JP6386231B2 - 磁気トンネル接合素子を備えた記憶装置 - Google Patents

磁気トンネル接合素子を備えた記憶装置 Download PDF

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Description

本発明は、磁気トンネル接合素子を備えた記憶装置に関する。
不揮発性、高速応答性、書き換え耐性、高集積性等を兼ね備えた磁気トンネル接合(MTJ:Magnetic Tunneling Junction)素子が注目され、種々の研究開発がなされている。
MTJ素子は、論理回路内のフリップフロップ、大容量記憶回路、キャッシュ回路等、様々な記憶回路に利用されている(特許文献1,2参照)。MTJ素子への書き込みは、低電流スピン注入磁化反転書き込み(電流書き込み)が可能となったことから、磁界書き込みは、ほとんど使用されない状態となっている。
特開2013−229721号公報 特開2013−191873号公報
MTJ素子は、不揮発性記憶素子であり、電源供給が停止してもMTJ素子に記憶されたデータは失われない。そのため、複数のMTJ素子を備えた記憶装置に記憶されているデータを全て消去するには全てのMTJ素子に初期化するためのデータを書き込む必要がある。MTJ素子の書き込み方式が電流書き込みである場合、記憶装置に記憶されているデータを全て消去するための手法として、MTJ素子を一つずつ選択し、選択したMTJ素子に所定の電流を流す処理を順番に行う手法があるが、この手法では初期化処理に時間と手間がかかるという問題がある。
また、フリップフロップには、信号発生回路によって発生されたリセット信号やプリセット信号を入力し、記憶されているデータを初期化(リセット、プリセット)するための入力端子を備えたものがある。この入力端子は、信号発生回路と結線されており、フリップフロップと信号発生回路とを接続する配線の数は、フリップフロップの数が多いほど増加する。さらに、複数のフリップフロップを備えた装置全体で同時に初期化を行うには、ファンアウト用バッファや遅延バッファ等を配置しなければならず、さらに回路構成が複雑化する。
MTJ素子を利用した大容量記憶回路を初期化する場合も、通常はメモリセルを順次選択・指定して、所定のデータを順次書き込む必要があるため、初期化処理に時間がかかる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、書き込み方式が電流書き込みである場合のMTJ素子を、単純な回路構成により簡単に初期化できる記憶装置を提供することを目的とする。
本発明に係る記憶装置は、
それぞれが、一対の磁気トンネル接合素子を備える複数の記憶素子と、
複数の前記記憶素子に、個別に、データを書き込む書込手段と、
複数の前記記憶素子に磁界を印加することにより、共通のデータを、書き込む磁界書込手段と、を備え、
前記磁気トンネル接合素子は、磁化の方向が固定された第1の層と磁化の方向が固定されていない第2の層とを備え、前記第1の層の磁化の方向と前記第2の層の磁化の方向が互いに平行なときに低抵抗となり、反平行のときに高抵抗となり、
各記憶素子を構成する前記一対の磁気トンネル接合素子は、いずれか一方の磁気トンネル接合素子の前記第1の層の磁化の方向と前記第2の層の磁化の方向が互いに平行となり、いずれか他方の磁気トンネル接合素子の前記第1の層の磁化の方向と前記第2の層の磁化の方向が互いに反平行となるように相補的に設定され、
前記磁界書込手段は、電流を流す電流ラインを備え、
各記憶素子を構成する一対の磁気トンネル接合素子のうちの第1の磁気トンネル接合素子と第2の磁気トンネル接合素子は、前記電流ラインを流れる1つの電流により発生する1つの磁界により、前記第1の磁気トンネル接合素子の前記第1の層の磁化の方向と前記第2の層の磁化の方向は互いに平行となり、前記第2の磁気トンネル接合素子の前記第1の層の磁化の方向と前記第2の層の磁化の方向は互いに反平行となる位置、に配置されている。
例えば、各前記一対の磁気トンネル接合素子の第1の層の磁化の向きは互いに同一方向に設定されており、各前記一対の磁気トンネル接合素子は、前記電流ラインを流れる電流により発生する磁界によって、前記第2の層の磁化の向きが互いに反対方向になる位置に配置されている。
例えば、各前記一対の磁気トンネル接合素子の第1の層の磁化の向きは互いに反対方向に設定されており、各前記一対の磁気トンネル接合素子は、前記電流ラインを流れる電流により発生する磁界によって、前記第2の層の磁化の向きが互いに同一方向になる位置に配置されている。
また、記憶装置は、例えば、
一対の磁気トンネル接合素子を備える複数の記憶素子と、
書き込み対象のデータに対応する電流を書き込み対象の前記記憶素子を構成する磁気トンネル接合素子に流すことにより、複数の前記記憶素子に、個別に、データを書き込む書込手段と、
磁界を発生する電流を流す電流ラインを備え、複数の前記記憶素子に磁界を印加することにより、共通のデータを記憶させる磁界書込手段と、を備え、
各前記磁気トンネル接合素子は、磁化の方向が固定された第1の層と磁化の方向が固定されていない第2の層とを備え、前記第1の層の磁化の方向と前記第2の層の磁化の方向が互いに平行なときに低抵抗となり、反平行のときに高抵抗となり、
各前記記憶素子を構成する前記一対の磁気トンネル接合素子は、何れか一方の磁気トンネル接合素子の前記第1の層の磁化の方向と前記第2の層の磁化の方向が互いに平行となり、何れか他方の磁気トンネル接合素子の前記第1の層の磁化の方向と前記第2の層の磁化の方向が互いに反平行となるように相補的に設定され、
前記記憶素子を構成する一対の磁気トンネル接合素子は、前記磁界書込手段が発生した磁界により、一方の磁気トンネル接合素子の前記第1の層と前記第2の層の磁化の方向が互いに平行となり、他方の磁気トンネル接合素子の前記第1の層と前記第2の層の磁化の方向が互いに反平行となるように配置される。
前記電流ラインは、例えば、ワードライン、ビットライン、ビットラインバー、電源ライン又は接地ラインの何れかから構成される。
また、記憶装置は、例えば、
それぞれが磁気トンネル接合素子を備える複数の記憶素子と、
前記記憶素子にデータを個別に記憶させる書込手段と、
電源ラインと接地ラインとの少なくとも1つを含み、複数の前記記憶素子を取り囲んで配置されたラインと、
前記電源ラインと接地ラインの少なくとも一方に電源電圧又は接地電圧を印加し、又は、前記ラインに電流を流すことにより、前記ラインにより取り囲まれた複数の前記記憶素子に同一方向の磁界を印加することにより、共通のデータを記憶させる電源制御装置と、
を備える。
例えば、前記記憶素子は、それぞれ、一対の磁気トンネル接合素子を備え、
前記磁気トンネル接合素子は、磁化の方向が固定された第1の層と磁化の方向が固定されていない第2の層とを備え、
前記第1の層の磁化の方向と前記第2の層の磁化の方向が互いに平行なときに低抵抗となり、反平行のときに高抵抗となり、
前記記憶素子を構成する一対の磁気トンネル接合素子の第1の層の磁化の向きは互いに反平行に設定されている。
また、例えば、前記記憶装置は、電源ラインと接地ラインとを両方備え、
電源ラインと接地ラインとは、それぞれ複数の前記記憶素子を取り囲んで配置され、
前記電源制御装置は、電源ラインと接地ラインの少なくとも一方に電流を流す。
本発明によれば、磁気トンネル接合素子を備える複数の記憶素子を、単純な回路構成により簡単に初期化等できる。
