JP6364239B2 - 一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明はエポキシ−チオール硬化性樹脂組成物に関し、詳しくは、特定のエポキシ樹脂、特定のイミダゾール化合物及びポリチオール化合物を含有する、貯蔵安定性及び速硬化性に優れた、一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂組成物は、接着剤、封止剤、或いは塗料など幅広い分野で利用されており、保存性に優れた二液型エポキシ樹脂が一般的であるが、使用時に主剤と硬化剤の混合操作が必要である上、作業中に増粘が進行するので作業性が悪いという欠点があった。
そこで近年、使用時に主剤と硬化剤を混合するという操作が不要であると共に、作業性に優れた一液型エポキシ樹脂組成物が使用されるようになってきた。このような一液型エポキシ樹脂組成物に用いられる潜在性硬化剤は、通常、常温では数μmの固体粒子であって、液状のエポキシ樹脂に分散されている。この潜在性硬化剤の固体粒子は、常温ではエポキシ樹脂と相分離しているので硬化反応を引き起こし難く、加熱した場合にエポキシ樹脂と溶け合って硬化反応を引き起こすので、固体分散型潜在性硬化剤と呼ばれる。このような固体分散型潜在性硬化剤としては、ジシアンジアミド、ジヒドラジド化合物、アミンアダクト化合物等の各種の化合物や、アミンやイミダゾールをマイクロカプセル化したもの等が知られている(非特許文献1)。
しかしながら、固体分散型の潜在性硬化剤を含有させた樹脂組成物を含浸接着剤として使用した場合には、液状のエポキシ樹脂のみが隙間に深く浸透し、硬化剤である固体粒子は隙間に十分侵入することができないため、硬化が不均一になる場合があり、極端な場合には、隙間部分が全く硬化しない場合も生じる等の欠点があった。
また、固体分散型の潜在性硬化剤を使用した樹脂組成物の、塗料やコーティング剤の場合には、硬化剤とエポキシ樹脂が硬化時に均一に混じり合うことができないような、塗布厚みが極めて薄い部分があると、硬化膜が不均一になったり、部分的に未硬化の部分が生じたりするなどの欠点があった。
上記の欠点を解決することが可能な、完全液状の一液型エポキシ樹脂組成物としては、硬化剤として三フッ化ホウ素のアミン錯体を使用したものが知られている(特許文献1)が、この場合には、硬化時に腐食性で危険なフッ化水素ガスを発生するという欠点があった。
一方、2液型の硬化性エポキシ樹脂組成物においては、常温硬化性を良くするために、3級アミン触媒と共にチオール基を有する化合物を使用した樹脂組成物が広く知られている。これを一液型に改良した樹脂組成物として、上記3級アミンの代わりに潜在的アルカリ触媒を使用した樹脂組成物も提案されているが、この樹脂組成物は空気中の湿気や周囲の水分によって硬化するものであるので、その用途は極めて限定されていた(特許文献2)。
これに対し、硬化剤として分子内にチオール基を2個以上有するポリチオール化合物を用い、硬化促進剤として分子内に1個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に少なくとも1つの1級及び/又は2級アミノ基を有する化合物との反応物を用いることにより、保存安定性を有し、かつ優れた硬化性を有するポリチオール系エポキシ樹脂組成物も提案されている(特許文献3)。しかしながら、ここに開示された樹脂組成物の再現性が困難であるため、組成物中に溶け残りが存在するなど、実用的な組成物であると言えるものではなかった。
そこで、上記の発明の欠点を発展的に解消させる、完全液状の一液型エポキシ樹脂組成物の製造方法が提案された(特許文献4)。この方法によって得られる樹脂組成物は、エポキシ樹脂と硬化剤とが均一に混ざり合っているにもかかわらず保存安定性に優れると共に硬化性に優れ、含浸接着或いは薄膜硬化に好適であるとされている。しかしながらこの方法は従来の製造工程とは異なり複雑である上、ルイス酸性を有する化合物を使用するために、装置の耐酸性をも考慮しなければならないという欠点もあった。
したがって、従来実用している製造工程で生産することができると共に、一般の流通に耐え得る保存安定性と実用的な硬化性を有する、完全液状の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物は未だ知られていない。
そこで本発明者等は、上記未だ知られていない完全液状の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物を得るために鋭意検討した結果、特定のエポキシ樹脂、特定のイミダゾール化合物及びポリチオール化合物を組み合わせることにより、上記完全液状の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物を容易に得ることができることを見出し、本発明に到達した。
特開平9−52942号公報 特開平2−36220号公報 特開平06−211970号公報 WO2005/070991
「総説エポキシ樹脂」エポキシ樹脂技術協会編、2003年11月19日発行
したがって本発明の第1の目的は、エポキシ樹脂と硬化剤が均一に混じりあっているにもかかわらず、十分な保存安定性と優れた硬化性を有する、一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、エポキシ樹脂と硬化剤が均一に相溶しているにもかかわらず、十分な保存安定性と優れた硬化性を有し、含浸接着剤や薄膜均一塗布に好適な、完全液状の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することにある。
本発明の上記の諸目的は、(A)エポキシ樹脂成分、(B)下記一般式(II)で表されるイミダゾール化合物、及び(C)ポリチオール化合物を含有し、イソシアネート基含有化合物を含有しない組成物であって、前記(A)エポキシ樹脂成分100%中に下記平均組成式(I)で示される化合物が10〜100質量%含まれることを特徴とする一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物によって達成された。
