系システム等から提供されてもよい。これらMCIF、審査システム、稟議システム、基幹系システム等に上記第一機関制御部60及び第一機関記憶部61が含まれてもよい。
金融機関には、対象者の属性や接触履歴を記録・管理するCRM(Customer Relationship Management)システムと、就職、結婚、住宅購入、退職等の対象者の身に起きた出来事(イベント)を推察し、最適のタイミングでふさわしい商品・サービスを提案するためのEBM(Event Based Marketing)システムとが設けられてもよい(図2参照)。これらCRMシステム及び/又はEBMシステムに、上述した第一機関記憶部61や第一機関制御部60が含まれてもよい。
所定の金融商品としては、個人向けのものとして、カードローン、教育ローン、住宅ローン、カーローン、保険、投資信託等を挙げることができる。他方、法人向けのものとしては、運転資金融資、設備投資融資、保険、運用商品等を挙げることができる。
金融商品等の商品の内容に応じて、ニーズ情報及びリスク情報の作成の有無が決定されてもよい。図3に示す態様は、金融商品を提供する例を用いたものであるが、カードローン新規、カードローン極度増減枠、教育ローン、カーローン、住宅ローン及びその他ローンについて、ニーズモデル及びリスクモデルを生成部11が生成可能となっており、これらに関してはニーズ情報及びリスク情報の両方が作成されるようになっている。他方、保険及び投資信託について、ニーズモデルのみを生成部11が生成するようになっており、これらに関してはニーズ情報のみが作成されリスク情報は作成されないようになっている。なお、図3における「AI」は「artificial intelligence」の頭文字であり、「人工知能」のことを意味している。
生成部11は、異なる商品に対して、異なる採用変数と異なる係数を用いてニーズ情報及びリスク情報を生成するようになってもよい。金融商品に関して一例を挙げるとすると、カードローン、教育ローン、住宅ローン、カーローン、保険、投資信託、運転資金融資、設備投資融資、運用商品といった異なる金融商品に対しては、異なる採用変数と異なる係数が用いられてもよい。図5(a)では、一例として、カードローンにおける採用変数(図中の「Feature」)及び係数(図中の「Gain」)が示され、図5(b)では、別の例として、自動車ローンにおける採用変数(図中の「Feature」)及び係数(図中の「Gain」が示されている。図5(a)と図5(b)とを比較することで、これらカードローン及び自動車ローンにおいて、異なる採用変数と異なる係数が用いられていることを理解できる。
図1に示すように、情報処理装置は、所定のデータを算出する算出部15を有してもよい。この算出部15は、対象者の借入金額、当該借入に際しての金利及び経費情報等を用いて、当該対象者に対する想定収益を算出する機能を有してもよい。また、この機能に加えて又はこの機能に変えて、算出部15は、生成部11で生成される属性情報やリスク情報から、対象者に対する与信可能額及び/又は対象者に対する適用金利を算出する機能を有してもよい。なお、算出部15が上記想定収益を算出する機能を有している場合には、上記借入金額が対象者に対する属性情報やリスク情報に基づいて決定された与信可能額の範囲内で決定され、金利(=適用金利)も属性情報やリスク情報に基づいて決定されてもよい。借入金額や金利が変更された場合には、変更された借入金額及び金利に基づいて、対象者に対するリスク情報が再度生成されてもよい。与信可能額の範囲内とは、与信可能額における最高額であってもよいし、それ未満の任意の額であってもよい。算出部は、複数の額で借入金額を決定して、各借入金額に関して想定収益を算出してもよい。
図1に示すように、情報処理装置は、所定の商品がある対象者によって実際に利用されたか否か(「所定の商品に対して申し込みがあったか否か」を含む。)、又は、ある対象者に金銭を貸し付けた際に実際に貸倒れたかもしくは延滞が発生したか否かを検証する検証部16をさらに有してもよい。このような検証部16が設けられている場合には、生成部11は、予め入力されていた情報に加えて又は代えて、検証部16による検証結果(より正確には、当該ある対象者に対してニーズ情報やリスク情報を生成する前に検証された検証結果)を用いて、ニーズ情報及び/又はリスク情報を生成してもよい。なお、当該「ある対象者」に関する検証部16による検証結果は、当該検証結果が出された後に生成されるニーズ情報及び/又はリスク情報に関して、過去の実績データとして利用されることになる。
