JP6375925B2 - 画像処理装置、画像処理システム、画像処理プログラム及び画像処理方法 - Google Patents

画像処理装置、画像処理システム、画像処理プログラム及び画像処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、画像処理装置、画像処理システム、画像処理プログラム及び画像処理方法に関する。
病理診断では、まず採取した組織を固定するために脱水し、パラフィンによるブロック化といった処理を行った後、2〜8μmの厚さの薄片に切り、パラフィンを取り除き、染色して顕微鏡観察を行う。病理医は、この顕微鏡像の中で、細胞の核の大きさや形の変化、組織としてのパターンの変化等の形態学的な情報、染色情報をもとに診断を行っている。
病理診断において、組織切片で過剰発現をしている特定の生体物質及びその発現量を特定することは、予後の予測やその後の治療計画を決める上で非常に重要な情報となり得る。
過剰発現をしている特定の生体物質の例としては、例えば、乳癌、肺癌、大腸癌、胃癌、膀胱癌等の細胞においては、細胞膜上に発現するであるHER2タンパクや、細胞核に発現するKi67タンパクが挙げられる。
従来の病理診断では、例えばDAB法のような酵素を用いた色素染色法によって特定の生体物質が染色された生体組織の画像から、生体物質の発現量や分布が評価された。しかし、DAB法のような従来の色素染色法は、生体物質の発現量を詳細に定量する場合には、精度が低い。
一方、近年、蛍光物質を用いて特定の生体物質を染色して、生体物質の発現量や分布を評価する病理診断が行われている。蛍光物質を用いることにより、組織切片における特定の生体物質の発現が蛍光画像上で蛍光輝点として表され、発現量や分布を高精度に把握できるため、極めて有用である。
蛍光物質を用いた病理診断において、1細胞当たりの生体物質の発現量や分布を評価する場合には、蛍光画像と同一視野範囲を撮影した細胞の形態を示す明視野画像を取得し、蛍光画像と明視野画像を重ね合わせることにより、蛍光輝点と細胞領域の位置関係を把握する。しかし、明視野画像及び蛍光画像を重ね合わせる場合には、撮影手段の切り替えに伴う振動や、顕微鏡の光軸のずれなどに起因して、2枚の画像の撮影領域がずれる場合があり、診断結果に誤差が生じ得るという問題点があった。
また、従来の病理診断において一般的に実施されるHE染色後の明視野画像からは、細胞膜の自動抽出が困難であることから、例えば、特許文献1に記載の技術では、細胞核の重心から所定の距離の範囲内の円領域を細胞膜に囲まれた細胞領域とみなして診断を行っている。しかし、実際の細胞領域に対して誤差が大きく、細胞ごとに生体物質の発現量や分布を解析して病理診断を行うためには精度が不十分であった。
そこで、例えば特許文献2には、光学顕微鏡撮影による二次元可視画像と顕微質量分析の二次元解析画像の両方において検出可能な位置合わせ用マーカーを標本に付設することにより、2枚の画像の重ね合わせの際に自動的に位置合わせを行う技術が記載されている。
また、例えば特許文献3には、定量対象である生体物質の蛍光染色に加えて、細胞膜の蛍光染色を実施することにより、蛍光画像上で細胞膜の位置を特定して、細胞膜上の生体物質の発現を評価する技術が記載されている。
国際公開第2013/146843号 特開2010−85219号公報 特開2013−57631号公報
特許文献2又は3に記載の技術によれば、従来の病理診断に必要な染色に加えて、位置合わせのためのマーカー物質付設工程、又は、細胞膜の蛍光染色工程が別途必要であるため、手間がかかり、さらに、標本が劣化しやすいという問題点があった。
したがって、本発明の主な目的は、従来の病理診断で一般的に行われる染色に加えてマーカー物質の付設や染色を標本に施すことなく、観察対象細胞における特定の生体物質の発現を正確に診断できる画像処理装置、画像処理システム、画像処理プログラム、及び画像処理方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明によれば、
標本における特定の生体物質の発現を蛍光輝点で表す蛍光画像と、前記蛍光輝点と異なる情報源に基づく細胞の形態を表す細胞形態画像を入力する入力手段と、
前記細胞形態画像における前記細胞の形態と前記蛍光画像における前記蛍光輝点との位置関係に基づいて、前記細胞形態画像と前記蛍光画像の位置合わせを行う位置合わせ手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置が提供される。
請求項2に記載の発明によれば、
前記位置合わせ手段は、前記細胞形態画像と前記蛍光画像の少なくとも一方に対して、平行移動、回転、拡大、または縮小の少なくとも一つの画像処理を行うことにより、位置合わせを行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置が提供される。
請求項3に記載の発明によれば、
前記細胞形態画像における前記細胞の形態は、染色された細胞核の領域を示す核領域であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置が提供される。
請求項4に記載の発明によれば、
前記特定の生体物質は細胞核に発現することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置が提供される。
請求項5に記載の発明によれば、
前記特定の生体物質は細胞膜に発現することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置が提供される。
請求項6に記載の発明によれば、
前記核領域と重なる前記蛍光輝点の数を算出する算出手段を有し、
前記位置合わせ手段は、前記蛍光輝点の数が最大となるように位置合わせを行うことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置が提供される。
請求項7に記載の発明によれば、
前記核領域と重なる前記蛍光輝点の数を算出する算出手段を有し、
前記位置合わせ手段は、前記蛍光輝点の数が最小となるように位置合わせを行うことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置が提供される。
請求項8に記載の発明によれば、
前記核領域と前記蛍光輝点の位置関係に基づいて、各々の前記蛍光輝点が前記核領域のいずれに対応するかを決定する決定手段を有し、
前記位置合わせ手段は、前記蛍光輝点と対応する前記核領域の重心との距離を算出し、当該重心との距離の総和が最小となるように位置合わせを行うことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置が提供される。
請求項9に記載の発明によれば、
前記核領域と前記蛍光輝点の位置関係に基づいて、各々の前記蛍光輝点が前記核領域のいずれに対応するかを決定する決定手段を有し、
前記位置合わせ手段は、前記蛍光輝点と対応する前記核領域の輪郭との最短距離を算出し、前記蛍光輝点が対応する前記核領域と重なっている場合には前記輪郭との最短距離を所定の固定値に置換した後、前記輪郭との最短距離の総和が最小となるように位置合わせを行うことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置が提供される。
請求項10に記載の発明によれば、
前記核領域と前記蛍光輝点の位置関係に基づいて、各々の前記蛍光輝点が前記核領域のいずれに対応するかを決定する決定手段を有し、
前記位置合わせ手段は、前記蛍光輝点と対応する前記核領域の重心との距離を算出し、前記核領域ごとに前記重心との距離の標準偏差を算出して、当該標準偏差の総和が最小となるように位置合わせを行うことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置が提供される。
請求項11に記載の発明によれば、
前記位置合わせ手段は、対応する前記蛍光輝点の数が所定の値よりも大きい前記核領域において算出された前記標準偏差の総和が最小となるように位置合わせを行うことを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置が提供される。
請求項12に記載の発明によれば、
前記位置合わせ手段は、前記細胞形態画像と前記蛍光画像の少なくとも一方に対して、所定の制限値の範囲内の平行移動を施すことにより位置合わせを行うことを特徴とする請求項2〜11の何れか一項に記載の画像処理装置が提供される。
請求項13に記載の発明によれば、
前記位置合わせ手段は、前記細胞形態画像と前記蛍光画像の少なくとも一方に対して、所定の制限値の範囲内の拡大または縮小を行うことにより位置合わせを行うことを特徴とする請求項2〜12の何れか一項に記載の画像処理装置が提供される。
請求項14に記載の発明によれば、
前記位置合わせ手段による位置合わせの後に、前記核領域に重ならない前記蛍光輝点を削除する削除手段を備えることを特徴とする請求項4、6、または8の何れか一項に記載の画像処理装置が提供される。
請求項15に記載の発明によれば、
前記位置合わせ手段は、前記細胞形態画像及び前記蛍光画像を取得する度に位置合わせを行うことを特徴とする請求項1〜14の何れか一項に記載の画像処理装置が提供される。
請求項16に記載の発明によれば、
請求項1〜15のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置で使用される、前記細胞形態画像と前記蛍光画像とを取得する画像取得装置と、
を備えることを特徴とする画像処理システムが提供される。
請求項17に記載の発明によれば、
コンピュータを、
標本における特定の生体物質の発現を蛍光輝点で表す蛍光画像と、前記蛍光輝点と異なる情報源に基づく細胞の形態を表す細胞形態画像を入力する入力手段、
前記細胞形態画像における前記細胞の形態と前記蛍光画像における前記蛍光輝点との位置関係に基づいて、前記細胞形態画像と前記蛍光画像の位置合わせを行う位置合わせ手段、
