JP6377993B2 - 光学超解像媒体、ハイパーレンズ、その製造方法及びハンパーレンズアレー - Google Patents
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しかし、細いプローブで試料を走査する必要がある点で、操作性に欠けるという問題があった。
また、半球レンズを用いたイメージングの検討がなされている(非特許文献7−9)。 しかし、紫外光で機能するレンズ(非特許文献7)または平面上のみで拡大像を得る面内レンズ(非特許文献8)、稀少元素から構成される絶縁体を用いるもの(非特許文献9)であり、本願に何ら技術的な示唆を与えるものでない。
したがって、上記特許文献1−4は超解像顕微鏡に関するものではあるが、本願の光学超解像媒体を用いる超解像顕微鏡とは全く独立の技術であり、本願に対して何ら示唆を与えるものではない。
本発明は、以下の構成を有する。
(ハイパーレンズ及びハイパーレンズアレー)
まず、本発明の第1の実施形態であるハイパーレンズ及びハイパーレンズアレーについて説明する。
図1は、本発明の実施形態であるハイパーレンズ及びハイパーレンズアレーの一例を示す図であって、平面図(a)と、A−A’断面図(b)である。
図1(b)に示すように、本発明の実施形態であるハイパーレンズ30は、光学超解像媒体20と、光学超解像媒体20が接合された基板33と、からなる。
光学超解像媒体20の一面に凹部20c、他面に凸部20dが形成されている。この部分が、レンズとして利用できる。
次に、本発明の第1の実施形態である光学超解像媒体について説明する。
図2は、図1(b)のB部拡大図である。
図2に示すように、本発明の実施形態である光学超解像媒体20は、非金属層と金属層が交互に積層されてなる積層体である。基板33と光学超解像媒体20とからハイパーレンズ30は構成される。
光学超解像媒体20の一面20a側の第1の非金属層244の一部に凹部20cが形成されている。
また、光学超解像媒体20の他面20b側の金属層211の一部に凸部20dが形成されている。
凹部20c、凸部20dは、平面視略円形状、断面視略半円状とされている。
4体の単位積層体21、22、23、24がこの順序で、基板33上に積層されて形成されている。
単位積層体23は、第1の非金属層234、第1の金属層233、第2の非金属層232、第2の金属層231が積層されてなる。
単位積層体22は、第1の非金属層224、第1の金属層223、第2の非金属層222、第2の金属層221が積層されてなる。
単位積層体21は、第1の非金属層214、第1の金属層213、第2の非金属層212、第2の金属層211が積層されてなる。
また、各単位積層体21、22、23、24は4層構造とされており、同一の層構造からなる。
SiO2を用いた場合には400〜600nmの波長範囲で光学超解像媒体を構成できる。
Siを用いた場合には、1400〜1600nmの波長範囲で光学超解像媒体を構成できる。
このように、非金属層の構成元素をケイ素と酸素、又はケイ素とすることにより、光学超解像媒体の作製コストを大きく低減できる。また、作製技術が確立されているために作製が容易である。
非金属層244の一面が光入射される面とされる。
前記面に垂直に入射面が形成される。
入射面は、入射ベクトルと反射ベクトルの張る平面である。
光入射される面に垂直な線に対して、入射ベクトルと反射ベクトルはθの角度となる。
電場ベクトルEは入射面内で入射ベクトルに垂直な方向に形成される。
次に、ハイパーレンズの使用形態について説明する。
図4は、テスト・オブジェクトの一例を示す図であって、平面図(a)、側面図(b)、C部拡大図(c)、D−D’線における断面図(d)である。
テスト・オブジェクト41には、平面視円形状の孔部が設けられている。孔部41c21、孔部41c22は近傍領域に並置して形成している。これらの径は、孔部41c1に比べて小さくされている。例えば、孔部41c21、孔部41c22を、孔径φ60nm、中心間間隔L中心間=100nmとする。しかし、これに限られるものではない。
まず、オブジェクティブ・レンズ43下に配置したプリズムホルダー44にプリズム45を装備する。
次に、プリズム45上にテスト・オブジェクト41を配置する。
次に、テスト・オブジェクト41上にハイパーレンズ30を配置する。
凹部20cをテスト・オブジェクト41側に向けて配置する。また、例えば、孔部41c21、孔部41c22が、凹部20c内となるように配置する。
光は、プリズムホルダー44の大気に開放された一側面からプリズム45に入射され、孔部41c21、孔部41c22から孔内を通過して、凹部20cから凸部20dを通過して、オブジェクティブ・レンズ43で観測できる。反射光はプリズムの反対側から出射される。
