JP6388114B2 - 有機エレクトロニクス素子用材料に用いる環状芳香族化合物の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロニクス素子用材料に用いる環状芳香族化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロニクス素子用材料、有機エレクトロニクス素子及び有機エレクトロニクスデバイスに関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子、有機薄膜太陽電池、有機トランジスタ等の有機エレクトロニクス素子は、軽量性、成型性及び柔軟性に優れることから、次世代電子材料として注目を集めており、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、場合により「有機EL素子」という)は、照明装置や表示装置等の有機エレクトロニクスデバイスへの適用が期待されている。
有機EL素子は、電子輸送を媒介する電子輸送材料;正孔輸送を媒介する正孔輸送材料;及びリン光発光性ドーパントや蛍光ドーパント等の発光分子(発光ドーパント)を分散させ、その分子上での電荷再結合を可能とするホスト材料(発光層ホスト材料);の3種を必要とする。現在では、それぞれの材料として必要な性能を特化させ、再分化させた材料を開発することが主流となっており、例えば、前記電子輸送材料としてはAlq3(トリス(8−ヒドロキシキノリール)アルミニウム)やBAlq(ビス(2−メチル−8−キノリール)−4−(フェニルフェノレート)アルミニウム)等が、前記正孔輸送材料としてはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT・PSS)やトリアリールアミン誘導体等が、前記ホスト材料としてはCBP(4,4’−N,N−dicarbazole−biphenyl)等が、それぞれ知られている。しかしながら、このような複数の異なる材料から有機化合物層が形成されるヘテロ接合タイプの有機EL素子では、電子輸送層、正孔輸送層、及び発光層の各層の材料としてそれぞれ異なる材料を用いる必要があるため、製造工程が嵩んで製造コストが高くなるという問題を有していた。さらに、各層の間にそれぞれ界面が生じるため、その界面が有機EL素子の劣化の原因となることや、発光の安定性が十分ではないという問題を有していた。
一方、より単純な構造で製造が容易な有機EL素子としては、電子輸送材料、正孔輸送材料、及び発光層ホスト材料として同一の材料を用いたホモ接合タイプが知られており、このような3種の層の材料として用いることができる材料としては、例えば、特開2006−083167号公報(特許文献1)に記載のフェナザリシン誘導体や、Hayato Hayato Tsujiら、Advanced Materials、2009年、21、3776−3779頁(非特許文献1)に記載のCZBDF(bis(carbazolyl)bendodifuran)が挙げられる。
また、前記有機薄膜太陽電池は、陰極と陽極との間に有機化合物層を有する構造を有しており、無機太陽電池に比べて、発電コストが低減できることや環境負荷を軽減できることから注目を集めている。前記有機化合物層としては、電子供与体層及び電子受容体層とが混合されたバルクヘテロジャンクション層等が知られている。
さらに、このような有機エレクトロニクス素子用の材料としては、例えば、国際公開第2011/111719号(特許文献2)に、ジフェニレンの4位と4’位の位置に二価の芳香族炭化水素基等が結合されてなる輪状の化合物が記載されており、特開2012−121861号公報(特許文献3)に、ナフチレンが結合されてなる縮体系大環状化合物が記載されている。
なお、Pisulaら、Chem.Asian.J.、2007年、2、51−56頁(非特許文献2)には、層状に集積されるベンゼンやフェナントレンからなる環状の化合物が記載されている。しかしながら、非特許文献2には、前記化合物を有機エレクトロニクス素子用材料として用いることについて何ら記載されていない。
特開2006−083167号公報 国際公開第2011/111719号 特開2012−121861号公報
Hayato Hayato Tsujiら、Advanced Materials、2009年、21、3776−3779頁 Pisulaら、Chem.Asian.J.、2007年、2、51−56頁
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、有機エレクトロルミネッセンス素子の電子輸送材料、正孔輸送材料及び発光層ホスト材料として用いることができる新規の有機エレクトロニクス素子用材料、並びに、それを用いた有機エレクトロニクス素子及び有機エレクトロニクスデバイスを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、フェニレンの1位と3位の位置が互いに結合されてなる環状の芳香族化合物を有機エレクトロニクス素子用材料として用いることができ、特に、有機EL素子の電子輸送材料、正孔輸送材料及び発光層ホスト材料のいずれとしても用いることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の有機エレクトロニクス素子用材料に用いる環状芳香族化合物の製造方法は、
前記環状芳香族化合物が、下記一般式(1)[式(1)中、nは5〜9のうちのいずれかの整数を示す。]で表わされる環状芳香族化合物であり、
0価のニッケル触媒と下記一般式(2)[式(2)中、Xは、それぞれ独立に、Cl、Br又はIを示す。]で表わされるハロゲン化ベンゼンとを混合し、山本カップリング反応により前記ハロゲン化ベンゼンを重合反応せしめて前記環状芳香族化合物を得る
ことを特徴とするものである。
また、本発明の環状芳香族化合物の製造方法は、前記有機エレクトロニクス素子用材料が、陽極、陰極、及び、前記陰極と前記陽極との間に配置される有機化合物層を備える有機エレクトロニクス素子前記有機化合物層含有されることが好ましい
また、本発明の環状芳香族化合物の製造方法は、0価のニッケル触媒が、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルであることが好ましい。
本発明によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子の電子輸送材料、正孔輸送材料及び発光層ホスト材料として用いることができる新規の有機エレクトロニクス素子用材料、並びに、それを用いた有機エレクトロニクス素子及び有機エレクトロニクスデバイスを提供することが可能となる。
実施例の有機エレクトロニクス素子評価に用いた評価用有機エレクトロルミネッセンス素子の概略図である。 実施例の有機エレクトロニクス素子評価に用いた評価用有機エレクトロルミネッセンス素子の縦断面を示す模式図である。 合成例1で得られた化合物1のH−NMRスペクトルを示すグラフである。 合成例2で得られた化合物2のH−NMRスペクトルを示すグラフである。 合成例3で得られた化合物3のH−NMRスペクトルを示すグラフである。 合成例4で得られた化合物4のH−NMRスペクトルを示すグラフである。 合成例5で得られた化合物5のH−NMRスペクトルを示すグラフである。 合成例1で得られた化合物1の13C−NMRスペクトルを示すグラフである。 合成例3で得られた化合物3の13C−NMRスペクトルを示すグラフである。 合成例5で得られた化合物5の13C−NMRスペクトルを示すグラフである。 合成例1〜5で得られた化合物1〜5のMALDI−TOF MSスペクトルを示すグラフである。 合成例1〜5で得られた化合物1〜5のHPLC測定で得られたスペクトルを示すグラフである。 実施例1で得られた有機エレクトロニクス素子の縦断面を示す模式図である。 実施例3で得られた有機エレクトロニクス素子について分光スペクトル測定を実施した結果を示すグラフである。 実施例4で得られた有機エレクトロニクス素子について分光スペクトル測定を実施した結果を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
<有機エレクトロニクス素子用材料>
先ず、本発明の有機エレクトロニクス素子用材料について説明する。本発明の有機エレクトロニクス素子用材料は、下記一般式(1):
[式(1)中、nは5〜9のうちのいずれかの整数を示す。]
で表わされる環状芳香族化合物を含有することを特徴とする。
前記一般式(1)で表わされる環状芳香族化合物において、m−フェニレン基の繰り返し数nは5〜9のうちのいずれかの整数である。前記一般式(1)で表わされる環状芳香族化合物は、前記nが5のときには[5]−シクロメタフェニレン、前記nが6のときには[6]−シクロメタフェニレン、前記nが7のときには[7]−シクロメタフェニレン、前記nが8のときには[8]−シクロメタフェニレン、前記nが9のときには[9]−シクロメタフェニレンである。これらの中でも、ひずみが小さく、かつ、得られる化合物の構造が剛直になる傾向にあるという観点から、前記フェニレン基の繰り返し数nは5又は6であることが好ましい。
本発明に係る環状芳香族化合物は、IR(赤外吸収スペクトル)、H−NMR、13C−NMR、MS(MALDI TOF)、元素分析、熱分解温度測定により同定することができる。また、本発明に係る環状芳香族化合物は、単結晶構造をとることができ、単結晶X線構造解析により同定することができる。
本発明に係る環状芳香族化合物は、例えば、下記一般式(2):
[式(2)中、Xはハロゲン原子を示す。]
で表わされるハロゲン化ベンゼンをカップリング反応せしめることにより得ることができる。
前記一般式(2)で表わされるハロゲン化ベンゼンにおいて、前記ハロゲン原子としては、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)が挙げられ、これらの中でも、カップリング反応において十分な反応性を有するという観点から、臭素(Br)であることが好ましい。
前記カップリング反応としては、上記本発明に係る環状芳香族化合物を製造することが可能な方法であればよく、公知のカップリング反応を適宜採用することができ、例えば、鈴木カップリング反応、スティルカップリング反応、熊田カップリング反応、ウルマン反応、山本カップリング反応、根岸カップリング反応、檜山カップリング反応、並びに、これらの反応を組み合わせた反応等が挙げられる。これらの中でも、得られる環状芳香族化合物の収率が高く、反応に用いる材料の入手が容易であるという観点から、山本カップリング反応を用いることが好ましい。
また、前記カップリング方法においては、有機溶媒を用いることができ、前記有機溶媒としては、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ベンゼン、キシレン、メシチレン、DMSO等が挙げられ、1種を単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼンを用いることが好ましい。また、このような有機溶媒を用いる場合には、用いるハロゲン化ベンゼンや採用するカップリング反応によっても異なるが、副反応を抑制するという観点から、十分に脱酸素処理を施してから用いることが好ましく、また、遮光下において、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下において用いることがより好ましい。
さらに、本発明に係る環状芳香族化合物の合成においては、反応を進行させるために、適宜、アルカリや適当な触媒を添加することが好ましい。これらのアルカリや触媒としては、採用するカップリング反応に応じて選択することができ、例えば、前記アルカリとしては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、リン酸三カリウム、酢酸カリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等が挙げられ、前記触媒としては、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル等のニッケル触媒、銅触媒、パラジウム触媒、プラチナ触媒、鉄触媒等が挙げられる。このようなアルカリや触媒の中でも、反応に用いる前記有機溶媒に十分に溶解するものを用いることが好ましく、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルを用いることが好ましい。また、前記アルカリの添加量としては、前記一般式(2)で表されるハロゲン化ベンゼン1モルに対して、2〜5モルとすることが好ましい。また、前記触媒の添加量としては、触媒としての有効量であればよく、特に制限されないが、前記一般式(2)で表されるハロゲン化ベンゼン1モルに対して、0.1〜2.5モルとすることが好ましい。このようなアルカリ及び触媒の添加量が前記下限未満では、反応の効率性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、それ以上の添加が無駄となり、経済性が低下する傾向にある。
