以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態では、マイクロHEVに搭載される電池システムを例として、本発明の一実施形態に係る蓄電システムについての説明を行う。
なお、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。例えば、以下に説明する実施形態の電池システムは、電池電圧を変えることにより、たとえば一般的なHEVや、xEMS(HEMS(Home Energy Management System)、BEMS(Building Energy Management System)等)において使用される蓄電システムにも適用できる。また、電気自動車や鉄道に搭載される蓄電システムにも適用できる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る電池システム10が搭載されるマイクロHEVの概略構成を示す図である。図1において、電池システム10が搭載されているマイクロHEV17は、エンジン11、発電機(オルタネータ)12、補機負荷14、ECU15、通信線16を備える。
エンジン11は、ガソリン等の燃料を燃焼させることにより、マイクロHEV17の駆動輪を駆動させるための回転力を発生する。発電機12は、エンジン11と機械的に接続されており、エンジン11から発生された回転力の一部を利用して発電を行う。発電機12の発電によって得られた電力は、補機負荷14に供給されたり、電池システム10の充電に用いられたりする。補機負荷14は、マイクロHEV17の動作に必要な各種の電装品であり、ヘッドライト、テールランプ、エアコンファン、スタータ等を含む。補機負荷14は、発電機12や電池システム10の電気負荷として作用する。ECU15は、マイクロHEV17の各部分の動作を制御するための上位コントローラである。通信線16は、ECU15と電池システム10の間に接続されている。ECU15と電池システム10は、通信線16を介して互いに通信を行うことができる。
電池システム10には、2種類の二次電池が搭載されている。一方の二次電池には、たとえば鉛電池など、充電容量が比較的大きなものを用いるのが好ましい。他方の二次電池は、たとえば小型のリチウムイオン電池など、充放電特性に比較的優れたものを用いるのが好ましい。なお、電池システム10の詳細については後述する。
マイクロHEV17において、補機負荷14の電力は、エンジン11が停止しているアイドリングストップ時には、電池システム10から供給されるようになっている。また、マイクロHEV17の減速時には、惰行によって生じるタイヤからの回転力(減速エネルギー)を利用して、発電機12を回転動作させて発電させる。この発電機12によって発生された電気エネルギーにより、補機負荷14の電力が供給されると共に、電池システム10内の二次電池が充電されるように、マイクロHEV17は構成されている。
次に、電池システム10の詳細について説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る電池システム10の構成を示す図である。図2に示す電池システム10は、コントローラ200、入出力端子201、第一電池202、第一電池電流計203、第一電池電圧センシング線204、第一電池スイッチ205、第二電池206、第二電池電流計207、第二電池電圧センシング線208、第二電池スイッチ209、入出力電圧センシング線210を備える。
第一電池202と第二電池206は、第一電池スイッチ205、第二電池スイッチ209をそれぞれ介して、入出力端子201に接続されている。入出力端子201は、電池システム10を発電機12および補機負荷14と接続するための端子である。発電機12で発電された電力は、入出力端子201を介して電池システム10に入力され、第一電池202または第二電池206に充電される。また、第一電池202または第二電池206の放電により発生された電力は、入出力端子201を介して電池システム10から補機負荷14に出力される。
コントローラ200には、第一電池電流計203で検出された第一電池202の電流が入力されると共に、第一電池電圧センシング線204を介して第一電池202の電圧が入力される。また、第二電池電流計207で検出された第二電池206の電流が入力されると共に、第二電池電圧センシング線208を介して第二電池206の電圧が入力される。さらに、入出力電圧センシング線210を介して、発電機12から電池システム10への入力電圧、または電池システム10から補機負荷14への出力電圧が入力される。コントローラ200は、これらの電流値および電圧値を検出し、その検出結果に基づいて第一電池202、第二電池206の状態を推定することで、第一電池スイッチ205、第二電池スイッチ209の切替状態を制御する。また、ECU15と通信線16を介して通信を行うことにより、第一電池202および第二電池206の状態や、これらの電流および電圧の検出結果を表す情報をECU15に出力すると共に、発電機12をオンまたはオフするための指令を出力する。通信線16には、たとえばCAN(Controller Area Network)や、次世代車載ネットワークであるFlexRayなどを用いることができる。なお、コントローラ200は、ECU15内のプログラムとして実現してもよい。この場合には、通信線16は不要となる。
コントローラ200や補機負荷14の電源は、第一電池202、第二電池206のどちらか一方から固定的に供給してもよい。たとえば、マイクロHEV17の駐車中における第二電池206の電圧低下を抑制するために、コントローラ200の電源を第一電池202から供給するようにしてもよい。また、上述した補機負荷14を構成する各電装品のうち、たとえばスタータを第一電池202に直結させることで、スタータの電源を第一電池202から供給するようにしてもよい。
