JP6378622B2 - 高活性セロビオヒドロラーゼ - Google Patents

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Description

本発明は、バイオリファイナリーの糖化酵素に関する。特に、向上した活性を備えるセロビオヒドロラーゼの作製方法、及び高い活性を備えたセロビオヒドロラーゼに関する。
遺伝子組換え技術により、多種多様なタンパク質の改変が行われている。酵素についても、活性を高めたり、発現量を増加させる等、酵素活性を増強する試みが行われている。酵素活性を高める手法として、アミノ酸を改変し、酵素が基質と結合する活性中心のアミノ酸に変異を導入し、高活性の酵素を選択するといった手法が取られている。
酵素の基質結合部位は、多くの場合、鍵と鍵穴状に例えられるように、ごく一部に限定されているが、セルロースなどの高分子基質に作用する酵素の中には、高分子基質がはまり込むトンネル状、又は溝状の相対的に長い基質結合部位を備えているものがあることが知られている。
セルロース鎖を端部から切断する酵素であるエキソグルカナーゼは反応生成物がセロビオースであり、セロビオヒドロラーゼと呼ばれている。セロビオヒドロラーゼの場合、活性中心が上述のようにトンネル状になっており、酵素反応により切断されたセロビオースがトンネルの反対側から出てゆくため、セロビオヒドロラーゼはセルロース鎖から離れることなく酵素反応が進んでいく。
セロビオヒドロラーゼの酵素活性を向上させる試みは、これまでにも行われており、すでにいくつかの変異体が報告されている。特許文献1はタラロマイセス(Talaromyces)、特許文献2はファネロキーテ(Phanerochaete)由来のセロビオヒドロラーゼの変異体に関するものである。
米国特許第8790894号明細書 特開2010−046034号公報
しかしながら、バイオリファイナリーの分野ではより効率の高い酵素が求められており、上記従来技術では活性向上効果が不十分である。したがって、より活性の高いセロビオヒドロラーゼ変異体を作製する必要がある。
さらに、セロビオヒドロラーゼのように高分子基質を保持しながら触媒反応を行うプロセッシブ酵素は、広範囲にわたる部位が基質結合部位となっているため、その効果を検討されていないアミノ酸が多数残されている。そこで、未検討のアミノ酸箇所の置換効果を調べ、より高い活性を備えたセロビオヒドロラーゼを得ることを課題とする。
本発明の向上した活性を備えたセロビオヒドロラーゼを作製する方法は、配列番号1で表されるセロビオヒドロラーゼのN末から62番目のアミノ酸であるアスパラギン、又はグリコヒドロラーゼファミリーのGH7に分類されるセロビオヒドロラーゼにおける、配列番号1の62番目の位置に相当する位置のアスパラギンをアラニンに置換することによりセロビオヒドロラーゼの活性を向上させることを特徴とする。
タンパク質の機能に影響を与える部位を特定する方法の一つであるアラニンスキャンニングを用いて解析を行ったところ、配列番号1で表されるセロビオヒドロラーゼの62番目のアミノ酸であるアスパラギンをアラニンに置換することにより、高い活性を備えたセロビオヒドロラーゼを得ることができた。当該アミノ酸残基はセロビオヒドロラーゼのトンネル構造内に位置する。したがって、配列番号1で表されるセロビオヒドロラーゼに相同性を有するセロビオヒドロラーゼであれば、当該位置と同等の位置のアスパラギンをアラニンに置換することによって同様に高い活性を備えたセロビオヒドロラーゼを得ることができるものと推認される。
また、本発明の向上した活性を備えたセロビオヒドロラーゼは、配列番号1で表されるセロビオヒドロラーゼのN末から62番目のアミノ酸であるアスパラギン、又はグリコヒドロラーゼファミリーのGH7に分類されるセロビオヒドロラーゼにおける、配列番号1の62番目の位置に相当する位置のアスパラギンをアラニンに置換した変異を含むことを特徴とする。
配列番号1で表される配列の62番目のアスパラギンをアラニンに置換したセロビオヒドロラーゼは、高い活性を備えている。したがって、62番目のアスパラギン、あるいは該位置に相当するアスパラギンをアラニンに置換した変異体や、当該置換を含み、さらに酵素活性が増強することが知られているアミノ酸置換と組み合わせることにより、より高い活性を備えたセロビオヒドロラーゼを得ることができる。
本発明の向上した活性を備えたセロビオヒドロラーゼの配列は、配列番号2で表されるものであることを特徴とする。
配列番号2で表されるセロビオヒドロラーゼは野生型の酵素と比較して12倍の比活性を有する。