として機能させるための画像処理プログラムが提供される。
請求項18に記載の発明によれば、
標本における特定の生体物質の発現を蛍光輝点で表す蛍光画像と、前記蛍光輝点と異なる情報源に基づく細胞の形態を表す細胞形態画像を入力する入力工程と、
前記細胞形態画像における前記細胞の形態と前記蛍光画像における前記蛍光輝点との位置関係に基づいて、前記細胞形態画像と前記蛍光画像の位置合わせを行う位置合わせ工程と、
を有することを特徴とする画像処理方法が提供される。
本発明によれば、従来の病理診断で一般的に行われる染色に加えてマーカー物質の付設や染色を標本に施すことなく、観察対象細胞における特定の生体物質の発現を正確に診断することができる。
病理診断支援システムのシステム構成を示す図である。 図1の画像処理装置の機能的構成を示すブロック図である。 明視野画像の一例を示す図である。 蛍光画像の一例を示す図である。 標識材料Aを用いた場合の輝点数とFISHスコアとの関係を示す図である。 標識材料Bを用いた場合の輝点数とFISHスコアとの関係を示す図である。 標識材料Cを用いた場合の輝点数とFISHスコアとの関係を示す図である。 標識材料Dを用いた場合の輝点数とFISHスコアとの関係を示す図である。 各標識材料A〜Dについて、各視野の顕微鏡画像から計測された輝点数とFISHスコアとの相関係数の2乗値を示す図である。 図2の制御部により実行される画像解析処理を示すフローチャートである。 図10のステップS2の処理の詳細を示すフローチャートである。 明視野画像に基づく画像の一例であって、モノクロ画像を示す図である。 明視野画像に基づく画像の一例であって、閾値処理後の二値画像を示す図である。 明視野画像に基づく画像の一例であって、ノイズ処理後の二値画像を示す図である。 図10のステップS4の処理の詳細を示すフローチャートである。 蛍光画像に基づく画像の一例であって、蛍光輝点候補画像を示す図である。 蛍光画像に基づく画像の一例であって、蛍光輝点候補画像におけるノイズ除去後に得られる蛍光輝点画像を示す図である。 特定タンパクが核タンパク質である場合の位置合わせの方法の一例を説明する模式図である。 特定タンパクが膜タンパク質である場合の位置合わせの方法の一例を説明する模式図である。 解析結果画面の一例を示す図である。
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<病理診断支援システム100の構成>
図1に、本実施の形態における病理診断支援システム100の全体構成例を示す。病理診断支援システム100は、所定の染色試薬で染色された人体の組織切片の顕微鏡画像を取得し、取得された顕微鏡画像を解析することにより、観察対象の組織切片における特定の生体物質の発現を定量的に表す特徴量を出力するシステムである。
図1に示すように、病理診断支援システム100は、顕微鏡画像取得装置1Aと、画像処理装置2Aと、がケーブル3A等のインターフェースを介してデータ送受信可能に接続されて構成されている。なお、顕微鏡画像取得装置1Aと画像処理装置2Aとの接続方式は特に限定されない。例えば、顕微鏡画像取得装置1Aと画像処理装置2AはLAN(Local Area Network)により接続されることとしてもよいし、無線により接続される構成としてもよい。
顕微鏡画像取得装置1Aは、公知のカメラ付き光学顕微鏡であり、スライド固定ステージ上に載置されたスライド上の組織切片の顕微鏡画像を取得し、画像処理装置2Aに送信するものである。
顕微鏡画像取得装置1Aは、照射手段、結像手段、撮像手段、通信I/F等を備えて構成されている。照射手段は、光源、フィルター等により構成され、スライド固定ステージに載置されたスライド上の組織切片に光を照射する。結像手段は、接眼レンズ、対物レンズ等により構成され、照射した光によりスライド上の組織切片から発せられる透過光、反射光、又は蛍光を結像する。撮像手段は、CCD(Charge Coupled Device)センサー等を備え、結像手段により結像面に結像される像を撮像して顕微鏡画像のデジタル画像データを生成する顕微鏡設置カメラである。通信I/Fは、生成された顕微鏡画像の画像データを画像処理装置2Aに送信する。本実施の形態において、顕微鏡画像取得装置1Aは、明視野観察に適した照射手段及び結像手段を組み合わせた明視野ユニット、蛍光観察に適した照射手段及び結像手段を組み合わせた蛍光ユニットが備えられており、ユニットを切り替えることにより明視野/蛍光を切り替えることが可能である。
なお、顕微鏡画像取得装置1Aとしては、カメラ付き顕微鏡に限定されず、例えば、顕微鏡のスライド固定ステージ上のスライドをスキャンして組織切片全体の顕微鏡画像を取得するバーチャル顕微鏡スライド作成装置(例えば、特表2002−514319号公報参照)等を用いてもよい。バーチャル顕微鏡スライド作成装置によれば、スライド上の組織切片全体像を表示部で一度に閲覧可能な画像データを取得することができる。
画像処理装置2Aは、顕微鏡画像取得装置1Aから送信された顕微鏡画像を解析することにより、観察対象の組織切片における特定の生体物質の発現量を定量的に示す特徴量を算出し、算出された特徴量を出力する。
図2に、画像処理装置2Aの機能構成例を示す。図2に示すように、画像処理装置2Aは、制御部21、操作部22、表示部23、通信I/F24、記憶部25等を備えて構成され、各部はバス26を介して接続されている。
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、記憶部25に記憶されている各種プログラムとの協働により各種処理を実行し、画像処理装置2Aの動作を統括的に制御する。例えば、制御部21は、記憶部25に記憶されているプログラムとの協働により画像解析処理(図10参照)を実行し、位置合わせ手段、算出手段、決定手段、削除手段としての機能を実現する。
操作部22は、文字入力キー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードで押下操作されたキーの押下信号とマウスによる操作信号とを、入力信号として制御部21に出力する。
表示部23は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等のモニタを備えて構成されており、制御部21から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。本実施の形態において、表示部23は、画像解析結果を出力するための出力手段として機能する。
通信I/F24は、顕微鏡画像取得装置1Aをはじめとする外部機器との間でデータ送受信を行なうためのインターフェースである。通信I/F24は、明視野画像と蛍光画像の入力手段として機能する。
記憶部25は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や半導体の不揮発性メモリー等で構成されている。記憶部25には、前述のように各種プログラムや各種データ等が記憶されている。
その他、画像処理装置2Aは、LANアダプターやルーター等を備え、LAN等の通信ネットワークを介して外部機器と接続される構成としてもよい。
本実施の形態における画像処理装置2Aは、顕微鏡画像取得装置1Aから送信された明視野画像(HE染色画像)及び蛍光画像を用いて解析を行う。
明視野画像は、HE(ヘマトキシリン−エオジン)染色試薬を用いて染色された組織切片を、顕微鏡画像取得装置1Aにおいて明視野で拡大結像及び撮影することにより得られる顕微鏡画像である。ヘマトキシリンは青紫色の色素であり、細胞核、骨組織、軟骨組織の一部、漿液成分など(好塩基性の組織等)を染色する。エオジンは赤〜ピンク色の色素であり、細胞質、軟部組織の結合組織、赤血球、線維素、内分泌顆粒など(好酸性の組織等)を染色する。図3に、HE染色を行った組織切片を撮影した明視野画像の一例を示す。図3に示すように、HE染色を行った組織切片を撮影した明視野画像においては、組織切片における細胞の形態が表れている。すなわち、明視野画像は組織切片における細胞の形態を表す細胞形態画像である。かかる明視野画像では、細胞核は、周囲の細胞質よりも濃い色(青紫色)で周囲と区別して表れており、細胞核の形態をはっきり捉えることができる。
蛍光画像は、特定の生体物質と特異的に結合及び/又は反応する生体物質認識部位が結合した蛍光物質を内包したナノ粒子(蛍光物質内包ナノ粒子と呼ぶ)を含む染色試薬を用いて染色された組織切片に対し、顕微鏡画像取得装置1Aにおいて所定波長の励起光を照射して蛍光物質内包ナノ粒子を発光(蛍光)させ、この蛍光を拡大結像及び撮影することにより得られる顕微鏡画像である。即ち、蛍光画像に現れる蛍光は、組織切片における、生体物質認識部位に対応する特定の生体物質の発現を示すものである。図4に、蛍光画像の一例を示す。
<蛍光画像の取得>
ここで、蛍光画像の取得方法について、この蛍光画像の取得に際して用いられる染色試薬(蛍光物質内包ナノ粒子)、染色試薬による組織切片の染色方法等も含めて詳細に説明する。
〔蛍光物質〕
蛍光画像の取得のための染色試薬に用いられる蛍光物質としては、蛍光有機色素及び量子ドット(半導体粒子)を挙げることができる。200〜700nmの範囲内の波長の紫外〜近赤外光により励起されたときに、400〜1100nmの範囲内の波長の可視〜近赤外光の発光を示すことが好ましい。
蛍光有機色素としては、フルオレセイン系色素分子、ローダミン系色素分子、Alexa Fluor(インビトロジェン社製)系色素分子、BODIPY(インビトロジェン社製)系色素分子、カスケード系色素分子、クマリン系色素分子、エオジン系色素分子、NBD系色素分子、ピレン系色素分子、Texas Red系色素分子、シアニン系色素分子等を挙げることができる。
