JP6369292B2 - 電解質溶液の精製方法及び電解質溶液の製造方法 - Google Patents

電解質溶液の精製方法及び電解質溶液の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、リチウム空気電池、リチウム硫黄電池、リチウムイオンキャパシタなどの電気化学デバイスの電解液として使用される、電解質溶液の精製方法等に関するものである。
電気化学デバイスである電池において、近年、情報関連機器、通信機器、即ちパソコン、ビデオカメラ、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォン等の小型、高エネルギー密度用途向けの蓄電システムや、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車補助電源、電力貯蔵等の大型、パワー用途向けの蓄電システムが注目を集めている。その一つの候補としてリチウムイオン電池、リチウム電池、リチウムイオンキャパシタ等の非水電解液電池が盛んに開発されている
ヘキサフルオロリン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロ砒酸アニオンの様な、ルイス酸とフッ素イオンが結合したイオン性錯体の金属塩(Li、Na他)がその高い溶解性、高いイオン解離性、そして広い電位窓の観点から電気化学デバイスの支持電解質として使用されている。
その中でも、ヘキサフルオロリン酸リチウム(以下LiPF)は、ヘキサフルオロ砒酸リチウムに比べて毒性が低く、テトラフルオロホウ酸リチウムに比べて溶解性が高いことから特に広く使用されている。
しかし、このLiPFにも、熱安定性が低く加熱によりフッ化リチウム(以下LiF)と五フッ化リン(以下PF)に分解するといった大きな欠点が存在する。LiFは電極表面上に堆積し抵抗成分となることでリチウムイオン電池を始めとするリチウム系電気化学デバイスの性能を低下させ、PFはその強いルイス酸性から電解液溶媒の分解を加速させることが知られている。
そのため、ヘキサフルオロ砒酸より毒性が低く、テトラフルオロホウ酸リチウムより溶解度が高く、LiPFより熱安定性が高いイオン性錯体の開発が活発に進められており、例えばLiPFのフッ素の一部を、フルオロアルキル基(CF、C等)に置き換えたイオン性錯体の電解液への利用が特許文献1に、LiPFのフッ素の一部又は全てをシュウ酸に置き換えたイオン性錯体の電解液への利用が特許文献2、非特許文献1、2に開示されている。
一方で、フッ素を含むイオン性錯体は、空気中や液中の水分と反応し、フッ化水素を生じることがある。また、フッ素を含むイオン性錯体の製造時に、過剰のフッ化水素が残存したり、フッ化水素が副生したりすることがある。通常、電解液中のフッ化水素は、電極材の溶解や集電体の腐食などを引き起こし、ひいては電池のサイクル特性の低下を引き起こし、さらには充放電容量、保存安定性などの電池特性の低下も引き起こすので、フッ化水素の含有量は低いほど好ましく、例えば、電解液中のフッ化水素濃度を30質量ppm未満とすることが開示されている(特許文献3)。
LiPFの加水分解により生成するフッ化水素等の酸性不純物を、フッ化物以外のハロゲン化物と反応させて、蒸気圧の高いハロゲン化水素に変換した後、除去する方法が開示されている(特許文献4)。
特開2003−17118号公報 特開2002−110235(特許3722685)号公報 特開平10−270074号公報 特開平10−092468(特許3034202)号公報
ECS Transactions 2009, 16 (35), 3-11 Chem.Eur.J.2004, 10, 2451-2458
しかしながら、電解液中のフッ化水素を減圧除去しようとすると、フッ化水素は水素結合の影響で、19.54℃という高い沸点を有することから、フッ化水素の除去に時間がかかる上に、フッ化水素の濃度を十分に下げることができなかった。
また、特許文献4の実施例1に記載の、精製剤として塩化リチウムを加えて、フッ化水素を塩化リチウムと反応させる方法では、反応により生成したフッ化リチウムが固体として沈殿するため、生成した塩化水素の除去に加えて、さらに濾過工程を行う必要があるため、生成工程が複雑になる上、濾過工程において濾布の目詰まりを生じることが多く、フッ化リチウムの除去が困難であるという問題点があった。
さらに、特許文献4の実施例5に記載の、精製剤として塩化アセチルを加えて、フッ化水素を塩化アセチルと反応させる方法では、固体の沈殿物が生じないため、反応後に70℃で窒素ガスを流通させて、反応により生成した塩化水素と過剰の塩化アセチルを除去しているが、反応時間に12時間、窒素ガスの流通に4時間かけており、フッ化水素の除去に時間がかかるという問題点があった。
また、特許文献2などに記載された、電解液への利用可能な、LiPFのフッ素の一部又は全てをシュウ酸に置き換えたイオン性錯体を製造する際に、未反応のシュウ酸や、製造過程に生成したシュウ酸が溶液中に残存することがある。このようなシュウ酸も電池のサイクル特性を悪化させるなど、電池特性に悪影響を与えるため、除去する必要があるが、通常の晶析法では、イオン性錯体とともにシュウ酸も析出してしまい、再精製が必要となる場合も多く、シュウ酸を低濃度まで除去することが困難であった。
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、電気化学デバイスの電解液として使用される電解質溶液中のフッ化水素を、簡単な工程で、従来に比べて短い時間で、低濃度まで、除去することのできる電解質溶液の精製方法を提供することを目的とする。さらに、LiPFのフッ素の一部又は全てをシュウ酸に置き換えたイオン性錯体を製造する際に残存するシュウ酸を、同時に除去できるとより好ましい。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、塩化物の精製剤を添加し、フッ化水素を塩化水素にしたうえに、フッ化した精製剤や未反応の精製剤とともに蒸気圧を利用して除去することで、簡単な工程でフッ化水素を除去できること、さらに、フッ化水素と精製剤を反応させる際に、フッ化した精製剤が系内に留まっていると、フッ化水素と精製剤の反応が十分に速くならず、反応生成物が常温常圧で気体となり反応系の外にでるような精製剤を使用することや、反応中に反応系から反応生成物を除去することにより、溶液中に含まれるフッ化水素を、短い時間で低濃度まで除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明では、以下のようなものを提供する。
本願の第一の発明は、少なくともフッ化水素とシュウ酸を不純物として含有する、非水溶媒に電解質が溶解した電解質溶液に、塩化オキサリル、クロロ蟻酸メチル、クロロ蟻酸エチル、塩化アセチル、トリフルオロ酢酸クロリド、塩化トリフルオロメタンスルホン酸、塩化メタンスルホン酸、塩化チオニルからなる群より選ばれる一つ又はこれらの混合物からなる精製剤を添加し、前記不純物を前記精製剤と反応させる工程と、反応生成物である塩化水素、フッ化した前記精製剤、及び前記精製剤とシュウ酸の反応分解物と、未反応の前記精製剤と、を除去することにより前記不純物を除去する工程と、を備えることを特徴とする、電解質溶液の精製方法である。
本願の第2の発明は、少なくともフッ化水素とシュウ酸を不純物として含有する、非水溶媒に電解質が溶解した電解質溶液に、塩化オキサリル、クロロ蟻酸メチル、クロロ蟻酸エチル、塩化アセチル、トリフルオロ酢酸クロリド、塩化トリフルオロメタンスルホン酸、塩化メタンスルホン酸、塩化チオニルからなる群より選ばれる一つ又はこれらの混合物からなる精製剤を添加し、前記不純物を前記精製剤と、反応生成物を反応系の外に抜き出しながら反応させる工程と、反応生成物である塩化水素フッ化した前記精製剤、及び前記精製剤とシュウ酸の反応分解物と、未反応の前記精製剤と、を除去することにより前記不純物を除去する工程と、を備えることを特徴とする、電解質溶液の精製方法である。
本願の第3の発明は、第1又は第2の発明の電解質溶液の精製方法を用いた精製工程を含むことを特徴とする電解質溶液の製造方法である。
本発明は、電気化学デバイスの電解液として使用される溶液中のフッ化水素を、精製剤として塩化チオニルを用いるか、精製剤との反応中に反応生成物を系外に除去することで、従来より簡単な工程かつ短い時間で、低濃度まで除去することのできる電解液用溶液の精製方法を提供することができる。また、特定の精製剤はフッ化水素とシュウ酸の両方と反応するため、反応生成物と未反応精製剤を除去することによりフッ化水素とシュウ酸を同時に除去することができる。
