JP6372352B2 - フレキシブル電子デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明者らは、このような事情に鑑み、機能素子を形成するための高分子フィルムと支持体との積層体として、耐熱性に優れ強靭で薄膜化が可能なポリイミドフィルムを、カップリング剤を介して無機物からなる支持体(無機層)に貼り合わせてなる積層体を提案した(特許文献1〜3)。
そこで本発明者らは、さらに改良を重ね、カップリング剤処理を行った無機基板に、部分的に不活性化処理を行い、カップリング剤の活性度の高い部分と低い部分を形成し、高分子フィルムを貼り合わせた際に、比較的剥離しにくい良接着部分と、比較的剥離しやすい易剥離部とを作り、易剥離部に電子デバイスを形成し、高分子フィルムの易剥離部/良接着部との境目に切り込みを入れて、易剥離部のみを剥離することにより、電子デバイスに与えるストレスを減じた状態にて剥離可能とする技術を提案した(特許文献4)。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討した結果、高分子フィルムを複数に分割して無機基板と貼り合わせることにより、かかる課題を解決する方法を見出し、大面積基板においても、高精細な電子デバイスを生産可能となることを見出し、本発明を完成した。
(1)無機基板に高分子フィルムを接着して多層基板とし、該多層基板の該高分子フィルム上に電子デバイスを形成した後に該高分子フィルムを該無機基板から剥離するフレキシブル電子デバイスの製造方法において、該無機基板に該高分子フィルムを少なくとも2以上の区画に分割して接着することを特徴とする、フレキシブル電子デバイスの製造方法。(2)前記高分子フィルムの厚さが12μm以上、ヤング率が6GPa以上であり、400
℃1時間加熱時の収縮率が0.5%以下であることを特徴とする(1)に記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
(3)前記無機基板が、面積4900cm2以上、少なくとも短辺側が700mm以上の実質的に長方形であることを特徴とする(1)または(2)に記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
(4)前記無機基板と前記高分子フィルムとの張貼り合わせが、表面活性化処理した無機基板と、表面活性化処理した高分子フィルムとを加熱・加圧することによって行われ(1)〜(3)のいずれかに記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
(5)前記無機基板と前記高分子フィルムとの貼り合わせに、厚さが5μm以下の粘着剤ないし接着剤を用いることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
(6)少なくとも下記(I)〜(V)の工程を含む(1)〜(5)のいずれかに記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
(I) 一枚の保護フィルムに、少なくとも2以上の区画に分割された高分子フィルムを貼り合わせ多層積層フィルムを得る工程、
(II) 無機基板と、前記多層積層フィルムの高分子フィルム側とを接着し、多層基板を得る工程
(III) 前記多層基板から保護フィルムを剥離する工程
(IV)多層基板の高分子フィルム上に電子デバイスを形成する工程
(V) 多層基板から高分子フィルムを剥離する工程
本発明では、無機基板と略同一のサイズ、ないし幅を有する保護フィルムに、高分子フィルムを適宜配列して仮合わせした積層フィルムとし、かかる積層フィルムの高分子フィルム側を、無機基板に貼り合わせることにより、貼り合わせの工程を省力化することができる。
本発明においては高分子フィルムの支持体として無機基板を用いる。無機基板とは無機物からなる基板として用いることのできる板状のものであればよく、例えば、ガラス板、セラミック板、半導体ウエハ、金属等を主体としているもの、および、これらガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属の複合体として、これらを積層したもの、これらが分散されているもの、これらの繊維が含有されているものなどが挙げられる。
前記無機基板の厚さは特に制限されないが、取り扱い性の観点より10mm以下の厚さが好ましく、3mm以下がなお好ましく、1.3mm以下がなお好ましい。厚さの加減については特に制限されないが、0.07mm以上、好ましくは0.15mm以上、なお好ましくは0.3mm以上が好ましく用いられる。