情報処理装置は、第一機関が提供する複数の商品(例えば金融商品)の各々に関して、生成部11がニーズ情報及び/又はリスク情報を生成するようになっていてもよい。このようにして生成された複数のニーズ情報及びリスク情報の各々は、出力部30によってリストとして出力されてもよい。図3に示す態様を用いて説明すると、カードローン新規、カードローン極度増減枠、教育ローン、カーローン、住宅ローン及びその他ローンについてのニーズ情報及びリスク情報と、保険及び投資信託についてのニーズ情報とが、出力部30によってリストとして出力されている。
出力されたニーズ情報及びリスク情報は、第一機関又は第二機関に送られ、第一機関の第一機関記憶部61(図1参照)又は第二機関の第二機関記憶部161で記憶されることになる。そして、第一機関のCRMシステムやEBMシステム等(図2参照)又は第二機関のシステムを介して対象者に対する商品の提供が提案される。この提案は、第一機関又は第二機関の担当者に対して行われてもよいし、直接、対象者に対して行われてもよい。第一機関又は第二機関の担当者に対して提案が行われる場合には、第一機関又は第二機関の窓口、コールセンター等や、電子メール、ダイレクトメール等、第一機関が金融機関である場合にはATMやインターネットバンキング等によって、当該担当者から対象者に対して商品の利用が提案されてもよい。他方、上記提案が対象者に対して直接行われる場合には、電子メール、ダイレクトメール等によって、また第一機関が金融機関である場合にはATMやインターネットバンキング等によって、自動的に、対象者に対して商品の利用が提案されてもよい。また、企業間電子商取引情報を活用している対象者に対しては、企業間電子商取引を利用するサイト(例えば対象者のログイン画面)において、オンラインレンディング(オンライン融資)を提案するようにしてもよい。
(一定期間内に)提案の行われた対象者から提案した商品の申し込みがあったか否か、また対象者に金銭を貸し付けた際に実際に貸倒れたかもしくは延滞が発生したか否かについては、例えば金融機関の審査システム、CRMシステム、EBMシステム等や第二機関のシステムで管理され記憶されてもよい。また上記情報(提案の行われた対象者から提案した商品の申し込みがあったか否か、また対象者に金銭を貸し付けた際に実際に貸倒れたかもしくは延滞が発生したか否か)は、第一機関又は第二機関から検証部16へと送られ(図2の「対象者情報」に含まれている。)、検証部16による検証が行われてもよい。このような検証は、随時行われてもよいし、一定期間ごと(例えば1週間ごと、1か月ごと等)にまとめて行われてもよい。検証結果は、装置記憶部20で記憶されることになる。
生成部11はランダムに対象者を選択し、当該対象者に対するニーズ情報及びリスク情報を生成してもよい。その結果は出力部30によって全て出力されてもよいが、一定の要件をクリアーしたものだけが出力部30によって出力されるようにしてもよい。一例としては、出力部30は、ニーズ率、ニーズに関する絶対的な数値等のニーズの値が一定の閾値(ニーズ閾値)以上となっている対象者、及び/又は、リスク率、リスクに関する絶対的な数値等のリスクの値が一定の閾値(リスク閾値)以下となっている対象者のみを出力の対象としていてもよい。特に、ニーズの値がニーズ閾値以上となり、かつ、リスクの値がリスク閾値以下となっている対象者のみが出力の対象とされる態様によれば、オペレータは商品を提供すべき厳選された対象者を一目で確認することができる点で有益である。なお、上記要件を満たして出力の対象となった対象者であっても、コンタクトを希望しない場合には、商品の提供の提案を当該対象者へ行わないようにしてもよい。
算出部15は、対象者の借入金額や口座における残高の推移、対象者に貸付時に適用される適用金利や処理にかかる経費、貸し倒れリスク等や、信用情報、企業間電子商取引情報から、仮に当該対象者に貸付を実行した場合に、どれだけ想定収益を期待できるかも計算してもよい。また、貸倒リスクが第一閾値を超える場合には、算出部15は、適用金利を高く設定し直したり与信金額を小さくしたりし、具体的な適用金利及び/又は与信金額を算出してもよい。逆に、貸倒リスクが第二閾値(なお、第二閾値<第一閾値となっている。)を下回る場合には、算出部15は、適用金利を低く設定し直したり与信金額を大きくしたりし、具体的な適用金利及び/又は与信金額を算出してもよい。適用金利及び/又は与信金額を算出する際には、特定の金利及び/又は金額を算出してもよいし、一定の幅を持った金利及び/又は金額を算出してもよい。
