JP6377541B2 - フレキシブルデバイスの製造方法、および、フレキシブルデバイス積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、フレキシブルデバイスの製造方法、および、フレキシブルデバイス積層体に関する。
有機EL(Electro Luminescence(エレクトロルミネッセンス))材料を用いた有機ELデバイス(有機EL素子)が、ディスプレイや照明装置等に利用されている。このような有機ELデバイスに柔軟性を持たせてフレキシブル化することが考えれられている。
そこで、有機EL素子を支持する基板として、従来のガラス基板に代えて、可撓性を有するフレキシブル基板を用いることが考えられている。
フレキシブル基板を用いる場合には、基板上に素子を形成する際に、基板のハンドリング過程で生じるたわみ等によって、素子にダメージが生じる問題がある。そのため、フレキシブル基板をリジットな基板に固定してハンドリングすることが検討されている。
フレキシブル基板をリジット基板に固定する方法として、微粘着層を用いて、フレキシブル基板を固定する方法や、リジット基板上に直接、樹脂フィルムを形成する方法等が提案されている。
しかしながら、このようにフレキシブル基板をリジット基板に固定して素子を形成する場合には、フレキシブル基板とリジット基板との密着性を低く設計すると、ハンドリング中や素子形成中等に、フレキシブル基板がリジット基板から剥離するおそれがある。一方、フレキシブル基板とリジット基板との密着性を高く設計すると、素子形成後、フレキシブル基板をリジット基板から剥離する際に、素子が損傷するおそれがある。
また、微粘着層を用いる場合には、素子の形成の際などに熱が加えられると粘着性が低下して剥離するおそれがある。
これに対して、特許文献1では、フレキシブル基板との高い密着性を有する接着物質膜を支持基板(リジット基板)上全体に亘って形成した上で、接着物質膜が形成された支持基板上にフレキシブル基板および電子素子を形成した後に、支持基板のフレキシブル基板が形成された面とは反対側の面にレーザ光を照射して、フレキシブル基板と接着物質膜との密着性を低下させて、支持基板からフレキシブル基板を剥離することが記載されている。
特開2014−48619号公報 特開2012−186315号公報
ところで、有機EL素子等の有機材料からなる素子は、一般に、光や熱により劣化する。
そのため、特許文献1に記載されるように、素子を形成したフレキシブル基板を剥離する際に、レーザ光等の光を照射して粘着層の粘着力を低下させる構成では、素子への光の照射により素子が劣化してしまうという問題があった。
また、レーザ光を照射して粘着層の粘着力を低下させた場合には、粘着層とリジット基板との間の密着力も低下するため、フレキシブル基板を剥離する際に、フレキシブル基板と粘着層との界面で確実に剥離させることができず、粘着層とリジット基板との間で剥離してフレキシブル基板に粘着層が残ってしまうという問題があった。
この点について、特許文献2には、粘着層とフレキシブル基板との界面で剥離する薄膜基板の製造方法が記載されているものの、粘着層とフレキシブル基板との界面で剥離させるための具体的な構成については言及されていない。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、フレキシブル基板上に有機素子を形成する際に、有機素子の損傷を防止でき、また、フレキシブル基板への粘着層残りを防止することができるフレキシブルデバイスの製造方法およびフレキシブルデバイス積層体を提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意研究した結果、可撓性を有する素子基板と、紫外線の照射により粘着力が低下する第1の粘着層と、紫外線を透過させる第2の粘着層と、素子基板よりも可撓性が低い支持体とをこの順に積層してなる積層体を準備する準備工程と、積層体の素子基板上に、有機素子を形成する素子形成工程と、積層体の支持体側から紫外線を照射して、第1の粘着層の粘着力を低下させる紫外線照射工程と、粘着力が低下した第1の粘着層との界面で、有機素子が形成された素子基板を剥離する剥離工程とを有し、素子基板は、紫外線を吸収する機能を備えており、紫外線照射工程の際に、紫外線を吸収して、有機素子に紫外線が到達するのを抑制することにより、フレキシブル基板上に有機素子を形成する際に、有機素子の損傷を防止でき、また、フレキシブル基板への粘着層残りを防止することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の構成のフレキシブルデバイスの製造方法、および、フレキシブルデバイス積層体を提供する。
(1) 可撓性を有する素子基板と、紫外線の照射により粘着力が低下する第1の粘着層と、紫外線を透過させる第2の粘着層と、素子基板よりも可撓性が低い支持体とをこの順に積層してなる積層体を準備する準備工程と、
積層体の素子基板上に、有機素子を形成する素子形成工程と、
積層体の支持体側から紫外線を照射して、第1の粘着層の粘着力を低下させる紫外線照射工程と、
粘着力が低下した第1の粘着層との界面で、有機素子が形成された素子基板を剥離する剥離工程とを有し、
素子基板は、紫外線を吸収する機能を備えており、紫外線照射工程の際に、紫外線を吸収して、有機素子に紫外線が到達するのを抑制するフレキシブルデバイスの製造方法。
(2) 素子基板は、紫外線を吸収する樹脂材料からなる(1)に記載のフレキシブルデバイスの製造方法。
(3) 素子基板は、紫外線を吸収する材料を添加した樹脂材料からなる(1)に記載のフレキシブルデバイスの製造方法。
(4) 素子基板は、紫外線を吸収する紫外線吸収層と樹脂フィルムとを有する(1)に記載のフレキシブルデバイスの製造方法。
(5) 素子基板は、ガスバリア層とガスバリア基板とを有するガスバリアフィルムであり、ガスバリア基板が紫外線を吸収する機能を備える(1)〜(4)のいずれかに記載のフレキシブルデバイスの製造方法。
