JP6364149B1 - 自動車用クーラント基材、クーラント添加剤、クーラント及びクーラント試験装置 - Google Patents

自動車用クーラント基材、クーラント添加剤、クーラント及びクーラント試験装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6364149B1
JP6364149B1 JP2017150312A JP2017150312A JP6364149B1 JP 6364149 B1 JP6364149 B1 JP 6364149B1 JP 2017150312 A JP2017150312 A JP 2017150312A JP 2017150312 A JP2017150312 A JP 2017150312A JP 6364149 B1 JP6364149 B1 JP 6364149B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coolant
weight
automotive
various additives
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017150312A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019026797A (ja
Inventor
加藤 行平
行平 加藤
Original Assignee
加藤 行平
行平 加藤
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 加藤 行平, 行平 加藤 filed Critical 加藤 行平
Priority to JP2017150312A priority Critical patent/JP6364149B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6364149B1 publication Critical patent/JP6364149B1/ja
Publication of JP2019026797A publication Critical patent/JP2019026797A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)

Abstract

【課題】本発明では、冷却性能に優れ、金属に対する防錆性能を向上させ、長寿命の自動車用クーラントを提供すること。【解決手段】水を50%未満とし、残余を、エチレングリコールと少量のジエチレングリコールとした自動車用クーラントの基材に、添加剤として、一価カルボン酸と二価カルボン酸とを含むもの、モリブデン酸ソーダを含むもの、フッ素系界面活性剤を含むもの、リン酸有機高分子化合物を含むものを添加してなる自動車用クーラント、更に、流量計と加熱槽との間に、透明なパイプを有することを特徴とする自動車用クーラントの試験装置。【選択図】図1

Description

本発明は、一般に、自動車エンジンの冷却を行うためのクーラント、及びそのクーラントの基材、及びそのクーラントの添加剤に関し、特に防錆性にすぐれたクーラント、及びそのクーラントの基材、及びそのクーラントの添加剤に関する。
地球環境の激変が深刻な問題となりつつある今、地球人は真剣に地球環境保護に取り組まなければならない。しかし、生活環境はできる限り維持することも探究すべきである。このような中で、自動車については、究極としては燃料電池車が理想であるが、当面、ハイブリッド車のほか、従来からのエンジンによる自動車についても継続的に性能向上が求められている。
このようなエンジンの性能向上は、必ず冷却系統の負担増に直結する。そこで、冷却系統に用いられるクーラントについても、その性能の向上が望まれている。
そのようなクーラントとしては、特許文献1には、水溶性有機媒体を主成分とし、カルボン酸基を4個以上含む脂肪族多価カルボン酸および/またはその塩を含むクーラントの技術思想が開示されている。これによればアルミニウム合金製ラジエターに対して高い交換寿命を有するラジエタークーラントを提供することができる。
特開2003−342559号公報
しかしながら、特許文献1のクーラントでは、多岐にわたるクーラントに求められる要求を満たすことは困難であるという問題点がある。
すなわち、冷却系統はエンジンが高機能化されると、冷却系統すべての部位を均一に冷却する必要性が高くなる。また、高機能、軽量エンジンほど、エンジン各部位の高周波振動が激しくなるので、その対策が必要となってくる。
エンジンの冷却系統に使用されている部材は、鉄、及びその合金、銅、黄銅、アルミ、アルミ合金、合成ゴム、各種プラスチックスであり、エンジンの振動で発生する高周波振動により、静電気が発生する。発生した静電気は、各部位により異なる電位となる。
すなわち、冷却系に電位差が生じることは、即ガルバニック腐食の発生に繋がるので、防錆に対しては厳しい条件となる。特に、鉄においては、高周波振動が増加した場合に、防錆対策に十分留意しなければならない。
そこで、本発明では、冷却性能に優れ、金属に対する防錆性能を向上させ、長寿命の自動車用クーラントを提供することを課題とする。
第1の本発明は、上記課題を解決するための、自動車用クーラントの基材であって、水を50%未満とし、残余を、エチレングリコールとジエチレングリコールとを15:1から53:1の間の比率としたことを特徴とする。
ここでは、添加剤を添加する前の比率であり、添加剤添加後の自動車用クーラントにおける比率とは異なる。
これによれば、グリコール類による不凍効果が十分に発揮でき、更に、水の比率を抑えたことにより、水単独での蒸発を抑制することができ、金属の酸化を防止することができる。
第2の本発明は、上記課題を解決するための、自動車用クーラントの添加剤であって、一価カルボン酸と二価カルボン酸とを含むことを特徴とする。
これは、第1の本発明のクーラント基材に添加することが望ましいが、それには限定されず、一般に使用されるクーラント基材に添加してもよい。これは、以下の添加剤についても同様である。
なお、一価カルボン酸と二価カルボン酸との比率は、1:1程度が好ましいが、それに限定されるものではない。
これによると、これらのカルボン酸は、一般に金属の腐食防止用に用いられており、クーラントに添加することによって、防錆効果が得られる。
第3の本発明は、上記課題を解決するための、自動車用クーラントの添加剤であって、モリブデン酸ソーダを含むことを特徴とする。
これによると、モリブデン酸ソーダは、金属が複合して使用されている場所に、適量を添加することで、異常な金属腐食の発生がほとんど皆無に近くなる。
第4の本発明は、上記課題を解決するための、自動車用クーラントの添加剤であって、フッ素系界面活性剤を含むことを特徴とする。
これによると、高分子フッ素系界面活性剤は、液体と固体の界面で、表面張力を顕著に降下させる効果が大きい。高性能のエンジンは、高周波振動の巣窟のような状態で、冷却面には真空が無数に発生している。この現象によるダメージを極限まで回避する方法として、液の表面張力をフッ素系の高分子界面活性剤によって降下させ、金属が酸化する機会を大きく抑制している。
第5の本発明は、上記課題を解決するための、自動車用クーラントの添加剤であって、分子量の大きなリン酸有機化合物を含むことを特徴とする。
これによると、有機リン酸エステルなどの分子量の大きなリン酸有機化合物で、リン酸の含有量が少ないものを添加することによって、リン酸と反応した鉄が、分子量の大きなリン酸有機化合物側に付くようにしたため、金属表面側にはリン酸鉄(電気的不導体)を生成しない。これによって、電位差を生じないようにして、金属腐食を防止する効果を奏する。
第6の本発明は、上記課題を解決するための、自動車用クーラントの添加剤であって、消泡剤を含むことを特徴とする。
特に、80℃以上で発生した泡を消す作用を有するものが望ましい。
第7の本発明は、上記課題を解決するための、自動車用クーラントであって、第1の発明のクーラント用基材に、第2から第6の本発明の少なくともいずれか1のクーラント用添加剤を加えてなることを特徴とする。
これによると、これまで述べてきた、クーラント用基材、クーラント用添加剤の効果を併せて奏することができる。
第8の本発明は、上記課題を解決するための、第7の本発明の自動車用クーラントであって、希釈を行わない固定処方であることを特徴とする。
これは、従来の不凍液規格では、原液の性状を規定し、実際使用に当たっては、原液を水と希釈して使用するように規定しているが、最近の厳しい環境問題と苛酷なエンジンの作動要件では、クーラント(冷却液)に対する要求性状が厳しくなり、固定した水を含むクーラントが望ましいため、希釈しない固定処方とした。
但し、適切に希釈の管理がなされれば、最終的にこの比率となるように希釈される原液であってもよい。
第9の本発明は、上記課題を解決するための、第7または第8の本発明の自動車用クーラントの試験装置であって、流量計と加熱槽との間に、透明なパイプを有することを特徴とする。
このようにすると、自動車用クーラントの試験の際に、泡の大きさを目視で確認することができ、クーラントの評価が容易となる。
本発明の自動車用クーラント基材、自動車用クーラント添加剤、または自動車用クーラントによれば、冷却性能に優れ、金属に対する防錆性能を向上させ、長寿命の自動車用クーラントを提供することができる。
本発明の一実施形態のクーラント試験装置の構成図である。
本発明の、最も好適な配合の、自動車用クーラントは、次のとおりである。
自動車用クーラントの状態として、重量パーセントが
基準 最適範囲 好適範囲
水 45 42−47 40−49
エチレングリコール 49 47−51 45−53
ジエチレングリコール 2 1.5−2.5 1− 3
各種添加剤 4 3.5−4.5 3− 5
この状態では、添加剤を除いたクーラント基材の基準の構成では、水は46.9%で、エチレングリコール:ジエチレングリコールは、24.5:1となる。
次に、各種添加剤の比率は、添加剤合計を100として、
基準 最適範囲 好適範囲
一価合成カルボン酸 27 22−32 18−36
二価合成カルボン酸 27 22−32 18−36
苛性ソーダ 20 16−24 12−28
銅用防錆剤 10 6−14 2−18
混合酸化防止剤 10 6−14 2−18
モリブデン酸ソーダ 2 1.4−2.6 1.0−3.0
分子量の大きなリン酸有機化合物 2 1.4−2.6 1.0−3.0
フッ素系界面活性剤 1 0.6−1.4 0.2−1.6
消泡剤 1 0.6−1.4 0.2−1.6
が望ましい。
ここで、不凍液規格では、原液の性状を規定し、実際使用に当たっては、30%〜55%の不凍液濃度に水と希釈して使用するように規定しているが、最近の厳しい環境問題と苛酷なエンジンの作動要件では、クーラントに対する要求性状が厳しくなり、固定した水を含むクーラントの必要性が高くなった。
即ち最近の、特にディーゼルエンジンに適応するクーラントは、不凍効果はクーラントに期待する効果の一部に過ぎず、エンジン冷却システムとして最適の温度を維持すると共に、高周波振動の巣とも言えるエンジン冷却面を保護し、冷却効果を最大に発揮する性能を維持しなければならない。
そこで、希釈を行わない水を含んだ固定配合比率のクーラントが望ましくなっている。ここで、水を47.4%(すなわち、50%未満)としたことは、水を加えることにより、エチレングリコールの凍結点(凝固点)が大幅に下がることは知られており、不凍液としての効果を発揮できると共に、水の比率を抑えることで、水のみが蒸発し水蒸気になる機会を抑制している。これにより、金属表面が酸化する機会を大きく抑制している。特に、水単独の蒸発を抑制するには、水の比率が50%を明らかに割り込むことが望ましい。
ジエチレングリコールは、少量を添加することによって、水のエチレングリコールに対しての溶解性を改善することができる。その結果として、クーラントの凝固点を下げることができる。
次に、具体的な製造工程を説明する。
工程A:一価合成カルボン酸を少量のエチレングリコールで溶解する。
工程B:モリブデン酸ソーダを少量の水で透明に溶解する
工程C:消泡剤を少量のブチルトリグリコールエーテルで溶解する。
工程D:分子量の大きなリン酸有機化合物をエチレングリコールまたは水で溶解する。
工程E:フッ素系界面活性剤を、エチレングリコールまたは水で溶解する。
工程F:混合酸化防止剤を、エチレングリコールまたは水で溶解する。
工程G:残りの水に苛性ソーダを入れ、所定時間経過後、銅用防錆剤を入れる。
工程H:工程Gの生成物に、工程A〜工程Fの生成物を投入する。
工程I:残りのエチレングリコールに二価合成カルボン酸とジエチレングリコールを投入する。
工程J:工程Hの生成物を、少しずつ工程Iの生成物に混入する。
グリコール類(エチレングリコール+ジエチレングリコール)の比率が水より多い「グリコールリッチ」の状態で、しかも、このような工程で混合することによって、グリコール類の中に水が取り込まれる、いわゆるウォーターインオイルのような状態が実現できる。
次に、各添加剤の特質と効果について説明する。
一価合成カルボン酸は、イソナノン酸(C18 )(商品名キョーワノイック−N)が望ましいが、これに限定するものではない。また、二価合成カルボン酸は、
ドデカンニ酸 C1222 または HOOC(CH10COOH あるいは
セバシン酸 C1018 または HOOC(CHCOOH
で、好適なのは、ドデカン二酸とセバシン酸をほぼ等量に併用することで、副作用が消えていく。これは、セバシン酸は異性体があって違う働きをする場合があるので、セバシン酸だけでは期待する目的を達成することができない場合があり、ドデカン二酸を加えることが好ましいが、これに限定するものではない。
合成カルボン酸は、一般的に金属の総合防錆剤として広く使用されており、クーラント基材に添加することで防錆効果が得られる。但し、エンジンクーラントの使用条件で検討すると、金属腐食を起こす恐れもあり、特に銅イオンにたいして反応する場合の頻度が高いので、一定量以上使用しないことが望ましい。なお、一価と二価の合成カルボン酸を等量で組み合わせたのは、実験結果の解析より採用した。
銅用防錆剤については、銅の防錆剤にはベンゾトリアゾールと、トリルトリアゾールが広く使用されているが、エンジンクーラントの使用条件で実験を繰り返すと、ベンゾトリアゾールの場合は条件により、銅に対して攻撃性が激しく起こる事象が確認される。
その場合、機器分析では、アルカノールアミンの存在を示す反応が現れる場合があり、トリルトリアゾールのみを使用した場合では、そのような現象は起きにくい。以上の結果から、トリルトリアゾールのみを、銅に対する防錆剤として採用した。
混合酸化防止剤については、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)が好適であるがこれに限定されるものではない。エンジンクーラントの作動条件として、冷却系統内表面の温度が非常に高く、クーラントの流速が速いので、液温を主体にして考えた方が合理的と考える。
酸化防止剤は、自己犠牲タイプであり、高温用になる程、副作用が懸念される。液温は、現在主流の加圧タイプでも105℃以下であることから、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)を主体として考える。
なお、酸化防止剤は必要以上に添加すると、必要以上に分解し、本体に害を及ぼす懸念が大きい。従って酸化防止剤は、一回に一定量以上は添加できないことから、定期的に追加添加する必要がある。
モリブデン酸ソーダは、金属が複合して使用されている場所に、先に述べた量を添加すると、異常な金属腐食の発生がほとんど皆無に近くなる。
ここで、モリブデン酸ソーダを適量使用すると、鉄、アルミの表面を保護する効果がある訳であるが、適量の範囲は狭いため、原液タイプで、希釈する場合には、量の特定ができないため、使用が難しいが、希釈の必要のない固定処方タイプでは、容易に使用できる。
なお、モリブデン酸ソーダは、環境汚染の恐れが指摘されているが、長寿命のクーラントであれば、廃棄時に注意することで環境問題は起こらない。
苛性ソーダについては、無機アルカリとしては一般的に苛性ソーダと苛性カリがあるが、苛性ソーダを使用する。苛性カリについては、実用実験において、異常値が発生する場合が目につき、その原因解析が特定できない場合が多い。一方、一般に苛性カリは水が少ない場合、苛性ソーダに比して表面張力が低いと言われるが、このクーラントの場合は、水が十分あるので苛性ソーダで問題はない。
なお、苛性ソーダを添加する目的は、これまでに述べた添加剤のほとんどが弱酸性であるので中和することである。
フッ素系界面活性剤については、サーフロン(登録商標、AGCセイミケミカル社)が好適であるが、それに限定されるものではない。フッ素系界面活性剤には、液体と固体の界面で、表面張力を顕著に降下させる効果が大きい。
近年の高性能エンジンは、高周波振動の巣窟のような状態で、冷却面には真空が無数に発生している。この現象によるダメージを極限まで回避する方法として、液の表面張力をフッ素系の高分子界面活性剤による降下と、クーラント基材に含まれる水の濃度を50%未満に抑え、添加剤を、液と親和性の高い物質のみを選択することで、水のみが蒸発し、水蒸気になる機会を極限まで抑制する。この対策で、金属が酸化する機会を大きく抑制している。
分子量の大きなリン酸有機化合物については、有機リン酸エステル、例えば、SC有機化学株式会社のChelexTD(トリイソデシルホスファイト)、ChelexOL(トリオレイルホスファイト)などが好適であるが、これに限定されるものではない。分子量の大きなリン酸有機化合物に占めるリン酸の質量を、好ましくは10分の1以下、より好ましくは20分の1以下にする。
ここで、従来は、クーラントにおける鉄防錆は、鉄金属表面にリン酸鉄の被膜を薄く均一に形成させることで対応していたが、リン酸鉄を極薄く均一に皮膜形成させることは極めて困難で、電位差を生じさせることが多かった。
本発明では、微量のリン酸を含有する分子量の大きなリン酸有機化合物を用いたことで、リン酸と反応した鉄を、金属表面側ではなく、分子量の大きなリン酸有機化合物側に結合させるようにした。
実用実験では、金属表面にリン酸鉄の痕跡はないし、液側にごく僅かの沈殿が認められたが、クーラントの性能には何ら影響がなかった。
消泡剤については、80℃以上で発生する泡を消すことができるものが望ましく、プルルニックL−61(商品名)が好適であるが、これに限定されるものではない。
なお、先に述べた組成には含まれないが、添加剤として、少量の硝酸ソーダを添加してもよい。硝酸ソーダの添加は、アルミ及びアルミ合金を安定的に保護することに有効である。
アルミの防錆については、種々あるがアルマイト加工にしても窒化処理にしても、被膜形成物がアルミと電位差が大きく異なり、冷却系等の流体とアルミが接触するケースでは困難な条件が多く、硝酸ソーダを微量添加する方法が、実用実験では最も信頼性が高い。
本発明で特に留意した事項は、耐用年数を伸ばす方法として冷却系統内面の金属に防錆被膜を形成する方法は採らず、界面にクーラントをできる限り密着させて、酸素の接触を避ける方法を前提に処方を考案した。
しかし、酸素の接触を0にすることは、出来ないのが現実であり、鉄に対しては、極少量の鉄イオンの生成を前提に、分子量が大きくて少量のリン酸が結合しているリン酸有機化合物(界面活性剤)を添加して、クーラント側に捕集する方法を採用した。
このような観点から処方を組む時、使用中、定期的(例えば3年毎、あるいは5年毎など)に追加しなければならない添加剤がある。酸化防止剤については、自己犠牲タイプの薬剤であり、また一回に添加可能な量が少ないし、また添加量が多いと弊害も出て来るので、一回の添加量は、できるだけ少ない方が好ましい。
カルボン酸は、最初に処方した量で、基本的には10年程度は耐えると考えている。
銅の防錆剤(トリルトリアゾールなど)も、銅の他の物質と錯体を作り易い性質から、消耗の多い添加剤である。従って定期的に添加を必要とする添加剤である。
