JP6402043B2 - 高強度銅合金管 - Google Patents

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Description

本発明は、空調機や給湯器等の熱交換器用伝熱管として用いられる銅合金管に関する。
一般に、熱交換器の熱媒体を流通させる伝熱管には、熱伝導性および加工性に優れる銅合金管が適用される。例えば空調機の熱交換器は、板状のアルミニウムフィンを多数重ねて、これに蛇行する銅合金管を貫通させた構造である。このような熱交換器を製造するためには、まず、銅合金管をヘアピン状に曲げ加工してU字形銅合金管とし、両端共にアルミニウムフィンに形成した貫通孔に通し、内側から治具により拡管してアルミニウムフィンの貫通孔の縁に形成されているフィンカラーに密着させる。アルミニウムフィンに貫通させた複数のU字形銅合金管は、端(開放端)を拡管して、別のU字形銅合金管(リターンベンド銅管)の端を挿入されることで互いに連結され、連結部をりん銅ろう(例えばJISZ3264、BCuP−2)等のろう材でろう付けされることにより接合される。
また、エコキュート(関西電力株式会社の登録商標)の愛称で知られる自然冷媒ヒートポンプ給湯機は、水を流通させる配管(水配管)に、冷媒とするCOを流通させるための銅合金管(CO冷媒管)を螺旋状に巻き付けた構造である。したがって、まず、銅合金管を螺旋状に加工してこれに水配管を通し、CO冷媒管が巻き付けられた状態の水配管をコの字型に加工した後、りん銅ろう等による炉中ろう付けで一括ろう付けすることにより、水配管とCO冷媒管とが密着される。さらに、水配管、CO冷媒管等を同じく銅合金管の機内配管を用いて、アキュームレーターおよびコンプレッサー等とろう付けすることにより接続して製造される。
このように、熱交換器に用いられる銅合金管には、熱伝導性やろう付け性の他に、曲げ加工性が良好であることが要求される。一方、近年は、省資源化の観点から、銅合金管の薄肉化および長寿命化が求められ、これらの要求を満足するために、過酷な内圧に長期間耐え得る強度を有する銅合金管が求められている。
例えば、特許文献1には、所定量のCo、P、SnおよびZnを含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなり、Coの含有量[Co]とPの含有量[P]とSnの含有量[Sn]とZnの含有量[Zn]との間に2.4≦([Co]−0.02)/[P]≦5.2および0.20≦[Co]+0.5[P]+0.9[Sn]+0.1[Zn]≦0.54の関係を有する耐熱性銅合金材が記載されている。また、特許文献1には、前記耐熱性銅合金材が継目無銅合金管であることが記載されている。
特許文献2には、所定量のCo、P、SnおよびOを含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなり、Coの含有量[Co]とPの含有量[P]との間に2.9≦([Co]−0.007)/([P]−0.008)≦6.1の関係を有し、熱間押出を含む工程によって造られた高強度高導電銅合金管が記載されている。また、特許文献2には、高強度高導電銅合金管を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した際に、結晶粒内に微細な析出物が均一に分散し、その粒内析出物の平均粒径が1.5〜20nmであるか、または全ての粒内析出物の90%以上が30nm以下であることが記載されている。
国際公開第2004/079026号 国際公開第2009/119222号
従来の銅合金管においては、成分組成および粒内析出物を制御することによって引張試験により得られる引張強度を大きくすることができる。しかしながら、従来の銅合金管においては、粒界析出物が制御されていないため、引張試験により得られる伸びは小さいものであった。そのため、薄肉化された銅合金管においては、ヘアピン状あるいは螺旋状に曲げ加工された際に割れ等が発生するという問題がある。