なお、ここで「実質的に長方形」とは長方形の角のR、切り欠き、ノッチ、オリフラなどがあることを許容することを意味する。本発明ではフラットパネルディスプレイ業界に於いて第4世代と呼ばれる、680×880mmないし730×920mmのガラス基板、第5世代と呼ばれる、1000×1200mm 1100×1250mm 1300×1500mmのガラス基板、第6世代と呼ばれる1370×1670mmないし1500×1800mmのガラス基板、第7世代と呼ばれる1870×2200mmのガラス基板、第8世代と呼ばれる、2160×2460mmないし2200×2500mmのガラス基板、第9世代と呼ばれる2400×2800mmのガラス基板、第10世代と呼ばれる、2,880×3,130mmのガラス基板、第11世代と呼ばれる、3,320×3,000mmのガラス基板、ないしはそれ以上のサイズを有するガラス基板にも適用される。ただし本発明は、ここに例示した面積、サイズ、長方形の短辺長さより小さいサイズの無機基板への適用を制限されるものではない。
本発明における高分子フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、全芳香族ポリエステル、その他の共重合ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、その他の共重合アクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリイミド、脂環族ポリイミド、フッ素化ポリイミド、酢酸セルロース、硝酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリフェノール、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスチレン等のフィルムを用いることが出来る。本発明において特に効果が顕著・有用であるものは耐熱性が100℃以上の高分子、所謂エンジニアリングプラスチックのフィルムである。ここに耐熱性とはガラス転移温度ないしは熱変形温度を云う。
本発明において、ヤング率の上限は特に限定されないが、現実的には15GPa程度である。ヤング率が高すぎる素材は、フィルムが脆く、割れやすくなることが多いため、フレキシブル電子デバイス用の基材としては適切でない。
前記脂環式ジアミン類としては、例えば、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4'−メチレンビス(2,6−ジメチルシクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
芳香族ジアミン類以外のジアミン(脂肪族ジアミン類および脂環式ジアミン類)の合計量は、全ジアミン類の20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。換言すれば、芳香族ジアミン類は全ジアミン類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
脂環式テトラカルボン酸類は、透明性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
芳香族テトラカルボン酸類は、耐熱性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
フィルムの厚さ斑(%)
=100×(最大フィルム厚−最小フィルム厚)÷平均フィルム厚
ポリイミドフィルムのような溶液製膜法を用いて得られる高分子フィルムの場合にも同様で、例えば、ポリアミド酸溶液(ポリイミドの前駆体溶液)として、滑材(好ましくは平均粒子径0.05〜2.5μm程度)をポリアミド酸溶液中のポリマー固形分に対して0.02質量%〜50質量%(好ましくは0.04〜3質量%、より好ましくは0.08〜1。2質量%)含有したポリアミド酸溶液と、滑材を含有しないか又はその含有量が少量(好ましくはポリアミド酸溶液中のポリマー固形分に対して0.02質量%未満、より好ましくは0.01質量%未満)である2種のポリアミド酸溶液を用いて製造することができる。
ポリイミドフィルムの場合、例えば、i)一方のポリイミドフィルムを作製後、このポリイミドフィルム上に他方のポリアミド酸溶液を連続的に塗布してイミド化する方法、ii)一方のポリアミド酸溶液を流延しポリアミド酸フィルムを作製後このポリアミド酸フィルム上に他方のポリアミド酸溶液を連続的に塗布した後、イミド化する方法、iii)共押し出しによる方法、iv)滑材を含有しないか又はその含有量が少量であるポリアミド酸溶液で形成したフィルムの上に、滑材を多く含有するポリアミド酸溶液をスプレーコート、Tダイ塗工などで塗布してイミド化する方法などを例示できる。本発明では、上記i)ないし上記ii)の方法を用いることが好ましい。
本発明では必要に応じて保護フィルムを用いる事が出来る。保護フィルムは、文字通り、主体となる被保護物を、汚染やキズから保護する役割を担う物であるが、本発明に於いては、さらに、分割された高分子フィルムをまとめ、無機基板と貼り合わせる工程を省力化する働きを担う。
本発明の保護フィルムは、基材フィルムと粘着剤からなる。基材フィルムとしては極一般的なPETフィルム、PENフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム等の他、PPSフィルム、PEEKフィルム、芳香族ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリイミドベンザソールフィルム等の耐熱性スーパーエンジニアリングプラスチックフィルムを用いることができる。
