JP6388065B2 - ジフルオロエステル化合物の製造方法 - Google Patents

ジフルオロエステル化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カルボニル基のα−位を、難溶性の副生物を生成することなく、選択的にジフルオロ化することを特徴とするジフルオロエステル化合物の製造方法に関するものである。
ジフルオロエステル化合物は、医農薬またはその中間体として重要な化合物である。例えば、抗腫瘍剤の中間体(L. W. Hertelら、J. Org. Chem., 53, 2406(1988))、ジフルオロプロスタグランジン類の中間体(特表昭56‐501319)、ジフルオロペプチド類(S. Thaisrivongsら、J. Med. Chem., 29, 2080(1986))等が知られている。
フルオロ化合物を調製するために使用される求電子的フッ素化剤としてはフッ素ガス、キセノンフルオリド、パークロリルフルオリド等が比較的古くから知られており、また、近年、N−フルオロスルホンイミド、N−フルオロスルホンアミド等の求電子的フッ素化剤も用いられており、例えば、D.H.R.Bartonら( USP 3,917,688、 J. Chem. Soc.Perkin I, 732 (1974))等により公知である。
これらのフッ素化剤によるフッ素化では、通常、電子吸引基のα‐位の水素を塩基で引き抜き、活性なエノラートを系内で調製してフッ素化を行う。しかしながら、該反応にはいくつかの問題がある。第一に、ジフルオロ化できる基質が限定されることが挙げられる。ジフルオロ化が進行する基質は、ジフルオロ化したいメチレン基の両側にカルボニル基、芳香環、スルホニル基、ホスホリル基、炭素‐炭素不飽和結合のような電子吸引基を持つ化合物か、アリールケトンのような通常のケトンより電子吸引性が高い化合物に限られ、ジアルキルケトンやエステルのジフルオロ化ではモノフルオロ体とジフルオロ体が混合物で得られてきてしまう。これは、出発原料よりもモノフルオロ体の方が塩基による水素引き抜きが難しく、また生成したモノフルオロエノラートが不安定なためと考えられる。
第二に、ジフルオロ体とモノフルオロ体が混合物として得られた場合、両者は沸点や極性等の物理的、化学的性質が似ているため、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の分離手法で分離することが困難である場合がある。
上記問題を解決して、活性化が十分でない化合物のジフルオロ化を行う場合に、一旦モノフルオロ体を単離し、再度フッ素化を行う2段階のジフルオロ化反応が広く行われている。例えばYana Cenら(J. Org. Chem., 5779 (2009))は、デオキシリボノラクトンにN-フルオロベンゼンスルホンイミドとリチウムヘキサメチルジシラジドを作用させてモノフルオロ体を得、再度同じ反応剤を作用させて51%の収率でジフルオロ体を得ている。しかしながらこの方法は直接ジフルオロ体を合成する方法に比べ工程数が増えるため好ましい方法とは言えない。
一段階でジフルオロ化反応を行うために、ラクトン類やカルボニル化合物に塩基性化合物及び臭化マンガン等の金属化合物反応剤の存在下でN-フルオロベンゼンスルホンイミドを作用させ、高収率かつ選択的にジフルオロ化合物を製造する方法が提案されている(特許文献1及び2)。金属化合物反応剤として、マンガン、ジルコニウム、セリウムのような重金属の化合物を用いた時に高収率で目的のジフルオロ化合物が得られる。しかしながら、この方法では重金属化合物に由来する、有機溶媒にも水にも難溶な副生物が生成されるため、目的物と副生物の分離や反応容器の洗浄操作が煩雑になるという点で、改良の余地が残されている。特に医薬品製造においてはごく微量の重金属の混入も許容されない場合が多いため、反応に重金属化合物を用いない方が好ましい。また、反応収率の点においても、改良の余地がある。
特開平8−143560号公報 特開平9−110729号公報
本発明は、難溶性の副生物を生成することなく、高収率かつ高選択的にジフルオロエステル化合物を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を要旨とするものである。
[1]下記式(1)で表されるエステル化合物に、塩基性化合物の存在下かつ金属化合物反応剤の不存在下に求電子的フッ素化剤を反応させてフッ素化することを特徴とする下記式(2)で表されるジフルオロエステル化合物の製造方法。
Figure 0006388065
Figure 0006388065
(ただし、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜30のシクロアルケニル基(ただし、カルボニル基のα位の炭素原子に隣接する炭素原子は二重結合を形成していない。)、置換基を有していてもよい炭素数2〜30のアルキニル基、及び置換基を有していてもよい炭素数8〜30のシクロアルキニル基からなる群から選ばれる基を表わし、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表すか、または、RとRが結合して、−C−C(O)−O−とともに、置換基を有していてもよい、環の炭素数が3〜8のラクトン環を形成するアルキレン基を表す。)
[2]前記フッ素化反応を行った後に、残存する前記求電子的フッ素化剤を分解する化合物を加える、上記[1]に記載の製造方法。
[3]前記求電子的フッ素化剤を分解する化合物が、アミン類またはハロゲンイオンの塩である、上記[2]に記載の製造方法。
[4]前記求電子的フッ素化剤が、N−フルオロスルホンアミド類、及びN−フルオロスルホンイミド類からなる群から選ばれる求電子的フッ素化剤である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]前記塩基性化合物が、アンモニアのアルカリ金属アミド化合物、第二級アミンのアルカリ金属アミド化合物、アルカリ金属の水素化物、有機アルカリ金属化合物、アルカリ金属、アルカリ金属アルコキシド、及び共役酸のDMSO中でのpKaが25以上の塩基性化合物からなる群から選ばれる塩基性化合物である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]−120℃〜−50℃で反応させる、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]前記求電子的フッ素化剤の当量数/前記式(1)で表されるエステル化合物のモル数で表わされる比率が1.6〜12である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8](前記塩基性化合物の当量数/前記求電子的フッ素化剤の当量数)で表わされる比率が0.5〜2.0である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9]前記式(1)で表されるエステル化合物が下記式(3)で表されるラクトン化合物である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
Figure 0006388065