以下に、本発明をより詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態は、少なくともフッ化水素を不純物として含有する、非水溶媒に電解質が溶解した電解質溶液に、精製剤として塩化チオニルを添加し、前記不純物を前記精製剤と反応させる工程と、反応生成物である塩化水素、及びフッ化した前記精製剤と、未反応の前記精製剤と、を除去することにより前記不純物を除去する工程と、を備えることを特徴とする、電解質溶液の精製方法である。
さらに、塩化チオニルはシュウ酸の分解・除去も可能であるため、電解質溶液に不純物として、シュウ酸を含んでいてもよい。
塩化チオニル(沸点76℃)とフッ化水素(沸点19.54℃)が反応すると、以下の反応式により、塩化水素(沸点−85℃)とフッ化チオニル(沸点−43.8℃)が生成し、いずれも常温常圧で気体であるため、反応生成物は速やかに反応系の外に出て、反応に関与できなくなる。
SOCl+2HF → SOF+2HCl
また、フッ化チオニルの代わりに、以下の反応式により一塩化一フッ化チオニル(沸点約12℃)が生成する場合もあるが、一塩化一フッ化チオニルは、そのまま反応系の外に出るか、フッ化チオニルに変換されるため、反応生成物は速やかに反応系の外に出て、反応に関与できなくなる。
SOCl+HF → SOClF+HCl
なお、請求項中のフッ化した精製剤とは、フッ化チオニルや一塩化一フッ化チオニルなどを指す。
また、塩化チオニルとシュウ酸が反応すると、以下の反応式により、塩化水素、二酸化硫黄(沸点−10℃)、一酸化炭素(沸点−192℃)、二酸化炭素(沸点−78.5℃)が生成し、いずれも常温常圧で気体であるため、反応生成物は速やかに反応系の外に出て、反応に関与できなくなる。
SOCl+(COOH) → 2HCl+SO+CO+CO
なお、請求項中の精製剤とシュウ酸の反応分解物とは、精製剤とシュウ酸の反応で生成した、二酸化硫黄、一酸化炭素、二酸化炭素などを指す。
すなわち、第1の実施形態では、塩化チオニルを精製剤として使用することで、フッ化水素と反応させた場合に、反応生成物は気体となり速やかに反応系の外に出て、反応に関与できなくなるため、反応式の逆反応が進行せずに、フッ化水素と塩化チオニルの反応である正反応の反応速度が高くなり、速やかに低濃度までフッ化水素の濃度を低減させることができる。
また、第1の実施形態では、塩化水素の除去と同時に反応生成物や未反応の塩化チオニルを除去することができるため、ろ過等の別途の工程が不要で、工業的な精製に適している。
また、塩化チオニルを用いると、フッ化水素だけでなく溶液中のシュウ酸も同時に除去することができる。
また、塩化チオニルは、常温常圧で液体であるため、精製前の電解質溶液に添加する際には液体であることから、気体の精製剤を加える場合に比べて添加が容易である。
溶液に含まれる電解質が塩であり、塩のカチオンがリチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、四級アルキルアンモニウムカチオンの一つ又はこれらの混合物からなることが好ましい。これらのカチオンは非水電解液電池用電解液に含まれる塩のカチオンとして用いることができるからである。
また、塩のアニオンがヘキサフルオロリン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ジフルオロホスホリル)イミドアニオンの一つ又はこれらの混合物からなることが好ましい。これらのアニオンは、非水電解液電池用電解液に含まれる塩のアニオンとして用いることができるからである。
また、塩がヘキサフルオロリン酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドナトリウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドカリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウム、ビス(ジフルオロホスホリル)イミドリチウム、ビス(ジフルオロホスホリル)イミドナトリウム、ビス(ジフルオロホスホリル)イミドカリウム、ジフルオロイオン性錯体(2a)、(2b)、(2c)の一つ又はこれらの混合物からなることが好ましい。これらの塩は、非水電解液電池用電解液に含まれる塩として用いることができるからである。
なお、ジフルオロイオン性錯体(2a)、(2b)、(2c)は、一般式(2)を構成する各元素が以下のようになったものである。なお、ジフルオロイオン性錯体(2a)のリチウム塩を(2a−Li)と記載する。
(2a)A=Li、Na、K又は四級アルキルアンモニウム、M=P、Y=C、Z=C、p、q及びs=1、r=0
(2b)A=Li、Na、K又は四級アルキルアンモニウム、M=P、W=C(CF、Z=C、p及びq=0、r、s=1
(2c)A=Li、Na、K又は四級アルキルアンモニウム、M=P、W=C(CF、Z=C、p、q及びs=0、r=2
また、電解質溶液の非水溶媒としては、後述の第3の実施形態の合成法で用いられる非水溶媒と同様のものを使用することができる。
また、不純物と精製剤の反応時間は、反応速度に応じて0.1〜72時間の範囲内で適宜選択することができるが、長期間装置を占有することは生産コストの上昇につながるため、反応時間を12時間以下にすることが好ましく、反応時間を6時間以下にすることがより好ましい。さらに、系全体の反応を進行させるために、反応中は溶液を攪拌することが好ましい。
精製剤は遊離酸のモル数に対して10モル倍以下の範囲で使用することが好ましい。更には遊離酸と精製剤が1:0.1〜1:10のモル比の範囲であることが好ましく、特には遊離酸と精製剤が1:1〜1:5のモル比の範囲であることが好ましい。
精製剤の添加、攪拌、そしてその後の反応生成物と未反応精製剤の除去は温度−60℃〜150℃で行われることが好ましく、−20℃〜120℃で行われることがより好ましい。−60℃を下回ると、粘度の上昇による攪拌不足や、反応速度の低下が起こる場合があり、また150℃を上回ると溶解している電解質の分解が懸念される。特に、反応生成物と未反応精製剤を除去する際の温度は、加熱や冷却が容易な、−20℃〜120℃であることが好ましい。なお、本発明におけるそれぞれの処理は、多量の精製剤や溶媒を蒸発させないために、精製剤又は溶媒の沸点のうち、いずれか低い温度以下で行うことが好ましい。特に、溶液に含まれる電解質が分解しないよう、精製剤の添加、攪拌、そしてその後の反応生成物と未反応精製剤の除去は、50℃以下で行われることが好ましい。
反応生成物と未反応精製剤の除去は、蒸気圧差を利用する方法により除去するが、具体的には、減圧下で脱気する方法や、不活性ガスを溶液中に導入して不活性ガスとともに追い出す方法などにより除去される。
減圧には、真空ポンプ、アスピレータなどを用いることができる。減圧は、反応器を密閉状態としてから、系内を大気圧以下の圧力に保持することにより行う。この際、非水溶媒の一部も留去されるため、電解質の濃度は濃縮される。系内の圧力は、精製対象の液体の温度と蒸気圧によって変わるため、一概には言えないが、減圧は、槽内の真空度が、絶対圧で80kPa以下に保持することが好ましい。保持する圧力が80kPa超では、電解質溶液中の反応生成物や、未反応精製剤等を所望の濃度以下になるまで排除することができない、又は、所望の濃度以下になるまで排除するのに長時間を要するため、好ましくない。また、保持する圧力が50kPa以下であると、未反応精製剤を低濃度まで排除できるため、さらに好ましい。なお、装置の負担を考えると、絶対圧を20kPa以上とすることが好ましい。
不活性ガスの溶液への導入は、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガスで溶液をバブリングすることで行われる。なお、反応系の減圧と溶液中への不活性ガスの導入は、同時に行ってもよい。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は、少なくともフッ化水素を不純物として含有する、非水溶媒に電解質が溶解した電解質溶液に、カルボン酸塩化物、スルホン酸塩化物、スルフィン酸塩化物、ケイ素塩化物、カルボン酸無水物からなる群より選ばれる一つ又はこれらの混合物からなる精製剤を添加し、前記不純物を前記精製剤と、反応生成物を反応系の外に抜き出しながら反応させる工程と、反応生成物である塩化水素及びフッ化した前記精製剤と、未反応の前記精製剤と、を除去することにより前記不純物を除去する工程と、を備えることを特徴とする、電解質溶液の精製方法である。第2の実施形態で精製する電解質溶液としては、第1の実施形態と同様のものを使用できる。
