JP6369991B2 - マイクロニードル製剤の製造方法 - Google Patents
マイクロニードル製剤の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6369991B2 JP6369991B2 JP2015056033A JP2015056033A JP6369991B2 JP 6369991 B2 JP6369991 B2 JP 6369991B2 JP 2015056033 A JP2015056033 A JP 2015056033A JP 2015056033 A JP2015056033 A JP 2015056033A JP 6369991 B2 JP6369991 B2 JP 6369991B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mold
- microneedle
- needle
- liquid composition
- temperature
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Medicinal Preparation (AREA)
- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
Description
50(℃)≦TA ・・・(1)
TB<TA ・・・(2)
前記製剤は、成分(A):水溶性高分子及び糖類からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
乾燥後の前記貼着部中の水性溶媒の含有量は、35質量%以下であることが好ましい。
本発明の製造方法により製造されるマイクロニードル製剤の構造は、シート状の基材と、該基材の片面から突出する複数の針部とを備える貼着部を備えるものであれば、特に限定されない。なお、針部とは、広い意味での針形状の微小凸状構造物(マイクロニードル)を意味し、鋭い先端を有する針形状のものには限定されず、先の尖っていない形状(例えば円錐台状)をも含むものとする。
針部の高さは、50〜1000μmが好ましく、100〜700μmがより好ましい。針部の高さが前記下限値以上であれば、有効成分の経皮投与が充分となりやすい。針部の高さが前記上限値以下であれば、針部が神経に接触しにくくなるため、痛みや出血を回避しやすい。
針部が円錐台状の場合、針部の先端の太さは、5〜500μmが好ましく、5〜300μmがより好ましい。
針部の密度は、1cm2当たり、100〜10000本が好ましく、100〜5000本がより好ましく、100〜2000本がさらに好ましい。針部の密度が前記下限値以上であれば、効率良く皮膚を穿孔することができる。針部の密度が前記上限値以下であれば、針部の強度を保ちやすい。
支持体としては、例えば、樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等)、布帛(ポリエステル繊維等からなる不織布、織布、編布等)、樹脂フィルムと布帛とが一体化された複合シート等が挙げられる。
本発明のマイクロニードル製剤の製造方法においては、前記液体組成物を、下式(1)の条件を満たす温度TAの鋳型に充填し、下式(2)の条件を満たす温度TBの環境下で乾燥させて貼着部を形成する。これにより、針部が安定して形成され、有効成分の経皮吸収性に優れたマイクロニードル製剤が得られる。
50(℃)≦TA ・・・(1)
TB<TA ・・・(2)
温度TBは、温度TA未満であり、得られるマイクロニードル製剤が湾曲して反りにくくなる点から、25℃以下が好ましい。また、乾燥時間が短くなる点から、温度TBは、5℃以上が好ましい。
液体組成物は、製剤を水性溶媒に溶解した組成物である。
製剤としては、水性溶媒に溶解されてマイクロニードル製剤の製造に用いられる公知の製剤を採用できる。製剤としては、成分(A):水溶性高分子及び糖類からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、成分(A)を主成分とすることが好ましい。なお、成分(A)を主成分とするとは、製剤の総量(100質量)に対して成分(A)を50質量%以上含むことを意味する。
水溶性高分子とは、20℃における水(100g)に対する溶解度が0.01g以上で、分子量が1000以上の化合物(ただし、糖類は除く。)を意味する。
(A)成分は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
薬剤としては、貼着部中に分散可能な形態のものであれば特に限定されず、例えば、フェルビナク、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、サリチル酸グリコール、ケトプロフェン、インドメタシン等が挙げられる。
(B)成分は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
