JP6364769B2 - 樹脂組成物、微生物固定化担体及び浄化方法 - Google Patents

樹脂組成物、微生物固定化担体及び浄化方法 Download PDF

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Description

本発明はポリオレフィン系樹脂(A)と、無水マレイン酸共重合体(B)と、ポリエチレンイミン(C)を含有する混合物を加熱して得られる樹脂組成物に関するものであり、また排水の浄化を行う際に微生物を表面に固定させて使用される微生物固定化担体に関するものである。
微生物を用いて生活排水や工場廃水等を生物化学的に処理する方法があり、空気や酸素を大量に曝気して行う好気性処理と、空気等を曝気せずに嫌気性雰囲気下で行う嫌気性処理に大別される。嫌気性処理は、好気性処理よりも余剰汚泥の発生量が少ない、処理でメタン等のバイオガスが得られる、酸素の供給が不要なため、好気性処理よりも動力が少なくて済む等の長所があり、今後更に普及していくものと予想される。
また、嫌気性処理の方法としては、嫌気性微生物の保持等の方法により、グラニュールを用いた上向流嫌気性汚泥床法(UASB)や膨張汚泥床法(EGSB)、膜や担体に嫌気性微生物を固定化した生物膜を用いた方法として嫌気性固定床法や嫌気性流動床法等がある。
この中でも、無機物や有機物の表面に排水を浄化する微生物を固定させて排水を浄化する微生物固定化方法は、排水中の微生物濃度を高くすることが可能である。従って排水中の排水の浄化効率が向上し、排水中の有機物濃度が高濃度であったとしても排水処理が可能となり、浄化槽の小型化が可能であるという利点がある。
また微生物固定化担体を排水中に浮遊、流動させて浄化する流動床法は、浄化効率を高くできるだけでなく、担体間の隙間が常時変化しているので閉塞しにくく、長期安定に運転できるため、近年注目を集めている。具体的には好気性流動床の微生物固定化担体としては、ポリウレタンやポリオレフィンの発泡体(特許文献1,2)や、PVAやPEGを架橋したゲルを用いる方法が一般的である。(特許文献3,4)
また嫌気性流動床としては、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)を成形したもの、発泡体表面に親水性処理をしたもの等がある(非特許文献1、特許文献5)。
一般的に嫌気性微生物は好気性微生物よりも増殖速度が遅いことが知られている。従って担体表面に嫌気性微生物を固定させ、微生物固定化担体に嫌気性流動床としての性能を発揮させるためには好気性微生物を使用する場合よりも時間を要するという課題があった。
また、ポリウレタンやポリオレフィン等からなる発泡体形状の微生物固定化担体は、発泡体内部に微生物が固定し、表面積が広がることで微生物の増殖面積が広がる利点はあるが、排水が内部まで十分に拡散できない場合、微生物が排水を浄化する機能が十分に発揮できないという課題があった。
微生物固定化担体の材料としてポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン系樹脂は機械強度が良好で耐久性が高い特長から、微生物固定化担体として用いることが検討されている。しかしポリオレフィン系樹脂は一般的に極性が少ないため、表面に微生物が固定しにくく、微生物固定化担体として用いる場合、微生物の固定方法に課題があった。
そこで前記課題を解決させるために従来方法として、微生物固定化担体の表面における微生物の固定性を向上するために、界面活性剤等の親水化処理(特許文献1)、セルロース等の発泡体表面にエポキシ化合物等でカチオン系ポリマーを架橋処理(特許文献5)等の工夫がなされていた。しかし、ポリオレフィン系樹脂の微生物固定化担体の表面親水化処理を行っても微生物の固定性は大きく向上することはなく、またエポキシ化合物等で架橋処理する場合、廃液処理が必要になる等、製造コストの増大の要因となる等の課題があった。
特開2003−211175号公報 特開平10−257885号公報 特開2001−089574号公報 特開2004−275113号公報 特開平8−256773号公報
Water Science & Technology,Vol.56,No.2,P1〜7(2007年)
本発明の目的は新規な樹脂組成物及び前記組成物を用いて、耐久性が高く、容易に微生物を固定することができる嫌気性排水浄化等に用いられる微生物固定化担体を提供し、さらにそれを用いた排水の浄化方法を提供することにある。
上記課題に対して鋭意検討した結果、ポリオレフィン系樹脂(A)と、無水マレイン酸共重合体(B)と、ポリエチレンイミン(C)を含有する混合物を加熱して得られる新規組成物を提供することが可能となった。また前記組成物を微生物固定化担体として使用することが可能となった。更に、樹脂組成物の表面がゼータ電位を特定の値にすることで微生物の固定に優れた微生物固定化担体を開発し、本発明に至った。
即ち本発明は以下の通りである。
(1)ポリオレフィン系樹脂(A)を1〜99重量部と無水マレイン酸共重合体(B)を99〜1重量部含む樹脂混合物100重量部に対し、ポリエチレンイミン(C)を0.01〜10重量部含む混合物を120℃から250℃で加熱して得られる樹脂組成物。
(2)さらに充填剤(D)を含有する(1)に記載の樹脂組成物。
(3)表面のゼータ電位が−15〜+15mVである(1)又は(2)に記載の樹脂組成物。
(4)(1)〜(3)いずれかに記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする微生物固定化担体。
