JP6390516B2 - 超音波診断装置及び超音波診断装置の制御方法 - Google Patents
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Description
発明者は、せん断波を用いて組織の硬さの測定を行う超音波診断装置において、測定精度を向上させるために各種の検討を行った。
上述したように、せん断波の伝播速度は組織の弾性率に応じて変化する。そのため、組織の硬さの測定精度を向上させるには、せん断波の伝播速度を精度よく算出する必要がある。そのためには、せん断波による組織の変位が大きく、せん断波が減衰せず着目領域全体に行きわたることが好ましい。一方で、被検体内の組織に必要以上に変位を生じさせることは、組織への影響の観点から好ましくない。したがって、被検体に負担をかけずに組織の硬さの測定精度を向上させるためには、組織に対して悪影響を与えない範囲内で変位を最大化することが好ましい。
このような問題への対処は、組織の硬さの測定を行う前に行うことが難しい。せん断波の減衰、反射、屈折などは組織の硬さそのものに依存するからである。例えば、特許文献1に開示されているように、超音波画像(Bモード画像)に基づいて着目領域が適切であるか否かの判定を行うことはできるが、プッシュパルスの送信プロファイルの調整は、超音波画像(Bモード画像)や一度行った組織の硬さ測定の結果に基づいて、検査者が手探りで行う必要がある。
以下、実施の形態に係る超音波診断装置について図面を用いて詳細に説明する。
≪実施の形態≫
実施の形態に係る超音波診断装置1のブロック図を図1に示す。超音波診断装置1は、制御部11、せん断波励起部12、超音波信号取得部13、変位検出部14、伝播解析部15、評価部16、プッシュパルス調整部17、断層画像記憶部18、変位量記憶部19、波面画像記憶部20、弾性画像記憶部21を備える。また、制御部11には、超音波探触子2と表示部3とがそれぞれ接続可能に構成されている。図1は超音波診断装置1に超音波探触子2、表示部3が接続された状態を示している。
プッシュパルス調整部17は、制御部11から評価部16が出力した評価結果を取得する。プッシュパルス調整部17は、評価結果を基に、プッシュパルスの送信プロファイルを最適化し、最適化した後の送信プロファイルを制御部11に出力する。詳細は後述する。
断層画像記憶部18、変位量記憶部19、波面画像記憶部20、弾性画像記憶部21は、それぞれ、断層画像、変位画像、波面画像、弾性画像データを記憶する。断層画像記憶部18、変位量記憶部19、波面画像記憶部20、弾性画像記憶部21のそれぞれは、例えば、RAM、フラッシュメモリ、ハードディスク、光学ディスクなどの記憶媒体で実現される。なお、断層画像記憶部18、変位量記憶部19、波面画像記憶部20、弾性画像記憶部21のうち2以上を単一の記憶媒体で実現してもよい。また、断層画像記憶部18、変位量記憶部19、波面画像記憶部20、弾性画像記憶部21のうち1以上は、超音波診断装置1の外部に構成され、インターフェースを介して超音波診断装置1と接続されてもよいし、超音波診断装置1からネットワークを介してアクセス可能に構成された資源、例えば、ファイルサーバやNAS(Network Attached Storage)であってもよい。
実施の形態に係る超音波診断装置1の動作について説明する。図2は、超音波診断装置1全体の動作を示すフローチャートである。
まず、制御部11が、被検体内に着目領域を設定する(ステップS10)。着目領域を設定する方法は、例えば、表示部3に断層画像記憶部18に記録されている最新の断層画像を表示し、タッチパネル、マウス、トラックボールなどの入力部(図示しない)を通して検査者に着目領域を指定させる。なお、着目領域の設定方法はこの場合に限られず、例えば、断層画像の全域を着目領域としてもよいし、あるいは、断層画像の中央部分を含む一定範囲を着目領域としてもよい。また、着目領域を設定する際に、断層画像を取得してもよい。
図4を用いて具体的な処理を説明する。図4(a)は、変位画像の一例を示している。図3と同じく、図中の“○”は着目領域における被検体内の組織の一部を示しており、プッシュパルスを印加する前の位置は破線の交点である。また、x軸は超音波探触子2における素子の並ぶ方向、y軸は、被検体の深さ方向である。伝播解析部15は、y座標ごとに変位量δを座標xの関数として、動的閾値を用いることで変位量δが大きい領域を抽出する。また、x座標ごとに変位量δを座標yの関数として、動的閾値を用いて、ある閾値を超える領域を変位量δが大きい領域として抽出する。動的閾値とは、対象領域内について信号解析又は画像解析を行って閾値を決定することである。閾値は一定値ではなく、対象領域の信号の幅や最大値などによって異なる値となる。図4(a)に、y=y1の直線210上における変位量をプロットしたグラフ211と、x=x1の直線220上における変位量をプロットしたグラフ221とを示す。これにより、例えば、変位量δが閾値より大きな変位領域230が抽出できる。