(ただし、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、保護されたヒドロキシ基、保護されたアミノ基、保護されたカルボキシ基、及び置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基からなる群から選ばれる1価の基を表わすか、または、R、R、R、及びRのうちの隣接した2つが結合して、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルキレン基を、R、R、R及びRのうちの前記2つ以外はそれぞれ独立に前記1価の基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
[10]前記式(1)で表されるエステル化合物が下記式(5)で表されるラクトン化合物である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
Figure 0006388065
(ただし、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜14の炭化水素基を表し、Rは水素原子または保護基を表す。)
[11]前記式(1)で表されるエステル化合物が下記式(9)で表される化合物である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
Figure 0006388065
(ただし、R12、R13はそれぞれ独立に、テトラヒドロピラニル基、ベンゾイル基、p−フェニルベンゾイル基、またはSiX基(Xはアルキル基、アリール基、アルアルキル基、または複素環基を表す。)を表す。)
また、本発明は、上記方法で得られたジフルオロエステル化合物を用いた下記の合成方法にも関する。
[12]上記[11]に記載の方法でジフルオロエステル化合物を得て、更に該ジフルオロエステル化合物を(4−(1H−テトラゾール−5−イル)ブチル)トリフェニルホスフォニウムブロミドと反応させることを特徴とする、下記式(11)で表わされる化合物の製造方法。
Figure 0006388065
(ただし、R12、R13はそれぞれ独立に、テトラヒドロピラニル基、ベンゾイル基、p−フェニルベンゾイル基、またはSiX基(Xはアルキル基、アリール基、アルアルキル基、または複素環基を表す。)を表す。)
[13]上記[12]に記載の製造方法で前記式(11)で表わされる化合物を得て、更に該前記式(11)で表わされる化合物のR12及びR13を脱離させて水素原子に変換することを特徴とする、下記式(12)で表わされる化合物の製造方法。
Figure 0006388065
本発明の製造方法によれば、金属化合物反応剤を用いることなく、高収率かつ高選択的にジフルオロエステル化合物を製造することができるので、金属不純物の混入の懸念がなく、また、難溶性の副生物が生じることがない。
以下の説明において、「低級」有機基とは、炭素数1〜6の有機基を意味し、炭素数1〜4の有機基が好ましい。アルアルキル基とは、末端に芳香環が結合したアルキル基である。アルコキシム基とは、オキシムのOHがOCで置換された化合物である。
上記式(1)で表わされるエステル化合物(以下、単に「エステル化合物」という)のRにおけるアルキル基としては、直鎖状、または分岐状のいずれでもよく、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。このような基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、1,1−ジメチルペンチル基、1−メチル−3−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、2−メチルヘキシル基等が挙げられる。
におけるシクロアルキル基としては、炭素数3〜10のシクロアルキル基が好ましく、炭素数5〜8のシクロアルキル基がより好ましく、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
におけるシクロアルケニル基は、エステルのカルボニル基のα位の炭素に隣接する炭素原子が二重結合を形成していない基である。炭素数4〜30のシクロアルケニル基としては、炭素数4〜20のシクロアルケニル基が好ましく、炭素数5〜10のシクロアルケニル基がより好ましく、例えばシクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
におけるアルキニル基としては、不飽和基1個以上を有する直鎖状、または分岐状のアルキニル基であり、炭素数2〜20のアルキニル基が好ましく、炭素数2〜10のアルキニル基がより好ましい。このような基としては、例えば、1−プロピニル基、2−プロピニル基、3−ブチニル基、3−ペンチニル基、4−ヘキシニル基、1−メチル−3−ペンチニル基、1,1−ジメチル−ヘキシニル基、オクチニル基、1−メチル−3−ヘキシニル基、1,1−ジメチル−3−ペンチニル基、1,1−ジメチル−3−ヘキシニル基等が挙げられる。
におけるシクロアルキニル基としては、炭素数8〜20のシクロアルキニル基が好ましく、炭素数8〜12のシクロアルキニル基がより好ましく、例えばシクロデシニル基が挙げられる。
における炭化水素基としては、特に限定されないが、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アリール基等が挙げられる。
におけるアルキル基、シクロアルキル基の態様及び好ましい態様は、Rにおけるアルキル基と同様である。
におけるアルケニル基としては、不飽和基1個以上を有する直鎖状、または分岐状のアルケニル基であり、炭素数2〜20のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜10のアルケニル基がより好ましい。例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基が挙げられる。
におけるシクロアルケニル基としては、炭素数3〜20のシクロアルケニル基が好ましく、炭素数5〜10のシクロアルケニル基がより好ましく、例えば4−ヘキセニル基等が挙げられる。
におけるアルキニル基、シクロアルキニル基の態様及び好ましい態様は、Rにおけるこれらの基と同様である。
におけるアリール基としては、炭素数6〜22のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
式(1)において、RとRは結合して、式(1)における−C−C(O)−O−とともに、置換基を有していてもよい、環の炭素数が3〜8のラクトン環を形成していてもよい。
斯かるラクトン環を形成している化合物としては、式(3)で表されるラクトンが好ましい。式(3)で表わされるラクトンからは、式(4)で表されるジフルオロラクトンが得られる。
Figure 0006388065
(ただし、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、保護されたヒドロキシ基、保護されたアミノ基、保護されたカルボキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる1価の基を表わすか、または、R、R、R、及びRのうちの隣接した2つが結合して、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルキレン基を、R、R、R及びRのうちの前記2つ以外はそれぞれ独立に前記1価の基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