そこで、本発明は、このような問題を解決すべく創案されたもので、その課題は薄肉化された際にも、曲げ加工時に割れ等が発生しない、曲げ加工性に優れた高強度銅合金管を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明に係る高強度銅合金管は、Co:0.05〜0.40質量%、P:0.02〜0.10質量%を含有し、残部がCuおよび不可避的不純物である銅合金からなる高強度銅合金管であって、管側面に平行な面での管厚中心部における粒界析出物の平均直径が150nm以下であり、前記粒界析出物の粒界長さあたりの平均個数が5000個/mm以下であることを特徴とする。
このように、本発明の高強度銅合金管は、CoおよびPを所定量含有し、かつ、粒界析出物の平均直径および粒界長さあたりの平均個数が所定量であることによって、高い引張強度を有する合金管であっても、伸びを維持することができる。それによって、本発明の高強度銅合金管は、その曲げ加工性が向上する。
本発明に係る高強度銅合金管は、前記銅合金が、Ni:0.005〜0.100質量%、Zn:0.005〜1.000質量%およびSn:0.05〜1.00質量%の少なくとも1種をさらに含有することが好ましい。また、本発明に係る高強度銅合金管は、前記銅合金が、Fe、Mn、Mg、Cr、Ti、ZrおよびAgから選択された1種以上を合計で0.10質量%未満さらに含有することが好ましい。
このように、本発明の高強度銅合金管は、前記銅合金がNi、ZnおよびSnのいずれか1種以上を所定量さらに含有すること、また、前記銅合金がFe、Mn、Mg、Cr、Ti、ZrおよびAgから選択された1種以上を合計で所定量さらに含有することによって、薄肉化された合金管であっても引張強度がさらに向上する。
本発明に係る高強度銅合金管によれば、薄肉化された際にも、曲げ加工時に割れ等が発生しない、曲げ加工性に優れたものとなる。
透過型電子顕微鏡写真における粒界析出物を模式的に示す図である。 本発明に係る高強度銅合金管の製造方法の工程フローを示す図である。 粒界析出物測定用の薄膜を作製する手順を模式的に示す図である。
本発明に係る高強度銅合金管(以下、銅合金管と称す)の実施形態について説明する。
本発明の銅合金管は、所定の成分組成である銅合金からなり、所定の合金組織を有する。
まず、本発明の銅合金管の成分組成について説明する。
第1の成分組成は、所定量のCoおよびPを含有し、残部はCuおよび不可避的不純物からなる。以下に、各成分の数値限定理由について説明する。
(Co:0.05〜0.40質量%)
Coは、銅合金中でPとの化合物(適宜、Co−P化合物という)を生成し、結晶粒内および粒界に析出する。特に、結晶粒内に析出したCo−P化合物は、銅合金管の引張強度を大きくする作用を有する。また、Co−P化合物は、ろう付けのための熱処理において、結晶粒の粗大化を抑制するピンニング粒子として作用するため、熱処理による引張強度低下を抑制し、特に800℃以上の高温でのろう付け処理後の引張強度を確保する。
これらの効果はCo−P化合物の粒内析出量が多いほど向上し、Coの含有量が0.05質量%未満では、粒内析出量が少なく、前記効果が十分に得られない。一方、Coの含有量が0.40質量%を超えると、Co−P化合物が結晶粒内、粒界に過剰に析出するため、引張強度が過大となったり、伸びが低下したりして曲げ加工性が不足したり、熱間押出等にて変形抵抗が過大となって割れを生じる虞がある。したがって、Coの含有量は0.05〜0.40質量%とする。また、Co含有量は、引張強度を改善する観点から0.15質量%以上が好ましく、伸び等の改善の観点から0.30質量%以下が好ましい。
(P:0.02〜0.10質量%)