最後に、伝播解析部15は、複数の波面画像データに対して時間フィルタリングを行い、伝播していない波面を除去する。具体的には、時間的に連続する2以上の波面画像において、波面位置の時間変化を検出し、速度が異常である波面をノイズとして除去する。伝播解析部15は、例えば、時刻t=t1の波面画像270、時刻t=t1+Δtの波面画像280、時刻t=t1+2Δtの波面画像290との間で、波面位置の時間変化を検出する。例えば、波面271に対して、波面画像280のうち、波面271と同じ位置を中心に、波面と垂直な向き(図4においてはx軸方向)にΔtの間にせん断波が移動しうる領域276で、波面271との相関処理を行う。このとき、波面271のx軸の正方向(図の右側)と負方向(図の左側)の双方を含む範囲内で相関処理を行う。これは、透過波と反射波の両方を検出するためである。これにより、波面271の移動先が波面画像280内の波面281であると検出し、時間Δtにおける波面271の移動距離を算出する。同様に、波面272、273のそれぞれについて、波面画像280において当該波面と同じ位置を中心に、波面と垂直な向きにΔtの間にせん断波が移動しうる領域で相関処理を行う。これにより、波面272が波面283の位置に、波面273が波面282の位置に、それぞれ移動したことを検出する。波面画像280と波面画像290との間でも同様の処理を行い、波面281が波面291の位置に、波面282が波面292の位置に、波面283が波面293の位置に、それぞれ移動したことを検出する。ここで、波面273、波面282、波面292で示される1の波面については、他の波面と比べて移動距離が著しく小さい(伝播速度が著しく遅い)。このような波面は誤検知である可能性が高いので、ノイズとして消去する。これにより、図4(e)の波面画像300に示すように、波面301、302が検出できる。
一方、制御部11がプッシュパルスの送信プロファイルを調整して再測定を行う必要があると判断した場合、送信プロファイルの調整を行う(ステップS100)。プッシュパルス調整部17は、ステップS30で用いたプッシュパルスの送信プロファイルと、ステップS90で評価部16が評価した内容とを、制御部11から取得する。そして、評価部16が評価した内容に基づき、プッシュパルスの送信プロファイルを最適化する。以下、フローチャート及び具体例を用いて送信プロファイルの最適化について説明する。図7は、プッシュパルスの送信プロファイル動作を示すフローチャートである。
非伝播領域が深さ方向に伸びている場合において、非伝播領域が素子列方向の一方の端である場合(着目領域における一定のx座標よりxが増加する側全て、または、一定のx座標よりxが減少する側全てが非伝播領域である場合)、プッシュパルスを強めるように調整する(ステップS116)。これは、図8(e)の伝播範囲図440に示すように、プッシュパルスの焦点位置442から伝播したせん断波がせん断波伝播領域443の端で減衰してしまい、せん断波が着目領域441全域に行き渡らず、非伝播領域444が生じているためである。具体的には、以下のような調整のいずれかを行う。
(1)プッシュパルスの送出に用いる振動子数、プッシュパルスの送信時間、振動子に印可するARFI駆動信号の電圧値の少なくとも1つを増加させ、プッシュパルスによって生じるせん断波の振幅を増加させる。具体的には、例えば、プッシュパルスの送出に用いる振動子数を4つ増加させる、プッシュパルスの送信時間を20μsだけ増加させる、ARFI駆動信号の電圧値を10%上昇させる、などである。なお、これらの2つ以上を同時に行ってもよい。
(2)連続して送出するプッシュパルスの数を増加させ、非伝播領域内または近傍に新たなプッシュパルスの焦点位置を設けることで、非伝播領域にせん断波を伝播させる。より具体的には、例えば、図8(f)の伝播範囲図450に示すように、着目領域441の中心を通り深さ方向(y軸方向)と平行な直線451を仮定し、直線451を基準にプッシュパルスの焦点位置442と線対称となる位置を2つ目のプッシュパルスの焦点位置452とする。
<まとめ>
上記構成により、せん断波の伝播状況に基づいてプッシュパルスの送信プロファイルを最適化することが可能となる。そのため、検査者が弾性画像に基づいて試行錯誤することなく、着目領域における被検体の組織の硬さを高精度に測定することができる。また、上記構成により、プッシュパルスの送信プロファイルを最適化した後そのまま組織の硬さの再測定が行われる。そのため、検査者は、弾性画像が確定するまで超音波探触子を被検体に当てておくだけでよい。