Figure 0006388065
(ただし、R、R、R、及びRは前記式(3)と同様である。)
式(3)のR、R、R、及びRにおける保護されたヒドロキシ基としては、ヒドロキシ基の保護基として用いられる公知ないしは周知の保護基で保護されたヒドロキシ基が採用できる。保護基としては、例えば、式SiX(Xはアルキル基、アリール基、アルアルキル基、複素環基等)で表されるトリオルガノシリル基、アシル基、環状エーテル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、アルアルキル基等が用いられる。トリオルガノシリル基としては、低級アルキル基またはアリール基から選ばれる基を3個有するトリオルガノシリル基が好ましい。具体的には、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリイソプロピルシリル基等が好ましい。アシル基としては、アセチル基、ベンゾイル基やp−フェニルベンゾイル基等が好ましい。環状エーテル基としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が好ましい。また、置換を有していてもよいアルキル基としては、メトキシメチル基、1−エトキシエチル基、2−メトキシエトキシメチル基等のアルコキシアルキル基が好ましい。アルアルキル基としては、ベンジル基、メトキシベンジル基、トリチル基等が好ましい。
式(3)のR、R、R、及びRにおける保護されたアミノ基としては、アミノ基の保護基として用いられる公知ないしは周知の保護基で保護されたアミノ基が採用できる。例えば、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アルケニル基、アルアルキル基、トリオルガノシリル基、スルホニル基等があり、アシル基としてはアセチル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基等が好ましい。アルコキシカルボニル基としては、t−ブトキシカルボニル基、ベンジロキシカルボニル基等が好ましい。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基としては、メトキシメチル基、アリル基、ベンジル基、トリチル基、メトキシベンジル基等が好ましい。トリオルガノシリル基としては、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリイソプロピルシリル基等が好ましい。スルホニル基としては、p−トルエンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−クロロベンゼンスルホニル基、p−ニトロベンゼンスルホニル基、メタンスルホニル基等が好ましい。
式(3)のR、R、R、及びRにおける保護されたカルボキシ基としては、カルボキシ基の保護基または等価体として用いられる公知ないしは周知の保護基で保護されたカルボキシ基が採用できる。保護基としては、アルキル基、アルケニル基、アルアルキル基、トリオルガノシリル基、オルトエステル基等が好ましい。アルキル基、アルケニル基、アルアルキル基としては、メトキシメチル基、アリル基、ベンジル基、トリチル基、メトキシベンジル基等が好ましい。トリオルガノシリル基としては、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリイソプロピルシリル基等が好ましい。
等価体としては、テトラゾール基等が好ましい。
上記のような保護されたヒドロキシ基、保護のされたアミノ基、保護されたカルボキシ基の保護基は、常法により脱離させることができる。例えば、「新実験化学講座14有機化合物の合成と反応(I)、(II)、(V)」(丸善)、「プロテクティブグループスインオーガニックシンセシス」(T.W.Greene著、J.Wiley&Sons)等の成書に記載の方法により、容易にそれぞれヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基へ変換できる。
式(3)のR、R、R、及びRにおける炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、または環状のいずれでもよく、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数3〜20のシクロアルキニル基、または炭素数6〜22のアリール基が好ましい。
式(3)におけるnは1〜4の整数を表す。すなわち、式(3)で表わされる化合物は、5〜8員環のラクトン類である。nは1または2が好ましい。すなわち、式(3)で表わされる化合物としては5または6員環のラクトン類が好ましい。このラクトン類は、R、R、R、及びRの内の2個が結合して、シクロアルキレン基を形成していてよい。
式(3)で表されるラクトン類として、式(5)で表されるラクトン類がより好ましい。この式(5)で表されるラクトン類は、式(3)において、nが1、RとRがいずれも水素原子、RとRが結合してトリメチレン基を形成し、かつそのトリメチレン基にRとORなる置換基が結合し、しかも式(5)で示した特定の立体構造を有する化合物である。この式(5)で表されるラクトン類はプロスタグランジンI2(以下PGI2という)類の部分構造と同じ骨格を有し、PGI2類の合成用の中間体として公知の化合物[いわゆる、コーリー(Corey)ラクトンの誘導体]である。
Figure 0006388065
(ただし、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜14の炭化水素基を表し、Rは水素原子または保護基を表す。)
における炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、または環状のいずれでもよく、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数3〜14のシクロアルキル基、炭素数2〜14のアルケニル基、炭素数3〜14のシクロアルケニル基、炭素数2〜14のアルキニル基、炭素数3〜14のシクロアルキニル基、または炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
が保護基である場合の保護基は、ヒドロキシ基の保護基であり、その態様及び好ましい態様は、前述の式(3)のR、R、R、及びRにおける保護されたヒドロキシ基における保護基と同様である。
式(5)で表されるラクトン類から本発明の製造方法により得られる式(6)のジフルオロラクトン類は、ジフルオロプロスタグランジン類の中間体として有用である。
Figure 0006388065
(R及びRは、上記のとおりである。)
式(5)、(6)におけるR7としては、天然型PGI2のω鎖部分に対応する基や種々のPGI2類のω鎖部分に対応する基、またはこれらに容易に変換できる基が好ましい。特にRにおける置換基の少なくとも1種が保護されたヒドロキシ基であることが好ましい。より好ましいRは、下記式(7)又は(8)で表される基である。
