JP6390476B2 - D−乳酸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、木質バイオマスを原料として使用し、ビタミン類を添加した培地でD−乳酸生産菌を培養することにより、D−乳酸生産菌を用いてD−乳酸を製造する方法に関する。
セルロースを含む木質系バイオマスを原料とし、微生物の働きにより、エタノール、ブ
タノール等の燃料として利用可能な物質や、有用物質を発酵生産する方法が実施されてい
る。発酵生産される成分のうち、乳酸は、生物の解糖系によりグルコースなどの糖分が分
解されて生産される有機酸であり、TCA回路に誘導されて生体エネルギー産生の起点に
なる重要な化合物である。乳酸をエステル化した乳酸メチルや乳酸エチルはバイオ燃料と
して利用できる可能性がある。また乳酸は溶剤、食品の原料になりうる。さらに光学純度
の高い乳酸は、ポリ−L−乳酸又はポリ−D−乳酸を合成するための原料モノマーとなる
。原料モノマーの光学純度は、重合度やガラス転移点に影響するため、ポリ乳酸製造のた
めには原料である乳酸の光学純度が高いこと(例えば、98%ee以上)が必要とされる。
乳酸の発酵生産を効率的に行うための方法が種々検討されている。例えば、特許文献1は、高い収率で、かつ安価に乳酸を製造できる方法として、乳酸菌の培養における培地が窒素源として乾燥酵母を含むことを特徴とする乳酸菌による乳酸の製造方法を提案している。また特許文献2は、リグノセルロース系バイオマスから、効率よく糖化液を製造する方法として、リグノセルロース系バイオマスを粉砕する工程と、得られた粉砕物を加水分解酵素を用いて加水分解する工程とを含む、糖化液の製造方法を提案する。さらに該糖化液を含む培地で微生物を培養することによる乳酸などの微生物代謝産物の製造方法を提案する。
さらに、D−乳酸製造では発酵培地に窒素源を多量に添加することによる副生産物の産生が問題となっていた。例えば、特許文献3は、D−乳酸生産菌の培養における培地のシステイン含量を高めると共に、システイン以外の窒素源を含む培地成分を低減させることにより、副生産物が少なく、高光学純度のD−乳酸の製造方法を提案している。
特開2007−215428号公報 特開2010−104361号公報 特開2010−29119号公報
本発明は、木質バイオマスを原料として使用し、D−乳酸生産菌を用いて、高い光学純
度のD−乳酸を高い生産量で製造する方法を提供することを解決すべき課題とした。
乳酸菌の栄養要求性の研究は古くからなされており、乳酸菌の生育には複雑な栄養要求性があることが良く知られている。その結果、乳酸菌の培養においては多くのアミノ酸、ビタミン類、核酸、金属塩を含有する酵母抽出物等の天然培地が使用されている。本発明者らはバイオマス原料からのD−乳酸の製造における培地について検討する中でビタミン類に着目した。従来、乳酸菌の培養に使用される天然培地には微量のビタミン類が含まれており、目的とする乳酸菌の増殖に適した天然培地を選択すること、あるいは栄養要求性の少ない乳酸菌を選択することが一般的であった。一方、本発明者らは、ホモ乳酸発酵を行い、D−乳酸の生産性に優れた乳酸菌に対して、培地へのビタミン類の添加を検討して、D−乳酸の生産量と光学純度に影響を与えるビタミン類を見出した。関連するビタミン類のうち、シアノコバラミン(ビタミンB12)とリボフラビン(ビタミンB2)の添加濃度を適切な濃度にすることにより、高い光学純度のD−乳酸を高い生産量で製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]D−乳酸生産菌を用いて木質バイオマスからD−乳酸を発酵生産するD−乳酸の製造方法であって、D−乳酸生産菌による発酵が、シアノコバラミンを添加した培地中で行われることを特徴とするD−乳酸の製造方法。
[2]D−乳酸生産菌を用いて木質バイオマスからD−乳酸を発酵生産するD−乳酸の製造方法であって、D−乳酸生産菌による発酵が、シアノコバラミンとリボフラビンを添加した培地中で行われることを特徴とする[1]に記載のD−乳酸の製造方法。
[3]D−乳酸生産菌を用いて木質バイオマスからD−乳酸を発酵生産するD−乳酸の製造方法であって、D−乳酸生産菌による発酵が、シアノコバラミン濃度が0.1mg/L以上を含む培地中で行われることを特徴とする[1]または[2]に記載のD−乳酸の製造方法。
[4]D−乳酸生産菌を用いて木質バイオマスからD−乳酸を発酵生産するD−乳酸の製造方法であって、D−乳酸生産菌による発酵が、シアノコバラミン濃度が0.1mg/L以上、かつリボフラビン濃度が0.25mg/L以下を含む培地中で行われることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載のD−乳酸の製造方法。
[5]D―乳酸生産菌による発酵が、酵素及びD−乳酸生産菌を同時に作用させて糖化及び発酵を併行して行われることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載のD−乳酸の製造方法。
[6]糖化の前、又は糖化及び発酵を併行して行う前に、木質バイオマスに前処理を施すことを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載のD−乳酸の製造方法。
[7]D−乳酸生産菌が、ラクトバシラス属に属する乳酸菌であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載のD−乳酸の製造方法。
