JP6409832B2 - 水焼入れ装置、連続焼鈍設備、及び鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼板の冷却速度を略一定に保つことのできる水焼入れ装置、該水焼入れ装置を備えた連続焼鈍設備、及び該水焼入れ装置を用いることによって、機械的特性のばらつきを抑えた鋼板を製造することのできる鋼板の製造方法に関する。
冷間圧延によって硬化した鋼板を軟化させるために、焼鈍が行われる。焼鈍は、鋼板を加熱、均熱、及び冷却する工程を有している。鋼種によっては、焼鈍の冷却工程で、ラインタンクに収容された水中に鋼板を浸漬させ、鋼板の急速冷却を行う水焼入れを行うことがある。
水焼入れによる鋼板の急速冷却は、ハイテンと称される引張強度の大きい高強度冷延鋼板において特に重要である。冷却速度を速くすることにより、フェライト相の他に、マルテンサイトやベイナイト等の硬質な組織が生成される。これにより、特殊な合金元素を添加せずとも鋼板の高強度化が可能となる。
鋼板を強度化すればするほど、所望の機械的特性を得るために、鋼板における生成組織の変動を抑える必要がある。しかし、鋼板の僅かな冷却速度の違いによって生成組織が変動してしまうことから、組織変動をコントロールすることは難しいという問題がある。このように、鋼板の機械的特性は、焼鈍時の冷却条件によって大きく影響を受けることが知られている。
機械的特性のばらつきを小さくすることが特に求められている鋼板として、自動車用の高強度冷延鋼板が挙げられる。自動車用の高強度冷延鋼板は、自動車製造の過程で複雑な形状にプレス加工される。鋼板毎の僅かな機械的特性のばらつきによって、プレス加工後の製品には大きな寸法変動が生じてしまうことになる。厳密な寸法制御を行うために、自動車用の高強度冷延鋼板では、機械的特性のばらつきを抑えることが求められる。
従来、同じ組成の鋼種を用いて、同じ連続焼鈍ラインで高強度冷延鋼板を製造したとしても、鋼板毎に機械的特性のばらつき、特に引張強度のばらつきが発生している。
特開2005−240077号公報
本発明者らの検討によると、鋼板の引張強度のばらつきは、季節や昼夜の時間帯等によって変動することが見出された。季節や時間帯によって大気温が変動することにより、特に水焼入れ水槽内の冷却水温が変動する。従来、冷却水の季節等による温度変動の幅はせいぜい十数度に過ぎず、冷却水の僅かな温度変動が鋼板の機械的特性へもたらす影響は僅かであると考えるのが技術常識であった。本発明者が鋭意検討した結果、冷却水の季節等による温度変動を小さくすることにより、鋼板の機械的特性のばらつきを小さくすることができることを見出し、本発明を想到した。
尚、水焼入れ時の鋼板の冷却速度のばらつきを抑える技術を開示した文献として、特許文献1が挙げられる。特許文献1には、焼入れ後の鋼板の反りのバラツキを抑えるという課題を解決するために、水焼入れ水槽に供給される水の水温を略一定値、特に50℃±5℃の範囲内にすることが開示されている(特許文献1の0020段落、0027段落、及び0029段落)。
本発明者らの検討によると、特許文献1のように50℃±5℃内という冷却水温で水焼入れを行うと、鋼板の反りは有効に抑えられるものの、特に高強度冷延鋼板を製造する際に延性が低下しすぎてしまうという問題があることが見出された。
さらに、本発明者らの検討によると、水焼入れ水槽へ供給される冷却水の温度を一定に保ったとしても、水焼入れ水槽内の季節等による冷却水温の変動を抑えられないことが見出された。
本発明は、上記の問題に鑑みて完成されたものであり、季節及び時間帯等による水焼入れ水槽(以下、「ラインタンク」とも称される。)内における冷却水温の変動を小さくすることにより、鋼板の冷却速度の変動を抑えることのできる水焼入れ装置、該水焼入れ装置を備えた連続焼鈍設備、及び該水焼入れ装置を用いることにより、機械的特性のばらつきを抑えた鋼板を製造することのできる鋼板の製造方法を提供することをその課題とする。
本発明の手段は、次の通りである。