本発明の実施形態1に係る記憶装置の構成を示した図である。 図1に示した回路モジュールの構成を示した図である。 図2に示したフリップフロップの構成を示した図である。 (a)は低抵抗状態のMTJ素子を示す図、(b)は高抵抗状態のMTJ素子を示した図である。 (a)は実施形態1に係る初期化用の磁界を発生させるための構成を示す図、(b)初期化電流(パルス)の一例を示した図である。 MTJ素子の第1の配置例を示した図である。 MTJ素子の第2の配置例を示した図である。 (a)は低抵抗状態のMTJ素子を示す図、(b)は高抵抗状態のMTJ素子を示す図、(c)は、1つのMTJ素子を初期化する様子を示す図、(d)は一対のMTJ素子を初期化する様子を示す図である。 本発明の実施形態2に係る記憶装置の構成を示した図である。 (a)は図9に示したメモリセルの構造を示す断面図、(b)はメモリセルに初期化用の磁界を印加した状態を示した図である。 本発明の実施形態2に係る初期化用の磁界を発生させるための構成を示す図である。 本発明の実施形態3に係るメモリセルの構成を示した回路図である。 (a)は一対のMTJ素子の配置例を示した図、(b)は一対のMTJ素子に初期化用の磁界を印加した状態を示した図である。 (a)は本発明の実施形態4に係る二つのMTJ素子の配置を説明する図、(b)と(c)は異なる方向と大きさの磁界を順次印加することにより、フリー層の磁化方向を変化させて、メモリセルを初期化する手順を示した図である。 本発明の実施形態5に係る記憶装置の構成を示す図である。 本発明の実施形態6に係る記憶装置の構成を示した図である。 本発明の実施形態7に係る記憶装置の構成を示した図である。 初期化電流により近傍のMTJを初期化する機能を説明するための図である。 初期化電流により近傍の一対のMTJを初期化する機能を説明するための図である。 初期化電流により近傍の一対のMTJを初期化する機能を説明するための図である。
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1に係る記憶装置を、MTJ(Magnetic Tunneling Junction:磁気トンネル接合)素子を記憶素子として含むフリップフロップを備えるLSI(Large Scale Integration)チップ100を例に、図面を参照して説明する。
LSIチップ100は、図1に示すように、複数の回路モジュール10A,10B,10C・・・と、電源制御回路31と、クロック生成回路40と、電源ライン33と、接地ライン35と、定電流源39a,39b,・・・とを備える。
なお、以下の説明では、回路モジュール10A,10B,10C・・・を区別しない場合は回路モジュール10と総称する。
回路モジュール10は、図2に示すように、各種論理ゲート15と記憶回路であるフリップフロップFFとが接続された回路構成を備え、図1に示すように、電源ライン33と接地ライン35に接続され、電源制御回路31から供給される電力により動作し、論理演算・記憶などの処理を行う。なお、各回路モジュール10の回路構成自体は任意である。
回路モジュール10に含まれているフリップフリップFFは、例えば、図3に示すD型のフリップフロップから構成され、データ入力端子Dと、データ出力端子Qと、クロック端子CLKと、MTJ素子12を含んだ内部回路とを備える。なお、フリップフロップFFには、データを初期化するためのリセット端子(クリア端子)やプリセット端子は備えられていない。そのため、リセット信号やプリセット信号を発生する信号発生回路とフリップフロップFFとを接続する配線は不要である。LSIチップ100は、回路モジュール10内に配置されたフリップフロップFFに記憶されたデータを初期化する機能を備える。以下の説明において、データを初期化するとは、データをリセットまたはプリセットすることをいう。データをリセットするとはデータを「0」にすることをいい、データをプリセットするとはデータを「1」にすることをいう。
フリップフロップFFのデータ入力端子Dには、データ「0」(本実施形態では、ロウレベルの信号とする)又は「1」(本実施形態ではハイレベルの信号とする)が入力される。クロック端子CLKには、クロック生成回路40によって生成されたクロック信号が供給される。フリップフロップFFは、クロック端子CLKに入力されたクロック信号の立ち上がりエッジ(クロック信号がロウレベルからハイレベルになるタイミング)に応答して、データ入力端子Dに入力されているデータを記憶素子であるMTJ素子12に記憶させると共に記憶データを読み出してデータ出力端子Qから出力する。なお、図2に示したフリップフロップFFのクロック端子CLKには、クロック生成回路40によって生成されたクロック信号が直接的に入力されているが、フリップフロップFFのクロック端子CLKとクロック生成回路40との間には、例えばANDゲートから構成されるクロックゲーティング回路が配置されても良い。
MTJ素子12は不揮発性であり、フリップフロップFFは、電源の供給が停止された場合でも、その記憶データを失わない。
MTJ素子12は、図4(a),(b)に示すように、ピン(固定)層12a、絶縁層12b、フリー(可動)層12cの3層から構成されている。MTJ素子12は、ピン層12aとフリー層12cの磁化の方向が積層方向と垂直であり、ピン層12aを最下層に配置したボトムピン構造から構成されている。なお、MTJ素子12は、ピン層12aとフリー層12cの磁化の方向が積層方向と平行でも良いし、ピン層12aを最上層に配置したトップピン構造から構成されても良い。
ピン層12aとフリー層12cは強磁性体、例えば、鉄(Fe)、コバルト−鉄合金(Co)、強磁性ホイスラー合金(例えばCo2FeAl、Co2MnSi、CoFeB)等の材料から構成される。
ピン層12aは、磁化の方向が固定されており、層内を電流が流れたり、磁界MFが印加されても磁化の方向は変わらない性質を有する。一方、フリー層12cは、磁化の方向が固定されておらず、層内を流れる電流の方向と大きさ又は磁界MFの方向と大きさに従って磁化の方向が変化する性質を有する。
絶縁層12bは、ピン層12aとフリー層12cとの間に設けられた薄膜であり、例えば、マグネシア(MgO)、アルミナ(Al2O3)、スピネル単結晶(MgAl2O4)等の材料から形成される。
MTJ素子12は、ピン層12aとフリー層12cの磁化の方向が相対的に変化することにより抵抗値が変化する。図4(a)に示すように、ピン層12aとフリー層12cの矢印で示す磁化の方向が揃っている平行状態にあるときはMTJ素子12の抵抗値は小さく(以下、低抵抗状態という)、図4(b)に示すように、ピン層12aとフリー層12cの矢印で示す磁化の方向が反対である反平行状態にあるときはMTJ素子12の抵抗値は大きい(以下、高抵抗状態という)。
図4(a)に示す低抵抗状態にあるMTJ素子12に、ピン層12aからフリー層12cに向かって閾値以上の電流を流すと、又は、ピン層12aの磁化と同方向の磁界MFが印加されると、図4(b)に示すように、フリー層12cの磁化の方向がピン層12aの磁化と逆方向(左方向)に変化し、MTJ素子12は高抵抗状態となる。一方、図4(b)に示す高抵抗状態にあるMTJ素子12に、フリー層12cからピン層12aに閾値以上の電流を流すと、又は、ピン層12aの磁化と逆方向の磁界MFが印加されると、図4(a)に示すように、フリー層12cの磁化の方向がピン層12aの磁化と同方向(右方向)に変化し、MTJ素子12は低抵抗状態となる。
フリップフロップFFの内部回路は、クロック信号の立ち上がり時にデータ端子Dに供給されているデータが「1」であるか「0」であるかによって、MTJ素子12の高抵抗状態と低抵抗状態を切り替える回路(書き込み手段)と、MTJ素子12の記憶データを読み出して、即ち、MTJ素子12の高抵抗状態と低抵抗状態に応じて、出力端Qに対応するデータ「1」又は「0」を出力する回路(読み出し手段)とから構成される。
フリップフロップFFの回路構成自体は、既知の任意のものを使用可能である。
電源制御回路31は、例えばPMU(Power Management Unit)等から構成される。電源制御回路31は、通常時は、電源ライン33に電源電圧VDDを印加し、接地ライン35に接地電圧Vssを印加する。これにより、LSIチップ100内の各回路には動作用の電力が供給される。また、電源制御回路31は、回路モジュール10内に配置されたフリップフロップFFを一括して初期化(リセット又はプリセット)するタイミングで定電流源39に動作制御信号と動作電力を供給する。動作制御信号には、フリップフロップFFの内部回路の記憶データをリセットする(「0」にする:MTJ素子12を低抵抗状態に設定する)ためのリセット制御信号と、フリップフロップFFの内部回路の記憶データをプリセットする(「1」にする:MTJ素子12を高抵抗状態に設定する)ためのプリセット制御信号と、がある。
