JP6376458B2 - 現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

Info

Publication number
JP6376458B2
JP6376458B2 JP2014197392A JP2014197392A JP6376458B2 JP 6376458 B2 JP6376458 B2 JP 6376458B2 JP 2014197392 A JP2014197392 A JP 2014197392A JP 2014197392 A JP2014197392 A JP 2014197392A JP 6376458 B2 JP6376458 B2 JP 6376458B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
developer
developing
casing
developing device
gap
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014197392A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016070993A (ja
Inventor
小池 寿男
寿男 小池
睦貴 守永
睦貴 守永
高橋 裕
裕 高橋
慧之輔 近藤
慧之輔 近藤
健太郎 三國谷
健太郎 三國谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2014197392A priority Critical patent/JP6376458B2/ja
Priority to EP15166677.3A priority patent/EP2947516A1/en
Priority to CN201510254967.7A priority patent/CN105093879B/zh
Priority to US14/720,612 priority patent/US9921541B2/en
Publication of JP2016070993A publication Critical patent/JP2016070993A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6376458B2 publication Critical patent/JP6376458B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Dry Development In Electrophotography (AREA)
  • Magnetic Brush Developing In Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、現像装置、並びにこれを備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
従来、現像装置において、現像領域でケーシングから露出した現像剤担持体の表面が再びケーシング内に戻るケーシング入口部で、ケーシング内部に向かう気流(以下、「吸い込み気流」という)が発生することが知られている。
一般に、現像剤を収容するケーシング、ケーシング内の現像剤を攪拌・搬送する攪拌搬送部材、ケーシング内の現像剤を表面に担持して搬送する現像剤担持体などから構成される。現像剤担持体の表面上に担持された現像剤は、現像剤担持体の表面移動に伴って表面移動方向下流側へ搬送され、潜像担持体との対向領域(現像領域)を通過する。現像剤担持体の表面上の現像剤は、現像領域の通過時に、潜像担持体上の静電潜像にトナーを付着させて現像処理を行い、その後、再びケーシング内に回収される。
特許文献1には、ケーシング入口部における現像剤担持体とケーシングとの隙間を、現像剤担持体に担持された現像剤がケーシングに接触するように設定する現像装置が記載されている。この現像装置では、現像剤が、ケーシングに接触しながらケーシング内に移動することによって現像剤担持体とケーシングとのシール性を保持するとともに、ケーシング内への吸い込み気流を発生させている。
吸い込み気流を発生させる構成では、現像領域近傍で現像剤担持体から遊離してしまった現像剤を、吸い込み気流に乗せてケーシング内に回収することが可能となり、現像剤の飛散を抑制することができる。
また、ケーシング入口部で、現像剤担持体の表面に担持された現像剤とケーシングとの間に隙間があると、この隙間からケーシングの内部から外部に向かう気流(以下、「吐き出し気流」という。)が発生する。吐き出し気流が発生すると、ケーシング内の現像剤が気流に乗って漏れ出たり、現像剤が吸い込み気流に乗ってケーシング内に向かうことを阻害したりするため、現像剤の飛散の原因となるおそれがある。これに対してケーシング入口部で、現像剤担持体の表面に担持された現像剤がケーシングに接触する構成では、現像剤担持体の表面に担持された現像剤とケーシングとの間に隙間がないため、上記吐き出し気流が発生することを防止できる。これにより、現像剤の飛散をさらに抑制することができる。
しかしながら、現像剤担持体の表面に担持された現像剤がケーシング入口部でケーシングに接触する構成を採用すると、ベタ画像を出力したときに画像濃度が低下する不具合が生じることがあった。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、トナーとキャリアとからなる二成分の現像剤を表面上に担持して表面移動することにより潜像担持体の表面と対向する現像領域へ現像剤を搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体の表面に供給する現像剤を収容する現像剤収容部を形成し、内部に配置された前記現像剤担持体の表面移動方向における前記現像剤担持体の表面の一部を前記潜像担持体に対向させるための開口部が設けられた現像ケーシングと、前記現像剤担持体に現像バイアスを印加する現像バイアス印加手段と、を備える現像装置において、前記現像領域に対して前記現像剤担持体の表面移動方向下流側の前記現像剤担持体の表面と前記現像ケーシングの対向面とが近接するケーシングギャップ部は、前記現像剤担持体に担持された現像剤が前記現像ケーシングの対向面に接触するように設定され、前記現像ケーシングにおける前記ケーシングギャップ部を形成する部分は導電性材料から形成され、前記ケーシングギャップ部で前記現像剤担持体の表面上の現像剤が接触する部分の前記現像ケーシングの対向面に絶縁層を備え、前記現像ケーシングは、前記現像剤担持体の表面と対向して前記ケーシングギャップ部を形成し、導電性材料からなるギャップ形成部材を、前記現像剤収容部を形成するケーシング本体部とは別部材で備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、現像領域の下流側における現像剤の飛散を抑制しつつ、画像濃度の安定化を図ることができる、という優れた効果がある。
実施形態に係る現像装置の現像ローラ近傍の拡大図。 実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。 液冷装置の概略構成図。 現像装置及び感光体を示す拡大構成図。 現像装置を斜め上方から見た斜視図。 図5に示す現像装置から現像ローラ上カバーを取り外した状態の斜視図。 現像装置内の現像剤の流れの模式図。 図4に示す現像装置について、現像剤収容部である三つの現像剤搬送路を形成するケーシングのみを示す断面図。 図4に示す現像装置の断面図のケーシングギャップ領域近傍の拡大断面図。 現像装置におけるケーシングギャップが広い場合と、狭い場合とのケーシングギャップ領域近傍の模式図。 実験例2で用いた現像装置の改造機の説明図。 トナー付着量の測定箇所を示す現像装置の説明図。 ギャップ形成部材の感光体との対向面にトナーが付着する様子の説明図。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図2は、本発明を適用可能な画像形成装置としての複写機500の概略構成を説明する構成図である。
図2に示す複写機500は、四つの画像形成ユニット11(Y,M,C,K)が並列に配置された画像形成部1を有している。画像形成ユニット11(Y,M,C,K)は、潜像担持体たるドラム状の感光体18(Y,M,C,K)、ドラムクリーニングユニット12(Y,M,C,K)、帯電ユニット13(Y,M,C,K)、現像装置40(Y,M,C,K)等を不図示の枠体に収めている。現像装置40(Y,M,C,K)は、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤を用いる二成分現像方式である。
これら画像形成ユニット11(Y,M,C,K)は、複写機500本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。また、本実施形態の現像装置40は、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤を用いるに二成分現像方式を採用している。
画像形成部1の上方には、潜像形成手段としての露光ユニット9が設けられている。また、装置上部には、コンタクトガラス上に載置された原稿を走査して読み取る読取装置10が設けられている。画像形成部1の下方には、中間転写体としての中間転写ベルト15を備えた転写ユニット2が設けられている。中間転写ベルト15は、複数の支持ローラに掛け渡されており、図2中の時計回り方向に回転移動する。転写ユニット2の下方には二次転写装置4が設けられている。
二次転写装置4は、二次転写ローラ17を備えており、二次転写ローラ17は、中間転写ベルト15における転写対向ローラ16に対する掛け回し箇所に、中間転写ベルト15のおもて面から当接して二次転写ニップを形成している。
二次転写ローラ17には図示しない電源によって二次転写バイアスが印加されている。また、転写対向ローラ16は、電気的に接地されている。これにより、二次転写ニップ内に二次転写電界が形成されている。二次転写装置4の図2中の左側には、用紙上に転写されたトナー像を定着する定着ユニット7が設けられている。定着ユニット7は、内部に発熱体を備えた加熱ローラを有する。
また、二次転写装置4と定着ユニット7との間には、トナー像転写後の用紙を定着ユニット7へと搬送する搬送ベルト6が設けられている。複写機500の図2中の右下部には、図示しない給紙収容部から一枚ずつ分離して給送された用紙を二次転写装置4へ給紙する給紙ユニット3が設けられている。また、複写機500の図2中の右下部には、おもて面にトナー像が定着された用紙を再び給紙ユニット3へと搬送する両面ユニット5を備える。さらに、定着ユニット7の図2中の左側には、定着ユニット7を通過した用紙を、機外へ排出、または両面ユニット5へ搬送する排紙ユニット8が設けられている。
複写機500でコピーをとるときは、読取装置10により原稿を読み取る。この原稿読み取りに並行して、中間転写ベルト15が図2中の時計回り方向に回転するように表面移動する。これと同時に、画像形成部1では、帯電ユニット13(Y,M,C,K)によって表面が帯電せしめられた感光体18(Y,M,C,K)上に、読み取った原稿内容に基づきイエロー、マゼンタ、シアン、黒の色別情報を用いて露光ユニット9により露光する。これにより、それぞれの感光体18(Y,M,C,K)の表面上に潜像を形成する。
次いで、各感光体18(Y,M,C,K)上の潜像を現像装置40(Y,M,C,K)により現像し、単色のトナー像(顕像)を形成する。そして、各感光体18(Y,M,C,K)上のトナー像を中間転写ベルト15上に互いに重なり合うように順次転写して、中間転写ベルト15上に合成トナー像を形成する。
トナー像転写後の各感光体18(Y,M,C,K)は、ドラムクリーニングユニット12(Y,M,C,K)で、感光体18(Y,M,C,K)上に残留する残留トナーを除去し、再度の画像形成に備える。
このようなトナー像形成に並行して、図示しない給紙収容部から一枚づつ用紙を繰り出し、レジストローラ対14に突き当てて止める。そして、中間転写ベルト15上の合成トナー像の形成にタイミングを合わせてレジストローラ対14を回転し、中間転写ベルト15と二次転写装置4とによって形成される二次転写ニップに用紙を送り込み、二次転写装置4で転写して用紙上にトナー像を転写する。トナー像転写後の用紙は、搬送ベルト6で搬送して定着ユニット7へと送り込み、定着ユニット7で熱と圧力とを加えてトナー像を定着した後、排紙ユニット8へ送り込む。