モリブデン酸ソーダ、分子量の大きなリン酸有機化合物(界面活性剤)は4〜5年は補充する必要はないと考えているが、更に長く使用する場合は、残存する量を測定してから添加する方法が好ましい。
<実験結果>
フッ素系の界面活性剤を処方しているのは、エンジン冷却内面は、若干の空気を含むことが避けられないので、この空気の粒子を最小にすることで、冷却面に空気が直接接触する事を避けることができる。このことにより、冷却効果を高めることができる
より詳細には、液体が気体になる時、潜熱を奪う。液中の気体は泡状態になり、泡が小さくてたくさんある方がすぐつぶれるので、その熱をたくさん奪うことになる。冷却液の液中に発生する泡を小さくてたくさん作るためにフッ素系の界面活性剤を入れることが好ましい。
更に、現在のラジエーターの構造は、1.5気圧前後の加圧式になっており、圧はリザーブタンクのところにあるバルブで調整している。エンジン燃焼室の温度は高くなっており、エンジンの燃焼室に接した冷却液には、エンジンの熱により液中に気体が発生する。上述の通り冷却液中に発生する気泡の粒は小さい方がいいので、フッ素系の界面活性剤を入れることが好ましい。
実際に、現在の不凍液規格(JIS K2234)にある循環腐食試験装置を改造して本発明のクーラントの効果を検証することとした。
図1は、本発明のクーラントの試験装置1であり、上記JISに示された装置を改良して用いている。
この試験装置1は、細部はJISによるが、図示しない組立試験片を組込んだ加熱槽11からラジエター12、ウォーターポンプ13、流量計14をクーラントが循環するようになっており、ここで、流量計14と加熱槽11との間に、強化ガラス製のパイプ15.及び/または耐熱ガラス製のパイプ16を設置する。更にこれらのパイプを、内部を観察できるように透明にする。なお、透明部材はガラスには限定されない。
このような装置で各種の条件で試験液(クーラント相当)を流し、温度、流速を変化させて観察すると、フッ素系界面活性剤を処方した液は、泡の直径が小さくなるために、液の着色が濃くなり、試験機に装着した温度計の温度が低くなる。なお、この試験では液を循環させると必ず液中に泡が観察される。
具体的な試験方法として、試験液を循環するモーター17に図示しない変速機を装備しておき、1日8時間の試験時間内の各1時間において、55分間を500回転で作動させた後、5分間変速機を作動させて1,000回転にして、5分後また500回転に戻し、これを8時間繰り返すことが好ましい。なお、今後の可能性として作動条件を変えることはあり得る。
フッ素系の界面活性剤に注目したのは、他の界面活性剤を処方した場合は、繰り返し試験をした場合に結果にバラツキが多く、耐熱性に問題を感じたことと、有効濃度がフッ素系界面活性剤を使用した場合の10倍以上あるので、新たに副作用と考えられる現象が起きる場合もあるためである。
更に、金属腐食試験は、規格試験(連続加熱試験)より、8時間加熱16時間放置を90日乃至120日繰り返す試験の方が試験片に与える影響が実際に即していると考える。
現在の内燃機関は、静電気発生の巣のような状態で、エンジン内面に防錆被膜を作ることは、エンジン内面に電位差のデパートを造る様な感じでガルバニック腐食を簡単に起こす結果となる。
鉄については、空気(酸素)を触れさせない工夫として、カルボン酸塩で覆い、万一鉄イオンが発生したら液側にキャッチする目的で、分子量の大きなリン酸有機化合物を処方したものである。
これに従って処方したクーラント(冷却液)の評価方法として、種々の考案を思索し、実験室的方法を試みた結果、次の結論を得た。
1)JIS規格等公的規格の試験方法では、結果の促進方法として、連続加熱方法と、連続的空気吹込み方法を採用し、試験液としては、サンプルを指定した混合割合の腐食液を容量比で30%に希釈した液を使用することになっている。
今回は、希釈せずそのまま使用する液の試験であることと、現在のラジエターの構造は、全てのラジエターが加圧タイプであり、かつ空気が遮断されているタイプであるので、空気の吹込みは削除することとした。
試験方法として、JIS規格では、連続加熱する方法を採用しているが、実際使用では、あり得ないことで、今回は8時間加熱、16時間放置の繰り返しと、従来のJIS規格では、LLC(ロングライフクーラント)では720時間となっているのを、今回は、2ケ月間、3ケ月間、4ケ月間、5ケ月間を試験期間とした試験を実施し、JIS法の試験方法と比較した。
結果として、3ケ月間以降は、結果に有意差は無いと判断した。しかし、この試験方法で全ての処方をカバーしているかどうかについて証明出来るものではないが、この処方に近似した処方では、安定した結果が得られた。
2)この処方が、従来の処方に対して優位性を持っていると考えている点は、鉄に対する防錆方法として、現在のエンジンの特性として、非常に静電気の起き易い高周波振動の巣とも言える性質を持っているので、皮膜を作ることで防錆することは、電気化学的に電位差が生地の金属と同じであれば問題ないが、現実にはあり得ない。
特に、鉄については条件を満足しないとガルバニック腐食の巣と化し大きなダメージを起こす結果になり、エンジンが修復不能になるという問題があるため、注意が必要である。
なお、これまで説明した実施例は、クーラント基材、及びクーラント添加剤の基準となる配合比率であるが、この比率に限定されることなく、各々、最適範囲であれば、ほぼ同等の効果を奏し、好適範囲であれば、それなりの効果を奏する。
また、添加剤の種類を減少したり、増加したりしてもよく、その場合には、当然、配合比率も変動することがあり得る。
1 クーラント試験装置
11 加熱槽
12 ラジエター
13 ウォーターポンプ
14 流量計
15 強化ガラスパイプ
16 耐熱ガラスパイプ
17 モーター