また、第一機関が金融機関である場合であって、金融機関が例えば銀行と保証会社とをグループとして持っている場合には、算出部15は、予想される銀行収益と保証会社収益とからグループとしての収益を算出してもよい。一例としては、貸し付けた金銭の累積残高と、金利から保証料率、調達コスト率、事務コスト率等のコスト率を差し引いた数字(一例として、金利−保証料率−調達コスト率−事務コスト率)とから銀行収益を算出してもよい。また、貸し付けた金銭の累積残高と、保証料率から事務コスト率等のコスト率を差し引いた数字(一例として、保証料率−事務コスト率)と、信用コストとから保証会社の収益を算出してもよい。
算出部15が想定収益を算出する機能を有する場合には、期待される想定収益を計算し、与信した場合の期待収益率及び期待収益額が出力されてもよい(図3参照)。
生成部11は、名寄せされた対象者又は当該対象者の属する世帯に基づき、属性情報、審査情報及び取引情報から生成される採用変数と、採用変数に対する係数とを用いて、ニーズ情報及リスク情報を対象者毎に「リスト」として生成し、当該「リスト」を出力部30が出力してもよい。この際には、複数の商品(例えば金融商品)に対するニーズ情報及びリスク情報を「リスト」として生成し、当該「リスト」を出力部30が出力してもよい(図4参照)。このように「リスト」にすることで、対象者にどの商品を提案すべきかをオペレータが一目で確認できる。
図4に示すように、ニーズ情報としては例えばニーズ率及びニーズ格付が出力されてもよい。リスク情報としては例えばリスク率及びリスク格付が出力されてもよい。また、ニーズ率及びリスク率は「%」で示されてもよいが、一目でわかるにグラフ形式で示されてもよい(図9参照)。なお、ニーズ格付及びリスク格付は該当する対象者がどの格付けにあるかを容易に認識できるように付されているものである。また、算出部15が与信可能額及び適用金利を算出する場合には、図4に示すように、これら与信可能額及び適用金利もリストとして出力されてもよい。図4に示す態様では、対象者毎かつ金融商品毎に、ニーズ率及びニーズ格付、リスク率及びリスク格付、並びに、与信可能額(図4では「事前与信額」として示されている。)及び適用金利(図4では「適用利率」として示されている。)が示されている。
生成部11は、「複数」の金融機関における属性情報、審査情報及び取引情報のいずれか1つ以上から採用変数及び当該採用変数に対する係数を生成し、当該採用変数及び当該係数を用いて、ニーズ情報及び/又はリスク情報を生成するようになっていてもよい。この際には、系列関係にある金融機関だけではなく、何ら資本関係のない金融機関が保有している情報が互いに利用されるようになってもよい。
《方法》
本実施の形態の情報処理装置がニーズ情報及び/又はリスク情報を生成し出力する際には、一例として、以下の工程を経ることになる。なお、上記と重複することになるので簡単に説明するに留めるが、上記「構成」で述べた全ての態様を「方法」において適用することができる。また、以下で示す情報処理方法を実行させるためのプログラムが提供されてもよい。このようなプログラムは、記録媒体に記録されてもよく、当該記録媒体をPC等の装置に接続することで、以下で示すような情報処理方法が当該装置によって実行されることになる。
生成部11によって、複数の第一対象者に関する第一対象者情報及び/又は複数の第二対象者に関する第二対象者情報を用いて、対象者に対するニーズ情報及び/又はリスク情報が生成される。この際、複数の第一対象者に関する第一対象者情報及び/又は複数の第二対象者に関する第二対象者情報を用いて採用変数及び当該採用変数に対する係数が生成されてもよい。また、採用変数及び係数は過去の実績データに基づき生成部11によって決定されてもよい。
そして、生成部11により生成された情報が出力部30によって出力される。
そして、出力された情報に基づき、対象者に対して、金融商品等の商品の提供が提案される。
なお、所定の商品が対象者によって実際に利用されたか否か、又は、対象者に金銭を貸し付けた際に実際に貸倒れたかもしくは延滞が発生したか否かといった結果が検証部16によって検証されてもよい。そして、この検証部16による検証結果も用いて、それ以降のニーズ情報及び/又はリスク情報が生成されてもよい。
