JP6389865B2 - 内燃機関用ピストン - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関用ピストンに関する。
特許文献1は、通常のピストンリング構成に加え、エンジン燃焼により発生する腐蝕性物質がトップリング付近に侵入しないようにし、シリンダボアやピストンリングの摩耗を防止することを目的として、ピストンのトップランド部に、シリンダボア径よりも小なる外径で縦断面形状が板状のガスコントロールリングを装着することを言及している。
特許文献2は、4本のピストンリングが組み込まれたピストンをシリンダライナに挿入した状態において、各段のピストンリンク間の空隙容積が最上段のリングランド部で最も大きく、下段になる程順に小さくなるような溝を各段のリングランド部を設けることにより、リングを長時間使用し摩耗した場合でも上死点後、早い時期にリングの溝下面からの持ち上がりが防止でき、早期のブローバイガスが阻止されることについてピストンリングランド圧の図示を用いて言及している。これにより、ピストンリングに付着したオイルの燃焼によるデポジットが減少し、リングスティックやリング折損等のトラブルの発生が抑止でき、長時間ピストンの無開放運転が可能になるとしている。
特許文献3によれば、ピストンリング等の機関部品は、プレイグニッションの標準的な発生回数に対して十分耐え得るように設計されているが、粗悪燃料の使用やデポジットの堆積量の増加などにより、設計時の想定よりもプレイグニッションの発生頻度の高い状態が継続されると、ピストンリングの変形が早期に進行し、その結果、ブローバイガスやオイル消費量が増大するという課題があるとして、ピストンリングの破損を抑止することが可能な内燃機関の制御装置について言及している。
特許文献4によれば、エンジンのピストンのトップランドに、ピストン頂部側からトップリング溝側に向かって外周面がテーパ状に縮径された逆反り部を設け、逆反り部により、ピストンの外周面とシリンダ内壁面との間に生成される燃料及び潤滑油の混合液滴の燃焼室内への飛散を制限するとともに、逆反り部の外表面を、混合液滴の成長を抑制可能な撥油性を有する表面特性とすることにより、燃料と潤滑油の混合液滴に起因する低速高負荷時の異常燃焼を抑制することが可能になることを言及している。
実公平01−043488号公報 登録実用新案第2528632号公報 特許第5708543号公報 特許第5973037号公報
最近の内燃機関は、エンジンの軽量化による燃費向上のため、摺動部品の軽量化が進む中、高い圧縮比による筒内圧の上昇、高回転化による高出力化または過給ダウンサイジングなどによりエンジン燃焼ガスが温度、圧力共に高くなり、ピストン温度の上昇さらに従来の2本の圧縮ピストンリングを採用しているピストンリング構成においてもトップリング温度が上昇し、トップリングの変形が発生する場合がある。
特許文献3によると、内燃機関に発生する異常燃焼の一態様として、プレイグニッション(過早点火)があり、プレイグニッションは、燃焼サイクルにおける圧縮行程中に、点火プラグの正常な点火時期より前に燃焼室内の過熱した部位から混合気が自己着火してしまう現象であることが開示されている。そして、プレイグニッションが発生すると、混合気が圧縮されながら燃焼するため、燃焼室内の圧力および温度が異常に高くなり、粗悪燃料の使用やデポジットの堆積量の増加などにより、設計時の想定よりもプレイグニッションの発生頻度の高い状態が継続されると、ピストンリングの変形が早期に進行し、その結果、ブローバイガスやオイル消費量が増大するという課題があるとしている。
特許文献4によれば、従来、過給ダウンサイジングガソリンエンジンでは、低速高負荷(高過給)運転時に、正規の点火タイミングの前の過早着火による異常燃焼である低速プレイグニッション(Low Speed Pre Ignition:LSPI)が突発的に発生する場合があり、このLSPIが発生すると、通常の燃焼による筒内圧力に対して、高い圧力振動を伴うスーパーノックを誘発し、エンジンに大きな損傷を与える虞があるとも言われている。
早期着火の発生原因は、点火プラグでのスパークが起こる以前に、燃焼室内に付着したデポジット(燃料やエンジン潤滑油の不完全燃焼生成物)がホットスポット(点火源)となって混合気に着火されるといわれている。
本発明が解決しようとする課題は、トップリングの変形とガスシール機能低下を防止することができる内燃機関用ピストンを提供することにある。
本発明の内燃機関用ピストンは、ピストン本体と、複数本の圧縮リングと、を備え、シリンダボア内をシリンダの軸線方向に往復運動する内燃機関用ピストンにおいて、ピストン本体の外周面には、複数本の圧縮リングのうちのトップリングが装着されているトップリング溝よりも上側に、1本の環状溝が形成されていて、1本の環状溝には、1本のリング形状部材が装着されていて、リング形状部材の外周面は、シリンダボアの壁面に圧接していて、リング形状部材の少なくとも下側面にはシリンダ軸線方向に向かい貫通する複数個の溝が形成されていて、環状溝の上側面および下側面に、または下側面のみに、ピストン本体の外周面からシリンダ軸線方向に向かう複数個の溝が形成されていて、ピストン本体の外周面からシリンダ軸線方向に向かう溝のシリンダの軸線側の端部の位置は、リング形状部材の内周面の位置に対して、同じかもしくは前記シリンダの軸線側にあって、環状溝の下側面の溝は、リング形状部材の下側面とトップリングの上側面とに挟まれたピストン本体の外周面とシリンダボアの壁面との間に形成される空隙に連通することを特徴とする。
本発明の内燃機関用ピストンは、ピストン本体と、複数本の圧縮リングと、を備え、シリンダボア内をシリンダの軸線方向に往復運動する内燃機関用ピストンにおいて、ピストン本体の外周面には、複数本の前記圧縮リングのうちのトップリングが装着されているトップリング溝よりも上側に、1本の環状溝が形成されていて、1本の環状溝には、複数本のリング形状部材が装着されていて、複数本のリング形状部材のすべての外周面は、シリンダボアの壁面に圧接していて、複数本のリング形状部材の少なくとも前記環状溝の下側面に対向するリング形状部材の下側面にはシリンダ軸線方向に向かい貫通する複数個の溝が形成されていて、環状溝の上側面および下側面に、または下側面のみに、ピストン本体の外周面からシリンダ軸線方向に向かう複数個の溝が形成されていて、ピストン本体の外周面からシリンダ軸線方向に向かう溝のシリンダの軸線側の端部の位置は、リング形状部材の内周面の位置に対して、同じかもしくはシリンダの軸線側にあって、環状溝の下側面の溝は、リング形状部材の下側面と前記トップリングの上側面とに挟まれたピストン本体の外周面とシリンダボアの壁面との間に形成される空隙に連通することを特徴とする。
本発明の内燃機関用ピストンは、前記環状溝の溝底径は、前記トップリング溝の溝底径よりも大き前記環状溝の前記上側面または前記下側面の溝を除く溝幅は、前記トップリング溝の溝幅に対して、同等もしくは小さい、ことが好ましい。
ことを特徴とする
本発明の内燃機関用ピストンは、環状溝のシリンダの軸線方向の断面形状が、溝底面がシリンダの軸線側に円弧状(曲線状)に突出していて、上側面および下側面が平行もしくはほぼ平行な断面形状である、ことが好ましい。