電源ライン33は、導体から構成され、電源制御回路31から出力される電源電圧VDDをLSIチップ100内の回路に供給するラインである。本実施形態においては、電源ライン33は、絶縁層を介して、回路部品の上層に配置されている。電源ライン33のうち、回路モジュール10の上に配置されている部分33a,33b,・・・(以下、ループ状部という)は、ループ状に形成されている。
接地ライン35は、全ての内部回路に接地電圧VSSを供給する。
定電流源39a、39b・・・は、各ループ状部33a、33b・・・と共に定電流回路を構成する。定電流源39a,39b,・・・は、電源制御回路31から専用ラインを介して供給される動作電力を用いて、制御信号に従って動作し、それぞれ、ループ状部33a,33bにフリップフロップFFを一括して初期化するための定電流(リセット電流又はプリセット電流:以下、初期化電流IRと総称する)を流す。なお、以下の説明では、定電流源39a,39b・・・を区別しない場合は定電流源39と総称する。
定電流源39a、39b・・・が動作する際は、電源制御回路31は、電源ライン33に電源電圧VDDを印加せず、定電流源39a,39b・・・に専用線を介して個別に電力を供給する。
回路モジュール10内のフリップフロップFFは、図5及び図6に示すように、ループ状部33a、33b・・・を構成する導体の直下に、ピン層12aの磁化の方向が電源ライン33内を流れる電流の方向と直交するように、該導体の近傍に配置されている。
定電流源39は、電源制御回路31から制御信号を受け取ると、定電流回路内のループ状部33a,33bに初期化電流IRを流す。定電流源39は、制御信号に従って、ループ状部33a,33bに流す電流の方向を設定する。ループ状部33a,33bには、データがリセット(「0」)される場合とプリセット(「1」)される場合とで逆方向の初期化電流IR(それぞれリセット電流、プリセット電流)が流れる。ループ状部33a,33bに初期化電流IRが流れると、その周辺には磁界が発生する。例えば図5(a)に示すように、ループ状部33aに初期化電流IRaが流れると、その導体の周辺には磁界MFaが発生し、ループ状部33bに初期化電流IRbが流れると、その導体の周辺には磁界MFbが発生する。なお、電源ライン33(ループ状部33a,33b)の周辺には、データがリセット(「0」)される場合とプリセット(「1」)される場合とで逆方向の磁界が発生する。なお、初期化電流IRは、図5(b)に示すように所定の書き込み時間を有するパルス電流であり、大きさ(振幅)はミリアンペアオーダ以上である。
電源ライン33(ループ状部33a,33b)周辺に発生する磁界の強さは、電源ライン33からの距離(電源ライン33と垂直方向の距離)に反比例し、MTJ素子12は電源ライン33に近いほど大きな磁界を受ける。そのため、電源ライン33周辺に発生する磁界MFが印加されるよう、初期化対象のMTJ素子12は、電源ライン33に近接した位置に配置されている。具体的には、初期化対象のMTJ素子12は、図6に示すように、電源ライン33の真下で電源ライン33に近接した位置に配置されている。これにより、MTJ素子12には電源ライン33周辺に発生した磁界MFが印加され、MTJ素子12のフリー層12cの磁化は、磁界の方向とは逆方向に変化する。
また、MTJ素子12のピン層12aの磁化は、リセット時にフリー層12cの磁化の方向と平行になり、プリセット時にフリー層12cの磁化の方向と反平行になるように設定されている。これにより、MTJ素子12は、リセットするための初期化電流IR(リセット電流)が電源ライン33に流れたときに低抵抗状態となり、プリセットするための初期化電流IR(プリセット電流)が電源ライン33に流れたときに高抵抗状態となる。
また、図5(a)、図6に示すように並列に配置された複数の電源ライン33(ループ状部33a,33b)に同じ方向の初期化電流IRが流れた場合、各電源ライン33の間には互いに逆方向の磁界が発生する(磁界が相殺される)。初期化対象のMTJ素子12は、何れか一つの電源ライン33周辺に発生する磁界のみによってフリー層12cの磁化の方向が変化するよう、他の電源ライン33と間隔をおいて配置される。なお図6中のバツ印は、電源ライン33に流れる初期化電流IRの方向が紙面の表面から裏面に向かう方向であることを示している。
次に、上記構成を備えたLSIチップ100の動作を説明する。
(通常時)
通常状態では、電源制御回路31は、電源ライン33に電源電圧VDDを印加し、接地ライン35に接地電圧Vssを印加する。これにより、LSIチップ100内の回路モジュール10、電源制御回路31、クロック生成回路40等の各種回路には動作用の電力が供給される。
回路モジュール10内のフリップフロップFFのデータ入力端子Dには、前段にある論理ゲート15や他のフリップフロップFF等からデータ「0」(ロウレベルの信号)又は「1」(ハイレベルの信号)が入力される。フリップフロップFFは、クロック端子CLKに供給されたクロック信号の立ち上がりに応答し、入力端子Dに入力されたデータに対応する電流をMTJ素子12に流すことにより、MTJ素子12に入力データを書き込んで記憶すると共にMTJ素子12の抵抗状態に対応するデータ(記憶データ)を読み出してデータ出力端子Qから出力する。
ここで、MTJ素子12は不揮発性記憶素子であり、電源制御回路31から回路モジュール10への電力の供給が停止したとしても、MTJ素子12の記憶データは保持される。そして、電源電圧VDDの供給が再開されると、フリップフロップFFの内部回路は、MTJ素子12の抵抗状態に対応するデータを読み出してデータ出力端子Qから再出力する。
(初期化動作)
つづいて各回路モジュール10に備えられたフリップフロップFFの記憶データを一括して消去する動作(リセット処理)を説明する。
外部よりリセット指示信号が供給されるなどして、電源制御回路31に、回路モジュール10のリセットが指示されたとする。すると、電源制御回路31は、電源電圧VDDを電源ライン33に供給する動作を停止する。その一方で、電源制御回路31は、定電流源39に動作電力とリセット制御信号を供給する。
これにより、各定電流源39は、電源ライン33のループ状部33a,33b,・・・には、図5(a),(b)に示したリセットするための初期化電流IR(リセット電流)を一定期間流す。電源ライン33に初期化電流IRが流れると、電源ライン33の周囲には磁界MFが発生する。フリップフロップFFは、ループ状部33a、33b・・・を構成する配線の直下に配置されているため、発生した磁界MFは、図6に示すように、各フリップフロップFF内の各MTJ素子12に印加される。これにより、各MTJ素子12のフリー層12cの磁化の方向はピン層12aの磁化と同方向になり、低抵抗状態となる。これにより、全てのフリップフロップFFはデータ「0」を記憶し、リセットされる。
その後、電源制御回路31は、定電流源39へのリセット制御信号と動作電力の供給を停止し、定電流源39の動作を停止させる。続いて、電源制御回路31は、電源ライン33に電源電圧VDDの供給を再開する。回路モジュール10が動作を再開したとき、各フリップフロップFFの内部回路は、MTJ素子12の抵抗状態に対応するデータ「0」を読み出し、データ出力端子Qから出力する。
以上により一連のリセット処理は完了し、以後は上述した通常の動作に移行する。
(プリセット動作)
つづいて各回路モジュール10に備えられたフリップフロップFFの記憶データを一括して「1」にセットする動作(プリセット処理)を説明する。
外部よりプリセット指示信号が供給されるなどして、電源制御回路31に、回路モジュール10のプリセットが指示されたとする。すると、電源制御回路31は、電源電圧VDDを電源ライン33に供給する動作を停止し、定電流源39に動作電力とプリセット制御信号を供給する。各定電流源39は、電源ライン33のループ状部33a,33b,・・・にプリセット電流(図5(a)に示したリセット電流とは逆方向の定電流)を一定期間流す。電源ライン33の周囲にはリセット時に発生する磁界MFとは逆方向のプリセット用の磁界が発生し、これが各MTJ素子12に印加される。これにより、各MTJ素子12のフリー層12cの磁化の方向はピン層12aの磁化と逆方向になり、高抵抗状態となる。これにより、全てのフリップフロップFFはデータ「1」を記憶し、プリセットされる。