具体的には、5−カルボキシ−フルオレセイン、6−カルボキシ−フルオレセイン、5,6−ジカルボキシ−フルオレセイン、6−カルボキシ−2’,4,4’,5’,7,7’−ヘキサクロロフルオレセイン、6−カルボキシ−2’,4,7,7’−テトラクロロフルオレセイン、6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン、ナフトフルオレセイン、5−カルボキシ−ローダミン、6−カルボキシ−ローダミン、5,6−ジカルボキシ−ローダミン、ローダミン 6G、テトラメチルローダミン、X−ローダミン、及びAlexa Fluor 350、Alexa Fluor 405、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 500、Alexa Fluor 514、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750、BODIPY FL、BODIPY TMR、BODIPY 493/503、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665(以上インビトロジェン社製)、メトキシクマリン、エオジン、NBD、ピレン、Cy5、Cy5.5、Cy7等を挙げることができる。単独でも複数種を混合したものを用いてもよい。
量子ドットとしては、II−VI族化合物、III−V族化合物、又はIV族元素を成分として含有する量子ドット(それぞれ、「II−VI族量子ドット」、「III−V族量子ドット」、「IV族量子ドット」ともいう。)のいずれかを用いることができる。単独でも複数種を混合したものを用いてもよい。
具体的には、CdSe、CdS、CdTe、ZnSe、ZnS、ZnTe、InP、InN、InAs、InGaP、GaP、GaAs、Si、Geが挙げられるが、これらに限定されない。
上記量子ドットをコアとし、その上にシェルを設けた量子ドットを用いることもできる。以下、本明細書中シェルを有する量子ドットの表記法として、コアがCdSe、シェルがZnSの場合、CdSe/ZnSと表記する。例えば、CdSe/ZnS、CdS/ZnS、InP/ZnS、InGaP/ZnS、Si/SiO2、Si/ZnS、Ge/GeO2、Ge/ZnS等を用いることができるが、これらに限定されない。
量子ドットは必要に応じて、有機ポリマー等により表面処理が施されているものを用いてもよい。例えば、表面カルボキシ基を有するCdSe/ZnS(インビトロジェン社製)、表面アミノ基を有するCdSe/ZnS(インビトロジェン社製)等が挙げられる。
〔蛍光物質内包ナノ粒子〕
本実施の形態において蛍光物質内包ナノ粒子とは、蛍光物質がナノ粒子内部に分散されたものをいい、蛍光物質とナノ粒子自体とが化学的に結合していても、結合していなくてもよい。
ナノ粒子を構成する素材は特に限定されるものではなく、ポリスチレン、ポリ乳酸、シリカ等を挙げることができる。
本実施の形態で用いられる蛍光物質内包ナノ粒子は、公知の方法により作製することが可能である。例えば、蛍光有機色素を内包したシリカナノ粒子は、ラングミュア 8巻 2921ページ(1992)に記載されているFITC内包シリカ粒子の合成を参考に合成することができる。FITCの代わりに所望の蛍光有機色素を用いることで種々の蛍光有機色素内包シリカナノ粒子を合成することができる。
量子ドットを内包したシリカナノ粒子は、ニュー・ジャーナル・オブ・ケミストリー 33巻 561ページ(2009)に記載されているCdTe内包シリカナノ粒子の合成を参考に合成することができる。
蛍光有機色素を内包したポリスチレンナノ粒子は、米国特許4326008(1982)に記載されている重合性官能基をもつ有機色素を用いた共重合法や、米国特許5326692(1992)に記載されているポリスチレンナノ粒子への蛍光有機色素の含浸法を用いて作製することができる。
量子ドットを内包したポリマーナノ粒子は、ネイチャー・バイオテクノロジー19巻631ページ(2001)に記載されているポリスチレンナノ粒子への量子ドットの含浸法を用いて作製することができる。
本実施の形態で用いられる蛍光物質内包ナノ粒子の平均粒径は特に限定されないが、30〜800nm程度のものを用いることができる。また、粒径のばらつきを示す変動係数(=(標準偏差/平均値)×100%)は特に限定されないが、20%以下のものを用いることが好ましい。平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電子顕微鏡写真を撮影し十分な数の粒子について断面積を計測し、各計測値を円の面積としたときの円の直径を粒径として求めた。本願においては、1000個の粒子の粒径の算術平均を平均粒径とした。変動係数も、1000個の粒子の粒径分布から算出した値とした。
〔生体物質認識部位と蛍光物質内包ナノ粒子との結合〕
本実施の形態に係る生体物質認識部位とは、目的とする生体物質と特異的に結合及び/又は反応する部位である。目的とする生体物質は、それと特異的に結合する物質が存在するものであれば特に限定されるものではないが、代表的にはタンパク質(ペプチド)および核酸(オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド)、抗体等が挙げられる。したがって、そのような目的とする生体物質に結合する物質としては、前記タンパク質を抗原として認識する抗体やそれに特異的に結合する他のタンパク質等、および前記核酸にハイブリタイズする塩基配列を有する核酸等が挙げられる。具体的には、細胞表面に存在するタンパク質であるHER2に特異的に結合する抗HER2抗体、細胞核に存在するエストロゲン受容体(ER)に特異的に結合する抗ER抗体、細胞骨格を形成するアクチンに特異的に結合する抗アクチン抗体等があげられる。中でも抗HER2抗体及び抗ER抗体を蛍光物質内包ナノ粒子に結合させたものは、乳癌の投薬選定に用いることができ、好ましい。
生体物質認識部位と蛍光物質内包ナノ粒子の結合の態様としては特に限定されず、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合、物理吸着及び化学吸着等が挙げられる。結合の安定性から共有結合等の結合力の強い結合が好ましい。
また、生体物質認識部位と蛍光物質内包ナノ粒子の間を連結する有機分子があってもよい。例えば、生体物質との非特異的吸着を抑制するため、ポリエチレングリコール鎖を用いることができ、Thermo Scientific社製SM(PEG)12を用いることができる。
蛍光物質内包シリカナノ粒子へ生体物質認識部位を結合させる場合、蛍光物質が蛍光有機色素の場合でも、量子ドットの場合でも同様の手順を適用することができる。例えば、無機物と有機物を結合させるために広く用いられている化合物であるシランカップリング剤を用いることができる。このシランカップリング剤は、分子の一端に加水分解でシラノール基を与えるアルコキシシリル基を有し、他端に、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、アルデヒド基等の官能基を有する化合物であり、上記シラノール基の酸素原子を介して無機物と結合する。具体的には、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ポリエチレングリコール鎖をもつシランカップリング剤(例えば、Gelest社製PEG−silane no.SIM6492.7)等が挙げられる。シランカップリング剤を用いる場合、二種以上を併用してもよい。
蛍光有機色素内包シリカナノ粒子とシランカップリング剤との反応手順は、公知の手法を用いることができる。例えば、得られた蛍光有機色素内包シリカナノ粒子を純水中に分散させ、アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、室温で12時間反応させる。反応終了後、遠心分離又はろ過により表面がアミノプロピル基で修飾された蛍光有機色素内包シリカナノ粒子を得ることができる。続いてアミノ基と抗体中のカルボキシル基とを反応させることで、アミド結合を介し抗体を蛍光有機色素内包シリカナノ粒子と結合させることができる。必要に応じて、EDC(1−Ethyl−3−[3−Dimethylaminopropyl]carbodiimide Hydrochloride:Pierce(登録商標)社製)のような縮合剤を用いることもできる。
必要により、有機分子で修飾された蛍光有機色素内包シリカナノ粒子と直接結合しうる部位と、分子標的物質と結合しうる部位とを有するリンカー化合物を用いることができる。具体例として、アミノ基と選択的に反応する部位とメルカプト基と選択的に反応する部位の両方をもつsulfo−SMCC(Sulfosuccinimidyl 4[N−maleimidomethyl]−cyclohexane−1−carboxylate:Pierce社製)を用いると、アミノプロピルトリエトキシシランで修飾した蛍光有機色素内包シリカナノ粒子のアミノ基と、抗体中のメルカプト基を結合させることで、抗体結合した蛍光有機色素内包シリカナノ粒子ができる。
蛍光物質内包ポリスチレンナノ粒子へ生体物質認識部位を結合させる場合、蛍光物質が蛍光有機色素の場合でも、量子ドットの場合でも同様の手順を適用することができる。すなわち、アミノ基等の官能基をもつポリスチレンナノ粒子へ蛍光有機色素、量子ドットを含浸することにより、官能基もつ蛍光物質内包ポリスチレンナノ粒子を得ることができ、以降EDC又はsulfo−SMCCを用いることで、抗体結合した蛍光物質内包ポリスチレンナノ粒子ができる。