このようなアルカリや触媒を混合する方法としては特に制限されず、例えば、前記ハロゲン化ベンゼンと前記有機溶媒とを含有する反応液をアルゴンや窒素等の不活性雰囲気下で攪拌しながらゆっくりとアルカリ及び/又は触媒の溶液を添加する方法や、アルカリ及び/又は触媒を含有する溶液に前記反応液をゆっくりと添加する方法等が挙げられる。前記混合により得られる混合液(反応液)における前記アルカリ及び/又は触媒と前記一般式(2)で表されるハロゲン化ベンゼンとの総濃度は環化をより促進するために高希釈条件にするという観点から、1〜15質量%(5〜50mM)であることが好ましい。
また、前記カップリング反応の条件としては、遮光下、不活性ガス雰囲気中において行うことが好ましい。前記不活性ガスとしては、例えば、窒素ガスやアルゴンガス等が挙げられる。前記カップリング反応の温度としては、用いる有機溶媒等によって異なるが、20〜80℃であることが好ましい。前記カップリング反応の反応時間としては、特に制限されず、用いるハロゲン化ベンゼンや採用するカップリング反応によっても異なり、目的の重合度に達したときを反応時間の上限としてもよいが、1〜24時間程度であることが好ましい。
なお、前記カップリング反応を停止させる場合は、用いるハロゲン化ベンゼンや採用するカップリング反応によっても異なるが、前記反応液に、例えば、水、希塩酸等を添加することが好ましい。また、前記カップリング反応後は、酸洗浄、アルカリ洗浄、中和、水洗浄、有機溶媒洗浄、再沈殿、遠心分離、抽出、カラムクロマトグラフィー、透析等の慣用の分離操作、精製操作、乾燥その他の操作による純化処理を適宜施すことが好ましい。
本発明に係る環状芳香族化合物の合成方法の好適な実施形態の一例として、ニッケル触媒と、上記一般式(2)においてXがBrである1,3−ジブロモベンゼンとを混合し、山本カップリング反応により1,3−ジブロモベンゼンを重合反応せしめて本発明に係る環状芳香族化合物を得る方法を挙げて説明する。
前記ニッケル触媒としては、公知のものを適宜用いることができ、例えば、0価のニッケルであるビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルと、1,5−シクロオクタジエンと、2,2’−ビピリジンとを等モル比で有機溶媒中に溶解することにより得られるニッケル触媒や、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルと、トリフェニルホスフィンとを等モル比で有機溶媒中に溶解することにより得られるニッケル触媒を用いることができる。このようなニッケル触媒の添加量としては、特に制限されないが、1,3−ジブロモベンゼン1モルに対して、2モル以上とすることがより好ましい。
また、前記重合反応としては、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒中で反応を行うことが好ましい。また、このような有機溶媒としては、副反応を抑制するという観点から、十分に脱気してあることが好ましい。
前記ニッケル触媒と、1,3−ジブロモベンゼンとの混合方法としては、特に制限されず、前述のとおりである。前記混合により得られる混合液(反応液)におけるニッケル触媒及び1,3−ジブロモベンゼンの総濃度は1〜15質量%であることが好ましい。
また、前記重合反応の条件としては、遮光下、不活性ガス雰囲気中において行うことが好ましく、前記重合反応の温度としては、用いる有機溶媒等によって異なるが、20〜80℃であることが好ましい。前記重合反応の反応時間としては、特に制限されず、目的の重合度に達したときを反応時間の上限としてもよいが、1〜24時間程度であることが好ましい。このように、m−フェニレン同士の連結に簡便で反応条件の緩和な単結合生成を用いることができるため、容易に効率よく前記方法によって本発明に係る環状芳香族化合物を含む粗生成物を得ることができる。本発明に係る環状報告族化合物は、有機エレクトロニクス素子用材料としての機能をより向上させるという観点より、前記粗生成物から、二液相分離方法や下記の精製方法を用いて、[5]−シクロメタフェニレン、[6]−シクロメタフェニレン、[7]−シクロメタフェニレン、[8]−シクロメタフェニレン、[9]−シクロメタフェニレンに分離、精製することが好ましい。このようにして、本発明に係る環状芳香族化合物を製造することができる。
また、このように分離した各環状芳香族化合物は、単に自己集積することでπスタック型の充填構造を有する結晶となることができるため、該環状芳香族化合物及びその製造方法に応じて公知の方法を適宜採用することにより、その結晶を得ることができる。このような結晶化の方法としては、例えば、晶析、昇華、蒸着等の方法が挙げられる。
本発明に係る環状芳香族化合物としては、有機エレクトロニクス素子用材料として微量の不純物が及ぼす影響を抑制するという観点から、更に精製して純度を上げて用いることが好ましく、このような純度としては、HPLC、TGA、DSCや不純物金属分析等によって測定される純度が99.99%以上であることが好ましい。前記精製方法としては、環状芳香族化合物やその製造方法に応じて公知の方法を適宜採用することができ、例えば、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、中圧カラムクロマトグラフィー等の各種クロマトグラフィー;再結晶;昇華精製;及びこれらを組み合わせた精製方法が挙げられる。
本発明の有機エレクトロニクス素子用材料としては、前記環状芳香族化合物のみからなるものであっても、本発明の効果を阻害しない範囲内において、前記環状芳香族化合物の合成に用いた試薬由来の不純物、精製により生じる不純物等を更に含有していてもよい。
<有機エレクトロニクス素子>
次いで、本発明の有機エレクトロニクス素子について説明する。本発明の有機エレクトロニクス素子は、陽極、陰極、及び、前記陰極と前記陽極との間に配置される有機化合物層を備える有機エレクトロニクス素子であって、前記有機化合物層が前記有機エレクトロニクス素子用材料を含有することを特徴とする。
前記有機エレクトロニクス素子としては、有機EL素子、有機薄膜太陽電池、有機ダイオード等が挙げられる。また、前記有機化合物層としては、有機化合物が含有されている層を指し、例えば、前記有機EL素子の層構成の中では、正孔輸送層、発光層、電子輸送層等が挙げられ、その他、正孔阻止層、正孔注入層、電子注入層等も、有機化合物が含有されている場合には、本発明に係る有機化合物層に含まれる。また、前記有機薄膜太陽電池の層構成の中では、正孔輸送層、p型半導体層、発電層、n型半導体層、電子輸送層等が挙げられる。
本発明においては、前記複数あるうちの少なくともいずれか一層の有機化合物層に前記有機エレクトロニクス素子用材料を含有することを特徴とする。また、前記有機エレクトロニクス素子が有機EL素子である場合には、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層のうちの少なくともいずれか一層の有機化合物層に前記有機エレクトロニクス素子用材料を含有することが好ましい。本発明において、前記有機エレクトロニクス素子用材料は、電子輸送材料、正孔輸送材料及び発光層ホスト材料のいずれの材料としても用いることができるため、前記3層のいずれの層にも前記有機エレクトロニクス素子用材料を含有させることができる。
<有機EL素子>
以下、本発明の有機エレクトロニクス素子の好ましい一態様として、有機EL素子について説明する。本発明の有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層(陰極バッファー層)/陰極
(iv)陽極/正孔注入層(陽極バッファー層)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層(陰極バッファー層)/陰極
(v)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層(陰極バッファー層)/陰極
(vi)陽極/正孔注入層(陽極バッファー層)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極。
〔発光層〕
本発明に係る発光層は、電極又は電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
前記発光層は1層からなるものであっても複数の層を組み合わせて積層してなるものであってもよく、本発明の有機EL素子においては、青色発光層の発光極大波長が430nm〜480nmにあるものが好ましく、緑色発光層の発光極大波長が510nm〜550nm、赤色発光層の発光極大波長が600nm〜640nmの範囲にある単色発光層であることが好ましい。また、これらの少なくとも3層の発光層を積層して白色発光層としたものであってもよい。さらに、発光層間には非発光性の中間層を有していてもよい。
前記発光層の膜厚の総和としては特に制限はないが、膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2nm〜5μmの範囲に調整することが好ましく、2nm〜200nmの範囲に調整することが更に好ましく、10nm〜20nmの範囲に調整することが特に好ましい。
本発明の有機EL素子の発光層としては、発光層ホスト材料と、リン光発光性ドーパント及び蛍光ドーパントのうちの少なくとも1種類の発光ドーパントとを含有することが好ましい。また、後述する正孔輸送材料や電子輸送材料を更に含有していてもよい。
前記発光層は、前記発光層ホスト化合物や発光ドーパントを、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により成膜して形成することができる。
(発光層ホスト材料)
本発明において、発光層ホスト材料(以下、場合により「ホスト材料」という)とは、前記発光層に含有される化合物のうち、その層中での質量比が20%以上であり、かつ、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物を指す。好ましくは、前記リン光量子収率が0.01未満である。また、前記発光層に含有される化合物の中で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
前記ホスト材料としては、1種のホスト材料を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。ホスト材料を複数種用いる場合には、電荷の移動を調整することによって有機EL素子のより高効率化を図ることができる。本発明では、前記ホスト材料として、前記本発明の有機エレクトロニクス素子用材料を単独で、或いは、他のホスト材料と組み合わせて用いることが好ましい。また、前記本発明の有機エレクトロニクス素子用材料を後述する電子輸送材料や正孔輸送材料等として用いる場合には、前記ホスト材料として他の材料を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このような本発明の有機エレクトロニクス素子用材料以外の他のホスト材料としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。具体的には、以下の文献:
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等に記載されている化合物等が挙げられる。これらの中でも、他のホスト材料としては、カルバゾール環を部分構造として有する化合物;重合性基を有し、かつ、カルバゾール環を部分構造として有する化合物;これらの化合物の重合体が好ましく、例えば、CBP(4,4’−N,N−dicarbazole−biphenyl)が好ましい。
(発光ドーパント)
本発明に係る発光ドーパントとしては、蛍光ドーパント(蛍光性化合物ともいう)、リン光発光性ドーパント(リン光発光体、リン光性化合物、リン光発光性化合物等ともいう)を用いることができるが、より発光効率の高い有機EL素子が得られるという観点から、リン光発光性ドーパントを含有することが好ましい。
前記リン光発光性ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、25℃におけるリン光発光のリン光量子収率が0.01以上の化合物を指す。好ましくは、前記リン光量子収率は0.1以上である。なお、前記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定することができる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係るリン光発光性ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