本発明の内燃機関用ピストンは、リング形状部材のシリンダの軸線方向の断面形状が、内周面がシリンダの軸線側に円弧状(曲線状)に突出している断面形状である、ことが好ましい。
本発明の内燃機関用ピストンは、リング形状部材のシリンダの軸線方向の断面形状が、外周面側の端部が環状溝の上側面に向かって広がるテーパ形状をなす、ことが好ましい。
本発明の内燃機関用ピストンは、トップリングのシリンダの軸線方向の断面形状が、トップリングの上側面のうち内周面側を切除した、トップリングの幅の中心線に対して非対称な断面形状である、ことが好ましい。
本発明は、トップリングの変形とガスシール機能低下を防止することができる内燃機関用ピストンを提供することができる。
本発明の実施形態1に係る内燃機関のピストンまわりの縦断面図である。 内燃機関用ピストンおよびシリンダの一部縦断面図であって、(A)は図1の内燃機関用ピストンを示す一部縦断面図であり、(B)は環状溝がない従来の内燃機関用ピストンを示す一部縦断面図である。 ガスの流れを示す説明図であって、(A)は図2(A)の内燃機関用ピストンの場合の説明図であり、(B)は環状溝に溝が設けられていない場合の説明図である。 図2(A)の要部を示す一部拡大縦断面図である。 図2(A)のピストン本体の環状溝下側面を示す説明図であって、(A)は横断面図(図4におけるV−V線断面図)であり、(B1)および(B2)は溝のシリンダの軸線方向から見た平面形状の変形例を示す一部拡大横断面図であり、(C1)および(C2)は溝のシリンダの軸線に向かう方向から見た正面形状を示す一部拡大正面図(図5(A)におけるC矢視図)である。尚、図4におけるV−V線の矢印を反対にしたときのピストン本体の環状溝上側面も同様である。 図1のトップリングを示す一部拡大縦断面であって、(A)は上側面と内周面との角部が面取りされた形状を示し、(B)は上側面と内周面との角部が段付きの形状を示し、(C)は上側面がテーパ形状を示す。 図3(A)の内燃機関用ピストンの場合の説明図であって、(A)はトップリングの持ち上がり現象が発生しない状態を示す説明図であり、(B)はランド圧変化を示す説明図である。 図3(B)の内燃機関用ピストンの場合の説明図であって、(A)はトップリングの持ち上がり現象が発生する状態を示す説明図であり、(B)はランド圧変化を示す説明図である。 環状溝に溝が形成され、リング形状部材が2枚の場合を示す一部縦断面図である。 本発明の実施形態2に係る内燃機関用ピストンのリング形状部材を示し、(A)は下側面から見た底面図であり、上側面から見た上面図も同様である。(B)は一部拡大縦断面図(図10(A)におけるB−B線断面図)である。 環状溝に溝が形成されず、リング形状部材が2枚の場合を示す一部縦断面図であって、(A)は上下2枚のリング形状部材に溝を有している状態を示す一部縦断面図であり、(B)は下のリング形状部材に溝を有している状態を示す一部縦断面図である。 本発明の実施形態3に係る内燃機関用ピストンのリング形状部材を示す一部縦断面図である。
以下、本発明に係る内燃機関用ピストンの実施形態(実施例)の3例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。すなわち、以下の実施形態は、本発明の幾つかの実施形態のうちの3例である。
この明細書および別紙の特許請求の範囲において、エンジン燃焼室63側を「上側」と称し、エンジン燃焼室63に対して反対側のクランク室(不図示)側を「下側」と称する。図2(A)、図3(A)、(B)においては、図面を簡潔にするために、ハッチングを省略する。図5においては、リング形状部材2およびシリンダブロック6の図示は、省略されている。図7(A)、(B)、図8(A)、(B)の説明図のグラフの横軸は、クランク角および4サイクル行程を示し、クランク角の0°は、圧縮行程上死点を示す。図7(A)、図8(A)の説明図のグラフの縦軸は、トップリング3、3Aの持ち上がり状態を示し、Mは、トップリング3の下側面32がトップリング溝13の下側面132に当接している状態を示し、Uは、トップリング3Aの上側面31がトップリング溝13の上側面131に当接している状態を示す。図7(B)、図8(B)の説明図のグラフの縦軸は、ランド圧(MPa)を示す。
(実施形態1の構成の説明)
図2(B)、図3(B)を除く図1〜図9は、本発明に係る内燃機関用ピストンの実施形態1を示す。以下、この実施形態1に係る内燃機関用ピストンの構成について説明する。図中、符号1は、この実施形態1に係る内燃機関用ピストンである。
(内燃機関用ピストン1の説明)
図1、図2(A)、図3(A)に示すように、内燃機関用ピストン1は、ピストン本体10と、リング形状部材2と、複数本の圧縮リング(この例では、トップリング3およびセカンドリング4)と、オイルリング5と、を備える。内燃機関用ピストン1は、シリンダブロック6に設けられた円筒形状(ほぼ円筒形状を含む)のシリンダボア60内を往復運動する。このとき、リング形状部材2、トップリング3、セカンドリング4およびオイルリング5は、シリンダボア60の壁面61(以下、単に「ボア壁面61」と称する)に圧接している状態でボア壁面61を摺動する。なお、リング形状部材2のボア壁面61に圧接する力は、トップリング3またはセカンドリング4のボア壁面61に圧接する力よりも小さい。
シリンダブロック6の上側には、シリンダヘッド62が配置されている。シリンダヘッド62、ボア壁面61およびピストン本体10の頂面(上側の面)11で囲まれた領域内には、エンジン燃焼室63が形成されている。エンジン燃焼室63においては、点火プラグ(不図示)が着火すると、空気と燃料との混合気が燃焼して、エンジン燃焼ガスG(以下、単に「ガスG」と称する)が発生する。このガスGにより内燃機関用ピストン1は、シリンダボア60内をシリンダの軸線O(以下、単に「軸線O」と称する)方向に往復運動する。軸線Oは、円筒形状のシリンダボア60の中心線と一致する。
(ピストン本体10の説明)
図1、図2(A)、図3(A)に示すように、ピストン本体10は、外径がシリンダボア60の内径より小さい円筒形状(ほぼ円筒形状を含む)をなしている。すなわち、ピストン本体10は、上側端部が閉塞され、かつ、下側端部が開口された内部中空部を有する中空形状をなす。ピストン本体10の上側端部(ランド部)の外周面100には、環状溝12、トップリング溝13、セカンドリング溝14およびオイルリング溝15が、それぞれ1本ずつ、上側から下側に順次設けられている。環状溝12、トップリング溝13、セカンドリング溝14およびオイルリング溝15には、リング形状部材2、トップリング3、セカンドリング4およびオイルリング5が、それぞれ、上側から下側に順次装着されている。ピストン本体10の下側端部には、コンロッド16の上側端部がピストンピン17によって連結されている。コンロッド16の下側端部は、クランクシャフト(不図示)に連結されている。
環状溝12、トップリング溝13、セカンドリング溝14およびオイルリング溝15は、それぞれ、軸線O(シリンダボア60の中心線)とほぼ一致するピストン本体10の中心線を中心とする円環状をなす。環状溝12の軸線O方向の断面形状は、溝底面(以下、環状溝底面と称する)120が軸線O側に円弧状(曲線状)に突出していて、上側面(以下、環状溝上側面と称する)121および下側面(以下、環状溝下側面と称する)122が相互に平行もしくはほぼ平行な、かつ、軸線Oに対して垂直もしくはほぼ垂直な、断面形状である。すなわち、環状溝12の軸線O方向の断面形状は、環状溝底面120(溝底部)が円弧状かつ環状溝底面120(溝底部)以外が矩形の断面形状である。なお、図2、図3に示すように、ピストン本体10の外周面100と環状溝上側面121、環状溝下側面122との角部分が面取りされていないが、図4に示すように、面取りしても良い。