排紙ユニット8では用紙の搬送先を切換爪で切換えて、機外(装置左側)の図示しない排紙トレイまたは下方の両面ユニット5へ案内する。両面ユニット5では、用紙を反転して再び二次転写ニップへと導き、裏面にも画像を記録した後、排紙ユニット8で排紙トレイ上に排出する。
一方、二次転写ニップでトナー像を転写した後の中間転写ベルト15は、中間転写ベルトクリーニングユニット90によって、中間転写ベルト15上に残留する残留トナーを除去され、再度の画像形成に備える。
ここで、複写機500では機械サイズを小型化する観点から機械内部の高密度化と共に定着ユニット7を転写ユニット2の下側にもぐりこませるような配置としている。このため、複写機500では、図2に示すように、中間転写ベルト15は、定着ユニット7の上面および右側面を覆うよう屈曲している。この構成により装置の高さ方向と幅方向とをコンパクトにしている。
しかし、中間転写ベルト15に対して定着ユニット7を近接させると、発熱体である定着ユニット7によって中間転写ベルト15が熱的影響を受け変形し、色ずれ等の画像不具合が発生する恐れがある。これは、装置が高速化するにつれて装置内部の発熱量が増大することにより、顕著になってきている。
また、両面印刷時は、定着ユニット7で加熱された用紙が両面ユニット5を通過し、再び二次転写位置にて中間転写ベルト15に接触するため、用紙からの熱伝達により、さらに中間転写ベルト15の温度が上昇して、より厳しい条件となる。また、中間転写ベルト15に接触している感光体18(Y,M,C,K)、さらには現像装置40(Y,M,C,K)にも熱が伝わり、ベルト変形による画像不具合、及びトナーの固化等の不具合がより一層発生しやすくなる。
そこで、発熱源である定着ユニット7と、定着ユニット7と近接して配置される中間転写ベルト15との間に断熱装置20を設けている。断熱装置20は、ダクトによる気流から成る場合も多いが、ここではヒートパイプを使った断熱装置について説明する。これは、主として受熱板21と、ヒートパイプ22と、放熱板23と、ダクト24及び図示しない排気ファンとで構成される。
受熱部材である受熱板21は熱を吸収しやすい材料で形成され、発熱源である定着ユニット7と、その熱の影響から保護したい保護対象部である転写ユニット2との間に配置されている。伝熱手段(熱輸送手段)としてのヒートパイプ22は、受熱板21の下面に装着され、その一端部(下端部)側が受熱部となっている。ヒートパイプ22の他端側は放熱部であり、受熱部よりも高い位置で放熱板23に装着されている。放熱部材である放熱板23は、熱を放出しやすい材料で形成され、必要に応じてヒートシンクを設けても良い。
図2に示す複写機500では、ダクト24を本体の前面から背面に延設し、そのダクト24の内部に放熱板23が位置するように設けられる。ダクト24の装置前面側端部には空気流入口が設けられ、背面側端部には排気口が設けられ、その排気口部には図示しない排気ファンが設けられている。
このように構成された断熱装置20は、発熱部(本例では定着ユニット7)からの熱を受熱板21で受け、その熱が伝熱手段であるヒートパイプ22によって放熱部(放熱板23)まで輸送される。そして、ダクト24内にある放熱板23から熱が放出され、放出された熱は図示しない排気ファンにより機外に排出される。なお、排気ファンを設けず、自然冷却とすることも可能である。
このように、定着熱の影響を遮断し、保護対象である画像形成ユニット11(Y,M,C,K)及び転写ユニット2を効果的に保護することにより、中間転写ベルト15の変形による色ズレ等の不具合や、トナー固化等による不具合の発生を未然に防止する。
また、それぞれの現像装置40(Y,M,C,K)においては、現像剤を攪拌搬送する現像剤攪拌搬送部材を駆動した際に、現像剤攪拌搬送部材と現像剤との摺擦による摩擦熱や、現像剤同士の摺擦による摩擦熱により現像装置40内を温度上昇させる。
さらに、現像剤を現像領域に搬送する前に現像剤担持体上に担持されている現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材と現像剤との摺擦による摩擦熱や、現像剤規制部材による規制の際の現像剤同士の摺擦による摩擦熱により現像装置40内を温度上昇させる。
現像装置40内の温度が上昇すると、トナーの帯電量が低下してトナー付着量が増加し、所定の画像濃度が得られなくなる。また、温度上昇によりトナーが溶融して現像剤規制部材や現像剤担持体、感光体などに固着し、画像にスジ状の異常画像などが生じるおそれがある。
近年、定着エネルギーを小さくするために溶融温度の低いトナーを用いた場合は、トナーの固着による異常画像などが生じやすい。また、印刷スピードの高速化により、現像装置40が高温になりやすくなっている。
そのため、現像装置40(Y,M,C,K)は、高画像品質、高信頼達成のため非常に重要な冷却部位である。従来においては空冷ファンなどによって現像装置40周辺に気流を発生させ温度上昇箇所である現像装置40(Y,M,C,K)を空冷し、現像装置40(Y,M,C,K)の温度が過度に上昇するのを抑制している。
しかし、小型化の要請に伴い、現像装置40の周辺に流路形成するためのダクトを小さくする必要がある。ダクトが小さくなると、現像装置40の周囲に流れ込む気体の流量が減り、十分に現像装置40を冷却することができない。このため、本実施形態の複写機500においては、現像装置40(Y,M,C,K)の冷却を図3に示す液冷装置30で行っている。
図3は、液冷装置30の概略構成図である。図3に示すように、液冷装置30は、温度上昇箇所である現像装置40(Y,M,C,K)の壁面に圧接し、冷却液が現像装置40(Y,M,C,K)からの熱を受ける四つの受熱部32(Y,M,C,K)を備えている。さらに、液冷装置30は、冷却液を冷却する三つの冷却部35、冷却液を内包する循環パイプ34、冷却液を循環パイプ34内で循環させるための搬送手段たる冷却ポンプ31、余剰の冷却液を貯留するリザーブタンク33などを備えている。また、各冷却部35は、放熱手段たるラジエータ35b、冷却ファン35aなどを備えている。
受熱部32は、熱伝導性の高い部材で形成されたケース32a内部に流路32bが設けられている(後述する図4参照)。通常、熱伝導率が400[W/mK]程の銅、もしくは200[W/mK]程のアルミニウムをベースにして受熱部32のケース32aが構成されている。また、さらに熱伝導率の高い材質(例えば、銅や銀や金)を用いても良い。
また、熱伝導性を高めるために現像装置40の側面などもアルミニウムで構成しているため、現像装置40の側面に受熱部32を密着させようとすると、少なからず空気層ができてしまう。空気層ができてしまうと、熱交換の効率が落ちてしまう。
そのため、本実施形態においては、受熱部32の現像装置40と対向する面(以下、圧接面という)に熱伝導シート130(図4参照)を貼り付けている。この熱伝導シート130は高熱伝導性であると同時に、現像装置40と受熱部32との面精度を潰してくれるような硬さ(変形しやすさ)が要求される。しかし、熱伝導シート130は高熱伝導であると硬く、低熱伝導だと軟らかいという性質を持っているため、高熱伝導性を得るためには、熱伝導シート130は、ある程度硬くなってしまう。
そのため、本実施形態では、受熱部32を現像装置40の側面に圧接するように、受熱部32を大きな押圧力で押圧している。これにより、ある程度硬い熱伝導シート130を用いても熱伝導シート130が変形して、現像装置40と受熱部32との面精度を潰してくれる。これにより、現像装置40と受熱部32との間に空気層ができるのを抑制し、現像装置40の熱を受熱部に良好に伝導させることができる。また、熱伝導シート130は、現像装置40側面に貼り付けてもよい。
図3に示すように、各冷却部35では、循環パイプ34からの冷却媒体を内包する収容部(熱伝導率が高いアルミニウム等で構成)を介して冷却液を伝熱・放熱する放熱手段であるラジエータ35bを備えている。そして、ラジエータ35bからの放熱量に応じて、冷却ファン35aによる強制空冷、または、自然空冷がとられる。また、冷却部35は、一つでもよいし、四つ以上であっても構わない。また、冷却部35毎に冷却ファン35aを設けているが、一つの冷却ファン35aで複数の冷却部35のラジエータ35bに外気を供給するよう構成してもよい。
冷却部35を複数備えることで一つ一つの冷却部35の冷却効率が低くても、全ての現像装置40(Y,M,C,K)の温度上昇を良好に抑制することができる。その結果、ひとつの冷却部35で全ての現像装置40(Y,M,C,K)の温度上昇を抑制するものに比べて、放熱面積が小さく冷却効率のあまり高くない小型のラジエータを用いることができ、冷却部35を小型化することが可能となる。
冷却ポンプ31は冷却液を受熱部32(Y,M,C,K)と冷却部35とで循環させる駆動源であり、冷却液は図3中の矢印で示すように循環させる。また、リザーブタンク33は冷却液保管用のタンクである。冷却液は、受熱部32(Y,M,C,K)で受けた熱をラジエータ35bまで輸送する熱輸送媒体である。冷却液は水を主成分とし、凍結温度を下げるためにプロピレングリコールやエチレングリコールなどを添加したり、金属の構成部品の錆を防ぐために防錆剤(例えば、リン酸塩系物質:リン酸カリ塩、無機カリ塩等)を添加したりして使用する。
冷却液が水の場合、定積熱容量が空気の3000倍以上であり、少ない流量で大きな熱量を移送できるので、強制空冷に比べ効率のよい冷却が可能である。
図4は、四つ画像形成ユニット11(Y,M,C,K)のうちの一つが備える現像装置40及び感光体18を示す拡大構成図である。四つの画像形成ユニット11(Y,M,C,K)は、それぞれ扱うトナーの色が異なる点以外はほぼ同様の構成になっているので、図4以降の図面及び以下の説明では、使用するトナーの色を示す「Y,M,C,K」という添字を省略する。また、図5は、現像装置40を斜め上方から見た斜視図であり、図6は、図5に示す現像装置40から現像ローラ上カバー220を取り外した状態の斜視図である。
図4に示すように感光体18は図中矢印G方向に回転しながら、その表面を不図示の帯電装置により帯電される。帯電された感光体18の表面は露光ユニット9より照射されたレーザ光により静電潜像が形成される。その後、形成された静電潜像に現像装置40からトナーが供給され、トナー像を形成する。
現像装置40は、図4中の矢印I方向に表面移動しながら感光体18の表面の静電潜像にケーシング本体部121等によって形成される現像剤収容容器に収容された現像剤を供給し、現像する現像剤担持体としての現像ローラ45を有している。現像ローラ45は回転可能な現像スリーブ45aを備え、その内部に複数の磁極を有する磁界発生手段としてのマグネットローラ45bが配置されている。
また、現像装置40は、現像ローラ45に現像剤を供給しながら現像ローラ45の軸線方向に沿って図4の奥側から手前側に向けて現像剤を搬送する供給搬送部材としての供給スクリュ48を有している。さらに、現像ローラ45の表面と供給スクリュ48との対向部に対して現像ローラ45の表面移動方向下流側には、現像ローラ45に供給された現像剤を現像に適した厚さに規制する現像剤規制手段としてのドクタブレード42を備えている。
現像ローラ45と感光体18との対向部である現像領域よりも現像ローラ45の表面移動方向下流側では、現像領域を通過し、現像ローラ45の表面から離脱した現像済みの現像剤を回収する回収搬送路47が現像ローラ45と対向する。回収搬送路47は、回収した回収現像剤を現像ローラ45の軸線方向に沿って供給スクリュ48と同方向に搬送する回収搬送部材として、軸線方向に平行に配置されたスクリュ形状の回収スクリュ46を備えている。供給スクリュ48が配置された供給搬送路49は現像ローラ45の横方向に、回収スクリュ46が配置された回収搬送路47は現像ローラ45の下方に並設されている。
なお、現像ローラ45からの現像剤の離脱は、先に述べた現像スリーブ45aの内部に設けたマグネットローラ45bを、離脱させたい箇所のみ磁極がない状態に設定して分離部を構成することにより、現像剤の分離・離脱を可能としている。また、離脱させたい箇所(分離部)に反発磁界が形成されるような磁極配置のマグネットローラ45bを用いてもよい。