第一電池202には、前述のように、通常は鉛電池が使われる。この理由は、長期間に渡る駐車中の保安装置等の電力を確保するためには、電池容量(Ah)の大きな電池を第一電池202として用いるのが好ましいからである。しかしながら、他の種類の二次電池、たとえばニッケル亜鉛電池、容量重視型のリチウムイオン電池、ニッケル水素電池等を用いてもよい。
一方、第二電池206には、電流容量よりも、許容電流や充放電可能回数等の充放電特性を重視して設計された二次電池、たとえば小型のリチウムイオン電池などが用いられる。しかしながら、他の種類の二次電池、たとえばニッケル亜鉛電池、ニッケル水素電池等を用いてもよい。また、二次電池以外の充放電可能なデバイス、たとえば電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタを用いてもよい。さらに、このような二次電池以外の充放電可能なデバイスを、第一電池202として使用しても構わない。以下では、二次電池以外の充放電可能なデバイスについても、電池に含まれるものとして説明を行う。
なお、リチウムイオンキャパシタやリチウムイオン電池の定格電圧は、一般的には3Vから4.2V程度の範囲内である。そのため、これらを第一電池202や第二電池206として用いる場合には、所望の電圧を得られるように、複数の電池を直列に接続して用いることが好ましい。たとえば、第一電池202や第二電池206の出力電圧を車両電圧範囲の目安である8V(オーディオの音飛び電圧の目安)から14Vの範囲に収めるためには、4つの電池を直列で使用すればよい。同様に、ニッケル水素電池の場合には10本、ニッケル亜鉛電池の場合には8本から10本、電気二重層キャパシタの場合には7本など、それぞれの定格電圧に応じた数の電池を直列して使用すればよい。
第一電池電流計203、第二電池電流計207には、たとえばホール素子やシャント電流計を用いることができる。また、補機負荷14の電源喪失を防ぐために、コントローラ200は、第一電池スイッチ205と第二電池スイッチ209の両方がオフ(開放)状態となるのを禁止することが好ましい。
次に、上述した電池システム10においてコントローラ200が行う第一電池スイッチ205および第二電池スイッチ209の制御処理について説明する。以下に説明する制御処理は、コントローラ200内のCPUにおいて所定のプログラムが実行されることにより実現される。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る制御処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートに示す制御処理は、マイクロHEV17のイグニッションスイッチがオンされて電池システム10が起動されたときに、コントローラ200において実行される。
初めに、ステップ30においてコントローラ200は、第一電池スイッチ205をオン(閉成)状態に切り替えると共に、第二電池スイッチ209をオフ(開放)状態に切り替える。このとき、発電機12および補機負荷14には、第一電池202のみが接続され、第二電池206は接続されていない状態となる。
次に、ステップ31においてコントローラ200は、第二電池電圧センシング線208を介して入力される第二電池206の電圧を計測する。このように、ステップ30で第二電池スイッチ209をオフした後にステップ31で第二電池206の電圧計測を行うことにより、コントローラ200は、無負荷状態での第二電池206の電圧(OCV)を測定することができる。こうして第二電池206の電圧を計測することにより、コントローラ200は、第二電池206の充電状態を取得することができる。
ステップ32においてコントローラ200は、ステップ31で計測した第二電池206の電圧に基づいて、第二電池206に発電機12を接続した場合に第二電池206に流れる電流を推定する。ここでは、下記の式(1)に基づいて、第二電池206に発電機12を接続した場合に第二電池206に流れると推定される推定電流Ie2を求めることができる。式(1)において、Vgは発電機12の発電電圧、Rb2は第二電池206の直流抵抗(内部抵抗)、Rs2は発電機12と第二電池206との間の抵抗をそれぞれ表す。また、V2はステップS31で計測した第二電池206の電圧(OCV)を表している。なお、発電機12と第二電池206の間を接続する導線の抵抗は、通常は無視できる程度に小さいため、抵抗Rs2の値としては、第二電池スイッチ209のオン抵抗を用いることができる。
(Vg−V2)/(Rb2+Rs2)=Ie2 ・・・(1)
発電機12の発電電圧を表す式(1)のVgの値は、発電機12の発電特性に基づいて決定することができる。Vgの値として、たとえば14Vなどがコントローラ200に予め記憶される。一方、第二電池206の直流抵抗と第二電池スイッチ209のオン抵抗との合計を表す式(1)のRb2+Rs2の値は、コントローラ200が測定した第二電池206の電流値や電圧値に基づいて推定することができる。その具体的な方法については後で説明する。
次に、ステップ33においてコントローラ200は、ステップ32で求めた第二電池206の推定電流が、予め決められた第二電池206の電流規定値以上であるか否かを判定する。その結果、推定電流が第二電池206の電流規定値以上の場合には、ステップ34に処理を進め、そうでない場合には、図3の処理を終了する。なお、処理終了後にコントローラ200は、第一電池202および第二電池206の充電状態に基づいて、第一電池スイッチ205および第二電池スイッチ209を切り替え制御することが好ましい。これにより、第一電池202または第二電池206から補機負荷14に電源を供給すると共に、発電機12から第一電池202または第二電池206を充電することができる。