前記リン光発光性ドーパントの発光原理としては2種挙げられ、第1の原理はキャリアが輸送される前記ホスト材料上でキャリアの再結合が起こって前記ホスト材料の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光発光性ドーパントに移動させることでリン光発光性ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型である。第2の原理はリン光発光性ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光発光性ドーパント上でキャリアの再結合が起こり、リン光発光性ドーパントからの発光が得られるというキャリアトラップ型である。上記のいずれの場合においても、リン光発光性ドーパントの励起状態のエネルギーは前記ホスト材料の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
本発明に係るリン光発光性ドーパントとしては、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができ、好ましくは、元素周期表で8族〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物(Ir錯体)、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物(Ir錯体)である。
また、本発明に係るリン光発光性ドーパントとしては、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
[式(3)中、P及びQは炭素原子又は窒素原子を示し、A1はP−Cと共に芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を形成する原子群を示し、A2はQ−Nと共に芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を形成する原子群を示し、P1−L1−P2は2座の配位子を示し、P1、P2はそれぞれ独立に炭素原子、窒素原子又は酸素原子を示し、L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を示し、Mは元素周期表における8〜10族の金属元素を示す。rは1〜3の整数を示し、sは0〜2の整数を示すが、r+sは2又は3である。]
前記一般式(3)において、A1で表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。これらの環は更に、後述する置換基を有してもよい。
前記一般式(3)において、A1で表される芳香族複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の1つが更に窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。これらの環は更に、後述する置換基を有していてもよい。
前記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環が有していてもよい置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭化水素環基、芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の1つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。また、これらの置換基は上記の置換基によって更に置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
前記一般式(3)において、A2で表される芳香族炭化水素環、芳香族複素環としては、前記A1で表される芳香族炭化水素環、芳香族複素環とそれぞれ同義である。
また、前記一般式(3)において、P1−L1−P2で表される2座の配位子としては、例えば、置換又は無置換のフェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボール、アセチルアセトン、ピコリン酸等が挙げられる。
さらに、前記一般式(3)において、Mは、元素周期表における8〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属ともいう)を示すが、中でも、イリジウム、白金が好ましく、特にイリジウムが好ましい。
これらのリン光発光性ドーパントは、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704〜1711に記載の方法等により合成することができる。
前記蛍光ドーパント(蛍光性化合物)としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
本発明に係る発光ドーパントとしては、これらの発光ドーパントのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよいが、より発光効率の高い有機EL素子が得られ、かつ、任意の発光色を得ることができるという観点からは、前記リン光発光性ドーパントに複数種の他の発光ドーパントを組み合わせて用いることが好ましい。
〔正孔輸送層〕
本発明に係る正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなる層である。正孔輸送層は単層であってもよく、複数層を組み合わせて設けてもよい。
本発明では、前記正孔輸送材料として、前記本発明の有機エレクトロニクス素子用材料を単独で、或いは、他の正孔輸送材料と組み合わせて用いることが好ましい。また、前記本発明の有機エレクトロニクス素子用材料を、前記ホスト材料や、後述する電子輸送材料として用いる場合には、前記正孔輸送材料として他の材料を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このような本発明の有機エレクトロニクス素子用材料以外の他の正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであればよく、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、又は、特にチオフェンオリゴマー等の導電性高分子オリゴマーが挙げられる。
前記正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、中でも、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
前記芳香族第3級アミン化合物及び前記スチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール;米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの(例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD));特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニット3つがスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
また、これらの材料を高分子鎖に導入した、或いは、これらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。さらに、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、所謂p型正孔輸送材料を用いることもできる。
本発明に係る正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5nm〜200nmである。
また、本発明に係る正孔輸送層としては、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層とすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられ、具体的には、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネートが挙げられる。本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層とすることによって、より低消費電力の有機EL素子を作製することができるため好ましい。
〔電子輸送層〕
本発明に係る電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなる層である。電子輸送層は単層であってもよく、複数層を組み合わせて設けてもよい。
本発明では、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)として、前記本発明の有機エレクトロニクス素子用材料を単独で、或いは、他の電子輸送材料と組み合わせて用いることが好ましい。また、前記本発明の有機エレクトロニクス素子用材料を前記ホスト材料や前記正孔輸送材料として用いる場合には、前記電子輸送材料として他の材料を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このような本発明の有機エレクトロニクス素子用材料以外の他の電子輸送材料としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。このような化合物としては、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。また、上記オキサジアゾール誘導体において、更に、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も前記電子輸送材料として用いることができる。さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)、ビス(2−メチル−8−キノリレート)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、前記電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層のホスト材料として用いることもできるジスチリルピラジン誘導体も、前記電子輸送材料として用いることができ、前記正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も前記電子輸送材料として用いることができる。
本発明に係る電子輸送層は、上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5nm〜200nmである。
また、本発明に係る電子輸送層としては、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層とすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。本発明においては、このようなn性の高い電子輸送層とすることによって、より低消費電力の有機EL素子を作製することができるため好ましい。
〔注入層:電子注入層、正孔注入層〕
本発明に係る注入層は、必要に応じて設けることができ、例えば、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に記載されている正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
本発明に係る注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機化合物層との間に設けられる層のことであり、陽極と発光層又は正孔輸送層との間、及び陰極と発光層又は電子輸送層との間に設けることができる。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜10nmの範囲が好ましい。
〔阻止層:正孔阻止層、電子阻止層〕
本発明に係る阻止層は、必要に応じて設けることができ、例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層は、広義には前記電子輸送層の機能を有する層であり、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。このような正孔阻止層は、前記発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
また、本発明においては、発光色の異なる複数の発光層を有する場合、その発光極大波長が最も短波にある発光層が、全発光層中、最も陽極に近いことが好ましいが、このような場合、該最短波の発光層と該最短波の発光層の次に陽極に近い発光層との間に前記正孔阻止層を追加して設けることが好ましい。さらに、該位置に設けられる正孔阻止層に含有される化合物の50質量%以上が、前記最短波の発光層のホスト材料に対しそのイオン化ポテンシャルが0.3eV以上大きいことが好ましい。