−A−CH(OR10)−R (7)
−CHOR11 (8)
式(7)において、Aは、ビニレン基、エチニレン基、またはエチレン基であり、ビニレン基またはエチニレン基が好ましく、特に天然型PGI2のAに対応するものと同様のビニレン基が最も好ましい。
としては、天然型PGI2のω鎖部分に対応する基や種々のPGI2類のω鎖部分に対応する基が好ましい。このような基としては置換基を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基が好ましい。該炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、または環状のいずれでもよく、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基、炭素数3〜10のシクロアルケニル基、炭素数1〜10のアルキニル基、炭素数8〜12のシクロアルキニル基、炭素数6〜10のアリール基等がある。
としては鎖状の炭化水素基が好ましく、特に置換基を有していてもよい炭素数3〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜8のアルケニル基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜8のアルキニル基が好ましい。置換基を有していてもよい炭素数5〜6の直鎖状のこれらの基、またはそのモノメチルもしくはジメチル置換体がより好ましい。具体的なこれらの基としては、n−プロピル基、n−ペンチル基、n−オクチル基、2−メチルヘキシル基、1−メチル−3−ペンテニル基、1−メチル−3−ヘキシニル基、1,1−ジメチル−3−ペンチニル基、1,1−ジメチル−3−ヘキシニル基等が挙げられる。これらのうち、n−ペンチル基、2−メチルヘキシル基、1−メチル−3−ペンチニル基、1−メチル−3−ヘキシニル基、または1,1−ジメチル−3−ヘキシニル基が好ましい。
10、R11は、水素原子または保護基(ヒドロキシ基の保護基)である。
、R10、R11がそれぞれ保護基(ヒドロキシ基の保護基)である場合、保護基としては、特に限定されず、前記式(3)のR、R、R、及びRにおける保護されたヒドロキシ基の保護基と同様の保護基が採用できる。これら保護基は同一であっても異なっていてもよい。これらの保護基は目的に応じて採用される。例えば、2個の保護基を有する化合物の一方の保護基のみを選択的に脱保護する必要がある場合には反応性の異なる保護基を用いることが好ましいからである。具体的には、例えば、RやR10としてトリオルガノシリル基や環状エーテル基を用いる場合、R11は、RやR10と同様の、または異なった保護基であり、かつ、RやR10とは異なる反応性を有する保護基を用いることが好ましい。
上記R、R、R、R、R、R、R、及びRの各基が、置換基を有していてもよい基である場合の置換基は特に限定されない。置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アリール基等の炭化水素基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;オキソ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、保護されたヒドロキシ基、カルボニル基、カルボキシ基、カルボキシ塩基、保護されたカルボキシ基等の酸素含有基;アミノ基、保護されたアミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、ウレタン基、イソシアノ基、アルコキシム基等の窒素含有基;チオホルミル基、ジチオカルボキシ基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基等の硫黄含有基;ホスホリル基もしくはその塩等のリン含有基;ピリジル基、イミダゾリル基、インドリル基、キノリル基、フリル基、チエニル基等の複素環基等が挙げられる。炭化水素基は、直鎖状、分岐状、または環状のいずれであってもよい。また、置換基としては、水素原子がハロゲン原子で置換された炭化水素基のように、上記の基の組み合わせの基であってもよい。
なお、保護されたヒドロキシ基、保護されたカルボキシ基、保護されたアミノ基については、前記の基が挙げられる。
本発明の製造方法は、金属化合物反応剤の不存在下で実施する。本発明において、金属化合物反応剤とは前記特許文献1及び2に記載の金属化合物反応剤を意味する。より具体的には、B、Mg、Al、Ca、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Sn、Ba、Hf、W、La、Ce、及びSmからなる群から選ばれる金属種を含む金属化合物が挙げられる。前記金属種を含む金属化合物としては、有機金属化合物や金属塩等が挙げられる。
本発明の製造方法に使用する求電子的フッ素化剤は、特に限定されず、公知ないしは周知の求電子的フッ素化剤が採用できる。例えば、北爪智也、石原孝、田口武夫著「フッ素の化学」(講談社サイエンティフィック)等の成書に記載の求電子的フッ素化剤を用いることができる。具体的には、N−フルオロスルホンアミド類やN−フルオロスルホンイミド類が好ましく、より具体的には、N−フルオロベンゼンスルホンイミド、N−フルオロ−p−フルオロベンゼンスルホンイミド、N−フルオロ−o−ベンゼンジスルホンイミド、N−フルオロ−p−トルエンスルホンイミド、N−フルオロ−N−t−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−フルオロ−N−t−ブチル−p−トルエンスルホンアミド、N−フルオロ−N−メチルベンゼンスルホンアミド、N−フルオロ−N−ノルボルニル−p−フルオロベンゼンスルホンアミド等が好ましく、N−フルオロベンゼンスルホンイミドがより好ましい。
該求電子的フッ素化剤の量は、特に限定されないが、目的とするジフルオロ化に必要なフッ素原子を与える量以上を使用することが好ましい。即ち、求電子的フッ素化剤の当量数/前記式(1)で表されるエステル化合物のモル数で表される比率が、1.6〜12が好ましく、2.0〜6.0がより好ましく、2.0〜5.0が更に好ましく、3.0〜5.0が最も好ましい。
ここで、求電子的フッ素化剤の当量数とは、1分子の求電子的フッ素化剤がフッ素原子を供給できる数×求電子的フッ素化剤のモル数を意味する。
本発明の製造方法において使用される塩基性化合物は、前記金属化合物反応剤ではない塩基性化合物であって、前記金属種を含む金属化合物ではない化合物である。
該塩基性化合物としては、アンモニアのアルカリ金属アミド化合物、第二級アミンのアルカリ金属アミド化合物、アルカリ金属の水素化物、有機アルカリ金属化合物、アルカリ金属、アルカリ金属アルコキシド、またはその共役酸のDMSO中でのpKaが25以上の塩基性化合物が好ましい。これらの中でも、アンモニアのアルカリ金属アミド化合物、第二級アミンのアルカリ金属アミド化合物、アルカリ金属の水素化物、または有機アルカリ金属化合物がより好ましい。