特定抗原を認識する抗体としては、M.アクチン、M.S.アクチン、S.M.アクチン、ACTH、Alk−1、α1−アンチキモトリプシン、α1−アンチトリプシン、AFP、bcl−2、bcl−6、β−カテニン、BCA225、CA19−9、CA125、カルシトニン、カルレチニン、CD1a、CD3、CD4、CD5、CD8、CD10、CD15、CD20、CD21、CD23、CD30、CD31、CD34、CD43、CD45、CD45R、CD56、CD57、CD61、CD68、CD79a、“CD99、MIC2“、CD138、クロモグラニン、c−KIT、c−MET、コラーゲンタイプIV、Cox−2、サイクリンD1、ケラチン、サイトケラチン(高分子量)、パンケラチン、パンケラチン、サイトケラチン5/6、サイトケラチン7、サイトケラチン8、サイトケラチン8/18、サイトケラチン14、サイトケラチン19、サイトケラチン20、CMV、E−カドヘリン、EGFR、ER、EMA、EBV、第VIII因子関連抗原、ファッシン、FSH、ガレクチン−3、ガストリン、GFAP、グルカゴン、グリコフォリンA、グランザイムB、hCG、hGH、ヘリコバクターピロリ、HBc抗原、HBs抗原、ヘパトサイト特異抗原、HER2、HSV−I、HSV−II、HHV−8、IgA、IgG、IgM、IGF−1R、インヒビン、インスリン、カッパL鎖、Ki67、ラムダL鎖、LH、リゾチーム、マクロファージ、メランA、MLH−1、MSH−2、ミエロパーオキシダーゼ、ミオゲニン、ミオグロビン、ミオシン、ニューロフィラメント、NSE、p27(Kip1)、p53、P63、PAX5、PLAP、ニューモシスティス カリニ、ポドプラニン(D2−40)、PGR、プロラクチン、PSA、前立腺酸性フォスファターゼ、Renal Cell Carcinoma、S100、ソマトスタチン、スペクトリン、シナプトフィジン、TAG−72、TdT、サイログロブリン、TSH、TTF−1、TRAcP、トリプターゼ、ビリン、ビメンチン、WT1、Zap−70が挙げられる。
〔染色方法〕
以下、組織切片の染色方法について述べる。以下に説明する染色方法は病理切片組織に限定せず、細胞染色にも適用可能である。
また、以下に説明する染色方法が適用できる切片の作製法は特に限定されず、公知の方法により作製されたものを用いることができる。
1)脱パラフィン工程
キシレンを入れた容器に病理切片を浸漬させ、パラフィンを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でキシレンを交換してもよい。
次いで、エタノールを入れた容器に病理切片を浸漬させ、キシレンを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でエタノールを交換してもよい。
次いで、水を入れた容器に病理切片を浸漬させ、エタノールを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中で水を交換してもよい。
2)賦活化処理
公知の方法にならい、目的とする生体物質の賦活化処理を行う。賦活化条件に特に定めはないが、賦活液としては、0.01M クエン酸緩衝液(pH6.0)、1mM EDTA溶液(pH8.0)、5%尿素、0.1M トリス塩酸緩衝液等を用いることができる。加熱機器は、オートクレーブ、マイクロウェーブ、圧力鍋、ウォーターバス等を用いることができる。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。温度は50−130℃、時間は5−30分で行うことができる。
次いで、PBS(Phosphate Buffered Saline:リン酸緩衝生理食塩水)を入れた容器に、賦活化処理後の切片を浸漬させ、洗浄を行う。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でPBSを交換してもよい。
3)生体物質認識部位が結合された蛍光物質内包ナノ粒子を用いた染色
生体物質認識部位が結合された蛍光物質内包ナノ粒子のPBS分散液を病理切片に載せ、目的とする生体物質と反応させる。蛍光物質内包ナノ粒子と結合させる生体物質認識部位を変えることにより、さまざまな生体物質に対応した染色が可能となる。数種類の生体物質認識部位が結合された蛍光物質内包ナノ粒子を用いる場合には、それぞれの蛍光物質内包ナノ粒子PBS分散液を予め混合しておいてもよいし、別々に順次病理切片に載せてもよい。
温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。反応時間は、30分以上24時間以下であることが好ましい。
蛍光物質内包ナノ粒子による染色を行う前に、BSA含有PBS等、公知のブロッキング剤を滴下することが好ましい。
次いで、PBSを入れた容器に、染色後の切片を浸漬させ、未反応蛍光物質内包ナノ粒子の除去を行う。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でPBSを交換してもよい。カバーガラスを切片に載せ、封入する。必要に応じて市販の封入剤を使用してもよい。
なお、HE染色試薬を用いて染色を行う場合、カバーガラスによる封入前にHE染色を行う。
〔蛍光画像の取得〕
染色した病理切片に対し顕微鏡画像取得装置1Aを用いて、広視野の顕微鏡画像(蛍光画像)を取得する。顕微鏡画像取得装置1Aにおいて、染色試薬に用いた蛍光物質の吸収極大波長及び蛍光波長に対応した励起光源及び蛍光検出用光学フィルターを選択する。
蛍光画像の視野は、3mm2以上であることが好ましく、30mm2以上であることがさらに好ましく、300mm2以上であることがさらに好ましい。
<蛍光輝点とFISHスコアとの関係>
ここで、本件出願人は、以下に説明するように、一実施例として、Cy5内包シリカナノ粒子(以下、ナノ粒子1という。)を作製し、ナノ粒子1に対して抗HER2抗体を結合させた標識材料Aを作製した。また、CdSe/ZnS内包シリカナノ粒子(以下、ナノ粒子2という)を作製し、ナノ粒子2に対して抗HER2抗体を結合させた標識材料Bを作製した。そして、作製した標識材料A、B及び比較例としての標識材料C、Dを用いて予めFISHスコアを測定したヒト***組織の隣接切片を用いて免疫染色を行って視野を変えて複数の蛍光画像を取得し、各蛍光画像に現れている蛍光輝点の数を計測してFISHスコアとの関連を調べる実験を行った。
〔蛍光物質内包ナノ粒子の合成〕
(合成例1:蛍光有機色素内包シリカ:Cy5内包シリカナノ粒子の合成)
下記工程(1)〜(5)の方法により、Cy5内包シリカナノ粒子(ナノ粒子1)を作製した。
工程(1):Cy5のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル誘導体(GEヘルスケア社製)1mg(0.00126mmol)とテトラエトキシシラン400μL(1.796mmol)を混合した。
工程(2):エタノール40mLと14%アンモニア水10mLを混合した。
工程(3):工程(2)で作製した混合液を室温下で撹拌しているところに、工程(1)で調製した混合液を添加した。添加開始から12時間撹拌を行った。
工程(4):反応混合物を10000Gで60分遠心分離を行い、上澄みを除去した。
工程(5):エタノールを加え、沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順でエタノールと純水による洗浄を1回ずつ行った。
得られたナノ粒子1を走査型電子顕微鏡(SEM;日立(登録商標)社製S−800型)で観察したところ、平均粒径は110nm、変動係数は12%であった。
(合成例2:量子ドット内包シリカ:発光波長655nmのCdSe/ZnS内包シリカナノ粒子の合成)
下記工程(1)〜(5)の方法により、CdSe/ZnS内包シリカナノ粒子(以下、ナノ粒子2という。)を作製した。
工程(1):CdSe/ZnSデカン分散液(インビトロジェン社Qdot655)10μLとテトラエトキシシラン40μLを混合した。
工程(2):エタノール4mLと14%アンモニア水1mLを混合した。
工程(3):工程(2)で作製した混合液を室温下で撹拌しているところに、工程(1)で作製した混合液を添加した。添加開始から12時間撹拌を行った。
工程(4):反応混合物を10000Gで60分遠心分離を行い、上澄みを除去した。
工程(5):エタノールを加え、沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順でエタノールと純水による洗浄を1回ずつ行った。
得られたナノ粒子2を走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均粒径は130nm、変動係数は13%であった。
〔蛍光物質内包シリカナノ粒子への抗体の結合〕
下記工程(1)〜(12)の方法により、蛍光物質内包シリカナノ粒子に対して抗体を結合させた。ここでは、ナノ粒子1を用いた例を示すが、ナノ粒子2についても同様である。
工程(1):1mgのナノ粒子1を純水5mLに分散させた。次いで、アミノプロピルトリエトキシシラン水分散液100μLを添加し、室温で12時間撹拌した。
工程(2):反応混合物を10000Gで60分遠心分離を行い、上澄みを除去した。
工程(3):エタノールを加え、沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順でエタノールと純水による洗浄を1回ずつ行った。
得られたアミノ基修飾したシリカナノ粒子のFT−IR測定を行ったところ、アミノ基に由来する吸収が観測でき、アミノ基修飾されたことが確認できた。
工程(4):工程(3)で得られたアミノ基修飾したシリカナノ粒子を、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を2mM含有したPBSを用いて3nMに調整した。
工程(5):工程(4)で調整した溶液に、最終濃度10mMとなるようSM(PEG)12(サーモサイエンティフィック社製、succinimidyl−[(N−maleomidopropionamid)−dodecaethyleneglycol]ester)を混合し、1時間反応させた。
工程(6):反応混合液を10000Gで60分遠心分離を行い、上澄みを除去した
工程(7):EDTAを2mM含有したPBSを加え、沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順による洗浄を3回行った。最後に500μLのPBSを用いて再分散させた。
工程(8):抗HER2抗体100μgを100μLのPBSに溶解させたところに、1Mジチオスレイトール(DTT)を添加し、30分反応させた。
工程(9):反応混合物についてゲルろ過カラムにより過剰のDTTを除去し、還元化抗HER2抗体溶液を得た。