実施の形態では、せん断波が着目領域全体に伝播していない場合について、非伝播領域の位置及び形状に基づいてプッシュパルスの送信プロファイルを調整する場合について説明した。
しかしながら、せん断波が着目領域全体に伝播している場合においても、例えば、せん断波の伝播速度の分布も考慮した上で、プッシュパルスの送信プロファイルを調整してもよい。
図9に具体例を示す。図9(a)は、図8(e)と同様に、伝播範囲図480において、非伝播領域483が着目領域481の素子列方向の一方の端で深さ方向に伸びている場合を示している。なお、プッシュパルスの焦点位置は484であり、領域482はせん断波の伝播領域である。一方、図9(b)は、図9(a)の伝播範囲図480に対応する、せん断波の速度分布図490である。着目領域481において、非伝播領域483に対応する領域493ではせん断波の速度が取得できていない。一方、せん断波の伝播領域483に対応する領域には、せん断波の速度が一様である領域491と、せん断波の速度が局所的に高い領域492とが存在する。このような場合、新たに追加するプッシュパルスの焦点位置としては、着目領域481の中心を通り深さ方向(y軸方向)と平行な直線を基準にプッシュパルスの焦点位置484と線対称となる位置485よりも、a)せん断波の速度が一様である領域491の内部であって、b)せん断波の速度が局所的に高い領域492の近傍である、の2条件を同時に満たす位置494の方が好ましい。なぜならば、せん断波の速度が局所的に高い領域492の存在から、領域492を含む硬い組織495の存在が推測できる一方で、非伝播領域483(せん断波の速度が取得できていない領域493)における、組織495が占める領域が明確ではない。そのため、非伝播領域483内に新たな焦点位置485を設けた場合、焦点位置485が組織495の内部に存在する危険性がある。したがって、このような場合は、非伝播領域483に近接したせん断波の伝播領域482内に新たなプッシュパルスの焦点位置494を設けることが好ましく、さらに、焦点位置494は、せん断波の速度が一様である領域491の内部であることが好ましく、また、せん断波の速度が局所的に高い領域492の近傍であることが好ましい。
<まとめ>
このようにすることで、プッシュパルスの焦点位置を変更、または、追加する場合において、せん断波が着目領域全体に伝播させるという観点のみならず、硬さの異なる領域における測定精度の向上、および/または、せん断波の伝播速度の信頼性向上を図ることで、再測定後にさらに再測定の必要が生じる可能性を減少させ、組織の硬さの再測定の回数を減らし、測定時間の短縮および被検体への負担を軽減することができる。
実施の形態および変形例1では、せん断波が着目領域全域に伝播したか否か、および、せん断波の伝播速度の分布を、せん断波の波面を用いて判断した。
本変形例では、せん断波の伝播有無、および/または、速度分布をより簡易な方法で判断することに特徴がある。
本変形例では、伝播範囲図の作成にあたって、着目領域内の各位置をせん断波が通過したか否かを波面画像から生成せず、代わりに、変位画像から生成する。すなわち、いずれかの時刻において変位が検出された場所は、波面が通過したものとみなす。より具体的には、着目領域内の各位置に対して、複数の変位画像における同一位置の変位の絶対値(大きさ)の最大値を検出し、最大値が所定の閾値以上であれば当該位置をせん断波が通過したものとし、最大値が所定の閾値未満であれば当該位置をせん断波が通過しなかったものとする。
<せん断波の伝播速度の解析>
本変形例では、せん断波の速度の解析にあたって、着目領域内の各位置をせん断波が通過した速度を示す速度分布図を作成せず、代わりに、断層画像をそのまま用いる。すなわち、断層画像において、輝度が局所的に低い領域を、せん断波の速度が局所的に異なる領域とみなす。これは、腫瘍等の硬さの異なる領域は周囲に比べて輝度が低くなることが多く、当該領域が硬さの異なる組織(腫瘍等)である可能性が高いからである。
<まとめ>
このようにすることで、波面を検出せずに評価を行うことができる。そのため、波面画像記憶部が必要ない。さらに、弾性画像を生成する際、波面画像に基づく方法ではなく、変位画像に直接基づく方法を用いた場合、波面の検出を行う必要がなく、伝播解析部がなくても本発明の実施をすることができる。なお、変位画像に直接基づいて弾性画像を生成する方法としては、例えば、変位画像内の各画素において変位が最初に検出された時刻をせん断波の通過時刻とみなす従来手法を用いることができる。
≪変形例3≫
実施の形態、および変形例1、2では、ステップS60におけるせん断波の伝播解析を、変位領域の抽出、細線化処理、空間フィルタリング、時間フィルタリングの手順によって行った。
ステップS60におけるせん断波の伝播解析以外は実施の形態と同様であるため、以下、差分である、せん断波の伝播解析についてのみ説明する。