現像装置40は、供給搬送路49の下方で回収搬送路47に並列して攪拌搬送路44を設けている。攪拌搬送路44には、現像ローラ45の軸線方向に沿って現像剤を攪拌しながら、搬送するスクリュ形状の攪拌スクリュ43が配置されている。攪拌スクリュ43は、攪拌搬送路44内の現像剤を供給スクリュ48とは逆方向である図4中の手前側から奥側に向けて搬送する攪拌搬送部材であり、軸線方向に平行に配置されている。この攪拌スクリュ43は、攪拌軸部43aにらせん状の攪拌羽部43bが固定されている。
供給搬送路49と攪拌搬送路44とは、仕切り壁である第一仕切り壁133によって仕切られている。第一仕切り壁133における供給搬送路49と攪拌搬送路44とを仕切っている部分のうち、図4中の手前側端部と奥側端部との両端は開口部となっており、供給搬送路49と攪拌搬送路44とが連通している。
また、供給搬送路49と回収搬送路47とも第一仕切り壁133によって仕切られているが、第一仕切り壁133における供給搬送路49と回収搬送路47とを仕切っている部分には開口部を設けていない。
また、攪拌搬送路44と回収搬送路47との二つの現像剤搬送路は仕切り部材としての第二仕切り壁134によって仕切られている。第二仕切り壁134は、図4中の手前側端部が開口部となっており、攪拌搬送路44と回収搬送路47とが連通している。
現像剤搬送部材である供給スクリュ48、回収スクリュ46及び攪拌スクリュ43は、樹脂もしくは金属のスクリュ部材からなっている。各スクリュ部材のスクリュ径は全てφ22[mm]である。また、スクリュピッチは、供給スクリュが50[mm]の二条巻きであり、回収スクリュ46及び攪拌スクリュ43が25[mm]の一条巻きである。回転数は全てのスクリュ部材を約600[rpm]に設定している。また、本実施形態の現像装置40では、攪拌搬送路44の全長は410[mm]であり、供給搬送路49の全長は320[mm]である。
現像ローラ45の上方に配置されたステンレス鋼などの金属からなるドクタブレード42によって薄層化された現像ローラ45上の現像剤を、現像ローラ45の表面移動によって感光体18との対抗部である現像領域まで搬送し現像を行う。現像ローラ45の表面はV溝の形成処理、あるいは、サンドブラスト処理が施されており、φ25[mm]のアルミニウム(Al)もしくはステンレス鋼(SUS)の素管からなる。また、現像ローラ45とドクタブレード42との隙間であるドクタギャップ、及び、現像ローラ45と感光体18との隙間である現像ギャップは、共に0.3[mm]程度となっている。
現像領域を通過した後の現像ローラ45表面上の現像剤は、回収搬送路47にて回収され、図4中の断面手前側に搬送され、非画像領域部に設けられた第二仕切り壁134の開口部で、攪拌搬送路44へ現像剤が移送される。
また、攪拌搬送路44の下方には、現像剤のトナー濃度を検知する不図示のトナー濃度検知センサが設けられている。そして、このトナー濃度検知センサの検知結果に基づいて不図示のトナー補給装置を作動することで、攪拌搬送路44における第二仕切り壁134の開口部付近の攪拌搬送路44の上側に設けられたトナー補給口201から攪拌搬送路44にトナーが補給される。
なお、現像装置40のケーシング本体部121は、攪拌搬送路44、回収搬送路47、供給搬送路49などを形成する壁部材で形成されるものである。また、ケーシング本体部121には、内部に配置された現像ローラ45の表面移動方向における現像ローラ45の表面の一部を感光体18に対向させるための開口部51が設けられている。
図7は、現像装置40内の現像剤の流れの模式図であり、図7中の各矢印は現像剤の移動方向を示している。
攪拌搬送路44から現像剤の供給を受けた供給搬送路49では、現像ローラ45に現像剤を供給しながら、供給スクリュ48の現像剤搬送方向下流側に現像剤を搬送する。そして、現像ローラ45に供給されずに供給搬送路49の現像剤搬送方向下流側端部まで搬送された余剰現像剤は第一仕切り壁133の余剰開口部92より攪拌搬送路44に供給される(図7中矢印E)。
一方、現像ローラ45に供給された現像剤は現像領域で現像に用いられた後、現像ローラ45から分離・離脱して、回収搬送路47に受け渡される。現像ローラ45から回収搬送路47に受け渡され、回収スクリュ46によって回収搬送路47の現像剤搬送方向下流側端部まで搬送された回収現像剤は第二仕切り壁134の回収開口部93より攪拌搬送路44に供給される(図7中矢印F)。
攪拌搬送路44では、供給された余剰現像剤と回収現像剤とが攪拌スクリュ43で攪拌しながら搬送され、第一仕切り壁133の供給開口部91から供給搬送路49に供給される(図7中矢印D)。
攪拌搬送路44では攪拌スクリュ43によって、回収現像剤と、余剰現像剤と、移送部で必要に応じてトナー補給口201から補給されるトナーとを、回収搬送路47内及び供給搬送路49内の現像剤と逆方向に攪拌搬送する。そして、現像剤搬送方向下流側で供給開口部91によって連通している供給搬送路49の現像剤搬送方向上流側に攪拌された現像剤を移送する。
図7に示す現像装置40では、供給搬送路49と回収搬送路47とを備え、現像剤の供給と回収とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が供給搬送路49に混入することがない。このため、供給搬送路49の現像剤搬送方向下流側ほど現像ローラ45に供給される現像剤のトナー濃度が低下することを防止することができる。
また、回収搬送路47と攪拌搬送路44とを備え、現像剤の回収と攪拌とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が攪拌の途中に落ちることがない。これにより、十分に攪拌がなされた現像剤が供給搬送路49に供給されるため、供給搬送路49に供給されるの現像剤が攪拌不足となることを防止することができる。このように、供給搬送路49内の現像剤のトナー濃度が低下することを防止し、供給搬送路49内の現像剤が攪拌不足となることを防止することができるので現像時の画像濃度を一定にすることができる。
現像装置40では、現像ローラ45に担持され、現像領域を通過した現像剤が回収スクリュ46、攪拌スクリュ43によって搬送されて、攪拌スクリュ43が配置された攪拌搬送路44から上段にある供給搬送路49へと押し上げられる。
そして、図7に示すように、現像装置40の下段から上段への現像剤の移動は矢印Dのみである。矢印Dで示す現像剤の移動は、攪拌スクリュ43の回転で攪拌搬送路44の下流側に現像剤を押し込むことによって、現像剤を盛り上がらせて供給搬送路49に現像剤を供給するものである。
現像装置40では、攪拌搬送路44の現像剤搬送路下流側端部近傍の、攪拌搬送路44と供給搬送路49とが連通している部分の攪拌スクリュ43の軸にフィン部材を設けても良い。このフィン部材は攪拌スクリュ43の軸方向に平行な辺と、攪拌スクリュ43の軸方向に直交する辺とから構成される板状の部材である。このフィン部材で現像剤を掻き上げることにより、攪拌搬送路44から供給搬送路49へ、より効率的な現像剤の受渡しを行うことができる。
また、供給搬送路49の搬送方向上流側端部(軸方向奥側端部)近傍には、不図示の現像剤排出口が形成されており、供給搬送路49と排出搬送路41とを連通する。供給搬送路49の上流側端部に到達した現像剤の量が所定量よりも多くなると、現像剤排出口の高さまで現像剤が到達し、現像剤排出口を通過して排出搬送路41へと現像剤が受け渡される。
排出搬送路41に受け渡された現像剤は、排出スクリュ41aによって現像装置40の外部に設けられた不図示の排出現像剤回収部に回収される。このように現像剤を排出する構成を備えることにより、現像装置40内の現像剤の量を一定に保つことができる。
また、現像装置40に補給するトナーとして、キャリアを含有するプレミックストナーを補給する場合は、劣化したキャリアがトナーとともに排出搬送路41に排出され、キャリアが入れ替わることで、現像装置40内の現像剤の劣化を抑制することができる。
図8は、図4に示す現像装置40について、現像剤収容部である三つの現像剤搬送路を形成するケーシング本体部121のみを示す断面図である。
図4、図5及び図6に示すように、現像装置40は、ケーシング本体部121と、搬送路上部カバー230と、現像ローラ上カバー220と、奥側端部側板250と、手前側端部側板240とによって内部に現像剤を収容する現像ケーシングを形成する。この現像ケーシングが現像剤収容容器である。
現像装置40は、この現像ケーシングによって形成された三つの現像剤搬送路の現像剤を、攪拌・搬送させるための三つの現像剤搬送スクリュを備える。また、三つの現像剤搬送路のうちの供給搬送路49から供給された現像剤を担持し、感光体18との最近接部である現像領域まで搬送する現像ローラ45を備える。さらに、現像ローラ45が現像剤を担持・搬送するに際し、現像ローラ45上の現像剤の層厚を長手方向(軸方向)に渡り均一に規制し、均すための現像剤規制部材であるドクタブレード42を備える。
現像ローラ45を構成する現像スリーブ45aの内部にはマグネットローラ45bが設けられており、このマグネットローラ45bの磁力によって現像剤を担持することができる。また、磁性キャリアとトナーとは攪拌されることで、それぞれ逆極性に帯電しており、この帯電による静電気力によってそれぞれ付着し合っている。磁力によって現像ローラ45の表面に磁性キャリアを担持し、静電気力によって磁性キャリアにトナーが付着することによって、現像ローラ45の表面上には磁気ブラシ状の現像剤層が形成される。
現像ローラ45に担持され、ドクタブレード42により均一に均された現像剤層は、現像ローラ45の表面移動に伴って現像領域まで搬送される。そして、現像バイアスが印加された現像ローラ45と、静電気潜像の形成された感光体18の表面との電位差によって生じた電界(現像電界)により、トナーが感光体18上に移動し、現像される。
その後、現像領域を通過した現像剤は再び現像ケーシングによって形成される現像剤搬送路内に回収され、現像剤搬送路内を循環しつつ、トナー補給口201から新しいトナーが供給され、攪拌・搬送されて、再び現像に使用される。
上述したように、感光体18上の静電潜像を現像装置40によりトナーで現像すると、感光体18上に静電潜像に応じたトナー像が形成される。このトナー像を中間転写装置である転写ユニット2が備える中間転写ベルト15に転写し、その後、二次転写装置4によって用紙等の印刷媒体上に転写する。そして、印刷媒体上に転写されたトナー像に熱や圧力を加えてトナーを溶融、定着させる定着装置25を通過させることで、印刷媒体上に画像が形成される。
現像装置40の現像ケーシングは、長手方向(軸方向)の長さが印刷媒体への印刷幅以上である。現像ケーシングの一部であるケーシング本体部121は、現像ローラ45に現像剤を供給する供給搬送路49と、現像に使用された現像剤を回収して搬送する回収搬送路47と、回収された現像剤と新しく供給されたトナーを攪拌する攪拌搬送路44とを形成する。
図5及び図6に示すように、現像ケーシングの一部である奥側端部側板250及び手前側端部側板240は、ケーシング本体部121の軸方向両端と、現像ローラ45及び三つの現像剤搬送スクリュの回転軸の両端部とを支持する部材である。さらに、搬送路上部カバー230は、ケーシング本体部121の上方を覆うようにケーシング本体部121に固定されて供給搬送路49を形成するとともに、ドクタブレード42が固定される部材である。また、現像ローラ上カバー220は、ドクタブレード42よりも現像領域側の現像ローラ45の表面を覆う部材である。
ケーシング本体部121について、上述した供給搬送路49、回収搬送路47及び攪拌搬送路44が、それぞれの間で現像剤を受け渡しする開口部以外においては空間が仕切られている必要がある。そして現像剤搬送路の長さが印刷媒体の横幅以上であることを考えると、例えば、A3サイズの用紙を対象とした画像形成装置に用いる現像装置40であれば、ケーシング本体部121の軸方向の長さは、297[mm]以上の長さが必要となる。