ここで、上記ステップ33の判定に用いられる電流規定値は、第二電池206の安全電流に基づいて定められる。第二電池206の安全電流とは、安全上の観点から充電時に流すことのできる第二電池206の電流の上限値であり、第二電池206の許容充電電流に相当する。この第二電池206の安全電流をIs2と表すと、Is2の値は、第二電池206の集電体の構造や、第二電池206に対して要求される温度上昇幅などによって決定される。たとえば、1秒、10秒、20秒間等の所定時間に連続して第二電池206を充電したときに第二電池206が耐えられる電流値に基づいて、安全電流Is2の値を決定することができる。この安全電流Is2の値は、第二電池206のカタログ等に記載された値を用いてもよい。第二電池206にリチウムイオンキャパシタを用いた場合には、安全電流Is2の値として、たとえば300Aを設定できる。また、電気二十層キャパシタの場合にはたとえば200A、充電容量が5Ah程度のパワー型のリチウムイオン電池の場合にはたとえば120A〜170Aを、安全電流Is2の値として設定できる。
ステップ34において、コントローラ200は、第一電池スイッチ205および第二電池スイッチ209の両方をオン(閉成)状態に切り替える。これにより、第一電池202から第二電池206に電流が流れ、第二電池206が充電されるように、第一電池スイッチ205および第二電池スイッチ209を切り替える。
ステップ34を実行したら、所定時間待機した後に、処理をステップ31に戻す。ステップ31以降では、以上説明したような処理を繰り返す。これにより、第二電池206の電圧が規定値を超えるまでの間、第一電池スイッチ205および第二電池スイッチ209の両方をオン(閉成)状態として、第一電池202から第二電池206が充電されるようにする。
ここで、図3の処理の具体例について説明する。以下の具体例では、発電機12の発電電圧Vgを14V、第二電池206の直流抵抗Rb2を10mΩ、第二電池スイッチ209のオン抵抗を2mΩとそれぞれ仮定する。また、第二電池206の安全電流Is2を170Aと仮定し、ステップ33の判定では、このIs2=170Aを電流規定値として用いるものとする。また、マイクロHEV17の長期駐車後に、第一電池202の電圧が12.4Vに、第二電池206の電圧が9.2Vにそれぞれなっているものとする。
上記のような状態で、発電機12から第二電池206への充電を行った場合、第二電池206の推定電流Ie2は約400Aもの大電流となるため、電流規定値の170Aを上回ってしまう。しかし、前述した図3の処理を行うことで、第一電池202から第二電池206が充電される。このとき第二電池206に流れる充電電流は、たとえば第一電池202の直流抵抗を5mΩ、第一電池スイッチ205のオン抵抗を2mΩとすると、これらの値と、上記の第一電池202の電圧、第二電池206の電圧および第二電池206の直流抵抗Rb2の値とに基づいて、約168Aと求められる。すなわち、電流規定値の170Aを上回ることなく、第二電池206を充電することができる。その結果、第二電池206の電圧は、式(1)で求められる推定電流Ie2の値が電流規定値の170Aと等しくなるまで引き上げられる。このときの第二電池206の電圧は、V2=11.96Vと求められる。その後は発電機12から第二電池206を充電しても、電流規定値の170Aを上回ることなく、第二電池206の充電を行うことができる。
ここで第二電池206として、たとえば充電容量が5Ahであり、上記の9.2Vから11.96Vまで充電されたときの充電率(SOC:State Of Charge)の変化が15%となる電池を仮定する。この場合、第一電池202から第二電池206への充電が行われる期間は、20秒未満程度となるため、長期間に渡って発電機12の発電が行われなくなることは生じない。したがって、マイクロHEV17の動作において、特に不都合を生じることはない。
次に、上記の式(1)における第二電池206の直流抵抗と第二電池スイッチ209のオン抵抗との合計値であるRb2+Rs2の推定方法について説明する。Rb2+Rs2の値は、第二電池電流計207で検出される第二電池206の電流や、第二電池電圧センシング線208を介して入力される第二電池206の電圧に基づいて、コントローラ200により、以下のようにして推定することができる。
第二電池スイッチ209がオン状態で発電機12から第二電池206が充電されているときには、Rb2+Rs2の値は以下の式(2)で表される。式(2)において、V2は第二電池206の起電力を表しており、これは第二電池206のOCVを表す式(1)のV2に等しい。また、I2は第二電池206に流れる充電電流を表している。なお、Vgは前述の式(1)と同様に、発電機12の発電電圧を表している。
Rb2+Rs2=(Vg−V2)/I2 ・・・(2)
コントローラ200は、電池システム10が動作状態であり第二電池206が充電されているときに、上記の式(2)に基づいてRb2+Rs2の値を算出することができる。このときのV2の値は、充電開始前に第二電池電圧センシング線208を介して計測した第二電池206の電圧から求められる。また、I2の値は、充電中に第二電池電流計207で検出された第二電池206の電流から求められる。こうして算出された最新のRb2+Rs2の値を記憶しておくことで、図3のステップ32において第二電池206の推定電流Ie2を正確に求め、これを用いてステップ33の判定処理を正確に行うことができる。なお、第一電池202の直流抵抗と第一電池スイッチ205のオン抵抗との合計値についても、上記と同様の手順により算出することが可能である。