[8]D−乳酸生産菌が、ラクトバシラス・デルブルキに属する乳酸菌であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載のD−乳酸の製造方法。
本発明によれば、木質バイオマスを原料として、D−乳酸生産菌を用いて、高い光学純
度のD−乳酸を高い生産量で製造することができる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
<木質バイオマス>
本発明の方法で原料として使用する木質バイオマスとしては、製紙用樹木、林地残材、
間伐材等のチップ又は樹皮、木本性植物の切株から発生した萌芽、製材工場等から発生す
る鋸屑又はおがくず、街路樹の剪定枝葉、建築廃材等が挙げられる。さらに、木材由来の
紙、古紙、パルプ等を原料として利用することができる。これらの木質バイオマスは、単
独、あるいは複数を組み合わせて使用することができる。また、木質バイオマスは、乾燥
固形物であっても、水分を含んだ固形物であっても、スラリーであっても用いることがで
きる。
木質バイオマスの原料としては、ユーカリ(Eucalyptus)属植物、ヤナギ(
Salix)属植物、ポプラ(Populus)属植物、アカシア(Acacia)属植物、スギ(Cryptomeria)属植物、マツ(Pinus)属植物等が利用できる。特に、ユーカリ属植物、アカシア属、ヤナギ属植物が原料として大量に採取し易いため好ましい。例えば、製紙原料用として一般に用いられるユーカリ(Eucalyptus)属又はアカシア(Acacia)属等の樹種の樹皮は、製紙原料用の製材工場やチップ工場等から安定して大量に入手可能であるため、特に好適に用いられる。
(前処理)
本発明においては、木質バイオマスに、糖化処理及び発酵処理に適した前処理を施すこ
とができる。木質バイオマスに前処理を行ったものを、「前処理原料」と称することがあ
る。前処理としては、以下に何れかの処理を挙げることができる。このような前処理を行
うことにより、木質バイオマス中のリグノセルロースは、糖化発酵可能な状態となる。
機械的処理、化学的処理、水熱処理、加圧熱水処理、二酸化炭素添加水熱処理、蒸煮処理
、湿式粉砕処理、希硫酸処理、水蒸気爆砕処理、アンモニア爆砕処理、二酸化炭素爆砕処
理、超音波照射処理、マイクロ波照射処理、電子線照射処理、γ線照射処理、超臨界処理
、亜臨界処理、有機溶媒処理、相分離処理、木材腐朽菌処理、グリーン溶媒活性化処理、
各種触媒処理、ラジカル反応処理、オゾン酸化処理。
これらの処理は、各単独処理もしくは複数を組み合わせた処理のいずれであってもよい。
中でも、木質バイオマスに対し、アルカリ処理、加圧熱水処理、機械的処理から選択され
る1つ以上の前処理を行うことが好ましい。
機械的処理としては、破砕、裁断、磨砕等の任意の機械的手段が挙げられ、木質バイオ
マス中のリグノセルロースを糖化発酵処理工程で糖化発酵され易い状態にすることである
。使用する機械装置については特に限定されないが、例えば、一軸破砕機、二軸破砕機、
ハンマークラッシャー、レファイナー、ニーダー等を用いることができる。
化学的処理は、酸やアルカリ等の薬品の水溶液に木質バイオマスを浸漬して、酵素糖化
処理に適した状態にする処理である。化学的処理に使用する薬品等については特に限定さ
れないが、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、硫酸、希硫酸などの
硫化物、炭酸塩又は亜硫酸塩から1種以上選択されたものである。水酸化ナトリウム、水
酸化カルシウム、硫化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、亜硫酸ナトリウム
等から選択された1種以上の薬品の水溶液に浸漬してなるアルカリ処理等が化学処理とし
て好適である。また、オゾン、二酸化塩素などの酸化剤による化学的処理も可能である。
化学的処理は、前記機械的処理と組み合わせてそれらの前処理の後処理として行うことが
好適である。化学的処理に使用する薬品の添加量は、状況に応じて任意に調整可能である
が、薬品コスト低下の面から、またセルロースの溶出・過分解による収率低下防止の面か
ら、木質バイオマスの絶乾100質量部に対して50質量部以下であることが望ましい。
化学的処理における薬品の水溶液への浸漬時間及び処理温度は、使用する原料や薬品によ
って任意に設定可能であるが、処理時間30分〜1時間、処理温度80〜130℃が好ま
しい。処理条件を厳しくすることで、原料中のセルロースの液側への溶出又は過分解が起
こる場合もあるため、処理時間は1時間以下、処理温度は130℃以下であることが好ま
しい。
糖化及び発酵処理に適した前処理が施されている木質バイオマスに対しては、リグノセ
ルロース原料を含む懸濁液の調製に使用する前に、殺菌処理を行ってもよい。木質バイオ
マス原料中に雑菌が混入していると、酵素による糖化を行う際に雑菌が糖を消費して生成
物の収量が低下してしまうという問題が発生する。殺菌処理は、酸やアルカリなど、菌の
生育困難なpHに原料を晒す方法でも良いが、高温下で処理する方法でも良く、両方を組
み合わせても良い。酸、アルカリ処理後の原料については、中性付近、もしくは、糖化・
発酵工程に適したpHに調整した後に原料として使用することが好ましい。また、高温殺
菌した場合も、室温もしくは糖化・発酵工程に適した温度まで降温させてから原料として
使用することが好ましい。このように、温度やpHを調整してから原料を送り出すことで
