JP6395364B2 - 燃焼方法及び燃焼装置 - Google Patents
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そして、混合気噴射ノズルから燃焼室に噴出された予混合気が、高速で噴射されているため、燃焼室を横断して天板の下面に衝突し、平面状の火炎を天板の下方に形成する形態で燃焼して、被加熱物を間接加熱するために天板を加熱するように構成されている。
しかしながら、例えば、火力調整(混合気流量低減)の必要性や、機器類の故障や誤作動等により、混合気噴射ノズルから噴出される予混合気の流速が、混合気の燃焼速度よりも低下する可能性がある等、予混合燃焼には、逆火の危険が本質的に存在することになる。
本発明の別の目的は、逆火の発生を回避した状態で、燃料と酸化剤ガスとを混合させたのちに燃焼させることができる燃焼装置を提供する点にある。
前記燃料と前記酸化剤ガスとを前記燃料を噴出する燃料噴出ノズルと当該燃料噴出ノズルの周囲の前記酸化剤ガスを噴出する空気噴出孔とから同じ方向に向けて各別に燃焼空間に噴出して、前記燃料と前記酸化剤ガスとを前記燃焼空間にて混合させ、かつ、前記燃料と前記酸化剤ガスとの混合ガスが前記燃焼空間を流動する流速が、前記燃焼空間における前記混合ガスの燃焼速度よりも速くなるようにする供給条件にて、前記燃料と前記酸化剤ガスとを前記燃焼空間に供給し、
前記燃焼空間を流動する前記混合ガスの流速が前記燃焼速度以下に減速した後に、前記混合ガスを着火させて火炎を形成して燃焼させ、
前記燃焼空間を流動する前記混合ガスを、被加熱物に衝突させて、前記混合ガスの流速を前記燃焼速度以下に減速させることを特徴とする。
本願の燃焼方法では、燃料と酸化剤ガスとを各別に燃焼空間に供給して、燃焼空間にて、燃料と酸化剤ガスとを混合させて混合ガスを生成することになるが、混合ガスが燃焼空間を流動する流速が、燃焼空間における混合ガスの燃焼速度よりも速くなるようにする供給条件にて、燃料と酸化剤ガスとが燃焼空間に供給されているため、混合ガスが燃焼空間を流動する流速が、燃焼空間における混合ガスの燃焼速度よりも速くなり、混合ガスは燃焼を開始することなく、燃焼空間を流動することになる。
ちなみに、燃焼空間における混合ガスの燃焼速度は、燃焼空間における混合気の濃度(当量比)、温度、及び圧力、並びに混合ガスの流動状態(層流であるか、乱流であるか)から、推算される。この推算においては、層流火炎に対しては燃焼の詳細反応ソフト「CHEMKIN」(Reaction Design社製)を、乱流火炎に対しては「ANSYS Fluent」(ANSYS社製)等のCFDソフトに組み込まれた燃焼計算パッケージを使用する。このようにして予め推算される燃焼空間における混合ガスの燃焼速度を基準に、本願に於ける混合ガスの燃焼空間を流動する流速を設定する。
ちなみに、流動する混合ガスを減速させる要因は、混合ガスが衝突する物体を燃焼空間に存在させて、強制的に減速させるようにしてもよい。
前記燃焼空間を流動する前記混合ガスの流動方向を、前記被加熱物の平坦状の衝突面と直交する方向に定めて、前記混合ガスを前記衝突面に衝突させるようにして、前記衝突面に沿った平面火炎を形成することを特徴とする。
前記燃焼空間が、断熱的な固体壁で囲繞されていることを特徴とする。
これにより、被加熱物による火炎の急冷に伴って起きる燃焼反応の停止(クエンチング)で発生する不完全燃焼ガスを、その高温空間にて完全燃焼(酸化)し、その熱で空間の温度を上昇させることで不完全燃焼ガスの保有熱を有効に回収することができるとともに、安全を確保することができる。その結果、燃焼空間内に存在する被加熱物を高温状態に良好に加熱することができる。
前記燃料と前記酸化剤ガスとを各別に燃焼空間に供給する各別供給手段が、前記燃料と前記酸化剤ガスとの混合ガスが前記燃焼空間を流動する流速が、前記燃焼空間における前記混合ガスの燃焼速度よりも速くなるようにする供給条件を満足させる状態で、前記燃料と前記酸化剤ガスとを前記燃料を噴出する燃料噴出ノズルと当該燃料噴出ノズルの周囲の前記酸化剤ガスを噴出する空気噴出孔とから同じ方向に向けて各別に燃焼空間に噴出して、前記燃料と前記酸化剤ガスとを前記燃焼空間にて混合させるように設けられて、
前記燃焼空間を流動する前記混合ガスの流速が前記燃焼速度以下に減速した後に、前記混合ガスが着火して火炎を形成して燃焼するように構成され、