その後、電源制御回路31は、定電流源39へのプリセット制御信号と動作電力の供給を停止し、定電流源39の動作を停止させる。続いて、電源制御回路31は、電源ライン33に電源電圧VDDの供給を再開する。回路モジュール10が動作を再開したとき、各フリップフロップFFの内部回路は、MTJ素子12の抵抗状態に対応するデータ「1」を読み出し、データ出力端子Qから出力する。
以上により一連のプリセット処理は完了し、以後は上述した通常の動作に移行する。
以上説明したように、本実施形態1に係るLSIチップ100によれば、各回路モジュール10が接続された電源ライン33の周囲に磁界MFを発生させ、各回路モジュール10に備えられたMTJ素子12を一括して所定の抵抗状態に設定できる。このため、リセット信号やプリセット信号を発生する信号発生回路、及び、信号発生回路と各フリップフロップFFとを接続する配線が不要となり、フリップフロップFF(MTJ素子12)を単純な回路構成により簡単に初期化できる。
なお、上記実施形態1においては、フリップフロップFFの内部回路が、クロック端子CLKに入力されたクロック信号の立ち上がりエッジのタイミング毎に、データ入力端子Dに入力されているデータをMTJ素子12に記憶させる例を説明したが、回路モジュール10への電源供給が遮断される直前に、データ入力端子Dに入力されているデータを記憶させても良い。また、上記実施形態1においては、フリップフロップFFの内部回路が、クロック端子CLKに入力されたクロック信号の立ち上がりエッジのタイミング毎にMTJ素子12に記憶されたデータをデータ出力端子Qに出力する(読み出す)例を説明したが、MTJ素子12に記憶されたデータの読み出しは、回路モジュール10への電源の供給が再開されたときにのみ行い、回路モジュール10への電源が供給されている間は、クロック端子CLKに入力されたクロック信号の立ち上がりエッジのタイミング毎に、データ入力端子Dに入力されているデータをデータ出力端子Qに出力しても良い。
また、電源ライン33とループ状部33a、33b・・・との間にスイッチを配置し、初期化電流IR又はプリセット電流をループ状部33a、33b・・・に流す時に、スイッチを開くように構成してもよい。このような構成であれば、電源制御回路31が電源ライン33に電源電圧VDDを印加した状態で、回路モジュール10内のフリップフロップFFを一括して初期化(リセット又はプリセット)することが可能となる。
また、電源制御回路31は、一部のループ状部33a・・・にのみ初期化電流IRを流し、当該ループ状部の近傍に配置されたフリップフロップのみを一括して初期化しても良い。例えば、図1に示した回路モジュール10C内のフリップフロップFFを初期化対象とした場合、電源制御回路31は、定電流源39aには初期化制御信号と動作電力を供給せず、定電流源39bにのみ初期化制御信号と動作電力を供給すればよい。これにより、フリップフロップFF(MTJ素子12)の初期化を定電流回路毎(回路モジュール10単位又は複数の回路モジュール10を備えたブロック単位)で行うこともできる。
また、本実施形態1では、電源ライン33の一部(ループ状部33a,33b)に定電流回路が設けられた態様を説明したが、定電流回路は、回路モジュール10が接続された接地ライン35の一部に設けられても良い。この場合、初期化電流IRは接地ライン35の一部を流れ、各回路モジュール10に備えられたMTJ素子12は、接地ライン35の周囲に発生する磁界によって、一括して所定の抵抗状態(低抵抗状態、高抵抗状態)に設定される。
また、定電流回路は、初期化対象のMTJ素子12を備えた回路モジュール10が接続された電源ライン33又は接地ライン35に初期化電流IRを流すことができれば良く、LSIチップ100において定電流回路が設置される位置や数量は適宜に変更できる。
また、本実施形態1では、フリップフロップFF(MTJ素子12)を電源ライン33の真下で電源ライン33に近接した位置に配置する態様を説明したが、図7に示すように、電源ライン33の上下方向に対称的に一対のMTJ素子12,14を配置することにより、電源ライン33の周囲に発生する磁界によってMTJ素子12,14を所定の抵抗状態に設定しても良い。また、一対のMTJ素子12,14を備えたフリップフロップFFを、電源ライン33の真下で電源ライン33に近接した位置に配置しても良い。この場合、MTJ素子12,14のピン層12a,14aの磁化の方向は同一方向となるように設定される。これにより、一対のMTJ素子12,14の抵抗状態は、一方が高抵抗状態、他方が低抵抗状態というように相補的に設定され、一対のMTJ素子12,14の抵抗状態の組み合わせは、データ「1」又は「0」と対応付けられる。これにより、一対のMTJ素子12,14を備えたフリップフロップFFによって1ビットのデータを記憶することができる。
また、MTJ素子12は、図8(a),(b)に示すように、ピン層12aとフリー層12cの磁化の方向が積層方向と平行なものでも良く、ピン層12aを最上層に配置したトップピン構造としたものでも良い。この場合、MTJ素子12は、図8(c)に示すように、電源ライン33の真横に配置される。また、図8(d)に示すように、電源ライン33の左右方向に対称的に一対のMTJ素子12,14が配置されても良い。
以上の説明では、初期化電流(リセット電流又はプリセット電流)を流す電流路を確保するために、電源ライン33(又は接地ライン35)の一部をループ状に形成したが、磁界による一括書込用の電流路を確保できるならば、その構成自体は任意である。
例えば、電源ライン33と接地ライン35との間に抵抗とスイッチの直列回路を接続しておき、初期化時に、電源制御回路31がスイッチをオンするように構成してもよい。スイッチがオンすると、電源制御回路31→電源ライン33→抵抗とスイッチの直列回路→接地ライン35→電源制御回路31、という電流路が生成される。この電流路の近傍にフリップフロップFFを配置しておけば、流れる電流によって発生する磁界により複数のフリップフロップFF(MTJ素子12)の初期化を並行して行うことが可能となる。
(実施形態2)
上記実施形態1では、MTJ素子を記憶素子として用いたフリップフロップFFの記憶データを一括して初期化(リセット又はプリセット)する例を説明したが、一括初期化の対象は、MTJ素子を記憶素子として用いる回路ならば任意である。本実施形態2では、一括初期化の対象が複数のメモリセルを備えた大容量記憶回路である場合について説明する。
また、実施形態1では、リセット電流を流す配線の周囲に発生する磁界により近傍のMTJ素子を初期化する例を説明したが、本実施形態においては、初期化電流を流すループ状回路の内に配置されている複数のMTJ素子を一括して初期化する例を説明する。
図9に示すように、記憶装置200は、複数のメモリセル11を備える。各メモリセル11は不揮発性記憶素子としてMTJ素子12を備える。記憶装置200は、各メモリセル11に備えられたMTJ素子12へのデータの書き込みを低電流スピン注入によって行う機能と、MTJ素子12を一括して初期化する機能とを備える。また、記憶装置200は、電源制御回路31を備え、電源制御回路31は閉ループ状に形成された電源ライン33及び接地ライン35と接続されている。また、記憶装置200に備えられた各メモリセル11の周囲には電源ライン33及び接地ライン35が配置されている。
記憶装置200は、マトリクス状(図9では、3行3列)に配置された複数のメモリセル11と、複数のメモリセル11の行毎に配置されたワードラインWL(図9ではWL1〜WL3)と、複数のメモリセル11の列毎に配置された一対のビットラインBL及びビットラインバー/BL(図9では、BL1〜BL3、/BL1〜/BL3)と、ワードラインWLに接続されたロウデコーダ21と、ビットラインBLとビットラインバー/BLに接続されたリード/ライト回路22と、電源制御回路31と、電源ライン33と、接地ライン35とを備える。
各メモリセル11は、MTJ素子12と、選択トランジスタとして機能するNMOSFET(NチャネルMetal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)13とを備える。