、好適pH、好適温度外に酵素が晒されて、失活することを防ぐことができる。
(広葉樹クラフトパルプ)
本発明の特に好ましい態様においては、広葉樹クラフトパルプを、木質バイオマスとし
て使用することができる。該パルプを製造するための原料として使用する木材チップとし
ては、ユーカリ、オーク、アカシア、ビーチ、タンオーク、オルダー等の広葉樹材であれ
ば特に限定されない。また、使用する広葉樹材に多少の針葉樹材を含まれていても構わな
い。
上記の木材チップをクラフト蒸解処理に供することによって、広葉樹未漂白クラフト
パルプ(LUKP)を得ることができる。次いで、酸素脱リグニン工程により酸素脱リグ
ニンパルプを得ることができる。さらに、酸素脱リグニンパルプを漂白処理に供すること
によって、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)を得ることができる。
クラフト蒸解は公知の方法により行うことができる。例えば、木材をクラフト蒸解する
場合、クラフト蒸解液の硫化度は5〜75%、好ましくは20〜35%であり、有効アル
カリ添加率は絶乾木材質量当たり5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%であり、
蒸解温度は140〜170℃である。しかし、クラフト蒸解の条件はこれらに限定される
ものではない。また、クラフト蒸解方式は、連続蒸解法あるいはバッチ蒸解法のどちらで
もよく、連続蒸解釜を用いる場合は、蒸解白液を分割で添加する蒸解法でもよく、その方
式は特に限定されない。
蒸解に際して使用する蒸解液には、蒸解助剤が添加されてもよい。例として、公知の環
状ケト化合物、例えばベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェ
ナントロキノン及び前記キノン系化合物のアルキル、アミノ等の核置換体が挙げられる。
或いは前記キノン系化合物の還元型であるアントラヒドロキノンのようなヒドロキノン系
化合物が挙げられる。さらにはディールスアルダー法によるアントラキノン合成法の中間
体として得られる安定な化合物である9,10−ジケトヒドロアントラセン化合物等が挙
げられる。これらから選ばれた1種又は2種以上が添加されてもよい。添加率は特に限定
されないが、一般的には、木材チップの絶乾質量当たり0.001〜1.0質量%である
クラフト蒸解法により得られた未漂白化学パルプは、所望により、洗浄工程を経て、公
知の酸素脱リグニン法により脱リグニンすることができる。酸素脱リグニン法に用いるア
ルカリとしては苛性ソーダあるいは酸化されたクラフト白液を使用することができる。酸
素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(PRESSURE Swing Ads
orption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption
)からの酸素等が使用できる。
酸素脱リグニン工程では、前記酸素ガスとアルカリが中濃度ミキサーにおいて中濃度の
パルプスラリーに添加され、混合が十分に行われた後、加圧下でパルプ、酸素及びアルカ
リの混合物を一定時間保持できる反応塔へ送られ、脱リグニンされる。酸素ガスの添加率
は特に限定されないが、絶乾パルプ質量当たり0.5〜3質量%であり、アルカリ添加率
は0.5〜4質量%である。また、反応温度は80〜120℃で、反応時間は15〜10
0分であり、パルプ濃度は8〜15質量%であるが、これらの条件は特に限定されない。
酸素脱リグニンを施されたパルプは洗浄工程へ送ることができる。酸素脱リグニン後の
洗浄工程で使用する洗浄機、及び多段漂白工程中の洗浄に使用する洗浄機は、特に限定さ
れるものではない。例えば、プレッシャーディフューザー、ディフュージョンウオッシャ
ー、加圧型ドラムウオッシャー、水平長網型ウオッシャー、プレス洗浄機等を挙げること
ができる。
上記の通り脱リグニン処理されたパルプは多段漂白工程へ供することができる。多段漂
白工程は、二酸化塩素(D)、アルカリ(E)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン
(Z)といった公知のECF漂白法を組合せて行うことができる。また、多段漂白工程中
に、高温酸処理段(A)や酸洗浄段、酵素処理段、高温二酸化塩素漂白段、過硫酸や過酢
酸等による過酸漂白段を導入することもできる。多段漂白工程中には、エチレンジアミン
テトラ酢酸(EDTA)やジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)等によるキレー
ト剤処理段等を導入することもできる。
上記により、本発明の特に好ましい態様において原料として使用できる広葉樹漂白クラ
フトパルプ(LBKP)を得ることができる。
<乳酸菌>
本発明には、D−乳酸生産菌が用いられる。本発明に用いられるD−乳酸生産菌は、糖
類(六炭糖、五炭糖)を発酵して、D−乳酸を製造できるものであれば特に限定はされな
い。D−乳酸生産菌としては、例えば、ラクトバシラス属(Lactobacillus
)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、エンテロコッカス属
(Enterococcus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ペデ
ィオコッカス属(Pediococcus)、リューコノストック属(Leuconos