平均組成式(I)
上式における、lは0、1又は2、mは0.1以上50未満の正数であり、Rは水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基、Rは、基:
又は、基:
であり、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は非置換若しくはフッ素置換のメチル基、nは4〜12の整数である。
一般式(II);
上記一般式(II)における、kは1〜5の整数、jは1であり、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は、炭素原子数1〜20のアルキル基若しくはアリール基を表し、Rは、kが1である場合には、基:
を表し、kが2〜5の整数である場合には、炭素原子数1〜20のアルキレン基又はアリーレン基若しくは、基:
を表し、Rは、kが1である場合には、水素原子、又は、炭素原子数1〜20のアルキル基、アリール基若しくはシアノメチル基であり、kが2〜5の整数である場合には、炭素原子数1〜20の炭化水素基である。
本発明においては、前記(A)成分であるエポキシ樹脂の5〜30質量%が、下記一般式(III)で表されるエポキシ化合物であることが好ましい。
一般式(III)
但し、上式中におけるR10及びR11は、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。
また、前記平均組成式(I)中のRは、下記の基であることが好ましい。
また、本発明においては一般式(II)中のjが1であることが好ましく、前記(C)成分であるポリチオール化合物が、ジペンタエリスリトール ヘキサ(3−メルカプトブチレート)、及び/又は、1,3,5−トリス(3−メルカブトプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンを含むことが好ましい。
更に本発明においては、(D)成分としてシランカップリング剤を含有することが好ましく、特に、該(D)成分であるシランカップリング剤が、下記一般式(IV)で表されるシランカップリング剤であることが好ましい。
一般式(IV)
但し、上式中のp及びqは0、1、2又は3を表し、p+qは3であり、R12及びR13は炭素原子数1〜4のアルキル基、R14は炭素原子数1〜20のアルキレン基又はアリーレン基、R15は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基又はアリール基、若しくは、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含むことのあるアルキル基を表す。
本発明によれば、入手容易な原料を用いて、程よい硬化特性と保存安定性とのバランスを兼ね備えた実用的な樹脂組成物が容易に得られる。特に常温で、固体の硬化剤成分を含まない完全液状の一液型樹脂組成物である場合には、作業性に優れると共に、狭所接着や含浸接着にも適した一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物が得られる。
以下、本発明の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物について詳細に説明する。
一般に、イソシアネートを含む一液型熱硬化性樹脂組成物は、吸湿した水分による硬化時の発泡や組成物の粘度上昇による特性悪化を起こす懸念があり、保存時及び取り扱い時に厳密な湿度管理が必要となるという欠点を有する。そこで本発明においては、上記の観点から、特にイソシアネート基を含有する化合物を使用しない組成物とする。
本発明に使用される(A)成分であるエポキシ樹脂としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルシノールなどの単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホニルビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンフェノール等の多核多価フェノール化合物のポリグリジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物などの多価アルコール類のポリグリシジルエーテル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族、芳香族または脂環族多塩基酸のグリシジルエステル類、及び、グリシジルメタクリレートの単独重合体又は共重合体;N,N−ジグリシジルアニリン、ビス(4−(N−メチル−N−グリシジルアミノ)フェニル)メタン、ジグリシジルオルトトルイジン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物;ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロペンタンジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の環状オレフィン化合物のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン共重合物等のエポキシ化共役ジエン重合体、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環化合物があげられる。また、これらのエポキシ樹脂は末端イソシアネートのプレポリマーによって内部架橋されたもの、あるいは多価の活性水素化合物(多価フェノール、ポリアミン、カルボニル基含有化合物、ポリリン酸エステル等)を用いて高分子量化したものでもよい。
また、前記エポキシ樹脂は、エポキシ当量が70〜3000であることが好ましく、特に90〜2000のものが好ましい。該エポキシ当量が70未満では、硬化物の物性が低下するおそれがあり、3000よりも大きい場合には、十分な硬化性が得られないおそれがあるため好ましくない。