また、アンモニアのアルカリ金属アミド化合物、第二級アミンのアルカリ金属アミド化合物、アルカリ金属の水素化物、有機アルカリ金属化合物、アルカリ金属、及びアルカリ金属アルコキシドの中でも、その共役酸のDMSO中でのpKaが25以上のものがより好ましい。
アンモニアのアルカリ金属アミド化合物としては、リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド等が挙げられる。第二級アミンのアルカリ金属アミド化合物としては、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムジイソプロピルアミド、カリウムジイソプロピルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミド、リチウムイソプロピルシクロヘキシルアミド、リチウム−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムジエチルアミド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウム−3−アミノプロピルアミド、カリウムヘキサメチルジシラジド等が挙げられ、これらの中でもカリウムアミド、カリウムジイソプロピルアミド、カリウムー3−アミノプロピルアミド、カリウムヘキサメチルジシラジド等のカリウムアミドが好ましく、カリウムヘキサメチルジシラジドが最も好ましい。
アルカリ金属の水素化物としては、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等が挙げられる。有機アルカリ金属化合物としては、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、リチウムナフタレニド、リチウムビフェニリド等が挙げられる。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。また、アルカリ金属アルコキシドとしては、カリウムt−ブトキシドが挙げられる。
なお、上記共役酸のDMSO中でのpKaが25以上の塩基性化合物においては、アンモニアのアルカリ金属アミド化合物、第二級アミンのアルカリ金属アミド化合物、アルカリ金属の水素化物、有機アルカリ金属化合物、アルカリ金属、アルカリ金属アルコキシドは除くものとする。
ここで、本発明におけるpKaは、Acc. Chem. Res. 21(1988),456-463に記載の方法により測定する。
本発明の製造方法に使用する塩基性化合物の量としては、塩基性化合物と求電子的フッ素化剤が反応する場合が有るため、これらのうちの一方が他方に比べ過剰過ぎないことが好ましい。この観点から、塩基性化合物の当量数/求電子的フッ素化剤の当量数で表される比率が、0.5〜2.0が好ましく、0.5〜1.5がより好ましい。ここで、塩基性化合物の当量数とは、塩基性化合物の価数×塩基性化合物のモル数を意味する。求電子的フッ素化剤の当量数の意味は、前記のとおりである。原料であるエステル化合物、または生成物が塩基性化合物により分解する場合は、上記塩基性化合物の当量数/求電子的フッ素化剤の当量数の比が1.0以下であることが好ましい。具体的には上記塩基性化合物の当量数/求電子的フッ素化剤の当量数で表される比率が0.5〜1.0が好ましく、0.8〜1.0がより好ましい。
ここで、原料となるエステル化合物中に、ヒドロキシ基等の塩基性化合物と反応する基がある場合には、それらの基との反応に消費される塩基性物質が余分に必要となる。前記式(5)で表わされる化合物において、Rが水素である化合物を原料として使用した場合等が上記に該当する。そのような場合には、上記の塩基性化合物の当量数/求電子的フッ素化剤の当量数で表わされる比率の量の塩基性化合物に加えて、塩基性化合物と反応する基との反応に消費される量の塩基性化合物を余分に使用する必要がある。
本発明の製造方法は、溶媒の存在下で行うが、該溶媒としては不活性溶媒が好ましい。不活性溶媒とは、反応温度において塩基性化合物、求電子的フッ素化剤と反応しない溶媒である。不活性溶媒としてはエーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、極性溶媒、またはこれらの混合溶媒が好ましい。エーテル系溶媒としてはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグライム、t−ブチルメチルエーテル等が、炭化水素系溶媒としてはヘキサン、トルエン、ベンゼン、ペンタン、キシレン、石油エーテル等が、極性溶媒としてはジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)等が好ましい。溶媒の量としては、通常の場合、一般式(1)で表される化合物の1重量部に対して5〜1000重量部が好ましく、10〜100重量部がより好ましい。
本発明の製造方法における反応温度は、−150〜0℃が好ましく、−120〜0℃がより好ましく、−120〜−50℃が更に好ましく、−115〜−70℃が最も好ましい。一般に反応温度が低いほど望みのフッ素化反応の選択性が高まるため、フッ素化反応が実用上十分な速度で進行する範囲内でできるだけ低温で反応を行うことにより、モノフルオロ体の副生を抑えジフルオロ体を高収率で得ることができる。
本発明の製造方法における各化合物や求電子的フッ素化剤の添加順序としては、エステル化合物と求電子フッ素化剤を混合し、その後、塩基性化合物を添加してもよく、エステル化合物と塩基性化合物を混合し、その後、求電子的フッ素化剤を添加してもよい。エステル化合物が、塩基性物質により分解する場合には、エステル化合物と求電子的フッ素化剤をあらかじめ溶媒に溶解、混合しておき、所定の反応温度になった時点で、塩基性化合物を添加する方法が好ましい。このような添加順序とすることで、エステル化合物との反応に使用されなかった過剰な塩基性化合物が求電子的フッ素化剤と反応して消費されるため、塩基性化合物によるエステル化合物や生成物の分解を抑制することができると考えられる。
本発明の製造方法における反応時間は、エステル化合物の反応性等にもよるが、所定の反応温度において5分〜24時間が好ましい。また、その後、1〜72時間で反応を停止させる所定の温度まで昇温することが好ましい。
本反応の後処理方法としては、有機合成において一般的に知られている方法が使用できる。例えば水や水溶液、アルコール等のプロトンを供給することができる化合物(以下、クエンチ剤と呼ぶ)を、反応に使用した塩基に対し大過剰量添加すれば反応を停止することができる。該クエンチ剤を添加する際のクエンチ剤及び反応液の温度は、使用する溶媒が凝固、沸騰しない範囲であれば良い。目的物が高温で分解する場合は、クエンチ剤添加時の反応液の温度は、40℃以下が好ましく、25℃以下がより好ましく、0℃以下が更に好ましい。また、クエンチ剤の添加は、クエンチ剤や溶媒が凝固しない範囲の低温でも添加することができる。
反応停止後、有機溶媒と、必要に応じて水もしくは適切な酸性度に調整するための水溶液、を加えて分液抽出し、有機相を濃縮することで目的の化合物を回収することができる。分液抽出に使用する該有機溶媒としては、特に限定されず、例えばヘキサン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレン等を用いることができる。
