JP6396777B2 - 自動車用電子制御装置 - Google Patents
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Description
ここで、前記診断手段において、前記第1制御パラメータと前記第2制御パラメータとは相互に異なる状態量であり、前記第2制御パラメータは前記AD変換器の出力に基づき検出した制御パラメータとすることができる。
また、前記診断手段は、前記第1制御パラメータの変化速度と前記第2制御パラメータの変化速度とを比較して前記AD変換器の出力異常の有無を検出することができる。
図1は、本発明に係る自動車用電子制御装置の一例を示すブロック図である。
図1の自動車用電子制御装置100は、一例として車両に搭載された走行用エンジン(内燃機関)200を制御する装置であり、CPU101、ROM102、RAM103、AD変換器(アナログ−デジタル変換回路)104、パルス入力回路105、デジタル出力回路106、パルス出力回路107などを含むマイクロコンピュータを備えて構成される。
また、エンジン200には、電子制御装置100からの出力で制御されるデバイスとして、各種のリレー211、燃料噴射弁212、パワートランジスタ内蔵のイグニッションコイル213などが設けられている。
パルス入力回路105が出力する周期データや計数データなどは、図示省略したレジスタを介してバッファに格納され、CPU101により制御パラメータとして用いられる。
また、CPU101は、ROM102に格納されているプログラムに従い複数の制御パラメータCPを演算処理することで、各種のリレー211などのオン・オフを決定し、係るオン・オフ信号をデジタル出力回路106から各デバイスに出力する。
図2のフローチャートは、CPU101による診断処理の一例を示す。
図2のフローチャートに示される処理は、CPU101により所定時間毎に割り込み処理される。
次のステップS502で、CPU101は、AD変換器104のデジタル出力値のうちの1つであって第1制御パラメータを検出するセンサとは別のセンサで検出され、第1制御パラメータに相関して変化する制御パラメータとして予め選択された第2制御パラメータCP2を読み込む。
この図3に示すように、スロットル開度TVOと吸入空気流量QAとは相互に相関して変化する状態量であり、一方が増加すると他方も増え、一方が減少すると他方も減る特性を有し、双方の変化速度は相互に相関して変化する。
また、CPU101は、制御パラメータCP1,CP2の単位時間当たりの変化量(変化速度)の比R1を演算する代わりに、第1制御パラメータCP1と第2制御パラメータCP2との比(R1=CP1/CP2)を演算することができる。
下限閾値MIN1及び上限閾値MAX1は、スロットルセンサ201及びエアフローセンサ202が正常で、かつ、AD変換器104が正常であるときに、下限閾値MIN1と上限閾値MAX1とで挟まれる領域を比R1が逸脱することがない値として予め実験やシミュレーションによって適合されている。
係るAD変換器104の正常状態では、CPU101は、AD変換器104の出力に基づく制御パラメータを用いたエンジン200の制御(燃料噴射制御や点火時期制御など)を通常に実施させる。
例えばスロットルセンサ201を多重に設け、CPU101が複数のスロットルセンサ201の検出出力が一致するか否かを検出することで、複数のスロットルセンサ201のいずれかが故障している状態を検出することができる。そして、CPU101は、複数のスロットルセンサ201の検出出力が一致するスロットルセンサ201の正常状態においてAD変換器104の診断を行うことで、AD変換器104が正常に動作しているか否かを診断することができる。
例えば第1制御パラメータCP1としてのスロットル開度データTVOが上昇しているときに第2制御パラメータCP2としての吸入空気量データQAが一定値を保持する場合、比R1は正常範囲(上限閾値MAX1)よりも高くなり、CPU101はカウンタC1をインクリメントする。
逆に、吸入空気量データQAが増減変化するときにスロットル開度データTVOが一定値を保持する場合、比R1は正常範囲(下限閾値MIN1と上限閾値MAX1とで挟まれる領域)を逸脱し、CPU101はカウンタC1をインクリメントする。