トップリング溝13、セカンドリング溝14、オイルリング溝15の軸線O方向の断面形状は、それぞれ、溝底面(以下、トップリング溝底面、セカンドリング溝底面、オイルリング溝底面と称する)130、140、150が軸線Oと平行もしくはほぼ平行であって、上側面(以下、トップリング溝上側面、セカンドリング溝上側面、オイルリング溝上側面と称する)131、141、151および下側面(以下、トップリング溝下側面、セカンドリング溝下側面、オイルリング溝下側面と称する)132、142、152が相互に平行もしくはほぼ平行な、かつ、軸線Oに対して垂直もしくはほぼ垂直な、断面形状すなわち矩形の断面形状である。オイルリング溝底面150とピストン本体10の内部中空部の壁面との間には、ピストンのスラスト方向にスリット状またはドリル穴形状のオイル戻し穴153が複数個形成されている。
図3(A)に示すように、環状溝12の溝底径D1は、トップリング溝13の溝底径D2よりも大きい。環状溝12の溝7、8を除いた溝幅H1は、トップリング溝13の溝幅H2に対して、同等もしくは小さい。
(リング形状部材2の説明)
図2(A)、図3、図4に示すように、リング形状部材2の軸線O方向の断面形状は、内周面(以下、リング形状部材内周面と称する)20が軸線O側に円弧状(曲線状)に突出していて、外周面(以下、リング形状部材外周面と称する)23が軸線Oに対して反対側に円弧状(曲線状)に突出していて、上側面(以下、リング形状部材上側面と称する)21および下側面(以下、リング形状部材下側面と称する)22が相互に平行もしくはほぼ平行な、かつ、軸線Oに対して垂直もしくはほぼ垂直な、断面形状である。すなわち、リング形状部材2の軸線O方向の断面形状は、リング形状部材内周面20およびリング形状部材外周面23が円弧状かつリング形状部材内周面20およびリング形状部材外周面23以外が矩形の断面形状である。リング形状部材外周面23は、いわゆるバレル面をなしていて、ボア壁面61に圧接していて、かつ、圧接している状態でボア壁面61を摺動する。
リング形状部材2の軸線O方向の幅は、環状溝12の軸線O方向の幅よりも小さく、トップリング3、セカンドリング4およびオイルリング5と同様に、隙間(サイドクリアランスSC)を有している。また、リング形状部材内周面20の内径は、環状溝底面120の内径よりも大きく、トップリング3、セカンドリング4およびオイルリング5と同様に、隙間(バッククリアランスBC)を有している。さらに、リング形状部材2には、トップリング3、セカンドリング4およびオイルリング5と同様に、合い口すきま(図10中の相互に対向する2個の合い口端面24の間のすきま)が形成されている。
(トップリング3の説明)
図2(A)、図3(A)、図6に示すように、トップリング3の軸線O方向の断面形状は、トップリング3の上側面(以下、トップリング上側面と称する)31のうち内周面(以下、トップリング内周面と称する)30側を切除した、トップリング3の軸線O方向の幅の中心線(図6中の一点鎖線を参照)に対して非対称な断面形状である。すなわち、トップリング3は、軸線O方向の断面形状が矩形において、前記トップリング上側面31のうちトップリング内周面30側を切除したものである。図2(A)、図3(A)、図6(A)に示す断面形状が面取り形状であり、図6(B)に示す断面形状が段付き形状であり、図6(C)に示す断面形状がテーパ形状である。トップリング3は、一般のトップリングと同様に、外周面(以下、トップリング外周面と称する)がボア壁面61に圧接している状態でボア壁面61を摺動する。
トップリング3の軸線O方向の幅は、トップリング溝13の軸線O方向の幅よりも小さく、隙間(サイドクリアランス)を有している。トップリング内周面30とトップリング溝底面130との間には、隙間(バッククリアランス)を有している。トップリング3には、合い口すきまが形成されている。
(セカンドリング4の説明)
図2(A)、図3(A)に示すように、セカンドリング4は、一般のセカンドリングを使用する。セカンドリング4の外周面(以下、セカンドリング外周面と称する)は、ボア壁面61に圧接している状態でボア壁面61を摺動する。セカンドリング4の軸線O方向の幅は、セカンドリング溝14の軸線O方向の幅よりも小さく、隙間(サイドクリアランス)を有している。セカンドリング4の内周面(以下、セカンドリング内周面と称する)とセカンドリング溝底面140との間には、隙間(バッククリアランス)を有している。セカンドリング4には、合い口すきまが形成されている。
(オイルリング5の説明)
図2(A)、図3(A)に示すように、オイルリング5は、一般のスリーピース(上側レール、下側レール、スペーサ)のオイルリングを使用する。オイルリング5の外周面(以下、オイルリング外周面と称する)は、ボア壁面61に圧接している状態でボア壁面61を摺動する。オイルリング5の下側面(以下、オイルリング下側面と称する)52は、オイルリング溝下側面152に当接している。オイルリング5の上側面(以下、オイルリング上側面と称する)51とオイルリング溝上側面151との間には、ピストン外周面の位置で隙間(サイドクリアランス)を有している。オイルリング5の内周面(以下、オイルリング内周面と称する)とオイルリング溝底面150との間には、隙間(バッククリアランス)を有している。オイルリング5には、上側レール、下側レールのそれぞれに合い口すきまが形成されている。
(空隙C1、C2、C3、C4、C5の説明)
図2(A)、図3(A)に示すように、ピストン本体10の外周面100とボア壁面61との間には、空隙(クレビス)C1、C2、C3、C4、C5が形成されている。すなわち、ピストン本体10の頂面11の外周側からリング形状部材上側面21までの間においては、第1空隙C1が形成されている。第1空隙C1は、エンジン燃焼室63と連通している。また、リング形状部材下側面22とトップリング上側面31とに挟まれた間においては、第2空隙C2が形成されている。さらに、トップリング下側面32とセカンドリング上側面41とに挟まれた間においては、第3空隙C3が形成されている。さらにまた、セカンドリング下側面42とオイルリング上側面51とに挟まれた間においては、第4空隙C4が形成されている。さらにまた、オイルリング下側面52からピストン本体10の下側の面までの間においては、第5空隙C5が形成されている。第5空隙C5は、シリンダボア60を介してクランク室と連通している。
(溝7、8の説明)
