JP6405573B2 - 18f原子が導入された4‐ボロノ−l−フェニルアラニンの製造方法および18f原子が導入された4‐ボロノ−l−フェニルアラニンの前駆体 - Google Patents

18f原子が導入された4‐ボロノ−l−フェニルアラニンの製造方法および18f原子が導入された4‐ボロノ−l−フェニルアラニンの前駆体 Download PDF

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Description


本発明は、18F原子が導入された4‐ボロノ−L−フェニルアラニン(18F標識化BPA)(BPA;4-Boronophenylalanine)の製造方法およびその前駆体に関する。

現在、陽電子断層撮影法(Positron Emission Tomography : PET)は、その原理から、感度が高く定量性に優れ、画像化が容易な技術として、注目され、広く用いられている。診断に用いるPET診断薬(トレーサ)の半減期は短く、微量投与のため生体被曝が少なく、低侵襲性の検査法であることも、PETの大きな利点と考えられる。しかも、PETは、CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像撮影)では判定が難しい腫瘍に対しても、高感度で、癌組織の画像評価が可能になっている。

BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)のホウ素薬剤として用いられているホウ素化アミノ酸であるBPAに、18F-フッ素原子が導入された18F標識化BPAは、1991年、石渡によりPETの分子プローブとして開発された(非特許文献1)。以来、本プローブを用いて行う18F標識化BPAによるPET検査は、BNCTを支える重要な技術の一つとなっている。すなわち、臨床や研究の現場で、対象に対して事前に測定された18F‐BPA・PET画像により、BPAの体内集積分布、腫瘍組織/正常組織存在比(T/N 比)等の情報を得ることができ、これらの情報を基にBNCTの治療効果を事前に想定し、研究または治療計画を策定することが可能となっている。

石渡の合成方法では、BPAを直接フッ素化して18F標識化BPA を得るもので、18Fプラスを求電子試薬とする。サイクロトロンで加速した重水素(D)とネオン(Ne)から、18Fガスを調製し、酢酸ナトリウムを充填したカラムに通塔させることにより、CH3COO-18F+に変換した後、これをBPAのトリフルオロ酢酸溶液に、バブリング導入して、目的とする18F標識化BPA合成が達成される。

18F標識化BPA の合成方法としては、さらに、このような従来法を一部改善したVahataloら(非特許文献2)も提案されている。大量に得られるH18Fを用い、18F2の中間体としてCH3 18Fを経由する手法であり、H2 18Oにプロトンを照射[18O(p,n)18F反応]したH18FをCH3Iと反応させることにより、いったんCH3 18Fを合成し、得られたCH3 18Fを放電させることによりC-F結合を解離させ18F2とし、これを用いて、石渡らの合成法と同じく、18F標識化BPAを合成する手法である。

Appl. Radiat. Isot., 42, 325, 1991. J. Label. Compd.Radiopharm., 45, 697, 2002

しかしながら、従来の石渡らの合成方法により得られる18F標識化BPA では、その比放射能活性が低く、かつ収量が極端に少ない。改良法によっても、得られる18F標識化BPAの比放射能活性は高くはなるものの、収量は少ない状態である。

本発明は18F標識化BPA の合成の為の中間体となり得る新規な化合物を提供することを目的とする。

本発明はまた、このような新規な化合物を製造する方法、およびそれを用いた18F標識化BPAの製造方法を提供することを目的とする。

本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、18F標識化BPAの新たな合成法を見出し、本発明を完成するに至った。

すなわち、本発明は、下記式で表わされる化合物に関する。




ここで、R1は、ブロモ基、ヨード基、フルオロ基、ジアザボリナン誘導体、BX3 -、またはBX3 -M(Xはハロゲンを表わし、M+は、1価の単原子陽イオン、多原子陽イオン、または錯陽イオンを表わす)を表わす。

本発明はまた、下記化合物




(ここで、R1は、ブロモ基、ヨード基、フルオロ基、ジアザボリナン誘導体、BX3 -、またはBX3 -M(Xはハロゲンを表わし、M+は、1価の単原子陽イオン、多原子陽イオン、または錯陽イオンを表わす)を表わし、R2は、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、ホウ酸もしくはホウ酸エステルOSO2R、N R4 R5、 N R4 R5 R6 R7(ここで、R3は、炭素数1〜7のアルキル基、ハロゲンで置換された炭素数1〜7のアルキル基、または任意に置換されたフェニル基を表わし;R4およびR5は、同一または異なって、炭素数1〜7のアルキル基、ハロゲンで置換された炭素数1〜7のアルキル基、任意に置換されたフェニル基を表わすか、Nとともに3〜7個のメンバーを有する環構造を形成する; R6 は、炭素数1〜7のアルキル基、R7は、ハロゲンまたはスルホネートを表わす)のいずれかを表わす)

を使用する工程を含む、下記化合物




(ここで、R1は、ブロモ基、ヨード基、フルオロ基、ジアザボリナン誘導体、BX3 -、またはBX3 -M+(Xはハロゲンを表わし、M+は、1価の単原子陽イオン、多原子陽イオン、または錯陽イオンを表わす)を表わす)の製造方法に関する。

本発明はまた、下記化合物




(ここで、R1は、ブロモ基、ヨード基、フルオロ基、クロロ基、ニトロ基、アミノ基、ジアザボリナン誘導体、BX3 -、またはBX3 -M(Xはハロゲンを表わし、M+は、1価の単原子陽イオン、多原子陽イオン、または錯陽イオンを表わす)を表わす)を使用する工程を含む、

18F標識化BPA の製造方法、に関する。

上記18F標識化BPA の製造方法において、上記XはFを表わし、M+は、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、テトラアリールアンモニウムイオン、テトラアルキルフォスフォニウムイオン、テトラアリールフォスフォニウムイオン、またはイミダゾリウムイオンを表わすことが好ましい。

本発明の新規な化合物および製造方法は、特に、18F標識化BPAの製造において、好都合に使用することができる。

図1は、本発明の新規な化合物の合成を確認する薄層クロマトグラフィの結果を示す。 図2は、本発明の新規な化合物の合成を確認する薄層クロマトグラフィの結果を示す。

18F標識化BPA を合成する既存の方法は、BPAを直接フッ素化する方法であり、特には18Fを求電子試薬として求電子反応を行うことで達成される。発明者らは、そのような既存の合成経路において、18F2ガスのサイクロトロン内での調製工程や得られる18F2ガスからFプラスとして利用する工程などにおいて、それぞれ問題があり、さらには混在する19F2分子による反応生成物の発生等から、最終的に得られる18F標識化BPA の比放射能活性は低下していること、1回の合成でPET診断に使用できる18F 標識化BPA は数名分程度の量であることに着目した。本発明の新規な18F標識化BPA合成方法は、従来の方法とは全く異なり、18Fアニオンを利用し得る合成方法であり、装置への負荷が少なく、これまでの合成方法による収量より多い量の18F標識化BPAの合成が可能となる。

本発明では、まず、新規なF化BPAの製造方法、特には18F標識化BPAの製造方法が見出される。さらに、本発明では、そのような新規な18F標識化BPAの製造方法に用いることができる新規な中間体化合物が提供される。この新規な18F標識化BPAの製造方法によって、簡便かつ高収量で、18F標識化BPAを得ることができる。