アルカノールアミンは、モノアルカノールアミンであってもよく、ジアルカノールアミンであってもよく、トリアルカノールアミンであってもよい。
アルカノールアミンが有するヒドロキシアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、2又は3がより好ましい。
(C)成分は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
なお、水と混和する有機溶媒とは、20℃において水100gに0.01g以上溶解する有機溶媒を意味する。
水性溶媒としては、沸点が鋳型の温度TA以上のものを使用する必要がある。水性溶媒としては、揮発のしにくさの点から、水、エタノールが好ましい。
水性溶媒における水と有機溶媒の質量比(水:有機溶媒)は、1:0〜1:1が好ましい。前記質量比が前記範囲内であれば、針部の形成がより容易になる。
なお、前記粘度は、B型粘度計により測定される値を意味する。
乾燥後の製剤(100質量%)中の水性溶媒の含有量は、35質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。乾燥後の貼着部中の水性溶媒の含有量が前記上限値以下であれば、針部の硬度が充分に高くなりやすく、皮膚への穿刺が容易になる。また、乾燥後の製剤(100質量%)中の水性溶媒の含有量は、5質量%以上が好ましい。乾燥後の製剤中の水性溶媒の含有量が前記下限値以上であれば、鋳型からマイクロニードル製剤を剥離する際に針部が折れにくい。
乾燥後の製剤(100質量%)中の水性溶媒の含有量は、0質量%でもよい。
鋳型は、製造するマイクロニードル製剤の形状に合わせて、基材の形状に相補的な凹部と、針部の形状に相補的なポケットとを備えるものを使用できる。鋳型としては、公知の鋳型を制限なく使用できる。
鋳型を形成する樹脂としては、例えば、シリコーン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
以上説明した本発明のマイクロニードル製剤の製造方法においては、液体組成物を充填する際の鋳型の温度TAを50℃以上とし、温度TAより低い温度TBの環境下で乾燥させて貼着部を形成することで、針部が安定して形成される。温度TA及び温度TBを前記のように制御することで、針部が安定して形成されるようになる要因は、以下のように考えられる。
鋳型に液体組成物を充填したときには、特に液体組成物の粘度が高い場合に、鋳型のポケットの底部に空気や水蒸気が残存しやすい。そのため、鋳型のポケットの底部まで充分に液体組成物が充填されず、針部の先端が欠けるなどして針部が安定して形成されにくい。これに対して、本発明では、50℃以上の温度TAとした鋳型に液体組成物を充填し、該液体組成物を充填した鋳型を温度TA未満の温度TBの環境下に置いて液体組成物を乾燥させることで、鋳型のポケット内に残存した空気及び水蒸気が収縮し、ポケット内が陰圧になる。これにより、鋳型のポケットの底部まで液体組成物が引き込まれて充分に充填されるため、安定して針部が形成されると考えられる。
以上のように、本発明の製造方法で製造されたマイクロニードル製剤には、針部が安定して形成されているため、有効成分の経皮吸収性に優れる。
[使用原料]
本実施例で使用した原料を以下に示す。
HA−1:ヒアルロン酸ナトリウム(質量平均分子量:50,000〜110,000、商品名「FCH−SU」、キッコーマンバイオケミファ株式会社製)。
HA−2:ヒアルロン酸(質量平均分子量:1,000〜10,000、商品名「ヒアロオリゴ」、キユーピー株式会社製)。
GEN:ゼラチン(Rousselot株式会社製)。
MAL:マルトース(商品名「サンマルト」、株式会社林原製)。
GL:濃グリセリン(商品名「局方濃グリセリン」、阪本薬品工業株式会社製)。
DIPA:ジイソプロパノールアミン(三井化学ファイン株式会社製)。
LOX:ロキソプロフェンナトリウム(ダイト株式会社製)。
DCF:ジクロフェナクナトリウム(大和薬品工業株式会社製)。
FEL:フェルビナク(HANSEO CHEMICAL株式会社製)。
水:「精製水(日局)」、共栄製薬株式会社製。
EtOH:エタノール(純正化学株式会社製)。
質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法により測定される値を意味する。
マイクロニードル製剤を作製するための鋳型として、根元の直径が0.5mm、高さが0.65mm、先端直径が0.04mmの円錐状の針部と相補的な形状のポケットが、1.0mm間隔で縦横各10ポケットずつ、計100ポケット形成されているものを用いた。前記鋳型の材質は、基材及び針部が接する面も含めて全体がシリコーン(二液型RTVゴム KE−17:信越シリコーン)100%であった。