<せん断波の伝播解析>
最初に、各画素について時間領域毎に変位を相関処理し、変位のピークを検出する。まず、伝播解析部は変位画像を変位量記憶部19から取得する。以下、図10の模式図を用いて説明する。図10(a)は、変位画像の一例を示している。図3、図4と同じく、図中の“○”は着目領域における被検体内の組織の一部を示しており、プッシュパルスを印加する前の位置は破線の交点である。また、x軸は超音波探触子2における素子の並ぶ方向、y軸は、被検体の深さ方向である。伝播解析部は、座標ごとに変位量δが極値となる時刻を検出する。ここで、極値とは、極大値、および、極小値(変位量δが負の値で、絶対値が極大)のことである。本変形例においては、変位量δが極大値(変位量δが正の値)となる時刻のみを検出することとする。図10(a)のグラフ510は、座標(x1,y1)の点501における変位量δを時間tの関数として示したものである。なお、ここでは、変位量δを1次元ベクトルとして扱うため、変位量δはy軸方向の変位のみを示す値であり、かつ、深い方向(y座標が大きくなる方向)への変位は正の値、浅い方向(y座標が小さくなる方向)への変位は負の値としている。伝播解析部は、例えば、断層画像信号が取得された時間を複数の区間521、522、523に分ける。そして、伝播解析部は、区間521における変位量δ、区間522における変位量δ、区間523における変位量δについて相関処理を行うことで、変位量δがピークとなる時刻t1、t2を検出する。ここで、断層画像信号が取得された時間を複数の区間に区切っているのは、着目点を反射波が通過するなど、波面が着目点を複数回通過することがあり得るからである。なお、本変形例では、変位量δが極大となる時刻のみを検出するとしたが、さらに、相関処理において相関値が負の値で絶対値が極大となる時刻、すなわち、変位量δが負の値で、その絶対値が極大となる時刻を検出してもよい。そのようにすることで、位相が反転している波面をさらに検出することができる。
<まとめ>
本変形例では、組織内の各位置における変位の時間変化に基づいて、伝播解析を行う場合について説明した。各座標について時系列に変位のピークを検出するため、時間変化のない変位を検出せず、基準断層画像信号内のノイズや、基準断層画像信号と断層画像信号との位置ずれなどによる、時間変化しないノイズを変位として誤検出することを防ぐことができる。また、各座標について時系列に変位のピークを複数回検出するため、1つの場所を波面が複数回通過する場合、特に、透過波と反射波が通過するような場合にも、波面を抽出することができる。また、各座標について時系列に変位のピークを検出する際、相関値が負の値で絶対値が極大となる時刻を検出することで、せん断波の位相が反転した場合に、その位相が反転した波面を検出することができ、固定端反射となるようなせん断波の反射に対しても、反射の波面を検出することができる。
実施の形態、および、変形例1〜3では、ステップS70において、生成した弾性画像を表示部3に出力するものとした。
本変形例では、プッシュパルスの送信プロファイルが確定するまで、ユーザに通知画面を出力することで、超音波診断装置による被検体の硬さ測定が完了しているか、未完了であるかを通知することに特徴がある。
本変形例に係るフローチャートを図11に示す。なお、図11において、図2と同様の動作については同じステップ番号を用い、説明を省略する。
ステップS210において、図12(a)に示すように、測定中を示す表示601を表示部3の画面600に出力する。
さらに、ステップS100で再測定を行わないとした場合において、制御部は、測定中を示す表示に替えて、最近のステップS70で生成した弾性画像を表示部3に出力する(ステップS220)。
このようにすることで、弾性画像を生成したプッシュパルスが再調整不要となるまで、表示部3に弾性画像が表示されない。したがって、ユーザは、弾性画像が出力されるまでは、超音波探触子を被検体に押し当てたまま待っているだけでよく、弾性画像の表示によって測定終了を知ることができる。
また、ステップS210において、図12(b)に示すようなアイコン611を表示部3に出力する画面610に重畳し、ステップS270では、ステップS70と同様に生成した弾性画像612を出力し、ステップS220において、アイコン611の重畳表示を終了するとしてもよい。このようにすれば、アイコンが画面から消えることによりユーザは測定終了を知ることができ、さらに、弾性画像の取得状況を確認することができる。
≪実施の形態に係るその他の変形例≫