あるいは、第一電池スイッチ205および第二電池スイッチ209を両方ともオン状態としたときの電流や電圧の計測結果に基づいて、Rb2+Rs2を推定してもよい。具体的には、以下の式(3)を用いてRb2+Rs2を算出することができる。式(3)において、Rb1は第一電池202の直流抵抗(内部抵抗)、Rs1は第一電池スイッチ205のオン抵抗をそれぞれ表す。また、V1は第一電池202の起電力を表しており、これは第一電池202のOCVに等しい。
Rb2+Rs2=|V1−V2|/I2−(Rb1+Rs1) ・・・(3)
コントローラ200は、前述のような手順により、第一電池202が充電されているときにRb1+Rs1の値を求めることができる。このRb1+Rs1の値と、充電開始前に第一電池電圧センシング線204、第二電池電圧センシング線208を介してそれぞれ計測した第一電池202の電圧V1および第二電池206の電圧V2と、充電中に第二電池電流計207で検出された第二電池206の電流I2とに基づいて、上記の式(3)からRb2+Rs2の値を算出することができる。なお、第二電池206の電流I2の代わりに、第一電池電流計203で検出された第一電池202の電流I1を式(3)において用いてもよい。
ここで、上記の式(2)、(3)を用いてRb2+Rs2の値を算出するために、コントローラ200は、図3のステップ30において、第一電池スイッチ205および第二電池スイッチ209を両方ともオン(閉成)状態に切り替える処理を追加して行ってもよい。このようにすれば、第一電池スイッチ205をオン(閉成)して第二電池スイッチ209をオフ(開放)した時の電流I1の値を測定し、その測定結果に基づいて式(2)と同様の計算により、Rb1+Rs1の値を求めることができる。さらに、第一電池スイッチ205および第二電池スイッチ209をオン(閉成)した時の電流I2(またはI1)の値を測定し、その測定結果とRb1+Rs1の算出結果に基づいて、式(3)からRb2+Rs2の値を求めることができる。こうして算出された最新のRb2+Rs2の値を記憶しておくことで、図3のステップ32において第二電池206の推定電流Ie2を正確に求め、これを用いてステップ33の判定処理を行うことができる。
以上説明したようにしてRb2+Rs2の値を求め、これに基づいて第二電池206の推定電流Ie2を求めることで、第二電池206や第二電池スイッチ209の特性に合わせて第二電池206の推定電流Ie2を正確に求めることができる。さらに、第二電池206や第二電池スイッチ209を交換した場合にも、特に設定変更等を行わずにRb2+Rs2の値を正確に求め、これを用いて第二電池206の推定電流Ie2を正確に求めることができる。
あるいは、第二電池206の特性に応じたRb2+Rs2の値を示す特性データを、テーブル等のデータ形式によりコントローラ200内に予め記憶しておき、この特性データに基づいてRb2+Rs2の値を推定してもよい。その具体的な方法について、以下に説明する。
一般に、電池の電圧は、安定した充電状態で十分に時間が経過したときの電圧成分を表す定常OCVと、充電状態の変化に応じて数秒オーダーで変化する過渡的な電圧成分を表す分極電圧との和で表現される。定常OCVは、電池の充電率の関数として表現される。そのため、第二電池206について、たとえば図6に示す電池の開放電圧のテーブル例のように、SOCと定常OCVの関係を表すテーブルをコントローラ200に記憶しておく。そして、第二電池206のSOCを算出し、そのSOCの値により、図6のテーブルを補間して定常OCVを求めてもよい。なお、第二電池206のSOCの算出には、任意の方法を用いることができる。たとえば、参考文献「足立修一・丸太一朗:カルマンフィルタの基礎, 東京電機大出版局,2013年3月10日第一版二刷発行」に記載されたカルマンフィルタを用いた手法により、第二電池206のSOCを算出してもよい。または、第二電池206に対して入出力された電流を積算し、その積算値に基づいてSOCの変化を計算してもよい。
一方、分極電圧は、次のようにして推定することができる。図7は、第二電池206の等価回路を示す図である。図7において分極電圧に相当するのは、分極容量71と分極抵抗72の電圧である。ここで、分極容量71の容量値をcと表し、分極抵抗72の抵抗値をrと表すと、時刻tにおける分極電圧Vp(t)の値は、以下の式(4)により算出することができる。式(4)において、I(t)は時刻tにおいて第二電池206に流れる電流の計測値を表しており、充電方向を正の値としている。また、*は畳み込み積分を表している。
Vp(t)=I(t)*exp(−t/cr)/cr ・・・(4)
また、式(4)を簡略化した以下の式(5)を用いて分極電圧Vp(t)の値を算出してもよい。ここで、式(5)を使用する場合に、マイクロHEV17を長期間駐車した後に電池システム10が起動された場合などは、時刻t=0における分極電圧が0になっているものとして、Vp(0)=0としてもよい。式(5)において、Δtは電流計測の時間間隔を表している。
Vp(t)=Vp(t−Δt)*(1−Δt/cr)+I(t)×Δt/c
・・・(5)
なお、以上説明した分極電圧の推定方法では、分極容量71の容量値cおよび分極抵抗72の抵抗値rが既知である必要がある。これらの値は、電池の充電率に応じて求めることができる。そのため、第二電池206について、たとえば図8に示す電池の分極抵抗・容量のテーブル例のように、SOCと分極容量71の容量値cおよび分極抵抗72の抵抗値rとの関係を表すテーブルをコントローラ200に記憶しておく。そして、第二電池206のSOCを算出し、そのSOCの値により、図8のテーブルを補間してcおよびrの値を求めてもよい。ここで、c、rの値は温度により変化する場合がある。そのため、第二電池206に温度計を設けると共に、図8のようなテーブルを温度ごとに記憶しておくことで、計測した温度に応じてcおよびrの値を算出してもよい。