《作用・効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による作用・効果であって、未だ説明していないものを中心に説明する。なお、「作用・効果」で述べるあらゆる構成は、本実施の形態の構成として利用することができる。
本実施の形態において、生成部11が、複数の対象者に対する複数の対象者情報と、当該複数の対象者に対する過去の実績データを用いて、ある対象者が所定の商品を利用する可能性に関するニーズ情報又はある対象者に金銭を貸し付けた際のリスク情報を生成する場合であって、生成部が、ある対象者を選択し、当該ある対象者に対するニーズ情報又はリスク情報を生成する態様を採用した場合には、生成部11によって「ある対象者」に対するニーズ情報又はリスク情報が生成される。このため、当該「ある対象者」に対して、商品を提供することで見込まれる成功率をニーズ情報から予め把握することができるし、また商品を提供することで見込まれるリスクをリスク情報から予め把握することができる。この結果、企業の担当者は生成された情報に基づいて営業を行うことができ、営業効率を高めることができる。一例としては、生成部11で生成され、出力部30で出力された複数の「ある対象者」のうち、ニーズが高くリスクの低い顧客(新規顧客を含む。)に対して、企業の担当者が営業をかけることが考えられる。
「ある対象者」は、対象者情報の元になった対象者に含まれていてもよいし含まれていなくてもよい。より具体的には、第一対象者情報に基づいてニーズ情報又はリスク情報を出力する際に、第一対象者に対するニーズ情報又はリスク情報を生成して出力してもよいし、(第一対象者に含まれない)第二対象者に対するニーズ情報又はリスク情報を生成して出力してもよい。逆に、第二対象者情報に基づいてニーズ情報又はリスク情報を出力する際に、第二対象者に対するニーズ情報又はリスク情報を生成して出力してもよいし、(第二対象者に含まれない)第一対象者に対するニーズ情報又はリスク情報を生成して出力してもよい。
第一対象者情報から第二対象者に含まれる「ある対象者」に対するニーズ情報又はリスク情報を提供する場合には、以下に示すような態様を採用することが考えられる。まず、第一対象者であり、かつ、第二対象者である対象者に対する過去のデータに基づいてモデルを作成する(例えば採用変数及び係数を決定する)。このことによって、生成部11は第一対象者情報と第二対象者情報の相関関係等の関連を学習でき、第二対象者情報だけからもニーズ情報又はリスク情報を生成することができるようになる。その結果、生成部11は、第二対象者情報に基づき(もちろん第一対象者情報を利用してもよい。)、第二対象者に含まれる「ある対象者」に対するニーズ情報又はリスク情報を提供することができるようになる。第二対象者情報から第一対象者に含まれる「ある対象者」に対するニーズ情報又はリスク情報を提供する場合にも、同様の態様を採用することが考えられる。つまり、まず、第二対象者であり、かつ、第一対象者である対象者に対する過去のデータに基づいてモデルを作成する(例えば採用変数及び係数を決定する)。このことによって、生成部11は第二対象者情報と第一対象者情報の相関関係等の関連を学習でき、第一対象者情報だけからもニーズ情報又はリスク情報を生成することができるようになる。その結果、生成部11は、第一対象者情報に基づき(もちろん第二対象者情報を利用してもよい。)、第一対象者に含まれる「ある対象者」に対するニーズ情報又はリスク情報を提供することができるようになる。
生成部11が、複数のある対象者を選択し、当該複数のある対象者に対するニーズ情報又はリスク情報を生成して出力する態様を採用した場合には、複数のある対象者(任意の対象者)に対して、ニーズ情報又はリスク情報を提供できる。
人工知能機能を有する生成部11が、対象者の属性情報、対象者に関する審査情報及び対象者の機関における取引情報のいずれか1つ以上と、過去の実績データとを用いて、顧客又は新規顧客(=ある対象者)に対するニーズ情報及び/又はリスク情報を生成して出力する場合には、客観的なデータに基づいてニーズ情報及び/又はリスク情報を出力できる。なお、採用変数及び採用変数に対する係数を用いる場合には、過去の実績データに基づき採用変数及び係数が決定されてもよい。
生成部11が、属性情報、審査情報及び取引情報を用いてニーズ情報及び/又はリスク情報を生成することができるので、より精度の高いニーズ情報及び/又はリスク情報を出力できる。なお、対象者に関して、存在しない情報(例えば審査情報)がある場合には、その情報は存在しないものとして処理される。