(1)実施の形態および各変形例では、プッシュパルスの焦点位置を超音波診断装置1が送信プロファイルの初期値に基づいて決定し、せん断波の伝播状況の評価に応じて変更または追加するとした。しかしながら、プッシュパルスの焦点位置をユーザが調整してもよい。例えば、プッシュパルスの焦点位置を表示部3に表示し、ユーザが超音波探触子の位置を変更する、または、超音波診断装置1がプッシュパルスの焦点位置をユーザから受け取る、としてもよい。このとき、超音波診断装置1が受け取るプッシュパルスの焦点位置は、プッシュパルスの焦点位置そのものでもよいし、例えば、焦点が存在しうる範囲であってもよい。このようにすることで、ユーザが断層画像や弾性画像等に基づいて焦点位置を選択できる場合、ユーザの所望する条件で断層画像を生成することができる。
(10)変形例3では、伝播解析部15は、相関処理により、変位画像から変位量がピークとなる時刻を検出する場合について説明したが、本発明は必ずしもこの場合に限られない。例えば、相関処理による相関値に対してしきい値を設け、しきい値を上回る相関値が検出された時間帯を検出するとしてもよい。このようにすることで、変位量がピークとなる時刻をピンポイントで検出するだけではなく、その周辺時刻を検出して波面を正確に検出することが可能となる。また、逆に、相関処理による相関値に対して下限しきい値を設け、下限しきい値を下回る相関値が検出された場合、ピークとして検出しないとしてもよい。このようにすることで、波面が通過していない時刻における揺動などを波面と誤検出することを防ぐことができる。
(12)実施の形態および各変形例に係る超音波診断装置は、その構成要素の全部又は一部を、1チップ又は複数チップの集積回路で実現してもよいし、コンピュータのプログラムで実現してもよいし、その他どのような形態で実施してもよい。例えば、伝播解析部と評価部とを1チップで実現してもよいし、超音波信号取得部のみを1チップで実現し、変位検出部等を別のチップで実現してもよい。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
また、各実施の形態および各変形例に係る超音波診断装置は、記憶媒体に書き込まれたプログラムと、プログラムを読み込んで実行するコンピュータとで実現されてもよい。記憶媒体は、メモリカード、CD−ROMなどいかなる記録媒体であってもよい。また、本発明に係る超音波診断装置は、ネットワークを経由してダウンロードされるプログラムと、プログラムをネットワークからダウンロードして実行するコンピュータとで実現されてもよい。
さらに、超音波診断装置においては基板上に回路部品、リード線等の部材も存在するが、電気的配線、電気回路について当該技術分野における通常の知識に基づいて様々な態様を実施可能であり、本発明の説明として直接的には無関係のため、説明を省略している。尚、上記示した各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
(1)実施の形態に係る超音波診断装置は、超音波探触子を用い、被検体内の特定部位に超音波を集中させるプッシュパルスを送信して特定部位にある組織を物理的に押圧した後超音波の送受信を被検体内に対して繰り返し行うことで、押圧された特定部位の組織を振動源とするせん断波の、前記被検体内の着目領域における伝播状態を検出する超音波診断装置であって、送信プロファイルに基づいてプッシュパルスを送信するプッシュパルス送信部と、前記プッシュパルスに続き超音波を被検体へ複数回送信し、送信された超音波に対応する被検体からの反射超音波を受信して複数の受信信号を時系列に取得し、前記複数の受信信号が取得された時刻における前記着目領域内の組織の、前記プッシュパルスに起因するせん断波による変位をそれぞれ検出する変位検出部と、前記変位検出部による検出結果に基づいて、前記着目領域におけるせん断波の伝播状態を評価する評価部と、前記評価部が評価した結果に基づいて、前記送信プロファイルを調整するプッシュパルス調整部とを備え、前記プッシュパルス調整部が送信プロファイルを調整した場合に、前記プッシュパルス送信部は、調整された後の送信プロファイルに基づいて新たなプッシュパルスを送信し、前記変位検出部は、前記新たなプッシュパルスに起因するせん断波による変位を検出することを特徴とする。
(3)また、上記(2)の超音波診断装置は、前記伝播解析部は、前記変位検出部による検出結果に基づいて、前記複数の受信信号が取得された各時刻に対応する、前記着目領域内の各位置におけるせん断波の伝播速度を算出する、としてもよい。
(4)また、上記(1)〜(3)の超音波診断装置は、前記評価部は、前記変位検出部が検出した前記複数の受信信号が取得された各時刻に対応する前記着目領域内の組織の変位を用いて、前記着目領域内におけるせん断波の伝播状態を評価する、としてもよい。
(5)また、上記(4)の超音波診断装置は、前記評価部は、前記複数の受信信号が取得された時刻における前記着目領域内の各位置について、変位の有無に基づいてせん断波が伝播しているか否かを評価する、としてもよい。