Pは、一般に銅合金の脱酸のために添加される。また、Pは、銅合金中でCoとの化合物(Co−P化合物)を生成し、結晶粒内および粒界に析出し、前記の通り引張強度を向上させる効果を有する。Pの含有量が0.02質量%未満では、Co−P化合物の粒内析出量が少なく、前記効果が十分に得られない。また、脱酸が不十分となり、酸化物が鋳塊に巻き込まれ、鋳塊の健全性が低下すると共に、製造された管の曲げ加工性が低下する。一方、Pの含有量が0.10質量%を超えると、熱間加工や冷間加工において割れが生じる虞がある。したがって、Pの含有量は0.02〜0.10質量%とする。また、P含有量は、引張強度等を改善する観点から0.03質量%以上が好ましく、割れ防止の観点から0.07質量%以下が好ましい。
(不可避的不純物)
不可避的不純物は、銅合金地金に不可避的に含有されるもので、銅合金管の諸特性を害さない程度に含有される。不可避的不純物は、S、As、Bi、Sb、Pb、Se、Te、O等である。その含有量は、S:0.005質量%以下、As、Bi、Sb、Pb、Se、Teの合計(総量)が0.0015質量%以下、O:0.003質量%以下であることが好ましい。また、溶解、鋳造時に溶湯に取り込まれるHも、その量が多くなると凝固時に固溶量が減少したHが鋳塊の粒界に析出し、多数のピンホールを形成し、熱間押出時に割れを発生させる虞がある。したがって、H含有量は0.0002質量%以下であることが好ましい。
第2の成分組成は、前記第1の成分組成に加えて、Ni、ZnおよびSnの少なくとも1種を所定量さらに含有することが好ましい。以下、各成分の数値限定理由について説明する。
(Ni:0.005〜0.100質量%)
Niは、銅合金中でCo,Pとの三元化合物(適宜、(Co,Ni)−P化合物という)を生成し、結晶粒内および粒界に析出する。この三元化合物(析出物)は、Co−P化合物と同様に、銅合金管の引張強度を向上させる。また、(Co,Ni)−P化合物は、熱処理においてピンニング粒子として作用してろう付け後の引張強度を確保する作用を有する。したがって、Niは、Coの含有量を増大させることなく、引張強度をいっそう向上させることができる。
(Co,Ni)−P化合物を十分に析出させて前記効果を得るために、Niの含有量は0.005質量%以上とすることが好ましい。一方、Niの含有量が0.100質量%を超えると、(Co,Ni)−P化合物が過剰に析出するため引張強度が過大となって伸びが低下して、曲げ加工性が不足する。したがって、Ni含有量は、0.005〜1.000質量%が好ましい。
Ni含有量は、NiがCoを超えて多くなると、析出する三元化合物が、Coに対してNiが多い組成の(Ni,Co)−P化合物になり易い。そして、三元化合物が固溶温度の低いNi−P化合物(NiP)の性質に近付き、ろう付け処理にて溶融し易いため、ピンニング粒子としての効果が小さくなる。したがって、Ni含有量は、0.100質量%以下、かつCoの含有量以下であることがさらに好ましい。
(Zn:0.005〜1.000質量%)
Znは、銅合金管の引張強度、耐熱性、および疲労強度を向上させる作用を有する。また、Znを含有することにより、銅合金管のろう付けにおいてりん銅ろう等のろう材の濡れ性を向上させる。さらに、Znを含有することにより、冷間圧延、抽伸、転造等に用いる工具の磨耗を低減させて、抽伸プラグや溝付プラグ等を長寿命化する効果があり、生産コストの低減に寄与する。また、銅合金管の熱交換器への組立てにおいても、曲げ加工時のマンドレルの磨耗を低減し、さらにアルミニウムフィンの貫通孔のフィンカラーに密着させる際の拡管加工時の拡管ビュレットの磨耗も低減することができる。これらの効果を得るために、Znの含有量は0.005質量%以上とすることが好ましい。一方、Znの含有量が1.000質量%を超えると、応力腐食割れ感受性が高くなる。したがって、Znの含有量は、0.005〜1.000質量%が好ましい。
(Sn:0.05〜1.00質量%)