そして、吸入空気量データQAとスロットル開度データTVOとが同調して変化していない場合はAD変換器104の出力異常(AD変換器104の故障)が発生している可能性があるので、CPU101は、カウンタC1をインクリメントして異常判定履歴を更新する。
そして、カウンタC1の値が閾値SL1未満であれば、比R1が正常範囲を逸脱する状態(AD変換器104の出力異常の判定)がノイズなどに影響されて一時的に発生したものであって、AD変換器104は正常に動作している可能性があるので、CPU101は、最終的な異常判定を行うことなく今回の診断処理を終了させる。
なお、前記閾値SL1は、ノイズなどに影響されて比R1が一時的に異常値を示すときに、カウンタC1が超えることのない値になるように、予め実験やシミュレーションによって適合されている。
換言すれば、カウンタC1の値が閾値SL1以上になった場合は、比R1が異常値である状態がノイズなどに影響されたものではなく、AD変換器104の出力異常(故障)に因るものであると判定できるように、閾値SL1は適合される。
これにより、CPU101は、AD変換されたデジタル信号が正常領域内で固着する異常を含むAD変換器104の出力異常(動作不良)を、専用の診断回路を用いずに検出できる。
図4のフローチャートに示される処理は、CPU101により所定時間毎に割り込み処理される。
次のステップS602で、CPU101は、パルス入力回路105の出力から求められる制御パラメータのうちの複数に基づき、第1制御パラメータCP1の期待値Aex(第2制御パラメータ)を算出する。
そこで、CPU101は、共にセンサのパルス出力から求められたエンジン回転数NE及び車速VSPに基づきそのときのスロットル開度TVOを推定し、当該推定値を、AD変換器104の出力から求められるスロットル開度データTVOの期待値Aexに設定する。
図5に例示するように、エンジン回転数NEが高く車速VSPが高い状態は吸入空気流量QAが多い状態であり、逆に、エンジン回転数NEが低く車速VSPが低い状態は吸入空気流量QAが少ない状態であり、エンジン回転数NEと車速VSPとからそのときの吸入空気流量QAを大凡推定できる。
なお、例えば、車両の停止状態(車速VSPが略零)でエンジン回転数NEがアイドル回転数域であること(車両のアイドル停止状態であること)を診断実施条件とし、診断実施条件が成立するときはスロットル開度TVO又は吸入空気流量QAが所定範囲になっているものと推定して、期待値Aexを設定することができる。
ここで、CPU101は、第1制御パラメータCP1と当該第1制御パラメータCP1の期待値Aexとの比をR2に設定する(R2=CP1/Aex)ことができる。
下限閾値MIN2及び上限閾値MAX2は、アナログ出力がAD変換器104に入力されるセンサ(スロットルセンサ201、エアフローセンサ202)が正常で、かつ、AD変換器104が正常であるときに、下限閾値MIN2と上限閾値MAX2とで挟まれる領域を比R2が逸脱することがない値として予め実験やシミュレーションによって適合されている。
係るAD変換器104の正常状態では、CPU101は、AD変換器104の出力に基づく制御パラメータを用いたエンジン200の制御(燃料噴射制御や点火時期制御など)を通常に実施させる。
換言すれば、CPU101は、比R2が下限閾値MIN2を下回る場合にカウンタC2をインクリメントし、かつ、比R2が上限閾値MAX2を上回る場合にもカウンタC2をインクリメントする。
また、例えば、スロットル開度TVOの期待値Aexが減少しているときに、第1制御パラメータとしてのスロットル開度データ(吸入空気流量データQA)が一定値を保持する場合、比R2は正常範囲(上限閾値MAX2)よりも高くなり、CPU101はカウンタC2をインクリメントする。
そして、カウンタC2の値が閾値SL2未満であれば、比R2が正常範囲を逸脱する状態がノイズなどに影響された一時的なものであってAD変換器104の異常(故障)ではない可能性があるので、CPU101は、最終的な異常判定を行うことなく診断処理を終了させる。
なお、前記閾値SL2は、ノイズ影響などに影響されて比R2が一時的に異常値を示すときに、カウンタC2が超えることのない値になるように、予め実験やシミュレーションによって適合されている。