(6) 紫外線照射工程後の第1の粘着層の粘着力が、紫外線照射工程前の第1の粘着層の粘着力の30%以下である(1)〜(5)のいずれかに記載のフレキシブルデバイスの製造方法。
(7) 可撓性を有し、紫外線を吸収する機能を備える素子基板と、
紫外線の照射により粘着力が低下する第1の粘着層と、
紫外線を透過させる第2の粘着層と、
素子基板よりも可撓性が低い支持体とをこの順に積層してなる積層体、および、
素子基板の第1の粘着層が積層される面とは反対側の面に積層される有機素子を有するフレキシブルデバイス積層体。
(8) 素子基板が、紫外線を吸収する樹脂材料からなる(7)に記載のフレキシブルデバイス積層体。
(9) 素子基板は、紫外線を吸収する材料を混錬分散した樹脂材料からなる(7)に記載のフレキシブルデバイス積層体。
(10) 素子基板は、紫外線を吸収する紫外線吸収層と樹脂フィルムとを有する(7)に記載のフレキシブルデバイス積層体。
(11) 素子基板は、ガスバリア層とガスバリア基板とを有するガスバリアフィルムであり、ガスバリア基板が紫外線を吸収する機能を備える(7)〜(10)のいずれかに記載のフレキシブルデバイス積層体。
このような本発明によれば、フレキシブル基板上に有機素子を形成する際に、有機素子の損傷を防止でき、また、フレキシブル基板への粘着層残りを防止することができるフレキシブルデバイスの製造方法、および、フレキシブルデバイス積層体を提供することができる。
本発明のフレキシブルデバイスの製造方法で作製されるフレキシブルデバイスの一例を概念的に示す断面図である。 図2(A)〜図2(D)は、本発明のフレキシブルデバイスの製造方法を説明するための概略断面図である。 本発明のフレキシブルデバイス積層体の他の一例を概念的に示す断面図である。
以下、本発明のフレキシブルデバイスの製造方法、および、フレキシブルデバイス積層体について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
図1は、本発明のフレキシブルデバイスの製造方法で作製するフレキシブルデバイスの一例を概念的に示す断面図である。
図1に示すフレキシブルデバイス14は、可撓性を有する素子基板26上に有機材料からなる素子(有機素子)28が形成されたものである。
図示例においては、好ましい態様として、素子基板26は、ガスバリアフィルムであり、主にガスバリア性を発現するガスバリア層32と、ガスバリア層32を支持するガスバリア基板30とを有する。
また、有機素子28は、有機材料からなる電子素子であり、有機EL素子、有機太陽電池、有機トランジスタ、有機半導体センサー等が例示される。
これらの材料、寸法等については後に詳述する。
次に、本発明のフレキシブルデバイスの製造方法について、詳細に説明する。
本発明のフレキシブルデバイスの製造方法(以下、『本発明の製造方法』ともいう)は、
可撓性を有し、紫外線を吸収する機能を備える素子基板と、紫外線の照射により粘着力が低下する第1の粘着層と、紫外線を透過させる第2の粘着層と、素子基板よりも可撓性が低い支持体とをこの順に積層してなる積層体を準備する準備工程と、
積層体の素子基板上に、有機素子を形成する素子形成工程と、
積層体の支持体側から紫外線を照射して、第1の粘着層の粘着力を低下させる紫外線照射工程と、
粘着力が低下した第1の粘着層との界面で、有機素子が形成された素子基板を剥離する剥離工程とを有する、フレキシブルデバイスの製造方法である。
以下、本発明の製造方法について、図2(A)〜図2(D)を用いて説明した後に、各工程について詳細に説明する。
図2(A)〜図2(D)は、フレキシブルデバイスの製造方法の好適な実施態様の一例を説明するための模式的な断面図である。
本発明のフレキシブルデバイスの製造方法は、まず、準備工程において、図2(A)に示すような、可撓性を有する素子基板26を粘着層を介して支持体20に固定した積層体10を準備する。
本発明において、積層体10の粘着層は、素子基板26側の第1の粘着層24と、支持体20側の第2の粘着層22との2層からなり、第1の粘着層24は、紫外線(UV)の照射によって粘着力が低下するもので、第2の粘着層22は、紫外線を透過するものである。
また、素子基板26は、紫外線を吸収する機能を備えるものである。
次に、図2(B)に示すように、素子形成工程において、準備工程で準備した積層体10の素子基板26上に、有機素子28を形成する。図2(B)に示す、積層体10の上に有機素子28を形成したものが、本発明におけるフレキシブルデバイス積層体である。
すなわち、図2(B)に示すフレキシブルデバイス積層体12は、本発明における、可撓性を有し、紫外線を吸収する機能を備える素子基板と、紫外線の照射により粘着力が低下する第1の粘着層と、紫外線を透過させる第2の粘着層と、素子基板よりも可撓性が低い支持体とをこの順に積層してなる積層体、および、素子基板の第1の粘着層が積層される面とは反対側の面に積層される有機素子を有するフレキシブルデバイス積層体である。
有機素子28を形成した後には、図2(C)に示すように、紫外線照射工程において、フレキシブルデバイス積層体12の支持体20側から所定量の紫外線を照射する。照射された紫外線は支持体20および第2の粘着層22を透過して、第1の粘着層24に到達する。第1の粘着層24は、紫外線の照射により粘着力が低下する。
また、素子基板26に到達した紫外線は、素子基板26により吸収される。そのため、紫外線は、有機素子28には到達しない。
紫外線照射工程の後には、図2(D)に示すように、剥離工程において、粘着力が低下した第1の粘着層24との界面で、有機素子28が形成された素子基板26を剥離する。すなわち、剥離されたものが、フレキシブルデバイス14である。
以上のようにして、フレキシブルデバイス14が作製される。
前述のとおり、フレキシブルな素子基板上に素子を形成するために、素子基板をリジットな支持体に固定して素子を形成した後に、素子基板を支持体から剥離する際に、レーザ光等の光を照射して、素子基板と支持体との間の粘着層の粘着力を低下させて剥離することが提案されている。
しかしながら、有機EL素子等の有機材料からなる有機素子は、光や熱により劣化するため、有機素子を形成した素子基板を剥離する際に、レーザ光等の光を照射して粘着層の粘着力を低下させる構成では、有機素子への光の照射により有機素子が劣化してしまうという問題があった。
また、粘着層の粘着力を低下させて剥離する場合には、粘着層と支持体との間の粘着力も低下するため、素子基板を剥離する際に、素子基板と粘着層との界面で確実に剥離させることができず、粘着層と支持体との間で剥離して素子基板に粘着層が残ってしまうという問題があった。
これに対して、本発明では、素子基板26が紫外線を吸収する機能を備えるので、紫外線照射工程において、フレキシブルデバイス積層体12に紫外線を照射した際に、紫外線の一部は第1の粘着層24を透過して素子基板26に到達するものの、紫外線は、素子基板26を透過せずに吸収される。これにより、素子基板26上に形成された有機素子28に、紫外線が到達するのが抑制され、有機素子が劣化するのを防止できる。
また、本発明は、紫外線の照射により粘着力が低下する第1の粘着層の、素子基板26と接する面とは反対側の面には、第2の粘着層22が積層されているので、第1の粘着層24の粘着力が低下しても、第1の粘着層24と第2の粘着層22との間は、第2の粘着層22の粘着力により、高い粘着力で接着される。従って、剥離工程において、素子基板26(フレキシブルデバイス14)を剥離する際に、第1の粘着層24は、第2の粘着層22側に残り、素子基板26と第1の粘着層24との界面で確実に剥離され、素子基板26に粘着層が残ってしまうことを確実に防止できる。
次に、各工程について詳細に説明する。
準備工程は、図2(A)に示すような積層体10を準備する工程である。
図2(A)に示す積層体10は、支持体20と、第2の粘着層22と、第1の粘着層24と、素子基板26とをこの順に積層してなる積層体である。
素子基板26は、可撓性を有し、その表面に有機素子28が形成されるものであり、本発明の製造方法で作製されるフレキシブルデバイス14を構成するものである。
ここで、本発明において、素子基板26は、紫外線を吸収する機能を備えるものであり、紫外線照射工程において、照射する紫外線が有機素子に達するのを抑制する。
素子基板26の紫外線の透過率は、10%以下であるのが好ましく、5%以下であるのがより好ましく、1%以下であるのが特に好ましい。
素子基板26の紫外線透過率を上記範囲とすることで、紫外線照射工程において、照射する紫外線が有機素子に達するのをより確実に抑制することができる。
なお、本発明において、紫外線とは、300nm〜380nmの波長の電磁波である。
また、紫外線透過率は、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製)を用いて、300nm〜380nmまで測定した各波長の透過率から、JIS A5759に記載の方法に基づいて求めた値である。
図示例においては、素子基板26は、ガスバリア層32とガスバリア基板30とを有してなるガスバリアフィルムであり、ガスバリア基板30が紫外線を吸収する機能を備える。
ガスバリア基板30は、紫外線を吸収する機能を備えるために、紫外線を吸収する樹脂材料により構成されてもよく、あるいは、ガスバリア基板30は、樹脂材料中に、紫外線を吸収する吸収剤を添加する構成としてもよい。
ガスバリア基板30を形成する樹脂材料自体が紫外線を吸収する構成の場合の、紫外線を吸収する樹脂材料としては、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)等が好適に用いられる。
ガスバリア基板30を形成する樹脂材料に紫外線を吸収する吸収剤を添加する構成の場合の、紫外線吸収剤としては、無機系吸収剤として、酸化亜鉛、酸化チタン、三酸化タングステン、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム等が好適に用いられ、これらの粒子等を樹脂材料中に添加すればよい。ただし、これらの粒子等を用いる場合は、十分な可視光の透過率を確保するために、分散粒径を小さくするのが好ましく、100nm以下のサイズが好適に用いられる。あるいは、有機系吸収剤として、ベンゾトリアゾール類、ヒドキシベンゾフェノン類等が好適に用いられる。
また、紫外線を吸収する材料を添加する構成の場合には、ガスバリア基板30を形成する樹脂材料としては、上記の紫外線を吸収する樹脂材料以外に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、シクロオレフィン・コポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、および、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリビニルアルコール(PVA)等の、有機素子の基板として用いられている公知の材料が、各種、利用可能である。
ガスバリア基板30の厚さは、ガスバリア基板30の形成材料、有機素子の保持性、および、フレキシブルデバイス14として求められる可撓性等のフレキシブルデバイスの設計条件等に応じて、適宜設定すればよい。
上記観点から、ガスバリア基板30の厚さは、10μm〜200μmが好ましく、20μm〜150μmがより好ましい。
ガスバリア層32は、ガスバリア基板30上に積層される、主にガスバリア性を発現する層である。
ガスバリア層32としては、所望のガスバリア性を発現するものであれば、特に限定はなく、公知のガスバリアフィルムにおけるガスバリア層が各種利用可能である。
ガスバリア層32は、少なくとも1層の無機層を有するものが好適に用いられ、無機層と、この無機層の下地となる有機層との組み合わせを1以上有する構成がより好適に用いられる。