このように、ケーシング本体部121は、軸方向にある程度のサイズがある部材であり、軸方向に同一の断面形状(図8に示す断面形状)を持たせる必要がある。さらに、本実施形態の現像装置40では、三つの現像剤搬送路のうちの一つである攪拌搬送路44となる部分が、現像剤を収容するために周囲を壁面に囲まれた筒状の形状となっている。このような形状のケーシング本体部121を一般的なプラスチック材料の射出成型品の単品にて作製することは困難である。
単品にて作製することが困難な形状を、プラスチック成型品の二部品を溶着して上述したケーシング本体部121の形状を作製することも考えられる。しかし、一分間あたりの画像出力枚数がA4サイズの用紙で換算して60枚を超える高スピードかつ高画質なハイエンド機では、次のような問題が生じるおそれがある。
すなわち、このようなハイエンド機では、一台の現像装置40に400〜800[g]の二成分現像剤を収容する必要が有る。この量の現像剤を収容するケーシング本体部121がプラスチック製では、帯電した現像剤の電荷がケーシング本体部121をチャージアップさせ、これが画像上の不具合を引き起こすことがある。
例えば、ケーシング本体部121自体のチャージアップによって内部で循環しているトナーをひきつけて壁面にトナーの固着を引き起こすことがある。この固着したトナーが剥がれ落ちて現像に使用されると画像上黒斑点や白抜けといった異常画像を発生させてしまう。
また、複写機500のように、現像装置40の下方に中間転写ベルト15が位置している構成では、チャージアップしたケーシング本体部121が中間転写ベルト15上に転写されたトナー像との間で電気的な力が働くおそれがある。このような電気的な力が働くと、放電等の電気的な現象が生じ、トナー増を乱して画像上チリやかすれとなって現れることがある。
このような不具合を防止する構成として、本実施形態の現像装置40では、ケーシング本体部121の材料にアルミニウムの押し出し材を用いている。押し出し材を用いることで、ある程度の長さがある筒状の部分を有するケーシング本体部121として、長手方向について同一の断面形状のものを作製することができる。また、ケーシング本体部121の材料としてアルミニウムのような金属材質を用い、これを複写機500本体と電気的に導通させて電気的に接地することで、ケーシング本体部121がチャージアップすることに起因する不具合の発生を防止することができる。
また、ケーシング本体部121をアルミニウムなどの金属で作製することで、現像剤の熱をケーシング本体部121を介して液冷装置30の受熱部32に効率良く伝達させることができる。
現像装置40の現像領域では、現像ローラ45の表面が現像ケーシングの外側に露出しており、現像ローラ45の表面に担持された現像剤が一時的に現像装置40の外側へ搬送されることになる。現像剤は磁気力及び静電気力によって現像ローラ45の表面上に担持されており、現像領域を通過した後は、再び現像装置40内に回収される。しかし、現像ローラ45の現像スリーブ45aが回転しているため、その遠心力によって現像ローラ45の表面上の現像剤の一部(弱帯電トナー)が遊離して、飛散してしまうことは不可避である。
このように飛散する現像剤の量が増えてくると、複写機500内外の汚れの原因となったり、複写機500内の他部分の故障の原因となったりする。また、現像装置40における現像領域に対して現像スリーブ45aの回転方向下流側の図4中の「α」で示す領域の周辺に、飛散した現像剤がたまってしまうと、これが画像上に落下して黒斑点や白抜けといった異常画像を引き起こす要因となる。
こうした現像剤の飛散を少しでも抑制するため、現像領域に対して現像スリーブ45aの回転方向下流側で、現像領域を通過した現像剤を現像装置40内に回収する部分において、現像装置40内に向かう気流を生じさせることが有効である。この気流は、現像ローラ45と現像ケーシングとを所定の範囲で、所定のギャップを持たせて対向、近接させることで、現像スリーブ45aとともに回転しながら搬送される現像剤が空気と共に現像装置40内に向かうことで発生する。
このような気流を発生させることにより、現像ローラ45の保持力から遊離してしまった現像剤も、現像装置40内に向かう気流に乗せることで、現像装置40の外へ飛散させることなく現像装置40内に回収することが可能となる。
このとき、現像剤の飛散を抑えるための気流を最適化するには、現像領域を通過した現像スリーブ45aの表面が現像ケーシング内に進入する部分の現像ケーシングと現像ローラ45との最近接部であるケーシングギャップ領域を最適に設計する必要がある。
上述した現像装置40内に向かう気流(以下、「吸い込み気流」という。)は、現像ローラ45に保持されて搬送される現像剤の磁気ブラシの移動によって生じる。しかし、現像ローラ45と現像ケーシングとの間が広すぎると、ケーシングギャップ領域の全域で吸い込み気流を生じさせることができなくなり、現像剤の飛散を抑制する効果が十分に得られなくなる。
これは、以下の理由による。すなわち、現像ローラ45と現像ケーシングとの間が広すぎると、磁気ブラシの先端と現像ケーシングとの間に隙間が生じてしまう。現像剤の移動により、磁気ブラシの表面近傍には現像剤の移動方向と同じ方向の気流が生じるが、この気流により現像装置40の内部の圧力が上昇する。このとき、磁気ブラシの先端と現像ケーシングとの間に隙間があると、上昇した圧力が磁気ブラシと現像ケーシングとの隙間から抜けてしまう。よって、現像ローラ45と現像ケーシングとの間が広すぎると、ケーシングギャップ領域の全域で吸い込み気流を生じさせることができなくなり、現像剤の飛散を抑制する効果が十分に得られなくなる。
このため、吸い込み気流による現像剤の飛散抑制効果を得るためには、現像剤の磁気ブラシと現像ケーシングが接触していることが望ましい。
一方、ケーシングギャップ領域の隙間が狭すぎると、搬送された現像剤の全量がケーシングギャップ領域を通過できず、現像領域に対して現像スリーブ45aの表面移動方向下流側で現像剤があふれ、現像剤の循環が成立しなくなる。
したがって、ケーシングギャップ領域の隙間は、現像剤の循環を妨げない最低限の幅を確保しつつ、現像剤の磁気ブラシと現像ケーシングが接触できる範囲で、且つ、現像装置40の各種条件に応じて最適に設計することが求められる。磁気ブラシと現像ケーシングが接触できる範囲の中では、使用する現像剤の特性、現像スリーブ45aの回転数、現像装置40内部の構成によって最適なケーシングギャップは異なってくる。このため、現像装置40の構成において最適な隙間の値、ケーシングギャップ領域の形状をチューニングすることが望ましい。
このとき、製品の量産性を考慮した場合に、ケーシングギャップ領域は長手方向(軸方向)に一定以上の長さを持つため、量産機の全てにおいて精度よくケーシングギャップ領域の隙間の大きさを保証することは困難である。本発明者らが株式会社リコー製の「ProC750」の現像装置を用いた評価実験を行ったところ、ケーシングギャップ領域の隙間を0.7〜0.8[mm]の範囲に調整することで、現像剤の飛散の量が最も低減できるという結果が得られた。
しかし、ケーシングギャップ領域をアルミニウムの押し出し材であるケーシング本体部121と現像ローラ45の表面とで形成しようとすると、隙間の調整範囲を±0.05[mm]とすることを保証することは困難である。これは次の理由による。すなわち、現像ローラ45は軸方向の両端が奥側端部側板250と手前側端部側板240とに保持されており、ケーシング本体部121もこれら二つの端部側板に保持されている。このため、ケーシングギャップ領域の隙間は、現像ローラ45と二つの端部側板との寸法公差、及び、二つの端部側板とケーシング本体部121との寸法公差との積み上がりによって精度が決まる。このように寸法公差が積み上がるため、隙間の調整範囲を±0.05[mm]とすることを保証することは困難である。
さらに、本実施形態の現像装置40ではケーシング本体部121にはアルミニウムの押し出し材を用いているが、アルミニウムの押し出し材は加工精度上、寸法を決めるのが難しいという問題もある。
ケーシングギャップ領域の隙間を所望の範囲とする構成として、奥側端部側板250及び手前側端部側板240に対するケーシング本体部121の組み付け位置を調節可能とする構成が考えられる。この構成では、現像ローラ45を保持する奥側端部側板250及び手前側端部側板240に対してケーシング本体部121をある一方向に移動可能な構成とする。そして、現像ローラ45との最近接部であるケーシングギャップ領域の隙間の寸法を所定の突き当て法で管理して組みたて、固定することで、ケーシングギャップ領域の隙間の精度を保証するものである。
しかし、この構成では、現像装置40の奥側端部側板250及び手前側端部側板240に対して、現像剤収容部を形成するメイン部材であるケーシング本体部121が可動であることが求められる。一方、奥側端部側板250及び手前側端部側板240では、現像ローラ45以外にも、現像剤搬送スクリュを保持している。このため、ケーシングギャップ領域の隙間の寸法のみを優先してケーシング本体部121の位置決めを行った場合、ケーシング本体部121の内壁面と現像剤搬送スクリュの外周部とのクリアランスを必要な精度で保証することが困難となる。
このクリアランスが広すぎると、現像装置40内での現像剤の循環性が悪くなり、トナー濃度の均一性が損なわれて画像濃度が不安定になる。また、現像装置40内で滞留した現像剤が凝集、または固着してしまい、こうした現像剤が剥がれ落ちて現像に使用されると画像上の黒斑点やしろ抜けといった異常画像となって現れる。
一方、上記クリアランスが狭すぎると、回転する現像剤搬送スクリュとケーシング本体部121の内壁面との間に現像剤が挟まれ、加圧されることで、凝集や固着を生じてしまう。さらに、クリアランスが全くなくなる、すなわち、現像剤搬送スクリュがケーシング本体部121の内壁面に接触する状態となると、回転する現像剤搬送スクリュがケーシング本体部121の内壁面をこすって、破損等の種々の不具合を引き起こすことは自明である。
また、この構成では、現像剤収容部を形成するメイン部材であるケーシング本体部121と、奥側端部側板250及び手前側端部側板240との位置関係が、次のように定められる。すなわち、位置決め基準ではなく、ケーシングギャップ領域の隙間の寸法を調整した後のネジ止めによってのみ定められる。これにより、奥側端部側板250と手前側端部側板240との相対的な位置関係が現像装置40ごとにわずかに異なるという不具合が生じる。その結果、現像スリーブ45aや現像剤搬送スクリュを支持する軸方向両端の軸受部材の軸心ずれが生じ、軸受部での負荷トルク増大、及び発熱によるトナー固着といった弊害が生じる。
特に、近年の画像形成装置にて省エネルギー化が求められるにつれ、画像形成装置で最もエネルギーを消費する定着プロセスで必要な熱量を下げるため、トナーの低融点化が進められている。その結果、現像装置40の軸受部での発熱があると、トナーの凝集、固着が発生しやすくなるため、軸受部での負荷トルクは極力抑えることが求められる。
本実施形態の現像装置40では、図4に示すように、現像領域を通過した現像スリーブ45aの表面がケーシング本体部121の内側に入る部分に、ケーシング本体部121と現像スリーブ45aとの隙間の大きさを調整するギャップ形成部材112を設けている。ギャップ形成部材112はケーシング本体部121と同様にアルミニウム製であるが、ケーシング本体部121とは別部材であり、ケーシング本体部121に対する組み付け位置を所定の範囲内で任意に調節することができる。この調節より、現像領域を通過した現像スリーブ45aの表面がケーシング本体部121の内側に入る部分であるケーシングギャップ領域の隙間の広さを任意に調整することができる。また、形状が異なるギャップ形成部材112に取り替えることで、ケーシングギャップ領域で現像ローラ45と対向する現像ケーシング側の対向面を任意に調節することも可能である。
図9は、図4に示す現像装置40の断面図のケーシングギャップ領域近傍の拡大断面図である。ギャップ形成部材112は、ケーシング本体部121とは別部材であり、ケーシング本体部121の一部であるギャップ形成部材固定部113に対してギャップ形成部材112を固定する構成である。図9に示すようにギャップ形成部材112の現像ローラ45と対向する面は、現像ローラ45の表面に沿うような曲面となっている。ケーシングギャップ領域近傍では現像スリーブ45aは、図9中の矢印Aで示すように表面移動し、ケーシング本体部121の外から内側に向かうように表面が移動する。