以上説明したような方法で定常OCVおよび分極電圧を求めることで、第二電池206の電流I2および電圧V2の計測結果に対して、Rb2+Rs2の値を推定することができる。
あるいは、上記の分極抵抗72の抵抗値rに加えて、さらに図7の抵抗73の抵抗値Rおよび第二電池スイッチ209のオン抵抗Rs2の値をそれぞれ示す特性データを、テーブル等のデータ形式によりコントローラ200内に予め記憶しておき、これらの特性データに基づいてRb2+Rs2の値を推定してもよい。具体的には、第二電池206について、たとえば図9に示す電池の直流抵抗のテーブル例のように、SOCと抵抗73の抵抗値Rとの関係を表すテーブルをコントローラ200に記憶しておく。そして、第二電池206のSOCを算出し、そのSOCの値により、図9のテーブルを補間してRの値を求めることができる。ここで、Rの値は温度により変化する場合がある。そのため、第二電池206に温度計を設けると共に、図9のようなテーブルを温度ごとに記憶しておくことで、計測した温度に応じてRの値を算出してもよい。
一方、第二電池スイッチ209のオン抵抗Rs2については、予め設定された一つの値をコントローラ200に記憶しておく。または、第二電池スイッチ209に温度計を設けると共に、たとえば図10に示すスイッチのオン抵抗のテーブル例のように、温度とオン抵抗値Rs2との関係を表すテーブルをコントローラ200に記憶しておく。これにより、計測した温度に応じて図10のテーブルを補間してRs2の値を求めてもよい。
以上説明したような方法で第二電池206における分極抵抗72の抵抗値rおよび抵抗73の抵抗値Rを求めると共に、第二電池スイッチ209のオン抵抗Rs2を求めることで、Rb2+Rs2の値を推定することができる。
以上説明した本発明の第1の実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)電池システム10は、発電機12に接続された充放電可能な第一電池202と、発電機12に第一電池202と並列に接続された充放電可能な第二電池206と、第一電池202と第二電池206との接続状態を切り替えるための第一電池スイッチ205および第二電池スイッチ209とを備える。電池システム10は、コントローラ200の処理により、第二電池206に発電機12を接続した場合に流れると推定される推定電流Ie2を求め(ステップ32)、その推定電流Ie2が第二電池206の電流規定値以上であるときに(ステップ33:Yes)、第一電池202から第二電池206に充電されるように第一電池スイッチ205および第二電池スイッチ209を切り替える(ステップ34)。このようにしたので、DC/DCコンバータを使用しない安価な構成により、発電時に過大な充電電流が流れるのを防止できる蓄電システムとしての電池システム10を提供できる。
(2)ステップS32において、推定電流Ie2は、発電機12の発電電圧をVg、第二電池206の電圧をV2、第二電池206の直流抵抗をRb2、発電機12と第二電池206との間の抵抗をRs2としたときに、前述の式(1)に基づいて求められる。これにより、推定電流Ie2を正確に求めることができる。
(3)電池システム10は、第一電池202から第二電池206に充電されるように切り替えるためのスイッチとして、第一電池202と発電機12との間に設けられた第一電池スイッチ205と、第二電池206と発電機12との間に設けられた第二電池スイッチ209とを有する。コントローラ200は、ステップ34において、推定電流Ie2が第二電池206の電流規定値以上であるときに、第一電池スイッチ205および第二電池スイッチ209を閉成する。このようにしたので、第二電池206の充電状態に応じて、発電機12と第一電池202および第二電池206との間の接続状態を適切に切り替えることができる。
(4)電池システム10において、コントローラ200は、ステップ30において、第一電池スイッチ205および第二電池スイッチ209を閉成したときの電流値I2またはI1と、第一電池スイッチ205を閉成して第二電池スイッチ209を開放した時の電流値I1とを測定してもよい。ステップ32では、これらの電流値に基づいて推定電流Ie2を求めることができる。このようにすれば、推定電流Ie2を正確に求めることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。前述の第1の実施形態で説明した図3の制御処理は、第一電池202の充電率が比較的高い場合に適用することができる。しかし、マイクロHEV17を長期間駐車した後などには、第一電池202の充電率も低くなっているため、第一電池202から第二電池206への充電が困難な場合もある。本実施形態では、こうした場合にも対処可能な制御方法について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る制御処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートに示す制御処理は、マイクロHEV17のイグニッションスイッチがオンされて電池システム10が起動されたときに、コントローラ200において実行される。
なお、図5に示すフローチャートは、第1の実施形態で説明した図3のフローチャートのステップ33とステップ34の間に、第一電池202を充電するためのステップ51〜ステップ55の処理を追加したものである。以下では、この追加されたステップ51〜ステップ55の処理について説明する。