第2の実施形態では、溶液中のフッ化水素と精製剤、又はフッ化水素及びシュウ酸と精製剤との反応を、反応生成物を系外に抜き出しながら行うことで、より効果的にフッ化水素やシュウ酸を反応分解させて除去することが可能である。この生成した反応生成物を系外に抜き出す方法とは、反応系を減圧すること、又は溶液中に不活性ガスを導入することである。減圧や不活性ガスの導入は前述の方法と同様に行うことができる。
これは、フッ化水素と精製剤との反応が可逆であるため、減圧や不活性ガス導入により、生成した塩化水素やフッ素化した精製剤が系内から連続して除去されることで、逆反応の進行が制限され、精製剤のフッ素化反応を加速させることができるためである。なお、シュウ酸と精製剤の反応は、一酸化炭素、二酸化炭素が発生し系外へ排出される不可逆的な反応であるが、減圧や不活性ガス導入により加速されることはあっても減速されることはない。
なお、塩化チオニルを用いる第1の実施形態においても、反応生成物を系外に抜き出しながら反応をさせることで、塩化チオニルのフッ素化反応が加速され、フッ化水素の除去を進行することができる。
精製剤としては、カルボン酸塩化物、スルホン酸塩化物、スルフィン酸塩化物、ケイ素塩化物、カルボン酸無水物等が使用できる。中でも、精製剤としては、塩化オキサリル、クロロ蟻酸メチル、クロロ蟻酸エチル、塩化アセチル、トリフルオロ酢酸クロリド、塩化トリフルオロメタンスルホン酸、塩化メタンスルホン酸、塩化チオニル、塩化トリメチルシリル、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸が好ましく、更には、反応生成物と未反応精製剤を除去することが容易であることから、塩化オキサリル、クロロ蟻酸メチル、塩化アセチル、塩化トリフルオロメタンスルホン酸、塩化メタンスルホン酸、塩化チオニル、塩化トリメチルシリルが好ましい。
カルボン酸塩化物、スルホン酸塩化物、スルフィン酸塩化物及びケイ素塩化物は、フッ化水素と反応し、それぞれ、カルボン酸フッ化物、スルホン酸フッ化物、スルフィン酸フッ化物、ケイ素フッ化物と、塩化水素を生成する。各フッ化物は、フッ素の原子量が小さいため、塩化物よりも低い沸点を持ち、減圧またはバブリング環境下で除去されやすい。また、塩化水素の沸点は−85℃と非常に低いため、容易に除去される。同様に、カルボン酸無水物についても、フッ化水素と反応することで、カルボン酸フッ化物とカルボン酸が得られるため、それぞれ減圧またはバブリング環境下で揮発して除去される。
例えば、塩化アセチル(沸点51℃)とフッ化水素が反応すると、以下の反応式により、塩化水素(沸点−85℃)とフッ化アセチル(沸点20℃)が生成し、いずれも減圧又はバブリング環境下で除去される。
CHCOCl+HF → CHCOF+HCl
なお、精製剤として塩化アセチルを使用した場合、請求項中のフッ化した精製剤とは、フッ化アセチルなどを指す。
精製剤が、塩化オキサリル、クロロ蟻酸メチル、クロロ蟻酸エチル、塩化アセチル、トリフルオロ酢酸クロリド、塩化トリフルオロメタンスルホン酸、塩化メタンスルホン酸、塩化チオニルである場合、フッ化水素だけでなくシュウ酸を分解し、除去することができる。
例えば、塩化アセチルとシュウ酸が反応すると、以下の反応式により、塩化水素、酢酸(沸点118℃)、一酸化炭素(沸点−192℃)、二酸化炭素(沸点−78.5℃)が生成し、いずれも減圧又はバブリング環境下で除去される。
CHCOCl+(COOH) → HCl+CHCOOH+CO+CO
なお、精製剤として塩化アセチルを使用した場合、請求項中の精製剤とシュウ酸の反応分解物とは、精製剤とシュウ酸の反応で生成した、酢酸、一酸化炭素、二酸化炭素などを指す。
第2の実施形態では、反応生成物を系外に抜き出しながら反応させているため、フッ化水素と精製剤の反応を加速することができ、フッ化水素を速やかに低濃度まで除去することができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態は、第1又は第2の実施形態の電解質溶液の精製方法を用いた精製工程を含むことを特徴とする電解質溶液の製造方法である。
すなわち、LiPFなどのフッ素を含むイオン性錯体を合成する際に、過剰フッ化水素が残存したり、フッ化水素が副生したりすることがある上に、フッ素を含むイオン性錯体は空気中や液中の水分と反応してフッ化水素を生じることがあるため、フッ素を含むイオン性錯体を合成した後など、フッ素を含むイオン性錯体を含む電解質溶液を製造する工程に、第1又は第2の実施形態の電解質溶液の精製方法を組み入れることで、フッ化水素などの不純物の少ない電解質溶液を得ることができる。
特に、一般式(1)で示される6配位イオン性錯体(1)を非水溶媒中でフッ素化剤によりフッ素化して、一般式(2)で示されるジフルオロイオン性錯体(2)を製造する工程では、シュウ酸が副生するため、フッ化水素とシュウ酸の両方を除去するため、ジフルオロイオン性錯体(2)を製造した後、第1又は第2の実施形態の電解質溶液の精製方法を用いた精製工程を組み合わせることで、酸性不純物の少ないジフルオロイオン性錯体(2)を含む電解質溶液を製造することができる。
ジフルオロイオン性錯体(2)を製造する工程では、下記一般式(1)で表される2座配位子が3分子配位した6配位イオン性錯体(以下、6配位イオン性錯体(1)と呼ぶことがある)にフッ素を導入することにより、下記一般式(2)で表されるジフルオロイオン性錯体(以下、ジフルオロイオン性錯体(2)と呼ぶことがある)を製造する。
一般式(1)、(2)において、Aは金属イオン、プロトン及びオニウムイオンからなる群から選ばれるいずれか1つであり、非水電解液電池中でのイオン伝導を助ける役割をするという観点から、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、又は四級アルキルアンモニウムイオンが好ましい。四級アルキルアンモニウムイオンとしては、特に限定はされないが、例えばトリメチルプロピルアンモニウムや、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムが挙げられる。
一般式(1)、(2)において、MはP、As及びSbからなる群から選ばれるいずれか1つである。Fはフッ素原子である。Oは酸素原子である。
Yは炭素原子又は硫黄原子である。Yが炭素原子である場合qは1である。Yが硫黄原子である場合qは1又は2である。
Wは炭素数1〜10のヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖又は環状構造のものも使用できる)、又は−N(R1)−を表す。このとき、Rは水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜10のヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、Rは分岐鎖又は環状構造をとることもできる。Zは炭素原子である。pは0又は1、qは0〜2の整数、rは0〜2の整数、sは0又は1をそれぞれ表し、p+r≧1である。
前記6配位イオン性錯体(1)、並びにジフルオロイオン性錯体(2)のアニオン部分の各元素が(a)、(b)、(c)から選ばれる少なくとも一つの組み合わせであることが好ましい。
(a)M=P、Y=C、p、q、s=1、r=0 シュウ酸
(b)M=P、W=C(CF、p、q=0、r、s=1 ヘキサフルオロヒドロキシイソ酪酸
(c)M=P、W=C(CF、p、q、s=0、r=2 パーフルオロピナコール
6配位イオン性錯体(1)を非水溶媒に溶解、又は懸濁させた後、6配位イオン性錯体(1)に対して1.5倍モル以上50モル倍以下のフッ素化剤を使用して選択的にフッ素化することによりジフルオロイオン性錯体(2)が得られる。この時、フッ素化剤の使用量は1.8〜40モル倍が好ましく、2.0〜20モル倍が更に好ましい。
フッ素化剤としては、非水溶媒に添加した際に、フッ化物イオンを生じるイオン性フッ化剤が使用可能であり、中でも酸性フッ化カリウム、酸性フッ化ナトリウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ化水素過剰の有機アミンフッ化水素塩、フッ化水素などの酸性のものが好ましく、反応速度が速いことからフッ化水素が更に好ましい。