ギャップ形成部材112は、ギャップ形成部材固定部113の斜面に沿って、現像ローラ45の中心に向かう方向に移動可能な構成となっている。そして、ギャップ形成部材112と現像ローラ45との隙間であるケーシングギャップG1を所定の値(本実施形態では0.75[mm])に調整する。この調節の後に、軸方向の三箇所でネジ部材であるギャップ調整ネジ501によってギャップ形成部材112をギャップ形成部材固定部113に対して固定する。
また、鉄等の金属の磁性体からなるギャップ調整ネジ501の頭部が露出しているとギャップ調整ネジ501が磁化し、キャリアが付着する恐れがある。ギャップ形成部材112における感光体18との対向面に位置するギャップ調整ネジ501の頭部にキャリアが付着すると感光体18の表面を傷つけるおそれがある。
現像装置40では、ギャップ形成部材112における感光体18との対向面のギャップ調整ネジ501の頭部を覆うようにカバー部材として機能する入口シール50を設けている。これにより、ギャップ形成部材112における感光体18との対向面にキャリアが付着することを防止できる。
高温高湿環境下などによる現像剤の低帯電時などでもトナー飛散による不具合を抑制するためには、ケーシングギャップ領域の隙間を小さくし(狭くし)、現像装置40内への十分な吸い込み気流を確保する必要がある。
しかし、上述したように、ギャップ形成部材112とケーシング本体部121とはアルミニウム製であり、ケーシング本体部121に固定されたギャップ形成部材112は、ケーシング本体部121を介して接地されている。このため、現像バイアスが印加されている現像ローラ45とギャップ形成部材112との間には電位差があり、トナーが現像ローラ45側からギャップ形成部材112側へと向かう電界が形成される。そして、十分な吸い込み気流を確保するように、ケーシングギャップ領域の隙間を小さくすると、現像ローラ45の表面に担持された現像剤に含まれるトナーが、ギャップ形成部材112に静電的に付着する現象が生じることがあった。
現像装置40では、現像ローラ45に現像バイアスを印加して、感光体18の静電潜像との電位差によってトナーを感光体18に付与して現像する。従来の現像装置では、現像ローラ45と感光体18との隙間である現像ギャップに対して、ケーシングギャップが広く設定されていたため、通常の環境ではギャップ形成部材112に静電的にトナーが付着する現象が生じ難い。しかし、本実施形態の現像装置40のようにケーシングギャップが狭い場合や、現像バイアスが高い場合、高温高湿環境下などで現像剤のトナー濃度が低下し、現像剤の抵抗が低下している場合等は、ギャップ形成部材112に静電的にトナーが付着する。
ケーシングギャップ領域に対して現像ローラ45の表面移動方向下流側の回収搬送路47と対向する位置には、現像ローラ45の表面上でマグネットローラ45bの磁力がほとんど作用しない分離部が設けられている。通常は、この分離部で現像剤を現像ローラ45から分離させることで、回収室内に現像剤を回収させる。しかし、ギャップ形成部材112にトナー(本実施形態ではマイナス極性に帯電したトナー)が静電的に付着すると、現像ローラ45表面上に担持された現像剤(キャリア)にはカウンターチャージ(本実施形態ではプラス極性の電荷)が発生する。
カウンターチャージが発生した現像剤は、現像ローラ45に対する静電的な付着力が増加し、分離部で現像ローラ45が分離し難くなる。これにより、現像領域を通過した際にトナーが消費された現像剤が、そのまま供給部に到達し、供給部で供給搬送路49から汲み上げられる現像剤と共に、再び現像領域へと搬送される。これにより、トナー濃度が低下した現像剤が現像領域に供給されることとなり、画像濃度低下が発生する。
図10は、現像装置40におけるケーシングギャップG1が広い場合と、狭い場合とのケーシングギャップ領域近傍の模式図である。図10(a)はケーシングギャップG1が広いの説明図であり、図10(b)はケーシングギャップG1が狭いの説明図である。
図10(a)は、現像ローラ45の表面に担持された現像剤に含まれるトナーTが、ギャップ形成部材112に静電的に付着しない程度にケーシングギャップが広い場合を示している。この場合は、現像ローラ45の表面に作用する磁気力が小さくなる分離部でトナーTとキャリアCとからなる現像剤は、現像ローラ45から分離し、回収搬送路47内へと移動する。
一方、図10(b)は、現像ローラ45の表面に担持された現像剤に含まれるトナーTが、ギャップ形成部材112に静電的に付着する程度にケーシングギャップが狭い場合を示している。
現像装置40では、ギャップ形成部材112を含む現像ケーシングが接地されているので、現像ローラ45側からギャップ形成部材112側にトナーTが静電的に移動する電界が形成されている。このため、図10に示すように、ケーシングギャップG1が狭い場合は、ケーシングギャップ領域で大量のトナーTがギャップ形成部材112に静電的に付着してしまう。
そして、トナーTがギャップ形成部材112側に移動した現像剤(キャリアC)には、プラス極性のカウンターチャージが発生し、マイナス極性の現像バイアスが印加された現像ローラ45に対する静電的な付着力が大きくなる。これにより、現像ローラ45の表面に作用する磁気力が小さくなる分離部に到達しても現像剤が現像ローラ45から分離せず、そのまま現像領域に再汲み上げされる。以下、この現象を「現像剤の連れ回り」と呼ぶ。この現像剤の連れ回りが発生すると、上述したように画像濃度低下が発生する。
図1は、実施形態に係る現像装置40の現像ローラ45近傍の拡大図である。
図1に示すように、現像装置40は、現像剤を表面上に担持して表面移動することにより感光体18の表面と対向する現像領域へ現像剤を搬送する現像ローラ45を備える。また、現像ローラ45の表面に供給する現像剤を収容する供給搬送路49、回収搬送路47及び攪拌搬送路44等の現像剤収容部を形成するケーシング本体部121及びギャップ形成部材112等から構成される現像ケーシングを備える。さらに、現像ローラ45に現像バイアスを印加する現像バイアス印加手段である現像バイアス電源141を備える。
また、現像装置40は、図1に示すように、現像領域に対して現像ローラ45の表面移動方向下流側のケーシングギャップ領域では、現像ローラ45に担持された現像剤が現像ケーシングを構成するギャップ形成部材112の対向面に接触する。さらに、ケーシング本体部121及びギャップ形成部材112は、導電性材料のアルミニウムから形成され、ギャップ形成部材112の表面におけるで現像ローラ45表面上の現像剤が接触する部分に絶縁層123を備える。
図1に示すように、絶縁層123を設けたところ、画像濃度低下の発生を抑制することが出来た。また、このとき、ギャップ形成部材112へのトナー付着が抑制され、現像剤の連れ回りの発生も抑制することができた。絶縁層123を設けた構成では、絶縁層123の層厚分だけギャップ形成部材112を現像ローラ45の表面から遠ざけることで、ケーシングギャップG1が同じ値となるように設定した。
絶縁層123を設けることで画像濃度低下の発生を抑制することができたのは以下の理由によるものと考えられる。
すなわち、絶縁層123の層厚分だけギャップ形成部材112を現像ローラ45の表面から遠ざけることで、現像ローラ45の表面と導電性材料からなるギャップ形成部材112の距離が絶縁層123の層厚分だけ遠くなる。二つの電極間の電位差が同じであってもその距離が遠くなるほど電界は弱くなるため、絶縁層123を設けることで電界が弱くなり、トナーをギャップ形成部材112へ向けて移動させる静電的な力が弱くなる。これにより、ギャップ形成部材112への静電的なトナー付着が抑制され、現像ローラ45に担持された現像剤でのカウンターチャージの発生も抑制され、現像剤の現像ローラ45に対する静電的な付着力が増加することを抑制される。よって、分離部における現像ローラ45からの現像剤の分離が促され、現像剤の連れ回りの発生が抑制され、画像濃度低下の発生を抑制することができる。
このとき、ケーシングギャップG1の値は絶縁層123を設ける前と同じであるため、現像ローラ45に担持された現像剤はギャップ形成部材112に設けられた絶縁層123の表面に接触し、十分な吸い込み気流を確保することができる。これにより、現像ローラ45が遊離した現像剤を吸い込み気流によって現像装置40内に吸引でき、現像領域の下流側における現像剤の飛散を抑制できる。また、画像濃度低下の発生を抑制することで画像濃度の安定化を図ることができる。
また、絶縁層123を設けることで現像剤の連れ回りを抑制することができたのは、以下の理由も考えられる。
すなわち、絶縁層123を備えない構成では、ギャップ形成部材112と現像ローラ45との間には電界が形成され、現像ローラ45表面上のトナーがギャップ形成部材112に静電的に移動すると、トナーの電荷がギャップ形成部材112に流入する。その結果、ギャップ形成部材112の表面上のトナー層は接地と同電位(0[V])となり、更なるトナーの静電的な移動の妨げとはならない。
一方、絶縁層123を備える構成であっても、ギャップ形成部材112と現像ローラ45との間には電界が形成される。しかし、現像ローラ45表面上のトナーがギャップ形成部材112に静電的に移動しても、トナーの電荷は絶縁層123に阻まれてギャップ形成部材112に流入しない。その結果、その結果、ギャップ形成部材112の表面上のトナー層は現像ローラ45に担持された現像剤に含まれるトナーと同極性に帯電した状態となり、更なるトナーの静電的な移動の妨げとなる。
これにより、絶縁層123を備えていない構成よりもギャップ形成部材112への静電的なトナー付着が抑制され、現像ローラ45に担持された現像剤でのカウンターチャージの発生も抑制される。これにより、現像剤の現像ローラ45に対する静電的な付着力が増加することを抑制され、分離部における現像ローラ45からの現像剤の分離が促され、現像剤の連れ回りの発生が抑制される、考えられる。
そして、現像剤の連れ回りの発生を抑制することで、画像濃度低下の発生を抑制することができる。
〔実験例1〕
本発明者らは、十分な吸い込み気流を確保するように、ケーシングギャップ領域の隙間を小さくした現像装置40で、黒ベタ画像の画像濃度の低下が生じている現像装置40を用いて次のような実験を行った。
まず、現像ローラ45の分離部の幅方向の一部に接触するシート材を配置して、黒ベタ画像の出力を行った。画像の幅方向について、シート材が現像ローラ45に接触していた部分では画像濃度の低下が発生せず、他の部分では画像濃度の低下が発生した。シート材が接触する部分では、現像ローラ45の表面上の現像剤をシート材によって強制的に除去しており、現像剤の連れ回りの発生を確実に防止している。シート材が接触する部分以外では画像濃度の低下が発生したことから、ケーシングギャップ領域の隙間を小さくした現像装置40では、現像剤の連れ回りが発生することにより、画像濃度の低下が生じると推考えられる。
次に、図4に示す現像装置40のギャップ形成部材112をフロートした現像装置40と、ギャップ形成部材112の現像ローラ45との対向面に絶縁層123を設けた現像装置40とを用いてそれぞれ黒ベタ画像の出力を行った。
ギャップ形成部材112をフロートにする構成としては、ギャップ形成部材112とケーシング本体部121との間に絶縁部材を挟み、ギャップ形成部材112とケーシング本体部121との間に電流が流れないように構成した。
また、絶縁層123を設ける構成としては、ギャップ形成部材112の現像ローラ45との対向面にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)テープを貼り付ける構成とした。
ケーシング本体部121を介してギャップ形成部材112が接地されている従来の現像装置40では、黒ベタ画像を出力すると画像濃度の低下が生じていた。これに対して、ギャップ形成部材112をフロートにした構成や、ギャップ形成部材112に絶縁層123を設けた構成では画像濃度の低下を抑制することができた。
この実験例1から、次のことが考えられる。