表1に示す成分(水以外)を水に溶解させて液体組成物を調製した。次いで、恒温槽を用いて鋳型を80℃(温度TA)に加熱した後、鋳型を恒温槽から取り出し、該鋳型に速やかに前記液体組成物を約1g充填した。充填前の液体組成物は常温(25℃)とした。鋳型及び液体組成物を25℃(温度TB)で静置し、質量が恒量となるまで液体組成物を乾燥させた後、鋳型からマイクロニードル製剤を取り出した。
鋳型に充填する液体組成物の組成、鋳型の温度TA、及び乾燥時の温度TBを表1〜5に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてマイクロニードル製剤を作製した。
ヘアレスマウスを用いて経皮吸収性試験を行った。以下に概要を示す。
縦型フランツセルにマウス皮膚を設置し、貼付剤を貼付した。その後、8時間後のレシーバー溶液を採取し、薬剤の透過量をHPLCにより以下の処理条件で測定した。薬剤透過量の測定は、ロキソプロフェンナトリウムを含む実施例10〜17及び比較例6〜10、並びにフェルビナクを含む実施例20〜27及び比較例11〜15について実施した。
(処理条件)
測定環境:25℃、50%RH、
マウス皮膚:HR−1 7週齢 オスの背部から摘出、
レシーバー溶液:リン酸バッファー(pH7.4)、
貼付面積:5cm2、
貼付剤:1枚(約0.5g)、
フランツセルジャケット温度:37℃。
(薬剤がロキソプロフェンナトリウムの場合の評価基準)
◎:薬剤透過量が200μg/cm2以上である。
○:薬剤透過量が150μg/cm2以上、200μg/cm2未満である。
△:薬剤透過量が100μg/cm2以上、150μg/cm2未満である。
×:薬剤透過量が100μg/cm2未満である。
(薬剤がフェルビナクの場合の評価基準)
◎:薬剤透過量が450μg/cm2以上である。
○:薬剤透過量が350μg/cm2以上、450μg/cm2未満である。
△:薬剤透過量が250μg/cm2以上、350μg/cm2未満である。
×:薬剤透過量が250μg/cm2未満である。
マイクロスコープ(キーエンス製:VHX−1000)を用いて、マイクロニードル製剤を観察し、鋳型の100個のポケットに対応する針部が何本形成されているかを確認し、以下の基準により針部形成性を評価した。
(評価基準)
◎:針部の形成本数が95本以上である。
○:針部の形成本数が90本以上、95本未満である。
△:針部の形成本数が80本以上、90本未満である。
×:針部の形成本数が80本未満である。
一方、鋳型の温度TA、及び乾燥時の温度TBが式(1)及び式(2)の条件のいずれか一方を満たしていない比較例1〜15では、形成された針部の本数が90本未満であり、針部の形成が不安定であった。また、比較例6〜15のマイクロニードル製剤は、薬剤透過性が劣っていた。
10 貼着部
12 基材
14 針部
100 鋳型
110 凹部
112 ポケット
Claims (4)
- シート状の基材と、該基材の片面から突出する複数の針部とを備える貼着部を備えるマイクロニードル製剤の製造方法であって、
製剤を水性溶媒に溶解した液体組成物を、下式(1)の条件を満たす温度TAの鋳型に充填し、下式(2)の条件を満たす温度TBの環境下で乾燥させて前記貼着部を形成することを特徴とする、マイクロニードル製剤の製造方法。
50(℃)≦TA ・・・(1)
TB<TA ・・・(2) - 前記鋳型における前記液体組成物と接する面の材質がシリコーンである、請求項1に記載のマイクロニードル製剤の製造方法。
- 前記製剤が、成分(A):水溶性高分子及び糖類からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載のマイクロニードル製剤の製造方法。
- 乾燥後の前記貼着部中の水性溶媒の含有量が35質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマイクロニードル製剤の製造方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015056033A JP6369991B2 (ja) | 2015-03-19 | 2015-03-19 | マイクロニードル製剤の製造方法 |
KR1020160030327A KR102497984B1 (ko) | 2015-03-19 | 2016-03-14 | 마이크로 니들 제제 및 마이크로 니들 제제의 제조 방법 |
CN201610158044.6A CN105982842B (zh) | 2015-03-19 | 2016-03-18 | 微针制剂以及微针制剂的制造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015056033A JP6369991B2 (ja) | 2015-03-19 | 2015-03-19 | マイクロニードル製剤の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016175852A JP2016175852A (ja) | 2016-10-06 |