また、ガスバリア層32は、最表層が無機層であっても有機層であってもよい。
無機層としては、ガスバリア性を発現する、酸化物、窒化物、酸窒化物等の無機化合物からなる膜が、各種、利用可能である。
具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化インジウムスズ(ITO)などの金属酸化物; 窒化アルミニウムなどの金属窒化物; 炭化アルミニウムなどの金属炭化物; 酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化窒化炭化ケイ素などのケイ素酸化物; 窒化ケイ素、窒化炭化ケイ素などのケイ素窒化物; 炭化ケイ素等のケイ素炭化物; これらの水素化物; これら2種以上の混合物; および、これらの水素含有物等の、無機化合物からなる膜が、好適に例示される。
特に、透明性が高く、かつ、優れたガスバリア性を発現できる点で、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物、ケイ素酸窒化物およびケイ素酸化物等のケイ素化合物からなる膜は、好適に例示される。その中でも特に、窒化ケイ素からなる膜は、より優れたガスバリア性に加え、透明性も高く、好適に例示される。
無機層の厚さは、形成材料に応じて、目的とするガスバリア性を発現できる厚さを、適宜、決定すればよい。なお、本発明者の検討によれば、バリア性、可撓性、耐久性等の観点から、無機層の厚さは、10〜200nmとするのが好ましい。
また、無機層は、形成材料に応じて、公知の方法で形成すればよい。具体的には、CCP(CapacitivelyCoupled Plasma 容量結合プラズマ)−CVD(Chemical Vapor Deposition)やICP(Inductively Coupled Plasma 誘導結合プラズマ)−CVD等のプラズマCVD、マグネトロンスパッタリングや反応性スパッタリング等のスパッタリング、真空蒸着など、気相堆積法が好適に例示される。
有機層の形成材料としては、各種の有機化合物(樹脂/高分子化合物)が、利用可能である。
具体的には、ポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、アクリロイル化合物、などの熱可塑性樹脂、あるいはポリシロキサン、その他の有機ケイ素化合物の膜が好適に例示される。これらは、複数を併用してもよい。
有機層の厚さは、無機層の下地として平滑な面を形成できる点、有機層のクラックやカール等を防止できる点で、0.1μm〜5μmが好ましい。
また、有機層は、塗布法やフラッシュ蒸着等の公知の方法で成膜すればよい。
また、図1(A)に示す例では、素子基板26のガスバリア基板30自体が紫外線を吸収する機能を有する構成としたが、これに限定はされず、紫外線を吸収する層をさらに有する構成としてもよい。
図3に、本発明のフレキシブルデバイス積層体の他の一例の概念的な断面図を示す。
図3に示すフレキシブルデバイス積層体50は、素子基板26に代えて、素子基板52を有する以外は、図2(A)に示す積層体10と同様の構成を有する積層体を備えるフレキシブルデバイス積層体である。従って、同じ部位には同じ符号を付し、以下の説明では異なる部位を主に行う。
図3に示すフレキシブルデバイス積層体50の素子基板52は、ガスバリア基板54、ガスバリア基板54の一方の面に積層されたガスバリア層32、および、ガスバリア基板54の他方の面に積層された紫外線吸収層56とを有する。
ガスバリア基板54は、紫外線を吸収する機能を有さない以外は、上記のガスバリア基板30と同様の構成を有する。
紫外線吸収層56は、紫外線を吸収する機能を有する層である。
紫外線吸収層56は、紫外線を吸収する樹脂材料により構成されてもよく、あるいは、樹脂材料中に、紫外線を吸収する吸収剤を添加して形成する構成としてもよい。
紫外線吸収層56を形成する樹脂材料に紫外線を吸収する吸収剤を添加する構成の場合の、紫外線吸収層56を形成する樹脂材料としては、上述のガスバリア基板30で例示した樹脂材料と同様の樹脂材料が利用可能である。
また、樹脂材料中に添加される吸収剤としては、有機系吸収剤として、ベンゾトリアゾール類、ヒドキシベンゾフェノン類等が好適に用いられる。また、無機系吸収剤として、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、三酸化タングステン、チタン酸ストロンチウム等が例示される。なかでも、酸化亜鉛、酸化チタンが吸収性能が高いために好適に利用可能である。
また、紫外線吸収層56を形成する樹脂材料自体が紫外線を吸収する構成であってもよく、このような樹脂材料としては、上述のガスバリア基板30と同様に、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)等が好適に用いられる。
また、紫外線吸収層56の厚さには特に限定はなく、材料の種類、可撓性、可視光透過率、紫外線の吸収能力等に応じて適宜設定すればよい。上記観点から、紫外線吸収層56の厚さは、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜5μmがより好ましい。
なお、図3に示す例では、紫外線吸収層56は、ガスバリア基板54の、ガスバリア層32が形成される面とは反対側の面に積層される構成としたが、これに限定はされず、ガスバリア基板54とガスバリア層32との間に積層されてもよく、あるいは、ガスバリア層32上に積層されてもよい。
また、図3に示す例では、ガスバリア基板54は、紫外線を吸収する機能を有さない構成としたが、ガスバリア基板54が紫外線を吸収する機能を有し、さらに、紫外線吸収層56をする構成であってもよい。
また、図1(A)に示す例では、素子基板26は、ガスバリア性を有するガスバリアフィルムである構成としたが、これに限定はされず、素子基板は、ガスバリア性を有さない構成であってもよい。すなわち、素子基板は、ガスバリア層を有さない構成であってもよい。