セルビオヒドロラーゼの立体構造を模式的に示し、各アミノ酸残基の位置を示す図。 アラニンスキャンニングによるセロビオヒドロラーゼ変異体の野生型に対する相対活性比を示す図。 N末から62番目のアミノ酸を置換したことによる野生型に対する相対比活性を示す図。
セロビオヒドロラーゼは、その結晶構造がすでに知られている。セロビオヒドロラーゼが基質であるセルロースと相互作用する部位は長いループに囲まれ、トンネル構造と呼ばれている。セルロースと結合し、分解反応が起こる活性中心は、トンネル構造内に位置する。したがって、トンネル構造内のアミノ酸に変異を有する酵素を得ることにより、高活性変異体が得られるものと考えられる。
しかしながら、トンネル構造は広範囲にわたっていることから、基質と結合し、活性に影響を与えるアミノ酸についてすべてを解析することは困難である。そこで、立体構造をもとにトンネル構造内にあると予測され、さらに、基質であるセルロースの移動に対し、障害となり活性に影響を与える可能性の高いアミノ酸を選択し、アラニンスキャンニングにより解析を行うこととした。まず、変異を導入するために、セロビオヒドロラーゼ遺伝子を単離し、麹菌で発現するベクターの構築を行った。
(1)セロビオヒドロラーゼを麹菌で発現するベクターの構築
(アクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)のゲノムDNA抽出)
アクレモニウム・セルロリティカスH1株(FERM BP−11508、以下「H1株」と略記する。)を、PDB寒天培地(PDA培地(BD Difco社製、PDA broth)に1.5%(質量/容量)アガロースを添加した平板培地)上に植菌して30℃で1週間培養した。得られた菌体を、寒天ごと直径5mmで切り出してPDA培地に植菌し、30℃、130rpmで浸透培養を行った。培養物を15000rpmで10分間遠心分離処理することによって菌体を回収した。さらに、回収した菌体をPDA培地により洗浄を2回繰り返して、菌体サンプルを取得した。
当該菌体サンプルの入った2mL容量のプラスチックチューブにビーズを入れ、卓上ビーズ式破砕装置(シェイクマスター、バイオメディカルサイエンス社製)を用いて90秒間の破砕処理を3回行い、菌体サンプルを粉末状にした後、Nucleon(Amersham社製)を使用してDNAを抽出した。
(アクレモニウム・セルロリティカスの野生型セロビオヒドロラーゼのDNAのクローニング)
得られたゲノムDNAを鋳型とし、配列番号3、4(下記表1参照。)で表すプライマー1、2を用い、PCRによって、野生型セロビオヒドロラーゼをコードする配列を増幅した。DNAポリメラーゼは、KOD-plus(東洋紡社製)を用い、PCRは、94℃、2分間を1サイクルした後、96℃、20秒間、次いで60℃、30秒間、さらに72℃、5分間を30サイクルすることにより行った。得られたPCR産物は、QIAquick PXR purification kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。得られたアクレモニウム・セルロリティカスの野生型セロビオヒドロラーゼのアミノ酸配列は配列番号1に示す。
(pBR−enoAP−agdAT−niaDの調製)
大腸菌プラスミドであるpBR322に、麹菌アスペルギルス・オリゼ由来の硝酸還元酵素遺伝子niaD、麹菌由来agdA遺伝子のターミネーター領域、麹菌由来enoA遺伝子のプロモーター領域を組み込んだベクター、pBR−enoAP−agdAT−niaDを作製した。硝酸還元酵素遺伝子niaDを発現することにより、硝酸存在下でも麹菌が生育可能になるプラスミドが導入された菌を選択することができる。以下に簡単に調製方法を述べる。
まず、麹菌アスペルギルス・オリゼ由来の硝酸還元酵素遺伝子niaD遺伝子を組み込んだプラスミドを構築する。麹菌アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)RIB40株(NBRC番号:100959。以下「RIB40株」と略記する。)を独立行政法人製品評価技術基盤機構より入手した。RIB40株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号5、6に表されるプライマー3、4を用いて、硝酸還元酵素遺伝子niaDのDNAをPCRで増幅した。
増幅したniaDのDNAをAvaI及びNdeIで消化し精製した後、pBR322のAvaI、NdeI部位に挿入し、pBR−niaDを構築した。次に、pBR−niaDに麹菌由来agdA遺伝子のターミネーター領域を組み込んだ。
RIB40株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号7、8で表されるプライマー5、6を用いて、麹菌由来agdA遺伝子のターミネーター領域(以下、「agdAターミネーター」ということがある。)のDNAをPCRで増幅した。
得られたPCR増幅産物を制限酵素SalI及びAvaIを用いて消化し、pBR−niaDのSalI、AvaI部位に挿入し、プラスミドpBR−agdAT−niaDを得た。
次に、得られたpBR−agdAT−niaDに、麹菌由来enoA遺伝子のプロモーター領域を組み込んだ。
RIB40株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号9、10で表すプライマー7、8を用い、PCRを行い、麹菌由来enoA遺伝子のプロモーター領域(以下、「enoAプロモーター」ということがある。)のDNAを増幅した。
得られたPCR増幅産物を制限酵素NheI及びSalIを用いて消化し、pBR−agdAT−niaDのNheI、SalI部位に挿入し、プラスミドpBR−enoAP−agdAT−niaDを得た。
(野生型セロビオヒドロラーゼDNAのpBR−enoAP−agdAT−niaDへの組み込み)
pBR−enoAP−agdAT−niaDを制限酵素SmaIを用いて消化し、pBRenoAP−agdAT−niaDのSmaI処理断片を得た。
該SmaI処理断片に、野生型セロビオヒドロラーゼをコードする配列をIn-Fusion(登録商標)HD Cloning Kit(Clontech社製)を用いてクローニングし、プラスミドpBR−enoAP−CBH−agdAT−niaD(CBH麹菌発現用ベクター)を得た。
(変異型セロビオヒドロラーゼDNAのpBR−enoAP−agdAT−niaDへの組み込み)
変異型セロビオヒドロラーゼは、セロビオヒドロラーゼ遺伝子の5’側から変異部位、および、変異部位から遺伝子の3’側の2断片をPCRによって作製した。得られた2断片のDNAを、pBR−enoAP−agdAT−niaDに組み込むことによって構築した。この際、変異部位を含むプライマーがアニールするように設計されているため、変異型セロビオヒドロラーゼ遺伝子は、pBR−enoAP−agdAT−niaDに組み込まれた時点で変異部位を含む以外は、5’側から3’側まで、野生型セロビオヒドロラーゼと同じアミノ酸配列を備えてつながった状態になる。
(アラニン置換変異体の作製)
アクレモニウム・セルロリティカスのセロビオヒドロラーゼの立体構造をもとに、配列番号1で表されるアミノ酸配列を備えた、アクレモニウム由来のセロビオヒドロラーゼのトンネル構造内に位置する30箇所のアミノ酸をアラニンに置換し、その活性を解析し酵素活性が向上するものを選択した。30箇所の置換のうち野生型セロビオヒドロラーゼに比べて活性の向上が見られたのは6箇所であった。
アラニン置換により、活性がわずかでも向上したのは、配列番号1で表すアミノ酸の第203番目のリシン(K)、第62番目のアスパラギン(N)、第125番目のアスパラギン、第201番目のアスパラギン酸(D)、第289番目のアルギニン(R)、第281番目のアスパラギン酸である(各変異体を置換したアミノ酸とその位置により、夫々K203A、N062A、N125A、D201A、R289A、D281Aと表すこともある。)。
図1にPDB(http://www.rcsb.org/pdb/home/home.do)より取得したアクレモニウム・セルロリティカスのセロビオヒドロラーゼの立体構造とアラニン置換によって活性が向上した上記のアミノ酸の位置を示す。トンネル構造の全長にわたってアラニン置換により活性が向上する部位が存在している。
上記6つの変異体について、作製に用いたプライマーを下記表2に示す。それぞれのプライマーペアとして、前述のセロビオヒドロラーゼのクローニングに用いたプライマー1とプライマー9〜14、及びプライマー15〜20とセロビオヒドロラーゼのクローニングに用いたプライマー2を使用し、それ以外は野生型セロビオヒドロラーゼのゲノムDNAの増幅と同様にしてPCRを行った。
(野生型および変異型セロビオヒドロラーゼ麹菌発現用ベクターを導入した麹菌の形質転換体の作製)
定法であるPEG−カルシウム法(Mol.Gen.Genet.,vol.218,p.99~104(1989年))により、上記野生型セロビオヒドロラーゼが組み込まれたプラスミドpBR−enoAP−CBH−agdAT−niaD、あるいは変異を導入したプラスミドを用いて、麹菌アスペルギルス・オリゼniaD300株(niaD欠損株、独立行政法人酒類総合研究所より入手。)を形質転換した。ツアペクドックス(Czapek−Dox)培地(3%(質量/容量)デキストリン、0.1%(質量/容量)リン酸2水素カリウム、0.2%(質量/容量)塩化カリウム、0.05%(質量/容量)硫酸マグネシウム、0.001%(質量/容量)硫酸鉄、0.3%(質量/容量)硝酸ナトリウム)で生育できる株を選択することにより、形質転換体(野生型および変異型セロビオヒドロラーゼ麹菌形質転換株)を得た。