なお、前記イオン化ポテンシャルは化合物のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義され、例えば下記に示すような方法:
(1)米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian98(Gaussian98、Revision A.11.4,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002.)を用い、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行うことにより算出した値(eV単位換算値)の小数点第2位を四捨五入した値としてイオン化ポテンシャルを求める方法。この計算値が有効な背景には、この手法で求めた計算値と実験値の相関が高いことがある;
(2)光電子分光法で直接測定する方法。例えば、理研計器社製の低エネルギー電子分光装置「Model AC−1」を用いる方法、又は、紫外光電子分光として知られている方法を用いる方法;
により求めることができる。
一方、電子阻止層は、広義には前記正孔輸送層の機能を有する層であり、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。本発明に係る正孔阻止層の膜厚としては、好ましくは3nm〜100nmであり、更に好ましくは5nm〜30nmである。
〔陽極〕
本発明に係る陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられ、前記電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等の非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
前記陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜化させることで形成することができ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、或いは、パターン精度をあまり必要としない場合(100μm以上程度)は、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。また、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等の塗布法(ウェットプロセス、湿式成膜法)を用いて成形することもできる。
この陽極から発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましい。前記陽極の膜厚としては、材料にもよるが、通常10nm〜1000nm、好ましくは10nm〜200nmの範囲である。
〔陰極〕
本発明に係る陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中でも、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
前記陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜化することにより形成することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましい。前記陰極の膜厚としては、通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲である。
なお、本発明の有機EL素子としては、発光した光を透過させる観点からは、前記陽極又は前記陰極のいずれか一方が透明又は半透明であることが好ましい。このような有機EL素子は、例えば、前記陰極として前記電極物質を1nm〜20nmの膜厚となるように成膜した後に、前記陽極の説明で挙げた導電性透明材料を成膜し、透明又は半透明の陰極を作製することで得ることができる。
〔支持基板〕
本発明の有機EL素子としては、支持基板(基体、基板、基材、支持体等ともいう)を更に備えていることが好ましく、前記支持基板としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよいが、支持基板側から光を取り出す場合には透明であることが好ましい。
透明な支持基板(以下、場合により「透明基板」という)としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能であるという観点からは、樹脂フィルムが特に好ましい。前記樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体;ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール;シンジオタクティックポリスチレン;ポリカーボネート;ノルボルネン樹脂;ポリメチルペンテン;ポリエーテルケトン;ポリイミド;ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン類;ポリエーテルイミド;ポリエーテルケトンイミド;ポリアミド;フッ素樹脂;ナイロン;ポリメチルメタクリレート;アクリル或いはポリアリレート類;アートン(商品名JSR社製)或いはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
前記樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、このような被膜としては、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、0.01g/(m・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、10−3ml/(m・24h・MPa)以下、水蒸気透過度が、10−5g/(m・24h)以下の高バリア性フィルムであることが更に好ましい。
前記被膜の材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。また、このような被膜の脆弱性を改良するために、これら無機層に有機材料からなる層を積層した構造とすることがより好ましい。前記無機層と前記有機層との積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
前記樹脂フィルムの表面に前記被膜を形成する方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
〔封止部材〕
本発明においては、前記支持基板の反対側に、陰極又は陰極を覆うように配置された封止部材を更に備えていることが好ましい。このような封止部材としては、凹板状でも平板状でもよく、透明性、電気絶縁性は特に問わない。前記封止部材を凹板状に加工する場合には、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
前記封止部材としては、具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
前記封止部材としては、有機EL素子を薄膜化できるという観点からはポリマーフィルム及び金属フィルムが好ましい。前記ポリマーフィルムとしては、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/(m・24h・MPa)以下であることが好ましく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下であることが更に好ましい。
このような封止部材は、例えば、前記支持基板と接着剤(シール材)で接着することによって前記有機EL素子の層構成を封止することができる。前記接着剤としては、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。さらに、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、前記接着剤としては、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までの間の温度で接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
このような封止部材は、また、支持基板と対向する側の陰極又は陰極の外側に、支持基板と接する形で無機物や有機物の層を形成して封止膜とすることもできる。この場合、前記封止膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の、劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。さらに、このような膜の脆弱性を改良するために、これら無機層に有機材料からなる層を積層した構造とすることが好ましい。これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
前記封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物(捕水剤)を封入することもできる。
前記吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
〔保護膜、保護板〕
本発明においては、支持基板と対向する側の前記封止部材の外側に、有機EL素子の機械的強度を高める観点から、保護膜又は保護板を更に設けてもよい。特に、前記封止部材が前記封止膜である場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜や保護板を設けることが好ましい。このような保護膜又は保護板の材料としては、前記封止部材として挙げたものと同様のガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化という観点から、ポリマーフィルムを用いることが好ましい。
〔光取り出し〕
本発明の有機EL素子の発光の23℃における外部取り出し効率は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。なお、本発明において、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、本発明の有機EL素子としては、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
また、一般に、有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないといわれている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)、有機EL素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)、発光層と透明基板との間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)、発光層と透明基板との間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(基板と外界との間を含む)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
本発明においては、これらの方法を本発明の有機EL素子と組み合わせて用いることができるが、発光層と透明基板との間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、或いは、基板、透明電極層、発光層のいずれかの層間(基板と外界との間を含む)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度或いは耐久性に優れた有機EL素子を得ることができる。
透明電極と透明基板との間に低屈折率の媒質(低屈折率層)を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど外部への取り出し効率が高くなる。前記低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。また、更に1.35以下であることが好ましい。また、前記低屈折率層の厚みは媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは低屈折率層の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面若しくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は回折格子が1次の回折や2次の回折といった所謂ブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間若しくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては前述のとおり、いずれかの層間若しくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。回折格子の配列は正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