Snは、銅合金中で固溶強化によって引張強度を向上させる。また、Snは、銅合金管の焼鈍やろう付けによる熱影響に対して、結晶粒度の粗大化を抑制して、耐熱性を向上させる。これらの効果を得るために、Snの含有量は0.05質量%以上とすることが好ましい。一方、Snの含有量が1.00質量%を超えると、鋳塊における凝固偏析が激しくなって、通常の熱間押出や加工熱処理において偏析が完全に解消しないことがあり、ろう付け前の組織、機械的性質および曲げ加工性、ろう付け後の組織および機械的性質が不均一となる。また、熱間押出における熱間変形抵抗が高くなり、押出材が作製できない虞があり、Snの含有量が1.00質量%以下の銅合金と同一の押出圧力とするためには熱間押出温度を高くする必要があり、高温で押出材の表面酸化が増加し、生産性の低下や銅合金管の表面欠陥が増加する。したがって、Snの含有量は、0.05〜1.00質量%とする。
第3の成分組成は、第1または第2の成分組成に加えて、Fe、Mn、Mg、Cr、Ti、ZrおよびAgから選択された1種以上を合計で所定量さらに含有することが好ましい。以下、Fe等の成分の数値限定理由について説明する。
(Fe、Mn、Mg、Cr、Ti、ZrおよびAg:合計0.10質量%未満)
Fe、Mn、Mg、Cr、Ti、ZrおよびAgはそれぞれ、単体で、またはFeP、Mn等のP化合物として結晶粒内および粒界に析出することで、前記のCo−P化合物等と同様に、銅合金管の引張強度およびろう付け後の引張強度を向上させる効果がある。一方、これらの元素が合計で0.10質量%以上含有されると、FeP、Mn等のP化合物が過剰に析出するため伸びが低下して、曲げ加工性が不足する。また、熱間押出における熱間変形抵抗が高くなり、当該元素を含有しない銅合金と同一の押出圧力とするためには熱間押出温度を高くする必要があり、高温で押出材の表面酸化が増加し、生産性の低下や銅合金管の表面欠陥が増加する。したがって、Fe,Mn,Mg,Cr,Ti,Zr,Agから選択された1種以上の含有量は合計で0.10質量%未満とする。
次に、本発明の銅合金管の合金組織について説明する。
本発明の銅合金管は、管側面に平行な面での管厚中心部における粒界析出物の平均直径が150nm以下であり、前記粒界析出物の粒界長さあたりの平均個数が5000個/mm以下である合金組織を有する。ここで、管厚中心部とは、管厚方向1/2の部位を中心として両厚さ方向に50nmずつ、合計100nmに相当する範囲をいう。なお、合金組織は、前記成分組成に加えて、以下に示す銅合金管を製造する際の中間焼鈍を制御することによって調整される。
本発明において、粒界析出物は、前記したCo−P化合物、(Co,Ni)−P化合物、Fe等の単体、および、Fe等とPとの化合物である。また、粒界析出物の測定には、透過型電子顕微鏡を用いて行い、図1に示すように、結晶粒1の粒界2の上に析出した析出物と、粒界2から所定距離離れた粒界2の近傍に析出した析出物との両者を合わせて粒界析出物3とする。具体的には、粒界析出物3は、結晶粒1の粒界2を中心にして幅200nmの領域に析出した析出物とする。ここで、粒界2は、結晶方位解析法によって測定される隣り合う結晶粒1の方位差が15°以上の結晶粒1の境界である。以下、粒界析出物の平均直径および平均個数の数値限定理由について説明する。
(平均直径:150nm以下)
粒界析出物の平均直径が150nmを超えると、粒界破断が生じやすくなり、銅合金管の伸びが低下して曲げ加工性が低下する。したがって、本発明の銅合金管では、粒界析出物の平均直径を150nm以下とし、好ましくは80nm以下とする。また、粒界析出物の直径の下限値は、透過型電子顕微鏡での測定限界である5nmとする。なお、本発明においては、粒界析出物の直径は、析出物の粒子面積と同一の円における直径、すなわち、円相当径とする。
(平均個数:5000個/mm以下)