JP6369991B2 true JP6369991B2 (ja) | 2018-08-08 |
Family
ID=57071019
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015056033A Active JP6369991B2 (ja) | 2015-03-19 | 2015-03-19 | マイクロニードル製剤の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6369991B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111278499B (zh) * | 2017-11-02 | 2022-06-24 | 日写株式会社 | 微针片及其制造方法 |
TWI809028B (zh) * | 2019-01-14 | 2023-07-21 | 日商日寫股份有限公司 | 微針片材及其製造方法 |
JP2021164635A (ja) * | 2020-04-03 | 2021-10-14 | コスメディ製薬株式会社 | 短時間溶解マイクロニードル |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4427691B2 (ja) * | 2008-04-14 | 2010-03-10 | コスメディ製薬株式会社 | マイクロニードルアレイ |
JP2012254952A (ja) * | 2011-06-08 | 2012-12-27 | Bioserentack Co Ltd | 経皮吸収製剤 |
JP2015062518A (ja) * | 2013-09-25 | 2015-04-09 | 凸版印刷株式会社 | 針状体の製造方法 |
JP6369992B2 (ja) * | 2015-03-19 | 2018-08-08 | ライオン株式会社 | 溶解型マイクロニードル製剤 |
-
2015
- 2015-03-19 JP JP2015056033A patent/JP6369991B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2016175852A (ja) | 2016-10-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN105982842B (zh) | 微针制剂以及微针制剂的制造方法 | |
JP6246784B2 (ja) | マイクロニードルコーティング用組成物及びマイクロニードルデバイス | |
TWI702061B (zh) | 微針裝置 | |
US20200237654A1 (en) | Microstructure array, methods of making, and methods of use | |
EP2865409B1 (en) | Needle-shaped body and manufacturing method for needle-shaped body | |
JP2019076752A (ja) | 治療剤の送達のためのマイクロアレイ、使用方法および製造方法 | |
JP6369992B2 (ja) | 溶解型マイクロニードル製剤 | |
JP6323975B2 (ja) | 針状体の製造方法 | |
JP6175485B2 (ja) | マイクロニードルコーティング用組成物及びマイクロニードルデバイス | |
TW201309331A (zh) | 微針裝置用生理活性非水組成物及附著於微針上的生理活性非水組成物 | |
JP6634623B2 (ja) | 溶解型マイクロニードル製剤 | |
JP6369991B2 (ja) | マイクロニードル製剤の製造方法 | |
JP2019006798A (ja) | 針状体 | |
JP6081215B2 (ja) | コーティング及びマイクロニードルデバイス | |
TW202100197A (zh) | 含有流感疫苗的微針陣列及微針陣列之製造方法 | |
KR20240065919A (ko) | 돌기 패치 및 이의 제조방법 | |
JP5750384B2 (ja) | 頻繁に容易に脱着可能なマイクロニードル用基盤 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170929 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180612 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180709 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6369991 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |