JP6379894B2 - 竪型鋳造機の竪型締装置及び型締制御方法 - Google Patents

竪型鋳造機の竪型締装置及び型締制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、竪型鋳造機の竪型締装置及びその型締制御方法に関する。
鋳造機は、金型内の金型キャビティに溶融状態の金属(溶湯)を充填させ、冷却凝固させることにより、所望の形状の金属製品を鋳造する装置である。一般的に二分割構造の金型を、所定の型締力で型締めする型締装置の型締め方向(横型締め/竪型締め)や、金型キャビティに溶湯を充填(射出充填)させる射出装置の充填(鋳込み)方向(水平鋳込型/竪鋳込型)の組み合わせにより、様々な形態の鋳造機がある。
この中で、竪型締装置及び竪型射出装置を有する竪型鋳造機は、主に、アルミニウムや同合金を材料とするスクイズキャスティング法(溶湯鍛造法)に使用される。スクイズキャスティング法は、金型キャビティ内へ高速・中圧で溶湯を射出充填する通常のダイカスト法と異なり、竪型締装置により型締めされた上型と下型とからなる金型内に金型キャビティを形成させ、この金型キャビティの下方から上方へ、溶湯を低速・高圧で射出充填するものである。溶湯を低速で金型キャビティ内へ射出充填するため、空気等のガスの溶湯内への巻き込みが少なく、また、長時間の加圧が可能であるため、内部欠陥が少なく機械的性質に優れた鋳造品が得られる。そのため、スクイズキャスティング法は、自動車等のアルミホイール、ブレーキキャリパー、アンチロックブレーキシステムのケーシングの耐圧部品や、サスペンションのアーム類の足回り部品等、保安部品の製造に採用される。
また、竪型締装置により型閉じ、あるいは型締めされた金型内の金型キャビティの下方から上方に、炉から溶湯を直接ガス圧力等で低速・低圧で充填させる低圧鋳造方法も行われている。この低圧鋳造方法の場合には竪型射出装置は不要である。
このような竪型鋳造機によるスクイズキャスティング法においては、溶湯を低速で金型キャビティ内へ射出充填するため、竪型射出装置側でのガスの溶湯内への巻き込みは少ない。しかしながら、その一方で、金型キャビティに溶湯を充填させる際の、溶湯の充填に伴い金型キャビティから排出されるべき、金型キャビティ内のガス抜きが難しいという、金型や竪型締装置側での問題があった。金型キャビティへの溶湯の充填に伴うガス抜きが不十分であれば、金型キャビティ内に残留したガスが溶湯中に巻き込まれ、巣やブローホール等の鋳造不良の要因となる。
横型鋳造機の横型締装置においても、溶湯は金型キャビティの下方(ゲート部)から充填され上方に向かって金型キャビティを満たしていく。そのため、射出スリーブや金型キャビティ内のガス(空気や、金型離型剤の水分が高温の金型に接触して気化した水蒸気等)も溶湯に先立って金型キャビティの上方へ流動する。これらガス及び溶湯の比重の差異もあり、比重の軽いガスの方が、溶湯に比べて上方への流動(排出)性が良く、型締状態の固定型と可動型との金型合わせ面(パーティングライン)の上方に意図的に配置させたガス抜き用の隙間や、同金型の金型合わせ面の上方近傍に配置させたチルベント等のガス抜き構造から、これらガスを積極的に排出させることができる。
このように、横型鋳造機の横型締装置においては、金型キャビティ内の溶湯流動による金型キャビティ内からのガスの排出箇所の大部分が金型上方であり、比重の軽いガスの方が溶湯よりも上方への流動性が良く、型締状態の金型の上方に基本的に何も構造物がないため、金型上方へのガス抜き用の隙間やガス抜き構造の配置が容易であり、射出充填に伴う、金型キャビティ内からのガスの排出(ガス抜き)は比較的容易である。
これに対して、竪型鋳造機では、金型キャビティ内の溶湯流動方向が下方から上方である点は横型鋳造機と同じであるが、金型合わせ面が水平(型開閉方向と直交する)である点が異なる。そのため、金型キャビティ内のガスは、溶湯の充填に伴い、型締状態の金型の全ての側面において、金型合わせ面(パーティングライン)へ略均等に流動する。よって、横型鋳造機のように、金型の金型合わせ面の一部にのみ、ガス抜き用の隙間やガス抜き構造を配置させても、良好なガス抜きは困難である一方、金型の側面全周の金型合わせ面(パーティングライン)に、ガス抜き用の隙間やガス抜き構造を配置させた場合、金型の全ての側面から、充填中の溶湯が漏れ出したり、充填完了時(金型キャビティ内が溶湯で満たされる)に溶湯が吹き出したりする(バリ吹き)可能性がある。
これを防止するために、金型キャビティ内への溶湯の充填前に、金型に所定の型締力を付与させて、金型キャビティの上方(上型の可動盤への取付面側)からガス抜きを行う場合、上型の上方には可動盤という構造物がありこれがガス抜きの障害となる。そのため、上型から排出させたガスを更に装置外へ排出させるための構造が可動盤側にも必要となり、その結果、上型や可動盤の構造が複雑になったり、ガスの排出経路が長くなり排出抵抗が増加するため、ガスの排出性が低下したりする問題がある。これを解決する方法として、可動盤内に配置される製品押出機構の押出ピンの貫通孔と同押出ピンの摺動隙間をガス抜きに採用する事例もあるが、この場合、本来の押出ピンの目的とは関係ない部位にまでガス抜きのために押出ピンを設ける必要がある。
特許文献1には、給湯用の射出スリーブが接続された下型と、その上方にて昇降自在に配設された上型本体と、当該上型本体の下面に装着され、上型本体との当接面においてエアベント溝を有する上型エンドリング部とで構成された昇降上型(上型の一部で、下型と直接型合わせされる部位))とを有する立型ダイカストマシン(竪型鋳造機)用金型において、昇降上型と下型との間に隙間を設けた半型閉め状態に保持して射出スリーブ内の溶湯を金型側に徐々に押し上げ、溶湯の湯面が下型のゲートにほぼ一致した処で溶湯の押し上げを停止した後、昇降上型を降下させて完全型閉めを行い、然る後、金型キャビティ内に溶湯を高速射出することを特徴とする立型ダイカストマシンのガス抜き方法が開示されている。
射出装置の射出スリーブの内径が大きい場合や、射出スリーブへの給湯量が少ない場合、すなわち、給湯完了後、射出スリーブ内に大量の空間(空気)がある状態で射出充填が開始されると、射出スリーブ内の大量の空気が、溶湯に先立って金型キャビティ内に送り込まれる。そのため、特許文献1の立型ダイカストマシンのガス抜き方法においては、昇降上型を下型に完全に型合わせさせず、隙間を設けた半型締め状態において、射出スリーブ内の溶湯を押し上げ、押し上げられた溶湯の湯面が下型のゲート(金型キャビティへの溶湯の充填入口)にほぼ一致した処で溶湯の押し上げを停止させるものである。この動作により、射出スリーブ内の大量の空気(ガス)は、半型締め状態の昇降上型と下型の隙間から排出され、溶湯と共に金型キャビティ内に送り込まれることはない。その後、昇降上型を降下させて下型へ完全型締めを行い、射出充填を再開するものである。
特開平04−172162号公報
特許文献1の立型ダイカストマシンのガス抜き方法においては、上型と下型とを半型閉め状態に保持して積極的に隙間を形成させ、この隙間からガス抜きを行わせている。そのため、押し上げられた溶湯の湯面が下型のゲートにほぼ一致した処で溶湯の押し上げを停止させて、この隙間から溶湯が金型外へ漏れ出すことを防止している。つまり、鋳造サイクル毎に射出充填工程を一度停止させる必要があり、温度低下による溶湯品質の悪化を招くだけでなく、鋳造サイクルタイムが長くなる。また、この方法により射出スリーブ内のガスは排出されるが、押し上げられた溶湯の湯面が下型のゲートにほぼ一致した後、すなわち、溶湯が金型キャビティの最下方の溶湯入口(ゲート)に到達し、完全な型締め状態にさせた後に射出充填を再開するため、この方法は金型キャビティ内のガスの排出には一切寄与しない。
ここで、出願人は、特許文献1のように、上型と下型との間に積極的に隙間を形成させなくても、型締力を付与させていない型合わせ(型閉じ)状態であれば、射出スリーブや金型キャビティ内のガスは、射出充填等による、金型キャビティ内への溶湯の充填に伴いわずかに加圧され、金型合わせ面に形成される微少な隙間から排出される点に着目した。金型合わせ面は、実際には微少な凹凸が存在し、複数の点接触で型合わせ(型閉じ)されている。そのため、型合わせ状態の金型の金型合わせ面の微少な隙間には、金型キャビティに連通する微少空間が形成されており、この隙間の量が適正範囲(0.5±0.2mm程度)であれば、ガスのみ排出され、溶湯は、チルベントと同様の原理で漏れ出したり吹き出したりしない。