前記燃焼空間を流動する前記混合ガスを、被加熱物に衝突させて、前記混合ガスの流速を前記燃焼速度以下に減速させるように構成されている点を特徴とする。
燃焼空間における混合気の濃度(当量比)、温度、及び圧力、並びに混合ガスの流動状態(層流であるか、乱流であるか)から推算される。このようにして予め推算される燃焼空間における混合ガスの燃焼速度を基準に、本願に於ける混合ガスの燃焼空間を流動する流速を設定する。
ちなみに、流動する混合ガスを減速させる要因は、混合ガスが衝突する物体を燃焼空間に存在させて、強制的に減速させるようにしてもよい。
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
(連続炉の全体構成)
図1及び図2に示すように、例示する連続炉は、被加熱物Dとしての直方体状の鋼塊1を加熱処理するものであって、トンネル状の炉体2の底部2Tに、被加熱物搬送部3が、炉体2の入口部2iと出口部2eとに亘る状態で設けられて、プッシャ4にて順次送り込まれる鋼塊1を被加熱物搬送部3にて連続的に搬送しながら、鋼塊1を加熱処理するように構成されている。
ちなみに、炉体2の内部の温度、つまり、燃焼空間Nの温度は、目的によって異なるものの本例では定常運転状態においては、900℃〜1000℃程度であり、燃料ガスGが自己着火する温度である。
炉体2の天井壁部2Uに形成した排ガス流路8を通して炉外に導かれた燃焼排ガスが、空気予熱用熱交換器6を経由する排ガス排出路9を通して排気用煙突(図示せず)に導かれている。
噴出体Bには、燃料ガスGを噴出する燃料噴出ノズルBgと、燃焼用空気Aを噴出する一対の空気噴出孔Baとが、燃料噴出ノズルBgの周囲に複数個の空気噴出孔Baを対照的に位置させる状態、または環状路を形成する状態で設けられている。
また、燃料噴出ノズルBgと空気噴出孔Baとは、燃料ガスGと燃焼用空気Aと同じ方向に向けて噴出するように形成されている。
燃焼制御部C1は、初期燃焼状態においては、噴出体Bから噴出された燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合ガスが燃焼空間Nを流動する流速が、燃焼空間Nにおける混合ガスの燃焼速度以下となる状態で、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを燃焼空間Nに噴出させて、噴出体Bに付着する火炎を生成する状態で燃料ガスGを燃焼させることになる。
そして、噴出体Bから噴出された燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合ガスが燃焼空間Nを流動する流速を、燃焼速度の1.5〜4.5の範囲に定めることが好ましい。
具体的には、上述の如く、炉体2の天井壁部2Uに装備された噴出体Bにて燃料ガスGと燃焼用空気Aとを噴出する方向が、鋼塊1の上面と直交する方向となり、炉体2の横側壁部2Sに装備される噴出体Bにて燃料ガスGと燃焼用空気Aとを噴出する方向が、鋼塊1の横側面と直交する方向となるように定められるものであるから、鋼塊1の上面及び横側面が、混合ガスが衝突する平坦状の衝突面Qとして機能することになる。なお、炉体の底面からも同様にして火炎を形成し、加熱してより均一に鋼塊1を加熱することも可能である。
以上の通り、この第1実施形態によれば、定常燃焼状態においては、燃料ガスGと酸化剤ガスしての燃焼用空気Aとを各別に燃焼空間Nに供給して、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを燃焼空間Nにて混合させたのち、混合ガスを燃焼させるものであるから、予混合燃焼に類似する形態で、燃料ガスGを燃焼させることができる。
したがって、燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合割合を、燃焼用空気Aが過剰となる状態に設定すること等によって、火炎Fの温度を低下させて、窒素酸化物の生成を抑制することができる。
次に、本発明の参考の実施形態である第2実施形態を図面に基づいて説明する。
(ガスコンロの全体構成)
図3に示すように、例示するガスコンロは、天板16の上面に五徳17を設けて、被加熱物Dとしての鍋18を五徳17にて載置するように構成されている。
天板16における五徳17の内方側部分には、メタンを主成分とする都市ガス等の燃料ガスGを噴出する燃料噴出体19が設けられ、燃料噴出体19の下方には、燃焼用空気Aの流動を許容する間隙を隔てた状態で皿状の汁受体20が設けられている。