〔集光シート〕
本発明の有機EL素子は基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工したり、或いは所謂集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10μm〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
前記集光シートとしては、例えば、液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして、例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば、基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
また、発光素子からの光放射角を制御するために、光拡散板・フィルムを集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることができる。
〔有機EL素子の作製方法〕
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製方法を説明する。
先ず、適当な基体上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10nm〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ陽極を作製する。次いで、この上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層の有機化合物膜を順に形成させる。これら各層の形成方法としては、前記の如く蒸着法、塗布法(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等があるが、均質な膜が得られやすく、かつ、ピンホールが生成しにくい等の点からは、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等の塗布法による成膜が好ましい。
特に、前記ホスト材料としてカルバゾール環を部分構造として有する化合物、重合性基を有する該化合物、前記化合物の重合体を用いる場合、前記発光層としては、上記の塗布法により形成されることが好ましい。また、陽極と陰極との間に存在する層の全層数を100%とした時、該全層数の50%以上が塗布法で形成されることが好ましい。例えば、上記の有機EL素子の一例として挙げられた、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極においては、正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層という全層数が6の場合には、少なくとも3層が塗布法により形成されることが好ましい。
他方、薄膜化が可能であるという観点からは、蒸着法による成膜が好ましく、本発明の有機エレクトロニクス素子用材料を各層の材料として用いる場合には、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の全層を蒸着法により形成してもよい。
本発明の有機EL素子の構成層を塗布により形成する場合、塗布に用いる各種の有機EL素子材料を溶解又は分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類;ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類;DMF、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。また分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは、50nm〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
次に、本発明の有機EL素子の作製方法の他の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極からなる有機EL素子の作製方法を説明する。
先ず、適当な基体上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10nm〜200nmの膜厚になるように形成させ、陽極を作製する。次いで、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層等の有機化合物を含有する薄膜を形成させる。
これら各層の形成方法としては、蒸着法、塗布法(ウェットプロセス、湿式成膜法)が挙げられ、前記塗布法としては、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法等があるが、精密な薄膜が形成可能で、かつ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法などのロール・ツー・ロール方式適性の高い方法が好ましい。また、層ごとに異なる成膜法を適用してもよい。
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。また、順序を逆にして、陰極、電子輸送層、正孔阻止層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には陽極を+、陰極を−の極性として電圧2V〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
本発明の有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製することが好ましいが、途中で取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行うこと等が好ましい。
〔用途〕
本発明の有機EL素子は、各種有機エレクトロニクスデバイスに用いることができ、例えば、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源等の表示装置として用いることができる。発光光源として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の有機EL素子においては、用途に応じて各構成層の成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層とをパターニングしてもよいし、構成層全層をパターニングしてもよい。
本発明の有機EL素子の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
また、本発明の有機EL素子が白色素子の場合、白色とは、2度視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.1の領域内にあることをいう。
・表示装置
前記表示装置は、本発明の有機EL素子を備えるものである。前記表示装置は単色でも多色でもよいが、ここでは多色表示装置について説明する。多色表示装置の場合は発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、スピンコート法、印刷法である。
前記表示装置に具備される有機EL素子の構成は、必要に応じて上記の本発明の有機EL素子の構成例の中から選択される。また、有機EL素子の製造方法は、上記の本発明の有機EL素子の作製方法の一態様に示したとおりである。
得られた多色表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2V〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。更に交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
多色表示装置は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレイにおいて、青、赤、緑発光の3種の有機EL素子を用いることによりフルカラーの表示が可能となる。
表示デバイス、ディスプレイとしては、テレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。
発光光源としては家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
以下、本発明の有機EL素子を備える表示装置の一例として、有機EL素子の発光により画像情報の表示を行うもののうち、携帯電話等のディスプレイについて説明する。前記ディスプレイは、一般に、複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B等からなる。制御部Bは表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
表示部Aは基板上に、複数の走査線及びそれに直交するデータ線を含む配線部と、前記走査線及びデータ線に囲まれた複数の画素等とを有する。前記配線部の走査線及びデータ線はそれぞれ導電材料からなり、走査線とデータ線は格子状に直交して、直交する位置で画素に接続している。画素は走査線から走査信号が印加されると、データ線から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を適宜同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
次に、画素の発光プロセスを説明する。画素は有機EL素子、スイッチングトランジスタ、駆動トランジスタ、コンデンサ等を備えている。複数の画素に有機EL素子として、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
前記ディスプレイにおいて、制御部Bからデータ線を介してスイッチングトランジスタのドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線を介してスイッチングトランジスタのゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタの駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサと駆動トランジスタのゲートに伝達される。画像データ信号の伝達により、コンデンサが画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタの駆動がオンする。駆動トランジスタは、ドレインが電源ラインに接続され、ソースが有機EL素子の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ラインから有機EL素子に電流が供給される。
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線に移ると、スイッチングトランジスタの駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタの駆動がオフしてもコンデンサは充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタの駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタが駆動して有機EL素子が発光する。
すなわち、有機EL素子の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタと駆動トランジスタを設けて、複数の画素それぞれの有機EL素子の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
ここで、有機EL素子の発光は複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。また、コンデンサの電位の保持は次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
パッシブマトリクス方式においては、複数の走査線と複数の画像データ線とが画素を挟んで対向して格子状に設けられる。順次走査により走査線の走査信号が印加されたとき、印加された走査線に接続している画素が画像データ信号に応じて発光する。パッシブマトリクス方式では画素にアクティブ素子が無く、製造コストの低減を図ることができる。