粒界析出物の平均個数が5000個/mmを超えると、粒界破断が生じやすくなり、銅合金管の伸びが低下して曲げ加工性が低下する。したがって、本発明の銅合金管では、粒界析出物の平均個数を5000個/mm以下とし、好ましくは3000個/mm以下とする。また、粒界析出物の個数は、透過型電子顕微鏡の視野内に析出した粒界析出物の数(個)を、視野内に存在する結晶粒の粒界の全長で除した値とし、その値を1mmあたりの個数に換算したものとする。
つぎに、前記銅合金管の製造方法について説明する。
前記銅合金管の製造方法は、図2に示すように、鋳造工程S1と、均質化熱処理工程S2と、熱間押出工程S3と、圧延抽伸加工工程S4と、中間焼鈍工程S5と、加工工程S6と、最終焼鈍工程S7と、を含む。以下、各工程について説明する。
(鋳造工程)
鋳造工程S1は、前記した成分組成の銅合金を溶解、鋳造して鋳塊とする工程である。溶解の方法および条件、鋳造の方法および条件については、従来公知の方法および条件が用いられる。
(均質化熱処理工程)
均質化熱処理工程S2は、前記鋳塊に均質化熱処理を施して、鋳塊の偏析を改善する工程である。均質化熱処理の方法および条件については従来公知の方法および条件が用いられるが、均質化熱処理温度については680〜800℃、保持時間については1分〜2時間が好ましい。
(熱間押出工程)
熱間押出工程S3は、均質化熱処理を施された前記鋳塊を熱間押出して押出材とする工程である。熱間押出の方法および条件については、従来公知の方法および条件が用いられるが、押出温度については680〜800℃、熱間押出による断面減少率については80%以上であることが好ましい。また、熱間押出後の押出材を、水冷等の方法により、押出材の表面温度が300℃になるまで冷却速度10℃/秒以上で急速冷却することが好ましい。
(圧延抽伸加工工程)
圧延抽伸加工工程S4は、前記押出材に冷間圧延および抽伸加工を施して抽伸管とする工程である。冷間圧延の方法および条件、抽伸加工の方法および条件については、従来公知の方法および条件が用いられるが、冷間圧延の加工率は、加工時の製品不良を低減するために、断面減少率で95%以下とすることが好ましく、90%以下とすることがさらに好ましい。また、抽伸加工の加工率は、40%以下とすることが好ましい。通常、抽伸加工は何台かの抽伸機を用いるが、各抽伸機による加工率(断面減少率)を40%以下にすることにより、表面欠陥や内部割れを低減することができる。
(中間焼鈍工程)
中間焼鈍工程S5は、前記抽伸管に焼鈍を施す工程である。焼鈍方法については、従来公知の方法が用いられる。そして、中間焼鈍工程S5は、焼鈍条件を調整することによって、銅合金管の粒界析出物を制御する。
粒界析出物の制御、すなわち、粒界析出物の平均直径を150nm以下とし、粒界長さあたりの個数を5000個/mm以下に制御するためには、前記抽伸管を800〜950℃、10秒以上5分以下で焼鈍処理し、その処理温度までの昇温速度を50℃/秒以上、室温までの冷却速度を100℃/秒以上とする必要がある。そして、粒界析出物が制御されることによって、銅合金管の伸びを大きくすることが可能となる。
(処理温度:800〜950℃)
処理温度が800℃未満の場合には、粒界析出物の平均直径が大きくなり、銅合金管の伸びが小さくなる。そのため、銅合金管の曲げ加工性が低下する。一方、処理温度が950℃を超える場合には、結晶粒径が大きくなるため、最終焼鈍後の銅合金管に加工組織が残存する。そのため、銅合金管の伸びが小さくなり、曲げ加工性が低下する。したがって、中間焼鈍工程S5の処理温度は800〜950℃とする。また、銅合金管の伸びを改善する観点から、処理温度の上限値は900℃が好ましい。
(保持時間:10秒以上5分以下)
保持時間が10秒未満の場合には、粒界析出物の平均個数が多くなり銅合金管の伸びが小さくなる。そのため、銅合金管の曲げ加工性が低下する。一方、保持時間が5分を超える場合には、粒界析出物の平均直径が大きくなり、銅合金管の伸びが小さくなる。そのため、銅合金管の曲げ加工性が低下する。したがって、中間焼鈍工程S5の保持時間は10秒以上5分以下とする。また、銅合金管の伸びを改善する観点から、保持時間の上限値は3分が好ましい。