第一機関が金融機関である場合において、対象者情報が取得される対象者に、金融機関によって対象者情報が取得される第一対象者及び金融機関以外によって対象者情報が取得される第二対象者が含まれる態様を採用した場合には、金融機関によって取得される第一対象者情報だけではなく、金融機関以外の第二機関によって取得される第二対象者情報を用いて、ニーズ情報又はリスク情報を提供できる点で有益である。
また、金融機関が本実施の形態による情報処理装置又は情報処理方法を利用する場合であって、ニーズ情報又はリスク情報が生成される対象者(ある対象者)に第二対象者が含まれる態様を採用した場合には、生成されたニーズ情報又はリスク情報を用いて、当該金融機関を利用していない個人及び/又は法人に対して適切な商品(例えば金融商品)を提供することを期待できる。このため、金融機関は新規な優良な顧客(新規顧客)を効率よく開拓することを期待できる点で有益である。
また、金融機関以外の第二機関が本実施の形態による情報処理装置又は情報処理方法を利用する場合であって、ニーズ情報又はリスク情報が生成される対象者(ある対象者)に第一対象者が含まれる態様を採用した場合には、生成されたニーズ情報又はリスク情報を用いて、当該第二機関を利用していない個人及び法人に対して商品の提供を提案するか検討することができる。このため、第二機関は新規な優良な顧客(新規顧客)を効率よく開拓することを期待できる点で有益である。
また、金融機関と金融機関以外の第二機関の両者が本実施の形態による情報処理装置又は情報処理方法を利用する場合であって、ニーズ情報又はリスク情報が生成される対象者(ある対象者)に第一対象者及び第二対象者が含まれる態様を採用した場合には、金融機関は既存の顧客(第一対象者)に対して適切な商品を提供できるだけではなく、新規な優良な顧客(新規顧客)に対して適切な商品を提供して新規顧客を効率よく開拓することを期待でき、また第二機関は既存の顧客(第二対象者)に対して適切な商品を提供できるだけではなく、新規な優良な顧客(新規顧客)に対して適切な商品を提供して新規顧客を効率よく開拓することを期待できる。
なお、図10では、短期借入ニーズモデルと倒産予想モデルを用いて、ニーズが高くリスクの低い顧客(新規顧客を含む。)を選定する際の態様を模式的に示した図が示されている。図10では、マトリックス内に具体的な対象者(対象企業を含む。)が示されており、左上の欄に示されている顧客に対して営業をかけることが有益であることが示されている。このように異なる2つ以上のモデル(プレモデル)(図10に示す態様ではリスク情報に関するプレモデルとニーズ情報に関するプレモデル)を生成部11が生成し、さらに生成部11がこれらのモデル(プレモデル)を用いてニーズ情報又はリスク情報を生成するようにしてもよい。このような態様を採用した場合には、プレモデルにおける情報も活用することができる点で有益である。
生成部11で生成された情報に基づいて、出力部30は、優良な新規顧客が存在する、地域、業種、企業規模等を出力してもよい。このような態様を採用した場合には、商品を提供すべき対象者を担当者が把握することができ、営業をかけるべき対象者を絞り込むことができる点で有益である。図9に示す態様では、業種と企業規模を示す年商が表示される態様が示されている。
また、本実施の形態による情報処理装置又は情報処理方法を利用する者が例えば地方の金融機関である場合には、出力部30から出力される情報に関して、地域を条件に加えることで、当該地方の金融機関の営業エリアにおける対象者に絞ったデータを出力するようにしてもよい。この場合には、当該データが第一機関表示部62及び/又は第二機関表示部162で表示されてもよいし、装置表示部19で表示されてもよい。このような態様によれば、地理的な要素を加味しつつ、営業をかけるべき対象者を絞ることができる点でも有益である。図8に示す例では、東部地域に優良な新規顧客(図8における「有望顧客」)が多いことから、東部地域で営業を重点的に行い、その後で西部地域で営業を重点的に行うというような全体的な営業戦略を立てることもできる。
出力部30は、利用者と対象者との間に既存の取引があるかどうかを分けて出力できるようにしてもよい。このように出力された内容は、第一機関表示部62及び/又は第二機関表示部162で表示されてもよい。図9に示す態様では、新規顧客(未取引)と既存顧客(取引先)とを区別したうえで、ニーズ情報であるニーズ格付とリスク情報でわるリスク格付を表示部19,62,162で表示するようになっている。