ステップ51において、コントローラ200は、第一電池202の充電率(SOC)を推定する。ここでは、たとえば第一電池202の電流や電圧を計測し、その計測値に基づいて、たとえば国際公開WO2012/120620号や、特開2005−83798号公報に記載された方法を利用して、第一電池202の充電率を推定することができる。これ以外にも、任意の方法を用いて第一電池202の充電率を推定してよい。なお、ステップ51では、たとえばイグニッションオン前後の電圧と、第一電池202の電力を利用したクランキング時の電流、電圧とを利用することで、第一電池202の充電率を推定する。そのため、ステップ51の処理は、クランキング直後に終了する。
次に、ステップ52においてコントローラ200は、ステップ51で推定した第一電池202の充電率が予め設定された閾値(例えば80%)以上であるか否かを判定する。その結果、第一電池202の充電率が閾値未満ならば処理をステップ53に進め、閾値以上であれば処理をステップ54に進める。
ステップ53において、コントローラ200は、発電機12の発電を継続することで、発電機12から第一電池202が充電されるようにする。このとき、たとえば以下の式(6)を用いて、ステップ51で推定した第一電池202の充電率に対して、所定時間ごとに充電された電流分の充電率を加えていくことにより、第一電池202の充電率を逐次更新する。式(6)において、P1(T)は時刻Tにおける更新後の第一電池202の充電率(%)を表しており、P1(T−ΔT)は時刻TよりΔT(s)前の時刻における更新前の第一電池202の充電率(%)を表している。また、C1は第一電池202の充電容量(Ah)を表している。
P1(T)=P1(T−ΔT)+I1×ΔT×100/(C1×3600)
・・・(6)
上記式(6)において、第一電池202の充電容量C1には、予めコントローラ200に記憶された値を用いることができる。あるいは、前述の国際公開WO2012/120620号や特開2005−83798号公報に記載された方法を利用して推定した値を用いてもよい。
ステップ53を実行したら、コントローラ200は処理をステップ52に戻し、ステップ52で第一電池202の充電率が閾値以上と判定されるまで、ステップ53の処理を繰り返す。これにより、発電機12が第一電池202を充電することで第一電池202の充電状態が閾値以上となるまでの間、第一電池スイッチ205をオン(閉成)し続けると共に、第二電池スイッチ209をオフ(開放)し続けて、発電機12の発電を継続する。
ステップ54において、コントローラ200は、上位コントローラであるECU15に対して、発電機12を停止するための指令を出力する。この指令に応じてECU15が発電機12を停止することで、発電機12から第一電池202への充電が終了する。
ステップ55において、コントローラ200は、発電機12の発電が停止したか否かを判定する。発電が停止されていなければステップ55の判定を継続し、発電が停止されたらステップ34に処理を進める。ここでは、たとえば図2の入出力電圧センシング線210を介して、入出力端子201の電圧を監視することで、発電機12の発電電圧が所定電圧未満となったことを確認する。さらに、第一電池電流計203で計測した電流が放電側になったことを確認する。これらを確認することで、発電機12の発電が停止したと判断することができる。
以上説明した本発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態で説明した作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。
電池システム10は、コントローラ200の処理により、第一電池202の充電状態が所定の閾値未満であるときに(ステップ52:No)、発電機12が第一電池202を充電することで第一電池202の充電状態が閾値以上となるまでの間、第一電池スイッチ205を閉成すると共に第二電池スイッチ209を開放する(ステップ53)。そして、第一電池202の充電状態が閾値以上となった後に(ステップ52:Yes)、第一電池スイッチ205および第二電池スイッチ209を閉成する(ステップ34)。このようにしたので、第一電池202の充電率が低く、そのままでは第一電池202から第二電池206への充電が困難な場合でも、発電機12から第二電池206を充電する際に過大な充電電流が流れるのを防止できる。
なお、以上説明した第2の実施形態では、ステップ51において第一電池202の充電状態を推定するようにしたが、充電状態を推定する代わりに、第一電池202の電圧を測定してもよい。この場合、ステップ52では、ステップ51で測定した第一電池202の電圧が所定の閾値未満であるか否かを判定し、閾値未満であると判定されている間は、ステップ52、53の処理を実行し続ける。このようにして、発電機12が第一電池202を充電することで第一電池202の充電状態が閾値以上となるまでの間は、ステップ53で第一電池スイッチ205を閉成すると共に、第二電池スイッチ209を開放する。そして、第一電池202の電圧が閾値以上となった後に、ステップ34を実行して第一電池スイッチ205および第二電池スイッチ209を閉成する。このようにしても、第2の実施形態で説明したのと同様の効果を奏することができる。
(第3の実施形態)
以上説明した第1、第2の実施形態では、図3や図5の処理において、第一電池202の電圧や、第二電池206の電圧によっては、第一電池202から第二電池206への充電時に流れる充電電流が大きくなってしまうことがある。その結果、第二電池206の充電電流が安全電流以下という条件を満たさない場合もあり得る。本実施形態では、このような場合にも対処できるようにするため、図2の第二電池スイッチ209に替えて、オン抵抗値が異なる複数のスイッチを並列に配置した第二電池スイッチ209Aを設け、これらのスイッチを切り替えて用いるようにした例を説明する。