本発明において、18F標識化BPAとは、




を指す。本発明においては、最終的には、この18F標識化BPA化合物合成へとつながる新規な中間体化合物、および製造方法が提供される。

本発明において、新規な化合物とは、下記式で表わされる化合物と同意義である。




ここで、R1は、ブロモ基、ヨード基、フルオロ基、ジアザボリナン誘導体、BX3 -、またはBX3 -M(Xはハロゲンを表わし、M+は、1価の単原子陽イオン、多原子陽イオン、または錯陽イオンを表わす)を表わす。

限定はされないが、上記R1のハロゲンは、ブロモ基またはヨード基であることが特に好ましい。

本発明で、限定はされないが、上記R1のジアザボリナン誘導体は、特には、ジアミノナフタレン保護ホウ酸、すなわち、2,3-ジヒドロ-1H-ナフト[1,8-デ][1,3,2]ジアザボリニンであることが好ましい。ここで、ホウ素原子が、結合に関わる。

上記BX3 -、またはBX3 -Mは、限定はされないが、XはFを表わし、M+は、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、テトラアリールアンモニウムイオン、テトラアルキルフォスフォニウムイオン、テトラアリールフォスフォニウムイオン、またはイミダゾリウムイオンであることが特に好ましい。

本発明において、このような新規な化合物を製造する方法として、下記化合物




を使用する工程を経ることができる。ここで、R1は、ブロモ基、ヨード基、フルオロ基、ジアザボリナン誘導体BX3 -、またはBX3 -M(Xはハロゲンを表わし、M+は、1価の単原子陽イオン、多原子陽イオン、または錯陽イオンを表わす)を表わし、R2は、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、ホウ酸もしくはホウ酸エステル、OSO2R、N R4R5、 またはN R4 R5 R6 R7を表わす。ここで、R3は、炭素数1〜7のアルキル基、ハロゲンで置換された炭素数1〜7のアルキル基、または任意に置換されたフェニル基を表わし;R4およびR5は、同一または異なって、炭素数1〜7のアルキル基、ハロゲンで置換された炭素数1〜7のアルキル基、任意に置換されたフェニル基を表わすか、Nとともに3〜7個のメンバーを有する環構造を形成する; R6 は、炭素数1〜7のアルキル基、R7は、ハロゲンまたはスルホネートを表わす。スルホネートとしては、CFSO-、MeSO3-、TsO-(-が結合する側を示す)が特に好ましい。



本発明においては、




(R1は、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、ジアザボリナン誘導体、BX3 -、またはBX3 -M(Xはハロゲンを表わし、M+は、1価の単原子陽イオン、多原子陽イオン、または錯陽イオンを表わす)を表わす)で示される化合物を使用して、18F標識化BPAを製造することが可能となる。

本発明で、限定はされないが、上記R1のジアザボリナン誘導体は、特には、2,3-ジヒドロ-1H-ナフト[1,8-デ][1,3,2]ジアザボリニンであることが好ましい。

本発明で、限定はされないが、上記R2のホウ酸エステルは、特には、ピナコール、2,2−ジメチル−1,3-プロパンジオール、N-メチルジエタノールアミン、1,8-ジアミノナフタレン、N-メチルイミノ二酢酸、1,1,1-トリスハイドロキシメチルエタン、およびカテコールからなる群より選択される からなる群より選択される1つであることが好ましい。

本発明の製造方法によって得られる18F標識化BPAは、限定はされないが、特に好ましくは、例えばPET診断薬調製用として提供される。

本明細書において、「Nとともに3〜7個の原子を有する環構造を形成する」とは、飽和または不飽和の炭素および窒素を有する環を指す。限定はされないが、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピラゾール、およびイミダゾールが例示される。

本発明において、炭素数1〜7のアルキル基とは、特には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロキル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基が好ましい。ハロゲンで置換されたアルキル基とは、炭素数1〜7のアルキル基で、任意の数の水素原子がハロゲンに置換されているアルキル基を指す。好ましくは、トリフルオロメチル基であるが、限定はされない。置換されているフェニル基とは、フェニル基、またはフェニル基の1〜3個の位置で、それぞれ独立して、置換基を有するフェニル基を指す。置換されている3〜10員環とは、3〜10員環、または3〜10員環の1〜3個の位置で、それぞれ独立して、置換基を有する3〜10員環を指す。ここで、置換基は、炭素数1〜7のアルキル基や炭素数1〜7のアルコキシ基を指すが限定はされない。

本発明の新規な18F標識化BPAの製造方法においては、本発明の新規な化合物を用いて、例えば、以下のα工程およびβ工程が例示されるがこれに限定されない。ここで、下記反応式において用いられる保護基は、適宜変更することができ、この例に限定されるものではない。さらに、本発明の新規な18F標識化BPAの製造方法においては、本発明の新規な化合物を用いて、例えば、以下のγ工程で例示される反応を経て、α工程のα-1からα-7、もしくは、β工程のβ-7からβ‐10の反応を進めることもできる。

工程α




工程β




工程γ




R20は、水素、またはカルボン酸の保護基PGを表し、ここで、PGは、特には限定されず、当業者に公知のすべてのカルボン酸の保護基を示す。例えば、グリーン・ワッツ著、「プロテクティブグループスイン オーガニック シンセシス第3版(Protective groupsin organic synthesis )」(米国、Wiley-Interscience社)に記載の保護基が挙げられる。代表的には、エステル縮合条件やアルキル化条件を用いて、エステル型にして保護することができる。PGには、例えば、炭素数1〜7個のアルキル基、ベンジル基などの芳香族基が挙げられる。すなわち、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロキル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基などのアルキル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、p-ニトロベンジル基などのパラ位置換ベンジル基などの芳香族基が挙げられる。ここで、パラ位置換ベンジル基とは、パラ位をアルキル基、アルコキシル基、ニトロ基、またはアミノ基などで置換されたベンジル基を指す。特に好ましくは、脱保護の際、ラセミ化の影響を受けにくいtert-ブチル基もしくはベンジル基である。

R30またはR40は、独立して、水素、またはアミノ基の保護基PG2を表す。アミノ酸の保護基としては、当業者に公知のすべての保護基が含まれる。例えば、グリーン・ワッツ著、「プロテクティブグループスイン オーガニック シンセシス第3版(Protective groupsin organic synthesis )」(米国、Wiley-Interscience社)に記載の保護基が挙げられる。好ましくは、ベンジルオキシカルボニル基、アセチル基、トリフルオロエチルカルボオキシ基、tert-ブチルオキシカルボニル基、フルオレニルメチルオキシカルボニル基、トリクロロエトキシカルボニル基、トリフルオロアセチル基、アリルオキシカルボニル基、ベンジル基、プロパルギルオキシカルボニル基、ベンゾイル基、フタロイル基、トルエンスルホニル基、ニトロベンゼンスルホニル基等が挙げられるがこれらに限定するものではない。中でも、短時間で脱保護が可能なベンジルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基が好適である。さらには、Nと共に、二置換メチレンアミノなどを形成するものであってもよい。