(5)排水浄化の嫌気性流動床用微生物固定化担体である(4)に記載の微生物固定化担体。
(6)(4)又は(5)に記載の微生物固定化担体を排水と接触させることを特徴とする排水の浄化方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
ポリオレフィン系樹脂(A)としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン等があげられる。
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンを主成分とするエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メタアクリレート共重合体等が上げられる。上記エチレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレンを主成分とするプロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレンを主成分とするエチレン−プロピレン−ブテン三元共重合体等が挙げられる。上記プロピレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられる。
本発明のポリオレフィン系樹脂(A)としては、好ましくは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂があげられ、更に低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体が、機械物性と入手しやすさの点で好ましい。これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。
ポリオレフィン系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)としては、特に限定はないが微生物固定化担体として用いる場合には担体の成形方法により好ましいMFRは異なり、射出成形等で成形を行う場合、ポリオレフィン系樹脂(A)のMFRは1〜100g/minが好ましく、押出成形等の場合では、0.01〜20g/min、更に好ましくは、0.1〜10g/minである。この範囲内であれば、それぞれの成形方法において成形性が良好になる。
また、ポリオレフィン系樹脂(A)は、本発明の効果を損なうことの無い限り再生樹脂を用いても良く、コストの低減及び廃棄物削減の観点からも望ましい。
本発明では無水マレイン酸共重合体(B)とポリエチレンイミン(C)を含有させることで樹脂組成物のカチオン化を行っている。ポリエチレンイミン(C)は極性が特に高い分子構造であるので、一般的に極性が殆ど無いポリオレフィン系樹脂(A)にポリエチレンイミン(C)を添加した場合、相溶性が悪いのでポリエチレンイミン(C)が混合物表面から溶出しやすく、カチオン化処理が長期間持続できない。本発明の組成物は、無水マレイン酸共重合体(B)とポリエチレンイミン(C)と、ポリオレフィン系樹脂(A)を含有混合物を加熱して得られるものであり、カチオン化処理の耐久性を高めている。
このような目的で使用される無水マレイン酸共重合体(B)としては、無水マレイン酸と共重合した樹脂であればいかなるものでもよいが、ポリオレフィン系無水マレイン酸共重合体は、ポリオレフィン系樹脂(A)との相溶性が高く、成形性と耐久性の両方を高くすることが可能であるため好ましい。
ポリオレフィン系無水マレイン酸共重合体としては、例えば、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン共重合体、等を挙げることができる。エチレン−α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体としては、例えば、エチレン−メタクリレート−無水マレイン酸共重合体、エチレン−エタクリレート−無水マレイン酸共重合体、エチレン−ブチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等を挙げることができ、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、無水マレイン酸グラフト低密度ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト高密度ポリエチレン、無水マレイン酸グラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレンゴム等を挙げることができる。該無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体は、例えばエチレン−α−オレフィン共重合体、過酸化物、無水マレイン酸を共存させ、グラフト反応を進行させることにより製造することが可能である
これら無水マレイン酸共重合体(B)の具体的な例示としては、OREVAC G、OREVAC T、BONDINE(商品名、アルケマ製)、ユーメックス(商品名、三洋化成製)等が挙げられる。
無水マレイン酸共重合体(B)に含まれる無水マレイン酸の含量としては、0.05〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。無水マレイン酸の含量が少ないと、後述のように、ポリエチレンイミンとの反応点が少なくなり、ポリエチレンイミン(C)と反応させるには無水マレイン酸共重合体(B)の量を多くする必要があると考えられ、その結果、コスト的に不利になりやすい。
