以下、本発明におけるリモコン電子マネー課金システム(以下、単に課金システムという)の好ましい実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なおここでは、特に病院に設置された課金システムについて詳しく説明する。
本発明の実施例1における前精算方式の課金システムについて、図1は、病院向け課金システム1の外観構成を示したものである。同図において、課金システム1は、複数の病室内部Aに各々設置される課金装置2や、遠隔操作機器として専用のIR送受信機機能を有するリモコン3や、電源制御部4の他に、病室外部Bに設置されるリモコン入金機5とリモコン精算機6を備えて構成される。リモコン入金機5は好ましくは複数台用意され、例えば病院の各階に各々設置される。リモコン精算機6は、データを一元管理するのに例えば病院の出入り口に一台だけ単独に設置される。
病室内部Aには、課金装置2によりその動作が制御されるテレビ7や冷蔵庫8が設置される。そして、テレビ7の下部に課金装置2を一体的に装着した状態で、課金装置2、電源制御部4、テレビ7および病室冷蔵庫8が、病室内部Aの病床毎に設置された移動可能な床頭台(図示せず)に収容保持される。
テレビ7は、リモコン3からの赤外線信号を受信するIR(赤外線)受信部11を備え、課金装置2とテレビ7は無線または有線の通信手段13で直接接続される。また本実施形態のテレビ7は、テレビ7の動作状態を検出するテレビ動作検出部15と、課金装置2からの制御信号に応じて、リモコン3からの赤外線信号の受入れを許可または禁止するテレビ動作制御部16を、それぞれ内蔵する。なお、テレビ7自体にテレビ動作検出部15が組み込まれていない場合、図示しない電源コンセントとテレビ7の電源プラグとの間に、テレビ7に流れ込む電流値を検出する負荷電流検出手段を、テレビ7に外付けのテレビ動作検出部15として設けてもよい。その詳細は、特許第3760466号公報に開示されている。
電源制御部4は、電源コンセントと冷蔵庫8の電源プラグとの間に設けられ、課金装置2からの制御信号を受けて、冷蔵庫8への電源供給を許可または禁止するものである。冷蔵庫8は周知のように、庫内に収容した物品を低温で保管するもので、電源制御部4は冷蔵庫8以外にも、様々な負荷の電源供給を制御することが可能である。
課金装置2は、リモコン3やテレビ7との双方向通信を可能にするIR送受信部17を備え、他に表示部として、冷蔵庫8の使用可能な期間を日数で表示する日数表示器18や、テレビ7の視聴可能な期間を電子マネーの残金額として表示する残金表示器19などを備えている。本実施形態では、課金装置2とリモコン3との間で、赤外線信号による各種データの送受信が行われる構成となっており、リモコン3はテレビ7のみならず、課金装置2との間でも赤外線通信を可能とする専用リモコンとなっている。
リモコン入金機5は、課金システム1の利用者である患者が、リモコン3を用いて現金を電子マネーに交換する際に利用する機器である。リモコン入金機5の正面には、リモコン3を着脱自在に挿入できるリモコン挿入口21や、現金の投入口となる紙幣入口22が配設され、また表示部として、リモコン3に電子マネーとして入金された金額を表示するリモコン金額表示器25や、紙幣入口22に投入された紙幣の総額を表示する投入金額表示器26が配設される。
リモコン精算機6は、患者の退院時などに、リモコン3にチャージされた電子マネーを精算して現金に交換する際に利用する機器である。リモコン精算機6の正面には、リモコン3を着脱自在に挿入できるリモコン挿入口31や、精算時に押動操作される精算ボタン32や、リモコン3に記憶された電子マネーに相当する残金額を表示する表示部としての精算金額表示部33や、残金額を硬貨として払出出力する硬貨払出口34が設けられる。
図1に示すリモコン入金機5やリモコン精算機6は、交換機としてそれぞれ別体に設けられているが、これらは一体でも構わない。また、現金以外の有価媒体を電子マネーの代替品としてもよい。さらに図示しないが、紙幣入口22に投入された現金や、硬貨払出口34から排出される現金の受取りを証明するために、紙による領収書を出力するレシート出力ユニットを、リモコン入金機5やリモコン精算機6にオプションで装備してもよい。
図2は、図1に示すリモコン3単体の正面図である。本実施形態におけるリモコン3は、主にテレビ7を遠隔操作するためのテレビ操作体として、電源キー41、地上波放送チャンネルのダイレクト選局キー42、病院案内用のSDキー43、衛星デジタル放送チャンネルの選局切替キー44、音量調整キー45、外部入力切替キー46、字幕キー47、画面表示キー48、消音キー49、カーソルキー50、決定キー51、番組表キー52、戻るキー53をそれぞれ備え、主に課金装置2を遠隔操作するための課金装置操作体として、退院キー54、返金キー55、送金キー56、冷蔵庫予約キー57、冷蔵庫予約戻しキー58をそれぞれ備えている。その他にリモコン3は、リモコン3にチャージされた電子マネーを、リモコン残金として表示する残金表示器59や、赤外線通信のための受光素子や発光素子を含むIR送受信部60などを備えている。なお、図2に示すリモコン3の各部の配置や形状は、適宜変更が可能である。
図3は、リモコン3の電気的構成を示したものである。リモコン3は、例えばマイクロコンピュータのCPUにより構成されるリモコン制御部65を備え、このリモコン制御部65に、操作部67と、表示部68と、計時部69と、IR送受信部60と、外部機器接続部70と、電子マネー記憶部71と、履歴情報記憶部72と、識別子記憶部73がそれぞれ接続される。操作部67は、図2に示す各種キー41〜58に相当するもので、表示部68は、図2に示す残金表示器59に相当するものである。外部機器接続部70は、リモコン入金機5やリモコン精算機6との間で、各種データをやり取りするためのもので、本実施形態では非接触のIR送受信部60と一体化して構成されるが、例えばコネクタなどのIR受信部60とは別な部品でもよい。計時部69は、時刻をカウントした時刻データをリモコン制御部65に出力するもので、この時刻データは、例えばリモコン3により電子マネーの入出金処理を行なった日付時刻を決定するのに用いられる。
リモコン記憶部を構成する電子マネー記憶部71と、履歴情報記憶部72と、識別子記憶部73は、電子マネーと、履歴情報と、識別子をそれぞれ記憶するものである。電子マネーは、課金システム1において現金と同等の価値を有する数値データで、ここでは便宜上、現金と同じ金額単位(円)であるとして説明する。履歴情報記憶部72に記憶保持される履歴情報は、テレビ7や冷蔵庫8を含む課金対象の全ての機器の使用履歴をデータ化した機器履歴情報の他に、そのリモコン3自体の使用履歴をデータ化したリモコン履歴情報を含んだデータである。機器履歴情報には、各機器の項目別に利用した金額や日時が含まれており、リモコン履歴情報には、リモコン3で入出金処理を行なった時の金額や日付時刻が含まれている。識別子は、病床毎に設けられた複数の課金装置2やリモコン3を個々に識別するためのデータで、リモコン3の識別子記憶部73には、そのリモコン3に固有の識別子であるリモコン識別子と、IR送受信部60を通して通信が確立された課金装置3の識別子である課金装置識別子が、それぞれ記憶保持される。
リモコン記憶部にはその他に、コンピュータによるリモコン制御部65を、電子マネー制御処理部75と、履歴情報制御処理部76と、識別子制御処理部77の各手段として機能させるためのプログラムが記憶保持される。つまりリモコン制御部65は、リモコン3の各部を所定の手順で動作させるために、電子マネー制御処理部75と、履歴情報制御処理部76と、識別子制御処理部77と、をそれぞれ備えている。
電子マネー制御処理部75は、課金装置2や、リモコン入金機5や、リモコン精算機6との間で電子マネーを受け渡す機能や、リモコン3内部で電子マネーを演算処理する機能を有する。また電子マネー制御処理部75は、電子マネー記憶部71に記憶する電子マネーから換算した金額を、残金表示器59に表示させる表示制御部としての機能も備えている。
履歴情報制御処理部76は、課金装置2やリモコン精算機6との間で機器履歴情報を受け渡す機能や、計時部69からの時刻データと、前述した電子マネーの受け渡しに基づいて、リモコン3自体のリモコン履歴情報を生成し、これを履歴情報記憶部72に記憶させる機能を有する。
識別子制御処理部77は、課金装置2との間で識別子を受け渡す機能や、IR送受信部60を通して受信した課金装置2からの課金装置識別子と、識別子記憶部73に記憶した課金装置識別子との比較により、その課金装置2との間でデータのやり取りを行なうか否かを判別する機能を有する。
図4は、課金装置2の電気的構成を示したものである。課金装置2は、例えばマイクロコンピュータのCPUにより構成される課金装置制御部81を備え、この課金装置制御部81に、表示部82と、計時部83と、IR送受信部17と、課金対象機器接続部85と、電子マネー記憶部86と、履歴情報記憶部87と、識別子記憶部88がそれぞれ接続される。表示部68は、図1に示す日数表示器18と残金表示器19に相当するものである。課金対象機器接続部70は、電源制御部4やテレビ7の通信ユニット12への接続を可能にするもので、ここではテレビ動作検出部15からの動作検出信号を受け取り、またテレビ7や冷蔵庫8の動作を制御する制御信号を送り出すのに設けられる。計時部83は、時刻をカウントした時刻データを課金装置制御部81に出力するもので、その時刻データは、例えばテレビ7や冷蔵庫8を利用した日時(動作開始の日付時刻と動作終了の日付時刻)を決定するのに用いられる。
課金装置記憶部を構成する電子マネー記憶部86と、履歴情報記憶部87と、識別子記憶部88は、リモコン3と同様に、電子マネーと、履歴情報と、識別子をそれぞれ記憶するものである。但し履歴情報記憶部87には、課金装置2で制御されるテレビ7や冷蔵庫8の機器履歴情報だけが記憶保持され、リモコン履歴情報は記憶されない。また、課金装置2の識別子記憶部88には、その課金装置2に固有の課金装置識別子と、IR送受信部17を通して通信が確立されたリモコン3に固有のリモコン識別子が、それぞれ記憶保持される。