図2(A)、図3(A)、図4、図5、図9に示すように、環状溝上側面121および環状溝下側面122には、ピストン本体の外周面からシリンダ軸線方向に向かう溝がそれぞれ複数個、この例では、環状溝上側面の溝8が8個、環状溝下側面の溝7が8個、形成されている。溝7,8は、個数および相対的位置について適宜に設定されるが、それぞれ4個以上が好ましく、製作上、溝7と溝8は軸線O方向に同一位置で、環状溝12を挟んで対称形状になることが好ましい。溝7は、第2空隙C2に連通する。溝7、8の軸線O側の端部の位置は、リング形状部材内周面20の位置に対して、軸線O側にある。すなわち、軸線Oから溝7、8の軸線O側の端部までの距離(半径)d1は、軸線Oからリング形状部材内周面20までの距離(半径)d2よりも小さい。なお、溝7、8の軸線O側の端部の位置は、リング形状部材内周面20の位置に対して、同じであっても良い。また、軸線Oから溝7、8の軸線O側の端部までの距離(半径)d1は、相互に異なっても良いが、軸線Oからリング形状部材内周面20までの距離(半径)d2に対しては、同じか小さい。
それぞれ8個の溝7、8は、ピストン本体10の径方向に外周面100に向かって、ピストン本体10の周方向に等間隔もしくはほぼ等間隔に形成されているが、これに限らない。また、溝7、8のピストン本体10の周方向の幅また深さは、適宜に設定される。
溝7、8のシリンダの軸線方向から見た平面形状は、矩形状(図5(A)参照)、外周面100に向かって拡開した台形状(図5(B1)参照)、溝7、8の幅の中心線(図5(A)、(B1)、(B2)中の一点鎖線を参照)が直線(図5(A)、図5(B1)参照)ではなく曲線であり、かつ、外周面100に向かって拡開した形状(図5(B2)参照)などであって良い。また、溝7、8のシリンダの軸線に向かう方向から見た正面形状は、矩形状(図5(C1)参照)、円弧形状(図5(C2)参照)などであって良い。
(実施形態1の作用の説明)
この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、図7(A)、(B)中の横軸に示すように、4サイクル行程を行う。すなわち、クランク角が−360°から−180°までの間においては、吸気行程が行われる。クランク角が−180°から0°までの間においては、圧縮行程が行われる。クランク角が0°であって、内燃機関用ピストン1が圧縮上死点に達した時点においては、点火プラグが着火して、空気と燃料との混合気がエンジン燃焼室63内において燃焼して、ガスGが発生する。クランク角が0°から+180°までの間においては、膨張行程が行われる。クランク角が+180°から+360°までの間においては、排気行程が行われる。
図3(A)中の実線矢印に示すように、エンジン燃焼室63内において発生したガスGは、エンジン燃焼室63内から第1空隙C1内に流入する。第1空隙C1内の圧力(ランド圧)P1は、エンジン燃焼室63内の圧力(筒内圧力)P1である。
第1空隙C1内のガスGは、リング形状部材2の合い口すきまを直接通り抜け、また、リング形状部材上側面21と環状溝上側面121との間の隙間および環状溝上側面121の溝8から流入し、リング形状部材内周面20と環状溝底面120との間のバッククリアランスBCを通り、リング形状部材下側面22と環状溝下側面122との間の隙間および環状溝下側面122の溝7を経由する流路から、ブローバイガス(漏れガス)として、第2空隙C2内に流入する。第2空隙C2内の圧力(ランド圧)P2は、第1空隙C1内から第2空隙C2内に漏れたガスGにより発生する圧力である。
第2空隙C2内のガスGは、トップリング3の合い口すきまを直接通り抜け、また、トップリング上側面31とトップリング溝上側面131との間の隙間から流入し、トップリング内周面とトップリング溝底面130との間のバッククリアランスを通り、トップリング下側面32とトップリング溝下側面132との間の隙間または合い口すきまを経由する流路から、ブローバイガス(漏れガス)として、第3空隙C3内に流入する。
第3空隙C3内の圧力(ランド圧)P3は、第2空隙C2内から第3空隙C3内に漏れたガスGにより発生する圧力である。
第3空隙C3内のガスGは、セカンドリング4の合い口すきまを直接通り抜け、また、セカンドリング上側面41とセカンドリング溝上側面141との間の隙間から流入し、セカンドリング内周面とセカンドリング溝底面140との間のバッククリアランスを通り、
セカンドリング下側面42とセカンドリング溝下側面142との間の隙間または合い口すきまを経由する流路から、ブローバイガス(漏れガス)として、第4空隙C4内に流入する。第4空隙C4内の圧力(ランド圧)P4は、第3空隙C3内から第4空隙C4内に漏れたガスGにより発生する圧力である。
第4空隙C4内のガスGは、オイルリング5の上側レールの合い口すきまを通過し、ほとんどがオイルリング溝底面150に形成されているオイル戻し穴153を通って、ブローバイガス(漏れガス)としてクランク室(不図示)内に流入する。
(実施形態1の効果の説明)
この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、ピストン本体10にリング形状部材2を、トップリング3よりも上側(トップリング3に対してエンジン燃焼室63側)に装着したものである。この結果、この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、リング形状部材2により、トップリング3がエンジン燃焼室63内からの高温・高圧のガスGまたはプレイグニッションによる火炎F(図2(B)を参照)に直接晒されることが無い。これにより、この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、トップリング3の変形ひいてはトップリング3のガスシール機能低下を防止することができる。
ここで、ピストン本体10Aにリング形状部材2が装着されていない従来の内燃機関用ピストンについて、図2(B)を参照して説明する。図2(B)中、図2(A)と同符号は、同一のものを示す。ピストン本体10Aの頂面11とトップリング3Aの上側面31とに挟まれたピストン本体10Aの外周面100とボア壁面61との間の空隙(クレビス)C内の高温・高圧のガスGは、トップリング上側面31とトップリング溝上側面131との間に流入して、トップリング3Aは、高温・高圧のガスGに直接晒されることとなる。このため、トップリング3Aは、変形を生じ、これにより、トップリング3Aとトップリング溝下側面132およびボア壁面61との間のガスシール機能が損なわれ、ブローバイガスが多量に発生する結果となる。また、過給ダウンサイジングガソリンエンジンにおいて、空隙C内にプレイグニッションが発生すれば、トップリング3Aの変形が早期に進行することとなる。
これに対して、この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、リング形状部材2により、トップリング3が高温・高圧のガスGまたは火炎Fに直接晒されることが無いので、トップリング3の変形とガスシール機能低下を防止することができる。
この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、図3(A)に示すように、ピストン本体10の環状溝12にリング形状部材2を装着し、かつ、環状溝上側面121および環状溝下側面122に溝7、8を形成したものである。この結果、この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、内燃機関用ピストン1の位置が圧縮上死点直前の高圧のガスGの一部が溝7、8を通って第2空隙C2内に流入して、第2空隙C2内の圧力(ランド圧)P2を上昇させる(図7(B)を参照)。これにより、この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、圧縮行程後半から膨張行程前半までの間において、トップリング3の持ち上がり現象が発生しない(図7(A)中Mを参照)ので、トップリング3は、ガスシール機能を果たすことができ、ブローバイガス量の増加を回避することができる。トップリング3の持ち上がり現象とは、トップリング下側面32がトップリング溝下側面132から離れて持ち上がることをいう。