図4は、本発明の第3の実施形態に係る第二電池スイッチ209Aの構成例を示す図である。図4において、第二電池スイッチ209Aは、互いにオン抵抗が異なるスイッチ41、42を並列に配置して構成されている。スイッチ41は、第一電池202から第二電池206を充電するときに、コントローラ200によってオン(閉成)される。このスイッチ41のオン抵抗値は、第一電池202および第二電池206の電圧がどのような関係にあっても、第一電池202から第二電池206への充電時に流れる電流が安全電流以下となるような値に設定されている。具体的には、スイッチ41のオン抵抗値は、第一電池202の上限電圧、第二電池206の下限電圧および前述の第二電池の安全電流Is2に基づいて設定されていることが好ましい。一方、スイッチ42は、図3の処理を終えて発電機12から第二電池206を充電するときに、コントローラ200によってオン(閉成)される。このスイッチ42のオン抵抗値は、スイッチ41のオン抵抗値よりも小さな値に設定されていることが好ましい。
なお、図4では2つのスイッチ41、42を並列に配置することとしたが、3つ以上のスイッチを並列に配置してもよい。オン抵抗値が異なる複数のスイッチが並列に配置され、そのうちいずれか少なくとも一つが第一電池202から第二電池206を充電するときにオンされ、当該スイッチを除いたスイッチのうちいずれか少なくとも一つが発電機12から第二電池206を充電するときにオンされるものであれば、第二電池スイッチ209Aをどのように構成してもよい。
以上説明した本発明の第3の実施形態によれば、第1、第2の実施形態で説明した作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。
第二電池スイッチ209Aには、第一電池202から第二電池206を充電するときに閉成されるスイッチ41と、発電機12から第二電池206を充電するときに閉成されるスイッチ42と、を含む複数のスイッチが並列に配置されている。そして、スイッチ41のオン抵抗値と、スイッチ42のオン抵抗値とは、互いに異なる。具体的には、スイッチ41のオン抵抗値は、第一電池202の上限電圧、第二電池206の下限電圧および第二電池206の安全電流Is2に基づいて設定されていることが好ましい。また、スイッチ42のオン抵抗値は、スイッチ41のオン抵抗値よりも低いことが好ましい。このようにしたので、第一電池202から第二電池206への充電時に流れる充電電流が大きくなってしまう場合にも、第二電池206の充電電流を安全電流以下とすることができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。前述の第1〜第3の実施形態では、第一電池スイッチ205または第二電池スイッチ209を切り替える際のタイミングによっては、第一電池202および第二電池206と補機負荷14との接続が瞬間的に切断されてしまい、補機負荷14に電源が供給されない場合が生じ得る。本実施形態では、こうしたスイッチ切り替え時の瞬間的な電源供給切断の対策例を説明する。
図11は、本発明の第4の実施形態に係る電池システム10Aの構成を示す図である。図11に示す電池システム10Aには、前述の第1の実施形態で説明した図2の電池システム10と比較して、補機負荷14に対して第一電池202および第二電池206と並列に接続されたコンデンサ111がさらに設けられている。
電池システム10Aにおいて、第一電池スイッチ205および第二電池スイッチ209が両方ともオフ状態になると、コンデンサ111に充電された電力が補機負荷14に供給される。そのため、第一電池202および第二電池206と補機負荷14との接続が瞬間的に切断されたとしても、コンデンサ111から補機負荷14に電源を供給し続けることができる。
なお、マイクロHEV17の駐車中には、コントローラ200はスリープ状態となる。そのため、第一電池スイッチ205および第二電池スイッチ209にFETやIGBT等の半導体スイッチを用いた場合、これらのスイッチにおけるゲート端子の電圧は、マイクロHEV17の駐車中にはLレベルとなる。したがって、第一電池202を保安装置の電源として利用するためには、プルアップ抵抗等を用いることで、コントローラ200のスリープ時に第一電池スイッチ205のゲート端子電圧を強制的にHレベルにして、第一電池スイッチ205をオン状態に保持するようにすることが好ましい。一方、第一電池スイッチ205に機械式リレーを使用した場合には、リレーの電磁石に流れる電流が0となるときにリレーがオンとなるように、第一電池スイッチ205を接続しておけばよい。そのため、プルアップ抵抗は必要ない。さらに、電磁石に電流が流れなくなっても前の切替状態を保持できるラッチアップ方式のリレーを使用してもよい。この場合、プルアップ抵抗が不要であり、かつ、上記のように電流が0であるときの切替状態を考慮した接続としなくてもよい。
また、第一電池スイッチ205にFETやIGBT等の半導体スイッチを使用するために、その半導体スイッチを駆動するドライバ回路が電池システム内に搭載される場合がある。この場合、マイクロHEV17の駐車中においても、ドライバ回路の電源を落とさないようにすることが好ましい。さらにこの場合に、もしドライバ回路の消費電流が大きければ、第一電池スイッチ205と並列に機械式リレーを接続して、電磁石の電流を0にしたときにそのリレーがオンとなるようにしてもよい。このようにすれば、イグニッションがオンされたときの切替動作を第一電池スイッチ205に分担させることができるため、機械式リレーの寿命を延ばすことができる。