課金装置記憶部にはその他に、コンピュータによる課金装置制御部81を、機器制御処理部91と、電子マネー制御処理部92と、履歴情報制御処理部93と、識別子制御処理部94の各手段として機能させるためのプログラムが記憶保持される。つまり課金装置制御部81は、リモコン3およびこれに接続する各機器を所定の手順で動作させるために、機器制御処理部91と、電子マネー制御処理部92と、履歴情報制御処理部93と、識別子制御処理部94と、をそれぞれ備えている。
機器制御処理部91は、電子マネー記憶部86に記憶する電子マネーの値に基づいて、課金装置2に接続するテレビ7や冷蔵庫8の動作を制御するものである。機器制御処理部91から動作許可信号が送出されると、テレビ7や冷蔵庫8は動作可能な状態となる一方、機器制御処理部91から動作禁止信号が送出されると、テレビ7や冷蔵庫8は動作不可能な状態となる。
電子マネー制御処理部92は、課金装置2との間で電子マネーを受け渡す機能や、課金装置2内部で電子マネーを演算処理する機能を有する。特に電子マネーの演算処理では、計時部83からの時刻データで得られるテレビ7や冷蔵庫8の動作する使用時間が、一定値(例えばテレビ7では1分、冷蔵庫では1日)に達する毎に、電子マネー記憶部71に記憶する電子マネーを減算して書き換え更新させる機能を有する。また電子マネー制御処理部92は、その電子マネーから換算した冷蔵庫8の使用可能日数と金額を、日数表示器18と残金表示器19にそれぞれ表示させる表示制御部としての機能も備えている。
なお、上記電子マネーの演算処理では、課金装置2に電子マネーを受け渡した際に、機器制御処理部91から動作許可信号が送出されてテレビ7や冷蔵庫8は動作可能な状態になり、テレビ7や冷蔵庫8の使用の有無にかかわらず、課金装置2の使用時間が一定値(例えば1日)に達する毎に、電子マネー記憶部71に記憶する電子マネーを一定額減算して書き換え更新させる構成にしてもよい。この場合は、電子マネー制御処理部92は、その電子マネーから換算した課金装置2の使用可能日数と金額を、日数表示器18と残金表示器19にそれぞれ表示させる表示制御部としての機能も備えている。この構成によると、電子マネー制御処理部92の簡素化が実現可能になる。
履歴情報制御処理部93は、計時部83からの時刻データと、電子マネー制御処理部92による電子マネーの演算結果から、課金装置2により制御されるテレビ7や冷蔵庫8の個別の利用金額や利用日時を機器履歴情報として生成し、これを履歴情報記憶部87に記憶させる機能を有する。
識別子制御処理部94は、リモコン3との間で識別子を受け渡す機能や、IR送受信部17を通して受信したリモコン3からのリモコン識別子と、識別子記憶部88に記憶したリモコン識別子との比較により、そのリモコン3との間でデータのやり取りを行なうか否かを判別する機能を有する。
図5は、リモコン入金機5の電気的構成を示したものである。リモコン入金機5は、例えばマイクロコンピュータのCPUにより構成される入金制御部101を備え、この入金制御部101に、紙幣入力部102と、表示部103と、計時部105と、リモコン接続部106がそれぞれ接続される。代替品入力部としての紙幣入力部102は、リモコン3をリモコン挿入口21に装着している間に、紙幣入口21から投入された紙幣を計数し、その計数データを入金制御部101に出力するもので、投入された紙幣はリモコン入力機5の内部に収容保管される。表示部103は、図1に示すリモコン金額表示器25と投入金額表示器26に相当するものである。計時部105は、時刻をカウントして入金制御部101に出力するもので、計時部105からの時刻データは、紙幣から電子マネーに演算で交換されたときの日時を決定して、例えばオプションで領収書を出力する際に領収日時として印刷するのに用いられる。リモコン接続部106は、リモコン3をリモコン挿入口21に装着すると、そのリモコン3の外部機器接続部70と電気的に接続するもので、本実施形態では非接触式のIR送受信部で構成されるが、代わりにコネクタなどを用いてもよい。
なお本実施形態では、一種類(1000円札)の紙幣だけを紙幣入口22に投入できる構成となっているが、複数種類の紙幣や硬貨を投入できる場合は、上記計数データだけでなく紙幣や硬貨の種類を特定するデータも入金制御部101に出力する構成とするのが好ましい。
リモコン入金機5の記憶部(図示せず)には、コンピュータによる入金制御部101を、電子マネー制御処理部109として機能させるためのプログラムが記憶保持される。電子マネー制御処理部109は、紙幣入力部102からの計数データに基づき、紙幣入口21に投入された紙幣の額から、その額に応じた電子マネーを算出する機能を有する。算出された電子マネーは、リモコン接続部106を通してリモコン3に送り出される。
図6は、リモコン精算機6の電気的構成を示したものである。リモコン精算機6は、例えばマイクロコンピュータのCPUにより構成される出金制御部110を備え、この入金制御部101に、精算ボタン32と、生産金額表示部33と、残金出金部111と、計時部112と、リモコン接続部113と、プリンタ接続部114と、全履歴情報記憶部115がそれぞれ接続される。代替品出力部としての残金出金部111は、リモコン3をリモコン挿入口31に装着している間に、精算ボタン32が操作されると、そのリモコン3の電子マネー記憶部71に記憶される電子マネーから、出金制御部110で算出される残金額に相当する硬貨を、硬貨払出口34に排出するもので、リモコン精算機6の内部には、残金出金部111で排出可能な複数種類の硬貨が予め収容保管される。計時部112は、時刻をカウントして出金制御部110に出力するもので、計時部112からの時刻データは、電子マネーから現金に演算で交換されたときの日時を決定して、例えばオプションで領収書を出力する際に領収日時として印刷するのに用いられる。リモコン接続部113は、リモコン3をリモコン挿入口31に装着すると、そのリモコン3の外部機器接続部70と電気的に接続するもので、本実施形態では非接触式のIR送受信部で構成されるが、代わりにコネクタなどを用いてもよい。プリンタ接続部114は、リモコン精算機6とプリンタ(図示せず)とを電気的に接続するもので、このプリンタ接続部114を通して全履歴情報記憶部116に記憶される履歴情報のリストをプリンタで印刷出力することが可能になる。なお、残金出金部111は硬貨だけでなく、紙幣を排出できる構成としてもよく、プリンタをリモコン精算機6に内蔵させてもよい。
全履歴情報記憶部115は、リモコン3をリモコン挿入口31に装着した状態で、精算ボタン32が操作される毎に、そのリモコン3の履歴情報記憶部72に保存されている履歴情報を蓄積記憶するもので、履歴情報には前述の機器履歴情報やリモコン履歴情報が含まれる。したがって全履歴情報記憶部115には、病床毎に設置された全てのリモコン3からの履歴情報が蓄積されることになる。
リモコン精算機6の記憶部にはその他に、コンピュータによる出金制御部110を、電子マネー制御処理部116と、履歴情報制御処理部117として機能させるためのプログラムが記憶保持される。電子マネー制御処理部116は、リモコン3をリモコン挿入口31に装着した状態で、精算ボタン32が操作されると、そのリモコン3の電子マネー記憶部71に記憶される電子マネーから残金額を算出する機能を有する。履歴情報制御処理部117は、リモコン3をリモコン挿入口31に装着した状態で、精算ボタン32が操作されると、そのリモコン3の履歴情報記憶部72に保存される履歴情報を全履歴情報記憶部115に転送する機能を有する。
次に、上記課金システム1の構成について、その作用を図7や図8の説明図を参考にして詳しく説明する。
先ず入金時の動作手順から説明すると、病床毎に設置される全てのリモコン3には、予めリモコン識別子として個別のID番号が各々割り当てられている。また、全ての課金装置2にも、予め課金装置識別子として個別のID番号が各々割り当てられている。リモコンコン3の識別子記憶部73に記憶されるリモコン識別子や、課金装置2の識別子記憶部88に記憶される課金装置識別子は、容易に書き換えできない構成となっている。
ここで、図7のステップS0に示すように、リモコン識別子として例えば「001」のID番号を有するリモコン3を、入院時に患者に預けたとする。ここで渡されるリモコン3は初期化されており、履歴情報記憶部72に記憶される履歴情報や、識別子記憶部73に記憶される課金装置識別子の値はクリアされ、電子マネー記憶部71に記憶される電子マネーの値は0になっている。なおこれらは、リモコン3が初期状態であると認識できる別な値でも構わない。初期化されたリモコン3は、入院時の各種病院案内や病床でのテレビ操作説明時に患者に渡される。その際に好ましくは、リモコン3のID番号と患者名を控えておくと、クレーム対応時に便利になる。
この後、患者がリモコン入金機5でリモコン3に必要な電子マネーを入金記憶させ、病床の課金装置2にその電子マネーを移行させる。具体的には、リモコン入金機5のリモコン挿入口21にリモコン3を挿入し、リモコン3がリモコン入金機5に装着されたのを入金制御部101が認識した状態で、紙幣入口21に紙幣として1000円札を投入すると、その投入枚数に応じた計数データが紙幣入力部102から入金制御部101に出力され、紙幣の投入金額が投入金額表示器26に表示される。また電子マネー制御処理部109は、紙幣入力部102からの計数データに基づき、投入金額を電子マネーに変換する計算を行ない、その電子マネーの額をリモコン金額表示器25に表示させる。リモコン入金機5からリモコン3に計算された電子マネーが送出されると、リモコン3の電子マネー制御処理部75は、電子マネー記憶部71に記憶される電子マネーの額と、リモコン入金機5からの電子マネーの額を加算し、その結果を新たな電子マネーの額として電子マネー記憶部71に記憶保持(チャージ)させる。