ここで、図3(A)に示す内燃機関用ピストン1に対して、環状溝12に溝7、8が形成されていないピストン本体10Bと、図2(B)に示す従来のトップリング3Aと、を用いた内燃機関用ピストンの場合について、図3(B)を参照して説明する。図3(B)中、図3(A)と同符号は、同一のものを示す。
リング形状部材2は、第1空隙C1内の高圧のガスGが第2空隙C2内に流入するのを妨げるように作用するので、第2空隙C2内の圧力(ランド圧)P2が上昇しないことになる(図8(B)を参照)。この結果、圧縮行程後半において、トップリング上側面31に作用する第2空隙C2内の圧力(ランド圧)P2とトップリング下側面32に作用する第3空隙C3内の圧力(ランド圧)P3との圧力差(P2−P3>0)により発生するトップリング3Aの軸線O方向の外力(F1)およびトップリング3Aの外周面とボア壁面61との摩擦力(F2)の合力(F1+F2)に対して、トップリング3Aの軸線O方向の慣性力(FI)が合力(F1+F2)よりも大きい力(FI>F1+F2)で作用すると、トップリング3Aの持ち上がり現象が発生する(図8(A)中のUを参照)。そして、膨張行程前半において、トップリング下側面32は、第2空隙C2内の圧力(ランド圧)P2により、トップリング溝下側面132に再び当接する。このトップリング3Aが持ち上がる時およびトップリング下側面32がトップリング溝下側面132に再び当接する時、第2空隙C2内の高圧のガスGが第3空隙C3内に流出し、ブローバイガス量を増加する誘因になる。
図8(A)、(B)は、図3(B)に示す内燃機関用ピストンの場合の説明図である。図8(A)は、トップリング3Aの持ち上がり現象が発生する場合を示す説明図である。図8(B)は、第1空隙C1内の圧力(ランド圧)P1、第2空隙C2内の圧力(ランド圧)P2および第3空隙C3内の圧力(ランド圧)P3の変化を示す説明図である。
図8(A)中の「U」は、図8(B)のランド圧変化(エンジン高負荷時)において、圧縮行程後半から膨張行程前半に及んでトップリング3Aが持ち上がり、トップリング上側面31がトップリング溝上側面131に当接している状態を示す。図8(B)は、圧縮行程後半において、トップリング上側面31側の第2空隙C2内の圧力(ランド圧)P2が、第1空隙C1内の圧力(ランド圧)P1に比較して低く、第3空隙C3内の圧力(ランド圧)P3より僅かに高いことを示す。図8(B)に示す圧力差P2−P3の水準では、図8(A)中のUに示すように、トップリング3Aの持ち上がり現象が発生することとなる。
この結果、圧縮行程後半において、トップリング3Aがトップリング溝下側面132から離れてトップリング溝上側面131に移動している間に、および、膨張行程前半において、トップリング3Aがトップリング溝上側面131から離れてトップリング溝下側面132に移動している間に、第2空隙C2内の高圧のガスGがトップリング3Aとトップリング溝上側面131、トップリング溝下側面132との間の隙間から第3空隙C3内に流出して、ブローバイガスが増加することとなる。なお、排気行程後半から吸気行程前半までの間において、トップリング上側面31は、トップリング溝上側面131に当接しているが、この間においては、空隙(クレビス)C1、C2、C3、C4、C5内の圧力(ランド圧)が全て低いため、ブローバイガスの発生が極めて少ない。
これに対して、この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、図3(A)に示すように、環状溝上側面121および環状溝下側面122に溝7、8を形成したものであるから、ピストン本体10にリング形状部材2が装着されていても、圧縮行程後半において、第1空隙C1内の高圧のガスGの一部が溝8、7を通って第2空隙C2内に流入し、第2空隙C2内の圧力(ランド圧)P2が上昇することとなる(図7(B)を参照)。これにより、圧縮行程後半において、トップリング上側面31に作用する第2空隙C2内の圧力(ランド圧)P2とトップリング3の下側面32に作用する第3空隙C3内の圧力(ランド圧)P3との圧力差(P2−P3>0)により発生するトップリング3の軸線O方向の外力(F1)およびトップリング外周面とボア壁面61との摩擦力(F2)の合力(F1+F2)に対して、トップリング3の軸線O方向の慣性力(FI)が作用しても、合力(F1+F2)が慣性力(FI)よりも大きい(FI<F1+F2)関係を満足する第2空隙C2内の圧力(ランド圧)P2であれば、トップリング3の持ち上がり現象が発生しない(図7(A)中Mを参照)。そして、圧縮行程後半から膨張行程前半に亘り、トップリング3は、ガスシール機能を果たすことができ、ブローバイガス量の増加を回避することができる。
図7(A)、(B)は、図3(A)に示す内燃機関用ピストン1の場合の説明図である。図7(A)は、トップリング3の持ち上がり現象が発生しない場合を示す説明図である。図7(B)は、第1空隙C1内の圧力(ランド圧)P1、第2空隙C2内の圧力(ランド圧)P2および第3空隙C3内の圧力(ランド圧)P3の変化を示す説明図である。
図7(A)中の「M」は、図7(B)のランド圧変化(エンジン高負荷時)において、図8(A)中の「U」に示すような圧縮行程後半のトップリング3Aの持ち上がり現象が発生していないこと(すなわち、トップリング下側面32がトップリング溝下側面132に当接している状態)を示す。図7(B)は、圧縮行程後半から膨張行程前半までの間において、トップリング上側面31側の第2空隙C2内の圧力(ランド圧)P2が、第1空隙C1内の圧力(ランド圧)P1の変化にわずかに遅れて第1空隙C1内の圧力(ランド圧)P1に近い圧力となり、圧縮行程後半において、圧力差P2−P3が、図8(B)に示す圧力差P2−P3に比較して大きいことを示す。従って、トップリング3の持ち上がり現象が発生せず、高圧のブローバイガスの増加を防止することができる。
ここで、この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1の変形例として、圧縮行程後半から膨張行程前半までの間において、トップリング上側面31側の第2空隙C2内の圧力(ランド圧)P2が、第1空隙C1内の圧力(ランド圧)P1の変化にわずかに遅れて第1空隙C1内の圧力(ランド圧)P1に近い圧力となり、圧縮行程後半において、圧力差P2−P3が、図8(B)に示す圧力差P2−P3に比較して大きく、トップリング3の持ち上がり現象が発生せず、高圧のブローバイガスの増加を防止することができれば、環状溝下側面122にのみ溝7を形成したものであってもよい。