燃料噴出体19に燃料ガスGを供給する燃料供給路22には、燃料供給を断続する開閉弁23及び燃料ガスGの供給量を調整する燃料調整弁24が設けられて、燃料噴出体19から噴出される燃料ガスGの噴出量を調整できるように構成されている。
燃焼制御部C2は、燃料噴出体19から噴出された燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合ガスが燃焼空間Nを流動する流速が、燃焼空間Nにおける混合ガスの燃焼速度よりも速くなる供給条件を満足させる状態で、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを燃焼空間Nに供給することになり、そして、燃焼空間Nを流動する混合ガスの流速が燃焼速度以下に減速した後に、混合ガスを着火させて火炎Fを形成して燃焼させることになる。
そして、噴出体Bから噴出された燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合ガスが燃焼空間Nを流動する流速を、燃焼速度の1.5〜4.5の範囲に定めることが好ましい。
具体的には、上述の如く、燃料噴出体19から噴出された燃料ガスGと燃料ガスGの流れに吸引された燃焼用空気Aとの混合ガスが、燃焼空間Nの内部を上方に向けて流動することになるため、混合ガスの流動する方向が、鍋18の底面と直交する方向となるように定められるものであるから、鍋18の底面が、混合ガスが衝突する平坦状の衝突面Qとして機能することになる。
以上の通り、この第2実施形態によれば、燃料ガスGと酸化剤ガスしての燃焼用空気Aとを各別に燃焼空間Nに供給して、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを燃焼空間Nにて混合させたのち、混合ガスを燃焼させるものであるから、予混合燃焼に類似する形態で、燃料ガスGを燃焼させることができる。
したがって、燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合割合を、燃焼用空気Aが過剰となる状態に設定すること等によって、火炎Fの温度を低下させて、窒素酸化物の生成を抑制することができる。
なお、コンロの場合、正常な状態での燃料ガス噴出速度の低下は小火に絞ったときに起きるが、火炎が燃料噴出体19に付着し鍋から離れる状態は、焦げ付きを抑えるのに都合がよい。
次に、本発明の参考の実施形態である第3実施形態を図面に基づいて説明する。
(給湯器の全体構成)
図4に示すように、例示する給湯器は、ケーシング27の内部にフィンチューブ式熱交換器Kを備える形態に構成されている。
フィンチューブ式熱交換器Kは、伝熱フィン28fが外周部に付設された複数の本体側伝熱管28を備える本体部と、その本体部に接続された湯水導入及び出湯用の一対の伝熱管29とを備えており、一対の伝熱管29の一方から供給された湯水を本体部の本体側伝熱管28を流動させたのち、一対の伝熱管29の他方から出湯する形態で湯水を流動させて、一般給湯栓等に給湯するように構成されている。
つまり、一対の伝熱管29のうちの一方と下方部分27Aとの間に形成された燃焼空間Nに対して、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを各別に噴出する噴出部Mと、一対の伝熱管29のうちの他方と下方部分27Aとの間に形成された燃焼空間Nに対して、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを各別に噴出する噴出部Mとが設けられている。
また、噴出部Mに燃料ガスGを供給する燃料供給路22には、燃料供給を断続する開閉弁34及び燃料ガスGの供給量を調整する燃料調整弁35が設けられている。
しがって、噴出部Mから噴出される燃料ガスGの噴出量や燃焼用空気Aの噴出量を調整できるように構成されている。
燃焼制御部C1は、噴出部Mから噴出された燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合ガスが燃焼空間Nを流動する流速が、燃焼空間Nにおける混合ガスの燃焼速度よりも速くなる供給条件を満足させる状態で、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを燃焼空間Nに供給することになり、そして、燃焼空間Nを流動する混合ガスの流速が燃焼速度以下に減速した後に、混合ガスを着火させて火炎Fを形成して燃焼させることになる。