また、金型に型締力が付与されても、型締力が設定型締力まで昇圧される過程の初期段階において、その隙間の量が適正範囲内である間、金型キャビティに連通する微少空間は維持され、金型キャビティ内のガス抜きは継続される。出願人は、このような竪型締装置の特性を活用した二段型締制御方法を、出願人の製造・販売する竪型鋳造機に導入している。具体的には、上型を下型に型合わせさせた状態から、金型キャビティへの溶湯の充填を開始させ、金型キャビティ内の溶湯が、金型の金型合わせ面に到達する前に、予め設定した型締力昇圧グラフに基づき、金型への型締力の付与を開始させ、昇圧させる型締制御方法である。
尚、チルベントとは、微少隙間に、ガスに続けて溶湯を微少量浸入させて、その浸入させた微少量の溶湯を、浸入後瞬時に金型により抜熱させて凝固させ、その凝固部分により、更なる溶湯の隙間への浸入を防止することを目的とした、金型のガス抜き構造の一種である。ベント部分には、0.6〜0.7mm程度の隙間を有し、断面が三角又は四角形状の凹凸が形成されるものが一般的である。通過しようとする溶湯の凝固速度等は、これら形状のベント内ガス流動方向の長さや形状個数で調整される。
上記二段型締制御方法について、図8及び図9を参照しながら簡単に説明する。図8は、一般的な竪型鋳造機の竪型射出装置上端部分及び金型の概略断面図である。図9は、二段型締制御方法における射出変位と型締め昇圧の関係図である。
まず、二段型締制御方法の理解を容易にするため、図8を参照しながら、竪型鋳造機のスクイズキャスティング法の射出充填の概略を説明する。下型20は、図示しない固定盤の上面に取り付けられており、下型20と、図示しない可動盤の下面に取り付けられる上型21とが組み合わされて、金型キャビティ22が成形される。そして、図示しない竪型締装置により、可動盤を昇降させることにより、下型20に対して、上型21を上下方向に型開閉・型締めできるように構成されている。
固定盤の所定距離下方には、竪型の射出装置1が配置されている。その上端部分には、射出スリーブ10が取り付けられており、射出スリーブ10にはプランジャチップ11aが挿入されている。プランジャチップ11aは、図示しないチップジョイントを介してプランジャロッド11bに取り付けられており、これらプランジャチップ11a及びプランジャロッド11bからなるプランジャ11は、図示しない射出シリンダのシリンダロッドに同軸上に取り付けられている。これら射出スリーブ10及びプランジャ11は、鋳込重量に応じて交換するため、それぞれ、射出装置1の上端部分及び射出シリンダに対して着脱可能に取り付けられている。
射出待機状態において、プランジャチップ11aは、円筒形状の射出スリーブ10の下端の開口を閉塞するように、射出スリーブ10の全高に対して下方側に降下した位置にあり、固定盤と射出スリーブ10との間の空間から、図示しない給湯手段の溶湯保持容器30により供給(給湯)される溶湯が、射出スリーブ10内に貯留される(給湯工程)。竪型鋳造機の中には、給湯手段による射出スリーブ10への給湯工程を容易にするため、射出装置1全体を給湯手段側に傾転させたり、射出装置1全体を給湯手段側に横スライドさせたりして、射出スリーブ10の上端部分の開口を、固定盤の下方領域外に移動させるものもある。
射出スリーブ10は、射出シリンダと独立した、図示しない昇降手段を介して射出装置1の上端部分に取り付けられており、給湯工程後、この昇降手段及び射出シリンダを連動させ、射出スリーブ10及びプランジャチップ11a(プランジャ11)を一体的に上昇させる。そして、固定盤下面から上面へと貫通する貫通穴を介して、射出スリーブ10の上端部分を下型20下面に形成される射出孔20aに当接(ドッキング)させる。その後、プランジャチップ11aを100〜150MPa以上の高圧力で、且つ、所定の速度(80mm/sec.〜500mm/sec.)でゆっくりと上昇させ、射出スリーブ10内に貯留された溶湯を、下型20の射出孔20a及び金型キャビティ22間を連通するゲート部20bを介して、金型キャビティ22に射出充填させる(射出工程)。射出工程の後半、金型キャビティ内が溶湯で満たされた後(射出完了)も、溶湯の凝固収縮に応じてプランジャチップ11aを適宜上昇させながら、溶湯への高い圧力付与を継続させる(増圧工程)。図8中の2点鎖線は、下型20へのドッキング時の射出スリーブ10他を示す。
次に、図9を参照しながら、二段型締制御方法を説明する。図9の下方横軸は射出スタートからの射出変位(プランジャ11の位置、あるいは、射出スリーブ10及び金型キャビティ22内の溶湯の湯面位置)を示す射出変位カーブ及び、射出変位に準じた型締め昇圧に関連する制御指令を示し、上方横軸は金型が、型合わせ位置から設定型締力に到達するまでの型締め昇圧カーブ及び、型締め昇圧に関連する制御指令による型締制御を示す。図9の射出スタートは、図8において、給湯工程後、射出スリーブ10を射出孔20aに当接(ドッキング)させた2点鎖線の状態である。この時、下型20と上型21とは型合わせ(型閉じ)された状態(位置)で、型締力は一切付与されていない。この状態から射出充填が開始(射出スタート)され、プランジャ11が上昇し、射出スリーブ10内の溶湯位置が上昇していく。プランジャ11が予め設定された所定位置1(型締め昇圧指令)に到達した時点で、図示しない型締装置により型締力の付与が開始される(型締め昇圧スタート)。
その後、予め設定された型締め昇圧カーブに準じて漸次、型締力を上昇させる。この型締め昇圧カーブに準じて金型に付与される型締力を、最終到達目標値である設定型締力と区別するために「型締め与圧」と呼称する。そして、予め設定された、型締め昇圧指令(所定位置1)からプランジャ11が所定位置2(型締め昇圧確認)に到達した時点で、竪型締装置の油圧アクチュエータの加圧側油室の圧力(実測型締め与圧)を確認する。プランジャ11がこの型締め昇圧確認(所定位置2)に到達時、実測型締め与圧が、型締め昇圧カーブに準じた型締め与圧(昇圧確認型締力)に到達していない場合、型締め与圧が昇圧確認型締力に到達するまでプランジャ11の上昇を停止させる。
これは、金型に必要な型締め与圧が付与されていない状態で、金型キャビティ内に充填された溶湯の湯面が金型合わせ面を超えた場合、金型合わせ面から溶湯が漏れ出す可能性があるためである。プランジャ11が型締め昇圧確認(所定位置2)に到達時、実測型締め与圧が昇圧確認型締力に到達していれば、プランジャ11の上昇(射出充填)と型締め昇圧とが継続され、型締め与圧が設定型締力に到達後、所定のタイミングで増圧工程に移行される。
金型合わせ面からの溶湯の漏れを防止するため、一般的には、型締め昇圧確認(所定位置2)は、プランジャ11がその位置に到達した時点で、押し上げられた溶湯の湯面が金型の金型合わせ面を超えない位置が望ましく、型締め昇圧カーブのその位置における昇圧確認型締力(型締め与圧)は、金型合わせ面からの溶湯の漏れを防止できる圧力であることが望ましい。一方、押し上げられた溶湯の湯面が金型の金型合わせ面を超えても溶湯が金型合わせ面から漏れ出さないケースもあるため、そのようなケースにおいては、適宜、型締め昇圧確認(所定位置2)及び型締め昇圧カーブのその位置における昇圧確認型締力(型締め与圧)が決定されれば良い。このように、金型の仕様に基づいて、プランジャ11の型締め昇圧確認(所定位置2)及び、その位置において到達すべき昇圧確認型締力(型締め与圧)が決定される。また、この昇圧確認型締力(型締め与圧)と、同じく金型の仕様から決定される設定型締力、更に、目標とする鋳造サイクルや射出装置の仕様に基づいて型締め昇圧カーブ及び射出変位カーブが決定される。そして、この型締め昇圧カーブ及び射出変位カーブに基づいて型締め昇圧指令(所定位置1)が決定され、目標とする鋳造サイクルや射出装置の仕様も鑑み、射出スタートのタイミングが選択され、これに合わせて、上型21を下型20との型合わせ位置へ移動させ型合わせさせる。