本発明において、ポリオレフィン系樹脂(A)と無水マレイン酸共重合体(B)の割合としては、ポリオレフィン系樹脂(A)/無水マレイン酸共重合体(B)の合計100重量に対して、1/99〜99/1、好ましくは90/10〜99/1である。無水マレイン酸共重合体(B)を多く用いても微生物の固定化に影響はないので特に構わないが、経済性を損なうこととなる。無水マレイン酸共重合体(B)が上記範囲以下の場合、後述のようにポリエチレンイミン(C)と反応するマレイン酸基が少なくなり、ポリエチレンイミン(C)が樹脂組成物から溶出しやすくなると考えられ、その結果、微生物固定性の改良効果が持続しにくくなるので好ましくない。
ポリエチレンイミン(C)は、エチレンイミンを重合した高分子であり、分子中に1級から3級のアミン構造を含むカチオン性の水溶性高分子体である。該ポリエチレンイミン(C)の分子構造は特に制限は無く、例えば、分岐状、直鎖状の分子構造のものがあげられ、水中での分子の広がりを持たせるためには分岐状のポリエチレンイミンが特に好ましい。ポリエチレンイミン(C)の分子量としては、300〜2,000,000が好ましく、更に300〜30,000のものがより好ましく、500〜5,000のものが特に好ましい。分子量が大きすぎると粘度が高くなり、加工に際して作業性が低下する等の問題を起こす場合がある。
また、ポリエチレンイミン(C)の形態として、水溶液となったものでも、または水に溶解していないものでも構わない。しかし、後述する成形にて非発泡にする場合にはポリエチレンイミンの水溶液は溶媒の水が発泡剤の役割を果たしやすいことから、ポリエチレンイミン(C)としては水に溶解していないものを用いることが特に好ましい。
このようなポリエチレンイミン(C)として、例えば、エポミンSP−006、エポミンSP−012、エポミンSP−018(商品名、日本触媒製)、Lupasol FG(商品名、BASF製)等を具体的に上げることができる。
更に、ポリエチレンイミン(C)の分子構造のアミノ基の一部に官能基を予め反応させた分子構造でも構わない。このような官能基として、例えば、イソシアネート化合物、プロピレンオキサイド等が上げられ、例えば、エポミンPR−20(商品名、日本触媒製)、エポミンPR−061(商品名、日本触媒製)等をあげることができる。
本発明において、ポリエチレンイミン(C)の添加量としては、ポリオレフィン系樹脂(A)と無水マレイン酸共重合体(B)の合計100重量部に対して、0.01〜10重量部であり、0.05〜5重量部が好ましく、0.1〜3重量部が特に好ましい。添加量が上記の範囲より少なくなると、ポリエチレンイミン(C)のアミノ基量が少なくなり、微生物担体が十分にカチオン化されなくなり、またこの範囲より多くなると、微生物固定化担体がカチオン化され過ぎて固定する微生物に悪影響を及ぼしたり、加工性を損なったり、経済性が低下したりするため、あまり好ましく無い。
また、組成物に含まれるポリエチレンイミン(C)添加量をポリエチレンイミン(C)の平均分子量で除したモル量Mcと、組成物中に含まれる無水マレイン酸共重合体(B)による無水カルボン酸基のモル量Mbの比率を[Mc/Mb]とした場合、[Mc/Mb]の範囲として0.05〜5倍が好ましく、特に0.1〜2倍が好ましい。この範囲より小さいとカチオン化の効果が十分でなく、大きすぎると後述のように無水マレイン酸共重合体(B)と反応しないポリエチレンイミン(C)が多くなり、その結果担体からポリエチレンイミン(C)が溶出しやすくなると考えられる。
本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂(A)を1〜99重量部と、無水マレイン酸共重合体(B)を99〜1重量部を含む樹脂混合物100重量部に対し、ポリエチレンイミン(C)を0.01〜10重量部含む混合物を120℃から250℃、好ましくは150℃〜180℃で加熱することにより得ることができる。
この温度で加熱することにより、樹脂混合物のポリエチレンイミン(C)の少なくとも一部は無水マレイン酸共重合体(B)と反応して共有結合及び/またはイオン結合を形成すると考えられる。その結果、ポリエチレンイミン(C)が樹脂組成物から溶出するのを低減することができ、カチオン性を付与する効果が持続するので微生物固定化の効果が持続すると考えられる。
なお、上述の加熱は樹脂混合物の混練及び又は成形を兼ねて行ってもよく、またそれとは別に行ってもよい。
一般的にポリオレフィン系樹脂(A)の表面のゼータ電位は−50〜−20mVの範囲にあり、ゼータ電位が低すぎるため微生物の固定化が悪くなっている。本発明の樹脂組成物では、無水マレイン酸共重合体(B)とポリエチレンイミン(C)の共重合体により表面がカチオン化されてゼータ電位を高くすることができる。本発明の樹脂組成物表面のゼータ電位としては、微生物固定化担体として用いる場合には−15〜+15mVの範囲に調整するのが望ましく、更に、−10〜+10mVが特に好ましい。この範囲より小さいとカチオン化処理の効果が小さくて初期の微生物の固定化が向上せず、この範囲よりも大きいと固定した微生物の増殖性が低下しやすくなるためである。
本発明の樹脂組成物の比重は特に限定しないが、微生物固定化担体として用いる場合には水面に浮上していると、排水浄化に用いる際に排水との接触が少なくなって浄化効率が低下するので、比重は水よりも大きい方が好ましい。しかし、本発明の微生物固定化担体を流動床用として用いる場合は、少ない動力で撹拌して担体を流動、循環させるために、微生物固定化担体の比重を0.95〜1.20の範囲にするのが好ましく、0.97〜1.15の範囲が更に好ましく、1.00〜1.10が特に好ましい。