工程(10):ナノ粒子1を出発原料として工程(7)で得られた粒子分散液と工程(9)で得られた還元化抗HER2抗体溶液とをPBS中で混合し、1時間反応させた。
工程(11):10mMメルカプトエタノール4μLを添加し、反応を停止させた。
工程(12):反応混合物を10000Gで60分遠心分離を行い、上澄みを除去した後、EDTAを2mM含有したPBSを加え、沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順による洗浄を3回行った。最後に500μLのPBSを用いて再分散させ、抗HER2抗体が結合された蛍光物質内包シリカナノ粒子を得た。
ナノ粒子1を出発原料として得られた抗HER2抗体が結合された蛍光物質内包シリカナノ粒子を標識材料A、ナノ粒子2を出発原料として得られた抗HER2抗体が結合された蛍光物質内包シリカナノ粒子を標識材料Bとする。
また、比較例として、Cy5に抗HER2抗体を結合させ、還元化抗HER2抗体溶液(標識材料D)を得た。同様に、CdSeに抗HER2抗体を結合させたものを標識材料Cとして作製した。
〔蛍光物質内包ナノ粒子を用いた組織染色〕
下記工程(1)〜(10)の方法により、作製した抗体結合標識材料A〜Dを用い、予めFISHスコアを測定したヒト***組織の隣接切片を用いて免疫染色を行った。染色切片はコスモバイオ社製の組織アレイスライド(CB−A712)を用いた。FISHスコアで1〜9の24切片を用いた。
工程(1):キシレンを入れた容器に病理切片を30分浸漬させた。途中3回キシレンを交換した。
工程(2):エタノールを入れた容器に病理切片を30分浸漬させた。途中3回エタノールを交換した。
工程(3):水を入れた容器に病理切片を30分浸漬させた。途中3回水を交換した。
工程(4):10mMクエン酸緩衝液(pH6.0)に病理切片を30分浸漬させた。
工程(5):121度で10分オートクレーブ処理を行った。
工程(6):PBSを入れた容器に、オートクレーブ処理後の切片を30分浸漬させた。
工程(7):1%BSA含有PBSを組織に載せて、1時間放置した。
工程(8):1%BSA含有PBSで0.05nMに希釈した抗HER2抗体が結合された標識材料A〜Dを、各組織切片に載せて3時間放置した。
工程(9):PBSを入れた容器に、染色後の切片をそれぞれ30分浸漬させた。
工程(10):Merck Chemicals社製Aquatexを滴下後、カバーガラスを載せ封入した。
〔実験結果〕
各標識材料A〜Dを用いて染色した組織切片について、視野(観察面積)を変えて複数の蛍光画像を取得し、画像解析ソフトにより、各蛍光画像から蛍光輝点の数(輝点数)を計測した。
なお、顕微鏡は、カールツアイス社製正立顕微鏡Axio Imager M2を用い、対物レンズを20倍に設定し、630〜670nmの波長を有する励起光を照射して、組織切片から発せられる蛍光を結像し、顕微鏡設置カメラ(モノクロ)により蛍光画像(画像データ)を取得し、画像解析ソフトにより輝点数を計測した。なお、上記カメラは画素サイズ6.4μm×6.4μm、縦画素数1040個、横画素数1388個(撮像領域8.9mm×6.7mm)を有している。
また、各標識材料A〜Dについて、各視野において、計測された輝点数とFISHスコアとの相関係数Rを算出した。FISHスコアは、HER2遺伝子の過剰発現レベルと対応しており、FISHスコアの値が大きいほど、HER2遺伝子の過剰発現レベルが高いことを示している。
図5は、標識材料A(Cy5内包標識材料)を用いた場合の、複数の異なる視野(0.3mm2、3mm2、32mm2、324mm2)の蛍光画像から計測された輝点数と、FISHスコアとの関係を示す図である。図中に示すR2の値は、輝点数とFISHスコアとの相関係数の2乗値である。
図6は、標識材料B(CdSe内包標識材料)を用いた場合の、複数の異なる視野(0.3mm2、3mm2、32mm2、324mm2)の蛍光画像から計測された輝点数と、FISHスコアとの関係を示す図である。
図7は、標識材料C(CdSe)を用いた場合の、複数の異なる視野(0.3mm2、3mm2、32mm2、324mm2)の蛍光画像から計測された輝点数と、FISHスコアとの関係を示す図である。
図8は、標識材料D(Cy5)を用いた場合の、複数の異なる視野(0.3mm2、3mm2、32mm2、324mm2)の蛍光画像から計測された輝点数と、FISHスコアとの関係を示す図である。
表1及び図9に、各標識材料A〜Dについて、各視野(観察面積)の蛍光画像から計測された輝点数とFISHスコアとの相関係数の2乗値(R2)を示す。
標識材料Aを用いて組織切片を染色し、0.3mm2の視野の蛍光画像から輝点数を計測した場合には、輝点数とFISHスコアとの相関係数の2乗値(R2)は0.1241であり、輝点数とFISHスコアには、相関が見られなかった。0.3mm2の視野では、視野が狭すぎ、ばらつきが大きいためであると考えられる。
標識材料Aを用いて組織切片を染色し、3mm2の視野の蛍光画像から輝点数を計測した場合には、輝点数とFISHスコアとの相関係数の2乗値(R2)は0.5387であった。この値は、相関係数Rに換算すると約0.734となり、輝点数とFISHスコアには、強い相関があるといえる。
標識材料Aを用いて組織切片を染色し、32mm2の視野の蛍光画像から輝点数を計測した場合には、輝点数とFISHスコアとの相関係数の2乗値(R2)は0.9011であった。視野が32mm2の場合には、視野が3mm2の場合と比較して、さらに相関が強いといえる。
標識材料Aを用いて組織切片を染色し、324mm2の視野の蛍光画像から輝点数を計測した場合には、輝点数とFISHスコアとの相関係数の2乗値(R2)は0.9887であった。視野が324mm2の場合には、視野が32mm2の場合と比較して、さらに相関が強いといえる。
標識材料Bを用いた場合も同様に、3mm2以上の視野では、輝点数とFISHスコアには相関があり、視野が広いほど相関係数が大きくなることがわかった。
また、標識材料A,Bを用いた場合の結果から、324mm2の視野では輝点数とFISHスコアとの相関係数の2乗値(R2)が十分1に近いことがわかった。
一方、標識材料C又は標識材料Dを用いて組織切片を染色した場合には、輝点数とFISHスコアには、相関が見られなかった。
また、観察対象となる組織切片の厚さ(通常は数μm)の上方、或いは下方部に顕微鏡のピントを若干ずらした場合であっても、上記の状況に大きな差異は見られなかった。
以上の結果から、標識材料A,Bを用いて広視野で組織切片を観察した場合に、輝点数とFISHスコアとの相関が良好であり、輝点数に基づいてHER2の発現レベルを評価することが可能であることがわかった。すなわち、FISH法のような手間のかかる方法を用いなくても、特定の生体物質を認識する生体物質認識部位が結合した蛍光物質内包ナノ粒子の染色試薬で組織切片を染色し、これを顕微鏡で拡大結像して撮影することにより得られた3mm2以上の視野の画像から輝点数を計測することにより、特定の生体物質の発現レベルを評価することができ、FISH法に代わる方法として有効である。
標識材料A,Bは、蛍光物質を内包した粒子を用いており、蛍光物質単体を用いた標識材料C,Dと比較して高輝度であるため、画像から輝点の1点1点を捉えやすく、輝点数を精度良く計測することができる。
<病理診断支援システム100の動作(病理診断支援方法を含む。)>
以下、病理診断支援システム100において、上記説明した蛍光画像及び明視野画像を取得して解析を行う動作について説明する。ここでは、特定のタンパク質(ここでは、乳癌組織におけるKi67タンパクまたはHER2タンパクとする。以下、特定タンパクと呼ぶ。)を認識する生体物質認識部位が結合した蛍光物質内包ナノ粒子を含む染色試薬を用いて染色された組織切片を観察対象とする場合を例にとり説明するが、これに限定されるものではない。
まず、操作者は、HE染色試薬と、特定タンパクを認識する生体物質認識部位が結合した蛍光物質内包ナノ粒子を蛍光標識材料とした染色試薬との、2種の染色試薬を用いて組織切片を染色する。
その後、顕微鏡画像取得装置1Aにおいて、(a1)〜(a5)の手順により明視野画像及び蛍光画像が取得される。
(a1)操作者は、HE染色試薬と蛍光物質内包ナノ粒子を含む染色試薬とによりそれぞれ染色された組織切片をスライドに載置し、そのスライドを顕微鏡画像取得装置1Aのスライド固定ステージに設置する。
(a2)明視野ユニットに設定し、撮影倍率、ピントの調整を行い、組織上の観察対象の領域を視野に納める。
(a3)撮像手段で撮影を行って明視野画像の画像データを生成し、画像処理装置2Aに画像データを送信する。
(a4)ユニットを蛍光ユニットに変更する。
(a5)視野及び撮影倍率を変えずに撮像手段で撮影を行って蛍光画像の画像データを生成し、画像処理装置2Aに画像データを送信する。
なお、本願発明者等の検討によれば、HE染色と蛍光物質内包ナノ粒子による染色を同時に行う場合、組織の自家蛍光とエオジンの発光(バックグラウンド)に対し、10%(1.1倍)以上の発光量差を蛍光物質内包ナノ粒子の蛍光輝点が有していれば、8ビット(0〜255階調)、12ビット(0〜4095階調)の何れの処理系においても、顕微鏡画像(蛍光画像)から蛍光輝点の自動検出処理が可能であった。蛍光物質内包ナノ粒子による染色のみの場合においては、組織の自家蛍光に対し、10%(1.1倍)以上の発光量差を蛍光物質内包ナノ粒子が有していれば、8ビット(0〜255階調)、12ビット(0〜4095階調)の何れの処理系においても蛍光輝点の自動検出処理が可能であった。そのため、蛍光ユニットにおける励起光波長は560〜630nmの範囲のものを選択することが好ましい。また、前記蛍光物質としては当該励起光により580〜690nmの範囲、より好ましくは600〜630nmの範囲にピークを有する蛍光を発するものを用いることが好ましい。この範囲にピークを有する蛍光物質であれば、上記範囲の励起光を選択したときに、エオジンの発光を含む組織の自家蛍光と蛍光物質内包ナノ粒子からの蛍光の発光差を確保して両者を区別して認識可能とする(両者の光量差10%(1.1倍)以上)を確保できるからである。