[1]連続焼鈍に用いられる水焼入れ装置であって、鋼板が浸漬される冷却水を収容するラインタンクと、前記ラインタンクに収容された冷却水の一部を抜き出して冷却し、冷却後の冷却水を前記ラインタンクへ供給する冷却水供給設備と、ラインタンクに収容された冷却水の水温を測定する冷却水温測定器と、前記冷却水温測定器によるラインタンク内の冷却水の水温測定結果に基づき、ラインタンク内の冷却水の水温がT℃±A℃内となるように、前記冷却水供給設備の運転を制御する制御装置と、を有し、前記A℃は、0℃超10℃以下とすることを特徴とする水焼入れ装置。
[2]連続焼鈍に用いられる水焼入れ装置であって、鋼板が浸漬される冷却水を収容するラインタンクと、前記ラインタンクに収容された冷却水の一部を抜き出して冷却し、冷却後の冷却水を前記ラインタンクへ供給する冷却水供給設備と、ラインタンクに収容された冷却水の水温を測定する冷却水温測定器と、前記冷却水温測定器によるラインタンク内の冷却水の水温測定結果に基づき、ラインタンク内の冷却水の水温がT℃±A℃内となるように、前記冷却水供給設備の運転を制御する制御装置と、を有し、前記A℃は、得られる鋼板の引張強度の最大値と最小値との差が、目標引張強度の12%以下となる温度とすることを特徴とする水焼入れ装置。
[3]前記制御装置は、前記冷却水温測定器によるラインタンク内の冷却水の水温測定結果に基づき、ラインタンク内の冷却水の水温がT℃±5℃内となるように、前記冷却水供給設備の運転を制御することを特徴とする[1]又は[2]に記載の水焼入れ装置。
[4]前記T℃を、10℃以上50℃以下とすることを特徴とする[1]から[3]までのいずれか一つに記載の水焼入れ装置。
[5]前記T℃を、30℃とすることを特徴とする[4]に記載の水焼入れ装置。
[6]前記冷却水供給設備は、冷却水を冷却する冷却塔を有し、前記制御装置は、前記冷却塔における冷却水の流入量及び流出量を制御することを特徴とする[1]から[5]までのいずれか一つに記載の水焼入れ装置。
[7]前記制御装置は、ラインタンクにおける冷却水の流入量及び流出量を制御することを特徴とする[1]から[6]までのいずれか一つに記載の水焼入れ装置。
[8]前記冷却水供給設備と前記ラインタンクとの間に、異物除去装置が設けられることを特徴とする[1]から[7]までのいずれか一つに記載の水焼入れ装置。
[9][1]から[8]までのいずれか一つに記載の水焼入れ装置を備えたことを特徴とする連続焼鈍設備。
[10][1]から[8]までのいずれか一つに記載の水焼入れ装置を用いて行われる鋼板の製造方法であって、ラインタンク内の水温がT℃±A℃の範囲内に維持された冷却水中に、鋼板を浸漬させる水焼入れ工程を備えることを特徴とする鋼板の製造方法。
[11]前記鋼板は、580Pa以上の引張強度を有する高強度冷延鋼板であることを特徴とする[10]に記載の鋼板の製造方法。
本発明の水焼入れ装置を用いることにより、季節及び時間帯等による気温変化に関わらず、ラインタンクに収容された冷却水の温度を基準温度(T℃)±A℃の範囲内に保つことができる。これにより、水焼入れ時における鋼板の冷却速度の変動を抑え、得られる鋼板の機械的特性のばらつきを抑えることができる。
さらに、本発明の水焼入れ装置では、ラインタンクに収容された冷却水の温度を、30℃を基準として±5℃の範囲内に維持することによって、引張強度のばらつきをより小さくすることができるとともに、所望の高引張強度を有しかつ延性の低下を防止した高強度冷延鋼板を製造することができる。なお、冷却水の基準温度(T℃)の最適例として設定した30℃は、夏場及び冬場で共通して冷却水の温度範囲を±5℃に制御するために必要となる本発明に係る設備を、最も安価に製造しうる値である。即ち、基準温度が30℃よりも高くなると、冬場に循環する冷却水の温度を高くするための加熱装置が更に必要となる一方で、基準温度が30℃よりも低くなると、夏場に循環する冷却水の温度を低くするための冷却装置が更に必要となり、本発明の水焼入れ装置に係る設備がコスト高となってしまう。尚、水焼入れ装置に係る設備のコストを抑えるという観点から、基準温度(T℃)の範囲の好適例として、10℃以上50℃以下が挙げられ、更なる好適例として20℃以上40℃以下が挙げられる。