すなわち、従来の現像装置40では、ケーシングギャップ領域において現像ローラ45に担持された現像剤に含まれるトナーが、現像ローラ45とギャップ形成部材112との間で形成される電界によって静電的にギャップ形成部材112に移動する。そして、現像ローラ45側に残った現像剤(キャリア)にカウンターチャージが発生することにより、現像剤の現像ローラ45に対する付着力が増大し、現像剤の連れ回りが発生する。現像剤の連れ回りが生じることで、現像領域を通過してトナー濃度が低下した現像剤が現像ローラ45に担持されたまま再び現像領域に供給されるため、黒ベタ画像を出力したときに画像濃度の低下は発生した、と考えられる。
現像装置40では、絶縁層123の長手方向の幅の範囲内に現像領域の長手方向の両端が入るように絶縁層123の幅を現像領域の幅よりも広く設定する。これにより、現像剤のトナーが消費され得る現像領域の幅方向の全域に渡って現像剤の連れ回りの発生と、これに起因する画像濃度低下の発生とを抑制することができる。
〔実験例2〕
現像ケーシングに分離部周辺の可視化用の窓を開ける改造を施した現像装置40を用いて現像ローラ45に現像バイアスを印加し、ケーシングギャップ領域を通過した後の現像ローラ45の表面で現像剤の連れ回りが生じているかを確認した。
図11は、実験例2で用いた現像装置40の改造機の説明図であり、図11中の「P1」〜「P5」は、各磁極によって形成される磁場の現像ローラ45表面上における法線方向磁束密度(絶対値)の分布を示している。
実験例2で用いた現像装置40では、観察窓401となる範囲のケーシング本体部121に穴を開け、三つのスクリュ部材を取り外し、図11中の矢印Hで示す方向から確認することで外部から現像ローラ45の分離部となる表面を視認できるようにした。そして、観察窓401の外側に不図示のハイスピードカメラを設置し、観察窓401から分離部近傍の現像ローラ45の表面を撮影した。
また、現像ローラ45の表面の供給部に現像剤を供給する構成として、傾斜板402上に現像剤403を配置して、ある程度の期間、現像ローラ45の表面に現像剤403を供給し続ける構成とした。
以下、実験条件を示す。
・現像装置:リコー社製 ProC750用の現像ユニット改造機(現像ケーシングはアース)
・ケーシングギャップ:0.70[mm]
・現像剤汲み上げ量:40[mg/cm
・現像ローラ線速:529.2[mm/s]
・現像剤:リコー社製 ProC750用のブラック現像剤(トナー濃度:4[wt%])
・現像バイアス:−400[V]、−500[V]、−600[V]、−700[V]、−800[V]
・ハイスピードカメラ:Casio社製 EXILIM EX−FH20
・撮影条件:フレームレート 210[fps]
実験例2では、ギャップ形成部材112に絶縁層123を設ける構成と、絶縁層123を設けない構成とで比較した。
絶縁層123を設けない構成では、ギャップ形成部材112の現像ローラ45との対向面に絶縁化処理を施さずに、ケーシングギャップG1が0.70[mm]となるようにギャップ形成部材112の現像ローラ45に対する位置を調節した。
また、絶縁層123を設ける構成としては、絶縁化処理としてギャップ形成部材112の現像ローラ45との対向面にPTFEテープ(住友3M社製 PTFEテープ 型番5490)を貼り付けた。そして、PTFEテープの表面から現像ローラ45の表面までのケーシングギャップG1が0.70[mm]となるようにギャップ形成部材112の現像ローラ45に対する位置を調節した。
実験例2の実験結果を表1に示す。
Figure 0006376458
表1に示すように、ギャップ形成部材112の現像ローラ45との対向面にPTFEテープを貼り付けることで、現像剤の連れ回りは発生しなかった。これにより、現像剤の連れ回り起因の画像濃度低下の発生を抑制できる。
実験例2では、ギャップ形成部材112の現像ローラ45との対向面に対する絶縁化処理は、PTFEテープを貼り付けている。ギャップ形成部材112の絶縁化処理は、アルミニウムの絶縁化処理として一般的なアルマイト処理でも良いし、他の絶縁性テープを貼ったり、絶縁性材料のコーティング処理を施したりしても良い。
〔実験例3〕
上記実験例2では、絶縁化処理としてギャップ形成部材112の現像ローラ45との対向面もPTFEテープを貼り付けている。しかし、印刷枚数が例えば10[万枚]を超えるような高寿命現像装置などでは、ギャップ形成部材112の現像ローラ45との対向面の絶縁化処理として、絶縁性テープなどの粘着層を持つ部材を貼り付ける構成は好ましくない。これは、以下の理由による。
すなわち、絶縁性テープ表面の現像剤との接触部が磨耗することにより、粘着層が露出すると現像剤がギャップ形成部材112に付着し、ケーシングギャップ領域に現像剤が詰まったり、粘着物が付着した現像剤が凝集体となったり可能性があるためである。
そこで、実験例3では、粘着層のない絶縁化方法として絶縁性の樹脂材料としてETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)樹脂のコーティング処理を施したものと、絶縁処理を施さない構成とで現像剤の連れ回りが生じているかを確認した。
実験例3では、実験用の現像装置40として、実験例2と同様に図11で示す改造機を用いた。
以下、実験条件を示す。
・現像装置:リコー社製 ProC750用の現像ユニット改造機(現像ケーシングはアース)
・ケーシングギャップ:0.70[mm]
・現像剤汲み上げ量:40[mg/cm
・現像ローラ線速:529.2[mm/s]
・現像剤:リコー社製 ProC750用のブラック現像剤(トナー濃度:4[wt%])
・現像バイアス:−400[V]、−500[V]、−600[V]、−700[V]、−800[V]
・ハイスピードカメラ:Casio社製 EXILIM EX−FH20
・撮影条件:フレームレート 210[fps]
・絶縁層:ETFE樹脂(槌屋株式会社製 TC−820)コーティング(膜厚:20[μm])
絶縁層123を設けない構成では、実験例2と同様に、ギャップ形成部材112の現像ローラ45との対向面に絶縁化処理を施さずに、ケーシングギャップG1が0.70[mm]となるようにギャップ形成部材112の現像ローラ45に対する位置を調節した。
また、絶縁層123を設ける構成としては、絶縁化処理としてギャップ形成部材112の現像ローラ45との対向面にETFE樹脂のコーティング処理を施して、絶縁層123を形成した。このときの絶縁層123の層厚(コーティングの膜厚)は20[μm]である。そして、ETFE樹脂のコーティング層の表面から現像ローラ45の表面までのケーシングギャップG1が0.70[mm]となるようにギャップ形成部材112の現像ローラ45に対する位置を調節した。
実験例3の実験結果を表2に示す。
Figure 0006376458
表2に示すように、ギャップ形成部材112の現像ローラ45との対向面にETFE樹脂のコーティングを施すことで、現像剤の連れ回りの発生しなかった。その他のコーティングに用いる樹脂材料としては、PTFE、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂材料をギャップ形成部材112の現像ローラ45との対向面にコーティングし、実験例3と同様に、現像ローラ45に現像バイアスを印加して、ケーシングギャップ領域通過後の現像剤の連れ回りの発生を確認した。その結果、何れも現像剤の連れ回りは発生しなかった。また、これらの樹脂に限らず、絶縁性の樹脂材料であれば、コーティングすることにより、現像剤の連れ回りの発生を抑制できる。
ギャップ形成部材112の現像ローラ45との対向面への樹脂材料のコーティング方法は、スプレー、電着塗装、静電塗装などがあるが、アルミニウム材料の表面に塗布できる方法であればこれらに限るものではない。
本発明者らは、実験例3で用いた絶縁層123がETFE樹脂のコーティング層であるギャップ形成部材112を備えた現像装置40で絶縁層123の耐久性の確認を行った。具体的には、594K枚分の現像装置40の駆動を行い、そのときの絶縁層123の層厚の減少量(現像剤が摺擦することによる磨耗量)を測定し、その測定結果から5400K枚分の現像装置40を駆動したときの層厚の減少量を推定した。図4に示す断面に直交する方向の手前側端部近傍と、中央部近傍と、奥側端部近傍とで層厚の減少量にバラツキがあったが、減少量が最も大きかった手前側端部近傍で減少量の推定値は24.6[μm]となった。よって、絶縁層123の層厚を30[μm]以上とすることで、5400K枚分の現像装置40の駆動後も絶縁層123を維持することができ、現像剤の連れ回りの発生と、これに起因する画像濃度低下の発生とを抑制することができる。
〔実験例4〕
実験例4では、樹脂材料のコーティングによって絶縁層123を形成した構成で、樹脂材料の表面性の違いによるギャップ形成部材112の感光体18との対向面へのトナーの付着状態の違いを確認した。実験例3では、実験用の現像装置40として、リコー社製の画像形成装置であるProC750で用いる現像ユニットに対して、ギャップ形成部材112の現像ローラ45との対向面に絶縁層123を設けた改造機を用いた。
以下、実験条件を示す。
装置の条件
・画像形成装置:リコー社製 ProC750
・現像装置:リコー社製 ProC750用の現像ユニット改造機(現像ケーシングはアース)
・絶縁層のコーティング材料:「PI」、「ETFE」または「PTFE」をコーティング
・ケーシングギャップ:0.8[mm]
印刷条件
・画像面積率:0.5[%]
・印刷枚数:10000[枚]
表3に各コーティング材料の水との接触角と、現像ローラ45を回転させたときのギャップ形成部材112の感光体18との対向面へのトナーの付着量を示す。図12は、トナー付着量の測定箇所を示す現像装置40の説明図である。実験例4では、上記印刷枚数(10000[枚])の印刷後に図12中のαで示す領域のトナーを回収し、付着したトナー量から「トナー付着速度」を算出した。
Figure 0006376458
PIは全体的にトナーが付着していたが、ETFE及びPTFEにはトナーがほとんど付着していなかった。この結果より、トナーは水との接触角が大きい樹脂材料ほど付着し難い。
実験例4では、ギャップ形成部材112の感光体18との対向面にトナーが付着するが、この付着速度が、3[mg/km]以下のトナー付着速度であれば、中間転写ベルト15に意図しない箇所にトナーが落ちることを防止できる。そして、中間転写ベルト15にトナーが落ちることに起因するトナー汚れや黒斑点などの異常画像の発生を防止できる。
ここで、「トナー付着速度」は、トナー付着が最も生じ易い画像面積率(0.5[%])の作像条件で、10000[枚]印刷したときのギャップ形成部材112の感光体18との対向面に付着したトナー量を感光体18の走行距離で割った値とする。
表3に示すように、絶縁層123の表面にトナーが付着し難い樹脂材料を選択することで、ギャップ形成部材112の感光体18との対向面のトナー汚れ(付着)を軽減することができる。
図13は、ギャップ形成部材112の感光体18との対向面(図13中の「112f」)にトナーTが付着する様子の説明図である。絶縁層123を設けることで、ギャップ形成部材112の現像ローラ45との対向面にトナーが静電的に付着することは抑制出来るが、弱帯電のトナーが付着することは抑制することができない。弱帯電のトナーがギャップ形成部材112の現像ローラ45との対向面に付着した後、現像ローラ45表面に担持された現像剤に掻き取られることなく付着したままとなると、ギャップ形成部材112の現像ローラ45との対向面にトナーが堆積していく。そして、新たなトナーが付着し、堆積する位置が徐々に出口側(現像ローラ45の表面移動方向上流側)に移動していき、図13に示すようにギャップ形成部材112の感光体18との対向面(112f)にトナーが付着する。
これに対して、絶縁層123の表面にトナーが付着し難い樹脂材料を選択すると、絶縁層123の表面に付着した弱帯電のトナーが、現像ローラ45表面に担持された現像剤に容易に掻き取られ、トナーが堆積することを防止できる。この結果、ギャップ形成部材112の感光体18との対向面のトナー汚れ(付着)を軽減することができると考えられる。
この感光体18との対向面(112f)に付着したトナーが、堆積してある程度の大きさの凝集体となってギャップ形成部材112から剥がれると、中間転写ベルト15の意図しない箇所に落下し、トナー汚れや黒斑点などの異常画像が発生する。
これに対して、ギャップ形成部材112の感光体18との対向面のトナー汚れ(付着)を軽減することで、このような異常画像の発生を抑制できる。