このような二段型締制御方法は、特許文献2のガス抜き方法に対して、プランジャ11の型締め昇圧確認(所定位置2)への到達時、実測型締め与圧が昇圧確認型締力に到達していれば、射出充填を停止させる必要がなく、また、射出スリーブ内だけでなく、金型合わせ面近傍より下方の金型キャビティ内のガスも、ガス抜き構造を必要とせず、金型合わせ面から排出させることができる。そのため、溶湯品質や鋳造サイクル上有利である。尚、上記は、竪鋳込型の射出装置1によるスクイズキャスティング法に基づいて説明したが、先に説明した低圧鋳造方法においても、金型キャビティ内の溶湯の湯面上昇に関して、同様の二段型締制御方法が適用できることは言うまでもない。
しかしながら、このような二段型締制御方法であっても、金型の熱膨張に起因する問題がある。連続鋳造時、型温の上昇に伴い金型の熱膨張量も増加する。特に、完全な平面ではなく、実際には微少な凹凸が存在し、複数の点接触で型合わせ(型閉じ)されている下型20と上型21との金型合わせ面の隙間がこの熱膨張の影響を受け易く、型温の上昇に伴いこの隙間が増加する。金型や鋳造条件にもよるが、鋳造開始前の隙間を0.5mmとすると、この隙間が連続鋳造により、少ない場合で0.3mm、多い場合で2mm程度増加する。そのため、プランジャ11が型締め昇圧指令(所定位置1)に到達して型締め昇圧スタートとなっても、竪型締装置の油圧アクチュエータ(直圧式型締機構)を当初より増加したこの隙間分だけ長く下方へ駆動させる必要が生じ、その駆動の間、油圧アクチュエータの加圧側油室の圧力(実測型締め与圧)の立ち上がりが遅れる。
その結果、プランジャ11が型締め昇圧確認(所定位置2)に到達して実測型締め与圧を確認しても、昇圧確認型締力に到達していないため、実測型締め与圧が昇圧確認型締力に到達するまで、プランジャ11の上昇(射出充填)が中断してしまう。この射出充填の中断により、射出スリーブ10内の溶湯の温度が低下し、発生する酸化膜の鋳造品への混入や、溶湯の流動性低下による充填不良等の製品不良が発生するという問題があった。
また、この金型合わせ面の隙間の増加は、金型合わせ面に対して均等ではなく、上型が下型に対して平行ではなく斜めに傾いた状態で金型合わせ面の隙間が不均等に増加する場合が多い。この場合、プランジャ11が型締め昇圧確認(所定位置2)に到達して実測型締め与圧が昇圧確認型締力に到達していても、金型の型合わせ面の隙間の大きな部位があり、金型キャビティ内の溶湯の湯面が金型合わせ面を超える時にその部位から湯こぼれが発生したり、型締力が設定型締力まで昇圧されても、その大きな隙間が解消されず、金型キャビティ内が溶湯で満たされた時に、その隙間からバリ吹きが発生したりするという問題があった。
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたもので、具体的には、二段型締制御方法が行われる竪型鋳造機の竪型締装置において、型締め昇圧確認時に、実測型締め与圧を昇圧確認型締力に到達させるために、熱膨張による下型と上型との金型合わせ面の隙間の増加を防止すると共に、下型に対する上型の平行度を維持させて、金型合わせ面からの湯こぼれやバリ吹きを防止することができる竪型鋳造機の竪型締装置と、その竪型締装置における型締制御方法を提供することを目的としている。
本発明の上記目的は、上型と下型とからなる金型の、上型を下型に型合わせさせた状態から、その金型内に形成される金型キャビティへの溶湯の充填を開始させ、
金型キャビティ内の溶湯が、金型の金型合わせ面に到達する前に、予め設定した型締め昇圧カーブに基づき、金型への型締力の付与を開始させ、設定型締力まで昇圧させる二段型締制御方法が行われる竪型鋳造機の竪型締装置において、
金型取付盤の金型取付面の中心点から離間させて複数配置され、個々の型締力を個別に制御可能な型締力発生手段と、
金型取付盤の金型取付面の中心点対称の少なくとも2箇所に配置され、配置された部位の金型の型厚を測定可能な型厚測定手段と、
を有する、竪型鋳造機の竪型締装置により達成される。
すなわち、金型取付盤の金型取付面の中心点から離間させて複数配置され、個々の型締力を個別に制御可能な型締力発生手段は、金型の熱膨張により、上型が下型に対して斜めに傾いた状態で金型合わせ面の隙間が不均等に増加し、その結果、型合わせ状態の金型の型厚が不均等に増加する場合でも、金型の型厚の増加の防止と、下型に対する上型の平行度を維持させる型締制御とを容易にするものである。また、金型取付盤の金型取付面の中心点対称の少なくとも2箇所に配置され、配置された部位の金型の型厚を測定可能な型厚測定手段により、下型に対する上型の平行度の確認が容易になる。これらは、後述する型締制御方法に好適な構成である。
この型締力発生手段は、型締シリンダとは別の型開閉シリンダであっても良い。従来の竪型鋳造機の竪型締装置においては、複数の型開閉シリンダの型開閉力を個別に制御できる構成はまれである。これは、二段型締制御方法以外の一般的な型締制御方法においては、設定型締力付与後に、金型キャビティ内への溶湯の充填が開始されるため、金型キャビティ内の溶湯の湯面が金型合わせ面を超える時点において、金型には既に設定型締力が付与されており、二段型締制御方法のような充填途中の金型合わせ面からの溶湯の漏れに配慮する必要がないからである。従って、型開閉時における下型に対する上型の平行度の維持は重要な問題ではなく、複数の型開閉シリンダの型開閉力を個別に制御できる構成は必要ない。しかしながら、複数の型開閉シリンダの型開閉力を個別に制御できる構成により、型開閉シリンダを、二段型締制御方法における型締力を増減させる補助アクチュエータとして活用することができる。
一般的に、型締シリンダによる型締力に対して、型開閉シリンダによる型開閉力は小さい。しかしながら、構造上、型開閉シリンダは、金型取付盤の金型取付面の中心点から離間して複数(最低1組(2台))が配置されている。そのため、金型取付盤の中心一箇所に配置されることが一般的な型締シリンダ(型締ラム)の型締力より小さな型開閉力であっても、下型に対する上型の平行度の調整や維持に好適である。また、型締め昇圧確認時に必要な、型締力昇圧グラフに準じた昇圧確認型締力(型締め与圧)は、設定型締力に対して十分に小さく、この昇圧確認型締力(型締め与圧)を型締力調整範囲C内で増減させる制御を鑑みても、型開閉シリンダによる型開閉力は、型締め昇圧確認時における型締め与圧として十分に足るものである。
一方、この型締力発生手段は、タイバーを貫通させ、そのタイバーの軸心方向に摺動可能な型締ピストンと、その型締ピストンの一端に配置され、型締ピストンとタイバーとの係合及び係合解除を行う係合手段と、型締ピストンが挿入される側の金型取付盤の内部空間と型締ピストンとの間に形成される油室と、で構成される型締シリンダであっても良い。
この場合、型締シリンダがタイバー毎に配置され、それぞれの型締力を個別に設定型締力まで制御できるので、型締力を増減させる補助アクチュエータとして型開閉シリンダを活用する形態より、金型の型厚の増加の防止と、下型に対する上型の平行度を維持させる型締制御とが更に容易になる。
一方、型厚測定手段は、上型が取り付けられる金型取付盤及び、タイバーの上下端のいずれか一方を固定する固定部材間に配置されるラックギアと、
そのラックギアと組み合わされるピニオンギアと、
そのピニオンギアの回転角度を検出するエンコーダと、を有し、
ピニオンギアの前記回転角度から、配置された部位の、金型取付面間の距離を算出可能であることが好ましく、他の型厚測定手段としては、配置された部位の、金型の金型取付面間の距離を測定可能な非接触式距離センサであっても良い。
前者は、上型が取り付けられ、上下移動する可動盤と、上下移動しないタイバーの上下端を固定する固定部材(可動盤下方でタイバーの下端を固定する固定盤、または、可動盤上方でタイバーの上端を固定するシリンダプラテン)との間に直接配置される機械的型厚測定手段である。可動盤及び固定盤間、あるいは、可動盤及びシリンダプラテン間のいずれにラックギアを配置させるか、あるいは、固定盤、可動盤及びシリンダプラテンのいずれに、同ラックギアに組み合わされるピニオンギアを配置させるかは、状況に応じて適宜選択されれば良い。このような機械的型厚測定手段は、上型と下型との金型合わせ面の隙間の微小な変化の検出・測定に有効である。これに対して、後者のような非接触式距離センサ、例えば、赤外線や超音波やレーザーを使用する距離センサは、前者に比べて部品点数が少なく取り付けが容易なため、型厚測定手段を多く配置させて、下型に対する上型の平行度をより精度よく確認したい場合等に有効である。これら両者の長所を活かすために、前者の機械的型厚測定手段を主測定手段とし、後者の非接触式距離センサを数多く配置させて副測定手段として組み合わせても良い。
更に、上記のような竪型鋳造機の竪型締装置を使用することを前提に、本発明の上記目的は、鋳造開始前の冷間状態における、上型を下型に型合わせさせた状態の型厚1と、鋳造開始後の熱間状態における、上型を下型に型合わせさせた状態の型厚2とを、型厚測定手段毎に比較し、少なくとも1つの型厚測定手段において、型厚1及び型厚2の差異Aが、金型合わせ面から溶湯が漏れ出さない金型合わせ面の隙間に維持する基準として予め設定した型厚許容範囲Bから逸脱する点を型締力補正開始点1とし、
その型締力補正開始点1において、差異Aが型厚許容範囲Bから逸脱した型厚測定手段の最近傍の型締力発生手段の型締力を、型締力補正開始点1における型締め昇圧カーブに準じた型締力に対して、金型の熱膨張以外の要因による装置の異常と判断させる基準として予め設定した型締力調整範囲C内で増減させて、
型締力補正開始点1において、型厚許容範囲Bから逸脱した差異Aを、少なくとも充填中の型締め昇圧確認の位置までに型厚許容範囲Bに維持させる型締制御方法によっても達成される。
すなわち、鋳造開始前の冷間状態における、上型を下型に型合わせさせた状態の型厚1と、鋳造開始後の型厚2とを型厚測定手段毎に比較・監視することにより、金型の熱膨張で上型が下型に対して斜めに傾いた状態で金型合わせ面の隙間が不均等に増加し、その結果、型合わせ状態の金型の型厚が不均等に増加する場合でも、不均等な型厚に準じて、最近傍の型締力発生手段の型締力を個別に制御して、型厚を型厚許容範囲Bに維持させ、下型と上型との金型合わせ面の隙間の増加を防止すると共に、結果的に、下型に対する上型の平行度を維持させることができる。先に説明したように、この型締力発生手段は、型締シリンダとは異なる型開閉シリンダを、型締力を発生させる補助アクチュエータとして活用しても良いし、タイバー毎に配置・構成される型締シリンダによる型締力を直接制御しても良い。いずれのシリンダであっても、型締力の増減は、後述する理由により、型締力補正開始点1における型締力昇圧グラフに準じた型締力に対して、予め設定した型締力調整範囲C内で増減させることが好ましい。
また、この型締制御方法においては、型厚測定手段毎の差異Aを比較し,型厚測定手段の2箇所の差異Aの差異Dが、下型に対する上型の平行度を直接制御して金型合わせ面からの湯こぼれやバリ吹きを防止する基準として予め設定した型厚差許容範囲Eから逸脱する点を型締力補正開始点2とし、
型締力補正開始点2において、差異Dが型厚差許容範囲Eから逸脱した2箇所の型厚測定手段の最近傍の型締力発生手段の型締力を、型締力補正開始点2における型締め昇圧カーブに準じた型締力に対して、予め設定した型締力調整範囲C内でそれぞれ増減させて、
型締力補正開始点2において、型厚差許容範囲Eから逸脱した差異Dを、少なくとも充填中の前記型締め昇圧確認の位置までに、型厚差許容範囲Eに維持させても良い。
すなわち、型厚測定手段の差異Aを比較するだけでなく、型厚測定手段毎の差異Aの差異Dを比較することにより、積極的に、下型に対する上型の平行度を維持させることができる。
尚、型締力を減ずるケースとしては、特定の型厚測定手段の差異Aのみが、他の型厚測定手段の差異Aよりも際立って大きい場合等が想定される。例えば、金型キャビティの配置により、型厚測定手段近傍の金型合わせ面の面積(金型キャビティとしての空間がなく、上型及び下型双方の金型合わせ面が直接接触する面積)が異なる場合、同じ型締力を付与させても、先に説明した理由により、金型合わせ面の面積が少ない部位の方が、多い部位よりも差異Aが少なくなる。このような、金型合わせ面の面積のアンバランスにより、金型合わせ面の面積が少ない部位に付与させた型締力により、金型取付面の中心点対称の位置にある部位の差異Aを増加させている場合がある。このような場合、その特定の型厚測定手段の最近傍の型締力発生手段の型締力のみを増加させるのではなく、その特定の型厚測定手段と、金型取付面の中心点対称の位置にある、別の型厚測定手段の最近傍の型締力発生手段の型締力を減じた上で、その特定の型厚測定手段の最近傍の型締力発生手段の型締力を増加させた方が、該当する差異Aの減少に有効である。
ここで、上記の型締制御方法においては、型締力発生手段の型締力を型締力調整範囲C内で増減させても、少なくとも充填中の型締め昇圧確認の位置までに差異Aが型厚許容範囲Bに維持されない場合、溶湯の充填を停止させることが好ましい。
連続鋳造の熱膨張による金型の金型合わせ面の隙間の増加量は、机上の計算やCAE解析や経験で想定でき、この想定される隙間の増加に対して、必要な型締力の増減量も想定できる。そのため、型締め昇圧カーブに準じた型締力に対して、型締力発生手段で増減させる型締力調整範囲Cを予め設定しておくことが好ましい。これは、想定される隙間の増加に対して、これを型厚許容範囲Bに維持させるのに必要と想定される型締力を増減させても、その隙間が型厚許容範囲Bに維持されない場合を、金型の熱膨張以外の要因による装置の異常と判断させる基準を設けるものである。このような装置の異常としては、金型合わせ面へのアルミカスや鋳造品の破片等、コンタミの進入や、可動盤とタイバーとの摺動部のブッシュ、あるいは、タイバー毎に型締シリンダが配置されている形態においては、型締シリンダとタイバーとの摺胴部のブッシュ等の磨耗による、可動盤の下降動作の際のビビリによって、金型合わせ面の隙間が予想を超えて増加している可能性が考えられる。このように、型締力調整範囲Cを予め設定して、装置異常と判断した場合に金型キャビティへの溶湯の充填を停止させることにより、金型や型締装置の破損を防止することができる。
本発明に係る、竪型鋳造機の竪型締装置は、上型と下型とからなる金型の、上型を下型に型合わせさせた状態から、その金型内に形成される金型キャビティへの溶湯の充填を開始させ、
金型キャビティ内の溶湯が、金型の金型合わせ面に到達する前に、予め設定した型締め昇圧カーブに基づき、金型への型締力の付与を開始させ、設定型締力まで昇圧させる二段型締制御方法が行われる竪型鋳造機の竪型締装置において、
金型取付盤の金型取付面の中心点から離間させて複数配置され、個々の型締力を個別に制御可能な型締力発生手段と、
金型取付盤の金型取付面の中心点対称の少なくとも2箇所に配置され、配置された部位の金型の型厚を測定可能な型厚測定手段と、
を有する構成により、金型の熱膨張により、上型が下型に対して斜めに傾いた状態で金型合わせ面の隙間が不均等に増加し、その結果、型合わせ状態の金型の型厚が不均等に増加する場合でも、金型の型厚の増加の防止と、下型に対する上型の平行度を維持させる型締制御とを容易にするものである。また、金型の金型取付面の中心点対称の少なくとも2箇所に配置され、配置された部位の金型の型厚を測定可能な型厚測定手段により、下型に対する上型の平行度の確認が容易になる。
また、本発明に係る、竪型鋳造機の竪型締装置を使用する型締制御方法は、鋳造開始前の冷間状態における、上型を下型に型合わせさせた状態の型厚1と、鋳造開始後の熱間状態における、上型を下型に型合わせさせた状態の型厚2とを、型厚測定手段毎に比較し、少なくとも1つの型厚測定手段において、型厚1及び型厚2の差異Aが、予め設定した型厚許容範囲Bから逸脱する点を型締力補正開始点1とし、
その型締力補正開始点1において、差異Aが型厚許容範囲Bから逸脱した型厚測定手段の最近傍の型締力発生手段の型締力を、型締力補正開始点1における型締め昇圧カーブに準じた型締力に対して、予め設定した型締力調整範囲C内で増減させて、