フッ素化時に、フッ素化剤以外に酸又はルイス酸を添加してもよい。酸、又はルイス酸を添加することで、反応液中のプロトン濃度が上昇させ、フッ素化剤を用いたフッ素導入時の反応速度を向上させることが可能である。ここでは、フッ素化剤以外の酸(プロトン酸又はブレンステッド酸)として、硫酸、フルオロ硫酸、塩化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、硝酸、p-トルエンスルホン酸を使用でき、フッ素化剤以外のルイス酸として、三フッ化ホウ素、五フッ化リン、三塩化アルミニウム、五塩化ニオブ、トリフルオロメタンスルホン酸金属塩(カチオンはLi、Na、K、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y)を使用することが出来る。特に、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸を用いることが、反応速度を向上させる効果が大きいため好ましい。
フッ素化剤以外の酸又はルイス酸の当量が、6配位イオン性錯体(1)に対して0.001〜2.0モル当量であることが好ましい。フッ素化剤以外の酸又はルイス酸の量が少なすぎると、反応速度を向上させる効果が小さく、量が多すぎると、コストが上がるだけでなく、生成物の分解が進行する。
酸、又はルイス酸を添加することで、前述の酸性のフッ素化剤以外の使用も可能であり、この場合にはフッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化ニッケル、フッ化カルシウム、フッ化アンチモン、フッ化鉄、フッ化亜鉛、フッ化マンガン、フッ化イッテルビウム、フッ化ハフニウム、フッ化コバルト、フッ化アンモニウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド等が用いられ、中でもフッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、フッ化ニッケル、フッ化コバルト、フッ化鉄、フッ化亜鉛、フッ化マンガン、フッ化アンモニウムが好ましく、更には、選択性の観点から、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、フッ化ニッケル、フッ化鉄、フッ化亜鉛、フッ化アンモニウムが好ましい。
以上に述べた合成法に用いられる非水溶媒は、原料となる6配位イオン性錯体(1)を極微量でも溶解させるもので、系内の化合物と反応を起こさないものが良く、好ましくは比誘電率2以上のものが良い。ここで全く溶解度の無い非水溶媒を用いた場合、フッ素化が非常に遅くなるため好ましくない。僅かにでも溶解度があれば、目的のジフルオロイオン性錯体(2)の溶解度が高いため反応は進行する。例えば、炭酸エステル類、エステル類、ケトン類、ラクトン類、エーテル類、ニトリル類、アミド類、スルホン類等が使用でき、単一の溶媒だけでなく二種類以上の混合溶媒でも良い。
非水溶媒の具体例としては炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルプロピル、炭酸エチルプロピル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン等を挙げることが出来、中でも沸点が120℃以下の溶媒が好ましく、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリルが更に好ましい。
フッ素化剤を用いたフッ素導入時の反応温度は−60℃〜150℃、好ましくは−20〜120℃である。−60℃より低い温度ではフッ素導入が充分に進行せず、150℃以上では原料となる6配位イオン性錯体(1)又は、生成物であるジフルオロイオン性錯体(2)の分解が起こる可能性がある。充分なフッ素導入速度を得つつ、分解を起こさないためには−20〜120℃の範囲が最適である。
また、反応時間は、反応速度に応じて適宜選択することができるが、長期間装置を占有することは生産コストの上昇につながるため、現実的には72時間以下にすることが好ましい。さらに、系全体の反応を進行させるために、反応中は溶液を攪拌することが好ましい。
フッ素化後に、残留遊離酸濃度を低減させるために減圧操作を行い、さらに必要に応じて、析出物をろ過にて取り除くことが好ましい。この際、非水溶媒の一部も留去されるため、生成物であるジフルオロイオン性錯体(2)の濃度は濃縮される。減圧操作には、真空ポンプ、アスピレータなどを用いることができる。減圧操作は、反応器を密閉状態としてから、系内を大気圧以下の圧力に保持することにより行う。系内の圧力は、精製対象の液体の温度と蒸気圧によって変わるため、一概には言えないが、減圧は、槽内の真空度が、絶対圧で80kPa以下に保持することが好ましい。保持する圧力が80kPa超では、残留遊離酸濃度が所望の濃度以下になるまで排除するのに長時間を要するため、好ましくない。また、保持する圧力が50kPa以下であると、反応生成物と未反応精製剤を低濃度まで排除できるため、さらに好ましい。なお、装置の負担を考えると、絶対圧を20kPa以上とすることが好ましい。特に、前記6配位イオン性錯体(1)と前記ジフルオロイオン性錯体(2)の配位子がシュウ酸である場合、フッ素化後に減圧操作を行い、溶媒の一部を留去してジフルオロイオン性錯体(2)を濃縮する際に析出したシュウ酸をろ過にて分離することが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は係る実施例により限定されるものではない。
いずれも原料や生成物の取り扱いは、露点が−50℃以下の窒素雰囲気下にて行った。また、使用する硝子製反応器、フッ素樹脂製反応器は、150℃で12時間以上乾燥させた後に、露点が−50℃以下の窒素気流下で室温まで冷却させたものを用いた。
[試験液の調製]
以下の手順にて、少なくともフッ化水素を不純物として含有する、電解質が溶解した溶液として、表1に示した脱遊離酸処理試験に用いる試験液の調製を行った。なお、遊離酸値は酸のモル濃度をHFの質量に換算し、塩(例えば、試験液Aでは(2a−Li))を基準とした値で示した。
[試験液A]
非特許文献2に開示された方法に従って、シュウ酸が3分子配位した6配位イオン性錯体であるトリスオキサラトリン酸リチウム(1a−Li)を得た。500mLフッ素樹脂製反応器に電解質として(1a−Li)(30g、99.4mmol)を加え、非水溶媒としてエチルメチルカーボネート(以下EMC)(120mL)を追加して溶解させた後、フッ素化剤としてフッ化水素(以下HF)(11.9g、596.2mmol、6.0モル当量)を添加した。25℃にて24時間攪拌させた後、減圧にて残留するHFの除去と濃縮を行った。析出したシュウ酸をろ過にて取り除いた後に、変換率と選択率をF、P−NMRにて、残留塩素濃度を硝酸銀滴定にて、残留遊離酸濃度を遊離酸滴定により求めた結果、目的とするシュウ酸が2分子配位したジフルオロイオン性錯体(2a−Li)への変換率は71.0%、選択率は95.4%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a−Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2000質量ppmであった。
変換率[%] = 目的物モル%
選択率[%] = 変換率/(100−残留原料モル%) ×100
得られた(2a−Li)/EMC溶液を塩濃度約25質量%に調整し、試験液Aとした。試験液A中の遊離酸(アニオン側)の内訳をイオンクロマトグラフィーにて測定した結果、フッ化物アニオンとシュウ酸アニオンのモル比は1:1.5であった。このことから、2000質量ppmの遊離酸は、HF由来が500質量ppm、シュウ酸由来が1500質量ppm(HFに換算)であることが分かった。
なお、フッ化水素の添加量を2.0モル当量にし、反応を加速させるための酸としてトリフルオロメタンスルホン酸(以下TfOH)を0.02モル当量加えて、0℃にて24時間攪拌させた場合、ジフルオロイオン性錯体(2a−Li)への変換率は94.2%、選択率は95.2%であり、TfOH存在下でフッ素化反応を進めることで反応速度が向上することが確かめられた。
[試験液B]
試験液Aを塩濃度約50質量%まで濃縮し、析出した固体をろ過で取り除いた。温度25℃にて攪拌しながら、得られた濃縮液の質量に対して6質量倍のクロロホルムを添加し固体を析出させた。析出した(2a−Li)をろ過にて回収した。ここで回収した(2a−Li)に含まれる遊離酸濃度は、(2a−Li)を基準として20質量ppm未満であった。この(2a−Li)をEMCに溶解させ、25質量%のEMC溶液を調製した。このEMC溶液100gに対してシュウ酸(0.11g、1.3mmol)を添加し、(2a−Li)を基準としてシュウ酸がHF換算で2000質量ppm含まれる試験液Bとした。