本発明に使用される(A)成分であるエポキシ樹脂に含有される、平均組成式(I)で表される化合物は、本発明の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物が硬化した後の耐熱性及び耐薬品性のバランスをとるための化合物である。
平均組成式(I)
上式における、lは0、1又は2、mは0.1以上50未満の正数であり、Rは水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基、Rは、基:
又は、基:
であり、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、又は、非置換若しくはフッ素置換のメチル基、nは4〜12の整数である。
本発明においては、上記平均組成式(I)で表される化合物を、(A)成分であるエポキシ樹脂中に10〜100質量%含むことが、本発明の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物が硬化した後の耐熱性及び耐薬品性のバランスをとるために必要である。一般式(I)で表される化合物の含有量が10質量%より少ないと、硬化後の本発明の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物が十分な耐熱性及び耐薬品性を得ることができない。
また、本発明においては、前記平均組成式(I)中のRが下記の基であることが好ましい。
本発明で使用する(B)成分は硬化触媒として作用する成分であり、下記一般式(II)で表されるイミダゾール化合物を使用する。
一般式(II);
上記一般式(II)における、kは1〜5の整数、jは1であり、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は、炭素原子数1〜20のアルキル基若しくはアリール基を表し、Rは、、kが1である場合には、基:
を表し、kが2〜5の整数である場合には、炭素原子数1〜20のアルキレン基又はアリーレン基若しくは、基:
を表し、Rは、kが1である場合には、水素原子、又は、炭素原子数1〜20のアルキル基、アリール基若しくはシアノメチル基であり、kが2〜5の整数である場合には、炭素原子数1〜20の炭化水素基である。
本発明においては、(A)成分100質量部に対して使用する(B)成分の使用量を0.1〜10質量部とすることが好ましく、特に0.5〜5質量部とすることが好ましい。0.1質量部よりも少ないと十分な硬化性が得られず、10質量部より多い場合には、硬化後の本発明の樹脂組成物が十分な耐熱性を得ることができないなど、硬化物としての物性が低下する。
本発明で使用する(B)成分としては、例えば、下記に例示した化合物があげられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(参考)
(参考)
(参考)
(参考)
(参考)
(参考)
本発明においては、作業性及び接着性のバランスを改善するために、前記(A)成分であるエポキシ樹脂中に下記一般式(III)で表される化合物を含有することが好ましい。
一般式(III)
但し、上式中におけるR10及びR11は、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。
本発明においては、上記一般式(III)で表される化合物を、(A)成分であるエポキシ樹脂中に5〜30質量%含有することが、作業性及び接着性のバランスをとる上から好ましい。5質量%より少ないと十分な作業性及び接着性が得られない場合があり、30質量%より多いと耐熱性及び耐薬品性などの硬化物の物性が損なわれる。
本発明で使用する(C)成分のポリチオール化合物は、硬化剤として作用する化合物であり、具体的には、例えば、トリメチロールプロパン トリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトール テトラキス(チオグリコレート)、エチレングリコール ジチオグリコレート、トリメチロールプロパン トリス(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトール テトラキス(β−チオプロピオネート)、ジペンタエリスリトール ポリ(β−チオプロピオネート)等の、ポリオールとメルカプト有機酸のエステル化反応によって得られるチオール化合物のように、製造工程で塩基性物質を使用する必要のない、分子内にチオール基を2個以上有するチオール化合物;及び、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,10−デカンジチオール等のアルキルポリチオール化合物;末端チオール基含有ポリエーテル;末端チオール基含有ポリチオエーテル;エポキシ化合物と硫化水素との反応によって得られるチオール化合物;ポリチオール化合物とエポキシ化合物との反応によって得られる末端チオール基を有するチオール化合物等のように、その製造工程上反応触媒として塩基性物質を使用するものにあっては、脱アルカリ処理を行い、アルカリ金属イオン濃度を50ppm以下とした、分子内にチオール基を2個以上有するチオール化合物を挙げることができる。
反応触媒として塩基性物質を使用して製造したポリチオール化合物の脱アルカリ処理方法としては、例えば、処理を行うポリチオール化合物を、アセトンやメタノール等の有機溶媒に溶解し、希塩酸、希硫酸等の酸を加えることによって中和した後、生成した塩を抽出し及び/又は洗浄する等して除去する方法や、イオン交換樹脂を用いて吸着除去する方法、蒸留によりポリチオール化合物を分離精製する方法等が挙げられる。
本発明においては、上記チオール化合物の中でも、特に、ジペンタエリスリトール ヘキサ(3−メルカプトブチレート)、及び/又は、1,3,5−トリス(3−メルカブトプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンを使用することが、貯蔵安定性と硬化性のバランスに優れるので好ましい。
本発明における(A)成分と(C)成分の使用比率は、(チオール当量数/エポキシ当量数)換算で、通常0.2〜2.0とすることが好ましい。0.2よりも少ないと十分な速硬化性が得られない場合があり、2.0より多いと耐熱性などの硬化物の物性が損なわれる場合がある。本発明においては、硬化物の物性が安定するという観点から、上記比(チオール当量数/エポキシ当量数)が0.5〜1.5であることが好ましい。