本発明で好ましく用いられる保護フィルムの基材は、寸法安定性改善のためのアニール処理を行ったPETフィルム、同じくアニール処理を行ったPENフィルム、ポリイミドフィルムである。
本発明の保護フィルムに用いられる粘着剤としては、シリコーン系、アクリル系、ポリウレタン系、等など公知の粘着剤を用いることが出来る。本発明の保護フィルムは、フレキシブル電子デバイスの基材となる高分子フィルムのデバイス形成面を保護する。したがって、粘着剤成分の転写が極少になるように、あるいは転写成分がドライ、ないしはウエット洗浄にて簡単に除去できるタイプの粘着剤を使用することが好ましい。本発明では、たとえば、冷却することによって粘着力が減じる性質を有する側鎖結晶性高分子を用いた粘着剤を用いることができる。
本発明において無機基板と高分子フィルムとの接着手段としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などの公知の接着剤、粘着剤を用いることができる。本発明では、たとえば、冷却することによって粘着力が減じる性質を有する側鎖結晶性高分子を用いた粘着剤を用いることができる。
本発明で好ましい接着手段は、厚さが5μm以下の、極薄い、接着・粘着層による接着手段、ないしは、好ましくは実質的に接着剤・粘着剤を用いない、接着手段が好ましい。
本発明では、無機基板側に、シランカップリング剤処理、UVオゾン処理などの有機化処理、活性化処理を行い、同様に高分子フィルム側にも真空プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、コロナ処理、火炎処理、イトロ処理、UVオゾン処理、活性ガスへの暴露処理などの活性化処理を行い、両処理面を密着させて加圧、加熱処理を行う接合方法を用いることができる。
本発明におけるシランカップリング剤は、仮支持体と高分子フィルムとの間に物理的ないし化学的に介在し、両者間の接着力を高める作用を有する化合物を云う。
シランカップリング剤の好ましい具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、クロロメチルフェネチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどが挙げられる。
本発明では、特に好ましいシランカップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。プロセスで特に高い耐熱性が要求される場合、Siとアミノ基の間を芳香族基でつないだものが望ましい。
なお本発明では必要に応じて、リン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等を併用しても良い。
本発明におけるシランカップリング剤の塗布方法としては、液相での塗布方法、気相での塗布方法を用いることが出来る。
液相での塗布方法としては、シランカップリング剤をアルコールなどの溶媒で希釈した溶液を用いて、スピンコート法、カーテンコート法、ディップコート法、スリットダイコート法、グラビアコート法、バーコート法、コンマコート法、アプリケーター法、スクリーン印刷法、スプレーコート法等の一般的な液体塗布方法を例示することが出来る。液相での塗布方法を用いた場合、塗布後に速やかに乾燥し、さらに100±30℃程度で数十秒〜10分程度の熱処理を行うことが好ましい。熱処理により、シランカップリング剤と被塗布面の表面とが化学反応により結合される。
シランカップリング剤を加温する環境は、加圧下、略常圧下、減圧下のいずれでも構わないが、シランカップリング剤の気化を促進する場合には略常圧下ないし減圧下が好ましい。多くのシランカップリング剤は可燃性液体であるため、密閉容器内にて、好ましくは容器内を不活性ガスで置換した後に気化作業を行うことが好ましい。
無機基板をシランカップリング剤に暴露する時間は特に制限されないが、20時間以内、好ましくは60分以内、さらに好ましくは15分以内、なおさらに好ましくは1分以内である。
無機基板をシランカップリング剤に暴露する間の無機基板温度は、シランカップリング剤の種類と、求めるシランカップリング剤層の厚さにより−50℃から200℃の間の適正な温度に制御することが好ましい。
シランカップリング剤に暴露された無機基板は、好ましくは、暴露後に、70℃〜200℃、さらに好ましくは75℃〜150℃に加熱される。かかる加熱によって、無機基板表面の水酸基などと、シランカップリング剤のアルコキシ基やシラザン基が反応し、シランカップリング剤処理が完了する。加熱に要する時間は10秒以上10分程度以内である。温度が高すぎたり、時間が長すぎる場合にはカップリング剤の劣化が生じる場合がある。また短すぎると処理効果が得られない。なお、シランカップリング剤に暴露中の基板温度が既に80℃以上である場合には、事後の加熱を省略することも出来る。