型締力補正開始点1において、型厚許容範囲Bから逸脱した差異Aを、少なくとも充填中の型締め昇圧確認の位置までに型厚許容範囲Bに維持させる型締制御方法により、金型の熱膨張により、上型が下型に対して斜めに傾いた状態で金型合わせ面の隙間が不均等に増加し、その結果、型合わせ状態の金型の型厚が不均等に増加する場合でも、不均等な型厚に準じて、最近傍の型締力発生手段の型締力を個別に制御して、型厚を型厚許容範囲に維持させることにより、下型と上型との金型合わせ面の隙間の増加を防止すると共に、結果的に、下型に対する上型の平行度を維持させることができる。
本発明の実施例1に係る、竪型鋳造機の竪型締装置の側面図である。図3のA矢視図でもある。 本発明の実施例1に係る、竪型鋳造機の竪型締装置の正面図である。図3のB矢視図でもある。 図2のC矢視図(平面断面図)である。 本発明の実施例1に係る、竪型鋳造機の竪型締装置の型厚測定手段の説明図である。 本発明の実施例2に係る、竪型鋳造機の竪型締装置の正面図である。 図5のE及びF矢視図(平面図)である。 図6のG矢視図(断面図)である。 一般的な竪型鋳造機の竪型射出装置上端部分及び金型の概略断面図である。 二段型締制御方法における射出変位と型締め昇圧の関係図である。 本発明の実施例1に係る型締制御方法の型締力補正開始点1及び型締力調整範囲Cの説明図である。
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1乃至図4及び図10を参照しながら本発明の実施例1に係る竪型鋳造機の竪型締装置及びその型締制御方法を説明する。竪型締装置50の下方には、下型60が取り付けられる固定盤51が架台51aを介して基礎に固定されている。また、固定盤51には、4本のタイバー54の下端が固定されている。そして、タイバー54の上端はシリンダプラテン53に固定されている。一方、シリンダプラテン53の上方の中心には、型締ラムシリンダ55のラムシリンダボディ55aが形成されている。
次に、固定盤51及びシリンダプラテン53の間には、上型61が取り付けられる可動盤52が、タイバー54に案内されて、上下方向に移動可能に配置されている。この可動盤52には、可動盤52の金型取付面の中心点から離間して2箇所に配置される型開閉シリンダ56のシリンダロッド56bが固定され、その型開閉シリンダ56のシリンダボディ56aのロッド側がシリンダプラテン53に固定されている。更に、可動盤52の上方には、型締ラムシリンダ55のラムシリンダロッド55bの下端が固定され、そのラムシリンダロッド55bが挿入された、シリンダプラテン53の上方のラムシリンダボディ55a内の油室55cに、図示しない油圧管路を介して所定圧力の作動油を供給させることにより、所定の型締力を発生させる。
ラムシリンダボディ55aの上方には、オイルタンク55dが配置されている。型開閉シリンダ56による可動盤52の型開閉動作時(型開閉ストロークS(エス))、油室55cとオイルタンク55dとの間の図示しない油圧管路は開放状態であり、可動盤52の下降時は、油室55cの容積増大に伴ってオイルタンク55d内の作動油が油室55cに供給され、可動盤52の上昇時は、油室55cの容積縮小に伴って油室55c内の作動油がオイルタンク55dに戻され、常時、油室55cを作動油で満たした状態が維持される。型締め時においては、この油圧管路を閉鎖させ、図示しない油圧ポンプを介した別の油圧管路からオイルタンク55dの作動油を油室55cに供給させて、所定の型締力を発生させる。
平面上の、4本のタイバー54、型締ラムシリンダ55及び型開閉シリンダ56の配置関係は図3に示すとおりである。図3は図2のC矢視図(平面断面図)である。長方形のシリンダプラテン53の四隅には、4本のタイバー54の上端がそれぞれ固定され、シリンダプラテン53の中心にラムシリンダボディ55aが形成されている。また、シリンダプラテン53の中心点(可動盤52の金型取付面の中心点と垂直軸上で一致)対称の長辺方向の両端に、型締シリンダ56のシリンダボディ56aのロッド側が固定され、型厚測定手段57が、同じくシリンダプラテン53の中心点対称で、且つ、型開閉シリンダ56から若干短辺方向に離間させた2箇所に配置されている。尚、図3に示す型厚測定手段57は、図を見易くするために、図1及び図2での図示は割愛した。
下型60に対する上型61の平行度を維持させる型締制御において、型開閉シリンダ56や型厚測定手段57の理想的な配置は、実施例1のように、可動盤52の金型取付面の中心点から離間して、且つ、同中心点対称の2箇所(1組)のみへ配置するだけでなく、もう2箇所(1組)、すなわち、図3で型開閉シリンダ56や型厚測定手段57が配置されていない長辺側に配置させるものである。同様に、タイバー54近傍の対角線上に2組(4箇所)配置させても良い(このような配置については、後述する実施例2の図6(a)を参照されたい)。しかしながら、竪型鋳造機のサイズや製作コストによっては、実施例1のように、型開閉シリンダ56や型厚測定手段57を、可動盤52の金型取付面の中心点から離間して、且つ、同中心点対称の2箇所(1組)のみへ配置させざるを得ない場合がある。このような場合は、図3に示す型厚測定手段57のように、型開閉シリンダ56や型厚測定手段57を、シリンダプラテン53の中心点を通る、長辺方向及び短辺方向のいずれか一方の中心線から他方の中心線方向に若干離間させて配置させたり、先に説明したような、非接触式距離センサを、副測定手段として配置させたりすることにより、長辺及び短辺方向のいずれの傾きにも対応可能にすることが好ましい。
次に、図4を参照しながら、型厚測定手段57について説明する。図4は、本発明の実施例1に係る、竪型鋳造機の竪型締装置の型厚測定手段の説明図である。図4(a)が型厚測定手段の正面図、図4(b)が図4(a)のD矢視図、図4(c)が図4(b)のP部詳細図である。
平板状のラックギア57aの下端が可動盤52の側面に固定され、同上端側がシリンダプラテン53の側面に配置されたラックギアガイド57bを介して上下方向に移動可能に配置されている。また、ラックギア57aに組み合わされるピニオンギア57cが、同じくシリンダプラテン53の側面に配置されたピニオンギアサポート57dを介して回転可能に支持されている。そして、ピニオンギアサポート57dに回転可能に支持されているピニオンギア57cの図示しない回転軸に、ピニオンギア57cの回転角度を検出可能なエンコーダ57eの入力軸が直接接続される。エンコーダ57eは、ピニオンギア57cの回転軸の回転運動以外の負荷が、エンコーダ57eの入力軸に作用しないように、エンコーダサポート57fを介してシリンダプラテン53の側面に配置されている。
図4(a)に示すように、鋳造開始前の冷間状態において、上型61を下型60に型合わせさせる。可動盤52の下降に準じて、ラックギア57aもピニオンギア57cを回転させながら下方に移動する。この時、金型は冷間状態であるため、上型61及び下型60が型合わせ状態となった時のこれら金型の金型合わせ面の隙間は、金型の製作仕様に準じた適切な値である。実際に金型合わせ面の隙間自体を精度よく測定することは困難であるため、この時(冷間状態)の金型の型厚を基準値(型厚1)としてエンコーダ57eを原点設定させ、図示しない制御装置に記憶させる。そして、鋳造開始後の金型の型厚を型厚測定手段57による監視値(型厚2)とし、型厚1と鋳造サイクル毎の型厚2との差異Aを、金型の熱膨張による金型合わせ面の隙間の増加量とみなす。
鋳造が繰り返されることにより、金型は熱膨張し金型合わせ面の隙間が増加する。その結果、先に説明したように、上型61を下型60に型合わせさせた状態の型厚2は徐々に増加する。この型厚の増加、すなわち差異Aは、図4(c)に示すように、型厚1の状態と比較して、ラックギア57aが上方に移動し、ピニオンギア57cが右回転することにより、エンコーダ57eの入力軸の回転角度として、図示しない制御装置において算出される。このように算出される型厚測定手段57近傍の型厚の増加量を、予め制御装置に記憶させておく型厚許容範囲Bと比較させる。尚、型厚許容範囲Bは、上型61及び下型60の型合わせ状態において、金型キャビティ内に充填された溶湯の湯面が金型合わせ面を超えた場合に、金型合わせ面から溶湯が漏れ出す程度に金型合わせ面の隙間が増加した状態の金型の型厚や、後述する型締力調整範囲C内の型締め与圧の付与により、金型合わせ面から溶湯が漏れ出さない程度の金型合わせ面の隙間に維持可能な、金型の最大型厚等を適宜採用して決定されれば良い。