toc)、又はスポロラクトバシラス属(Spololactobacillus属)に
属する細菌を挙げることができる。しかしながら、これらに限定されない。具体的には、
ラクトバシラス・デルブルキ(Lactobacillus delbrueckii)
、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)
、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesentero
ides)などを挙げることができる。しかしながらこれらに限定されない。また、遺伝
子組換え技術を用いて作製した遺伝子組換え微生物(細菌等)を用いることもできる。遺
伝子組換え微生物としては、六炭糖又は五炭糖を発酵してD−乳酸を生産できる微生物を
特に制限なく用いることができる。
微生物は固定化して用いても良い。微生物を固定化しておくと、次工程で微生物を分離
して再回収するという工程を省くことができるため、少なくとも回収工程に要する負担を
軽減することができ、微生物のロスが軽減できるというメリットがある。また、凝集性の
ある微生物を選択することにより微生物の回収を容易にすることができる。
<糖化処理、及び発酵処理>
本発明の実施態様においては、酵素による糖化とD−乳酸生産菌を用いた発酵とを順次
行ってもよく、また木質バイオマスに酵素及びD−乳酸生産菌を同時に作用させて糖化及
び発酵を併行して行ってもよい。なお、本明細書では、本発明の実施態様のうち、糖化及
び発酵を併行して行う態様を例に、D−乳酸生産菌による発酵工程を説明することがある
。しかしながらその説明は、特に記載した場合を除き、酵素による糖化とD−乳酸生産菌
を用いた発酵とを順次行う場合の発酵工程にも当てはまる。
D−乳酸生産菌が用いられ、原料木質バイオマスから酵素の作用で生成された糖類が、
D−乳酸生産菌によりD−乳酸に変換される。このようなD−乳酸生産菌が用いられる工
程において使用される液を培地という。なお、本発明において、培地に含まれる成分濃度は、特に記載した場合を除き、培養開始時の濃度(初濃度)をいう。
(原料バイオマスの量)
糖化工程又は併行糖化発酵工程で用いる木質バイオマスの懸濁濃度は、典型的には、1
.0質量%以上とすることができる。好ましくは1.5質量%以上とすることができ、より好ましくは3.0質量%以上とすることができ、さらに好ましくは4.5質量%以上とすることができ、さらに好ましくは5.0質量%以上とすることができ、特に好ましくは7.0質量%以上とすることができる。
(ビタミン類)
本発明において、培地にシアノコバラミン(ビタミンB12)を添加する。また、シアノコバラミンとリボフラビン(ビタミンB2)を併用して添加することもできる。培地に添加するシアノコバラミンの濃度(終濃度)は、0.1mg/L以上が好ましい。また、シアノコバラミンとリボフラビンを併用して培地に添加する場合、培地に添加するシアノコバラミンの濃度(終濃度)は、0.1mg/L以上が好ましく、リボフラビンの濃度(終濃度)は、0.25mg/L以下が好ましい。前記の濃度範囲のシアノコバラミン、またはリボフラビンを培地に添加することによりD−乳酸の光学純度、及びD−乳酸の生産性を高めることができる。生産するD−乳酸の光学純度は、98%ee以上が好ましく、99%ee以上がさらに好ましい。
(ペプトン、牛肉エキス、酵母エキス)
本発明の好ましい態様においては、D−乳酸生産菌を培養するための培地は、酵母エキス、ペプトン(ポリペプトンも含む)、及び牛肉エキスからなる群より選択されるいずれか一つ以上を含んでいてもよい。酵母エキスとしては、例えば、市販のイーストイクスト(Difco Laboratories) 酵母エキスL(MCフードスペシャリティーズ株式会社)、酵母エキスSL−W(MCフードスペシャリティーズ株式会社)、リボネックスB2−P(サッポロビール株式会社)、リボネックスN7−P(サッポロビール株式会社)、ミーストP1G(アサヒフードアンドヘルスケア)、ミーストP2G(アサヒフードアンドヘルスケア)、ミーストAP−1122(アサヒフードアンドヘルスケア)、酵味(酵味ペースト、酵味粉末:MCフードスペシャリティーズ株式会社)など特に限定なく用いることができる。酵母エキスを用いる場合、種々のものを選択できるが、サッカロマイセス属に属する酵母(例えば、サッカロマイセス・セレビシエ、サッカロマイセス・ロゼイ、サッカロマイセス・ウバルム、サッカロマイセス・シバリエリに属する酵母)を用いることができる。又はキャンディダ属に属する酵母(例えば、キャンディダ・ユティルスに属する酵母)を用いることができる。ビール酵母又はパン酵母であるサッカロマイセス・セレビシエに分類される酵母から得られたエキスを用いることができる。前記酵母エキスの中で、ビール酵母由来の酵母エキスを用いるのが好ましい。また、ビール酵母由来の酵母エキスの中で、酵素によって分解された分解物を含有する酵母エキスを用いるのが好ましい。ビール酵母由来の酵母エキスの中で、酵素によって分解された分解物(アミノ酸、ペプチド、核酸)を含有する酵母エキスとして、例えば、酵味(酵味ペースト、酵味粉末)が挙げられる。ペプトンとしては、例えば、ハイポリペプトン(日本製薬株式会社)が挙げられる。
ペプトン、牛肉エキス、及び酵母エキスからなる群より選択されるいずれか一つ以上を
用いる場合、培地におけるその濃度(複数用いる場合は、各々の濃度)は適宜とすること
ができる。典型的には、0.1〜10質量%とすることができ、好ましくは0.2〜7.