本反応では、反応後もしばしば求電子的フッ素化剤が反応系内に残り、ジフルオロ化された目的物と求電子的フッ素化剤が後処理作業の間に反応して目的物の収率低下を引き起こすことがある。求電子的フッ素化剤は、酸化剤としても作用するため、目的物が分子内に、求電子的フッ素化剤又は酸化剤と反応しやすい基を有する場合に、収率低下が顕著な場合がある。求電子的フッ素化剤又は酸化剤と反応しやすい官能基としては、アルケン、アルキン、アルコール性ヒドロキシ基、アリルエーテル、アリルアルコール、アルデヒド、アセタール、シリルエーテル、チオール、スルフィド、スルホキシド、アミノ基等が挙げられる。上記のうち、特に反応しやすい官能基としてはアルケン、アリルエーテル、アリルアルコール、シリルエーテルが挙げられる。
このように、反応液中に残存する求電子的フッ素化剤が後処理工程において悪影響を与える場合には、求電子的フッ素化剤を分解する化合物(以下「分解剤」という)を加えても良い。該分解剤は、クエンチ剤を添加する前に加えてもよく、後に加えてもよいが、前に加えることが好ましい。該分解剤としては、求電子的フッ素化剤に対して、求核性、還元性等の反応性を有しているものであれば良い。該分解剤としては、アンモニア、アミン類、水酸化物イオン、アルコキシド、ハロゲンイオンの塩等を用いることができる。アンモニアはガス、水溶液、その他の溶媒の溶液のいずれの状態で添加しても良い。
アミン類としては、1級アミン、2級アミン、3級アミンいずれのアミンも用いることができ、例えばメチルアミン、ヒドロキシルアミン、ジエチルアミン、モルホリン、ピペリジン、2−メトキシエチルアミン、3−キヌクリジノールやトリエチルアミンが挙げられる。アミン類としては、特に3つのアルキル基がそれぞれ独立に炭素数1〜18個であるトリアルキルアミンが好ましく、炭素数1〜8個であるトリアルキルアミンがより好ましい。
水酸化物イオンとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。アルコキシドとしてはナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等が挙げられる。ハロゲンイオンの塩としては、ヨウ化物塩、臭化物塩、塩化物塩が挙げられるが、ヨウ化物塩、または臭化物塩が好ましく、ヨウ化物塩がより好ましい。ヨウ化物塩としては、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化カリウム等が挙げられる。臭化物塩としては、臭化カリウム等が挙げられる。
これらのうち、求電子的フッ素化剤、特にN−フルオロスルホンアミド類やN−フルオロスルホンイミド類との反応性が特に高い点でアミン類またはハロゲンイオンの塩が好ましく、トリエチルアミン及びヨウ化物塩からなる群から選ばれる少なくとも一種がより好ましい。上記の分解剤を用いることで、抽出溶媒等の後処理剤と目的物との反応を抑えつつ求電子的フッ素化剤の分解反応だけを選択的に進行させ、求電子的フッ素化剤による目的物の分解を完全に抑えることができる。分解剤の添加温度は‐50〜40℃が好ましく、‐30〜25℃が特に好ましく、‐20〜0℃が最も好ましい。この温度範囲とすることにより、分解剤と求電子的フッ素化剤の反応速度を高めつつ、目的物の分解を防ぐことができる。
反応により得られる一般式(2)で表される化合物は、様々なジフルオロユニットを含む医薬へ誘導可能な重要中間体である。例えば、本発明の製造方法に従い、下記式(9)で表される化合物9
Figure 0006388065
から得られる下記式(10)で表される化合物10は、
Figure 0006388065
(ここで、R12、R13はそれぞれ独立に、テトラヒドロピラニル基、ベンゾイル基、パラフェニルベンゾイル基、またはSiX3基(Xはアルキル基、アリール基、アルアルキル基、または複素環基を表す)を表す。)
下記式(11)で表わされる化合物11を経由して、
Figure 0006388065
(ここで、R12、R13は上記のとおり)
更に、R12及びR13を脱離させてヒドロキシ基とすることで、下記式(12)で表わされる化合物12
Figure 0006388065
とすることができる。化合物12はEP4アゴニストとして有用である。該EP4アゴニストは、国際公開2011/111714号パンフレットに記載されている。
以下、本発明を実施例により説明する。しかし本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下において使用したNMRは、日本電子社製JNM−AL300である。
[実施例1]
(3aR,4R,5R,6aS)−5−((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)−4−((3R,4R,E)−3−((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)−4−(m−トリル)ペント−1−エン−1−イル)−3,3-ジフルオロヘキサヒドロ−2H−シクロペンタ[b]フラン−2−オン(化合物10)の合成
(3aR,4R,5R,6aS)−5−((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)−4−((3R,4R,E)−3−((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)−4−(m−トリル)ペント−1−エン−1−イル)ヘキサヒドロ−2H−シクロペンタ[b]フラン−2−オン(化合物9)1.0g(1.84mmol)、N−フルオロベンゼンスルホンイミド(NFSI)2.3g(7.34mmol、7.34ミリ当量)、THF44ml、トルエン13mlの溶液を−100℃に冷却し、カリウムヘキサメチルジシラジドの1M THF溶液6.4ml(6.4mmol、6.4ミリ当量)を加えた。反応液を‐100℃で30分撹拌後、1時間かけて0℃に昇温後、トリエチルアミン2.0mlを加えて撹拌し、水50mlを加えて分液し、水相をヘキサン30mlで抽出した。有機相を濃縮後、粗生成物をNMRで分析したところ、N−フルオロベンゼンスルホンイミドは確認されなかった。反応容器に付着していた残渣はメタノール、水による洗浄ですべて溶解、除去できた。粗生成物をヘキサン、酢酸エチルを展開溶媒としてシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製し、化合物10を0.91g得た(収率85%)。得られた化合物10の構造特性は以下の通りである。
1H-NMR(CDCl3、δ値の単位はすべてppmであり、以下の実施例も同じ。):δ-0.08-0.03(m, 12H), 0.82(s, 9H), 0.89(s, 9H), 1.28(d, J=7.0Hz, 3H), .70-1.77(m, 1H), 1.96-2.04(m, 1H), 2.31(s, 3H), 2.60-2.91(m, 3H), 3.82-3.87(m, 1H), 3.99-4.23(m, 1H), 5.00(t, J=6.4Hz, 1H), 5.06(dd, J=15.7, 7.8Hz, 1H), 5.33(ddd, J=15.9, 6.7, 1.2Hz, 1H), 6.88-7.16(m, 4H).