・照明装置
前記照明装置は、本発明の有機EL素子を備えるものである。前記照明装置としては、本発明の有機EL素子に共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよく、このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザ発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
また、本発明の有機EL素子は照明用や露光光源のような1種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示ディスプレイとして使用してもよい。
動画再生用の表示ディスプレイとして使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。又は、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。また本発明の有機EL素子材料は照明装置として、実質白色の発光を生じる有機EL素子に適用できる。複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得る。複数の発光色の組み合わせとしては、青色、緑色、青色の3原色の3つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有したものでもよい。
また複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光又は蛍光で発光する材料(発光ドーパント)を複数組み合わせたもの、蛍光又はリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせたもののいずれでもよいが、本発明に係る白色有機EL素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせ混合するだけでよい。
前記照明装置としては、発光層、正孔輸送層或いは電子輸送層等の形成時のみマスクを設け、マスクにより塗り分ける等単純に配置するだけでよく、他層は共通であるのでマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で例えば電極膜を形成でき、生産性も向上する。この方法によれば、複数色の発光素子をアレー状に並列配置した白色有機EL装置と異なり、素子自体が発光白色である。
発光層に用いる発光材料としては特に制限はなく、例えば、液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係る発光ドーパント、また公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すればよい。
以下、本発明の有機EL素子を備える照明装置の一態様について説明する。前記照明装置としては、本発明の有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、ガラス基板(例えば、厚み300μm)を封止部材として用いて、周囲にシール材としてエポキシ系光硬化型接着剤(例えば、東亞合成社製ラックストラックLC0629B等)を適用し、これを陰極上に重ねて透明支持基板と密着させ、前記ガラス基板側からUV光を照射して硬化・封止せしめて形成した照明装置を挙げることができる。このような照明装置では、本発明の有機EL素子がガラスケース及びガラス基板で覆われている(なお、封止作業は、有機EL素子を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(好ましくは、純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)内で行うことが好ましい)。また、ガラスケース内には窒素ガスが充填され、更に捕水剤が設けられていることが好ましい。
<有機薄膜太陽電池>
本発明の有機エレクトロニクス素子用材料は、有機薄膜太陽電池の有機化合物層の材料として用いることも可能である。有機薄膜太陽電池の層構成の好ましい具体例としては、
(i)陽極/発電層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発電層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発電層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/p型半導体層/発電層/n型半導体層/電子輸送層/陰極
(v)陽極/正孔輸送層/第1発電層/電子輸送層/中間電極/正孔輸送層/第2発電層/電子輸送層/陰極
等が挙げられる。
本発明では、正孔輸送層、p型半導体層、発電層、n型半導体層、電子輸送層の材料の少なくともいずれかとして、前記本発明の有機エレクトロニクス素子用材料を単独で、或いは、他の材料と組み合わせて用いることが好ましい。
前記本発明の有機エレクトロニクス素子用材料以外の他の材料としては、従来有機薄膜太陽電池の有機化合物層の材料として公知の材料を適宜用いることができる。また、前記各層の形成方法としては、従来公知の方法、例えば、前記有機EL素子の各層の形成方法として挙げた方法と同様の方法を適宜用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各合成例において得られた化合物の測定、並びに、各実施例において得られた素子の評価は、以下の方法により行った。
(熱分解温度測定)
得られた化合物を50℃において10分間保持した後、昇温速度10℃/分で加熱し、ヘリウムガスを流入し、TG−DTA2020SE(NETZSCH社製)及びJMS−Q1050GCT(JEOL社製)を用いて、熱重量分析(TG−DTA−MS)を実施し、得られた化合物の熱分解温度を測定した。
(スペクトル測定)
・IR(赤外吸収スペクトル):得られた化合物を粉末にし、Nicolet iS10 FTIR(Thermo Scientific社製)を用いて測定した。
H−NMR、13C−NMR:CDCl又はo−ジクロロベンゼン−dを溶媒として、400MHzにおいて、JNM−ECS400(JEOL社製)を用いて測定した。
H−NMRにおいて、CDClの化学シフトはδ7.26、o−ジクロロベンゼン−dの化学シフトはδ7.19とした。
・MS(MALDI TOF):得られた化合物に対して500重量%のマトリックス(テトラシアノキノジメタン)を加えて混合した後、シクロヘキサン中に分散せしめて測定用の基盤上に塗布し、Microflex(Bruker Daltonics社製)を用いてマトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)により飛行時間型質量分析(TOFMS)を実施して測定した。
(元素分析)
得られた化合物1mgを精密天秤で量りとり、ヘリウムと酸素との混合ガス雰囲気下で燃焼せしめ、生成したHO、CO、NをCHN分析装置(JM−10、ヤナコ社製)及びハロゲン分析装置(HNS−15/HSU−20、ヤナコ社製)を用いて定量した。
(単結晶X線構造解析)
XtaLAB P200 MM007HF−DWX(リガク社製、検出器:PILATUS200K)、又は、SMART APEX II(Bruker社製、検出器:CCD)を用いて構造解析を行った。
(HPLC測定)
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定は、Cosmosil Buckyprepカラム(直径4.6mm×250mm)を用いて、溶出液:メタノール/クロロホルム=50/50、40℃、流速1.0mL/分の条件で実施し、溶出物を可視・紫外分光法(UV−vis)により検出した(検出器:MD2018PLUS(JASCO社製))。
(有機エレクトロニクス素子評価)
図1〜2に示すように、得られた有機エレクトロニクス素子101のガラス基板103とは反対の面をガラスケース102で覆い、周囲にシール材104としてエポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成製ラックストラックLC0629B)を用いてガラス基板103とガラスケース102とを密着させ、UV光によって硬化させて封止せしめ、評価用有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を作製した。なお、ガラスケースの中には乾燥窒素ガス108を充填し、捕水剤109を封入した。評価素子の発光面はガラス基板103側の面である。
・外部取り出し量子効率
作製した評価素子について、温度23℃において2.5mA/cm定電流を印加した時の外部取り出し量子効率(%)を測定した。なお、測定には分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ社製)を用いた。
・駆動電圧
作製した評価素子について、温度23℃において、発光開始時の電圧を測定した。なお、発光開始時の電圧は、電流密度2.5mA/cmとなったときの電圧値とした。輝度の測定には分光放射輝度計CS−1000を用いた。
・分光スペクトル測定
作製した評価素子について、温度23℃において、2.5mA/cm定電流を印加した時の発光スペクトルを測定した。なお、測定には分光放射輝度計CS−1000を用いた。
(合成例1:化合物1/[5]−シクロメタフェニレン)
先ず、遮光下、窒素ガス雰囲気中において、2,2’−ビピリジン(26.5g、170mmol、ヘキサンで再結晶することにより精製したもの、以下同じ)、1,5−シクロオクタジエン(20.7mL、169mmol)及びビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)(46.6g、169mmol)の混合物に、脱気したトルエン(350mL、活性アルミナと銅触媒のカラムを用いた溶媒精製装置により精製したもの、以下同じ)及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(350mL、活性アルミナと銅触媒のカラムを用いた溶媒精製装置により精製したもの、以下同じ)を加え、80℃で50分間撹拌した。次いで、温度を80℃に保ったまま、前記混合物に1,3−ジブロモベンゼン(10.2mL、84.7mmol)のトルエン溶液(1.40L)を1時間かけて滴下した。そのまま1時間撹拌し、室温(25℃)になるまで放冷した後、1M塩酸(1L)を加えて一晩撹拌した。次いで、フィルター濾過によってトルエン抽出液と不溶物(粗生成物B)とに分離した。トルエン抽出液は水及び食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムを添加して乾燥せしめ、濾過により硫酸マグネシウムを除去した後、減圧によって濃縮することにより、[5]、[7]、[9]〜[14]−シクロメタフェニレンを含有する粗生成物Aを3.85g得た。
得られた粗生成物Aにクロロホルム(700mL)を添加して得られた抽出物をトルエンで再結晶することによって化合物1の固体を得た。収量は1.10gであり、収率は17%であった。
得られた化合物1の熱分解温度は358℃であった。また、得られた化合物1におけるIR測定、H−NMR測定、13C−NMR測定、MS測定及び元素分析の結果は以下のとおりであった。化合物1のH−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル及びMALDI−TOF MSスペクトルをそれぞれ図3、図8及び図11に示す。また、得られた化合物1についてHPLC測定で得られたスペクトルを図12に示す。
IR(powder):
3046(w),1604(w),1567(w),1488(w),1391(w),1315(w),1164(w),1068(w),925(w),899(w),815(w),772(s),737(w),699(m),633(m),609(w)cm−1
H−NMR(400MHz、CDCl):
δ 8.52(t,J=2.0Hz,5H),7.73(dd,J=2.0,7.6Hz,10H),7.51(t,J=7.6Hz,5H);
13C−NMR(100MHz、CDCl):
δ 141.3,134.6,129.0,124.2;
MS(MALDI−TOF):
m/z calcd for C3020[M] 380.2,found 380.3;
Anal.calcd for C3020
C:94.70,H:5.30,found C:94.37,H:5.45。
また、得られた化合物1について単結晶X線構造解析を行った。解析条件及び結果を以下に示す。これらの結果から、得られた化合物1は[5]−シクロメタフェニレンであった。
化学式:C3020
化学式量:380.49
温度:90K
波長:1.54187Å