孔部41c21、孔部41c22から孔内を通過する光は、凹部20cの内壁面に照射される。このとき、光学超解像媒体20の一面20a側の単位積層体24の第1の非金属層244の一面が光入射される面とされる。
光は光学超解像媒体20内を通過し、光は基板33を通過して、オブジェクティブ・レンズへ出射される。つまり、光学超解像媒体20では、他面20b側の単位積層体21の第2の金属層211の他面が光出射される面とされる。
金属層(Ag又はAl)、非金属層SiO2の6層構造は、510nmの波長の光の回折広がりを抑制した伝搬を実現する構造であり、可視光域において光学超解像を得ることができる。
金属層(Ag又はAl又はAu)、非金属層Siの4層構造は、1500nmの波長の光の回折広がりを抑制した伝搬を実現する構造であり、近赤外光域において光学超解像を得ることができる。
例えば、Siの屈折率(3.5)がSiO2の屈折率(1.46)よりも大きいため、上記のように最適波長が変化する。
次に、本発明の第1の実施形態であるハイパーレンズの製造方法について説明する。
図8〜9は、本発明の実施形態であるハイパーレンズの製造方法の一例を示す工程図である。エッチング工程と、積層工程とを有する。
まず、図8(a)に示すように、基板33の一面に金属マスク34を配置する。金属マスク34には、リソグラフィ法により孔34cが設けられている。
例えば、基板としては石英基板、金属マスクとしてはCrマスクを用いる。
次に、前記一面に液浸エッチングを行うことにより、図8(b)、(c)と基板の一面の所望の位置を掘り進めることができる。
次に、金属マスク34を取り除く。図8(d)に示すように、基板の一面には凹部33cが形成されている。
次に、図9(a)に示すように、金属層211を成膜する。
次に、図9(b)に示すように、非金属層212を成膜する。
次に、図9(c)に示すように、金属層213を成膜する。
次に、図9(d)に示すように、非金属層214を成膜する。
成膜手段はイオンビームスパッタリング法、ラジオ周波数スパッタリング法などを用いることができる。
これにより、金属層と非金属層とを、この順序で、交互に積層して、単位積層体21を形成できる。
以下、これを繰り返して、単位積層体22を形成する。
更に、これを繰り返して、単位積層体23、24を形成する。
以上により、光学超解像媒体20を備えたハイパーレンズ30を製造することができる。
次に、本発明の第2の実施形態である光学超解像媒体について説明する。
図10は、光学超解像媒体の別の一例を示す断面拡大図である。
図10に示すように、本発明の第2の実施形態である光学超解像媒体60は、非金属層と金属層が交互に積層されてなる積層体である。本発明の第1の実施形態と同様に、基板33上に形成して、両表面にそれぞれ凹部及び凸部を形成することにより、ハイパーレンズとして利用できる。
4体の単位積層体51、52、53、54がこの順序で積層されて形成されている。
単位積層体53は、第1の非金属層536、第1の金属層535、第2の非金属層534、第2の金属層533、第3の非金属層532、第3の金属層531が積層されてなる。
単位積層体52は、第1の非金属層526、第1の金属層525、第2の非金属層524、第2の金属層523、第3の非金属層522、第3の金属層521が積層されてなる。
単位積層体51は、第1の非金属層516、第1の金属層515、第2の非金属層514、第2の金属層513、第3の非金属層512、第3の金属層511が積層されてなる。
また、各単位積層体51、52、53、54は6層構造とされており、同一の層構造とされている。
以上示したように、単位積層体は4層構造に限られるものではなく、6層構造としても8層構造としてもよい。
以上示したように、単位積層体は4層又は6層構造に限られるものではなく、8層構造としてもよい。
(光の回折広がりを抑制するハイパーモードの検証)
図11は、光の回折広がり抑制を調べ、ハイパーモードを検証する配置図である。
図11のtransumission layerは空気層であり、metalがAgであり、insulatorがSiO2であり、Crマスク(スリット幅100nm)を用いており、incident layerは石英基板である。第1の金属層(Ag)の厚さを25nm、第1の非金属層(SiO2)の厚さを80nm、第2の金属層の厚さを25nm、第2の非金属層の厚さを50nmとして、単位積層体を4層構造とした。この単位積層体が4体積層したSMIMにおいてハイパーモードを検証した。なお、入射光は図11の下端より上向きに伝搬し、入射電場ベクトルEはx軸と平行とする。
入射光の波長は410nmとした。
って、光学超解像を実現しており、前記SMIMはハイパーモードをもつ光学超解像媒体であることを示している。