19F-NMR(CDCl3):-113.1(d, J=279.3Hz), -91.0(dd, J=279.3, 25.9Hz)。
[実施例2〜13]
表1に示すとおり、反応温度、NFSIの当量/化合物9のモル比、クエンチ条件、及び、塩基性化合物の当量/化合物9のモル数の比を変えた以外は実施例1と同じ条件で反応を行った。なお、クエンチ条件の詳細は、以下のとおりである。
クエンチ条件A:0℃で、5%重曹水でクエンチ後、有機溶媒(ヘキサン-酢酸エチル1:1)で抽出した。
クエンチ条件B:0℃で、5%ヨウ化アンモニウム水溶液添加後、室温で5分撹拌した後、10%チオ硫酸Na水溶液を添加後有機溶媒(ヘキサン-酢酸エチル1:1、またはヘキサン)で抽出した。
クエンチ条件C:0℃で、NFSIの2倍モル量のトリエチルアミンを加えて0℃5分撹拌後、室温で水を加え有機溶媒(ヘキサン)で抽出した。
[比較例1]
臭化マンガン1.48g、N−フルオロベンゼンスルホンイミド2.48gにテトラヒドロフラン(THF)19mLを加え30分攪拌したのち、−78℃に冷却した。化合物9 0.5gのTHF(5mL)溶液を加え、その後カリウムビス(トリメチルシリル)アミドのトルエン溶液(0.5M、13mL)を加えて30分撹拌し、その後3時間かけて0℃まで昇温させた。反応液を飽和重曹水に注ぎ、ヘキサン/酢酸エチル=1/1混合物で抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。粗生成物をNMRで分析したところ、未反応のN−フルオロベンゼンスルホンイミドが確認された。反応容器には臭化マンガン由来の残渣が付着し、有機溶媒、水で洗浄しても取れず、発煙硝酸を用いて洗浄する必要があった。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 20:1)で精製して、化合物10を0.32g得た(収率60%)。
[比較例2]
表1に示すとおり、反応温度、臭化マンガンの量、NFSIの化合物9に対するモル比、クエンチ条件、及び、塩基性化合物の化合物9に対する比を変えた以外は比較例1と同じ条件で反応を行った。
Figure 0006388065
[実施例14]
4−[(Z)−(1S,5R,6R,7R)−6−[(1E,3R,4R)−3−t−ブチルジメチルシロキシ−4−(m−トリル)−1−ペンテニル]−7−t−ブチルジメチルシロキシ−2−オキサ−4,4−ジフルオロ-ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−イリデン]−1−(テトラゾール−5−イル)ブタン(化合物11)の合成
(4−(1H−テトラゾール−5−イル)ブチル)トリフェニルホスフォニウムブロミド0.81kgのトルエン12.6L懸濁液にカリウムヘキサメチルジシラジドの1MTHF溶液3.5Lを室温で加え、60℃で1時間撹拌した。液を−15℃に冷却してから実施例1で得られた(3aR,4R,5R,6aS)−5−((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)−4−((3R,4R,E)−3−((t−ブチルジメチルシリル)オキシ)−4−(m−トリル)ペント−1−エン−1−イル)−3,3-ジフルオロヘキサヒドロ−2H−シクロペンタ[b]フラン−2−オン(化合物10)0.25kgのトルエン5.0L溶液を加え、−15℃で30分、次いで0℃で20時間撹拌した。反応液に4%クエン酸二水素ナトリウム水溶液15.6Lを加え、分液した。水相をヘキサン:酢酸エチル=5:1混合液12.6Lで抽出した。有機相を濃縮後、ヘキサン、酢酸エチルを展開溶媒としてシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製し、(化合物11)を0.28kg得た(収率95%)。化合物11の構造特性は以下の通りである。
1H-NMR(CDCl3):δ-0.14-0.01(m, 12H), 0.82(s, 9H), 0.89(s, 9H), 1.23-1.27(m, 3H), 1.82-2.09(m, 5H), 2.21-2.28(m, 1H), 2.31(s, 3H), 2.45-2.53(m, 1H), 2.64-2.73(m, 2H), 2.93-2.97(m, 2H), 3.90(dd, J=11.7, 5.3Hz, 1H), 4.08-4.09(m, 1H), 4.84-4.87(m, 2H), 5.27(dd, J=15.5, 7.8Hz, 1H), 5.44(dd, J=15.6, 6.2Hz, 1H), 6.92-7.16(m, 4H).
19F-NMR(CDCl3): -112.3(d, J=253.4Hz), -81.4(dd, J=253.4, 18.7Hz)。
[実施例15]
4−[(Z)−(1S,5R,6R,7R)−6−[(1E,3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−(m−トリル)−1−ペンテニル]−7−ヒドロキシ−2−オキサ−4,4−ジフルオロ−ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−イリデン]−1−(テトラゾール−5−イル)ブタン(化合物12)の合成
実施例14で得られた4−[(Z)−(1S,5R,6R,7R)−6−[(1E,3R,4R)−3−t−ブチルジメチルシロキシ−4−(m−トリル)−1−ペンテニル]−7−t−ブチルジメチルシロキシ−2−オキサ−4,4−ジフルオロ-ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−イリデン]−1−(テトラゾール−5−イル)ブタン(化合物11)1.5g(2.2mmol)、アセトニトリル27ml、水3mlを合わせた懸濁液に硫酸水素ナトリウム一水和物0.60g(4.4mmol)を加え、空気中室温で撹拌した。24時間後に液は均一となっており、薄層クロマトグラフィーにより原料の消失を確認し、1.2%重曹水60mlを加え、ヘプタン27mlで3回洗浄した。アセトニトリル‐水混合液相に硫酸水素ナトリウム1.2gを加え、酢酸エチル27mlで抽出し、有機相を5%食塩水30mlで洗浄した。有機相を減圧下濃縮して得られた固体1.1gをNMR、HPLCで分析したところ、4−[(Z)−(1S,5R,6R,7R)−6−[(1E,3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−(m−トリル)−1−ペンテニル]−7−ヒドロキシ−2−オキサ−4,4−ジフルオロ−ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−イリデン]−1−(テトラゾール−5−イル)ブタン(化合物12)の収率は98%であった。化合物12の構造特性は以下の通りである。
1H-NMR(CD3OD):δ 1.30(d, J=7.0 Hz, 3H), 1.69(dddd, J=14.6, 7.6, 3.0, 2.6 Hz, 1H), 1.82-1.95(m, 2H), 2.10-2.16(m, 2H), 2.29(s, 3H), 2.31-2.41(m, 2H), 2.48-2.56(m, 1H), 2.72(q, J=7.0 Hz, 1H), 2.93(t, J=7.6 Hz, 2H), 3.78(q, J=7.6 Hz, 1H), 4.04-4.10(m, 1H), 4.69(dt, J=6.48, 2.96 Hz, 1H), 4.79(dt, J=7.6, 5.0 Hz, 1H), 5.36-5.46(m, 2H), 6.95-7.13(m, 4H).