Claims (7)

  1. 水 42−47重量%、
    エチレングリコール 47−51重量%、
    ジエチレングリコ―ル 1.5−2.0重量%、
    各種添加剤 3.5−4.5重量%からなる自動車用クーラントであって、
    前記各種添加剤の総量に対して、
    リン酸有機化合物であって該化合物に占めるリン酸の質量が10分の1以下である化合物1.4−2.6重量%を含む、希釈を行わない固定処方であることを特徴とする自動車用クーラント。
  2. 水 42−47重量%、
    エチレングリコール 47−51重量%、
    ジエチレングリコ―ル 1.5−2.0重量%、
    各種添加剤 3.5−4.5重量%からなる自動車用クーラントであって、
    前記各種添加剤の総量に対して、
    有機リン酸エステル1.4−2.6重量%を含む、希釈を行わない固定処方であることを特徴とする自動車用クーラント。
  3. 更に、前記各種添加剤の総量に対して、一価合成カルボン酸22−32重量%及び二価合成カルボン酸22−32重量%を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動車用クーラント。
  4. 更に、前記各種添加剤の総量に対して、フッ素系界面活性剤 0.6−1.4重量%を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動車用クーラント。
  5. 更に、前記各種添加剤の総量に対して、モリブデン酸ソーダ 1.4−2.6重量%を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動車用クーラント。
  6. 更に、前記各種添加剤の総量に対して、80℃以上で発生する泡を消すことができる消泡剤 0.6−1.4重量%を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動車用クーラント。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の自動車用クーラントの試験装置であって、流量計と加熱槽との間に、透明なパイプを有することを特徴とする自動車用クーラントの試験装置。
JP2017150312A 2017-08-03 2017-08-03 自動車用クーラント基材、クーラント添加剤、クーラント及びクーラント試験装置 Active JP6364149B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017150312A JP6364149B1 (ja) 2017-08-03 2017-08-03 自動車用クーラント基材、クーラント添加剤、クーラント及びクーラント試験装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017150312A JP6364149B1 (ja) 2017-08-03 2017-08-03 自動車用クーラント基材、クーラント添加剤、クーラント及びクーラント試験装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6364149B1 true JP6364149B1 (ja) 2018-07-25
JP2019026797A JP2019026797A (ja) 2019-02-21