本明細書中で、R15およびR16は、共に、B(ホウ素原子)と一緒になってBの保護基としての環を形成している場合、置換されていてもよい飽和または不飽和の3〜10員環を形成する基が好ましい。ここでの環構造は、スピロ環や縮合環をも含む。環を形成し得る基としては、ピナコール、2,2−ジメチル−1,3-プロパンジオール、N-メチルジエタノールアミン、1,8-ジアミノナフタレン、N-メチルイミノ二酢酸、1,1,1-トリスハイドロキシメチルエタン、カテコール、等が挙げられるが限定はされない。特には、ピナコールが好適である。

工程αおよびβの各工程の反応において、反応温度は、溶媒、出発原料、試薬等により異なり、適宜選択される。また、反応時間は、溶媒、出発原料、試薬、反応温度等により異なり、適宜選択される。

各工程の反応において、反応終了後、各工程の目的化合物は、常法にしたがって反応混合物から単離され得る。

目的化合物は、例えば、(i)必要に応じて触媒等の不溶物を濾去し、(ii)反応混合物に水、および、水と混和しない溶媒(例えば、酢酸エチル、クロロホルム等)を加えて目的化合物を抽出し、(iii)有機層を水洗して、必要に応じて無水硫酸マグネシウムのような乾燥剤を用いて乾燥させ、(iv)溶媒を留去することによって得られる。得られた目的化合物は、必要に応じて、公知の方法(例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等)により、さらに精製することができる。また、各工程の目的化合物は精製することなく次の反応に提供することも可能である。

本発明においては、最初に、一旦本発明の18F標識化ホルミル基含有化合物を合成することが重要である。一旦本発明の18F標識化ホルミル基含有化合物が調製できれば、その後の反応は本明細書の記載に従って、通常のFを有する化合物から反応を進める方法と同様の方法で、最終的にF標識化BPAを製造することが可能である。本発明の18F標識化ホルミル基含有化合物を調製する際には、例えば、加速したプロトンをH2 18Oに照射して、18O (p, n) 反応によりH18F−フッ化水素酸を合成し、これをイオン交換樹脂カラムに通塔して吸着させ、非吸着の原料であるH2 18O と分離する。このカラムをK2CO3水溶液で溶出してK+ 18F-を得、これを求核剤に用いることが好ましい。

(α工程) α−1工程は、化合物を18F-を使用して18F化する工程である。

例えば、加速器から発生させたプロトンとH2 18Oを用いて18O(p,n)18F反応により生成したH18Fを常法に従い、K18F/クリプトフィックス(2,2,2)に調製する。例えば4−ブロモ−2−ニトロベンズアルデヒドに、K18F/クリプトフィックス(2,2,2)のDMSO溶液を加え、一定時間加熱撹拌する。

反応終了後、反応液にアセトニトリルなどの希釈液を加えて、反応確認液とする。

使用される溶媒は、DMSOに限らず、アセトニトリル、DMF、THF、ジオキサン、エタノール、イソプロパノールのようなアルコール系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、アセトンこれらのうち2種以上の混合溶媒が挙げられるが、なかでも、DMSO、アセトニトリルが好適である。

反応温度は、好適には、100〜200℃以上であり、より好適には、120〜180℃である。反応時間は、好適には、3分間〜2時間であり、より好適には、5分〜1時間である。



(α−2工程) α−2工程は、4−ハロゲン-2-フルオロベンズアルデヒドをメタノールに溶解させ、その後、NaBH4にて室温、数分間〜数時間反応させる。その後、水を加え、酢酸エチルなどによって抽出する。



用いられる試薬は、NaBH4あるいはLiAlH4などの還元剤である。

使用される溶媒は、特に限定されないが、メタノールの他、エタノールなどのアルコール系溶媒、THF、ジオキサン、アセトン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、四塩化炭素が挙げられ、特に好適には、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒が挙げられる。

反応温度は、好適には、0〜120℃であり、より好適には、0〜40℃である。

反応時間は、好適には、1時間〜24時間であり、より好適には、5分間〜1時間である。

α−3工程は、4-ハロゲン-2-フルオロベンジルブロマイドを製造する工程である。α-2で得られた化合物を、臭化水素酸に溶解させ、数分間反応させる。

使用される反応剤は、限定はされないが、臭化水素酸の他、N-ブロモスクシンイミド、チオニルクロリド等が好ましく用いられる。反応速度から、臭化水素酸が特に好ましい。

使用される溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、THFなどのエーテル系溶媒、水などが好ましい。特に好ましくは、環境面から、水である。

反応温度は、好適には、−20℃〜160℃であり、より好適には、室温〜120℃である。

反応時間は、好適には、5分間〜24時間であり、より好適には、5〜15分間である。

得られた化合物は、精製してもよいが、精製せずに次の工程に進むこともできる。

(α-4工程)

α-4工程は、4-ハロゲン-2-フルオロベンジルヨーダイドの製造である(化合物1005の製造)。化合物1002のホルミル基をヨウ素化する。ヨウ素化の試薬としては、限定はされないが、1,3-ジヨード-5,5’-ジメチルヒダントイン 、N-ヨードスクシンイミド、あるいはジヨードシランなどの公知の試薬が用いられる。

(α-5工程)

化合物1004または1005を塩基の存在下にて、一般的に丸岡反応に用いられる相間移動触媒および修飾アミノ酸と反応させて、化合物1006を製造する工程である。

使用される丸岡反応における修飾アミノ酸としては、限定はされないが、好ましくは、N-ジフェニルメチレングリシンメチルエステル、N-ジフェニルメチレングリシンエチルエステル、N-ジフェニルメチレングリシンN-ジフェニルメチレングリシンt-ブチルエステル、4−クロロベンジリデングリシンt−ブチルエステル、N-ジフェニルメチレングリシンベンジルエステルがあげられる。中でも、N-ジフェニルメチレングリシンt-ブチルエステルが特に好ましい。

使用される塩基は、限定はされないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、さらにはトリエチルアミン等が好ましく用いられる。反応速度から、水酸化カリウムが特に好ましい。

使用される丸岡反応における修飾アミノ酸としては、好例には、O-アリル-N-(9-アントラセニルメチル)シンコニジニウムブロミド、(S)-(+)-4,4-ジブチルl-2,6-ビス(3,4,5-トリフルオロフェニル)-4,5-ジハイドロ-3H-ジナフト[7,6,1,2-cde]アゼミピウム ブロミドなどが、あげられる。

使用される溶媒は、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルムなどが好ましい。特に好ましくは、環境面から、トルエンである。

反応温度は、好適には、−20℃〜100℃であり、より好適には、−4℃〜室温である。

反応時間は、好適には、30分間〜24時間であり、より好適には、1〜18時間である。

(α-6工程)

α-6工程は、化合物1006をホウ素化する工程である。R15およびR16は、共に、B(ホウ素原子)と一緒になってBの保護基としての環を形成し得る。ここでの環構造は、スピロ環や縮合環をも含む。環を形成し得る基としては、限定はされず、ピナコール、2,2−ジメチル−1,3-プロパンジオール、N-メチルジエタノールアミン、1,8-ジアミノナフタレン、N-メチルイミノ二酢酸、1,1,1-トリスハイドロキシメチルエタン、カテコール、等が挙げられる。特には、ピナコールが好適である。ピナコールホウ酸誘導体を製造する場合には、パラジウム触媒およびリガンド存在下にて、ピナコールホウ素化試薬を使用することができる。この時、マイクロ波照射等を用い得る。使用される触媒としては、鈴木-宮浦カップリング反応で一般的に使用されるパラジウム触媒、例えば塩化パラジウムシンナミル錯体、酢酸パラジウム、トリスジベンジリデンアセトンジパラジウムなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。