表3に示すように、絶縁層123を形成するコーティング材料の水との接触角は、95[°]以上であることが望ましい。実験例4の結果よりも絶縁層123を形成するコーティング材料として、ETFEまたはPTFEを用いることで、ギャップ形成部材112の感光体18との対向面のトナー汚れ(付着)を軽減でき、上述した異常画像の発生を抑制できる。
表4は、絶縁処理を行ったときの絶縁層123の機能(絶縁性、水との接触角、表面性)と、効果(トナー付着、連れ回り)とを評価した一覧である。評価を行っていない内容は空欄(「/」)としている。
Figure 0006376458
表4より、何落下の絶縁処理を行うことで絶縁層123を設けていない構成(処理無し)よりも連れ回りが改善していることが分かる。また、コーティング処理のうち、エポキシコーティングは連れ回りの評価が「△」であるのに対して、PAIコーティングは「◎」となっている。よって、コーティングを行う樹脂材料の絶縁性としては、体積抵抗が1×1014[Ω/cm]以上であることが望ましいと考えられる。
上述した実施形態は、本発明における最良の形態の一例であって、本願の特許請求の範囲を限定するものではない。また、上述した実施形態では本発明の構成を備えた現像装置40を備える画像形成装置が複写機である構成について説明したが、ファクシミリ、プリンタ等の他の画像形成装置にも適用可能である。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
トナーとキャリアとからなる現像剤を表面上に担持して表面移動することにより感光体18等の潜像担持体の表面と対向する現像領域へ現像剤を搬送する現像ローラ45等の現像剤担持体と、現像剤担持体の表面に供給する現像剤を収容する供給搬送路49、回収搬送路47及び攪拌搬送路44等の現像剤収容部を形成し、内部に配置された現像剤担持体の表面移動方向における現像剤担持体の表面の一部を潜像担持体に対向させるための開口部51等の開口部が設けられたケーシング本体部121及びギャップ形成部材112等の現像ケーシングと、現像剤担持体に現像バイアスを印加する現像バイアス電源141等の現像バイアス印加手段と、を備える現像装置40等の現像装置において、現像領域に対して現像剤担持体の表面移動方向下流側の現像剤担持体の表面と現像ケーシングの対向面とが近接するケーシングギャップ領域等のケーシングギャップ部は、現像剤担持体に担持された現像剤が現像ケーシングの対向面に接触するように設定され、現像ケーシングにおけるギャップ形成部材112等のケーシングギャップを形成する部分は導電性材料から形成され、ケーシングギャップ部で現像剤担持体の表面上の現像剤が接触する部分の現像ケーシングの対向面に絶縁層123等の絶縁層を備える。
これによれば、上記実施形態について説明したように、現像領域の下流側における現像剤の飛散を抑制しつつ、画像濃度の安定化を図ることができる。これは以下の理由による。
すなわち、ケーシングギャップ部で現像剤担持体に担持された現像剤を現像ケーシングの対向面に接触させることで、吐き出し気流の発生を防止し、現像領域の下流側に安定した吸い込み気流を発生させることができる。よって、現像領域の下流側における現像剤の飛散を抑制することができる。
しかし、現像剤担持体の表面に担持された現像剤をケーシングギャップ部でケーシングに接触させる構成を採用すると、ベタ画像を出力したときに画像濃度が低下する不具合が生じることがあった。本発明者らが鋭意研究を重ねたところ、現像領域の通過時した現像剤担持体の表面上の現像剤が、現像剤担持体から分離すべき分離部で分離することなく、現像剤担持体の表面に現像剤が供給される供給部まで到達する現象が生じていることが分かった。現像領域を通過した現像剤はトナーを消費し、トナー濃度が低くなっており、この現像剤が離間することなく供給部まで到達すると、トナー濃度が低下した現像剤が現像領域に供給されることとなるため、上述した画像濃度が低下する不具合が生じたと考えられる。
現像領域を通過した現像剤が分離部で分離することなく供給部まで到達する現像剤の連れ回りは、現像剤担持体の表面上の現像剤が接触する部分の現像ケーシングの対向面に絶縁層を設けることで抑制できることを本発明者らは実験によって見出した。
現像剤の連れ回りの発生を抑制することで、トナー濃度が低下した現像剤が現像領域に供給されることを抑制し、画像濃度が低下することを抑制出来るので、画像濃度の安定化を図ることができる。
このように態様Aでは、現像領域の下流側における現像剤の飛散を抑制しつつ、画像濃度の安定化を図ることができる。
なお、現像ケーシングの対向面における現像剤担持体の表面上の現像剤が接触する部分の絶縁層を設けることで現像剤の連れ回りを抑制できるのは、以下の理由によるものと考える。
すなわち、ケーシングギャップ部では現像バイアスが印加される現像剤担持体と導電性の現像ケーシングの対向面との間には電界が形成され、現像剤担持体に担持される現像剤中に含まれるトナーに対して現像ケーシングの対向面に向かう静電的な力が作用する。この力の作用によってトナーが現像ケーシングの対向面に静電的に付着してしまうと、現像剤担持体に残った現像剤中のキャリアにトナーとは逆極性のカウンターチャージが発生し、現像剤と現像剤担持体との付着力が増加する。これにより、分離部で現像剤が分離しきれず、現像剤の連れ回りが発生する。
態様Aでは、ケーシングギャップ部が所望の隙間となるように設定すると、導電性材料からなる現像ケーシングの対向面と現像剤担持体の表面との距離が、ケーシングギャップ部が所望の隙間となるように設定した従来の構成よりも絶縁層の層厚分だけ遠くなる。現像ケーシングの対向面と現像剤担持体の表面との電位差が同じであってもその距離が離れるほど電界は弱くなり、トナーを現像ケーシングの対向面へ向けて移動させる静電的な力が弱くなる。これにより、現像ケーシングの対向面への静電的なトナー付着が抑制され、現像剤担持体に担持された現像剤でのカウンターチャージの発生も抑制され、現像担持体に対する現像剤の静電的な付着力が増加することを抑制できる。よって、分離部における現像剤担持体からの現像剤の分離が促され、現像剤の連れ回りの発生が抑制されると考えられる。
(態様B)
態様Aにおいて、絶縁層123等の絶縁層は、ギャップ形成部材112等の現像ケーシングの対向面に絶縁性の樹脂材料をコーティングしたものである。
これによれば、上記実施形態について説明したように、現像ケーシングの対向面に絶縁層を設ける構成を実現出来る。また、絶縁性テープと異なり、粘着層を備えていないため、経時の磨耗によって絶縁層123が薄くなっても粘着物と現像剤とが接触する不具合が発生しない。
(態様C)
態様AまたはBの何れかの態様において、絶縁層123等の絶縁層の表面は、水との接触角が95[°]以上である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、ギャップ形成部材112等の現像ケーシングの対向面にトナーが堆積することを防止し、現像ケーシングにおける感光体18等の潜像担持体との対向面にトナーが付着することを防止できる。
(態様D)
態様A乃至Cの何れかの態様において、絶縁層123等の絶縁層の体積抵抗は1×1014[Ω/cm]以上である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、現像剤の連れ回りの発生をより確実に防止することが可能となる。
(態様E)
態様A乃至Dの何れかの態様において、絶縁層123等の絶縁層の層厚は30[μm]以上である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、経時に渡って絶縁層を維持することができ、現像剤の連れ回りの発生と、これに起因する画像濃度低下の発生とを抑制することができる。
(態様F)
態様A乃至Eの何れかの態様において、現像ローラ45等の現像剤担持体の表面における表面移動方向と直交する方向を幅方向としたときに、絶縁層123等の絶縁層の幅方向の端部は、現像領域の幅方向の端部と同じ位置、または、現像領域の幅方向の端部よりも外側に位置する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、現像剤のトナーが消費され得る現像領域の幅方向の全域に渡って現像剤の連れ回りの発生と、これに起因する画像濃度低下の発生とを抑制することができる。
(態様G)
態様A乃至Fの何れかの態様において、ケーシング本体部121及びギャップ形成部材112等の現像ケーシングは、現像ローラ45等の現像剤担持体の表面と対向してケーシングギャップ領域等のケーシングギャップ部を形成し、導電性材料からなるギャップ形成部材112等のギャップ形成部材を、供給搬送路49、回収搬送路47及び攪拌搬送路44等の現像剤収容部を形成するケーシング本体部121等のケーシング本体部とは別部材で備える。
これによれば、上記実施形態について説明したように、ケーシングギャップ部の隙間の広さを任意に調整することが可能となる。
(態様H)
態様Gにおいて、ギャップ形成部材112等のギャップ形成部材は、ギャップ調整ネジ501等の金属製のネジ部材によってケーシング本体部121等のケーシング本体部に固定されており、ギャップ形成部材の表面におけるネジ部材の頭部が露出する面を入口シール50等の非磁性のカバー部材によって覆う。
これによれば、上記実施形態について説明したように、ギャップ形成部材における感光体18等の潜像担持体との対向面等のネジ部材の頭部が露出する面にキャリアが付着することを防止できる。
(態様I)
少なくとも感光体18等の潜像担持体と、潜像担持体の表面を帯電させる帯電装置等の帯電手段と、潜像担持体の表面に静電潜像を形成する露光ユニット9等の潜像形成手段と、静電潜像を現像する現像手段とを有する複写機500等の画像形成装置において、現像手段として、態様A乃至Hの何れかの態様に係る現像装置40等の現像装置を備える。
これによれば、上記実施形態について説明したように、現像領域の下流側における現像剤の飛散を抑制しつつ、画像濃度の安定化を図ることができる。これにより、現像装置の外に出てきた現像剤による異常画像の発生を抑制することができ、さらに、画像濃度の安定化を図ることができるので、画質の向上を図ることができる。また、装置内汚れの発生も抑制することができる。
(態様J)
潜像を担持する感光体18等の潜像担持体と、潜像担持体の表面の潜像を現像する現像手段とを備える複写機500等の画像形成装置における少なくとも潜像担持体と現像手段とを一つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して着脱可能にした画像形成ユニット11等のプロセスカートリッジにおいて、現像手段として、態様A乃至Hの何れかの態様に係る現像装置40等の現像装置を備える。
これによれば、上記実施形態について説明したように、現像領域の下流側における現像剤の飛散を抑制しつつ、画像濃度の安定化を図ることができる現像装置の交換性の向上を図ることができる。
1 画像形成部
2 転写ユニット
3 給紙ユニット
4 二次転写装置
5 両面ユニット
6 搬送ベルト
7 定着ユニット
8 排紙ユニット
9 露光ユニット
10 読取装置
11 画像形成ユニット
12 ドラムクリーニングユニット
13 帯電ユニット
14 レジストローラ対
15 中間転写ベルト
16 転写対向ローラ
17 二次転写ローラ
18 感光体
20 断熱装置
21 受熱板
22 ヒートパイプ
23 放熱板
24 ダクト
25 定着装置
30 液冷装置
31 冷却ポンプ
32 受熱部
32a ケース
32b 流路
33 リザーブタンク
34 循環パイプ
35 冷却部
35a 冷却ファン
35b ラジエータ
40 現像装置
41 排出搬送路
41a 排出スクリュ
42 ドクタブレード
43 攪拌スクリュ
43a 攪拌軸部
43b 攪拌羽部
44 攪拌搬送路
45 現像ローラ
45a 現像スリーブ
45b マグネットローラ
46 回収スクリュ
47 回収搬送路
48 供給スクリュ
49 供給搬送路
50 入口シール
90 中間転写ベルトクリーニングユニット
91 供給開口部
92 余剰開口部
93 回収開口部
112 ギャップ形成部材
113 ギャップ形成部材固定部
121 ケーシング本体部
123 絶縁層
130 熱伝導シート
133 第一仕切り壁
134 第二仕切り壁
141 現像バイアス電源