また、本発明の他の態様では、異物除去装置を用いることで、異物がラインタンク内に持ち込まれることを防止することができる。これにより、水焼入れ時に鋼板の表面に異物が付着することによる、製品表面の凹疵の発生を防止することができる。特に、高付加価値を有する高強度冷延鋼板では、凹疵の発生を防止することによって、顕著に歩留まりを向上させることができる。
図1は、本発明の水焼入れ装置のフロー図である。 図2は、連続焼鈍における鋼板の熱処理パターンである。 図3は、連続焼鈍設備を示す説明図である。 図4は、本発明例1及び比較例1の結果における、冷却水温と鋼板の引張強度との関係を示すグラフである。 図5は、本発明例2及び比較例2の結果における、冷却水温と鋼板の引張強度との関係を示すグラフである。 図6は、本発明例3及び比較例3の結果における、冷却水温と鋼板の引張強度との関係を示すグラフである。 図7は、本発明例4及び比較例4の結果における、冷却水温と鋼板の引張強度との関係を示すグラフである。
まず、図2及び図3を用いて、連続焼鈍設備について説明する。
図3では、右から左に通板されながら焼鈍が行われる。鋼板は、(1)予熱帯、(2)加熱帯、(3)均熱帯、(4)予備冷却帯、(5)水焼入れ帯、(6)焼戻し帯、(7)過時効帯、及び(8)冷却帯へと順番に通板される。これら(1)〜(8)の各帯における時間と温度との関係が図2(a)において示される。尚、図2で示される温度は典型例であって、この例に限定されるものではない。
図2を用いて温度条件について説明する。まず、(1)予熱帯において鋼板は300℃まで加熱される。次に、(2)加熱帯において鋼板は700℃まで加熱される。その後、(3)均熱帯において、鋼板の温度は800℃まで昇温され、800℃で一定時間保持される。(4)予備冷却帯において、鋼板はガスジェット等を用いて650℃まで降温される。その後、(5)水焼入れ帯において、鋼板は図3で示されるラインタンク3に収容された冷却水中に浸漬されることにより急速に冷却される。水焼入れ後には、(6)焼き戻し帯にて、誘導加熱装置等を用いて200℃付近まで焼き戻しがされ、(7)過時効帯で一定時間保持された後に、(8)冷却帯において冷却されることにより常温付近の鋼板が得られる。
図2(b)では、(5)水焼入れ帯において鋼板温度が急速に冷却する際の温度と時間との関係を拡大図により示す。水焼入れ帯において、最終的に鋼板はラインタンク3に収容された冷却水温と同程度の温度となる。図中の白丸で示すのは、ラインタンク内の冷却水の水温が30℃程度となる夏場での従来例である。図中の四角で示すのは、ラインタンク内の冷却水の水温が15℃程度となる冬場での従来例である。夏場と冬場とでは、冷却水温の差に起因して、鋼板が冷却水温と同程度の温度まで冷却される速度が異なる。図中の四角で示す冬場は、図中の白丸で示す夏場に比べて、直線の傾きが大きく、鋼板の冷却速度が大きいことが示されている。僅かな冷却水温の差であっても、鋼板の冷却速度が異なることによって生成組織が異なり、得られる鋼板の機械的特性にばらつきが生じうる。
次に、図1を用いて、本発明の水焼入れ装置に用いられる冷却水のフローについて説明する。尚、図1において、冷却水のフローは実線で示される。
まず、ラインタンク3に収容された冷却水中に、鋼板1が浸漬されることで、鋼板1の水焼入れが行われる。上述したように、水焼入れ直前の鋼板1の温度は約680℃にも達しており、ラインタンク3に収容された冷却水は熱交換によって高温になりうる。本発明では、制御装置14と冷却水供給設備21とを用いて、ラインタンク3に収容された冷却水の水温を常にT℃±A℃内で維持することができる。図1の例において、冷却水供給設備21は、循環タンク5、冷却塔6、冷却塔入側ポンプ8A、冷却塔出側ポンプ8B、冷却塔入側調整弁9A、及び冷却塔出側調整弁9Bを有する。尚、T℃±A℃内とは、(T−A)℃と(T+A)℃とを含む温度範囲である。