マイクロ波照射条件は、好適には、室温〜200℃であり、より好適には、80℃〜180である。反応時間は、好適には、1分間〜60分間であり、より好適には、5分間〜30分間である。

配位子としては、鈴木-宮浦カップリング反応で一般的に使用されるリン系配位子、例えばトリシクロヘキシルホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2,4,6-トリiso-プロピルビフェニル、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2,-(N,N)-ジメチルアミノビフェニル、3,5-ジメトキシ-2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2,4,6-トリisoプロピルビフェニル、3,5-ジメトキシ-2-ジtert-ブチルホスフィノ-2,4,6-トリisoプロピルビフェニルなどが挙げられるがこれらに限定するものではない。

使用される塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、さらにはトリエチルアミン等が用いられるが、限定されない。特には緩和な炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好適である。使用される溶媒は、トルエン、ジオキサン、DMSOなどが好適である。

上記のようにして得られた化合物を常法により脱保護して、目的の18F標識化BPAを得ることができる。

(β-1工程)

β−1工程は、化合物1011のホウ酸部分をトリハロゲノ化する製造工程である。例えば4−ホルミル−3−フルオロフェニルホウ酸のアセトニトリル懸濁液にフッ化カリウム水溶液を加え完全に溶解するまで撹拌した後、L−酒石酸のTHF溶液を添加する。析出した沈殿物を濾取した後、濾液を減圧濃縮する。

使用されるフッ化物塩は、フッ化カリウムの他、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム等が挙げられるが限定されない。より好適にはフッ化カリウムが望ましい。

使用される試薬は、L-酒石酸、クエン酸、酢酸等が挙げられるが限定されない。より好適にはL-酒石酸である。

使用される溶媒は、DMSO、DMF、水、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、THF、メタノール、エタノールなど、あるいはこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられるが、なかでも、アセトニトリル、水、THFの組み合わせが好適である。反応温度は、0〜100℃であり、より好適には10〜40℃である。



(β−2工程)

β−2工程は、化合物1012を、K18F/クリプトフィックス(2,2,2)存在下、18F標識を行う反応である。加速器から発生させたプロトンとH2 18Oを用いて18O(p,n)18F反応により生成したH18Fを常法に従い、K18F/クリプトフィックス(2,2,2)に調製する。例えば4−ホルミル−3−フルオロフェニルトリフルオロボレート カリウム塩に、K18F/クリプトフィックス(2,2,2)のDMSO溶液を加え、一定時間加熱撹拌する。

反応終了後、反応液にアセトニトリルなどの希釈液を加えて、反応確認液とする。



使用される溶媒は、DMSOに限らず、アセトニトリル、DMF、THF、ジオキサン、エタノール、イソプロパノールのようなアルコール系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、アセトンこれらのうち2種以上の混合溶媒が挙げられるが、なかでも、DMSO、アセトニトリルが好適である。

反応温度は、好適には、100〜100℃以上であり、より好適には、120〜180℃である。反応時間は、好適には、3分間〜2時間であり、より好適には、5分〜1時間である。



(β−3工程)

β−3工程は、化合物(1013)を加水分解してボロン酸化する工程である。例えば、4−ホルミル−3−フルオロフェニルトリフルオロボレートカリウム塩と塩化鉄(III)にTHFと水を加えて撹拌した後、中性アルミナでろ過した濾液を減圧濃縮する。

使用される試薬は、塩化鉄(III)の他、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、酸化アルミ、塩化ケイ素、クロロトリメチルシラン、シリカゲル等が用いられるが限定されない。なかでも塩化鉄(III)がより好適である。

使用される溶媒は、アセトニトリル、DMSO、DMF、THF、水、メタノール、エタノール、アセトンおよびこれらのうち2種以上の混合溶媒などが挙げられるが、好ましくは、THFと水の混合溶媒が好適である。

反応温度は、好適には、−20℃〜100℃であり、より好適には、10〜70℃である。反応時間は、好適には、5分間〜24時間であり、より好適には、10分間〜4時間である。

(β−4工程)

β−4工程は、化合物1014のホルミル基をヨウ素化し、化合物1015を製造する工程である。ハロゲン化の条件は、α-3と同様である。ヨウ素化の試薬としては、限定はされないが、1,3-ジヨード-5,5’-ジメチルヒダントイン 、N-ヨードスクシンイミド、あるいはジヨードシランなどの公知の試薬が用いられる。

(β−5工程)

化合物1015を塩基の存在下にて、一般的に丸岡反応に用いられる相間移動触媒および修飾アミノ酸と反応させて、化合物1016を製造する工程である。

使用される丸岡反応における修飾アミノ酸としては、限定はされないが、好ましくは、N-ジフェニルメチレングリシンメチルエステル、N-ジフェニルメチレングリシンエチルエステル、N-ジフェニルメチレングリシンN-ジフェニルメチレングリシンt-ブチルエステル、4−クロロベンジリデングリシンt−ブチルエステル、N-ジフェニルメチレングリシンベンジルエステルがあげられる。中でも、N-ジフェニルメチレングリシンt-ブチルエステルが特に好ましい。

使用される塩基は、限定はされないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、さらにはトリエチルアミン等が好ましく用いられる。反応速度から、水酸化カリウムが特に好ましい。

使用される丸岡反応における修飾アミノ酸としては、好例には、O-アリル-N-(9-アントラセニルメチル)シンコニジニウムブロミド、(S)-(+)-4,4-ジブチルl-2,6-ビス(3,4,5-トリフルオロフェニル)-4,5-ジハイドロ-3H-ジナフト[7,6,1,2-cde]アゼミピウム ブロミドなどが、あげられる。

使用される溶媒は、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルムなどが好ましい。特に好ましくは、環境面から、トルエンである。

反応温度は、好適には、−20℃〜100℃であり、より好適には、−4℃〜室温である。

反応時間は、好適には、30分間〜24時間であり、より好適には、1〜18時間である。

(β−6工程)

β−6工程は、化合物1014のホウ酸部分を2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールにてエステル化する製造工程である。

使用される溶媒は、アセトン、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルム、THF、ジオキサン、メタノール、エタノールなどが挙げられるが、好ましくは、還元反応に不活性なジクロロメタン、THFが好適である。

反応温度は、好適には、−20℃〜100℃であり、より好適には、室温乃50℃である。反応時間は、好適には、30分間〜24時間であり、より好適には、3〜18時間である。

(β−7工程)

β−7工程は、化合物1017をウィッティヒ関連反応により、オレフィン化させる製造工程である。使用される反応剤は、限定はされないが、ウィッティヒ関連反応等が好ましく用いられる。反応速度から、ウィッティヒ・ホーナー試薬が特に好ましい。

使用される溶媒は、THFなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、酢酸エチルなどである。特に、扱いやすさから、THFが望ましい。

反応温度は、好適には、−100℃〜0℃であり、より好適には、−80〜−200℃である。

反応時間は、好適には、5分間〜24時間である。

(β−8工程)