本発明では、無機基板のシランカップリング剤塗布面を下向きに保持してシランカップリング剤蒸気に暴露することが好ましい。液相の塗布方法では、必然的に塗布中および塗布前後に無機基板の塗布面が上を向くため、作業環境下の浮遊異物などが無機基板表面に沈着する可能性を否定できない。しかしながら気相による塗布方法では無機基板を下向きに保持することが出来るため。環境中の異物付着を大幅に減ずることが可能となる。
なおシランカップリング剤処理前の無機基板表面を短波長UV/オゾン照射などの手段により清浄化すること、ないしは液体洗浄剤で清浄化すること等は、有意義な好ましい操作である。
本発明では、シランカップリング剤処理のみでは、無機基板と高分子フィルムの接着力が強くなり過ぎ、剥離に支障をきたす場合がある。シランカップリング剤の塗布量を減じることにより調整は可能であるが、処理斑が出やすいため、本発明ではシランカップリング剤処理の後に、UVオゾン処理などを行い、シランカップリング剤により導入される官能基の減活性化を行う手法を推奨する。
本発明において用いられる高分子フィルムには表面活性化処理を行うことが好ましい。該表面活性化処理によって、高分子フィルム表面は官能基が存在する状態(いわゆる活性化した状態)に改質され、無機基板に対する接着性が向上する。
本発明における表面活性化処理とは、乾式、ないし湿式の表面処理である。本発明の乾式処理としては、紫外線、電子線、X線などの活性エネルギー線を表面に照射する処理、コロナ処理、真空プラズマ処理、常圧プラズマ処理、火炎処理、イトロ処理等を用いることが出来る。湿式処理としては、フィルム表面を酸ないしアルカリ溶液に接触させる処理を例示できる。本発明に置いて好ましく用いられる表面活性化処理は、プラズマ処理であり、プラズマ処理と湿式の酸処理の組み合わせ、UVオゾン処理である。
かかる表面活性化処理は高分子表面を清浄化し、さらに活性な官能基を生成する。生成した官能基は、カップリング剤層と水素結合ないし化学反応により結びつき、高分子フィルム層とカップリング剤層とを接着することが可能となる。
本発明では、プラズマ処理のみでは、無機基板と高分子フィルムの接着力が強くなり過ぎ、剥離に支障をきたす場合がある。プラズマ処理における処理時間の短縮、投入パワーの低減などにより調整は可能であるが、処理斑が出やすいため、本発明ではプラズマ処理の後に、UVオゾン処理などを行いプラズマ処理効果の変成を行う手法を推奨する。
プラズマ処理においては高分子フィルム表面をエッチングする効果も得ることが出来る。特に滑剤粒子を比較的多く含む高分子フィルムにおいては、滑剤による突起が、フィルムと無機基板との接着を阻害する場合がある。この場合、プラズマ処理によって高分子フィルム表面を薄くエッチングし、滑剤粒子の一部を露出せしめた上で、フ酸にて処理を行えば、フィルム表面近傍の滑剤粒子を除去することが可能である。
ルム、ポリイミドフィルムなどが使用できる。
本発明では、活性化された無機基板表面と、活性化された高分子フィルム表面を重ね合わせ、加熱・加圧することにより接着を行うことができる。
加圧・加熱処理は、例えば、大気圧雰囲気下あるいは真空中で、プレス、ラミネート、ロールラミネート等を、加熱しながら行えばよい。またフレキシブルなバッグに入れた状態で加圧加熱する方法も応用できる。生産性の向上や、高い生産性によりもたらされる低加工コスト化の観点からは、大気雰囲気下でのプレスまたはロールラミネートが好ましく、特にロールを用いて行う方法(ロールラミネート等)が好ましい。
加圧加熱処理の際の温度としては、用いる高分子フィルムの耐熱温度を超えない範囲にて行う。非熱可塑性のポリイミドフィルムの場合には150℃〜400℃、さらに好ましくは250℃〜350℃での処理が好ましい。
また加圧加熱処理は、上述のように大気圧雰囲気中で行うこともできるが、全面の安定した接着強度を得る為には、真空下で行うことが好ましい。このとき真空度は、通常の油回転ポンプによる真空度で充分であり、10Torr以下程度あれば充分である。
加圧加熱処理に使用することができる装置としては、真空中でのプレスを行うには、例えば井元製作所製の「11FD」等を使用でき、真空中でのロール式のフィルムラミネーターあるいは真空にした後に薄いゴム膜によりガラス全面に一度に圧力を加えるフィルムラミネーター等の真空ラミネートを行うには、例えば名機製作所製の「MVLP」等を使用できる。
かかる吸湿された水分は、その量が多すぎると、後工程で熱が加わった際に、ブリスターの原因となる。一方で量が少なすぎると、無機基板との接着性が安定になる場合がある。すなわち、高分子フィルムと無機基板との各々の表面における化学的反応は、高分子フィルムに内包された水分によって影響されるのである。高分子フィルムの吸湿率は1.5%如何好ましく1.2%以下が好ましい。また吸湿率の下限は0.1%、好ましくは0.2%、さらに好ましくは0.4%である。
本発明の無機基板と高分子フィルムの積層体は、無機基板1枚に対して、高分子フィルムを少なくとも2以上の区画に分割して接着されていることが特徴である。