なお、HE染色を同時に行わない場合においては、組織の自家蛍光が微弱なため励起光の波長の範囲は、一般的な200nm〜700nmの範囲で特に限定せずとも自家蛍光と蛍光物質内包ナノ粒子からの蛍光の発光差を確保して両者を区別して認識可能とする(両者の光量差10%(1.1倍)以上)を確保することができる。
画像処理装置2Aにおいては、明視野画像及び蛍光画像に基づき画像解析処理が実行される。
図10に、画像処理装置2Aにおける画像解析処理のフローチャートを示す。図10に示す画像解析処理は、制御部21と記憶部25に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
まず、通信I/F24により顕微鏡画像取得装置1Aからの明視野画像が入力されると(ステップS1)、明視野画像から細胞核の領域を示す核領域が抽出される(ステップS2)。
図11に、ステップS2における処理の詳細フローを示す。ステップS2の処理は、制御部21と記憶部25に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
ステップS2においては、まず、明視野画像のモノクロ画像への変換が行われる(ステップS201)。図12Aに、モノクロ画像の一例を示す。
次いで、モノクロ画像に対し予め定められた閾値を用いて閾値処理が施され、各画素の値が2値化される(ステップS202)。図12Bに、閾値処理後の二値画像の一例を示す。
次いで、ノイズ処理が行われる(ステップS203)。ノイズ処理は、具体的には、二値画像にクロージング処理が施されることにより行うことができる。クロージング処理は、膨張処理を行ってから同じ回数分だけ収縮処理を行う処理である。膨張処理は、注目画素からn×n画素(nは2以上の整数)の範囲内にある画素に1つでも白が含まれている場合に注目画素を白に置き換える処理である。収縮処理は、注目画素からn×n画素の範囲内にある画素に1つでも黒が含まれている場合に注目画素を黒に置き換える処理である。クロージング処理により、ノイズ等の小さい領域を除去することができる。図12Cに、ノイズ処理後の画像の一例を示す。図12Cに示すように、ノイズ処理後には、細胞核が抽出された画像(細胞核画像)が得られる。
次いで、ノイズ処理後の画像にラベリング処理が施され、抽出された細胞核のそれぞれにラベルLabel_nucleusが付与される(ステップS204)。ラベリング処理とは、連結している画素に同じラベル(番号)を付与していくことで画像内のオブジェクトを識別する処理である。ラベリング処理により、ノイズ処理後の画像から各細胞核を識別してラベルを付与することができる。
なお、後述する蛍光輝点の抽出におけるラベルの番号と区別するため、コンピュータの保持できる最大値をMAXとし、現在までに行ったラベリング回数をLabel_tempとすると、新たな細胞核にはラベルLabel_nucleusとして、MAX−Label_tempが付与される。例えば、101個目の細胞核にラベルを付与する場合、Label_temp=100であるので、MAX=65536とすると、Label_nucleusとして65436が付与される。
一方、通信I/F24により顕微鏡画像取得装置1Aからの蛍光画像が入力されると(ステップS3)、蛍光画像から蛍光輝点が抽出される(ステップS4)。
図13に、ステップS4における処理の詳細フローを示す。ステップS4の処理は、制御部21と記憶部25に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
まず、蛍光画像からR成分の抽出が行われる(ステップS401)。
次いで、R成分が抽出された画像にTophat変換が施される(ステップS402)。Tophat変換は、入力画像の各画素の値から、入力画像に最小値フィルター及び最大値フィルターをこの順でかけた画像の、対応する画素の値を減算する処理である。最小値フィルターは、注目画素の近傍の画素(例えば、3×3画素)のうちの最小値で注目画素の値を置き換えるものである。最大値フィルターは、注目画素の近傍の画素(例えば、3×3画素)のうちの最大値で注目画素の値を置き換えるものである。Tophat変換により、濃淡プロファイル上の小突起(近傍の画素に比べて輝度の高い領域)を抽出することができる。これにより、蛍光輝点候補画像を得ることができる。図14Aに、蛍光輝点候補画像の一例を示す。
次いで、蛍光輝点候補画像からノイズ除去が行われることにより、蛍光輝点が抽出された画像(蛍光輝点画像)が得られる(ステップS403)。図14Bに、図14Aに示す蛍光輝点候補画像からノイズ除去後に得られる蛍光輝点画像を示す。
そして、ノイズ除去後の画像にラベリング処理が施され、抽出された蛍光輝点のそれぞれにラベルLabel_pointが付与される(ステップS404)。Label_pointは、1から順に付与される。ラベリング処理の終了後、処理は図10のステップS5に移行する。
ステップS5において、制御部21は、明視野画像において観察される細胞の形態と蛍光画像において観察される蛍光輝点に基づいて、明視野画像と蛍光画像との各画像の位置合わせを行う。
当該位置合わせに用いられる明視野画像はステップS2で得られた核領域画像(図12C参照)であり、当該位置合わせに用いられる蛍光画像はステップS4で得られた蛍光輝点画像(図14B参照)である。ステップS5では、明視野画像または蛍光画像の少なくとも何れか一方に対して、以下の式を用いた座標変換を施して平行移動、回転、拡大、または縮小の少なくとも一つの画像処理を行う。制御部21は、パラメータdx、dy、θ、α及びβを変えて、明視野画像及び蛍光画像の位置が最も合っているパラメータの組み合わせ(最適パラメータ)を探索する。
(x、y) :変換後の輝点座標
(dx、dy) :平行移動量
θ :回転移動量
(α、β) :拡大率
(x、y) :変換前の輝点座標
最適パラメータの探索において、明視野画像及び蛍光画像の位置が合っていることの判断は、特定タンパクおよび組織標本の種類に応じて、任意の基準を設けて行ってよいが、例えば、以下に挙げる判断方法のいずれかを用いることができる。なお、最適パラメータの探索方法は、総当たり探索でもICPのような反復探索手法でもよい。
(1−1)特定タンパクが核タンパク質である場合の判断方法1
特定タンパクが、例えばKi67のように細胞核に発現する核タンパク質である場合には、制御部21は、例えば、染色された細胞核の内側に存在する輝点数が最大である時に、明視野画像及び蛍光画像の位置が合っていると判断する。
具体的には、例えば、ステップS4で抽出した蛍光輝点が、ステップS2で抽出したいずれかの核領域と重なっているか否かを判断し、重なっている場合には輝点のスコアを+1、重なっていない場合には輝点のスコアを0として、画像全体のスコアの総和を算出する。図15(a)の模式図においては、●で表される16個の蛍光輝点30のうち、13個が核領域31Aまたは31Bのいずれか一方と重なっているため、蛍光画像内の全ての輝点のスコアの総和は13と算出される。また、図15(a)の蛍光輝点を平行移動した図15(b)においては、スコアの総和は9と算出される。スコアの総和が最大となるパラメータを探索し、最適パラメータとして用いて座標変換を行うことにより、明視野画像と蛍光画像とが精度よく位置合わせされる。
(1−2)特定タンパクが核タンパク質である場合の判断方法2
また、特定タンパクが核タンパクである場合には、制御部21は、例えば、染色された細胞核と輝点の距離の総和が最小となる時に、明視野画像及び蛍光画像の位置が合っていると判断してもよい。
具体的には、まず、ステップS4で抽出した各蛍光輝点において、ステップS4で抽出した核領域との距離を算出し、最も近い核領域を探して蛍光輝点と対応付ける。核領域との距離の定義は任意であるが、例えば、図15(c)において点線で示されるような核領域の重心32と対応する蛍光輝点30の距離、または、核領域31A及び31Bの輪郭線と各蛍光輝点30の距離を用いることができる。
全ての蛍光輝点について算出した細胞核との距離の総和が最小となるパラメータを最適パラメータとして用いて座標変換を行うことにより、明視野画像と蛍光画像とが正確に位置合わせされる。
距離の総和の算出方法は任意であるが、例えば、以下のような方法を用いることができる。
各距離の絶対値を加算した単純和を総和とすれば、最も簡便な計算方法により総和を算出可能である。
また、各距離の2乗和を総和とすれば、距離が長いほど、パラメータを変えた時の総和に大きく影響するため、領域から大きく外れる蛍光輝点数を減らすパラメータを最適パラメータとすることができる。
また、核領域ごとに、対応付けられた全ての蛍光輝点との距離の平均値を算出し、その平均値の単純和または二乗和を総和としてもよい。これにより、核領域に対応する蛍光輝点数のばらつきが大きい場合でも、全ての核領域を同等に加味した総和を算出することができる。
また、各距離を、対応する核領域の面積の逆数で重みづけして、その単純和または二乗和を総和としてもよい。
また、各距離を、対応する核領域に対応づけられた蛍光輝点の数で重みづけして、その単純和または二乗和を総和としても良い。これにより、対応付けられた蛍光輝点数が多い核領域を優先的に位置合わせに用いることができる。
(2−1)特定タンパクが膜タンパク質である場合の判断方法1
特定タンパクが、例えばHER2のように細胞膜に発現する膜タンパク質である場合には、膜タンパクが付着している細胞膜を明視野画像から直接抽出することは難しい。そこで、組織標本を薄切した組織切片においては、膜タンパクの発現を示す蛍光輝点は核領域に重ならずに核領域の外側に分布すると考えられることに基づいて、制御部21は、例えば、染色された核領域の内側に存在する輝点数が最小となる時に、明視野画像及び蛍光画像の位置が合っていると判断する。
具体的には、上述した(1−1)の方法と同様に、核領域と蛍光輝点の重なりに基づくスコアを算出する。蛍光画像内の全ての輝点のスコアの総和が最小となるパラメータを探索し、最適パラメータとして用いて座標変換を行うことにより、明視野画像と蛍光画像とが精度よく位置合わせされる。