そして、噴出体Bから噴出された燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合ガスが燃焼空間Nを流動する流速を、燃焼速度の1.5〜4.5の範囲に定めることが好ましい。
つまり、燃焼空間Nを流動する混合ガスを、伝熱管29の外周面に接触させるようにして、火炎Fとして、伝熱管29の外周面(表面)に沿った円弧状火炎Fcを形成する状態で、混合ガスを燃焼させるようになっている。
以上の通り、この第3実施形態によれば、燃料ガスGと酸化剤ガスしての燃焼用空気Aとを各別に燃焼空間Nに供給して、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを燃焼空間Nにて混合させたのち、混合ガスを燃焼させるものであるから、予混合燃焼に類似する形態で、燃料ガスGを燃焼させることができる。
したがって、燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合割合を、燃焼用空気Aが過剰となる状態に設定すること等によって、火炎Fの温度を低下させて、窒素酸化物の生成を抑制することができる。
その結果、フィンチューブ熱交換器28の伝熱面積を小さくできるので、熱交換器全体を小型化できる。
次に、別実施形態を列記する。
(1)上記第1〜第3実施形態においては、燃料として、都市ガス等の燃料ガスG(気体燃料)を用いるようにしたが、先にも示したように、例えば、液体燃料(燃焼空間への導入前に予蒸発させて燃料ガスとして燃焼空間に導入するもの、及び液体のまま燃焼空間に噴霧した後蒸発して燃料ガスとなるもの)も燃料とすることができる。
例えば、蒸気ボイラに適用できるものであり、この場合、上記第3実施形態における本体側伝熱管28及び一対の伝熱管29に相当する蒸気生成用加熱管を上下方向に沿う姿勢で配置する形態で構成してもよい。
A 酸化剤ガス
D 被加熱物
F 火炎
Ft 平面火炎
G 燃料ガス(燃料)
H 各別供給手段
Claims (4)
- 燃料と酸化剤ガスとを混合させたのちに燃焼させる燃焼方法であって、
前記燃料と前記酸化剤ガスとを前記燃料を噴出する燃料噴出ノズルと当該燃料噴出ノズルの周囲の前記酸化剤ガスを噴出する空気噴出孔とから同じ方向に向けて各別に燃焼空間に噴出して、前記燃料と前記酸化剤ガスとを前記燃焼空間にて混合させ、かつ、前記燃料と前記酸化剤ガスとの混合ガスが前記燃焼空間を流動する流速が、前記燃焼空間における前記混合ガスの燃焼速度よりも速くなるようにする供給条件にて、前記燃料と前記酸化剤ガスとを前記燃焼空間に供給し、
前記燃焼空間を流動する前記混合ガスの流速が前記燃焼速度以下に減速した後に、前記混合ガスを着火させて火炎を形成して燃焼させ、
前記燃焼空間を流動する前記混合ガスを、被加熱物に衝突させて、前記混合ガスの流速を前記燃焼速度以下に減速させることを特徴とする燃焼方法。 - 前記燃焼空間を流動する前記混合ガスの流動方向を、前記被加熱物の平坦状の衝突面と直交する方向に定めて、前記混合ガスを前記衝突面に衝突させるようにして、前記衝突面に沿った平面火炎を形成することを特徴とする請求項1記載の燃焼方法。
- 前記燃焼空間が、断熱的な固体壁で囲繞されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃焼方法。
- 燃料と酸化剤ガスとを混合させたのちに燃焼させる燃焼装置であって、
前記燃料と前記酸化剤ガスとを各別に燃焼空間に供給する各別供給手段が、前記燃料と前記酸化剤ガスとの混合ガスが前記燃焼空間を流動する流速が、前記燃焼空間における前記混合ガスの燃焼速度よりも速くなるようにする供給条件を満足させる状態で、前記燃料と前記酸化剤ガスとを前記燃料を噴出する燃料噴出ノズルと当該燃料噴出ノズルの周囲の前記酸化剤ガスを噴出する空気噴出孔とから同じ方向に向けて各別に燃焼空間に噴出して、前記燃料と前記酸化剤ガスとを前記燃焼空間にて混合させるように設けられて、
前記燃焼空間を流動する前記混合ガスの流速が前記燃焼速度以下に減速した後に、前記混合ガスが着火して火炎を形成して燃焼するように構成され、
前記燃焼空間を流動する前記混合ガスを、被加熱物に衝突させて、前記混合ガスの流速を前記燃焼速度以下に減速させるように構成されている燃焼装置。
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