先の光学超解像媒体に対して、入射角度を0deg(0°)から60deg(60°)まで変えて得た透過スペクトルの実サンプルの測定値(a)と、対応する数値計算値(b)と、透過フォトニック・ブロッホ状態を黒塗りで示すグラフ(c)である。kx、k0はそれぞれ入射光の波数のx成分、真空中における光の波数である。
測定値と数値計算値のスペクトルはほとんど同一であった。いずれのグラフでも、入射角度を0°から60°としても、透過スペクトルの400nm付近におけるピーク位置、ピーク・スペクトル形状はほとんど変化しなかった。この波長域は図13(c)における最も幅広い透過フォトニック・ブロッホ状態のエネルギー位置(3eV,矢印位置)に対応している。
(光の回折広がりを伴う伝搬特性の検証)
Crマスク(スリット幅100nm)と、石英基板とからのみからなる光の回折広がりを伴う伝搬を数値計算により検証する。
図14は、上記条件の下で光の伝搬を可視化した数値計算結果であって、図11で光学超解像媒体を除いた配置での光伝搬特性を示す数値計算結果である。
図14に示すように、層状構造がない場合は、Crマスクに設けたスリットから光は回折広がりを示しながら進行し、出射側で800nm幅となる結果が得られた。このように、光の回折広がりのために従来の光学顕微鏡は空間分解能の下限を持つ。
(波長510nmで機能する光学超解像媒体の透過スペクトル)
第1の非金属層(SiO2)の厚さを51.2nm、第1の金属層(Ag)の厚さを14.7nm、第2の非金属層の厚さを101.8nm、第2の金属層の厚さを7.4nm、第3の非金属層の厚さを15.4nm、第3の金属層の厚さを9.5nmとして、単位積層体を6層構造とした。
図15は、波長510nmで機能する光学超解像媒体の透過率スペクトルの入射角度依存性を示す(数値計算値)。
上記6層構造からなる単位積層体が4体積層したSMIMに対して、入射角度を0°から60°まで変えて得た透過スペクトル(数値計算値)である。入射角度を0°から60°とした場合、波長510nmにおいて透過率は10%程度しか変化しておらず、ハイパーモードの存在を示唆している。ハイパーモードによる光の回折広がりの抑制は実施例2と同様にして確認できた。
(波長1500nmで機能する光学超解像媒体の透過スペクトル)
SiO2の代わりにSiを用いた他は実施例2と同様にして、第1の非金属層(Si)の厚さを130.9nm、第1の金属層(Ag)の厚さを8.2nm、第2の非金属層の厚さを84.5nm、第2の金属層の厚さを4.7nm、第3の非金属層の厚さを91.3nm、第3の金属層の厚さを10.0nm、第4の非金属層の厚さを64.6nm、第4の金属層の厚さを5.8nmとして、単位積層体を8層構造とした。
図16は、波長1500nmで機能する光学超解像媒体の透過率スペクトルの入射角度依存性を示す(数値計算値)。
上記8層構造からなる単位積層体が4体積層したSMIMに対して、入射角度を0°から60°まで変えて得た透過スペクトル(数値計算値)である。入射角度を0°から60°とした場合、波長1500nmにおける透過率はほとんど変化せず、ハイパーモードの存在を示唆している。
(ハイパーレンズを実装した光学顕微鏡における光学超解像の実証)
図17は、ハイパーレンズの製造工程図である。
エッチング工程と、積層工程とからなる。
まず、石英基板を用意した。
次に、図17(A)に示すように、基板の一面に、孔が設けられたCr金属マスクを配置した。
次に、図17(B)、(C)に示すように、リソグラフィ法により、前記一面を所定の深さでエッチングした。
次に、図17(D)に示すように、金属マスク34を取り除いた。これにより、基板の一面に、平面視略円形状、断面視略半円状の凹部を形成した。なお、凹部は複数、格子状配置で形成した。
凹部の平面視径は1.2μmとし、深さを0.6μmとした。
次に、凹部を形成した面に、Agからなる金属層を25nmの厚さで成膜した。
次に、金属層を覆うように、SiO2からなる非金属層を80nmの厚さで成膜した。
次に、非金属層を覆うように、Agからなる金属層を25nmの厚さで成膜した。
次に、金属層を覆うように、SiO2からなる非金属層を50nmの厚さで成膜した。
図17(E)に示すように、Agからなる金属層(M)とSiO2からなる非金属層(I)とを、この順序で、交互に積層した第1の単位積層体を形成した。
成膜手段はイオンビームスパッタを用いた。
先の積層工程と同様にして、第2の積層体を形成した。
先の積層工程と同様にして、第3の積層体を形成した。
先の積層工程と同様にして、第4の積層体を形成した。
以上により、4層の単位積層体が4つ積層された光学超解像媒体を備えたハイパーレンズを製造した。複数のハイパーレンズを同時にアレー状に形成して、ハイパーレンズアレーとして形成した。
図19は、空気側から見たハイパーレンズアレーの電子顕微鏡写真である。