β−8工程は、化合物1018を還元水素化することにより、化合物1019を製造する工程である。

使用される触媒としては、水酸化パラジウム、パラジウム炭素等が用いられるが、これに限定するものではない。

使用される溶媒は、アセトン、THF、メタノール、エタノールなどが挙げられるが、好ましくは、還元反応に不活性なメタノール、エタノールが好適である。

反応温度は、好適には、−20℃〜100℃であり、より好適には、室温〜50℃である。反応時間は、好適には、30分間〜24時間であり、より好適には、3〜18時間である。

(β−9工程)

β−9工程は、化合物1019を加水分解し、脱2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール化することにより、化合物1020を製造する工程である。

加水分解として使用される試薬としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液が用いられるが、これに限定するものではない。

反応温度は、好適には、−20℃〜100℃であり、より好適には、室温〜50℃である。反応時間は、好適には、30分間〜24時間であり、より好適には、3〜18時間である。

脱2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール化反応として、水・有機2層溶媒系において、フェニルホウ酸をスカベンジャーとして用いる。

反応溶媒としては、水層は希塩酸や希硫酸、一方、有機層はジエチルエーテル、クロロホルム、トルエンなどが挙げられるが、好ましくは、水層は希塩酸、有機層はジエチルエーテルが好適である。

加水分解反応温度は、好適には、−20℃〜50℃であり、より好適には、室温〜40℃である。反応時間は、好適には、30分間〜24時間であり、より好適には、1〜5時間である。一方、脱2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール化反応温度は、好適には、−20℃〜50℃であり、より好適には、室温〜40℃である。反応時間は、好適には、30分間〜24時間であり、より好適には、1〜18時間である。

(β−10工程)

β−10工程は、化合物1020を脱保護する工程である。例えばアミノアシラーゼにて光学分割することにより、脱保護と光学分割を同時に行い、化合物1021を製造することができる。

反応温度は、好適には、室温〜50℃であり、より好適には、30〜40℃である。反応時間は、好適には、30分間〜48時間であり、より好適には、8〜24時間である。

(γ‐1工程)

γ‐1工程は、ホルミルフェニルホウ酸を2価アルコール等によりホウ酸エステルとして保護する工程である。例えば、ホルミルフェニルホウ酸とジメチルプロパンジオールとをTHFに溶解し、反応させることによって進めることができる。

使用される試薬は、ピナコール、2,2−ジメチル−1,3-プロパンジオール、N-メチルイモノ二酢酸、N-メチルジエタノールアミン、1,8-ジアミノナフタレン、1,1,1-トリスハイドロキシメチルエタン、およびカテコールが挙げられるが限定はされない。より好適には、ピナコール、2,2−ジメチル−1,3-プロパンジオールである。

使用される溶媒は、アセトニトリル、DMSO、DMF、THF、水、メタノール、エタノール、アセトンおよびこれらのうち2種以上の混合溶媒などが挙げられるが、好ましくは、THFが好適である。

反応温度は、好適には、−20℃〜100℃であり、より好適には、10〜70℃である。反応時間は、好適には、5分間〜24時間であり、より好適には、10分間〜8時間である。

(γ‐2工程)

γ‐2工程は、ホルミル基を保護する工程である。例えば、γ‐1で得られる化合物を、ベンゼンなどの溶媒に溶解し、エチレングリコールおよびp−トシル・1水和物を加えて還流反応を行うことで、反応させることによって進めることができる。

使用される酸触媒は、パラトルエンスルホン酸の他、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられるが限定されない。より好適には、パラトルエンスルホン酸である。また、使用される試薬は、エチレングリコール、ピナコール、1, 3−プロパンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール等の2価アルコール、もしくは、メタノール、エタノール等の1価アルコールが挙げられるが限定されない。より好適には2価アルコールのエチレングリコールである。

使用される溶媒は、DMSO、アセトン、アセトニトリル、THF、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられるが、ベンゼンが好適である。

反応温度は、好適には、−20℃〜120℃であり、より好適には、20〜100℃である。反応時間は、好適には、5分間〜24時間であり、より好適には、1時間〜4時間である。

(γ‐3工程)

γ‐3工程は、5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサボリナンを、ジアミノナフタレン化する反応である。例えば、γ‐2で得られた化合物を、テトラヒドロフランに溶解し、ジアミノナフタレンを加えることで、反応を進めることができる。

使用される溶媒は、アセトニトリル、DMSO、DMF、THF、アセトン、トルエン、キシレンおよびこれらのうち2種以上の混合溶媒などが挙げられるが、好ましくは、THFが好適である。

反応温度は、好適には、−20℃〜120℃であり、より好適には、10〜70℃である。反応時間は、好適には、5分間〜24時間であり、より好適には、4時間〜18時間である。

(γ‐4工程) γ‐4工程は、アセタールの加水分解により、アルデヒドを得る工程である。

使用される溶媒は、DMSO、THF、ジオキサン、水、メタノール、エタノール、アセトンおよびこれらのうち2種以上の混合溶媒などが挙げられるが、好ましくは、THFが好適である。

反応温度は、好適には、−20℃〜150℃であり、より好適には、10〜100℃である。反応時間は、好適には、5分間〜24時間であり、より好適には、10分間〜8時間である。

各誘導体において、一旦本発明の18F標識化ホルミル基含有化合物が合成されれば、その後の合成は進めることができる。実際に化合物中にFが含まれ、合成が進むことを確認できれば、Fの代わりに、18Fで標識化を含む化合物で同じ反応を行うことが可能である。

本発明においては、一旦の18F標識化ホルミル基含有化合物を作成することが重要である。ここでは、例えば、加速したプロトンをH2 18Oに照射して、18O (p, n) 反応によりH18F−フッ化水素酸を合成し、これをイオン交換樹脂カラムに通塔して吸着させ、非吸着の原料であるH2 18O と分離する。このカラムをK2CO3水溶液で溶出してK+ 18F-を得、これを求核剤に用いることで、18F化ができる。




さらに、各保護基は常法により、脱保護することができ、目的とするF化BPAを作製することができる。

本発明の方法を用いることによって、このような18F標識化化合物は収率良く、かつ比活性の良好な状態で得ることができる。

以下の実施例により、本発明をさらに詳述するが、かかる発明はこれに限定されるものではない。

なお、下記実施例において、化合物の分析および分離精製には以下の機種や試薬を用いて行った。

・NMRスペクトル:(日本電子社製、JNM-ALseries AL400 400MHz)

マイクロ波照射は、BiotageのInitiator+を用いた。

(実施例1)[18F]4−ブロモ−2−フルオロベンズアルデヒドの製造

加速器から発生させたプロトンとH 18Oを用いて18O(p,n)18F反応により生成したH18Fを常法に従い、K18F/クリプトフィックス(2,2,2)に調製した。4−ブロモ−2−ニトロベンズアルデヒド(10 mg,0.04 mmol)に、K18F/クリプトフィックス(2,2,2)(比放射能 36.8 MBq)のDMSO(1.0mL)溶液を加え、120℃で10分間加熱撹拌した。