201 トナー補給口
220 現像ローラ上カバー
230 搬送路上部カバー
240 手前側端部側板
250 奥側端部側板
401 観察窓
402 傾斜板
403 現像剤
500 複写機
501 ギャップ調整ネジ
C キャリア
G1 ケーシングギャップ
T トナー
特開2009−216848号公報

Claims (9)

  1. トナーとキャリアとからなる二成分の現像剤を表面上に担持して表面移動することにより潜像担持体の表面と対向する現像領域へ現像剤を搬送する現像剤担持体と、
    前記現像剤担持体の表面に供給する現像剤を収容する現像剤収容部を形成し、内部に配置された前記現像剤担持体の表面移動方向における前記現像剤担持体の表面の一部を前記潜像担持体に対向させるための開口部が設けられた現像ケーシングと、
    前記現像剤担持体に現像バイアスを印加する現像バイアス印加手段と、を備える現像装置において、
    前記現像領域に対して前記現像剤担持体の表面移動方向下流側の前記現像剤担持体の表面と前記現像ケーシングの対向面とが近接するケーシングギャップ部は、前記現像剤担持体に担持された現像剤が前記現像ケーシングの対向面に接触するように設定され、
    前記現像ケーシングにおける前記ケーシングギャップ部を形成する部分は導電性材料から形成され、
    前記ケーシングギャップ部で前記現像剤担持体の表面上の現像剤が接触する部分の前記現像ケーシングの対向面に絶縁層を備え
    前記現像ケーシングは、前記現像剤担持体の表面と対向して前記ケーシングギャップ部を形成し、導電性材料からなるギャップ形成部材を、前記現像剤収容部を形成するケーシング本体部とは別部材で備えることを特徴とする現像装置。
  2. 請求項1の現像装置において、
    前記絶縁層は、前記現像ケーシングの対向面に絶縁性の樹脂材料をコーティングしたものであることを特徴とする現像装置。
  3. 請求項1または2の何れかに記載の現像装置において、
    前記絶縁層の表面は、水との接触角が95[°]以上であることを特徴とする現像装置。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の現像装置において、
    前記絶縁層の体積抵抗は1×1014[Ω/cm]以上であることを特徴とする現像装置。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載の現像装置において、
    前記絶縁層の層厚は30[μm]以上であることを特徴とする現像装置。
  6. 請求項1乃至5の何れかに記載の現像装置において、
    前記現像剤担持体の表面における表面移動方向と直交する方向を幅方向としたときに、
    前記絶縁層の幅方向の端部は、前記現像領域の幅方向の端部と同じ位置、または、前記現像領域の幅方向の端部よりも外側に位置することを特徴とする現像装置
  7. 求項1乃至6の何れかに記載の現像装置において、
    前記ギャップ形成部材は、金属製のネジ部材によって前記ケーシング本体部に固定されており、前記ギャップ形成部材の表面における前記ネジ部材の頭部が露出する面を非磁性のカバー部材によって覆うことを特徴とする現像装置。
  8. 少なくとも潜像担持体と、
    前記潜像担持体の表面を帯電させる帯電手段と、
    前記潜像担持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記静電潜像を現像する現像手段とを有する画像形成装置において、
    前記現像手段として、請求項1乃至の何れかに記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
  9. 潜像を担持する潜像担持体と、前記潜像担持体の表面の潜像を現像する現像手段とを備える画像形成装置における少なくとも前記潜像担持体と前記現像手段とを一つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して着脱可能にしたプロセスカートリッジにおいて、
    前記現像手段として、請求項1乃至の何れかに記載の現像装置を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
JP2014197392A 2014-05-22 2014-09-26 現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ Active JP6376458B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014197392A JP6376458B2 (ja) 2014-09-26 2014-09-26 現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
EP15166677.3A EP2947516A1 (en) 2014-05-22 2015-05-07 Developing device, and image forming apparatus and process cartridge incorporating same
CN201510254967.7A CN105093879B (zh) 2014-05-22 2015-05-19 显影装置、图像形成装置及处理卡盒
US14/720,612 US9921541B2 (en) 2014-05-22 2015-05-22 Developing device, and image forming apparatus and process cartridge incorporating same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014197392A JP6376458B2 (ja) 2014-09-26 2014-09-26 現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016070993A JP2016070993A (ja) 2016-05-09
JP6376458B2 true JP6376458B2 (ja) 2018-08-22

Family

ID=55866655

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014197392A Active JP6376458B2 (ja) 2014-05-22 2014-09-26 現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6376458B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7015469B2 (ja) 2018-01-18 2022-02-03 株式会社リコー 現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5541460A (en) * 1978-09-19 1980-03-24 Minolta Camera Co Ltd Dry type developing device of electrophotographic copier
JPS59121078A (ja) * 1982-12-27 1984-07-12 Minolta Camera Co Ltd 転写型電子複写機
JPH10319691A (ja) * 1997-05-21 1998-12-04 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
US6826378B2 (en) * 2003-02-24 2004-11-30 Kabushiki Kaisha Toshiba Developing device and developing method
JP2006259013A (ja) * 2005-03-16 2006-09-28 Ricoh Co Ltd 現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2009122191A (ja) * 2007-11-12 2009-06-04 Ricoh Co Ltd 現像装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置
JP6000820B2 (ja) * 2012-11-22 2016-10-05 キヤノン株式会社 粒子付着抑制部材及び画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016070993A (ja) 2016-05-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2016031421A (ja) 現像装置及び画像形成装置
JP5026202B2 (ja) 現像装置及び画像形成装置
JP4185769B2 (ja) 現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2010244010A (ja) 画像形成装置
JP6376458B2 (ja) 現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP4330608B2 (ja) 現像装置および画像形成装置
JP4339276B2 (ja) 現像装置およびこの現像装置が適用された画像形成装置
JP2009244596A (ja) 現像装置、画像形成装置
JP2012014087A (ja) 2成分現像装置及び画像形成装置
JP5212634B2 (ja) 現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
JP2013037196A (ja) 現像装置及びそれを備えた画像形成装置
JP2011232536A (ja) 現像装置
JP4428088B2 (ja) 現像装置及びこれを用いた画像形成装置
WO2014057794A1 (ja) 現像装置および画像形成装置
JP2006139045A (ja) 現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2009115845A (ja) 現像装置及び画像形成装置
JP4862503B2 (ja) 現像装置及びこれを用いた画像形成装置
JP2017015942A (ja) 現像装置及び画像形成装置
JP5532403B2 (ja) 現像装置及び画像形成装置
JP2009025393A (ja) 現像装置、及び画像形成装置
JP5439394B2 (ja) 現像装置およびそれを備えた画像形成装置
US10620568B2 (en) Developing device having magnetic field generating members, image forming apparatus and cartridge
JP2005148366A (ja) 画像形成装置
JP5216730B2 (ja) 現像装置およびそれを備えた画像形成装置
JP2009151012A (ja) 画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170907

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180420

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180418

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180618

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180629

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180712

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6376458

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151