このような積層体を得る方法としては、以下の方法を例示出来る。
(1)無機基板に、ほぼ等しいサイズの高分子フィルムを貼り合わせ、レーザー、ないし機
械的切削刃等において高分子フィルムのみを分割する方法。
この場合、高分子フィルムの製造時に存在したボーイング歪の分布自体はそのまま残るが、高分子フィルムが分割されることにより、高分子フィルムの伸縮、収縮が生じた場合に於いても、引っ張り応力が分割部分で遮断されるため、無機基板に加わる応力は細分化され、全体の変形を押さえることが出来る。
(2)予め、分割した高分子フィルムを、直接無機基板の所定の位置に貼り合わせる。
高分子フィルムを分割し、無作為に、ないしは予想されるボーイング歪みを打ち消すように配置して貼り合わせることが可能となるため、高分子フィルムの伸縮、収縮による、引っ張り応力を、無機基板全体に均質化して分散出来るため、さらに全体の変形を押さえることが出来る。
(3)予め分割した高分子フィルムを、無機基板とほぼ等しいサイズの保護フィルムなどの
中間媒体上の所定の位置に配列して貼り付け、中間媒体に配列された状態のまま無機基板に貼り付けた後に中間媒体を剥離する方法。
基本的には前(2)項と同じであるが、無機基板に貼り合わせる工程が一度で済むため、無機基板の貼り付け面ならびに、先に貼り付けられた高分子フィルム表面の汚染が防止される。
高分子フィルムを分割する形態としては、基板サイズにたいして2分割、3分割、4分割、ないしそれ以上の分割が可能である。分割された個々の領域の形状は、無機基板の形状に相似形とすることが出来る。例えば長方形の無機基板において、縦横をそれぞれ等数で分割すれば、4分割、9分割、16分割というように分割することができる。すべての領域の形状、サイズが同じである必要はなく、製造するフレキシブル電子デバイスの形状、サイズに応じて設計上、余白部が少なくなるように配置すれば良い。好ましいフィルム形状は、外形が直線で構成される多角形であり、正方形、長方形、特には縦横比が4対3ないし16対9の長方形が好ましい。
本発明では、高分子フィルムを一方向だけに細長く分割し、無機基板上に縞模様上に配置することもできる。この場合、分割された高分子フィルムをロール状に巻き上げることが可能となり、保護フィルムもロール形状とすることで、両者をロールトゥロール式に連続的に貼り合わせることが出来るため、保護フィルムへの分割高分子フィルムの配置が容易となる。すなわち、
(1) 一枚の保護フィルムに、複数に分割された高分子フィルムを割り付けて貼り合わせ多層積層フィルムを得る工程
(2) 無機基板と、前記多層積層フィルムの高分子フィルム側とを接着し、多層基板を得る工程
(3) 前記多層基板から保護フィルムを剥がす工程にて無機基板上に分割された高分子フィルムが張り合わされた状態を実現し、
(4) 多層基板の高分子フィルム上に電子デバイスを形成する工程
(5) 多層基板から高分子フィルムを剥離する工程
を経ることによってフレキシブル電子デバイスを得ることが可能となる。
本発明の積層体を用いると、既存の電子デバイス製造用の設備、プロセスを用いて積層体の高分子フィルム上に電子デバイスを形成し、積層体から高分子フィルムごと剥離することで、フレキシブルな電子デバイスを作製することができる。
本発明における電子デバイスとは、電気配線を担う配線基板、トランジスタ、ダイオードなどの能動素子や、抵抗、キャパシタ、インダクタなどの受動デバイスを含む電子回路、他、圧力、温度、光、湿度などをセンシングするセンサー素子、発光素子、液晶表示、電気泳動表示、自発光表示などの画像表示素子、無線、有線による通信素子、演算素子、記憶素子、MEMS素子、太陽電池、薄膜トランジスタなどを云う。
高分子フィルムを支持体から剥離する手段については特に限定されず、公知の方法を用いればよい。積層体から高分子フィルムを剥離する方法としては、無機基板側から強い光を照射し、無機基板と高分子フィルム間の接着部位を熱分解、ないし光分解させて剥離する方法、あらかじめ接着強度を弱めておき、高分子フィルムの弾性強度限界値未満の力で高分子フィルムを引きはがす方法、加熱水、加熱蒸気などに晒し、無機基板と高分子フィルム界面の結合強度を弱めて剥離させる方法などを例示することが出来る。
剥離の際の「きっかけ」を作る方法としては、ピンセットなどで端から捲る方法、デバイス付きの高分子フィルムの切り込み部分の1辺に粘着テープを貼着させた後にそのテープ部分から捲る方法、デバイス付きの高分子フィルムの切り込み部分の1辺を真空吸着した後にその部分から捲る方法、あるいは予め高分子フィルムの一部を無機板に接着しない、ないし高分子フィルムの一部を無機基板からはみ出させることにより掴みシロを得る方法等を採用できる。
図5.図6.粘着剤を用いて高分子フィルムを無機基板に貼り付けた例である。図5.においては、無機基板側に粘着剤を塗布ないしラミネートし、その上に分割された高分子フィルムを貼り付けた様子を例示している。図6.は高分子フィルム側に粘着剤を塗布ないしラミネートし、その後、無機基板に貼り合わせた様子を例示している。