ポリオレフィン系樹脂(A)の比重は、一般的に0.86〜0.97の範囲であり、排水よりも軽いので、本発明の樹脂組成物の比重を上記の範囲に調整する目的で充填剤(D)を適当量添加するのが好ましい。充填剤(D)としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、クレー、雲母、ガラス粒子、ガラス繊維等を挙げることができ、これらの内1種類もしくは2種類以上用いてもよい。これらの中で、炭酸カルシウム、タルクが低コストで入手しやすいことから好ましい。
充填剤(D)の含有量としては、本発明の樹脂組成の比重が上記の範囲になるように調整することが好ましい。具体的には、比重2.7の炭酸カルシウムの場合、本発明の樹脂組成物の比重にもよるが樹脂組成物100重量部に対し、好ましくは0〜75重量部、更に好ましくは5〜50重量部含有させればよい。
本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂や充填剤、添加剤、加工助剤、親水化剤、着色剤等を添加しても構わないが、排水浄化用の微生物固定化担体として用いる場合には、可能な限り環境や生物への影響が少ないものを最小限度の添加量にすることが望ましい。
このような添加剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、耐光安定剤、帯電防止剤等をあげることができる。加工助剤として、例えば、ワックス類、金属石鹸、ステアリン酸のような脂肪酸、フッ素系化合物等の滑剤等をあげることができる。親水化剤としては、両性界面活性剤、イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等をあげることができる。
使用する原材料、特に粉体や液体について、事前に樹脂に練りこんだ形、マスターバッチ(MB)を用いても構わない。マスターバッチにする原材料としては、特に制限は無く、一部の粉体や液体の原材料でも構わないし、全ての粉体や液体の原材料でも構わない。また複数のマスターバッチを混合して用いても良い。マスターバッチに使用する樹脂は、本発明の効果を損なわない限り特に制限は無いが、ポリオレフィン系樹脂(A)および又は無水マレイン酸共重合体(B)を用いても良い。マスターバッチにおける材料の濃度には制限は特に無いが、成形時等に原材料が均一に分散すればよく、充填剤(D)のマスターバッチの場合、例えば、10〜80質量%、好ましくは25〜80質量%である。この範囲を外れると、マスターバッチを用いる経済的な優位性や生産性、分散性等が低下しやすくなるので好ましくない。
マスターバッチの生産方法には、通常のポリオレフィン用マスターバッチの製造方法を用いればよく、例えば、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、二軸押出機、コニーダー、ニーダールーダー等をあげることができる。
本発明の樹脂組成物に使用する材料の混練方法としては、オレフィン系樹脂の複合材料(コンパウンド)を生産する通常の混練機を用いることができ、例えば、同方向二軸押出機、異方向二軸押出機、コニーダー、単軸押出機、ニーダールーダー等の連続式生産機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、ロール等のバッチ式生産機等をあげることができ、これらを複数組み合わせて行っても構わない。混練したものをペレット形状にする場合、通常のコンパウンド加工に用いるペレタイザー等を用いればよい。
更に、混練機に材料を供給する方法として、全ての材料を一度に供給する方法、材料を複数に分けて供給する方法、一部の材料を除いて供給する方法(この場合、成形時に残りの材料を添加することとなる)等、樹脂混合物の生産性が高い方法を選択すればよい。ポリエチレンイミン(C)が液状の場合、二軸押出機やコニーダーで混練する場合、他の原料とは分けて供給しても構わない。例えば、ポンプを用いて押出機のホッパーに直接添加する方法、押出機シリンダーの途中で供給する方法等がある。
材料の混練条件としては、通常の樹脂の複合材料を混練する方法と同様な条件で行って構わないが、ポリエチレンイミン(C)を添加する場合は、ポリエチレンイミン(C)は熱劣化しやすいので、混練温度を250℃以下、好ましくは200℃以下、更に好ましくは180℃以下とする。下限の温度範囲は使用した樹脂の融点又は軟化点である。
本発明の樹脂組成物は微生物固定化用担体として用いることができる。
本発明において微生物とは、人の肉眼ではその個々の存在が識別できないような微小な生物を指し、特に制限はない。また細菌や放線菌などの原核生物、酵母やカビなどの真核生物、下等藻類、ウイルスなどが含まれ、細胞としてはハイブリドーマをはじめ、動植物由来の培養細胞などが含まれる。
また本発明の微生物固定化担体とは微生物が固定化用の担体であり、微生物を固定化することのできる担体である。
嫌気性微生物とは、空気が完全にまたは部分的に存在しない状態で生存することができる微生物を意味する。
本発明の微生物固定化担体の形状としては、例えば、中空管状形、球体、円柱形、立方体、直方体、シート形状等を挙げることができ、中空管状形としては、断面が円形、楕円形、三角形、四角形以上の多角形、不定形の断面等いかなる形の管状でも構わない。更に、担体の形状としては、これら形状の組み合わせでも構わなく、例えば図1のような形状でも構わない。微生物固定化担体の表面積が大きいほど微生物の固定化量が多くなることから、担体単位重量当たりの表面積が大きい中空管状形が特に好ましい。