(2−2)特定タンパクが膜タンパク質である場合の判断方法2
また、特定タンパクが膜タンパク質である場合には、制御部21は、例えば、染色された核領域の輪郭と輝点の距離の総和が最小となる時に、明視野画像及び蛍光画像の位置が合っていると判断してもよい。
具体的には、まず、ステップS4で抽出した各蛍光輝点において、ステップS2で抽出した核領域の輪郭との距離を算出し、最も近い核領域を探して蛍光輝点と対応付ける。
全ての輝点について対応する核領域の輪郭との距離を算出し、その総和が最小となるパラメータを探索して最適パラメータとして用いて座標変換を行うことにより、明視野画像と蛍光画像とが正確に位置合わせされる。図16(a)の●は、核領域31C、31Dに対応付けられた蛍光輝点30を示し、点線の長さは、対応する核領域の輪郭までの距離を示す。核領域31Dのように、核領域に重なる蛍光輝点が存在する場合には、各領域に重なる蛍光起点と核領域の輪郭との距離を所定の固定値に置き換えて、総和を算出することとしても良い。所定の固定値を大きな値に設定すれば、核領域と重なる蛍光輝点が存在する場合には、蛍光輝点と核領域の輪郭までの距離の総和が必ず大きくなるため、蛍光輝点が核領域と重なっている場合のパラメータが最適パラメータと判断される可能性が低い。
なお、総和の算出には、上述した(1−2)と同様の任意の方法を用いることができる。
(2−3)特定タンパクが膜タンパク質である場合の判断方法3
また、特定タンパクが膜タンパク質であり、細胞核が細胞のほぼ中心に存在していると想定される場合には、制御部21は、図16(b)に示すように、核領域31Cの重心32から核領域に対応付けられた蛍光輝点までの距離がほぼ一定であるとみなして、例えば、ステップS2で抽出された核領域の重心と蛍光輝点の距離の標準偏差の総和が最小となる時に、明視野画像及び蛍光画像の位置が合っていると判断してもよい。
具体的には、まず、ステップS4で抽出した各蛍光輝点において、ステップS2で抽出した核領域の重心との距離を算出し、最も近い核領域を探して蛍光輝点と対応付ける。次いで、核領域ごとに、対応付けられた蛍光輝点との距離の標準偏差を算出し、標準偏差の総和が最小となるパラメータを最適パラメータとして用いて座標変換を行うことにより、明視野画像と蛍光画像とが正確に位置合わせされる。
なお、標準偏差の総和の算出方法は任意であるが、例えば、以下のような方法を用いることができる。
標準偏差の絶対値を加算した単純和を総和とすれば、最も簡便な計算方法により総和を算出することができる。
また、標準偏差の2乗和を総和とすれば、標準偏差が大きいほど総和への影響が大きいため、総和が最小となる最適パラメータを探索することにより、標準偏差が大きい核領域を減らすことができる。
また、標準偏差を、核領域の面積の逆数で重みづけして、その単純和または二乗和を総和としてもよい。
また、標準偏差を、核領域に対応する蛍光輝点の数で重みづけして、総和の算出に用いても良い。また、核領域に対応付けられた蛍光輝点の数が所定の値よりも少ない核領域は、標準偏差の総和の算出には用いないこととしても良い。これにより、対応付けられた蛍光輝点数が多い核領域を、優先的に位置合わせに用いることができる。
なお、以上説明したステップS5の位置合わせにおいては、明視野画像及び蛍光画像が本実施の形態の方法により取得された場合、通常、顕微鏡の光軸のずれや振動に起因する画像のずれはわずかであるため、過剰な画像処理によって最適パラメータが誤認識されることを防ぐために、各パラメータに所定の制限値を設けることが好ましい。
各パラメータに制限値を設けることにより、例えば、生体物質が核タンパクである場合に、明視野画像の過度な拡大により全ての蛍光輝点が1つの核領域に重なった時のパラメータが最適パラメータとされたり、また、生体物質が膜タンパクである場合に、一方の画像の過度な平行移動により全ての蛍光輝点が核領域外となった時のパラメータが最適パラメータとされるといった誤認識を防ぐことができる。
また、特定タンパクが核タンパク質である場合には、位置合わせ後に明視野画像と蛍光画像を重ね合わせた時に、核領域の外に存在する蛍光輝点は、特定タンパクの発現とは無関係なノイズであるとみなして削除し、ステップS6以降の処理には用いないこととしても良い。
また、特定タンパクが膜タンパク質である場合には、位置合わせ後に明視野画像と蛍光画像を重ね合わせた時に、核領域と重なっている蛍光輝点は、特定タンパクの発現とは無関係なノイズであるとみなして削除し、ステップS6以降の処理には用いないこととしても良い。
ステップS5の工程による位置合わせの終了後、位置合わせして重ね合わせられた明視野画像(ステップS2で得られた核領域画像)及び蛍光画像(ステップS4で得られた蛍光輝点画像)に基づいて、それぞれの核領域における特定タンパクの発現状況の判定が行われる(ステップS6)。
詳しくは、明視野画像と蛍光画像とを位置合わせして重ね合わせた状態において、例えば、ステップS2で抽出した核領域のそれぞれに対応する蛍光輝点数が算出され、癌の悪性度や進行度の指標とされる。
悪性度の判定や治療計画に用いる統計値は、特に限定されないが、例えば、核領域に対応する蛍光輝点数の総計値を核領域の数で除した値や、核領域に対応する蛍光輝点の分布の偏り等が評価され、また核領域に対応する蛍光輝点数をヒストグラム化して一定数以上の蛍光輝点を有する核領域数の比率等も好ましく用いられる。
次いで、判定後の核領域に対応する特定タンパクの発現状況に基づき、解析結果画面231が生成され表示部23に表示される(ステップS7)。
例えば、ステップS7では、1つの核領域に対応する蛍光輝点数が予め定められた複数の閾値を超えるか否かに基づいて、特定タンパクの発現状況が複数の段階に分類され、高発現領域、中発現領域、低発現領域、極低発現領域といった態様で区分けされる。その後、明視野画像上に、分類結果に応じて異なる表示態様で区分け(例えば、色分け)された画像(タンパク発現状況表示画像)が生成され、解析結果画面231として表示部23に表示出力される。タンパク発現状況表示画像においては、例えば、区分けに応じて核領域部分を色分けして表示しても良いし、また、それぞれの核領域に対応する蛍光輝点を包含する領域を作成し、核領域の区分けに応じて色分けして表示しても良い。
図17に、解析結果画面231の一例を示す。図17に示すように、解析結果画面231には、明視野画像231aと、蛍光輝点画像231bと、タンパク発現状況表示231cと、が表示されている。
タンパク発現状況表示画像231cには、明視野画像上に、特定タンパクの高発現領域、中発現領域、低発現領域、極低発現領域が色分けして表示されている。特定タンパクの発現状況に応じて色分けして表示されるので、医師は、癌の悪性度の指標となる特定タンパクの過剰発現、その広がりを効率よく把握することが可能となり、適切な治療計画を立てることが可能となる。
なお、解析結果画面231は、図17に示すものに限定されない。
例えば、タンパク発現状況表示画像231cのみを表示することとしてもよい。また、操作部22からの切り替え指示に応じて、明視野画像231aとタンパク発現状況表示画像231cを切り替え表示することとしてもよい。また、解析結果画面231に表示する明視野画像231a、蛍光輝点画像231b、タンパク発現状況表示画像231cは、観察しやすいように何れか又は全てを拡大縮小して表示することとしてもよい。
さらに、操作部22からの指示に応じて、明視野画像231aと蛍光輝点画像231bとを単に重ね合わせた画像を表示することとしてもよく、かかる場合にはその重ね合わせた画像により、特定タンパクの発現状況を医師に視覚的に提示し、判断を促すこともできる。
解析結果は、印刷ボタン231dや送信ボタン231eを押下することでプリント出力又は外部機器への出力が可能となる。
操作部22により印刷ボタン231dが押下されると、制御部21により解析結果のデータが通信I/F24やLAN等の通信ネットワークを介して図示しないプリンタに送信され、解析結果が印刷出力される。また、操作部22により送信ボタン231eが押下されると、制御部21により解析結果のデータが通信I/F24やLAN等の通信ネットワークを介して外部機器(例えば、PACS(Picture Archiving and Communication System for medical application))に送信される。
なお、顕微鏡画像取得装置1Aを操作して視野範囲や倍率を変えることにより、同じ標本から連続して取得した蛍光画像及び明視野画像であっても、視野範囲をずらす操作時の振動などにより、不規則なずれが発生する可能性があり、視野範囲ごとにずれの程度が異なる可能性があるため、視野範囲を変えるごとに図5のフローチャートに示される位置合わせを行うことが好ましい。
以上説明した本実施の形態によれば、蛍光画像と明視野画像の少なくとも一方に対して、平行移動、回転、拡大、または縮小の少なくとも一つの画像処理を行って、特定タンパクの発現領域を特定して位置合わせを行うことにより、明視野画像で形態が示される細胞に対して、蛍光画像の蛍光輝点が正確に重ねられる。つまり、本発明の方法によれば、従来の診断において通常行われる染色に加えて、マーカー物質を付与したり、細胞膜を蛍光染色するための工程を別途設けることなく、明視野画像と蛍光画像の位置合わせが可能である。明視野画像と蛍光画像との位置合わせにより、細胞における特定タンパクの発現状態を正確に診断することができる。
また、平行移動、拡大、または縮小の画像処理に所定の制限値を設けることとすれば、過度な画像処理によって、最適パラメータが誤認識されることを防ぐことができる。
また、特定タンパクが、細胞形態画像から自動抽出することが難しい細胞膜に発現している場合であっても、細胞形態画像から容易に抽出可能な核領域及び蛍光輝点の位置関係に基づいて、位置合わせが可能である。
また、特定タンパクが細胞核に発現している場合には、位置合わせ後に核領域外に存在する輝点はノイズであるとみなして削除することにより、ノイズを除去して正確な診断を実施することができる。