5質量%とすることができ、より好ましくは0.4〜5.0質量%とすることができる。
この範囲であれば、D−乳酸生産菌の増殖及び発酵が十分に達成され、かつ経済的でもあ
る。
(培地中の他成分)
本発明においては、培地中にマグネシウム、アルミニウム、マンガン、鉄、ストロンチウム、バリウムなどの成分(以下、「金属イオン」という。)を添加することができる。
培地中にマグネシウムを添加する場合のマグネシウム濃度は6500mg/L以下、好ましくは1000mg/L以下、より好ましくは500mg/L以下、さらに好ましくは180mg/L以下、さらに好ましくは100mg/L以下、特に好ましくは75mg/L以下とすることができる。培地中のマグネシウム濃度の下限値は、32mg/L以上、好ましくは35mg/L以上、より好ましくは40mg/L以上、さらに好ましくは45mg/L以上、特に好ましくは47.5mg/L以上とすることができる。前記濃度より低いと、用いる乳酸菌によっては、乳酸菌の増殖や発酵効率が低下するため好ましくない。
培地中にアルミニウムを添加する場合の培地中のアルミニウム濃度の下限値は、0.41mg/L以上、好ましくは0.82mg/L以上とすることができる。培地中に鉄を添加する場合の培地中の鉄濃度の下限値は、0.33mg/L以上、好ましくは0.66mg/L以上とすることができる。培地中にストロンチウムを添加する場合の培地中のストロンチウム濃度の下限値は、0.15mg/L以上、好ましくは0.29mg/L以上とすることができる。培地中にマンガンを添加する場合の培地中のマンガン濃度の下限値は、0.13mg/L以上、好ましくは0.26mg/L以上とすることができる。培地中にバリウムを添加する場合の培地中のバリウム濃度の下限値は、0.09mg/L以上、好ましくは0.18mg/L以上とすることができる。
いずれの場合も、培養や発酵を阻害しない限り、培地中の上限値は適宜、適切な値に設定とすることができるが、典型的には、50mg/L以下であり、好ましくは25mg/L以下とすることができる。
前記、培地中の金属イオンの量及び濃度は、培地中に含まれるあらゆる形態の金属イオンの総和の量及び濃度である。培地に含まれる原料であって金属イオンを含有するのは、主として、木質バイオマス、酵母エキス、添加される金属イオンであるため、培地中の金属イオン濃度は、これらの原料にそれぞれ含まれる総和として計算することもできる。前記金属イオンは、金属を含む化合物の形態(金属塩などの形態)で培地に添加することもできる。なお、培地中の金属イオンの量及び濃度は、当業者に周知の方法により、測定することができ、また用いる原料中のそれらの量から、計算値として求めることができる。
(塩基の存在)
本発明の好ましい態様においては、糖化及び発酵を塩基の存在下においてpH4.0〜
7.0で行うことができる。pHは、より好ましくはpH4.5〜5.8であり、さらに
好ましくpH4.6〜5.6であり、さらに好ましくはpH4.9〜5.5である。
使用する塩基の種類は、培養液のpHをpH4.0〜7.0に調節できるものであれば
特に限定されず、無機塩基でも有機塩基でもよい。無機塩基としては、例えば、炭酸カル
シウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水
酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。有機塩基としては、例えば、モ
ノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロ
パノールアミン、リジンなどが挙げられる。塩基は好ましくは、上記の中でも無機塩基で
あり、特に好ましくは炭酸カルシウムである。
糖化及び発酵を併行して行う際、木質バイオマスに酵素及びD−乳酸生産菌を同時に作
用させる方法は、培養液のpHをpH4.0〜7.0に調節できる限り特に限定されない
。但し、本発明の好ましい態様によれば、培養容器の底部から、塩基を含む第1層、木質
バイオマスを含む第2層、並びに酵素及びD−乳酸生産菌を含む第3層を、この順番で配
置して、糖化及び発酵を併行して行うことができる。上記の通り、第1層〜第3層をこの
順番で配置することにより、培養液のpHをpH4.0〜7.0に調節するという塩基の
作用を上手く達成することができる。
(嫌気・好気条件)
糖化及び発酵は、嫌気条件下又は好気条件下の何れで行ってもよいが、好ましくは嫌気
条件下で行うことができる。糖化及び発酵を、嫌気条件下で行うことにより、好気条件下
で行う場合と比較してより高い光学純度のD−乳酸を製造することが可能になる。嫌気条
件としては、例えば、糖化及び発酵処理中に培養液の回転振とうは行わないという方法が
挙げられる。この場合でも1日に1回〜数回程度培養液を攪拌することはできる。一方、好気条件としては、培養液の回転振とうしながら糖化及び発酵処理を行う方法が挙げられる。培養液を回転振とうする際の回転速度は特に限定されないが、例えば、10〜200rpmが好ましい。
(糖化酵素)
糖化で使用する酵素は、セルロース分解酵素であれは、セロビオヒドロラーゼ活性、エ
ンドグルカナーゼ活性、ベータグルコシダーゼ活性を有する、所謂セルラーゼと総称され
る酵素である。各セルロース分解酵素は、夫々の活性を有する酵素を適宜の量で添加して
も良いが、市販されているセルラーゼ製剤は、上記の各種のセルラーゼ活性を有すると同