または、第一電池スイッチ205にダイオードを並列に繋いでおくことで、プルアップ抵抗を不要としてもよい。この場合のダイオードの向きは、第一電池202から発電機12および補機負荷14に向かう方向に電流が流れる向きとすればよい。
一方、第二電池スイッチ209にFETやIGBT等の半導体スイッチを用いる場合には、半導体スイッチのゲート端子にプルダウン抵抗を接続しておくことで、マイクロHEV17の駐車中にオフとなるようにすることが好ましい。
なお、以上説明したプルアップ抵抗やプルダウン抵抗は、第一電池スイッチ205や第二電池スイッチ209として用いるFET等の半導体スイッチがpチャンネルかnチャンネルかで、接続先の電圧が変わる。しかし、いずれの場合であっても、マイクロHEV17の駐車中に第一電池スイッチ205がオンとなり、第二電池スイッチ209がオフとなるように接続されていればよい。ただし、第二電池206を保安装置の電源として利用する場合は、上記とは反対に、マイクロHEV17の駐車中に第一電池スイッチ205がオフとなり、第二電池スイッチ209がオンとなるように、プルアップ抵抗やプルダウン抵抗を接続することが好ましい。
以上説明した本発明の第4の実施形態によれば、第1、第2の実施形態で説明したのと同様の作用効果を奏する。また、電池システム10Aは、補機負荷14に対して第一電池202および第二電池206と並列に接続されたコンデンサ111をさらに備える。そのため、第一電池202および第二電池206と補機負荷14との接続が瞬間的に切断されたとしても、コンデンサ111から補機負荷14に電源を供給し続けることができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態では、マイクロHEV17の駐車中に、コントローラ200を起動せずに第一電池202から第二電池206を充電する例を説明する。
図12は、本発明の第5の実施形態に係る電池システム10Bの構成を示す図である。図12に示す電池システム10Bには、前述の第1の実施形態で説明した図2の電池システム10と比較して、第一電池202と第二電池206の間に、ツェナーダイオード121およびトリクル充電スイッチ122がさらに設けられている。
トリクル充電スイッチ122は、マイクロHEV17を駐車して電池システム10Bの動作が停止されたときに、コントローラ200によりオン(閉成)状態に切り替えられる。トリクル充電スイッチ122がオン状態になると、ツェナーダイオード121およびトリクル充電スイッチ122を介して、第一電池202から第二電池206が充電される。この充電は、第一電池202と第二電池206の電圧差がツェナーダイオード121のツェナー電圧と等しくなるまで行われる。
なお、ツェナーダイオード121のツェナー電圧は、マイクロHEV17の駐車中に予想される第一電池202および第二電池206の電圧に基づいて設定することが好ましい。たとえば、長期駐車時に予想される第一電池202の最低電圧と第二電池206の最低電圧の差分を、ツェナーダイオード121のツェナー電圧に設定できる。具体的には、たとえば第一電池202の予想最低電圧を12Vとし、第二電池206の最低電圧を、カタログ等に記載された充電率0%のときの電圧値とすればよい。あるいは、ツェナーダイオード121を設けなくてもよい。この場合、第一電池202の電圧と第二電池206の電圧が等しくなるまで、第一電池202により第二電池206がトリクル充電される。
トリクル充電スイッチ122には、前述の第4の実施形態で説明したように、FETやIGBT等の半導体スイッチを用いることで、マイクロHEV17の駐車中、すなわち電池システム10Bの動作停止時に、オン状態が保持されるようにすることができる。あるいは、前述のように機械式リレーを用いてもよい。電池システム10Bの停止時には閉成(オン)され、電池システム10Bの起動時に開放(オフ)されるものであれば、どのようなスイッチをトリクル充電スイッチ122に用いてもよい。
以上説明した本発明の第5の実施形態によれば、第1、第2の実施形態で説明したのと同様の作用効果を奏する。また、電池システム10Bは、第一電池202と第二電池206との間に設けられ、電池システム10Bの停止時に閉成され、電池システム10Bの起動時に開放されるトリクル充電スイッチ122をさらに備える。そのため、マイクロHEV17の駐車中にコントローラ200を起動しなくても、第一電池202から第二電池206を充電して、発電機12から第二電池206を充電する際に過大な充電電流が流れるのを防止できる。
なお、以上説明した第1〜第5の各実施形態において、第二電池206にリチウムイオン電池等の二次電池を使用すると、長期駐車中には自己放電により、第二電池206の電圧が所定の下限電圧以下となって過放電状態となる場合がある。この下限電圧は、たとえば4本のリチウムイオン電池を直列接続した場合、約8V(1本当たり約2V)程度である。このような場合、電池としての機能が失われてしまい、第二電池206を交換せざるを得なくなる。そのため、第二電池206として、たとえばリチウムイオンキャパシタや電気二十層キャパシタのように、電圧が低くなっても交換が不要である充放電可能なデバイスを使用してもよい。同様に、第一電池202についても、二次電池以外の充放電可能なデバイスを使用することができる。すなわち、本発明では、充放電可能な蓄電装置であれば、どのようなものを第一電池202および第二電池206として使用してもよい。
以上説明した各実施形態や各種の変化例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。