図9に示したように、MTJ素子12のピン層12aは、同列に配置されたビットラインBLに接続されている。MTJ素子12のフリー層12cは、同一メモリセル11内のNMOSFET13のドレインに接続されている。NMOSFET13のソースは、同列に配置されたビットラインバー/BLに接続されている。NMOSFET13のゲートは、同一行に配置されたワードラインWLに接続されている。
図10にメモリセル11の立体的構成を模式的に示す。NMOSFET13は、半導体基板101上に形成され、絶縁膜102を介して、その上方に、MTJ素子12、ワードラインWL、ビットラインBL、ビットラインバー/BLが形成されている。
MTJ素子12は、ここではトップピン構造を有し、半導体基板101に近い下層側にフリー層12cが配置され、半導体基板101から遠い上層側にピン層12aが配置されている。ピン層12aは、ビットラインBLに接続されている。フリー層12cは、プラグ103を介してNMOSFET13のドレイン13Dに接続されている。NMOSFET13のソース13Sは、プラグ104を介してビットラインバー/BLに接続されている。NMOSFET13のゲート13Gは、ワードラインWLに接続されている。
ワードラインWLと、ビットラインBL及びビットラインバー/BLとは、直交する方向に延在している。
図9に示したロウデコーダ21は、外部から受け取ったロウアドレスをデコードし、アクセス対象のロウ(行)を特定する。ロウデコーダ21は、特定したロウのワードラインWLに選択レベルの選択信号を出力する。例えば、ロウデコーダ21は、ワードラインWLにハイレベルの選択信号を出力することにより、ワードラインWLをアクティブにする。
リード/ライト回路22は、データの読み出し時に、外部から受け取ったカラムアドレスをデコードし、読み出し対象のカラム(列)を特定する。リード/ライト回路22は、特定したカラムのビットラインBLとビットラインバー/BLの間に所定の読み出し電圧を印加する。リード/ライト回路22は、ビットラインBLとビットラインバー/BLとの間に流れる電流を基準値と比較し、MTJ素子12が高抵抗状態にあるか低抵抗状態にあるかを判別することにより、MTJ素子12に記憶されているデータを読み出す。一方、リード/ライト回路22は、データの書き込み時に、外部から受け取ったカラムアドレスをデコードし、書き込み対象のカラム(列)を特定する。リード/ライト回路22は、特定したカラムのビットラインBLとビットラインバー/BLとの間に書き込みデータに対応する電圧を印加する。このとき、書き込み対象のメモリセル11のMTJ素子12には順方向電流又は逆方向電流が流れ、フリー層12cの磁化の方向が設定されることにより、データが書き込まれる。
電源制御回路31は、閉ループ状に形成された電源ライン33及び接地ライン35に接続されている。電源制御回路31は、通常時は、電源ライン33に電源電圧VDDを印加し、接地ライン35に接地電圧Vssを印加する。これにより、記憶装置200内の各部(ロウデコーダ21、リード/ライト回路22を含む)には、動作用の電力が供給される。一方、電源制御回路31は、外部より初期化信号が供給されると、電源ライン33又は接地ライン35の少なくとも一方に初期化電流IR(定電流)を流し、初期化用の磁界MFを発生させる。これにより、記憶装置200の全てのメモリセル11に一様な磁界MFが印加され、各メモリセル11に備えられたMTJ素子12のフリー層12cの磁化の方向は全て同じ方向に揃う(磁化される)。これにより、記憶装置200に記憶されているデータを一括して初期化できる。
具体的には、図11に示すように、電源制御回路31は、制御部37と定電流源39とを備える。制御部37は、外部から初期化信号を受け取ると、定電流源39を電源ライン33に接続し、定電流源39から閉ループ状の電源ライン33に初期化電流IRを流させる。電源ライン33に初期化電流IRが流れると、電源ライン33の周囲には右ネジの法則に従って矢印で示す方向に磁界MFが発生する。これにより、電源ライン33に囲まれた各メモリセル11には磁界MFが印加され、各MTJ素子12のフリー層12cの磁化は、磁界の方向とは逆方向に変化する。また、初期化信号は、MTJ素子12に記憶されたデータをリセットする(「0」にする)ためのリセット信号と、プリセットする(「1」にする)ためのプリセット信号との2種類ある。電源制御回路31は、外部から受け取った初期化信号の種類に従って、電源ライン33に流す初期化電流IRの方向を設定する。電源制御回路31がリセット信号を受け取った場合と、電源制御回路31がプリセット信号を受け取った場合とでは、逆方向の初期化電流IRが電源ライン33に流れ、電源ライン33周囲に逆方向の磁界が発生する。
各メモリセル11に備えられたMTJ素子12は、電源ライン33で発生する磁界MFに従って、所定の抵抗状態になるように配置されている。つまり、MTJ素子12のピン層12aの磁化は、リセット時にフリー層12cの磁化の方向と平行になり、プリセット時にフリー層12cの磁化の方向と反平行になるように配置されている。これにより、MTJ素子12は、リセットするための初期化電流IR(リセット電流)が電源ライン33に流れたときに低抵抗状態となり、プリセットするための初期化電流IR(プリセット電流)が電源ライン33に流れたときに高抵抗状態となる。
なお、初期化電流IRの大きさと、初期化電流IRを流す期間は、電源ライン33の周囲に発生する磁界MFによってフリー層12cの磁化が所定の抵抗状態になるために必要な値(閾値以上)が設定される。また、フリー層12cの磁化を所定の抵抗状態にするために、電源ライン33にはミリアンペアオーダの初期化電流IRを流す。また、電源制御回路31は、電源ライン33の代わりに接地ライン35に初期化電流IRを流しても良いし、電源ライン33と接地ライン35の両方に初期化電流IRを流しても良い。その他、電源制御回路31は、電源ライン33や接地ライン35以外の専用ラインに初期化電流IRを流しても良い。なお、この場合も、専用ラインにはミリアンペアオーダの電流を流す。
次に、上記構成を備えた記憶装置200の動作を説明する。
(データ読み出し動作)
まず、メモリセル11に記憶されているデータを読み出す処理を説明する。
この動作状態では、電源制御回路31は、電源ライン33に電源電圧VDDを印加し、接地ライン35に接地電圧Vssを印加する。電源制御回路31は、電源ライン33と接地ライン35を介して、ロウデコーダ21、リード/ライト回路22とを含む回路群に動作電力を供給する。
ロウデコーダ21にはロウアドレスが供給され、リード/ライト回路22にはカラムアドレスが供給される。
ロウデコーダ21は、ロウアドレスをデコードすることにより特定されたワードラインWLにハイレベルの選択信号を出力することにより、ワードラインWLをアクティブにする。アクティブになったワードラインWLに接続されたNMOSFET13はオン状態となる。一方、リード/ライト回路22は、カラムアドレスをデコードし、カラムアドレスで指定されたカラムのビットラインBLとビットラインバー/BLとの間に所定の読み出し電圧を印加する。
ビットラインBLとビットラインバー/BLとの間には、オン状態のNMOSFET13を介して、MTJ素子12の抵抗値に対応する大きさの電流が流れる。リード/ライト回路22は、流れる電流と基準値とを比較し、MTJ素子12の抵抗状態(高抵抗状態又は低抵抗状態)を特定することにより、MTJ素子12に記憶されているデータを読み出す。
(データ書き込み動作)
次に、メモリセル11にデータを書き込む処理を説明する。
この動作状態では、電源制御回路31は、電源ライン33に電源電圧VDDを印加し、接地ライン35に接地電圧Vssを印加する。電源制御回路31は、電源ライン33と接地ライン35を介して、ロウデコーダ21、リード/ライト回路22を含む回路群に動作電力を供給する。
ロウデコーダ21にはロウアドレスが供給され、リード/ライト回路22にはカラムアドレスと書き込み対象のデータが供給される。
ロウデコーダ21は、ロウアドレスをデコードして、指定されたワードラインWLをアクティブ(ハイレベル)にする。アクティブになったワードラインWLに接続されたNMOSFET13はオンする。一方、リード/ライト回路22は、カラムアドレスをデコードし、カラムアドレスで指定されたカラムのビットラインBLとビットラインバー/BLとの間に、書き込みデータに対応する電圧を印加する。例えば、データ「1」を書き込む場合、リード/ライト回路22は、ビットラインBLに電源電圧VDD、ビットラインバー/BLに接地電圧Vssを印加する。データ「0」を書き込む場合、リード/ライト回路22は、ビットラインBLに接地電圧Vss、ビットラインバー/BLに電源電圧VDDを印加する。