時に、ヘミセルラーゼ活性も有しているものが多いので市販のセルラーゼ製剤を用いれば
良い。
市販のセルラーゼ製剤としては、トリコデルマ(Trichoderma)属、アクレ
モニウム(Acremonium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、
ファネロケエテ(Phanerochaete)属、トラメテス(Trametes)属
、フーミコラ(Humicola)属、バシラス(Bacillus)属などに由来する
セルラーゼ製剤がある。このようなセルラーゼ製剤の市販品としては、全て商品名で、例
えば、セルロイシンT2(エイチピィアイ社製)、メイセラーゼ(明治製菓社製)、ノボ
ザイム188(ノボザイム社製)、ジェネンコア社製のセルラーゼ製剤等が挙げられる。
原料固形分100質量部に対するセルラーゼ製剤の使用量は、0.5〜100質量部が
好ましく、1〜50質量部が特に好ましい。
(培養条件)
糖化及び発酵処理の温度は、酵素及び発酵の至適温度の範囲内であれば特に制限はなく
、通例25℃〜50℃が好ましく、37℃〜50℃がさらに好ましい。培養は、連続式が
好ましいが、フェドバッチ式、バッチ方式でも良い。培養時間は、酵素濃度などによっても異なるが、フェドバッチ式、及びバッチ式の場合は10〜240時間が好ましく、15〜160時間がさらに好ましい。連続式の場合は、平均滞留時間が、10〜150時間が好ましく、15〜100時間がさらに好ましい。
<他の工程>
本発明の実施態様においては、D−乳酸の回収工程を含んでいてもよい。上記の発酵により生産されたD−乳酸は、発酵液から公知の方法により分離・精製することにより回収することができる。例えば、発酵液を、遠心分離や濾過等によって不溶な物質(菌体など)を除去した後、イオン交換樹脂などで脱塩し、その溶液から、結晶化やカラムクロマトグラフィー等の常法に従って所望の乳酸を分離・精製することができる。
<本発明の製造方法で得られるD−乳酸>
本発明の製造方法によれば、光学純度の高いD−乳酸を製造することができる。具体的
には本発明の製造方法によれば、光学純度が98%ee以上、より好ましくは光学純度が99%ee以上のD−乳酸を製造することができる。乳酸の光学純度は、本技術分野で知られた種々の手段で測定することができる。本発明でのD−乳酸の光学純度は、特に示した場合を除き、実施例の項中の式により算出した値をいう。
本発明の方法を用いて産生したD−乳酸は、例えば、ポリD−乳酸や、ポリL−乳酸と
ポリD−乳酸とのステレオコンプレックスを製造するための原料として使用することがで
きる。ポリL−乳酸とポリD−乳酸とのステレオコンプレックスは、耐熱性が高い生分解
性プラスチックとなり得る。D−乳酸には、農業中間体としての用途もあることが知られ
ている。
本発明の効果を以下の実施例等を挙げて具体的に説明する。但し、本発明の範囲はこれらの実施例等によって制限されない。
[製造例1]
<広葉樹クラフトパルプ(LBKP)の製造>
広葉樹混合木材チップ(ユーカリ70%、アカシア30%)を用い、液比4、硫化度28%、有効アルカリ添加率17%(NaOとして)となるように調製した蒸解白液に木材チップに加えた後、蒸解温度160℃にて2時間クラフト蒸解を行なった。クラフト蒸解終了後、黒液を分離し、得られたチップを解繊後、遠心脱水と水洗浄を3回繰り返し、次いでスクリーンにより未蒸解物を除き、蒸解未漂白パルプ(LUKP)を得た。この未漂白パルプ絶乾質量に対して、NaOHを2.0質量%添加し、酸素ガスを注入し、100℃で60分間酸素脱リグニン処理を行ない、酸素脱リグニンパルプ(LOKP)を得た。続いて、酸素脱リグニンパルプを、D−E−P−Dの4段漂白処理に供した。漂白時のパルプ濃度は全て10質量%に調製し、最初の二酸化塩素処理(D)は、対絶乾パルプの二酸化塩素添加率1.0質量%、70℃、40分間処理を行ない、イオン交換水にて洗浄、脱水した。次いで、パルプ絶乾質量に対してNaOH添加率を1質量%として、70℃、90分間のアルカリ抽出処理(E)を行ない、イオン交換水にて洗浄、脱水した。次いで、パルプ絶乾質量に対して過酸化水素添加率を0.2質量%、NaOH添加率を0.5質量%とし、70℃、120分間の過酸化水素処理(P)を行ない、イオン交換水にて洗浄、脱水した。次いで、パルプ絶乾質量に対して二酸化塩素添加率を0.2質量%とし、70℃、120分間の二酸化塩素処理(D)を行ない、イオン交換水にて洗浄、脱水後、白色度85%の漂白パルプ(LBKP)を得た。
<D−乳酸生産菌の前培養>
−80℃で凍結保存したD−乳酸生産菌であるLactobacillus delbrueckii subsp. delbrueckii NBRC3202株[独立行政法人製品評価技術基盤機構(千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)から入手可能]を用いた。解凍後、オートクレーブにより滅菌した前培養培地(培地組成は下記表1参照、オートクレーブ前に70%硫酸でpHを5.5に調整)10mlに一白金耳接種し、37℃、48-72時間静置培養を行ない、前々培養液を調製した。さらに、滅菌処理した前培養培地30mlに、前々培養液を0.9ml接種した。これを37℃、48時間静置培養を行ない、前培養液(以下、「乳酸菌前培養液」という。