例として、ステップS0に示すような初期状態のリモコン3をリモコン入金機5のリモコン挿入口21に挿入して、紙幣入口22に千円札を5枚投入すると、次のステップS1のように、リモコン3の電子マネー記憶部71に5000円分の電子マネーがそのままチャージされる。また、電子マネー記憶部71に記憶される電子マネーの額が0以外の場合も、その額とリモコン入金機5からの電子マネーの額とを加算した新たな額が、電子マネー記憶部71にチャージされる。このときのリモコン入金機5への最大入金金額は紙幣入力部102で任意に設定でき、必要以上の電子マネーがリモコン3にチャージできない構成になっている。
この後、電子マネーをチャージしたリモコン3を病床の課金装置2に向けて、送金キー56を押動操作すると、通信を確立したリモコン3と課金装置2の双方で識別子による認証が行われる。リモコン3の識別子制御処理部77は、識別子記憶部73に記憶される課金装置識別子の値がクリアされている初期状態で、課金装置2の識別子記憶部88から課金装置識別子の値を読み込み、この値を識別子記憶部73に上書き更新して記憶させる。同様に課金装置2の識別子制御処理部94は、識別子記憶部88に記憶されるリモコン識別子の値がクリアされている初期状態で、リモコン3の識別子記憶部73からリモコン識別子の値を読み込み、この値を識別子記憶部88に上書き更新して記憶させる。これ以降、リモコン制御部65は、識別子記憶部73に記憶される課金装置識別子の値がクリアされるまで、認証した特定の課金装置2だけとデータのやり取りを許可し、それ以外の課金装置2との間のデータのやり取りを禁止する。また、課金装置制御部81も、識別子記憶部88に記憶されるリモコン識別子の値がクリアされるまで、認証した特定のリモコン3だけとデータのやり取りを許可し、それ以外のリモコン3との間のデータのやり取りを禁止する。
こうして、リモコン3と課金装置2との間で認証が行われると、リモコン3の電子マネー記憶部71にチャージされる電子マネーが課金装置2に移行される。これを受けて課金装置2の電子マネー制御処理部92は、電子マネー記憶部86に記憶される電子マネーの額と、リモコン3からの電子マネーの額を加算し、その結果を新たな電子マネーの額として電子マネー記憶部86に記憶保持させる。またリモコン3の電子マネー制御処理部75は、この加算した分をそれまで電子マネー記憶部71にチャージされていた電子マネーから減算し、その結果を新たな電子マネーとして電子マネー記憶部71に記憶保持させる。
但し電子マネー制御処理部92は、電子マネー記憶部86に記憶される電子マネーの額と、リモコン3からの電子マネーの額を加算した結果が、予め設定した上限値を超える場合は、その上限値を電子マネー記憶部86に記憶保持させると共に、リモコン3の電子マネー制御処理部75は、この上限値まで加算した分をそれまで電子マネー記憶部71にチャージされていた電子マネーから減算し、その結果を新たな電子マネーとして電子マネー記憶部71に記憶保持させる。
例としてステップS1では、識別装置識別子の値がクリアされた初期状態のリモコン3に、5000円分の電子マネーがチャージされている。このリモコン3を、リモコン識別子の値がクリアされた初期状態の課金装置2に向け、電子マネーの移行のために送金キー56を押動操作すると、ステップS1’において、リモコン3と課金装置2の双方で識別子の確認が行われ、課金装置2に固有の課金装置識別子として、その課金装置2から読み出したID番号「101」がリモコン3の識別子記憶部73に記憶される一方で、リモコン3に固有のリモコン識別子として、そのリモコン3から読み出したID番号「001」が、課金装置2の識別子記憶部88に記憶される。
また、初期状態では課金装置2の電子マネー記憶部86に記憶される電子マネーの額は0なので、課金装置2の電子マネー制御処理部92は、リモコン3にチャージされている電子マネーの額である5000円を、そのまま新たな電子マネーの額として加算し、電子マネー記憶部86に記憶保持させる。これと共に、リモコン3にチャージされる電子マネーの額は減算されて0円となる。
こうして、課金装置2の電子マネー記憶部86に必要な額の電子マネーが記憶保持されると、課金装置2の機器制御処理部91からテレビ7のテレビ動作制御部16に動作許可信号が送出され、その電子マネーの額が0になるまでテレビ7を利用できる。これにより、オフ状態のテレビ7に向けてリモコン3の電源キー41を押動操作すると、テレビ7は機器制御処理部91からの動作許可信号により直ちに起動し、リモコン3のダイレクト選局キー42や選局切替キー44で選局されるテレビ放送の視聴が可能になる。また課金装置2の電子マネー制御処理部92は、テレビ動作検出部15からの検出信号を受けて、テレビ7の動作する使用時間を算出し、その使用時間に応じて電子マネー記憶部86に記憶される電子マネーの値を減算する。この新たな電子マネーの値は電子マネー記憶部86にその都度上書き更新され、残金表示器19に常時表示される。電子マネーの値が0になると、機器制御処理部91からテレビ動作制御部16に動作禁止信号が送出され、リモコン3やテレビ7をいかに操作しても、テレビ7は動作不可能になる。
また、テレビ7にSDカードのようなリムーバブルメモリの読取り装置が装備される場合、そのSDカードに病院案内に関する動画ファイルを予め保存しておけば、リモコン3のSDキー43を押動操作したときに、この動画ファイルをテレビ7で視聴することができる。その他、リモコン3によるテレビ7の遠隔操作方法については広く知られているので、説明を省略する。
また冷蔵庫8の利用は、リモコン3の冷蔵庫予約キー57と冷蔵庫予約戻しキー58を用いる。課金装置2の電子マネー制御処理部92は、冷蔵庫予約キー57が押動操作される毎に、冷蔵庫8の所定期間(例えば1日)の利用料金(例えば200円)に相当する額を、電子マネー記憶部86に記憶される電子マネーから差し引く。これにより、冷蔵庫予約キー57の押動回数に比例した予約金額が先に差引かれ、その予約金額に応じた予約期間中に、冷蔵庫8への電源供給が可能となる。一方、冷蔵庫予約戻しキー58を押動操作すると、残った予約金額がテレビ7で利用できる電子マネーに戻される。冷蔵庫8を利用できる期間は、課金装置2の日数表示器18に常時表示され、機器制御処理部91は機器制御部4に対して、冷蔵庫用の電子マネーが0になるまで動作許可信号を送出し、冷蔵庫8への電源供給を可能にするが、冷蔵庫用の電子マネーが0になると動作禁止信号を送出し、冷蔵庫8への電源供給を不可能にする。なお、ここでの冷蔵庫8は、先に利用に応じた利用料金を差し引く予約課金としているが、テレビ7のように実際の動作時間に応じて利用料金を決定する従量課金としてもよい。逆に、テレビ7を予約課金としてもよい。
こうした課金対象機器の利用に伴い、課金装置2の電子マネー残金が不足した場合は、再度リモコン入金機5を利用してリモコン3に電子マネーを補充する。例えばステップS2に示すように、リモコン入金機5によりリモコン3に3000円分の電子マネーをチャージし、このリモコン3を病床の課金装置2に向けて送金キー56を押動操作すると、ステップS1,S1’において認証済のリモコン3と課金装置2との間で、電子マネーのデータ移行が可能になる。この場合、例として課金装置2に4000円の電子マネーが残っていて、課金装置2における電子マネーの上限値が5000円に設定されていれば、ステップS2’のように、課金装置2の電子マネー記憶部86に記憶保持される電子マネーの額は上限値の5000円となる一方で、リモコン3にチャージされる電子マネーの額は1000円減算されて2000円となる。
このように、本実施形態の課金システム1では、リモコン入金機5による追加入金が可能であるが、リモコン3と課金装置2にチャージされる電子マネーの合計金額が上限値の限度額を超える場合、超過した分の課金装置2への入金は拒否され、リモコン3にチャージされる電子マネーも減額されない。
一方、ステップS3のように、リモコン識別子として例えば「004」のID番号を有する別なリモコン3を、「001」のID番号を有するリモコン3との間で認証が行われた後の課金装置2に向けて、送金キー56を押動操作しても、リモコン3と課金装置2の双方に記憶されるリモコン識別子と課金装置識別子が共に一致しない限り、その間でデータのやり取りは行われない。またステップS4のように、「101」のID番号を有する課金装置2との間で認証が行われた後のリモコン3を、別な病床に設置された「102」のID番号を有する課金装置2に向けて、送金キー56を押動操作しても、やはりリモコン3と課金装置2の双方に記憶されるリモコン識別子と課金装置識別子が共に一致せず、その間でデータのやり取りは行われない。したがって、これらの場合はリモコン3と課金装置2との間で電子マネーの移行は不可能となる。
なお、入院中に患者が床頭台を残したまま、リモコン3を持って別の病床に移動した場合は、移動前の課金装置2に記憶される電子マネーや機器履歴情報やリモコン識別子を取り込んで、その課金装置2を初期状態に戻した後、移動後の別な課金装置2にこれらのデータを転送するデータ転送用のリモコン(図示せず)を備えるのが好ましい。これにより、移動後の病床においても、リモコン3と課金装置2との間で電子マネーなどの各種データの移行が円滑に行なえる。
次に、出金時の動作手順を説明すると、図8のステップS11に示すように、患者が退院時にリモコン3を課金装置2に向けて、退院キー54を押動操作すると、認証済のリモコン3と課金装置2との間でデータのやり取りが可能となり、テレビ7や冷蔵庫8などの機器を使用した後の電子マネーの残額がリモコン3に戻される。つまり、課金装置2の電子マネー制御処理部92は、電子マネー記憶部86に記憶する電子マネーの残額(1500円)をリモコンに送り出して0円に書き換えさせ、これを受けてリモコン3の電子マネー制御処理部75は、電子マネー記憶部71に記憶される電子マネーの額(0円)と、課金装置2からの電子マネーの残額を加算し、その結果である1500円を新たな電子マネーの額として電子マネー記憶部71に記憶保持させる。
それに加えてリモコン3と課金装置2は、互いの認証を解除するのに、リモコン3の識別子記憶部73に記憶される課金装置識別子の値を、識別子制御処理部77によってクリアし、また課金装置2の識別子記憶部88に記憶されるリモコン識別子の値を、識別子制御処理部94によってクリアする。これにより課金装置2は、リモコン識別子のID番号と、テレビ7や冷蔵庫8の残時間に相当する電子マネーの残額がすべて初期化され、次の患者の利用が可能になる。ステップS11’は、課金装置2からリモコン3に電子マネーが戻され、リモコン3に記憶される課金装置識別子と、課金装置2に記憶されるリモコン識別子が共にクリアされた状態が示されている。
上述した動作は、退院キー54を短時間で押した場合には受け付けず、長押しした場合にのみ受け付ける構成としてもよい。これにより、退院キー54の誤操作を防ぐことができる。また、リモコン3と課金装置2との認証を解除せず、課金装置2からリモコン3の電子マネーの残額だけを戻す場合には、返金キー55を押動操作する。この場合、返金キー55を短時間で押す毎に、テレビ7と冷蔵庫8の利用可能残時間に対応した電子マネーの全残額から、一定額(例えば100円)の電子マネーがリモコン3に戻され、返金キー55を長押しすると、電子マネーの全残額がリモコン3に戻される。こうしてリモコン3に戻された電子マネーは、テレビ7や冷蔵庫8以外の例えばコインランドリーに設置した課金対象機器に利用できる。
なおステップS11で、別な認証されていないリモコン3を課金装置2に向けて、退院キー54を押動操作しても、上述したようにリモコン3と課金装置2との間でデータのやり取りは行われず、課金装置2の残金をリモコン3に戻すことは不可能となる。このように、課金装置2の残金は他の病床で使用するリモコン3では使用できないので、患者が病床を離れる場合に、リモコン3の保管さえ注意すれば、カード式のような盗難を防ぐことができる。
この後、患者がリモコン3をリモコン精算機6のリモコン挿入口31に挿入し、精算ボタン32を押動操作すると、そのリモコン3の電子マネー記憶部71に記憶される電子マネーから、現金として支払うべき残金額が電子マネー制御処理部116で算出され、その残金額に相当する硬貨が、残金出金部111を通して硬貨払出口34に排出される。そしてステップS12に示すように、リモコン3の電子マネー記憶部71に記憶される電子マネーは0になり、リモコン3は前記ステップS0における初期状態に戻る。こうして患者は、リモコン精算機6を利用して、リモコン3内の電子マネーを現金化することができ、その後の初期化されたリモコン3は、患者から病院側の管理担当者に返却される。
上述した入金から出金までの一連の動作で、リモコン3の履歴情報記憶部72には、課金装置2や、リモコン入力機5や、リモコン精算機6との間の電子マネーによる入出金処理の日付時刻や金額が、そのリモコン3のリモコン履歴情報として過去30件分記憶される。なお、リモコン履歴情報の記憶件数は適宜変更可能である。これにより、各リモコン3を通した電子マネーの入出金履歴が個別に確認できる。
また課金装置2の履歴情報制御処理部93は、特定のリモコン3との間でデータのやり取りができる間に、テレビ7や冷蔵庫8が何時どの程度の金額利用されたのかを機器履歴情報として履歴情報記憶部87に記憶させており、この機器履歴情報は前記ステップS11’で課金装置2からリモコン3の履歴情報記憶部72に転送され、さらにステップS12でリモコン精算機6の全履歴情報記憶部115に転送される。特にリモコン精算機6の履歴情報制御処理部117は、リモコン3をリモコン挿入口31に装着した状態で、精算ボタン32が操作される毎に、そのリモコン3の履歴情報記憶部72に保存される履歴情報を全履歴情報記憶部115に転送するので、各病床に設置した課金装置2の全ての売り上げがリモコン精算機6で把握でき、リモコン精算機6による課金システム1の統合管理が可能となる。
なお、患者が上述した出金処理を行なわずに退院した場合には、課金装置2が初期化されず、次の利用が不可能になる。そこで本実施形態では、どの課金装置2にもデータのやり取りが可能な保守リモコン(図示せず)を備え、この保守リモコンで課金装置2の電子マネーを回収し、且つ課金装置2を初期化させることで、次の利用を可能にする。
リモコン3と、課金装置2、リモコン入金機5、リモコン精算機6との間でIR通信される各種のデータは、セキュリティの関係で何れも暗号化される。したがってこれらの各装置には、暗号化手段と復号化手段がそれぞれ配設される。リモコン3は、テレビ7に応じた通信データフォーマットを設定できる機能を有する。これにより、どのメーカーのテレビ7が設置された場合でも、共通のリモコン3でテレビ7を遠隔操作できる。
また本実施形態では、リモコン精算機6の計時部112をメインクロックとして、他の計時部69,83,105との間で時刻カウントを同期させている。つまり、リモコン3とリモコン精算機6との間でデータのやり取りが行われている間に、計時部112の時刻データをリモコン3に取り込んで計時部69の時刻データを同期させ、リモコン3と課金装置2、およびリモコン3とリモコン入金機5との間も、同様に時刻データの同期が行われる。また、計時部69,83,105,112の時刻データの何れかが、同期できない程著しくずれている場合は、保守用リモコンを用いて全ての時刻データを同期させる。保守用リモコンはリモコン3と同等の機能を有し、課金システム1を構成する全ての装置と無条件でデータのやり取りが可能となっている。
リモコン3に対する保証金を利用者に課す場合は、リモコン入金機5で現金を電子マネーに交換する際に、その一部をデポジットとして徴収し、リモコン精算機6で電子マネーから現金に交換する際に、同額を返却すればよい。
以上のように、本実施形態の課金システム1は、電子マネーと代替品である現金との交換を可能にする交換機としてのリモコン入金機5やリモコン精算機6と、これらの交換機との間で電子マネーの送受信が可能であり、課金対象となる機器として例えばテレビ7を遠隔操作するリモコン3と、リモコン3との間で双方向の通信が可能な課金装置2とを備えている。そしてリモコン3は、第1操作体としての送金キー56と、第2操作体としての退院キー54と、電子マネーを記憶する第1記憶部としての電子マネー記憶部71と、送金キー56が操作されると、電子マネー記憶部71に記憶した電子マネーを課金装置2に転送する第1制御部としてのリモコン制御部65とを備え、課金装置2は、リモコン3から転送された電子マネーを、テレビ7や冷蔵庫8の使用時間に応じて減算し、この減算した結果が所定値である0に達するまで、テレビ7や冷蔵庫8の動作が可能になるように、これらのテレビ7の動作を制御する第2制御部としての課金装置制御部81と、前記減算した結果を残額すなわち残金額として記憶する第2記憶部としての電子マネー記憶部86と、を備え、リモコン制御部65はさらに、退院キー54が操作されると、電子マネー記憶部86に記憶する電子マネーの残金額を課金装置2から取り込んで、電子マネー記憶部71に新たな電子マネーとして更新記憶させる構成を備えている。
この場合、課金装置2との専用の双方向通信機能を持ったリモコン3を、予め患者に預けておけば、リモコン入金機5を利用して現金から電子マネーへの交換を行った後、この電子マネーをリモコン3の電子マネー記憶部71に記憶させて、送金キー56の操作により課金装置2に移行させるだけで、テレビ7などの各種機器が利用可能となる。課金装置2はテレビ7の使用時間に応じて電子マネーを減算し、その結果を残額として電子マネー記憶部86に記憶するが、残額が不足した場合には、リモコン入金機5で補充した電子マネーをリモコン3から課金装置2に再度移行させることで、テレビ7を継続的に利用できる。そして、テレビ7の利用終了時にリモコン3の退院キー54を操作すると、電子マネー記憶部86に記憶する残額が課金装置2からリモコン3に戻され、リモコン精算機6による現金への交換が可能になる。
このように、本来はテレビ7を遠隔操作するだけのリモコン3に、リモコン入金機5やリモコン精算機6や課金装置2との間で電子マネーを受け渡す機能を付加させることで、従来の磁気ヘッドや専用のカードインターフェースを不要にして、課金装置2を小型化することができ、床頭台での課金装置2の設置場所を節約できると共に、課金装置2の製造原価を低減できる。また、磁気カードのような使い捨ても回避でき、ランニングコストを低減してエコにつなげることができる。さらに、リモコン3はカードと違ってコピーによる偽造ができず、カードよりも高額の電子マネーを利用できるので、滞留金が増えて高い資金運用が可能になると共に、使用者がわざわざカードを購入する手間も省ける。したがって、磁気カードを用いることによる無駄を省き、非接触式カードのようなコスト上昇を回避して、テレビ7の使用に応じた有料課金を可能にする課金システム1を提供できる。
また、本実施例形態のリモコン制御部65はさらに、リモコン3の退院キー54が操作されると、送金キー56が操作された後のテレビ7や冷蔵庫8の使用履歴を履歴情報の中の機器履歴情報として課金装置2から取り込む構成を、履歴情報制御処理部76として備えており、またリモコン精算機6は、リモコン3との間で電子マネーから現金への交換を行なう毎に、リモコン3から機器履歴情報を取り込んで蓄積保存する第3記憶部としての全履歴情報記憶部115を備えている。
これにより、課金装置2からリモコン3に電子マネーを戻す際に、テレビ7や冷蔵庫8のそれまでの使用状況が機器履歴情報としてリモコン3に取り込まれ、リモコン精算機6でその電子マネーを現金に交換すると、リモコン3に取り込まれた機器履歴情報がリモコン精算機6に転送される。この機器履歴情報は、電子マネーから現金への交換を行なう度にリモコン精算機6に取り込まれ、リモコン3からの全ての機器履歴情報が全履歴情報記憶部115に蓄積保存される。したがって、課金システム1内の機器全体の使用状況を交換機で一元管理でき、全履歴情報記憶部115から読み出した全ての機器履歴情報から、課金システム1全体の売り上げなどを示す申告用の利用リストを簡単に作成したり、各課金装置2のタイマーチェックやセンターサーバーなどを不要にしたりすることが可能となる。