結晶系:Monoclinic
空間群:
格子定数: a=16.288(18)Å α=90°
b=5.4529(7)Å β=107.144(3)°
c=22.623(3)Å γ=90°
体積:1920.0(5)Å
Z:4
密度(計算値):1.316Mg/m
吸収係数:0.565mm−1
F(000):800.00
結晶サイズ:0.13x0.05x0.05mm
θ範囲 for data collection:3.96°to 74.23°
インデックス範囲:−20<=h<=20,−6<=k<=5,−28<=l<=28
Reflections collected:26741
Independent reflections:
3826[R(int)=0.0223]
Completeness to θ =74.23°:97.8%
Absorption correction:Empirical
Max. and min. transmission:
0.978 and 0.910
精密化方法:Full−matrix least−squares on F
データ/制限/パラメータ:3826/0/271
Goodness−of−fit on F:1.105
Final R indices [I>2σ(I)]:
=0.0368,wR=0.1020
R indices (all data):
=0.0382,wR=0.1042
ピーク−ホール間の最大値:0.21 and −0.21e.Å−3
(合成例2:化合物2/[6]−シクロメタフェニレン)
先ず、合成例1と同様にして[6]、[8]−シクロメタフェニレンを含有する粗生成物Bを3.58g得た。得られた粗生成物Bにクロロベンゼン(500mL)を添加し、フィルター濾過によってクロロベンゼン抽出液(473mg)と不溶物(3.13g)とに分離した。次いで、得られた不溶物を180℃に加熱したo−ジクロロベンゼンに添加して溶解せしめ、フィルター濾過によってo−ジクロロベンゼン抽出液と不溶物とに分離した。次いで、得られたo−ジクロロベンゼン抽出液から再結晶操作を繰り返すことによって固体を析出せしめ、析出した固体を濾過により回収し、化合物2の固体を306mg得た。また、固体を析出させた後のo−ジクロロベンゼン抽出液から得られた固体に対して昇華を行い、更に361mgの化合物2の固体を得た。収量は合計で10%であった。
得られた化合物2の熱分解温度は451℃であった。また、得られた化合物2におけるIR測定、H−NMR測定、MS測定及び元素分析の結果は以下のとおりであった。化合物2のH−NMRスペクトル及びMALDI−TOF MSスペクトルをそれぞれ図4及び図11に示す。また、得られた化合物2についてHPLC測定で得られたスペクトルを図12に示す。なお、図12において、2.5分付近のピークは、化合物2の溶解度が低いために現れたものである。
IR(powder):
3035(w),1602(w),1573(w),1489(w),1396(w),1301(w),1176(w),1090(w),916(w),891(w),812(w),776(s),723(w),701(m),628(m),615(w)cm−1
H−NMR(400MHz、o−ジクロロベンゼン−d):
δ 8.18(s,6H),7.63(d,J=7.6Hz,12H),7.45(t,J=7.6Hz,6H);
MS(MALDI−TOF):
m/z calcd for C3624[M] 456.2,found 456.2;
Anal.calcd for C3624
C:94.70,H:5.30,found C:94.69,H:5.35。
また、得られた化合物2について単結晶X線構造解析を行った。解析条件及び結果を以下に示す。これらの結果から、得られた化合物2は[6]−シクロメタフェニレンであった。
化学式:C3624
化学式量:456.55
温度:90K
波長:1.54178Å
結晶系:Monoclinic
空間群:
格子定数: a=12.289(3)Å α=90°
b=15.382(3)Å β=99.35(3)°
c=6.0239(12)Å γ=90°
体積:1123.6(4)Å
Z:2
密度(計算値):1.349Mg/m
吸収係数:0.579mm−1
F(000):480.0
結晶サイズ:0.20x0.05x0.05mm
θ範囲 for data collection:3.65° to 67.33°
インデックス範囲:−12<=h<=14,−18<=k<=18,−7<=l<=7
Reflections collected:8005
Independent reflections:
1960[R(int)=0.0371]
Completeness to θ =67.33°:97.0%
Absorption correction:Empirical
精密化方法:Full−matrix least−squares on F
データ/制限/パラメータ:1960/0/163
Goodness−of−fit on F:1.015
Final R indices [I>2σ(I)]:
=0.0362,wR 0.0942
R indices (all data):
=0.0410,wR=0.0977
ピーク−ホール間の最大値:0.177 and −0.211e.Å−3
(合成例3:化合物3/[7]−シクロメタフェニレン)
先ず、合成例1と同様にして粗生成物A含むトルエン溶液を得た。得られた粗生成物Aを含むトルエン溶液をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、装置:日本分析工業株式会社製「LC−9104」、カラム:JAIGEL 1H,2H,2.5Hポリスチレンカラム、溶出液:クロロホルム)を用いて精製し、室温においてクロロホルムにアセトニトリルを加えることによって化合物3の固体を得た。収量は504mgであり、収率は7%であった。
得られた化合物3の熱分解温度は440℃であった。また、得られた化合物3におけるIR測定、H−NMR測定、13C−NMR測定、MS測定及び元素分析の結果は以下のとおりであった。化合物3のH−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル及びMALDI−TOF MSスペクトルをそれぞれ図5、図9及び図11に示す。また、得られた化合物3についてHPLC測定で得られたスペクトルを図12に示す。
IR(powder):
3034(w),1603(w),1576(w),1485(w),1396(w),1300(w),1179(w),1092(w),924(w),893(w),885(w),805(w),786(m),774(s),702(s),644(w),627(m)cm−1
H−NMR(400MHz、CDCl):
δ 8.04(t,J=2.0,Hz,7H),7.64(dd,J=2.0,7.6Hz,14H),7.55(t,J=7.6Hz,7H);
13C−NMR(100MHz、CDCl):
δ 141.8,129.4,126.7,125.8;
MS(MALDI−TOF):
m/z calcd for C4228[M] 532.2,found 532.1;
Anal.calcd for C4228・0.04CHCl・0.5CHCN:
C:92.65,H:5.34,N:1.26,Cl:0.76,found C:92.38,H:5.38,N:1.26,Cl:0.57。
また、得られた化合物3について単結晶X線構造解析を行った。解析条件及び結果を以下に示す。これらの結果から、得られた化合物3は[7]−シクロメタフェニレンであった。
化学式:C8659
化学式量:1106.42
温度:93K
波長:1.54187Å
結晶系:Monoclinic
空間群:
格子定数: a=16.7629(11)Å α=90°
b=13.5865(8)Å β=99.125(3)°
c=26.032(3)Å γ=90°
体積:5853.7(8)Å
Z:4
密度(計算値):1.255Mg/m
吸収係数:0.543mm−1
F(000):2328
結晶サイズ:0.20x0.20x0.20mm
θ範囲 for data collection:2.94°to 74.60°
インデックス範囲:
−20<=h<=20,−16<=k<=16,−30<=l<=32
Reflections collected:81527
Independent reflections:
11688[R(int)=0.0331]
Completeness to θ =74.60°:97.6%
Max. and min. transmission:
0.897 and 0.658
精密化方法:Full−matrix least−squares on F
データ/制限/パラメータ:11688/0/787
Goodness−of−fit on F:1.059
Final R indices [I>2σ(I)]:
=0.0430,wR=0.1126
R indices (all data):
=0.0449,wR=0.1155
ピーク−ホール間の最大値:0.88 and −0.41e.Å−3
(合成例4:化合物4/[8]−シクロメタフェニレン)
先ず、合成例1と同様にして[6]、[8]−シクロメタフェニレンを含有する粗生成物Bを3.58g得た。得られた粗生成物Bにクロロベンゼン(500mL)を添加し、フィルター濾過によってクロロベンゼン抽出液(473mg)と不溶物(3.13g)とに分離した。次いで、得られたクロロベンゼン抽出液にメタノールを加えることによって固体を析出せしめ、析出した固体を濾過により回収し、化合物4の固体を得た。収量は73.1mgであり、収率は1%であった。
得られた化合物4の熱分解温度は449℃であった。また、得られた化合物4におけるIR測定、H−NMR測定、MS測定及び元素分析の結果は以下のとおりであった。化合物4のH−NMRスペクトル及びMALDI−TOF MSスペクトルをそれぞれ図6及び図11に示す。また、得られた化合物4についてHPLC測定を実施して得られたスペクトルを図12に示す。なお、図12において、2.5分付近のピークは、化合物4の溶解度が低いために現れたものである。
IR(powder):
3023(w),1603(w),1573(w),1481(w),1409(w),1397(w),1301(w),1167(w),1091(w),914(w),894(w),815(w),792(s),784(s),715(w),708(m),701(m),642(w),625(m)cm−1
H−NMR(400MHz、o−ジクロロベンゼン−d):
δ 7.80(s,8H),7.43(d,J=6.8Hz,16H),7.37(t,J=6.8Hz,8H);
MS(MALDI−TOF):
m/z calcd for C4832[M] 608.3,found 608.5;
Anal.calcd for C4832・0.28CCl・0.66CHOH:
C:91.41,H:5.49,N:0.00,Cl:1.50,found C:91.02,H:5.25,N:0.36,Cl:1.11。
また、得られた化合物4について単結晶X線構造解析を行った。解析条件及び結果を以下に示す。これらの結果から、得られた化合物4は[8]−シクロメタフェニレンであった。
化学式:C48.539.03
化学式量:669.84
温度:93K
波長:1.54187Å
結晶系:Tetragonal
空間群:−42
格子定数: a=17.550(8)Å α=90°
b=17.550(8)Å β=90°
c=5.619(3)Å γ=90°
体積:1730.7(14)Å
Z:2
密度(計算値):1.285Mg/m
吸収係数:0.613mm−1
F(000):708.00
結晶サイズ:0.32x0.12x0.02mm
θ範囲 for data collection:68.09°
インデックス範囲:−20<=h<=21,−21<=k<=20,−6<=l<=6
Reflections collected:10198
Independent reflections:
1576[R(int)=0.0784]
Completeness to θ =68.09°:97.6%
Max. and min. transmission:
0.988 and 0.722
精密化方法:Full−matrix least−squares on F
データ/制限/パラメータ:1576/1/129
Goodness−of−fit on F:1.099
Final R indices [I>2σ(I)]:R=0.0510
R indices (all data):wR=0.1309
ピーク−ホール間の最大値:0.25 and −0.18e.Å−3
(合成例5:化合物5/[9]−シクロメタフェニレン)
先ず、合成例1と同様にして粗生成物A含むトルエン溶液を得た。得られた粗生成物Aを含むトルエン溶液をゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)を用いて精製し、トルエンから再結晶することによって固体を析出せしめ、析出した固体を濾過により回収し、化合物5の固体を得た。収量は65.8mgであり、収率は1%であった。