このとき、MTJ素子12には、オン状態のNMOSFET13を介して電流が流れ、ビットラインBLとビットラインバー/BLとの間の電位差により、高抵抗状態(反平行状態)又は低抵抗状態(平行状態)に設定される。即ち、データがMTJ素子12に書き込まれる。
(初期化時)
記憶装置200に記憶されているデータを一括して消去し、所定のデータ(例えばデータ「0」)を書き込む処理(初期化)を説明する。電源制御回路31の制御部37は、外部から初期化信号を受け取ると、定電流源39から電源ライン33に予め設定されている大きさの初期化電流IRを、予め設定されている期間だけ流す。
図11(a)に示すように、電源ライン33に初期化電流IRが流れると、電源ライン33の周囲に磁界MFが発生し、電源ライン33によって形成された閉ループには、右ネジの法則に従って矢印で示す方向に磁界MFが発生する。これにより電源ライン33の全周にわたって磁界MFが発生し、電源ライン33の閉ループ内には、ほぼ均一な磁界MFが発生し、磁界MFは各MTJ素子12に印加される。磁界MFの方向は、MTJ素子12のピン層12aの磁化の方向とは逆方向であり、フリー層12cの磁化の方向を変更しうる閾値以上の大きさを有する。これによりMTJ素子12のフリー層12cの磁化の方向は、図8(a)に示すようにピン層12aの磁化と同方向になる。一方、ピン層12aは、磁界MFの影響を受けず、磁化の方向は変わらない。このため、各MTJ素子12は平行状態(低抵抗状態)となり、データ「0」が書き込まれる。即ち、磁界MFによって、複数のMTJ素子12には一括してデータ「0」が書き込まれ、リセット状態に設定できる。
なお、各MTJ素子12に記憶されているデータは、上記初期化電流IRを接地ライン35に流した場合でも、一括してリセット状態に設定できる。また、上記初期化電流IRとは逆方向の電流を電源ライン33又は接地ライン35に流すことにより、記憶装置200に備えられた各MTJ素子12に記憶されているデータを一括して「1」にするプリセット処理を行っても良い。
以上説明したように、本実施形態2に係る記憶装置200によれば、メモリセル11等への電源の供給を必要としないときに、メモリセル11等への電源の供給に使用される電源ライン33又は接地ライン35の周囲に磁界を発生させ、記憶装置200に備えられた各MTJ素子12を一括して所定の抵抗状態に設定できる。これにより、記憶装置200に備えられたMTJ素子12を、単純な回路構成により簡単に初期化できる。
なお、電源制御回路31は、メモリセル11等への電源の供給を行っているときでも、電源ライン33又は接地ライン35の周囲に磁界を発生させ、記憶装置200に備えられたMTJ素子12を一括して所定の抵抗状態に設定し、初期化しても良い。
上記実施形態1で示したフリップフロップFFの初期化に、本実施形態2で示した手法を採用してもよい。また、本実施形態2で示した大容量記憶回路の初期化に、実施形態1で示した手法を採用してもよい。
(実施形態3)
上記実施形態2では、メモリセル11を一つのMTJ素子12と一つの選択トランジスタ(NMOSFET)13とから構成したが、メモリセルの構成は任意である。本実施形態3では、図12に示すように、一対のMTJ素子112,114を備えたメモリセル111を初期化する例を説明する。メモリセル111は、一対のMTJ素子112,114と、一対の選択トランジスタであるNMOSFET113,115と、クロスカップルされてインバータを構成するNMOSFET116,117とから構成される。
MTJ素子112,114は、一方が高抵抗状態に、他方が低抵抗状態となるよう、相補的に設定され、MTJ素子112,114の抵抗状態の組み合わせによって、データ「1」又は「0」が対応付けられる。例えば高抵抗状態にあるMTJ素子112と低抵抗状態にあるMTJ素子114との組み合わせをデータ「1」と対応付け、低抵抗状態にあるMTJ素子112と高抵抗状態にあるMTJ素子114との組み合わせをデータ「0」と対応付ける。これにより、メモリセル111は、一対のMTJ素子112,114によって1ビットのデータを記憶することができる。
MTJ素子112,114のピン層112a,114aは、メモリセル111がパワーゲーティング制御されるため、仮想電源線VVDDLに接続されている。MTJ素子112のフリー層112cは、選択トランジスタ113のソース・ドレインパスを介して、ビットラインBLに接続されている。また、MTJ素子114のフリー層114cは、NMOSFET115のソース・ドレインパスを介して、ビットラインバー/BLに接続されている。
NMOSFET116,117は、クロスカップルされ、MTJ素子112,114との接続ノードSN,/SNの電圧を増幅する。
なお、メモリセル111の構成とパワーゲーティング制御を行う構成以外は、図9に示した記憶装置200の構成と同一である。
MTJ素子112,114は、図13(a)に示すように配置され、初期化時に一方が高抵抗状態、他方が低抵抗状態というように相補的に抵抗状態が設定される。また、MTJ素子112,114はトップピン構造を有し、ピン層112a,114aの磁化の方向は互いに反対である。この構成において、電源ライン33及び/又は接地ライン35にMTJ素子112,114をリセットするための初期化電流IRを流し、磁界MFを発生させると、図13(b)に示すように、フリー層112c,114cの磁化の方向は同一方向に揃う(磁化される)。これにより、MTJ素子112は低抵抗状態、MTJ素子114は高抵抗状態となり(データ「0」)、メモリセル111はリセットされる(初期化される)。
このように本実施形態3に係る記憶装置によれば、簡単な構成及び処理で一対のMTJ素子112,114を相補的な抵抗状態に一括して設定でき、メモリセル111を初期化できる。
なお、プリセットするための初期化電流IR(リセット時とは逆向きの定電流)を流した場合には、MTJ素子112は高抵抗状態、MTJ素子114は低抵抗状態となり(データ「1」)、メモリセル111はプリセットされる。
また、MTJ素子112,114は、ピン層112a,114aとフリー層112c,114cの磁化の方向が積層方向と垂直でも良いし、ピン層112a,114aを最下層に配置したボトムピン構造から構成されても良い。
また、上記実施形態1で示したフリップフロップFFに一対のMTJ素子を備え、本実施形態3で示した手法を採用することによりフリップフロップFFを初期化してもよい。また、本実施形態3で示した大容量記憶回路の初期化に、実施形態1で示した手法を採用してもよい。
(実施形態4)
実施形態3では、一対のMTJ素子112,114のピン層112a,114aの磁化の方向を予め逆方向にして、MTJ素子112,114の各抵抗状態を相補的に設定したが、この設定は他の手法によって行うこともできる。本実施形態4では、磁化の方向が反転する閾値が異なるフリー層112c,114cを備えた場合の一対のMTJ素子112,114の各抵抗状態を相補的に設定する例を説明する。
図14(a)に示すように、MTJ素子112,114のピン層112a,114aの磁化の方向は同方向である。
また、MTJ素子112のフリー層112cの磁化の方向を反転させるために印加しなければならない磁界の強度(Fth112という)は、MTJ素子114のフリー層114cの磁化の方向を反転させるために印加しなければならない磁界の強度(Fth114という)よりも大きい。即ち、Fth112>Fth114である。
また、MTJ素子112,114に所定の強度の磁界MFが印加される場合において、MTJ素子112のフリー層112cの磁化の方向を反転させるために印加し続けなければならない時間の閾値(Tth112という)は、MTJ素子114のフリー層114cの磁化の方向を反転させるために印加し続けなければならない時間の閾値(Tth114という)よりも大きい。即ち、Tth112>Tth114である。