また、本実施形態におけるリモコン3は、送金キー56が操作されると、課金装置2に個別に割り当てられた課金装置識別子を、その課金装置2から取り込んで記憶する第4記憶部としての識別子記憶部73を備え、課金装置2は、送金キー56が操作されると、リモコン3に個別に割り当てられたリモコン識別子を、そのリモコン3から取り込んで記憶する第5記憶部としての識別子記憶部88を備え、課金装置2から取り込んだ課金装置識別子と、識別子記憶部73に記憶する課金装置識別子が一致し、且つリモコン3から取り込んだリモコン識別子と、識別子記憶部88に記憶するリモコン識別子が一致した時にのみ、リモコン3と課金装置2との間の双方向の通信を許可する構成を備えている。
この場合、最初にリモコン3の送金キー56を操作すると、課金装置2に固有の課金装置識別子とリモコン3に固有のリモコン識別子が、リモコン3の識別子記憶部73と課金装置2の識別子記憶部88にそれぞれ記憶され、リモコン3と課金装置2は互いの通信先が認識される。その後、別なリモコン3を用いて課金装置2から電子マネーを取り込んだり、別な課金装置2にチャージされた電子マネーをリモコン3に取り込んだりしようと試みても、リモコン3と課金装置2との間で双方向の通信が許可されず、結果的にリモコン精算機6により現金への交換ができなくなるので、リモコン3の保管さえ注意すれば、カード式のような盗難を防ぐことが可能になる。
図9〜図25は本発明の実施例2における課金システム1’を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、共通する箇所の説明を極力省略して詳述する。
図9は、病院向け課金システム1’の外観構成を示したもので、これは実施例1の課金システム1とは異なり後精算方式となっているため、リモコン入金機5およびリモコン精算機6の代わりに、精算装置130を備えて構成される。精算装置130は、データを一元管理するのに、病室外部Bの例えば病院の窓口に単独で設置される。その他、課金装置2やリモコン3’の電気的構成は、実施例1で説明したものと共通するが、異なる機能についてはその都度説明する。
病室内部Aには、テレビ7の上部に課金装置2を一体的に装着した状態で、課金装置2,テレビ7および病室冷蔵庫8が、病床毎に設置された移動可能な床頭台120に収容保持される。図10に示すように、床頭台120は、リモコン3’を収容可能なリモコン収容部121と、リモコン収容部121の前面開口を開閉する出し入れ可能な引き出し122とを備え、引き出し122には錠前機構123や、リモコン収容部121に臨むアクリルなどの窓板124が配設される。これにより、リモコン3’を収容したリモコン収容部121の前部開口を引き出し122で閉じた状態で、図示しない鍵を用いて錠前機構123を施錠すると、引き出し122がロックされてリモコン3’がリモコン収容部121から取り出せなくなる。
リモコン収容部121にはリモコン充電部(図示せず)が装備され、図10に示す方向でリモコン収容部121にリモコン3’を正しく挿入収容した際に、リモコン3’が充電される。また、リモコン3’の充電中は充電ランプ125が点灯し、リモコン収容部121の前面開口を引き出し122で閉じた状態であっても、透明な窓板124を通してリモコン3’や充電ランプ125の状態が視認できる。リモコン3’は電池交換が不要な充電方式を実現するために、例えばニッケル水素充電池のような二次電池(図示せず)が、リモコン3’の各部を動作する電源として組み込まれる。
再度図9に戻り、精算装置130は患者にリモコン3’を貸し出す際、および精算時または退院時に、リモコン3’に記憶された電子マネーを精算する際に、病院側の管理担当者が使用する機器である。精算装置130は、精算処理端末131、処理用パソコン132およびプリンタ133から構成される。精算処理端末131の正面には、リモコン3’を着脱自在に挿入できるリモコン挿入口135や、プリンタ133から履歴情報のリストを印刷出力する際に押動操作される履歴印字ボタン136や、リモコン3’に記憶されたリモコン識別子を表示するリモコンID表示部137が設けられる。処理用パソコン132は、汎用のパーソナルコンピュータを使用することができ、これは周知のように、制御処理部を内蔵する装置本体139や、マウスやキーボードなどの操作部140や、液晶モニターなどの表示部141で構成される。プリンタ133はいわゆるレシートプリンタとして、複数の押し釦式キーを有する操作パネル143や、熱によってロール状の紙媒体Kに印字を行なう印字部144などを主な構成要素としている。なお、処理用パソコン132に精算処理端末131の機能の一部または全部を備えるように構成してもよい。
図11は、タイマー部となる課金装置2と他の課金対象機器との接続例を示すものである。本実施形態では、冷蔵庫8に庫内を冷却するペルチェ素子(図示せず)が組み込まれる関係で、冷蔵庫8が電源制御部4を介さず制御線151により課金装置2に直接制御される。これにより課金装置2は、冷蔵庫8の主電源をオンオフするのではなく、冷蔵庫8への制御信号によりペルチェ素子を予冷と冷却で切替制御することで、主電源のオンオフに伴うペルチェ素子のヒートショック破損を回避するようにしている。
またここでは、LAN課金制御装置152や電話課金制御装置153が、各々通信線154,155を介して課金装置2と接続される。LAN課金制御装置152は、病院内のLAN回線156に接続され、その正面に設けたLAN接続口157にパソコンなどの端末機器(図示せず)を接続すると、LAN回線156による通信の使用時間に応じた課金額のデータが、通信線154を経由して課金装置2に送出される。また、電話課金制御装置153は、病院内の電話回線と電話機158との間に接続され、電話機158による通話時間に応じた課金額のデータが、通信線155を経由して課金装置2に送出される。
図12は、本実施形態におけるリモコン3’単体の正面図である。リモコン3’は、地上波放送チャンネルのダイレクト選局キー42が選局切替キー42’に、病院案内用のSDキー43がSD切替キー43’に、消音キー49が音声切替キー49’に、返金キー55および送金キー56が精算キー55’に変更された他は、実施例1のリモコン3と同様のキーおよび機能を備えている。この中で、選局切替キー42’,44や、SD切替キー43’は、何れも表面に「▲」なる記号を形成した上キーと、「▼」なる記号を形成した下キーとを上下に配置して構成され、音量調整キー45は、表面に「+」なる記号を形成した+キーと、「−」なる記号を形成した−キーとを上下に配置して構成される。
またキーの配置として、リモコン3’の正面には、電源キー41の下方に、左側より順に、病院案内用のSD切替キー43’、衛星デジタル放送チャンネルの選局切替キー44、地上波放送チャンネルの選局切替キー42’、および音量調整キー45が、一列に並んで配置される。このようなキーの配置にすることにより、図12に示すように、例えば課金装置2からの残金盗難防止のために、1の位の数値は音量調整キー45、10の位の数値は地上波放送チャンネルの選局切替キー42’、100の位の数値は衛星デジタル放送チャンネルの選局切替キー44、1000の位の数値は病院案内用のSD切替キー43’のそれぞれで、リモコン3’に4桁のパスワードを任意に設定できるようにすれば、残金表示器59に表示される各桁のセグメント配置とキーの配置が対応するため、直感的にパスワードの設定入力操作が可能になる。なお、図12に示すリモコン3’の各部の配置や形状は、適宜変更が可能である。また、残金盗難防止機能の詳細については、後程説明する。
図14に示すように、リモコン3’の背面には夜間照明LEDとしてのランプ146が配設される。また図15は、夜間照明ボタン147として割り当てられたカーソルキー50、決定キー51、番組表キー52、戻るキー53を示している。本実施形態のリモコン制御部65は、消灯時間帯にのみ有効になる照明機能を付加するために、実施例1で説明した各処理部75,76,77の他に、計時部69からの時刻データが特定の時間帯である病院の消灯時間帯(例えば、21:00〜6:00の間)にある場合に、夜間照明ボタン147の中の何れかのキーが押動操作されると、ランプ146を一定時間点灯動作させ、ランプ146の点灯中に夜間照明ボタン147の何れかのキーを再度押動操作すると、ランプ146を消灯させるランプ制御処理部としての機能を備えている。
なお、上記照明機能が利用できる時間帯や、その利用が可能か否かは、リモコン3’で適宜設定できる。また、夜間照明ボタン147の押動操作に伴うランプ146の点灯時間も、例えば10秒から10分までの範囲で設定できるが、リモコン3’に搭載する二次電池の消耗を考慮すると、2分程度の設定とするのが好ましい。
図16は、リモコン挿入口135に装着したリモコン3’との間で、各種データのやり取りを可能にする精算装置130の電気的構成を示したものである。精算処理端末131は、例えばマイクロコンピュータのCPUにより構成される端末制御部148を備え、この端末制御部148に、計時部112’と、リモコン接続部113’と、プリンタ接続部114’と、パソコン接続部149と、全履歴情報記憶部115’がそれぞれ接続される。パソコン接続部149は、精算処理端末131と操作用端末としての処理用パソコン132とを電気的に接続するもので、精算処理端末131と処理用パソコン132とを連動させることにより、リモコン3’の新規貸出処理や精算処理などを行なう構成となっている。