第二対象者情報が取引先情報や信用情報を含む場合には、図9に示すようにメイン取引先(図9では「メインバンク」として示している。)を把握することも期待できる。このため、第一機関が金融機関である場合には、出力されたニーズ情報及びリスク情報だけではなく、メインバンクがどこであるかも加味しつつ、営業戦略を立てることができる。また、どのバンクがメインバンクの場合に、過去の営業が成功したかというデータにも基づいて、ニーズ情報を生成してもよい。つまり、ニーズ情報を生成する際の一要素として、メインバンク情報が利用されてもよい。
検索部が設けられ、生成部11で生成された情報は検索可能となってもよい。検索部を利用してデータを検索する場合には、地域、売上高、ニーズ情報の順位(上位10位以上等)、商品の種類等を入力することで検索できるようになってもよい。このような態様を採用した場合には、必要な情報だけを出力部30から出力させることができる点で有益である。なお、検索部は、第一機関に設けられてもよいし(図1の「第一機関検索部67」参照)、第二機関に設けられてもよいし(図6の「第二機関検索部167」参照)、第一機関及び第二機関に設けられてもよい。また、検索部は、第一機関及び/又は第二機関に設けられることに加えて又は設けられることに変えて、装置検索部17として外部機関に設けられてもよい(図1、図6及び図7では「検索部」として示されている。)。
第二対象者情報が信用情報を含む場合には、信用情報も取り込んでリスク情報及びニーズ情報を提供できる。例えば、信用性が一定程度で下がった場合には金銭の貸し付けを含む金融商品を利用するニーズが上がることをニーズ情報の一要素として利用し、信用性が下がり過ぎた場合には貸し倒れのリスクが高いものとしてリスク情報の一要素として利用することが考えられる。
特に企業信用情報は膨大な量で存在している。このため、このような企業信用情報を利用することで、ニーズ情報及びリスク情報の精度を特段に高めることができる。また、このように企業信用情報が膨大な量で存在していることから、例えば国内に存在している又はある特定地域に存在している企業の概ねをカバーした情報に基づき、企業毎(対象者毎)のニーズ情報又はリスク情報を生成することができる。このため、より多くの潜在的な優良顧客、例えば高いニーズが見込め、かつ、リスクの低い顧客を発掘することを期待できる点で有益である。また、企業信用情報が倒産情報を含む場合には、実際に倒産した経緯、傾向、兆候、倒産原因、形態、負債総額、倒産年月日、取引銀行、業種、代表者氏名等を加味したうえで、生成部11の人工知能機能によってリスク情報を生成することができ、精度を高めることができる点で有益である。
また、企業信用情報は、対象者(対象企業)に調査員が赴いて対象企業の調査を行うことで得られることがある。このようにして企業信用情報を生成している場合には、例えば対象企業の代表者に後継者がいるのか、対象企業は活気があるのか等についての情報を得ることも期待できる。このような企業信用情報を生成部11が利用することで、一般的に把握できるデータに加えて、より現場での情報も反映させることができ、信用性の高いニーズ情報やリスク情報等を提供できる。なお、企業信用情報には、対象企業の代表者又は役員の最終学歴等も含まれることもある。
第二対象者情報が会計情報を含む場合には、借入金の増減や現金の増減等を反映させることができ、ニーズ情報及びリスク情報の精度を高めることができる。例えば、現金が一定程度増加した場合には投資を含む金融商品を利用するニーズが上がり、借入金が一定程度増加した場合には貸付を含む金融商品を利用するニーズが上がることをニーズ情報の一要素として利用し、借入金が多くなり過ぎた場合には貸し倒れのリスクが高いものとしてリスク情報の一要素として利用することが考えられる。また、会計情報を利用することで、余剰資金の存在、売上高の推移等の全体的な情報を利用することができる点で有益である。つまり、金融機関における取引情報等だけでは、実際の金銭の流れを見ることができるものの、あくまでも金融機関を経由した金銭の流れしか見て取れない。他方、財務諸表や決算期データを含む会計情報を利用する場合には、よりマクロな観点からの情報(例えば売上高の推移、純利益の推移、保有する有価証券の額等を含む情報)を取得でき、高い精度のニーズ情報又はリスク情報を得ることができる点で有益である。