ラインタンク3に収容される冷却水は、タンク入側ポンプ7Aによって冷却水供給設備21から供給され、タンク出側ポンプ7Bによって冷却水供給設備21へと戻される。図1の例では、ラインタンク3内の冷却水は、タンク出側ポンプ7Bによって冷却塔6へと戻される。
また、冷却塔6では、水の冷却が行われる。冷却された後の水は、冷却塔出側ポンプ8Bによって冷却塔から抜き出され、循環タンク5に一時貯水される。また、循環タンク5に貯水された冷却水は、一部がタンク入側ポンプ7Aによってラインタンク3へと送られるとともに、一部が冷却塔入側ポンプ8Aによって冷却塔6へと送られ、冷却される。尚、冷却塔入側ポンプ8Aの近傍には、冷却塔6への流入量を調節する冷却塔入側調整弁9Aが設けられ、冷却塔出側ポンプ8Bの近傍には、冷却塔6からの流出量を調節する冷却塔出側調整弁9Bが設けられる。
冷却塔6としては、従来公知の装置を用いることができる。典型例として、冷却塔内に供給した冷却水を大気と接触させ、水の気化熱により冷却水を冷却させる開放式冷却塔を用いることができる。一般に、冷却塔6は、大気温から水の気化熱分だけ低い温度まで水を冷却することができる装置であり、大気温によって冷却能力が左右される。よって、冷却塔6にて冷却された冷却水の水温は、夏場には高くなりやすく、冬場には低くなりやすいという傾向を有する。
図1において、冷却水供給設備21からラインタンク3へと冷却水を供給するラインとして、循環タンク5からラインタンク3へと到る矢印が示される。循環タンク5に収容された水は、タンク入側ポンプ7Aによってラインタンク3へと供給される。循環タンク5とラインタンク3との間には、ストレーナー等に代表される異物除去装置4が設けられることが好ましい。異物除去装置4に冷却水を通水することで、ラインタンク3内部に異物が持ち込まれることを防止することができる。これにより、水焼入れ時に鋼板表面に異物が付着し、異物由来の凹み疵が発生することを防止することができ、表面性状の良好な鋼板を得ることができる。尚、異物除去装置4で除去しうる異物の種類として、ラインタンク3での水焼入れ時に鋼板1の表面から持ち込まれる鉄屑等のスラッジや、冷却塔6において大気とともに吸い込まれる虫、砂等の飛散物が挙げられる。
次に、図1を用いてラインタンク3内の冷却水温の制御機構について説明する。尚、図1において、制御装置14による制御フローは点線で示される。
ラインタンク3には、冷却水温測定器13が設けられる。冷却水温測定器13は、ラインタンク3に収容された冷却水の水温を測定する。また、冷却水温測定器13は、制御装置14に接続される。制御装置14は、ラインタンクにおける冷却水温が常にT℃±A℃の範囲内に維持されるように、冷却水供給設備21の運転条件を調節している。
制御装置14によって制御される運転条件の一例として、冷却塔6における冷却水の流入量及び流出量が挙げられる。より具体的には、冷却塔入側ポンプ8A及び冷却塔入側調整弁9Aを制御することにより、冷却塔6への冷却水の流入量を調整することができる。同じように、冷却塔出側ポンプ8B及び冷却塔出側調整弁9Bを制御することにより、冷却塔6からの冷却水の流出量を調整することができる。ラインタンク3内の冷却水温が(T+A)℃を超えそうな場合、例えば夏場等の冷却水温が高くなりやすい条件下では、冷却塔6への流入量及び流出量を増やし、冷却塔6で処理される冷却水量を多くすることが行われる。また、ラインタンク3内の冷却水温が(T−A)℃を下回りそうな場合、例えば冬場等の冷却水温が低くなりやすい条件下では、冷却塔6への流入量及び流出量を減らし、冷却塔6で処理される冷却水量を少なくすることが行われる。