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した溶液についてウベローデ型の粘度管を用いて30℃で測定した。
高分子フィルムの厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製「ミリトロン1245D」)を用いて測定した。
測定対象とする高分子フィルムから、流れ方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)がそれぞれ100mm×10mmである短冊状の試験片を切り出し、引張試験機(島津製作所社製「オートグラフ(登録商標);機種名AG−5000A」)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張強度および引張破断伸度を測定した。
測定対象とする高分子フィルムの流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)について、下記条件にて伸縮率を測定し、15℃の間隔(30℃〜45℃、45℃〜60℃、…)での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行って、MD方向およびTD方向で測定した全測定値の平均値を線膨張係数(CTE)として算出した。
機器名 ; MACサイエンス社製「TMA4000S」
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/分
雰囲気 ; アルゴン
初荷重 ; 34.5g/mm2
IEC 61189−2,Test 2X02 に規定される方法で、加熱条件を400℃1時間として、測定した。
JIS K7251に規定されるA法にて測定した。
長方形の積層体を定盤上に、反りが上向きに凹となるように置き、角部分の、定盤からの高さを金尺にて測定し、各角の高さと平均値を求めた。
<搬送性>
液晶ディスプレイ製造用の自動搬送機械における搬送性を総合評価した。評価基準は以下の通り。
○:標準条件にて搬送可能、問題なし。
△:搬送に一部問題はあるが、装置条件変更にて対応可能
×:搬送出来ない。
積層板から、測定に供する部分を100mm四方程度に切り取り、無機基板と高分子フィルムとの接着強度を、JIS C6481に記載の90度剥離法に従い、下記条件で測定した。
装置名 : 島津製作所社製「オートグラフ(登録商標)AG−IS」
測定温度 : 室温
剥離速度 : 50mm/分
雰囲気 : 大気
測定サンプル幅 : 10mm
〔製造例1〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)398質量部と、パラフェニレンジアミン(PDA)147質量部とを、4600質量部のN、N−ジメチルアセトアミドに溶解させて加え、滑材としてコロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC−ST30」)をシリカ(滑材)がポリアミド酸溶液中のポリマー固形分総量に対して0.08質量%になるように加え、25℃の反応温度で24時間攪拌して、表1に示す還元粘度を有する褐色で粘調なポリアミド酸溶液V1を得た。
上記で得られたポリアミド酸溶液V1を、スリットダイを用いて幅1500mmの長尺ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「A−4100」)の平滑面(無滑材面)上に、最終膜厚(イミド化後の膜厚)が25μmとなるように塗布し、105℃にて20分間乾燥した後、ポリエステルフィルムから剥離して、幅1420mmの自己支持性のポリアミド酸フィルムを得た。
次いで得られた自己支持性ポリアミド酸フィルムを、搬送ロールの速度差により、長さ方向に1.1倍に引き延ばし、次いで、ピンテンターによって幅方向に1.05倍引き延ばし、150℃〜420℃の温度領域で段階的に昇温させて(1段目180℃×5分、2段目270℃×10分、3段目420℃×5分間)熱処理を施してイミド化させ、両端のピン把持部分をスリットにて落とし、幅1290mmの長尺ポリイミドフィルムF1(1000m巻き)を得た。得られたフィルムF1の特性を表2.に示す。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(DAMBO)223質量部と、N,N−ジメチルアセトアミド4416質量部とを加えて完全に溶解させ、次いで、ピロメリット酸二無水物(PMDA)217質量部とともに、滑材としてコロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC−ST30」)とをシリカ(滑材)がポリアミド酸溶液中のポリマー固形分総量にて0.09質量%になるように加え、25℃の反応温度で36時間攪拌して、表1に示す還元粘度を有する褐色で粘調なポリアミド酸溶液V2を得た。