中空管状形の一方の端面が閉塞した形状、例えばコップ型のような形状は、排水浄化に伴って発生したガスが留まり、浮力が変化しやすいため好ましくなく、両端が開放された筒型の中空管状形が好ましい。
本発明の微生物固定化担体の大きさとしては、本発明の効果を損なわない限り特に制限は無いが、中空管状形や球形等の場合、外径と長さが3〜30mmが好ましく、特に3〜10mmが好ましい。担体の大きさがこの範囲から小さすぎると、中空部が小さくなって担体の中空部に付着したガスが放出されにくくなるので浮力が変化しやすく、大きすぎると流動性の低下や表面積が少なくなるので微生物の固定量が減少する場合があるので好ましくない。また、中空管状形の厚みとしては、0.05〜2mmが好ましく、0.1〜1mmが更に好ましく、0.15〜0.6mmが特に好ましい。中空管状形の担体の厚みがこの範囲外より厚くなると、材料の単位重量当たりの表面積が小さくなり材料コストの上昇を招きやくなり、この範囲より薄くなると、担体の強度が低下するばかりでなく、成形性が低下して担体の製造コストが上昇しやすくなるためである。
好気性排水浄化方法にて用いられる発泡体形状の微生物固定化担体は、発泡体内部に微生物が固定化する利点はあるが、排水が内部まで十分に拡散できず、嫌気性処理の場合発泡体内部の微生物の増殖が遅くなることがあり、浄化効率が十分でないことがあった。
本発明の微生物固定化担体は、無水カルボン酸共重合体(B)とポリエチレンイミン(C)の含有による担体表面の改質効果により、微生物が効果的に固定化できることから非発泡体が好ましく、特に好ましい形状としては、非発泡の筒型の中空管状形である。
微生物固定化担体の成形方法としては、射出成形、押出成形、プレス成形等したものをそのまま使用しても良く、更に担体を所定の大きさに切断や粉砕、融着、接着等の二次加工して使用しても構わない。特に、生産性が高くて、連続成形する押出成形が好ましく、特に中空管状形の押出成形が特に好ましい。
押出成形に使用する押出機としては、特に制限は無いが、通常の単軸押出機、二軸押出機等を用いればよく、非発泡の成形品を得るためには押出機のシリンダーに脱気装置(ベント)があるものが好ましい。これは、使用する材料に吸湿性が高いポリエチレンイミン(C)、無水マレイン酸共重合体(B)及び場合によっては充填剤(D)を用いるためであり、発泡の原因となりやすい水分等の揮発分を押出時に脱気するためである。また、発泡を防止する目的で成形前に材料をよく乾燥するのも効果的である。この場合、真空乾燥、除湿乾燥、熱風乾燥等の通常の乾燥方法を選択できる。
また、担体を成形する時に材料の混練を兼ねることも制限はないが、例えば、同方向二軸押出機、単軸押出機等を用いて成形すればよい。更に、この場合、前述した混練方法と同様に、材料の供給方法は如何なる方法でも制限はないが、材料の供給と分散性等を向上させるために、充填剤やポリエチレンイミン等を材料の一部をマスターバッチにて供給するのが好ましい。
担体の表面積を増やす目的で、表面に板状の突起や微細な凹凸を設けることは、微生物の固定量が多くなるばかりでなく、固定した微生物の脱落防止のため特に好ましい。
担体表面に微細な凹凸を形成する方法として、例えば、押出成形用金型に凹凸をつけて形成する方法、樹脂のメルトフラクチャー現象を発生させて形成する方法、充填剤を添加して凹凸を形成する方法等をあげることができる。
担体表面に微細な凹凸を形成するためには、例えば押出成形の場合、押出用金型の外面または内面に、一定間隔で溝を形成して押し出すことにより形成できる。具体的例示すると、押出用金型の外周に沿って幅0.5〜2mm、深さ0.5〜5mmの溝を一定間隔で複数切削した金型を用いて、金型外周の溝か帯状の板を複数形成した担体を製造することができる。
また、樹脂のメルトフラクチャー現象を利用して担体表面に凹凸をつける方法として、例えば、押出成形等におけるシャークスキンやメルトフラクチャー、グロスメルトフラクチャー等の樹脂の成形時の現象を応用するのが好ましい。このような現象を用いるためには、例えば、ポリオレフィン系樹脂(A)を直鎖低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のような、分子量分布が狭い樹脂を用いるとシャークスキンが発生しやすいので、好ましい。
担体表面の凹凸の深さとしては、0.01〜2mmが好ましい。これ以上大きな凹凸であると、固定化した微生物の剥離防止効果が小さくなる。
中空管状体の形状にするには、例えば、ホースやパイプ、ストロー等のように押出機の先端に中空管状用の金型(ダイス)を取り付け、樹脂の融点以上の温度で樹脂を押し出すことで成形できる。押し出された成形品を冷却用水槽等で冷却し、適当な切断機(例えば、ペレット切断用のペレタイザー)にて所定の大きさに切断して担体とする。また、金型から押し出された直後に、例えば、冷却水を噴霧した雰囲気下で連続回転式カッターのような切断機で連続的に切断、冷却することで製造してもよい。
押出成形の温度としては、微生物固定化担体が成形できればよいが、成形温度が高くなると、ポリエチレンイミンが熱で劣化しやすくなり、逆に成形温度が低すぎると、成形時の押出負荷がかかりやすくなり生産性の低下や形状の不安定等の原因になるため、120〜250℃の範囲が好ましく、更に150〜180℃の範囲が特に好ましい。
本発明の微生物固定化担体の使用方法としては、特に制限はなく、適宜微生物を固定化させて用いればよい。例えば、排水の浄化に用いる場合には、担体の表面に排水を浄化するのに用いる微生物を固定化させて用いるものである。更に、浄化する排水の性状と温度、浄化槽の構造等に応じて、適当量の微生物固定化担体を排水に入れて用いればよい。