また、制御装置14によって制御される運転条件の他の一例として、ラインタンク3における冷却水の流入量及び流出量が挙げられる。より具体的には、タンク入側ポンプ7A及びタンク出側ポンプ7Bの運転が制御される。ラインタンク3内の冷却水温が(T+A)℃を超えそうな場合には、タンク入側ポンプ7A及びタンク出側ポンプ7Bの流量を増大させて、ラインタンク内部の冷却水交換速度を速めることが行われる。一方で、ラインタンク3内の冷却水温が(T−A)℃を下回りそうな場合には、タンク入側ポンプ7A及びタンク出側ポンプ7Bの流量を減少させて、ラインタンク内部の冷却水交換速度を遅くすることが行われる。
尚、制御装置14によって制御される装置は、上記例に限定されない。例えば、図示されていないが、制御装置14によって冷却塔6の風量を調節することによっても、ラインタンク3における冷却水の温度を調節することができる。
A℃は、0℃超10℃以下とすることができる。このような温度条件とすることで、水焼入れ後の鋼板における機械的特性のばらつきを防止することができる。より確実に機械的特性のばらつきを抑えるという観点からは、A℃を5℃とすることが好ましい。
A℃は、得られる鋼板の引張強度の最大値と最小値との差が、目標引張強度の12%以下となる温度とすることもできる。より具体的には、T℃+A℃の水温で水焼入れを行うことにより得られる鋼板の引張強度(最小値)と、T℃−A℃の水温で水焼入れを行うことにより得られる鋼板の引張強度(最大値)との差が、対象とする鋼板の目標引張強度の12%以下となるように、A℃を決定する。このようにA℃を決定することで鋼板の機械的特性(具体的には引張強度)にばらつきが生じることを確実に防止することができる。特に、目標引張強度の誤差(ずれ)が±6%超の鋼板は製品の出荷に影響を与えることがあることから、このような温度設定によって歩留まりの低下が抑えられる。鋼板の引張強度の最大値と最小値とは、通板対象とする鋼板について予め水焼入れ試験を行い、試験後に得られる実際の引張強度を測定することにより決定することができる。複数回の試験を行う場合には、得られた引張強度の相加平均値を引張強度の最大値・最小値として用いることもできる。
鋼板の目標引張強度は特に限定されないが、特に水焼入れは高強度冷延鋼板(ハイテン)で行うことが多いことから、580MPa以上とすることが望ましい。
前記T℃(基準温度)は、10℃以上50℃以下とすることが好ましい。基準温度が50℃を超えると鋼板の焼入れ効果が十分には得られず、10℃を下回ると冷却水の水温を維持するのに多大なコストが必要となる。これらの中でも、夏場の冷却コストを抑えるという観点からは基準温度を30℃に設定することが特に好ましい。
ラインタンク3内部の冷却水温は、前記基準温度(T℃)を30℃とし、25℃以上35℃以下となるように調節されることが更に好ましい。冷却水温が25℃未満であると、鋼板の冷却速度が速くなりすぎてしまうことでマルテンサイト分率が過剰となり、引張強度が過大となり鋼板の延性が低下してしまう。一方で、冷却水温が35℃よりも大きいと、鋼板の冷却速度が遅くなりすぎてしまうことでマルテンサイト分率が過小となり、十分な引張強度をもった鋼板を製造できなくなる。
また、本発明において、ばらつきをおさえることのできる鋼板の機械的特性は引張強度には限定されず、延性等、他の機械的特性についても水焼入れ時の冷却速度の変動に起因したばらつきを抑えることができる。
冷却塔、特に開放式の冷却塔を用いる場合には、夏場において冷却水が冷えにくくなる。特に、夏の昼間にラインタンク内の冷却水温を25℃未満で維持することには多大なコストがかかる。夏場における冷却コストを抑えるという観点からも、冷却水温は、30℃±5℃の範囲内とするのがよい。
本発明で製造される鋼板は、高強度冷延鋼板(ハイテン)であることが好ましく、具体的には、引張強度が580MPa以上である鋼板であることが好ましい。引張強度の上限値は特に制限されないが、一例として1600MPa以下であることが挙げられる。高強度冷延鋼板の組成の具体例としては、質量%で、Cが0.04%以上0.220%以下、Siが0.01%以上2.00%以下、Mnが0.80%以上2.80%以下、Pが0.001%以上0.090%以下、Sが0.0001%以上0.0050%以下、sol.Alが0.005%以上0.065%以下、必要に応じて、Cr,Mo,Nb,V,Ni,Cu,及びTiの少なくとも1種以上が0.5%以下、必要に応じて、B,Sbが0.01%以下、その他Fe並びに不可避的不純物である。