(セロビオヒドロラーゼの調製)
作製したセロビオヒドロラーゼ麹菌形質転換株を、ツアペクドックス培地で胞子形成させ、滅菌水で胞子を回収した。500mL容三角フラスコに入った100mLのPD液体培地(2%(質量/容量)デキストリン、1%(質量/容量)ポリペプトン、0.1%(質量/容量)カザミノ酸、0.5%(質量/容量)リン酸2水素カリウム、0.05%(質量/容量)硫酸マグネシウム、0.1%(質量/容量)硝酸ナトリウム)に最終胞子濃度1×10/mLとなるように植菌した。30℃で3日間の液体培養を行い、セロビオヒドロラーゼ、又はアミノ酸変異を有するセロビオヒドロラーゼを培地中に分泌発現させた。培養後の当該培養液を酵素サンプルとした。当該酵素サンプルは、SDS−PAGE解析により確認し、タンパク質定量を行って用いた。
(セルロース分解活性の測定)
反応基質として、微結晶性セルロース(メルク社製)を使用した。また、検量線は、10mM(mmol/L)グルコース溶液を200mM酢酸バッファー(pH5.5)で適宜希釈して調製した4点の希釈系列(0.5〜5.0mM)の測定値から作成した。
まず、1.5mL容量プラスチックチューブに、40μLの200mM酢酸バッファー(pH5.5)と、200mM酢酸バッファーに懸濁した4%(質量/容量)微結晶性セルロース懸濁液50μLを加えて充分に混合した後、50℃に調整した。
次いで、10μLの野生型、または、各変異型(K203A、N062A、N125A、D201A、R289A、D281A)セロビオヒドロラーゼ水溶液を各チューブに添加して酵素反応を開始させる。反応開始から1時間経過後に、100μLのDNSA(1.6%(質量/容量)水酸化ナトリウム、0.5%(質量/容量)3,5ジニトロサリチル酸、30%(質量/容量)酒石酸ナトリウムカリウム四水和物)溶液を加え混合することにより反応を停止させる。反応停止後、遠心分離(15,000xg、5分)し、上清を100℃で5分間煮沸し、氷中で冷却させた。その後、各チューブから100μLの反応溶液を分取し、100μLの蒸留水で希釈した溶液の540nmの吸光度(A540)を測定した。ブランクとしては、酵素サンプルに代えて20mM酢酸バッファーを添加して同様に処理したサンプルを用いた。A540の測定値と検量線からグルコース濃度を算出し、タンパク質定量により得た酵素濃度で割ることで、酵素単位重量当りのセルロース分解活性値を得た。結果を図2に示す。
図2には、野生型(WT)と比較して活性が向上している変異体K203A、N062A、N125A、D201A、R289A、D281Aの結果を示している。特に、62番目のアスパラギン(N)をアラニン(A)に置換した変異体N062Aは、野生型のセロビオヒドロラーゼに対して14倍の比活性を備えていた。これは先行技術で開示されているセロビオヒドロラーゼ変異体に比べても、有意に高い活性である。
〔実施例2〕
62番目のアスパラギン(N)をアラニン(A)に置換した変異体N062Aが、野生型と比較して活性が向上していたことから、62番目のアミノ酸を疎水性、酸性、アルカリ性等、性質の異なるアミノ酸に置換し、その活性を測定した。
作製に用いたプライマーを下記表3に示す。それぞれのプライマーペアとして、前述のセロビオヒドロラーゼのクローニングに用いたプライマー1とプライマー21〜27、及びプライマー28〜34とセロビオヒドロラーゼのクローニングに用いたプライマー2を使用し、それ以外は野生型セロビオヒドロラーゼのゲノムDNAの増幅と同様にしてPCRを行った。
プラスミドを構築後、実施例1と同様にして、セロビオヒドロラーゼ麹菌形質転換株を得て、変異体酵素を得て、コーンストーバー分解活性を測定した。
(コーンストーバー分解活性の測定)
リグノセルロース系バイオマスである稲藁を微粉砕したものに2.5%(質量/質量)の硫酸水溶液を質量比が1:10となるように混合し、150℃の温度で10分間保持して糖化前処理を行った後、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを5.8に調整し、50℃で1日乾燥した。その後、ハンマーで細かく粉砕したものを活性測定の反応基質として用いた。
活性測定は、1.5mL容量プラスチックチューブに、80μLの200mM酢酸バッファー(pH5.5)と200mM酢酸バッファーに懸濁した4%(質量/容量)コーンストーバー懸濁液100μLを加えて充分に混合し50℃に調整した。