本発明の微生物固定化担体を用いる排水の浄化方法としては、固定床法と流動床法の如何なる方法でも構わないが、微生物固定化担体の間の隙間の閉塞が少ないので、流動床法に用いるのが好ましい。流動床法にて本発明の微生物固定化担体を排水中で流動させる方法としては、例えば、モーターの先端に付いた攪拌翼で撹拌する方法、ポンプで排水の一部を吸引、排出して撹拌する方法、適当な気体を曝気することで排水を撹拌する方法、排水槽に邪魔板を設けてその間に排水を流すことで自然に撹拌する方法等をあげることができ、撹拌方向としては上下水平如何なる方向でも特に制限はない。撹拌が弱すぎると、微生物固定化担体が排水中を流動せずに排水と微生物固定化担体との接触が少なくなるので浄化効率が低下し、撹拌が強すぎると微生物固定化担体の表面に固定した微生物が剥げ落ちるため、適度な強さ(速さ)での撹拌が望ましい。また、浄化した排水の排出口には、本発明の微生物固定化担体の流出防止のため、担体の外径や長さよりも小さい網目を有する仕切りを設けることが望ましい。
本発明の微生物固定化担体に微生物を固定化させる方法として、担体を直接排水に投入して自然に微生物が固定させても良いが、事前に高濃度に微生物を増殖させた水槽に本発明の微生物固定化担体を入れて微生物を固定させてから取り出し、排水の浄化槽に投入しても構わない。このように事前に微生物を固定させてから排水に微生物固定化担体を投入する方法は正常に浄化するまでの時間を短縮できるため好ましく、嫌気性微生物は増殖が特に遅いので嫌気性処理の場合特に好ましい。また、一部の微生物固定化担体に予め微生物を固定させてから、浄化槽に投入してもよい。
本発明の微生物固定化担体は、本発明の樹脂組成物を含有する化学的に安定な物質であるので、長期保存安定性がよいため、保管方法に特に制限は無いが、保管の簡便性と輸送性から乾燥状態での保管が好ましい。更に、ポリオレフィン系材料を使用しているので、担体を交換する場合使用済みの担体はマテリアルリサイクル、サーマルリサイクル等も可能である。
本発明の樹脂組成物は微生物固定化担体として用いることができ、ポリオレフィンと、無水マレイン酸共重合体とポリエチレンイミンを含有し、熱を加えることにより、効率的に微生物を固定化させることが可能となった。その結果、本願発明の微生物固定化担体は、微生物の固定が長期間持続し、ポリオレフィン系樹脂を用いているため、耐磨耗性が良好で機械強度が高い等で優れており、特に嫌気性流動床の微生物固定化担体として有用である。更に微生物固定化担体の形状を非発泡の中空形状にすることで、微生物の固定と排水の浄化効率、流動床法における担体の流動性等が確保した微生物固定化担体を得ることができ、また、曝気による空気の滞留部分が少なく、浮力変化が少ないため、好気性流動床固定化担体としても有用である。
本発明の微生物固定化担体の形状の一例を示す図である。 実施例4の微生物固定化担体を示す図である。
以下に実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明の理解を助けるための例であって本発明はこれらの実施例により何等の制限を受けるものではない。尚、用いた試薬等は断りのない限り市販品を用いた。
(試薬等)
ポリオレフィン系樹脂(A)
a1)ニポロンL F15R(商品名、東ソー製)直鎖低密度ポリエチレン、密度925kg/m、MFR0.8g/10min
a2)ニポロンハード 8022(商品名、東ソー製)高密度ポリエチレン、密度958kg/m、MFR0.35g/10min
a3)ペトロセン 173R(商品名、東ソー製)低密度ポリエチレン、密度924kg/m、MFR0.3g/10min
a4)ウルトラセン 627(商品名、東ソー製)エチレン−酢酸ビニル共重合体、密度941kg/m、MFR0.8g/10min、
a5)ノバテックBC8(商品名、日本ポリプロ製)、ポリプロピレン、密度900kg/
、MFR1.8g/10min
無水マレイン酸共重合体(B)
b1)ボンダイン AX8390(商品名、アルケマ製)、エチレン−エタクリレート−無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸量1.3%
b2)OREVAC18360(商品名、アルケマ製)無水マレイン酸グラフトLLD
PE、密度914kg/m
ポリエチレンイミン(C)
c1)エポミン SP018(商品名、日本触媒製)分岐型ポリエチレンイミン、平均分子量約1800
c2)エポミン SP006(商品名、日本触媒製)分岐型ポリエチレンイミン、平均分子量約600
充填剤(D)
d1)BF300(商品名、備北粉化工業製)炭酸カルシウム、平均粒子径8μm
酸化防止剤
e1)アデカAO−60(商品名、ADEKA製)フェノール系酸化防止剤
(炭酸カルシウムMBの製造)
炭酸カルシウム(d1)50質量%、ペトロセン173R(a3)50質量%を混合し、同方向二軸押出機(東芝機械製TEM−50B)にて押出混練して、ペレット形状のマスターバッチ(d1MB)を製造した。
(ゼータ電位の測定)
押出成形にて厚さ0.5mmのシートを作製し、NaCl 0.01Mの水溶液中にて大塚電子製ELZS−1000ZSを用いてゼータ電位を測定した。
(ゼータ電位の安定性評価)
ゼータ電位を測定したシートを水1Lに入れ、水を毎日交換しながら1週間放置後、ゼータ電位の変化を評価した。
(流動性の評価)
容量約1Lの容器に水0.5Lと担体約10g入れて、毎分300回転で撹拌し、担体の水没性と流動性を観察し、下記の3段階で評価した。担体として使用可能な状態は、水中で流動可能な二重丸と○とした。