この差異A及び型厚許容範囲Bの比較は、型厚測定手段57毎に行なわせ、図9に示す型合わせ位置(射出スタート)から、竪型射出装置のプランジャ位置(もしくは金型キャビティ内の溶湯の湯面上昇位置)が、少なくとも型締め昇圧確認(所定位置2)に到達するまで、好適には設定型締力到達時まで継続させる。金型の金型合わせ面の隙間が増加して型厚が増加したとしても、その増加量が少なければ、図9に示す型締め昇圧スタート後、設定型締力まで型締め昇圧カーブに準じて、漸次昇圧される型締力(型締め与圧)が、型締ラムシリンダ55によって金型に付与されることにより、その金型合わせ面の隙間(型厚)は、型締め昇圧確認(所定位置2)に到達するまでに型厚許容範囲Bに維持される。この状況においては、プランジャの上昇(もしくは金型キャビティ内への溶湯の充填)を中断させる必要はない。
しかしながら、型厚の増加量が増え、型締め昇圧確認(所定位置2)に到達するまでに、型締ラムシリンダ55によって金型に付与される型締め与圧によっても型厚許容範囲Bに維持されないような状況になれば、プランジャの上昇(もしくは金型キャビティ内への溶湯の充填)が中断されてしまう。そこで、差異Aが型厚許容範囲Bを超えるような状態が生じれば、その点を型締力補正開始点1とし、本実施例1に係る型締制御方法を実行させる。
本実施例1に係る型締制御方法においては、少なくとも1つの型厚測定手段57において、型締力補正開始点1の発生が認識されると、その型厚測定手段57の最近傍の型開閉シリンダ56(型締力発生手段)を型閉じ方向(場合によっては型開き方向)に駆動させ、その型厚測定手段57の近傍の金型に、型締ラムシリンダ55による型締力(型締め与圧)とは別の型締力(型締め与圧)を付与させる。通常、型合わせ後の射出充填工程及び型締工程中、型締めによる金型の型厚の変化等によって型締シリンダ56に外力が加わらないように、型開閉シリンダ56への油圧管路は開放状態である。そのため、型締力補正開始点1の発生後、該当する型開閉シリンダ56のシリンダロッド56bの下降側(実施例1においてはシリンダボディ56aのヘッド側)に所定の圧力(型締め与圧)の作動油を供給させる。先に説明したように、本実施例1においては、2個の型開閉シリンダ56は個別に型締力(型開閉力)が制御可能に構成されているため、このような制御が可能になる。
ここで、該当する型開閉シリンダ56の下降側に発生させる型締力(型締め与圧)は、図10に示すように、例えば、型締力補正開始点1における型締め昇圧カーブに準じた型締力K(型締め与圧)に対して、予め設定した型締力調整範囲C内で増加させることが好ましい。この型締力調整範囲Cは、先に説明したように、金型の熱膨張以外の要因による装置の異常と判断させる基準を設けるものであって、机上の計算やCAE解析や経験で想定できるものである。図10においては、理解を容易にするために、型締力調整範囲Cを型締め昇圧カーブを単純に上下に平行移動させたものとして図示したが、その上限や下限を示すカーブが、型締め昇圧カーブと異なっても良く、装置の異常と判断させる基準という観点から適宜設定されれば良い。尚、型開閉シリンダ56に発生させる型締力に関して、型締力補正開始点1における型締め昇圧カーブに準じた型締力(型締め与圧)に対して、予め設定した型締力調整範囲C内で減少させるケースもあることも先に説明したとおりである。
また、この制御は、型締力補正開始点1の発生が認識された型厚測定手段57の最近傍の型開閉シリンダ56のみで独立して行われる。本実施例1では、型開閉シリンダ56及び型厚測定手段57が、可動盤52の金型取付面の中心点から離間して、且つ、同中心点対称の2箇所(1組)へ配置されているので、いずれか一方の型厚測定手段57のみで型締力補正開始点1の発生が認識されれば、その最近傍の型開閉シリンダ56のみで所定の型締め与圧を付与させ、型厚を型締め昇圧確認(所定位置2)に到達するまでに型厚許容範囲Bに維持させる。また、両方の型厚測定手段57で型締力補正開始点1の発生が認識されれば、それぞれの最近傍の型開閉シリンダ56で独立して所定の型締め与圧を付与させる。両方の型厚測定手段57における差異Aが異なれば、型締力補正開始点1における型締め与圧に準じた型締力調整範囲C内で、異なる型締め与圧を付与させる制御であっても良い。更に、図9に示す型合わせ位置(射出スタート)において、差異Aが型厚許容範囲Bを逸脱していれば、型締力補正開始点1が認識され、本実施例1に係る型締制御方法が実施される。
このように、本実施例1に係る型締制御方法は、型厚測定手段57と組み合わされる最近傍の型開閉シリンダ56毎に独立して型締め与圧の制御が行われ、金型の該当する部位の型厚を、型締め昇圧確認(所定位置2)に到達するまでに型厚許容範囲Bに維持させるため、金型合わせ面の隙間の増加を防止して、二段型締制御方法が行われる竪型鋳造機の竪型締装置において、型締め昇圧確認時に、実測型締め与圧を昇圧確認型締力に到達させることができる。また、下型に対する上型の平行度を維持させるため、金型合わせ面からの湯こぼれやバリ吹きを防止することができる。
尚、本実施例1においては、型厚測定手段57に関して、ラックギア57aを可動盤52及びシリンダプラテン53間に配置させ、これと組み合わせるピニオンギア57c及びエンコーダ57eをシリンダプラテン53に配置させたが、ピニオンギア57c及びエンコーダ57eを可動盤52に配置させても良い。また、ラックギア57aを可動盤52及び固定盤51間に配置させ、ピニオンギア57c及びエンコーダ57eを可動盤52もしくは固定盤51に配置させても良い。
次に、図5乃至図7を参照しながら本発明の実施例2に係る竪型鋳造機の竪型締装置及びその型締制御方法を説明する。実施例2が実施例1と異なる点は、竪型鋳造機の竪型締装置において、金型取付盤の金型取付面の中心点から離間させて複数配置される型締力発生手段が、実施例1のような型開閉シリンダではなく、タイバー毎に配置された型締シリンダである点である。また、型締制御方法において、実施例1のような、差異Aを型厚許容範囲Bに維持させる型締め与圧の制御に加えて、型厚測定手段毎の差異A間の差異Dを型厚差許容範囲Eに維持させる型締め与圧の制御が行われる点である。竪型締装置や型締制御方法の他の点については基本的に実施例1と同じであるため、実施例1と同じ構成要件については同じ符号を採用し、実施例1との相違点についてのみ説明する。
図5は、本発明の実施例2に係る、竪型鋳造機の竪型締装置の正面図である。竪型締装置50’の下方には、下型60が取り付けられる固定盤51が架台51aを介して基礎に固定されている。また、固定盤51には、4本のタイバー54の下端が固定されている。そして、タイバー54の上端はシリンダプラテン53’に固定されている。固定盤51及びシリンダプラテン53’の間には、上型61が取り付けられる可動盤52が、タイバー54に案内されて、上下方向に移動可能に配置されている。この可動盤52の、固定盤51と対向する面に、型開閉シリンダ56のシリンダロッド56bが固定され、その型開閉シリンダ56のシリンダボディ56aのヘッド側が固定盤51の可動盤52と対向する面に固定されている。
平面上の、4本のタイバー54及び型開閉シリンダ56の配置関係は図6(a)に示すとおりである。図6(a)は図5のE矢視図(平面図)である。長方形の固定盤51の四隅には、4本のタイバー54の下端がそれぞれ固定され、4本のタイバー54の外側4箇所にそれぞれ型開閉シリンダ56が配置されている(2組4個)。更に、4本のタイバー54の外側4箇所にそれぞれ型厚測定手段57が配置されている(2組4個)。これは、実施例1に対して、型開閉シリンダ56及び型厚測定手段57をそれぞれ1組(2個)多く配置させたもので、このような、型開閉シリンダ56及び型厚測定手段57の、可動盤52の金型取付面の中心点から離間して、且つ、同中心点対称の4箇所(2組)への配置は、実施例1の形態における理想的な配置である。