(本発明例1)、(比較例1)
目標引張強度が590MPaである鋼板(化学成分:C;0.093%、Si;0.20%、Mn;0.85%、P;0.07%、S;0.0020%、sol.Al;0.050%、残部鉄及び不可避的不純物)を、図3で示される連続焼鈍炉に通板した。連続焼鈍炉内における温度・時間は、図2(a)に示される条件であった。また、ラインタンク3内における冷却水温として、15℃〜62℃までの範囲で変化させて実験を行った。ラインタンク3内における冷却水温が任意の基準温度(T℃)±5℃以内の例を本発明例1とし、冷却水温15℃〜62℃(38.5℃±23.5℃)全体の例を比較例1とした。
結果を図4に示す。例えば基準温度を30℃に設定し、ラインタンク内の冷却水温を25℃以上35℃以下の範囲内に設定すると、引張強度は600MPa以上640MPa以下の範囲内にあり、ばらつきが抑えられていた。一方で、ラインタンク内の冷却水温が15℃〜62℃の範囲全体を通して見ると、引張強度は最小で520Mpa、最大で670MPaとなっており、引張強度のばらつきが大きかった。
また、冷却水温が25℃未満の例では、引張強度が過剰で延性の低下を引き起こしており、冷却水温が35℃より大きい例では、十分な引張強度が得られなかった。以上より、基準温度を30℃とし、冷却水温を30℃±5℃内に維持することによって、十分な引張強度であってかつ引張強度のばらつきを抑えた鋼板が得られることが示された。
(本発明例2)、(比較例2)
目標引張強度が980MPaである鋼板(化学成分:C;0.125%、Si;1.40%、Mn;1.90%、P;0.010%、S;0.001%、sol.Al;0.030%、その他、残部鉄及び不可避的不純物)について、本発明例1及び比較例1と同様にして実験を行った。ラインタンク3内における冷却水温として、12℃〜36℃までの条件を振って実験を行った。
本発明例2及び比較例2の結果を図5に示す。尚、図5〜7の横軸における「WQ水温」は、ラインタンク3内における冷却水温を意味する。図5における「本発明例」の矢印で示される範囲のように、ラインタンク内の冷却水温を30℃±5℃内にすると、得られた鋼板における引張強度の最大値と最小値との差は、111MPaであった。一方で、ラインタンク内の冷却水温が12℃〜36℃(24℃±12℃)の範囲全体を通してみると、引張強度の最大値と最小値との差は160MPaであった。このように、基準温度を30℃とし、冷却水温度を30℃±5℃の範囲内にすることによって、引張強度のばらつきを抑えることができた。
(本発明例3)、(比較例3)
目標引張強度が780MPaである鋼板(化学成分:C;0.065%、Si;1.00%、Mn;2.20%、P;0.008%、S;0.002%、sol.Al;0.035%、その他、残部鉄及び不可避的不純物)について、本発明例1及び比較例1と同様にして実験を行った。ラインタンク3内における冷却水温として、12℃〜41℃までの条件を振って実験を行った。
本発明例3及び比較例3の結果を図6に示す。図6における「本発明例」の矢印で示される範囲のように、ラインタンク内の冷却水温を28℃±7℃内にすると、得られた鋼板における引張強度の最大値と最小値との差は、92MPaであった。一方で、ラインタンク内の冷却水温が12℃〜41℃(26.5℃±14.5℃)の範囲全体につき780MPa規格を満たすデータのみで比較すると、引張強度の最大値と最小値との差は143MPaであった。このように、基準温度を28℃とし、冷却水温度を28℃±7℃の範囲内にすることによって、引張強度のばらつきを抑えることができた。
(本発明例4)、(比較例4)
目標引張強度が1180MPaである鋼板(化学成分:C;0.135%、Si;1.40%、Mn;2.10%、P;0.010%、S;0.001%、sol.Al;0.030%、その他、残部鉄及び不可避的不純物)について、本発明例1及び比較例1と同様にして実験を行った。ラインタンク3内における冷却水温として、12℃〜43℃までの条件を振って実験を行った。