評価
二重丸(良好):担体が水没して水全体で流動した状態
○(普通):担体が殆ど水没しているが、水の上側で流動している状態(撹拌を強くすれば、水全体で流動可能)
×(不可):担体が殆ど水没せず、水面に浮いている状態(撹拌を強くしても水没しない担体が多い)
(耐磨耗性評価)
容量約1Lのガラス容器の内側に耐水サンドペーパー(100番)を貼り、担体を約20g、水を0.5L入れて毎分500回転で4日間撹拌して、試験前後の質量変化(乾燥後)で評価した。
質量変化率(%)=[(試験前の乾燥質量−試験後の乾燥質量)/(試験前の乾燥質量)]×100
質量変化率が5%未満を耐磨耗性良好の範囲とし、5%以上の場合を耐磨耗性が劣る範囲とした。
参考例として、ポリウレタン発泡体(1辺が約5mmの概立方体)の耐磨耗性を評価した結果、25%の重量変化があり、耐磨耗性はあまり良くは無かった。
(総合評価の判定法)
総合評価は、ゼータ電位とゼータ電位の安定性、流動性、耐久性の評価で全て良好なものを合格とし、下記のようにして判定した。
二重丸(良好):全ての項目で良好なもの
丸(普通):一部の評価で○(普通)があるが、微生物固定化担体として使用可能なもの
×(不可):項目の一部でも×(不可)の評価があるもの
実施例1
ポリオレフィン系樹脂(a1)95重量部と無水マレイン酸共重合体(b1)5重量部の合計100重量部に対して、ポリエチレンイミン(c1)0.3重量部、充填剤(d1)25重量部を混合し、同方向二軸押出機を用いて樹脂温度165℃で混練し、ペレットを得た。このペレットをラボプラストミルで160℃にて押出して、厚さ0.5mmのシートを得た。
NaCl0.01M水溶液で状態調整後、ゼータ電位を測定したところ、−2mVとなった。ゼータ電位の安定性を評価したところ、−3mVと殆ど変化しなく、安定であった。
ラボプラストミル単軸押出機とのチューブ用ダイスを用いて、145℃で押出して、冷却水槽で冷却後、連続回転式切断機で切断することで、外径約4mm、長さ約4mm、厚さ約0.2mmの概円筒形の微生物固定化担体を得た。得られた担体は発泡していなく、円筒形側面にはメルトフラクチャーによる深さ約0.05〜0.1mmの微細な凹凸が形成された。得られた担体の耐磨耗性を評価したところ、磨耗量は0.5%以下で良好な結果であった。
実施例2
ポリオレフィン系樹脂(a1)95重量部、無水マレイン酸共重合体(b1)5重量部の合計100重量部に対して、ポリエチレンイミン(c1)2重量部を混合し、同方向二軸押出機を用いて樹脂温度165℃で混練し、ペレットを得た。このペレットと炭酸カルシウムMB(d1MB)を102/60の割合で混合したものをラボプラストミルの二軸押出機で160℃にて押出して、厚さ0.5mmのシートを得た。
NaCl 0.01M水溶液で状態調整後、ゼータ電位を測定したところ、8mVとなった。ゼータ電位の安定性を評価したところ、5mVと殆ど変化しなく、安定であった。
ラボプラストミル二軸押出機とのチューブ用ダイスを用いた以外は実施例1と同様に145℃で押出して、外径約4mm、長さ約4mm、厚み約0.4mmの該円筒形の微生物固定化担体を得た。得られた担体は非発泡であり、表面には0.05mmの微細な凹凸が形成された。得られた担体の耐磨耗性と流動性を評価したところ、微生物固定化担体としての性能は十分であった。
実施例3
ポリオレフィン系樹脂(a1)90重量部、無水マレイン酸共重合体(b2)10重量部の合計100重量部に対して、ポリエチレンイミン(c2)1重量部、充填剤(d1)15重量部を混合し、同方向二軸押出機を用いて樹脂温度170℃で混練し、ペレットを得た。このペレットをラボプラストミルの単軸押出機で160℃にて押出して、厚さ0.5mmのシートを得た。
NaCl 0.01M水溶液で状態調整後、ゼータ電位を測定したところ、1mVとなった。ゼータ電位の安定性を評価したところ、2mVと殆ど変化しなく、安定であった。
実施例1と同様に145℃で押出して、外径約4mm、長さ約4mm、厚み約0.3mmの微生物固定化担体を得た。得られた担体の表面には約0.1mm以下の微細な凹凸が形成された。得られた担体の耐磨耗性と流動性を評価したところ、微生物固定化担体としての性能は十分であった。
実施例4
ポリオレフィン系樹脂(a1)7重量部、ポリオレフィン系樹脂(a2)90部、無水マレイン酸共重合体(b1)3重量部の合計100重量部に対して、ポリエチレンイミン(c1)0.3重量部を混合し、同方向二軸押出機を用いて樹脂温度175℃で混練し、ペレットを得た。このペレットをラボプラストミルの単軸押出機で165℃にて押出して、厚さ0.5mmのシートを得た。
NaCl 0.01M水溶液で状態調整後、ゼータ電位を測定したところ、−13mVとなった。ゼータ電位の安定性を評価したところ、−10mVと殆ど変化しなく、安定であった。
チューブダイスの代わりに図2のような円筒形の外側にリブがついたダイスを用いて、実施例1と同様に155℃で押出して、中空円筒形の外側に突起がついた外径約4〜5mm、長さ約4mm、厚み約0.3mmの微生物固定化担体を得た。得られた担体の耐磨耗性を評価したところ、磨耗量は0.1%以下であり耐久性は良好であった。比重は0.97と1より小さいため、流動性評価では撹拌を強くすれば水の中で流動したので、担体としての性能は十分であった。
実施例5