(昇温速度:50℃/秒以上)
昇温速度が50℃/秒未満では、粒界析出物の平均個数が多くなり、銅合金管の伸びが小さくなる。そのため、銅合金管の曲げ加工性が低下する。したがって、中間焼鈍工程S5の昇温速度は50℃/秒以上とする。また、銅合金管の伸びを改善する観点から、昇温速度は100℃/秒以上が好ましい。
(冷却速度:100℃/秒以上)
冷却速度が100℃/秒未満である場合には、粒界析出物の平均直径が大きくなり、銅合金管の伸びが小さくなる。そのため、銅合金管の曲げ加工性が低下する。したがって、中間焼鈍工程S5の冷却速度は100℃/秒以上とする。また、銅合金管の伸びを改善する観点から、冷却速度は500℃/秒以上が好ましい。
(加工工程)
加工工程S6は、焼鈍された前記抽伸管に加工を施して加工管とする工程である。ここで、本発明の銅合金管として平滑管を使用する場合には、加工管は抽伸加工管であり、焼鈍された前記抽伸管にさらに抽伸加工を施して、管外径を製品外径まで縮径する。また、本発明の銅合金管として内面溝付管を使用する場合には、加工管は転造加工管であり、焼鈍された前記抽伸管に転造加工を施して、管内面に所定形状の溝付けを行う。なお、抽伸加工の方法および条件は前記圧延抽伸加工工程S4と同様とし、転造加工の方法および条件は、従来公知の方法および条件が用いられる。
(最終焼鈍工程)
最終焼鈍工程S7は、前記加工管に焼鈍を施す工程である。焼鈍の方法および条件は、従来公知の方法および条件が用いられるが、処理温度については450℃超え700℃未満、焼鈍時間については5分〜1時間が好ましい。そして、この焼鈍工程S7を行うことによって、加工管の粒内析出物の平均直径および数密度が制御されると共に、加工硬化した前記加工管が軟質化して曲げ加工が可能となる。
次に、本発明の実施例について説明する。
電気銅を原料として、所定量のCo、P、Ni、Zn、SnおよびFe等のその他の成分を必要に応じて添加することにより、表1に示す成分組成の溶湯を作製した。作製した溶湯から鋳造温度1200℃で、直径300mm×長さ3000mmの鋳塊を半連続鋳造し、得られた鋳塊から、長さ475mmのビレットを切り出した。ビレットを680〜800℃の範囲に加熱して1時間保持した後、直ちに、熱間押出機で外径100mm、肉厚10mmの押出素管を作製し、水冷にて表面温度が300℃になるまで冷却した。押出素管を冷間圧延、抽伸加工により、外径10mm、肉厚0.41mmの抽伸管を作製した。抽伸管に表1に示す中間焼鈍を施して、次いで、断面減少率40%の転造加工を行い、外径7mm、溝底肉厚0.36mmの転造加工管を作製した。転造加工管に650℃、30分の最終焼鈍を施して、銅合金管(供試管No.1〜15)を作製した。なお、表1において、「−」は、成分を含有しないことを表す。
作製した供試管について、以下に示す手順で粒界析出物の平均直径および平均個数を測定した。その結果を表1に示す。
(粒界析出物の平均直径および平均個数)
図3に示すように、供試管10の管側面から試料11を切り出し、管厚t方向の上下から機械研磨して管厚t方向1/2(1/2t)の部位を中心として両厚さ方向に0.05mm(合計0.1mm)とした後、ツインジェット式電解研磨にて100nmの薄膜12にした。薄膜12の供試管側面と平行な面を観察面とした。透過型電子顕微鏡(TEM)にて倍率3万倍で観察し、約5μm×4μmの視野を4視野、画像写真を撮影した。画像写真を画像解析ソフトImage−Pro Plusにて解析して、図1に示すように、結晶粒1の粒界2の長さと、粒界2の上および粒界2の近傍、すなわち、粒界2を中心して幅200nmの範囲に析出している粒界析出物3の数をカウントした。粒界析出物3の数を、視野内に撮影された粒界2の全長で除して、粒界2の長さあたりの粒界析出物3の個数を算出し、単位長さ(1mm)あたりに換算した。また、粒界析出物3の粒子面積を測定し、前記粒子面積より円相当直径を算出した。さらに、4視野の平均値を算出した。その結果を表1に示す。