ポリアミド酸溶液V1に代えて、上記で得られたポリアミド酸溶液V2を用い、スリットダイを用いて幅800mmの長尺ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「A−4100」)の平滑面(無滑材面)上に、最終膜厚(イミド化後の膜厚)が38μmとなるように塗布し、105℃にて25分間乾燥した後、ポリエステルフィルムから剥離して、ピンテンターによって、1段目150℃×5分、2段目220℃×5分、3段目495℃×10分間)熱処理を施してイミド化させ、両端のピン把持部分をスリットにて落とし、幅645mmの長尺ポリイミドフィルムF2(1000m巻き)を得た。得られたフィルムF2の特性を表2.に示す。
製造例1で得られたポリイミドフィルムF1の両面に真空プラズマ処理を行い、さらに両面にUVオゾン処理を施して、表面活性化処理フィルムP1を得た。
真空プラズマ処理は、平行平板型の電極を使ったRIEモード、RFプラズマによる処理であり、真空チャンバー内に窒素ガスを導入し、13.54MHzの高周波電力を導入するようにし、処理時間は3分間とした。
UVオゾン処理には、 ランテクニカルサービス株式会社製のUV/O3洗浄改質装置(「SKB1102N−01」)とUVランプ(「SE−1103G05」)とを用い、該UVランプから20mm程度離れた距離から5分間行った。照射時にはUV/O3洗浄改質装置内には特別な気体は入れず、UV照射は、大気雰囲気、室温で行った。なお、UVランプは185nm(不活性化処理を促進するオゾンを発生させうる短波長)と254nmの波長の輝線を出しており、このとき照度は、照度計「ORC社製UV−M03AUV(254nmの波長で測定)」にて20mW/cm2であった。
表面活性化処理フィルムP1の内25mを、幅方向に4分割にスリットして巻き上げ、幅322.5mmとした。なお得られた4本のロールはそれぞれ、フィルム作製時のフィルム進行方向の左側からP1a、P1b、P1c、P1dとした。
2対のシリコンゴムローラーを備えたフィルムラミネーターの巻出し部に、幅1300mmの保護フィルムをセットした。用いた保護フィルムは、150℃にてアニール処理を行った50μm厚の東洋紡株式会社製PETフィルム、E5100を基材とし、厚さ10μmのシリコーン系粘着剤を片面にコーティングしたものである。
フィルムラミネーターのもう一方の巻出し部に、先にスリットした322.5mm幅のポリイミドフィルムを、保護フィルム巻きだし方向の左側から、P1b、P1d、P1a、P1cの順で、フィルム間隙が2mmとなるように配置した。
次いで、保護フィルムとポリイミドフィルムとを貼り合わせを行い、再びロール状に巻き上げた。ラミネートは線速5m/分、保護フィルム側とポリイミドフィルム側のテンションは等しくし、ローラー温度は室温とした。
同様に、幅1300mmの保護フィルムに対して、表面活性化フィルムP2を幅方向に、間隙を1mmとして2列に並べ、ラミネートし、ロールに巻き上げた。
気相塗布によるシランカップリング剤処理とUVオゾン処理にて無機基板の表面活性化処理を行った。なお、無機基板として1300×1500mmのコーニング社製 Lotus Glass を用いた。
<シランカップリング剤塗布>
以下の条件にて無機基板へのシランカップリング剤塗布を行った。シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM−903」:3−アミノプロピルトリメトキシシラン)100質量部をチャンバー内の蒸発バットに仕込み、大気圧にて酸素濃度が0.1%以下となるまで窒素ガスを導入し、次いで窒素ガスを止め、チャンバー内を3×10-4Paまで減圧し、シランカップリング剤を仕込んだバットを120℃まで昇温した。次いでシランカップリング剤の液面から垂直方向に100mm離れた箇所を、1300×1500mmの液晶ディスプレイ用ガラス「G0」を水平に保持し、7mm/秒の速度で静かに搬送してシランカップリング剤蒸気への暴露を行い、その後、真空チャンバー内にクリーンな窒素ガスを静かに導入して大気圧まで戻し、遠赤外線加熱によりガラス温度を95℃〜105℃の間に制御して約3分間熱処理を行い、表面活性化処理としてシランカップリング剤を塗布した基板「G1」を得た。
<積層体の製作と初期特性の評価>
表面活性化フィルムP1と表面活性化基板G1の、活性面通しを合わせるように重ね、MCK社製ロールラミネータを用いて、無機基板側温度100℃、ロール圧力5kg/cm2、ロール速度5mm/秒にて仮ラミネートした。仮ラミネート後の高分子フィルムはフィルムの自重では剥がれないが、フィルム端部を引っ掻くと簡単に剥がれる程度の接着性であった。その後、得られた仮ラミネート基板をクリーンオーブンに入れ、200℃にて30分間加熱した後、室温まで放冷して、積層体L1を得た。
得られた積層体の外観品位の観察、反りの測定、およびフィルムと基板との90度剥離接着強度、さらにオーブンで420℃30分処理後の90度剥離接着強度と反りについて評価した。結果を表4.に示す。