この実施形態1または実施形態1の変形例に係る内燃機関用ピストン1は、図4に示すように、環状溝12の上面側および下側面に形成される溝7、8または7の軸線O側の端部の位置が、リング形状部材内周面20の位置に対して、軸線O側にあるので、高圧のガスGが環状溝12内に流入し、また、第2空隙C2内に流出し易くなる。この結果、この実施形態1または実施形態1の変形例に係る内燃機関用ピストン1は、第2空隙C2内の圧力(ランド圧)P2を第1空隙C1内の圧力(ランド圧)P1に近い圧力とすることができ、トップリング3の持ち上がり現象の発生を確実に防止することができ、ひいては、高圧のブローバイガスの増加を確実に防止することができる。
この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、図3(A)に示すように、環状溝12の溝底径D1をトップリング溝13の溝底径D2よりも大きくし、高温のエンジン燃焼温度を受熱するピストン頂面11中心部から環状溝12の溝底位置までの距離を大きくすることにより、ピストン頂面11部の熱負荷を軽減する。環状溝12の溝底位置までの距離が小さいと、環状溝のピストン頂面11側にかかる筒内圧による荷重により環状溝の変形が大きくなり、また、溝底面120上側からピストンに亀裂が発生しやくなり不適である。
この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、図3(A)に示すように、環状溝12の溝幅H1がトップリング溝13の溝幅H2に対して、同等もしくは小さい。環状溝12の溝幅H1が大きい場合としては、環状溝上側面121とピストン頂面11とで挟まれる幅を薄くする場合と、環状溝下側面122とトップリング上側面131とで挟まれる幅を薄くする場合である。前者は、エンジン燃焼室63の高い筒内圧をピストン頂面が受けることにより、環状溝上側の変形を増大する。後者は、リング形状部材がエンジン燃焼室63の高い筒内圧をリング形状部材が受けることにより、環状溝下側の変形を増大する。従って、環状溝12の溝幅H1およびピストン頂面11から位置は、適宜設定される。
この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、図3(A)、図4に示すように、環状溝12の軸線O方向の断面形状において溝底面120(溝底部)が円弧状かつ溝底面120(溝底部)以外が矩形の断面形状である。溝底面120(溝底部)を円弧状にすることは、矩形状の場合に比べ、高温のエンジン燃焼温度を受熱するピストンの熱応力に対して、応力集中を避けることができ、破壊強度を損なわない形状である。
この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、図3(A)に示すように、リング形状部材2の軸線O方向の断面形状が、内周面20が軸線O側に円弧状に突出している断面形状である。この結果、この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、リング形状部材2の内周面20にガスG圧が背圧として作用する方向が、ボア壁面61方向(ボア壁面61に対して垂直方向もしくはほぼ垂直方向)以外にも分散するため、リング形状部材外周面23がボア壁面61を圧接する力を軽減することができる。従って、この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、リング形状部材外周面23がボア壁面61に圧接している状態でボア壁面61を摺動する時のリング形状部材外周面23とボア壁面61との間の摩擦力を小さくすることができ、リング形状部材2の耐摩耗性、耐スカッフ性を向上させることができる。リング形状部材2は、ピストン10のエンジン燃焼室63側に配設されており、潤滑性に乏しい摺動をするため、外周ガスシール機能が維持できる圧接する力があればよく、ボア壁面61との間の摩擦力を極力小さくすることが好適である。なお、リング形状部材外周面23のボア壁面61に圧接する力は、トップリング外周面またはセカンドリング外周面のボア壁面61に圧接する力よりも小さい。
この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、図3(A)に示すように、リング形状部材2の軸線O方向の断面形状が、外周面23が軸線Oに対して反対側に円弧状に突出している断面形状である。この結果、この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、リング形状部材2のいわゆるバレル面の外周面23がボア壁面61に圧接している状態でボア壁面61を摺動する時の外周面23とボア壁面61との間の摩擦力を小さくすることができ、リング形状部材2の耐摩耗性、耐スカッフ性を向上させることができる。
この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、図6に示すように、トップリング3の軸線O方向の断面形状が、トップリング上側面31のうちトップリング内周面30側を切除した、トップリング3の軸線O方向の幅の中心線(図6中の一点鎖線を参照)に対して非対称な断面形状である。この結果、この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、シリンダボア60内に挿入した時に、トップリング溝13内において、トップリング下側面32のトップリング外周面側がエンジン燃焼室63側に浮き上がり、一方、トップリング下側面32のトップリング内周面30側がトップリング溝下側面132に当接するように、トップリング3がねじれる。このように、この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、トップリング3がねじれてトップリング下側面32のトップリング内周面30側がトップリング溝下側面132に当接することにより、トップリング上側面31側の第2空隙C2内の高圧(ランド圧P2)のガスGがトップリング下側面32側の第3空隙C3内に流出することを阻止するガスシール機能を有する。従って、この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、トップリング下側面32に作用する圧力(第3空隙C3内のランド圧P3)の上昇を抑制し、トップリング3の持ち上がり現象を抑制することができる。
さらに、この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、トップリング上側面31のうちトップリング内周面30側を切除したので、トップリング3の軸線O方向の幅を薄くすること、あるいは、トップリング3の縦断面積を小さくすること等により、トップリング3に作用する慣性力を小さくすることができる。この結果、この実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、トップリング3のエンジン圧縮行程後半の持ち上がり現象を抑制することができる。
(リング形状部材2の変形例の説明)
図9は、リング形状部材2の変形例、すなわち、リング形状部材2U、2Dが2枚の場合を示す一部縦断面図である。図9は、2枚のリング形状部材2U、2Dの断面形状が同一の場合を示す。