Family

ID=62976655

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017150312A Active JP6364149B1 (ja) 2017-08-03 2017-08-03 自動車用クーラント基材、クーラント添加剤、クーラント及びクーラント試験装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6364149B1 (ja)

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS562383A (en) * 1979-06-15 1981-01-12 Borg Warner Polymer composition containing filler which automatically adds corrosion preventive to cooling liquid system
JPS5959887A (ja) * 1982-09-24 1984-04-05 ビ−エイエスエフ・ワイアンドツト・コ−ポレイシヨン 有機シリコ−ンスルホネ−ト及びシリケ−トの共重合体を含有する内燃機関の冷却系統用不凍濃縮液及び冷却剤
JPS60243185A (ja) * 1984-05-17 1985-12-03 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co Ltd 自動車エンジン用不凍液
JPH05504000A (ja) * 1990-04-19 1993-06-24 ロング マニュファクチュアリング リミテッド 冷却液の腐蝕性表示器
JPH0633274A (ja) * 1992-07-01 1994-02-08 First Brands Corp 循環不凍液/冷却剤の再腐食防止方法
JP2002332479A (ja) * 2001-05-11 2002-11-22 Ipposha Oil Ind Co Ltd 冷却液組成物
JP2007269830A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Honda Motor Co Ltd マグネシウムまたはマグネシウム合金用不凍液/冷却液組成物
JP2014533308A (ja) * 2011-10-21 2014-12-11 シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド クーラント製剤
JP2015154770A (ja) * 2006-02-10 2015-08-27 デユポン・テイト・アンド・ライル・バイオ・プロダクツ・カンパニー・エルエルシー 再生ベースの生分解性1,3−プロパンジオールを含む生分解性組成物
JP2016511786A (ja) * 2013-02-13 2016-04-21 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 防食性を有する凍結防止濃縮物およびそれから製造される水性冷却剤組成物