第二対象者情報が支払情報を含む場合には、例えば支払の延滞が発生しているかどうか等を貸付を含む金融商品におけるリスク情報の一要素として利用してもよいし、例えば遅延料金が軽微な場合やすぐに解消される場合には貸付を含む金融商品におけるニーズ情報の一要素として利用してもよい。
第二対象者情報が商品購入情報を含む場合には、例えば高額商品を連続して購入している情報、高額商品を購入してしばらく一定程度の期間が経過している情報等を投資を含む金融商品におけるニーズ情報の一要素として利用してもよいし、例えば少額商品を購入し続けているというような情報を貸付を含む金融商品におけるリスク情報の一要素として利用してもよい。
第二対象者情報が企業間電子商取引情報を含む場合には、例えば製品が売れており売り上げが上がっているという情報を財務諸表や決算期データが作成又は発行される前に、場合によってはリアルタイムで把握することができる。また、第二対象者情報が企業間電子商取引情報を含む場合には、例えば売掛金が発生してから払い込みまでの期間を把握することもでき、運転資金が不足しているタイミングを、場合によってはリアルタイムで把握することができる。このように第二対象者情報が企業間電子商取引情報を含む場合には、企業間取引を迅速にピックアップし、ピックアップされた情報に基づいて、ニーズ情報又はリスク情報を生成できる点で有益である。ニーズ情報に関しては、タイミングを逃すと当該ニーズがなくなってしまうこともあることから、このように迅速に企業間取引を把握し、その結果としてニーズ情報を生成できることは、非常に有益である。また、第二対象者情報が企業間電子商取引情報を含む場合には、その他、高額な投資を行っている情報、高額な投資を行ってから一定程度の期間が経過している情報等を把握することもできる。このような企業間電子商取引情報における情報は、ニーズ情報又はリスク情報の一要素として利用されてもよい。
装置検索部17が自動的に適宜なタイミングで検索をかけ、その結果を出力部30が出力して、装置表示部19、第一機関表示部62及び/又は第二機関表示部162に表示可能としてもよい。このような態様を採用することで、自動的に最新情報を表示させることができる点で有益である。とりわけ、リアルタイムで状況が変化する場合、例えば企業間電子商取引情報やマーケット関連情報等を利用する場合には、このような態様を採用することによる大きな効果を期待できる。
特に、第一対象者が金融機関の既存顧客であって、第二対象者情報が企業信用情報及び企業間電子商取引情報を含む場合には、企業をターゲットとした顧客の開拓には有益である。金融機関が融資先を選定する際には、リスク情報が重要な一要素となる。このリスク情報をより精度よく把握するためには、第二対象者情報が企業信用情報を含んでいる態様を採用することが好ましい。他方、金融機関が融資先を効率よく選定する際には、ニーズ情報が重要な情報となるが、第二対象者情報が企業間電子商取引情報を含んでいる態様を採用することで、早いタイミングで売掛金や決済条件等を把握することができるので、ニーズの発生を迅速に把握することができ、適切なタイミングで金融商品を提案できることを期待でききる点で有益である。
属性情報が、同一の対象者をまとめて管理するための名寄せ情報を含む場合には、仮に複数の口座等を対象者が持っている場合であっても、それらを一人の対象者として管理し、情報を収集することができる。このため、より多くの情報に基づきニーズ情報及び/又はリスク情報を生成することができるので、より精度の高いニーズ情報及び/又はリスク情報を出力できる。
属性情報が、対象者の家族といった世帯に関する情報を含む場合には、同一世帯における情報に基づきニーズ情報及び/又はリスク情報を生成することができるので、より精度の高いニーズ情報及び/又はリスク情報を出力できる。なお、このように家族に関する情報を用いる場合には、対象者個人の情報に基づきニーズ情報及び/又はリスク情報を生成するとともに、対象者の家族の情報に基づきニーズ情報及び/又はリスク情報を生成してもよい。このような態様によれば、2つのパターンのニーズ情報及び/又はリスク情報に基づいた結果を出力できる。
取引情報は、預金取引情報、貸金取引情報、第一機関及び/又は第二機関との契約情報、第一機関及び/又は第二機関の提供するサービスの利用情報又は決済情報を含んでいるが、多くの種類の情報から適宜選択することで、より精度の高いニーズ情報及び/又はリスク情報を出力できる。
審査情報は、例えば金融機関に対する対象者の借入申し込みに関する情報又は対象者の信用情報を含んでいるが、多くの種類の情報から適宜選択することで、より精度の高いニーズ情報及び/又はリスク情報を出力できる。