[試験液C]
試験液Aを塩濃度約50質量%まで濃縮し、析出した固体をろ過で取り除いた。温度25℃にて攪拌しながら、得られた濃縮液の質量に対して6質量倍のクロロホルムを添加し固体を析出させた。析出した(2a−Li)をろ過にて回収した。ここで回収した(2a−Li)に含まれる遊離酸濃度は、(2a−Li)を基準として20質量ppm未満であった。この(2a−Li)をEMCに溶解させ、25質量%のEMC溶液を調製した。このEMC溶液100gに対してHF(0.05g、2.5mmol)を添加し、(2a−Li)を基準としてHFが2000質量ppm含まれる試験液Cとした。
[試験液D]
試験液A(100g)を減圧濃縮(50℃、1.3kPa)し、EMCを除去した。残った固体残渣(30g)にジメチルカーボネート(以下DMC)(70g)を添加して塩濃度約25質量%の(2a−Li)/DMC溶液を調製し、遊離酸濃度を測定すると(2a−Li)を基準として1750質量ppmであった。この遊離酸(アニオン側)の内訳をイオンクロマトグラフィーにて測定した結果、フッ化物アニオンとシュウ酸アニオンのモル比は1:3であった。このことから、1750質量ppmの遊離酸は、HF由来が250質量ppm、シュウ酸由来が1500質量ppm(HFに換算)であることが分かった。この(2a−Li)/DMC溶液にHF(0.006g)を添加し、(2a−Li)を基準としてHFが500質量ppm、シュウ酸がHF換算で1500質量ppm含まれる試験液Dとした。
[試験液E]
前述の試験液Cの調製手順にて、EMCをDMCに変更することで(2a−Li)を基準としてHFが2000質量ppm含まれる試験液Eを得た。
[試験液F]
前述の試験液Dの調製手順にて、DMCをジエチルカーボネート(以下DEC)に変更することで(2a−Li)を基準としてHFが500質量ppm、シュウ酸がHF換算で1500質量ppm含まれる試験液Fを得た。
[試験液G]
前述の試験液Cの調製手順にて、EMCをDECに変更することで(2a−Li)を基準としてHFが2000質量ppm含まれる試験液Gを得た。
[試験液H]
前述の試験液Dの調製手順にて、DMCをテトラヒドロフラン(以下THF)に変更することで(2a−Li)を基準としてHFが500質量ppm、シュウ酸がHF換算で1500質量ppm含まれる試験液Hを得た。
[試験液I]
前述の試験液Cの調製手順にて、EMCをTHFに変更することで(2a−Li)を基準としてHFが2000質量ppm含まれる試験液Iを得た。
[試験液J]
前述の試験液Dの調製手順にて、DMCを酢酸エチル(以下AcOEt)に変更することで(2a−Li)を基準としてHFが500質量ppm、シュウ酸がHF換算で1500質量ppm含まれる試験液Jを得た。
[試験液K]
前述の試験液Cの調製手順にて、EMCをAcOEtに変更することで(2a−Li)を基準としてHFが2000質量ppm含まれる試験液Kを得た。
[試験液L]
前述の試験液Dの調製手順にて、DMCをアセトニトリル(以下CHCN)に変更することで(2a−Li)を基準としてHFが500質量ppm、シュウ酸がHF換算で1500質量ppm含まれる試験液Lを得た。
[試験液M]
前述の試験液Cの調製手順にて、EMCをCHCNに変更することで(2a−Li)を基準としてHFが2000質量ppm含まれる試験液Mを得た。
[試験液N]
非特許文献2に開示された方法に従って、シュウ酸が3分子配位した6配位イオン性錯体であるトリスオキサラトリン酸リチウム(1a−Li)を得た。ダウケミカル製強酸性陽イオン交換樹脂252(以後、イオン交換樹脂)を500g量り取り、0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液(2.5kg)に浸漬させ、25℃で6時間攪拌を行った。ろ過でイオン交換樹脂を回収し、洗液のpHが8以下になるまで純水で充分に洗浄した。その後、12時間の減圧乾燥(120℃、1.3kPa)にて水分を除去した。(1a−Li)(30g、99.4mmol)をEMC(270mL)に溶解させ、そこに150gの乾燥済み前記イオン交換樹脂を加え、25℃にて6時間攪拌を行った。その後、ろ過にてイオン交換樹脂を取り除くことで、カチオンがLiからNaへ交換された(1a−Na)/EMC溶液が得られた。イオンクロマトグラフィーにてカチオンの定量を行うと、Na/Liの比率は99.4であった。
(1a−Na)/EMC溶液の塩濃度が約20質量%となるまで、減圧濃縮を行った。その後、HF(4.0g、198.7mmol、2.0モル当量)と、トリフルオロメタンスルホン酸(以下TfOH)(0.03g、0.2mmol、0.002モル当量)を添加した。温度25℃にて72時間攪拌させた後、減圧にて残留するHFと添加した酸の除去と濃縮を行った。析出したシュウ酸をろ過にて取り除いた後に、変換率と選択率をF、P−NMRにて、残留塩素濃度を硝酸銀滴定にて、残留遊離酸濃度を遊離酸滴定により求めた結果、目的とするジフルオロイオン性錯体(2a−Na)への変換率は94.8%、選択率は96.0%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a−Na)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2000質量ppmであった。
得られた(2a−Na)/EMC溶液を塩濃度約25質量%に調整し、試験液Nとした。試験液N中の遊離酸(アニオン側)の内訳をイオンクロマトグラフィーにて測定した結果、フッ化物アニオンとシュウ酸アニオンのモル比は1:2であった。このことから、2000質量ppmの遊離酸は、HF由来が400質量ppm、シュウ酸由来が1600質量ppm(HFに換算)であることが分かった。
[試験液O]
イオン交換樹脂を500g量り取り、0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液(2.5kg)に浸漬させ、25℃で6時間攪拌を行った。ろ過でイオン交換樹脂を回収し、洗液のpHが8以下になるまで純水で充分に洗浄した。その後、12時間の減圧乾燥(120℃、1.3kPa)にて水分を除去した。
試験液Aを塩濃度約50質量%まで濃縮し、析出した固体をろ過で取り除いた。温度25℃にて攪拌しながら、得られた濃縮液の質量に対して6質量倍のクロロホルムを添加し固体を析出させた。析出した(2a−Li)をろ過にて回収した。ここで回収した(2a−Li)に含まれる遊離酸濃度は、(2a−Li)を基準として20質量ppm未満であった。この(2a−Li)(25g、99.4mmol)をEMC(275mL)に溶解させ、そこに150gの乾燥済み前記イオン交換樹脂を加え、25℃にて6時間攪拌を行った。その後、ろ過にてイオン交換樹脂を取り除くことで、カチオンがLiからNaへ交換された(2a−Na)/EMC溶液が得られた。イオンクロマトグラフィーにてカチオンの定量を行うと、Na/Liの比率は99.3であった。塩濃度約25質量%に調製した後、このEMC溶液100gに対してHF(0.05g、2.5mmol)を添加し、(2a−Na)を基準としてHFが2000質量ppm含まれる試験液Oを得た。
[試験液P]
LiPF(25g)をEMC(75g)に溶解させた後、HF(0.05g、2.5mmol)を添加し、LiPFを基準としてHFが2000質量ppm含まれる試験液Pとした。
[試験液Q]
NaPF(25g)をEMC(75g)に溶解させた後、HF(0.05g、2.5mmol)を添加し、NaPFを基準としてHFが2000質量ppm含まれる試験液Qとした。
[試験液R]
LiBF(25g)をEMC(75g)に溶解させた後、HF(0.05g、2.5mmol)を添加し、LiBFを基準としてHFが2000質量ppm含まれる試験液Rとした。
[試験液S]
LiFSI(25g)をEMC(75g)に溶解させた後、HF(0.05g、2.5mmol)を添加し、LiFSIを基準としてHFが2000質量ppm含まれる試験液Sとした。
[試験液T]
LiDFPI(25g)をEMC(75g)に溶解させた後、HF(0.05g、2.5mmol)を添加し、LiDFPIを基準としてHFが2000質量ppm含まれる試験液Tとした。
各試験液の組成を表1に示す。表1において、PFはヘキサフルオロリン酸アニオン、BFはテトラフルオロホウ酸アニオン、FSIはビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、DFPIはビス(ジフルオロホスホリル)イミドアニオンを表す。