計時部112’、リモコン接続部113’、プリンタ接続部114’、および全履歴情報記憶部115’については、実施例1のリモコン精算機6と概ね同等の機能を有する。計時部112’は、時刻をカウントして端末制御部148に出力するもので、計時部112’からの時刻データは、電子マネーから現金に演算で交換されたときの日時や、リモコン3’を新たに貸し出すときの日時を決定するのに用いられる。リモコン接続部113’は、リモコン挿入口135に装着したリモコン3’の外部機器接続部70と電気的に接続するものである。プリンタ接続部114’は、精算処理端末131とプリンタ133とを電気的に接続するもので、履歴印字ボタン136を押動操作すると、リモコン3’の電子マネー記憶部71から読み出した電子マネー情報や、履歴情報記憶部72から読み出した履歴情報に基づくリストを、プリンタ133で印刷出力することが可能になる。
精算処理端末131の記憶部にはその他に、コンピュータによる端末制御部148を、電子マネー制御処理部116’と、履歴情報制御処理部117’として機能させるためのプログラムが記憶保持される。電子マネー制御処理部116’は、リモコン3’をリモコン挿入口135に装着した状態で、中間精算や退院精算を行なうために、処理用パソコン132の操作部140が操作されると、そのリモコン3’の電子マネー記憶部71に記憶される電子マネーに相当する金額を算出する機能を有する。この金額の算出は、履歴印字ボタン136を押動操作したときにも行なわれる。履歴情報制御処理部117’は、リモコン3’をリモコン挿入口135に装着した状態で、そのリモコン3’の履歴情報記憶部72に保存される履歴情報を全履歴情報記憶部115に転送する機能を有する。
図17は、課金装置2とリモコン3’との間の電子データのやり取りを示す図である。同図において、課金装置2の電子マネー記憶部86は、電子マネーの記憶領域として、課金装置利用合計金額Kの記憶領域86Aと、初回の外部機器利用合計金額Raの記憶領域86Bと、初回以降の外部機器利用合計金額Rbの記憶領域86Cと、初回の外部出金合計金額Saの記憶領域86Dと、初回以降の外部出金利用合計金額Sbの記憶領域86Eと、初回のリモコン保有金額Taの記憶領域86Fと、規定額Mの記憶領域86Gとを備えている。記憶領域86Aに記憶される課金装置利用合計金額Kとは、電子マネー制御処理部92で算出される図中(A)〜(D)の合計値、すなわち課金装置2を通して利用されるテレビ7や、冷蔵庫8や、電話機158や、LAN回線156などの課金装置利用金額を合計したもので、その金額は利用に応じて増加する。また、電子マネー制御処理部92は、第1実施例のものに加えて、記憶領域86Aに記憶する課金装置利用合計金額Kが、記憶領域86に記憶する規定額Lを超えた場合に、課金装置利用合計金額Kを超えない最大の金額で、規定額Mの整数倍Nの金額を、課金装置出金金額E=M×Nとして算出する第1演算部92Aとしての機能と、課金装置利用合計金額Kから課金装置出金金額Eを差し引いた金額を、課金装置未精算金額Q(=K−E)として算出する第2演算部92Bとしての機能を備えている。
なお、記憶領域86Gに記憶する規定額Mは任意の値に設定できるが、中間精算時に課金装置出金金額Eが端数とならないように、最低100円単位とするのが好ましい。
リモコン3’の電子マネー記憶部71は、電子マネーの記憶領域として、外部機器利用合計金額Rの記憶領域71Aと、外部出金合計金額Sの記憶領域71Bと、初回のリモコン保有金額Taの記憶領域71Cと、課金装置出金金額Eの記憶領域71Dとを備えている。記憶領域71Aに記憶される外部機器利用合計金額Rとは、電子マネー制御処理部75で算出される図中(F)〜(I)の合計値、すなわちランドリー機器や、共有電話や、共有パソコンなどの使用の他に、各種物品の購入に伴う外部機器利用金額を合計したもので、その金額は外部機器接続部70から取り込まれ、使用や取引に応じて増加する。記憶領域71Bに記憶さとは、リモコン3’から外部の精算装置130へ出金される精算金額の合計値で、精算装置130による精算金額は外部出金合計金額Sにその都度加算される。
本実施形態では、課金装置2とリモコン3’との間で最初の認証が行われると、その直後にリモコン3’から課金装置2に記憶領域71Aの外部機器利用合計金額Rと、記憶領域71Bの外部出金合計金額Sが送出され、また課金装置2からリモコン3’に第1演算部75Aで算出した課金装置出金金額Eが送出される。これを受けて課金装置2は、記憶領域71Aの外部機器利用合計金額Rを、記憶領域86Bに初回の外部機器利用合計金額Raとして記憶し、記憶領域71Bの外部出金合計金額Sを、記憶領域86Dに初回の外部出金合計金額Saとして記憶する一方、リモコン3’は課金装置2からの課金装置出金金額Eを記憶領域71Dに記憶する。
またそれ以降は、特定のキーである電源キー41を押動操作して、テレビ7をオンまたはオフにする毎に、認証済の課金装置2とリモコン3’との間で、リモコン3’の記憶領域71Aからの外部機器利用合計金額Rが、課金装置2の記憶領域86Cに初回以降(すなわち、2回目から)の外部機器利用合計金額Rbとして記憶され、リモコン3’の記憶領域71Bからの外部出金合計金額Sが、課金装置2の記憶領域86Eに初回以降の外部出金合計金額Sbとして記憶され、課金装置2の第1演算部75Aで算出した課金装置出金金額Eが、リモコン3’の記憶領域71Dに記憶される。そして、同様の電子マネーのやり取りは、課金装置2とリモコン3’の電子マネー制御処理部75,92により、返金ボタンである退院キー54や精算キー55’を押動操作したときにも行なわれる。
リモコン3’の電子マネー制御処理部75は、第1実施例のものに加えて、記憶領域71Aに記憶する外部機器利用合計金額Rと、記憶領域71Dに記憶する課金装置出金金額Eと、後述する課金装置未精算金額Qの合計値から、記憶領域71Bに記憶する外部出金合計金額Sを差し引いた金額を、リモコン未精算金額T(=R+E+Q−S)として算出する第3演算部75Aとしての機能を備えている。第3演算部75Aは、この計算を課金装置2とリモコン3’との間で電子マネーのやり取りを行なう毎に行なうが、課金装置2とリモコン3’との間で最初の認証が行われたときにだけ、計算したリモコン未精算金額Tがリモコン3’の記憶領域71Cに初回リモコン保有金額Taとして記憶され、これがリモコン3から課金装置2に送出されて、課金装置2側の記憶領域86Fにも記憶される。また、退院キー54を押動操作したときにだけ、最終精算のために課金装置2の第2演算部92Bで計算した課金装置未精算金額Qがリモコン3に送出され、電子マネー制御処理部75を通して電子マネー記憶部71に記憶される。
その他、本実施形態では、課金装置2の課金対象となる項目(A)〜(D)の利用金額が、電子マネー記憶部86に各々記憶され、リモコン3’の課金対象となる項目(F)〜(I)の利用金額が、電子マネー記憶部71に各々記憶される。そして、電源キー41や、退院キー54や、精算キー55’を操作すると、課金装置2の電子マネー記憶部86に記憶される項目(A)〜(D)の利用金額が、認証済のリモコン3’に転送され、その電子マネー記憶部71に記憶保存される。これにより、課金装置130の表示部141に、項目(A)〜(D)や項目(F)〜(I)の利用金額を表示させることが可能になる。
次に、課金装置2の残金表示器19と、リモコン3’の残金表示器59における表示例について、表1を参照して説明する。
先ず、電子マネー演算処理部92で演算処理される各項目(A)〜(D)の利用金額が表1の通りであったとすると、これらを加算した金額(=3086円)は、課金装置利用合計金額Kとして記憶領域86Aに記憶される。また、記憶領域86Gに記憶する規定額Mが100円単位であれば、課金装置出金金額Eは3000円となり、これがリモコン3’の記憶領域71Dに記憶される。これにより第2演算部92Bは、課金装置利用合計金額Kから課金装置出金金額Eを差し引いた金額(=59円)を、課金装置未精算金額Qとして算出する。
一方、電子マネー演算処理部75で演算処理される各項目(F)〜(I)の利用金額が表1の通りであったとすると、これらを加算した金額(=2250円)は、課金装置利用合計金額Rとして記憶領域86Aに記憶される。また、精算装置130によるリモコン3’との精算処理で、これまでのリモコン3’に対する精算金額J(=4000円)が、外部出金合計金額Sとして記憶領域71Bに記憶される。
そして、リモコン3’の電子マネー演算処理部75は、次の数1に基いて残金表示器59に表示するリモコン表示金額を算出する。
ここで仮に、リモコン3’が貸出された直後の初期化された状態で、課金装置2との間で最初の認証が行われたとすると、記憶領域71C,86Fに記憶される初回リモコン保有金額Taは0円となり、上記表示例でのリモコン表示金額は、0円+3000円+2250円−4000円=1250円となる。この金額は、リモコン3’の未精算金額に相当する。
また、患者が入院中にベッド移動する場合は、実施例1と同様に退院キー54を操作して、移動前の課金装置2とリモコン3’との認証を解除した後、移動後の課金装置2とリモコン3’との間で認証を行なって、引き続き電子マネーのやり取りができるようにするが、移動後の課金装置2に対して最初の認証が行われたときに、リモコン未精算金額Tが残っていれば、それが初回リモコン保有金額Taとして記憶領域71Cに記憶され、上記リモコン表示金額に加算される。何れにせよ本実施形態では、リモコン3’の残金表示器59に、課金装置2での端数分を含まない未精算金額を表示できる。
なお、リモコン3’は課金装置130で初期化されると、記憶領域71A〜71Dの各金額が0円にクリアされる。但し、それ以外の中間精算時や、外部機器利用時や、上述のベッド移動に伴う精算処理では、それに応じた金額が記憶領域71A〜71Dに記憶保持される。
一方、課金装置2の電子マネー演算処理部92は、次の数2に基いて残金表示器19に表示する課金装置表示金額を算出する。
ここで仮に、初期化されたリモコン3’と課金装置2との間で認証が行われたとすると、記憶領域86Fに記憶する初回リモコン保有金額Taの他に、記憶領域86Bに記憶する初回の外部機器利用合計金額Raや、記憶領域86Dに記憶する外部出金合計金額Saも0円となり、上記表示例での課金装置表示金額は、59円+0円+3000円+(2250円−0円)−(4000円−0円)=1309円となる。この金額は、課金装置2での端数分を含む実際の未払い金額に相当する。したがって本実施形態では、最終的に支払うべき正確な未払い金額を、課金装置2の残金表示器19に表示することができる。