2枚のリング形状部材2U、2Dをピストン本体10の環状溝12に上下に装着する時、2枚のリング形状部材2U、2Dの合い口(図10中の合い口端面24を参照)がピストン本体10もしくはシリンダボア60の径方向に対向する位置になるよう装着することが好ましい。このように装着することにより、2枚のリング形状部材2U、2Dの合い口が重なる機会を少なくし、エンジン燃焼室63内からのプレイグニッションによる火炎F(図2(B)が直接合い口を通過することを回避することができる。また、リング形状部材2U、2Dを含む内燃機関用ピストン1をシリンダボア60内に挿入した時、下側のリング形状部材2Dは、トップリング3またはセカンドリング4より弱い力でボア壁面61に圧接する。一方、上側のリング形状部材2Uは、シリンダボア60内に挿入した時、ボア壁面61に圧接していなくても良く、自由状態でシリンダボアの内径に等しい外径であればよい。
2枚のリング形状部材2U、2Dは、以上の構成からなるので、1枚のリング形状部材の場合に対して、エンジン燃焼室63内からのはプレイグニッションによる火炎F(図2(B)が直接合い口を通過することを回避することができる。また、エンジン燃焼室63内からの高温・高圧のガスGまたはプレイグニッションによる火炎F(図2(B)に直接晒される上側のリング形状部材2Uが存在するため、下側のリング形状部材2Dが直接的な熱影響をうけないことから、下側のリング形状部材2Dのシール機能を持続可能にする。尚、上側のリング形状部材2Uの熱変形を軽減するため、幅を厚くし、部材の剛性を増すようにしてもよい。
(実施形態2の説明)
図10(A)、(B)、図11(A)、(B)は、本発明に係る内燃機関用ピストンの実施形態2を示す。以下、この実施形態2に係る内燃機関用ピストンについて説明する。図中、図1〜図9と同符号は、同一のものを示す。
前記の実施形態1に係る内燃機関用ピストン1は、ピストン本体10に形成された環状溝に溝を形成したものである。これに対して、この実施形態2に係る内燃機関用ピストンは、ピストン本体10に形成された環状溝に溝の形成がなく、1本の環状溝12に装着されたリング形状部材2Aであって、リング形状部材上側面21およびリング形状部材下側面22に、シリンダ軸線方向に向かい貫通する溝がそれぞれ複数個、この例では、リング形状部材上側面21の溝80が7個、リング形状部材下側面22の溝70が7個、形成されている。溝70,80は、個数および相対的位置について適宜に設定されるが、それぞれ4個以上が好ましい。溝70は、第2空隙C2に連通する。7個の溝70、80は、合い口端面24間を含めて、リング形状部材2Aの周方向に等間隔もしくはほぼ等間隔に形成されているが、これに限らない。また、溝70、80のリング形状部材2Aの周方向の幅(溝幅)また深さは、適宜に設定される。
この実施形態2に係る内燃機関用ピストンのリング形状部材2Aにおける溝70、80は、前記の実施形態1に係る内燃機関用ピストン1の環状溝の溝と同様に、シリンダの軸線方向から見た平面形状が矩形状、台形状、溝70、80の幅の中心線が曲線で外周面23に向かって拡開した形状などであって良いし、また、溝70、80のシリンダの軸線に向かう方向から見た正面形状が矩形状、円弧形状などであって良い。
この実施形態に係る内燃機関用ピストンは、以上のごとき構成からなるので、前記の実施形態1に係る内燃機関用ピストン1の作用効果と同様もしくはほぼ同様の作用効果を達成することができる。
ここで、この実施形態2に係る内燃機関用ピストン1の変形例として、圧縮行程後半から膨張行程前半までの間において、トップリング上側面31側の第2空隙C2内の圧力(ランド圧)P2が、第1空隙C1内の圧力(ランド圧)P1の変化にわずかに遅れて第1空隙C1内の圧力(ランド圧)P1に近い圧力となり、圧縮行程後半において、圧力差P2−P3が、図8(B)に示す圧力差P2−P3に比較して大きく、トップリング3の持ち上がり現象が発生せず、高圧のブローバイガスの増加を防止することができれば、リング形状部材下側面22にのみ溝70を形成したものであってもよい。
(リング形状部材2U、2Dの変形例の説明)
図11(A)は、本発明に係る内燃機関用ピストン1の他の実施形態を示す。図11(A)は、前記の図9と同様に、リング形状部材2U、2Dの変形例、すなわち、リング形状部材2AU、2ADが2枚の場合を示す一部縦断面図である。この2枚のリング形状部材2AU、2ADは同一物であり、上側のリング形状部材2AUの溝80は、環状溝上側面121に対向し、下側のリング形状部材2ADの溝70は、環状溝下側面122に対向して装着する。ここで、上側のリング形状部材2AUの溝80は、ガスGが流入する通路を形成し、下側のリング形状部材2ADの溝70はガスGが流出する通路を形成している。
図11(A)に示す2枚のリング形状部材2AU、2ADは、以上の構成からなるので、前記の図9に示すピストン本体10と2枚のリング形状部材2U、2Dとの組合せと同様もしくはほぼ同様の作用効果を達成することができる。
(リング形状部材2AU、2ADの変形例の説明)
図11(B)は、リング形状部材2AU、2ADの変形例、すなわち、リング形状部材2U、2ADが2枚の場合を示す一部縦断面図である。リング形状部材2Uは、図9のリング形状部材2Uと同等であり、リング形状部材2ADは、図11(A)のリング形状部材2ADと同等である。リング形状部材2ADの下側面の溝70がガスGを流出する通路を形成している。
(実施形態3の説明)
図12は、本発明に係る内燃機関用ピストンの実施形態3を示す。以下、この実施形態3に係る内燃機関用ピストンについて説明する。図中、図1〜図11と同符号は、同一のものを示す。
この実施形態3に係る内燃機関用ピストンは、リング形状部材外周面23側の端部25が、環状溝上側面121に向かって拡開するテーパ形状をなすものである。このように、この実施形態3に係る内燃機関用ピストンは、リング形状部材外周面23の端部25の縦断面形状がエンジン燃焼室63側に向かって拡開するテーパ形状とすることにより、エンジン燃焼室63側の第1空隙C1内からリング形状部材外周面23に流入する高圧のガスGが、リング形状部材2をボア壁面61から遠ざける方向の圧力として作用するので、リング形状部材外周面23の摩耗を軽減することができる。この結果、この実施形態3に係る内燃機関用ピストンは、リング形状部材2の耐摩耗性、耐スカッフ性を向上させることができる。図12には、環状溝12が環状溝下側面122のみに溝7がある場合を示す。
(実施形態1、2、3、変形例以外の例の説明)
なお、前記の実施形態1、2においては、1本の環状溝12に1本のリング形状部材2を装着し、前記の変形例においては、1本の環状溝12に2本のリング形状部材2U、2D(図9)、また、2AU、2AD(図11)を装着するものである。しかしながら、この発明において、ピストンの破壊・損傷を引き起こさない範囲で、1本の環状溝12に3本以上のリング形状部材を装着しても良い。
また、前記の実施形態1の変形例において、環状溝下側面122のみに溝7を設け、前記の実施形態2の変形例において、リング形状部材下側面22にのみ溝70を設けるものである。しかしながら、この発明において、シリンダ軸線を中心とする円周方向にリング形状部材2(平ら)、2A(両面溝)、2B(外周テーパ)、2U(平ら)、2D(平ら)、2AU(上溝)、2AD(下溝)が摺動する際、環状溝下側面122の溝7とリング形状部材下側面22の溝70とが干渉しない範囲で、環状溝下側面122に溝7を設け、かつ、リング形状部材下側面22に溝70を設けるものであっても良い。これによりガスGを流出する通路を拡大することができる。