得られた化合物5の熱分解温度は480℃であった。また、得られた化合物5におけるIR測定、H−NMR測定、13C−NMR測定、MS測定及び元素分析の結果は以下のとおりであった。化合物5のH−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル及びMALDI−TOF MSスペクトルをそれぞれ図7、図10及び図11に示す。また、得られた化合物5についてHPLC測定で得られたスペクトルを図12に示す。
IR(powder):
3053(w),1598(w),1576(w),1472(w),1400(w),1387(w),1168(w),1091(w),892(w),806(w),787(s),782(s),728(w),707(s),629(w),619(w)cm−1
H−NMR(400MHz、CDCl):
δ 7.77(t,J=1.6Hz,9H),7.57(dd,J=1.6,7.6Hz,18H),7.51(t,J=7.6Hz,9H);
13C−NMR(100MHz、CDCl):
δ 141.8,129.0,126.6,126.3;
MS(MALDI−TOF):
m/z calcd for C5436[M] 684.3,found 684.2;
Anal.calcd for C5436・0.8C・0.3HO:
C:93.70,H:5.67,found C:93.48,H:5.65,N:0.13。
また、得られた化合物5について単結晶X線構造解析を行った。解析条件及び結果を以下に示す。これらの結果から、得られた化合物5は[9]−シクロメタフェニレンであった。
化学式:C57.4943.69Cl1.04
化学式量:771.42
温度:93K
波長:1.54187Å
結晶系:Monoclinic
空間群:
格子定数: a=13.108(3)Å α=90°
b=24.710(5)Å β=95.99(3)°
c=13.243(3)Å γ=90°
体積:4266(4)Å
Z:4
密度(計算値):1.201Mg/m
吸収係数:1.096mm−1
F(000):1625.24
結晶サイズ:0.20x0.16x0.14mm
θ範囲 for data collection:3.803 to 74.580°
インデックス範囲:
−16<=h<=16,−30<=k<=29,−16<=l<=16
Reflections collected:29332
Independent reflections:
8380[R(int)=0.0160]
Completeness to θ =74.58°:95.9%
Max. and min. transmission:
0.858 and 0.808
精密化方法:Full−matrix least−squares on F
データ/制限/パラメータ:8380/136/635
Goodness−of−fit on F:1.100
Final R indices [I>2σ(I)]:
=0.0623,wR=0.1756
R indices (all data):
=0.0634,wR=0.1769
ピーク−ホール間の最大値:1.12 and −0.51e.Å−3
(実施例1)
100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)が100nmの厚さとなるように成膜された基板(NHテクノグラス社製NA−45)にパターニングを行った後、イソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥せしめ、UVオゾン洗浄を5分間行い、ITO透明電極(陽極)を設けた透明支持基板を得た。この透明支持基板のITO透明電極上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT・PSS、Bayer社製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でスピンコート法により成膜した後、200℃にて1時間乾燥し、膜厚30nmの正孔輸送層1を設けた。
次いで、これを真空蒸着装置に取付け、真空槽を4×10−4Paまで減圧した上で、以下の条件:
正孔輸送層2(HTL):NPD(4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル)を成膜レート1Å/secにて膜厚20nmとなるように蒸着;
発光層(HOST):合成例2で得られた化合物2([6]−シクロメタフェニレン(CMP))及びIr(ppy)(tris−(2−phenylpyridine)iridium)を、化合物2の成膜レート0.94Å/sec、Ir(ppy)の成膜レート0.06Å/sec(Ir(ppy)の含有量6体積%)にて二元同時蒸着法により、膜厚40nmとなるように蒸着;
電子輸送層1(ETL1):BAlq(ビス(2−メチル−8−キノリール)−4−(フェニルフェノレート)アルミニウム)を成膜レート1Å/secにて膜厚10nmとなるように蒸着;
電子輸送層2(ETL2):Alq3(トリス(8−ヒドロキシキノリール)アルミニウム)を成膜レート1Å/secにて膜厚20nmとなるように蒸着;
LiF(電子注入層)を成膜レート0.1Å/secにて膜厚0.5nmとなるように蒸着;
陰極:Alを成膜レート4Å/secにて膜厚100nmとなるように蒸着;
にて各層を真空蒸着法にて順に積層し、ガラス基板/ITO透明電極(100nm)/正孔輸送層1(PEDOT・PSS、30nm)/正孔輸送層2(NPD、20nm)/発光層([6]−CMP:Ir(ppy)(6%)、40nm)/電子輸送層1(BAlq、10nm)/電子輸送層2(Alq3、20nm)/LiF層(0.5nm)/陰極(Al、100nm)の順に積層された有機エレクトロニクス素子(有機EL素子)を作製した。得られた有機エレクトロニクス素子の断面の模式図を図13に示す。
(実施例2)
正孔輸送層2(HTL)の成膜において、NPDに代えて合成例2で得られた化合物2を用い、発光層(HOST)の成膜において、化合物2に代えてCBP(4,4’−N,N−dicarbazole−biphenyl)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ガラス基板/ITO透明電極(100nm)/正孔輸送層1(PEDOT・PSS、30nm)/正孔輸送層2([6]−CMP、20nm)/発光層(CBP:Ir(ppy)(6%)、40nm)/電子輸送層1(BAlq、10nm)/電子輸送層2(Alq3、20nm)/LiF層(0.5nm)/陰極(Al、100nm)の順に積層された有機エレクトロニクス素子を作製した。
(比較例1)
発光層(HOST)の成膜において、化合物2に代えてCBPを用いたこと以外は実施例1と同様にして、ガラス基板/ITO透明電極(100nm)/正孔輸送層1(PEDOT・PSS、30nm)/正孔輸送層2(NPD、20nm)/発光層(CBP:Ir(ppy)(6%)、40nm)/電子輸送層1(BAlq、10nm)/電子輸送層2(Alq3、20nm)/LiF層(0.5nm)/陰極(Al、100nm)の順に積層された有機エレクトロニクス素子を作製した。
実施例1〜2及び比較例1で得られた有機エレクトロニクス素子について、外部取り出し量子効率、駆動電圧の測定を実施した結果を表1に示す。なお、表1に示す結果は、比較例1で得られた有機エレクトロニクス素子の各値を100とした時の相対評価である。表1に示した結果から明らかなように、本発明の有機エレクトロニクス素子用材料を発光層ホスト材料として用いた場合には、駆動電圧を従来比0.77まで低減できることが確認された(実施例1)。また、本発明の有機エレクトロニクス素子用材料を正孔輸送材料として用いた場合には、外部取り出し量子効率を従来比1.8まで向上できることが確認された(実施例2)。
(実施例3)
電子輸送層1(ETL1)及び電子輸送層2(ETL2)の成膜においてBAlq及びAlq3に代えて合成例2で得られた化合物2を用いたこと以外は比較例1と同様にして、ガラス基板/ITO透明電極(100nm)/正孔輸送層1(PEDOT・PSS、30nm)/正孔輸送層2(NPD、20nm)/発光層(CBP:Ir(ppy)(6%)、40nm)/電子輸送層([6]−CMP、30nm)/LiF層(0.5nm)/陰極(Al、100nm)の順に積層された有機エレクトロニクス素子(有機EL素子)を作製した。なお、電子輸送層の成膜において、化合物2は、成膜レート1Å/secにて膜厚30nmとなるように蒸着した。
(実施例4)
正孔輸送層2(HTL)の成膜においてNPDに代えて合成例2で得られた化合物2を用い、電子輸送層1(ETL1)及び電子輸送層(ETL2)の成膜においてBAlq及びAlq3に代えて合成例2で得られた化合物2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ガラス基板/ITO透明電極(100nm)/正孔輸送層1(PEDOT・PSS、30nm)/正孔輸送層2([6]−CMP、20nm)/発光層([6]−CMP:Ir(ppy)(6%)、40nm)/電子輸送層([6]−CMP、20nm)/LiF(0.5nm)/陰極(Al、100nm)の順に積層された有機エレクトロニクス素子を作製した。なお、電子輸送層の成膜において、化合物2は、成膜レート1Å/secにて膜厚20nmとなるように蒸着した。
実施例3及び実施例4で得られた有機エレクトロニクス素子について、分光スペクトル測定を実施した結果をそれぞれ図14及び図15に示す。図14〜15に示した結果から明らかなように、本発明の有機エレクトロニクス素子用材料を有機EL素子の電子輸送材料として用いた場合、並びに、正孔輸送材料、発光層ホスト材料及び電子輸送材料として用いた場合には、いずれも、Ir(ppy)に起因する緑色の発光が認められ、発光機能性を有することが確認された。これらの結果から、本発明の有機エレクトロニクス素子用材料は、有機EL素子の電子輸送材料としても有効であることが確認できた。また、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層全てに同じ材料を用いる構成(シームレス構成)である無界面の有機EL素子の材料としても有効であり、無界面素子の製造が可能であって、有機EL素子の製造工程数を削減することが可能であることが確認された。なお、本発明の有機エレクトロニクス素子用材料として化合物1([5]−CMP)を用いた場合にも、化合物2と同様に電子輸送材料、正孔輸送材料及び発光層ホスト材料として用いることができることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子の電子輸送材料、正孔輸送材料及び発光層ホスト材料として用いることができる新規の有機エレクトロニクス素子用材料、並びに、それを用いた有機エレクトロニクス素子及び有機エレクトロニクスデバイスを提供することが可能となる。
また、本発明の有機エレクトロニクス素子用材料は、安価な原料を用いて容易に製造することが可能であり、更に、有機EL素子の電子輸送材料、正孔輸送材料及び発光層ホスト材料として用いた場合には有機EL素子の製造工程数を削減することが可能となるため、製造コストの観点からも非常に有用である。
101…有機エレクトロニクス素子、102…ガラスケース、103…ガラス基板、104…シール材、105…陰極(Al)、106…有機化合物層、107…陽極(ITO透明電極)、108…窒素ガス、109…捕水剤、1…ガラス基板、2…ITO透明電極、3…正孔輸送層1、4…正孔輸送層2、5…発光層、6…電子輸送層1、7…電子輸送層2、8…LiF層、9…陰極。

Claims (3)

  1. 有機エレクトロニクス素子用材料に用いる環状芳香族化合物の製造方法であり、
    前記環状芳香族化合物が、下記一般式(1):
    [式(1)中、nは5〜9のうちのいずれかの整数を示す。]
    で表わされる環状芳香族化合物であり、
    0価のニッケル触媒と下記一般式(2):
    [式(2)中、Xは、それぞれ独立に、Cl、Br又はIを示す。]
    で表わされるハロゲン化ベンゼンとを混合し、山本カップリング反応により前記ハロゲン化ベンゼンを重合反応せしめて前記環状芳香族化合物を得る
    ことを特徴とする環状芳香族化合物の製造方法
  2. 前記有機エレクトロニクス素子用材料が、陽極、陰極、及び、前記陰極と前記陽極との間に配置される有機化合物層を備える有機エレクトロニクス素子前記有機化合物層含有されることを特徴とする請求項1に記載の環状芳香族化合物の製造方法
  3. 0価のニッケル触媒が、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の環状芳香族化合物の製造方法
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