(6)また、上記(1)〜(5)の超音波診断装置は、前記送信プロファイルは、プッシュパルスが集中する位置、プッシュパルスの時間長、プッシュパルスの送信に用いる前記超音波探触子の素子数、又はプッシュパルスの送信回数の少なくとも1つを制御パラメータとして含み、前記プッシュパルス調整部は、前記制御パラメータのうち少なくとも1つを変更する、としてもよい。
これらの構成により、プッシュパルスの焦点位置およびプッシュパルスのエネルギー、および、プッシュパルスの焦点の数を調整することができる。
このようにすることで、プッシュパルス1つあたりのエネルギーを上昇させることなく、被検体組織への影響を抑制しながらせん断波の伝播範囲を拡大することができる。
このようにすることで、せん断波が着目領域全体に行き渡るようにプッシュパルスを送信することができ、弾性値が取得できない領域の発生を抑制することができる。
このようにすることで、例えば、プッシュパルスの焦点の深さが適切でない場合に、せん断波が着目領域全体に行き渡るようにプッシュパルスを送信することができる。
このようにすることで、例えば、せん断波の屈折等により非伝播領域が生じている場合に、せん断波が着目領域全体に行き渡るようにプッシュパルスを送信することができる。
(13)また、上記(9)の超音波診断装置は、前記プッシュパルス調整部は、前記超音波探触子の素子配列方向において、せん断波が伝播している領域に前記せん断波が伝播していない領域が挟まれている場合、前記せん断波が伝播していない領域の近傍に新たなプッシュパルスが集中する位置を追加する、としてもよい。
(14)また、上記(1)〜(13)の超音波診断装置は、前記評価部は、前記着目領域におけるせん断波の伝播の一様性を評価し、前記プッシュパルス調整部は、せん断波が一様に伝播している領域内にプッシュパルスが集中する位置が存在するように、送信プロファイルを調整する、としてもよい。
(15)また、上記(1)〜(14)の超音波診断装置は、前記評価部は、前記着目領域におけるせん断波の伝播の一様性を評価し、前記プッシュパルス調整部は、せん断波の伝播状態が局所的に異なる領域の近傍にプッシュパルスが集中する位置が存在するように、送信プロファイルを調整する、としてもよい。
(16)また、上記(1)〜(15)の超音波診断装置は、前記変位検出部による検出結果に基づいて、被検体内の各組織の弾性を計測する弾性計測部をさらに備える、としてもよい。
2 超音波探触子
3 表示部
11 制御部
12 せん断波励起部
13 超音波信号取得部
14 変位検出部
15 伝播解析部
16 評価部
17 プッシュパルス調整部
18 断層画像記憶部
19 変位量記憶部
20 波面画像記憶部
21 弾性画像記憶部
Claims (14)
- 超音波探触子を用い、被検体内の特定部位に超音波を集中させるプッシュパルスを送信して特定部位にある組織を物理的に押圧した後超音波の送受信を被検体内に対して繰り返し行うことで、押圧された特定部位の組織を振動源とするせん断波の、前記被検体内の着目領域における伝播状態を検出する超音波診断装置であって、
送信プロファイルに基づいてプッシュパルスを送信するプッシュパルス送信部と、
前記プッシュパルスに続き超音波を被検体へ複数回送信し、送信された超音波に対応する被検体からの反射超音波を受信して複数の受信信号を時系列に取得し、前記着目領域内の組織の、前記プッシュパルスに起因するせん断波による変位をそれぞれ検出する変位検出部と、
前記変位検出部による検出結果に基づいて、前記着目領域におけるせん断波の伝播の有無を評価する評価部と、
せん断波が伝播していない領域が前記着目領域において占める位置に基づいて、前記着目領域において、前記せん断波が伝播していない領域より深い領域と浅い領域との双方に前記せん断波が伝播している場合、前記超音波探触子の素子配列方向にプッシュパルスが集中する位置を移動させることで、当該せん断波が伝播していない領域にせん断波が到達するように送信プロファイルを調整するプッシュパルス調整部とを備え、
前記プッシュパルス調整部が送信プロファイルを調整した場合に、
前記プッシュパルス送信部は、調整された後の送信プロファイルに基づいて新たなプッシュパルスを送信し、
前記変位検出部は、前記新たなプッシュパルスに起因するせん断波による変位を検出する
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 超音波探触子を用い、被検体内の特定部位に超音波を集中させるプッシュパルスを送信して特定部位にある組織を物理的に押圧した後超音波の送受信を被検体内に対して繰り返し行うことで、押圧された特定部位の組織を振動源とするせん断波の、前記被検体内の着目領域における伝播状態を検出する超音波診断装置であって、
送信プロファイルに基づいてプッシュパルスを送信するプッシュパルス送信部と、