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS562383A (en) * 1979-06-15 1981-01-12 Borg Warner Polymer composition containing filler which automatically adds corrosion preventive to cooling liquid system
JPS5959887A (ja) * 1982-09-24 1984-04-05 ビ−エイエスエフ・ワイアンドツト・コ−ポレイシヨン 有機シリコ−ンスルホネ−ト及びシリケ−トの共重合体を含有する内燃機関の冷却系統用不凍濃縮液及び冷却剤
JPS60243185A (ja) * 1984-05-17 1985-12-03 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co Ltd 自動車エンジン用不凍液
JPH05504000A (ja) * 1990-04-19 1993-06-24 ロング マニュファクチュアリング リミテッド 冷却液の腐蝕性表示器
JPH0633274A (ja) * 1992-07-01 1994-02-08 First Brands Corp 循環不凍液/冷却剤の再腐食防止方法
JP2002332479A (ja) * 2001-05-11 2002-11-22 Ipposha Oil Ind Co Ltd 冷却液組成物
JP2015154770A (ja) * 2006-02-10 2015-08-27 デユポン・テイト・アンド・ライル・バイオ・プロダクツ・カンパニー・エルエルシー 再生ベースの生分解性1,3−プロパンジオールを含む生分解性組成物
JP2007269830A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Honda Motor Co Ltd マグネシウムまたはマグネシウム合金用不凍液/冷却液組成物
JP2014533308A (ja) * 2011-10-21 2014-12-11 シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド クーラント製剤
JP2016511786A (ja) * 2013-02-13 2016-04-21 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 防食性を有する凍結防止濃縮物およびそれから製造される水性冷却剤組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019026797A (ja) 2019-02-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101319134A (zh) 不含乙二醇的长效冷却液
EP3237571B1 (en) Coolant composition, method of operating internal combustion engine using the same, and use of the same
US5997763A (en) Corrosion inhibiting antifreeze compositions containing various carboxylic acids
US20080048147A1 (en) Glycerin systems
JP3571344B2 (ja) 非水系熱伝達流体
CN107118748B (zh) 改性石墨烯丙二醇型发动机冷却液
CN101948676A (zh) 一种高储备碱度发动机冷却液
CN108350345B (zh) 含硅酸盐的冷却剂浓缩物
CA2762976C (en) Hot test fluid containing vapor phase inhibition
JP2004513982A (ja) 無水伝熱流体およびその使用方法
JP2007511646A (ja) 凍結および腐食に対する無毒性水性溶液および利用された凍結防止剤の再生剤
JP2010235889A (ja) 冷却液組成物
JP6364149B1 (ja) 自動車用クーラント基材、クーラント添加剤、クーラント及びクーラント試験装置
RU2751880C2 (ru) Рецептура охлаждающей жидкости
Huy et al. The Development of Corrosion Inhibitor Used in the Automotive Coolant
CA3021440A1 (en) Viscometric properties improver
JP7111588B2 (ja) 冷却液組成物
JP2013253198A (ja) 冷却液組成物及びこれを用いた内燃機関の運転方法
US20040099839A1 (en) Non-aqueous heat transfer fluid and use thereof
CN106753274A (zh) 一种耐低温汽车防冻液
JP2001158878A (ja) 冷却液組成物
JP6970037B2 (ja) 冷却液組成物
KR102036518B1 (ko) 장수명 태양열 열매체 조성물
KR101296849B1 (ko) 글리세린 부동액 조성물
CN105567348A (zh) 一种甲醇汽油腐蚀抑制剂

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180511

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180615

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180630

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6364149

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250