次いで、20μLの野生型、又は各変異型セロビオヒドロラーゼ水溶液を添加して酵素反応を開始させ、反応開始から1時間経過後に、15,000×g、4℃で5分間遠心分離処理を行った。得られた上清を新しい1.5mL容量プラスチックチューブに移し、95℃で5分間熱処理した後、15,000×g、4℃で5分間遠心分離処理を行った。得られた上清は、新しい1.5mL容量プラスチックチューブに移した後、0.2μm(13mmディスク)フィルターでろ過した。0.2mLのろ液をバイアルに移し、HPLC測定を行ってセロビオースを検出した。標準物質として、和光純薬社製セロビオースを用い、糖濃度を評価した。HPLC測定は、セパレーターとしてWaters 2695(Waters社製)、RI検出器としてWaters 2414(Waters社製)、カラムはBio-rad HPX-87H(Bio-Rad社製)を用いた。測定は、溶離液として超純水を用い、流速:0.6mL/min、カラム温度:80℃、検出器温度:40℃の条件で行った。結果を図3に示す。
野生型(アスパラギン(N))と比較して、活性の向上が見られたのは、アラニン(A)、グルタミン(Q)、ヒスチジン(H)であった。アラニンは基質をコーンストーバーに代えて糖化を測定した場合でも野生型(N)と比較して、12倍以上の比活性を有していた。
疎水性アミノ酸(トリプトファン(W)、バリン(V)、)、中性アミノ酸(セリン(S)、グルタミン(Q))、酸性アミノ酸(グルタミン酸(E))、塩基性アミノ酸(リシン(K)、ヒスチジン(H))と様々な性質のアミノ酸に置換したが、アラニン置換による活性の向上を超えるものはなかった。
アラニンに置換することにより活性が向上する理由としては、トンネル構造内をセルロースが移動する際の立体障害を取り除くからだと推測される。62番目のアスパラギンのアラニンへの置換に加えて、本発明で活性が向上することが見出された他の変異、例えば203番目のリシンや289番目のアルギニンをアラニンに併せて置換することにより、より高い活性を備えた変異体を得ることが期待される。
実施例1、及び2に示すように、配列番号2に記載されている第62番目のアスパラギンをアラニンに置換したセロビオヒドロラーゼ変異体は、野生型セロビオヒドロラーゼに比較して高い活性を備えている。
セロビオヒドロラーゼはグリコヒドロラーゼファミリーのGH7に分類される酵素である。GH7に属する酵素において、トンネル構造に位置するアミノ酸は種を越えて非常に良く保存されている。実際に、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、ファネロキーテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)においても、配列番号1の第62番目に相当する位置のアミノ酸はアスパラギンである。したがって、配列番号1で表されるセロビオヒドロラーゼだけではなく、相同なアミノ酸配列においても当該位置のアスパラギンをアラニンに変えることによって、活性の向上した酵素を得ることが期待される。
また、トンネル構造は種を超えて保存されていることから、セロビオヒドロラーゼ活性を向上させることが報告されている他のアミノ酸変異を併せて導入することによって、活性の更なる向上を期待することができる。

Claims (3)

  1. 向上した活性を備えたセロビオヒドロラーゼを作製する方法であって、
    配列番号1で表されるセロビオヒドロラーゼのN末から62番目のアミノ酸であるアスパラギン、
    又はグリコヒドロラーゼファミリーのGH7に分類されるセロビオヒドロラーゼにおける、配列番号1の62番目の位置に相当する位置のアスパラギンをアラニンに置換することを特徴とする向上した活性を備えたセロビオヒドロラーゼを作製する方法。
  2. 向上した活性を備えたセロビオヒドロラーゼであって、
    配列番号1で表されるセロビオヒドロラーゼのN末から62番目のアミノ酸であるアスパラギン、
    又はグリコヒドロラーゼファミリーのGH7に分類されるセロビオヒドロラーゼにおける、配列番号1の62番目の位置に相当する位置のアスパラギンをアラニンに置換した変異を含むことを特徴とするセロビオヒドロラーゼ。
  3. 向上した活性を備えたセロビオヒドロラーゼであって、
    請求項2の向上した活性を備えたセロビオヒドロラーゼの配列が、
    配列番号2で表されるものであることを特徴とするセロビオヒドロラーゼ。
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