また、特定タンパクが細胞膜に発現している場合には、位置合わせ後に核領域内に存在する輝点はノイズであるとみなして削除することにより、ノイズを除去して正確な診断を実施することができる。
また、核領域内の蛍光輝点数に基づいて位置合わせを行うこととすれば、位置合わせの処理が比較的単純であり、計算量が少ないため、短時間で簡易に測定を行うことができる。また、核領域外の蛍光輝点については、核領域からの距離に関わらず、核領域内の蛍光輝点ではないとして全て同等に扱うため、特定タンパクの発現とは無関係な蛍光輝点(ノイズ)が核領域の外側に存在する場合に、画像の平行移動、回転、拡大、または縮小の画像処理によってノイズと核領域の位置関係が変わっても、核領域内の蛍光輝点数に影響しにくい。すなわち、核領域内の蛍光輝点数に基づく位置合わせは、ノイズの影響を受けにくい位置合わせ方法であると考えられる。
また、蛍光輝点から、各蛍光輝点に最も近い核領域までの距離に基づいて位置合わせを行うことにより、例えば細胞核の染色にムラがあるために核領域外に存在するとみなされる蛍光輝点が存在する場合であっても、全ての蛍光輝点に対して核領域との距離を加味して位置合わせを行うため、高精度に位置合わせを行うことができる。
また、細胞のほぼ中心に細胞核が存在する細胞においては、細胞膜上の蛍光輝点から核領域の重心までの距離がほぼ一定となり、標準偏差が小さいことに基づいて、高精度に位置合わせを行うことができる。
また、核領域に対応する蛍光輝点の数や核領域の大きさに基づく重みづけをすることにより、診断対象として好ましい核領域を適宜選択して、位置合わせを行うことができる。
また、同一標本の複数の視野範囲から、それぞれ明視野画像及び蛍光画像を取得する場合には、例えば、視野を変える際の振動などによる不規則なずれが生じ得るが、視野範囲を変えるごとに位置合わせを行うことにとすれば、取得した全ての明視野画像及び蛍光画像に対して位置合わせを行うことができる。
また、特定タンパクの発現状況については、1つの核領域に対応する蛍光輝点数が予め定められた複数の閾値を超えるか否かに基づいて、特定タンパクの発現状況が複数の段階に分類され、分類結果に応じた態様で区分けした画像が解析結果として出力される。そのため、核領域は、特定タンパクの発現状況に応じて異なる表示態様で表示され、医師は、癌の悪性度の指標となる特定タンパクの過剰発現、その広がりを効率よく把握することが可能となり、適切な治療計画を立てることが可能となる。
なお、上記実施の形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態においては、特定タンパクの例として乳癌におけるKi67タンパク及びHER2タンパクを挙げたが、これに限定されない。診断対象となる病変(がん)種に応じて、蛍光画像を取得する際の生体物質認識部位を異なるものとすれば、病変種に応じた特定タンパクの発現量を定量的に示す特徴量を医師に提供することが可能となる。
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてHDDや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒
体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを、通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
その他、病理診断支援システム100を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
1A 顕微鏡画像取得装置
2A 画像処理装置
3A ケーブル
21 制御部(位置合わせ手段、算出手段、決定手段、削除手段)
22 操作部
23 表示部
24 通信I/F(入力手段)
25 記憶部
26 バス
30 蛍光輝点
31A、31B、31C、31D 核領域
32 核領域の重心
100 病理診断支援システム

Claims (18)

  1. 標本における特定の生体物質の発現を蛍光輝点で表す蛍光画像と、前記蛍光輝点と異なる情報源に基づく細胞の形態を表す細胞形態画像を入力する入力手段と、
    前記細胞形態画像における前記細胞の形態と前記蛍光画像における前記蛍光輝点との位置関係に基づいて、前記細胞形態画像と前記蛍光画像の位置合わせを行う位置合わせ手段と、
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記位置合わせ手段は、前記細胞形態画像と前記蛍光画像の少なくとも一方に対して、平行移動、回転、拡大、または縮小の少なくとも一つの画像処理を行うことにより、位置合わせを行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記細胞形態画像における前記細胞の形態は、染色された細胞核の領域を示す核領域であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
  4. 前記特定の生体物質は細胞核に発現することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 前記特定の生体物質は細胞膜に発現することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
  6. 前記核領域と重なる前記蛍光輝点の数を算出する算出手段を有し、
    前記位置合わせ手段は、前記蛍光輝点の数が最大となるように位置合わせを行うことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
  7. 前記核領域と重なる前記蛍光輝点の数を算出する算出手段を有し、
    前記位置合わせ手段は、前記蛍光輝点の数が最小となるように位置合わせを行うことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
  8. 前記核領域と前記蛍光輝点の位置関係に基づいて、各々の前記蛍光輝点が前記核領域のいずれに対応するかを決定する決定手段を有し、
    前記位置合わせ手段は、前記蛍光輝点と対応する前記核領域の重心との距離を算出し、当該重心との距離の総和が最小となるように位置合わせを行うことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
  9. 前記核領域と前記蛍光輝点の位置関係に基づいて、各々の前記蛍光輝点が前記核領域のいずれに対応するかを決定する決定手段を有し、
    前記位置合わせ手段は、前記蛍光輝点と対応する前記核領域の輪郭との最短距離を算出し、前記蛍光輝点が対応する前記核領域と重なっている場合には前記輪郭との最短距離を所定の固定値に置換した後、前記輪郭との最短距離の総和が最小となるように位置合わせを行うことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
  10. 前記核領域と前記蛍光輝点の位置関係に基づいて、各々の前記蛍光輝点が前記核領域のいずれに対応するかを決定する決定手段を有し、
    前記位置合わせ手段は、前記蛍光輝点と対応する前記核領域の重心との距離を算出し、前記核領域ごとに前記重心との距離の標準偏差を算出して、当該標準偏差の総和が最小となるように位置合わせを行うことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
  11. 前記位置合わせ手段は、対応する前記蛍光輝点の数が所定の値よりも大きい前記核領域において算出された前記標準偏差の総和が最小となるように位置合わせを行うことを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置。
  12. 前記位置合わせ手段は、前記細胞形態画像と前記蛍光画像の少なくとも一方に対して、所定の制限値の範囲内の平行移動を施すことにより位置合わせを行うことを特徴とする請求項2〜11の何れか一項に記載の画像処理装置。
  13. 前記位置合わせ手段は、前記細胞形態画像と前記蛍光画像の少なくとも一方に対して、所定の制限値の範囲内の拡大または縮小を行うことにより位置合わせを行うことを特徴とする請求項2〜12の何れか一項に記載の画像処理装置。
  14. 前記位置合わせ手段による位置合わせの後に、前記核領域に重ならない前記蛍光輝点を削除する削除手段を備えることを特徴とする請求項4、6、または8の何れか一項に記載の画像処理装置。
  15. 前記位置合わせ手段は、前記細胞形態画像及び前記蛍光画像を取得する度に位置合わせを行うことを特徴とする請求項1〜14の何れか一項に記載の画像処理装置。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
    前記画像処理装置で使用される、前記細胞形態画像と前記蛍光画像とを取得する画像取得装置と、
    を備えることを特徴とする画像処理システム。
  17. コンピュータを、
    標本における特定の生体物質の発現を蛍光輝点で表す蛍光画像と、前記蛍光輝点と異なる情報源に基づく細胞の形態を表す細胞形態画像を入力する入力手段、
    前記細胞形態画像における前記細胞の形態と前記蛍光画像における前記蛍光輝点との位置関係に基づいて、前記細胞形態画像と前記蛍光画像の位置合わせを行う位置合わせ手段、
    として機能させるための画像処理プログラム。
  18. 標本における特定の生体物質の発現を蛍光輝点で表す蛍光画像と、前記蛍光輝点と異なる情報源に基づく細胞の形態を表す細胞形態画像を入力する入力工程と、
    前記細胞形態画像における前記細胞の形態と前記蛍光画像における前記蛍光輝点との位置関係に基づいて、前記細胞形態画像と前記蛍光画像の位置合わせを行う位置合わせ工程と、
    を有することを特徴とする画像処理方法。
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