なお、一般には情報量が多いほど精度の高いニーズ情報及び/又はリスク情報を得ることを期待できるが、情報量が多すぎると処理に時間がかかったり、重要でない情報も取り込まれてしまったりする可能性もあることから、一定程度の歯止めが必要であることには留意が必要である。
生成部11の人工知能機能が、異なる商品(例えば金融商品)に対して、異なる採用変数と異なる係数を用いてニーズ情報及び/又はリスク情報を生成する場合には、商品に応じたより適切な採用変数と係数を用いることができる。このため、より精度の高いニーズ情報及び/又はリスク情報を出力できる。金融商品に関する情報を提供する場合には、短期貸付についての情報を中心に出力してもよい。
短期貸付は、長期貸付と比較して頻繁にニーズが発生することを期待できることから、金融商品を売り込んで新規顧客を獲得したり、既存顧客であってもタイムリーなタイミングで金融商品を売り込んで信用をさらに勝ち得たりすることを期待できる点で、短期貸付についてニーズ情報又はリスク情報を生成し出力することは有益である。
第一機関が金融機関である場合において、対象者の借入金額、当該借入に際しての金利及び経費情報等を用いて算出部15が収益を算出する場合には、オペレータは、収益に関する情報も取得することができ、得られた収益に関する情報に基づき、金融商品を提供するか否かを判断できる。また、上記借入金額が当該対象者に対するリスク情報に基づいて決定された与信可能額の範囲内で決定され、金利(=適用金利)も当該対象者に対するリスク情報に基づいて決定される場合には、適切にカスタマイズされた金融商品を提供するとともに、適切な範囲の収益確保を期待できる。
また、算出部15が生成部11で生成されるリスク情報から、対象者に対する与信可能額及び/又は対象者に対する適用金利を算出する場合には、当該与信可能額及び/又は適用金利に基づき当該対象者に対して金融商品を提供することを提案できる。このため、やはり、適切にカスタマイズされた金融商品を提供するとともに、適切な範囲の収益確保を期待できる。
生成部11が、複数の商品(例えば金融商品)の各々に関して、ニーズ情報及び/又はリスク情報を生成して出力する場合には、オペレータは出力された商品の各々に関してのニーズ情報及び/又はリスク情報を把握することができ、どの商品の提供を提案すべきかを比較して判断できる。
第一機関が金融機関である場合において、生成部11が、一つの金融機関の情報に限られず、複数の金融機関における属性情報、審査情報及び取引情報のいずれか1つ以上から採用変数及び当該採用変数に対する係数を生成し、当該採用変数及び当該係数を用いて、ニーズ情報及び/又はリスク情報を生成する場合には、当該対象者についてのより広範かつ全体的な情報に基づきニーズ情報及び/又はリスク情報を生成することができるので、さらに精度の高いニーズ情報及び/又はリスク情報を出力できる。
検証部16が、所定の商品が対象者によって実際に利用されたか否か、又は、対象者に金銭を貸し付けた際に実際に貸倒れたかもしくは延滞が発生したか否かを検証する場合には、随時更新される検証結果を過去の実績データとして用いることができるので、より信頼度の高い情報に基づきニーズ情報及び/又はリスク情報を生成し出力できる。前述したように、一定期間内(例えば2年以内)のデータのみに基づいてニーズ情報及びリスク情報を生成してもよく、この場合には、時代の流れに沿った正確性の高いニーズ情報及び/又はリスク情報を生成して出力することができる。
ちなみに、カードローンのニーズ率が高くなる場合としては、預金残高が少ない場合、少額での出金が多い場合等を挙げることができる。教育ローンのニーズ率が高くなる場合としては、振込口座に「中学」「高校」の文字が含まれている場合、世帯名寄せによって対象者に教育ローンが必要になりそうな年齢の子供がいることが分かっている場合等を挙げることができる。住宅ローンのニーズ率が高くなる場合としては、現時点で高い金利の住宅ローンを支払っている場合等を挙げることができる。
最後になったが、上述した実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。例えば、ニーズ情報やリスク情報以外の情報を提供するものであっても、本願における情報処理装置に該当することになる。また、当然ながら、出願当初の特許請求の範囲の記載は本件特許明細書の範囲内で適宜変更することもでき、その範囲を拡張することもできる。