前記プッシュパルスに続き超音波を被検体へ複数回送信し、送信された超音波に対応する被検体からの反射超音波を受信して複数の受信信号を時系列に取得し、前記着目領域内の組織の、前記プッシュパルスに起因するせん断波による変位をそれぞれ検出する変位検出部と、
前記変位検出部による検出結果に基づいて、前記着目領域におけるせん断波の伝播の有無を評価する評価部と、
せん断波が伝播していない領域が前記着目領域において占める位置に基づいて、前記超音波探触子の素子配列方向において、前記せん断波が伝播していない領域が前記着目領域の一端を含み、かつ、前記せん断波が伝播していない領域より前記着目領域の他端側に前記せん断波が伝播している場合、プッシュパルスのエネルギーを上昇させることで、当該せん断波が伝播していない領域にせん断波が到達するように送信プロファイルを調整するプッシュパルス調整部とを備え、
前記プッシュパルス調整部が送信プロファイルを調整した場合に、
前記プッシュパルス送信部は、調整された後の送信プロファイルに基づいて新たなプッシュパルスを送信し、
前記変位検出部は、前記新たなプッシュパルスに起因するせん断波による変位を検出する
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 超音波探触子を用い、被検体内の特定部位に超音波を集中させるプッシュパルスを送信して特定部位にある組織を物理的に押圧した後超音波の送受信を被検体内に対して繰り返し行うことで、押圧された特定部位の組織を振動源とするせん断波の、前記被検体内の着目領域における伝播状態を検出する超音波診断装置であって、
送信プロファイルに基づいてプッシュパルスを送信するプッシュパルス送信部と、
前記プッシュパルスに続き超音波を被検体へ複数回送信し、送信された超音波に対応する被検体からの反射超音波を受信して複数の受信信号を時系列に取得し、前記着目領域内の組織の、前記プッシュパルスに起因するせん断波による変位をそれぞれ検出する変位検出部と、
前記変位検出部による検出結果に基づいて、前記着目領域におけるせん断波の伝播の一様性を評価する評価部と、
せん断波が一様に伝播している領域内にプッシュパルスが集中する位置が存在するように、送信プロファイルを調整するプッシュパルス調整部とを備え、
前記プッシュパルス調整部が送信プロファイルを調整した場合に、
前記プッシュパルス送信部は、調整された後の送信プロファイルに基づいて新たなプッシュパルスを送信し、
前記変位検出部は、前記新たなプッシュパルスに起因するせん断波による変位を検出する
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 前記変位検出部が検出した前記複数の受信信号が取得された各時刻に対応する前記着目領域内の組織の変位を用いて、前記着目領域におけるせん断波の伝播状態を解析する伝播解析部をさらに備え、
前記評価部は、前記伝播解析部が前記変位検出部による検出結果を解析した結果に基づいて、前記着目領域におけるせん断波の伝播状態を評価する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波診断装置。 - 前記伝播解析部は、前記変位検出部による検出結果に基づいて、前記複数の受信信号が取得された各時刻に対応する、前記着目領域内の各位置におけるせん断波の伝播速度を算出する
ことを特徴とする請求項4に記載の超音波診断装置。 - 前記評価部は、前記変位検出部が検出した前記複数の受信信号が取得された各時刻に対応する前記着目領域内の組織の変位を用いて、前記着目領域内におけるせん断波の伝播状態を評価する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の超音波診断装置。 - 前記評価部は、前記複数の受信信号が取得された時刻における前記着目領域内の各位置について、変位の有無に基づいてせん断波が伝播しているか否かを評価する
ことを特徴とする請求項6に記載の超音波診断装置。 - 前記送信プロファイルは、プッシュパルスが集中する位置、プッシュパルスの時間長、プッシュパルスの送信に用いる前記超音波探触子の素子数、又はプッシュパルスの送信回数の少なくとも1つを制御パラメータとして含み、
前記プッシュパルス調整部は、前記制御パラメータのうち少なくとも1つを変更する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の超音波診断装置。 - 前記送信プロファイルは、プッシュパルスが集中する位置を示す制御パラメータとして、プッシュパルスが集中する深さと、プッシュパルスの伝播する向きと前記超音波探触子との間の角度とを含む