なお、積層体の製作は、温度25℃±2℃、湿度55%±3%に保たれている実験室で行い、表面活性化フィルムは当実験室に24時間以上放置した後に積層を行った。
4分割され、保護フィルムに貼られてロールに巻き上げられた表面活性化フィルムP1a、P1b、P1c、P1d を保護フィルムごとラミネータにセットし、同様に表面活性化基板G1にラミネートして仮接着した。次いで得られた仮ラミネート基板をクリーンオーブンに入れ、150℃にて180分間加熱した後、室温まで放冷し、注意深く保護フィルムを剥離して、本発明の積層体L2を得た。評価結果を表4.に示す。
2列に並べて貼り付けされた表面活性化フィルムP2と保護フィルムからなるロールを同様にラミネータにセットし、同様に表面活性化基板G1にラミネートして仮接着した。次いで得られた仮ラミネート基板をクリーンオーブンに入れ、150℃にて180分間加熱した後、室温まで放冷し、注意深く保護フィルムを剥離して、本発明の積層体L3を得た。評価結果を表4.に示す。積層体L3は、図4.、図7.に例示した形態である。この場合、ガラス基板の最小幅に満たない幅の高分子フィルムでも、このような手法を用いれば貼り合わせが可能であることと、かかる剛直性を有する化学構造を持つ高分子のフィルムでは、基板変形が最小限に留められることが理解出来る。
(比較例2)
表面活性化フィルムP3を、比較例1と同様の方法にてG1と貼り合わせてL4を得た。評価結果を表4.に示す。
表面活性化フィルムP3を、無機基板の縦横3分割になるサイズに分割し、間隙を1.0mmとして保護フィルム上に無作為に配列して貼り合わせたロールを製作し、同様にラミネータにセットし、同様に表面活性化基板G1にラミネートして仮接着した。次いで得られた仮ラミネート基板をクリーンオーブンに入れ、150℃にて120分間加熱した後、室温まで放冷し、注意深く保護フィルムを剥離して、本発明の積層体L5を得た。評価結果を表4.に示す。
(比較例3)
未処理のガラス板G0の表面にアクリル系粘着剤を塗布し、表面活性化フィルムP4をラミネートし積層体L6を得た。評価結果を表4.に示す。なお、本フィルムは420℃の耐熱性を有していないため、加熱試験は行っていない。
未処理のガラス板G0の表面にアクリル系粘着剤を塗布し、表面活性化フィルムP4を実施例3に倣って3×3分割し、G0にラミネートし積層体L7を得た。評価結果を表4.に示す。なお、本フィルムは420℃の耐熱性を有していないため、加熱試験は行っていない。
(比較例4)
表面活性化フィルムP5を用い、比較例3と同様の方法で積層体L8を得た。評価結果を表4.に示す。なお、本フィルムは420℃の耐熱性を有していないため、加熱試験は行っていない。
(実施例5)
表面活性化フィルムP5を用い、比較例3と同様の方法で、ただし分割数は4×4、配列は無作為として積層体L9を得た。評価結果を表4.に示す。なお、本フィルムは420℃の耐熱性を有していないため、加熱試験は行っていない。
2 高分子フィルム
3 粘着剤
4 保護フィルム
Claims (5)
- 無機基板に高分子フィルムを接着して多層基板とし、該多層基板の該高分子フィルム上に電子デバイスを形成した後に該高分子フィルムを該無機基板から剥離するフレキシブル電子デバイスの製造方法において、少なくとも下記(1)〜(5)を含む工程により、該無機基板に該高分子フィルムを少なくとも2以上の区画に分割して接着することを特徴とする、フレキシブル電子デバイスの製造方法。
(1) 一枚の保護フィルムに、少なくとも2以上の区画に分割された高分子フィルムを貼り合わせ多層積層フィルムを得る工程、
(2) 無機基板と、前記多層積層フィルムの高分子フィルム側とを接着し、多層基板を得る工程、
(3) 前記多層基板から保護フィルムを剥離する工程、
(4) 多層基板の高分子フィルム上に電子デバイスを形成する工程、
(5) 多層基板から高分子フィルムを剥離する工程、 - 前記高分子フィルムの厚さが12μm以上、ヤング率が6GPa以上であり、400℃1時間加熱時の収縮率が0.5%以下であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
- 前記無機基板が、面積4900cm2以上、少なくとも短辺側が700mm以上の実質的に長方形であることを特徴とする請求項1または2に記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
- 前記無機基板と前記高分子フィルムとの貼り合わせが、表面活性化処理した無機基板と、表面活性化処理した高分子フィルムとを加熱・加圧することによって行われる請求項1〜3のいずれかに記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
- 前記無機基板と前記高分子フィルムとの貼り合わせに、厚さが5μm以下の粘着剤ないし接着剤を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
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