なお、ガスバリアフィルムを素子基板として用いる構成は、フレキシブルデバイス14作製後に、さらに、有機素子の上面をガスバリア層やガスバリアフィルムで封止することで、有機素子全体を容易に保護することができ、有機素子が水分や酸素によって劣化するのを防止できる点で好ましい。
支持体20は、可撓性を有する素子基板26を支持して、自己支持性を確保し、折れ曲がりやシワ、たわみ等を防止して、安定した搬送を可能にするためのものである。
支持体20としては、素子基板26よりも可撓性が低く、紫外線を透過するものであれば、各種の材料からなるものが利用可能である。具体的には、支持体20として、ガラス基板、各種プラスチック基板、各種金属基板、シリコン基板等が適宜、利用可能である。
支持体20の厚さは、素子基板26のたわみ等を抑制することができれば特に限定はなく、支持体20の材質、素子基板26の材質、厚さ、搬送速度等に応じて、適宜、決定すればよい。好ましくは、0.3mm〜25mm、より好ましくは、0.5mm〜5mmである。
第1の粘着層24および第2の粘着層22は、素子基板26と支持体20との間に積層され、素子基板26と支持体20とを接着するものである。
第1の粘着層24は、素子基板26側に積層される粘着層であり、紫外線を照射されることによって、粘着力が低下するものである。
具体的には、第1の粘着層24の、紫外線照射前の粘着力に対する、紫外線照射後の粘着力の比率は、30%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、3%以下であるのが特に好ましい。
紫外線照射前後での粘着力の比率を上記範囲とすることにより、積層体10(フレキシブルデバイス積層体12)のハンドリング時には、素子基板26が剥離するのを好適に防止でき、かつ、剥離工程では、素子基板26と容易に剥離して、有機素子が損傷するのを好適に防止できる。
ここで、本発明における粘着力は、90度剥離試験法(JIS Z0237)によって測定される。被着体はガラス基板、剥離速度は50mm/minとした。
このように紫外線の照射により粘着力が低下する第1の粘着層24の材料としては、紫外線照射によって架橋構造を形成するものが好適に用いられ、特にアクリル系のモノマーおよびポリマーが好適に利用可能である。
また、第1の粘着層の厚さには、特に限定はないが、素子基板26を十分に固定できる点、紫外線の照射により確実に粘着力が低下する点、紫外線の照射量を少なくできる点等から、1μm〜100μmが好ましく、2μm〜50μmがより好ましく、4μm〜25μmが特に好ましい。
第2の粘着層22は、支持体20側に積層される粘着層である。
また、第2の粘着層22は、紫外線を透過する材料からなる。従って、第2の粘着層22は、紫外線照射工程の前後において、粘着力が変化しない。
第2の粘着層22の粘着力には特に限定はないが、剥離工程において、素子基板26と第1の粘着層24との界面で確実に剥離させるために、紫外線照射後の第1の粘着層24の粘着力よりも高いことが好ましい。また、ハンドリング時に素子基板26を十分に固定できる粘着力を有するのが好ましい。以上の観点から、第2の粘着層22の粘着力は、1N/25mm以上が好ましく、2N/25mm以上がより好ましく、5N/25mm以上が特に好ましい。
第2の粘着層22の材料としては、アクリル系、シリコーン系、ゴム系の粘着剤等が例示される。
中でも、耐熱性や価格等の点で、アクリル系の粘着剤が好適に利用可能である。耐熱性や耐薬品性が重要となる工程の際は、高価ではあるがシリコーン系の粘着剤が好適に利用可能である。
また、第2の粘着層の厚さは、特に限定はないが、素子基板26を十分に固定できる点、紫外線の透過率を高くできる点等から、1μm〜100μmが好ましく、2μm〜50μmがより好ましく、4μm〜25μmが特に好ましい。
また、このような第1の粘着層および第2の粘着層の形成方法としては、塗布や貼合など、従来公知の形成方法が、適宜、選択可能である。
次に、素子形成工程について説明する。
素子形成工程は、準備した積層体10の素子基板26上に有機素子28を形成し、図2(B)に示すようなフレキシブルデバイス積層体12を作製する工程である。
有機素子28は、有機EL素子、有機太陽電池、有機トランジスタ、有機半導体センサー等の有機材料からなる電子素子である。
従って、有機素子28は、形成する電子素子に応じた材料で形成される。
例えば、有機素子28は、有機電界発光層と、有機電界発光層を挾持する電極対である透明電極および反射電極とを有する公知の有機EL素子として形成される。
このような有機EL素子の場合には、有機電界発光層は、有機EL材料からなる発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等を有する、公知の層構成からなるものであればよい。
また、透明電極としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)等の導電性金属酸化物等の、有機電界発光層から発せられた光を透過する光透過性を有する、種々の公知の電極が利用可能である。
また、反射電極としては、有機EL素子の電極として用いられる、種々の公知の電極が利用可能である。
有機素子28の大きさ、厚さ等は、形成する有機素子28の種類に応じて適宜、設定すればよい。
また、有機素子28は、有機素子28の種類に応じて、公知の形成方法で形成すればよい。
また、有機EL素子を用いたディスプレイや照明装置は、フレキシブル化の要求が高く、また、有機EL材料として用いられる材料は、紫外線により劣化しやすい。従って、本発明の製造方法は、有機素子28として、有機EL素子を形成する際に好適に適用される。
次に、紫外線照射工程について説明する。
図2(C)に示すように、紫外線照射工程は、有機素子28を形成した積層体10(フレキシブルデバイス積層体12)の支持体20側から、紫外線を照射し、第1の粘着層24の粘着力を低下させる工程である。