このような構成において、定電流源39は、制御部37の制御のもと、比較的大きな初期化電流IR1を流す。これにより、図14(b)に示すように、比較的大きな磁界MF1が発生し、図面下向き(第1の方向)に比較的長い時間T1の間、MTJ素子112,114に印加される。これにより、MTJ素子112のフリー層112cとMTJ素子114のフリー層114cの磁化の方向は、同一方向に揃う(磁化される)。これにより、MTJ素子112,114は、何れも同じ抵抗状態となる(図14(b)では低抵抗状態)。
つづいて、定電流源39は、制御部37の制御のもと、初期化電流IR1とは反対方向で初期化電流IR1よりも小さい電流を初期化電流IR2として流す。これにより、図14(c)に示すように、磁界MF2が発生し、図面上向き(第1の方向と反対方向)に時間T2の間、MTJ素子112,114に印加される。
ここで、磁界MF2と時間T2は、MTJ素子114のフリー層114cの磁化の方向は変更するが、MTJ素子112のフリー層112cの磁化の方向は変更しない程度の値に設定される。例えば、初期化磁界MF2の強度F2はFth112>F2>Fth114に、初期化磁界MF2の印加時間T2は、Tth112>T2>Tth114に設定される。これにより、MTJ素子112を低抵抗状態、MTJ素子114を高抵抗状態、というように相補的に各抵抗状態を設定することができる。
このように本実施形態4に係る記憶装置200によれば、一対のMTJ素子112,114に、磁化の方向を反転させる閾値が異なるフリー層112c,114cを備え、初期化電流の方向と強さを制御することにより、MTJ素子112,114を相補的な抵抗状態に設定できる。
また、上記実施形態1で示したフリップフロップFFに一対のMTJ素子を備え、本実施形態4で示した手法を採用することによりフリップフロップFFを初期化してもよい。
(実施形態5)
実施形態2〜4においては、記憶装置200に備えられた全てのメモリセルを初期化の対象としたが、一部のメモリセルを初期化の対象としても良い。例えば、図9に示した記憶装置200において、第1行と第2行に配置されたメモリセル11を初期化の対象とし、第3行に配置されたメモリセル11を初期化の対象から除外しても良い。
この場合、例えば、図15に示すように、第1行及び第2行に配置されたメモリセル11のみを取り囲むように専用のループ回路41を設置し、このループ回路41に電源制御回路31から初期化電流IRを流す。
ループ回路41に囲まれた第1行と第2行の各メモリセル11には、初期化電流IRにより発生した第1の方向(図面表から裏に向かう方向)の磁界MFが印加され、メモリセル11が初期化される。一方、ループ回路41の外に位置する(囲まれていない)第3行のメモリセル11には、初期化電流IRにより、第1の方向とは逆方向(図面裏から表に向かう方向)の磁界が印加される。従って、この逆方向の磁界の影響を受けないように、メモリセル11(又はMTJ素子12)を構成するか、又は、ループ回路41から離してMTJ素子12を配置することが望ましい。また、この逆方向の磁界で初期化されるように、第3行のメモリセル11のMTJ素子12を配置してもよい。
(実施形態6)
実施形態5においては、初期化専用のループ回路41を配置したが、通常動作に使用される他の回路を流用して初期化に使用することも可能である。
例えば、図16の構成では、ワードラインWL、ビットラインBL,ビットラインバー/BLの先端部は、NMOSFET42を介して接地ライン35に接続されている。
電源制御回路31は、図示せぬ制御ラインを介して、これらのNMOSFETのゲートに印加する電圧を制御し、これらのNMOSFET42のオン・オフを個別に制御する。電源制御回路31は、通常動作時には、リード/ライト動作に影響を与えないように、NMOSFET42を全てオフしておく。一方、電源制御回路31は、メモリセル11を初期化する際には、初期化対象のメモリセル11を含むように、ワードラインWL、ビットラインBL、ビットラインバー/BL、接地ライン35によるループ回路(閉ループでなくてもよい)を形成するように、NMOSFET42を選択してオンする。例えば、第3列のメモリセル11だけを初期化したい場合には、ビットラインBL3、接地ライン35,ビットラインバー/BL3でループを構成するように、ビットラインBL3と接地ライン35とを接続するNMOSFET42と、ビットラインバー/BL3と接地ライン35とを接続するNMOSFET42とをオンし、他のNMOSFET42のオフ状態を維持する。
つづいて、電源制御回路31は、リード/ライト回路22に、ビットラインBL3とビットラインバー/BL3の間に初期化電流IRを流すように指示する。ここでは、ロウデコーダ21とリード/ライト回路22とは、それぞれ、初期化用の定電流源を備えており、リード/ライト回路22は、指示に従って、ビットラインBL3→接地ライン35→ビットラインバー/BL3というルートで定電流を流すことにより、第3列のメモリセル11に初期化用の磁界MFを印加し、これらを初期化する。このような構成によれば、通常動作用の回路を用いて、初期化対象のメモリセル11(MTJ素子12)を初期化することが可能となる。
なお、ワードラインWLと、ビットラインBL、ビットラインバー/BLとの交差部にNMOSFET等のスイッチング素子を配置し、これらのラインを適宜接続して、ループ回路を形成するようにしてもよい。
(実施形態7)
実施形態2〜6においては、初期化電流を流すループ回路を構成し、ループ内のメモリセルを一括して初期化する例を示したが、実施形態1と同様に、初期化電流を流す配線の近傍のメモリセルのみを初期化する構成としてもよい。以下、このような構成の初期化方式について説明する。
図9に示した記憶装置200において、一括初期化を望むメモリセル11が、第1行と第2行のメモリセル11のみであり、第3行のメモリセル11は、初期化の対象外であるとする。この場合には、図17に示すように、第1行と第2行のメモリセル11のMTJ素子12の近傍に初期化用の配線43を設置し、この配線43に電源制御回路31から初期化電流IRを流すようにしてもよい。
この場合、図18に模式的に示すように、配線43の近傍のMTJ素子12には、配線43を流れる初期化電流IRにより発生する磁界MFが印加される。従って、この磁界MFにより、MTJ素子12のフリー層12cの磁化の方向が所望の方向を向くように、初期化電流IRの方向と大きさと印加時間を調整すればよい。
このような構成によれば、比較的小さな初期化電流IRで複数のメモリセル11を一括して初期化することができる。また、一部のメモリセル11のみを初期化することも可能である。
なお、図12に示した一対のMTJ素子112,114を備えたメモリセル111に関しても、図19に示すように、MTJ素子112とMTJ素子114との間に初期化用の配線43を配置し、配線43に初期化電流IRを流すことにより、MTJ素子112,114を相補的な抵抗状態に設定し、初期化できる。
その他、二つ以上のMTJ素子を使用するメモリセルに関しても、同様の仕様で各MTJ素子を初期化することもできる。
以上の説明では、MTJ素子のピン層及びフリー層の磁化の方向が、MTJ素子を構成する三つの層の積層方向に平行な方向を例示したが、図20に示すように、積層方向に垂直方向でもよい。この場合も、初期化用の配線43と各MTJ素子112,114の配置を調整するだけで、配線43に初期化電流IRを流すことにより、MTJ素子112,114を初期化することもできる。
(実施形態8)
実施形態7においては初期化用の配線43を配置したが、ワードラインWL,ビットラインBL、ビットラインバー/BL等を配線43として流用しても良い。この場合は、例えば、初期化用の配線として使用するワードラインWL,ビットラインBL,ビットラインバー/BLと各メモリセルのMTJ素子との位置関係を、例えば、図18〜図20に示した位置関係となるように形成する。
また、図16に示したように、ワードラインWL,ビットラインBL,ビットラインバー/BLの先端を、NMOSFETを介して接地ライン35に接続し、これらのラインに電流を流すことが可能な構成とする。
電源制御回路31は、通常動作時には、リード/ライト動作に影響を与えないように、NMOSFET42を全てオフしておく。一方、電源制御回路31は、メモリセル11を初期化する際には、初期化電流IRを流す対象のワードラインWL,ビットラインBL,ビットラインバー/BLの先端に接続されているNMOSFET42をオンする。