本発明例4及び比較例4の結果を図7に示す。図7における「本発明例」の矢印で示される範囲のように、ラインタンク内の冷却水温を31℃±4℃内にすると、得られた鋼板における引張強度の最大値と最小値との差は、129MPaであった。一方で、ラインタンク内の冷却水温が12℃〜43℃(27.5℃±15.5℃)の範囲全体につき1180MPa規格を満たすデータのみで比較すると、引張強度の最大値と最小値との差は171MPaであった。このように、基準温度を31℃とし、冷却水温度を31℃±4℃の範囲内にすることによって、引張強度のばらつきを抑えることができた。
1 鋼板
3 ラインタンク
4 異物除去装置
5 循環タンク
6 冷却塔
7A タンク入側ポンプ
7B タンク出側ポンプ
8A 冷却塔入側ポンプ
8B 冷却塔出側ポンプ
9A 冷却塔入側調整弁
9B 冷却塔出側調整弁
11 水焼入れ装置
13 冷却水温測定器
14 制御装置
21 冷却水供給設備

Claims (9)

  1. 引張強度が580MPa以上である鋼板を製造するための連続焼鈍に用いられる水焼入れ装置であって、
    鋼板が浸漬される冷却水を収容するラインタンクと、
    前記ラインタンクに収容された冷却水の一部を抜き出して冷却し、冷却後の冷却水を前
    記ラインタンクへ供給する冷却水供給設備と、
    ラインタンクに収容された冷却水の水温を測定する冷却水温測定器と、
    前記冷却水温測定器によるラインタンク内の冷却水の水温測定結果に基づき、ラインタンク内の冷却水の水温がT℃±A℃内となるように、前記冷却水供給設備の運転を制御す
    る制御装置と、を有し、
    前記制御装置は、前記冷却水温測定器によるラインタンク内の冷却水の水温測定結果に基づき、ラインタンク内の冷却水の水温がT℃±7℃内となるように、前記冷却水供給設備の運転を制御し、
    前記T℃を28℃以上31℃以下とすることを特徴とする水焼入れ装置。
  2. 前記A℃は、得られる鋼板の引張強度の最大値と最小値との差が、目標引張強度の12%以下となる温度とすることを特徴とする請求項1に記載の水焼入れ装置。
  3. 前記制御装置は、前記冷却水温測定器によるラインタンク内の冷却水の水温測定結果に基づき、ラインタンク内の冷却水の水温がT℃±5℃内となるように、前記冷却水供給設備の運転を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の水焼入れ装置。
  4. 前記T℃を、30℃とすることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の水焼入れ装置。
  5. 前記冷却水供給設備は、冷却水を冷却する冷却塔を有し、
    前記制御装置は、前記冷却塔における冷却水の流入量及び流出量を制御することを特徴とする請求項1からまでのいずれか一項に記載の水焼入れ装置。
  6. 前記制御装置は、ラインタンクにおける冷却水の流入量及び流出量を制御することを特徴とする請求項1からまでのいずれか一項に記載の水焼入れ装置。
  7. 前記冷却水供給設備と前記ラインタンクとの間に、異物除去装置が設けられることを特徴とする請求項1からまでのいずれか一項に記載の水焼入れ装置。
  8. 請求項1からまでのいずれか一項に記載の水焼入れ装置を備えたことを特徴とする連続焼鈍設備。
  9. 請求項1からまでのいずれか一項に記載の水焼入れ装置を用いて行われる引張強度が580MPa以上である鋼板の製造方法であって、
    ラインタンク内の水温がT℃±℃の範囲内に維持された冷却水中に、鋼板を浸漬させる水焼入れ工程を備え、前記T℃を28℃以上31℃以下とすることを特徴とする鋼板の製造方法。
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