紫外線照射工程において、支持体20側から照射された紫外線は支持体20および第2の粘着層22を透過して、第1の粘着層24に到達する。その際、紫外線の一部は第1の粘着層24を透過して素子基板26に到達し、素子基板26に吸収される。従って、紫外線が有機素子28に到達するのを抑制でき、有機素子が劣化するのを防止できる。
紫外線照射工程において、紫外線を照射する装置としては、従来公知の紫外線照射装置が各種利用可能である。
また、紫外線照射工程において、紫外線の照射量には特に限定はなく、第1の粘着層24の種類、厚さ等に応じて適宜、設定すればよい。第1の粘着層24の粘着力をより確実に低下させる、周辺部材にダメージを与えない等の観点から、紫外線の照射量は、100mJ/cm2〜1200mJ/cm2であるのが好ましい。
次に、剥離工程について説明する。
図2(D)に示すように、剥離工程は、紫外線の照射により粘着力が低下した第1の粘着層24と素子基板26の界面を剥離させる工程である。これにより、素子基板26上に有機素子28が形成されたフレキシブルデバイス14が作製される。
剥離の際、第1の粘着層24の粘着力は弱くなっているので、素子基板26を容易に剥離させることができ、有機素子28が損傷するのを抑制できる。また、第2の粘着層22を有するので、第1の粘着層24は第2の粘着層22とより強く接着されているため、剥離した素子基板26側に第1の粘着層24が残るのを防止できる。
なお、剥離工程における剥離の方法には特に限定はなく、従来のフレキシブルデバイスの作製において実施される種々の公知の剥離方法が利用可能である。
以上のように、本発明の製造方法は、紫外線の照射に伴う劣化や、剥離に伴う損傷のない有機素子28を有し、かつ、素子基板に粘着層残りのないフレキシブルデバイス14を作製することができる。
以上、本発明のフレキシブルデバイスの製造方法、および、フレキシブル積層体について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明を、より詳細に説明する。
[実施例1]
実施例1として、本発明の製造方法により図1に示すフレキシブルデバイス14を作製した。
〔積層体の準備工程〕
(支持体)
支持体20としては、厚さ1.1mmのガラス基板(コーニング社製 EagleXG)を用いた。
(第2の粘着層)
次に、支持体20上に、第2の粘着層となる材料を塗布し、乾燥・硬化させて、厚さ15μmの第2の粘着層22を形成した。
第2の粘着層22の材料としては、二液熱硬化型のアクリル酸エステルの液状樹脂(綜研化学株式会社製 SKダイン1831)を用いた。
また、塗布はアプリケーターを用いて行った。乾燥後の厚さが15μmとなるように調整して塗布した。また、硬化条件は、温度80℃で30分とした。
なお、ガラス基板に対する第2の粘着層22の粘着力を、90度剥離試験法(JIS Z0237)で測定したところ、10N/25mmであった。
(第1の粘着層)
次に、支持体20上に、下記塗布組成物Aを塗布し、乾燥・硬化させて、厚さ3μmの第1の粘着層24を形成した。
第1の粘着層24の塗布組成物Aとして、2エチルヘキシルアクリレート、2−メタクリロキシルエチルイソシアネート、2ハイドロキシエチルアクリレートの混合液に、光重合開始剤、安定化剤、酸化防止剤を少量添加した混合液を調製した。また、各成分の混合量は、所望の密着性が得られるように適宜調整を行った。
また、塗布はアプリケーターを用いて行った。乾燥・硬化後の厚さが3μmとなるように調整して塗布した。
なお、ガラス基板に対する第1の粘着層24の粘着力を、90度剥離試験法で測定したところ、10N/25mmであった。さらに、後述の紫外線照射工程と同じ条件で紫外線を照射した後、ガラス基板に対する第1の粘着層24の粘着力を測定したところ、0.2N/25mmであった。
(素子基板)
素子基板26として、ガスバリア基板30上に、有機層および無機層からなるガスバリア層32が形成されたガスバリアフィルムを用いた。
ガスバリア基板30として、ポリエチレンテレフタレート(PET)に紫外線吸収剤を添加してフィルム状に形成した基板を用いた。
紫外線吸収剤としては、酸化亜鉛微粒子(平均粒径100nm以下 シーアイ化成株式会社製)を用いた。
また、ガスバリア基板30は、厚さ100μmとした。
ガスバリア層32としては、ガスバリア基板30の表面に積層される有機層と、有機層上に積層される無機層とを有する構成とした。
有機層は、塗布法によりガスバリア基板30に材料を塗布し、乾燥後、紫外線照射して重合を行って、厚さ1μmの膜を形成した。
有機層を形成する塗布液Aとして、重合性化合物のTMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート、ダイセル・サイテック株式会社製)と、紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、ESACURE KTO46)1.4gとを、質量比が95:5となるように秤量し、これらをメチルエチルケトンに溶解させて、固形分濃度15%の塗布液を調製した。
調製した塗布液Aをダイコーターを用いてガスバリア基板30上に塗布し、50℃の乾燥ゾーンを3分間通過させ、その後、紫外線を照射(積算照射量約600mJ/cm2)して硬化させ、有機層を形成した。
有機層上に形成される無機層は、窒化ケイ素膜とした。
一般的な成膜装置を用いて、CCP−CVDにより、有機層上に、厚さ50nmの無機層を形成した。
原料ガスは、シランガス(SiH4)、アンモニアガス(NH3)、窒素ガス(N2)および水素ガス(H2)を用いた。ガスの供給量は、シランガスが160sccm、アンモニアガスが370sccm、窒素ガスが240sccm、水素ガスが590sccmとした。また、成膜圧力は40Paとした。
プラズマ励起電力は、周波数13.56MHzで2.5kWとした。