つづいて、電源制御回路31は、ロウデコーダ21及びリード/ライト回路22を制御して、選択した各ラインに初期化電流IRを流す。これにより、図18〜図20に示したように、磁界MFが生成され、各ラインの近傍に配置されているMTJ素子は初期化される。このような構成によれば、通常動作用の回路を用いて、メモリセルを初期化することが可能となる。
以上説明したように、この発明によれば、書き込み方式が電流書き込みである場合のMTJ素子を、単純な回路構成により簡単に初期化できる。なお、この発明は各実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。例えば、記憶回路の構成は、各実施形態に限定されず、MTJ素子を備える限りにおいて任意である。
また、回路構成、回路配置等も適宜変更可能であり、例えば、選択トランジスタ或いはスイッチング素子として、NMOSFETに代えてPMOSFETを使用したり、他のスイッチング素子を使用することも可能である。その他、理解を容易にするため、定電流を初期化電流IRとして説明したが、初期化電流IRは時間的に大きさが変動するものでもかまわない。
10,10A,10B,10C 回路モジュール
11 メモリセル
12,14 MTJ素子
12a,14a ピン層
12b,14b 絶縁層
12c,14c フリー層
13 NMOSFET
13D ドレイン(NMOSFET)
13S ソース(NMOSFET)
13G ゲート(NMOSFET)
15 論理ゲート
21 ロウデコーダ
22 リード/ライト回路
31 電源制御回路
33 電源ライン
33a,33b ループ状部(電源ラインの一部)
35 接地ライン
36a,36b スイッチ
37 制御部
39 定電流源
40 クロック生成回路
41 ループ回路
42 NMOSFET
43 配線
100 LSIチップ(記憶装置)
200 記憶装置
101 半導体基板
102 絶縁膜
103,104 プラグ
111 メモリセル
112,114 MTJ素子
112a,114a ピン層
112b,114b 絶縁層
112c,114c フリー層
113,115,116,117 NMOSFET
FF フリップフロップ
D データ入力端子
Q データ出力端子
CLK クロック端子
WL,WL1,WL2,WL3 ワードライン
BL,BL1,BL2,BL3 ビットライン
/BL,/BL1,/BL2,/BL3 ビットラインバー
IR,IR1,IR2 初期化電流(定電流)

Claims (8)

  1. それぞれが、一対の磁気トンネル接合素子を備える複数の記憶素子と、
    複数の前記記憶素子に、個別に、データを書き込む書込手段と、
    複数の前記記憶素子に磁界を印加することにより、共通のデータを、書き込む磁界書込手段と、を備え、
    前記磁気トンネル接合素子は、磁化の方向が固定された第1の層と磁化の方向が固定されていない第2の層とを備え、前記第1の層の磁化の方向と前記第2の層の磁化の方向が互いに平行なときに低抵抗となり、反平行のときに高抵抗となり、
    各記憶素子を構成する前記一対の磁気トンネル接合素子は、いずれか一方の磁気トンネル接合素子の前記第1の層の磁化の方向と前記第2の層の磁化の方向が互いに平行となり、いずれか他方の磁気トンネル接合素子の前記第1の層の磁化の方向と前記第2の層の磁化の方向が互いに反平行となるように相補的に設定され、
    前記磁界書込手段は、電流を流す電流ラインを備え、
    各記憶素子を構成する一対の磁気トンネル接合素子のうちの第1の磁気トンネル接合素子と第2の磁気トンネル接合素子は、前記電流ラインを流れる1つの電流により発生する1つの磁界により、前記第1の磁気トンネル接合素子の前記第1の層の磁化の方向と前記第2の層の磁化の方向は互いに平行となり、前記第2の磁気トンネル接合素子の前記第1の層の磁化の方向と前記第2の層の磁化の方向は互いに反平行となる位置、に配置されている、
    ことを特徴とする記憶装置。
  2. 各前記一対の磁気トンネル接合素子の第1の層の磁化の向きは互いに同一方向に設定されており、
    各前記一対の磁気トンネル接合素子は、前記電流ラインを流れる電流により発生する磁界によって、前記第2の層の磁化の向きが互いに反対方向になる位置に配置されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
  3. 各前記一対の磁気トンネル接合素子の第1の層の磁化の向きは互いに反対方向に設定されており、
    各前記一対の磁気トンネル接合素子は、前記電流ラインを流れる電流により発生する磁界によって、前記第2の層の磁化の向きが互いに同一方向になる位置に配置されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
  4. 一対の磁気トンネル接合素子を備える複数の記憶素子と、
    書き込み対象のデータに対応する電流を書き込み対象の前記記憶素子を構成する磁気トンネル接合素子に流すことにより、複数の前記記憶素子に、個別に、データを書き込む書込手段と、
    磁界を発生する電流を流す電流ラインを備え、複数の前記記憶素子に磁界を印加することにより、共通のデータを記憶させる磁界書込手段と、を備え、
    各前記磁気トンネル接合素子は、磁化の方向が固定された第1の層と磁化の方向が固定されていない第2の層とを備え、前記第1の層の磁化の方向と前記第2の層の磁化の方向が互いに平行なときに低抵抗となり、反平行のときに高抵抗となり、
    各前記記憶素子を構成する前記一対の磁気トンネル接合素子は、何れか一方の磁気トンネル接合素子の前記第1の層の磁化の方向と前記第2の層の磁化の方向が互いに平行となり、何れか他方の磁気トンネル接合素子の前記第1の層の磁化の方向と前記第2の層の磁化の方向が互いに反平行となるように相補的に設定され、
    前記記憶素子を構成する一対の磁気トンネル接合素子は、前記磁界書込手段が発生した磁界により、一方の磁気トンネル接合素子の前記第1の層と前記第2の層の磁化の方向が互いに平行となり、他方の磁気トンネル接合素子の前記第1の層と前記第2の層の磁化の方向が互いに反平行となるように配置されている、
    ことを特徴とする記憶装置。
  5. 前記電流ラインは、ワードライン、ビットライン、ビットラインバー、電源ライン又は接地ラインの何れかから構成される、
    ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の記憶装置。
  6. それぞれが磁気トンネル接合素子を備える複数の記憶素子と、
    前記記憶素子にデータを個別に記憶させる書込手段と、
    電源ラインと接地ラインとの少なくとも1つを含み、複数の前記記憶素子を取り囲んで配置されたラインと、
    前記電源ラインと接地ラインの少なくとも一方に電源電圧又は接地電圧を印加し、又は、前記ラインに電流を流すことにより、前記ラインにより取り囲まれた複数の前記記憶素子に同一方向の磁界を印加することにより、共通のデータを記憶させる電源制御装置と、
    を備える、ことを特徴とする記憶装置。
  7. 前記記憶素子は、それぞれ、一対の磁気トンネル接合素子を備え、
    前記磁気トンネル接合素子は、磁化の方向が固定された第1の層と磁化の方向が固定されていない第2の層とを備え、
    前記第1の層の磁化の方向と前記第2の層の磁化の方向が互いに平行なときに低抵抗となり、反平行のときに高抵抗となり、
    前記記憶素子を構成する一対の磁気トンネル接合素子の第1の層の磁化の向きは互いに反平行に設定されている、
    ことを特徴とする請求項6に記載の記憶装置。
  8. 前記記憶装置は、電源ラインと接地ラインとを両方備え、
    電源ラインと接地ラインとは、それぞれ複数の前記記憶素子を取り囲んで配置され、
    前記電源制御装置は、電源ラインと接地ラインの少なくとも一方に電流を流す、
    ことを特徴とする請求項6又は7に記載の記憶装置。
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