ことを特徴とする請求項8に記載の超音波診断装置。 - 前記プッシュパルス調整部は、プッシュパルスの送信回数を1から2に変更する場合、被検体内の異なる2つの位置のうち一方を第1のプッシュパルスが集中する位置として、他方を第2のプッシュパルスが集中する位置として選択する
ことを特徴とする請求項8または9に記載の超音波診断装置。 - 前記変位検出部による検出結果に基づいて、被検体内の各組織の弾性を計測する弾性計測部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の超音波診断装置。 - 超音波探触子を用い、被検体内の特定部位に超音波を集中させるプッシュパルスを送信して特定部位にある組織を物理的に押圧した後超音波の送受信を被検体内に対して繰り返し行うことで、押圧された特定部位の組織を振動源とするせん断波の、前記被検体内の着目領域における伝播状態を検出する超音波診断装置の制御方法であって、
送信プロファイルに基づいてプッシュパルスを送信し、
前記プッシュパルスに続き超音波を被検体へ複数回送信し、送信された超音波に対応する被検体からの反射超音波を受信して複数の受信信号を時系列に取得し、前記着目領域内の組織の、前記プッシュパルスに起因するせん断波による変位の有無をそれぞれ検出し、
前記せん断波による変位の検出結果に基づいて、せん断波が伝播していない領域が前記着目領域において占める位置に基づいて、前記着目領域において、前記せん断波が伝播していない領域より深い領域と浅い領域との双方に前記せん断波が伝播している場合、前記超音波探触子の素子配列方向にプッシュパルスが集中する位置を移動させることで、当該せん断波が伝播していない領域にせん断波が到達するように前記着目領域におけるせん断波の伝播状態を評価し、
前記せん断波の伝播状態の評価結果に基づいて、前記送信プロファイルを調整し、
前記送信プロファイルを調整した場合、さらに、
調整された後の送信プロファイルに基づいて新たなプッシュパルスを送信し、
前記新たなプッシュパルスに起因するせん断波による変位を検出する
ことを特徴とする制御方法。 - 超音波探触子を用い、被検体内の特定部位に超音波を集中させるプッシュパルスを送信して特定部位にある組織を物理的に押圧した後超音波の送受信を被検体内に対して繰り返し行うことで、押圧された特定部位の組織を振動源とするせん断波の、前記被検体内の着目領域における伝播状態を検出する超音波診断装置の制御方法であって、
送信プロファイルに基づいてプッシュパルスを送信し、
前記プッシュパルスに続き超音波を被検体へ複数回送信し、送信された超音波に対応する被検体からの反射超音波を受信して複数の受信信号を時系列に取得し、前記着目領域内の組織の、前記プッシュパルスに起因するせん断波による変位の有無をそれぞれ検出し、
前記せん断波による変位の検出結果に基づいて、せん断波が伝播していない領域が前記着目領域において占める位置に基づいて、前記超音波探触子の素子配列方向において、前記せん断波が伝播していない領域が前記着目領域の一端を含み、かつ、前記せん断波が伝播していない領域より前記着目領域の他端側に前記せん断波が伝播している場合、プッシュパルスのエネルギーを上昇させることで、当該せん断波が伝播していない領域にせん断波が到達するように前記着目領域におけるせん断波の伝播状態を評価し、
前記せん断波の伝播状態の評価結果に基づいて、前記送信プロファイルを調整し、
前記送信プロファイルを調整した場合、さらに、
調整された後の送信プロファイルに基づいて新たなプッシュパルスを送信し、
前記新たなプッシュパルスに起因するせん断波による変位を検出する
ことを特徴とする制御方法。 - 超音波探触子を用い、被検体内の特定部位に超音波を集中させるプッシュパルスを送信して特定部位にある組織を物理的に押圧した後超音波の送受信を被検体内に対して繰り返し行うことで、押圧された特定部位の組織を振動源とするせん断波の、前記被検体内の着目領域における伝播状態を検出する超音波診断装置の制御方法であって、
送信プロファイルに基づいてプッシュパルスを送信し、
前記プッシュパルスに続き超音波を被検体へ複数回送信し、送信された超音波に対応する被検体からの反射超音波を受信して複数の受信信号を時系列に取得し、前記着目領域内の組織の、前記プッシュパルスに起因するせん断波の伝播の一様性をそれぞれ検出し、
せん断波が一様に伝播している領域内にプッシュパルスが集中する位置が存在するように、前記着目領域におけるせん断波の伝播状態を評価し、
前記せん断波の伝播状態の評価結果に基づいて、前記送信プロファイルを調整し、
前記送信プロファイルを調整した場合、さらに、
調整された後の送信プロファイルに基づいて新たなプッシュパルスを送信し、
前記新たなプッシュパルスに起因するせん断波による変位を検出する
ことを特徴とする制御方法。
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