反応終了後、反応液にアセトニトリル(100 mL)を加えて希釈し、反応確認液とした。原料である4−ブロモ−2−ニトロベンズアルデヒド、別途調製した[19F]4−ブロモ−2−フルオロベンズアルデヒド及び反応確認液をシリカゲルプレートにスポットし、移動相(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/4)を用いて展開した。

UV検出器(波長 254 nm)及びBASシステムにより[19F]4−ブロモ−2−フルオロベンズアルデヒドと同じRf値(Rf=0.7)となる反応確認液中のスポットを確認し、次いで、シリカゲルプレートをスポット毎の分画に切り分け、オートガンマカウンターを用いて各分画のガンマ線量を測定した。その結果、[18F]4−ブロモ−2−フルオロベンズアルデヒドの放射化学的収率は58%であった。図1は、この時の薄層クロマトグラフィの結果を示すもので、左側がUV(254 nm)による検出を表わし、右図がオートガンマカウンターの分画を示す。


(実施例2)

(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)メタノールの製造

4-ブロモ-2-フルオロベンズアルデヒド(10.0g, 48.8 mmol)をメタノール(50 mL)に溶解させ、その後、NaBH4(3.69g, 97.6 mmol)にて室温、30分間反応させた。その後、水(50 mL)を加え、酢酸エチルにて抽出した後、抽出層を水、飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮させることにより、化合物(12.9 g, 99%)が得られた。

得られた化合物を精製せず、次工程に供した。


(実施例3)

4−ブロモ-2-フルオロベンジルブロマイドの製造

上記化合物(7.00g, 34.1 mmol)を、48% 臭化水素酸(35 mL)に溶解させ、10分間、100°にて反応させた。反応終了後、炭酸カリウムにて中和した後、酢酸エチルにて抽出しこの抽出層を水、飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮させることにより、化合物(8.35g, 91 %)が得られた。



1H-NMR (CDCl3): 4.46 (s, 2H, BnCH 2 ),7.25-7.29 (m, 3H, Ar).
(実施例4)

4-ヨード-2-フルオロベンジルヨーダイドの製造

まず、反応剤であるジヨードシラン(DIS)を次の方法によって得た。つまり、ヨウ素(1.28g)をフェニルシラン(2.50 mL)および酢酸エチル(0.15 mL)にて室温にて反応させた。その後、精製せずこの反応剤(DIS)をそのまま次の反応に用いた。



そこで、4-ブロモ-2-フルオロベンズアルデヒド(300mg, 1.48 mmol)をジクロロメタン(50 mL)にて溶解させた後、予め作成しておいたDISを全量加え、室温、10分間反応させた。その後、10% 炭酸水素ナトリウム溶液(5 mL)、10%亜硫酸ナトリウム溶液(5 mL)を添加し、有機層を分離した。この有機層を水、飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮させることにより、粗生成物1004が得られた。これをさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサンのみ)にて精製すると、目的化合物(423 mg, 91 %)を得た。

1H-NMR (CDCl3): 4.58 (s, 2H, BnCH 2 ),7.23-7.32 (m, 3H, Ar).

(実施例5)

tert-ブチル 3-(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)-2-(ジフェニルメチレンアミノ)-プロパノエートの製造

トルエン(100 mL)に、水酸化セシウム(7.54 g, 50.3 mmol)、ベンジル N- (ジフェニルメチレン)グリシネート (5.50 g,16.7 mmol),およびO-ally-N-9-anthracenylmethylcinchonidiumbromide (1.10 g, 1.67 mmol, 0.1 equiv)を添加した。0℃に冷却後、このトルエン混合溶液を激しく攪拌しながら、実施例3で得られた化合物(4.47g, 16.7 mmol)のトルエン(10 mL)溶液を一度に添加する。滴下終了後、そのまま30分間攪拌させた。反応溶液を飽和食塩水(50mL)にて3回洗浄した後、硫酸マグネシウムにて乾燥させ、減圧濃縮すると、粗目的物(8.7g)を得た。これをn-ヘキサンにて再結晶すると、固形物として目的物を得た(2.68g, 83%)。

1H-NMR (CDCl3); 1.44 (s, 9H,t-Bu), 3.11 (dd, J=8.8, 13.2, 1H, CH2-α), 3.26 (dd, J=4.4, 13.6, 1H,CH2-β), 4.17 (dd, J=4.4, 9.2, 1H, CH), 6.73 (d,J=6.4, 2H, Ar), 7.01-7.13 (m, 3H, Ar), 7.29-7.40 (m, 6H, Ar), 7.57 (m, 2H, Ar).



一方、実施例4で得られた化合物からも、同様にして、目的化合物(収率 80 %)を合成した。
(実施例6)

tert-ブチル 2-(ジフェニルメチレンアミノ)-3-(2-フルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)プロパノエートの製造)

窒素気流下、PdCl2(dba)(27.5mg, 0.03 eq.)およびtricyclophosphine(16.8 mg, 0.06 eq.)をジオキサン(5 ml)にけん濁させ、30分間攪拌後、bis(pinacolate)diborane(305 mg, 1.20 mmol)およびKOAc(294 mg, 3.00 mmol)を添加し、さらに、上記化合物(482 mg,1.00 mmol)を添加した。

その後、150℃、15分間マイクロ波照射させることにより、目的物 (418 mg, 79 %)が得られた。



1H-NMR (CDCl3); 1.33 (s, 12H,pinacol), 1.44 (s, 9H, t-Bu), 3.17 (dd, J=9.6, 13.6,1H, CH2-α), 3.34 (dd, J=4.0, 13.6, 1H, CH2-β), 4.20 (dd,J=4.0, 9.2, 1H, CH), 6.67 (d, J=6.0, 2H, Ar),7.08-7.16 (m, 2H, Ar), 7.27-7.82 (m,9H, Ar).
(実施例7)

4−ホルミル−3−フルオロフェニルトリフルオロボレート カリウム塩の製造

4−ホルミル−3−フルオロフェニルホウ酸(1.00g,5.95mmol)を、アセトニトリル(24mL)に懸濁させておき、水(2.4mL)に溶解したフッ化カリウム(1.38g,23.8mmol)を加え、完全に溶解するまで撹拌を行った。

続いて、L-酒石酸(1.83g,12.2mmol)をTHFに溶解し、反応溶液にゆっくりと10分かけて加えた。析出した無色沈殿物を濾別し、アセトニトリルでよく洗浄した後に、濾液を回収した。回収した濾液を減圧濃縮し、目的とする4−ホルミル−3−フルオロフェニルトリフルオロボレート カリウム塩を無色結晶として得た(1.10g,80.2%)。

1HNMR(DMSO-D6):δ=7.11 (m, 1H), 7.29 (d,J=7.2Hz, 1H), 7.59 (dd, J=7.2Hz, 1H), 10.1(s, 1H)


(実施例8)

4−ホルミル−3−[18F]フルオロトリフルオロボレート カリウム塩の製造

加速器から発生させたプロトンとH 18Oを用いて18O(p,n)18F反応により生成したH18Fを常法に従い、K18F/クリプトフィックス(2,2,2)に調製した。4−ホルミル−3−フルオロフェニルトリフルオロボレート カリウム塩(12.5 mg,0.05 mmol)に、K18F/クリプトフィックス(2,2,2)(比放射能 23.0 MBq)のDMSO(1.0 mL)溶液を加え、120℃で10分間加熱撹拌した。