一方、実施例1と異なり、図6(a)に示す型厚測定手段57は、可動盤52及び固定盤51間に配置されている。実施例2における型厚測定手段57の詳細な図示は割愛したが、具体的には、ラックギア57aの下端が固定盤51の側面に固定され、同上端側が可動盤52の側面に配置されたラックギアガイド57bを介して上下方向に移動可能に配置されている。ピニオンギア57c及びエンコーダ57eは固定盤51の側面に配置されている。これら型厚測定手段57については、配置を除けばその構成は基本的に実施例1(図4)と同じであるため、上記配置の理解には実施例1の図4を参照されたい。尚、実施例2においても、図を見易くするために、型厚測定手段57の図5での図示は割愛している。
次に、本発明の実施例2に係る、竪型鋳造機の竪型締装置の構成要件上、実施例1との最大の相違点である、タイバー54毎に配置された型締シリンダ58について、図6(b)及び図7を参照しながら説明する。図6(b)に示すように、実施例2の竪型締装置50’においては、4本のタイバー54毎に型締シリンダ58が配置されている。図6(b)は図5のF矢視図(平面図)である。また、図7は図6(b)のG矢視図(断面図)である。
型締シリンダ58は、図7に示すように、基本的に、型締ピストン58aと係合手段59と、型締ピストン58aが挿入される可動盤52の内部と型締ピストン58aとの間に形成される上方油室58b及び下方油室58cとで構成される。型締ピストン58aは、タイバー54が貫通すると共に、タイバー54の軸心方向に摺動可能である(逆に言えば、型締ピストン58aの長手方向にタイバー54が摺動可能である)。そして、その略中心に大径部58dが形成され、型締ピストン58aを可動盤52の内部に挿入した状態で、大径部58dの上方に上方油室58bが、下方に下方油室58cが形成される。型締ピストン58aの上端は可動盤52の上面から突出させており、この突出端部に係合手段59が配置される。
上型61を下型60に型合わせさせた状態で、型締ピストン58aを貫通するタイバー54の、係合手段59の領域を貫通する外周面の所定範囲には、連続する凹凸が加工された係合溝部54aが形成されている。係合溝部54aの凸部外径は、係合溝部54aが形成されていないタイバー54の外径を超えることはなく、型締ピストン58a及び貫通するタイバー54の相対的な摺動に何ら問題はない。そして、型締ピストン58aの上端の突出端部に配置された係合手段59は、タイバー54の係合溝部54aの連続する凹凸と組み合わされる凹凸が加工された可動係合溝部59aと、可動係合溝部駆動手段59bと、これらが配置される基部59cとで構成される。図7においては、タイバー54の係合溝部54aに対向するように配置されている可動係合溝部59aを、可動係合溝部駆動手段59bにより前進・後退させることにより、係合溝部54a及び可動係合溝部59aの、係合及び係合の解除を行わせることができる。
尚、係合手段59の形態は上記形態に限定されるものではない。例えば、タイバー54の係合溝部54aを、係合手段59近傍の全周に連続する凹凸やねじ加工とし、これに組み合わされる凹凸がその内周全周に加工されたナット状部材をその内径中心で2分割したものを可動係合溝部59aとする。この分割面の一方をヒンジで連結し、リンク構造等を介して1つの可動係合溝部駆動手段59bにより他方を開閉させてC状に開放可能に構成させても良い。このような構造は、トグル式型締装置を備える横型鋳造機のエンドプラテン(リンクハウジング等とも呼称する)の位置決め機構(ナット分割装置、あるいは、ハーフナット等とも呼称される)として採用されている。
次に、図7を参照しながら、型締シリンダ58の動作を説明する。図7において、係合手段59の右側が、係合溝部54a及び可動係合溝部59aを係合させた状態を示し、左側がそれらの係合を解除させた状態を示す。上型61を下型60に型合わせさせるために、型開閉シリンダ56により可動盤52を下降させる際には、係合溝部54a及び可動係合溝部59aの係合を解除させた状態(図7の係合手段59の左側)で可動盤52を下降させる。この時、型締シリンダ58の上方油室58b及び下方油室58cへの図示しない油圧管路を閉じておけば、型締ピストン58a及び係合手段59の可動盤52に対する移動は抑制され、型締ピストン58a、係合手段59及び可動盤52を一体で下降させることができる。
上型61を下型60に型合わせさせた後、係合手段59の可動係合溝部59aを可動係合溝部駆動手段59bにより前進させて、係合溝部54a及び可動係合溝部59aを係合させる(図7の係合手段59の右側)。ここで、係合溝部54a及び可動係合溝部59aを係合させる前に、上型61を下型60に型合わせさせた状態で、型厚測定手段57により金型の型厚を確認することが好ましい。これは、金型合わせ面へのアルミカスや鋳造品の破片等、コンタミの進入や、図示しない摺動部のブッシュ等の磨耗による可動盤下降動作のビビリにより、本来の型合わせ位置よりも上型61が上方にある状態で型締力を付与させることを防止するためである。
係合溝部54a及び可動係合溝部59aを係合させた状態(図7の係合手段59の右側)において、型締ピストン58aは係合手段59を介してタイバー54と一体化される。この状態において、型締シリンダ58の上方油室58bへの図示しない油圧管路を開放すると共に、下方油室58cへ図示しない油圧管路を介して所定圧力の作動油を供給させれば、例えば、タイバー54と一体化された型締ピストン58aを基準に、可動盤52の金型取付面は2点鎖線に示す位置まで下降し、供給させた作動油の所定圧力及びこの状態におけるタイバー54の伸び量に準じた型締力が上型61及び下型60に付与される。本実施例2において、型締シリンダ58の上方油室58b及び下方油室58cへの油圧制御が、型締シリンダ58毎にできることは言うまでもない。
このように、タイバー54毎に型締シリンダ58が配置される竪型締装置50’において、実施例1のような、型厚測定手段57と組み合わされる最近傍の型締力発生手段(本実施例2においては型締シリンダ58)毎に独立して型締め与圧の制御が行われれば、可動盤52の四隅に配置された型締シリンダ58により、それぞれの型締力を個別に設定型締力まで制御できるので、型開閉シリンダ56を、型締力を増減させる補助アクチュエータとして活用する実施例1の形態より、金型の型厚の増加の防止と、下型60に対する上型61の平行度を維持させる型締制御(型締め与圧制御)と、が更に容易になる。尚、本実施例2に係る型締制御方法の、実施例1に係る型締制御方法と重複する部分については、構成要件である型締力発生手段の相違(実施例1:型開閉シリンダ56、実施例2:型締シリンダ58)しかないため、詳細な説明は割愛する。
本実施例2においては、上記の型締め与圧制御の高い制御性を活かして、型厚測定手段57毎の型厚の差異Aを比較するだけでなく、型厚測定手段57毎の差異Aの差異Dを比較する。
具体的には、隣り合う2箇所の型厚測定手段57の差異Aの差異D、あるいは、可動盤52の金型取付面の中心点対称の2箇所の型厚測定手段57の差異Aの差異Dを、予め制御装置に記憶させておく型厚差許容範囲Eと比較させる。この型厚差許容範囲Eは型厚保許容範囲Bとは異なり、下型60に対する上型61の平行度を直接制御する許容範囲である。そのため、隣り合う2箇所の型厚測定手段57の差異Aの差異Dと、同垂直軸対称の2箇所の型厚測定手段57の差異Aの差異Dとで、異なる範囲を設定させても良い。
そして、差異Aと型厚許容範囲Bとの比較と平行して、差異Dと型厚差許容範囲Eとの比較を行い、差異Dが型厚差許容範囲Eを超えるような状態が生じれば、その点を型締力補正開始点2とし、本実施例2に係る型締制御方法を実行させる。型締力補正開始点2の発生が認識されると、その差異Dに関連する2箇所(1組)の型厚測定手段57それぞれの最近傍の型締シリンダ58(型締力発生手段)に発生させている型締力(型締め与圧)を、型締力補正開始点2における型締め昇圧カーブに準じた型締力(型締め与圧)に対して、予め設定した型締力調整範囲C内で増減させる。尚、実施例1と同様に、図9に示す型合わせ位置(射出スタート)において、差異Dが型厚差許容範囲Eを逸脱していれば、型締力補正開始点2が認識され、本実施例2に係る型締制御方法が実施される。