通常は、電解液中の遊離酸濃度がフッ化水素換算で200質量ppm程度以下の品質のものが求められている。電解液中にイオン性錯体を数%〜十数%含むことが多いため、このようなフッ化水素濃度を達成するためには、イオン性錯体を含む各試験液は、イオン性錯体を基準にしたフッ化水素濃度で1000質量ppm程度以下にすることが必要である。
[実施例1−1]
試験液A(100g)に対して精製剤として塩化チオニル(0.36g、3.0mmol、HF換算遊離酸2000質量ppmに対して1.2eq.)を添加し、温度25℃にて6時間攪拌を行った。これにより、フッ化水素と塩化チオニルは、反応により揮発性の高い塩化水素、フッ化チオニルに変換された。その後、温度20〜40℃、絶対圧で圧力50〜80kPaにて減圧して反応生成物を除去すると同時に、EMC25gを留去してイオン性錯体を濃縮した。遊離酸濃度を測定した結果、(2a−Li)を基準としたHF換算での値は200質量ppmとなった。
[実施例1−2]
温度を25℃から40℃へ変更した以外は実施例1−1と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度は100質量ppm未満となった。
[実施例1−3]
温度を25℃から40℃へ、攪拌時間を6時間から3時間へ、攪拌中に乾燥窒素ガス(10mL/分)を継続して溶液に吹き込んだ以外は実施例1−1と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度は100質量ppm未満となった。
[実施例1−4]
試験液A(100g)に対して塩化チオニル(0.36g、3.0mmol、HF換算遊離酸2000質量ppmに対して1.2eq.)を添加し、温度40℃、絶対圧で圧力50〜80kPaに減圧して3時間攪拌を行った。窒素にて大気圧に復圧し、EMC5gを加えて初期の試験液重量100gまで戻した。その後、温度20〜40℃、絶対圧で圧力50〜80kPaにて減圧濃縮を行い、EMC25gを留去した。遊離酸濃度を測定した結果、(2a−Li)を基準としたHF換算での値は100質量ppm未満となった。
[実施例1−5]
試験液Bを使用し、攪拌時間を6時間から3時間へ変更した以外は実施例1−2と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度は100質量ppm未満となった。
[実施例1−6]
試験液Cを使用し、攪拌時間を6時間から3時間へ変更した以外は実施例1−2と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度は600質量ppmとなった。
[実施例1−7]
塩化チオニルの添加量を0.59g、5.0mmol(HF換算遊離酸2000質量ppmに対して2.0eq.)へ変更した以外は実施例1−6と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度は200質量ppmとなった。
[実施例1−8]
試験液Cを使用し、塩化チオニルの添加量を0.59g、5.0mmolへ変更した以外は実施例1−4と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度は100質量ppm未満となった。
[比較例1−1]
試験液A(100g)を温度40℃にて、乾燥窒素ガス(10mL/分)を継続して溶液に吹き込みながら3時間攪拌させた。その後、温度20〜40℃にて減圧濃縮を行い、EMC25gを留去した。遊離酸濃度を測定した結果、2000質量ppmであった。
[比較例1−2]
試験液A(100g)を温度40℃にて、容器内の圧力を減圧(50〜80kPa)に保ち3時間攪拌させた。その後、温度20〜40℃にて減圧濃縮を行い、EMC25gを留去した。遊離酸濃度を測定した結果、(2a−Li)を基準としたHF換算での値は1900質量ppmとなった。
[比較例1−3]
フッ化水素を含むがシュウ酸をほとんど含まない試験液C(100g)を温度40℃にて、容器内の圧力を減圧(50〜80kPa)に保ち3時間攪拌させた。その後、温度20〜40℃にて減圧濃縮を行い、EMC25gを留去した。遊離酸濃度を測定した結果、(2a−Li)を基準としたHF換算での値は1700質量ppmとなった。
[比較例1−4]
塩化チオニルの替わりに塩化アセチル(0.24g、3.0mmol、遊離酸に対して1.2eq.)を使用した以外は実施例1−1と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は1300質量ppmとなった。
[比較例1−5]
塩化チオニルの替わりに塩化アセチル(0.39g、5.0mmol、遊離酸に対して2.0eq.)を使用した以外は実施例1−6と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は1100質量ppmとなった。
[実施例2−1]
試験液D(100g)に対して塩化チオニル(0.36g、3.0mmol、HF換算遊離酸2000質量ppmに対して1.2eq.)を添加し、温度40℃、圧力50〜80kPaに減圧して3時間攪拌を行った。窒素にて大気圧に復圧し、操作中に留去されて減少した重量分のDMCを添加して初期の試験液重量100gまで戻した。その後、温度20〜40℃にて減圧濃縮を行い、DMC25gを留去した。遊離酸濃度を測定した結果、(2a−Li)を基準としたHF換算での値は100質量ppm未満となった。
[実施例2−2]
試験液E(100g)に対して塩化チオニル(0.59g、5.0mmol、HF換算遊離酸2000質量ppmに対して2.0eq.)を添加し、温度40℃、圧力50〜80kPaに減圧して3時間攪拌を行った。窒素にて大気圧に復圧し、操作中に留去されて減少した重量分のDMCを添加して初期の試験液重量100gまで戻した。その後、温度20〜40℃にて減圧濃縮を行い、DMC25gを留去した。遊離酸濃度を測定した結果、(2a−Li)を基準としたHF換算での値は100質量ppm未満となった。
[実施例2−3]
使用する試験液をFに、DMCをDECへ変更した以外は実施例2−1と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppm未満となった。
[実施例2−4]
使用する試験液をGに、DMCをDECへ変更した以外は実施例2−2と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppm未満となった。
[実施例2−5]
使用する試験液をHに、DMCをTHFへ変更した以外は実施例2−1と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppm未満となった。
[実施例2−6]
使用する試験液をIに、DMCをTHFへ変更した以外は実施例2−2と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppm未満となった。
[実施例2−7]
使用する試験液をJに、DMCをAcOEtへ変更した以外は実施例2−1と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppm未満となった。
[実施例2−8]
使用する試験液をKに、DMCをAcOEtへ変更した以外は実施例2−2と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppm未満となった。
[実施例2−9]
使用する試験液をLに、DMCをCHCNへ変更した以外は実施例2−1と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppm未満となった。
[実施例2−10]
使用する試験液をMに、DMCをCHCNへ変更した以外は実施例2−2と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppmとなった。
実施例1−1〜1−8、比較例1−1〜1−5、実施例2−1〜2−10の結果を表2に示した。表2において、SOClは塩化チオニル、AcClは塩化アセチルを表す。
塩化チオニル1.2モル当量、25℃6時間の処理にて遊離酸は200質量ppmまで低下し(実施例1−1)、更に温度を40℃へ上げることで遊離酸は100質量ppm未満にまで低減した(実施例1−2)。また、塩化チオニルでの処理操作を減圧下で行うことや、窒素を導入することで脱遊離酸速度が向上し、40℃3時間において遊離酸は100質量ppm未満となった(実施例1−3、1−4)。