作製したガスバリアフィルム(素子基板26)の紫外線透過率を、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製)を用いて、300nm〜380nmまで測定した各波長の透過率から、JIS A5759に記載の方法に基づいて求めたところ、1%未満であった。
以上のようにして作製されたガスバリアフィルムを、ガスバリア基板30側を第1の粘着層24側に向けて、第1の粘着層24上に積層して、積層体10を作製した。
〔素子形成工程〕
次に、準備した積層体10の素子基板26上に有機素子28として有機EL素子を形成した。
まず、積層体10を一般的なスパッタリング装置に装填して、ITO(Indium Tin Oxide 酸化インジウム錫)をターゲットとして用いて、DC(直流)マグネトロンスパッタリングによって、厚さ0.2μmのITO薄膜からなる透明電極を形成した。
次に、電極を形成した積層体10に真空蒸着法によって、以下の有機化合物を、順次、形成し、有機電界発光層を形成した。
まず、真空蒸着装置により、HAT-CNを正孔注入層として10nmの膜厚で形成した。次に、正孔輸送層(α-NPD:Bis[N-(1-naphthyl)-N-phenyl]benzidine)を膜厚500nmで形成した。さらに、CBP (4,4‘-Bis(carbazol-9-yl)biphenyl)をホスト材料として10%のIr(ppy)3(Tris(2-phenylpyridinato)iridium)をドープした発光層を膜厚30nmで形成した。次に、正孔ブロック層としてBAlq(Bis-(2-methyl-8-quinolinolato)-4-(phenyl-phenolate)-aluminium(III))層を膜厚10nmで形成し、電子輸送層としてAlq3 (Tris(8-hydroxy-quinolinato)aluminium)層を膜厚40nmで形成し、有機電界発光層を形成した。
さらにこれらの層を形成した積層体10を、真空蒸着装置に装填して、真空蒸着によって、厚さ0.5nmのフッ化リチウム層を形成し、さらに、厚さ200nmの金属アルミニウムからなる反射電極を形成した。
〔紫外線照射工程〕
次に、有機素子28を形成した積層体10、すなわち、フレキシブルデバイス積層体12を紫外線照射装置(セン特殊光源株式会社製 HUV−1000)に装填して、支持体20側から積層体10に紫外線を照射した。
紫外線の照射量は、600mJ/cm2とした。
〔剥離工程〕
紫外線照射後のフレキシブルデバイス積層体12からフレキシブルデバイス14を剥離させて、フレキシブルデバイス14を作製した。
[実施例2]
素子基板26のガスバリア基板30として、厚さ100μmのポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製 テオネックスQ65HA)を用いた以外は実施例1と同様にして、フレキシブルデバイス14を作製した。
なお、作製した素子基板26の紫外線透過率を測定したところ、1%未満であった。
[実施例3]
素子基板として、図3に示すような紫外線吸収層56を有する素子基板52を用いた以外は実施例1と同様にして、フレキシブルデバイス14を作製した。
具体的には、素子基板52のガスバリア基板54として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東洋紡株式会社製 コスモシャインA4300)を用いた。
さらに、ガスバリア基板54のガスバリア層32が形成される面とは反対側の面に、紫外線吸収層56を形成した。
紫外線吸収層56は、塗布法によりガスバリア基板54に下記塗布液Bを塗布し、乾燥後、硬化させて、厚さ4μmの膜を形成した。
紫外線吸収層56を形成する塗布液Bとして、酸化亜鉛微粒子(25wt%)、ポリエステル樹脂(15wt%)、トルエン(40%)、酢酸エチル(20%)、分散剤(2%)を混合した塗布液を調製した。
調製した塗布液Bをダイコーターを用いてガスバリア基板54上に塗布し、加熱して硬化させ、紫外線吸収層56を形成した。
ガスバリア基板54の紫外線吸収層56が形成された面とは反対側の面に、実施例1と同様にして、有機層および無機層からなるガスバリア層32を形成して、素子基板52を作製した。
なお、作製した素子基板26の紫外線透過率を測定したところ、1%未満であった。
[実施例4]
紫外線吸収層56の厚さを1.9μmとした以外は、実施例3と同様にして、フレキシブルデバイス14を作製した。
なお、作製した素子基板26の紫外線透過率を測定したところ、5%であった。
[実施例5]
紫外線吸収層56の厚さを1.5μmとした以外は、実施例3と同様にして、フレキシブルデバイス14を作製した。
なお、作製した素子基板26の紫外線透過率を測定したところ、10%であった。
[実施例6]
第1の粘着層24の、紫外線照射後の粘着力が、1N/25mmとなるように、第1の粘着層24を形成する塗布組成物Aの各成分の混合量を調整した以外は、実施例3と同様にして、フレキシブルデバイス14を作製した。
[実施例7]
第1の粘着層24の、紫外線照射後の粘着力が、3N/25mmとなるように、第1の粘着層24を形成する塗布組成物Aの各成分の混合量を調整した以外は、実施例3と同様にして、フレキシブルデバイス14を作製した。
[実施例8]
紫外線照射工程における紫外線の照射量を100mJ/cm2とした以外は、実施例5と同様にして、フレキシブルデバイス14を作製した。
この照射量の紫外線照射後の第1の粘着層24の粘着力は、3N/25mmであった。
[実施例9]
紫外線照射工程における紫外線の照射量を1200mJ/cm2とした以外は、実施例5と同様にして、フレキシブルデバイス14を作製した。
この照射量の紫外線照射後の第1の粘着層24の粘着力は、0.2N/25mmであった。
[比較例1]
紫外線吸収層を有さない以外は、実施例3と同様にして、フレキシブルデバイスを作製した。
なお、素子基板の紫外線透過率を測定したところ、55%であった。
[比較例2]