)を調製した。
Figure 0006390476
<酵味ペースト>
ビール酵母を100%使用した酵素分解型酵母エキス(MCフードスペシャリティーズ株式会社製)。固形分61〜67%、固形分当たりの全窒素5.5%以上、pH4.8〜6.0。
<併行糖化発酵>
次に、培養容器(250mlの滅菌フィルター付きキャップのプラスチック製三角フラスコ)にpH調整剤として炭酸カルシウム6g、LBKP7.5gを添加した後、オートクレーブで滅菌した。
次に窒素源として、酵味ペースト(固形分80g/Lに希釈後、70%硫酸でpHを5.5に調整し、オートクレーブ滅菌)の濃度が0.7質量%になるようにクリ−ンベンチ内で添加した。その後、ダニスコジャパン社製セルラーゼ製剤2ml、乳酸菌前培養液2mlを添加し、蒸留水で全量が100mlになるように培地(以下、「培地A」という。)を調製した。
前記培養容器(フラスコ)のキャップに付属している滅菌フィルター上に切り込みを入れたビニールテープを張り、発酵により生産される乳酸と炭酸カルシウムが反応して発生する炭酸ガスをフラスコ外へ放出した。そして外部からの空気流入を極力抑制するように施し、フラスコに該キャップで締め、外部との通気を遮断した。
前記培養容器を48℃で3日間培養した。培養の最初の1日間は静置し、残り2日間は回転振とうさせた。培養液のpH、グルコース、D−乳酸、L−乳酸を経時的に測定した。尚、グルコース及び乳酸は下記の方法で分析した。結果を表2に示す。
<グルコース及び乳酸の分析>
培養開始直後、1日目、2日目、3日目の培養液を2ml採取し、遠心分離後、上清を0.2μmのディスクフィルター(DISMIC 13HP020AN、ADVANTEC社製)でろ過し、脱塩水で20倍希釈し、グルコース及び乳酸定量用試料(以下、「定量用試料」という。)とした。
(グルコースの定量)
前記定量用試料300μlを専用セルに採取し、バイオセンサー(BF-5/王子計測機器社製)のオートサンプラーにセットして自動計測した。尚、電極は、プレナ電極交換用グルコース電極EDO05-0003/王子計測機器社製)を使用した。
(乳酸の定量)
前記定量用試料1mlをマイクロバイアルに採取してオートサンプラーにセットし、高速液体クロマトグラフHPLC(alliance・2695/Waters社製)を用い、以下の条件で測定した。
カラム:住友分析センター社製SUMICHIRAL OA-5000(内径4.6mm、カラム長25.0cm)温度:30℃
移動相:2mM CuSO・7HOの水−2-プロパノール混液(98:2)溶液
流速:1.0ml/min
検出波長:254nm
<光学純度の測定>
D−乳酸の光学純度を次式で計算した。
光学純度(%ee) = (D−L)/(D+L)×100
ここで、DはD−乳酸濃度、LはL−乳酸濃度を表す。
D−乳酸量は培養45時間で73.2g/L、光学純度は98.3%eeであった。
[製造例2]
製造例1の培地Aに対して、シリンジフィルター(25 mm GD/X PES 0.2 μm、GEヘルスケア・ジャパン社製)で滅菌したシアノコバラミン(ビタミンB12、和光純薬工業製)を終濃度が0.1mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例3]
製造例1の培地Aに対して、シアノコバラミンを終濃度が0.25mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例4]
製造例1の培地Aに対して、シアノコバラミンを終濃度が0.5mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例5]
製造例1の培地Aに対して、シアノコバラミンを終濃度が1.0mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例6]
製造例1の培地Aに対して、シリンジフィルター(25 mm GD/X PES 0.2 μm、GEヘルスケア・ジャパン社製)で滅菌したリボフラビン(ビタミンB2、和光純薬工業製)を終濃度が0.1mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例7]
製造例1の培地Aに対して、シアノコバラミンを終濃度が0.1mg/L、さらにリボフラビンを終濃度が0.1mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例8]
製造例1の培地Aに対して、シアノコバラミンを終濃度が0.25mg/L、さらにリボフラビンを終濃度が0.1mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例9]
製造例1の培地Aに対して、シアノコバラミンを終濃度が0.5mg/L、さらにリボフラビンを終濃度が0.1mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例10]
製造例1の培地Aに対して、シアノコバラミンを終濃度が1.0mg/L、さらにリボフラビンを終濃度が0.1mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例11]
製造例1の培地Aに対して、リボフラビンを終濃度が0.25mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例12]