次に、作製した供試管について、以下の手順で引張強度および伸びを測定すると共に、以下の基準で曲げ加工性を評価した。その結果を表1に示す。
(引張強度および伸び)
供試管からJIS11号試験片を切り出した。その試験片を用いて、室温、引張速度:10.0mm/分、標点距離:20mmの条件で引張試験を行い、引張強度(MPa)および伸び(%)を測定した。同一条件の試験片を2本試験し、それらの平均値を採用した。その結果を表1に示す。
(曲げ加工性)
供試管を、曲げピッチ25mm(管軸における曲げ半径が12.5mm)のU字形に曲げ加工し、外側表面の曲げ部を目視にて観察した。供試管毎に10本行い、10本すべてに割れ等のないものを合格として「○」、1本でも割れ等が観察されたものを不合格として「×」とした。
Figure 0006402043
表1の結果から、本発明の要件を満足する供試管No.1〜9(実施例)は、引張強度および伸びが大きく、曲げ加工性が良好であった。これに対して、本発明の要件を満足しない供試管No.10〜15(比較例)は、伸びが小さく、曲げ加工性が不良であった。
具体的には、供試管No.10(比較例)は、中間焼鈍の処理温度が低いため、粒界析出物の平均直径が上限値を超えて大きかった。その結果、供試管No.10(比較例)は、伸びが小さく、曲げ加工性が不良であった。
供試管No.11(比較例)は、中間焼鈍の処理温度が低い、保持時間が長い、冷却速度が遅いため、粒界析出物の平均直径が上限値を超えて大きかった。また、中間焼鈍の昇温速度が遅いため、粒界析出物の平均個数が上限値を超えて多かった。その結果、伸びが小さかった。それにより、供試管No.11(比較例)は、曲げ加工性が不良であった。
供試管No.12(比較例)は、Ni含有量が上限値を超えて多かったため、伸びが小さく、曲げ加工性が不良であった。供試管No.13(比較例)は、Sn含有量が上限値を超えて多かったため、熱間押出工程で押出材を作製することができなかった。供試管No.14(比較例)は、Cr含有量が上限値を超えて多かったため、伸びが小さく、曲げ加工性が不良であった。
供試管No.15(比較例)は、特許文献2に記載された製造方法で作製されたもので、中間焼鈍の処理温度が低い、保持時間が長い、冷却速度が遅いため、粒界析出物の平均直径が上限値を超えて大きかった。また、中間焼鈍の昇温速度が遅いため、粒界析出物の平均個数が上限値を超えて多かった。その結果、供試管No.15(比較例)は、伸びが小さく、曲げ加工性が不良であった。
1 結晶粒
2 粒界
3 粒界析出物
S1 鋳造工程
S2 均質化熱処理工程
S3 熱間押出工程
S4 圧延抽伸加工工程
S5 中間焼鈍工程
S6 加工工程
S7 最終焼鈍工程
10 供試管
11 試料
12 薄膜

Claims (3)

  1. Co:0.05〜0.40質量%、P:0.02〜0.10質量%を含有し、残部がCuおよび不可避的不純物である銅合金からなる高強度銅合金管であって、
    管側面に平行な面での管厚中心部における粒界析出物の平均直径が150nm以下であり、前記粒界析出物の粒界長さあたりの平均個数が5000個/mm以下であることを特徴とする高強度銅合金管。
  2. 前記銅合金が、Ni:0.005〜0.100質量%、Zn:0.005〜1.000質量%およびSn:0.05〜1.00質量%の少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度銅合金管。
  3. 前記銅合金が、Fe、Mn、Mg、Cr、Ti、ZrおよびAgから選択された1種以上を合計で0.10質量%未満さらに含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高強度銅合金管。
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