第2の粘着層を有さない以外は、実施例1と同様にして、フレキシブルデバイスを作製した。
[評価]
<有機素子の損傷度>
作製した実施例1〜9および比較例1〜2のフレキシブルデバイスについて、有機EL素子を点灯させて、ダークスポットの発生の有無により、有機EL素子の損傷の度合いを評価した。
具体的には、Keithley社製SMU2400型ソースメジャーユニットを用いて、有機EL素子に7Vの電圧を印加して発光させて、照度計(CL−200A、コニカミノルタ株式会社製)を用いて照度を確認し、紫外線照射工程および剥離工程を行う前の有機EL素子の照度を基準として、照度を比較して割合(%)を算出した。
求めた照度の割合から損傷度を以下の基準で評価した。
照度の低下が認められない場合を『A』、
照度が90%以上100未満%の場合を『B』、
照度が80%以上90%未満の場合を『C』とした。
照度が80%未満の場合を『D』とした。
<粘着層残り>
作製した実施例1〜9および比較例1〜2のフレキシブルデバイスについて、有機EL素子が形成された面の反対側の面を観察し、粘着層残りの有無を以下の基準で評価した。
粘着層残りが観察されない場合を『A』、
粘着層が素子面積に対する面積率で5%未満観察された場合を『B』、
粘着層が素子面積に対する面積率で5%以上10%未満観察された場合を『C』、
粘着層が素子面積に対する面積率で10%以上観察された場合を『D』とした。
結果を下記の表1に示す。
上記表1に示されるように、本発明の製造方法で作製されたフレキシブルデバイスである実施例1〜9は、比較例1〜2に対して、有機素子の損傷が少なく、また、粘着層残りが少ないことが分かる。
また、実施例3〜5の対比から、素子基板の紫外線透過率は、10%以下であるのが好ましく、5%以下であるのがより好ましく、1%以下であるのが特に好ましいことがわかる。
また、実施例3、6、7の対比から、第1の粘着層の、紫外線照射前の粘着力に対する、紫外線照射後の粘着力の比率は、30%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、3%以下であるのが特に好ましいことがわかる。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
10 積層体
12、50 フレキシブルデバイス積層体
14 フレキシブルデバイス
20 支持体
22 第2の粘着層
24 第1の粘着層
26、52 素子基板
28 有機素子
30、54 ガスバリア基板
32 ガスバリア層
56 紫外線吸収層

Claims (11)

  1. 可撓性を有する素子基板と、紫外線の照射により粘着力が低下する第1の粘着層と、紫外線を透過させる第2の粘着層と、前記素子基板よりも可撓性が低い支持体とをこの順に積層してなる積層体を準備する準備工程と、
    前記積層体の前記素子基板上に、有機素子を形成する素子形成工程と、
    前記積層体の前記支持体側から紫外線を照射して、前記第1の粘着層の粘着力を低下させる紫外線照射工程と、
    粘着力が低下した前記第1の粘着層との界面で、前記有機素子が形成された前記素子基板を剥離する剥離工程とを有し、
    前記素子基板は、紫外線を吸収する機能を備えており、前記素子基板は、300nm〜380nmの波長の紫外線の透過率が10%以下であり、前記紫外線照射工程の際に、紫外線を吸収して、前記有機素子に紫外線が到達するのを抑制するものであり、
    前記第2の粘着層の粘着力は、前記紫外線照射工程後の前記第1の粘着層の粘着力よりも高いことを特徴とするフレキシブルデバイスの製造方法。
  2. 前記素子基板は、紫外線を吸収する樹脂材料からなる請求項1に記載のフレキシブルデバイスの製造方法。
  3. 前記素子基板は、紫外線を吸収する材料を添加した樹脂材料からなる請求項1に記載のフレキシブルデバイスの製造方法。
  4. 前記素子基板は、紫外線を吸収する紫外線吸収層と樹脂フィルムとを有する請求項1に記載のフレキシブルデバイスの製造方法。
  5. 前記素子基板は、ガスバリア層とガスバリア基板とを有するガスバリアフィルムであり、前記ガスバリア基板が紫外線を吸収する機能を備える請求項1〜4のいずれか1項に記載のフレキシブルデバイスの製造方法。
  6. 前記紫外線照射工程後の前記第1の粘着層の粘着力が、前記紫外線照射工程前の前記第1の粘着層の粘着力の30%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のフレキシブルデバイスの製造方法。
  7. 可撓性を有し、紫外線を吸収する機能を備える素子基板と、
    紫外線の照射により粘着力が低下する第1の粘着層と、
    紫外線を透過させる第2の粘着層と、
    前記素子基板よりも可撓性が低い支持体とをこの順に積層してなる積層体、および、
    前記素子基板の前記第1の粘着層が積層される面とは反対側の面に積層される有機素子を有し、
    前記素子基板は、300nm〜380nmの波長の紫外線の透過率が、10%以下であり、
    前記第2の粘着層の粘着力は、紫外線の照射により粘着力が低下した前記第1の粘着層の粘着力よりも高いことを特徴とするフレキシブルデバイス積層体。
  8. 前記素子基板が、紫外線を吸収する樹脂材料からなる請求項7に記載のフレキシブルデバイス積層体。
  9. 前記素子基板は、紫外線を吸収する材料を混錬分散した樹脂材料からなる請求項7に記載のフレキシブルデバイス積層体。
  10. 前記素子基板は、紫外線を吸収する紫外線吸収層と樹脂フィルムとを有する請求項7に記載のフレキシブルデバイス積層体。
  11. 前記素子基板は、ガスバリア層とガスバリア基板とを有するガスバリアフィルムであり、前記ガスバリア基板が紫外線を吸収する機能を備える請求項7〜10のいずれか1項に記載のフレキシブルデバイス積層体。
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