遊離酸濃度は同じ2000質量ppmであるが、その主成分がシュウ酸である場合、塩化チオニル1.2モル当量、40℃3時間の条件にて残留遊離酸濃度は100ppm未満まで低下する(実施例1−5)のに対し、遊離酸濃度2000質量ppmの主成分がHFである場合、塩化チオニル1.2モル当量、40℃3時間の条件では遊離酸は600質量ppmまでしか低下しなかった(実施例1−6)。塩化チオニルを2.0モル当量に増やすことで遊離酸は200質量ppmまで(実施例1−7)、更に塩化チオニルを2.0モル当量使用し減圧にて処理することで遊離酸は100質量ppm未満まで(実施例1−8)低減させることができた。
これは、シュウ酸と塩化チオニルとの反応が不可逆的(一酸化炭素、二酸化炭素が発生し系外へ)なのに対し、HFと塩化チオニルとの反応が可逆的であるためだと推測される。ただし、生成したフッ化チオニルなどは、減圧等を行わなくとも気体として反応系外に出るため、比較例1−5のように塩化アセチルを精製剤として用いる場合に比べると高速でHFを除去することができた。減圧や窒素導入により、生成したHCl、フッ化チオニル又は一フッ化一塩化チオニルが系内から連続して除去されることで、逆反応の進行が制限され、塩化チオニルのフッ素化による反応が加速され、結果として脱遊離酸が速くなったと考えられる。
2種類のHF換算遊離酸濃度2000質量ppmの試験液(HF由来500質量ppm+シュウ酸由来1500質量ppmと、HF由来2000質量ppm)を使用しDMC、DEC、THF、AcOEt、CHCNの系にて、塩化チオニルによる脱遊離酸検討を行った結果、溶媒による差はほとんど見られず、CHCNを使用した実施例2−10以外は全て(実施例2−1〜2−9)残留遊離酸濃度100質量ppm未満となった。
塩化チオニルを使用せずに、減圧操作のみ、又は窒素導入操作のみでは遊離酸濃度を(上記同様のHF換算値)殆ど低下させることが出来なかった(比較例1−1、1−2、1−3)。また、精製剤として、塩化チオニルでなく塩化アセチルを用いた場合、残留遊離酸濃度は1000質量ppmを超えており、25℃6時間や40℃3時間の反応温度と反応時間では、十分な低濃度までフッ化水素を除去することができなかった。これは、塩化アセチルがフッ化したフッ化アセチルの沸点が20℃程度であり、反応系には減圧操作や窒素導入がないため、フッ化アセチルが反応系にとどまり、フッ化水素と精製剤の反応速度が十分に高まらなかったためと考えられる(比較例1−4、1−5)。
[実施例3−1]
使用する試験液をNに変更した以外は実施例1−4と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppm未満となった。
[実施例3−2]
使用する試験液をOに変更した以外は実施例1−8と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppm未満となった。
[実施例3−3]
使用する試験液をPに変更した以外は実施例1−8と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppm未満となった。
[実施例3−4]
使用する試験液をQに変更した以外は実施例1−8と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppm未満となった。
[実施例3−5]
使用する試験液をRに変更した以外は実施例1−8と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppm未満となった。
[実施例3−6]
使用する試験液をSに変更した以外は実施例1−8と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppm未満となった。
[実施例3−7]
使用する試験液をTに変更した以外は実施例1−8と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppm未満となった。
実施例3−1〜3−7の結果を表3に示した。
試験液中に溶解している塩のアニオン種がジフルオロイオン性錯体(2a)からPF、BF、FSI、DFPIに、カチオン種がLiからNaへ換わった場合においても、試験液に含まれる遊離酸(HFのみ、又はHFとシュウ酸)の塩化チオニルによる反応は問題なく進行し、何れも処理後の残留遊離酸濃度は100質量ppm未満となった。なお、実施例3−1では遊離酸の内訳がシュウ酸に偏っているため、塩化チオニルのモル当量は1.2とし、実施例3−2〜3−7では遊離酸の主成分がHFとなっているため、塩化チオニルは2.0モル当量使用した。
[実施例4−1]
塩化チオニルの替わりに塩化アセチル(0.24g、3.0mmol、遊離酸に対して1.2eq.)を使用した以外は実施例1−4と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppm未満となった。
[実施例4−2]
塩化チオニルの替わりに塩化アセチル(0.39g、5.0mmol、遊離酸に対して2.0eq.)を使用した以外は実施例1−8と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppm未満となった。
[実施例4−3]
塩化チオニルの替わりに塩化オキサリル(0.38g、3.0mmol、遊離酸に対して1.2eq.)を使用した以外は実施例1−4と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppm未満となった。
[実施例4−4]
塩化チオニルの替わりに塩化オキサリル(0.63g、5.0mmol、遊離酸に対して2.0eq.)を使用した以外は実施例1−8と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は150質量ppmとなった。
[実施例4−5]
塩化チオニルの替わりにクロロ蟻酸メチル(0.28g、3.0mmol、遊離酸に対して1.2eq.)を使用した以外は実施例1−4と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppm未満となった。
[実施例4−6]
塩化チオニルの替わりにクロロ蟻酸メチル(0.47g、5.0mmol、遊離酸に対して2.0eq.)を使用した以外は実施例1−8と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppmとなった。
[実施例4−7]
塩化チオニルの替わりに塩化トリフルオロメタンスルホン酸(0.51g、3.0mmol、遊離酸に対して1.2eq.)を使用した以外は実施例1−4と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppm未満となった。
[実施例4−8]
塩化チオニルの替わりに塩化トリフルオロメタンスルホン酸(0.84g、5.0mmol、遊離酸に対して2.0eq.)を使用した以外は実施例1−8と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppmとなった。
[実施例4−9]
塩化チオニルの替わりに塩化メタンスルホン酸(0.34g、3.0mmol、遊離酸に対して1.2eq.)を使用した以外は実施例1−4と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppm未満となった。
[実施例4−10]
塩化チオニルの替わりに塩化メタンスルホン酸(0.57g、5.0mmol、遊離酸に対して2.0eq.)を使用した以外は実施例1−8と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppmとなった。
[実施例4−11]
塩化チオニルの替わりに塩化トリメチルシリル(0.33g、3.0mmol、遊離酸に対して1.2eq.)を使用した以外は実施例1−4と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は1000質量ppmとなった。
[実施例4−12]
塩化チオニルの替わりに塩化トリメチルシリル(0.54g、5.0mmol、遊離酸に対して2.0eq.)を使用した以外は実施例1−8と同じ手順にて処理を行った結果、遊離酸濃度(上記同様のHF換算値)は100質量ppmとなった。
実施例4−1〜4−12の結果を表4に示した。
表4において、AcClは塩化アセチル、(COCl)は塩化オキサリル、ClCOMeはクロロ蟻酸メチル、TfClは塩化トリフルオロメタンスルホン酸、MsClは塩化メタンスルホン酸、TMSClは塩化トリメチルシリルを表す。