さらに、退院時に退院キー54を操作すると、第2演算部92Bで算出された課金装置未精算金額Qがリモコン3’に移動し、電子マネー記憶部71に記憶される。そして、課金装置130はリモコン3’との精算処理で、課金装置未精算金額Qを上記リモコン表示金額に加算し、これを未払い金として提示することで、窓口での最終支払いが完了する。
次に、精算装置130の動作を説明する。図18は、パソコン132の表示部141に表示される案内画面を示し、ここでリモコン3’をリモコン挿入口135に挿入すると、表示部141の表示が図18の案内画面から、図19の処理内容選択画面に切替わる。
この処理内容選択画面は、リモコン3’の状態を文字で表すリモコン状態表示部161と、リモコン3’の選択可能な処理内容を「○」の記号で表すリモコン処理内容選択表示部162と、リモコン3’の処理内容を決定するための決定表示部163と、処理を中止するための中止表示部164とを含んでいる。例として、図19ではリモコン挿入口135に挿入したリモコン3’が利用中で、中間精算を行なう状態にあることが、「利用中中間精算」なる文字でリモコン状態表示部161に表示され、また「中間精算」に関する処理内容を選択できることが、リモコン処理内容選択表示部162で表示されている。
処理用パソコン132の装置本体139は、リモコン挿入口135に挿入したリモコン3’の状態に応じて、そのリモコン3’に対する処理内容を自動的に選択する機能を有する。例えば、リモコン3’の電子マネー記憶部71が0円にクリアされ、初期化されている場合は、新規貸出に関する処理内容を自動的に選択し、「新規貸出」に対応したリモコン処理内容選択表示部162を表示させる。また、リモコン3’の履歴情報記憶部72に、精算キー55’を直前に操作した履歴情報が含まれていれば、途中精算に関する処理内容を自動的に選択し、「中間精算」に対応したリモコン処理内容選択表示部162を表示させる。さらに、リモコン挿入口135に挿入したリモコン3’の履歴情報記憶部72に、退院キー54を直前に操作した履歴情報が含まれていれば、退院精算に関する処理内容を自動的に選択し、「退院精算」に対応したリモコン処理内容選択表示部162を表示させる。これら以外の場合は、リモコン3’の初期化に関する処理内容を自動的に選択し、「初期化」に対応したリモコン処理内容選択表示部162を表示させる。
そして、選択した処理内容を確定する場合は、決定表示部163に対応して操作部140を操作すると、その確定した処理内容に関する詳細画面が表示部141に表示される。例えば図19で、選択した「新規貸出」の処理内容を確定すると、図20の新規貸出画面に切替わる。同様に、選択した「中間精算」の処理内容を確定すると、図21の中間精算画面に切替わり、選択した「退院精算」の処理内容を確定すると、図22の退院精算画面に切替わる。
図20の新規貸出画面は、前述した中止処理部164の他に、リモコン3’のリモコン識別子を表示するリモコンID表示部166と、リモコン3’を貸し出す患者の氏名を表示する氏名表示部167や、住所を表示する住所表示部168や、診療科目を表示する診療科目表示部169と、貸出処理を実行するための貸出表示部170と、を含んでいる。処理用パソコン132には、患者の氏名,住所,診療科目を関連付けたマスターデータが記憶部(図示せず)に記憶保存されており、氏名表示部167を利用して患者の氏名を入力すると、それに対応した住所と選択科目が、住所表示部168と診療科目表示部169にそれぞれ自動的に表示される。そして、貸出表示部170に対応して操作部140を操作すると、リモコン3’の履歴情報記憶部72に、貸出しを開始した旨のリモコン履歴情報が書き込まれる。
図21の中間精算画面や、図22の退院精算画面は、前述の中止処理部164や、リモコンID表示部166や、氏名表示部167や、診療科目表示部169の他に、リモコン金額を表示するリモコン金額表示部171と、精算金額を表示する精算金額表示部172と、未精算残金額を表示する未精算残金表示部173と、利用明細を表示させるための明細表示部174と、精算処理を行なうための精算表示部175と、を含んでいる。
この中で、リモコン金額表示部171に外部機器利用合計金額Rと課金装置利用合計金額Kの合計金額を表示させ、精算金額表示部172に外部出金合計金額Sを表示させ、その差額を未精算残金表示部173に表示させる。あるいは、中間精算画面で外部機器利用合計金額Rと課金装置出金金額Eの合計金額を表示させ、退院精算画面で外部機器利用合計金額Rと課金装置利用合計金額Kの合計金額を表示させてもよい。これらの画面では、操作部140により精算金額を操作入力すると、その精算金額が精算金額表示部172に表示される。また、精算表示部175に対応して操作部140を操作することで、リモコン3’への精算処理が行われる。特に退院精算の処理時には、リモコン3’の履歴情報記憶部72に保存される履歴情報が、精算処理端末131の全履歴情報記憶部115’に蓄積記憶され、そのリモコン3’が初期化される。
図23は、前述の明細表示部174に対応して操作部140を操作したときに、表示部140に表示される利用明細画面である。この利用明細画面は、利用明細として、細目と金額をリスト状に表示する利用明細表示部178と、前述の中間精算画面や退院精算画面に戻るための戻る表示部179と、をさらに含んでいる。
なお、図18〜図23に示す各々の表示形態は、処理用パソコン132の装置本体139に組み込まれた表示制御部が、表示部140に表示制御信号を送出することで実現するが、当該表示制御部を端末制御部148に組み込んでも構わない。また、精算処理端末131、処理用パソコン132、プリンタ133の一部または全てを一体化させた精算装置130としてもよい。
そして、病院の窓口では入院する患者に対して、精算装置130を利用したリモコン3’の貸出処理を行なう。これは、患者に貸し出す初期化されたリモコン3’を精算処理端末131のリモコン挿入口135に挿入すると、処理用パソコン132の表示部140が図19に示す処理内容選択画面に切替わり、そこでリモコン3’の状態が「未登録」であるとリモコン状態表示部161に表示され、「新規貸出」に対応してリモコン処理内容選択表示部162の記号が表示される。次に、決定表示部163に対応した操作部140をクリック操作すると、図20に示す新規貸出画面に切替わり、そこで識別子記憶部73に記憶するリモコン識別子がリモコンID表示部166に表示される。ここで、患者の氏名や住所や診療科目を入力し、患者からデポジット金を預かった上で、貸出表示部170に対応して操作部140をクリック操作すると、何時どの患者にリモコン3’を貸し出したのかが、履歴情報制御処理部117’によってリモコン履歴情報の一部としてリモコン3’の履歴情報記憶部72に書き込まれ、リモコン3’の貸出処理が完了する。
この後、病床でリモコン3’を課金装置2に向けた状態で電源キー41を押動操作すると、リモコン3’と課金装置2の双方で識別子による認証(ペアリング)が行われる。識別子による認証については、実施例1と同様であるので説明を省略する。
本実施形態では、実施例1のようなリモコン入金機5を最初に利用しなくても、リモコン3’と課金装置2との間で認証が行われると、その後は残金表示器19に表示される残金額が、予め設定した規定金額(例えば6000円)に達するまで、テレビ7や冷蔵庫8などの課金対象機器を支障なく利用できる。しかし、残金表示器19に表示される残金額が規定金額を超えると、電源キー41の操作でテレビ7を起動する毎に、図24のような精算要求画面がテレビ7に一定時間映し出され、その後はテレビ放送の視聴を可能にして、患者に対する途中精算や最終清算が促される。また、計時部83による時刻データが消灯時間帯になると、機器制御処理部91からテレビ動作制御部16への動作禁止信号により、テレビ7は動作不可能になり、図25のような消灯時間案内画面がテレビ7に映し出される。
途中精算を行なう場合は、リモコン3’を課金装置2に向けた状態で、リモコン3’の精算キー55’を押動操作すると、電源キー41を押動操作した場合と同様に、認証済のリモコン3’と課金装置2との間で電子マネーのやり取りが行われる。またこの場合は、リモコン3’と課金装置2との認証を解除せず、識別子記憶部73,88はそのままの状態を保持する。
この後、患者がリモコン3’を窓口に持っていき、管理担当者がそのリモコン3’を精算装置130のリモコン挿入口135に挿入すると、処理用パソコン132の表示部140が図19に示す処理内容選択画面に切替わり、リモコン3’の状態が「利用中中間精算」であるとリモコン状態表示部161に表示され、「中間精算」に対応してリモコン処理内容選択表示部162の記号が表示される。この状態で、決定表示部163に対応した操作部140をクリック操作すると、図21に示す中間精算画面に切替わり、管理担当者はリモコン金額表示部171でリモコン金額を、精算金額表示部172で精算金額を、さらに未精算残金表示部173で未清算金額を各々確認できる。
そして、患者がリモコン金額表示部171に表示される金額の全額または一部を精算して支払うと、その精算金額が操作部140から操作入力される。これにより精算金額表示部172には新たな精算金額が表示され、未精算残金表示部173にはリモコン金額から精算金額を差し引いた未精算残金が表示される。リモコン金額表示部171に表示される全金額を支払った場合は、未精算残金が0となる。
ここで、精算表示部175に対応して操作部140をクリック操作すると、未精算残金表示部173に表示される未精算の残金額が、リモコン3’の記憶領域71Bに新たな外部出金合計金額Sとして上書き記憶され、途中精算の処理が完了する。これにより、リモコン3’は引き続き認証済の課金装置2との間で課金システム1’を利用できる。本実施形態では、課金装置2で機器の使用時間に応じて加算される電子マネーの額が規定値を超過する毎に、図24のような精算要求画面をテレビ7に表示して中間精算を促すので、患者が一度に機器の使用料金を支払う負担を和らげることができる。