19F-NMR(CD3OD):-116.6(d, J=250.5 Hz), -84.8(ddd, J=251.9, 17.3, 14.4 Hz).
[実施例16]
ドデカン酸−2−ナフチル0.50g、N−フルオロベンゼンスルホンイミド1.95g、THF22ml、トルエン6.5mlの溶液を−78℃に冷却し、カリウムヘキサメチルジシラジドの1.0MTHF溶液5.36mlを加えた。室温まで昇温後、くえん酸水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出し、溶媒留去した。得られた生成物1.09gを19F NMRで定量したところ、2−フルオロドデカン酸−2−ナフチルが1.4%、2,2−ジフルオロドデカン酸−2−ナフチルが39%の収率で生成していた。生成物の構造特性は以下のとおりである。2−フルオロドデカン酸−2−ナフチル 19F-NMR(重アセトン):-190.2(m)、2,2−ジフルオロドデカン酸−2−ナフチル 19F-NMR(重アセトン):-103.9(t, J=17.0 Hz)。
[実施例17]
6−メチル−4−フェニル−2−クロマノン0.50g、N−フルオロベンゼンスルホンイミド2.65g、THF22ml、トルエン6.5mlの溶液を−100℃に冷却し、カリウムヘキサメチルジシラジドの1.0MTHF溶液7.34mlを加えた。室温まで昇温後、くえん酸水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出し、溶媒留去した。得られた生成物0.87gを19F NMRで定量したところ、3,3−ジフルオロ−6−メチル−4−フェニル−2−クロマノンが25%の収率で生成していた。モノフルオロ体の生成は確認されなかった。3,3−ジフルオロ−6−メチル−4−フェニル−2−クロマノンの構造特性は以下のとおりである。19F-NMR(重アセトン):-96.5(bs)。
表1に示すとおり、本発明の製造方法によれば不溶性の副生物を生じることなく、ジフルオロ体を得ることができる。また、実施例2と3を比べて分かるように、求電子フッ素化剤を分解することによって、更に収率を向上させることができる。
本発明は、難溶性の副生物を生成することのない、高収率かつ高選択的なジフルオロエステル化合物の製造に利用できる。
なお、2012年10月26日に出願された日本特許出願2012−236261号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。



Claims (11)

  1. 下記式(9)で表される化合物に、塩基性化合物の存在下かつ金属化合物反応剤の不存在下に求電子的フッ素化剤を反応させてフッ素化させるフッ素化反応を行い、前記フッ素化反応を行った後に、前記求電子的フッ素化剤を分解する化合物を加えて残存する前記求電子的フッ素化剤を分解することを特徴とする、下記式(10)で表されるジフルオロエステル化合物の製造方法。
    Figure 0006388065
    Figure 0006388065
    (ただし、R12、R13はそれぞれ独立に、テトラヒドロピラニル基、ベンゾイル基、p−フェニルベンゾイル基、またはSiX基(Xはアルキル基、アリール基、アルアルキル基、または複素環基を表す。)を表す。)
  2. 前記求電子的フッ素化剤を分解する化合物が、アミン類またはハロゲンイオンの塩である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記求電子的フッ素化剤を分解する化合物が、3つのアルキル基がそれぞれ独立に炭素数1〜8個であるトリアルキルアミン、ヨウ化物塩または臭化物塩である、請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記求電子的フッ素化剤を分解する化合物を、−50〜40℃で添加する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記求電子的フッ素化剤が、N−フルオロスルホンアミド類、及びN−フルオロスルホンイミド類からなる群から選ばれる求電子的フッ素化剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記塩基性化合物が、アンモニアのアルカリ金属アミド化合物、第二級アミンのアルカリ金属アミド化合物、アルカリ金属の水素化物、有機アルカリ金属化合物、アルカリ金属、アルカリ金属アルコキシド、及び共役酸のDMSO中でのpKaが25以上の塩基性化合物からなる群から選ばれる塩基性化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記フッ素化反応が−120℃〜−50℃で行われる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. (前記求電子的フッ素化剤の当量数/前記式(9)で表されるエステル化合物のモル数)で表わされる比率が1.6〜12である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. (前記塩基性化合物の当量数/前記求電子的フッ素化剤の当量数)で表わされる比率が0.5〜2.0である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法で前記式(10)で表されるジフルオロエステル化合物を得て、更に該ジフルオロエステル化合物を(4−(1H−テトラゾール−5−イル)ブチル)トリフェニルホスフォニウムブロミドと反応させることを特徴とする、下記式(11)で表わされる化合物の製造方法。
    Figure 0006388065

    (ただし、R12、R13はそれぞれ独立に、テトラヒドロピラニル基、ベンゾイル基、p−フェニルベンゾイル基、またはSiX基(Xはアルキル基、アリール基、アルアルキル基、または複素環基を表す。)を表す。)
  11. 請求項10に記載の製造方法で前記式(11)で表わされる化合物を得て、更に該前記式(11)で表わされる化合物のR12及びR13を脱離させて水素原子に変換することを特徴とする、下記式(12)で表わされる化合物の製造方法。
    Figure 0006388065
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