この差異Dを型厚差許容範囲Eに維持させることは、1箇所の型厚測定手段57の冷間状態と鋳造状態との金型の型厚の差異である差異Aを型厚許容範囲Bに維持させることとは異なる。すなわち、2箇所の型厚測定手段57の差異Aについての差異の解消であるため、大きい方の差異Aの減少(型締め与圧の増加)と合わせて、小さい方の差異Aの増加(型締め与圧の減少)が制御上有効である。後者においては、該当する型厚測定手段57の最近傍の型締シリンダ58の型締め与圧を減少させることによる差異Aの増加を型厚許容範囲B内に維持させつつ、これら制御が行われる。
このように、本実施例2に係る竪型鋳造機の竪型締装置及び型締制御方法は、実施例1と同様に、型厚測定手段57毎の差異Aの監視により、金型の熱膨張による型厚の増加、すなわち、金型合わせ面の隙間の増加の防止が容易になり、二段型締制御方法が行われる竪型鋳造機の竪型締装置において、型締め昇圧確認時に、実測型締め与圧を昇圧確認型締力に容易に到達させることができる。また、差異Aの差異Dの監視により、積極的に、下型に対する上型の平行度を維持させるため、金型合わせ面からの湯こぼれやバリ吹きを容易に防止することができる。
尚、差異Dを型厚差許容範囲Eに維持させるこのような型締め与圧の制御は、実施例1のような、型締力発生手段が型開閉シリンダ56である形態であっても可能であり、本実施例2のように、型開閉シリンダ56及び型厚測定手段が2組(4個)配置されている形態であれば更に好適である。また、実施例2の形態において、差異Aや差異Dに関する型締め与圧の制御を、型開閉シリンダ56により行うことも可能である。この場合、差異A及び差異Dに関する型締め与圧の制御を、型開閉シリンダ56と型締シリンダ58とでそれぞれ分担させて行わせれば、型締め与圧の制御性の更なる向上が期待できる。
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく色々な形で実施できる。例えば、竪型鋳造機には、シャトル式等と呼称される、射出装置を備えた竪型締装置と型開閉装置とが独立した鋳造機がある。具体的には、1箇所の型締専用の竪型締装置内に、金型が取り付けられた金型取付盤及び同盤の開閉手段を備えた複数の型開閉装置を、レール等を介して交互に搬入することができる構成の竪型鋳造機である。竪型締装置内には、金型を型合わせ状態にさせた型開閉装置を搬入し鋳造を行わせ、その竪型締装置外では、その前の鋳造サイクルで竪型締装置内に搬入させ鋳造を行わせていた別の型開閉装置を、レールを介して竪型締装置外へ搬出させ、型開きさせた後、鋳造品を型外へ搬出すると共に、型開き状態の金型の金型キャビティに離型剤を塗布したり、インサート部品をセットしたりして、次の鋳造に備える。このように、シャトル式竪型鋳造機では、鋳造と、鋳造前後の製品取り出しや離型剤塗布等とを平行して行うことができる。
このようなシャトル式竪型鋳造機の型締シリンダが、実施例1のような型締ラムシリンダの形態や、実施例2のようにタイバー毎に配置された型締シリンダの形態のいずれであっても、シャトル式竪型鋳造機における本発明に係る型締制御方法の実施に問題はない。
50 竪型締装置
50’ 竪型締装置
51 固定盤
52 可動盤
54 タイバー
56 型開閉シリンダ
56a シリンダボディ
56b シリンダロッド
57 型厚測定手段
57a ラックギア
57c ピニオンギア
57e エンコーダ
58 型締シリンダ
58a 型締ピストン
58b 上方油室
58c 下方油室
58d 大径部
59 係合手段
60 下型
61 上型

Claims (8)

  1. 上型と下型とからなる金型の、前記上型を前記下型に型合わせさせた状態から、前記金型内に形成される金型キャビティへの溶湯の充填を開始させ、
    前記金型キャビティ内の前記溶湯が、前記金型の金型合わせ面に到達する前に、予め設定した型締め昇圧カーブに基づき、前記金型への型締力の付与を開始させ、設定型締力まで昇圧させる二段型締制御方法が行われる竪型鋳造機の竪型締装置において、
    金型取付盤の金型取付面の中心点から離間させて複数配置され、個々の型締力を個別に制御可能な型締力発生手段と、
    前記金型取付盤の金型取付面の中心点対称の少なくとも2箇所に配置され、配置された部位の前記金型の型厚を測定可能な型厚測定手段と、
    を有する、竪型鋳造機の竪型締装置。
  2. 前記型締力発生手段が、型締シリンダとは別の型開閉シリンダである、請求項1に記載の竪型鋳造機の竪型締装置。
  3. 前記型締力発生手段が、タイバーを貫通させ、前記タイバーの軸心方向に摺動可能な型締ピストンと、前記型締ピストンの一端に配置され、前記型締ピストンと前記タイバーとの係合及び係合解除を行う係合手段と、前記型締ピストンが挿入される側の金型取付盤の内部空間と前記型締ピストンとの間に形成される油室と、で構成される型締シリンダである、請求項1に記載の竪型鋳造機の竪型締装置。
  4. 前記型厚測定手段が、
    前記上型が取り付けられる前記金型取付盤及び、前記タイバーの上下端のいずれか一方を固定する固定部材間に配置されるラックギアと、
    前記ラックギアと組み合わされるピニオンギアと、
    前記ピニオンギアの回転角度を検出するエンコーダと、を有し、
    前記ピニオンギアの前記回転角度から、配置された部位の、前記金型取付面間の距離を算出可能な、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の竪型鋳造機の竪型締装置。
  5. 前記型厚測定手段が、配置された部位の、前記金型取付面間の距離を測定可能な非接触式距離センサである、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の竪型鋳造機の竪型締
    装置。
  6. 鋳造開始前の冷間状態における、前記上型を前記下型に型合わせさせた状態の型厚1と、鋳造開始後の熱間状態における、前記上型を前記下型に型合わせさせた状態の型厚2とを、前記型厚測定手段毎に比較し、少なくとも1つの前記型厚測定手段において、前記型厚1及び前記型厚2の差異Aが、前記金型合わせ面から前記溶湯が漏れ出さない前記金型合わせ面の隙間に維持する基準として予め設定した型厚許容範囲Bから逸脱する点を型締力補正開始点1とし、
    前記型締力補正開始点1において、前記差異Aが前記型厚許容範囲Bから逸脱した前記型厚測定手段の最近傍の前記型締力発生手段の型締力を、前記型締力補正開始点1における前記型締め昇圧カーブに準じた型締力に対して、前記金型の熱膨張以外の要因による装置の異常と判断させる基準として予め設定した型締力調整範囲C内で増減させて、
    前記型締力補正開始点1において、前記型厚許容範囲Bから逸脱した前記差異Aを、少なくとも充填中の型締め昇圧確認の位置までに前記型厚許容範囲Bに維持させる、
    請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の竪型鋳造機の竪型締装置における、型締制御方法。
  7. 前記型厚測定手段毎の前記差異Aを比較し、前記型厚測定手段の2箇所の前記差異Aの差異Dが、前記下型に対する前記上型の平行度を直接制御して前記金型合わせ面からの湯こぼれやバリ吹きを防止する基準として予め設定した型厚差許容範囲Eから逸脱する点を型締力補正開始点2とし、
    前記型締力補正開始点2において、前記差異Dが前記型厚差許容範囲Eから逸脱した2箇所の前記型厚測定手段の最近傍の前記型締力発生手段の型締力を、前記型締力補正開始点2における前記型締め昇圧カーブに準じた型締力に対して、予め設定した前記型締力調整範囲C内でそれぞれ増減させて、
    前記型締力補正開始点2において、前記型厚差許容範囲Eから逸脱した前記差異Dを、少なくとも充填中の前記型締め昇圧確認の位置までに、前記型厚差許容範囲Eに維持させる、
    請求項6に記載の型締制御方法。
  8. 前記型締力発生手段の型締力を前記型締力調整範囲C内で増減させても、少なくとも充填中の前記型締め昇圧確認の位置までに前記差異Aが前記型厚許容範囲Bに維持されない場合、前記溶湯の充填を停止させる、請求項6及び請求項7のいずれか1項に記載の型締制御方法。
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