さらに退院精算する場合は、リモコン3’を課金装置2に向けた状態で、リモコン3’の退院キー54を押動操作すると、認証済のリモコン3’と課金装置2との間で電子マネーのやり取りが行われ、実施例1と同様に互いの認証を解除する。これにより課金装置2は、識別子記憶部88に書き込まれたリモコン識別子のみならず、電子マネー記憶部86に記憶される電子マネーの値をクリアして初期化され、次の患者の利用が可能になる。
この後、患者がリモコン3’を窓口に持っていき、管理担当者がそのリモコン3’を精算装置130のリモコン挿入口135に挿入すると、処理用パソコン132の表示部140が、図17に示す処理内容選択画面に切替わる。このときのリモコン認識情報は、退院キー54を直前に操作した履歴情報が含まれているので、図17に示す処理内容選択画面では、リモコン3’の状態が「退院処理済み」であるとリモコン状態表示部161に表示され、「退院精算」に対応してリモコン処理内容選択表示部162の記号が表示される。この状態で、決定表示部163に対応した操作部140をクリック操作すると、図20に示す退院精算画面に切替わり、管理担当者はこれまでの利用金額をリモコン金額表示部171で直ちに確認できる。
そして、患者がリモコン金額表示部171に表示される金額の全額を、精算金額として管理担当者に支払うと、その精算金額を管理担当者が操作部140から操作入力する。このとき精算金額表示部172には精算金額が表示され、未精算残金表示部173には未精算の残金額(=0円)が表示される。この状態から、精算表示部175に対応して操作部140をクリック操作すると、リモコン3’の履歴情報記憶部72に保存されるこれまでの一連の履歴情報が、全履歴情報記憶部115’に蓄積記憶されるが、リモコン3’の電子マネー記憶部71には電子マネーの値が残るので、患者のベッド移動などでそのリモコン3’を別の病床で引き続き利用できる。また、患者が完全に退院した場合は、図19の処理内容選択画面で、リモコン3’の初期化に関する処理内容を選択すればよい。
なお、前述した消灯時間帯には、図14に示す夜間照明ボタン147の中の何れかのキーを押動操作すると、ランプ146を一定時間点灯動作させることができ、点灯したランプ146で夜間手元照明や緊急時に便利なリモコン3’を提供できる。またランプ146の点灯中に夜間照明ボタン147の何れかのキーを再度押動操作すると、ランプ146を消灯させることもできる。この場合、課金装置2の計時部83とリモコン3’の計時部69とを同期させて、テレビ7が動作できない時間中にランプ146を正しく点灯/消灯させるようにしてもよい。
また、消灯時間帯などのリモコン不使用時には、床頭台120の引き出し122を手前に引き出し、リモコン収容部121にリモコン3’を挿入した後、引き出し122を押し入れて、鍵で錠前機構123を施錠する。これにより、充電ランプ125が点灯してリモコン3’が自動的に充電されると共に、窓板124を通してリモコン3’の存在が確認できる。さらに、患者が鍵を持ち歩くことで、リモコン3’の盗難を防止できる。
以上のように、本実施形態の課金システム1’は、精算機としての精算装置130と、この精算装置130との間で電子マネーの送受信が可能であり、課金対象となる機器として例えばテレビ7を遠隔操作するリモコン3’と、リモコン3’との間で双方向の通信が可能な課金装置2とを備えている。そしてリモコン3’は、第1操作体としての電源キー41と、第2操作体としての精算キー55’や退院キー54と、電子マネーを記憶する第1記憶部としての電子マネー記憶部71と、第1制御部としてのリモコン制御部65とを備え、課金装置2は、電源キー41が操作された後に、テレビ7の使用時間に応じて電子マネーを加算し、この加算した結果となる課金装置表示金額が、所定の規定値を超えると、精算要求画面をテレビに表示すなわち報知させる第2制御部としての課金装置制御部81と、前記加算した結果を得るための各金額を加算額として記憶領域86A〜86Gに記憶する第2記憶部としての電子マネー記憶部86と、を備え、リモコン制御部65はさらに、第2操作体が操作されると、電子マネー記憶部86に記憶する加算額に対応した課金装置出金金額Eや未精算金額Qを課金装置2から取り込んで、電子マネー記憶部71に精算装置130で精算を行なう電子マネーとして更新記憶させる構成を備えている。
この場合も、課金装置2との専用の双方向通信機能を持ったリモコン3’を、予め患者に預けておけば、電源キー41が操作された後に、テレビ7などの各種機器が利用可能となる。また、課金装置2はテレビ7の使用時間に応じて電子マネーを加算し、その結果を得るための各金額を、電子マネー記憶部86の記憶領域86A〜86Gに加算額として記憶するが、課金装置表示金額が規定額になった場合には、精算キー55’や退院キー54を操作したリモコン3’を窓口に持っていき、精算装置130で電子マネーの精算処理を行なうことで、テレビ7を継続的に利用したり、最終的な精算を行なったりすることができる。したがって、この後精算方式ではリモコン入金機5およびリモコン精算機6が不要となるため、設備コストの低減化が図れ、また最初に利用者である患者がリモコン入金機5で入金を行なう手間も省ける。さらに、リモコン3’の電子マネー記憶部71に記憶保持される各種電子マネーは、最終的に支払精算されるだけのもので、この電子マネーを課金対象の機器などに利用できる訳ではない。従って、リモコン3’が盗難されても悪用されない後精算方式特有の利点がある。
このように、本来はテレビ7を遠隔操作するだけのリモコン3に、精算装置130や課金装置2との間で電子マネーを受け渡す機能を付加させることで、従来の磁気ヘッドや専用のカードインターフェースを不要にして、課金装置2を小型化することができ、床頭台120での課金装置2の設置場所を節約できると共に、課金装置2の製造原価を低減できる。また、磁気カードのような使い捨ても回避でき、ランニングコストを低減してエコにつなげることができる。さらに、リモコン3はカードと違ってコピーによる偽造ができず、カードよりも高額の電子マネーを利用できるので、滞留金が増えて高い資金運用が可能になると共に、使用者がわざわざカードを購入する手間も省ける。したがって、磁気カードを用いることによる無駄を省き、非接触式カードのようなコスト上昇を回避して、テレビ7の使用に応じた有料課金を可能にする課金システム1’を提供できる。
また、本実施例形態のリモコン制御部65はさらに、リモコン3’の退院キー54が操作されると、テレビ7や冷蔵庫8の使用履歴を履歴情報の中の機器履歴情報として課金装置2から取り込む構成を、履歴情報制御処理部76として備えており、また精算装置130は、リモコン3’との間で電子マネーの精算を行なう毎に、退院キー54が操作されたリモコン3’から機器履歴情報を取り込んで蓄積保存する第3記憶部としての全履歴情報記憶部115’を備えている。
この場合も、退院キー54を操作する際に、テレビ7や冷蔵庫8のそれまでの使用状況が機器履歴情報としてリモコン3’に取り込まれ、精算装置130で電子マネーを精算処理すると、リモコン3’に取り込まれた機器履歴情報が精算装置130に転送される。この機器履歴情報は、電子マネーの精算処理を行なう度に精算装置130に取り込まれ、リモコン3’からの全ての機器履歴情報が全履歴情報記憶部115に蓄積保存される。したがって、課金システム1’内の機器全体の使用状況を精算装置130で一元管理でき、全履歴情報記憶部115から読み出した全ての機器履歴情報から、課金システム1’全体の売り上げなどを示す申告用の利用リストを簡単に作成したり、各課金装置2のタイマーチェックやセンターサーバーなどを不要にしたりすることが可能となる。
また、本実施形態におけるリモコン3’は、第1操作体となる電源キー41が操作されると、課金装置2に個別に割り当てられた課金装置識別子を、その課金装置2から取り込んで記憶する第4記憶部としての識別子記憶部73を備え、課金装置2は、電源キー41が操作されると、リモコン3’に個別に割り当てられたリモコン識別子を、そのリモコン3’から取り込んで記憶する第5記憶部としての識別子記憶部88を備え、課金装置2から取り込んだ課金装置識別子と、識別子記憶部73に記憶する課金装置識別子が一致し、且つリモコン3’から取り込んだリモコン識別子と、識別子記憶部88に記憶するリモコン識別子が一致した時にのみ、リモコン3’と課金装置2との間の双方向の通信を許可する構成を備えている。
この場合、最初にリモコン3’の電源キー41を操作すると、課金装置2に固有の課金装置識別子とリモコン3’に固有のリモコン識別子が、リモコン3’の識別子記憶部73と課金装置2の識別子記憶部88にそれぞれ記憶され、リモコン3’と課金装置2は互いの通信先が認識される。したがって、リモコン3の保管さえ注意すれば、カード式のような盗難を防ぐことが可能になる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、当該実施形態はあくまでも一つの例示に過ぎず、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更が可能である。例えば、上述した課金システム1を、例えば病院以外のホテルや宿泊施設などに適用させることも可能である。また、課金対象となる機器も、例えばランドリーなどで使用する洗濯機や乾燥機に適用させてもよい。この場合、退院時の処理で課金装置2からリモコン3に電子マネーを移動するか、新たにリモコン入金機5でリモコン3に電子マネーを入金すれば、このリモコン3を洗濯機や乾燥機の動作を制御する別な課金装置(図示せず)に接続することで、こうした洗濯機や乾燥機の利用が可能になる。さらに、第1操作体や第2操作体は、どのキーを割り当ててもよく、その名称や形状なども、適宜変更して構わない。