換言すれば、カウンタC2の値が閾値SL2以上になった場合は、比R2が異常値である状態がノイズなどに影響されたものではなく、AD変換器104の出力異常に因るものであると判定できるように、閾値SL2は適合される。
従って、AD変換器104の正常・異常に影響されて変動する第1制御パラメータCP1と、AD変換器104の正常・異常に影響されない期待値Aexとを比較することになる。
例えば、上記実施形態において、CPU101は、AD変換器104によるセンサ出力のアナログ/デジタル変換によって求められた第1制御パラメータCP1(又は第1制御パラメータCP1の変化速度)と、別のセンサの出力から求めた制御パラメータであって第1制御パラメータに相関して変化する第2制御パラメータCP2(又は第2制御パラメータCP2の変化速度)との比に基づいて、AD変換器104の出力異常の有無を診断するが、第1制御パラメータと第2制御パラメータとの差と閾値とを比較してAD変換器104の出力異常の有無を診断することができる。
そして、CPU101は、例えば、エンジンの冷却水温度を第1制御パラメータCP1とし、冷却水温度に相関して変化する潤滑油温度を第2制御パラメータPC2とし、これらを比較することでAD変換器104の出力異常の有無を診断することができる。
また、CPU101は、比R1,R2(又は差)と正常範囲(正常値)との乖離が大きくなるほど、カウンタC1,C2をインクリメントするときのステップ幅を大きくし、最終的な異常判定のタイミングを早めることができる。
例えば、自動変速機を制御する自動車用電子制御装置100の場合、ATフルードの温度を検出する油温センサの電圧信号、油圧を検出する圧力センサの電圧信号などのアナログ信号がAD変換器を介してCPU101に読み込まれ、入力軸の回転数(rpm)を検出する回転センサのパルス信号などのパルス信号がパルス入力回路(信号検出回路)を介してCPU101に読み込まれる。
そして、CPU101は、油温や油圧などの検出データを第1制御パラメータとし、係る第1制御パラメータに相関して変化する第2制御パラメータと第1制御パラメータとを比較することで、AD変換器の出力異常の有無を診断することができる。
また、アナログ出力を発生するセンサを多重に備える場合に、CPU101は、係る多重センサのうちの1つのアナログ出力をAD変換器でデジタル信号に変換して求められる制御パラメータを第1制御パラメータとし、多重センサのうちの別のセンサのアナログ出力をAD変換器でデジタル信号に変換して求められる制御パラメータを第2制御パラメータとし、これら第1制御パラメータと第2制御パラメータとを比較して、AD変換器の出力異常の有無を診断することができる。
Claims (2)
- センサのアナログ出力信号を入力してデジタル信号に変換するAD変換器を備えた自動車用電子制御装置であって、
前記AD変換器の出力に基づき検出した第1制御パラメータと、前記第1制御パラメータを検出するセンサとは別のセンサの出力から求めた制御パラメータであって前記第1制御パラメータに相関して変化する第2制御パラメータとを比較して、前記AD変換器の出力異常の有無を検出する診断手段を備え、
前記診断手段において、前記第1制御パラメータと前記第2制御パラメータとは相互に異なる状態量であり、前記第2制御パラメータは前記AD変換器の出力に基づき検出した制御パラメータである、自動車用電子制御装置。 - センサのアナログ出力信号を入力してデジタル信号に変換するAD変換器を備えた自動車用電子制御装置であって、
前記AD変換器の出力に基づき検出した第1制御パラメータと、前記第1制御パラメータを検出するセンサとは別のセンサの出力から求めた制御パラメータであって前記第1制御パラメータに相関して変化する第2制御パラメータとを比較して、前記AD変換器の出力異常の有無を検出する診断手段を備え、
前記診断手段は、前記第1制御パラメータの変化速度と前記第2制御パラメータの変化速度とを比較して前記AD変換器の出力異常の有無を検出する、自動車用電子制御装置。
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