精製剤として塩化アセチルを使用した場合、精製剤との反応中に減圧を行うことで、生成後の残留遊離酸濃度を100質量ppmまで減少させることができ、精製剤との反応中に減圧をしない場合に比べて、残留遊離酸濃度を大きく減少させることができた(実施例4−1、4−2と、比較例1−4、1−5の比較)。
以上の精製剤を塩化チオニルから変更させた検討において、シュウ酸が遊離酸の主成分となる系では、TMSCl以外の精製剤を使用した場合においては残留遊離酸濃度は100質量ppm未満にまで低減できた。(実施例4−1、4−3、4−5、4−7、4−9)それに対して、精製剤がTMSClである実施例4−11の場合は、処理後の遊離酸濃度は1000質量ppmであった。これはTMSClとシュウ酸との反応速度が遅いためである。遊離酸がHFのみからなる場合、AcCl使用では処理後の遊離酸濃度100質量ppm未満を達成できたのに対し、(COCl)やClCOMe、TfCl、MsCl、TMSCl使用では100〜150質量ppmとなり、若干ではあるが効果の低下が確認された。

Claims (14)

  1. 少なくともフッ化水素とシュウ酸を不純物として含有する、非水溶媒に電解質が溶解した電解質溶液に、塩化オキサリル、クロロ蟻酸メチル、クロロ蟻酸エチル、塩化アセチル、トリフルオロ酢酸クロリド、塩化トリフルオロメタンスルホン酸、塩化メタンスルホン酸、塩化チオニルからなる群より選ばれる一つ又はこれらの混合物からなる精製剤を添加し、前記不純物を前記精製剤と反応させる工程と、
    反応生成物である塩化水素、フッ化した前記精製剤、及び前記精製剤とシュウ酸の反応分解物と、未反応の前記精製剤と、を除去することにより前記不純物を除去する工程と、
    を備えることを特徴とする、電解質溶液の精製方法。
  2. 少なくともフッ化水素とシュウ酸を不純物として含有する、非水溶媒に電解質が溶解した電解質溶液に、塩化オキサリル、クロロ蟻酸メチル、クロロ蟻酸エチル、塩化アセチル、トリフルオロ酢酸クロリド、塩化トリフルオロメタンスルホン酸、塩化メタンスルホン酸、塩化チオニルからなる群より選ばれる一つ又はこれらの混合物からなる精製剤を添加し、前記不純物を前記精製剤と、反応生成物を反応系の外に抜き出しながら反応させる工程と、
    反応生成物である塩化水素フッ化した前記精製剤、及び前記精製剤とシュウ酸の反応分解物と、未反応の前記精製剤と、を除去することにより前記不純物を除去する工程と、
    を備えることを特徴とする、電解質溶液の精製方法。
  3. 前記反応生成物を反応系の外に抜き出す方法が減圧、又は溶液中への不活性ガス導入であることを特徴とする請求項に記載の電解質溶液の精製方法。
  4. 前記反応生成物と、未反応の前記精製剤と、を除去する方法が、減圧、又は溶液中への不活性ガス導入であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の電解質溶液の精製方法。
  5. 前記電解質が塩であり、
    前記塩のカチオンがリチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、四級アルキルアンモニウムカチオンからなる群より選ばれる一つ又はこれらの混合物からなることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の電解質溶液の精製方法。
  6. 前記電解質が塩であり、
    前記塩のアニオンがヘキサフルオロリン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ジフルオロホスホリル)イミドアニオンからなる群より選ばれる一つ又はこれらの混合物からなることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の電解質溶液の精製方法。
  7. 前記電解質が塩であり、
    前記塩がヘキサフルオロリン酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドナトリウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドカリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウム、ビス(ジフルオロホスホリル)イミドリチウム、ビス(ジフルオロホスホリル)イミドナトリウム、ビス(ジフルオロホスホリル)イミドカリウム、一般式(2)で示されるジフルオロイオン性錯体(2a)、(2b)、(2c)からなる群より選ばれる一つ又はこれらの混合物からなることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の電解質溶液の精製方法。
    なお、ジフルオロイオン性錯体(2a)、(2b)、(2c)は、構成する各元素がそれぞれ以下のとおりである一般式(2)で示されるジフルオロイオン性錯体である。
    (2a)A=Li、Na、K又は四級アルキルアンモニウム、M=P、Y=C、Z=C、p、q及びs=1、r=0
    (2b)A=Li、Na、K又は四級アルキルアンモニウム、M=P、W=C(CF3)2、Z=C、p及びq=0、r及びs=1
    (2c)A=Li、Na、K又は四級アルキルアンモニウム、M=P、W=C(CF3)2、Z=C、p、q及びs=0、r=2
  8. フッ化水素及びシュウ酸と前記精製剤を反応させる温度が、−60℃以上、150℃以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の電解質溶液の精製方法。
  9. 前記反応生成物と前記未反応精製剤を除去する際の温度が−20℃〜120℃であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の電解質溶液の精製方法。
  10. 反応前の溶液中の遊離酸のモル数と前記精製剤のモル数が、1:0.1〜1:10の比の範囲であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の電解質溶液の精製方法。
  11. 請求項1〜10に記載の電解質溶液の精製方法を用いた精製工程を含むことを特徴とする電解質溶液の製造方法。
  12. 一般式(1)で示される6配位イオン性錯体(1)を非水溶媒中でフッ素化剤によりフッ素化して、一般式(2)で示されるジフルオロイオン性錯体(2)を製造する工程と、
    請求項又はに記載の電解質溶液の精製方法を用いた精製工程と、
    を含むことを特徴とする、一般式(2)で示されるジフルオロイオン性錯体(2)を含む電解質溶液の製造方法。
    一般式(1)、(2)において、A+は金属イオン、プロトン及びオニウムイオンからなる群から選ばれるいずれか1つであり、MはP、As及びSbからなる群から選ばれるいずれか1つである。Fはフッ素原子である。Oは酸素原子である。
    Yは炭素原子又は硫黄原子である。Yが炭素原子である場合qは1である。Yが硫黄原子である場合qは1又は2である。
    Wは炭素数1〜10のヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖又は環状構造のものも使用できる)、又は−N(R1)−を表す。このとき、R1は水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜10のヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、R1は分岐鎖又は環状構造をとることもできる。Zは炭素原子である。pは0又は1、qは0〜2の整数、rは0〜2の整数、sは0又は1をそれぞれ表し、p+r≧1である。
  13. 前記フッ素化剤が、酸性フッ化カリウム、酸性フッ化ナトリウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ化水素過剰の有機アミンフッ化水素塩、フッ化水素からなる群より選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項12に記載の電解質溶液の製造方法。
  14. フッ素化時に前記フッ素化剤以外の酸又はルイス酸を非水溶媒に添加し、
    前記フッ素化剤がフッ化水素であり、前記フッ素化剤以外の酸がトリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸からなる群より選ばれる1つ以上であることを特徴とする請求項12に記載の電解質溶液の製造方法。
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