反応終了後、反応液にアセトニトリル(100 mL)を加えて希釈し、反応確認液とした。原料である4−ホルミル−3−フルオロフェニルトリフルオロボレート カリウム塩及び反応確認液をシリカゲルプレートにスポットし、移動相(クロロホルム/メタノール=4/1)を用いて展開した。

UV検出器(波長 254 nm)及びBASシステムにより反応確認液中のスポットを確認し、次いで、シリカゲルプレートをスポット毎の分画に切り分け、オートガンマカウンターを用いて各分画のガンマ線量を測定した。その結果、4−ホルミル−3−[18F]フルオロフェニルトリフルオロボレート カリウム塩の放射化学的収率は12.3%であった。図2は、この時の薄層クロマトグラフィの結果を示すもので、左側がUV(254nm)による検出を表わし、右図がオートガンマカウンターの分画を示す。

(実施例9)

4−ホルミル−3−フルオロフェニルホウ酸の製造

4−ホルミル−3−フルオロフェニルトリフルオロボレート カリウム塩(100mg,0.44mmol)と塩化鉄(III)(77mg,0.48mmol)に、THF(1mL)と水(1mL)をそれぞれ加え、10分間撹拌した。反応溶液を中性アルミナで濾過し、濾液を減圧濃縮することで目的とする4−ホルミル−3−フルオロフェニルホウ酸を無色結晶として得た(60mg,82%)。

1HNMR(DMSO-D6):δ=7.60-7.80(m, 3H), 8.60(br, 2H), 10.2(s, 1H)



(実施例10)4-(3-tert-ブトキシ-2-(ジフェニルメチレンアミノ)-3-オキソプロピル)-3-18フルオロフェニルホウ酸

実施例9で得られた化合物のホルミル基をヨウ素化する。まず、反応剤であるジヨードシラン(DIS)を得る。ヨウ素をフェニルシランおよび酢酸エチルにて室温にて反応させる。その後、精製せずこの反応剤(DIS)をそのまま次の反応に用いることができる。



次に、実施例9で得られる化合物をジクロロメタンにて溶解させた後、予め作成しておいたDISを全量加え、室温にて10分間反応させる。その後、10% 炭酸水素ナトリウム溶液、10%亜硫酸ナトリウム溶液を添加し、有機層を分離する。この有機層を水、飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮させることにより、粗生成物を得る。



得られた粗生成物、(ジフェニルメチレン)グリシン tertブチルエステル、およびO-アリル-N-9-anthracenylmethylcinchonidium bromide、さらに水酸化セシウム・1水和物(163.9 mg)をジクロロメタン(5 mL)にけん濁させる。その後、10分間撹拌させる。触媒をろ取後、ろ液を減圧濃縮すると目的とする粗生成物が得られる。

上記反応で得られた粗生成物にトリフルオロ酢酸若しくは塩化水素酸含有酢酸エチル溶液を加え、室温下5分間反応させる。反応液を減圧濃縮し、セミ分取HPLCにて精製すると目的とする化合物を得る。

(実施例11)

4-(5,5-ジメチル-[1,3,2]ジオキサボリナン-2-イル)-2-フルオロベンズアルデヒド

3-フルオロ-4-ホルミル- フェニルホウ酸(5.07 g、30.3mmol)、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(3.83 g、36.8 mmol)および無水テトラヒドロフラン(40 ml)を入れ、5時間攪拌した。TLCで原料の消失を確認後、溶媒を減圧留去し、残渣をエーテルで抽出した。有機層を水と飽和食塩水溶液で洗浄し、乾燥(芒硝)後、溶媒を減圧濃縮して目的化合物(6.64g, 93 %)を得た。

・1H-NMR(CDCl3)1.03(6H ,s ,2CH3)、3.79(4H ,s ,2CH2)、7.50-7.88(3H ,m ,ArH)、10.39(1H ,s ,CHO)

(実施例12)

2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-[4-(5,5ジメチル-[1,3,2]ジオキサボリナン-2-イル)-2-フルオロフェニル]アクリル酸メチルエステル)

上記実施例11で得られた化合物(3.96 g、12.0mmol)を無水テトラヒドロフラン(80 ml)に溶解させ、ドライアイス/アセトンにより−78℃まで冷却した。十分に冷却した後、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(1.5 ml、28.7 mmol)を滴下し5分間攪拌の後、上記化合物(2.36 g、10.0 mmol)の無水テトラヒドロフラン(20 ml)溶液をゆっくり滴下した。一晩かけて室温に戻し、さらに24時間攪拌した。TLCで原料の消失を確認後、溶媒を減圧除去し、残渣をクロロホルムで抽出した。有機層をリン酸緩衝液(pH 7.0)次いで飽和食塩水で洗浄し、芒硝で乾燥後、溶媒を減圧留去して黄色油状物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル =4:1)により精製し、目的化合物(5.6 g, 84 %)を得た。

・1H-NMR(CDCl3):1.02(6H ,s ,2CH3), 3.76(4H ,s ,2BOCH2), 3.82(3H ,s , COOCH3), 5.07(2H ,s ,ArCH2), 6.57(1H,br ,NH),7.29-7.51(9H ,m ,ArH , C=CH)

(実施例13)

2-アセチルアミノ-3-[4-(5,5ジメチル-[1,3,2]ジオキサボリナン-2-イル)-2-フルオロフェニル]プロパン酸メチルエステル

中圧水添用の反応容器中で、目的化合物(3.0 g、6.8 mmol)をメタノール(30 ml)に溶解し、ここに10 % Pd-C (148 mg)および無水酢酸(1.2 ml、12.7 mmol)を加え水素気流(3 atm)下で一晩攪拌した。TLCで原料の消失を確認した後、パラジウム触媒を濾去し、濾液を減圧濃縮して目的化合物(2.30 g, 96 %)を得た。

1H-NMR(CDCl3):1.02(6H ,s ,2CH3)、1.96(3H ,s ,COCH3)、3.14(1H ,dd ,J = 13.8 ,5.6Hz ,ArCHH)、3.22(1H ,dd ,J = 13.8 ,5.6Hz ,ArCHH)、3.73(3H ,s ,COOCH3)、3.76 (4H ,s ,2BOCH2)、4.85(1H ,dd ,J = 13.8 , 5.6Hz , NCH)、6.00(1H ,br ,NH)、7.07-7.50 (3H ,m ,3ArH)

(実施例14)

D,L-N-アセチル-4-ボロノ-2-フルオロフェニルアラニン

目的化合物(2.02 g、 5.75 mmol)と水 (50 ml)を入れ、1N NaOH(12ml)を加え3時間攪拌した。TLCで原料の消失を確認後、1N HCl (15 ml)を加え、17時間攪拌した。フェニルホウ酸 (0.610 g、5 mmol) をジエチルエーテル(3 ml)に溶解し、これを反応液に加えて3時間攪拌した。析出した結晶を濾集して目的化合物(1.33g, 86%)を得た。

・1H-NMR(DMSO);1.75(3H ,s ,COCH3)、2.82(1H ,dd ,J = 13.8 ,5.6 ,ArCHH)、3.11(1H ,dd ,J = 13.8 ,5.6 ,ArCHH)、4.44(1H ,dd ,J = 14.2 ,8.4 ,NCH)、7.20-7.52(3H ,m ,3ArH)、8.13(2H,s ,B(OH)2)、8.21(1H , br ,NH)、12.7(1H ,s ,CO2H)

(実施例15)

L-4-ボロノ-2-フルオロフェニルアラニン

目的化合物(500 mg、1.86 mmol)と水(50 ml)を加え、1N 水酸化ナトリウム水溶液を少量ずつ加えてpH 7.8(pHメータ)に調整し、ここにD-アミノアシラーゼ (50 mg)を加え、酵素が溶解した後、37 ℃で24時間攪拌した。TLCで反応を確認後、70 ℃で1時間攪拌して酵素を失活させた。酵素を限外フィルターで濾去し、濾液を陽イオン交換樹脂(IR120, H+)を充填したカラムに通塔した。イオン交換樹脂カラムの通過液を減圧濃縮して、L-N-アセチル-4-ボロノ-2-フルオロフェニルアラニンの粗生成物(227.9 mg)を得た。

さらに、水(23 ml)を加え、1N NaOHを少量ずつ加えてpH 7.8に調整し、ここに、L-アミノアシラーゼ(23 mg)を加え、37℃で24時間攪拌した。TLCで反応を確認後、70℃で1時間攪拌して酵素を失活させ、反応液を陽イオン交換樹脂(IR120, H+)を充填したカラムに通塔した。このカラムを希アンモニア水で溶出し、目的物を含む画分を減圧下で濃縮して目的化合物(141.2 mg, 73 %)を、光学純度 98.1 % ee(HPLC)で得た。

1H-NMR(DMSO);3.15(2H ,m ,ArCH 2 )、4.05(1H ,br ,NCH)、7.28-7.57(3H ,m ,3ArH)、8.22(2H ,s ,B{OH}2)、8.51(2H ,br ,NH 2



[α]D 5.94 (c = 1.005, HCl)

(実施例16)

4-(5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサボリナン-2-イル)-2-フロオロベンズアルデヒドの製造(工程γ‐1)

3-フルオロ-4-フォルミルフェニルホウ酸(5.07 g, 30.3 mmol)、および2,2-ジメチルプロパンジオール(3.83 g,36.8 mmol)をTHF(50mL)に溶解し、5時間室温にて撹拌した。溶媒を減圧濃縮した後、残渣を酢酸エチル(50 mL)にて溶解させ、水(50 mL)、さらに飽和食塩水(50 mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。MgSO4をろ過した後、有機層を濃縮することで、無色油状物として目的物を得た(6.64 g, 93 %)。

1H-NMR(CDCl3); 1.03 (s, 6H, 2CH3), 3.79 (s, 4H, 2CH2), 7.50-7.88 (m,3H, ArH), 10.39 (s, 1H, CHO).

2-(4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)-3-フルオロフェニル)-5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサボリネートの製造(工程γ‐2)

工程γ‐1で得られた化合物(1.18 g, 5.00 mmol)をベンゼン(20 mL)に溶解し、エチレングリコール(1.24 g,20.0 mmol)とp-トシル酸・1水和物(38 mg, 0.20 mmol)を加え、3時間水を除去しながら還流反応を行った。反応終了後室温まで冷却し、反応溶媒を0.1 N水酸化ナトリウム水溶液で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、MgSO4を加えて乾燥した。これをろ過後、減圧濃縮し、シリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル=20:1)により精製することにより、白色結晶の目的物(700 mg, 50 %)を得た。

1H-NMR(CDCl3);1.01(s, 6H, 2CH3), 3.69-3.78(m, 8H, 4CH2), 5.70(s, 1H, CHO), 7.26-7.70(m, 3H, ArH).

2-(4-(1,3-ジオキソラン2-イル)-3-フルオロフェニル)-2,3-ジハイドロ-1H-ナフト[1,8-デ]-1,3,2-ジアザボリニン(工程γ‐3)

工程γ−2により得られた化合物(280 mg, 1.00mmol)をテトラヒドロフラン(10 mL)に溶解し、ジアミノナフタレン(158 mg, 1.00 mmol)を加え、室温にて18時間反応させた。溶媒を減圧濃縮後、シリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製することにより、赤色結晶の目的物(100 mg, 30 %)を得た。

1H-NMR(CDCl3);3.36-3.80(m, 4H, 2CH2), 5.70(d, 1H, ArCHO), 5.93(s, 2H, 2NH), 6.40-7.76(m, 9H, ArH).

2-フルオロ-4-(1H-ナフト[1,8-デ]-1,3,2-ジアザボリニン-2(3H)-イル)ベンズアルデヒド(工程γ‐4)

定法に従い、アセタールの加水分解をすることにより、アルデヒド(78 %)を得た。

Claims (5)

  1. 下記式で表わされる化合物:

    ここで、Rは、ブロモ基、ヨード基、ジアザボリナン誘導体、BX 、またはBX (Xはハロゲンを表わし、Mは、1価の単原子陽イオン、多原子陽イオン、または錯陽イオンを表わす)を表わす。
  2. 前記XがFを表わし、Mは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、テトラアリールアンモニウムイオン、テトラアルキルフォスフォニウムイオン、テトラアリールフォスフォニウムイオン、またはイミダゾリウムイオンを表わす、請求項1記載の化合物。
  3. 下記化合物

    (ここで、Rは、ブロモ基、ヨード基、ジアザボリナン誘導体、BX 、またはBX (Xはハロゲンを表わし、Mは、1価の単原子陽イオン、多原子陽イオン、または錯陽イオンを表わす)を表わし、Rは、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、ホウ酸もしくはホウ酸エステルOSO、NR、N(ここで、Rは、炭素数1〜7のアルキル基、ハロゲンで置換された炭素数1〜7のアルキル基、または任意に置換されたフェニル基を表わし;RおよびRは、同一または異なって、炭素数1〜7のアルキル基、ハロゲンで置換された炭素数1〜7のアルキル基、任意に置換されたフェニル基を表わすか、Nとともに3〜7個のメンバーを有する環構造を形成する;Rは、炭素数1〜7のアルキル基、Rは、ハロゲンまたはスルホネートを表わす)のいずれかを表わす)を使用する工程を含む、
    下記化合物

    (ここで、Rは、ブロモ基、ヨード基、フルオロ基、ジアザボリナン誘導体、BX 、またはBX (Xはハロゲンを表わし、Mは、1価の単原子陽イオン、多原子陽イオン、または錯陽イオンを表わす)を表わす)の製造方法。
  4. 下記化合物

    (ここで、Rは、ブロモ基、ヨード基、ジアザボリナン誘導体、BX 、またはBX (Xはハロゲンを表わし、Mは、1価の単原子陽イオン、多原子陽イオン、または錯陽イオンを表わす)を表わす)を使用する工程を含む、18F標識化4‐ボロノ−L−フェニルアラニンの製造方法。
  5. 前記XがFを表わし、Mは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、テトラアリールアンモニウムイオン、テトラアルキルフォスフォニウムイオン、テトラアリールフォスフォニウムイオン、またはイミダゾリウムイオンを表わす、請求項4記載の18F標識化4‐ボロノ−L−フェニルアラニンの製造方法。
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