本発明の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、含浸接着剤や薄膜均一塗布性を必要とする用途に使用する場合には、前記(A)成分と(B)成分及び(C)成分が常温で互いに相溶して均一な液状となることが必要であるが、それ以外の用途に使用する場合には、均一に混合されていればよく、常温で液状となるように、上記(A)、(B)及び(C)成分が互いに相溶することは必須の条件とはならない。
本発明の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物には、(D)成分としてシランカップリング剤を使用することが好ましい。このようなシランカップリング剤としては、例えば、一般式(IV)で表される化合物が好ましい。
一般式(IV)
但し、上式中のp及びqは0〜3の整数を表し、p+qは3であり、R12及びR13は炭素原子数1〜4のアルキル基、R14は炭素原子数1〜20のアルキレン基又はアリーレン基、R15は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基又はアリール基、若しくは、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含むことのあるアルキル基を表す。
上記一般式(IV)で表されるシランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。一般式(IV)で表されるシランカップリング剤を含む組成物は、一般式(IV)で表されるシランカップリング剤以外のシランカップリング剤を含むことができる。一般式(IV)で示されるシランカップリング剤以外のシランカップリング剤は特に制限されるものではなく、公知のものの中から適宜選択して使用することができる。
本発明においては、必要に応じて、前記イミダゾール化合物以外の硬化触媒;モノグリシジルエーテル類、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ベンジルアルコール、コールタール等の反応性又は非反応性の希釈剤(可塑剤);ガラス繊維、炭素繊維、セルロース、ケイ砂、セメント、カオリン、クレー、水酸化アルミニウム、ベントナイト、タルク、シリカ、微粉末シリカ、二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、酸化鉄、瀝青物質等の充填剤又は顔料;キャンデリラワックス、カルナウバワックス、木ろう、イボタロウ、みつろう、ラノリン、鯨ろう、モンタンワックス、石油ワックス、脂肪酸ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族エステル、芳香族エーテル等の潤滑剤;増粘剤;チキソトロピック剤;酸化防止剤;光安定剤;紫外線吸収剤;難燃剤;消泡剤;防錆剤;コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等の公知の添加物を含有してもよく、更に、キシレン樹脂や石油樹脂等の、粘着性の樹脂類を併用することもできる。
本発明の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、例えば、コンクリート、セメントモルタル、各種金属、皮革、ガラス、ゴム、プラスチック、木、布、紙等に対する塗料や接着剤;包装用粘着テープ、粘着ラベル、冷凍食品ラベル、リムーバブルラベル、POSラベル、粘着壁紙、粘着床材等に使用する粘着剤;アート紙、軽量コート紙、キャストコート紙、塗工板紙、カーボンレス複写紙、含浸紙等の加工紙に使用する樹脂;天然繊維、合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等の収束剤、ほつれ防止剤、加工剤等の繊維処理剤;シーリング材、セメント混和剤、防水材等の建築材料;電子・電気機器用封止剤等の、広範な用途に使用することができる。
次に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
下記表1に示した配合で一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物を調整し、下記の評価を実施した。なお硬化触媒の番号は、明細書に記載したイミダゾール化合物の番号である。結果は表2に示した通りである。
(ガラス転移点)
SIIナノテクノロジーズ社製の示差走査熱量計DSC6220を用いて、昇温速度10℃/分、走査温度範囲25〜300℃としてDSCチャートを測定した。更に、2次昇温を同条件で行い、熱容量の変曲点からガラス転移点を測定した。
◎:70℃以上
○:65℃〜70℃未満
△:55℃〜65℃未満
×:55℃未満
(接着性)
JIS K 6850に準拠した方法で、90℃で1時間硬化させた後の、鋼板/鋼板における剪断接着力を求めた。
◎:10MPa以上
○:5MPa〜10MPa未満
△:1MPa〜5MPa未満
×:1MPa未満
(耐膨潤性)
得られた一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物を90℃で1時間硬化させ、大きさ10mm×10mm×0.1mmの評価試験片を作製した。試験片をN−メチルピロリドン/水=1/1の溶液に浸し、60℃で1週間膨潤させた後の重量増加量を測定し、膨潤率を求めた。
◎:10%未満
○:10%〜15%未満
△:15%〜20%未満
×:20%以上
EP1:ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エポキシ当量190g/eq)
EP2:ビスフェノールFジグリシジルエーテル(エポキシ当量170g/eq)
EP3:クレゾールノボラックエポキシ樹脂(エポキシ当量160g/eq)
EP4:ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量239g/eq)

EP5:ジシクロペンタジエンジメタノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量165g/eq)
EP6:下記アミノフェノールエポキシ樹脂(エポキシ当量95g/eq)
T-1:トリメチロールプロパン トリス(3−メルカプトブチレート)
T-2:ジペンタエリスリトール ヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)
T-3:1,3,5−トリス(3−メルカブトプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン
C-1:3−グリシジルプロピル−トリメトキシシラン
C-2:3−アミノプロピル−トリメトキシシラン
本発明の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、入手容易な原料を用いて容易に得られる、程よい硬化特性と保存安定性とのバランスを兼ね備えた実用的な樹脂組成物であり、特に常温で固体の硬化性樹脂成分を含まない完全液状の一液型樹脂組成物とした場合には、作業性に優れると共に、狭所接着や含浸接着にも適しているので、産業上極めて有意義である。

Claims (8)

  1. (A)エポキシ樹脂成分、(B)下記一般式(II)で表されるイミダゾール化合物、及び(C)ポリチオール化合物を含有し、イソシアネート基含有化合物を含有しない組成物であって、前記(A)エポキシ樹脂成分100%中に下記平均組成式(I)で示される化合物が10〜100質量%含まれることを特徴とする一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物;
    平均組成式(I)
    上式における、lは0、1又は2、mは0.1以上50未満の正数であり、Rは水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基、Rは、基:
    または、基:
    であり、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は非置換若しくはフッ素置換のメチル基、nは4〜12の整数である;
    一般式(II)
    上記一般式(II)における、kは1〜5の整数、jは1であり、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は、炭素原子数1〜20のアルキル基若しくはアリール基を表し、Rは、kが1である場合には、基:
    を表し、kが2〜5の整数である場合には、炭素原子数1〜20のアルキレン基又はアリーレン基若しくは、基:
    を表し、Rは、kが1である場合には、水素原子、又は、炭素原子数1〜20のアルキル基、アリール基若しくはシアノメチル基であり、kが2〜5の整数である場合には、炭素原子数1〜20の炭化水素基である。
  2. 前記(A)成分であるエポキシ樹脂100%中の5〜30質量%が、下記一般式(III)で表されるエポキシ化合物である、請求項1に記載された一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物;
    一般式(III)
    但し、上式中におけるR10及びR11は、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。
  3. 前記平均組成式(I)中のRが下記の基である、請求項1又は2に記載された一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  4. 前記(C)成分であるポリチオール化合物が、ジペンタエリスリトール ヘキサ(3−メルカプトブチレート)、及び/又は、1,3,5−トリス(3−メルカブトプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンを含む、請求項1〜3の何れかに記載された一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  5. 更に(D)成分としてシランカップリング剤を含有してなる、請求項1〜4の何れかに記載された一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  6. 前記(D)成分であるシランカップリング剤が、下記一般式(IV)で表されるシランカップリング剤である、請求項5に記載された一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
    一般式(IV)
    但し、上式中のp及びqは0〜3の整数を表し、p+qは3であり、R12及びR13は炭素原子数1〜4のアルキル基、R14は炭素原子数1〜20のアルキレン基又はアリーレン基、R15は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基又はアリール基、若しくは、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含むことのあるアルキル基を表す。
  7. 前記(D)成分であるシランカップリング剤が、3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランからなる群の中から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項5又は6に記載された一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7の何れかに記載された一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物であって、前記(A)〜(C)の各成分が、常温で互いに相溶し、均一な液状である、一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物
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