また、前記の実施形態1の変形例において、環状溝上側面121に溝を設け、前記の実施形態2の変形例において、リング形状部材上側面21に溝80を設けるものである。この発明において、シリンダ軸線を中心とする円周方向にリング形状部材2A(両面溝)、2B(外周テーパ)、2AU(上溝)が摺動する際、環状溝上側面121の溝8とリング形状部材上側面21の溝80とが干渉しない範囲で、環状溝上側面121に溝8を設け、かつ、リング形状部材上側面21に溝80を設けるものであっても良い。これによりガスGを流入する通路を拡大することができる。
1 内燃機関用ピストン
10、10A、10B ピストン本体
100 外周面
11 頂面
12 環状溝
120 溝底面(環状溝底面)
121 上側面(環状溝上側面)
122 下側面(環状溝下側面)
13 トップリング溝
130 溝底面(トップリング溝底面)
131 上側面(トップリング溝上側面)
132 下側面(トップリング溝下側面)
14 セカンドリング溝
140 溝底面(セカンドリング溝底面)
141 上側面(セカンドリング溝上側面)
142 下側面(セカンドリング溝下側面)
15 オイルリング溝
150 溝底面(オイルリング溝底面)
151 上側面(オイルリング溝上側面)
152 下側面(オイルリング溝下側面)
153 オイル戻し穴
16 コンロッド
17 ピストンピン
2、2A、2B、2U、2D、2AD リング形状部材
20 内周面(リング形状部材内周面)
21 上側面(リング形状部材上側面)
22 下側面(リング形状部材下側面)
23 外周面(リング形状部材外周面)
3、3A トップリング(圧縮リング)
30 内周面(トップリング内周面)
31 上側面(トップリング上側面)
32 下側面(トップリング下側面)
4 セカンドプリング(圧縮リング)
41 上側面(セカンドリング上側面)
42 下側面(セカンドリング下側底面)
5 オイルリング
51 上側面(オイルリング上側面)
52 下側面(オイルリング下側面)
6 シリンダブロック
60 シリンダボア
61 ボア壁面(シリンダボアの壁面)
62 シリンダヘッド
63 エンジン燃焼室
7 溝(環状溝下側面溝)
70 溝(リング形状部材下側面溝)
8 溝(環状溝上側面溝)
80 溝(リング形状部材上側面溝)
BC バッククリアランス
C1 第1空隙
C2 第2空隙
C3 第3空隙
C4 第4空隙
C5 第5空隙
D1 環状溝の溝底径
D2 トップリング溝の溝底径
d1 軸線から溝の軸線側の端部までの距離(半径)
d2 軸線からリング形状部材内周面までの距離(半径)
F 火炎
G ガス(エンジン燃焼ガス)
H1 環状溝の溝幅
H2 トップリング溝の溝幅
O 軸線(シリンダの軸線)
P1 ランド圧(第1空隙のランド圧)
P2 ランド圧(第2空隙のランド圧)
P3 ランド圧(第3空隙のランド圧)
SC サイドクリアランス
U トップリング上側面がトップリング溝上側面に当接している状態
M トップリング下側面がトップリング溝下側面に当接している状態


Claims (7)

  1. ピストン本体と、複数本の圧縮リングと、を備え、シリンダボア内をシリンダの軸線方向に往復運動する内燃機関用ピストンにおいて、
    前記ピストン本体の外周面には、複数本の前記圧縮リングのうちのトップリングが装着されているトップリング溝よりも上側に、1本の環状溝が形成されていて、
    1本の前記環状溝には、1本のリング形状部材が装着されていて、
    前記リング形状部材の外周面は、前記シリンダボアの壁面に圧接していて、
    前記リング形状部材の少なくとも下側面にはシリンダ軸線方向に向かい貫通する複数個の溝が形成されていて、
    前記環状溝の上側面および下側面に、または前記下側面のみに、前記ピストン本体の外周面からシリンダ軸線方向に向かう複数個の溝が形成されていて、
    前記ピストン本体の外周面からシリンダ軸線方向に向かう溝のシリンダの軸線側の端部の位置は、前記リング形状部材の内周面の位置に対して、同じかもしくは前記シリンダの軸線側にあって、
    前記環状溝の下側面の溝は、前記リング形状部材の下側面と前記トップリングの上側面とに挟まれた前記ピストン本体の外周面と前記シリンダボアの壁面との間に形成される空隙に連通する、
    ことを特徴とする内燃機関用ピストン。
  2. ピストン本体と、複数本の圧縮リングと、を備え、シリンダボア内をシリンダの軸線方向に往復運動する内燃機関用ピストンにおいて、
    前記ピストン本体の外周面には、複数本の前記圧縮リングのうちのトップリングが装着されているトップリング溝よりも上側に、1本の環状溝が形成されていて、
    1本の前記環状溝には、複数本のリング形状部材が装着されていて、
    前記複数本のリング形状部材のすべての外周面は、前記シリンダボアの壁面に圧接していて、
    前記複数本のリング形状部材の少なくとも前記環状溝の下側面に対向する前記リング形状部材の下側面にはシリンダ軸線方向に向かい貫通する複数個の溝が形成されていて、
    前記環状溝の上側面および下側面に、または前記下側面のみに、前記ピストン本体の外周面からシリンダ軸線方向に向かう複数個の溝が形成されていて、前記ピストン本体の外周面からシリンダ軸線方向に向かう溝のシリンダの軸線側の端部の位置は、前記リング形状部材の内周面の位置に対して、同じかもしくは前記シリンダの軸線側にあって、
    前記環状溝の下側面の溝は、前記リング形状部材の下側面と前記トップリングの上側面とに挟まれた前記ピストン本体の外周面と前記シリンダボアの壁面との間に形成される空隙に連通する、
    ことを特徴とする内燃機関用ピストン。
  3. 前記環状溝の溝底径は、前記トップリング溝の溝底径よりも大き前記環状溝の前記上側面または前記下側面の溝を除く溝幅は、前記トップリング溝の溝幅に対して、同等もしくは小さい、
    ことを特徴とする請求項1またはに記載の内燃機関用ピストン。
  4. 前記環状溝の前記シリンダの軸線方向の断面形状は、溝底面が前記シリンダの軸線側に円弧状に突出していて、上側面および下側面が平行もしくはほぼ平行な断面形状である、
    ことを特徴とする請求項1〜3に記載の内燃機関用ピストン。
  5. 前記リング形状部材の前記シリンダの軸線方向の断面形状は、内周面が前記シリンダの軸線側に円弧状に突出している断面形状であ外周面が前記シリンダの軸線に対して反対側に円弧状に突出している断面形状である、
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の内燃機関用ピストン。
  6. 前記リング形状部材の前記シリンダの軸線方向の断面形状は、外周面側の端部が前記環状溝の上側面に向かって広がるテーパ形状をなす、
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の内燃機関用ピストン。
  7. 前記トップリングの前記シリンダの軸線方向の断面形状は、前記トップリングの上側面のうち内周面側を切除した、前記トップリングの幅の中心線に対して非対称な断面形状である、
    ことを特徴とする請求項1〜いずれか1項に記載の内燃機関用ピストン。
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