互いに正三角形の頂角に位置するように孔部を形成し、孔部の径は1.2μmとし、近接する孔部の間隔は6μmとした。
図20は、孔部の断面電子顕微鏡像(a)と、その模式図(b)である。図20(a)中の白いスケールバーは1ミクロンを示している。
次に、図15に示すように、テスト・オブジェクトをプリズム上に配置し、テスト・オブジェクト上にハイパーレンズ基板(HLAsubstrate)を配置して、顕微鏡のオブジェクト・レンズ下に配置した。
図23は、テスト・オブジェクトの部分電子顕微鏡像である。Eは拡大図である。テスト・オブジェクトには、φ200nmの孔と、φ60nmの孔を複数形成した。φ60nmの孔は中心間距離71nmで並列させて形成したペアの組み合わせを複数形成した。
図24は、図23に対応する部分の光学像である。
点線円形がハイパーレンズ・ポジションに該当し、このハイパーレンズ・ポジション内では、孔部を明確に分離観測することができた。この観察像がハイパーレンズによる光学超解像である。ハイパーレンズ・ポジション内以外の部分では分離観測できなかった。
図26は、ハイパーレンズアレーで光学超解像を得る模式図である。SMIMを媒体として用いたハイパーレンズアレーによって得られる光学超解像を模式的に示している。
Claims (8)
- 非金属層と金属層が交互に積層された4層、6層又は8層の単位積層体が3体以上6体以下、単位積層体間で非金属層と金属層が接するように積層されていて、
前記単位積層体が4層の場合は、前記4層の単位積層体の第1の非金属層の厚さが45nm以上55nm以下であり、第1の金属層の厚さが第1の非金属層の厚さの0.3倍以上0.7倍以下であり、第2の非金属層の厚さが第1の非金属層の厚さの1.5倍以上2倍以下であり、第2の金属層の厚さが第1の非金属層の厚さの0.3倍以上0.7倍以下であり、
前記単位積層体が6層の場合は、前記6層の単位積層体の第1の非金属層の厚さが45nm以上55nm以下であり、第1の金属層の厚さが第1の非金属層の厚さの0.2倍以上0.5倍以下であり、第2の非金属層の厚さが第1の非金属層の厚さの1.8倍以上2.2倍以下であり、第2の金属層の厚さが第1の非金属層の厚さの0.1倍以上0.3倍以下であり、第3の非金属層の厚さが第1の非金属層の厚さの0.2倍以上0.5倍以下であり、第3の金属層の厚さが第1の非金属層の厚さの0.1倍以上0.3倍以下であり、
前記単位積層体が8層の場合は、前記8層の単位積層体の第1の非金属層の厚さが120nm以上140nm以下であり、第1の金属層の厚さが第1の非金属層の厚さの0.05倍以上0.08倍以下であり、第2の非金属層の厚さが第1の非金属層の厚さの0.5倍以上0.8倍以下であり、第2の金属層の厚さが第1の非金属層の厚さの0.03倍以上0.06倍以下であり、第3の非金属層の厚さが第1の非金属層の厚さの0.55倍以上0.85倍以下であり、第3の金属層の厚さが第1の非金属層の厚さの0.06倍以上0.09倍以下であり、第4の非金属層の厚さが第1の非金属層の厚さの0.35倍以上0.65倍以下であり、第4の金属層の厚さが第1の非金属層の厚さの0.03倍以上0.06倍以下であることを特徴とする光学超解像媒体。 - 一面側の第1の非金属層の一面が光入射される面とされ、
他面側の金属層の一面が光出射される面とされていることを特徴とする請求項1に記載の光学超解像媒体。 - 前記金属層が、Ag、Al、Auの群から選択されるいずれか一の金属からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学超解像媒体。
- 前記非金属層が、Si又はSi酸化物からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学超解像媒体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学超解像媒体と、
前記光学超解像媒体が接合された基材と、からなり、
前記光学超解像媒体の一面側の第1の非金属層の一面に凹部が形成され、
前記光学超解像媒体の他面側の金属層の一面に凸部が形成されていることを特徴とするハイパーレンズ。 - 前記凹部が平面視略円形状であり、断面視略半円状であることを特徴とする請求項5に記載のハイパーレンズ。
- 請求項5又は6に記載のハイパーレンズを複数備えることを特徴とするハイパーレンズアレー。
- 請求項5又は6に記載のハイパーレンズの製造方法であって、
基材の一面に金属マスクを配置してからリソグラフィ法により、前記一面をエッチングする工程と、
前記金属マスクを取り除いてから、金属層と非金属層とを、この順序で、交互に積層する工程と、を有することを特徴とするハイパーレンズの製造方法。
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