製造例1の培地Aに対して、シアノコバラミンを終濃度が0.1mg/L、リボフラビンを終濃度が0.25mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例13]
製造例1の培地Aに対して、シアノコバラミンを終濃度が0.25mg/L、リボフラビンを終濃度が0.25mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例14]
製造例1の培地Aに対して、シアノコバラミンを終濃度が0.5mg/L、リボフラビンを終濃度が0.25mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例15]
製造例1の培地Aに対して、シアノコバラミンを終濃度が1.0mg/L、リボフラビンを終濃度が0.25mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例16]
製造例1の培地Aに対して、リボフラビンを終濃度が0.5mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例17]
製造例1の培地Aに対して、シアノコバラミンを終濃度が0.1mg/L、リボフラビンを終濃度が0.5mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例18]
製造例1の培地Aに対して、シアノコバラミンを終濃度が0.25mg/L、リボフラビンを終濃度が0.5mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例19]
製造例1の培地Aに対して、シアノコバラミンを終濃度が0.5mg/L、リボフラビンを終濃度が0.5mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例20]
製造例1の培地Aに対して、シアノコバラミンを終濃度が1.0mg/L、リボフラビンを終濃度が0.5mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例21]
製造例1の培地Aに対して、リボフラビンを終濃度が1.0mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例22]
製造例1の培地Aに対して、シアノコバラミンを終濃度が0.1mg/L、リボフラビンを終濃度が1.0mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例23]
製造例1の培地Aに対して、シアノコバラミンを終濃度が0.25mg/L、リボフラビンを終濃度が1.0mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例24]
製造例1の培地Aに対して、シアノコバラミンを終濃度が0.5mg/L、リボフラビンを終濃度が1.0mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[製造例25]
製造例1の培地Aに対して、シアノコバラミンを終濃度が1.0mg/L、リボフラビンを終濃度が1.0mg/Lになるようにクリ−ンベンチ内で添加した以外は製造例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
Figure 0006390476
表2に示すように、シアノコバラミン単独、またはシアノコバラミン及びリボフラビンを併用した場合、高い光学純度のD−乳酸を高い生産効率で製造することができた。
本発明により、光学純度の高いD−乳酸を高い生産効率で生産することが可能となるため、D−乳酸を製造する際の製造コストの低減が可能となる。

Claims (6)

  1. D−乳酸生産菌を用いて木質バイオマスからD−乳酸を発酵生産するD−乳酸の製造方法であって、D−乳酸生産菌による発酵が、ビール酵母を含有し、かつシアノコバラミンを添加した培地中で行われ、前記培地中のシアノコバラミン濃度が0.1mg/L以上であることを特徴とするD−乳酸の製造方法。
  2. 前記培地にリボフラビンがさらに添加され、前記培地中のリボフラビン濃度が0.25mg/L以下であることを特徴とする請求項に記載のD−乳酸の製造方法。
  3. 乳酸生産菌による発酵が、酵素及びD−乳酸生産菌を同時に作用させて糖化及び発酵を併行して行われることを特徴とする請求項1又は2に記載のD−乳酸の製造方法。
  4. 糖化の前、又は糖化及び発酵を併行して行う前に、木質バイオマスに前処理を施すことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のD−乳酸の製造方法。
  5. D−乳酸生産菌が、ラクトバシラス属に属する乳酸菌であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のD−乳酸の製造方法。
  6. D−乳酸生産菌が、ラクトバシラス・デルブルキに属する乳酸菌であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のD−乳酸の製造方法。
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