ポリオレフィン系樹脂(a1)50重量部、ポリオレフィン系樹脂(a3)40重量部、無水マレイン酸共重合体(b1)10重量部の合計100重量部に対して、ポリエチレンイミン(c1)0.5重量部、充填剤(d1)20重量部を混合し、同方向二軸押出機を用いて樹脂温度165℃で混練し、ペレットを得た。このペレットをラボプラストミルの単軸押出機で150℃にて押出して、厚さ0.5mmのシートを得た。
NaCl 0.01M水溶液で状態調整後、ゼータ電位を測定したところ、−5mVとなった。ゼータ電位の安定性を評価したところ、−3mVと殆ど変化しなく、安定であった。
実施例1と同様に140℃で押出して、外径約4mm、長さ約4mm、厚み約0.2mmの微生物固定化担体を得た。得られた担体の表面には0.01〜0.05mmの微細な凹凸が形成された。得られた担体の耐磨耗性と流動性を評価したところ、微生物固定化担体としての性能は十分であった。
実施例6
ポリオレフィン系樹脂(a1)40重量部、ポリオレフィン系樹脂(a4)50重量部、無水マレイン酸共重合体(b1)10重量部の合計100重量部に対して、ポリエチレンイミン(c1)2重量部、充填剤(d1)25重量部を混合し、同方向二軸押出機を用いて樹脂温度165℃で混練し、ペレットを得た。このペレットをラボプラストミルの単軸押出機で150℃にて押出して、厚さ0.5mmのシートを得た。
NaCl 0.01M水溶液で状態調整後、ゼータ電位を測定したところ、10mVとなった。ゼータ電位の安定性を評価したところ、8mVと殆ど変化しなく、安定であった。
実施例1と同様に140℃で押出して、外径約4mm、長さ約4mm、厚み約0.2mmの微生物固定化担体を得た。得られた担体の表面には約0.1mm以下の微細な凹凸が形成された。得られた担体の耐磨耗性と流動性を評価したところ、微生物固定化担体としての性能は十分であった。
実施例7
ポリオレフィン系樹脂(a1)80重量部、ポリオレフィン系樹脂(a5)15重量部、無水マレイン酸共重合体(b1)5重量部の合計100重量部に対して、ポリエチレンイミン(c1)1重量部、充填剤(d1)25重量部、酸化防止剤(e1)0.1重量部を混合し、同方向二軸押出機を用いて樹脂温度180℃で混練し、ペレットを得た。このペレットをラボプラストミルの単軸押出機で170℃にて押出して、厚さ0.5mmのシートを得た。
NaCl 0.01M水溶液で状態調整後、ゼータ電位を測定したところ、5mVとなった。ゼータ電位の安定性を評価したところ、4mVと殆ど変化しなく、安定であった。
実施例1と同様に165℃で押出して、外径約4mm、長さ約4mm、厚み約0.3mmの微生物固定化担体を得た。得られた担体の表面には約0.1mmの微細な凹凸が形成された。得られた担体の耐磨耗性と流動性を評価したところ、微生物固定化担体としての性能は十分であった。
比較例1
実施例1に用いたポリオレフィン系樹脂(a1)100重量部をラボプラストミルで160℃にて押出して、厚さ0.5mmのシートを得た。NaCl0.01M水溶液で状態調整後、ゼータ電位を測定したところ、−20mVと低かった。
実施例1と同様に165℃で押出して、外径約4mm、長さ約4mm、厚み約0.2mmの微生物固定化担体を得た。得られた担体の流動性を評価したところ、比重は0.925と軽いため、水の撹拌を強くしても殆どの担体が水面上に浮いており、微生物固定化担体として使用できないものであった。
比較例2
実施例1の組成にて無水マレイン酸共重合体(B)を用いずに、ポリオレフィン系樹脂(a1)100重量部とポリエチレンイミン(c1)0.5重量部、充填剤(d1)25重量部を混合し、実施例1と同様にしてペレットとシートを得た。このシートのゼータ電位を測定したところ、−5mVとなったが、ゼータ電位の安定性を評価した結果、−18mVと悪化し、ゼータ電位の長期安定性が無くて微生物固定化担体としては性能が劣るものであった。
比較例3
実施例1の組成にてポリエチレンイミン(C)を添加せずに、ポリオレフィン系樹脂(a1)95重量部、無水マレイン酸共重合体(b1)5重量部、充填剤(d1)25重量部を混合し、同方向二軸押出機を用いて樹脂温度165℃で混練し、ペレットを得た。このペレットをラボプラストミルで160℃にて押出して、厚さ0.5mmのシートを得た。NaCl0.01M水溶液で状態調整後、ゼータ電位を測定したところ−25mVとかなり低い値であった。
微生物固定試験
本発明の実施例1の担体と比較例3の担体を、各々活性汚泥を含む排水1Lに20g投入してゆっくりと撹拌させながら、微生物の固定性を目視で評価した。
評価の結果、ポリエチレンイミン(C)を含まない比較例3の担体は、微生物の固定は極僅かであったが、実施例1の担体は、数日から1週間ほどで担体の周囲に微生物の固定が見られ、本発明の効果が確認できた。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0006364769

Claims (4)

  1. ポリオレフィン系樹脂(A)を1〜99重量部と無水マレイン酸共重合体(B)を99〜1重量部含む樹脂混合物100重量部に対し、ポリエチレンイミン(C)を0.01〜10重量部含む混合物を120℃から250℃で加熱して得られる樹脂組成物を含有することを特徴とする微生物固定化担体を排水と接触させることを特徴とする排水の浄化方法。
  2. 微生物固定化担体が排水浄化の嫌気性流動床用微生物固定化担体である請求項1に記載の排水の浄化方法。
  3. 樹脂組成物がさらに充填剤(D)を含有する請求項1又は2に記載の排水の浄化方法。
  4. 樹脂組成物の表面のゼータ電位が−15〜+15mVである請求項1〜3のいずれかに記載の排水の浄化方法。
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